特許拒絶査定不服審判
2022-018500
指紋走査方法及び移動端末
- 審判番号
- 2022-018500
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-551509外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年11月17日
- 審決日
- 2024年04月12日
- 公報発行日
- 2024年10月25日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】維沃移動通信有限公司
- 【請求人代理人】あいわ弁理士法人
- 分類
- P18 .121-WZ (G06T)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2020-551509「指紋走査方法及び移動端末」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年10月 3日国際公開、WO2019/184973、令和 3年 7月 8日国内公表、特表2021-516826〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2019年(平成31)年3月28日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2018年3月30日、中国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は次のとおりである。
令和2年10月13日 :手続補正書の提出
令和3年12月 2日付け:拒絶理由通知書
令和4年 3月 7日 :意見書、手続補正書の提出
同年 7月11日付け:拒絶査定
同年11月17日 :審判請求書の提出
令和5年 2月24日付け:拒絶理由通知書
同年 5月25日 :意見書の提出
同年 9月 8日付け:拒絶理由通知書
同年12月12日 :意見書の提出
第2 本願発明について
本願の請求項1~14に係る発明は、令和4年3月7日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~14に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
〔本願発明〕
第1指紋走査モジュール及び第2指紋走査モジュールを含む移動端末に応用される指紋走査方法において、
前記第1指紋走査モジュールの走査領域に対して行われた操作を傍受することと、
所定の指紋応用シーンに進入することを指示する操作を前記第1指紋走査モジュールの走査領域上に傍受した場合、動作モードに進入するように前記第2指紋走査モジュールに指示するためのウェイクアップ命令を前記第2指紋走査モジュールに送信することとを含み、
ここで、前記第1指紋走査モジュールの走査領域は、前記第2指紋走査モジュールの走査領域よりも大きく、前記第2指紋走査モジュールの解像度は、前記第1指紋走査モジュールの解像度よりも大きい、指紋走査方法。
第3 当審拒絶理由通知の拒絶の理由の概要
本願発明に対して令和5年9月8日付けで通知した拒絶の理由は、概略、次のとおりである。
本願発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された技術に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献1.中国特許出願公開第106845340号明細書
引用文献2.米国特許出願公開第2015/0177884号明細書
第4 引用発明、文献2技術
1 引用文献1
(1)記載事項
引用文献1には次の記載がある。
なお、各記載の末尾に仮訳を付した。また、下線は、説明のために当審において付したものである。
「
[図:0001414562000001.jpg]
」
(仮訳:[0030] 本発明の第1実施形態は、図1に示すように第1の指紋認識サブアレイ101と第2の指紋認識サブアレイ102とドライバモジュール103とからなる指紋認識アレイに関するものである。
[0031] 第1の指紋認識サブアレイ101は、RFトランシーバユニットを第1の密度で配置し、第2の指紋認識サブアレイ102は、RFトランシーバユニットを第2の密度で配置し、ドライバモジュール103は、RFトランシーバユニットに電気的に接続し、ドライバモジュール103は、第1の指紋認識サブアレイ101のRFトランシーバユニット及び/又は第2の指紋認識サブアレイ102のRFトランシーバユニットを起動するために用いられ、第1の密度は第2の密度より大きい。
[0032] 具体的には、本実施形態における指紋認識アレイは超音波指紋認識アレイであってもよく、RFトランシーバユニットは超音波の送受信により指紋画像を識別する。ドライバモジュール103は、第1指紋認識サブアレイ101のRFトランシーバユニット又は第2指紋認識サブアレイ102のRFトランシーバユニットを個別に起動することができ、又は、第1指紋認識サブアレイ101のRFトランシーバユニット及び第2指紋認識サブアレイ102のRFトランシーバユニットを両方とも起動することも可能である。第1指紋認識サブアレイ101のRFトランシーバユニットの密度は、第2指紋認識サブアレイ102のRFトランシーバユニットの密度より大きいので、第1の指紋認識サブアレイ101が起動したときに得られる指紋画像の精度も、第2の指紋認識サブアレイ102が起動したときに得られる指紋画像の精度より大きくなる。)
