特許拒絶査定不服審判
2023-007027
画像表示装置
- 審判番号
- 2023-007027
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2019-165553外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2023年04月27日
- 審決日
- 2024年05月13日
- 公報発行日
- 2024年08月30日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .121-Z (G02B) / P18 .575-Z (G02B)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項、特許法第159条第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2019-165553「画像表示装置」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年 3月18日出願公開、特開2021- 43345〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和元年9月11日の出願であって、その手続の経緯の概要は以下のとおりである。
令和 4年 9月 5日付け:拒絶理由通知書
同年11月 8日 :意見書・手続補正書の提出
令和 5年 1月26日付け:拒絶査定
同年 4月27日 :審判請求書・手続補正書の提出
第2 令和5年4月27日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和5年4月27日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正の内容
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された(下線部は、補正箇所である。)。
「直線偏光のレーザ光を発振するレーザ光源と、
前記レーザ光源から出射されるレーザ光を、電界が第1の方向に振動する第1直線偏光と、電界が第1の方向とは異なる第2の方向に振動する第2直線偏光に分離する偏光分離素子と、
前記第2直線偏光の偏光方向を前記第1の方向に変換する偏光変換素子と、
前記第1直線偏光の光を第1の照射領域に照射する第1光学系と、
前記偏光変換素子を通過した光を第2の照射領域に照射する第2光学系と、
前記第1の照射領域及び前記第2の照射領域に跨って配置された画像表示素子と、
前記レーザ光源側に一端が配置され、前記偏光変換素子側に他端が配置されたマルチモード光ファイバと
を備える画像表示装置。」
(2)本件補正前の特許請求の範囲の記載
本件補正前の、令和4年11月8日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。
「レーザ光源と、
前記レーザ光源から出射されるレーザ光を、電界が第1の方向に振動する第1直線偏光と、電界が第1の方向とは異なる第2の方向に振動する第2直線偏光に分離する偏光分離素子と、
前記第2直線偏光の偏光方向を前記第1の方向に変換する偏光変換素子と、
前記第1直線偏光の光を第1の照射領域に照射する第1光学系と、
前記偏光変換素子を通過した光を第2の照射領域に照射する第2光学系と、
前記第1の照射領域及び前記第2の照射領域に跨って配置された画像表示素子と、
前記レーザ光源側に一端が配置され、前記偏光変換素子側に他端が配置されたマルチモード光ファイバと
を備える画像表示装置。」
2 本件補正の適否
本件補正で請求項1についてする補正は、本件補正前の請求項1における「レーザ光源」について「直線偏光のレーザ光を発振する」という限定を付加するものである。また、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、本件補正で請求項1についてする補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。
(1)本件補正発明の認定
本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)は、上記1(1)に記載された事項により特定されるとおりのものと認められる。
(2)引用文献の記載事項及び引用発明の認定
ア 引用文献1(国際公開第2008/132796号)の記載事項
原査定の拒絶の理由で引用された、本願の出願前に発行された文献である国際公開第2008/132796号(以下「引用文献1」という。)には、次の記載がある(下線は当審が付した。以下同じ。)。
[0001] 本発明は、主にR(赤)、G(緑)及びB(青)の三色の光源を用いたレーザ背面照射装置、及び当該レーザ背面照射装置を用いた液晶表示装置に関するものである。
