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特許異議申立

2022-701151

積層体およびそれを備える包装袋

審判番号
2022-701151
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2018-028009
登録番号
7073778
請求日
2022年11月21日
審決日
2025年02月06日
公報発行日
2025年07月25日
結論
請求成立(取消)
当事者
  • 【権利者】大日本印刷株式会社
  • 【権利者代理人】宮嶋 学
  • 【権利者代理人】浅野 真理
  • 【権利者代理人】高田 泰彦
  • 【権利者代理人】柏 延之
  • 【権利者代理人】丸島 裕
  • 【権利者代理人】永井 浩之
  • 【権利者代理人】中村 行孝
  • 【権利者代理人】佐藤 泰和
  • 【権利者代理人】朝倉 悟
  • 【権利者代理人】小島 一真
  • 【異議申立人】古川 慎二
審判長/審判官
  • 審判長 岩谷 一臣
  • 審判官 田口 傑
  • 審判官 藤井 眞吾
分類
P1651.121-ZAA(B32B)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項特許法113条2号
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第5項、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7073778号発明「積層体およびそれを備える包装袋」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7073778号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-9〕について訂正することを認める。 特許第7073778号の請求項1-9に係る特許を取り消す。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7073778号(以下「本件特許」という。)の請求項1~9に係る特許についての出願は、平成30年2月20日(優先権主張 平成29年3月31日)を出願日とする特許出願であって、令和4年5月16日に特許権の設定登録(特許掲載公報 令和4年5月24日発行)がされ、その特許について、令和4年11月21日に特許異議申立人古川慎二(以下「申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、令和5年4月7日付けで取消理由が通知され、令和5年6月5日に特許権者から意見書の提出及び訂正の請求がされ、令和5年7月19日に申立人から意見書の提出がされ、令和5年10月31日付けで取消理由(決定の予告)が通知され、令和5年12月25日に特許権者から意見書の提出及び訂正の請求がされ、令和6年2月20日に申立人から意見書の提出がされ、令和6年5月7日付けで取消理由(決定の予告)が通知され、令和6年6月25日に特許権者から意見書の提出及び訂正の請求(以下「本件訂正請求」という。)がされたものである。 なお、本件訂正請求の訂正の内容を検討しても、本件特許は取り消すべきと合議体は判断したため、特許法第120条の5第5項に規定する特許異議申立人に意見書を提出する機会を与える必要がないとされる特別な事情にあたることから、本件訂正請求について、申立人に意見書を提出する機会を与えなかった。 令和5年6月5日にされた訂正の請求及び令和5年12月25日にされた訂正の請求は、特許法第120条の5第7項の規定により取り下げられたものとみなす。 第2 訂正の請求について 1.訂正の内容 本件訂正請求は、「特許第7073778号の特許請求の範囲を、本件請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~9について訂正することを求める。」ものであり、その訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、次の訂正事項を含むものである。なお、下線は、当審が訂正箇所に付したものである。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に記載の「少なくとも、第1基材層と、金属蒸着層と、第2基材層と、シーラント層とをこの順に備える積層体であって、」を、「少なくとも、第1基材層と、金属蒸着層と、第2基材層と、単層のシーラント層とをこの順に備える積層体であって、」に訂正する。(請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項2~9も同様に訂正する。) (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項1に記載の「少なくとも、第1基材層と、金属蒸着層と、第2基材層と、シーラント層とをこの順に備える積層体であって、」の「シーラント層」を、「シーラント層(但し、植物由来のポリエチレン系樹脂を、フィルム全体に対して10質量%以上含む、包装材シーラント用ポリエチレン系樹脂フィルムを除く。)」に訂正する。(請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項2~9も同様に訂正する。) (3)一群の請求項 本件訂正前の請求項2~9は直接的又は間接的に請求項1を引用するものであるから、訂正後の請求項〔1~9〕は、一群の請求項である。 2.訂正の適否 (1)訂正事項1について ア 訂正事項1の「単層のシーラント層」とする訂正は、シーラント層の層構成について特定されていなかったものを「単層」であると限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 イ 願書に添付した図面の図1及び図2、願書に添付した明細書の段落【0084】の記載から、シーラント層が単層の構成となることは当業者に自明な事項であり、訂正事項1は、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件特許明細書等」という。)に記載された事項の範囲内においてするものである。 ウ また、訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (2)訂正事項2について ア 訂正事項2の「シーラント層(但し、植物由来のポリエチレン系樹脂を、フィルム全体に対して10質量%以上含む、包装材シーラント用ポリエチレン系樹脂フィルムを除く。)」とする訂正は、シーラント層を限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ この「(但し、植物由来のポリエチレン系樹脂を、フィルム全体に対して10質量%以上含む、包装材シーラント用ポリエチレン系樹脂フィルムを除く。)」とすることにより新たな技術的事項が導入されるものではなく、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。 ウ また、訂正事項2は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 3.本件訂正請求についてのまとめ したがって、訂正事項1、2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、本件訂正後の請求項〔1~9〕について訂正を認める。 第3 本件特許発明 上記のとおり、本件訂正請求が認められるから、本件特許の請求項1~9に係る発明(以下「本件発明1」等といい、総称して「本件発明」ともいう。)は、それぞれ、本件訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1~9に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。 「【請求項1】 少なくとも、第1基材層と、金属蒸着層と、第2基材層と、単層のシーラント層(但し、植物由来のポリエチレン系樹脂を、フィルム全体に対して10質量%以上含む、包装材シーラント用ポリエチレン系樹脂フィルムを除く。)