特許異議申立
2022-701231
遊技機
- 審判番号
- 2022-701231
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2018-098155外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 登録番号
- 7101042
- 請求日
- 2022年12月12日
- 審決日
- 2023年09月12日
- 公報発行日
- 2023年12月28日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】株式会社三共
- 【権利者代理人】弁理士法人深見特許事務所
- 【異議申立人】日本電動式遊技機特許 株式会社
- 【異議申立人代理人】弁理士法人平木国際特許事務所
- 分類
- P1651.113-YAA(A63F) / P1651.121-YAA(A63F) / P1651.55 -YAA(A63F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第3項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7101042号発明「遊技機」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7101042号の明細書、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。
特許第7101042号の請求項1に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7101042号の請求項1に係る特許(以下「本件特許」という。)についての出願は、平成30年5月22日に特許出願されたものであって、その後の手続の概要は、以下のとおりである。
令和4年 7月 6日:特許権の設定登録
同年 7月14日:特許掲載公報発行
同年12月12日:特許異議の申立て(特許異議申立人日本電動式遊
技機特許株式会社(以下「申立人」という。))
令和5年 3月15日付け:取消理由通知書
同年 5月18日:意見書、訂正請求書
なお、当審より、申立人に対して、令和5年5月30日付けで期間を指定して、同年5月18日に提出された訂正請求書による訂正の請求に対する意見を提出する機会を与えたところ、申立人からは何らの応答もなかった。
第2 本件訂正請求について
令和5年5月18日に提出された訂正請求書による訂正の請求(以下、「本件訂正請求」といい、本件訂正請求による訂正を「本件訂正」という。)は、本件特許の明細書、特許請求の範囲について、以下のとおり訂正することを求めるものである。
1 訂正請求の内容
本件訂正は、本件特許の明細書、特許請求の範囲を本件訂正請求書に添付した訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正する以下のとおりのものである。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1において、
「…報知演出手段と、」と「前記有利量が付与されるか否かに関わらず、…」との間に、
「前記決定手段によって決定された前記有利量の中から前記報知演出によって報知される前記有利量を決定する報知有利量決定手段と、
前記報知有利量決定手段によって決定された前記有利量に基づき、前記報知演出手段によって実行される前記報知演出のゲーム数を決定する報知演出ゲーム数決定手段と、」を加える。
なお、下線は、訂正箇所を示すために、“…”は、記載を省略した箇所を示すために合議体が付した。以下同様。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項1において、
「…示唆演出手段と、」と「を備え、」との間に、
「前記報知有利量決定手段によって決定された前記有利量に基づき、前記示唆演出手段によって実行される前記示唆演出のゲーム数を抽選によって決定する示唆演出ゲーム数決定手段と、
前記示唆演出が終了する遊技において、前記報知演出へと演出が発展することを示唆するとともに前記報知演出が終了するタイミングを示唆する発展演出を実行する発展演出実行手段と、」を加える。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項1において、
「前記報知演出によって報知される前記有利量が多ければ多いほど、抽選によって決定される前記示唆演出が実行されるゲーム数の平均値が大きく、」と記載されているのを、
「前記報知演出によって報知される前記有利量が多ければ多いほど、前記抽選によって決定される前記示唆演出が実行されるゲーム数が多くなり易いように抽選確率が設定されており、」に訂正する。
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項1において、
「前記有利量が付与されるときは、前記有利量が付与されないときよりも、前記抽選によって決定される前記示唆演出が実行されるゲーム数の平均値が大きく、」と記載されているのを、
