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特許異議申立

2022-701064

入力タッチペン

審判番号
2022-701064
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2017-228206
登録番号
7084127
請求日
2022年10月27日
審決日
2023年05月16日
公報発行日
2023年06月30日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】三菱鉛筆株式会社
  • 【権利者代理人】弁理士法人太陽国際特許事務所
  • 【異議申立人】株式会社 ワコム
  • 【異議申立人代理人】佐藤 正美
  • 【異議申立人代理人】丸山 正
審判長/審判官
  • 審判長 ▲吉▼田 耕一
  • 審判官 野崎 大進
  • 審判官 富澤 哲生
分類
P1652.121-Y (G06F)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7084127号発明「入力タッチペン」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7084127号の請求項2に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7084127号の請求項2に係る特許についての出願は、平成29年11月28日を出願日とする特許出願であって、令和4年6月6日に特許権の設定登録がされ、令和4年6月14日に特許掲載公報が発行された。その後、令和4年10月27日に特許異議申立人 株式会社ワコム(以下、「申立人」という。)により、特許異議の申立てがなされた。 第2 本件特許発明 特許第7084127号号(以下、「本件特許」という。)の請求項2の特許に係る発明(以下、「本件特許発明2」という。)は、特許請求の範囲に記載された事項によって特定される次のとおりのものである。(説明の便宜のため、当審で<A>~<H>と分説した。) 「<A> 先端と後端とにそれぞれ開口部を有する軸筒と、 <B> 前記軸筒の内部に収容されるとともに前記先端の開口部から出没可能な接触先端を有するデジタイザリフィルと、 <C> 前記後端の開口部から突出するノック部材を備えたノック機構とを有する入力タッチペンであって、 <D> 前記ノック機構は、 <D-1> 前記ノック部材と、 <D-2> 前記ノック部材の先端側に位置しノック部材の押圧に伴い所定の周方向に回転が可能な回転部材と、 <D-3> 前記軸筒の後端付近の内周面に設けられるカム機構と、 <D-4> 前記回転部材を常に後方へ付勢する復帰スプリングと、 を備えるとともに、 <D-5> 前記ノック部材は、その外側面に突出して設けられる摺動突起を有し、 <D-6> 前記回転部材は、その外側面に突出しかつ軸方向に延伸して設けられるとともにその後端縁が前記回転の方向の反対方向に傾斜している摺動突条を有し、 <E> 前記カム機構は、 <E-1> 前記軸筒の後端付近の内周面に内方に突出しかつ軸方向に延伸して複数本が等配して設けられる係止突条と、 <E-2> 前記複数本の係止突条の間の溝として形成されるカム溝と、 を有し、 <E-3> 前記カム溝内では前記摺動突起及び前記摺動突条が軸方向に前後に摺動可能となっており、 <E-4> 前記係止突条の先端縁のうち、前記カム溝の前記回転の方向側に位置する部分は、該回転の方向に向かって後端方向へ傾斜することで、前記摺動突条の後端縁が係止可能となっている係止縁として形成され、 <E-5> 前記係止突条の先端縁のうち、前記カム溝の前記回転の方向側に対し反対側に位置する部分は、前記係止縁よりも先端寄りに位置しかつ該回転の方向に向かって後端方向へ傾斜することで前記摺動突条を該カム溝へ誘導する誘導縁として形成され、 <F> 前記デジタイザリフィルの先端付近には前記接触先端の外径より大径でかつ前記軸筒の先端の開口部よりも大径な先端段部が形成され、 <G> 前記係止縁の後端から前記誘導縁の先端までの距離をL、 前記デジタイザリフィルの最大のノックストロークをX、 前記接触先端が前記先端の開口部の内部に没入している状態における前記先端段部から前記軸筒の先端側の内面への軸線方向の距離をA及び 前記接触先端が前記先端の開口部から突出した状態における前記先端段部から前記軸筒の先端側の内面への軸線方向の距離をB とそれぞれ定義したとき、 A>X、かつ、B>L との関係を満たす <H> ことを特徴とする入力タッチペン。」 第3 申立理由の概要 申立人は、特許異議申立書(以下、「申立書」という。)において、以下の理由により、本件特許発明2についての特許を、取り消すべきである旨主張している。 申立人は、主たる証拠として下記の甲1号証を提出し、従たる証拠として下記の甲2号証を提出し、請求項2に係る発明は、主たる証拠に記載された発明及び従たる証拠に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであって、請求項2に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反して特許査定されたものである旨主張している。(申立書2頁1行~5頁3行、7頁下から6行~16頁18行) 記 甲1号証:国際公開第2016/185915号 甲2号証:特開2013-99967号公報 第4 甲号証 1 甲1号証 (1)甲1号証の記載 申立人が主たる証拠として提出した甲1号証には、図面とともに以下の記載がある(下線は、注目箇所に当審が付した。以下、同様。)。 ア「技術分野 [0001] この発明は、位置検出装置と共に使用され、筆圧検出機能を有する電子ペンに関する。 背景技術 [0002] 近年、種々の電子機器の入力装置として、座標入力装置が用いられるようになっており、この座標入力装置の入力具としての電子ペンが用いられる機会が多くなっている。座標入力装置としては電磁誘導方式が主に用いられており、この電磁誘導方式の一つとして、センサからの磁界を、電子ペンが備える共振回路で受けて、センサに帰還する方式がある。 [0003] この電磁誘導方式の座標入力装置は、多数のループコイルを座標軸のX軸方向及びY軸方向に配設してなるセンサを備える位置検出装置と、磁性体コアに巻回されたインダクタンス素子の例としてのコイルとキャパシタとからなる共振回路を有するペン形状の位置指示器としての電子ペンとで構成される。 [0004] 位置検出装置は、所定の周波数の送信信号をセンサのループコイルに供給して、電磁エネルギーとして電子ペンに送信する。電子ペンの共振回路は、送信信号の周波数に応じた共振周波数を有するように構成されており、センサのループコイルとの間での電磁誘導作用に基づいて電磁エネルギーを蓄える。そして、電子ペンは、共振回路に蓄えた電磁エネルギーを位置検出装置のセンサのループコイルに帰還させる。 [0005] センサのループコイルは、この電子ペンからの電磁エネルギーを検出する。位置検出装置は、送信信号を供給したループコイルの位置と、電子ペンの共振回路からの電磁エネルギーを検出したループコイルの位置により、電子ペンにより指示されたセンサ上の位置のX軸方向及びY軸方向の座標値を検出する。 [0006] 図12(A)に、従来の電子ペン100の概略構成の一例を示す。この図12(A)の例の電子ペン100は、特許文献1(特開2009-86925号公報)に記載されているものである。 [0007] この特許文献1に記載されている電子ペン100のケース(筐体)101は、軸芯方向に組立結合された第1のケース102と第2のケース103とからなる有底の円筒状形状を備える。第1のケースの軸芯方向の一端側には、一端109a側がペン先となる棒状の芯体109の、前記一端109a側を外部に突出させるための開口102aが形成されている。ケース101の中空部内には、コイル104と、筆圧検出部105と、コイル104と共に共振回路を構成するキャパシタ106などの電子部品が搭載されたプリント基板107とが、軸芯方向に順次に並べられて収納されている。 [0008] コイル104は、軸芯方向の貫通孔108aを有する円筒状の磁性体コアの例としてのフェライトコア108に巻回されている。芯体109は、このフェライトコア108とは機構的に結合しないものとして構成されており、当該フェライトコア108の貫通孔108aを貫通するように設けられる。そして、フェライトコア108の、第1のケース102の開口102aとは反対側には、筆圧検出部105が収納されており、芯体109の他端109bが、この筆圧検出部105に嵌合される。芯体109は、印加される筆圧に応じて軸芯方向に移動変位する。この例の筆圧検出部105は、その芯体109に生じる移動変位を、静電容量の変化とするキャパシタの構成を有し、このキャパシタの静電容量の変化として筆圧を検出するように構成されている。 [0009] 筆圧検出部105は、端子105a及び端子105bにより、プリント基板107のキャパシタなどの電子部品と電気的に接続されていると共に、コイル104の一端及び他端と電気的に接続されている。筆圧検出部105を構成するキャパシタは、コイルと所定のキャパシタと共に共振回路を構成している。芯体109に圧力(筆圧)が印加されると筆圧検出部105を構成するキャパシタの容量が変化し、共振回路の共振周波数が変化する。電子ペン100は、この共振回路により、位置検出装置のセンサとの間で電磁波の授受を行う。位置検出装置は、電子ペン100との電磁波の授受を行っている座標位置として、電子ペン100の芯体109の指示位置を検出し、電子ペン100から帰還される信号の周波数(共振周波数)により電子ペンに印加されている筆圧を検出するようにする。 [0010] 上述のように、従来の電磁誘導方式の電子ペンにおいては、フェライトコア108の軸芯方向の貫通孔108aを通じて芯体109を配することにより、この芯体109に印加される圧力を筆圧検出部105に伝達し、位置検出装置のセンサの入力面への電子ペン100の接触を検出することができる構成としている。 [0011] ところで、近年の小型化の嗜好により、携帯型の電子機器も、より小型化の要求が強くなっている。そして、電子ペンは、この種の小型の電子機器用の位置検出装置と共に使用されるようになっており、より細型のものが求められている。 [0012] しかし、電子ペンが細型になると、コイル104が巻回される磁性体コアの例としてのフェライトコアも細型とする必要があるが、フェライトコアは硬く、そのような細型のフェライトコアに、細い芯体を挿通させる正確な寸法精度の貫通孔を形成することが従来は困難であった。 [0013] そこで、図12(B)に示すように、細型の電子ペン100Aの細型の筐体102A内に収納する細型のフェライトコア108Aには、芯体を貫通させるための貫通孔を設けるのではなく、当該フェライトコア108Aのペン先側の端部に凹部1081を形成して、この凹部1081に、芯体109Aを嵌合させるようにした電子ペンが提案された(特許文献2(特開2014‐21674号公報)参照)。 [0014] この電子ペン100Aの場合には、芯体109Aは、図12(A)の電子ペン100の場合の芯体109のペン先側109aの部分に対応する形状を備え、フェライトコア108Aのペン先側の端部の凹部1081に嵌合する突部1091を備える。そして、芯体109Aの突部1091が、フェライトコア108Aの凹部1081に嵌合されることで、両者が一体的に結合される構成とされる。このため、この図12(B)に示した電子ペン100Aにおいては、芯体109Aに印加された筆圧に応じて、当該芯体109Aと一体的に結合されたフェライトコア108Aが軸芯方向に移動し、筆圧検出部(図12(B)では図示を省略)に筆圧が伝達される。 先行技術文献 特許文献 [0015] 特開2009-86925号公報 特開2014‐21674号公報 発明の概要 発明が解決しようとする課題 [0016] 上述のように、特許文献2の電子ペン100Aの場合には、フェライトコア108Aが軸芯方向に筆圧に応じて移動してしまうので、このフェライトコア108Aに巻回されているコイル104Aとの電磁結合の強度が筆圧に応じて変化してしまうという問題があった。 [0017] ところで、最近は、細型のフェライトコアに細い芯体を挿通させるための正確な寸法精度の貫通孔を形成することが可能となり、特許文献2の電子ペン100Aの上述の問題は解消されるようになった。 [0018] すなわち、図12(C)に示すように、コイル104Bが巻回される細型のフェライトコア108Bに、細い貫通孔108Baを形成することが可能となり、この貫通孔108Baに、例えば樹脂からなる細い芯体109Bを挿通させることが可能となった。そして、この芯体109Bの先端109Baとは反対側を、図12(A)と同様にして、フェライトコア108Bを挿通させて突出させ、その突出する端部109Bbを筆圧検出部(図12(B)では図示を省略)に嵌合させることで、図12(B)の電子ペン100Aの問題を解消することができるようになった。 [0019] しかしながら、図12(C)のような細型のフェライトコア108Bに貫通孔108Baを形成して、芯体109Bをその貫通孔108Baを挿通させる構成とした場合、例えば樹脂からなる芯体109Bが細すぎるために、芯体109Bが折れ易くなるという問題が生じた。また、芯体109Bがフェライトコア108Bの貫通孔108Ba内において撓んでしまうという問題もある。 [0020] この発明は、以上の問題点を解決することができるようにした電子ペンを提供することを目的とする。」 イ 図1 [図:0001398285000001.jpg] ウ「[第1の実施形態] [0029] 図1は、この発明による電子ペンの第1の実施形態の構成例を示す図である。