とをこの順に備える積層体であって、 前記第1基材層が、ポリアミドを含み、 前記第2基材層が、ポリエチレンテレフタレートを含み、 前記シーラント層が、バイオマス由来の直鎖状低密度ポリエチレンと、化石燃料由来の直鎖状低密度ポリエチレンと、低密度ポリエチレンとを含み、 前記シーラント層の厚みが、30μm以上150μm以下であり、 前記シーラント層中の前記バイオマス由来の直鎖状低密度ポリエチレンと前記化石燃料由来の直鎖状低密度ポリエチレンとの合計含有量は、80質量%以上90質量%以下であり、 前記シーラント層中の前記低密度ポリエチレンの含有量は、10質量%以上20質量%以下である、積層体。 【請求項2】 前記第1基材層が、延伸ナイロンフィルムであり、該延伸ナイロンフィルムの引張強度が、MD方向で150MPa以上350MPa以下である、請求項1に記載の積層体。 【請求項3】 前記第2基材層が、延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムであり、該延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの引張強度が、MD方向で150MPa以上300MPa以下である、請求項1または2に記載の積層体。 【請求項4】 前記第1基材層および前記第2基材層は、それぞれ、5μm以上40μm以下の厚さを有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の積層体。 【請求項5】 前記シーラント層のバイオマス度が、5%以上30%以下である、請求項1~4のいずれか一項に記載の積層体。 【請求項6】 前記金属蒸着層が、アルミニウム蒸着層である、請求項1~5のいずれか一項に記載の積層体。 【請求項7】 前記積層体が、前記第1基材層と前記金属蒸着層の間に、印刷層をさらに備える、請求項1~6のいずれか一項に記載の積層体。 【請求項8】 前記積層体が、前記第1基材層と前記金属蒸着層の間および/または前記第2基材層と前記シーラント層の間に、接着層をさらに備える、請求項1~7のいずれか一項に記載の積層体。 【請求項9】 請求項1~8のいずれか一項に記載の積層体を備える、包装袋。」 第4 特許権者に通知した取消理由(決定の予告)の概要 1.引用文献 甲第1号証:特開2012-167172号公報 甲第2号証:特開2013-136689号公報 甲第3号証:特開2013-155343号公報 甲第4号証:カタログ「ハーデン○R(当審注:丸の中にR)フィルムGS(N5152)」、東洋紡株式会社 甲第5号証:TECHNICAL DATA「VM-PET BR-PET アルミ蒸着バリアフィルム」、東レフィルム加工株式会社 以下、甲第1号証を「甲1」といい、甲第2号証以降も同様にいう。 2.令和5年10月31日付け取消理由(決定の予告) (進歩性)本件特許の請求項1~4、6~9に係る発明は、甲2に記載された発明及び甲1~甲5に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 なお、令和5年10月31日付け取消理由(決定の予告)で審理した請求項1に係る発明は、本件訂正における請求項5の発明特定事項を全て備えるものである。 3.令和6年5月7日付け取消理由(決定の予告) (進歩性)本件特許の請求項1~9に係る発明は、甲3に記載された発明及び甲1~甲5に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (サポート要件)本件発明1は、シーラント層について「(但し、植物由来のポリエチレン系樹脂を、フィルム全体に対して10~20質量%含む、包装材シーラント用ポリエチレン系樹脂フィルムを除く。)」とすることで、本件発明の課題の解決手段である、バイオマス由来の直鎖状低密度ポリエチレン、化石燃料由来の直鎖状低密度ポリエチレン、及び低密度ポリエチレンの、実施例及び比較例の評価結果に基づく混合割合の組み合わせを含まないものとなり、本件発明1は、発明の詳細な説明において「発明の課題を解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲」を超えるものであるから、本件発明1~9は、発明の詳細な説明に記載された発明ではない。 第5 当審の判断 1.引用文献の記載事項等 (1)甲2 ア 甲2に記載された事項 甲2には、次の事項が記載されている。以下、下線は当審で付与し、「・・・」は文章の省略を表す。 (ア)「【特許請求の範囲】 【請求項1】 植物由来のポリエチレン系樹脂を、フィルム全体に対して10~20質量%含む、包装材シーラント用ポリエチレン系樹脂フィルムであって、 該植物由来のポリエチレン系樹脂は、密度0.910~0.922kg/m3、MFR0.7~3.1g/10分の物性を有する直鎖状低密度ポリエチレンであることを特徴とする、上記包装材シーラント用ポリエチレン系樹脂フィルム。 ・・・ 【請求項5】 請求項1~4のいずれか1項に記載の包装材シーラント用ポリエチレン系樹脂フィルムを用いてなることを特徴とする、詰め替えパウチ。」 (イ)「【背景技術】 【0002】 近年、環境への負荷を低減する等の目的から、シーラント等のポリエチレン系樹脂フィルムの原料の一部を、石油由来のポリオレフィン系樹脂から、植物由来のポリオレフィン系樹脂に置き換えることが検討されている(特許文献1)。植物由来のポリオレフィン系樹脂は、従来の石油由来のポリオレフィン系樹脂と、化学構造的には変わらず、同等の物性を有することが期待されている。 【0003】 しかしながら、実際には、植物由来のポリオレフィン系樹脂を含む樹脂フィルムは、石油由来のポリオレフィン系樹脂のみからなる樹脂フィルムとは異なる性質を示す。 【0004】 特に、植物由来のポリオレフィン系樹脂を含む樹脂フィルムは、植物由来のポリオレフィン系樹脂の配合率が高くなるにつれて、シーラントとして使用する場合の耐衝撃性及び手切れ性が低下することが分かった。 【0005】 したがって、植物由来のポリオレフィン系樹脂を高い配合率で含む樹脂フィルムは、耐衝撃性や手切れ性を必要とする用途の包装材、例えば詰め替え用のシャンプーやリンス、食品等を密封包装する詰め替えパウチ等のシーラントとしては不適であり、実用性に欠けるものであった。」 (ウ)「【発明が解決しようとする課題】 【0007】 本発明は、上記の問題点を解決し、優れた耐衝撃性及び手切れ性を示し、且つ、フィルム全体に対して10質量%以上の量で植物由来のポリオレフィン系樹脂を含むことから環境への負荷が低減された、包装材シーラント用ポリエチレン系樹脂フィルム、及びそれを用いた詰め替えパウチを提供することを目的とする。」 (エ)「【発明の効果】 【0010】 本発明の包装材シーラント用ポリエチレン系樹脂フィルムは、詰め替えパウチ等の包装材のシーラントとして使用するのに十分に高い耐衝撃性及び手切れ性を示し、且つ、植物由来のポリオレフィン系樹脂を高い配合率で含み、すなわち高いバイオマス度を示す。 【0011】 本発明の樹脂フィルムは、樹脂フィルム中に配合する植物由来のポリオレフィン系樹脂として、特定の密度及びMFRを有する植物由来のLLDPEを使用する。その結果、フィルム全体に対して10~20質量%という高い配合率で植物由来樹脂を含んでいる場合においても、耐衝撃性及び手切れ性の低下が生じない。」 (オ)「【発明を実施するための形態】 ・・・ 【0017】 <I>本発明の包装材シーラント用ポリエチレン系樹脂フィルムの層構成 本発明の包装材シーラント用ポリエチレン系樹脂フィルムは、ポリエチレン系樹脂からなるフィルムであって、ポリエチレン系樹脂の一部を、従来の石油由来のポリエチレン系樹脂から、植物由来のポリエチレン系樹脂に置き換えた樹脂フィルムである。 【0018】 図1は、本発明の包装材シーラント用ポリエチレン系樹脂フィルム(単層)の層構成についてその一例を示す概略的断面図である。図1に示されるように、本発明の樹脂フィルムA1は、石油由来のポリエチレン系樹脂と植物由来のポリエチレン系樹脂とを混合してなる樹脂組成物を成形して得られる、単層のフィルムであってよい。このとき、樹脂組成物中に含まれる植物由来のポリエチレン系樹脂の量は、10~20質量%である。 ・・・ 【0022】 <II>植物由来のポリエチレン系樹脂 ・・・ 【0023】 本発明において、包装材シーラント用ポリエチレン系樹脂フィルム中に配合される植物由来のポリエチレン系樹脂は、密度0.910~0.922kg/m3、好ましくは0.914~0.920kg/m3、MFR0.7~3.1g/10分、好ましくは0.8~2.9g/10分の物性を有するLLDPEである。 