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特許異議申立

2022-700998

造粒物およびその製造方法

審判番号
2022-700998
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2018-513184外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
登録番号
7052722
請求日
2022年10月11日
審決日
2023年11月17日
公報発行日
2024年03月29日
結論
訂正認容
当事者
審判長/審判官
分類
P1651.113-YAA(A23L) / P1651.121-YAA(A23L) / P1651.536-YAA(A23L) / P1651.537-YAA(A23L)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第1号、特許法第120条の5第5項、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第4項、特許法第120条の5第2項、特許法第36条第6項第2号、特許法第36条第4項第1号、特許法第2条第3項第1号、特許法第2条第3項第3号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7052722号発明「造粒物およびその製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7052722号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-5〕について訂正することを認める。 特許第7052722号の請求項1ないし15に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7052722号(以下、この通知において「本件特許」という。)の請求項1ないし15に係る特許についての出願は、2017年(平成29年)4月18日(優先権主張 平成28年4月19日)を国際出願日とする出願であって、令和4年4月4日にその特許権の設定登録(請求項の数15)がされ、同年同月12日に特許掲載公報が発行されたものである。 その後、その特許に対して、令和4年10月11日に特許異議申立人 佐藤 武史(以下、「特許異議申立人」という。)により、特許異議の申立て(対象請求項:全請求項)がされ、令和5年1月27日付けで取消理由が通知され、同年3月31日に特許権者 味の素株式会社(以下、「特許権者」という。)より訂正の請求(以下、「本件訂正請求」という。)がされるとともに意見書の提出がされ、同年4月10日付けで特許法第120条の5第5項に基づく訂正請求があった旨の通知を特許異議申立人に対して行ったところ、同年5月12日に特許異議申立人から意見書が提出され、同年8月10日付けで取消理由(決定の予告)が通知され、同年9月25日に特許権者より訂正の請求(以下、「本件訂正請求」という。)がされるとともに意見書の提出がされたものである。 なお、令和5年3月31日にされた訂正請求は、特許法第120条の5第7項の規定により取り下げられたものとみなす。 また、令和5年9月25日にされた訂正請求については、すでに申立人に意見書の提出の機会が与えられている場合であって、後記のとおり、訂正の請求によって特許請求の範囲が相当程度減縮され、事件において提出された全ての証拠や意見等を踏まえてさらに審理を進めたとしても、特許を維持すべきとの結論となると合議体が判断したため、申立人に対して改めて意見書を提出する機会を与える必要がないと認められる特別の事情があるものと判断し、意見書提出の機会を与えないこととした。 第2 本件訂正請求について 1 請求の趣旨 本件訂正請求における請求の趣旨は、「特許第7052722号の特許請求の範囲を、本訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~5について訂正することを求める。」というものである。 2 訂正の適否についての判断 (1) 訂正の内容 本件訂正請求による訂正の内容は、以下のとおりである。(下線は、訂正箇所について合議体が付したものである。) ア 訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1において、「前記被覆剤が、融点が20℃以上の油脂および融点が20℃以上の乳化剤から選択される1種またはそれ以上の成分である、造粒物。」とあるのを「前記被覆剤が、融点が20℃以上の油脂および融点が20℃以上の乳化剤から選択される1種またはそれ以上の成分であり ただし、以下の(1)~(9)の場合は除く、造粒物: (1)前記被覆剤がエチルセルロース、セタノール、ラウリル硫酸ナトリウム、トリアセチン、およびマンニトールの組み合わせである場合; (2)前記被覆剤がアミノアルキルメタクリレートコポリマーE、ラウリル硫酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセリン、ポリソルベート80、 ステアリン酸、およびマンニトールの組み合わせである場合; (3)前記被覆剤がセルロース系ポリマーである場合; (4)前記被覆剤が莱種極度硬化油、ヘキサグリセリンオクタステアレート、およびテトラグリセリン縮合リシノレイン酸エステルの組み合わせである場合; (5)前記被覆剤がアミノアルキルメタクリレートコポリマーE、ラウリル硫酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセリン、ポリソルベート80、ステアリン酸、軽質無水ケイ酸、およびマンニトールの組み合わせである揚合; (6)前記被覆剤がヒドロキシプロピルメチルセルロース・アセテートサクシネート、クエン酸トリエチル、タルク、ラウリル硫酸ナトリウム、およびマンニトールの組み合わせである場合; (7)前記被覆剤がエチルセルロース、クエン酸トリエチル、およびマンニトールの組み合わせである場合; (8)前記被覆剤がアクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー、モノステアリン酸グリセリン、ポリソルベート80、およびマンニトールの組み合わせである場合; (9)前記被覆剤がアミノアルキルメタクリレートコポリマーRS、ポリソルベート80、軽質無水ケイ酸、およびマンニトールの組み合わせである場合。」に訂正する。 請求項1の記載を直接又は間接的に引用して特定する請求項2ないし5についても同様に訂正する。 イ 訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2において、「前記苦味成分が、アミノ酸である」とあるのを「前記苦味成分が、アミノ酸であり、 前記苦味成分が、それを含有する原料核粒子を形成した状態で前記造粒物に含有され、 前記造粒物における前記原料核粒子の含有量が、70%(w/w)以上である」に訂正する。 請求項2の記載を直接又は間接的に引用して特定する請求項3ないし5についても同様に訂正する。 ウ 訂正事項3 特許請求の範囲の請求項3において、「前記造粒物における前記苦味成分の含有量が、30%(w/w)以上である」とあるのを「前記造粒物における前記苦味成分の含有量が、30%(w/w)以上であり、 前記乳化剤の融点が、20℃~90℃である」に訂正する。 請求項3の記載を直接又は間接的に引用して特定する請求項4及び5についても同様に訂正する。 エ 訂正事項4 特許請求の範囲の請求項4において、「前記造粒物における前記被覆剤の含有量が、2%(w/w)~30%(w/w)である」とあるのを 「前記造粒物における前記被覆剤の含有量が、2%(w/w)~30%(w/w)であり、 前記被覆剤が、少なくとも、前記油脂を含む」に訂正する。 請求項4の記載を引用して特定する請求項5についても同様に訂正する。 オ 訂正事項5 特許請求の範囲の請求項5において、「粒子径不均一度D90/Dl0が、14.998×D50[μm]-0.307以下である」とあるのを 「粒子径不均一度D90/Dl0が、14.998×D50[μm]-0.307以下であり、 前記乳化剤の融点が、20℃~90℃である」に訂正する。 カ 一群の請求項についての説明 訂正前の請求項1~5について、請求項2~5はそれぞれ請求項1を直接又は間接的に引用して特定するものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。したがって、訂正前の請求項1~5に対応する訂正後の請求項1~5は、特許法120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 (3)訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 ア 訂正事項1について 訂正事項1に係る請求項1の訂正は、造粒物のうち、(1)~(9)の場合は除くことを特定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、当該訂正が願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであって、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことも明らかである。 なお、特許異議申立人は、令和5年5月12日に提出した意見書において、要するに、訂正前の請求項1との関係で何を除いているのか不明確であり、また、「被覆剤」の定義に関して特許請求の範囲を拡張又は変更するものである旨主張する(上記意見書第4頁ないし5頁)が、除かれているものは(1)~(9)に該当するものであることは、その記載のとおり明確であり、また、特許請求の範囲の拡張又は変更にもあたらないことは明らかである。 よって、特許異議申立人の上記主張は採用しない。 請求項1の記載を直接又は間接的に引用して特定する請求項2ないし5についても同様である。 イ 訂正事項2について 訂正事項2に係る請求項2の訂正は、造粒物の苦味成分の含有状態を特定するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、明細書の発明の詳細な説明の【0034】ないし【0036】及び【0053】の記載からみて、当該訂正が願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであって、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことも明らかである。 なお、特許異議申立人は、令和5年5月12日に提出した意見書において、要するに、本件特許の明細書の発明の詳細な説明の【0036】の記載は、「原料の全量に対する重量」に対する比率であり、造粒物に対する重量比は規定していないことなどをあげ、新規事項の追加にあたる旨主張(上記意見書第5頁)する。 しかしながら、本件特許の明細書の発明の詳細な説明の【0034】ないし【0036】の記載を見た当業者であれば、造粒物は原料核粒子と被覆剤を攪拌混合する工程により形成されるものであり、【0036】の記載は、原料の全量、すなわち、造粒物を形成する原料の全量に対する原料核粒子の重量比についての記載であると認識できる。 してみると、原料の全量に対する原料核粒子の重量比は、結局のところ造粒物における原料核粒子の重量比、すなわち、「造粒物における原料核粒子の含有量」に他ならない。 よって、特許異議申立人の上記主張は採用しない。 請求項2の記載を直接又は間接的に引用して特定する請求項3ないし5についても同様である。 ウ 訂正事項3について 訂正事項3に係る請求項3の訂正は、乳化剤の融点を特定するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、明細書の発明の詳細な説明の【0024】の記載からみて、当該訂正が願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであって、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことも明らかである。 請求項3の記載を直接又は間接的に引用して特定する請求項4及び5についても同様である。 