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特許異議申立

2022-700986

炭酸化処理装置および炭酸化処理方法

審判番号
2022-700986
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2021-173299
登録番号
7050211
請求日
2022年10月06日
審決日
2023年10月03日
公報発行日
2023年12月28日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】株式会社神鋼環境ソリューション
  • 【権利者代理人】弁理士法人藤本パートナーズ
  • 【権利者】オー.シー.オー テクノロジー リミテッド
  • 【権利者代理人】弁理士法人藤本パートナーズ
  • 【異議申立人】家田 亘久
審判長/審判官
  • 審判長 門前 浩一
  • 審判官 関根 裕
  • 審判官 瀬下 浩一
分類
P1651.113-YAA(B01J) / P1651.121-YAA(B01J) / P1651.537-YAA(B01J)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法120条の8第1項特許法135条
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第126条第5項、特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第6項第2号、特許法第126条第7項、特許法第29条第1項第3号、特許法第120条の8第1項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7050211号発明「炭酸化処理装置および炭酸化処理方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7050211号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~4〕、〔5~10〕について訂正することを認める。 特許第7050211号の請求項1、2、5~10に係る特許を維持する。 特許第7050211号の請求項3、4に係る特許に対する特許異議の申立てを却下する。

理由

理 由 理 由 第1 手続の経緯 特許第7050211号(以下「本件特許」という。)の請求項1~10に係る特許についての出願は、令和3年10月22日(株式会社神鋼ソリューション及びオー、シー、オー テクノロジー リミテッド(以下「特許権者」という。)による)の出願であって、令和4年3月30日に特許権の設定登録(請求項の数10)がされ、同年4月7日に特許掲載公報が発行されたものであって、その特許異議の申立ての経緯は次のとおりである。 令和4年10月 6日 特許異議申立書(特許異議申立人 家田 亘 久(以下「申立人」という。)による全請求 項に対する特許異議の申立て) 同年12月27日付け 取消理由通知書 令和5年 4月 7日 訂正請求書及び意見書(特許権者) 同年 6月13日 意見書(申立人) 第2 訂正の適否についての判断 1 訂正の内容 令和5年4月7日の訂正請求書による訂正(以下「本件訂正」ともいう。)の内容は、次のとおりである。下線は、訂正箇所を示す。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に、 「 炭酸化処理される固形物を含む被処理物を攪拌しつつ二酸化炭素と接触させて前記固形物に炭酸化処理を施すための炭酸化処理装置であって、 前記被処理物が収容される収容空間を有する反応容器と、 上下方向に延びる軸周りに回転して前記収容空間に収容された前記被処理物を攪拌する少なくとも1つの攪拌機とを備え、 該攪拌機が、前記被処理物の攪拌に際して前記収容空間において遊星運動するように備えられ、 前記攪拌機が、複数備えられ、 該複数の前記攪拌機には、第1攪拌機と、第2攪拌機とが含まれており、 前記第2攪拌機が前記第1攪拌機よりも高速回転可能で、 前記反応容器が、円柱状の前記収容空間を有し、 該反応容器が、前記収容空間の底面を画定する底壁と、前記収容空間の側面を画定する周側壁と、前記収容空間の天面を画定する天井壁とを有し、 前記第1攪拌機は、回転した際に前記被処理物を前記反応容器の底部からすくい上げて攪拌し得るように前記底壁に沿って移動する攪拌羽根を備え、 前記第2攪拌機は、前記第1攪拌機ですくい上げられた前記被処理物に含まれている凝集塊を破砕し得るように前記第1攪拌機の前記攪拌羽根よりも上方で回転する攪拌羽根を有している炭酸化処理装置。」