【0024】 このような特定の物性を有する植物由来のLLDPEは、耐衝撃性及び手切れ性を損なうことなく、包装材シーラント用ポリエチレン系樹脂フィルム中に、フィルム全体に対して10~20質量%の量で、好ましくは12~19質量%の量で配合することができる。 ・・・ 【0027】 さらに、植物由来のポリエチレン系樹脂の配合量が、フィルム全体に対して10質量%より少ないと、カーボンニュートラルの観点から望まれるバイオマス度を達成することが困難である。また、フィルム全体に対する配合量が20質量%を超えると、樹脂フィルムの耐衝撃性及び手切れ性が損なわれ得る。 【0028】 植物由来のLLDPEの製造方法としては、慣用の方法にしたがって、サトウキビ、トウモロコシ、サツマイモ等の植物から得られる糖液や澱粉を、酵母等の微生物により発酵させてバイオエタノールを製造し、これを触媒存在下で加熱し、分子内脱水反応によりエチレンを得る。次いで、得られたエチレンを、石油由来のLLDPEの製造と同様にして、コモノマー種であるα-オレフィンと、慣用の触媒の存在下で共重合させることにより、植物由来のLLDPEを製造することができる。 ・・・ 【0035】 <III>植物由来ではない(石油由来の)ポリエチレン系樹脂 本発明において、「植物由来ではないポリエチレン系樹脂」または「石油由来のポリエチレン系樹脂」とは、植物由来のポリエチレン系樹脂を含まず、従来どおり、石油から得られるナフサを熱分解して得られるエチレンを原料とし、これを重合して製造されるポリエチレン系樹脂を意味する。 【0036】 本発明において、包装材シーラント用ポリエチレン系樹脂フィルム中に配合する植物由来ではないポリエチレン系樹脂としては、包装材のシーラントとして慣用の任意のポリエチレンを使用することができる。 【0037】 包装材の内容物が液体洗剤またはシャンプーまたはリンスの場合、破袋防止のために特にシール強度を高くする必要があり、密度0.915~0.921kg/m3のLLDPEが特に好ましいが、その他にシングルサイト系触媒を用いて重合したエチレン-α-オレフィン共重合体、低密度ポリエチレン(LDPE)、エチレン-メタクリル酸共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、アイオノマー等を使用することもできる。 ・・・ 【0047】 <V>バイオマス度 「バイオマス度」とは、石油由来の原料と、植物由来の原料(バイオマス)との混合比率を表す指標であり、放射性炭素(C14)の濃度を測定することにより決定され、下記式で表される。 バイオマス度(%)=C14濃度(pMC)×0.935 このC14は、植物由来の原料中には大気中における一定濃度で含まれるが、地中に閉じ込められた石油中にはほとんど存在しない。したがって、C14の濃度を加速器質量分析により測定することにより、植物由来の原料の含有割合の指標とすることができる。 【0048】 カーボンニュートラルの観点から、包装材製品が少なくとも5%のバイオマス度を示し、大気中のCO2量増加の抑制に貢献するとみなされるためには、製品中に使用されるシーラントは、8.5%以上のバイオマス度を示すことが望ましい。 【0049】 本発明の樹脂フィルムは、詰め替えパウチ等の包装材のシーラントとして使用するのに十分に高い耐衝撃性及び手切れ性を示しながらも、植物由来のポリオレフィン系樹脂を高い配合率で含み、8.5%以上、さらに好ましくは10%以上から18%程度までの高いバイオマス度を示すことができる。 ・・・ 【0051】 <VI>積層体 本発明の樹脂フィルムをシーラントとして、その一方の面に基材フィルムを積層し、本発明の積層体を得ることができる。 【0052】 基材フィルムとしては、積層体の用途に応じて任意の樹脂フィルムまたはシートを使用することができる。詰め替えパウチに適用する場合は、引っ張り強度、屈曲強度、衝撃強度等の機械的強度に優れるとともに、印刷適性に優れることが好ましく、例えば、二軸延伸ナイロンフィルム、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムなどの二軸延伸ポリエステルフィルム、二軸延伸ポリプロピレンフィルム等を好適に使用できるほか、合成紙なども使用することができる。これらは単独で使用してもよく、また、複数を組み合わせて使用してもよい。 【0053】 基材フィルムとシーラントとの接着は、接着層を介して押出ラミネート法(所謂サンドイッチラミネート法)により貼り合わせることができる。・・・ ・・・ 【0056】 本発明の更なる態様において、積層体の基材フィルムとシーラントとの間に、バリア層を設けてもよい。 【0057】 バリア層としては、アルミニウム箔などの金属箔のほか、アルミニウムなどの金属やアルミニウム酸化物、珪素酸化物などの無機酸化物を二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムなどの基材フィルムに蒸着した蒸着フィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、エチレン-ビニルアルコール共重合体フィルム等を使用することができる。 【0058】 基材フィルムとバリア層との接着は、上記の基材フィルムとシーラントとの接着と同様に、押出ラミネート法またはドライラミネート法で貼り合わせることができる。 【0059】 バリア層とシーラントとの接着は、上記と同様に、押出ラミネート法またはドライラミネート法で貼り合わせることができる。または、バリア層上に、シーラントを構成する樹脂組成物を押出コーティングすることにより積層してもよい。 【0060】 いずれの場合も、積層面にアンカーコート剤を予め塗布しておくか、コロナ処理等の前処理を施しておくことにより、層間の接着強度を高めることができる。 【0061】 <VII>包装材 本発明の積層体を使用し、これを二つ折にするか、又は該積層体2枚を用意し、そのシーラントの面を対向させて重ね合わせ、さらにその周辺端部を、例えば、側面シール型、二方シール型、三方シール型、四方シール型、封筒貼りシール型、合掌貼りシール型(ピローシール型)、ひだ付シール型、平底シール型、角底シール型、ガゼット型等のヒートシール形態によりヒートシールして、種々の形態の包装材として製造することができる。 【0062】 上記において、ヒートシールの方法としては、例えば、バーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シール、超音波シール等の公知の方法で行うことができる。 【0063】 本発明の包装材は、高いバイオマス度を示しながらも、優れた耐衝撃性及び手切れ性を有するため、特に、詰め替え用のシャンプーやリンス、食品等を密封包装する詰め替えパウチとして好適に使用することができる。」 (カ)「【実施例】 【0069】 [実施例1] 石油由来のLLDPE(三井化学(株)製エボリュー(R)SP2020、密度0.916kg/m3、MFR2.3g/10分)と石油由来のLDPE(宇部丸善ポリエチレン(株)製LDPE-F120N、密度0.920kg/m3、MFR1.2g/10分)との混合物(質量比70:30)85質量部に対し、植物由来のLLDPE(ブラスケム社製C4-SLL118、密度0.916kg/m3、MFR1.0g/10分)15質量部を配合し、200℃で溶融混練して、樹脂組成物を得た。 次いで、得られた樹脂組成物を、上吹き空冷インフレーション共押出製膜機により成形し、厚み120μmの樹脂フィルムを製膜した。 フィルム全体のバイオマス度は13%であった。 ・・・ 【0074】 [評価] (耐衝撃性テスト) 実施例1、2及び比較例1、2の樹脂フィルムをシーラントとして使用し、その一方の面にコロナ処理を施し、その処理面に、バリア層として蒸着フィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム上にアルミニウムを蒸着した蒸着フィルム、厚さ12μm)をドライラミネートした。次いで、そのバリア層側の面に、基材フィルムとして2軸延伸ナイロンフィルム(厚さ15μm)をドライラミネートし、パウチの胴材用の積層体を得た。」 