この第1の実施形態の電子ペン1は、筒状の筐体2の中空部2a内に、電子ペン本体部3が収納され、ノックカム機構部4により、電子ペン本体部3のペン先側が、筐体2の長手方向の一端の開口部2b側から出し入れされるノック式の構成を備える。この実施形態では、電子ペン本体部3は、カートリッジ式の構成とされ、筐体2に対して着脱可能とされている。 [0030] 図1(A)は、電子ペン本体部の全体が筐体2の中空部2a内に収容されている状態を示し、図1(B)は、ノックカム機構部4により電子ペン本体部のペン先側が、筐体2の開口部2bから突出した状態を示している。なお、図1の例では、電子ペン1の筐体2が透明の合成樹脂で構成されていて、その内部が透けて見える状態として示している。 [0031] この実施形態の電子ペン1は、市販のノック式ボールペンと互換性が取れる構成とされている。 [0032] 筐体2及び当該筐体2内に設けられるノックカム機構部4は、周知の市販のノック式ボールペンと同一の構成とされると共に、寸法関係も同一に構成される。換言すれば、筐体2及びノックカム機構部4は、市販のノック式のボールペンの筐体及びノックカム機構部をそのまま用いることもできる。 [0033] ノックカム機構部4は、図1に示すように、カム本体41と、ノック棒42と、回転子43とが組み合わされた周知の構成とされている。カム本体41は、筒状の筐体2の内壁面に形成されている。ノック棒42は、使用者のノック操作を受け付けることができるように、端部42aが、筐体2のペン先側とは反対側の開口2cから突出するようにされている。回転子43は、電子ペン本体部3のペン先側とは反対側の端部が嵌合される嵌合部43aを備える。 [0034] 図1(A)の状態において、ノック棒42の端部42aが押下されると、ノックカム機構部4により、電子ペン本体部3は、筐体2内において図1(B)の状態にロックされ、電子ペン本体部3のペン先側が、筐体2の開口部2bから突出する状態になる。そして、この図1(B)の状態から、ノック棒42の端部42aが再度押下されると、ノックカム機構部4によりロック状態が解除され、復帰用バネ5により、電子ペン本体部3の筐体2内の位置は、図1(A)の状態に戻る。ノックカム機構部4の詳細な構成及びその動作は、周知であるので、ここでは、その説明を省略する。」 エ 図2 [図:0001398285000002.jpg] オ 図3 [図:0001398285000003.jpg] カ「[0035] 図2は、電子ペン本体部3の構成例を、市販のノック式ボールペンの替え芯と比較して示す図である。すなわち、図2(A)は、市販のノック式ボールペンの替え芯6を示し、また、図2(B)は、この実施形態の電子ペン本体部3の構成例を示している。また、図3は、電子ペン本体部3のペン先側の構成を説明するための部分拡大図である。さらに、図4は、電子ペン本体部3に装着される芯体の構成を説明するための図である。 [0036] 市販のノック式ボールペンの替え芯6は、図2(A)に示すように、ボールが先端に配設されているペン先部61と、インク収納部62とが、結合部63で結合されて一体化された周知の構成を備える。結合部63は、インク収納部62と同じ径を有する。 [0037] 一方、この実施形態の電子ペン本体部3においては、図2(B)に示すように、コイル31が巻回された磁性体コア、この例ではフェライトコア32が筒状体部33と結合されている。そして、芯体34が、フェライトコア32の貫通孔(図2では図示を省略)を通じて挿通されて、後述するように、筒状体部33内に設けられている筆圧検出部(図2では図示を省略)に嵌合されて電子ペン本体部3の一部として設けられる。図2に示すように、芯体34は、一方の端部34a(以下、先端部34aという)が、ペン先として、フェライトコア32から突出する。」 キ「[0055] この例の場合には、図2(A)及び図2(B)に示すように、電子ペン本体部3のペン先側の寸法は、ボールペンの替え芯6のペン先側の寸法とほぼ等しくなるように構成されている。すなわち、電子ペン本体部3のペン先側に設けられるフェライトコア32の径は、ボールペンの替え芯6のペン先部61の径R1とほぼ等しくなるように構成されている。また、芯体34の先端部34aのフェライトコア32から突出する部分の長さとフェライトコア32の第1のコイル非巻回部32bの長さとの合計の長さは、図2及び図3(B)に示すように、ボールペンの替え芯6のペン先部61の長さL1とほぼ等しくなるように構成されている。 [0056] また、電子ペン本体部3のフェライトコア32のコイル31が巻回されたコイル巻回部32aの径及び筒状体部33の径は、ボールペンの替え芯6のインク収納部62の径R2とほぼ等しく、前記ペン先部61の径R1よりは大きい(R2>R1)。なお、筐体2の開口部2bの径は、この径R2よりは小さい。したがって、コイル巻回部32aは、開口部2bから外部に突出することはできない。」 ク「[0061] したがって、この実施形態の電子ペン1は、細型化された場合であっても、センサと強く電磁結合することができ、位置検出装置においては、電子ペンによる指示位置の検出を感度良く検出することができるようになる。」 (2)甲1号証記載発明 上記(1)の記載から、特に下線部に着目すると、甲1号証には以下の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。 「位置検出装置と共に使用され、筆圧検出機能を有する電子ペンであって、 筒状の筐体2の中空部2a内に、電子ペン本体部3が収納され、ノックカム機構部4により、電子ペン本体部3のペン先側が、筐体2の長手方向の一端の開口部2b側から出し入れされるノック式の構成を備えており、 電子ペン本体部3は、カートリッジ式の構成とされ、筐体2に対して着脱可能とされており、 電子ペン本体部の全体が筐体2の中空部2a内に収容されており、 ノックカム機構部4により電子ペン本体部のペン先側が、筐体2の開口部2bから突出した状態となり、 電子ペン1は、市販のノック式ボールペンと互換性が取れる構成とされており、筐体2及び当該筐体2内に設けられるノックカム機構部4は、周知の市販のノック式ボールペンと同一の構成とされると共に、寸法関係も同一に構成されており、筐体2及びノックカム機構部4は、市販のノック式のボールペンの筐体及びノックカム機構部をそのまま用いることもできるものであり、 ノックカム機構部4は、カム本体41と、ノック棒42と、回転子43とが組み合わされた周知の構成とされており、 カム本体41は、筒状の筐体2の内壁面に形成されており、 ノック棒42は、使用者のノック操作を受け付けることができるように、端部42aが、筐体2のペン先側とは反対側の開口2cから突出するようにされており、 回転子43は、電子ペン本体部3のペン先側とは反対側の端部が嵌合される嵌合部43aを備えており、 