「前記有利量が付与されるときは、前記有利量が付与されないときよりも、前記抽選によって決定される前記示唆演出が実行されるゲーム数が多くなり易いように前記抽選確率が設定されており、」に訂正する。
(5)訂正事項5
願書に添付した明細書の段落【0007】において、
「(1) 遊技を行う遊技機(たとえば、スロットマシン1)において、
通常状態(非AT)よりも有利な有利状態(たとえば、AT)に状態を制御する有利状態制御手段(たとえば、メイン制御部41によるATに制御する処理)と、
前記有利状態への制御期間(たとえば、ATゲーム数)を増加させる有利量(たとえば、上乗せゲーム数)を決定する決定手段(たとえば、図2(a)に示すメイン制御部41による上乗せゲーム数を決定する処理)と、
前記決定手段によって決定された前記有利量を報知可能な報知演出を実行する報知演出手段(たとえば、図9、図10、図15、および図16に示すサブ制御部91による報知演出を実行する処理)と、
前記有利量が付与されるか否かに関わらず、前記報知演出の実行に先立って、前記有利量の付与を示唆する示唆演出を実行する示唆演出手段(たとえば、図5~図8、および図11~図14に示すサブ制御部91による示唆演出を実行する処理)と、を備え、
前記報知演出によって報知される前記有利量が多ければ多いほど、抽選によって決定される前記示唆演出が実行されるゲーム数の平均値が大きく(たとえば、図2(c)に示すように、報知上乗せゲーム数が多ければ多いほど示唆演出のゲーム数が多くなる)、
前記有利量が付与されるときには、前記有利量が付与されないときよりも、前記抽選によって決定される前記示唆演出が実行されるゲーム数の平均値が大きく(たとえば、図2(b),(c)に示すように、上乗せゲーム数が10G以上(報知上乗せゲーム数が10G以上)であるときには、上乗せゲーム数が0G(報知上乗せゲーム数が0G)であるときよりも、示唆演出のゲーム数が多くなる)、
前記示唆演出が実行されるゲーム数には、前記抽選において前記有利量の付与が確定するゲーム数がある。」と記載されているのを、
「(1) 遊技を行う遊技機(たとえば、スロットマシン1)において、
通常状態(非AT)よりも有利な有利状態(たとえば、AT)に状態を制御する有利状態制御手段(たとえば、メイン制御部41によるATに制御する処理)と、
前記有利状態への制御期間(たとえば、ATゲーム数)を増加させる有利量(たとえば、上乗せゲーム数)を決定する決定手段(たとえば、図2(a)に示すメイン制御部41による上乗せゲーム数を決定する処理)と、
前記決定手段によって決定された前記有利量を報知可能な報知演出を実行する報知演出手段(たとえば、図9、図10、図15、および図16に示すサブ制御部91による報知演出を実行する処理)と、
前記決定手段によって決定された前記有利量の中から前記報知演出によって報知される前記有利量を決定する報知有利量決定手段と、
前記報知有利量決定手段によって決定された前記有利量に基づき、前記報知演出手段によって実行される前記報知演出のゲーム数を決定する報知演出ゲーム数決定手段と、
前記有利量が付与されるか否かに関わらず、前記報知演出の実行に先立って、前記有利量の付与を示唆する示唆演出を実行する示唆演出手段(たとえば、図5~図8、および図11~図14に示すサブ制御部91による示唆演出を実行する処理)と、
前記報知有利量決定手段によって決定された前記有利量に基づき、前記示唆演出手段によって実行される前記示唆演出のゲーム数を抽選によって決定する示唆演出ゲーム数決定手段と、
前記示唆演出が終了する遊技において、前記報知演出へと演出が発展することを示唆するとともに前記報知演出が終了するタイミングを示唆する発展演出を実行する発展演出実行手段と、を備え、
前記報知演出によって報知される前記有利量が多ければ多いほど、前記抽選によって決定される前記示唆演出が実行されるゲーム数が多くなり易いように抽選確率が設定されており(たとえば、図2(c)に示すように、報知上乗せゲーム数が多ければ多いほど示唆演出のゲーム数が多くなる)、
前記有利量が付与されるときは、前記有利量が付与されないときよりも、前記抽選によって決定される前記示唆演出が実行されるゲーム数が多くなり易いように前記抽選確率が設定されており(たとえば、図2(b),(c)に示すように、上乗せゲーム数が10G以上(報知上乗せゲーム数が10G以上)であるときには、上乗せゲーム数が0G(報知上乗せゲーム数が0G)であるときよりも、示唆演出のゲーム数が多くなる)、
前記示唆演出が実行されるゲーム数には、前記抽選において前記有利量の付与が確定するゲーム数がある。」に訂正する。
2 訂正の適否
訂正事項1~5に係る訂正の適否について、以下に検討する。
(1)訂正事項1
ア 訂正事項1は、訂正前の請求項1に記載の「遊技機」が、「前記決定手段によって決定された前記有利量の中から前記報知演出によって報知される前記有利量を決定する報知有利量決定手段」及び「前記報知有利量決定手段によって決定された前記有利量に基づき、前記報知演出手段によって実行される前記報知演出のゲーム数を決定する報知演出ゲーム数決定手段」を更に備えることを特定するものであるから、訂正事項1に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