[0013] 図1は、本発明の実施の形態における液晶表示装置の構成を示す正面図であり、図2は、図1に示す矢印Aの方向から液晶表示装置を見た側面図である。図1に示す液晶表示装置200は、レーザ背面照射装置100と、液晶パネル5とを備える。レーザ背面照射装置100は、レーザ光源1、分岐光学系101及び複数の照明光学系102を備える。分岐光学系101は、ビームスプリッタ11~15及びミラー16で構成され、照明光学系102は、第1の反射素子2及び第2の反射素子3で構成される。
[0014] レーザ光源1は、レーザ光を出射する。分岐光学系101は、レーザ光源1から出射されたレーザ光を複数に分岐する。複数の照明光学系102は、液晶パネル5を背面から照明する。液晶パネル5は、光強度を二次元的に変調する二次元空間変調素子である。複数の照明光学系102は、分岐光学系101によって分岐された複数のレーザ光を拡大して、複数の領域に分割された液晶パネル5の各領域をそれぞれ照明する。
[0017] 次に、横方向に4行分のレーザ光を分岐する方法について説明する。レーザ光20の内、ビームスプリッタ11を反射したレーザ光25は、ビームスプリッタ12で所定の光量比で透過光と反射光とに分割される。ビームスプリッタ12を透過したレーザ光は、ビームスプリッタ13に入射し、所定の光量比で透過光と反射光とに分割される。さらに、ビームスプリッタ13を透過したレーザ光は、ミラー16で反射して図中下向きに進行する。ビームスプリッタ12,13及びミラー16でそれぞれ反射したレーザ光は、レーザ光21と同様に図中下向きに進行しながら、各列に配置されたビームスプリッタ及びミラーによって反射され、レーザ光26~34として所定の位置に到着する。以上の工程を経て、レーザ光源1を出射したレーザ光20は、縦3列×横4行=12本のレーザ光に分岐される。以上のN=12本のレーザ光それぞれが、液晶パネル5を図1中の破線および実線で区切られたN=12個に分割した各領域(セグメント)を照明することになる。
[0026] 一般に、液晶パネルは、その前後にクロスニコルに配置した偏光板で挟んで使用するため、所定の偏光方向以外の成分は画像形成に加担しない。すなわち、CCFLやLEDのように出射する光の偏光方向がランダムであるような光は、出射光量の半分をロスすることになる。
[0028] 光源にレーザ装置を用いる場合、通常はその偏光方向は揃っている。そのため、上記の通り分岐光学系101を出射する複数のレーザ光の進行方向が同じになるように構成すれば、液晶パネルを照明するレーザ光の偏光方向は、そのほとんどが揃うことになる。偏光成分が画像形成に寄与する様に液晶パネル前後の偏光板の方向を合わせることで、光利用効率がCCFLやLED光源に対して大幅に向上するという大きな利点がある。
[0029] また、ファイバ光源のように一旦ランダム偏光になった光源であっても図6に示す通り、偏光方向を合わせることが可能である。図6は、本実施の形態の第1の変形例に係る液晶表示装置の構成を示す正面図である。図6に示すレーザ背面照射装置103は、ファイバ光源6、偏光ビームスプリッタ7、1/2波長板8、分岐光学系101及び複数の照明光学系102を備える。分岐光学系101は、ビームスプリッタ11~15及びミラー16から構成され、照明光学系102は、第1の反射素子2及び第2の反射素子3から構成されている。なお、図6において、図1と同じ構成については同じ符号を付し、説明を省略する。
[0030] ファイバ光源6から出射したレーザ光20は、偏光ビームスプリッタ(PBS)7によってP偏光とS偏光とに分岐される。偏光ビームスプリッタ7は、レーザ光のP偏光成分を透過させ、S偏光成分を反射させる。反射したS偏光は1/2波長板8に入射する。1/2波長板8は、入射したS偏光の偏光方向を90°回転させることで、P偏光に変換する。これにより、1/2波長板8を透過したレーザ光の偏光成分と、偏光ビームスプリッタ7を透過したP偏光との偏光方向が揃う事になる。各P偏光のビームは、それぞれが担当するセグメントを照明すべく、図6に示すルートを進行しながら、各セグメントへと分岐されることになる。
[0031] 以上の通り、光源として、たとえファイバ光源を用いていたとしても非常に簡便な方法で偏光方向を合わせることが可能になり、大幅な光利用効率の向上を達成することが可能になり、低消費電力化にも寄与できる。
「[図1]
[図:0001412907000001.jpg]
」
「[図6]
[図:0001412907000002.jpg]
」
イ 引用文献1から読み取れる事項
引用文献1の「図6において、図1と同じ構成については同じ符号を付し、説明を省略する。」([0029])との記載から、図1の構成を説明する[0014]の記載は、図6において、図1と同じ符号が付された同じ構成について妥当することが理解できる。これを踏まえると、引用文献1から、次の(ア)~(ウ)の事項を読み取ることができる。
(ア)[0029]には、液晶表示装置が液晶パネルを備えることは明記されていないが、図6には、図1で符号5が付された液晶パネル5が示されているから、図6の液晶表示装置は、レーザ背面照射装置103と液晶パネル5とを備えることが理解できる([0014]及び[0029])。