エ 訂正事項4について 訂正事項4に係る請求項4の訂正は、被覆剤が、少なくとも、「油脂」を含むことを特定するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、明細書の発明の詳細な説明の【0024】の記載からみて、当該訂正が願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであって、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことも明らかである。 請求項4の記載を引用して特定する請求項5についても同様である。 オ 訂正事項5について 訂正事項5に係る請求項5の訂正は、乳化剤の融点を特定するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、明細書の発明の詳細な説明の【0024】の記載からみて、当該訂正が願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであって、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことも明らかである。 (4) 訂正についてのまとめ 上記(3)のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 したがって、本件特許の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-5〕について訂正することを認める。 第3 本件特許発明 上記第2のとおり、訂正後の請求項〔1-5〕について訂正することを認めるので、本件特許の請求項1ないし15に係る発明(以下、「本件特許発明1」ないし「本件特許発明15」という。また、総称して「本件特許発明」という。)は、令和5年9月25日に提出された訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1ないし15に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。 「【請求項1】 下記性質(A)および(B): (A)平均粒子径D50が、50μm以上である; (B)粒子径不均一度D90/D10が、14.998×(D50[μm]-49)-0.295以下である を有し、 苦味成分および被覆剤を含有し、 前記苦味成分が前記被覆剤でコーティングされ、 前記被覆剤が、融点が20℃以上の油脂および融点が20℃以上の乳化剤から選択される1種またはそれ以上の成分であり ただし、以下の(1)~(9)の場合は除く、造粒物: (1)前記被覆剤がエチルセルロース、セタノール、ラウリル硫酸ナトリウム、トリアセチン、およびマンニトールの組み合わせである場合; (2)前記被覆剤がアミノアルキルメタクリレートコポリマーE、ラウリル硫酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセリン、ポリソルベート80、 ステアリン酸、およびマンニ卜ールの組み合わせである場合; (3)前記被覆剤がセルロース系ポリマーである場合; (4)前記被覆剤が莱種極度硬化油、ヘキサグリセリンオクタステアレート、およびテトラグリセリン縮合リシノレイン酸エステルの組み合わせである場合; (5)前記被覆剤がアミノアルキルメタクリレートコポリマーE、ラウリル硫酸ナトリム、モノステアリン酸グリセリン、ポリソルベート80、ステアリン酸、軽質無水ケイ酸、およびマンニトールの組み合わせである場合; (6)前記被覆剤がヒドロキシプロピルメチルセルロース・アセテートサクシネート、クエン酸トリエチル、タルク、ラウリル硫酸ナトリウム、およびマンニトールの組み合わせである場合; (7)前記被覆剤がエチルセルロース、クエン酸トリエチル、およびマンニトールの組み合わせである場合; (8)前記被覆剤がアクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー、モノステアリン酸グリセリン、ポリソルベート80、およびマンニトールの組み合わせである場合; (9)前記被覆剤がアミノアルキルメタクリレートコポリマーRS、ポリソルベート80、軽質無水ケイ酸、およびマンニトールの組み合わせである場合。 【請求項2】 前記苦味成分が、アミノ酸であり、 前記苦味成分が、それを含有する原料核粒子を形成した状態で前記造粒物に含有され、 前記造粒物における前記原料核粒子の含有量が、70%(w/w)以上である、請求項1に記載の造粒物。 【請求項3】 前記造粒物における前記苦味成分の含有量が、30%(w/w)以上であり、 前記乳化剤の融点が、20℃~90℃である、請求項1または2に記載の造粒物。 【請求項4】 前記造粒物における前記被覆剤の含有量が、2%(w/w)~30%(w/w)であり、 前記被覆剤が、少なくとも、前記油脂を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の造粒物。 【請求項5】 粒子径不均一度D90/D10が、14.998×D50[μm]-0.307以下であり、 前記乳化剤の融点が、20℃~90℃である、請求項1~4のいずれか1項に記載の造粒物。 【請求項6】 原料核粒子と被覆剤とを該被覆剤の融点以上の温度で撹拌混合する工程Aを含む、造粒物の製造方法であって、 前記原料核粒子が、苦味成分を含有し、 前記工程Aが撹拌子を備える撹拌装置を用いて実施され、 前記工程Aにおける撹拌数が、撹拌子の周速として、前記撹拌装置の容量が3L以下の場合には10m/s~20m/sであり、前記撹拌装置の容量が60L超の場合には4m/s~12m/sであり、前記撹拌装置の容量が3L超60L以下の場合には4m/s~20m/sである、方法。 【請求項7】 前記原料核粒子における前記苦味成分の含有量が、30%(w/w)以上である、請求項6に記載の方法。 【請求項8】 前記苦味成分が、アミノ酸である、請求項6または7に記載の方法。 【請求項9】 前記被覆剤が、融点が20℃以上の油脂および融点が20℃以上の乳化剤から選択される1種またはそれ以上の成分である、請求項6~8のいずれか1項に記載の方法。 【請求項10】 前記原料核粒子の使用量が、前記造粒物の原料の全量に対する重量比として、80%(w/w)以上である、請求項6~9のいずれか1項に記載の方法。 【請求項11】 前記被覆剤の使用量が、前記造粒物の原料の全量に対する重量比として、前記原料核粒子の平均粒子径D50が75μm以下である場合には2%(w/w)~30%(w/w)であり、前記原料核粒子の平均粒子径D50が75μm超である場合には2%(w/w)~10%(w/w)である、請求項6~10のいずれか1項に記載の方法。 【請求項12】 前記工程Aの前に、前記原料核粒子と前記被覆剤とを前記被覆剤の融点未満の温度で混合する工程Bを含む、請求項6~11のいずれか1項に記載の方法。 【請求項13】 前記工程B中に昇温させる、請求項12に記載の方法。 【請求項14】 前記工程Aにおける撹拌時間が、2分~150分である、請求項6~13のいずれか1項に記載の方法。 【請求項15】 製造される造粒物が下記性質(A)および(B)を有する、請求項6~14のいずれか1項に記載の方法: (A)平均粒子径D50が、50μm以上である; (B)粒子径不均一度D90/D10が、14.998×(D50[μm]-49)-0.295以下である。」 第4 特許異議申立人が主張する特許異議申立理由について 特許異議申立人が特許異議申立書において、請求項1ないし15に係る特許に対して申し立てた特許異議申立理由の要旨(下記1ないし15)は、次のとおりである。 1 申立理由1-1(甲第1号証を主たる証拠とする新規性) 本件特許の請求項1、3及び5に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第1号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 2 申立理由1-2(甲第7号証を主たる証拠とする新規性) 本件特許の請求項1、3及び5に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第7号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 3 申立理由1-3(甲第8号証を主たる証拠とする新規性) 本件特許の請求項1、3及び5に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第8号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 4 申立理由1-4(甲第9号証を主たる証拠とする新規性) 本件特許の請求項1及び5に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第9号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 5 申立理由1-5(甲第10号証を主たる証拠とする新規性) 本件特許の請求項1、3及び5に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第10号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 6 申立理由1-6(甲第11号証を主たる証拠とする新規性) 本件特許の請求項1、3及び4に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第11号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 7 申立理由2-1(甲第1号証を主たる証拠とする進歩性) 本件特許の請求項1ないし5に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第1号証に記載された発明に基いて、本件特許の優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 8 申立理由2-2(甲第7号証を主たる証拠とする進歩性) 本件特許の請求項1ないし5に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第7号証に記載された発明に基いて、本件特許の優先日前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 9 申立理由2-3(甲第8号証を主たる証拠とする進歩性) 本件特許の請求項1ないし5に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第8号証に記載された発明に基いて、本件特許の優先日前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 10 申立理由2-4(甲第9号証を主たる証拠とする進歩性) 本件特許の請求項1ないし5に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第9号証に記載された発明に基いて、本件特許の優先日前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 11 申立理由2-5(甲第10号証を主たる証拠とする進歩性) 本件特許の請求項1ないし5に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第10号証に記載された発明に基いて、本件特許の優先日前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 12 申立理由2-6(甲第11号証を主たる証拠とする進歩性) 本件特許の請求項1ないし5に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第11号証に記載された発明に基いて、本件特許の優先日前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 13 申立理由3(明確性要件) 本件特許の請求項1ないし15に係る特許は、下記の点で特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。 なお、申立理由3の具体的理由は、おおむね次のとおりである。 (1) 申立理由3-1(造粒方法に関する点) 甲第1号証、甲第7号証、甲第8号証、甲第10号証及び甲第11号証に記載されるとおり、撹拌造粒以外の造粒方法、例えば流動層造粒において、造粒物の粒度を本件特許発明1の要件(A)及び(B)を満たす粒度とすることは広く周知の事項である。 一方、どの程度均一な粒度を得られるかは造粒方法によるところが大きく、撹拌造粒は一般に流動層造粒よりも粒度分布がブロードになりやすいことは技術常識である。また押出造粒物の粒度分布が非常にシャープなことは技術常識である。 そして、本件明細書では、撹拌造粒以外の造粒手段は一切開示されていない。 そうすると、そもそも本件特許の明細書の【0002】の「しかしながら、目的の平均粒子径と粒度分布を示すコーティング品の製造は困難である。そのため、従来は、コーティング品をふるい分け等の分画手段に供し、目的の粒度の粒子を取得していた。」という課題は、撹拌造粒のみの課題であるとも解される。 これらから鑑みると、本件特許発明1ないし5における“造粒物”とは“撹拌混合して造粒物を形成する”手段、つまり攪拌造粒物に限定されているのか、それとも、流動層造粒を含めたどのような造粒方法の造粒物でもよいのかが不明である。 (2) 申立理由3-2(ふるい分けによるものに関する点) 本件特許の明細書【0002】には「従来は、コーティング品をふるい分け等の分画手段に供し、目的の粒度の粒子を取得していた。」と記載されているが、本件特許発明1ないし5には、被覆剤の種類や粒度分布の特定はあっても、ふるい分けをせずに得られた造粒物であることは特定されていない。このため、ふるい分けによりシャープな粒度分布を得ていた従来品と本件特許発明1ないし5の造粒物とでは物として区別がつかない(例えば、甲第9号証の各実施例ではテルミサルタンをラウリル硫酸ナトリウム及びモノステアリン酸グリセリンで被覆造粒した後に得られた造粒物を40号の丸篩(425μm)と60号の丸篩(250μm)とで篩過しているが、425μmの篩を通り、250μmの篩を通らない造粒物は、本件特許発明1~5の新規性を阻害することが明らかである。)。 したがって、本件特許発明1ないし5は、造粒法は問わずにふるい分けにより(A)及び(B)を満たすようにしたものを含むのか、それとも含まないのかが明確でない。 (3) 申立理由3-3(粒度の上限に関する点) 造粒物は粒度の上限が規定されていないため、どの程度の大きさのものまでを範囲とするかが不明であるため、当該特定事項を含む本件特許発明1ないし15は明確でない。 (4) 申立理由3-4(造粒物の粒度の測定条件に関する点) 本件特許の明細書の【0063】には、「原料核粒子およびD50が500μm未満の造粒物の粒度の測定は、MICROTRAC HRA(日機装社製)を用いて実施した。D50が500μm以上の造粒物の粒度の測定は、Partica LA-960 Wet(堀場製作所製)を用いて実施した。」と記載されている。この点について、レーザー回折・散乱法による粒度分布の測定は湿式で行っているようであるが、分散媒が明細書に記載されていない。分散媒の種類によって測定粒度は異なる可能性があるため、粒度に関する特定事項を有する本件特許発明1ないし5及び15は明確ではない。 14 申立理由4(実施可能要件) 本件特許の請求項1ないし5及び15に係る特許は、下記の点で特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。 なお、申立理由4の具体的理由は、おおむね次のとおりである。 本件特許の明細書の【0063】には、「原料核粒子およびD50が500μm未満の造粒物の粒度の測定は、MICROTRAC HRA(日機装社製)を用いて実施した。D50が500μm以上の造粒物の粒度の測定は、Partica LA-960 Wet(堀場製作所製)を用いて実施した。」と記載されている。この点について、レーザー回折・散乱法による粒度分布の測定は湿式で行っているようであるが、分散媒が明細書に記載されていない。 したがって、本件特許の明細書の発明の詳細な説明には、本件特許発明1ないし5及び15を、当業者が実施できる程度に記載されているとはいえない。 15 申立理由5(サポート要件) 本件特許の請求項1ないし15に係る特許は、下記の点で特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。 なお、申立理由5の具体的理由は、おおむね次のとおりである。 (1) 申立理由5-1(原料核の粒径上限に関する点) 本件特許発明1ないし15において、原料核の粒径は規定されていない。 しかし、造粒物の粒径に関わらず、原料核の粒径が300μm超や或いは500μm超と大きい場合、造粒物を口に含んだ際、或いは錠剤に成形する際に、原料核の崩壊が起きやすくなり、それに起因して被覆されていない苦味成分の露出が多くなり、苦味が生じやすくなることは明らかである(例えば甲第1号証参照)。この点に関し、本件特許の明細書では、原料核が240μmまでの実施例を示しているのみであるが、本件特許発明1ないし15では、50μm以上であれば、どのような原料核の粒径であっても、どのような造粒物の粒径であっても許容されるから、原料核の粒径が300μm超を超えた場合にまで苦味抑制の課題が解決できると当業者は理解できない。なお、本件特許発明1では要件(B)にて造粒物の粒径が大きいほど粒度がシャープとなることが求められるが、造粒方法を具体的に規定せず篩分け品の排除もしない以上、粒度がシャープになることは被覆の程度や状態を示すものではないから、上記の問題を解消しない。 従って、当業者は発明の詳細な説明の記載をみても、本件特許発明1ないし15の全体において苦味の抑制効果が得られると理解できない。 このため、本件特許発明1ないし15は、発明の詳細な説明に記載された範囲を超えており、特許法第36条第6項第1号の規定を満たさない。 (2) 申立理由5-2(被覆量に関する点) 本件特許発明1ないし3及び5ないし15では被覆量は規定されていない。しかしながら、被覆剤の量が2%未満である場合には苦味成分の被覆が不十分となり、被覆されていない苦味成分の露出が多くなり、苦味が生じやすくなることは明らかである。 なお、要件(B)にて造粒物の粒径が大きいほど粒度がシャープとなることが求められるが、造粒方法を規定せず篩分け品の排除もしない以上、粒度がシャープになることは被覆の程度とは関係がないから、上記の問題を解消しない。 従って、当業者は発明の詳細な説明の記載をみても、本件特許発明1ないし15の全体において苦味の抑制効果が得られると理解できない。 このため、本件特許発明1ないし15は、発明の詳細な説明に記載された範囲を超えており、特許法第36条第6項第1号の規定を満たさない。 (3) 申立理由5-3(被覆剤の融点に関する点) 本件特許発明1ないし15において、被覆剤は「融点が20℃以上の乳化剤又は油脂」とされているが各実施例で用いている被覆剤は、融点が58℃~68℃の硬化油のみであり、低融点油脂や、乳化剤を被覆剤とした例は記載されていない。 しかしながら、被覆剤の種類によって、マスキング効果が異なることは従来技術より明らかであり、被覆剤として油脂やポリマーを用いずに乳化剤のみを用いた場合に、マスキング効果が得られるという技術常識は存在しないから、当業者は発明の詳細な説明の記載をみても、被覆剤として油脂を用いない場合に本件特許発明1ないし15の全体において苦味の抑制効果が得られると理解できない。 また油脂に関しても、口腔内温度は概ね38℃程度であるにも拘らず、融点30℃以下の油脂が、融点58~68℃の油脂と同程度の苦味マスキング効果を奏すると、当業者は理解できない。 このため、本件特許発明1ないし15の記載は、発明の詳細な説明に記載された範囲を超えており、特許法第36条第6項第1号の規定を満たさない。 (4) 申立理由5-4(コーティングの割合に関する点) 本件特許発明1には「前記苦味成分が前記被覆剤でコーティングされ、」(以下、「要件(c)」という。)が記載されている。ここで、本件特許の明細書の【0059】には、「苦味成分が被覆剤でコーティングされる」とは、苦味成分の全てが被覆剤でコーティングされている場合に限られず、苦味成分の一部のみが被覆剤でコーティングされている場合も包含する。」と記載されているから、要件(c)は、苦味成分の一部のみが被覆剤でコーティングされている場合も包含するものである。 ここで、「一部」とは、「全体の中のある部分。一部分。」(広辞苑〔第六版〕)を意味するものであり、当該部分が全体の中に占める割合の大小までは定められていないことから、本件明細書に記載された課題解決手段には、「苦味成分」の表面の僅かな部分を、被覆剤で被覆することも包含されているといえる。このことは本件請求項1の記載が被覆剤による被覆の量や程度を特に制限していないことからも導かれる。 そこで、このような僅かな部分を被覆した状態においても、上記の本件特許発明の課題を解決できると当業者が認識できるか否かについて検討する。 まず苦味成分に関し、本件特許発明1、3ないし7及び9ないし15には、その種類に一切の規定がなく、どのようなものも含むと解されるし、また、本件特許の明細書にもその種類に関する定義は存在しない。 また、本件特許発明1ないし10及び12ないし15では、造粒物の粒径や粒度を規定するのみであり、苦味成分の粒子径や粒度については規定せず、当該粒子の製造方法についても一切制限がない。本件特許の明細書にも、苦味成分の粒子径や粒度、当該粒子の製造方法について定義の記載はない。 したがって、本件特許発明の苦味成分には、実施例に比して苦味が強いもの、感じやすいものも包含されているといえる。 次に被覆剤についても、本件特許発明1ないし5には融点20℃以上の油脂又は乳化剤が規定されているが、実施例では、融点が58℃~68℃の硬化油を用いているのみである。上述の通り口腔温度は38℃程度であり、それよりも融点が低ければ口腔内で溶解し苦味を強く感じると解される。つまり、本件特許発明の被覆剤には、本件実施例で用いられたものに比べて明らかに苦味のマスキング性能が低いものを包含すると認められる。 更にこれらの点を念頭において本件特許の明細書の発明の詳細な説明を見ると、本件特許の明細書では、各実施例において溶融油脂(液体)を用いた撹拌造粒により苦味成分をマスキングした例が記載されている。液体成分にて撹拌造粒を行うと、苦味成分の粒子全体が被覆されるものと認められる。 これらの点から鑑みると、当業者は、本件特許発明1ないし15の発明の課題を解決するためには、溶融した油脂のような液体成分を撹拌造粒にて苦味成分をコート剤にて表面全体を被覆することが肝要であると認識するといえる。しかし、その一方、被覆剤で被覆することで苦味が抑制されたとしても、被覆の程度が僅かであれば、その効果を発揮し得ないと考えるのが通常であるから、当業者は、苦味成分の表面全体を被覆することにより、本件特許発明1ないし15の発明の課題が解決できると認識し得たとしても、被覆の程度が不十分である場合には、本件発明の課題を解決することが困難であろうことも予測するといえる。 そして、本件特許の明細書においては、苦味成分の被覆の程度が不十分である場合にどのようにして苦味を抑制できるのかについての説明はなく、これを補うだけの技術常識が本件特許の出願当時に存在したことを認めるに足りる証拠もない。 したがって、本件特許の明細書の記載(ないし示唆)はもとより、本件特許の出願当時の技術常識に照らしても、当業者は、苦味成分の表面の僅かな部分を被覆座で被覆した状態が本件特許発明の課題を解決できると認識することはできないというべきである。 以上のとおり、本件特許発明は、苦味成分の表面の僅かな部分を被覆剤で被覆した態様も包含していると解されるところ、本件特許の明細書の記載(ないし示唆)はもとより、本件特許の出願当時の技術常識に照らしても、当業者は、そのような態様が本件特許発明の課題を解決できるとまでは認識することはできないというべきである。 よって、本件特許発明1ないし15は、本件明細書の発明の詳細な説明に記載したものではなく、本件明細書の特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第1号に適合しない。 (16) 証拠方法 ・甲第1号証:特開2005-23058号公報 ・甲第2号証:「ラウリル硫酸ナトリウム」、ウィキペデキア、https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A9%E3%82%A6%E3%83%AA%E3%83%AB%E7%A1%AB%E9%85%B8%E3%83%8A%E3%83%88%E3%83%AA%E3%82%A6%E3%83%A0、2022年10月9日 ・甲第3号証:「ラウリル硫酸ナトリウム」、日本医薬品添加剤協会、http://www.jpec.gr.jp/detail=normal&date=safetydata/ra/dara3.html、2022年9月24日検索 ・甲第4号証:特開2002-128667号公報 ・甲第5号証:特開2009-84157号公報 ・甲第6号証:特開2003-277252号公報 ・甲第7号証:特開2004-345976号公報 ・甲第8号証:特開2016-717号公報 ・甲第9号証:特開2016-6025号公報 ・甲第10号証:特表2006-527184号公報 ・甲第11号証:特開2001-309763号公報 ・甲第12号証:特開2010-505748号公報 ・甲第13号証:https://web.archive.org/web/20140724164259/http://www.jpec.gr.jp/detail=normal&date=safetydata/ka/daka16.html、日本医薬品添加剤協会「カルメロースナトリウム」、2022年9月24日検索 ・甲第14号証:https://www.alfa.com/ja/msds/?language=JP&subformat=JPG4&sku=J66087、ポロクサマー(Poloxamer 188)、2022年10月2日検索 ・甲第15号証:特開平6-293634号公報 ・甲第16号証:特開2001-38189号公報 ・甲第17号証:特表2007-509155号公報 ・甲第18号証:https://www.chemicalbook.com/ChemicalProductProperty_JP_CB7234695.htm、グリセリンステアリン酸エステル | 31566-31-1 (chemicalbook.com)、2022年10月3日検索 ・甲第19号証:特許第5399564号公報 ・甲第20号証:撹拌造粒工程、バリデーションの考え方と実施例、平成28年3月、大阪府健康医療部薬務課、https://www.pref.osaka.lg.jp/attach/6069/00147131/03_kakuhanzouryu.pdf(1頁及び3頁)、2022年10月9日検索 ・甲第21号証:特開2009-249575号公報 また、特許異議申立人は、令和5年5月12日に提出した意見書に添付し、次の参考資料1ないし16を提出している。 ・参考資料1:ポリソルベート80 | 9005-65-6 (chemicalbook.com)、https://www.chemicalbook.com/ChemicalProductProperty_JP_CB7741359.htm、2023年5月3日検索 ・参考資料2:セタノール - Wikipedia、https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BB%E3%82%BF%E3%83%8E%E3%83%BC%E3%83%AB、2023年5月3日検索 ・参考資料3:ステアリルアルコール - Wikipedia、https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%86%E3%82%A2%E3%83%AA%E3%83%AB%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%AB、2023年5月3日検索 ・参考資料4:モノグリセライド _ グリセリン脂肪酸エステル _ 化成品原料 _ ソリューション _ 業務用商品 _ 理研ビタミン株式会社、https://www.rikenvitamin.jp/business/solution/chemicals/glycerin/001.html、2023年5月3日検索 ・参考資料5:特開2012-82236号公報 ・参考資料6:シュークロース脂肪酸エステル | 25168-73-4(chemicalbook.com)、https://www.chemicalbook.com/ChemicalProductProperty_JP_CB9321689.htm、2023年5月3日検索 ・参考資料7:ソルビタン脂肪酸エステル | 化成品原料 | ソリューション | 業務用商品 | 理研ビタミン株式会社(rikenvitamin.jp)、https://www.rikenvitamin.jp/business/solution/chemicals/sorbitan-fatty-acid/、2023年5月3日検索 ・参考資料8:プロピレングリコール脂肪酸エステル | 化成品原料 | ソリューション | 業務用商品 | 理研ビタミン株式会社(rikenvitamin.jp)、https://www.rikenvitamin.jp/business/solution/chemicals/propylene-glycol/、2023年5月3日検索 ・参考資料9:マクロゴール 300(ポリエチレングリコール 300)CAS 25322-68-3 | 817002、https://www.merckmillipore.com/JP/ja/product/Polyethylene-glycol-300,MDA_CHEM-817002、2023年5月3日検索 ・参考資料10:医薬品添加物規格2018 ・参考資料11:「ポリオキシエチレン(105)ポリオキシプロピレン(5)グリコール」、http://www.jpec.gr.jp/detail=normal&date=safetydata/ha/dapo5.html、2023年5月3日検索 ・参考資料12:「ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール」、http://www.jpec.gr.jp/detail=normal&date=safetydata/ha/dapo7.html、2023年5月3日検索 ・参考資料13:特開2007-8872号公報 ・参考資料14:特開2007-89519号公報 ・参考資料15:菜種極度硬化油(水添ナタネ種子油)/山桂産業株式会社、http://yamakei.jp/aiueo/aiu-natanekyokudokouka.html、2023年5月3日検索 ・参考資料16:セタノール(jpec.gr.jp)、http://www.jpec.gr.jp/detail=normal&date=safetydata/sa/dase7.html、2023年5月10日検索 なお、証拠の表記については、おおむね特許異議申立書及び令和5年5月12日に提出された意見書の記載にしたがった。 第5 令和5年8月10日付けで特許権者に通知した取消理由(決定の予告)の概要 請求項1ないし5に係る特許に対して、当審が令和5年8月10日付けで特許権者に通知した取消理由(決定の予告)の要旨は次の1及び2のとおりである。なお、取消理由(決定の予告)には、申立理由1-4、及び、申立理由2-4のうち本件特許発明1及び3ないし5に係る部分を包含する。 1 取消理由1-2(新規性) 本件特許の請求項1、3及び5に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲第9号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 2 取消理由2-2(進歩性) 本件特許の請求項1及び3ないし5に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲第9号証に記載された発明に基いて、本件特許の優先日前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 第6 当審の判断 1 令和5年8月10日付けで特許権者に通知した取消理由(決定の予告)についての判断 令和5年8月10日付けで特許権者に通知した取消理由(決定の予告)について、以下のとおり、その理由はないものと当審は判断する。 ・取消理由1-2及び取消理由2-2(甲第9号証を主たる証拠とする新規性・進歩性)について (1) 甲第9号証の記載事項等 ア 甲第9号証の記載事項 甲第9号証には、「医薬用組成物及びその製造方法、並びに口腔内崩壊錠及びその製造方法」に関し、次の記載がある。 「【技術分野】 【0001】 本発明は、医薬用組成物及びその製造方法、並びに口腔内崩壊錠及びその製造方法に関する。」 「【0009】 本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、テルミサルタンが有する苦味をマスキングすることができ、かつ、pH3.5付近でのテルミサルタンの溶出性の低下を抑制し得る医薬用組成物及びその製造方法、並びに口腔内崩壊錠及びその製造方法を提供することを課題とする。」 「【発明の効果】 【0020】 本発明によれば、テルミサルタンが有する苦味をマスキングすることができ、かつ、pH3.5付近でのテルミサルタンの溶出性の低下を抑制し得る医薬用組成物及びその製造方法、並びに口腔内崩壊錠及びその製造方法を提供することができる。」 「【0081】 被覆層用スプレー液には、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE以外に、本発明の効果を損なわない範囲において、必要に応じて、非イオン性界面活性剤、軽質無水ケイ酸等の任意成分、賦形剤、結合剤、可塑剤、滑沢剤等の他の成分などを含むことができる。 被覆層用スプレー液に含むことができる非イオン性界面活性剤、軽質無水ケイ酸等の任意成分、賦形剤、結合剤、可塑剤、滑沢剤等の他の成分などは、被覆層の項において説明した成分と同義であり、好ましい例も同様であるため、ここでは説明を省略する。」 「【0088】 (医薬用組成物の平均粒子径) 本発明の医薬用組成物の平均粒子径は、好ましくは50μm~1000μmであり、より好ましくは100μm~750μmであり、更に好ましくは150μm~500μmである。 本発明の医薬用組成物の平均粒子径が、上記範囲内であると、服用時のざらつきを抑制することができ、服用感の低下を避けることができる。」 「【0100】 [医薬用組成物の作製] <実施例1> 核粒子として、D-マンニトール(商品名:ノンパレル(登録商標)-108、150μm~250μmの球状顆粒、フロイント産業(株)製)500gを、噴流流動層造粒機(製品名:FD-MP-01、パウレック(株)製)(以下、「流動層造粒機(1)」と称する。)に仕込んだ。流動層造粒機(1)の給気温度を60℃~80℃、排気温度を約30℃~50℃に調整し、予め調製した下記組成の原薬層(1)用スプレー液を、流動層造粒機(1)内に噴霧した。なお、原薬層(1)用スプレー液の噴霧は、粒子の凝集を防止するため、噴霧開始後より、乾燥機(商品名:ハニードライ、ダイキン(株)製)を稼動させて乾燥処理をした空気(25℃、約1%RH~5%RH)を、流動層造粒機(1)に供給しながら、間欠運転(停止間隔:1時間に1回、停止時間:5分間)にて行った。原薬層(1)用スプレー液の噴霧は、D-マンニトールの球状顆粒に対して等量のテルミサルタンがコーティングされるまで実施した。原薬層(1)用スプレー液を規定量噴霧した後、給気温度を維持したまま15分間乾燥を行った。出来上がった造粒物を40号の丸篩(425μm)と60号の丸篩(250μm)とで篩過することで、核粒子の表面が原薬層(1)で被覆された、原薬含有粒子(1)を得た。 【0101】 〔原薬層(1)用スプレー液〕 ・テルミサルタン 140質量部 ・メグルミン 140質量部 ・ヒドロキシプロピルセルロース 14質量部 ・フマル酸ステアリルナトリウム 140質量部 ・精製水 566質量部 【0102】 得られた原薬含有粒子(1)12gを噴流流動層造粒機(製品名:微少量流動層造粒機、ダルトン(株)製)(以下、「流動層造粒機(2)」と称する。)に仕込んだ。流動層造粒機(2)の給気温度を30℃、排気温度を約20℃に調整し、予め調製した下記組成の被覆層(1)用スプレー液14.16gと、マンニトール液3.90gとを順に流動層造粒機(2)内に噴霧した後、給気温度を60℃にして30分間乾燥を行った。出来上がった造粒物を40号の丸篩(425μm)と60号の丸篩(250μm)とで篩過することで、テルミサルタンを含む原薬含有粒子(1)の表面が、アミノアルキルメタクリレートコポリマーEを含む被覆層(1)で被覆された細粒(医薬用組成物)を得た。 