特許異議申立
2022-701105
パワーコンディショナ
- 審判番号
- 2022-701105
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2021-040690
- 登録番号
- 7067647
- 請求日
- 2022年11月11日
- 審決日
- 2023年06月28日
- 公報発行日
- 2023年07月28日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】オムロン株式会社
- 【権利者代理人】弁理士法人秀和特許事務所
- 【異議申立人】パナソニック 株式会社
- 【異議申立人代理人】宗田 悟志
- 審判長/審判官
- 審判長 須田 勝巳
- 審判官 山澤 宏
- 審判官 篠原 功一
- 分類
- P1651.121-Y (H02M)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7067647号発明「パワーコンディショナ」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7067647号の請求項に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7067647号の請求項1ないし8に係る特許についての出願は、平成30年2月27日に出願した特願2018-33697号の一部を令和3年3月12日に新たな特許出願としたものであって、令和4年5月6日にその特許権の設定登録がされ、同年5月16日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許に対し、令和4年11月11日に特許異議申立人パナソニック株式会社(以下、「申立人」という。)は、特許異議の申立てを行った。
第2 本件特許発明
特許第7067647号の請求項1ないし8に係る発明(以下、「本件特許発明1」ないし「本件特許発明8」という。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1ないし8に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
入力された直流電力を所定の直流電力または交流電力に変換して出力するパワーコンディショナであって、
該パワーコンディショナの筐体内に、電力を入力するための配線が接続される入力側接続端子と、電力を出力するための配線が接続される出力側接続端子とを有し、
前記筐体は、本体と正面カバーとからなり、
前記筐体の本体は、金属製であるとともに、設置姿勢における上面と下面と側面とを有し、
前記筐体の上面前側には前記パワーコンディショナを運搬するための把持部が設けられ、
前記把持部は上方に伸びさらに後方に伸びた形状を有することを特徴とする、パワーコンディショナ。
【請求項2】
前記本体の上面前側は、上方に伸びた形状を有し、
前記正面カバーは、前記本体の上面位置よりも上方に伸びさらに後方に伸びた形状を有し、
前記筐体の上面前側の把持部は、前記本体の上面前側の上方に伸びた形状と、前記正面カバーの上方に伸びさらに後方に伸びた形状とからなり、
前記正面カバーの上方に伸びた部分は、前記本体の上方に伸びた部分と平行に配置されたことを特徴とする、請求項1に記載のパワーコンディショナ。
【請求項3】
前記本体の上面前側の形状は、上方に伸びさらに後方に伸びた形状であって、
前記正面カバーにおける、前記後方に伸びた部分は、前記本体における、前記後方に伸びた部分に平行に配置されたことを特徴とする、請求項2に記載のパワーコンディショナ。
【請求項4】
入力された直流電力を所定の直流電力または交流電力に変換して出力するパワーコンディショナであって、
該パワーコンディショナの筐体内に、電力を入力するための配線が接続される入力側接続端子と、電力を出力するための配線が接続される出力側接続端子とを有し、
前記筐体は、正面カバーと本体とからなり、
前記本体は金属製であり、正面側は開口されるとともに設置姿勢における上面と下面と側面とを有し、前記直流電力を入力するための配線を接続する入力側開閉器と、外部装置に電力を出力するための配線を接続する出力側端子台とが、前記上面と前記下面と前記側面に囲まれた内部に、前記開口に露出するように設けられるとともに、前記直流電力を入力するための配線及び前記外部装置に電力を出力するための配線を引き込むための配線孔を備え、
前記正面カバーは、前記開口を覆うように前記本体にねじ止めによって取付けるものであり、
前記正面カバーは、前記本体の開口の上端の高さよりも上方に伸びる第1部分と、前記第1部分の上端部から後方に向かって伸びる第2部分と、前記第2部分の後端部から下方に向かって伸びる第3部分と、を有し、
前記第1部分と前記第2部分と前記第3部分とにより囲まれた位置に、該パワーコンディショナを運搬する把持部として用いられる、指を挿入する空間が形成されることを特徴とする、パワーコンディショナ。
【請求項5】
前記空間は、断面形状が前記第1部分及び前記第3部分を上底及び下底とした略台形となる四角柱形状であることを特徴とする、請求項4に記載のパワーコンディショナ。
【請求項6】
前記本体の上面前側は、上方に伸びる第4部分と、前記第4部分の上端部から前記後方に向かって伸びる第5部分と、を有することと特徴とする、請求項4または5に記載のパワーコンディショナ。
【請求項7】
前記第3部分の下端と前記本体の上面との間の位置に指を挿入できる隙間を有することを特徴とする、請求項4から6のいずれか一項に記載のパワーコンディショナ。
【請求項8】
入力された直流電力を所定の直流電力または交流電力に変換して出力するパワーコンディショナであって、
該パワーコンディショナの筐体内に、電力を入力するための配線が接続される入力側接続端子と、電力を出力するための配線が接続される出力側接続端子とを有し、
前記筐体は、正面カバーと本体とからなり、
前記本体は、金属製であり、正面側は開口されるとともに設置姿勢における上面と下面と側面とを有し、前記直流電力を入力するための配線を接続する入力側開閉器と、外部装置に電力を出力するための配線を接続する出力側端子台とを、前記上面と前記下面と前記側面に囲まれた内部に、前記開口に露出するように設けるとともに、前記直流電力を入力するための配線及び前記外部装置に電力を出力するための配線を引き込むための配線孔を備え、
前記正面カバーは、前記開口を覆うように前記本体にねじ止めによって取付けるものであり、
前記正面カバーは、前記本体の開口の上端の高さよりも上方に伸びる第1部分と、前記第1部分の上端部から後方に向かって伸びる第2部分と、前記第2部分の後端部から下方に向かって伸びる第3部分と、を有し、
前記第3部分の下端と前記本体の上面との間の位置に、該パワーコンディショナを運搬する把持部として用いられる、指を挿入するための隙間を有することを特徴とする、パワーコンディショナ。」
第3 申立理由の概要
1 申立理由(進歩性)
特許異議申立人は、証拠として、下記の甲第1号証ないし甲第6の1~3号証を提出し、請求項1ないし8に係る特許は、甲第1号証に記載された発明を主引例とし、各種の公知文献の開示を組み合わせることで、原出願前に当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第113条第2号に該当し、取り消すべきである旨主張する。(特許異議申立書70頁10-14行)
2 証拠
甲第1号証:特開2017-99161号公報
甲第2号証:意匠登録第1588119号公報
甲第3号証:意匠登録第1595741号公報
甲第4号証:特開2017-118597号公報
甲第5号証:特開2016-63715号公報
甲第6の1~3号証: パワーコンディショナ(SPSS-55A-SN)の写真
第4 甲第1号証ないし甲第6の3号証の記載
1 甲第1号証に記載された事項及び甲1発明
(1)甲第1号証に記載された事項
甲第1号証には、以下の事項が記載されている。(下線は当審で付加。以下同様。)
ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光などの再生可能エネルギーから得られた直流電力を交流電力に変換する電力変換装置に係り、特に、配線位置の選択性を備えた電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電システム用の電力変換装置(パワーコンディショナと称する)は、その筐体内に、太陽電池が発電する直流電力を入力として昇圧回路で昇圧し、商用電力系統と同期した所定の交流電力にインバータ回路で変換し、この変換された交流電力を商用電力系統へ重畳可能とする電力変換回路を収容している。
【0003】
パワーコンディショナを建物の外壁に取り付ける屋外設置式とする場合、風雨に晒されるため、パワーコンディショナ内に雨水が浸入しないようにすることが重要であり、電力変換回路の発熱部品の放熱を良好にすることも重要である。
このため、パワーコンディショナを収納ボックス内へ収納した状態で、家屋の外壁に取り付ける構造が採用されている(特許文献1)。」
イ 「【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の場合は、余分に必要な収納ボックスの底壁に形成した入力側配線孔と出力側配線孔を通して、入力側配線と出力側配線を行うため、風雨対策が講じられているが、配線が下方へ延びるため外部から視認可能であり、外観上好ましくない。この対策として、これら配線を特別な配線カバーで覆うことが考慮されるが、配線カバーとその取り付け工事費が余分のコストアップをもたらす。
【0006】
本発明は、このような配線カバーを使用しないように、筺体の背壁を貫通して建物の壁内や建物内に配線できる背面配線方式を採用可能とし、この方式が採用できない建物の構造の場合には、上記のように筺体の下壁を貫通して配線される下面配線方式が、選択可能となる配線方式を備える電力変換装置を提供するものであり、筺体内に収容した電力変換回路との電気的接続のし易さ、及び配線の無駄を少なくすることを考慮し、且つ配線工事の融通性が確保できる電力変換装置を提供するものである。」
ウ 「【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る電力変換装置の蓋体を開けたときの状態を示す正面視の分解図である。
【図2】本発明に係る電力変換装置の本体の正面図である。
【図3】図2において本体の下壁に設けた直流用配線導入孔及び交流用配線導入孔を通って配線した状態の説明図である。
【図4】図2において本体内の背壁に設けた直流用配線導入孔及び交流用配線導入孔を通って配線した状態の説明図である。
【図5】本発明に係る電力変換装置の本体の裏側から見た斜視図である。
【図6】本発明に係る電力変換装置の本体内に設けた配線配置部及びヒートシンク部分の構成を示す断面図である。
【図7】本発明に係る電力変換装置を建物の外壁に取り付けた状態の側面図である。」
エ 「【0020】