イ 上記アの理由から明らかなように、訂正事項1に係る訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。
ウ 訂正事項1に係る訂正は、「報知有利量決定手段」につき、願書に添付した明細書(以下「本件特許明細書」といい、特許請求の範囲及び図面と併せて「本件特許明細書等」という。)の段落【0030】、【0031】、【0032】、【0033】及び図2(b)の記載に基づくものといえ、「報知演出ゲーム数決定手段」につき、本件特許明細書の段落【0051】、【0052】、【0100】及び図3(b)の記載に基づくものといえるから、訂正事項1に係る訂正は、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項の関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。
(2)訂正事項2
ア 訂正事項2は、訂正前の請求項1に記載の「遊技機」が、「前記報知有利量決定手段によって決定された前記有利量に基づき、前記示唆演出手段によって実行される前記示唆演出のゲーム数を抽選によって決定する示唆演出ゲーム数決定手段」及び「前記示唆演出が終了する遊技において、前記報知演出へと演出が発展することを示唆するとともに前記報知演出が終了するタイミングを示唆する発展演出を実行する発展演出実行手段」を更に備えることを特定するものであるから、訂正事項2に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
イ 上記アの理由から明らかなように、訂正事項2に係る訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。
ウ 訂正事項2に係る訂正は、「示唆演出ゲーム数決定手段」につき、本件特許明細書の段落【0035】、【0039】、【0040】及び図2(c)の記載に基づくものといえ、「発展演出実行手段」につき、本件特許明細書の段落【0037】、【0056】、【0069】、【0070】、【0072】、【0184】、【0185】、【0202】、図5(d1)及び図5(d2)の記載に基づくものといえるから、訂正事項2に係る訂正は、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項の関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。
(3)訂正事項3
ア 訂正事項3は、訂正前の請求項1に記載の「前記報知演出によって報知される前記有利量が多ければ多いほど、抽選によって決定される前記示唆演出が実行されるゲーム数の平均値が大きく」という記載のうちの「抽選によって決定される前記示唆演出が実行されるゲーム数の平均値が大きく」という記載が、本件特許明細書等に直接の記載がない「平均値」という語句を用いており必ずしも明瞭ではなかったのを、「前記抽選によって決定される前記示唆演出が実行されるゲーム数が多くなり易いように抽選確率が設定されており」と訂正することにより、本件特許明細書等の記載に基づきその内容を明瞭にするものであるから、訂正事項3に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。
イ 上記アの理由から明らかなように、訂正事項3に係る訂正は、明瞭でない記載を釈明するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。
ウ 訂正事項3に係る訂正は、本件特許明細書の段落【0040】、【0043】、【0181】及び図2(c)の記載に基づくものといえるから、訂正事項3に係る訂正は、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項の関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。
(4)訂正事項4
ア 訂正事項4は、訂正前の請求項1に記載の「前記有利量が付与されるときは、前記有利量が付与されないときよりも、前記抽選によって決定される前記示唆演出が実行されるゲーム数の平均値が大きく」という記載のうちの「前記抽選によって決定される前記示唆演出が実行されるゲーム数の平均値が大きく」という記載が、本件特許明細書等に直接の記載がない「平均値」という語句を用いており必ずしも明瞭ではなかったのを、「前記抽選によって決定される前記示唆演出が実行されるゲーム数が多くなり易いように前記抽選確率が設定されており」と訂正することにより、本件特許明細書等の記載に基づきその内容を明瞭にするものであるから、訂正事項4に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。
イ 上記アの理由から明らかなように、訂正事項4に係る訂正は、明瞭でない記載を釈明するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。
ウ 訂正事項4に係る訂正は、本件特許明細書等の段落【0040】、【0044】、【0182】及び図2(c)の記載に基づくものといえるから、訂正事項4に係る訂正は、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項の関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。
