特許拒絶査定不服審判
2023-000300
生体情報認証装置
- 審判番号
- 2023-000300
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2018-165270
- 請求日
- 2023年01月10日
- 審決日
- 2023年07月24日
- 公報発行日
- 2023年10月27日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社東海理化電機製作所
- 【請求人代理人】弁理士法人平田国際特許事務所
- 【請求人】トヨタ自動車株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人平田国際特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 五十嵐 努
- 審判官 千葉 輝久
- 審判官 板垣 有紀
- 分類
- P18 .121-Z (G06T)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2018-165270「生体情報認証装置」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 3月12日出願公開、特開2020- 38491〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、平成30年9月4日の出願であって、令和4年7月4日付けで拒絶理由が通知され、令和4年9月6日に意見書、手続補正書が提出され、令和4年10月11日付けで拒絶査定がされ、これを不服として、令和5年1月10日に本件審判請求がされ、同時に手続補正がされたものである。
第2 本願発明
本願の請求項1ないし4に係る発明は、令和5年1月10日付けの手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりである。
[本願発明]
車両に配置された本体と、
前記本体に配置され、操作の際に操作指が接触する操作面を有する操作ボタンと、
前記操作ボタンに配置され、前記操作面に接触するユーザの操作指の生体情報を読み取る生体情報センサと、
前記ユーザによる前記操作ボタンの操作に伴って前記生体情報センサが読み取った読取画像が生体認証に適さないと判定した場合、生体認証を行わずに、前記読取画像が生体認証に適さないことを報知装置に報知させる報知信号を出力し、また前記読取画像が生体認証に適していると判定した場合、生体認証を行い、この生体認証の成立に基づいて前記車両の駆動装置の始動を指示する指示信号を出力する判定部と、
を備えた生体情報認証装置。
第3 拒絶査定の理由の概要
拒絶査定の理由の概要は次のとおりである。
本件出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記
・請求項1
・引用文献 1,3
・請求項2-4
・引用文献 1-3
引用文献1:特開2002-298126号公報
引用文献2:特開2017-52380号公報(周知技術を示す文献)
引用文献3:特開2008-174095号公報(周知技術を示す文献;新たに引用された文献)
第4 引用文献の記載事項及び引用発明
1.引用文献1について
拒絶査定の理由に引用された特開2002-298126号公報(引用文献1)には、図面とともに次の事項が記載されている。なお、下線は当審により付したものである。
「【0011】本発明は,上記従来技術の持つ問題点を解決し,多くの計算時間を必要とする画像処理を行うことなく,指紋情報入力部から入力された指紋が指紋認証に適した画像かどうかを簡易な構成で正確に判別することができる入力指紋状態判定方法及び装置を提供することを目的とし,更に指紋認証に適していないと判定した場合は,乾燥,湿潤,指荒れ,指が細いといった理由を検出して通知することを他の目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明における個人認証技術では,指紋認証を行う前処理として,指紋センサに入力された画像から乾燥,湿潤,指荒れ,指が細いなどの状態を的確に判定し,指紋認証に適さない入力画像を予め除外することが可能となる。この結果,指紋認証に適さない指紋画像で指紋認証を実行してしまい,認証失敗となることを回避することが可能となる。また,指紋認証に適さない画像の取り込み拒否と,その対策の指示を,全てソフトウエアレベルで行うことで,既存の指紋センサを変更することなく,精度の高い指紋照合システムを実現することが可能となる。」
「【0017】
【発明の実施の形態】図3は実施例の構成を示す。図中,1~5は上記図1の同じ符号の各部と同じであり,1は指紋情報入力部,2は画像細分化部,3’は細分化画像について指紋が存在するか判定する細分化画像指紋存在判定部(図1の細分化画像隆線存在判定部3に対応),4は細分化画像状態判定部,5は画像取り込み決定部であり,1aは画像2値化部である。また,6a~6cは図1の画像状態判定部6に対応し,6aは細い指判定部,6bは乾燥指紋判定部,6cは湿潤指紋判定部である。