本発明は、太陽光などの再生可能エネルギーから得られる直流電力を商用電力系統と同期した所定の交流電力に変換して前記商用電力系統へ重畳可能に成した電力変換装置において、
上下壁、左右壁及び背壁で囲まれ全面開口の本体と、前記前面開口の周縁をパッキンを介して水密状態に閉塞する蓋体を備え、前記本体の背壁が建物の外壁に沿って縦方向配置となる筐体と、前記筐体内に収容され前記再生可能エネルギーから得られる直流電力を前記商用電力系統へ重畳可能な交流に変換する電力変換回路を備え、
前記筐体内の下部の左右離れた位置に、一方側に前記太陽電池と前記電力変換回路とを接続する入力側配線用端子台、他方側に前記電力変換回路と前記商用電力系統とを接続する出力側配線用端子台が配置され、
前記本体の下壁の前記入力側配線用端子台に対応して前記太陽電池と前記入力側配線用端子台との配線が通る入力側配線導入孔、前記本体の下壁の前記出力側配線用端子台に対応して前記出力側配線用端子台と前記商用電力系統との配線が通る出力側配線導入孔が配置され、
更に、前記本体の背壁には、前記入力側配線用端子台側または前記出力側配線用端子台側のいずれか一方に、前記太陽電池と前記入力側配線用端子台との配線が通る入力側配線導入孔、及び前記出力側配線用端子台と前記商用電力系統との配線が通る出力側配線導入孔が形成され、
前記本体の背壁に形成した前記入力側配線導入孔及び前記出力側配線導入孔を通る配線のうち、遠方に位置する前記入力側配線用端子台または前記出力側配線用端子台へ接続する配線を通す配線配置部が前記本体の下壁に沿って形成された構成である。
以下にその実施例を図に基づき説明する。
【0021】
本発明の一実施形態に係る電力変換装置1は、再生可能エネルギーから得られる直流電力を商用電力系統へ重畳可能な交流に変換する電力変換回路INVを構成する電気部品が筐体2内に収容されている。筐体2は、本体3と蓋体4によって構成し、本体3は、上壁3A、下壁3B、左壁3C、右壁3D、及び背壁3Eで囲まれ前面開口3Fを有する矩形状の箱を構成し、蓋体4は、本体3の前面開口3Fの周縁を巡る環状フランジ6に対し、4隅を取り付けネジ5によって着脱自在に取り付ける構成である。
【0022】
図1に示すように、前面開口3Fの周縁を巡る環状フランジ6と密着するように、蓋体4の裏面に環状パッキン30を備える。蓋体4を閉じ、取り付けネジ5を締め付けた状態で、蓋体4の裏面の周縁部に取り付けた環状パッキン30が、環状フランジ6に密着することによって前面開口3Fが閉塞されるが、環状パッキン30を環状フランジ6に取り付ける構成でもよい。後述のように、本体3の下壁3Bに設けた第1入力側配線導入孔27A、第2入力側配線導入孔27B、第1出力側配線導入孔28A、第2出力側配線導入孔28B等の必要な開口や孔を除き、本体3の前面開口3Fを蓋体4によって閉塞した状態で、筐体2は防水構造である。
【0023】
本体3内には電力変換装置1の電力変換回路INVが収容されており、図6に示すように、電力変換回路INVを取り付けるためのシャーシ25が、本体3の背壁3Eに並行配置されている。図1乃至図4に示すように蓋体4を開いた状態で、複数の電装基板20がある。これらの電装基板20は危険防止のために、電力変換回路INVの電気回路部品に人が触れることがないように、複数のカバーで電力変換回路INVを覆っても良い。電装基板20に電力変換回路INVの動作状態を表示する表示器21が正面から目視可能に臨む。更に、太陽電池PVと電力変換回路INVとの入力側配線用端子台22、電力変換回路INVと商用電力系統(GRID)63との出力側配線用端子台23、後述の筐体2の背壁に形成した入力側配線導入孔27B及び出力側配線導入孔28Bが、正面から目視できる状態となる。
【0024】
入力側配線用端子台22は、通常はブレーカ付き配線用端子台であり、内部に過電流にて電路を遮断する機構を備えており、電路が遮断したとき下方へ回動作動する操作部22Sを備え、遮断した電路を接続状態へ復帰させる場合は、下方へ作動した操作部22Sを手動にて上方へ回動作動させればよい。出力側配線用端子台23も同様の構成であってもよい。
【0025】
商用電力系統(GRID)が単相交流電力系統である場合は、電力変換回路INVの一つの形態として、太陽電池PVで発電した直流電力がダイオードを通して直流用リアクトルとスイッチング素子を含む昇圧回路で所定電圧に昇圧され、昇圧回路で昇圧した電力を複数のスイッチング素子で構成する直流・交流変換回路で、商用電力系統(GRID)の周波数に同期する正弦波交流に変換し、交流用リアクトルを含むローパスフィルタで高周波ノイズをカットした状態で、リレー接点を介して商用電力系統(GRID)へ出力する構成である。昇圧回路、直流・交流変換回路及びリレー接点は、制御回路によって動作が制御される構成である。
・・・中略・・・
【0034】
図2等に示すように、筐体2の本体3内下部の左右離れた位置に、一方側に太陽電池PVと電力変換回路INVとを接続する入力側配線用端子台22、他方側に電力変換回路INVから商用電力系統とを接続する出力側配線用端子台23が配置される。図2等に示すように、実施例では、正面視で、右側に入力側配線用端子台22、左側に出力側配線用端子台23を配置している。
・・・中略・・・
【0040】
本発明は、第1入力側配線導入孔27Aまたは第2入力側配線導入孔27Bのいずれか一方を閉塞する入力側閉塞部材29Aと、第1出力側配線導入孔28Aまたは第2出力側配線導入孔28Bのいずれか一方を閉塞する出力側閉塞部材29Bとを備えることにより、使用しない配線導入孔から風雨が筐体2内へ侵入することが防止するようにしておる。
【0041】
即ち、第1入力側配線導入孔27Aと第2入力側配線導入孔27Bは、それぞれ弾力性を有するゴム材や柔軟性を有する合成樹脂製で形成した防水キャップ構造である入力側閉塞部材29Aが、着脱自在に嵌め込まれており、これら孔から筐体2内に風雨が侵入しない構成である。
また、第1出力側配線導入孔28Aと第2出力側配線導入孔28Bは、それぞれ弾力性を有するゴム材や柔軟性を有する合成樹脂製で形成した防水キャップ構造である出力側閉塞部材29Bが、着脱自在に嵌め込まれており、これら導入孔27A、27B、28A、28Bから筐体2内に風雨が侵入しない構成である。
【0042】
このような構成によって、上記のような下面配線方式では、背壁3Eの第2入力側配線導入孔27Bの入力側閉塞部材29Aと第2出力側配線導入孔28Bの出力側閉塞部材29Bを嵌め込んだままとし、下壁3Bの第1入力側配線導入孔27Aの入力側閉塞部材29Aと、第1出力側配線導入孔28Aの出力側閉塞部材29Bを取り外して、PF管や防止コネクタなどを用いて所期の配線を行う。この場合、下壁3Bの第1入力側配線導入孔27A及び第1出力側配線導入孔28Aでは、配線周囲の隙間にパテ等の適宜の填材を詰めて、この隙間を埋める。
また、上記のような背面配線方式では、下壁3Bの第1入力側配線導入孔27Aの入力側閉塞部材29Aと、第1出力側配線導入孔28Aの出力側閉塞部材29Bを嵌め込んだままとし、背壁3Eの第2入力側配線導入孔27Bの入力側閉塞部材29Aと、第2出力側配線導入孔28Bの出力側閉塞部材29Bを取り外して、PF管や防止コネクタなどを用いて所期の配線を行う。この場合、背壁3Eの第2入力側配線導入孔27B及び第2出力側配線導入孔28Bでは、配線周囲の隙間にパテ等の適宜の填材を詰めて、この隙間を埋める。
・・・中略・・・
【0050】
実施例では、太陽電池PVはPV1、PV2、PV3、PV4のように4ユニットで構成しており、入力側配線用端子台22もそれに対応して4セットを備える。図3に示すように、筺体2の下壁、即ち本体3の下壁3Bを貫通して配線される下面配線方式では、PV1とPV2の+配線DCと-配線DCが、一方(左側)の第1入力側配線導入孔27Aを通り、それぞれ対応する左側2個の入力側配線用端子台22へ接続される。また、PV3とPV4の+配線DCと-配線DCが、他方(右側)の第1入力側配線導入孔27Aを通って、それぞれ対応する右側2個の入力側配線用端子台22へ接続される。
【0051】
一方、電力変換回路INVで変換された3相交流電力は、出力側配線用端子台23にそれぞれ接続された3本の配線ACが第1出力側配線導入孔28Aをそれぞれ通って商用電力系統と接続される。」
オ 「【図1】
[図:0001399383000001.jpg]
」
カ 「【図3】
[図:0001399383000002.jpg]
」
キ 「【図4】
」
[図:0001399383000003.jpg]
ク 「【図5】
[図:0001399383000004.jpg]
」
ケ 「【図6】
[図:0001399383000005.jpg]
」
コ 「【図7】
[図:0001399383000006.jpg]
」
(2)甲1発明
ア 上記(1)アの段落【0002】の「電力変換装置(パワーコンディショナと称する)」との記載から、電力変換装置は、“パワーコンディショナ”と称することもできるものであるから、上記(1)エの段落【0021】には、“再生可能エネルギーから得られる直流電力を商用電力系統へ重畳可能な交流に変換する電力変換回路INVを構成する電気部品が筐体2内に収容されているパワーコンディショナ”が記載されているといえる。
イ 上記(1)エの段落【0021】には、“筐体2は、本体3と蓋体4によって構成され、本体3は、上壁3A、下壁3B、左壁3C、右壁3D、及び背壁3Eで囲まれ前面開口3Fを有する矩形状の箱を構成し、蓋体4は、本体3の前面開口3Fの周縁を巡る環状フランジ6に対し、4隅を取り付けネジ5によって着脱自在に取り付ける構成であ”ることが記載されている。
ウ 上記(1)エの段落【0020】の「全面開口の本体と、前記前面開口の周縁をパッキンを介して水密状態に閉塞する蓋体」との記載から、本体の前面開口は、蓋体によって水密状態に閉塞されるものであるから、上記(1)エの段落【0022】には、“前面開口3Fの周縁を巡る環状フランジ6と密着するように、蓋体4の裏面に環状パッキン30を備え、蓋体4を閉じ、取り付けネジ5を締め付けた状態で、蓋体4の裏面の周縁部に取り付けた環状パッキン30が、環状フランジ6に密着することによって前面開口3Fが水密状態に閉塞され”ることが記載されているといえる。
また、同段落【0022】には、“本体3の下壁3Bに設けた第1入力側配線導入孔27A、第2入力側配線導入孔27B、第1出力側配線導入孔28A、第2出力側配線導入孔28B等の必要な開口や孔を除き、本体3の前面開口3Fを蓋体4によって閉塞した状態で、筐体2は防水構造であ”ることが記載されている。
エ 上記(1)の段落【0034】には、“筐体2の本体3内下部の左右離れた位置に、正面視で右側に太陽電池PVと電力変換回路INVとを接続する入力側配線用端子台22、正面視で左側に電力変換回路INVから商用電力系統とを接続する出力側配線用端子台23が配置され”ることが記載されている。
オ 上記(1)エの段落【0024】には、“入力側配線用端子台22は、ブレーカ付き配線用端子台であり、内部に過電流にて電路を遮断する機構を備えており、下方へ作動した操作部22Sを手動にて上方へ回動作動させれば、遮断した電路を接続状態へ復帰させることできるものであ”ることが記載されている。