イ 甲2に記載された発明 甲2の、特に実施例1の樹脂フィルムを用いた積層体の記載(【0069】、【0074】)から、甲2には次の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されているといえる。 「石油由来のLLDPE(三井化学(株)製エボリュー(R)SP2020、密度0.916kg/m3、MFR2.3g/10分)と石油由来のLDPE(宇部丸善ポリエチレン(株)製LDPE-F120N、密度0.920kg/m3、MFR1.2g/10分)との混合物(質量比70:30)85質量部に対し、植物由来のLLDPE(ブラスケム社製C4-SLL118、密度0.916kg/m3、MFR1.0g/10分)15質量部を配合し溶融混練した樹脂組成物を、上吹き空冷インフレーション共押出製膜機により成形して、厚み120μm、バイオマス度13%の樹脂フィルムを製膜し、 この樹脂フィルムをシーラントとして使用し、その一方の面にコロナ処理を施し、その処理面に、バリア層として蒸着フィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム上にアルミニウムを蒸着した蒸着フィルム、厚さ12μm)をドライラミネートし、次いで、そのバリア層側の面に、基材フィルムとして2軸延伸ナイロンフィルム(厚さ15μm)をドライラミネートした、パウチの胴材用の積層体。」 (2)甲3 ア 甲3に記載された事項 甲3には、次の事項が記載されている。 (ア)「【請求項1】 (a)植物由来の直鎖状低密度ポリエチレン20~70質量%、 (b)密度0.920~0.933kg/m3及びMFR0.5~3.5g/10分の物性を有する、非植物由来の低密度ポリエチレン15~65質量%、 (c)エチレンと炭素数6のα-オレフィンとの共重合体であって、且つ、密度0.914~0.937kg/m3及びMFR0.9~4.5g/10分の物性を有する、非植物由来の直鎖状低密度ポリエチレン15~65質量%、並びに (d)添加剤0~20質量%、 からなり、ここで、(a)~(d)の合計は100質量%であることを特徴とする、フィルム用ポリエチレン系樹脂組成物。 ・・・ 【請求項3】 請求項1に記載のフィルム用ポリエチレン系樹脂組成物からなる層を少なくとも1層含む多層共押出フィルムであり、 該フィルム用ポリエチレン系樹脂組成物の配合量は、多層フィルム全体に対して40質量%以上であることを特徴とする、包装材用シーラントフィルム。」 (イ)「【背景技術】 【0002】 近年、環境への負荷を低減するために、シーラントフィルム等のポリエチレン系樹脂フィルムの原料の一部を、石油由来のポリオレフィン系樹脂から、植物由来のポリオレフィン系樹脂に置き換えることが検討されている(特許文献1)。植物由来のポリオレフィン系樹脂は、従来の石油由来のポリオレフィン系樹脂と、化学構造的には変わりがなく、同等の物性を有することが期待されている。 【0003】 しかしながら、実際には、植物由来のポリオレフィン系樹脂を含む樹脂フィルムは、石油由来のポリオレフィン系樹脂のみからなる樹脂フィルムとは異なる性質を示す。 【0004】 特に、植物由来のポリオレフィン系樹脂を含む樹脂フィルムは、植物由来の樹脂の配合率が高くなるにつれて、シーラントフィルムとして使用する場合の手切れ性及び耐衝撃性が低下することが分かった。 【0005】 したがって、植物由来のポリオレフィン系樹脂を高い配合率で含む樹脂フィルムは、手切れ性や耐衝撃性を必要とする包装材のシーラントフィルムとしては不適であり、実用性に欠けるものであった。」 (ウ)「【発明が解決しようとする課題】 【0007】 本発明は、上記の問題点を解決し、優れた手切れ性及び耐衝撃性を示し、且つ、フィルム全体に対して20~70質量%の量で植物由来のポリオレフィン系樹脂を含むことから環境への負荷が低減された、フィルム用ポリエチレン系樹脂組成物、及びそれを用いた包装材用シーラントフィルムを提供することを目的とする。」 (エ)「【課題を解決するための手段】 【0008】 本発明者は、種々研究の結果、(a)植物由来の直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE) 20~70質量%、(b)密度0.920~0.933kg/m3及びMFR0.5~3.5g/10分の物性を有する、非植物由来の低密度ポリエチレン(LDPE) 15~65質量%、(c)エチレンと炭素数6のα-オレフィンとの共重合体であって、且つ、密度0.914~0.937kg/m3及びMFR0.9~4.5g/10分の物性を有する、非植物由来のLLDPE 15~65質量%、並びに(d)添加剤 0~20質量%、からなり、ここで、(a)~(d)の合計は100質量%であることを特徴とする、フィルム用ポリエチレン系樹脂組成物が、上記の目的を達成することを見出した。」 (オ)「【0019】 <II> 植物由来のLLDPE ・・・ 【0020】 本発明において、樹脂組成物中に配合される植物由来のLLDPEは、混合する石油由来のLDPE及びLLDPEの物性や、製膜化後のフィルムの用途に応じて、任意の密度及びMFRを有するものであってよい。 本発明の樹脂組成物中に、植物由来のLLDPEは、20~70質量%、好ましくは20~60質量%の範囲で配合される。 【0021】 本発明の樹脂組成物は、植物由来のLLDPEを20質量%以上含むため、高いバイオマス度を達成することができる。しかしながら、この量が70質量%を超えると、植物由来樹脂の配合に伴い生じるシーラントフィルムとしての手切れ性及び耐衝撃性の低下を防ぐことができない。 【0022】 植物由来のLLDPEの製造方法としては、慣用の方法にしたがって、サトウキビ、トウモロコシ、サツマイモ等の植物から得られる糖液や澱粉を、酵母等の微生物により発酵させてバイオエタノールを製造し、これを触媒存在下で加熱し、分子内脱水反応等によりエチレン、並びにα-オレフィン(1-ブテン、1-ヘキセン等)を得る。次いで、これらをモノマーとして用いて、石油由来のLLDPEの製造と同様にして、慣用の触媒の存在下で重合させることにより、植物由来のLLDPEを製造することができる。コモノマー種である上記α-オレフィンとしては、場合により、石油由来のものを用いることもできる。・・・」 (カ)「【0025】 <III> 非植物由来(石油由来)のLDPE ・・・ 【0027】 本発明において使用される石油由来のLDPEは、密度0.920~0.933kg/m3、より好ましくは0.920~0.925kg/m3、MFR0.5~3.5g/10分、より好ましくは0.8~3.0g/10分の物性を有する。 【0028】 このような特定の物性を有する石油由来のLDPEを、樹脂組成物中に、15~65質量%、より好ましくは15~50質量%配合することにより、植物由来樹脂の配合により生じる、製膜化後のフィルムの手切れ性の低下を防ぐことができる。 【0029】 石油由来のLDPEの配合量が15質量%より少ないと、製膜化後のフィルムは、引裂強度が高くなり過ぎて、手で切ることができず、はさみ等が必要となる。逆に65質量%より多いと、引き裂く際にフィルムが伸び、手切れ性が悪い。また、シール強度が低いため、シーラントフィルムとして用いた場合に、落下等の衝撃に耐えられずに破袋する恐れがある。 また、石油由来のLDPEの密度が上記範囲外であると、手切れ性低下の防止効果が得られない。」 (キ)「【0030】 <IV>非植物由来(石油由来)のLLDPE ・・・ 【0034】 本発明において使用される石油由来のLLDPEは、密度0.914~0.937kg/m3、より好ましくは0.916~0.930kg/m3、MFR0.9~3.0g/10分、より好ましくは0.9~2.7g/10分の物性を有する。 【0035】 このような特定の物性を有する石油由来のLLDPEを、樹脂組成物中に、15~65質量%、より好ましくは15~60質量%配合することにより、植物由来樹脂の配合により生じる、製膜化後のフィルムの耐衝撃性の低下を防ぐことができる。」 (ク)「【0052】 <VIII>積層体 本発明のシーラントフィルムを用いて、その一方の面に基材フィルムを積層し、積層体を得ることができる。 【0053】 基材フィルムとしては、積層体の用途に応じて任意の樹脂フィルムまたはシートを使用することができる。