【0103】 〔被覆層(1)用スプレー液〕 ・アミノアルキルメタクリレートコポリマーE 100質量部 (商品名:オイドラギット(登録商標)EPO、胃溶性ポリマー、エボニック社製) ・ラウリル硫酸ナトリウム 10質量部 ・モノステアリン酸グリセリン 5質量部 ・ポリソルベート80 2質量部 ・ステアリン酸 15質量部 ・精製水 778質量部 【0104】 〔マンニトール液〕 ・マンニトール 140質量部 ・精製水 860質量部」 「【0107】 <比較例2> 実施例1と同様の作製方法により原薬含有粒子(1)を得た。 得られた原薬含有粒子(1)12gを流動層造粒機(2)に仕込んだ。流動層造粒機(2)の給気温度を80℃、排気温度を約40℃に調整し、予め調製した下記組成の被覆層(3)用スプレー液7.98gと、マンニトール液3.90gとを順に流動層造粒機(2)内に噴霧した後、給気温度を60℃にして30分間乾燥を行った。出来上がった造粒物を40号の丸篩(425μm)と60号の丸篩(250μm)とで篩過することで、テルミサルタンを含む原薬含有粒子(1)の表面が、エチルセルロースを含む被覆層(3)で被覆された細粒(医薬用組成物)を得た。 【0108】 〔被覆層(3)用スプレー液〕 ・エチルセルロース 600質量部 (商品名:アクアコート(登録商標)ECD30、不溶性ポリマー、FMC社製) ・クエン酸トリエチル 23質量部 ・精製水 392質量部 【0109】 <比較例3> 実施例1と同様の作製方法により原薬含有粒子(1)を得た。 得られた原薬含有粒子(1)40gを噴流流動層造粒機(製品名:FD-mini、パウレック(株)製)(以下、「流動層造粒機(3)」と称する。)に仕込んだ。流動層造粒機(3)の給気温度を30℃~40℃、排気温度を約25℃に調整し、予め調製した下記組成の被覆層(4)用スプレー液14.12gを流動層造粒機(3)内に噴霧した。得られた造粒物30gを再度、流動層造粒機(3)に仕込み、被覆層(4)用スプレー液13.57gとマンニトール液3.90gとを順に流動層造粒機(3)内に噴霧した後、給気温度を60℃にして60分間乾燥を行った。出来上がった造粒物を40号の丸篩(425μm)と60号の丸篩(250μm)とで篩過することで、テルミサルタンを含む原薬含有粒子(1)の表面が、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマーを含む被覆層(4)で被覆された細粒(医薬用組成物)を得た。 【0110】 〔被覆層(4)用スプレー液〕 ・アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー 125質量部 (商品名:オイドラギット(登録商標)NE30D、徐放性ポリマー、エボニック社製) ・モノステアリン酸グリセリン 6.3質量部 ・ポリソルベート80 3.1質量部 ・精製水 870.6質量部 【0111】 <比較例4> 実施例1と同様の作製方法により原薬含有粒子(1)を得た。 得られた原薬含有粒子(1)12gを流動層造粒機(2)に仕込んだ。流動層造粒機(2)の給気温度を30℃、排気温度を約25℃に調整し、予め調製した下記組成の被覆層(5)用スプレー液18.88gと、マンニトール液3.83gとを順に流動層造粒機(2)内に噴霧した後、給気温度を60℃にして30分間乾燥を行った。出来上がった造粒物を40号の丸篩(425μm)と60号の丸篩(250μm)とで篩過することで、テルミサルタンを含む原薬含有粒子(1)の表面が、アミノアルキルメタクリレートコポリマーRS(商品名:オイドラギット(登録商標)RL30D)を含む被覆層(5)で被覆された細粒(医薬用組成物)を得た。 【0112】 〔被覆層(5)用スプレー液〕 ・アミノアルキルメタクリレートコポリマーRS 75質量部 (商品名:オイドラギット(登録商標)RL30D、徐放性ポリマー、エボニック社製) ・ポリソルベート80 16.7質量部 ・軽質無水ケイ酸 16.7質量部 ・精製水 891.6質量部 【0113】 <比較例5> 実施例1と同様の作製方法により原薬含有粒子(1)を得た。 得られた原薬含有粒子(1)12gを流動層造粒機(2)に仕込んだ。流動層造粒機(2)の給気温度を30℃、排気温度を約25℃に調整し、予め調製した下記組成の被覆層(6)用スプレー液18.88gと、マンニトール液3.83gとを順に流動層造粒機(2)内に噴霧した後、給気温度を60℃にして30分間乾燥を行った。出来上がった造粒物を40号の丸篩(425μm)と60号の丸篩(250μm)とで篩過することで、テルミサルタンを含む原薬含有粒子(1)の表面が、アミノアルキルメタクリレートコポリマーRS(商品名:オイドラギット(登録商標)RS30D)を含む被覆層(6)で被覆された細粒(医薬用組成物)を得た。 【0114】 〔被覆層(6)用スプレー液〕 ・アミノアルキルメタクリレートコポリマーRS 75質量部 (商品名:オイドラギット(登録商標)RS30D、徐放性ポリマー、エボニック社製) ・ポリソルベート80 16.7質量部 ・軽質無水ケイ酸 16.7質量部 ・精製水 891.6質量部 【0115】 [苦味マスキングの評価] 実施例1及び比較例1~5で得られた細粒を、それぞれテルミサルタンが40mg含まれるよう計量し、被験者の口腔内に投入した。苦味がマスキングできている時間(以下、「苦味マスキング時間」と称する。)を計測し、下記評価基準に従って、評価を行った。結果を表1に示す。なお、表1にて各成分の含有量を示す数値の単位は質量部である。 【0116】 -評価基準- A:苦味マスキング時間が60秒以上である。 B:苦味マスキング時間が30秒以上60秒未満である。 C:苦味マスキング時間が30秒未満である。 【0117】 【表1】 [図:0001407804000001.jpg] 【0118】 テルミサルタンを含む原薬含有粒子を、腸溶性ポリマーであるヒドロキシプロピルメチルセルロース・アセテートサクシネートを含む被覆層で被覆した比較例1の医薬用組成物及び不溶性ポリマーであるエチルセルロースを含む被覆層で被覆した比較例2の医薬用組成物では、口腔内崩壊錠のマスキング時間として好ましい30秒間、苦味をマスキングすることができなかった。 また、テルミサルタンを含む原薬含有粒子を、徐放性ポリマーであるアクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマーを含む被覆層で被覆した比較例3の医薬用組成物、アミノアルキルメタクリレートコポリマーRS(商品名:オイドラギット(登録商標)RL30D)を含む被覆層で被覆した比較例4の医薬用組成物、及びアミノアルキルメタクリレートコポリマーRS(商品名:オイドラギット(登録商標)RS30D)を含む被覆層で被覆した比較例5の医薬用組成物は、苦味マスキング効果を30秒以上持続したものの、口腔内崩壊錠のマスキング時間としてより好ましい60秒には満たなかった。 これらの医薬用組成物に対して、テルミサルタンを含む原薬含有粒子を、胃溶性ポリマーであるアミノアルキルメタクリレートコポリマーEを含む被覆層で被覆した実施例1の医薬用組成物は、苦味マスキング効果を60秒以上持続した。 これらの結果から、アミノアルキルメタクリレートコポリマーEは、テルミサルタンが有する苦味をマスキングするポリマーとして、顕著に優れることがわかった。 【0119】 [医薬用組成物の作製] <比較例6> 核粒子として、D-マンニトール(商品名:ノンパレル(登録商標)-108、150μm~250μmの球状顆粒、フロイント産業(株)製)500gを、流動層造粒機(1)に仕込んだ。流動層造粒機(1)の給気温度を60℃~70℃、排気温度を約35℃~45℃に調整し、予め調製した下記組成の原薬層(2)用スプレー液を流動層造粒機(1)内に噴霧した。なお、原薬層(2)用スプレー液の噴霧は、粒子の凝集を防止するため、噴霧開始後より、乾燥機(商品名:ハニードライ、ダイキン(株)製)を稼動させて乾燥処理をした空気(25℃、約1%RH~5%RH)を、流動層造粒機(1)に供給しながら、間欠運転(停止間隔:1時間に1回、停止時間:5分間)にて行った。また、原薬層(2)用スプレー液の噴霧は、D-マンニトールの球状顆粒に対して3.5倍量の固形分がコーティングされるまで実施した。原薬層(2)用スプレー液を規定量噴霧した後、給気温度を維持したまま15分間乾燥を行った。出来上がった造粒物を40号の丸篩(425μm)と60号の丸篩(250μm)とで篩過することで、核粒子の表面が原薬層(2)で被覆された、原薬含有粒子(2)を得た。 【0120】 〔原薬層(2)用スプレー液〕 ・テルミサルタン 70質量部 ・メグルミン 70質量部 ・ヒドロキシプロピルセルロース 14質量部 ・軽質無水ケイ酸 17.5質量部 ・精製水 828.5質量部 【0121】 得られたテルミサルタンを含む原薬含有粒子(2)の細粒200質量部と、口腔内崩壊錠に適切な賦形剤(マンニトール・トウモロコシデンプン造粒物165質量部、エチルセルロース20質量部、クロスポビドン12質量部、及びフマル酸ステアリルナトリウム3質量部)とを混合し、打錠末(混合末)を得た。 得られた打錠末(混合末)を、打錠機(HT-AP18SS-U、畑鐵工所(株)製)を用いて、1錠あたり、テルミサルタンが40mg含まれるように、9mmφスミ角R面の杵を用い、打錠圧11kNで打錠し、口腔内崩壊錠を得た。 【0122】 <実施例2> 比較例6と同様の作製方法により原薬含有粒子(2)を得た。 得られた原薬含有粒子(2)450gを流動層造粒機(1)仕込んだ。流動層造粒機(1)の給気温度を30℃~45℃、排気温度を約25℃~35℃に調整し、予め調製した被覆層(1)用スプレー液491.8gと、マンニトール液318.8gとを順に流動層造粒機(1)内に噴霧した後、給気温度を80℃にして30分間乾燥を行った。出来上がった造粒物を40号の丸篩(425μm)と60号の丸篩(250μm)とで篩過することで、テルミサルタンを含む原薬含有粒子(2)の表面が、アミノアルキルメタクリレートコポリマーEを含む被覆層(1)で被覆された細粒(医薬用組成物)を得た。 【0123】 テルミサルタンを含む原薬含有粒子(2)の表面が、アミノアルキルメタクリレートコポリマーEを含む被覆層(1)で被覆された細粒200質量部と、口腔内崩壊錠に適切な賦形剤(マンニトール・トウモロコシデンプン造粒物165質量部、エチルセルロース20質量部、クロスポビドン12質量部、及びフマル酸ステアリルナトリウム3質量部)とを混合し、打錠末(混合末)を得た。 得られた打錠末(混合末)を、打錠機(HT-AP18SS-U、畑鐵工所(株)製)を用いて、1錠あたり、テルミサルタンが40mg含まれるように、9mmφスミ角R面の杵を用い、打錠圧11kNで打錠し、口腔内崩壊錠を得た。 【0124】 <実施例3> 比較例6と同様の作製方法により原薬含有粒子(2)を得た。 得られた原薬含有粒子(2)500gを流動層造粒機(1)仕込んだ。流動層造粒機(1)の給気温度を30℃~45℃、排気温度を約25℃~35℃に調整し、予め調製した下記組成の被覆層(7)用スプレー液546.5gと、マンニトール液356.1gとを順に流動層造粒機(1)内に噴霧した後、給気温度を80℃にして30分間乾燥を行った。出来上がった造粒物を40号の丸篩(425μm)と60号の丸篩(250μm)とで篩過することで、テルミサルタンを含む原薬含有粒子(2)の表面が、アミノアルキルメタクリレートコポリマーEを含む被覆層(7)で被覆された細粒(医薬用組成物)を得た。 【0125】 〔被覆層(7)用スプレー液〕 ・アミノアルキルメタクリレートコポリマーE 100質量部 (商品名:オイドラギット(登録商標)EPO、胃溶性ポリマー、エボニック社製) ・ラウリル硫酸ナトリウム 10質量部 ・モノステアリン酸グリセリン 5質量部 ・ポリソルベート80 10質量部 ・ステアリン酸 15質量部 ・精製水 770質量部 【0126】 テルミサルタンを含む原薬含有粒子(2)の表面が、アミノアルキルメタクリレートコポリマーEを含む被覆層(7)で被覆された細粒200質量部と、口腔内崩壊錠に適切な賦形剤(マンニトール・トウモロコシデンプン造粒物165質量部、エチルセルロース20質量部、クロスポビドン12質量部、及びフマル酸ステアリルナトリウム3質量部)とを混合し、打錠末(混合末)を得た。 得られた打錠末(混合末)を、打錠機(HT-AP18SS-U、畑鐵工所(株)製)を用いて、1錠あたり、テルミサルタンが40mg含まれるように、9mmφスミ角R面の杵を用い、打錠圧11kNで打錠し、口腔内崩壊錠を得た。 