【0018】図4は実施例の処理フローであり,以下に実施例の動作を説明する。最初に,指紋情報入力部1に指紋画像を入力し(図4のS1),入力された指紋情報は,画像2値化部1aにおいて2値化される。この時,2値化処理の閾値決定方法は従来から種々の方法があり,例えば,ヒストグラムを用いて中間値を求めて,その中間値より大きいか小さいかにより2値化を行うモード法を使用するが,どのような方式を使用してもよい。次に2値化された画像は,画像細分化部2において,所定のサイズで細分化される(図4のS2)。細分化された全ての画像は,細分化画像指紋存在判定部3’で隆線の存在を判定することにより指紋の存在判定をすると同時に,細分化画像状態判定部4により,画素の状態から湿潤傾向にあるか,乾燥傾向にあるか,湿潤と乾燥のどちらでもない状態かの何れであるかを判定する(図4のS3)。隆線存在判定の詳細な方法は,図5~図9を用いて後述する。
【0019】こうして判定された各ブロックは,画像取り込み決定部5において全細分化数と指紋の存在が確認できたブロック数の比率を計算し(図4のS4),指紋認証に適した画像かどうかを判定する(同S5)。この結果,指紋認証に適していると判定した場合は,図示されていない指紋認証機能部,または指紋登録部などにより所定の登録照合処理に移行する(図4のS6)。指紋認証に適さないと判定した場合は,指紋認証に適していないと判定された理由を調べるため,入力画像の状態の判定に移行し(図4のS7),最初に細い指判定部6aによる指が細い(指紋の面積が小さい)かの判定(図4のS8,S9),乾燥指紋判定部6bによる乾燥指紋かの判定(図4のS10,S11),湿潤指紋判定部6cによる湿潤指紋かの判定(図4のS12,S13)の順に判定し,湿潤指紋でない場合は指が荒れていると判定し(図4のS14),この判定要素に合致するとそれを指紋認証に適さないと判定した理由とし出力手段(図示省略した表示装置)に出力し,利用者に知らせて再度,指紋情報入力部1からの指紋の入力を待つ。上記の指紋認証に適していないと判定した理由を判定するための,処理の詳細は図12~図14を用いて後述する。なお,指紋認証に適していないと判定された理由を得るための処理順序は,自由に入れ替えることが出来ることは言うまでも無い。」
「【図3】
[図:0001402613000001.jpg]
」
「【図4】
[図:0001402613000002.jpg]
」
以上の記載事項(特に、下線部)によれば、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
[引用発明]
最初に、指紋情報入力部1に指紋画像を入力し、
入力された指紋情報は、画像2値化部1aにおいて2値化され、次に2値化された画像は、画像細分化部2において、所定のサイズで細分化され、細分化された全ての画像は、細分化画像指紋存在判定部3’で隆線の存在を判定することにより指紋の存在判定をすると同時に、細分化画像状態判定部4により、画素の状態から湿潤傾向にあるか、乾燥傾向にあるか、湿潤と乾燥のどちらでもない状態かの何れであるかを判定し、こうして判定された各ブロックは、画像取り込み決定部5において全細分化数と指紋の存在が確認できたブロック数の比率を計算し、指紋認証に適した画像かどうかを判定し、
この結果、指紋認証に適していると判定した場合は、指紋認証機能部により所定の照合処理に移行し、
指紋認証に適さないと判定した場合は、指紋認証に適していないと判定された理由を調べるため、入力画像の状態の判定に移行し、最初に細い指判定部6aによる指が細い(指紋の面積が小さい)かの判定、乾燥指紋判定部6bによる乾燥指紋かの判定、湿潤指紋判定部6cによる湿潤指紋かの判定、の順に判定し、湿潤指紋でない場合は指が荒れていると判定し、この判定要素に合致するとそれを指紋認証に適さないと判定した理由とし出力手段(表示装置)に出力し、利用者に知らせて再度、指紋情報入力部1からの指紋の入力を待つ、
指紋照合システム。
2.引用文献3について
拒絶査定の理由に周知技術として引用された特開2008-174095号公報(引用文献3)には、図面とともに次の事項が記載されている。なお、下線は当審により付したものである。
「【0001】
本発明は、車両のエンジンなどの駆動源を始動させる始動制御装置に関し、特に、エンジンなどの駆動源の始動時に、利用者が正当な利用者であるか否かの認証を行うものに関する。」
「【実施例1】
【0010】
以下に、図1~図3に基づいて、この発明の最良の実施の形態の実施例1の始動制御装置Aについて説明する。
【0011】
この実施例1の始動制御装置Aは、運転者が図3に示すインストルメントパネル1に設けられた始動スイッチとしてのスタータスイッチ2を押すのに連動して、図外のエンジンを始動させる始動手段としての始動装置3(図1参照)を始動作動させる車載の装置であって、その始動作動の際に、指紋照合と信号照合とを用いた利用者の認証を行い、始動許可と始動禁止との判定を行うもので、図1に示すように、コントロールユニット(制御手段)4と指紋センサ5とアンテナ6と送受信部(受信器)7とを備えている。
【0012】