例えば、詰め替え用のシャンプーやリンス、食品等を密封包装する詰め替えパウチに適用する場合は、引っ張り強度、屈曲強度、衝撃強度等の機械的強度に優れるとともに、印刷適性に優れることが好ましく、例えば、二軸延伸ナイロンフィルム、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム等の二軸延伸ポリエステルフィルム、二軸延伸ポリプロピレンフィルム等を好適に使用できるほか、合成紙等も使用することができる。これらは単独で使用してもよく、また、複数を組み合わせて使用してもよい。 【0054】 基材フィルムとシーラントフィルムとの接着は、接着剤を介して、ドライラミネート法で貼り合わせることができる。これにより、優れた接着強度及び引き裂き性が得られる。使用する接着剤としては、例えば、ドライラミネート用の二液硬化型ポリウレタン系接着剤等が挙げられる。・・・ 【0056】 ・・・ 本発明の更なる態様において、基材フィルムとシーラントフィルムとの間に、バリア層を設けてもよい。 【0057】 バリア層としては、アルミニウム箔等の金属箔のほか、アルミニウム等の金属やアルミニウム酸化物、珪素酸化物等の無機酸化物を二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム等の基材フィルムに蒸着した蒸着フィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、エチレン-ビニルアルコール共重合体フィルム等を使用することができる。」 (ケ)「【実施例】 【0068】 [実施例1] 植物由来のLLDPE(ブラスケム(Braskem S.A.)社製SLL118、密度0.916kg/m3、MFR1.0g/10分、バイオマス度87%)50質量%、石油由来のLDPE(宇部丸善ポリエチレン(株)製UBEポリエチレン(R)F120N、密度0.920kg/m3、MFR1.2g/10分)25質量%、及び石油由来のLLDPE(三井化学(株)製エボリュー(R)SP2020、エチレンと1-ヘキセンとの共重合物(C6-LLDPE)、密度0.916kg/m3、MFR2.3g/10分)25質量%をブレンドし、溶融混練して、本発明の樹脂組成物を得た。次いで、得られた樹脂組成物を、上吹き空冷インフレーション共押出製膜機により成形し、厚み120μmのシーラントフィルムを製膜した。フィルム全体のバイオマス度は43.5%であった。 【0069】 得られたシーラントフィルムを、2軸延伸ナイロンフィルム(厚さ25μm)とドライラミネートして積層体を得、これを用いて、外形寸法:高さ220mm×幅140mm、底部の折り込み部の高さ40mm、シール幅5mmのスタンディングパウチを製造した。また、底部は舟底型のシールパターンでヒートシールした。」 イ 甲3より把握できる事項 上記記載(特に(カ))より、甲3には、石油由来の低密度ポリエチレン(LDPE)の配合量が15質量%より少ないと、製膜化後のフィルムは、引裂強度が高くなり過ぎて、手で切ることができず、はさみ等が必要となるが、逆に65質量%より多いと、引き裂く際にフィルムが伸び、手切れ性が悪く、また、シール強度も低いため、シーラントフィルムとして用いた場合に、落下等の衝撃に耐えられずに破袋する恐れがある旨記載されており、「石油由来(化石燃料由来)の低密度ポリエチレンを15質量%以上配合することにより、植物由来樹脂の配合により生じる、製膜化後のフィルムの手切れ性の低下を防ぐことができること」が理解される。 (3)甲1 ア 甲1に記載された事項 甲1には、次の事項が記載されている。 (ア)「【実施例4】 【0058】 第1層用および第3層用樹脂組成物として、スクリュー径30mmφ押出機を用いて、三井化学C6LL-エボリューSP2020(d=0.916、MFR=2.3g/10分)を200℃で溶融混練し、樹脂組成物を得た。同様に第2層用樹脂組成物として、スクリュー径30mmφ押出機を用いて、サトウキビ由来直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂であるブラスケム社C4LL-LL118(d=0.916、MFR=1.0g/10分)50重量部と、宇部丸善ポリエチレンLDPE-F120N(d=0.920、MFR=1.2g/10分)50重量部とを200℃で溶融混練し、樹脂組成物を得た。なお、第1層:第2層:第3層の層比は1:2:1とした。次いで、二種三層の上吹き空冷インフレーション共押出製膜機により、押出し温度200℃、回転数60rpmの加工条件において樹脂組成物を厚み130μmの図5に示すフィルムF4に成形し、このバイオマス度を測定すると、約22%であった。」 (イ)「【実施例6】 【0061】 外層に厚み25μmの、基材フィルム5としての二軸延伸ナイロンフィルム(ONy、東洋紡ハーデンN-1102)と、中間層に、片面にアルミニウム蒸着された厚さ12μmのVMPET(金属蒸着フィルムであり、ポリエチレンテレフタレートフィルムにアルミニウムを蒸着したもの)のアルミニウム蒸着面と積層し、さらにVMPETのポリエチレンテレフタレート面に2液硬化型のウレタン系接着剤を約4g/m2塗布して、実施例4のフィルムF4のコロナ処理面とをドライラミネーション法により貼合し、3層構成の積層フィルム3を得た。そして、この積層フィルム3を使用し、レーザーにて開封用切れ目線を設けた注出口部付詰め替え用スタンディングパウチ(包装袋6)を作成し、バイオマス度を測定すると、約17%であった。 【0062】 作成した詰め替え用スタンディングパウチに内容物を入れて口部を密封したものについて、内容物の漏れ、転倒、座屈、胴部の折れを観察したが、認められなかった。さらに1mの高さから落下テストを5回行ったが、破袋、漏れ等は全く認められなかった。」 イ 甲1より把握できる事項 上記ア(ア)、(イ)より、甲1には、基材フィルムとしての二軸延伸ナイロンフィルムと、ポリエチレンテレフタレートフィルムにアルミニウムを蒸着した金属蒸着フィルムと、シーラントとしてのフィルムF4からなる3層構成の積層フィルムにおいて、金属蒸着フィルムのアルムニウム蒸着面に基材フィルムとしての二軸延伸ナイロンフィルムを積層し、ポリエチレンテレフタレート面側に、接着剤を介してシーラントとしてのフィルムF4を積層することが記載されており、積層フィルムが、「基材フィルムとしての二軸延伸ナイロンフィルムと、アルミニウム蒸着層と、ポリエチレンテレフタレートフィルムと、接着層と、シーラント層の順に備える積層体であること」が理解される。 (4)甲4 甲4には、次の事項が記載されている。 「 [図:0001424537000001.jpg] 」 (5)甲5 甲5には、次の事項が記載されている。 「 [図:0001424537000002.jpg] 」 2.甲2を主引用例とする進歩性 (1)本件発明1について ア 本件発明1と甲2発明を対比する。 甲2発明の「2軸延伸ナイロンフィルム(厚さ15μm)」は本件発明1の「ポリアミドを含」む「第1基材層」に相当し、甲2発明の「蒸着フィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム上にアルミニウムを蒸着した蒸着フィルム)」における「ポリエチレンテレフタレートフィルム」は、本件発明1の「ポリエチレンテレフタレートを含」む「第2基材層」に相当し、同じく「蒸着した」「アルミニウム」は「金属蒸着層」に相当する。 甲2発明の「植物由来のLLDPE(ブラスケム社製C4-SLL118、密度0.916kg/m3、MFR1.0g/10分)」は本件発明1の「バイオマス由来の直鎖状低密度ポリエチレン」に、甲2発明の「石油由来のLLDPE(三井化学(株)製エボリュー(R)SP2020、密度0.916kg/m3、MFR2.3g/10分)」は本件発明1の「化石燃料由来の直鎖状低密度ポリエチレン」に、甲2発明の「石油由来のLDPE(宇部丸善ポリエチレン(株)製LDPE-F120N、密度0.920kg/m3、MFR1.2g/10分)」は本件発明1の「低密度ポリエチレン」に、それぞれ相当する。 