(イ)図6には、図1で符号101が付された分岐光学系101が示されており、分岐光学系101は、レーザ光源1から出射されたレーザ光を複数に分岐するものであるところ([0014])、図6のレーザ背面照射装置103はレーザ光源1の代わりにファイバ光源6を有する([0029])ことを踏まえれば、図6の分岐光学系101は、ファイバ光源6から出射されたレーザ光を複数に分岐するものであることが理解できる。
(ウ)引用文献1の[0017]には、「以上のN=12本のレーザ光それぞれが、液晶パネル5を図1中の破線および実線で区切られたN=12個に分割した各領域(セグメント)を照明することになる。」との記載があり、引用文献1においては「領域」と「セグメント」は同じものを指すことが理解できる。そうすると、引用文献1の[0014]の記載を合わせてみると、図6の複数の照明光学系102は、分岐光学系101によって分岐された複数のレーザ光を拡大して、複数の領域(セグメント)に分割された液晶パネル5の各領域をそれぞれ照明するものであることが理解できる。
ウ 引用発明の認定
上記ア及びイによれば、引用文献1には、実施形態(図6)に係るレーザ背面照射装置を用いた液晶表示装置について、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる(引用発明の認定に用いた段落番号等を参考までに括弧内に付してある。以下同じ。)。
「液晶表示装置であって、([0029])
液晶表示装置は、レーザ背面照射装置103と、液晶パネル5とを備え、(前記イ(ア))
レーザ背面照射装置103は、ファイバ光源6、偏光ビームスプリッタ7、1/2波長板8、分岐光学系101及び複数の照明光学系102を備え、([0029])
ファイバ光源6は、一旦ランダム偏光になった光源であり、([0029])
ファイバ光源6から出射したレーザ光20は、偏光ビームスプリッタ(PBS)7によってP偏光とS偏光とに分岐され、偏光ビームスプリッタ7は、レーザ光のP偏光成分を透過させ、S偏光成分を反射させ、([0030])
反射したS偏光は1/2波長板8に入射し、1/2波長板8は、入射したS偏光の偏光方向を90°回転させることで、P偏光に変換し、([0030])
各P偏光のビームは、それぞれが担当するセグメントを照明すべく、各セグメントへと分岐され、([0030])
分岐光学系101は、ファイバ光源6から出射されたレーザ光を複数に分岐し、(前記イ(イ))
複数の照明光学系102は、分岐光学系101によって分岐された複数のレーザ光を拡大して、複数の領域(セグメント)に分割された液晶パネル5の各領域をそれぞれ照明する、(前記イ(ウ))
液晶表示装置。([0029])」
(3)本件補正発明と引用発明との対比
ア 本件補正発明と引用発明を対比すると、以下のとおりである。
(ア)「ファイバ光源」という用語は一般に、光ファイバの一端にレーザ光源等の光源を配し、光ファイバの他端から光を出射する光源を意味することが技術常識であるところ、引用発明の「ファイバ光源6」は、レーザ光20を出射するものであるから、当該光源としてレーザ光を発振するレーザ光源を備えることは自明である。
したがって、本件補正発明と引用発明は、「レーザ光を発振するレーザ光源」を備える点で共通する。
(イ)引用発明の「偏光ビームスプリッタ7」は、「ファイバ光源6から出射したレーザ光20」を、「P偏光とS偏光とに分岐」するものであるところ、引用発明の「P偏光」、「S偏光」及び「偏光ビームスプリッタ7」はそれぞれ、本件補正発明の「電界が第1の方向に振動する第1直線偏光」、「電界が第1の方向とは異なる第2の方向に振動する第2直線偏光」及び「偏光分離素子」に相当する。
したがって、本件補正発明と引用発明は、「前記レーザ光源から出射されるレーザ光を、電界が第1の方向に振動する第1直線偏光と、電界が第1の方向とは異なる第2の方向に振動する第2直線偏光に分離する偏光分離素子」を備える点で一致する。
(ウ)引用発明の「1/2波長板8」は、「入射したS偏光の偏光方向を90°回転させることで、P偏光に変換」するものであるから、本件補正発明の「前記第2直線偏光の偏光方向を前記第1の方向に変換する偏光変換素子」に相当する。
したがって、本件補正発明と引用発明は、「前記第2直線偏光の偏光方向を前記第1の方向に変換する偏光変換素子」を備える点で一致する。
(エ)引用発明は、ファイバ光源6から出射したレーザ光20のP偏光成分が偏光ビームスプリッタ(PBS)7を透過した「P偏光のビーム」と、ファイバ光源6から出射したレーザ光20のS偏光成分が偏光ビームスプリッタ(PBS)7で反射した「S偏光のビーム」をさらに1/2波長板8によって偏光方向を90°回転させることでP偏光に変換した「P偏光のビーム」である、「各P偏光のビーム」が、「それぞれが担当するセグメントを照明すべく、各セグメントへと分岐され」るものであるところ、ファイバ光源6から出射したレーザ光20のP偏光成分に由来する「P偏光のビーム」が担当するセグメントが、本件補正発明の「第1の照射領域」に相当し、ファイバ光源6から出射したレーザ光20のS偏光成分に由来する「P偏光のビーム」が担当するセグメントが、本件補正発明の「第2の照射領域」に相当する。