「
[図:0001414562000002.jpg]
」
(仮訳:[0035] 本発明の第2実施形態は、指紋認識アレイに関するものである。第2実施形態は、第1の実施形態を改良したもので、本実施形態では、図2に示すように2つの指紋認識サブアレイのそれぞれに対して別々のドライバユニットを構成することが可能である。)
「
[図:0001414562000003.jpg]
」
(仮訳:[0040] 第2指紋認識サブアレイ102は、第1指紋認識サブアレイ101を全面的に囲む場合と部分的に囲む場合があり、図3に示すように第2指紋認識サブアレイ102が第1指紋認識サブアレイ101を全面的に囲み、図4に示すように第1指紋認識サブアレイ101の3辺のみを囲むことができる。)
「
[図:0001414562000004.jpg]
」
(仮訳:[0043] 本発明の第3実施形態は、ユーザ装置に関するものであり、本実施形態におけるユーザ装置は、携帯電話、コンピュータ、タブレット等の端末装置とすることができ、ユーザ装置は図5に示すようにディスプレイ501、プロセッサ502、第1又は第2実施形態における指紋認識アレイから構成される。
[0044] 具体的には、第1指紋認識サブアレイ101はディスプレイ501の第1領域に対応し、第2指紋認識サブアレイ102はディスプレイ501の第2領域に対応する。プロセッサ502はディスプレイ501、ドライバモジュール103にそれぞれ電気的に接続され、プロセッサ502は操作に対応するトリガーレベルに応じてドライバモジュール103を介して第1指紋認識サブアレイ101、第2指紋認識サブアレイ102、又は、第1指紋認識サブアレイ101及び第2指紋認識サブアレイ102の両方を起動させる。
[0045] 携帯電話を例にとると、携帯電話ディスプレイ501の第1領域の下に統合された第1指紋認識サブアレイ101と、携帯電話ディスプレイ501の第2領域の下に統合された第2指紋認識サブアレイ102があり、ユーザは携帯電話の様々な操作に対応するトリガーレベルを設定することができる。例えば、トリガーレベルは3段階あり、携帯電話決済は第1レベル、携帯電話通話は第2レベル、日記閲覧は第3レベルである。ユーザが決済機能を起動すると、プロセッサ502は、決済機能に対応する第1レベルに従い、ドライバモジュール103を介して第1指紋認識サブアレイ101を起動し、ユーザの第1指紋画像情報を取得して認識を行い、認識が成功した後に決済機能の実行を開始する。ユーザが通話機能を起動すると、プロセッサ502は、通話機能に対応する第2レベルに従い、ドライバモジュール103を介して第2指紋認識サブアレイ102を起動し、ユーザの第2指紋画像情報を取得して認識を行い、認識が成功した後に通話機能の実行を開始する。ユーザが日記を閲覧する必要がある場合、プロセッサは日記閲覧に対応する第3レベルに従い、ドライバモジュール103を介して第1指紋認識サブアレイ101及び第2指紋認識サブアレイ102を起動し、ユーザの第1指紋情報及び第2指紋画像情報をそれぞれ取得して認識を行い、認識が成功した後に日記内容を表示させる。)
「
[図:0001414562000005.jpg]
」
「
[図:0001414562000006.jpg]
」
(2)引用発明
上記(1)から、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。
なお、各構成の末尾括弧内に、対応する記載箇所を付した。
〔引用発明〕
携帯電話ディスプレイ501の第1領域の下に統合された第1指紋認識サブアレイ101と、携帯電話ディスプレイ501の第2領域の下に統合された第2指紋認識サブアレイ102があり、ユーザは携帯電話の様々な操作に対応するトリガーレベルを設定することができ、([0045])
第1の指紋認識サブアレイ101は、RFトランシーバユニットを第1の密度で配置し、第2の指紋認識サブアレイ102は、RFトランシーバユニットを第2の密度で配置し、第1の密度は第2の密度より大きいので、第1の指紋認識サブアレイ101が起動したときに得られる指紋画像の精度も、第2の指紋認識サブアレイ102が起動したときに得られる指紋画像の精度より大きくなり、([0031]、[0032])
第2指紋認識サブアレイ102は、第1指紋認識サブアレイ101を囲むものであり、([0040]、図3、4)
ユーザが決済機能を起動すると、プロセッサ502は、決済機能に対応する第1レベルに従い、ドライバモジュール103を介して第1指紋認識サブアレイ101を起動し、ユーザの第1指紋画像情報を取得して認識を行い、認識が成功した後に決済機能の実行を開始する([0045])
方法。
2 引用文献2
(1)記載事項
引用文献2には次の記載がある。
なお、各記載の末尾に仮訳を付した。また、下線は、説明のために当審において付したものである。
「[0063] FIG. 5C is a diagram illustrating an electrode arrangement in which an entire region of a touch sensor may be used as a touch region for fingerprint sensing and a fingers and/or pen touch according to an embodiment of the present disclosure.