(5)訂正事項5
ア 訂正事項5は、本件特許明細書の段落【0007】の記載を、訂正事項1~訂正事項4に係る訂正後の特許請求の範囲の請求項1の記載に整合させるものであるから、訂正事項5に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。
イ 上記アの理由から明らかなように、訂正事項5に係る訂正は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。
ウ 訂正事項5に係る訂正は、上記のとおり、本件特許明細書の段落【0007】の記載を、訂正事項1~訂正事項4に係る訂正後の特許請求の範囲の請求項1の記載に整合させるものであるから、訂正事項1~訂正事項4で検討したとおり、訂正事項5に係る訂正は、本件特許明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。
(6)まとめ
上記(1)~(5)のとおりであるから、訂正事項1~5に係る訂正は、特許請求の範囲の減縮及び明瞭でない記載の釈明を目的とし、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。
3 小括
したがって、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とし、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項1について訂正を認める。
第3 本件発明
上記第2のとおり、訂正後の請求項1について本件訂正が認められるから、請求項1に係る特許は、本件訂正請求により訂正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである(以下、本件特許の請求項1に係る発明を「本件発明」という。)。なお、記号A等は、分説するため合議体が付した。
「【請求項1】
A 遊技を行う遊技機において、
B 通常状態よりも有利な有利状態に状態を制御する有利状態制御手段と、
C 前記有利状態への制御期間を増加させる有利量を決定する決定手段と、
D 前記決定手段によって決定された前記有利量を報知可能な報知演出を実
行する報知演出手段と、
C1 前記決定手段によって決定された前記有利量の中から前記報知演出に
よって報知される前記有利量を決定する報知有利量決定手段と、
C2 前記報知有利量決定手段によって決定された前記有利量に基づき、前
記報知演出手段によって実行される前記報知演出のゲーム数を決定する報
知演出ゲーム数決定手段と、
E 前記有利量が付与されるか否かに関わらず、前記報知演出の実行に先立
って、前記有利量の付与を示唆する示唆演出を実行する示唆演出手段と、
C3 前記報知有利量決定手段によって決定された前記有利量に基づき、前
記示唆演出手段によって実行される前記示唆演出のゲーム数を抽選によっ
て決定する示唆演出ゲーム数決定手段と、
E1 前記示唆演出が終了する遊技において、前記報知演出へと演出が発展
することを示唆するとともに前記報知演出が終了するタイミングを示唆す
る発展演出を実行する発展演出実行手段と、を備え、
F 前記報知演出によって報知される前記有利量が多ければ多いほど、前記
抽選によって決定される前記示唆演出が実行されるゲーム数が多くなり易
いように抽選確率が設定されており、
G 前記有利量が付与されるときは、前記有利量が付与されないときよりも
、前記抽選によって決定される前記示唆演出が実行されるゲーム数が多く
なり易いように前記抽選確率が設定されており、
H 前記示唆演出が実行されるゲーム数には、前記抽選において前記有利量
の付与が確定するゲーム数がある、
I 遊技機。」
第4 令和5年3月15日付け取消理由通知の概要
令和5年3月15日付け取消理由通知書で通知した取消理由は下記のとおりであり、特許異議申立書に記載された特許異議申立理由のとおりである。
1(新規性)本件特許の下記の請求項に係る発明は、本件特許の出願前日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるから、同法第113条第2号に該当し、その発明に係る特許は取り消すべきものである。
2(進歩性)本件特許の下記の請求項に係る発明は、本件特許の出願前日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、同法第113条第2号に該当し、その発明に係る特許は取り消すべきものである。
3(新規事項)令和4年6月15日付け手続補正書でした補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしておらず、本件特許は、同法第113条第1号に該当し、取り消すべきものである。
記
●理由1(新規性)、理由2(進歩性)について
・請求項1
甲第1号証:特開2015-107203号公報(以下「甲1」という。)
●理由3(新規事項)
・請求項1
第5 取消理由について
1 理由1(新規性)、理由2(進歩性)について
(1)甲1について
ア 甲1の記載