スタータスイッチ2は、図3に示すように、インストルメントパネル1において、ステアリング10の右横に設置された押しボタン式のスイッチであり、通常はOFF状態となっており、頭部に設けられた押圧部としての押圧面2aを押されるとON状態に切り替わり、押圧力を取り除くとOFF状態に戻るスイッチである。」
「【0014】
指紋センサ5は、図3に示すスタータスイッチ2の押圧面2aに設けられ、この押圧面2aを押圧する指Fの指紋を読み取るもので、静電容量式、電界検知式、光学式、感熱式、感圧式などの周知のものを用いることができ、本実施例1では、指紋を撮像する光学的センサを用いているものとする。」
「【0017】
次に、コントロールユニット4による始動処理を、図2のフローチャートに基づいて説明する。
なお、この始動処理は、乗員が降車した状態から乗車判断がなされることで実行を開始されるものとする。また、乗車判断は、図外のドアセンサの出力、あるいは図外のシートに設けられたシートセンサの出力、あるいは、携帯キー8からのID信号idの出力に基づく乗車判定処理などに基づいて行うことができる。
【0018】
まず、ステップS1では、スタータスイッチ2が押されてONとなったか否か判定し、ONとなった場合には次のステップS2に進み、OFFのままであれば、このステップS1の判定を繰り返す。
【0019】
ステップS2では、スタータスイッチ2の押圧面2aに設けられた指紋センサ5に接している指Fの指紋を読み込み、次のステップS3において、この読み込んだ指紋が登録指紋に一致するか否かの指紋照合判定を行い、指紋照合がとれればステップS4に進む。すなわち、本実施例1では、この始動制御装置Aが搭載された車両の使用を許可された正当な利用者の指紋が、あらかじめ指紋センサ5により登録指紋として読み込まれてRAM43に記憶されており、ステップS2で読み込んだ指紋が、この登録指紋と一致するか否かの指紋照合が行われる。
【0020】
ここで読み込んだ指紋と登録指紋とが一致した場合、すなわち、ステップS3においてYESと判定された場合には、利用者が正当な利用者であるとの認証を行い、ステップS4に進んで、始動装置3による始動を許可して始動作動を実行させ、図外のエンジンを始動させる。」
「【図2】
[図:0001402613000003.jpg]
」
「【図3】
[図:0001402613000004.jpg]
」
以上、特に下線部の記載によれば、引用文献3(( )内に引用文献3の対応する事項を示す。)には、
「車両に配置された本体(始動制御装置A)と、前記本体に配置され、操作の際に操作指が接触する操作面(押圧面2a)を有する操作ボタン(スタータスイッチ2)と、
前記操作ボタンに配置され、前記操作面に接触するユーザの操作指の生体情報を読み取る生体情報センサ(指紋センサ5)と、を備え、
前記ユーザによる前記操作ボタンの操作に伴って前記生体情報センサが読み取った読取画像により生体認証(指紋照合判定)を行い、この生体認証の成立(利用者が正当な利用者であるとの認証)に基づいて前記車両の駆動装置の始動を指示する指示信号を出力する(始動装置3による始動を許可して始動作動を実行させる(指示信号が出力されるのは明らかである))装置。」
が記載されていると認められる。
第5 本願発明と引用発明との対比
1.本体、操作ボタンについて
本願発明は、「車両に配置された本体と、前記本体に配置され、操作の際に操作指が接触する操作面を有する操作ボタンと」を備えるのに対し、引用発明は、そのような特定はされていない点で両者は相違する。
2.生体情報センサについて
引用発明は、「最初に、指紋情報入力部1に指紋画像を入力し、入力された指紋情報は、画像2値化部1aにおいて2値化」される。この「指紋画像入力部1」は、指紋画像を入力して指紋情報を得るのであるから、本願発明の「ユーザの指の生体情報を読み取る生体情報センサ」に相当するものである。
よって、本願発明と引用発明は、「ユーザの指の生体情報を読み取る生体情報センサ」を備える点で共通する。
しかしながら、「生体情報センサ」が、本願発明では、「前記操作ボタンに配置され、前記操作面に接触するユーザの操作指の生体情報を読み取る」ものであるのに対し、引用発明は、そのようなものではない点で両者は相違する。
3.判定部について
引用発明では、「指紋情報入力部1に指紋画像を入力し、入力された指紋情報は、・・・2値化され、・・・指紋認証に適した画像かどうかを判定」される。
「指紋認証に適していると判定した場合は、指紋認証機能部により所定の照合処理に移行」する。
「指紋認証に適さないと判定した場合は、・・・指が細い(指紋の面積が小さい)かの判定、・・・燥指紋かの判定、・・・湿潤指紋かの判定、・・・の順に判定し、湿潤指紋ではない場合は指が荒れていると判定し、この判定要素に合致するとそれを指紋認証に適さないと判定した理由とし出力手段(表示装置)に出力し、利用者に知らせて再度、指紋情報入力部1からの指紋の入力を待つ」。