[0064] Referring to FIG. 5C, electrodes 581 and 583 may be disposed in an entire region of the touch sensor and may be disposed to have a density identical with the density of the pixel. The controller 100 of FIG. 1 may perform drive and sense operations of all electrodes disposed in the entire region of the touch sensor. Unlike FIG. 5A, the controller 100 may arbitrarily determine a location of fingerprint sensing, and, accordingly, the fingerprint sensing may be able to be performed in an arbitrary location on an entire screen. That is, in FIG. 5C, the sensor electrode for the fingerprint sensing in the screen may be identically disposed as shown in FIG. 5A, and the controller 100 may connect the routing to drive and sense the entire region of the touch sensor. As shown in FIG. 5C, the fingerprint sensing may be able to be performed in any location (e.g., 572, 574, 576, or the like).
[0065] Sometimes the fingerprint sensing may be used only when an electronic device is initially started, or a security authentication is required. Therefore, the controller 100 may sense an event that requires fingerprint sensing and an event that does not require the fingerprint sensing. Therefore, when the fingerprint sensing is performed, the fingerprint is sensed by driving and sensing all of the electrodes of the touch sensor. In addition, in a section that does not require the fingerprint sensing, drive and sense operations may be performed by binding multiple electrode lines in a location in which a touch of a large scale object (finger and/or pen) is sensed like the drive and sense operations of FIGS. 5A and 5B.」
(仮訳:[0063] 図5Cは、本開示の実施形態による、タッチセンサの全領域が指紋検知および指及び/又はペンのタッチのためのタッチ領域として使用され得る電極配置を示す図である。
[0064] 図5Cを参照すると、電極581および583は、タッチセンサの全領域に配置されてよく、画素の密度と同一の密度を有するように配置されてよい。図1のコントローラ100は、タッチセンサの全領域に配置された全ての電極の駆動及びセンス動作を実行してもよい。図5Aとは異なり、コントローラ100は、指紋検知の位置を任意に決定することができ、それに応じて、指紋検知を画面全体の任意の位置で実行することができる場合がある。すなわち、図5Cにおいて、スクリーン内の指紋検知用のセンサ電極は、図5Aに示すように同一に配置されてもよく、コントローラ100は、タッチセンサの全領域を駆動して検知するように配線を接続してもよい。図5Cに示すように、指紋検知は、任意の位置(例えば、572、574、576など)で実行できる場合がある。