ノック棒42の端部42aが押下されると、ノックカム機構部4により、電子ペン本体部3は、筐体2内において、ロックされ、電子ペン本体部3のペン先側が、筐体2の開口部2bから突出する状態になり、そして、この状態から、ノック棒42の端部42aが再度押下されると、ノックカム機構部4によりロック状態が解除され、復帰用バネ5により、電子ペン本体部3の筐体2内の位置は、戻るものであり、 電子ペン本体部3においては、コイル31が巻回された磁性体コア、この例ではフェライトコア32が筒状体部33と結合されて、芯体34が、フェライトコア32の貫通孔を通じて挿通されて、筒状体部33内に設けられている筆圧検出部に嵌合されて電子ペン本体部3の一部として設けられており、 電子ペン本体部3のペン先側に設けられるフェライトコア32の径は、ボールペンの替え芯6のペン先部61の径R1とほぼ等しくなるように構成されており、 電子ペン本体部3のフェライトコア32のコイル31が巻回されたコイル巻回部32aの径及び筒状体部33の径は、ボールペンの替え芯6のインク収納部62の径R2とほぼ等しく、前記ペン先部61の径R1よりは大きい(R2>R1)、筐体2の開口部2bの径は、この径R2よりは小さいため、コイル巻回部32aは、開口部2bから外部に突出することはできないものであり、 細型化された場合であっても、センサと強く電磁結合することができ、位置検出装置においては、電子ペンによる指示位置の検出を感度良く検出することができる 電子ペン1。」 2 甲2号証 (1)甲2号証の記載 申立人が従たる証拠として提出した甲2号証には、図面とともに以下の記載がある。 ア「【技術分野】 【0001】 本発明は、リフィルとしてシャープペンシル並びにボールペン、マーカーペン及び修正ペン等の流動性を有するインク等が塗布されるもののいずれかを着脱可能とした、ノック機構を備えた軸筒を有する筆記具に関する。 【背景技術】 【0002】 ノック機構によって筆記先端が出退するような筆記具として、ボールペンやシャープペンシルが広く使用されている。これらはそれぞれ独立の単一の機能を持つ筆記具として提供されたり、また、これらを1本の軸の中に収容した多機能の筆記具として提供されることもある。また、最近は、ボールペンのみならずシャープペンシルの筆記機構部分をリフィル化して、軸筒を共用部材として、その中に、使用者が好みの色のボールペンリフィルを装着したり、またその代わりにシャープペンシルリフィルを装着したりしてカスタマイズが可能となっている筆記具も提供されている。そのような筆記具の一つとして、下記特許文献1に記載の発明が開示されている。 【先行技術文献】 【特許文献】 【0003】 【特許文献1】 特開2007-50610号公報 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 前記従来技術におけるような、カスタマイズ可能なノック式の筆記具においては、ボールペンリフィルの場合もシャープペンシルリフィルの場合も、リフィルの側にノック機構を設ける必要があった。特にボールペンの場合、リフィルはインクが消耗すると交換される消費部材であるため、そこにノック機構を設けなければならないとなるとリフィルの構造が複雑化するとともにコスト面でも不利である。しかし、リフィルとして標準化する必要上、ボールペンリフィルとシャープペンシルリフィルとで構造をある程度共通化する必要もある。 そこで本発明は、使用者の好み又は選択によりシャープペンシルにもボールペンにも、あるいはその他の筆記具あるいは塗布具、たとえばマーカーペンや修正ペン等にもカスタマイズ可能なノック式筆記具において、リフィルの構造をできるだけ簡素化し、リフィルの交換をより安価でかつ容易に行えるようにすることを課題とする。 【課題を解決するための手段】 【0005】 上記の課題に鑑み、本発明は、先端と後端とにそれぞれ開口部22,24を有する軸筒20と、 前記軸筒20内部に収容されるとともに前記先端の開口部22から出退可能な筆記先端82又は塗布先端93を有する筆記部材70と、 前記後端の開口部24から突出するノック部材40を備えたノック機構30を有する筆記具10であって、 前記ノック機構30は、 前記ノック部材40と、 前記ノック部材40の先端側に位置しノック部材40の押圧に伴い所定の周方向に回転可能な回転部材50と、 前記軸筒20後端付近の内周面に設けられるカム機構60と、 前記回転部材50を常に後方へ付勢する復帰スプリング26と、 を備えるとともに、 前記ノック部材40は、その外側面に突出して設けられる摺動突起41を有し、 前記回転部材50は、その外側面に突出しかつ軸方向に延伸して設けられるとともにその後端縁が前記回転方向の反対方向に傾斜している摺動突条51を有し、 前記カム機構60は、 前記軸筒20後端付近の内周面に内方に突出しかつ軸方向に延伸して複数組等配して設けられる係止突条61と、 前記各係止突条61間の溝として形成されるカム溝64と、 を有し、 前記カム溝64内では前記摺動突起41及び前記摺動突条51が軸方向に前後に摺動可能となっており、 前記係止突条61の先端縁のうち、前記カム溝64の前記回転方向側に位置する部分は、同回転方向に向かって後端方向へ傾斜することで、前記摺動突条51の後端縁が係止可能となっている係止縁62として形成され、 前記係止突条61の先端縁のうち、前記カム溝64の前記回転方向側に対し反対側に位置する部分は、同前記係止縁62よりも先端寄りに位置しかつ同回転方向に向かって後端方向へ傾斜することで前記摺動突条51を同カム溝64へ誘導する誘導縁63として形成され、 前記筆記部材70として、前記筆記先端82としての芯88を繰り出すチャック機構86を備えたシャープペンシルリフィル80、並びに、流動体92を収容する流動体収容管91及びこの流動体92による塗布がなされる前記塗布先端93を備えた塗布リフィル90のいずれかが択一的に前記軸筒20内に収容され、 前記塗布リフィル90の先端付近には前記塗布先端93の外径より大径でかつ前記軸筒20の先端の開口部22よりも大径な先端段部95が形成され、 前記係止縁62の後端から前記誘導縁63の先端までの距離をL、 前記シャープペンシルリフィル80のノックストロークをX及び 前記塗布先端93が前記軸筒20の先端の開口部22から露出した状態における前記先端段部95と前記軸筒20の先端の開口部22との距離をA とそれぞれ定義したとき、 X<L<A との関係を満たすことを特徴とする。」 イ「【0011】 さて、前記カム機構60における、係止突条61の係止縁62の後端(すなわち、係止縁62のうち最も後端に位置するポイント)と、この誘導縁63の先端(すなわち、誘導縁63のうち最も先端に位置するポイント)との距離が「L」の定義となっている。すなわち、この「L」とは、筆記先端82又は塗布先端93が突出している状態から、後退する状態へ移行する際にカム機構60において後述の「摺動突条51」が乗り越えなければならない距離を意味する。 そして、筆記部材70としてのシャープペンシルリフィル80の場合、そのノックストローク、すなわち、芯88を繰り出すために要する1回のノックで前方に移動する距離が「X」で定義されている。