カ 上記(1)カで摘記した図3の記載から、“太陽電池PVは、本体3の外部にある”ことが看取できるから、上記(1)エの段落【0050】には、“本体3の外部にある太陽電池PVはPV1、PV2、PV3、PV4のように4ユニットで構成しており、入力側配線用端子台22もそれに対応して4セットを備え、筺体2の下壁、即ち本体3の下壁3Bを貫通して配線される下面配線方式では、PV1とPV2の+配線DCと-配線DCが、一方(左側)の第1入力側配線導入孔27Aを通り、それぞれ対応する左側2個の入力側配線用端子台22へ接続され、また、PV3とPV4の+配線DCと-配線DCが、他方(右側)の第1入力側配線導入孔27Aを通って、それぞれ対応する右側2個の入力側配線用端子台22へ接続されて”いることが記載されているといえる。
キ 上記(1)エの段落【0051】には、“電力変換回路INVで変換された3相交流電力は、出力側配線用端子台23にそれぞれ接続された3本の配線ACが第1出力側配線導入孔28Aをそれぞれ通って商用電力系統と接続されて”いることが記載されている。
ク 上記イより、「環状フランジ6」は、“本体3の前面開口3Fの周縁を巡る”ものである。そして、上記(1)クで摘記した図5(本発明に係る電力変換装置の本体の裏側から見た斜視図)及び上記(1)ケで摘記した図6(本発明に係る電力変換装置の本体内に設けた配線配置部及びヒートシンク部分の構成を示す断面図)における「環状フランジ6」の形状に注目すると、“環状フランジ6は、上壁3A部分において上方に伸び、下壁3B部分において下方に伸び、左壁3C部分において左方に伸び、右壁3D部分において右方に伸びた形状であ”ることが看取できる。
ケ 上記クの検討を踏まえると、上記(1)ケで摘記した図6の記載から、“蓋体4は、本体3が下壁3B部分において下方に伸びた環状フランジ6のさらに下方において後方に折れ曲がった形状をしている”ことが看取できる。
コ 上記ア~ケの検討から、甲第1号証には次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されているといえる。
「再生可能エネルギーから得られる直流電力を商用電力系統へ重畳可能な交流に変換する電力変換回路INVを構成する電気部品が筐体2内に収容されているパワーコンディショナであって、
筐体2は、本体3と蓋体4によって構成され、本体3は、上壁3A、下壁3B、左壁3C、右壁3D、及び背壁3Eで囲まれ前面開口3Fを有する矩形状の箱を構成し、蓋体4は、本体3の前面開口3Fの周縁を巡る環状フランジ6に対し、4隅を取り付けネジ5によって着脱自在に取り付ける構成であり、
前面開口3Fの周縁を巡る環状フランジ6と密着するように、蓋体4の裏面に環状パッキン30を備え、蓋体4を閉じ、取り付けネジ5を締め付けた状態で、蓋体4の裏面の周縁部に取り付けた環状パッキン30が、環状フランジ6に密着することによって前面開口3Fが水密状態に閉塞され、
本体3の下壁3Bに設けた第1入力側配線導入孔27A、第2入力側配線導入孔27B、第1出力側配線導入孔28A、第2出力側配線導入孔28B等の必要な開口や孔を除き、本体3の前面開口3Fを蓋体4によって閉塞した状態で、筐体2は防水構造であり、
筐体2の本体3内下部の左右離れた位置に、正面視で右側に太陽電池PVと電力変換回路INVとを接続する入力側配線用端子台22、正面視で左側に電力変換回路INVから商用電力系統とを接続する出力側配線用端子台23が配置され、
入力側配線用端子台22は、ブレーカ付き配線用端子台であり、内部に過電流にて電路を遮断する機構を備えており、下方へ作動した操作部22Sを手動にて上方へ回動作動させれば、遮断した電路を接続状態へ復帰させることできるものであり、
本体3の外部にある太陽電池PVはPV1、PV2、PV3、PV4のように4ユニットで構成しており、入力側配線用端子台22もそれに対応して4セットを備え、筺体2の下壁、即ち本体3の下壁3Bを貫通して配線される下面配線方式では、PV1とPV2の+配線DCと-配線DCが、一方(左側)の第1入力側配線導入孔27Aを通り、それぞれ対応する左側2個の入力側配線用端子台22へ接続され、また、PV3とPV4の+配線DCと-配線DCが、他方(右側)の第1入力側配線導入孔27Aを通って、それぞれ対応する右側2個の入力側配線用端子台22へ接続されており、
電力変換回路INVで変換された3相交流電力は、出力側配線用端子台23にそれぞれ接続された3本の配線ACが第1出力側配線導入孔28Aをそれぞれ通って商用電力系統と接続されており、
本体3の前面開口3Fの周縁を巡る環状フランジ6は、上壁3A部分において上方に伸び、下壁3B部分において下方に伸び、左壁3C部分において左方に伸び、右壁3D部分において右方に伸びた形状であり、
蓋体4は、下方に伸びた環状フランジ6のさらに下方に伸びたうえで後方に折れ曲がった形状をしている、
パワーコンディショナ。」
2 甲第2号証に記載された事項及び甲2発明
(1)甲第2号証に記載された事項
甲第2号証には、以下の事項が記載されている。
ア 「【意匠に係る物品の説明】本物品は、DC/DCコンバータとして使用される電力変換機である。」(第1頁)
イ 「【前方斜視図】
[図:0001399383000007.jpg]
」
ウ 「【後方斜視図】
[図:0001399383000008.jpg]
」
エ 「【正面図】
[図:0001399383000009.jpg]
」
オ 「【左側面図】
[図:0001399383000010.jpg]
」
カ 「【平面図】
[図:0001399383000011.jpg]
」
キ 「【内部機構を省略したA-A拡大断面図】
[図:0001399383000012.jpg]
」
ク 「【背面図】
[図:0001399383000013.jpg]
」
ケ 「【右側面図】
[図:0001399383000014.jpg]
」
コ 「【底面図】
[図:0001399383000015.jpg]
」
サ 「【各部の名称を示す参考図】
[図:0001399383000016.jpg]
」
(2)甲2記載事項
ア 上記(1)アの記載から、甲第2号証には、「DC/DCコンバータとして使用される電力変換機」が記載されている。
イ 上記(1)イ~(1)サの記載から、“電力変換機の形状は概略直方体形状であ”ることが看取され、“その正面から見た場合に、上面と底面と左右の側面と前面と背面を有し”ていることが看取できる。
また、電力変換機の概略直方体形状を有する部分は、その内部に電力変換機を構成する回路が収容されるものであるから、電力変換機の“本体”といえる。
そうすると、甲第2号証には、電力変換機は、“形状が概略直方体形状で、正面から見た場合に、上面と底面と左右の側面と前面と背面を有する本体を備え”ていることが記載されているといえる。
ウ 上記(1)サの【各部の名称を示す参考図】から、“電力変換機は、前面パネルと放熱フィンとカバーと配線口を有し”ていることが看取できる。
エ 上記(1)キの【内部機構を省略したA-A拡大断面図】の記載と、上記(1)サの【各部の名称を示す参考図】とを合わせて参照すると、“前面パネルは、電力変換機の前側において本体にネジで取り付けられて”いることが看取できる。
オ 上記(1)キより、“前面パネルは、上側において、本体よりも上方に伸び、後方に折れ曲がった形状をして”いることが看取できる。
また、上記(1)のウ、オ、ク、ケ、サによれば、“前面パネルは、上辺の左右の一部分を除く部分において、後方に折れ曲がったうえで、さらに、下方に折れ曲がった形状をして”いることが看取できる。
してみれば、甲第2号証には、“前面パネルの上辺は、本体よりも上方に伸び、後方に折れ曲がったうえで、さらに、左右の一部分を除く部分において、下方に折れ曲がった形状をして”いることが記載されているといえる。
カ 上記ア~オの検討から、甲第2号証には次の事項(以下、「甲2記載事項」という。)が記載されているといえる。
「DC/DCコンバータとして使用される電力変換機であって、
形状が概略直方体形状であり、正面から見た場合に、上面と底面と左右の側面と前面と背面を有する本体を備え、
前記電力変換機は、前面パネルと放熱フィンとカバーと配線口を有しており、
前記前面パネルは、電力変換機の前側において本体にネジで取り付けられており、
前記前面パネルの上辺は、本体よりも上方に伸び、後方に折れ曲がったうえで、さらに、左右の一部分を除く部分において、下方に折れ曲がった形状をしていること。」
3 甲第3号証に記載された事項及び甲3発明
(1)甲第3号証に記載された事項
甲第3号証には、以下の事項が記載されている。
ア 「【意匠に係る物品】電力変換器」(第1頁)
イ 「【前方斜視図】
[図:0001399383000017.jpg]
」
ウ 「【後方斜視図】
[図:0001399383000018.jpg]
」
エ 「【正面図】
[図:0001399383000019.jpg]
」
オ 「【背面図】
[図:0001399383000020.jpg]
」
カ 「【左側面図】
[図:0001399383000021.jpg]
」
キ 「【内部機構を省略したA-A拡大断面図】
[図:0001399383000022.jpg]
」
ク 「【右側面図】
[図:0001399383000023.jpg]
」
ケ 「【平面図】
[図:0001399383000024.jpg]
」
コ 「【底面図】
[図:0001399383000025.jpg]
」
サ 「【各部の名称を示す参考図】
[図:0001399383000026.jpg]
」
(2)甲3記載事項
ア 上記(1)アの記載から、甲第3号証には、「電力変換器」が記載されている。
イ 上記(1)イ~(1)サの記載から、“電力変換器の形状は概略直方体形状であ”ることが看取され、“その正面から見た場合に、上面と底面と左右の側面と前面と背面を有し”ていることが看取できる。
また、電力変換器の概略直方体形状を有する部分は、その内部に電力変換器を構成する回路が収容されるものであるから、電力変換器の“本体”といえる。
そうすると、甲第3号証には、電力変換器は、“形状が概略直方体形状で、正面から見た場合に、上面と底面と左右の側面と前面と背面を有する本体を備え”ていることが記載されているといえる。
ウ 上記(1)サの【各部の名称を示す参考図】から、“電力変換器は、前面パネルと放熱フィンとカバーと配線口を有し”ていることが看取できる。
エ 上記(1)キの【内部機構を省略したA-A拡大断面図】の記載と、上記ア(サ)の【各部の名称を示す参考図】とを合わせて参照すると、“前面パネルは、電力変換器の前側において本体にネジで取り付けられて”いることが看取できる。
オ 上記(1)キより、“前面パネルは、上側において、本体よりも上方に伸び、後方に折れ曲がったうえで、さらに、下方に折れ曲がった形状をして”いることが看取できる。
また、上記(1)のウ、オ、ク、ケ、サによれば、“前面パネルは、上辺の左右の一部分を除く部分において、後方に折れ曲がったうえで、さらに、下方に折れ曲がった形状をして”いることが看取できる。
