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特許異議申立

2022-701150

積層体およびそれを備える包装袋

審判番号
2022-701150
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2018-026315
登録番号
7073776
請求日
2022年11月21日
審決日
2023年04月07日
公報発行日
2023年05月26日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】大日本印刷株式会社
  • 【権利者代理人】宮嶋 学
  • 【権利者代理人】浅野 真理
  • 【権利者代理人】高田 泰彦
  • 【権利者代理人】柏 延之
  • 【権利者代理人】丸島 裕
  • 【権利者代理人】永井 浩之
  • 【権利者代理人】中村 行孝
  • 【権利者代理人】佐藤 泰和
  • 【権利者代理人】朝倉 悟
  • 【権利者代理人】小島 一真
  • 【異議申立人】古川 慎二
審判長/審判官
  • 審判長 藤原 直欣
  • 審判官 井上 茂夫
  • 審判官 藤井 眞吾
分類
P1651.121-Y (B32B)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第113条第2号、特許法第36条第4項第1号、特許法第113条第4号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7073776号発明「積層体およびそれを備える包装袋」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7073776号の請求項1ないし11に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7073776号(以下「本件特許」という。)の請求項1~11に係る特許についての出願は、平成30年2月16日(優先権主張 平成29年3月31日)を出願日とする出願であって、令和4年5月16日にその特許権の設定登録(特許掲載公報発行:令和4年5月24日)がされ、その後、その特許について、令和4年11月21日に特許異議申立人古川慎二(以下「申立人」という。)により特許異議の申立てがされたものである。 第2 本件特許発明 本件特許の請求項1~11に係る発明は、特許請求の範囲の請求項1~11に記載された事項により特定される、次のとおりのものである(以下、各発明を「本件発明1」のようにいい、総称して「本件発明」ともいう。)。 「【請求項1】 積層体の製造方法であって、 前記積層体が、少なくとも、第1基材層と、透明蒸着層と、第2基材層と、シーラント層とをこの順に備え、 前記第1基材層が、ポリエチレンテレフタレートを含み、 前記第2基材層が、ポリアミドを含み、 前記シーラント層が、バイオマス由来の直鎖状低密度ポリエチレンと、低密度ポリエチレンとを含み、 前記シーラント層の厚みが、80μm以上150μm以下であり、 前記製造方法が、前記第1基材層にプラズマ前処理を施した後、プラズマ処理面上に前記透明蒸着層を形成する工程を有し、 前記プラズマ前処理のプラズマガスが、酸素ガスとアルゴンガスとを含み、 前記酸素ガスの流量が前記アルゴンガスの流量よりも多い、積層体の製造方法。 【請求項2】 前記シーラント層が、前記低密度ポリエチレンを5質量%以上25質量%以下含む、請求項1に記載の積層体の製造方法。 【請求項3】 前記シーラント層が、化石燃料由来の直鎖状低密度ポリエチレンをさらに含む、請求項1または2に記載の積層体の製造方法。 【請求項4】 前記シーラント層が、前記バイオマス由来および/または化石燃料由来の直鎖状低密度ポリエチレンを合計で75質量%以上95質量%以下含む、請求項3に記載の積層体の製造方法。 【請求項5】 前記シーラント層のバイオマス度が、5%以上30%以下である、請求項1~4のいずれか一項に記載の積層体の製造方法。 【請求項6】 前記透明蒸着層が、酸化ケイ素または酸化アルミニウムの蒸着膜である、請求項1~5のいずれか一項に記載の積層体の製造方法。 【請求項7】 前記透明蒸着層が酸化アルミニウムを含み、前記第1基材層と前記透明蒸着層との界面にAL-Cの共有結合を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の積層体の製造方法。 【請求項8】 前記透明蒸着層の面上にガスバリア性塗布膜を備える、請求項1~7のいずれか一項に記載の積層体の製造方法。 【請求項9】 前記積層体が、前記透明蒸着層と前記第2基材層の間に、印刷層をさらに備える、請求項1~8のいずれか一項に記載の積層体の製造方法。 【請求項10】 前記積層体が、前記透明蒸着層と前記第2基材層の間および/または前記第2基材層と前記シーラント層の間に、接着層をさらに備える、請求項1~9のいずれか一項に記載の積層体の製造方法。 【請求項11】 請求項1~10のいずれか一項に記載の積層体の製造方法を用いて包装袋を製造する、包装袋の製造方法。」 第3 特許異議の申立てについて 1.特許異議の申立ての概要 申立人は、次の甲第1号証~甲第4号証(以下「甲1」~「甲4」という。)を提出して、以下の理由を申立てている。 