甲1には、次の事項が記載されている。
(ア)「【0011】
以下説明する本実施形態のスロットマシンは、所定数の遊技媒体が投入され、且つ、複数種類の図柄がそれぞれ施された複数のリールが所定の回転開始指示操作を受け付けたことで回転を開始するとともに、その回転開始指示操作を受け付けたことに基づいて複数種類の役の内部当選の当否を抽選により判定し、その複数のリールそれぞれが、所定の回転停止指示操作を受け付けることで回転を個別に停止し、その抽選の結果に基づく役およびその複数のリールが停止したときの図柄組み合わせによって決まる条件が所定の払出し条件に、合致していれば遊技媒体を払い出して終了となり、合致していなければ遊技媒体を払い出さずに終了となる一連の遊技を進行する遊技台である。」
(イ)「【0092】
<AT遊技状態>
本実施形態のスロットマシン100の主制御部300は、4つの遊技状態(RT1、RT2、RT3、RT4)を制御している。一方、第1副制御部400では、再遊技役1-2、再遊技役1-3、および小役3aのいずれかに内部当選した場合に、内部当選した役に関する情報を報知する操作順序示唆演出が開始される場合がある。以下、この操作順序示唆演出が実行されている状態をAT(アシストタイム)遊技状態と称する。ここで、このAT遊技状態の詳細について説明する。
・・・
【0097】
本実施形態のスロットマシン100では、第1副制御部400のRAM408に設けられたATフラグがオンに設定されることにより、第1副制御部メイン処理において、AT遊技状態が設定される。このATフラグは、AT権利の抽選(図12のステップS3113)に当選したことに基づいてオンに設定されるとともに、第1副制御部400のRAM408に記憶されているATゲーム数に初期値が設定される。なお、AT遊技状態は、このATゲーム数が残っている限り設定されたAT遊技状態が維持される。すなわち、ATゲーム数とは、ATフラグがオンの状態となる遊技回数を示すものである。ATフラグがオンに設定された状態では1回の遊技毎にATゲーム数から1が減算され、ATゲーム数が0になるとATフラグがオフに設定される。なお、遊技状態が特別遊技状態(RT4)の間は、ATゲーム数は減算されない。また、AT遊技状態が維持されているときに、所定の条件が成立した場合にATゲーム数が加算される(本実施形態では、図12のステップS3105)。
・・・略・・・
【0155】
次に、図13を用いて、図12の内部当選コマンド受付時処理における上乗せゲーム数抽選処理(ステップS3105)の詳細について説明する。同図は、図12に示す上乗せゲーム数抽選処理(ステップS3105)の流れを示すフローチャートである。
【0156】
まず、最初のステップS3201では、上乗せゲーム数の抽選が実行される。図14は、この上乗せゲーム数の抽選テーブルを示す図である。例えば、図14には、小役1に内部当選している場合に、上乗せゲーム数として2%の確率で300が導出されることが示されている。この抽選が終わると、ステップS3203に進む。
【0157】
ステップS3203では、上乗せゲーム数の抽選に当選したか否かが判定される。この条件を満たす場合にはステップS3205に進み、そうでない場合にはステップS3213に進む。
【0158】
ステップS3205では、前兆演出あるいは連動演出が実行中か否かが判定される。この条件を満たす場合にはステップS3207に進み、そうでない場合にはステップS3209に進む。ここで、連動演出とは、ATゲーム数の上乗せがされる(特典が付与される)か否かを報知する演出であり、連続する複数の遊技に亘って遊技間で関連性のある演出である。また、前兆演出とは、この連動演出の前に行われる演出である。従って、前兆演出は、連動演出が行われることを示唆する演出であると言える。
・・・略・・・
【0162】
ステップS3203で、上乗せゲーム数の抽選に当選したと判定されなかった場合に進むステップS3213では、前兆演出を実行するか否かの抽選が行われ、ステップS3215に進む。」
(ウ)「【図20】
[図:0001404786000001.jpg]
」
(エ)「【0204】
まず、最初のステップS3701では、第1の上乗せゲーム数に基づいて前兆ゲーム数の初期値が設定される。図20は、第1の上乗せゲーム数に基づいて設定される前兆ゲーム数の設定確率を示す図である。例えば、第1の上乗せゲーム数が0の場合には、前兆ゲーム数として、20%の確率で3、30%の確率で2、50%の確率で1、が設定されることが示されている。また例えば、第1の上乗せゲーム数が101~300の場合には、前兆ゲーム数として、50%の確率で5、30%の確率で4、10%の確率で3、10%の確率で2、が設定されることが示されている。なお、この設定確率は一例であって、この値に限定されるものではない。この前兆ゲーム数の設定の後、ステップS3703に進む。
・・・略・・・
【0228】
ステップS3807では、連動演出用の演出パターン(以下、連動演出パターン)が設定される。具体的には、第1の上乗せゲーム数に基づいて連動演出パターンを設定する処理が実行される。なお、連動演出パターンは前兆演出パターンに対応づけられていてもよい。ここで設定された連動演出パターンにおいて予め定められた情報セットに従って適宜演出を実行することで、連動演出が実行されることになる。