また、引用発明の「複数の照明光学系102」は、「分岐光学系101によって分岐された複数のレーザ光を拡大して、複数の領域(セグメント)に分割された液晶パネル5の各領域をそれぞれ照明する」ものであるから、当該「複数の照明光学系102」のうち、ファイバ光源6から出射したレーザ光20のP偏光成分に由来する「P偏光のビーム」が担当するセグメントを照明するための照明光学系が、本件補正発明の「第1光学系」に相当し、当該「複数の照明光学系102」のうち、ファイバ光源6から出射したレーザ光20のS偏光成分に由来する「P偏光のビーム」が担当するセグメントを照明するための照明光学系が、本件補正発明の「第2光学系」に相当する。
したがって、本件補正発明と引用発明は、「前記第1直線偏光の光を第1の照射領域に照射する第1光学系と、前記偏光変換素子を通過した光を第2の照射領域に照射する第2光学系」を備える点で一致する。
(オ)引用発明の「液晶パネル5」は、本件補正発明の「画像表示素子」に相当する。また、引用発明は、「各P偏光のビームは、それぞれが担当するセグメントを照明すべく、各セグメントへと分岐され」、「複数の照明光学系102は、分岐光学系101によって分岐された複数のレーザ光を拡大して、複数の領域(セグメント)に分割された液晶パネル5の各領域をそれぞれ照明する」ものであるから、前記(エ)も踏まえると、引用発明の「液晶パネル5」は、「前記第1の照射領域及び前記第2の照射領域に跨って配置された」ものであるといえる。
したがって、本件補正発明と引用発明は、「前記第1の照射領域及び前記第2の照射領域に跨って配置された画像表示素子」を備える点で一致する。
(カ)前記(ア)でも説示したように、「ファイバ光源」という用語は一般に、光ファイバの一端にレーザ光源等の光源を配し、光ファイバの他端から光を出射する光源を意味することが技術常識であるから、前記(ア)も踏まえると、引用発明の「ファイバ光源6」が、その一端にレーザ光源を配した「光ファイバ」を備え、当該光ファイバの他端から光を出射する光源であることは自明である。
また、引用発明は、「ファイバ光源6から出射したレーザ光20は、偏光ビームスプリッタ(PBS)7によってP偏光とS偏光とに分岐され」るのであるから、「ファイバ光源6」が備える「光ファイバ」は、偏光ビームスプリッタ(PBS)7側に光を出射する他端が配置されることは明らかである。
このとき、当該「光ファイバ」並びにそのレーザ光源が配される「一端」及びその光を出射する「他端」は、本件補正発明の「光ファイバ」並びにその「一端」及びその「他端」に相当する。
したがって、本件補正発明と引用発明は、「前記レーザ光源側に一端が配置され、前記偏光変換素子側に他端が配置された」「光ファイバ」を備える点で共通する。
(キ)引用発明の「液晶表示装置」は、本件補正発明の「画像表示装置」に相当する。
イ 上記アから、本件補正発明と引用発明とは、下記の点で一致し、また、下記の点で相違する。
(ア)一致点
「レーザ光を発振するレーザ光源と、
前記レーザ光源から出射されるレーザ光を、電界が第1の方向に振動する第1直線偏光と、電界が第1の方向とは異なる第2の方向に振動する第2直線偏光に分離する偏光分離素子と、
前記第2直線偏光の偏光方向を前記第1の方向に変換する偏光変換素子と、
前記第1直線偏光の光を第1の照射領域に照射する第1光学系と、
前記偏光変換素子を通過した光を第2の照射領域に照射する第2光学系と、
前記第1の照射領域及び前記第2の照射領域に跨って配置された画像表示素子と、
前記レーザ光源側に一端が配置され、前記偏光変換素子側に他端が配置された光ファイバと
を備える画像表示装置。」
(イ)相違点1
「レーザ光を発振するレーザ光源」について、本件補正発明は「直線偏光の」レーザ光を発振するレーザ光源であるのに対して、引用発明は、レーザ光を出射し、一旦ランダム偏光になった光源である「ファイバ光源6」が自明に備える「レーザ光を発振するレーザ光源」が「直線偏光の」レーザ光を発振するレーザ光源であるかどうか不明である点。
(ウ)相違点2
「光ファイバ」について、本件補正発明は、「マルチモード」光ファイバであるのに対して、引用発明は、レーザ光を出射し、一旦ランダム偏光になった光源である「ファイバ光源6」が自明に備える「光ファイバ」が「マルチモード」光ファイバであるかどうか不明である点。
(4)検討
上記相違点1及び2について併せて検討する。
引用発明における、「ファイバ光源6」の具体的な構成は不明であるが、引用発明の液晶表示装置を構成するに際しては、当該「ファイバ光源6」を具体化する必要があるから、以下、当業者が引用発明の「ファイバ光源6」をどのように具体化するかについて検討する。