[0065] 電子デバイスが最初に起動されるとき、またはセキュリティ認証が必要とされるときにのみ、指紋検知が使用される場合がある。そのため、コントローラ100は、指紋検知を必要とするイベントと指紋検知を必要としないイベントを感知する場合がある。そのため、指紋検知を行う場合には、タッチセンサの全ての電極を駆動して検知ることで指紋を検知する。また、指紋検知を必要としない区間では、図5A、図5Bの駆動、検知動作のように、大型の物体(指やペン)のタッチを検知する位置に複数の電極ラインを束ねて駆動、検知動作を行ってもよい。)
「
[図:0001414562000007.jpg]
」
(2)文献2技術
上記(1)から、引用文献2には、次の技術(以下、「文献2技術」という。)が記載されているといえる。
なお、各構成の末尾括弧内に、対応する記載箇所を付した。
〔文献2技術〕
タッチセンサの全領域が指紋検知および指及び/又はペンのタッチのためのタッチ領域として使用され、([0063])
電子デバイスが最初に起動されるとき、またはセキュリティ認証が必要とされるときにのみ、指紋検知が使用される([0065])
技術。
第5 対比
本願発明と引用発明を対比する。
引用発明の「第1の指紋認識サブアレイ101」及び「第2の指紋認識サブアレイ102」は、「第1の指紋認識サブアレイ101は、RFトランシーバユニットを第1の密度で配置し、第2の指紋認識サブアレイ102は、RFトランシーバユニットを第2の密度で配置し、第1の密度は第2の密度より大きいので、第1の指紋認識サブアレイ101が起動したときに得られる指紋画像の精度も、第2の指紋認識サブアレイ102が起動したときに得られる指紋画像の精度より大きくなり」というものであり、かつ、「第2指紋認識サブアレイ102は、第1指紋認識サブアレイ101を囲むもの」であるから、本願発明の「前記第1指紋走査モジュールの走査領域は、前記第2指紋走査モジュールの走査領域よりも大きく、前記第2指紋走査モジュールの解像度は、前記第1指紋走査モジュールの解像度よりも大きい」との関係にある「第2指紋走査モジュール」及び「第1指紋走査モジュール」にそれぞれ相当する。
引用発明の「方法」は、「携帯電話ディスプレイ501の第1領域の下に統合された第1指紋認識サブアレイ101と、携帯電話ディスプレイ501の第2領域の下に統合された第2指紋認識サブアレイ102があり」、「ユーザが決済機能を起動すると、ドライバモジュール103を介して第1指紋認識サブアレイ101を起動し、ユーザの第1指紋画像情報を取得して認識を行」うから、本願発明の「第1指紋走査モジュール及び第2指紋走査モジュールを含む移動端末に応用される指紋走査方法」に相当する。
引用発明の携帯電話が、ユーザによる「決済機能」の起動を受け付ける入力手段を有することは、明白であり、当該入力手段は、ユーザによる操作を傍受するものといえる。
そして、引用発明は、「ユーザが決済機能を起動すると、プロセッサ502は、ドライバモジュール103を介して第1指紋認識サブアレイ101を起動」するから、「行われた操作を傍受することと、」「所定の指紋応用シーンに進入することを指示する操作を」「傍受した場合、動作モードに進入するように前記第2指紋走査モジュールに指示するためのウェイクアップ命令を前記第2指紋走査モジュールに送信することを含」む点で、本願発明と共通する。
しかしながら、上記操作を傍受する位置が、本願発明では「前記第1指紋走査モジュールの走査領域上」であるのに対し、引用発明では特定されていない点で、両者は相違する。
以上から、本願発明と引用発明の一致点及び相違点は、次のとおりである。
〔一致点〕
第1指紋走査モジュール及び第2指紋走査モジュールを含む移動端末に応用される指紋走査方法において、
行われた操作を傍受することと、
所定の指紋応用シーンに進入することを指示する操作を傍受した場合、動作モードに進入するように前記第2指紋走査モジュールに指示するためのウェイクアップ命令を前記第2指紋走査モジュールに送信することとを含み、
ここで、前記第1指紋走査モジュールの走査領域は、前記第2指紋走査モジュールの走査領域よりも大きく、前記第2指紋走査モジュールの解像度は、前記第1指紋走査モジュールの解像度よりも大きい、指紋走査方法。
〔相違点〕
上記操作を傍受する位置が、本願発明では「前記第1指紋走査モジュールの走査領域上」であるのに対し、引用発明では特定されていない点。
第6 判断
上記相違点について検討する。