・・・略・・・
【0231】
図24(b)には、第1の上乗せゲーム数がある場合に選択される連動演出パターンBが示されている。例えば、「連動B1」で示される連動演出パターンが設定された場合、連動ゲーム数に2が設定(ステップS3809)され、剣豪対決(勝ち)の演出が実行される。この連動演出パターンBによる演出内容は、いずれも上乗せゲーム数があることを最後に報知する内容となっている。
・・・略・・・
(オ)「【図24】
[図:0001404786000002.jpg]
」
(カ)「【0253】
さらに続いて、メダル投入コマンドを受信したことにより、「上乗せ報知」の演出データによる演出が実行される。この「上乗せ報知」の演出データでは、第1の上乗せゲーム数を報知する演出が実行される。」
(キ)「【0285】
連動演出実行フラグがオンに設定されていると、遊技毎に連動演出用の演出セットが設定され(図18のステップS3611、図25のステップS3903)、連動ゲーム数が1ずつ減算される(図25のステップS3911)。そして連動ゲーム数が0になると、ATゲーム数に第1の上乗せゲーム数が加算される。この連動演出の最後には、第1の上乗せゲーム数を報知する演出を実行するための演出データが設定されており、ATゲーム数が加算されると供にこの加算が遊技者に報知される(図26(d)のメダル投入コマンド受信時の演出参照)。」
イ 甲1発明
上記アからみて、甲1には、遊技台に関し、次の発明が記載されているものと認められる。なお、記号a等については本件発明の特定事項A等に概ね対応させて付与した。
【甲1発明】
「a 一連の遊技を進行する遊技台であるスロットマシン100(【0011】、【0092】)であって、
b 再遊技役1-2、再遊技役1-3、および小役3aのいずれかに内部当選した場合に、内部当選した役に関する情報を報知する操作順序示唆演出が開始される場合があり、この操作順序示唆演出が実行されている状態であるAT遊技状態を設定する第1副制御部400(【0092】、【0097】)を備え、
c 第1副制御部メイン処理において、
AT遊技状態が維持されているときに、所定の条件が成立した場合にATゲーム数を加算する上乗せゲーム数の抽選を実行する上乗せゲーム数抽選処理を実行し(【0097】、【0155】、【0156】)、
c2 第1の上乗せゲーム数に基づいて連動演出パターンを設定する処理が実行され(【0228】)、例えば、「連動B1」で示される連動演出パターンが設定された場合、連動ゲーム数に2が設定され(【0231】)、
d 第1の上乗せゲーム数を報知する演出を実行し(【0253】)、ATゲーム数を加算すると共にこの加算を遊技者に報知し(【0285】)、
e このATゲーム数の上乗せがされるか否かを報知し、連続する複数の遊技に亘って遊技間で関連性のある演出である連動演出の前に行われ、該連動演出が行われることを示唆する演出である前兆演出を実行するか否かの抽選を行い(【0157】~【0162】)、
f-h 第1の上乗せゲーム数に基づいて設定される前兆ゲーム数の設定確率を示す下記【図20】のとおり、第1の上乗せゲーム数に基づいて前兆ゲーム数を設定する(【0204】)、
i スロットマシン100(【0092】)。
【図20】
[図:0001404786000003.jpg]
」(以下「甲1発明」という。)が記載されている。なお、記号a等については、本件発明の上記A等に概ね対応させて付与した。また、引用箇所の段落番号等を併記した。
(2)対比
本件発明と甲1発明とを対比する。
ア 特定事項A、Iについて
甲1発明の「一連の遊技を進行する遊技台であるスロットマシン100」は、本件発明の「遊技を行う遊技機」に相当する。
そうすると、甲1発明のa、iがそれぞれ本件発明の特定事項A、Iに相当する。
イ 特定事項Bについて
甲1発明の「AT遊技状態」は、本件発明の「通常状態より有利な有利状態」に相当する。
そして、甲1発明の「第1副制御部400」は、AT遊技状態(有利状態)を設定するのであるから、本件発明の「通常状態よりも有利な有利状態に状態を制御する有利状態制御手段」の機能を備える。
そうすると、甲1発明のbは、本件発明の特定事項Bに相当する。
ウ 特定事項Cについて
甲1発明の「ATゲーム数が加算する上乗せゲーム数」は、本件発明の「前記有利状態への制御期間を増加させる有利量」に相当する。
そして、甲1発明における、第1副制御部メイン処理において、AT遊技状態(有利状態)が維持されているときに、所定の条件が成立した場合にATゲーム数が加算する上乗せゲーム数(有利量)の抽選処理が実行されているから、甲1発明の「第1副制御部400」は、本件発明の「前記有利状態への制御期間を増加させる有利量を決定する決定手段」の機能を備える。
そうすると、甲1発明のcは、本件発明の特定事項Cに相当する。
エ 特定事項Dについて
甲1発明の「第1の上乗せゲーム数を報知する演出」は、本件発明の「前記決定手段によって決定された前記有利量を報知可能な報知演出」に相当する。
そして、甲1発明における、第1副制御部メイン処理において、第1の上乗せゲーム数を報知する演出(報知演出)を実行し、ATゲーム数を加算すると共にこの加算を遊技者に報知しているから、甲1発明の「第1副制御部400」は、本件発明の「報知演出を実行する報知演出手段」の機能を備える。
