特許拒絶査定不服審判
2023-000081
情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法、プログラムおよび記録媒体
- 審判番号
- 2023-000081
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2018-229619外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2023年01月05日
- 審決日
- 2023年06月19日
- 公報発行日
- 2023年09月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】コニカミノルタ株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人 佐野特許事務所
- 分類
- P18 .121-Z (G06T)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2018-229619「情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法、プログラムおよび記録媒体」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 6月11日出願公開、特開2020- 91770〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、平成30年12月7日に出願したものであって、令和4年5月27日付け拒絶理由通知に対して同年6月29日に意見書及び手続補正書が提出されたが、同年10月25日付けで拒絶査定がなされた。これに対し、令和5年1月5日に拒絶査定不服審判が請求されたものである。
第2 本願発明
本願の請求項1ないし15に係る発明は、令和4年6月29日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし15に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりである(符号AないしDは、本願発明を分説するため当審にて付与した。以下、符号A等を付した事項を「構成A」等という。)。
「A 店舗内で人物を撮影した人物画像に基づいて、前記人物を検出する人物検出部と、
B 前記人物画像に基づいて、前記人物の属性に関する属性情報を推定する属性推定部と、
C 前記人物画像から、前記人物とは異なる別人の画像であって、前記人物と同じ前記属性情報を有する別人画像を生成して、前記人物を匿名化する匿名加工部とを備え、
C1 前記別人画像は、前記人物の属性情報を維持している
D ことを特徴とする情報処理装置。」
第3 拒絶査定の理由
拒絶査定の理由は、概略以下のとおりである。
この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
・請求項 1-3、6-11、14、15
・引用文献等 1
・請求項 4、12
・引用文献等 1、2
・請求項 5、13
・引用文献等 1、3、4
<引用文献等一覧>
1.国際公開第2016/114392号
2.特開2013-069187号公報
3.草野 光亮 他,Generative Adversarial Networksを用いた確率的識別モデルから訓練データ生成分布の推定,電子情報通信学会技術研究報告,日本,一般社団法人電子情報通信学会,2017年11月02日,第117巻第293号,pp.301-308(周知技術を示す文献)
4.Defang Li, Min Zhang, Weifu Chen, Guocan Feng,Facial Attribute Editing by Latent Space Adversarial Variational Autoencoders,2018 24th International Conference on Pattern Recognition (ICPR),米国,IEEE,2018年08月20日,pp. 1337-1341,https://ieeexplore.ieee.org/document/8545633/(周知技術を示す文献)
第4 引用文献
1 引用文献1
引用文献1には、図面と共に以下の事項が記載されている。なお、下線は当審で付与した。
「[0001] 本発明は、情報出力装置、カメラ、情報出力システム、情報出力方法及びプログラムに関する。
背景技術
[0002] IoT(Internet of Things)に関する技術の普及により、カメラで撮像した現実世界のデータを利用した様々なソリューションが提供されている。代表的な例として、警備会社が防犯カメラで撮像した画像データを遠隔から監視し、防犯に役立てるなどのセキュリティ目的で利用することが考えられる。また、売り場に観察カメラを設け、顧客の購買行動を撮像し、撮像した画像データを解析してマーケティングに役立てるという利用方法が考えられる。