引用発明と文献2技術は、必要な場合に指紋認識機能を起動、実行する構成を備える電子デバイスに係る技術である点で共通するものであり、また、引用発明の携帯電話ディスプレイ501においても、各種機能の起動を受け付けるためのタッチ入力手段を備えていることは自明であるから、引用発明における第1指紋認識サブアレイ101(第2指紋走査モジュール)の第1領域及び第2指紋認識サブアレイ102(第1指紋走査モジュール)の第2領域を、指及び/又はペンのタッチのためのタッチ領域としても構成することは、文献2技術に基づいて当業者が容易に想到しうることである。
ここで、携帯電話において、各種機能を起動するための指及び/又はペンのタッチ操作を操作ディスプレイの任意に設定された各領域(例えば操作ディスプレイ上のアイコン等の表示領域)で傍受することは、周知かつ慣用の技術であるから、引用発明の携帯電話における第1指紋認識サブアレイ101(第2指紋走査モジュール)が起動される決済機能を起動するタッチ操作を傍受する位置(例えば操作ディスプレイ上のアイコン等の表示領域の位置)を、携帯電話ディスプレイ501の第2指紋認識サブアレイ102(第1指紋走査モジュール)に対応する広範囲(図3、4参照。)の第2領域上、すなわち、本願発明の「前記第1指紋走査モジュールの走査領域上」に相当する位置に配置することは、当業者が上記文献2技術を適用する際に適宜設計するレイアウトにすぎない。
そして、これらの相違点を総合的に勘案しても、本願発明の奏する作用効果は、引用発明及び文献2技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
以上から、本願発明は、引用発明及び文献2技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
第7 請求人の意見について
請求人は令和5年12月12日付け意見書において
「 審判合議体は拒絶理由通知において、「携帯電話において、各種機能を起動するための指及び/又はペンのタッチ操作をディスプレイの任意に設定された各領域で傍受することは、周知慣用の技術である」とされておられます。しかしながら、携帯電話における、指及び/又はペンのタッチ操作については、あくまで、全画面でのタッチ認識アレイにおけるものにすぎません。全画面のタッチ認識アレイにおいては、タッチ操作による圧力信号や電気信号の変化を認識するだけでよく、受信モジュールだけが必要とされます。これに対して、本願発明は、「第1指紋走査モジュールの走査領域に対して行われた操作を傍受」しているため、「指紋認識アレイ」の技術が用いられており、「指紋認識アレイ」においては、送信モジュールと受信モジュールの両方が必要となります。具体的には、送信モジュールが音光電信号を送信して、その信号が指に反射された後、受信モジュールにより受信と分析を行って、指紋認識を実現しております。そのため、仮に「全画面のタッチ認識アレイ」の技術が周知慣用であったとしても、「第1指紋走査モジュールの走査領域に対して行われた操作を傍受」して、「ウェイクアップ命令を前記第2指紋走査モジュールに送信する」ことについては、いかに当業者といえども容易になし得るものではありません。」
と主張している。
しかしながら、上記第6で当業者が容易に想到しうるものと説示された、引用発明における第1指紋認識サブアレイ101(第2指紋走査モジュール)の第1領域及び第2指紋認識サブアレイ102(第1指紋走査モジュール)の第2領域を、文献2技術のように指及び/又はペンのタッチのためのタッチ領域としても構成したものにおいて、タッチ領域のうち第2指紋認識サブアレイ102(第1指紋走査モジュール)も存在する領域は、第2指紋認識サブアレイ102(第1指紋走査モジュール)自体の領域(第2領域)と同じであるから、同領域において傍受する指及び/又はペンのタッチ操作は、「第1指紋走査モジュールの走査領域に対して行われた操作」といえる。
そして、上記第6で当業者が上記文献2技術を適用する際に適宜設計するレイアウトにすぎないものと説示された、引用発明の携帯電話における第1指紋認識サブアレイ101(第2指紋走査モジュール)が起動される決済機能を起動するタッチ操作を傍受する位置(例えば操作ディスプレイ上のアイコン等の表示領域の位置)を、携帯電話ディスプレイ501の第2指紋認識サブアレイ102(第1指紋走査モジュール)に対応する広範囲(図3、4参照。)の第2領域(前記第1指紋走査モジュールの走査領域)上としたものは、「第1指紋走査モジュールの走査領域」に対して行われた操作を傍受してウェイクアップ命令を前記第2指紋走査モジュールに送信するものといえる。
また、請求人は同意見書において