そうすると、甲1発明のdは、本件発明の特定事項Dに相当する。
オ 特定事項Eについて
甲1発明の「第1の上乗せゲーム数を報知する演出」と同様に、甲1発明の「このATゲーム数の上乗せがされるか否かを報知する連動演出」も、本件発明の「報知演出」に相当する。
また、甲1発明の「前兆演出」は、ATゲーム数の上乗せ(有利量が付与)がされるか否かを報知する連動演出(報知演出)の前に行われ、該連動演出(報知演出)が行われることを示唆する演出であるから、本件発明の「前記有利量が付与されるか否かに関わらず、前記報知演出の実行に先立って、前記有利量の付与を示唆する示唆演出」に相当する。
そして、甲1発明における、第1副制御部メイン処理において、前兆演出(示唆演出)を実行するから、甲1発明の「第1副制御部400」は、本件発明の「示唆演出を実行する示唆演出手段」の機能を備える。
そうすると、甲1発明のeは、本件発明の特定事項Eに相当する。
カ 特定事項F及びGについて
甲1発明は、【図20】で示された確率のとおり、第1の上乗せゲーム数(有利量)に基づいて前兆ゲーム数(示唆演出の実行されるゲーム数)を設定するものであるところ、技術常識からみて、前兆ゲーム数が抽選によって決定されることは自明である。
また、甲1発明の【図20】より、第1の上乗せゲーム数に対応した前兆ゲーム数の加重平均を算出すると、第1の上乗せゲーム数「0」の場合、前兆ゲーム数の加重平均1.7(=3×20%+2×30%+1×50%)、第1の上乗せゲーム数「1~50」の場合、前兆ゲーム数の加重平均2.4(=4×10%+3×50%+2×20%+1×10%)、第1の上乗せゲーム数「51~100」の場合、前兆ゲーム数の加重平均3.1(=4×50%+3×20%+2×20%+1×10%)、第1の上乗せゲーム数「101~300」の場合、前兆ゲーム数の加重平均4.2(=5×50%+4×30%+3×10%+2×10%)となる。
そうすると、甲1発明において、上乗せゲーム数の各範囲に対応する前兆ゲーム数の設定確率(抽選確率)は、上乗せゲーム数(有利量)が多ければ多いほど、前兆ゲーム数(示唆演出が実行されるゲーム数)が大きくなるように設定されているといえるとともに、上乗せゲームが1ゲーム以上のとき(有利量が付与されるとき)は、上乗せゲームが0ゲームのとき(有利量が付与されないとき)よりも、前兆ゲーム数(示唆演出が実行されるゲーム数)が大きくなるように設定されているといえる。
したがって、甲1発明のf-hは、本件発明の特定事項F及びGを備える。
キ 特定事項Hについて
甲1発明の【図20】より、前兆ゲーム数が4及び5の場合に、第1の上乗せゲーム数「0」の確率が設定されていない、すなわち0%であることが見てとれることからすると、前兆ゲーム数(示唆演出が実行されるゲーム数)が4及び5の場合には、上乗せゲーム(有利量)の付与が確定するといえる。
そうすると、甲1発明のf-hは、本件発明の特定事項Hを備える。
ク 特定事項C2について
甲1発明における連動演出の連動ゲーム数(報知演出のゲーム数)は、第1の上乗せゲーム数(有利量)に基づいて例えば連動演出パターンとして「連動B1」が設定された場合、連動ゲーム数に2が設定(決定)されるから、甲1発明のc2は、本件発明の特定事項C2と「前記有利量決定手段によって決定された前記有利量に基づき、前記報知演出手段によって実行される前記報知演出のゲーム数を決定する報知演出ゲーム数決定手段」を備える点で共通する。
ケ 特定事項C3について
甲1発明のf-hより、第1の上乗せゲーム数(有利量)に基づいて前兆ゲーム数(示唆演出のゲーム数)が設定され、技術常識からみて、前兆ゲーム数が抽選によって決定されることは自明である。
そうすると、甲1発明のf-hは、本件発明の特定事項C3と「前記有利量決定手段によって決定された前記有利量に基づき、前記示唆演出手段によって実行される前記示唆演出のゲーム数を抽選によって決定する示唆演出ゲーム数決定手段」を備える点で共通する。
上記ア~ケからみて、本件発明と甲1発明とは、以下の一致点及び相違点を有する。
(一致点)
「A 遊技を行う遊技機において、
B 通常状態よりも有利な有利状態に状態を制御する有利状態制御手段と、
C 前記有利状態への制御期間を増加させる有利量を決定する決定手段と、
D 前記決定手段によって決定された前記有利量を報知可能な報知演出を実
行する報知演出手段と、
C2‘ 前記有利量決定手段によって決定された前記有利量に基づき、前記
報知演出手段によって実行される前記報知演出のゲーム数を決定する報知
演出ゲーム数決定手段と、
E 前記有利量が付与されるか否かに関わらず、前記報知演出の実行に先立
って、前記有利量の付与を示唆する示唆演出を実行する示唆演出手段と、
C3‘ 前記有利量決定手段によって決定された前記有利量に基づき、前記
示唆演出手段によって実行される前記示唆演出のゲーム数を抽選によって
決定する示唆演出ゲーム数決定手段と、
F 前記報知演出によって報知される前記有利量が多ければ多いほど、前記
抽選によって決定される前記示唆演出が実行されるゲーム数が多くなり易
いように抽選確率が設定されており、
G 前記有利量が付与されるときは、前記有利量が付与されないときよりも