すなわち、引用発明は、指紋情報入力部1に入力された指紋情報が、指紋認証に適さないと判定した場合は、その理由を表示装置に出力し、指紋の照合処理に移行せずに最初の指紋入力に戻り、指紋認証に適していると判定した場合は、指紋認証機能部により所定の照合処理に移行するものであり、引用発明におけるこれらの判定に関する動作は、本願発明の「判定部」の動作の一部である「前記生体情報センサが読み取った読取画像が生体認証に適さないと判定した場合、生体認証を行わずに、前記読取画像が生体認証に適さないことを報知装置に報知させる報知信号を出力し、また前記読取画像が生体認証に適していると判定した場合、生体認証を行う」ことに相当する。
よって、本願発明と引用発明は、「前記生体情報センサが読み取った読取画像が生体認証に適さないと判定した場合、生体認証を行わずに、前記読取画像が生体認証に適さないことを報知装置に報知させる報知信号を出力し、また前記読取画像が生体認証に適していると判定した場合、生体認証を行う、判定部」を備える点で共通するといえる。
しかしながら、「判定部」は、本願発明では、「前記生体情報センサが読み取った読取画像」が「前記ユーザによる前記操作ボタンの操作に伴って」読み取ったものであり、「生体認証の成立に基づいて前記車両の駆動装置の始動を指示する指示信号を出力する」ものであるのに対し、引用発明は、そのようなものではない点で両者は相違する。
4.生体情報認証装置について
引用発明は、「指紋認証機能部により所定の照合処理」を行う「指紋照合システム」であり、指紋は生体情報であるから、本願発明の「生体情報認証装置」に相当する。
よって、本願発明と引用発明は、「生体情報認証装置」である点で一致する。
5.一致点、相違点
以上をまとめると、本願発明と引用発明との間には次の一致点、相違点があるといえる。
[一致点]
ユーザの指の生体情報を読み取る生体情報センサと、
前記生体情報センサが読み取った読取画像が生体認証に適さないと判定した場合、生体認証を行わずに、前記読取画像が生体認証に適さないことを報知装置に報知させる報知信号を出力し、また前記読取画像が生体認証に適していると判定した場合、生体認証を行う、判定部と、
を備えた生体情報認証装置。
[相違点]
本願発明は、
「車両に配置された本体と、前記本体に配置され、操作の際に操作指が接触する操作面を有する操作ボタンと」を備え、
「生体情報センサ」は、「前記操作ボタンに配置され、前記操作面に接触するユーザの操作指の生体情報を読み取る」ものであり、
「判定部」は、「前記生体情報センサが読み取った読取画像」が「前記ユーザによる前記操作ボタンの操作に伴って」読み取ったものであって、「生体認証の成立に基づいて前記車両の駆動装置の始動を指示する指示信号を出力する」ものであるのに対し、引用発明はそうではない点。
第6 当審の判断
引用発明は、精度の高い指紋照合システムを実現するもの(引用文献1の段落【0012】)であるが、その用途については、特定されておらず、引用文献1にも記載されていない。
しかしながら、指紋照合システムは、そもそも、指紋照合により個人を特定し、特定した個人に応じた処理を実行する用途に用いるためのシステムであり、その用途については様々なものが知られている。
引用発明は、そのような指紋照合を行う様々な用途に用いることができる指紋照合システムであると考えられる。
そのような指紋照合(生体認証)システムの用途の1つとして、
「車両に配置された本体と、前記本体に配置され、操作の際に操作指が接触する操作面を有する操作ボタンと、
前記操作ボタンに配置され、前記操作面に接触するユーザの操作指の生体情報を読み取る生体情報センサと、を備え、
前記ユーザによる前記操作ボタンの操作に伴って前記生体情報センサが読み取った読取画像により生体認証を行い、この生体認証の成立に基づいて前記車両の駆動装置の始動を指示する指示信号を出力する装置」
は、当業者によく知られた周知のもの(例えば、上記引用文献3が参照される。引用文献3は、本願明細書の【0002】-【0004】に背景技術あるいは従来の技術として記載されている特許文献1である。)であるから、指紋照合を行う様々な用途に用いることができると考えられる引用発明の用途として、上記周知の用途である、生体認証により車両の駆動装置の始動を指示する装置を採用する動機はあるといえ、また、それを妨げる要因は見当たらない。
したがって、引用発明において、上記周知の用途を採用して、「車両に配置された本体と、前記本体に配置され、操作の際に操作指が接触する操作面を有する操作ボタンと」を備え、「生体情報センサ」は、「前記操作ボタンに配置され、前記操作面に接触するユーザの操作指の生体情報を読み取る」ものであり、「判定部」は、「前記生体情報センサが読み取った読取画像」が「前記ユーザによる前記操作ボタンの操作に伴って」読み取ったものであって、「生体認証の成立に基づいて前記車両の駆動装置の始動を指示する指示信号を出力する」ものであるようにすることは、当業者が容易に想到し得ることである。
よって、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
第7 むすび
以上のとおりであるから、本願の請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、その他の請求項について論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2023-000300