甲1:特開2015-36208号公報 甲2:特開平11-262970号公報 甲3:特開2013-176951号公報 甲4:国際公開第2014/050951号 (1)進歩性に係る申立理由 本件発明1~11は、甲1に記載された発明及び甲2~甲4に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に違反し、それらの特許は特許法第113条第2号に該当する。 (2)記載不備に係る申立理由 本件発明1~11は、以下ア、イに示す理由により、特許法第36条第4項第1号及び同法同条第6項第1号の規定に違反し、それらの特許は特許法第113条第4号に該当する。 ア 審査段階の補正によって本件発明に対応しないものとなった実施例6(酸素ガスの流量がアルゴンガスの流量よりも少ない酸素/アルゴン混合プラズマガスを使用)と本件発明に対応する実施例7は、評価結果(本件特許明細書の表1)がいずれも「○」であり、本件発明の構成による効果の有無は裏付けられていないから、本件発明は、発明の詳細な説明において発明の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲を超えるものである。 イ 本件発明の「前記酸素ガスの流量が前記アルゴンガスの流量よりも多い」との構成による技術的意義として、どのように課題が解決されたかが明確でなく、当業者が発明の技術上の意義を理解するために必要な事項が明示されているとは言えない。 2.記載不備に係る申立理由についての判断 事案に鑑み、記載不備に係る申立理由より検討する。 (1)上記1.(2)アの申立理由について ア 本件発明の解決しようとする課題は、本件特許明細書の記載によれば「バイオマス度を高めながら、耐衝撃性および手切れ性に優れた包装袋を製造できる積層体を提供すること」である。 イ この課題の解決に関し、「積層体」について本件特許明細書には次の記載がある。 (ア)積層体について 「【0021】 <積層体> 本発明による積層体は、少なくとも、第1基材層と、透明蒸着層と、第2基材層と、シーラント層とをこの順に備えるものである。積層体は、さらに、印刷層やガスバリア性塗布膜、接着層、他の層等をさらに備えてもよい。」 (イ)基材層について 「【0023】 [基材層] 本発明による積層体は、第1基材層と、積層体の内側に位置する第2基材層とを少なくとも備えるものである。基材層を少なくとも2層備えることで、包装袋を製造した際に、手切れ性を向上させることができる。 【0024】 第1基材層は、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルを含む樹脂層である。第1基材層は延伸されていることが好ましく、2軸延伸されていることが好ましい。第1基材層としてポリエチレンテレフタレート樹脂層を備えることで耐水性を向上させることができる。また、第1基材層としてポリエチレンテレフタレート樹脂層を備えることで手切れ性を向上させることができる。 ・・・・ 【0026】 第2基材層は、ポリアミドを含む樹脂層である。第2基材層は延伸されていることが好ましく、2軸延伸されていることが好ましい。ポリアミドとしては、ナイロン6、・・・・等が挙げられる。第2基材層として耐水性に劣るポリアミド樹脂層を積層体の外側ではなく内部に備えることで、耐水性を損なわずに包装袋に要求される強度を向上させることができる。」 (ウ)シーラント層について 「【0045】 [シーラント層] 本発明による積層体は、包装袋を製造する際に、最内層となるシーラント層を備えるものである。シーラント層は、バイオマス由来の直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)と、低密度ポリエチレン(LDPE)とを含むものであり、化石燃料由来の直鎖状低密度ポリエチレンをさらに含んでもよい。また、低密度ポリエチレンは、バイオマス由来であってもよいし、化石燃料由来であってもよい。シーラント層は、バイオマス由来の直鎖状低密度ポリエチレンと、低密度ポリエチレンの両方を含むことで、包装袋を製造した際に優れた耐衝撃性および優れた手切れ性を両立することができる。」 「【0060】 シーラント層は、80μm以上150μm以下、好ましくは90μm以上140μm以下、より好ましくは100μm以上130μm以下の厚さを有するものである。シーラント層の厚さが上記範囲であれば、包装袋を製造した際に優れた耐衝撃性および優れた手切れ性を両立することができる。」 (エ)実施例と比較例(【0098】~【0120】) a 実施例1~5:第1基材層(PETフィルム)、透明蒸着層、ガスバリア性塗布膜、印刷層、接着剤層、第2基材層(2軸延伸ナイロンフィルム)、接着剤層、及びシーラント層(バイオマス由来の直鎖状低密度ポリエチレンと低密度ポリエチレン、厚さ80~150μm)が順に積層された積層体 b 比較例1:シーラント層を70μmに変更 c 比較例2:第1基材層と第2基材層ともPETフィルムに変更 d 比較例3:シーラント層を直鎖状低密度ポリエチレンのみに変更 e 【表1】(実施例と比較例の積層体の評価結果をまとめたもの) [図:0001397218000001.jpg] ウ 上記イ(ア)~(エ)の記載より、次の事項が理解できる。 (ア)積層体は、少なくとも、第1基材層と、透明蒸着層と、第2基材層と、シーラント層とをこの順に備える。 (イ)基材層を少なくとも2層備え、第1基材層としてポリエチレンテレフタレート樹脂層を備えることで手切れ性を向上させることができ、第2基材層として耐水性に劣るポリアミド樹脂層を積層体の外側ではなく内部に備えることで、耐水性を損なわずに包装袋に要求される強度が向上できる。 (ウ)シーラント層は、バイオマス由来の直鎖状低密度ポリエチレンと、低密度ポリエチレンの両方を含むことで、包装袋を製造した際に優れた耐衝撃性および優れた手切れ性を両立することができる シーラント層は、80μm以上150μm以下、好ましくは90μm以上140μm以下、より好ましくは100μm以上130μm以下の厚さを有し、この範囲であれば、包装袋を製造した際に優れた耐衝撃性および優れた手切れ性を両立することができる。 エ 上記ウ(ア)~(ウ)の事項からみて、これらの事項を備える本件発明は、発明の詳細な説明において発明の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲を超えるものではない。 オ 申立人は、審査段階の補正によって本件発明に対応しないものとなった実施例6が、本件発明に対応する実施例7と同様に、評価結果が良好であることをもって、本件発明の構成による効果の有無は裏付けられていない旨主張する。 しかし、本件発明の構成を備えた実施例1~7においては、耐衝撃性と手切れ性が良好であったのに対し、シーラント層の厚みを80μm以上150μm以下の範囲外に変更した比較例1と、第2基材層をポリアミドからPETに変更した比較例2は、耐衝撃性が不良となり、シーラント層に低密度ポリエチレンを含まないように変更した比較例3は、手切れ性が不良となるとの評価結果からすれば、本件発明の構成により、「バイオマス度を高めながら、耐衝撃性および手切れ性に優れた包装袋を製造することができる」(本件特許明細書の【0019】)との効果が得られることが裏付けられているといえる。 よって、上記1.(2)アの申立理由には、理由がない。 (2)上記1.(2)イの申立理由について 本件特許明細書には、「基材層に透明蒸着層を形成する場合、基材層の表面に、予め、不活性ガスによるプラズマ前処理を施しておいてもよい。・・・・基材層の表面をプラズマ前処理することにより、基材層の表面の水分、塵などを除去すると共にその表面の平滑化、活性化などの表面処理を施すことができる。」(【0037】)、「プラズマ前処理方法としては、例えば、基材層の面に、気体をア-ク放電により電離させることにより生じるプラズマガスを利用して基材層の表面改質を行うプラズマ表面処理法などを用いることができる。・・・・プラズマガスとしては、不活性ガスに酸素ガスを添加した混合ガスを使用してもよく、酸素ガスとアルゴンガスの混合ガスを使用することが好ましい。混合ガスの混合比率は適宜調節することができる。」(【0038】)と記載され、実施例7の酸素ガスの流量がアルゴンガスの流量よりも多い態様(プラズマ形成ガス:酸素3000(sccm)、アルゴン1200(sccm))において、製造したパウチの性能が良好であったことが確認されている。 よって、本件特許明細書には、発明が解決しようとする課題や、その解決手段について記載されており、本件発明の「前記酸素ガスの流量が前記アルゴンガスの流量よりも多い」との構成による技術的意義は明確であり、当業者が発明の技術上の意義を理解するために必要な事項が明示されているといえる。 よって、上記1.(2)イの申立理由には、理由がない。 3.進歩性に係る申立理由についての判断 (1)甲1に記載された発明 甲1の、特に実施例1、2の記載(【0195】~【0202】、【0214】)から、甲1には次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されているといえる。 「バイオマスPETフィルム(厚さ12μm)を用意し、一方の面にコロナ処理を施し、コロナ処理を施したバイオマスPETフィルムを巻き取り式の真空蒸着装置の送り出しロールに装着し、次いで、これを繰り出し、そのバイオマスPETフィルムのコロナ処理面に、アルミニウムを蒸着源に用いて、酸素ガスを供給しながら、エレクトロンビーム(EB)加熱方式によるPVD法により、膜厚80Åの酸化アルミニウムの蒸着層を形成し、この蒸着層の表面にガスバリア性塗布膜を形成してバリア性フィルムを作製し、 このバリア性フィルムのガスバリア性塗布膜の面に印刷層を形成し、次いで、バリア性フィルムの印刷面と、二軸延伸ナイロンフィルム(支持体)とをドライラミネート法を用いて貼合し、さらに、二軸延伸ナイロンフィルムと、直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(シーラント層)とをドライラミネート法を用いて貼合して、 外面から、バイオマスPETフィルム、蒸着層、ガスバリア性塗布膜、印刷層、接着剤層、二軸延伸ナイロンフィルム、接着剤層、および直鎖状低密度ポリエチレンフィルムが順次積層された、積層フィルムの製造方法。」 (2)本件発明1について ア 本件発明1と甲1発明を対比する。 甲1発明の「バイオマスPETフィルム」、「酸化アルミニウムの蒸着層」、「二軸延伸ナイロンフィルム」は、それぞれ、本件発明1の「ポリエチレンテレフタレートを含」む「第1基材層」、「透明蒸着層」、「ポリアミドを含」む「第2基材層」に相当する。 