と記載されているのを、 「 炭酸化処理される固形物を含む被処理物を攪拌しつつ二酸化炭素と接触させて前記固形物に炭酸化処理を施すための炭酸化処理装置であって、 前記被処理物が収容される収容空間を有する反応容器と、 上下方向に延びる軸周りに回転して前記収容空間に収容された前記被処理物を攪拌する少なくとも1つの攪拌機とを備え、 該攪拌機が、前記被処理物の攪拌に際して前記収容空間において遊星運動するように備えられ、 前記攪拌機が、複数備えられ、 該複数の前記攪拌機には、第1攪拌機と、第2攪拌機とが含まれており、 前記第2攪拌機が前記第1攪拌機よりも高速回転可能で、 前記反応容器が、円柱状の前記収容空間を有し、 該反応容器が、前記収容空間の底面を画定する底壁と、前記収容空間の側面を画定する周側壁と、前記収容空間の天面を画定する天井壁とを有し、 前記第1攪拌機は、回転した際に前記被処理物を前記反応容器の底部からすくい上げて攪拌し得るように前記底壁に沿って移動する攪拌羽根を備え、 前記第2攪拌機は、前記第1攪拌機ですくい上げられた前記被処理物に含まれている凝集塊を破砕し得るように前記第1攪拌機の前記攪拌羽根よりも上方で回転する攪拌羽根を有しており、 前記周側壁の内側を周回して該周側壁の内壁面に付着した前記被処理物を掻き落とすスクレーパーを備え、 前記被処理物に接する前記反応容器の前記周側壁の内壁面を冷却する冷却装置が更に備えられている炭酸化処理装置。」に訂正する。 請求項1の記載を引用する請求項2も同様に訂正する。 (2)訂正事項2 請求項3を削除する。 (3)訂正事項3 請求項4を削除する。 (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項5に、 「 炭酸化処理装置を用い、二酸化炭素によって固形物に炭酸化処理を施す炭酸化処理方法であって、 前記炭酸化処理装置は、前記固形物を含む被処理物が収容される収容空間を有する反応容器と、 上下方向に延びる軸周りに回転して前記収容空間に収容された前記被処理物を攪拌する少なくとも1つの攪拌機とを備え、 該攪拌機が、前記収容空間において遊星運動するように備えられており、 該炭酸化処理装置には、前記攪拌機が、複数備えられ、 該複数の前記攪拌機には、第1攪拌機と、第2攪拌機とが含まれており、 前記第2攪拌機が前記第1攪拌機よりも高速回転可能で、 前記反応容器が、円柱状の前記収容空間を有し、 該反応容器が、前記収容空間の底面を画定する底壁と、前記収容空間の側面を画定する周側壁と、前記収容空間の天面を画定する天井壁とを有し、 前記第1攪拌機は、回転した際に前記被処理物を前記反応容器の底部からすくい上げて攪拌し得るように前記底壁に沿って移動する攪拌羽根を備え、 前記第2攪拌機は、前記第1攪拌機ですくい上げられた前記被処理物に含まれている凝集塊を破砕し得るように前記第1攪拌機の前記攪拌羽根よりも上方で回転する攪拌羽根を有しており、 前記複数の攪拌機によって前記被処理物を攪拌して前記炭酸化処理を実施する炭酸化処理方法。」と記載されているのを、 「 炭酸化処理装置を用い、二酸化炭素によって固形物に炭酸化処理を施す炭酸化処理方法であって、 前記炭酸化処理装置は、前記固形物を含む被処理物が収容される収容空間を有する反応容器と、 上下方向に延びる軸周りに回転して前記収容空間に収容された前記被処理物を攪拌する少なくとも1つの攪拌機とを備え、 該攪拌機が、前記収容空間において遊星運動するように備えられており、 該炭酸化処理装置には、前記攪拌機が、複数備えられ、 該複数の前記攪拌機には、第1攪拌機と、第2攪拌機とが含まれており、 前記第2攪拌機が前記第1攪拌機よりも高速回転可能で、 前記反応容器が、円柱状の前記収容空間を有し、 該反応容器が、前記収容空間の底面を画定する底壁と、前記収容空間の側面を画定する周側壁と、前記収容空間の天面を画定する天井壁とを有し、 前記第1攪拌機は、回転した際に前記被処理物を前記反応容器の底部からすくい上げて攪拌し得るように前記底壁に沿って移動する攪拌羽根を備え、 前記第2攪拌機は、前記第1攪拌機ですくい上げられた前記被処理物に含まれている凝集塊を破砕し得るように前記第1攪拌機の前記攪拌羽根よりも上方で回転する攪拌羽根を有しており、 前記周側壁の内側を周回して該周側壁の内壁面に付着した前記被処理物を掻き落とすスクレーパーを備え、 前記被処理物に接する前記反応容器の前記周側壁の内壁面を冷却する冷却装置を更に備え、 前記複数の攪拌機によって前記被処理物を攪拌して前記炭酸化処理を実施する炭酸化処理方法。」に訂正する。 請求項5の記載を直接又は間接的に引用する請求項6~10も同様に訂正する。 2 一群の請求項 本件訂正前の請求項1~10において、請求項2~4は請求項1の記載を直接又は間接的に引用するものであって、訂正事項1の訂正に連動して訂正されるものであるから、本件訂正前の請求項1~4は一群の請求項であり、同じく、請求項6~10は請求項5の記載を直接又は間接的に引用するものであって、訂正事項4の訂正に連動して訂正されるものであるから、本件訂正前の請求項5~10も一群の請求項である。そうすると、本件訂正は一群の請求項ごとにされた訂正である。 