してみれば、甲第3号証には、“前面パネルの上辺は、本体よりも上方に伸び、後方に折れ曲がったうえで、さらに、左右の一部分を除く部分において、下方に折れ曲がった形状をして”いることが記載されているといえる。
カ 上記ア~オの検討から、甲第3号証には次の事項(以下、「甲3記載事項」という。)が記載されているといえる。
「電力変換器であって、
形状が概略直方体形状であり、正面から見た場合に、上面と底面と左右の側面と前面と背面を有する本体を備え、
前記電力変換器は、前面パネルと放熱フィンとカバーと配線口を有しており、
前記前面パネルは、電力変換器の前側において本体にネジで取り付けられており、
前記前面パネルの上辺は、本体よりも上方に伸び、後方に折れ曲がったうえで、さらに、左右の一部分を除く部分において、下方に折れ曲がった形状をしていること。」
4 甲第4号証
(1)甲第4号証に記載された事項
甲第4号証には、以下の事項が記載されている。
ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光などの再生可能エネルギーから得られた直流電力を交流電力に変換する電力変換装置に関し、特に、放熱効果を向上させる電力変換装置に関する。」
イ 「【背景技術】
【0002】
太陽光発電システム用の電力変換装置(パワーコンディショナと称する)は、その筐体内に、太陽電池が発電する直流電力を入力として昇圧回路で昇圧し、商用電力系統と実質的に同期した所定の交流電力にインバータ回路で変換し、この変換された交流電力を商用電力系統へ重畳可能とする電力変換回路を収容している。この電力変換回路には、半導体のスイッチング素子やリアクトル等の発熱部品を備えており、それらの発熱する熱はヒートシンクの基板部に熱伝導状態に取り付けられ、ヒートシンクの放熱フィンから放熱される仕組みである(特許文献1)。」
ウ 「【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る電力変換装置のヒートシンクとリアクトル部分を示す分解斜視図である。
【図2】本発明に係る電力変換装置の蓋体を開けた状態でリアクトル部分のみを示す正面斜視図である。
【図3】本発明に係る電力変換装置の蓋体を開けた状態でリアクトル部分のみを示す正面図である。
【図4】図3のA-A断面における直流用リアクトル部分の説明図である。
【図5】図3のB-B断面における交流用リアクトル部分の説明図である。
【図6】図3のC-C断面における交流用リアクトル部分と直流用リアクトル部分の説明図である。
【図7】図3のD-D断面図である。
【図8】直流用リアクトルの斜視図である。
【図9】本発明に係る電力変換回路の構成図である。
【図10】本発明に係る電力変換装置を建物の外壁Kに取り付けた状態の側面図である。
【図11】本発明に係る電力変換装置の筐体の背壁に伝熱抑制板を取り付けた状態を示す分解斜視図である。」
エ 「【0018】
本発明の一実施形態に係る電力変換装置1は、再生可能エネルギーの一つである太陽電池PVから得られる直流電力を商用電力系統へ重畳可能な交流(系統の交流電力と実質的に同期する交流電力)に変換する電力変換回路INVを構成する電気部品が筐体2内に収容されている。筐体2は、本体3と蓋体4によって構成し、本体3は、上壁3A、下壁3B、左壁3C、右壁3D、及び背壁3Eで囲まれ前面開口3Fを有する矩形状の箱を構成し、蓋体4は、本体3の前面開口3Fの周縁を巡る環状フランジ6に対し、図示しない環状パッキンを介して4隅を取り付けネジによって着脱自在に取り付ける構成である。下壁3Bには、太陽電池PVと電力変換回路INVとの入力ラインの配線孔27Aと、電力変換回路INVと商用電力系統との出力ラインの配線孔28Aを形成している。配線孔は27A、27Bはこのような形状に限るものではなく、配線間のつながる円形の孔を複数設けてもよい。」
オ 「【0038】
また、ヒートシンク71、72を背壁3Eの外側にネジ等で取り付ける際にヒートシンク71、72と背壁3Eとの間でありかつ放熱開口5、51の外側に防水用のパッキン又はシーリング材を介して取り付けると金属製本体3の内部への水の浸入を抑制できる。同時に、ヒートシンク71、72と背壁3Eとの間に空気が流れる空間ができこの空間を冷却用に作用させることができるものである。このパッキン(またはシーリング材)はヒートシンク71、72の周縁沿いに位置するように配置しても良い。この場合ヒートシンク71、72と背壁3Eとの間の空間は断熱層としての作用を奏するものである。尚、屋内設置とする場合はこのようなパッキンを省略することが可能である。シーリング材にはシリコーン、変成シリコーン、ウレタン、アクリル、ブチルなどが用いられるが耐久性と防水性とを適に備えるものであれば良い。」
カ 「【図1】
[図:0001399383000027.jpg]
」
キ 「【図2】
[図:0001399383000028.jpg]
」
ク 「【図3】
[図:0001399383000029.jpg]
」
ケ 「【図4】
[図:0001399383000030.jpg]
」
コ 「【図5】
[図:0001399383000031.jpg]
」
サ 「【図6】
[図:0001399383000032.jpg]
」
(2)甲4記載事項
ア 上記(1)のア、イの記載から、甲第4号証には、“太陽光などの再生可能エネルギーから得られた直流電力を交流電力に変換するパワーコンディショナ”が記載されている。
イ 上記(1)エ、オの記載から、甲第4号証には、“筐体2が、金属製の本体3と蓋体4によって構成され、本体3が、上壁3A、下壁3B、左壁3C、右壁3D、及び背壁3Eで囲まれ前面開口3Fを有する矩形状の箱で構成され、蓋体4が、本体3の前面開口3Fの周縁を巡る環状フランジ6に対し、環状パッキンを介して4隅を取り付けネジによって着脱自在に取り付けられる構成であるパワーコンディショナ”が記載されている。
ウ 上記図3(上記(1)ク)の「A-A断面における直流用リアクトル部分の説明図である」図4(上記(1)ケ)、及び上記図3の「C-C断面における交流用リアクトル部分と直流用リアクトル部分の説明図である」図6(上記(1)サ)によれば、“上壁3A側から上方に伸びる環状フランジ6は、上方に伸びた後、後方に折れ曲がっており、また、下壁3B側から下方に伸びる環状フランジ6は、下方に伸びた後、後方に折れ曲がって”いることが看取できる。
エ 上記図3(上記(1)ク)の「B-B断面における交流用リアクトル部分の説明図である」図5(上記(1)コ)は、図3におけるB-B断面を示す矢印記号の方向を考慮すると、図5の左側が上壁3A側であり、図5の右側が右壁3D側であると認められる。そうすると、上記図5から、“上壁3A側から上方に伸びる環状フランジ6は、上方に伸びた後、後方に折れ曲がっている一方、右壁3D側から右方に伸びる環状フランジ6は、右方に伸びた後、後方に折れ曲がっていない”ことが看取できる。
なお、“上壁3A側から上方に伸びる環状フランジ6は、上方に伸びた後、後方に折れ曲がっている一方、右壁3D側から右方に伸びる環状フランジ6は、右方に伸びた後、後方に折れ曲がっていない”ことは、図1(上記(1)カ)及び図2(上記(1)キ)の記載からもうかがえる。
オ 上記ウ、エの検討から、甲第4号証には、“上壁3A側から上方に伸びる環状フランジ6は、上方に伸びた後、後方に折れ曲がっており、また、下壁3B側から下方に伸びる環状フランジ6は、下方に伸びた後、後方に折れ曲がっている一方、右壁3D側から右方に伸びる環状フランジ6は、右方に伸びた後、後方に折れ曲がっていないこと”が記載されているといえる。
カ 上記ア~オの検討から、甲第4号証には次の事項(以下、「甲4記載事項」という。)が記載されているといえる。
「太陽光などの再生可能エネルギーから得られた直流電力を交流電力に変換するパワーコンディショナであって、
筐体2が、金属製の本体3と蓋体4によって構成され、本体3が、上壁3A、下壁3B、左壁3C、右壁3D、及び背壁3Eで囲まれ前面開口3Fを有する矩形状の箱で構成され、蓋体4が、本体3の前面開口3Fの周縁を巡る環状フランジ6に対し、環状パッキンを介して4隅を取り付けネジによって着脱自在に取り付けられる構成であるパワーコンディショナにおいて、
上壁3A側から上方に伸びる環状フランジ6は、上方に伸びた後、後方に折れ曲がっており、また、下壁3B側から下方に伸びる環状フランジ6は、下方に伸びた後、後方に折れ曲がっている一方、右壁3D側から右方に伸びる環状フランジ6は、右方に伸びた後、後方に折れ曲がっていないこと。」
5 甲第5号証
(1)甲第5号証に記載された事項
甲第5号証には、以下の事項が記載されている。
ア 「【0001】
本発明は、たとえばソーラパネルなどにおいて発電された直流電力を所定周波数の交流電力に変換し、商用系統に連系させるなどの用途に用いられるパワーコンディショナに関する。」
イ 「【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記したような事情のもとで考え出されたものであり、特定の電気回路をスペース効率良く筐体内に組み込むことができるとともに、電磁ノイズに起因する不具合を好適に防止または抑制することが可能なパワーコンディショナを提供することを、その課題としている。」
ウ 「【0015】
このパワーコンディショナAは、フロントパネル2によって前面部が塞がれる筐体1内に、出力回路基板C1、電源回路基板C2、系統端子台3、インバータ回路基板C3、左右一対のリアクトル4(4a,4b)、およびその他の電気部品が収容されている。前記各回路および電気部品のうち、電源回路、インバータ回路、出力回路、およびリアクトルなどの機能については、「背景技術」の欄で既に述べたとおりであり、重複説明は省略する。なお、インバータ回路基板C3にコンバータ回路をも搭載した構成とすることもできる。」
エ 「【0021】
より具体的には、出力回路基板C1は、リアクトル4と上下に並ぶようにリアクトル4の下方に配され、かつ取り付け面部10に取り付けられている。出力回路基板C1の取り付け手段としては、たとえば取り付け面部10に突設された支持部12に基板本体81を当接させ、かつこの基板本体81をネジ体91を用いて締結する手段が採用されている。これに対し、電源回路基板C2は、基板本体82が基板組み付け部材7Aにネジ体92を用いて組み付けられ、かつこの基板組み付け部材7Aは、ブラケット7Bに取り付けられている。基板組み付け部材7Aおよびブラケット7Bは、ともに金属板にプレス加工を施して形成されたものである。」
オ 「【図4】
[図:0001399383000033.jpg]
」
(2)甲5記載事項
ア 上記(1)アには、“ソーラパネルなどにおいて発電された直流電力を所定周波数の交流電力に変換し、商用系統に連系させるなどの用途に用いられるパワーコンディショナ”が記載されている。
イ 上記(1)ウには、パワーコンディショナAは、“フロントパネル2によって前面部が塞がれる筐体1を備え”ることが記載されている。