甲1発明の「直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(シーラント層)」と本件発明1の「バイオマス由来の直鎖状低密度ポリエチレンと、低密度ポリエチレンとを含」む「シーラント層」とは、「ポリエチレンを含む」「シーラント層」という限りで一致する。 甲1発明の「バイオマスPETフィルム」、「酸化アルミニウムの蒸着層」、「二軸延伸ナイロンフィルム」、「直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(シーラント層)」が順次積層された「積層フィルム」は、本件発明1の「第1基材層と、透明蒸着層と、第2基材層と、シーラント層とをこの順に備え」た「積層体」に相当する。 イ そうすると、本件発明1と甲1発明は、 《一致点》 「積層体が、少なくとも、第1基材層と、透明蒸着層と、第2基材層と、シーラント層とをこの順に備え、 前記第1基材層が、ポリエチレンテレフタレートを含み、 前記第2基材層が、ポリアミドを含み、 前記シーラント層が、ポリエチレンを含むシーラント層である、積層体の製造方法。」で一致し、次の相違点1~3で相違する。 《相違点1》 ポリエチレンを含むシーラント層に関し、本件発明1が「バイオマス由来の直鎖状低密度ポリエチレンと、低密度ポリエチレンとを含」む「シーラント層」であるのに対し、甲1発明は「直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(シーラント層)」である点。 《相違点2》 本件発明1の「シーラント層の厚みが、80μm以上150μm以下であ」るのに対し、甲1発明1は特定されていない点。 《相違点3》 本件発明1が、「前記第1基材層にプラズマ前処理を施した後、プラズマ処理面上に前記透明蒸着層を形成する工程を有し、前記プラズマ前処理のプラズマガスが、酸素ガスとアルゴンガスとを含み、前記酸素ガスの流量が前記アルゴンガスの流量よりも多い」のに対し、甲1発明は、バイオマスPETフィルムの一方の面にコロナ処理を施した点。 ウ 上記相違点3から検討する。 甲1には、「基材層11に蒸着層12を形成する場合、基材層11の表面に、予め、コロナ放電処理、フレーム処理などを施しておくことが好ましい。これらの処理を施すことにより、基材層11と蒸着層12との接着強度を向上させることができる。これにより、基材層11および蒸着層12を強固に密着させて、その層間剥離(デラミネーション)などの発生を抑制することができる。」(【0068】)、「コロナ放電処理、フレーム処理以外に、基材層11の表面に、予め、不活性ガスによるプラズマ処理を施しておいてもよい。」(【0069】)、「プラズマ処理方法としては、例えば、基材層11の面に、気体をア-ク放電により電離させることにより生じるプラズマガスを利用して基材層11の表面改質を行うプラズマ表面処理法などを用いることができる。具体的には、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス、その他などの不活性ガスをプラズマガスとして使用し、プラズマ表面処理法で基材層11の表面をプラズマ処理することができる。なお、プラズマガスとしては、上記の不活性ガスに、さらに酸素ガスを添加した混合ガスを使用してもよい。」(【0070】)と記載されているが、これらの記載は任意の態様であって、実施例から認定した甲1発明のバイオマスPETフィルムに施すコロナ処理を、不活性ガスによるプラズマ処理に換え、プラズマガスを酸素ガスとアルゴンガスを含むものとする積極的な動機付けは記載されておらず、酸素ガスの流量をアルゴンガスの流量よりも多いものとすることも示唆されていない。 甲2には、酸化アルミニウムの蒸着膜を形成するにあたり、PETフィルムの表面にプラズマ処理を行う場合の酸素ガスとアルゴンガスのガス圧の分圧比を、「酸素ガス:アルゴンガス=90:10~70:30」(請求項8)とすることが記載されているが、甲1発明のコロナ処理を酸素ガスとアルゴンガスによるプラズマ処理に換える動機付けについては記載されていない。他の甲3、甲4も同様である。 よって、甲1発明において酸素ガスとアルゴンガスによるプラズマ前処理を採用し、さらに、酸素ガスの流量をアルゴンガスの流量よりも多いものとすることは、甲1発明から容易に想到し得たものではない。 エ 以上より、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明及び甲2~甲4に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (3)本件発明2~11について 本件発明2~11は、本件発明1の発明特定事項を全て備え、さらに限定するものであるから、上記(2)で検討した理由と同様に、甲1発明及び甲2~甲4に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない 4.むすび 以上のとおり、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1~11に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に請求項1~11に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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