3 訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否 (1)訂正事項1 訂正事項1は、請求項1の「炭酸化処理装置」の構成について、「前記周側壁の内側を周回して該周側壁の内壁面に付着した前記被処理物を掻き落とすスクレーパーを備え、前記被処理物に接する前記反応容器の前記周側壁の内壁面を冷却する冷却装置が更に備えられている」ことを限定するものであるから、特許法120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 そして、訂正事項1は、本件特許の特許請求の範囲の【請求項3】及び【請求項4】の記載に基いて、「炭酸化処理装置」の構成を限定したものであって、本件特許の特許請求の範囲又は明細書に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張・変更するものには該当しないから、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 (2)訂正事項2、3 訂正事項2は請求項3を削除するものであり、訂正事項3は請求項4を削除するものであるから、いずれも、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正事項である。 そして、訂正事項2、3は、請求項を削除することにより特許請求の範囲を減縮するものであって、本件特許の特許請求の範囲又は明細書に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張・変更するものには該当しないから、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 (3)訂正事項4 訂正事項4は、請求項5の「炭酸化処理方法」に用いる「炭酸化処理装置」の構成について、「前記周側壁の内側を周回して該周側壁の内壁面に付着した前記被処理物を掻き落とすスクレーパーを備え、前記被処理物に接する前記反応容器の前記周側壁の内壁面を冷却する冷却装置が更に備えられている」ことを限定するものであるから、前記(1)と同じく、特許法120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 そして、訂正事項4は、本件特許の特許請求の範囲の【請求項3】及び【請求項4】の記載に基いて、「炭酸化処理方法」に用いる「炭酸化処理装置」の構成を限定したものであって、前記(1)と同じく、本件特許の特許請求の範囲又は明細書に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張・変更するものには該当しないから、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 4 独立特許要件 本件訂正においては、訂正前の全ての請求項である請求項1~10に対して特許異議の申立てがされているので、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の規定は課されない。 5 小括 以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 したがって、本件特許の特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~4〕、〔5~10〕について訂正することを認める。 第3 本件訂正発明等 1 本件訂正発明 本件訂正は前記第2のとおり認められたので、本件訂正後の特許請求の範囲の請求項1~10に係る発明(以下項番に応じて「本件訂正発明1」等といい、まとめて「本件訂正発明」もいう。)は次のとおりのものである。 「【請求項1】 炭酸化処理される固形物を含む被処理物を攪拌しつつ二酸化炭素と接触させて前記固形物に炭酸化処理を施すための炭酸化処理装置であって、 前記被処理物が収容される収容空間を有する反応容器と、 上下方向に延びる軸周りに回転して前記収容空間に収容された前記被処理物を攪拌する少なくとも1つの攪拌機とを備え、 該攪拌機が、前記被処理物の攪拌に際して前記収容空間において遊星運動するように備えられ、 前記攪拌機が、複数備えられ、 該複数の前記攪拌機には、第1攪拌機と、第2攪拌機とが含まれており、 前記第2攪拌機が前記第1攪拌機よりも高速回転可能で、 前記反応容器が、円柱状の前記収容空間を有し、 該反応容器が、前記収容空間の底面を画定する底壁と、前記収容空間の側面を画定する周側壁と、前記収容空間の天面を画定する天井壁とを有し、 前記第1攪拌機は、回転した際に前記被処理物を前記反応容器の底部からすくい上げて攪拌し得るように前記底壁に沿って移動する攪拌羽根を備え、 前記第2攪拌機は、前記第1攪拌機ですくい上げられた前記被処理物に含まれている凝集塊を破砕し得るように前記第1攪拌機の前記攪拌羽根よりも上方で回転する攪拌羽根を有しており、 前記周側壁の内側を周回して該周側壁の内壁面に付着した前記被処理物を掻き落とすスクレーパーを備え、 前記被処理物に接する前記反応容器の前記周側壁の内壁面を冷却する冷却装置が更に備えられている炭酸化処理装置。 【請求項2】 前記反応容器には、前記二酸化炭素を含む気体を前記収容空間に取り入れる給気部と、前記気体を前記収容空間から排出する排気部とが備えられ、 前記排気部が、前記収容空間の上端部の前記気体を排気し得るように備えられている請求項1記載の炭酸化処理装置。 