また、甲2発明の「シーラントとして使用」される「石油由来のLLDPE(三井化学(株)製エボリュー(R)SP2020、密度0.916kg/m3、MFR2.3g/10分)と石油由来のLDPE(宇部丸善ポリエチレン(株)製LDPE-F120N、密度0.920kg/m3、MFR1.2g/10分)との混合物(質量比70:30)85質量部に対し、植物由来のLLDPE(ブラスケム社製C4-SLL118、密度0.916kg/m3、MFR1.0g/10分)15質量部を配合し溶融混練した樹脂組成物を、上吹き空冷インフレーション共押出製膜機により成形し」た「厚み120μm、バイオマス度13%の樹脂フィルム」は、本件発明1の「バイオマス由来の直鎖状低密度ポリエチレンと、化石燃料由来の直鎖状低密度ポリエチレンと、低密度ポリエチレンとを含み」、「厚みが、30μm以上150μm以下であ」る「単層のシーラント層」に相当する。 甲2発明の「樹脂フィルムをシーラントとして使用し、その一方の面にコロナ処理を施し、その処理面に、バリア層として蒸着フィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム上にアルミニウムを蒸着した蒸着フィルム、厚さ12μm)をドライラミネートし、次いで、そのバリア層側の面に、基材フィルムとして2軸延伸ナイロンフィルム(厚さ15μm)をドライラミネートした、パウチの胴材用の積層体」と、本件発明1の「少なくとも、第1基材層と、金属蒸着層と、第2基材層と、単層のシーラント層とをこの順に備える積層体」とは、「少なくとも、第1基材層と、金属蒸着層と、第2基材層と、単層のシーラント層とを備える積層体」という限りで一致する。 イ そうすると、本件発明1と甲2発明の一致点及び相違点は、次のとおりである。 《一致点》 「少なくとも、第1基材層と、金属蒸着層と、第2基材層と、単層のシーラント層とを備える積層体であって、 前記第1基材層が、ポリアミドを含み、 前記第2基材層が、ポリエチレンテレフタレートを含み、 前記シーラント層が、バイオマス由来の直鎖状低密度ポリエチレンと、化石燃料由来の直鎖状低密度ポリエチレンと、低密度ポリエチレンとを含み、 前記シーラント層の厚みが、30μm以上150μm以下である、積層体。」 《相違点1》 「少なくとも、第1基材層と、金属蒸着層と、第2基材層と、単層のシーラント層とを備える積層体」に関し、本件発明1が、第1基材層と、金属蒸着層と、第2基材層と、単層のシーラント層とをこの順に備えるのに対し、甲2発明は、2軸延伸ナイロンフィルム、蒸着フィルム、シーラントの順に備えるものの、蒸着フィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム上にアルミニウムを蒸着した蒸着フィルム)におけるアルミニウムが、2軸延伸ナイロンフィルムの側にあるのか、シーラントの側にあるのかが特定されていない点。 《相違点2》 本件発明1のシーラント層が、「(但し、植物由来のポリエチレン系樹脂を、フィルム全体に対して10質量%以上含む、包装材シーラント用ポリエチレン系樹脂フィルムを除く。)」ものであって、「前記シーラント層中の前記バイオマス由来の直鎖状低密度ポリエチレンと前記化石燃料由来の直鎖状低密度ポリエチレンとの合計含有量は、80質量%以上90質量%以下であり、前記シーラント層中の前記低密度ポリエチレンの含有量は、10質量%以上20質量%以下である」のに対し、 甲2発明のシーラントの樹脂フィルムは、「石油由来のLLDPE(三井化学(株)製エボリュー(R)SP2020、密度0.916kg/m3、MFR2.3g/10分)と石油由来のLDPE(宇部丸善ポリエチレン(株)製LDPE-F120N、密度0.920kg/m3、MFR1.2g/10分)との混合物(質量比70:30)85質量部に対し、植物由来のLLDPE(ブラスケム社製C4-SLL118、密度0.916kg/m3、MFR1.0g/10分)15質量部を配合し溶融混練した樹脂組成物」からなる点。 ウ 相違点1について 甲2発明において、ポリエチレンテレフタレートフィルム上にアルミニウムを蒸着した蒸着フィルムにおけるアルミニウムが、2軸延伸ナイロンフィルムの側にあるのか、シーラントの側にあるのか特定されていないところ、甲1には、「基材フィルムとしての二軸延伸ナイロンフィルムと、アルミニウム蒸着層と、ポリエチレンテレフタレートフィルムと、接着層と、シーラント層の順に備える積層体」が記載(上記1(3))されている。甲1における層の順を踏まえて甲2発明におけるアルミニウムを2軸延伸ナイロンフィルムの側にあるようにして相違点1に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 エ 相違点2について (ア)バイオマス由来の直鎖状低密度ポリエチレンの含有量について 甲2に記載されるように、「環境への負荷を低減する等の目的から、シーラント等のポリエチレン系樹脂フィルムの原料の一部を、石油由来のポリオレフィン系樹脂から、植物由来のポリオレフィン系樹脂に置き換えることが検討されて」(【0002】)おり、甲2発明では、樹脂フィルムに、直鎖状低密度ポリエチレンである「植物由来のLLDPE(ブラスケム社製C4-SLL118、密度0.916kg/m3、MFR1.0g/10分)」を、15質量部含有するとしている。 他方で、甲2に、「植物由来のポリオレフィン系樹脂を含む樹脂フィルムは、植物由来のポリオレフィン系樹脂の配合率が高くなるにつれて、シーラントとして使用する場合の耐衝撃性及び手切れ性が低下することが分かった。」(【0004】)と記載されることからすると、植物由来のポリオレフィン系樹脂の配合率が低い方が、シーラントとして使用する場合の耐衝撃性及び手切れ性が高くなることが理解できる。 そうすると、植物由来のポリオレフィン系樹脂の配合率が高くなるにつれて、シーラントとして使用する場合の耐衝撃性及び手切れ性が低下することを考慮して、バイオマス由来の直鎖状低密度ポリエチレンの含有量を、10質量%を下回る含有量で止め、シーラント層が、「(但し、植物由来のポリエチレン系樹脂を、フィルム全体に対して10質量%以上含む、包装材シーラント用ポリエチレン系樹脂フィルムを除く。)」ものであるようにすることは、適宜なし得たことである。 (イ)化石燃料由来の直鎖状低密度ポリエチレンと、低密度ポリエチレンの含有量について 甲2発明の樹脂フィルムには、「石油由来のLLDPE(三井化学(株)製エボリュー(R)SP2020、密度0.916kg/m3、MFR2.3g/10分)と石油由来のLDPE(宇部丸善ポリエチレン(株)製LDPE-F120N、密度0.920kg/m3、MFR1.2g/10分)との混合物(質量比70:30)85質量部」含有されるから、当該樹脂フィルムに、直鎖状低密度ポリエチレンである「石油由来のLLDPE(三井化学(株)製エボリュー(R)SP2020、密度0.916kg/m3、MFR2.3g/10分)」が59.5(=85×0.7)質量%、低密度ポリエチレンである「石油由来のLDPE(宇部丸善ポリエチレン(株)製LDPE-F120N、密度0.920kg/m3、MFR1.2g/10分)」が25.5(=85×0.3)質量%含有されている。 甲2では、これらの石油由来のポリエチレン樹脂について、「包装材シーラント用ポリエチレン系樹脂フィルム中に配合する植物由来ではないポリエチレン系樹脂としては、包装材のシーラントとして慣用の任意のポリエチレンを使用することができる」(【0036】)ところ、「包装材の内容物が液体洗剤またはシャンプーまたはリンスの場合、破袋防止のために特にシール強度を高くする必要があり、密度0.915~0.921kg/m3のLLDPEが特に好ましいが」、その他に低密度ポリエチレンを使用することもできる(【0037】)としている。つまり、好ましいとされる直鎖状低密度ポリエチレンの質量比を上げて、低密度ポリエチレンの質量比を下げる方向の示唆があるといえる。 また、甲3には、石油由来(化石燃料由来)の低密度ポリエチレンを15質量%以上配合することにより、植物由来樹脂の配合により生じる、製膜化後のフィルムの手切れ性の低下を防ぐことができる旨が記載されている(上記1(2)イ)。 これらのことから、甲2発明の低密度ポリエチレンである「石油由来のLDPE(宇部丸善ポリエチレン(株)製LDPE-F120N、密度0.920kg/m3、MFR1.2g/10分)」を、手切れ性の低下を防ぐために、25.5質量%の配合割合から15質量%まで減らすとともに、化石燃料由来の直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を、破袋防止のために59.5質量%より増やすことは、当業者が容易になし得たことである。 (ウ)バイオマス由来の直鎖状低密度ポリエチレンと化石燃料由来の直鎖状低密度ポリエチレンの合計含有量について 上記(イ)で述べたように、「石油由来のLDPE(宇部丸善ポリエチレン(株)製LDPE-F120N、密度0.920kg/m3、MFR1.2g/10分)」を15質量%まで減らし、「石油由来のLLDPE(三井化学(株)製エボリュー(R)SP2020、密度0.916kg/m3、MFR2.3g/10分)」を増やした場合、バイオマス由来の直鎖状低密度ポリエチレンと化石燃料由来の直鎖状低密度ポリエチレンの合計含有量は85(=100-15)質量%となり、この合計含有量は「80質量%以上90質量%以下」の範囲内である。 (エ)特許権者の主張について 特許権者は、令和5年12月25日の意見書において、「甲2発明の樹脂フィルムの課題は、優れた耐衝撃性および手切れ性を示し、環境への負荷が低減された、包装材シーラント用ポリエチレン系樹脂フィルムの提供です。・・・甲2発明の樹脂フィルムにおいて、植物由来のLLDPEの配合割合を10質量%よりも小さくすると、樹脂フィルムのバイオマス度が低下して環境への負荷を低減させる作用が小さくなり、上記課題のうち「環境への負荷が低減された包装材シーラント用ポリエチレン系樹脂フィルムの提供」を解決できなくなりますので、植物由来のポリエチレン系樹脂である植物由来のLLDPEの配合割合を10質量%未満まで減らす動機付けはありません。」(5頁6~20行)と主張する。 しかし、上記(ア)で述べたように、植物由来のLLDPEの配合割合が低い方が、シーラントとして使用する場合の耐衝撃性及び手切れ性が高くなることから、植物由来のLLDPEの配合割合を減らす動機付けがないということはない。 また、植物由来のLLDPEの配合割合について、甲2では、「植物由来のポリエチレン系樹脂の配合量が、フィルム全体に対して10質量%より少ないと、カーボンニュートラルの観点から望まれるバイオマス度を達成することが困難である。また、フィルム全体に対する配合量が20質量%を超えると、樹脂フィルムの耐衝撃性及び手切れ性が損なわれ得る。」(【0027】)ことから、「植物由来のポリエチレン系樹脂を、フィルム全体に対して10~20質量%含む」(請求項1)範囲としたものであって、望まれるバイオマス度の達成のために数値範囲の下限を10質量%としたものであるが、10質量%を下回る含有量であっても、「環境への負荷を低減する」という課題の解決に貢献できないというわけではない。環境への負荷を低減させる作用が小さくなるとしても、石油由来のポリオレフィン系樹脂のみからなる従来のシーラントと比べれば低減できることは明らかであって、「環境への負荷が低減された包装材シーラント用ポリエチレン系樹脂フィルムの提供」を解決できなくなる阻害事由は存在しない。 なお、上述のように、甲2では、「植物由来のポリエチレン系樹脂を、フィルム全体に対して10~20質量%含む」(請求項1)範囲としたものであり、望まれるバイオマス度の達成のために下限は10質量%に設定されている。また、甲3では、「植物由来のLLDPEを20質量%以上含むため、高いバイオマス度を達成することができる。しかしながら、この量が70質量%を超えると、植物由来樹脂の配合に伴い生じるシーラントフィルムとしての手切れ性及び耐衝撃性の低下を防ぐことができない。」(【0021】)ことから、「植物由来の直鎖状低密度ポリエチレン20~70質量%」(請求項1)として、その下限は20質量%に設定されている。さらに、本件発明1では、「(但し、植物由来のポリエチレン系樹脂を、フィルム全体に対して10質量%以上含む、包装材シーラント用ポリエチレン系樹脂フィルムを除く。)」ものであるから、10質量%未満が範囲とされ、その下限は実質的に0質量%である。これらのことからすれば、望まれるバイオマス度(植物由来のLLDPEの配合割合)は、必要に応じて適宜設定され得るものであるといえ、それが設定数値の範囲内を達成できないことをもって環境への負荷を低減するという課題が解決できなくなるというものではない。 したがって、上記主張を採用することはできない。 (オ)以上のことから、相違点2に係る本件発明1の構成とすることは、甲2発明、甲1~甲3に記載された技術的事項に基づき、当業者が容易に想到し得たことである。 オ 効果について (ア)シーラント層のバイオマス由来の直鎖状低密度ポリエチレンの含有量について、本件発明1は、「シーラント層(但し、植物由来のポリエチレン系樹脂を、フィルム全体に対して10質量%以上含む、包装材シーラント用ポリエチレン系樹脂フィルムを除く。)」ものであるから、10質量%未満とするものであるが、本件特許明細書等で「従来の化石燃料由来のポリエチレンを用いることは環境負荷が大きい。」(【0004】)と記載されることからみて、10質量%未満でも含有することで従来よりもバイオマス度を高めて環境負荷を減らすことができるものと理解できる。また、「バイオマス由来の直鎖状低密度ポリエチレンと化石燃料由来の直鎖状低密度ポリエチレンの2種を混合して、包装袋のシーラント層を形成した場合、耐衝撃性および手切れ性を十分に両立できないという技術的課題に直面した。」(【0006】)との記載から、バイオマス由来の直鎖状低密度ポリエチレンの含有量を10質量%未満とすることで、耐衝撃性および手切れ性を両立しようとするものと理解できる。 しかし、これらの効果は、上記エ(ア)で述べたように、甲2にバイオマス由来の直鎖状低密度ポリエチレンを含有させることが記載されると共に、植物由来のポリオレフィン系樹脂の配合率が高くなるにつれて、シーラントとして使用する場合の耐衝撃性及び手切れ性が低下することの示唆があることからすれば、当業者であれば十分に予測できるものである。 (イ)また、低密度ポリエチレンの含有量について、本件発明1は、10質量%以上20質量%以下とするものであり、これにより、「包装袋を製造した際に優れた耐衝撃性および優れた手切れ性を両立することができる。」(【0032】)ものと理解できる。 しかし、この効果は、上記エ(イ)で述べたように、甲3の記載(上記1(2)イ)から、石油由来(化石燃料由来)の低密度ポリエチレンを15質量%以上配合することにより、植物由来樹脂の配合により生じる、製膜化後のフィルムの手切れ性の低下を防ぐことが理解できるから、当業者であれば十分に予測できるものである。 (ウ)さらに、本件発明1の発明特定事項を満たすシーラント層用のポリエチレンフィルムが、本件特許の発明の詳細な説明の実施例として記載されておらず、実施例及び比較例の記載からは、本件発明1の発明特定事項、特に、バイオマス由来の直鎖状低密度ポリエチレンと、化石燃料由来の直鎖状低密度ポリエチレンと、低密度ポリエチレンの、各含有量の数値範囲を満たすことによる顕著な効果を確認することはできない。 (エ)よって、本件発明1の奏する作用効果は、甲2発明、甲1~甲3に記載された技術的事項の作用効果の総和以上のものであるとは認められず、顕著なものということはできない。 カ 以上より、本件発明1は、甲2発明、甲1~甲3に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (2)本件発明2について ア 本件発明2と甲2発明を対比すると、本件発明2と甲2発明は、上記一致点で一致し、上記相違点1及び相違点2で相違する他、次の相違点3でも相違する。 《相違点3》 本件発明2の「前記第1基材層が、延伸ナイロンフィルムであり、該延伸ナイロンフィルムの引張強度が、MD方向で150MPa以上350MPa以下である」のに対し、甲2発明の「2軸延伸ナイロンフィルム(厚さ15μm)」の引張強度は特定されていない点。 イ 相違点1、相違点2については、上記(1)ウ、エで述べたとおりであり、いずれも当業者が容易に想到し得たことである。 次に、相違点3について検討する。 甲4の2軸延伸ナイロンフィルムであるハーデン○RフィルムGS(N5152)の引張破壊強度(タテ(MD方向))が240MPaであることからみて、甲2発明の「2軸延伸ナイロンフィルム(厚さ15μm)」について「引張強度が、MD方向で150MPa以上350MPa以下」とすることは容易になし得たことである。 ウ 以上より、本件発明2は、甲2発明、甲1~甲4に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (3)本件発明3について ア 本件発明3と甲2発明を対比すると、本件発明3と甲2発明は、上記一致点で一致し、上記相違点1及び相違点2で相違する他、次の相違点4でも相違する。 