【0127】 <実施例4> 比較例6と同様の作製方法により原薬含有粒子(2)を得た。 得られた原薬含有粒子(2)12gを流動層造粒機(2)仕込んだ。流動層造粒機(2)の給気温度を30℃~45℃、排気温度を約25℃~35℃に調整し、予め調製した下記組成の被覆層(8)用スプレー液13.33gと、マンニトール液8.09gとを順に流動層造粒機(2)内に噴霧した後、給気温度を80℃にして30分間乾燥を行った。出来上がった造粒物を40号の丸篩(425μm)と60号の丸篩(250μm)とで篩過することで、テルミサルタンを含む原薬含有粒子(2)の表面が、アミノアルキルメタクリレートコポリマーEを含む被覆層(8)で被覆された細粒(医薬用組成物)を得た。 【0128】 〔被覆層(8)用スプレー液〕 ・アミノアルキルメタクリレートコポリマーE 100質量部 (商品名:オイドラギット(登録商標)EPO、胃溶性ポリマー、エボニック社製) ・ラウリル硫酸ナトリウム 10質量部 ・モノステアリン酸グリセリン 5質量部 ・ポリソルベート80 20質量部 ・ステアリン酸 15質量部 ・精製水 760質量部 【0129】 テルミサルタンを含む原薬含有粒子(2)の表面が、アミノアルキルメタクリレートコポリマーEを含む被覆層(8)で被覆された細粒200質量部と、口腔内崩壊錠に適切な賦形剤(マンニトール・トウモロコシデンプン造粒物165質量部、エチルセルロース20質量部、クロスポビドン12質量部、及びフマル酸ステアリルナトリウム3質量部)とを混合し、打錠末(混合末)を得た。 得られた打錠末(混合末)を、打錠機(HT-AP18SS-U、畑鐵工所(株)製)を用いて、1錠あたり、テルミサルタンが40mg含まれるように、9mmφスミ角R面の杵を用い、打錠圧11kNで打錠し、口腔内崩壊錠を得た。 【0130】 <実施例5> 核粒子として、D-マンニトール(商品名:ノンパレル(登録商標)-108、150μm~250μmの球状顆粒、フロイント産業(株)製)12gを、流動層造粒機(2)に仕込んだ。流動層造粒機(2)の給気温度を60℃~70℃、排気温度を約35℃~45℃に調整し、予め調製した下記組成の原薬層(3)用スプレー液を流動層造粒機(2)内に噴霧した。なお、原薬層(3)用スプレー液の噴霧は、粒子の凝集を防止するため、噴霧開始後より、乾燥機(商品名:ハニードライ、ダイキン(株)製)を稼動させて乾燥処理をした空気(25℃、約1%RH~5%RH)を、流動層造粒機(2)に供給しながら、間欠運転(停止間隔:1時間に1回、停止時間:5分間)にて行った。また、原薬層(3)用スプレー液の噴霧は、D-マンニトールの球状顆粒に対して3.5倍量の固形分がコーティングされるまで実施した。原薬層(3)用スプレー液を規定量噴霧した後、給気温度を維持したまま15分間乾燥を行った。出来上がった造粒物を40号の丸篩(425μm)と60号の丸篩(250μm)とで篩過することで、核粒子の表面が原薬層(3)で被覆された、原薬含有粒子(3)を得た。 【0131】 〔原薬層(3)用スプレー液〕 ・テルミサルタン 70質量部 ・メグルミン 70質量部 ・ヒドロキシプロピルセルロース 14質量部 ・ステアリン酸 17.5質量部 ・精製水 828.5質量部 【0132】 得られた原薬含有粒子(3)12gを流動層造粒機(2)に仕込んだ。流動層造粒機(2)の給気温度を30℃~45℃、排気温度を約25℃~35℃に調整し、予め調製した被覆層(1)用スプレー液13.74gと、マンニトール液8.93gとを順に流動層造粒機(2)内に噴霧した後、給気温度を80℃にして30分間乾燥を行った。出来上がった造粒物を40号の丸篩(425μm)と60号の丸篩(250μm)とで篩過することで、テルミサルタンを含む原薬含有粒子(3)の表面が、アミノアルキルメタクリレートコポリマーEを含む被覆層(1)で被覆された細粒(医薬用組成物)を得た。 【0133】 テルミサルタンを含む原薬含有粒子(3)の表面が、アミノアルキルメタクリレートコポリマーEを含む被覆層(1)で被覆された細粒200質量部と、口腔内崩壊錠に適切な賦形剤(マンニトール・トウモロコシデンプン造粒物165質量部、エチルセルロース20質量部、クロスポビドン12質量部、及びフマル酸ステアリルナトリウム3質量部)とを混合し、打錠末(混合末)を得た。 得られた打錠末(混合末)を、打錠機(HT-AP18SS-U、畑鐵工所(株)製)を用いて、1錠あたり、テルミサルタンが40mg含まれるように、9mmφスミ角R面の杵を用い、打錠圧11kNで打錠し、口腔内崩壊錠を得た。 【0134】 <実施例6> 実施例1と同様の方法により、予め調製した下記組成の原薬層(4)用スプレー液を、D-マンニトールの球状顆粒に噴霧した。なお、原薬層(4)用スプレー液の噴霧は、粒子の凝集を防止するため、噴霧開始後より、乾燥機(商品名:ハニードライ、ダイキン(株)製)を稼動させて乾燥処理をした空気(25℃、約1%RH~5%RH)を、流動層造粒機(2)に供給しながら、間欠運転(停止間隔:1時間に1回、停止時間:5分間)にて行った。また、原薬層(4)用スプレー液の噴霧は、D-マンニトールの球状顆粒に対して3.8倍量の固形分がコーティングされるまで噴霧した。原薬層(4)用スプレー液を規定量噴霧した後、給気温度を維持したまま40分間乾燥を行った。出来上がった造粒物を30号の丸篩(500μm)と60号の丸篩(250μm)とで篩過することで、核粒子の表面が原薬層(4)で被覆された、原薬含有粒子(4)を得た。 【0135】 〔原薬層(4)用スプレー液〕 ・テルミサルタン 64.7質量部 ・メグルミン 64.7質量部 ・ヒドロキシプロピルメチルセルロース 25.9質量部 ・軽質無水ケイ酸 16.2質量部 ・精製水 828.5質量部 【0136】 得られた原薬含有粒子(4)12gを流動層造粒機(2)に仕込んだ。流動層造粒機(2)の給気温度を30℃、排気温度を約30℃に調整し、予め調製した下記組成の被覆層(9)用スプレー液14.085gと、マンニトール液8.35gとを順に流動層造粒機(2)内に噴霧した後、給気温度を60℃にして30分間乾燥を行った。出来上がった造粒物を30号の丸篩(500μm)と60号の丸篩(250μm)とで篩過することで、テルミサルタンを含む原薬含有粒子(4)の表面が、アミノアルキルメタクリレートコポリマーEを含む被覆層(9)で被覆された細粒(医薬用組成物)を得た。 【0137】 〔被覆層(9)用スプレー液〕 ・アミノアルキルメタクリレートコポリマーE 94.9質量部 (商品名:オイドラギット(登録商標)EPO、胃溶性ポリマー、エボニック社製) ・ラウリル硫酸ナトリウム 9.5質量部 ・モノステアリン酸グリセリン 4.7質量部 ・ポリソルベート80 29.8質量部 ・ステアリン酸 14.2質量部 ・軽質無水ケイ酸 30.5質量部 ・精製水 816.4質量部 【0138】 〔マンニトール液〕 ・マンニトール 140質量部 ・精製水 860質量部 【0139】 テルミサルタンを含む原薬含有粒子(4)の表面が、アミノアルキルメタクリレートコポリマーEを含む被覆層(9)で被覆された細粒200質量部と、口腔内崩壊錠に適切な賦形剤(マンニトール・トウモロコシデンプン造粒物165質量部、エチルセルロース20質量部、クロスポビドン12質量部、及びフマル酸ステアリルナトリウム3質量部)とを混合し、打錠末(混合末)を得た。 得られた打錠末(混合末)を、打錠機(HT-AP18SS-U、畑鐵工所(株)製)を用いて、1錠あたり、テルミサルタンが40mg含まれるように、9mmφスミ角R面の杵を用い、打錠圧12kNで打錠し、口腔内崩壊錠を得た。 【0140】 <実施例7> 実施例6と同様の作製方法により得られた、テルミサルタンを含む原薬含有粒子(4)の表面が、アミノアルキルメタクリレートコポリマーEを含む被覆層(9)で被覆された細粒200質量部と、口腔内崩壊錠に適切な賦形剤(マンニトール・トウモロコシデンプン造粒物153質量部、エチルセルロース20質量部、クロスポビドン12質量部、軽質無水ケイ酸12質量部、及びフマル酸ステアリルナトリウム3質量部)とを混合し、打錠末(混合末)を得た。 得られた打錠末(混合末)を、打錠機(HT-AP18SS-U、畑鐵工所(株)製)を用いて、1錠あたり、テルミサルタンが40mg含まれるように、9mmφスミ角R面の杵を用い、打錠圧12kNで打錠して、口腔内崩壊錠を得た。」 イ 甲第9号証に記載された発明 上記アの記載、特に実施例6の記載を中心に整理すると、甲第9号証には次の発明が記載されていると認める。 「D-マンニトールの球状顆粒に対して3.8倍量のテルミサルタンがコーティングされた原薬含有粒子表面に、アミノアルキルメタクリレートコポリマーEを含む被覆層(9)及びマンニトール液で被覆した細粒であって、 細粒は、30号の丸篩(500μm)と60号の丸篩(250μm)とで篩過したものであり、 アミノアルキルメタクリレートコポリマーEを含む被覆層(9)を形成するための被覆層(9)用スプレー液が、次の組成のものである、細粒。 〔被覆層(9)用スプレー液〕 ・アミノアルキルメタクリレートコポリマーE 94.9質量部 (商品名:オイドラギット(登録商標)EPO、胃溶性ポリマー、エボニック社製) ・ラウリル硫酸ナトリウム 9.5質量部 ・モノステアリン酸グリセリン 4.7質量部 ・ポリソルベート80 29.8質量部 ・ステアリン酸 14.2質量部 ・軽質無水ケイ酸 30.5質量部 ・精製水 816.4質量部」(以下、「甲9実施例6発明」という。) また、実施例7及び比較例1ないし5それぞれの記載を中心に整理した発明を、「甲9実施例7発明」及び「甲9比較例1発明」ないし「甲9比較例5発明」という。 (2) 対比・判断 ア 本件特許発明1について 本件特許発明1と甲9実施例6発明とを対比すると、甲9実施例6発明の「テルミサルタン」は苦味を有するもの(【0009】)であるから、本件特許発明1の「苦味成分」に相当し、甲9実施例6発明の「アミノアルキルメタクリレートコポリマーEを含む被覆層(9)」は、「テルミサルタンがコーティングされた原薬含有粒子表面」を被覆するものであるから、本件特許発明1の「被覆剤」に相当する。 すると、甲9実施例6発明の「細粒」は、本件特許発明1の「前記苦味成分が前記被覆剤でコーティングされ」た「造粒物」に相当する。 また、甲9実施例6発明の「被覆剤」には、「ラウリル硫酸ナトリウム」が含まれるから、本件特許発明1の「前記被覆剤が、融点が20℃以上の油脂および融点が20℃以上の乳化剤から選択される1種またはそれ以上の成分である」との特定事項を満たす。 さらに、甲9実施例6発明の細粒は、「30号の丸篩(500μm)と60号の丸篩(250μm)とで篩過したもの」であるから、その平均粒径が250μm以上500μm以下であることも明らか、すなわち、本件特許発明1の「(A)平均粒子径D50が、50μm以上である」との特定事項を満たすことは明らかである。 してみると、両者は、 「下記性質(A): (A)平均粒子径D50が、50μm以上である; を有し、 苦味成分および被覆剤を含有し、 前記苦味成分が前記被覆剤でコーティングされ、 前記被覆剤が、融点が20℃以上の油脂および融点が20℃以上の乳化剤から 選択される1種またはそれ以上の成分である、造粒物。」 で一致し、次の点で相違する。 ・相違点9-1 造粒物に関し、本件特許発明1は「ただし、以下の(1)~(9)の場合は除く」(合議体注:(1)~(9)の記載については省略する。以下同様。)と特定されるのに対し、甲9実施例6発明にはそのような特定がない点。 ・相違点9-2 造粒物の粒子径不均一度に関し、本件特許発明1は「粒子径不均一度D90/D10が、14.998×(D50[μm]-49)-0.295以下である」と特定されるのに対し、甲9実施例6発明にはそのような特定がない点。 上記相違点について検討する。 相違点9-1について検討するに、甲9実施例6発明における「被覆形成成分」は、「被覆層(9)用スプレー液」を構成する成分及びマンニトールである。そしてこれらは、本件特許発明1において「ただし、以下の(1)~(9)の場合は除く」と特定されるもののうち、(5)に相当する。 してみると、相違点9-1は実質的な相違点である。 よって、他の相違点について検討するまでもなく、本件特許発明1は、甲9実施例6発明ではない。 また、甲第9号証及び他の全ての証拠の記載をみても、甲9実施例6発明において、被覆形成成分を変更し、相違点9-1に係る本件特許発明1の特定事項を満たすものとする動機付けがない。 