【請求項3】(削除) 【請求項4】(削除) 【請求項5】 炭酸化処理装置を用い、二酸化炭素によって固形物に炭酸化処理を施す炭酸化処理方法であって、 前記炭酸化処理装置は、前記固形物を含む被処理物が収容される収容空間を有する反応容器と、 上下方向に延びる軸周りに回転して前記収容空間に収容された前記被処理物を攪拌する少なくとも1つの攪拌機とを備え、 該攪拌機が、前記収容空間において遊星運動するように備えられており、 該炭酸化処理装置には、前記攪拌機が、複数備えられ、 該複数の前記攪拌機には、第1攪拌機と、第2攪拌機とが含まれており、 前記第2攪拌機が前記第1攪拌機よりも高速回転可能で、 前記反応容器が、円柱状の前記収容空間を有し、 該反応容器が、前記収容空間の底面を画定する底壁と、前記収容空間の側面を画定する周側壁と、前記収容空間の天面を画定する天井壁とを有し、 前記第1攪拌機は、回転した際に前記被処理物を前記反応容器の底部からすくい上げて攪拌し得るように前記底壁に沿って移動する攪拌羽根を備え、 前記第2攪拌機は、前記第1攪拌機ですくい上げられた前記被処理物に含まれている凝集塊を破砕し得るように前記第1攪拌機の前記攪拌羽根よりも上方で回転する攪拌羽根を有しており、 前記周側壁の内側を周回して該周側壁の内壁面に付着した前記被処理物を掻き落とすスクレーパーを備え、 前記被処理物に接する前記反応容器の前記周側壁の内壁面を冷却する冷却装置を更に備え、 前記複数の攪拌機によって前記被処理物を攪拌して前記炭酸化処理を実施する炭酸化処理方法。 【請求項6】 前記被処理物での固形分100質量部に対する水の含有率が5質量部以上25質量部以下である請求項5記載の炭酸化処理方法。 【請求項7】 前記反応容器には、前記二酸化炭素を含む気体を前記収容空間に取り入れる給気部と、前記気体を前記収容空間から排出する排気部とが備えられ、 前記排気部が、前記収容空間の上端部の前記気体を排気し得るように備えられており、 前記被処理物を収容した前記収容空間に前記気体を流通させつつ前記炭酸化処理を実施する請求項5又は6記載の炭酸化処理方法。 【請求項8】 前記炭酸化処理では、前記排気部により前記収容空間から排出される前記気体の流速を1m/s以上4m/s以下に調整する請求項7記載の炭酸化処理方法。 【請求項9】 前記炭酸化処理では、前記給気部により前記収容空間に導入する前記気体の流速を10m/s以上40m/s以下に調整する請求項7又は8記載の炭酸化処理方法。 【請求項10】 前記炭酸化処理では、前記収容空間の圧力をゲージ圧で20kPa以下の正圧となるように調整する請求項7乃至9の何れか1項に記載の炭酸化処理方法。」 2 明細書の記載 本件特許の願書に添付された明細書には、次の記載がある。 「【0001】 本発明は炭酸化処理装置と炭酸化処理方法とに関する。」 「【0005】 上記の特許文献に記載のように横置きにされた円筒状の反応容器の中心を通る回転軸に攪拌羽根を装着した攪拌機を用いる場合、前記回転軸を反応容器の全長に及ぶ長さとすることができ、しかも、その長さ方向の複数箇所に攪拌羽根を配置することができるため、装置内に攪拌され難い場所が生じることを抑制することができ、二酸化炭素が被処理物全体に行きわたり易くなる。 【0006】 しかしながら、この種の炭酸化処理装置では、攪拌羽根が縦回転する形になるため被処理物を跳ね上げ易くなる。炭酸化処理の後段においては被処理物における飛灰と水とが比較的均一に混合されることになるが処理前段では飛灰だけが固まっているような場合がある。そのため、縦回転する攪拌羽根を有する攪拌機を利用すると装置内で飛灰が舞い上がり易くなる。舞い上げられた飛灰は装置から排出される気体に同伴されて装置外に排出されるおそれがある。排気系統に飛灰が入り込むような状況では頻繁に清掃することが必要になり効率良く作業することが難しくなる。 【0007】 このことを防止すべく上下方向に延びる回転軸に攪拌羽根を装着した攪拌機を用い攪拌羽根を横回転させて炭酸化処理を行うことが考えられる。しかしながら単に攪拌羽根を横回転させるだけでは十分な攪拌が行われ難い。そのため従来の方法では効率良く炭酸化処理することが難しい。そこで、本発明は、効率良く炭酸化処理が可能な炭酸化処理装置と炭酸化処理方法とを提供することを課題としている。」 「【0034】 例示の前記炭酸化処理装置50は、当該反応容器51に収容された被処理物Xを攪拌する前記攪拌機52を複数備える。該複数の前記攪拌機52には、第1攪拌機521と、第2攪拌機522とが含まれている。本実施形態では、前記第2攪拌機522が前記第1攪拌機521よりも単位時間当たりの回転数(rpm)において高速回転可能となっている。本実施形態では、前記第2攪拌機522が前記第1攪拌機521よりも高速回転可能であるために攪拌時における前記被処理物Xの移動が乱され易く、前記被処理物Xをより素早く均質な状態に攪拌できるようになっている。 【0035】 前記第1攪拌機521としては、例えば、最大回転速度が500rpm以下の攪拌機を用いることができ、前記第2攪拌機522としては、最大回転速度が3000rpm以下の攪拌機を用いることができる。前記第1攪拌機521は、例えば、炭酸化処理に際して25rpm~250rpmの回転速度で運転させることができる。