ウ 上記(1)オで摘記した図4から、“筐体1はパワーコンディショナの前面部において、上部が上側に折れ曲がって上方に伸びており、また、下部が下側に折れ曲がって下方に伸びて”いる形状を看取できる。
また、同じく図4から、“フロントパネル2は、パワーコンディショナの前面部において、筐体1の上部が上側に折れ曲がって上方に伸びた部分よりもさらに上方において後方に折れ曲がっており、また、筐体1の下部が下側に折れ曲がって下方に伸びた部分よりもさらに下方において後方に折れ曲がって”いる構成を看取できる。
エ 上記ア~ウの検討から、甲第5号証には次の事項(以下、「甲5記載事項」という。)が記載されているといえる。
「ソーラパネルなどにおいて発電された直流電力を所定周波数の交流電力に変換し、商用系統に連系させるなどの用途に用いられるパワーコンディショナであって、
フロンパネル2によって前面部が塞がれる筐体1を備え、
筐体1はパワーコンディショナの前面部において、上部が上側に折れ曲がって上方に伸びており、また、下部が下側に折れ曲がって下方に伸びており、
フロントパネル2は、パワーコンディショナの前面部において、筐体1の上部が上側に折れ曲がって上方に伸びた部分よりもさらに上方において後方に折れ曲がっており、また、筐体1の下部が下側に折れ曲がって下方に伸びた部分よりもさらに下方において後方に折れ曲がっていること。」
6 甲第6の1~甲第6の3号証
(1)甲第6の1号証
「
[図:0001399383000034.jpg]
」
(2)甲第6の2号証
「
[図:0001399383000035.jpg]
」
(3)甲第6の3号証
[図:0001399383000036.jpg]
」
第5 当審の判断
1 本件特許発明1について
ア 対比
本件特許発明1と甲1発明とを対比する。
(ア)甲1発明の「パワーコンディショナ」は、「再生可能エネルギーから得られる直流電力を商用電力系統へ重畳可能な交流に変換」する機能を有するものであり、“入力された”再生可能エネルギーから得られる「直流電力」を商用電力系統へ重畳可能な“所定の交流電力”に「変換」して“出力”するものである。
してみれば、甲1発明の「パワーコンディショナ」と本件特許発明1の「入力された直流電力を所定の直流電力または交流電力に変換して出力するパワーコンディショナ」とは、“入力された直流電力を所定の交流電力に変換して出力するパワーコンディショナ”である点で共通する。
(イ)a 甲1発明の「筐体2」は、「本体3と蓋体4によって構成され」るものである。
そして、甲1発明の「本体3」は、「上壁3A、下壁3B、左壁3C、右壁3D、及び背壁3Eで囲まれ前面開口3Fを有する矩形状の箱を構成」するものであって、その「内下部の左右離れた位置に、正面視で右側に太陽電池PVと電力変換回路INVとを接続する入力側配線用端子台22、正面視で左側に電力変換回路INVから商用電力系統とを接続する出力側配線用端子台23が配置され」るものであるから、「筐体2」内に、「入力側配線用端子台22」と「出力側配線用端子台23」とを有しているといえる。
してみると、甲1発明の「筐体2」は、本件特許発明1の「筐体」に対応するものであって、甲1発明の「本体3」、「蓋体4」が、各々、本件特許発明1の「本体」、「正面カバー」に相当する。
そして、甲1発明の本体3が有する「上壁3A」、「下壁3B」の上下、及び「左壁3C及び右壁3D」の左右が、設置姿勢に対するものであることは、甲第1号証の図7(上記第4 1(1)コ)の「電力変換装置を建物の外壁に取り付けた状態の側面図」を参照すると、「上壁3A」が上側に、「下壁3B」が下側になっていることからも明らかであるから、甲1発明の本体3が有する「上壁3A」、「下壁3B」は、各々、本件特許発明1の「設置姿勢における上面と下面」に相当し、甲1発明の本体3が有する「左壁3C及び右壁3D」は、本件特許発明1の「設置姿勢における」「側面」に相当する。
b 甲1発明の「入力側配線用端子台22」は、「太陽電池PVと電力変換回路INVとを接続する」ものであるから、太陽電池PVから出力される“直流電力”を電力変換回路INVに“入力するための配線を接続する”ためのものといえ、また、「入力側配線用端子台22」に端子があることは明らかであるから、甲1発明は、本件特許発明1の「電力を入力するための配線が接続される入力側接続端子」に相当する構成を備えるものである。
c 甲1発明の「出力側配線用端子台23」は、「電力変換回路INVから商用電力系統とを接続する」ものであり、電力変換回路INVから、商用電力系統を構成する外部装置に“電力を出力するための配線”を接続するものであって、「出力側配線用端子台23」に端子があることは明らかであるから、甲1発明は、本件特許発明1の「電力を出力するための配線を接続する出力側接続端子」に相当する構成を備えるものである。
d したがって、甲1発明の「パワーコンディショナ」と本件特許発明1の「パワーコンディショナ」とは、「該パワーコンディショナの筐体内に、電力を入力するための配線が接続される入力側接続端子と、電力を出力するための配線が接続される出力側接続端子とを有」する点で一致する。
また、甲1発明の「筐体2は、本体3と蓋体4によって構成され」ることは、本件特許発明1の「前記筐体は、本体と正面カバーとからな」ることに相当する。
さらに、甲1発明の「本体3」と、本件特許発明1の「本体」とは、後記の点で相違するものの、“前記筐体の本体は、設置姿勢における上面と下面と側面とを有”する点では共通する。
(ウ)上記(ア)~(イ)のことから、本件特許発明1と甲1発明とは、次の点で一致し、また、相違する。
<一致点>
「入力された直流電力を所定の交流電力に変換して出力するパワーコンディショナであって、
該パワーコンディショナの筐体内に、電力を入力するための配線が接続される入力側接続端子と、電力を出力するための配線が接続される出力側接続端子とを有し、
前記筐体は、本体と正面カバーとからなり、
前記筐体の本体は、設置姿勢における上面と下面と側面とを有する、
パワーコンディショナ。」
<相違点1>
「本体」が、本件特許発明1では、「金属製である」のに対して、甲1発明では、「本体3」にその旨の特定がされていない点。
<相違点2>
本件特許発明1のパワーコンディショナは、「前記筐体の上面前側には前記パワーコンディショナを運搬するための把持部が設けられ、前記把持部は上方に伸びさらに後方に伸びた形状を有する」ものであるのに対して、甲1発明のパワーコンディショナは、上壁3A部分において上方に伸び、下壁3B部分において下方に伸び、左壁3C部分において左方に伸び、右壁3D部分において右方に伸びた形状の環状フランジ6と、下方に伸びた環状フランジ6のさらに下方に伸びたうえで後方に折れ曲がった形状をしている蓋体4とを備えているものの、「上面前側」に、「前記パワーコンディショナを運搬するための把持部が設けられ、前記把持部は上方に伸びさらに後方に伸びた形状を有する」ものではない点。
イ 判断
事案に鑑み相違点2について先に判断する。
上記相違点2に係る構成を開示するとされる甲第2ないし5号証についてみると、甲第2号証には、上記第4 2(2)カに記載したとおり、形状が概略直方体形状の電力変換機の前側において本体にネジで取り付けられている前面パネルの上辺が、「本体よりも上方に伸び、後方に折れ曲がったうえで、さらに、左右の一部分を除く部分において、下方に折れ曲がった形状をしている」ことが記載されているものの、この部分を「パワーコンディショナを運搬するための把持部」として構成することについては、記載も示唆もない。
また、甲第3号証には、上記甲第2号証と同様の構成が記載されているものの、甲第3号証にも、その構成を「パワーコンディショナを運搬するための把持部」とすることについては、記載も示唆もない。
また、甲第4号証には、上記第4 4(2)カに記載したとおり、「上壁3A側から上方に伸びる環状フランジ6は、上方に伸びた後、後方に折れ曲がって」いる構成が記載されているものの、この部分を「パワーコンディショナを運搬するための把持部」として構成することについては、記載も示唆もない。
さらに、甲第5号証には、上記第4 5(2)エに記載したとおり、「筐体1はパワーコンディショナの前面部において、上部が上側に折れ曲がって上方に伸びており」、「フロントパネル2は、パワーコンディショナの前面部において、筐体1の上部が上側に折れ曲がって上方に伸びた部分よりもさらに上方において後方に折れ曲がって」いる構成が記載されているものの、この部分を「パワーコンディショナを運搬するための把持部」として構成することについては、記載も示唆もない。
してみると、上記甲第2ないし5号証に記載の構成は、いずれも、前面パネル(フロントパネル2)ないし環状フランジ6(本体3)が、電力変換機や電力変換器ないしパワーコンディショナの上面前側において、上方に伸びたうえで後方に折れ曲がった形状(以下、「L字形状」ともいう。)、或いは、さらに下方に折れ曲がった形状(以下、「コ字形状」ともいう。)であるものの、甲第2ないし5号証のいずれにも、当該L字形状もしくはコ字形状(以下、両者をまとめて、「L字形状等」ともいう。)を「パワーコンディショナを運搬するための把持部」とすることについての具体的な記載はなく、甲第2ないし5号証には、そのL字形状等の構成を把持部として構成しようとする技術思想はみられない。
そして、甲第2ないし5号証に記載の上面前側のL字形状等の構成について、パワーコンディショナを運搬するための把持部として使用することが、当業者の技術常識であるともいえないから、甲1発明に、甲第2ないし5号証に記載の上面前側のL字形状等の構成を適用し得たとしても、本件特許発明1の「パワーコンディショナを運搬するための把持部」とすることを、当業者が容易に想到し得たということはできない。
したがって、相違点1について判断するまでもなく、本件特許発明1は、当業者であっても、甲1発明及び甲第2ないし5号証に記載の事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
ウ 申立人の主張
(ア)申立人は、特許異議申立書において、概ね、以下のa~cのとおり主張している。
a 甲第2ないし5号証に開示されるように、パワーコンディショナの前面の上部のみ、あるいは上部と下部のみを、L字形あるいはコ字形に折り曲げる部分を設けることは周知技術である。そして、甲第1号証と甲第2ないし5号証は、いずれもパワーコンディショナという同一の技術分野に関する公知文献であり、当業者であればこれらの文献の開示を組み合わせることは、十分に動機づけられるから、L字形の折り曲げ部の開示を組み合わせて、「前記筐体の上面前側には前記パワーコンディショナを運搬するための、上方に伸びさらに後方に伸びた形状を有する把持部」を形成するという、相違点に係る構成に想到することは、当業者にとって容易である。
また、甲第2ないし5号証には、「運搬するための把持部」とする、ということは、直接は記載されていないが、「上方に伸びさらに後方に伸びた形状を有する部分」を設けるという、本件特許発明1と同じ構成を想到することが容易であれば、その形状部が「把持部」としての機能を有するという点は、同一の構成を有する以上当然のことであり、進歩性の根拠となるものではない。