この距離Xは、たとえば、芯88の繰り出し機構である「チャック機構86」の移動可能距離で定義することも可能である。また、リフィル先端の前記先端開口に当接する不動部81と、ノックにより前後方向に移動可能な可動部84と、これら不動部81と可動部84との間に介装され可動部84を常に後方へ付勢するノックスプリング85とを構成として備える場合、このノックスプリング85の、ノックがされないときの最大長とノックがされて押圧されたときの最短長との差として定義されるノックストロークがこの距離Xである、としてもよい。 【0012】 そして、本発明においては、上記距離A、L及びX間に、 X<L<A との関係式が成立することとなっている。この関係式の意義について、以下で、筆記部材70としてシャープペンシルリフィル80を使用した場合と、塗布リフィル90を代表してボールペンリフィル90aを使用した場合とで説明する。 (1)シャープペンシルリフィル80の場合 軸筒20にシャープペンシルリフィル80を装着した場合、装着時の位置関係によっては、回転部材50の摺動突条51が、カム溝64に位置している場合と、係止突条61の係止縁62で係止している場合とのいずれかの状態を取ることとなる。 【0013】 まず、回転部材50の摺動突条51が、カム溝64に位置している場合は、装着直後は筆記先端82は軸筒20先端からは露出しない状態にある。この状態でノック部材40を押圧すると、カム溝64内に位置している摺動突起41が、カム溝64内でその直前に位置している摺動突条51を前方に押圧する。これによって、回転部材50も前方に押圧される。 そして、摺動突条51が係止突条61の先端を超えて押圧されると、係止突条61の係止縁62の傾斜に沿うようにして摺動突起41が係止縁62と係止することとなる。これに伴い、係止縁62が軸筒20内周の円周に占める弧の長さの分だけ、回転部材50が回転することとなる。この状態で、シャープペンシルリフィル80の筆記先端82が軸筒20先端の開口縁から突出した位置を取ることとなる。 【0014】 次に、軸筒20にシャープペンシルリフィル80を装着した時点で回転部材50の摺動突条51が係止縁62と係止している場合、又は、ノック動作により摺動突条51が係止縁62と係止した状態となった場合において、ノック部材40を押圧すると、回転部材50も再び前方へ押圧されることになる。このとき、摺動突条51が誘導縁63を乗り越えるためには、係止縁62と誘導縁63との段差に相当する距離Lを超えて押圧される必要があるが、その前にノックス トロークが距離Xであって、前記関係式から距離Lは距離Xより大なのであるからその距離Xを超えてはノック部材40が押圧できないこととなっている。しかしその一方で、この距離Xのノック動作は確保できているので、芯88の繰り出しは十分可能となっている。すなわち、最初に軸筒20にシャープペンシルリフィル80を装着した時点で回転部材50の摺動突条51が係止縁62と係止している場合、又は、ノック動作により摺動突条51が係止縁62と係止した状態となった場合においては、係止縁62に位置している摺動突条51が誘導縁63を超えて再びカム溝64へ至ることがないため、常に筆記先端82が軸筒20先端の開口部22から突出した状態を保つこととなっている。 【0015】 (2)ボールペンリフィル90aの場合 軸筒20にボールペンリフィル90aを装着した場合、装着時の位置関係によっては、回転部材50の摺動突条51が、カム溝64に位置している場合と、係止突条61の係止縁62で係止している場合とのいずれかの状態を取ることとなる。 まず、回転部材50の摺動突条51が、カム溝64に位置している場合は、装着直後は塗布先端93としてのボールペンチップ93aは軸筒20先端からは露出しない状態にある。この状態でノック部材40を押圧すると、カム溝64内に位置している摺動突起41が、カム溝64内でその直前に位置している摺動突条51を前方に押圧する。これによって、回転部材50も前方に押圧される。 【0016】 そして、摺動突条51が係止突条61の先端を超えて押圧されると、係止突条61の係止縁62の傾斜に沿うようにして摺動突起41が係止縁62と係止することとなる。これに伴い、係止縁62が軸筒20内周の円周に占める弧の長さの分だけ、回転部材50が回転することとなる。この状態で、ボールペンリフィル90aの塗布先端93が軸筒20先端の開口縁から突出した位置を取ることとなる。 次に、軸筒20にボールペンリフィル90aを装着した時点で回転部材50の摺動突条51が係止縁62と係止している場合、又は、ノック動作により摺動突条51が係止縁62と係止した状態となった場合において、ノック部材40を押圧すると、回転部材50も再び前方へ押圧されることになる。このとき、摺動突条51が誘導縁63を乗り越えるためには、距離Lを超えて押圧される必要がある。しかし、塗布先端93が軸筒20先端の開口部22から突出している状態において、ボールペンリフィル90aは、先端段部95が軸筒20先端の開口部22に当接するまで移動可能である。この移動可能な距離がすなわち、前記の距離Aである。 【0017】 そして、この距離Aは係止縁62と誘導縁63との段差に相当する距離Lより大なのであるから、ノック部材40をこの距離Aだけ押圧する前に、摺動突条51はこの距離Lを超えて移動することとなる。そして摺動突条51は誘導縁63に至り、その傾斜に沿って次のカム溝64まで移動する。この際、回転部材50は、誘導縁63及びそれに隣接するカム溝64が軸筒20内周の円周に占める弧の長さの分だけ回転しつつ、復帰スプリング26の付勢力によりノック部材40を後方へ押圧し、かくして摺動突条51がカム溝64に位置する状態になる。 なお、塗布部材として、ボールペンリフィル90a以外、たとえばマーカーペンリフィルとか修正ペンリフィルとかが装着される場合の動作についてもボールペンリフィル90aの場合と同様である。」 (2)甲2号証記載発明 上記(1)の記載から、特に下線部に着目すると、甲2号証には以下の技術(以下、「甲2記載技術」という。)が記載されていると認められる。 