前記第2攪拌機522は、例えば、炭酸化処理に際して100rpm~1000rpmの回転速度で運転させることができる。」 「【0060】 本実施形態の炭酸化処理方法では、飛灰と水とを含んだ被処理物Xを調製することが行われる。被処理物Xを調製することでは、まず、処理する飛灰、処理に用いる水、重金属固定化剤をそれぞれ計量することが行われる。飛灰の計量は、反応容器51への収容前であっても反応容器51への収容後であってもよい。即ち、本実施形態では、予め計量した飛灰を反応容器51に収容しても、反応容器51に飛灰を加えつつ反応容器51ごと飛灰の質量を計量するようにしてもよい。」 「【0062】 飛灰への水の添加は、例えば、反応容器51内で実施される。飛灰に水を加えると水和熱により水と飛灰との接触箇所が高温になり、一部の水が蒸発する可能性がある。本実施形態では、反応容器51が密閉可能であるために、該反応容器51内で飛灰に水を添加することで水が一旦蒸発しても再び飛灰に吸収させることができ、飛灰と水との量比が正確に整った被処理物を調製することができる。前記重金属固定化剤は、水とともに飛灰に加えてもよく、水を加える前や水を加え終えた後に添加してもよい。 【0063】 水の添加に際しては、冷却装置90を運転し、反応容器51の流路51rに冷却液を流して内壁面を通じて反応容器51に収容された被処理物Xを冷却するようにしてもよい。本実施形態では、攪拌機52の公転により周側壁51sに付着した被処理物Xを掻き落とすスクレーパー53を備えているため、周側壁51sで冷却された被処理物Xを素早く脱離させて被処理物Xを順次周側壁51sで冷却させることができ、優れた冷却効率が発揮され得る。」 「【0071】 炭酸化処理では、前記第1攪拌機521を、例えば、25rpm~250rpmの回転速度で回転(自転)させ、前記第2攪拌機522を、例えば、100rpm~1000rpmの回転速度で回転(自転)させることができる。これらの攪拌機52は、炭酸化処理に際して10~60rpmの回転速度で公転させ得る。」 「【0086】 (被処理物の調製) 約300kgの飛灰を図2に示したような炭酸化処理装置に収容し、当該飛灰を攪拌しつつ水を少しずつ添加して炭酸化処理に供する被処理物を調製した。尚、水は合計約45kg添加した。また、飛灰は環告13号溶出試験での鉛溶出量が約4.0mg/Lで、六価クロム溶出量が約1.7mg/Lであった。 【0087】 (炭酸化処理) 上記のように調製された被処理物を攪拌しつつ炭酸化処理装置に約9%の二酸化炭素を含む模擬排ガスを約600~1000m3/hの流量で流通させて炭酸化処理を実施した。(排出時の流速は1.6~2.7m/s、余剰空間は50%。) 上記条件にて、10分程度の処理を42回実施した後の出口配管内部を目視確認した際、閉塞がなく、炭酸化処理での飛灰の排出が十分防止できたことが確認できた。 炭酸化処理装置に導入される二酸化炭素量と排出される二酸化炭素量との差を二酸化炭素量吸収量としてモニタリングしたところ、飛灰100質量部に対する二酸化炭素吸収量が炭酸化処理開始後、約5分間経過した時点で約0.7質量部となり、その時点で、鉛は溶出量が約0.02mg/Lとなり六価クロム溶出量が約0.1mg/Lとなっていた。 【0088】 以上のように本発明での炭酸化処理装置や炭酸化処理方法では効率良く炭酸化処理を行うことができた。」 第4 取消理由及び特許異議の申立ての理由について 1 取消理由通知に記載した取消理由の概要 第2号証を主引用発明とした進歩性 本件特許の請求項1~10に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において頒布された後記3の甲第2号証に記載された発明、及び同甲第1号証に記載された事項に基いて、本件特許の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~10に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 2 取消理由に採用しなかった特許異議の申立ての理由の概要 (1)申立理由1(甲第1号証を主引用発明とした新規性) 本件特許の請求項1、4、5に係る発明は、後記3の甲第1号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定に違反して特許されたものであり、同法第113条第2号に該当するから、請求項1、4、5に係る特許は取り消されるべきものである。 (2)申立理由2(甲第1号証を主引用発明とした進歩性) 本件特許の請求項1~10に係る発明は、後記3の甲第1号証に記載された発明及び同甲第2号証~甲第16号証に記載された事項に基いて、本件特許の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものであり、同法第113条第2号に該当するから、請求項1~10に係る特許は取り消されるべきものである。 (3)申立理由3(サポート要件) 本件特許に係る出願は、特許請求の範囲の記載が、後記ア、イの点で不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たさないものであり、同法第113条第4号に該当するから、本件特許は取り消されるべきものである。 