b 甲第6の1ないし3号証に示すように、従来製品のパワーコンディショナにおいても、筐体の上面前側に把持可能な折り曲げ部を有しており、当該折り曲げ部をつかんで、パワーコンディショナを運搬することも可能であるから、折り曲げ部を把持して搬送することは考えられていなかったということではない。
c 機械的な構造に関する進歩性の判断においては、「(特許の構造と)同様な構造が引用文献に開示されていれば、用途や作用効果については同文献に開示がなくとも、新規性、進歩性は認められない」というのが多くの判例において用いられてきた通常の進歩性判断であり、判例の判断に従えば、甲1発明に、甲2記載事項、甲3記載事項、甲4記載事項及び甲5記載事項を組み合わせて、相違点2に係る「前記筐体の上面前側に、上方に伸びさらに後方に伸びた形状を有する部分」を形成するという、本件特許発明1と同じ構成に想到することが容易である以上、その形状部分が、本件特許発明1と同一の「把持部」としての作用効果を奏することは当然のことである。
(イ)申立人の主張について
a 主張a、bについて
甲第2ないし5号証のいずれも、相違点2に係る「パワーコンディショナを運搬するための把持部」との構成を開示していないから、たとえこれらに開示の構成を甲1発明に組み合わせたとしても、上記相違点2に係る構成に至らないことは明らかである。
また、甲第6の1ないし3号証の写真のごとく、実製品の折り曲げ部を把持することが可能であるとしても、甲第2ないし5に記載の折り曲げ部分を把持部として構成されていることが当業者にとって自明であるとはいえない。
したがって、申立人の主張は採用することができない。
b 主張cについて
甲第2ないし5号証には、L字形あるいはコ字形に折り曲げられた部分を把持部として機能させることについて、何らの記載も示唆もない以上、甲第2ないし5号証に記載のL字形あるいはコ字形に折り曲げられた部分が、必ずしも把持部として機能するとは限らないことは、当業者にとって自明であるし、そもそも、本件特許発明において、「パワーコンディショナを運搬するための把持部」は、明細書に作用効果として記載されるに留まらず、特許請求の範囲に明記された構成なのであるから、「(特許の構造と)同様な構造が引用文献に開示されていれば、用途や作用効果については同文献に開示がなくとも、新規性、進歩性は認められない」との申立人の主張は、前提を異にするものであって、採用することはできない。
2 本件特許発明2、3について
本件特許発明2、3は、上記1で検討した本件特許発明1に係る請求項1を直接的又は間接的に引用するものであって、本件特許発明1の構成をさらに限定するものであるから、本件特許発明1と同様の理由により、本件特許発明2、3は、当業者であっても、甲1発明及び甲第2ないし5号証に記載の事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
3 本件特許発明4について
ア 対比
本件特許発明4と甲1発明とを対比する。
(ア)甲1発明の「パワーコンディショナ」は、「再生可能エネルギーから得られる直流電力を商用電力系統へ重畳可能な交流に変換」する機能を有するものであり、“入力された”再生可能エネルギーから得られる「直流電力」を商用電力系統へ重畳可能な“所定の交流電力”に「変換」して“出力”するものである。
してみれば、甲1発明の「パワーコンディショナ」と本件特許発明4の「入力された直流電力を所定の直流電力または交流電力に変換して出力するパワーコンディショナ」とは、“入力された直流電力を所定の交流電力に変換して出力するパワーコンディショナ”である点で共通する。
(イ)a 甲1発明の「筐体2」は、「本体3と蓋体4によって構成され」るものである。
そして、甲1発明の「本体3」は、「上壁3A、下壁3B、左壁3C、右壁3D、及び背壁3Eで囲まれ前面開口3Fを有する矩形状の箱を構成」するものであって、その「内下部の左右離れた位置に、正面視で右側に太陽電池PVと電力変換回路INVとを接続する入力側配線用端子台22、正面視で左側に電力変換回路INVから商用電力系統とを接続する出力側配線用端子台23が配置され」るものであるから、「筐体2」内に、「入力側配線用端子台22」と「出力側配線用端子台23」とを有しているといえる。
してみると、甲1発明の「筐体2」は、本件特許発明4の「筐体」に対応するものであって、甲1発明の「本体3」、「蓋体4」が、各々、本件特許発明4の「本体」、「正面カバー」に相当する。
b 甲1発明の「入力側配線用端子台22」は、「太陽電池PVと電力変換回路INVとを接続する」ものであるから、太陽電池PVから出力される“直流電力”を電力変換回路INVに“入力するための配線を接続する”ためのものといえ、また、「入力側配線用端子台22」に端子があることは明らかであるから、甲1発明は、本件特許発明4の「電力を入力するための配線が接続される入力側接続端子」に相当する構成を備えるものである。
c 甲1発明の「出力側配線用端子台23」は、「電力変換回路INVから商用電力系統とを接続する」ものであり、電力変換回路INVから、商用電力系統を構成する外部装置に“電力を出力するための配線”を接続するものであって、「出力側配線用端子台23」に端子があることは明らかであるから、甲1発明は、本件特許発明4の「電力を出力するための配線を接続する出力側接続端子」に相当する構成を備えるものである。
d したがって、甲1発明の「パワーコンディショナ」と本件特許発明4の「パワーコンディショナ」とは、「該パワーコンディショナの筐体内に、電力を入力するための配線が接続される入力側接続端子と、電力を出力するための配線が接続される出力側接続端子とを有」する点で一致する。
また、甲1発明の「筐体2は、本体3と蓋体4によって構成され」ることは、本件特許発明4の「前記筐体は、正面カバーと本体とからな」ることに相当する。
(ウ)a 甲1発明の「本体3」は、「上壁3A、下壁3B、左壁3C、右壁3D、及び背壁3Eで囲まれ前面開口3Fを有する矩形状の箱を構成」するものであって、その「内下部の左右離れた位置に、正面視で右側に太陽電池PVと電力変換回路INVとを接続する入力側配線用端子台22、正面視で左側に電力変換回路INVから商用電力系統とを接続する出力側配線用端子台23が配置され」るものである。さらに、「本体3の下壁3Bに」「第1入力側配線導入孔27A、第2入力側配線導入孔27B、第1出力側配線導入孔28A、第2出力側配線導入孔28B等」が設けられ、「PV1とPV2の+配線DCと-配線DCが、一方(左側)の第1入力側配線導入孔27Aを通り、それぞれ対応する左側2個の入力側配線用端子台22へ接続され、また、PV3とPV4の+配線DCと-配線DCが、他方(右側)の第1入力側配線導入孔27Aを通って、それぞれ対応する右側2個の入力側配線用端子台22へ接続され」るものであり、「出力側配線用端子台23にそれぞれ接続された3本の配線ACが第1出力側配線導入孔28Aをそれぞれ通って商用電力系統と接続され」るものである。
b 甲1発明の本体3が有する「上壁3A」、「下壁3B」の上下、及び「左壁3C及び右壁3D」の左右が、設置姿勢に対するものであることは、甲第1号証の図7(上記第4 1(1)コ)の「電力変換装置を建物の外壁に取り付けた状態の側面図」を参照すると、「上壁3A」が上側に、「下壁3B」が下側になっていることからも明らかであるから、甲1発明の本体3が有する「上壁3A」、「下壁3B」は、各々、本件特許発明4の「設置姿勢における上面と下面」に相当し、甲1発明の本体3が有する「左壁3C及び右壁3D」は、本件特許発明4の「設置姿勢における」「側面」に相当する。
また、甲1発明の「本体3」の「前面開口3F」は、本件特許発明4の「正面側」の「開口」に相当する。
c 甲1発明の「入力側配線用端子台22」は、「太陽電池PVと電力変換回路INVとを接続する」ものであるから、太陽電池PVから出力される“直流電力”を電力変換回路INVに“入力するための配線を接続する”ためのものであるといえ、当該「入力側配線用端子台22」が備える「内部に過電流にて電路を遮断する機構」及び「下方へ作動した操作部22Sを手動にて上方へ回動作動させれば、遮断した電路を接続状態へ復帰させることできる」機能は、“開閉器”としての機能に他ならない。
d 甲1発明の「出力側配線用端子台23」は、「電力変換回路INVから商用電力系統とを接続する」ものであり、電力変換回路INVから、商用電力系統を構成する“外部装置”に“電力を出力するための配線”を接続するものであるから、本件特許発明4の「外部装置に電力を出力するための配線を接続する出力側端子台」に相当する。
e 甲1発明の「入力側配線用端子台22」は「筐体2の本体3内下部の左右離れた位置」の「正面視で右側」に配置され、「出力側配線用端子台23」は、「筐体2の本体3内下部の左右離れた位置」の「正面視で左側」に配置されるものである。ここで、「本体3内」が「上壁3A、下壁3B、左壁3C、右壁3D」に囲まれた領域であることは明らかであり、さらに、「正面視」であるから、「入力側配線用端子台22」及び「出力側配線用端子台23」は、「前面開口3F」に露出するように設けられているものと認められる。
f 甲1発明の「本体3の下壁3B」には、「第1入力側配線導入孔27A、第2入力側配線導入孔27B、第1出力側配線導入孔28A、第2出力側配線導入孔28B」が設けられ、「太陽電池PV」の「4ユニット」「PV1、PV2、PV3、PV4」のうちの「PV1とPV2の+配線DCと-配線DCが、一方(左側)の第1入力側配線導入孔27Aを通り、それぞれ対応する左側2個の入力側配線用端子台22へ接続され、また、PV3とPV4の+配線DCと-配線DCが、他方(右側)の第1入力側配線導入孔27Aを通って、それぞれ対応する右側2個の入力側配線用端子台22へ接続され」、また、「出力側配線用端子台23にそれぞれ接続された3本の配線ACが第1出力側配線導入孔28Aをそれぞれ通って商用電力系統と接続され」るものであるから、甲1発明の「PV1とPV2の+配線DCと-配線DC」及び「PV3とPV4の+配線DCと-配線DC」は、本件特許発明4の「前記直流電力を入力するための配線」に相当し、甲1発明の「3本の配線AC」は、本件特許発明4の「前記外部装置に電力を出力するための配線」に相当し、そして、甲1発明の「一方(左側)の第1入力側配線導入孔27A」、「他方(右側)の第1入力側配線導入孔27A」、及び「第1出力側配線導入孔28A」は、本件特許発明4の「前記直流電力を入力するための配線及び前記外部装置に電力を出力するための配線を引き込むための配線孔」に相当する。
g 上記a~fの検討から、甲1発明の「本体3」と、本件特許発明4の「本体」とは、後記の点で相違するものの“前記本体は、正面側は開口されるとともに設置姿勢における上面と下面と側面とを有し、前記直流電力を入力するための配線を接続する入力側開閉器と、外部装置に電力を出力するための配線を接続する出力側端子台とが、前記上面と前記下面と前記側面に囲まれた内部に、前記開口に露出するように設けられるとともに、前記直流電力を入力するための配線及び前記外部装置に電力を出力するための配線を引き込むための配線孔を備え”る点では共通する。