[0003] カメラによって撮像した画像には、個人の顔などが写し出されており、その画像データの取り扱いが問題となる。また、セキュリティ目的のシステムでは、個人情報(個人が特定可能な画像情報)が必要となるが、マーケティング目的のシステムでは、顧客の年齢層、性別といった属性情報が識別できればよく、個人の特定までは必要とされない。その為、一般的には、セキュリティ目的の監視カメラ及びシステムとマーケティング目的の観察カメラ及びシステムを独立に設置する。この構成により、マーケティング用のシステムには、セキュリティ目的で撮像した個人情報(個人が特定可能な画像情報)が漏えいしないようにしている。
・・・(中略)・・・
発明が解決しようとする課題
[0006] 上述のようにセキュリティ用の防犯カメラ及びシステムとマーケティング用の観察カメラ及びシステムとを別々に設置すると、機器コスト、設置コスト、運用コスト、設置場所が2倍必要でコスト高、設置場所不足などの課題があった。
[0007] 本発明の目的の一例は、上述した解題を解決する情報出力装置、カメラ、情報出力システム、情報出力方法及びプログラムを提供することである。」
「[0019]<第一実施形態>
以下、本発明の第一実施形態によるエッジ端末装置1を図1~図6を参照して説明する。
・・・(中略)・・・
[0020] 図2は、本発明の第一実施形態によるエッジ端末装置の具体的な構成を示す図である。
図2に示す通り、エッジ端末装置1は、情報取得部11、第一出力部12、第二出力部13、通信部14、出力判定部15、記憶部16、第一接続部18を備えている。
・・・(中略)・・・
[0024] 図3は、本発明の第一実施形態による情報出力システムの一例を示す図である。
図3に示す情報出力システムは、少なくとも1台のエッジ端末装置1と、少なくとも1台のカメラ(センサ)4と、サーバ端末装置2と、サーバ端末装置3と、を含む。エッジ端末装置1は、店舗100に設置されている。カメラ4は、エッジ端末装置1に接続されている。サーバ端末装置2は、データセンタ200に備えられている。サーバ端末装置3は、データセンタ300に備えられている。エッジ端末装置1とは、顧客の比較的近くに設置され、データセンタ200,300のサーバ端末装置2,3へ送信する前に行うのが適切な処理を行う。第一実施形態では、例えば、エッジ端末装置1は、個人情報を暗号化する処理を行ったり、個人情報を個人が特定できない属性情報に変換する処理を行う。エッジ端末装置1とサーバ端末装置2及びサーバ端末装置3は、ネットワークNWを介して接続されている。サーバ端末装置2では、監視のための防犯システムが稼働している。サーバ端末装置3では、マーケティングシステムが稼働している。
・・・(中略)・・・
[0026] 図3が示すように、サーバ端末装置3は、通信部31と、アプリケーション実行部33と、記憶部34と、を備えている。通信部31は、エッジ端末装置1、サーバ端末装置2などの他の装置との通信を行う。アプリケーション実行部33は、マーケティングシステムの各アプリケーション・プログラムを実行する。記憶部24は、諸々のアプリケーション・プログラムやエッジ端末装置1から取得した個人情報変換処理済みの画像データを記憶する。
[0027] カメラ4は、例えば、店舗100を見渡せる位置に設けられ、店舗100内の様子を撮像し続ける。カメラ4が撮像した画像データは、万引きや強盗などを監視する目的に用いられる他、店舗100で買い物をする顧客の行動を把握してマーケティングに利用する目的にも用いられる。カメラ4は、撮像した画像データを、エッジ端末装置1へ出力する。エッジ端末装置1は、取得した画像データに対して、防犯用にスクランブル処理を行う。エッジ端末装置1は、スクランブル処理を行った画像データを、サーバ端末装置(エッジ端末装置1の外部)2へ送信する。また、エッジ端末装置1は、取得した画像データに対して、マーケティング用に個人情報変換処理を行う。エッジ端末装置1は、個人情報変換処理を行った画像データを、サーバ端末装置(エッジ端末装置1の外部)3へ送信する。
サーバ端末装置2では、防犯システムが稼働している。例えば警備員が、サーバ端末装置2が受信した画像データを監視する。サーバ端末装置2が受信した画像データは、データセンタ200に設けられた記憶装置(または、記憶部24)に証拠として所定期間保存される。
サーバ端末装置3は、エッジ端末装置1から受信した画像データや画像認識されテキスト化されたデータを対象に分析を行う。サーバ端末装置3は、分析結果に基づいて、年齢層や性別ごとの売れ筋商品を割り出してもよい。サーバ端末装置3は、分析結果に基づいて、店舗内の顧客の動線から、多くの顧客が通行する場所を算出し、商品の配置場所の参考になるような情報を生成したりするマーケティング分析を行ってもよい。動線とは、顧客が移動した経路を示す情報である。
・・・(中略)・・・