ア 本件特許発明1、5の「第2攪拌機の回転速度が第1攪拌機の回転速度より高速である」との記載について、本件特許発明1、5は、第1攪拌機の回転が停止しているものも含み得るが、本件特許明細書では、第1攪拌機が回転している場合のみが記載されている。 イ 本件特許発明1、5の「第2攪拌機の回転速度が第1攪拌機の回転速度より高速である」との記載について、本件特許発明1、5は、各攪拌機の公転の回転速度の場合も含み得るが、本件特許明細書では、各攪拌機の自転速度の場合のみが記載されている。 (4)申立理由4(明確性) 本件特許に係る出願は、特許請求の範囲の記載が、後記アの点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たさないものであり、同法第113条第4号に該当するから、本件特許は取り消されるべきものである。 ア 本件特許発明1、5の「第2攪拌機の回転速度が第1攪拌機の回転速度より高速である」との記載について、回転速度が自転の回転速度なのか公転の回転速度なのかが明らかでない。 3 申立人が提出した証拠方法 申立人は、特許異議の申立ての証拠方法として、甲第1号証~甲第17号証(以下「甲1」~「甲17」ともいう。)を提出した。 また、申立人は、令和5年6月13日の意見書に添付して、参考資料1(以下「参1」ともいう。)を提出した。 甲1:特開2009-279475号公報 甲2:特開2004-267908号公報 甲3:実願昭63-144569号(実開平2-66229号)のマイクロフィルム 甲4:欧州特許出願公開第0945170号明細書 甲5:国際公開第2009/071322号 甲6:特開2004-305914号公報 甲7:特開2004-308116号公報 甲8:特開2009-7645号公報 甲9:特開2005-238015号公報 甲10:実願昭60-111734号(実開昭62-20637号)のマイクロフィルム 甲11:特開2001-62426号公報 甲12:特開平11-218320号公報 甲13:国際公開第2019/192241号 甲14:特開2017-15354号公報 甲15:特開平8-323329号公報 甲16:特開2000-111023号公報 甲17:特開2018-47395号公報 参1:特開2008-20333号公報 4 甲号証に記載された事項 (1)甲1には、次の記載がある。 「【0001】 本発明は、パン型状の攪拌槽内に供給される各種材料を攪拌羽根や剪断羽根にて攪拌・混合処理する攪拌装置に関し、特に攪拌羽根や剪断羽根をそれぞれ自転させながら同時に攪拌槽中心部の駆動軸周囲を公転させて攪拌・混合処理を行う攪拌装置に関する。」 「【0005】 本発明は上記の点に鑑み、低コストでシンプルな構造ながら各攪拌羽根や剪断羽根の自転速度を個別に調整可能とし、材料の種類や性状、或いは用途等、広範囲で利用可能な攪拌装置を提供することを課題とする。」 「【0015】 また、請求項2記載の攪拌装置によれば、攪拌羽根を備えた従動軸の従動ギヤを小径の固定ギヤと連動させる一方、剪断羽根を備えた従動軸の従動ギヤを大径の固定ギヤと連動させるようにしたので、剪断羽根の自転速度を攪拌羽根よりも高速に調整でき、材料の効果的な剪断処理が可能となって、多用途に利用可能な使い勝手のよい攪拌装置とすることができる。」 「【0026】 図中の1は、例えば、各種粉体同士の混合処理やモルタル・コンクリート等の混練処理等に使用可能な攪拌装置であって、移動用の車輪2にて支持されるパン型状の攪拌槽3を備え、該攪拌槽3の上部開放部はカバー体4で覆っていると共に、該カバー体4上には駆動モータ5を載置している。また、前記駆動モータ5の駆動軸6を下位の攪拌槽3の中心部へ垂下させていると共に、該駆動軸6には駆動軸と同心でかつ径の比較的小さい固定ギヤ7aと、径の比較的大きい固定ギヤ7bを遊嵌させ、これら両固定ギヤ7a、7b共にカバー体4とボルトにて固着している。」 「【0029】 前記攪拌羽根9aは、従動軸10aの下端側を、図に示すように二叉状に形成していると共に、分岐させたそれぞれの下端部には材料の攪拌・混合処理に有効な平板状の攪拌ブレード12を固着して成している。また、前記攪拌ブレード12は、攪拌ブレード12の進行方向前方側から後方側に向けて攪拌槽3底面から漸次離反するように傾斜させた状態にて固定していると共に、その前面側には攪拌槽3底面と摺動するようにウレタンゴム等の可撓性部材13を貼着しており、攪拌槽3底部の材料を掻き上げながら効果的に攪拌処理可能なように図っている。」 「【0031】 一方、剪断羽根9bは、従動軸10b周囲に材料の剪断処理に有効な多数の薄板状の剪断ブレード14を放射状に、かつ上下方向に一定間隔にて固着して成しており、剪断ブレード14の回転によって材料を細かく剪断処理可能としている。」 「【0037】 また、25は攪拌槽3の内周壁に付着する材料を掻き取って攪拌槽3の中心側に掻き寄せるスクレーパであって、支持部材8にアーム26の一端を固着している一方、アーム26の他端に垂直に配した板体27を固着し、該板体27の回転方向前面側にウレタンゴム等の可撓性部材28を貼着して成り、該可撓性部材28の外周端縁を攪拌槽3の内周壁に摺動させるように構成している。」 