(エ)甲1発明の「蓋体4」は、「本体3の前面開口3Fの周縁を巡る環状フランジ6に対し、4隅を取り付けネジ5によって着脱自在に取り付け」られるものであって、「蓋体4」が「本体3」に取り付けられた際には、「本体3」の「前面開口3F」が覆われることは明らかであるから、甲1発明の「蓋体4は、本体3の前面開口3Fの周縁を巡る環状フランジ6に対し、4隅を取り付けネジ5によって着脱自在に取り付け」られることは、本件特許発明4の「前記正面カバーは、前記開口を覆うように前記本体にねじ止めによって取付けるものであ」ることに相当する。
(オ)上記(ア)~(エ)のことから、本件特許発明4と甲1発明とは、次の点で一致し、また、相違する。
<一致点>
「入力された直流電力を所定の直流電力または交流電力に変換して出力するパワーコンディショナであって、
該パワーコンディショナの筐体内に、電力を入力するための配線が接続される入力側接続端子と、電力を出力するための配線が接続される出力側接続端子とを有し、
前記筐体は、正面カバーと本体とからなり、
前記本体は、正面側は開口されるとともに設置姿勢における上面と下面と側面とを有し、前記直流電力を入力するための配線を接続する入力側開閉器と、外部装置に電力を出力するための配線を接続する出力側端子台とが、前記上面と前記下面と前記側面に囲まれた内部に、前記開口に露出するように設けられるとともに、前記直流電力を入力するための配線及び前記外部装置に電力を出力するための配線を引き込むための配線孔を備え、
前記正面カバーは、前記開口を覆うように前記本体にねじ止めによって取付けるものである、
パワーコンディショナ。」
<相違点3>
「本体」が、本件特許発明4では、「金属製である」のに対して、甲1発明では、「本体3」にその旨の特定がされていない点。
<相違点4>
本件特許発明4は、「前記正面カバー」が「前記本体の開口の上端の高さよりも上方に伸びる第1部分と、前記第1部分の上端部から後方に向かって伸びる第2部分と、前記第2部分の後端部から下方に向かって伸びる第3部分と、を有し、前記第1部分と前記第2部分と前記第3部分とにより囲まれた位置に、該パワーコンディショナを運搬する把持部として用いられる、指を挿入する空間が形成される」ものであるのに対して、甲1発明は、「蓋体4」が、下方に伸びた環状フランジ6のさらに下方に伸びたうえで後方に折れ曲がった形状を備えているものの、「前記本体の開口の上端の高さよりも上方に伸びる第1部分と、前記第1部分の上端部から後方に向かって伸びる第2部分と、前記第2部分の後端部から下方に向かって伸びる第3部分と、を有」するかは不明であって、「前記第1部分と前記第2部分と前記第3部分とにより囲まれた位置に、該パワーコンディショナを運搬する把持部として用いられる、指を挿入する空間が形成される」ものではない点。
イ 判断
事案に鑑み相違点4について先に判断する。
上記相違点4に係る構成を開示するとされる甲第2、3号証についてみると、甲第2号証には、上記第4 2(2)カに記載したとおり、形状が概略直方体形状の電力変換機の前側において本体にネジで取り付けられている前面パネルが、「上辺の左右の一部分を除く部分において、本体よりも上方に伸び、後方に折れ曲がったうえで、さらに、下方に折れ曲がった形状をしている」ことが記載されているものの、この構成を「前記本体の開口の上端の高さよりも上方に伸びる第1部分と、前記第1部分の上端部から後方に向かって伸びる第2部分と、前記第2部分の後端部から下方に向かって伸びる第3部分」としてそれら部分で「囲まれた位置に、該パワーコンディショナを運搬する把持部として用いられる、指を挿入する空間が形成される」ことについては、記載も示唆もない。
また、甲第3号証には、上記甲第2号証と同様の構成が記載されているものの、甲第3号証にも、その構成を「前記本体の開口の上端の高さよりも上方に伸びる第1部分と、前記第1部分の上端部から後方に向かって伸びる第2部分と、前記第2部分の後端部から下方に向かって伸びる第3部分」としてそれら部分で「囲まれた位置に、該パワーコンディショナを運搬する把持部として用いられる、指を挿入する空間が形成される」ことについては、記載も示唆もない。
してみると、上記甲第2、3号証に記載の構成は、いずれも、前面パネルが、電力変換機ないし電力変換器の上面前側において、上方に伸び、後方に折れ曲がったうえで、さらに、下方に折れ曲がった形状(以下、「コ字形状」ともいう。)であるものの、甲第2、3号証のいずれにも、当該コ字形状の部分を「前記本体の開口の上端の高さよりも上方に伸びる第1部分と、前記第1部分の上端部から後方に向かって伸びる第2部分と、前記第2部分の後端部から下方に向かって伸びる第3部分」としてそれら部分で「囲まれた位置に、該パワーコンディショナを運搬する把持部として用いられる、指を挿入する空間が形成される」ことについての具体的な記載はなく、甲第2、3号証には、そのコ字形状の構成を把持部として構成しようとする技術思想はみられない。
そして、甲第2、3号証に記載の上面前側のコ字形状の構成について、コ字形状によって囲まれた位置に指を挿入する空間を形成して把持部として使用することが、当業者の技術常識であるともいえないから、甲1発明に、甲第2、3号証に記載の上面前側のコ字形状の構成を適用し得たとしても、本件特許発明4の「前記正面カバーは、前記本体の開口の上端の高さよりも上方に伸びる第1部分と、前記第1部分の上端部から後方に向かって伸びる第2部分と、前記第2部分の後端部から下方に向かって伸びる第3部分と、を有し、前記第1部分と前記第2部分と前記第3部分とにより囲まれた位置に、該パワーコンディショナを運搬する把持部として用いられる、指を挿入する空間が形成される」とすることを、当業者が容易に想到し得たということはできない。
したがって、相違点3について判断するまでもなく本件特許発明4は、当業者であっても、甲1発明及び甲第2、3号証に記載の事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
ウ 申立人の主張について
申立人は、異議申立書において、本件特許発明1についての上記1 ウ(ア)のa、cと同様の主張をしている。
しかしながら、これらの主張については、上記1 ウ(イ)のとおり、いずれも採用することができない。
4 本件特許発明5ないし7について
本件特許発明5ないし7は、上記3で検討した本件特許発明4に係る請求項4を直接的又は間接的に引用するものであって、本件特許発明4の構成をさらに限定するものであるから、本件特許発明4と同様の理由により、本件特許発明5ないし7は、当業者であっても、甲1発明及び甲2ないし4号証に記載の事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
5 本件特許発明8について
ア 対比
本件特許発明8と甲1発明とを対比する。
(ア)甲1発明の「パワーコンディショナ」は、「再生可能エネルギーから得られる直流電力を商用電力系統へ重畳可能な交流に変換」する機能を有するものであり、“入力された”再生可能エネルギーから得られる「直流電力」を商用電力系統へ重畳可能な“所定の交流電力”に「変換」して“出力”するものである。
してみれば、甲1発明の「パワーコンディショナ」と本件特許発明8の「入力された直流電力を所定の直流電力または交流電力に変換して出力するパワーコンディショナ」とは、“入力された直流電力を所定の交流電力に変換して出力するパワーコンディショナ”である点で共通する。
(イ)a 甲1発明の「筐体2」は、「本体3と蓋体4によって構成され」るものである。
そして、甲1発明の「本体3」は、「上壁3A、下壁3B、左壁3C、右壁3D、及び背壁3Eで囲まれ前面開口3Fを有する矩形状の箱を構成」するものであって、その「内下部の左右離れた位置に、正面視で右側に太陽電池PVと電力変換回路INVとを接続する入力側配線用端子台22、正面視で左側に電力変換回路INVから商用電力系統とを接続する出力側配線用端子台23が配置され」るものであるから、「筐体2」内に、「入力側配線用端子台22」と「出力側配線用端子台23」とを有しているといえる。
してみると、甲1発明の「筐体2」は、本件特許発明8の「筐体」に対応するものであって、甲1発明の「本体3」、「蓋体4」が、各々、本件特許発明8の「本体」、「正面カバー」に相当する。
b 甲1発明の「入力側配線用端子台22」は、「太陽電池PVと電力変換回路INVとを接続する」ものであるから、太陽電池PVから出力される“直流電力”を電力変換回路INVに“入力するための配線を接続する”ためのものといえ、また、「入力側配線用端子台22」に端子があることは明らかであるから、甲1発明は、本件特許発明8の「電力を入力するための配線が接続される入力側接続端子」に相当する構成を備えるものである。
c 甲1発明の「出力側配線用端子台23」は、「電力変換回路INVから商用電力系統とを接続する」ものであり、電力変換回路INVから、商用電力系統を構成する外部装置に“電力を出力するための配線”を接続するものであって、「出力側配線用端子台23」に端子があることは明らかであるから、甲1発明は、本件特許発明8の「電力を出力するための配線を接続する出力側接続端子」に相当する構成を備えるものである。
d したがって、甲1発明の「パワーコンディショナ」と本件特許発明8の「パワーコンディショナ」とは、「該パワーコンディショナの筐体内に、電力を入力するための配線が接続される入力側接続端子と、電力を出力するための配線が接続される出力側接続端子とを有」する点で一致する。
また、甲1発明の「筐体2は、本体3と蓋体4によって構成され」ることは、本件特許発明8の「前記筐体は、正面カバーと本体とからな」ることに相当する。
(ウ)a 甲1発明の「本体3」は、「上壁3A、下壁3B、左壁3C、右壁3D、及び背壁3Eで囲まれ前面開口3Fを有する矩形状の箱を構成」するものであって、その「内下部の左右離れた位置に、正面視で右側に太陽電池PVと電力変換回路INVとを接続する入力側配線用端子台22、正面視で左側に電力変換回路INVから商用電力系統とを接続する出力側配線用端子台23が配置され」るものである。さらに、「本体3の下壁3Bに」「第1入力側配線導入孔27A、第2入力側配線導入孔27B、第1出力側配線導入孔28A、第2出力側配線導入孔28B等」が設けられ、「PV1とPV2の+配線DCと-配線DCが、一方(左側)の第1入力側配線導入孔27Aを通り、それぞれ対応する左側2個の入力側配線用端子台22へ接続され、また、PV3とPV4の+配線DCと-配線DCが、他方(右側)の第1入力側配線導入孔27Aを通って、それぞれ対応する右側2個の入力側配線用端子台22へ接続され」るものであり、「出力側配線用端子台23にそれぞれ接続された3本の配線ACが第1出力側配線導入孔28Aをそれぞれ通って商用電力系統と接続され」るものである。