したがって、甲9実施例6発明において、相違点9-1に係る本件特許発明1の特定事項を満たすものとすることは、当業者が容易になし得たことではない。 よって、他の相違点について検討するまでもなく、本件特許発明1は、甲9実施例6発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 なお、「甲9実施例7発明」及び「甲9比較例1発明」ないし「甲9比較例5発明」と対比しても、「甲9実施例6発明」の場合と同様に判断される(これらの「被覆形成成分」は、本件特許発明1において「ただし、以下の(1)~(9)の場合は除く」と特定されるもののうち、(5)~(9)に相当する。)。 以下、「甲9実施例6発明」、「甲9実施例7発明」及び「甲9比較例1発明」ないし「甲9比較例5発明」を総称し、「甲9発明」という。 イ 本件特許発明3ないし5について 本件特許発明3ないし5はいずれも、請求項1の記載を直接又は間接的に引用して特定されるものであり、本件特許発明1の発明特定事項を全て有するものである。 そして、本件特許発明1は、甲9発明ではなく、甲9発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、本件特許発明3及び5は、甲9発明ではなく、また、本件特許発明3ないし5は、甲9発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (3) 取消理由1-2及び取消理由2-2についてのまとめ 上記(2)のとおりであるから、取消理由1-2及び取消理由2-2は、その理由がない。 2 令和5年8月10日付けで特許権者に通知した取消理由(決定の予告)において採用しなかった特許異議申立理由について 令和5年8月10日付けで特許権者に通知した取消理由(決定の予告)において採用しなかった特許異議申立理由については、いずれも、その理由がないものと当審は判断する。 (1) 申立理由1-1、申立理由1-5、申立理由1-6、申立理由2-1、申立理由2-5及び申立理由2-6(甲第1号証、甲第10号証、甲第11号証をそれぞれ主たる証拠とする新規性・進歩性)について ア 甲第1号証、甲第10号証、甲第11号証に記載された発明 (ア) 甲第1号証に記載された発明 甲第1号証の記載、特に実施例7、比較例2についてそれぞれまとめると、甲第1号証には次の発明が記載されていると認める。 「平均粒径が約250μmであり、 粒度分布において、「425μm ON」が累積0.4%、「250μm ON」が累積50.2%、「150μm ON」が累積94.4%、である、被覆造粒アセトアミノフェン粒子であって、 アセトアミノフェン粒子が、溶液Aを用いて被覆されるものであり、 溶液Aが、アクアコート、トリアセチン、クエン酸トリエチル、マンニトール、水を含むものである、 被覆造粒アセトアミノフェン粒子。」(以下、「甲1実施例7発明」という。 ) 「平均粒径が約370μmであり、 粒度分布において、「425μm ON」が累積8.3%、「250μm ON」が累積90.5%、である、被覆造粒アセトアミノフェン粒子であって、 アセトアミノフェン粒子が、溶液Aを用いて被覆されるものであり、 溶液Aが、アクアコート、トリアセチン、クエン酸トリエチル、マンニトール、水を含むものである、 被覆造粒アセトアミノフェン粒子。」(以下、「甲1比較例2発明」という。) (イ) 甲第10号証に記載された発明 甲第10号証の記載、特に実施例2の被覆トラマドール粒子に関する記載を中心に整理すると、甲第10号証には次の発明が記載されていると認める。 「D10%、D50%およびD90%がそれぞれ187μm、330μmおよび530μmである被覆トラマドール粒子であって、 エチルセルロースを含む被覆を有するものである、被覆トラマドール粒子。」 (以下、「甲10発明」という。) (ウ) 甲第11号証に記載された発明 甲第11号証の記載、特に実施例1の記載を中心に整理すると、甲第11号証には次の発明が記載されていると認める。 「菜種極度硬化油480g、ヘキサグリセリンオクタステアレート(エステル化度100%、HLB=3)100gを混合し、加熱溶解し、テトラグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを20g添加し、湯煎にて温度を65℃~70℃に保ち、攪拌しながら茶ポリフェノール(サンフェノンDCF-1、太陽化学株式会社製)400gを添加し、ノズル式噴霧装置にて20℃に保った室内へ噴霧し、得られた粒子径200μm~500μmの粉末状被覆粒子。」(以下、「甲第11発明」という。) イ 対比・判断 (ア) 本件特許発明1について 本件特許発明1と甲1実施例7発明、甲1比較例2発明、甲10発明及び甲11発明とそれぞれ対比すると、結局のところ、甲1実施例7発明、甲1比較例2発明、甲10発明及び甲11発明でそれぞれ用いられている「被覆形成成分」にあたるものが、本件特許発明1の「ただし、以下の(1)~(9)の場合は除く」のうち(1)ないし(4)に相当する。 してみると、この点が相違点となることは明らかであるから、本件特許発明1は、甲1実施例7発明、甲1比較例2発明、甲10発明、あるいは、甲11発明のいずれでもない。 また、甲第1号証、甲第10号証、甲第11号証及び他の全ての証拠の記載をみても、甲1実施例7発明、甲1比較例2発明、甲10発明及び甲11発明において、「被覆形成成分」を変更し、当該相違点に係る本件特許発明1の特定事項を満たすものとする動機付けがない。 よって、甲1実施例7発明、甲1比較例2発明、甲10発明及び甲11発明において、当該相違点に係る本件特許発明1の特定事項を満たすものとすることは、当業者が容易になし得たことではないから、本件特許発明1は、甲1実施例7発明、甲1比較例2発明、甲10発明及び甲11発明のそれぞれに基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 以下、「甲1実施例7発明」及び「甲1比較例2発明」を総称し、「甲1発明」という。 (イ) 本件特許発明2ないし5について 本件特許発明2ないし5はいずれも、請求項1の記載を直接又は間接的に引用して特定されるものであり、本件特許発明1の発明特定事項を全て有するものである。 そして、本件特許発明1は、甲1発明、甲10発明あるいは甲11発明のいずれでもなく、甲1発明、甲10発明あるいは甲11発明のいずれかに基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではないから、本件特許発明3ないし5は、甲1発明、甲10発明あるいは甲11発明のいずれでもなく、また、本件特許発明2ないし5は、甲1発明、甲10発明あるいは甲11発明のいずれかに基いて、当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 ウ 申立理由1-1、申立理由1-5、申立理由1-6、申立理由2-1、申立理由2-5及び申立理由2-6についてのまとめ 上記イのとおりであるから、申立理由1-1、申立理由1-5、申立理由1-6、申立理由2-1、申立理由2-5及び申立理由2-6は、いずれも、その理由がない。 (2) 申立理由2-4(甲第9号証を主たる証拠とする進歩性)のうち、本件特許発明2に係る部分について 本件特許発明2は、請求項1の記載を引用して特定されるものであり、本件特許発明1の発明特定事項を全て有するものである。 そして、上記1のとおり、本件特許発明1は、甲9発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、本件特許発明2もまた、甲9発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 よって、申立理由2-4のうち、本件特許発明2に係る部分についても、その理由がない。 (3) 申立理由1-2及び申立理由2-2(甲第7号証を主たる証拠とする新規性・進歩性)について 甲第7号証の実施例1に記載された、テオフィリン含有徐放性微粒子製剤を、「甲7発明」とする。 すると、本件特許発明1と甲7発明は、少なくとも、「苦味成分」に相当するものを含有するか否かの点で相違する。 そして、甲第7号証の記載をみても、「苦味成分」に相当する成分を有するものとはいえないから、本件特許発明1は、甲第7号証に記載された発明ではない。 また、甲第7号証及び他の全ての証拠の記載をみても、甲第7号証に記載された発明において、「苦味成分」に着目する動機付けはない。 この点について、特許異議申立人は、「本件特許発明1は、甲7の実施例1の徐放性微粒子製剤のように、苦味成分そのものではなく、苦味成分を含む原料核粒子を被覆剤で被覆する場合も包含すると解される。従って、甲7の実施例1は本件特許発明1の「(b)苦味成分および被覆剤を含有し、(c)前記苦味成分が前記被覆剤でコーティングされ、」に該当する。」(特許異議申立書p.28)旨主張するが、そもそも、甲第7号証には「苦味成分」に相当する成分の記載があるとはいえないから、特許異議申立人の当該主張は採用できない。 したがって、本件特許発明1は、甲7発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 請求項1の記載を直接又は間接的に引用して特定されるものであり、本件特許発明1の発明特定事項を全て有するものである、本件特許発明2ないし5についても同様に判断される。 よって、申立理由1-2及び申立理由2-2は、その理由がない。 (4) 申立理由1-3及び申立理由2-3(甲第8号証を主たる証拠とする新規性・進歩性)について 甲第8号証の請求項2の造粒方法により得られる造粒物を、「甲8発明」とする。 すると、本件特許発明1と甲8発明は、少なくとも、「粒子径不均一度D90/D10が、14.998×(D50[μm]-49)-0.295以下である」か否かの点で相違する。 この点に関し、甲第8号証には、顆粒の粒度分布について、d10が15~40μm、d50が81~140μm、d90が350μm以下と記載されるにとどまるものであり、上記相違点に係る本件特許発明1の特定事項を満たすものであるとはいえない(異議申立書p.31で主張するように、恣意的に粒径条件を選択する理由もない。)。 また、甲第8号証及び他の全ての証拠の記載をみても、甲8発明において、上記相違点に係る本件特許発明1の発明特定事項を満たすものとすることが、当業者が容易にになし得たことであるともいえない。 したがって、本件特許発明1は、甲8発明ではなく、また、甲8発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 請求項1の記載を直接又は間接的に引用して特定されるものであり、本件特許発明1の発明特定事項を全て有するものである、本件特許発明2ないし5についても同様に判断される。 よって、申立理由1-3及び申立理由2-3は、その理由がない。 (5) 申立理由3(明確性要件)について ア 明確性要件の判断基準 特許を受けようとする発明が明確であるかは、特許請求の範囲の記載だけではなく、願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮し、また、当業者の出願時における技術常識を基礎として、特許請求の範囲の記載が、第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるか否かという観点から判断されるべきである。 イ 特許請求の範囲の記載 特許請求の範囲の記載は、上記第3のとおりである。 