[0029] 次に、マーケティング用データ(または画像データ)は、個人が特定できるデータを含んでいなくてもよい。なぜなら、マーケティングシステムでは、顧客の年齢層、性別など属性情報が取得できればよいからである。また、個人情報をそのまま含んだ画像データを、ネットワークNWを介して送受信したり、サーバ端末装置3などに保存したりすることは、個人情報の漏えいの観点から問題がある。そこで、第二出力部13は、カメラ4が撮像した画像データに対して、画像データによって構成される画像に映った顧客の属性情報を抽出し、抽出した属性情報と、個人情報が認識できないように変換した画像データをデータセンタ300のサーバ端末装置3へ送信する。個人情報が認識できないように変換する処理は、第二出力部13が行う。
・・・(中略)・・・
[0031] 次に、エッジ端末装置1による出力処理について説明する。
図4は、本発明の第一実施形態によるエッジ端末装置1の処理フローを示す第一の図である。
図4を参照して、エッジ端末装置1が画像データを変換して出力する処理について説明する。前提として、カメラ4によって店舗100の様子が撮像されている状態であるとする。
・・・(中略)・・・
[0032] エッジ端末装置1は、ステップS12~ステップS14の処理と並行して、以下の処理を行う。まず、出力判定部15は、第二出力部13からマーケティング用画像データの出力を行うか否かを判定する(ステップS15)。
・・・(中略)・・・
[0033] 出力判定部15がマーケティング用画像データの出力を行うと判定すると(ステップS15:Yes)、情報取得部11は、取得した画像データを第二出力部13へ出力する。
第二出力部13は、取得した画像データについて個人情報変換処理を行う(ステップS16)。第二出力部13は、取得した画像データから映像に映っている人物を認識し、各人物の顔画像に基づいて各人物の年齢層や性別を公知の顔認識技術などを用いて推定する。
第二出力部13は、例えば、その人物の着ている衣服の色などを公知の色認識技術により認識し、その人物を識別する目印にして、推定した性別等の属性情報と人物とを対応付けて記憶部16に記録してもよい。属性情報と人物とを対応付けた情報とは、例えば、「赤い服を着た顧客」という人物に、「性別:女性」および「年齢層:20代」という属性情報が対応付けられた情報である。
別法として、第二出力部13は、以下のような処理を行ってもよい。すなわち、第二出力部13は、推定した年齢層、性別に対応する予め記憶されたアバタ画像を記憶部16から読み出す。第二出力部13は、その人物の顔画像を顔認識技術により認識する。第二出力部13は、その人物の顔画像を、その人物の顔の輪郭が似ているアバタ画像で置き換える。
さらに別法として、第二出力部13がマーケティング分析機能を持つ場合、以下のような処理を行ってもよい。すなわち、第二出力部13は、所定時間に渡って撮像された画像データを取得する。第二出力部13は、各人物の着ている衣服などを目印にして、例えば特徴点抽出及び物体追跡技術などの公知の技術により各映像における人物の位置情報を算出する。さらに、第二出力部13は、時系列の位置情報に基づいて人物ごとの動線を算出してもよい。第二出力部13は、複数の時系列の画像データから腕の動きや顔の向きの変化を検出し、人物が商品棚に手をのばした動きや、視線を向ける方向などから、人物の棚前行動を分析してもよい。第二出力部13は、年齢層、性別に加え、動線や棚前行動などの情報をテキスト化したデータを生成してもよい。テキスト化したデータとは、例えば「顧客001、男、20代、A棚~B棚を移動、商品Cを手に取って購入」などの情報である。第二出力部13は、第二出力部13に個人情報が分からないように変換した画像データまたは、テキスト化したデータを出力する。第二出力部13は、マーケティング用画像データ(属性情報、テキスト化したデータを含む)をサーバ端末装置3へ送信する(ステップS17)。
・・・(中略)・・・
[0038] 第一の実施形態によれば、防犯用の防犯カメラ及びシステムと、マーケティング用の観察カメラ及びシステムを別々に設置することなく、防犯用の個人情報が含まれたデータとマーケティング用の顧客の属性情報が含まれたデータを出力することができる。」
「[0053] その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。例えば、動画データは音声データや静止画像の画像データでもよい。また、この発明の技術範囲は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。エッジ端末装置1は、情報出力装置の一例である。サーバ端末装置2は、第一サーバ端末装置の一例である。サーバ端末装置3は、第二サーバ端末装置の一例である。外部端末ユニット5は、外部接続装置の一例である。」
「[図2]
[図:0001401512000001.jpg]
」
「[図3]
[図:0001401512000002.jpg]
」
「[図4]
[図:0001401512000003.jpg]
」
上記記載から、引用文献1には以下の事項が記載されている。
・上記[0007]、[0029]、[0038]、[0053]によれば、引用文献1には、防犯用の個人情報が含まれたデータと、マーケティング用の顧客の年齢層、性別など属性情報が含まれたデータを出力することができる情報出力装置に関する発明が記載されているといえる。