「リフィルとしてシャープペンシル並びにボールペン、マーカーペン及び修正ペン等の流動性を有するインク等が塗布されるもののいずれかを着脱可能とした、ノック機構を備えた軸筒を有する筆記具であって、 先端と後端とにそれぞれ開口部22,24を有する軸筒20と、 前記軸筒20内部に収容されるとともに前記先端の開口部22から出退可能な筆記先端82又は塗布先端93を有する筆記部材70と、 前記後端の開口部24から突出するノック部材40を備えたノック機構30を有する筆記具10であって、 前記ノック機構30は、 前記ノック部材40と、 前記ノック部材40の先端側に位置しノック部材40の押圧に伴い所定の周方向に回転可能な回転部材50と、 前記軸筒20後端付近の内周面に設けられるカム機構60と、 前記回転部材50を常に後方へ付勢する復帰スプリング26と、 を備えるとともに、 前記ノック部材40は、その外側面に突出して設けられる摺動突起41を有し、 前記回転部材50は、その外側面に突出しかつ軸方向に延伸して設けられるとともにその後端縁が前記回転方向の反対方向に傾斜している摺動突条51を有し、 前記カム機構60は、 前記軸筒20後端付近の内周面に内方に突出しかつ軸方向に延伸して複数組等配して設けられる係止突条61と、 前記各係止突条61間の溝として形成されるカム溝64と、 を有し、 前記カム溝64内では前記摺動突起41及び前記摺動突条51が軸方向に前後に摺動可能となっており、 前記係止突条61の先端縁のうち、前記カム溝64の前記回転方向側に位置する部分は、同回転方向に向かって後端方向へ傾斜することで、前記摺動突条51の後端縁が係止可能となっている係止縁62として形成され、 前記係止突条61の先端縁のうち、前記カム溝64の前記回転方向側に対し反対側に位置する部分は、同前記係止縁62よりも先端寄りに位置しかつ同回転方向に向かって後端方向へ傾斜することで前記摺動突条51を同カム溝64へ誘導する誘導縁63として形成され、 前記筆記部材70として、前記筆記先端82としての芯88を繰り出すチャック機構86を備えたシャープペンシルリフィル80、並びに、流動体92を収容する流動体収容管91及びこの流動体92による塗布がなされる前記塗布先端93を備えた塗布リフィル90のいずれかが択一的に前記軸筒20内に収容され、 前記塗布リフィル90の先端付近には前記塗布先端93の外径より大径でかつ前記軸筒20の先端の開口部22よりも大径な先端段部95が形成され、 前記係止縁62の後端から前記誘導縁63の先端までの距離をL、 前記シャープペンシルリフィル80のノックストロークをX及び 前記塗布先端93が前記軸筒20の先端の開口部22から露出した状態における前記先端段部95と前記軸筒20の先端の開口部22との距離をA とそれぞれ定義したとき、 X<L<A との関係を満たす 筆記具。」 第5 当審の判断 申立人は、甲1号証を主たる証拠とし、甲第2号証を従たる証拠とする進歩性欠如を主張しているので、以下検討する。 1 対比 本件特許発明2と甲1発明とを上記「第2 本件特許発明」で分説した構成要件ごとに対比する。 (1)<A><H> 甲1発明は、「位置検出装置と共に使用され、筆圧検出機能を有する電子ペンであって、」「筒状の筐体2の中空部2a内に、電子ペン本体部3が収納され、ノックカム機構部4により、電子ペン本体部3のペン先側が、筐体2の長手方向の一端の開口部2b側から出し入れされるノック式の構成を備えており、」「ノックカム機構部4は、カム本体41と、ノック棒42と、回転子43とが組み合わされた周知の構成とされており、」「ノック棒42は、使用者のノック操作を受け付けることができるように、端部42aが、筐体2のペン先側とは反対側の開口2cから突出するようにされており、」「ノック棒42の端部42aが押下されると、ノックカム機構部4により、電子ペン本体部3は、筐体2内において、ロックされ、電子ペン本体部3のペン先側が、筐体2の開口部2bから突出する状態になるものであ」るとされている。 ここで、甲1発明の「電子ペン本体部3のペン先側が」「突出する」「筐体2の長手方向の一端の開口部2b」、「筐体2のペン先側とは反対側の開口2c」、「筒状の筐体2」は、それぞれ、本件特許発明2の「先端」に「有する」「開口部」、「後端」に「有する」「開口部」、「軸筒」に相当するといえる。 また、甲1発明の「位置検出装置と共に使用され、筆圧検出機能を有する電子ペン」は、「位置検出装置においては、電子ペンによる指示位置の検出を感度良く検出する」、すなわち、電子ペンのタッチ位置を位置検出装置により入力として検出するから、本件特許発明2と同様に、「入力タッチペン」であるといえる。 したがって、甲1発明と、本件特許発明2とは、「先端と後端とにそれぞれ開口部を有する軸筒」「を有する入力タッチペンであ」る点で共通しているといえる。 (2)<B><H> 甲1発明において、「位置検出装置と共に使用され、筆圧検出機能を有する電子ペンであって、筒状の筐体2の中空部2a内に、電子ペン本体部3が収納され、」「電子ペン本体部3は、カートリッジ式の構成とされ、筐体2に対して着脱可能とされており、」「電子ペン1は、市販のノック式ボールペンと互換性が取れる構成とされており、筐体2及び当該筐体2内に設けられるノックカム機構部4は、周知の市販のノック式ボールペンと同一の構成とされると共に、寸法関係も同一に構成されており、筐体2及びノックカム機構部4は、市販のノック式のボールペンの筐体及びノックカム機構部をそのまま用いることもできるものであり、」「電子ペン本体部3のペン先側が、筐体2の開口部2bから突出する状態になるものであり、」「電子ペン本体部3のペン先側に設けられるフェライトコア32の径は、ボールペンの替え芯6のペン先部61の径R1とほぼ等しくなるように構成されており、」「電子ペン本体部3のフェライトコア32のコイル31が巻回されたコイル巻回部32aの径及び筒状体部33の径は、ボールペンの替え芯6のインク収納部62の径R2とほぼ等しく、」「センサと強く電磁結合することができ、位置検出装置においては、電子ペンによる指示位置の検出を感度良く検出することができる」とされている。 ここで、甲1発明の「筒状の筐体2の中空部2a」、「収納」、「筐体2の開口部2bから突出する」「電子ペン本体部3のペン先」は、それぞれ、本件特許発明2の「軸筒の内部」、「収容」、「先端の開口部から出没可能な接触先端」に相当するといえる。 また、甲1発明の「フェライトコア32のコイル31が巻回された」「電子ペン本体部3」は、「フェライトコア32の径は、ボールペンの替え芯6のペン先部61の径R1とほぼ等しくなるように構成されて」いるから、替え芯、すなわち、「リフィル」といえ、さらに、「センサと強く電磁結合することができ、位置検出装置においては、電子ペンによる指示位置の検出を感度良く検出することができ」るから、甲1発明の「フェライトコア32のコイル31が巻回された」「電子ペン本体部3」は、「デジタイザ」として機能するものである。よって、甲1発明の「フェライトコア32のコイル31が巻回された」「電子ペン本体部3」は、本件特許発明2と同様に「デジタイザリフィル」であるといえる。 したがって、甲1発明と、本件特許発明2とは、「前記軸筒の内部に収容されるとともに前記先端の開口部から出没可能な接触先端を有するデジタイザリフィル」「を有する入力タッチペンであ」る点で共通しているといえる。 (3)<C><D><D-1><H> 甲1発明の「電子ペン」は、「ノックカム機構部4は、カム本体41と、ノック棒42と、回転子43とが組み合わされた周知の構成とされており、」「ノック棒42は、使用者のノック操作を受け付けることができるように、端部42aが、筐体2のペン先側とは反対側の開口2cから突出するようにされて」いるとされている。 ここで、甲1発明の「筐体2のペン先側とは反対側の開口2c」、「ノック棒42」、「ノックカム機構部4」は、それぞれ、本件特許発明2の「後端の開口部」、<D-1>「ノック部材」、<D>「ノック機構」に相当するといえる。 