「【0039】 このとき、攪拌羽根9aは公転に伴って小径の固定ギヤ7aと噛合している上端の従動ギヤ11aが回転し、攪拌羽根9aは前記ギヤ比によって(a)の略2倍の速度(b)で自転する一方、剪断羽根9bも公転に伴って大径の固定ギヤ7bと噛合している上端の従動ギヤ11bが回転し、剪断羽根9bは前記ギヤ比によって(a)の略4倍の速度(c)で自転する。こうして、攪拌槽3内に供給した材料は、前記攪拌羽根9aによって攪拌処理を受けながら剪断羽根9bによって高速剪断処理を繰り返し受け、その結果、材料のダマ等の塊状物も残らず、かつムラの少ない好適な攪拌・混合処理がなされていく。 【0040】 このように、一基の駆動モータの駆動力にて各攪拌羽根や剪断羽根を個別に所望速度にて自転させることが可能で、またその構造も非常にシンプルなものなので、低コストでメンテナンス性にも優れ、材料の種類や性状、或いは用途等、広範囲で利用可能な使い勝手のよい攪拌装置とすることができる。」 「【図1】 [図:0001404768000001.jpg] 【図2】 [図:0001404768000002.jpg] 【図3】 [図:0001404768000003.jpg] 」 (2)甲2には、次の記載がある。 「【請求項1】 ケーシングと、 該ケーシングに設けられた焼却灰供給口、処理灰排出口、炭酸ガス供給口及びガス排出口と、 該ケーシング内に設置された加重方式の混合攪拌手段と、 を具備してなる焼却灰の処理装置。」 「【請求項3】 請求項1又は2において、 該混合攪拌手段は、上下方向に配置された回転軸と、該回転軸に保持されており、該回転軸の回転に伴って該回転軸の周囲を公転する車輪と、該車輪を下方に付勢する付勢機構とを備えており、 該ケーシング底面上に焼却灰が堆積され、堆積された焼却灰の上を該車輪が転動することにより該焼却灰が混合攪拌されることを特徴とする焼却灰の処理装置。 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれか1項に記載の焼却灰の処理装置を用いて焼却灰を処理する方法であって、 該ケーシング内に焼却灰を供給し、該ケーシング内に炭酸ガスを通気しながら該焼却灰を混合攪拌することを特徴とする焼却灰の処理方法。」 「【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は焼却灰の処理装置及び処理方法に係り、特に、焼却灰に炭酸ガスを通気して該焼却灰のpHを重金属の溶出防止に好適な範囲とする処理装置及び処理方法に関する。」 「【0005】 【発明が解決しようとする課題】 しかしながら、焼却炉から排出される焼却灰は均一な混合物ではなく、その含水率も変動する。このように性状が不均一で変動する焼却灰を通常の混合攪拌装置で、炭酸ガス、或いは炭酸ガス及び重金属固定化剤と共に混合攪拌すると、混合攪拌装置に加えられる負荷が大きく、過負荷のために、十分な混合攪拌効果を得ることができない;処理効率が劣る;といった問題を生じる。また、含水率の変動で混合攪拌中に焼却灰が造粒する場合があるが、造粒した焼却灰に炭酸ガスを通気しても炭酸ガスの吸収効率が悪く、炭酸ガスによる中和効果を十分に得ることができなくなる。 【0006】 本発明は上記従来の問題点を解決し、焼却灰に炭酸ガスを通気しながら混合攪拌処理するに当たり、装置への過負荷、焼却灰の造粒を防止して、効率的な処理を行うことができる焼却灰の処理装置及び処理方法を提供することを目的とする。」 「【0011】 本発明の焼却灰の処理方法は、かかる本発明の焼却灰の処理装置のケーシング内に焼却灰を供給し、該ケーシング内に炭酸ガスを通気しながら焼却灰を混合攪拌するものであり、炭酸ガス通気中の焼却灰を効率的に混合攪拌することにより、良好な処理効果を得ることができる。炭酸ガスの通気前又は通気中に水を添加してもよく、これにより炭酸化反応を促進できる。」 「【0014】 図1は本発明の焼却灰の処理装置の実施の形態を示す断面図である。図1において、1は有底円筒状のケーシング(攪拌槽)であり、該ケーシング1の上端開口は蓋部材2によって密閉されている。該ケーシング1内には、投入された焼却灰を混合攪拌する手段3が設置されている。 【0015】 この混合攪拌手段3は、ケーシング1の中心に立設された円筒型軸受4と、該軸受4内に挿入されており、鉛直軸心回りに回転自在な回転軸5と、該回転軸5の上端部に固着され、放射方向に張り出したヘッド6と、該ヘッド6の先端部に上下方向回動可能に取付けられたアーム7a,7bと、該アーム7a,7bの各々の下端部に回転自在に取付けられた車輪8a,8bとを有する。なお上記アーム7a,7bの上端部にはスプリング機構9が取付けられており、各アーム7a,7bを介して車輪8a,8bを下方に押圧している。 【0016】 回転軸5の下端部はケーシング1の底部を貫通し、減速機11の出力軸12と連結している。該減速機11の入力軸13はモータ14の出力軸15と連結されている。該モータ14の駆動により、車輪8a,8bが回転軸5を中心にしてその周囲を公転するようにされている。 