・上記[0024]、[0053]によれば、情報出力装置であるエッジ端末1は、カメラ4が接続されており、また、ネットワークNWを介してサーバ端末装置3と接続されている。
・上記[0027]によれば、カメラ4は、店舗100を見渡せる位置に設けられ、店舗100内の様子を撮像し続け、撮像した画像データを、エッジ端末装置1へ出力するものである。
・上記[0024]、[0027]によれば、エッジ端末装置1は、取得した画像データに対して、マーケティング用に、個人情報を個人が特定できない属性情報に変換する個人情報変換処理を行い、個人情報変換処理を行った画像データを、マーケティングシステムが稼働しているサーバ端末装置3へ送信するものといえる。
・上記[0029]、[0033]、図2によれば、エッジ端末装置1における個人情報変換処理は、第二出力部13が行っている。
・上記[0033]によれば、第二出力部13は、取得した画像データから映像に映っている人物を認識し、各人物の顔画像に基づいて各人物の年齢層や性別を推定し、推定した年齢層、性別に対応する予め記憶されたアバタ画像を記憶部16から読み出し、その人物の顔画像を、その人物の顔の輪郭が似ているアバタ画像で置き換える。
したがって、上記摘記事項および図面を総合勘案すると、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
「a 防犯用の個人情報が含まれたデータと、マーケティング用の顧客の年齢層、性別など属性情報が含まれたデータを出力することができる情報出力装置であって、
b 情報出力装置であるエッジ端末1は、カメラ4が接続されており、また、ネットワークNWを介してサーバ端末装置3と接続されており、
b1 カメラ4は、店舗100を見渡せる位置に設けられ、店舗100内の様子を撮像し続け、撮像した画像データを、エッジ端末装置1へ出力するものであり、
b2 エッジ端末装置1は、取得した画像データに対して、マーケティング用に、個人情報を個人が特定できない属性情報に変換する個人情報変換処理を行い、
b3 個人情報変換処理を行った画像データを、マーケティングシステムが稼働しているサーバ端末装置3へネットワークNWを介して送信し、
b21 エッジ端末装置1における個人情報変換処理は、第二出力部13が行っており、
b211 第二出力部13は、取得した画像データから映像に映っている人物を認識し、各人物の顔画像に基づいて各人物の年齢層や性別を推定し、
b212 推定した年齢層、性別に対応する予め記憶されたアバタ画像を記憶部16から読み出し、その人物の顔画像を、その人物の顔の輪郭が似ているアバタ画像で置き換える
a 情報出力装置。」
第5 対比・判断
1 対比
本願発明と引用発明とを対比する。
(1)構成Aについて
引用発明の構成b211の「第二出力部13」は、構成b1の「カメラ4」が撮像した「店舗100内」の「画像データ」から、映像に映っている人物を認識しており、引用発明の「第二出力部13」は本願発明の「店舗内で人物を撮影した人物画像に基づいて、前記人物を検出する人物検出部」に相当する。
(2)構成Bについて
引用発明の構成b211の「第二出力部13」が「各人物の顔画像に基づいて各人物の年齢層や性別を推定」することは、年齢層、性別などの属性情報を推定しているといえ、構成Bの「前記人物画像に基づいて、前記人物の属性に関する属性情報を推定する」ことに相当する。
したがって、引用発明の「第二出力部13」は本願発明の「属性推定部」にも相当する。
(3)構成C、C1について
ア 引用発明の「個人情報変換処理」は「取得した画像データに対して、マーケティング用に、個人情報を個人が特定できない属性情報に変換する」(構成b2)処理であり、人物を匿名化する処理といえる。
イ 引用発明の構成b212の「その人物の顔画像を、その人物の顔の輪郭が似ているアバタ画像で置き換える」ことは、別人画像を生成するといえるものである。
また、「置き換え」に用いる「アバタ画像」は、「推定した年齢層、性別に対応する」ものであるから、引用発明は、画像データの映像に映っている人物と、同じ属性情報に対応する別人画像を生成しているといえる。
ウ そうすると、引用発明の「第二出力部13」と本願発明の構成Cとは、「前記人物画像から、前記人物とは異なる別人の画像であって、前記人物と同じ前記属性情報」に対応する「別人画像を生成して、前記人物を匿名化する匿名加工部」である点で共通する。
ただし、別人画像に関して、本願発明は「前記人物と同じ前記属性情報を有する」ものであり、「前記人物の属性情報を維持している」のに対して、引用発明はその旨の特定がない点で相違する。
(4)構成Dについて
引用発明の「情報出力装置」は、上記(1)ないし(3)で述べた「エッジ端末1」の「第二出力部13」の構成を有しており、本願発明の「情報処理装置」に相当する。
(5)上記(1)ないし(4)から、本願発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