ウ 明確性要件についての判断 本件特許発明1は、特許請求の範囲の請求項1の記載により特定されるものであるところ、その発明特定事項は、上記第3の請求項1として記載されているように、 「下記性質(A)および(B): (A)平均粒子径D50が、50μm以上である; (B)粒子径不均一度D90/D10が、14.998×(D50[μm]-49)-0.295以下である を有し、 苦味成分および被覆剤を含有し、 前記苦味成分が前記被覆剤でコーティングされ、 前記被覆剤が、融点が20℃以上の油脂および融点が20℃以上の乳化剤から選択される1種またはそれ以上の成分であり ただし、以下の(1)~(9)の場合は除く、造粒物: (1)前記被覆剤がエチルセルロース、セタノール、ラウリル硫酸ナトリウム、トリアセチンおよびマンニトールの組み合わせである場合; (2)前記被覆剤がアミノアルキルメタクリレートコポリマーE、ラウリル硫酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセリン、ポリソルベート80、 ステアリン酸、およびマンニ卜ールの組み合わせである場合; (3)前記被覆剤がセルロース系ポリマーである場合; (4)前記被覆剤が莱種極度硬化油、ヘキサグリセリンオクタステアレート、およびテトラグリセリン縮合リシノレイン酸エステルの組み合わせである場合; (5)前記被覆剤がアミノアルキルメタクリレートコポリマーE、ラウリル硫酸ナトリム、モノステアリン酸グリセリン、ポリソルベート80、ステアリン酸、軽質無水ケイ酸、およびマンニトールの組み合わせである場合; (6)前記被覆剤がヒドロキシプロピルメチルセルロース・アセテートサクシネート、クエン酸トリエチル、タルク、ラウリル硫酸ナトリウム、およびマンニトールの組み合わせである場合; (7)前記被覆剤がエチルセルロース、クエン酸トリエチル、およびマンニトールの組み合わせである場合; (8)前記被覆剤がアクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー、モノステアリン酸グリセリン、ポリソルベート80、およびマンニトールの組み合わせである場合; (9)前記被覆剤がアミノアルキルメタクリレートコポリマーRS、ポリソルベート80、軽質無水ケイ酸、およびマンニトールの組み合わせである場合。」 であり、その記載自体明確である。 また、本件特許発明6は、特許請求の範囲の請求項6の記載により特定されるものであるところ、その発明特定事項は、上記第3の請求項6として記載されているように、 「原料核粒子と被覆剤とを該被覆剤の融点以上の温度で撹拌混合する工程Aを含む、造粒物の製造方法であって、 前記原料核粒子が、苦味成分を含有し、 前記工程Aが撹拌子を備える撹拌装置を用いて実施され、 前記工程Aにおける撹拌数が、撹拌子の周速として、前記撹拌装置の容量が3L以下の場合には10m/s~20m/sであり、前記撹拌装置の容量が60L超の場合には4m/s~12m/sであり、前記撹拌装置の容量が3L超60L以下の場合には4m/s~20m/sである、方法。」 であり、その記載自体明確である。 本件特許発明2ないし5及び7ないし15についても同様に明確である。 エ 特許異議申立人の主張について 特許異議申立人は、上記第4 13のとおり、造粒方法に関する点、ふるい分けによるものに関する点、粒度の上限に関する点、について主張するが、本件特許発明1ないし15は、その記載自体明確であり、上記ウの判断には何ら影響しない。 さらに、特許異議申立人は、造粒物の粒度の測定条件の点でも主張するが、測定装置が記載されている以上、当業者であれば測定溶媒として好適なものを用いるものと理解できるし、また、明確性を欠くことになることを示す証拠を提出するものでもない。 また、特許異議申立人は、意見書において、除外するものが不明確であること、いわゆるプロダクトバイプロセスクレームにあたるものであることなどを主張する。 しかしながら、本件特許発明1ないし15において、除外する対象それ自体はそれぞれ明確であるし、また、除外される各事項は、結局のところ、特定成分を含む被覆を示すにすぎないものであるから、いわゆるプロダクトバイプロセスクレームにはあたらない。 してみれば、本件特許発明1ないし15は、当業者の出願時における技術常識を基礎として、特許請求の範囲の記載が、第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるとまではいえない。 オ 申立理由3についてのまとめ 上記ウ及びエのとおりであるから、申立理由3は、その理由がない。 (6) 申立理由4(実施可能要件)について ア 実施可能要件の判断基準 本件特許発明1ないし5は、上記第3のとおり、「物」の発明であるところ、物の発明における実施とは、その物の生産、使用等をする行為をいうから(特許法第2条第3項第1号)、例えば、明細書等にその物を生産することができる具体的な記載があるか、そのような記載がなくても、出願時の技術常識に基づいて当業者がその物を生産することができるのであれば、実施可能要件を満たすと言うことができる。 また、本件特許発明15は、上記第3のとおり、「物を生産する方法」の発明であるところ、物を生産する方法の発明における実施とは、そのものを生産する方法の使用をする行為のほか、その方法により生産した物の使用等をする行為をいうから(特許法第2条第3項第3号)、例えば、明細書等にその物を生産する方法を使用することができることの具体的な記載があるか、そのような記載がなくても、出願時の技術常識に基づいて当業者がその物を生産する方法を使用することができるのであれば、実施可能要件を満たすということができる。 イ 実施可能要件についての判断 本件特許発明は、「造粒物およびその製造方法に関する」(【0001】)ものであって、「造粒物およびその製造方法を提供すること」(【0005】)、特に、「分岐鎖アミノ酸等の苦味成分の苦味を抑制(低減)する技術を提供すること」(【0005】)を課題とし、「分岐鎖アミノ酸等の苦味成分を含有する原料核粒子と常温で固体または半固体の油脂とを前記油脂の融点以上の温度で撹拌混合して造粒物を形成することにより、分岐鎖アミノ酸等の苦味成分の苦味を抑制(低減)できることを見出し」(【0006】)たものである。 そして、本件特許の明細書の発明の詳細な説明には、造粒物として、「下記性質(A)および(B)を有する造粒物である:(A)平均粒子径D50が、50μm以上である;(B)粒子径不均一度D90/D10が、14.998×(D50[μm]-49)-0.295以下である」(【0048】)こと、「造粒物に含有される成分としては、例えば、苦味成分、被覆剤、およびその他の成分が挙げられる」(【0051】)こと、「造粒物が苦味成分と被覆剤を含有する場合、本発明の造粒物においては、苦味抑制効果が得られ得る」(【0051】)こと、「苦味抑制効果が得られるメカニズムは明らかではないが、造粒物が前記(A)および(B)の性質を有することは、被覆剤による苦味成分の均一なコーティングが行われたことを示し、これにより苦味成分の露出が抑えられた結果、苦味抑制効果が得られるものと推察される」(【0052】)こと、「苦味成分」の材料(【0016】ないし【0023】)、「被覆剤」の材料(【0024】ないし【0032】)、製造方法における各工程(【0034】ないし【0047】)についてそれぞれ記載されており、さらに、具体的な実施例の記載もある。 してみれば、本件特許の明細書の発明の詳細な説明には、本件特許発明1ないし5及び15に関し、当業者が実施できる程度に記載されているものであり、実施可能要件を満たしている。 ウ 特許異議申立人の主張について 特許異議申立人は、上記第4 14のとおり主張するが、測定機器が明らかである以上、当業者であれば測定材料に応じ、好適な分散媒を用いて実施し得るものであるし、実施し得ないとする具体的な証拠を提出するものでもない。 よって、特許異議申立人の主張は、上記イの判断には何ら影響しない。 エ 申立理由4についてのまとめ 上記イ及びウのとおりであるから、申立理由4は、その理由がない。 (7) 申立理由5(サポート要件)について ア サポート要件の判断基準 特許請求の範囲の記載が、サポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである。 イ 特許請求の範囲の記載 特許請求の範囲の記載は、上記第3のとおりである。 ウ サポート要件についての判断 本件特許発明の課題(以下、「発明の課題」という。)は、「造粒物およびその製造方法を提供すること」、特に、「分岐鎖アミノ酸等の苦味成分の苦味を抑制(低減)する技術を提供すること」(【0005】)である。 そして、本件特許の明細書の発明の詳細な説明には、造粒物として、「下記性質(A)および(B)を有する造粒物である:(A)平均粒子径D50が、50μm以上である;(B)粒子径不均一度D90/D10が、14.998×(D50[μm]-49)-0.295以下である」(【0048】)こと、「造粒物に含有される成分としては、例えば、苦味成分、被覆剤、およびその他の成分が挙げられる」(【0051】)こと、「造粒物が苦味成分と被覆剤を含有する場合、本発明の造粒物においては、苦味抑制効果が得られ得る」(【0051】)こと、「苦味抑制効果が得られるメカニズムは明らかではないが、造粒物が前記(A)および(B)の性質を有することは、被覆剤による苦味成分の均一なコーティングが行われたことを示し、これにより苦味成分の露出が抑えられた結果、苦味抑制効果が得られるものと推察される」(【0052】)ことが記載されるとともに、具体的な実施例等による効果を検証した旨の検証の記載があるとともに、製造方法として、「本発明の方法は、原料核粒子と被覆剤を該被覆剤の融点以上の温度で撹拌混合する工程(工程A)を含む」(【0034】ものであって、「撹拌は、撹拌装置を用いて行うことができる。撹拌装置は、撹拌槽と撹拌子を備える」(【0043】)こと、「工程Aにおける撹拌数は、例えば、用いる撹拌装置の種類等の諸条件に応じて適宜設定できる」(【0045】)ものであって、攪拌装置の容量に応じて好適な攪拌速度が異なることを示す具体的な実施例(【0084】及び【0085】)の記載もある。 これらの記載に接した当業者であれば、造粒物として、「苦味成分、被覆剤」を含むものであって、「下記性質(A)および(B)を有する造粒物である:(A)平均粒子径D50が、50μm以上である;(B)粒子径不均一度D90/D10が、14.998×(D50[μm]-49)-0.295以下」であるとの特定事項を満たすこと、また、製造方法として、「原料核粒子と被覆剤を該被覆剤の融点以上の温度で撹拌混合する工程(工程A)を含む」ものであって、「撹拌槽と撹拌子を備える」装置を用い、攪拌装置の容量に応じて好適な攪拌速度を設定したもの、との特定事項を満たすことにより、それぞれ、発明の課題を解決できると認識できる。 そして、本件特許発明1、6はそれぞれ、「造粒物」及び「製造方法」として、上記の発明の課題を解決できると認識できる特定事項を全て有し、さらに限定するものであるから、本件特許発明1及び6は、当然、発明の課題を解決するものと認識できる。 本件特許発明1の発明特定事項の全てを有するものである本件特許発明2ないし5、及び、本件特許発明6の発明特定事項の全てを有するものである本件特許発明7ないし15についても、同様である。 エ 特許異議申立人の主張について 特許異議申立人は、上記第4 15のとおり、原料核の粒径上限に関する点、被覆量に関する点、被覆剤の融点に関する点、コーティングの割合に関する点を挙げ、本件特許発明1ないし15はサポート要件を満たしていない旨主張するが、サポート要件については、上記ウのとおり判断されるものであるし、また、本件特許発明1ないし15の発明特定事項を満たすだけでは、サポート要件を満たさないとする具体的な証拠を挙げ主張するものでもない。 さらに、特許異議申立人は、意見書において、効果が認められる苦味成分として具体的に検討されているのが、「ロイシン」、「イソロイシン」、「バリン」に限られること、被覆剤として用いられる油脂及び乳化剤で効果発現が異なることなどを挙げ、サポート要件を満たさない旨主張するが、本件特許発明1ないし15は、上記ウで検討のとおり、同じ条件で比較するならば、粒径に関する条件(A)、(B)を満たす造粒物とする、あるいは、特定の製造条件を満たす製造方法とすることにより、定性的な効果発現が期待できるといえるものであるといえる。 よって、特許異議申立人の主張は何れも採用できない。 オ 申立理由5についてのまとめ 上記ウ及びエのとおりであるから、申立理由5は、その理由がない。 第7 結語 以上のとおりであるから、取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由、及び、特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件特許の請求項1ないし15に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件特許の請求項1ないし15に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2022-700998

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