b 甲1発明の本体3が有する「上壁3A」、「下壁3B」の上下、及び「左壁3C及び右壁3D」の左右が、設置姿勢に対するものであることは、甲第1号証の図7(上記第4 1(1)コ)の「電力変換装置を建物の外壁に取り付けた状態の側面図」を参照すると、「上壁3A」が上側に、「下壁3B」が下側になっていることからも明らかであるから、甲1発明の本体3が有する「上壁3A」、「下壁3B」は、各々、本件特許発明8の「設置姿勢における上面と下面」に相当し、甲1発明の本体3が有する「左壁3C及び右壁3D」は、本件特許発明8の「設置姿勢における」「側面」に相当する。
また、甲1発明の「本体3」の「前面開口3F」は、本件特許発明8の「正面側」の「開口」に相当する。
c 甲1発明の「入力側配線用端子台22」は、「太陽電池PVと電力変換回路INVとを接続する」ものであるから、太陽電池PVから出力される“直流電力”を電力変換回路INVに“入力するための配線を接続する”ためのものであるといえ、当該「入力側配線用端子台22」が備える「内部に過電流にて電路を遮断する機構」及び「下方へ作動した操作部22Sを手動にて上方へ回動作動させれば、遮断した電路を接続状態へ復帰させることできる」機能は、“開閉器”としての機能に他ならない。
d 甲1発明の「出力側配線用端子台23」は、「電力変換回路INVから商用電力系統とを接続する」ものであり、電力変換回路INVから、商用電力系統を構成する“外部装置”に“電力を出力するための配線”を接続するものであるから、本件特許発明8の「外部装置に電力を出力するための配線を接続する出力側端子台」に相当する。
e 甲1発明の「入力側配線用端子台22」は「筐体2の本体3内下部の左右離れた位置」の「正面視で右側」に配置され、「出力側配線用端子台23」は、「筐体2の本体3内下部の左右離れた位置」の「正面視で左側」に配置されるものである。ここで、「本体3内」が「上壁3A、下壁3B、左壁3C、右壁3D」に囲まれた領域であることは明らかであり、さらに、「正面視」であるから、「入力側配線用端子台22」及び「出力側配線用端子台23」は、「前面開口3F」に露出するように設けられているものと認められる。
f 甲1発明の「本体3の下壁3B」には、「第1入力側配線導入孔27A、第2入力側配線導入孔27B、第1出力側配線導入孔28A、第2出力側配線導入孔28B」が設けられ、「太陽電池PV」の「4ユニット」「PV1、PV2、PV3、PV4」のうちの「PV1とPV2の+配線DCと-配線DCが、一方(左側)の第1入力側配線導入孔27Aを通り、それぞれ対応する左側2個の入力側配線用端子台22へ接続され、また、PV3とPV4の+配線DCと-配線DCが、他方(右側)の第1入力側配線導入孔27Aを通って、それぞれ対応する右側2個の入力側配線用端子台22へ接続され」、また、「出力側配線用端子台23にそれぞれ接続された3本の配線ACが第1出力側配線導入孔28Aをそれぞれ通って商用電力系統と接続され」るものであるから、甲1発明の「PV1とPV2の+配線DCと-配線DC」及び「PV3とPV4の+配線DCと-配線DC」は、本件特許発明8の「前記直流電力を入力するための配線」に相当し、甲1発明の「3本の配線AC」は、本件特許発明8の「前記外部装置に電力を出力するための配線」に相当し、そして、甲1発明の「一方(左側)の第1入力側配線導入孔27A」、「他方(右側)の第1入力側配線導入孔27A」、及び「第1出力側配線導入孔28A」は、本件特許発明8の「前記直流電力を入力するための配線及び前記外部装置に電力を出力するための配線を引き込むための配線孔」に相当する。
g 上記a~fの検討から、甲1発明の「本体3」と、本件特許発明8の「本体」とは、後記の点で相違するものの“前記本体は、正面側は開口されるとともに設置姿勢における上面と下面と側面とを有し、前記直流電力を入力するための配線を接続する入力側開閉器と、外部装置に電力を出力するための配線を接続する出力側端子台とが、前記上面と前記下面と前記側面に囲まれた内部に、前記開口に露出するように設けられるとともに、前記直流電力を入力するための配線及び前記外部装置に電力を出力するための配線を引き込むための配線孔を備え”る点では共通する。
(エ)甲1発明の「蓋体4」は、「本体3の前面開口3Fの周縁を巡る環状フランジ6に対し、4隅を取り付けネジ5によって着脱自在に取り付け」られるものであって、「蓋体4」が「本体3」に取り付けられた際には、「本体3」の「前面開口3F」が覆われることは明らかであるから、甲1発明の「蓋体4は、本体3の前面開口3Fの周縁を巡る環状フランジ6に対し、4隅を取り付けネジ5によって着脱自在に取り付け」られることは、本件特許発明8の「前記正面カバーは、前記開口を覆うように前記本体にねじ止めによって取付けるものであ」ることに相当する。
(オ)上記(ア)~(エ)のことから、本件特許発明8と甲1発明とは、次の点で一致し、また、相違する。
<一致点>
「入力された直流電力を所定の直流電力または交流電力に変換して出力するパワーコンディショナであって、
該パワーコンディショナの筐体内に、電力を入力するための配線が接続される入力側接続端子と、電力を出力するための配線が接続される出力側接続端子とを有し、
前記筐体は、正面カバーと本体とからなり、
前記本体は、正面側は開口されるとともに設置姿勢における上面と下面と側面とを有し、前記直流電力を入力するための配線を接続する入力側開閉器と、外部装置に電力を出力するための配線を接続する出力側端子台とが、前記上面と前記下面と前記側面に囲まれた内部に、前記開口に露出するように設けられるとともに、前記直流電力を入力するための配線及び前記外部装置に電力を出力するための配線を引き込むための配線孔を備え、
前記正面カバーは、前記開口を覆うように前記本体にねじ止めによって取付けるものである、
パワーコンディショナ。」
<相違点5>
「本体」が、本件特許発明8では、「金属製である」のに対して、甲1発明では、「本体3」にその旨の特定がされていない点。
<相違点6>
本件特許発明8は、「前記正面カバー」が「前記本体の開口の上端の高さよりも上方に伸びる第1部分と、前記第1部分の上端部から後方に向かって伸びる第2部分と、前記第2部分の後端部から下方に向かって伸びる第3部分と、を有し、前記第3部分の下端と前記本体の上面との間の位置に、該パワーコンディショナを運搬する把持部として用いられる、指を挿入するための隙間を有する」ものであるのに対して、甲1発明は、「蓋体4」が、下方に伸びた環状フランジ6のさらに下方に伸びたうえで後方に折れ曲がった形状を備えているものの、「前記本体の開口の上端の高さよりも上方に伸びる第1部分と、前記第1部分の上端部から後方に向かって伸びる第2部分と、前記第2部分の後端部から下方に向かって伸びる第3部分と、を有」するものであるかは不明であって、「前記第3部分の下端と前記本体の上面との間の位置に、該パワーコンディショナを運搬する把持部として用いられる、指を挿入するための隙間を有する」ものではない点。
イ 判断
事案に鑑み相違点6について先に判断する。
上記相違点6に係る構成を開示するとされる甲第2、3号証についてみると、甲第2号証には、上記第4 2(2)カに記載したとおり、形状が概略直方体形状の電力変換機の前側において本体にネジで取り付けられている前面パネルが、「上辺の左右の一部分を除く部分において、本体よりも上方に伸び、後方に折れ曲がったうえで、さらに、下方に折れ曲がった形状をしている」ことが記載されているものの、この構成を「上方に伸びる第1部分と、前記第1部分の上端部から後方に向かって伸びる第2部分と、前記第2部分の後端部から下方に向かって伸びる第3部分」として、「前記第3部分の下端と前記本体の上面との間の位置に、該パワーコンディショナを運搬する把持部として用いられる、指を挿入するための隙間を有する」ものとすることについては、記載も示唆もない。
また、甲第3号証には、上記甲第2号証と同様の構成が記載されているものの、甲第3号証にも、その構成の部分を「上方に伸びる第1部分と、前記第1部分の上端部から後方に向かって伸びる第2部分と、前記第2部分の後端部から下方に向かって伸びる第3部分」として、「前記第3部分の下端と前記本体の上面との間の位置に、該パワーコンディショナを運搬する把持部として用いられる、指を挿入するための隙間を有する」ものとすることについては、記載も示唆もない。
してみると、上記甲第2、3号証に記載の構成は、いずれも、前面パネルが、電力変換機ないし電力変換器の上面前側において、上方に伸び、後方に折れ曲がったうえで、さらに、下方に折れ曲がった形状(以下、「コ字形状」ともいう。)であるものの、甲第2、3号証のいずれにも、当該コ字形状を「上方に伸びる第1部分と、前記第1部分の上端部から後方に向かって伸びる第2部分と、前記第2部分の後端部から下方に向かって伸びる第3部分」として、「前記第3部分の下端と前記本体の上面との間の位置に、該パワーコンディショナを運搬する把持部として用いられる、指を挿入するための隙間を有する」ものとすることについての具体的な記載はなく、甲第2、3号証には、そのコ字形状の構成を把持部として構成しようとする技術思想はみられない。
そして、甲第2、3号証に記載の上面前側のコ字形状の構成について、下方に折れ曲がった部分と本体の上面との間の位置に指を挿入するための隙間を形成して把持部として使用することが、当業者の技術常識であるともいえないから、甲1発明に、甲2、3号証に記載の上面前側のコ字形状の構成を適用し得たとしても、本件特許発明8の「前記正面カバーは、前記本体の開口の上端の高さよりも上方に伸びる第1部分と、前記第1部分の上端部から後方に向かって伸びる第2部分と、前記第2部分の後端部から下方に向かって伸びる第3部分と、を有し、前記第3部分の下端と前記本体の上面との間の位置に、該パワーコンディショナを運搬する把持部として用いられる、指を挿入するための隙間を有する」ものとすることを、当業者が容易に想到し得たということはできない。
したがって、相違点5について判断するまでもなく、本件特許発明8は、当業者であっても、甲1発明及び甲第2、3号証に記載の事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
ウ 申立人の主張について
申立人は、異議申立書において、本件特許発明1についての上記1 ウ(ア)のa、cと同様の主張をしている。
しかしながら、これらの主張については、上記1 ウ(イ)のとおり、いずれも採用することができない。
6 まとめ
以上のとおり、本件特許発明1ないし8は、甲1発明及び甲第2号証ないし甲第5号証に記載の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。したがって、請求項1ないし8に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるということはできない。
第6 むすび
以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1ないし8に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1ないし8に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2022-701105