したがって、甲1発明と、本件特許発明2とは、<C>「前記後端の開口部から突出するノック部材を備えたノック機構」「を有する」<H>「入力タッチペンであ」る点で共通しているといえる。 (4)<D><D-1><D-2><D-3><D-4> 甲1発明において、「ノックカム機構部4は、カム本体41と、ノック棒42と、回転子43とが組み合わされた周知の構成」であり、「カム本体41は、筒状の筐体2の内壁面に形成されており、ノック棒42は、使用者のノック操作を受け付けることができるように、端部42aが、筐体2のペン先側とは反対側の開口2cから突出するようにされており、回転子43は、電子ペン本体部3のペン先側とは反対側の端部が嵌合される嵌合部43aを備えており、ノック棒42の端部42aが押下されると、ノックカム機構部4により、電子ペン本体部3は、筐体2内において、ロックされ、電子ペン本体部3のペン先側が、筐体2の開口部2bから突出する状態になり、そして、この状態から、ノック棒42の端部42aが再度押下されると、ノックカム機構部4によりロック状態が解除され、復帰用バネ5により、電子ペン本体部3の筐体2内の位置は、戻るものであ」るとされている。 ここで、上記(3)で述べたように、甲1発明の「ノック棒42」、「ノックカム機構部4」は、それぞれ、本件特許発明2の<D-1>「ノック部材」、<D>「ノック機構」に相当する。 また、甲1発明の「回転子43」は、図1を参照すると、「ノック棒42」の「ペン先側」に位置しているといえ、「ノック棒42」の押圧に伴い所定の周方向に回転が可能であることは、明らかであるから、甲1発明の「回転子43」は、本件特許発明2の<D-2>「ノック部材の先端側に位置しノック部材の押圧に伴い所定の周方向に回転が可能な回転部材」に相当するといえる。 さらに、甲1発明の「筒状の筐体2の内壁面に形成されて」いる「カム本体41」は、図1を参照すると、「筒状の筐体2」の後端付近に設けられているといえるから、甲1発明の「筒状の筐体2の内壁面に形成されており、」「筒状の筐体2」の後端付近に設けられている「カム本体41」は、本件特許発明2の<D-3>「前記軸筒の後端付近の内周面に設けられるカム機構」と同様に、「軸筒の後端付近の内周面に設けられるカム機構」である点で共通しているといえる。 そして、甲1発明は、「復帰用バネ5により」、「ロック状態が解除され」ると「電子ペン本体部3の筐体2内の位置は、戻るものであ」り、「電子ペン本体部3」と共に「回転子43」も戻ることから、甲1発明の「復帰用バネ5」も、本件特許発明2の「復帰スプリング」と同様に、「回転子43」を常に「電子ペン本体部3のペン先側とは反対側」へ付勢していることは明らかであるといえ、甲1発明の「復帰用バネ5」は、本件特許発明2の<D-4>「回転部材を常に後方へ付勢する復帰スプリング」に相当するといえる。 (5)<F> 甲1発明において、「電子ペン本体部3のフェライトコア32のコイル31が巻回されたコイル巻回部32aの径及び筒状体部33の径は、ボールペンの替え芯6のインク収納部62の径R2とほぼ等しく、前記ペン先部61の径R1よりは大きい(R2>R1)、筐体2の開口部2bの径は、この径R2よりは小さいため、コイル巻回部32aは、開口部2bから外部に突出することはできないものであ」るとされている。 ここで、上記(2)で述べたように、甲1発明の「電子ペン本体部3」が本件特許発明2の「デジタイザリフィル」に相当する。 また、甲1発明の「電子ペン本体部3」の「電子ペン本体部3のフェライトコア32のコイル31が巻回されたコイル巻回部32aの径及び筒状体部33の径は、」「径R2とほぼ等しく、前記ペン先部61の径R1よりは大き」く、「筐体2の開口部2bの径は、この径R2よりは小さい」ことから、甲1発明の「電子ペン本体部3」も、本件特許発明2の「デジタイザリフィル」と同様に、「先端付近には前記接触先端の外径より大径でかつ前記軸筒の先端の開口部よりも大径な先端段部が形成され」ているといえる。 2 一致点・相違点 以上から、本件特許発明2と甲1発明とは、下記(1)の一致点、および、下記(2)の相違点があるといえる。 (1) [一致点] 「<A> 先端と後端とにそれぞれ開口部を有する軸筒と、 <B> 前記軸筒の内部に収容されるとともに前記先端の開口部から出没可能な接触先端を有するデジタイザリフィルと、 <C> 前記後端の開口部から突出するノック部材を備えたノック機構とを有する入力タッチペンであって、 <D> 前記ノック機構は、 <D-1> 前記ノック部材と、 <D-2> 前記ノック部材の先端側に位置しノック部材の押圧に伴い所定の周方向に回転が可能な回転部材と、 <D-3> 前記軸筒の後端付近の内周面に設けられるカム機構と、 <D-4> 前記回転部材を常に後方へ付勢する復帰スプリングと、 を備えるとともに、 <F> 前記デジタイザリフィルの先端付近には前記接触先端の外径より大径でかつ前記軸筒の先端の開口部よりも大径な先端段部が形成された、 <H> 入力タッチペン。」 (2) [相違点] ア <相違点1> 本件特許発明2の「ノック機構」において、 <D-5> 前記ノック部材は、その外側面に突出して設けられる摺動突起を有し、 <D-6> 前記回転部材は、その外側面に突出しかつ軸方向に延伸して設けられるとともにその後端縁が前記回転の方向の反対方向に傾斜している摺動突条を有し、 <E> 前記カム機構は、 <E-1> 前記軸筒の後端付近の内周面に内方に突出しかつ軸方向に延伸して複数本が等配して設けられる係止突条と、 <E-2> 前記複数本の係止突条の間の溝として形成されるカム溝と、 を有し、 <E-3> 前記カム溝内では前記摺動突起及び前記摺動突条が軸方向に前後に摺動可能となっており、 <E-4> 前記係止突条の先端縁のうち、前記カム溝の前記回転の方向側に位置する部分は、該回転の方向に向かって後端方向へ傾斜することで、前記摺動突条の後端縁が係止可能となっている係止縁として形成され、 <E-5> 前記係止突条の先端縁のうち、前記カム溝の前記回転の方向側に対し反対側に位置する部分は、前記係止縁よりも先端寄りに位置しかつ該回転の方向に向かって後端方向へ傾斜することで前記摺動突条を該カム溝へ誘導する誘導縁として形成され ているのに対し、甲1発明のノック機構では、そのような構成を備えていない点。 イ <相違点2> 本件特許発明2では、「<G> 前記係止縁の後端から前記誘導縁の先端までの距離をL、 前記デジタイザリフィルの最大のノックストロークをX、 前記接触先端が前記先端の開口部の内部に没入している状態における前記先端段部から前記軸筒の先端側の内面への軸線方向の距離をA及び 前記接触先端が前記先端の開口部から突出した状態における前記先端段部から前記軸筒の先端側の内面への軸線方向の距離をB とそれぞれ定義したとき、 A>X、かつ、B>L との関係を満たす」のに対し、甲1発明では、そのような関係を満たしているのか否か明らかでない点。 