、前記抽選によって決定される前記示唆演出が実行されるゲーム数が多く
なり易いように前記抽選確率が設定されており、
H 前記示唆演出が実行されるゲーム数には、前記抽選において前記有利量
の付与が確定するゲーム数がある、
I 遊技機。」
【相違点1】
本件発明は、有利量を決定する決定手段によって決定された有利量の中から報知演出によって報知される有利量を決定する報知有利量決定手段(C1)を備えており、報知演出手段によって実行される報知演出のゲーム数及び示唆演出手段によって実行される示唆演出のゲーム数が、上記報知有利量決定手段によって決定された有利量に基づいて決定される(C2、C3)のに対し、
甲1発明が、かかる報知有利量決定手段を備えることが特定されておらず、報知演出のゲーム数及び示唆演出のゲーム数かかる報知有利量決定手段によって決定された有利量に基づいて決定されることが特定されていない点。
【相違点2】
本件発明は、示唆演出が終了する遊技において、報知演出へと演出が発展することを示唆するとともに前記報知演出が終了するタイミングを示唆する発展演出を実行する発展演出実行手段(E1)を備えるのに対し、
甲1発明は、かかる発展演出実行手段を備えることが特定されていない点。
(3)判断
事案にかんがみ、上記相違点2について検討する。
甲1には、示唆演出が終了する遊技において、報知演出へと演出が発展することを示唆するとともに前記報知演出が終了するタイミングを示唆することについて、開示も示唆もされておらず、かかる演出が、本件特許出願時の周知技術であるとも認められない。
そして、本件発明は、相違点2に係る構成を備えることにより、示唆演出が終了する遊技において、報知演出へと発展すること、報知演出によって報知される有利量に対して遊技者に期待させるといった効果があるものと認められる。
そうすると、引用発明において、相違点2に係る本件発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たこととは認められない。
したがって、相違点1について検討するまでもなく、本件発明は、甲1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとは認められない。
(4)小括
以上から、先に通知した新規性欠如(理由1)及び進歩性違反(理由2)の取消理由は理由がない。
2 理由3(新規事項)について
(1)令和4年6月15日付け手続補正書による補正により請求項1に追加された「前記報知演出によって報知される前記有利量が多ければ多いほど、抽選によって決定される前記示唆演出が実行されるゲーム数の平均値が大きく、」、「前記有利量が付与されるときは、前記有利量が付与されないときよりも、前記抽選によって決定される前記示唆演出が実行されるゲーム数の平均値が大きく、」との事項について、本願の願書に最初に添付した明細書(以下、「当初明細書」といい、特許請求の範囲及び図面と併せて「当初明細書等」という。)には、「示唆演出が実行されるゲーム数の平均値」との記載はないし、「平均値」という概念自体も記載されておらず、当該「平均値」は、当初明細書等の記載から自明の事項であるともいえないから、上記補正は、新たな技術的事項を導入するものである旨通知した先の取消理由について、本件訂正により、上記補正によって追加された事項について、それぞれ「前記報知演出によって報知される前記有利量が多ければ多いほど、前記抽選によって決定される前記示唆演出が実行されるゲーム数が多くなり易いように抽選確率が設定されており、」、「前記有利量が付与されるときは、前記有利量が付与されないときよりも、前記抽選によって決定される前記示唆演出が実行されるゲーム数が多くなり易いように前記抽選確率が設定されており、」に訂正された(下線部は、訂正箇所を示すために合議体が付した。)。
そうすると、先の取消理由において新規事項の追加に該当すると判断した「示唆演出が実行されるゲーム数の平均値」との記載は、本件発明において存在しなくなった。
そして、「前記報知演出によって報知される前記有利量が多ければ多いほど、前記抽選によって決定される前記示唆演出が実行されるゲーム数が多くなり易いように抽選確率が設定されており、」との事項、及び「前記有利量が付与されるときは、前記有利量が付与されないときよりも、前記抽選によって決定される前記示唆演出が実行されるゲーム数が多くなり易いように前記抽選確率が設定されており、」との事項が当初明細書等に記載されているものであることは、上記「第2の2」の「(3)及び(4)」のウで示した理由と同様である。
(2)小括
したがって、本件訂正により、先の取消理由において新規事項であると指摘した事項が存在しないこととなったため、新規事項追加の取消理由(理由3)は理由がない。
第6 むすび
以上のとおり、本件請求項1に係る特許は、取消理由通知書に記載した取消理由又は特許異議申立書に記載された特許異議申立理由によっては取り消すことはできない。
さらに、他に本件請求項1に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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2022-701231