まず、「ファイバ光源」という用語は一般に、光ファイバの一端にレーザ光源等の光源を配し、光ファイバの他端から光を出射する光源を意味することが技術常識であること、及び、引用発明の「ファイバ光源6」がレーザ光を出射することに鑑みれば、「ファイバ光源6」がレーザ光を発振するレーザ光源を備え、その光ファイバの一端がレーザ光源側に配置されるものであることは明らかであることは、前記(3)ア(ア)でも説示したとおりである。
このことに加えてさらに、引用発明の「ファイバ光源6」が「一旦ランダム偏光になった光源」であることを勘案すれば、そのようなファイバ光源として、「直線偏光のレーザ光を発振するレーザ光源」及び「マルチモード光ファイバ」を備え、「マルチモード光ファイバ」から「ランダム偏光のレーザ光」を出射する「ファイバ光源」は最も自然かつありふれた構成にすぎないものであり(原査定で引用文献2として引用された特開平11-352408号公報の【0033】のほか、国際公開第2006/090857号の[0076]、[0077]、図5、国際公開第2008/242147号の[0028]、国際公開第2008/108068号の[0058]、国際公開第2009/011122号の[0031]を参照)、引用発明の一旦ランダム偏光になった光源である「ファイバ光源6」の具体的な構成として、最も自然かつありふれた構成である「直線偏光のレーザ光を発振するレーザ光源」と「マルチモード光ファイバ」により構成することにより、本件補正発明の相違点1及び2に係る構成とすることは当業者が容易に想到し得たことである。
(5)本件補正発明の効果について
上記(4)のとおり、相違点1及び2に係る本件補正発明の構成は当業者が容易に想到し得たものであり、当該相違点を備える本件補正発明の効果は、本件補正発明の構成が奏するものとして、引用発明及び周知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
(6)請求人の主張について
請求人は、引用文献2の直線偏光とランダム偏光を切り換えて用いる構成を引用発明に適用する動機付けはないことや、引用発明に引用文献2に開示されたマルチモード光ファイバを適用する動機付けはない旨を主張するが、上記(4)のとおり、当業者は、引用発明のレーザ光を出射し、一旦ランダム偏光になった光源である「ファイバ光源6」を具体化する必要があるところ、そのようなファイバ光源として上記(4)で説示したように最も自然かつありふれた構成を引用発明のファイバ光源の具体的な構成として採用することは、当業者が容易に想到し得たことである。そして、上記(4)では、引用文献2は前記最も自然かつありふれた構成であることを示す一例として挙げたにすぎないものであり、引用文献2の直線偏光とランダム偏光を切り換えて用いる構成を引用発明に適用することを論じているわけではないから、請求人の主張は審決の理由を正解しないものであり、採用できない。
(7)小括
したがって、本件補正発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものである。
3 本件補正についてのむすび
以上のとおりであるから、本件補正は、特許法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明の認定
本件補正は、上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1~3に係る発明は、令和4年11月8日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~3に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記第2の[理由]1(2)において本件補正前の請求項1として記載された事項により特定されるとおりのものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、本願発明は、出願前に頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明である上記の引用文献1に記載された引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、という理由を含むものである。
3 引用文献の記載事項及び引用発明の認定
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1の記載事項及び引用発明の認定は、上記第2の[理由]2(2)に記載したとおりである。
4 対比・判断
本願発明は、上記第2の[理由]2で検討した本件補正発明から、「レーザ光源」について「直線偏光のレーザ光を発振する」という限定事項を削除したものである。
そして、削除された上記限定事項は、上記第2の2(3)イ(イ)の相違点1に係る事項であるから、本願発明と引用発明との相違点は、上記第2の2(3)イ(ウ)の相違点2のみであり、相違点2に係る本願発明の構成が、引用発明に基づいて、当業者が容易に想到し得たものであることは、上記第2の2(4)のとおりである。
よって、本願発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2023-007027