3 相違点の容易想到性判断 事案に鑑みて、まず、<相違点2>について検討する。 (1) A>Xについて ア 甲1号証の図1(A)には、電子ペン本体部3の芯体34の先端部が筐体2の先端側開口部2bから突出せずに筐体2内に収納されている状態が示され、図1(B)には、ノック棒42の端部42aが押下され、ノックカム機構部4により、電子ペン本体部3は、筐体2内においてロックされている状態で、電子ペン本体部3の芯体34の先端部34aが筐体2の先端側開口部2bから突出していることが示されている。(図1(A)および(B)に、A、X、Eを付加したものを以下に示す。) [図:0001398285000004.jpg] 上記図1(B)では、コイル31と、筐体2の先端側開口部2bの内部との間には上記距離Eの間隙が生じている。 ここで一般に、ノック式ボールペンにおける最大ノックストロークとは、ノック棒42の端部42aを最大限押圧したときの距離をいう。 そして、上記図1(B)に示す状態は、ノック棒42の端部42aが押下され、ノックカム機構部4により、電子ペン本体部3は、筐体2内においてロックされている状態であるから、上記図1(B)に示す状態からさらにノック棒42の端部42aを押圧すれば、電子ペン本体部3は、さらに図面左方へ移動可能であるところ、上記図1(B)には、この移動可能距離を距離Eよりも小さくするような機構は見当たらない。 よって、甲1発明の電子ペン1における最大ノックストロークは、上記図1(A)の距離Aと等しくなる可能性が排除できず、その場合、「ノック動作の際にデジタイザリフィルの損傷を防」ぐ(本件特許明細書段落0005)との本件特許発明2の課題を達成できない。 イ また、甲2号証の段落0015~0016には以下の記載がある。 「【0015】 (2)ボールペンリフィル90aの場合 軸筒20にボールペンリフィル90aを装着した場合、装着時の位置関係によっては、回転部材50の摺動突条51が、カム溝64に位置している場合と、係止突条61の係止縁62で係止している場合とのいずれかの状態を取ることとなる。 まず、回転部材50の摺動突条51が、カム溝64に位置している場合は、装着直後は塗布先端93としてのボールペンチップ93aは軸筒20先端からは露出しない状態にある。この状態でノック部材40を押圧すると、カム溝64内に位置している摺動突起41が、カム溝64内でその直前に位置している摺動突条51を前方に押圧する。これによって、回転部材50も前方に押圧される。 【0016】 そして、摺動突条51が係止突条61の先端を超えて押圧されると、係止突条61の係止縁62の傾斜に沿うようにして摺動突起41が係止縁62と係止することとなる。これに伴い、係止縁62が軸筒20内周の円周に占める弧の長さの分だけ、回転部材50が回転することとなる。この状態で、ボールペンリフィル90aの塗布先端93が軸筒20先端の開口縁から突出した位置を取ることとなる。 次に、軸筒20にボールペンリフィル90aを装着した時点で回転部材50の摺動突条51が係止縁62と係止している場合、又は、ノック動作により摺動突条51が係止縁62と係止した状態となった場合において、ノック部材40を押圧すると、回転部材50も再び前方へ押圧されることになる。このとき、摺動突条51が誘導縁63を乗り越えるためには、距離Lを超えて押圧される必要がある。しかし、塗布先端93が軸筒20先端の開口部22から突出している状態において、ボールペンリフィル90aは、先端段部95が軸筒20先端の開口部22に当接するまで移動可能である。この移動可能な距離がすなわち、前記の距離Aである。」 上記記載の特に下線部に着目すると、ボールペンリフィル90aは、先端段部95が軸筒20先端の開口部22に当接するまで移動可能であるから、最大ノックストローク=Aであるといえる。 したがって、A>Xであることは、ノック式ボールペンなどの筆記具におけるノック機構においては、当然に定めなければならない設計的な事項であるということはできない。 ウ 以上から、甲1発明において、<相違点2>に係る構成の内「A>X(最大ノックストローク)」との構成とすることは、当業者が容易に想到し得たものではない。 (2) 作用効果について 本件特許発明2の<相違点2>に係る構成の内「A>X(最大ノックストローク)」との構成により、「この距離Xは、前記の距離Aより小なのであるから、ノック部材をこの距離Xだけ押圧しても、デジタイザリフィル80の先端段部95は軸筒20の内面には当接することはない」(本件特許明細書段落0023)から、「ノック動作の際にデジタイザリフィルの損傷を防」ぐ(本件特許明細書段落0033)との本件特許発明2の効果を達成しているといえる。そして,当該効果は,甲1号証および甲2号証から容易に予測しうるものではない。 (3) 小括 以上から、その他の相違点について検討するまでもなく、本件特許発明2は、甲1発明及び上記甲2号証記載技術に基づいて、当業者が容易に想到することができた発明とはいえない。 (4)申立人の主張について ア 申立人は、<相違点2>に係る構成の内「A>X(最大ノックストローク)」との構成について、概略、以下(ア)および(イ)のように主張している。 (ア) 図からA>Xであることが看取できる。 (申立書13頁15~27行) (イ) A>Xであることは、ノック式ボールペンなどの筆記具におけるノック機構においては、当然に定めなければならない設計的な事項であり、周知事項である。 (申立書13頁28行~14頁6行) イ 申立人の上記主張(ア)および(イ)について検討する。 (ア) 図からA>Xであることが看取できる旨の主張について 上記(1)アで述べたように、甲1発明の最大ノックストロークが距離Aに等しい可能性が排除できないから、図1(A)および(B)から、A>X(最大ノックストローク)であることが看取できるとはいえない。また、図3からも、図1(A)および(B)からと同様に、A>X(最大ノックストローク)であることが看取できるとはいえない。 (イ) A>Xであることは、ノック式ボールペンなどの筆記具におけるノック機構においては、当然に定めなければならない設計的な事項であり、周知事項である旨の主張について 上記(1)イで述べたように、ノック式ボールペンなどの筆記具におけるノック機構であるからといって、A>Xであることが、当然に定めなければならない設計的な事項であるとはいえない。 また、当該事項が周知事項であるという証拠もない。 第6 むすび 以上のとおり、特許異議の申立ての理由によっては、特許請求の範囲の請求項2に記載された本件特許発明2に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に請求項2に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2022-701064

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