《相違点4》 本件発明3の「前記第2基材層が、延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムであり、該延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの引張強度が、MD方向で150MPa以上300MPa以下である」のに対し、甲2発明の「蒸着フィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム上にアルミニウムを蒸着した蒸着フィルム、厚さ12μm)」の引張強度は特定されていない点。 イ 相違点1、相違点2については、上記(1)ウ、エで述べたとおりであり、いずれも当業者が容易に想到し得たことである。 次に、相違点4について検討する。 ポリエチレンテレフタレートフィルムの引張強度を上げるために延伸することは一般的な技術であるところ、甲2発明の「蒸着フィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム上にアルミニウムを蒸着した蒸着フィルム、厚さ12μm)」のポリエチレンテレフタレートフィルムについて、甲5のアルミ蒸着バリアフィルムであるVM-PETの破断強度(MD方向)が215~240MPaであるという一般的な技術水準からみて、延伸フィルムとして「引張強度が、MD方向で150MPa以上300MPa以下」とすることは容易になし得たことである。 ウ 以上より、本件発明3は、甲2発明、甲1~甲3に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (4)本件発明4について 本件発明4と甲2発明を対比すると、本件発明4と甲2発明は、上記一致点で一致する他、本件発明4の第1基材層及び第2基材層が、それぞれ、5μm以上40μm以下の厚さを有することに、甲2発明の2軸延伸ナイロンフィルムが厚さ15μmであること、及びポリエチレンテレフタレートフィルム上にアルミニウムを蒸着した蒸着フィルムが厚さ12μmであることが一致し、上記相違点1及び相違点2で相違する。 相違点1、相違点2については、上記(1)ウ、エで述べたとおりであり、いずれも当業者が容易に想到し得たことである。 以上より、本件発明4は、甲2発明、甲1~甲3に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (5)本件発明5について ア 本件発明5と甲2発明を対比すると、本件発明5と甲2発明は、上記一致点で一致し、上記相違点1及び相違点2で相違する他、次の相違点5でも相違する。 《相違点5》 本件発明5の「前記シーラント層のバイオマス度が、5%以上30%以下である」のに対し、甲2発明のシーラントのバイオマス度は13%である点。 イ 相違点1、相違点2については、上記(1)ウ、エで述べたとおりであり、いずれも当業者が容易に想到し得たことである。 次に、相違点5について検討する。 上記(1)エで述べたように、甲2発明の「植物由来のLLDPE(ブラスケム社製C4-SLL118、密度0.916kg/m3、MFR1.0g/10分)」を、植物由来のポリオレフィン系樹脂の配合率が高くなるにつれて、シーラントとして使用する場合の耐衝撃性及び手切れ性が低下することを考慮して、10質量%を下回る含有量とすることは、適宜なし得たことであるところ、シーラント層のバイオマス度が5%以上を確保できるように、甲2発明の「植物由来のLLDPE(ブラスケム社製C4-SLL118、密度0.916kg/m3、MFR1.0g/10分)」の含有量を設定することも、適宜なし得たことである。 ウ 以上より、本件発明5は、甲2発明、甲1~甲3に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (6)本件発明6について 本件発明6と甲2発明を対比すると、本件発明6と甲2発明は、上記一致点で一致する他、本件発明6の金属蒸着層がアルミニウム蒸着層であることに、甲2発明の蒸着フィルムがアルミニウムを蒸着したものであることが一致し、上記相違点1及び相違点2で相違する。 相違点1、相違点2については、上記(1)ウ、エで述べたとおりであり、いずれも当業者が容易に想到し得たことである。 以上より、本件発明6は、甲2発明、甲1~甲3に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (7)本件発明7について ア 本件発明7と甲2発明を対比すると、本件発明7と甲2発明は、上記一致点で一致し、上記相違点1及び相違点2で相違する他、次の相違点6でも相違する。 《相違点6》 本件発明7の「前記積層体が、前記第1基材層と前記金属蒸着層の間に、印刷層をさらに備える」のに対し、甲2発明の積層体は、印刷層を備えるとは特定されていない点。 イ 相違点1、相違点2については、上記(1)ウ、エで述べたとおりであり、いずれも当業者が容易に想到し得たことである。 次に、相違点6について検討する。 甲2発明の積層体はパウチを作成するもの(甲2の【請求項5】、【0001】)であるところ、このようなパウチに用いられる積層体に印刷層を設けることは周知であり、また、甲2及び甲3には、基材フィルムを詰め替えパウチに適用する場合は印刷適性に優れることが好ましい旨(甲2の【0052】、甲3の【0053】)も記載されている。このことから、甲2において、パウチの外側から目視できるように、最表層の「2軸延伸ナイロンフィルム(厚さ15μm)」と蒸着フィルムの間に印刷層を配置することは、当業者が容易に想到し得たことである。 ウ 以上より、本件発明7は、甲2発明、甲1~甲3に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (8)本件発明8について ア 本件発明8と甲2発明を対比すると、本件発明8と甲2発明は、上記一致点で一致し、上記相違点1及び相違点2で相違する他、次の相違点7でも相違する。 《相違点7》 本件発明8の「前記積層体が、前記第1基材層と前記金属蒸着層の間および/または前記第2基材層と前記シーラント層の間に、接着層をさらに備える」のに対し、甲2発明の積層体は、接着層を備えるとは特定されていない点。 イ 相違点1、相違点2については、上記(1)ウ、エで述べたとおりであり、いずれも当業者が容易に想到し得たことである。 次に、相違点7について検討する。 甲2には「基材フィルムとシーラントとの接着は、接着層を介して押出ラミネート法(所謂サンドイッチラミネート法)により貼り合わせることができる。」(【0053】)と記載されており、必要に応じて、甲2発明のシーラントとしての樹脂フィルムと蒸着フィルムの接着に、接着層を介するようにすることは、当業者が容易に想到し得たものである。 ウ 以上より、本件発明7は、甲2発明、甲1~甲3に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (9)本件発明9について ア 本件発明9と甲2発明を対比すると、本件発明9と甲2発明は、上記一致点で一致し、上記相違点1及び相違点2で相違する他、次の相違点8でも相違する。 《相違点8》 本件発明9は、積層体を包装袋に用いたものであるのに対し、甲2発明は、包装袋に用いるかは特定されていない点。 イ 相違点1、相違点2については、上記(1)ウ、エで述べたとおりであり、いずれも当業者が容易に想到し得たことである。 次に、相違点8について検討する。 上記(7)イで述べたように、甲2発明の積層体はパウチを作成するものであるところ、パウチは食品や液体等を包装する包装袋であるから、甲2発明の積層体を包装袋に用いることは、当業者が容易に想到し得たことである。 ウ 以上より、本件発明9は、甲2発明、甲1~甲3に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第6 むすび 以上より、本件特許の請求項1~9に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 よって、結論のとおり決定する。

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2022-701151

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