「 また、引用文献1の段落0045,0046には、「ユーザが決済機能を起動させると、プロセッサ502は、・・・駆動モジュール103によって第1指紋認識サブアレイ101を起動させ、・・・ユーザが通話機能を起動させると、プロセッサ502は、・・・、駆動モジュール103によって第2指紋認識サブアレイ102を起動させ」「本実施例では、プロセッサにより、操作に対応したトリガーレベルに基づいて、駆動モジュールによって第1指紋認識サブアレイ101及び/又は第2指紋認識サブアレイ102を起動させる・・・」と記載されております。これらの記載から、携帯は、ユーザに起動される機能がどのトリガーレベルであるかを特定した場合にのみ、さらに第1指紋認識サブアレイ101を起動させるか、第2指紋認識サブアレイ102を起動させるか、それとも両者を起動させるかを決定しております。すなわち、具体的にどの指紋認識サブアレイを起動させるのかが、起動しようとする機能に依存しており、そのため、携帯はユーザがいったいどんなアプリケーションの機能を起動させるかを特定する前に、第1指紋認識サブアレイ101及び第2指紋認識サブアレイ102は共に起動されておらず、また共に対応した領域における操作を傍受することもできません。」
と主張している。
しかしながら、先に説示したとおり、上記第6で当業者が容易に想到しうるものと判断されたものは、第1指紋認識サブアレイ101(第2指紋走査モジュール)の第1領域及び第2指紋認識サブアレイ102(第1指紋走査モジュール)の第2領域が、指及び/又はペンのタッチのためのタッチ領域としても構成されるものであり、第1指紋認識サブアレイ101(第2指紋走査モジュール)が起動される決済機能を起動する前に、第1指紋走査モジュールの走査領域(タッチ領域のうち第2指紋認識サブアレイ102(第1指紋走査モジュール)も存在する領域)において指及び/又はペンのタッチ操作を傍受することができるものである。
また、請求人は同意見書において
「 次に、引用文献2には、段落0063,0065に、「Sometimes the fingerprint sensing may be used only when an electronic device is initially started, or a security authentication is required.」「FIG. 5C is a diagram illustrating an electrode arrangement in which an entire region of a touch sensor may be used as a touch region for fingerprint sensing」と記載されております。これらの記載から、引用文献2においては、機器を立ち上げたり、セキュリティ認証を行ったりするときだけ、指紋センシングを使用し、タッチセンサーの全領域を指紋認識領域として使用しております。
そのため、これらの引用文献2の技術を引用文献1に適用すると、携帯電話機器を立ち上げるとき、またはセキュリティ認証を行うときのみ指紋検出を使用でき、そのとき起動されるのは、全領域、すなわち第1指紋認識サブアレイと第2指紋認識サブアレイの両方となります。この場合、全てのタッチ領域を指紋走査領域として使用することになり、異なる認識精度を持つ領域を区別しなくなるため、指紋認識方式の柔軟性と速度を失うこととなります。また、指紋検出が使用できるのが、機器の立ち上げ又はセキュリティ認証を行うときのみとされ、起動しようとする具体的なアプリケーションの機能において指紋認識を利用することはできません。そのため、引用文献1の段落0046に記載されている、「従来技術の単一の指紋認識方式に比べて、より柔軟であり、指紋認識の速度を両立させながら、ユーザの指紋認識の異なるニーズを満たすことができる。」ものにそぐわないものとなります。」
と主張している。
しかしながら、上記第6で説示したものは、指紋検知を行う領域がタッチ領域としても使用される文献2技術を引用発明(第1指紋認識サブアレイ101、第2指紋認識サブアレイ102の各々について、携帯電話の様々な操作に対応するトリガーレベルを設定するもの)に適用したものであって、当該適用時に、第1指紋認識サブアレイ101及び第2指紋認識サブアレイ102の指紋認識の両方が起動されると解すべき理由はない。
以上から、請求人による上記意見は採用することができない。
第8 むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された技術に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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