<一致点>
「A 店舗内で人物を撮影した人物画像に基づいて、前記人物を検出する人物検出部と、
B 前記人物画像に基づいて、前記人物の属性に関する属性情報を推定する属性推定部と、
C’前記人物画像から、前記人物とは異なる別人の画像であって、前記人物と同じ前記属性情報に対応する別人画像を生成して、前記人物を匿名化する匿名加工部とを備えている、
A ことを特徴とする情報処理装置。」
<相違点>
別人画像に関して、本願発明は「前記人物と同じ前記属性情報を有する」ものであり、「前記人物の属性情報を維持している」のに対して、引用発明はその旨の特定がない点。
2 判断
(1)相違点についての判断
引用発明の構成b212では「年齢層、性別」に対応する「アバタ画像」が予め記憶部16に記憶されていることから、引用発明の「アバタ画像」は「年齢層、性別」ごとに用意されたものといえる。
一方、引用発明は「アバタ画像」そのものの具体的なデザインについて特定されていないが、アバタ画像のデザインとして、本人の顔に大なり小なり似せたものを使用することは当業者によって広く行われており、どの程度似せるかは使用用途に応じて適宜設計し得る事項である。
引用発明の「アバタ画像」の使用用途は、個人情報を個人が特定できない属性情報に変換し、かつ、変換後にマーケティング用のデータとして使用するためのものであるから、そのデザインは、少なくとも個人が特定できないものである必要がある。また、マーケティング用に使用する観点から、顧客の年齢層、性別に見合ったデザインを「年齢層、性別」ごとに用意すると考えるのが合理的である。
してみると、引用発明において「アバタ画像」を「年齢層、性別」ごとに用意するにあたり、各「年齢層、性別」に見合ったデザインを用意しておき、画像データに映っている人物の顔画像を、個人は特定できないがその人物の属性情報(年齢層、性別)と同じアバタ画像で置き換えるようにして、上記相違点に係る本願発明の構成とすることは当業者が容易になし得ることである。
(2)効果について
本願発明の効果は、引用発明から想到される構成から当業者が予想できる範囲のものである。
(3)請求人の主張について
ア 請求人の主張内容
審判請求人は、審判請求書において、次の旨主張している。
(ア)「引用文献1では、例えば、顧客の属性情報を、個人情報変換処理後の画像とは別に、上記画像と紐づけて記憶部に記録しています(段落〔0029〕参照)。つまり、個人情報変換処理後の画像自体が属性情報を有していないことは、段落〔0029〕の記載からも明らかです。」
(イ)「引用文献1において、たとえ「置き換えられるアバタ画像は、その顧客の年齢層、性別などの属性情報に紐づけられたアバタ画像である」(段落〔0029〕参照)、「推定した年齢層、性別に対応する予め記憶されたアバタ画像」(段落〔0033〕参照)との記載があっても、アバタ画像そのものを属性情報が反映された画像とすることは、引用文献1において述べている個人情報漏えいの問題に鑑みて不適切であり、・・・(中略)・・・妥当ではないと考えます。」
イ 主張の検討
(ア)について
引用文献1の[0029]には「第二出力部13は、顧客の属性情報をアバタ画像の識別情報に紐づけて記憶部16に記録してもよい。」と記載されており、請求人が主張する[0029]の構成は、必須のものではない。
仮に、引用発明が上記[0029]の構成を採用していたとしても、上記(1)で述べたとおり、アバタ画像のデザインは使用用途に応じて適宜設計し得る事項であるから、上記[0029]の構成から直ちに「個人情報変換処理後の画像自体が属性情報を有していない」ことが明らかであるとはいえない。
また、引用発明において「アバタ画像」を「年齢層、性別」ごとに用意するにあたり、個人が特定できないようにするためとはいえ、わざわざ全く脈絡のないデザインを使用しなければならないという理由はない。
(イ)について
引用発明の個人情報変換処理は、個人情報を個人が特定できない属性情報に変換するものであり、具体的には[0033]記載の「性別:女性」および「年齢層:20代」や、「男、20代」といった属性情報に変換するものである。
したがって、引用発明において、アバタ画像そのものを属性情報(年齢層、性別)が反映された画像としても、特定できるのは年齢層、性別までであり、個人まで特定できるわけではないから、個人情報漏えいの問題に鑑みて不適切であるとはいえない。
よって、審判請求人の上記主張を採用することはできない。
(4)判断についてのまとめ
以上のとおり、本願発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
第6 むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、他の請求項について論及するまでもなく拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり、審決する。
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2023-000081