【0017】 このケーシング1の底面上に焼却灰が堆積層を形成するように供給される。車輪8a,8bが回転軸5と共に公転する場合、スプリング機構9によって車輪8a,8bが焼却灰堆積物に押し付けられ、この上を転動する。これにより、焼却灰が混合攪拌される。」 「【0022】 この炭酸ガスの通気前又は通気中に、液体供給口31から水を供給すると、炭酸ガスが水に溶け、炭酸イオンとなり、これが焼却灰中の消石灰と反応して炭酸カルシウムとなる、いわゆる炭酸化反応が促進する。焼却灰は、アルカリ性のため吸湿性があり、水分供給が不要の場合があるが、不足する場合には、水分を供給することが好ましい。液体の重金属固定化剤を添加する場合は、それに含まれる水分で代用することも可能である。」 「【0029】 【実施例】 以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。 【0030】 なお、以下の実施例で処理したA焼却灰の成分分析値は下記の通りである。 【0031】 【表1】 [図:0001404768000004.jpg] 【0032】 実施例1 図1に示す本発明の焼却灰の処理装置を用いて焼却灰の処理を行った。この装置の各部の寸法は次の通りである。 【0033】 ケーシング1内径 :1000mm ケーシング1深さ : 500mm 車輪8a,8bの直径:300mm 車輪8a,8bの幅 : 80mm 【0034】 処理手順は以下の通りとした。 ▲1▼ A焼却灰40.0kgをケーシング内に投入した。 ▲2▼ 下記条件で混合攪拌しながら、炭酸ガスの通気を開始した。炭酸ガスの通気条件は、N2=360L/分、CO2=40L/分(CO2=10%)とした。 回転軸の回転数:20rpm 車輪の押圧力 :80kg ▲3▼ 経時的に焼却灰を採取した。 ▲4▼ ガス通気5時間後、正リン酸75重量%水溶液0.8kg(焼却灰に対して2重量%)を液体供給口31より注入しながら3分間攪拌し、処理灰を採取した。 ▲5▼ 採取した処理灰について、環境庁告示13号試験に準じた溶出試験及び一部のものについては更にpH4での溶出試験を行って、溶出液のpHとpb濃度を測定した。」 「【図1】 [図:0001404768000005.jpg] 」 (3)甲3には、次の記載がある。 ア 4頁1~2行 「図面で(1)は円形の処理槽で、混練機本体Aから突設した受片(4)に支持させる。」 イ 6頁7行~7頁2行 「かくて可変速モータ(11)からベベルギヤー(12)(8)を介し管軸(7)を回転させて、これと一体の回転筐(9)を回転させることにより、該回転筐(9)に軸架した回転軸(13)(13)(14)従って2個のブレード型混合翼(2)(2)とその中間に位置する剪断型混合翼(3)とは槽(1)内において公転し、且つ2個のブレード型混合翼(2)(2)は、その公転運動に伴なって各回転軸(13)(13)に固着した歯車(15)(15)が、固定軸筒(6)と一体の大歯車(16)に対し惑星歯車として噛合いつつその周囲を回動することによって自転し、又剪断型混合翼は可変モータ(17)に連動する軸扞(8)の回転により歯車(19)(20)の噛合いで自転させ、該剪断型混合翼(3)の自転速度をブレード型混合翼(2)の自転速度より高速回転とし、該両者相互の回転速度比は各可変速モータ(11)(17)の調整により自由に設定し得る。」 ウ 第1図 「 [図:0001404768000006.jpg] 」 (4)甲4には、次の記載がある。抄訳は申立人が作成したものを採用した。 ア 段落0008 「 [図:0001404768000007.jpg] 」 (抄訳)図1には、ミキシングトラフ2の上に支持フレーム4が配置されたミキサーをしめす。 イ 段落0009 「 [図:0001404768000008.jpg] [図:0001404768000009.jpg] 」 (抄訳)攪拌機構ローター8は、その下側に第1攪拌具14を担持し、・・・第1攪拌具14は第1回転軸16を中心に回転する。第1攪拌具14の径方向に、攪拌機構ローター8は、第2回転軸20を中心に回転可能な第2攪拌具18を備えている。第2攪拌具18は、好都合なことに、ワーラーとして設計され、本発明によれば、第1攪拌具14の速度よりも所定の要因によって大きい所定の速度で回転する。2つの攪拌具14、18は、攪拌機構ローター8と一緒に配置された歯車22によって結合されている。歯車22は、第2攪拌具18の回転速度が第1攪拌具14の回転速度よりも所定の係数だけ速くなるように設計されており、この係数は好ましくは3~20であり、好都合には6のオーダーで予めきめられている。例えば、攪拌機構ローター8が15rpmの速度で回転する場合、所定のギア比に従って、第1攪拌具14の回転数は40rpmとなる。この実用的な実施形態において、ギアボックス22によって伝達係数6が指定された場合、ワーラー又は第2攪拌具18の回転数は240rpmである。 ウ 段落0010 「 [図:0001404768000010.jpg] 」 (抄訳) 「図2は、方向IIに従い、図1に対して90°回転した方向から見たミキサーを示す図である。攪拌機構ローター8は、特別な回転軸を中心として追加的に回転可能ではなく、専らその回転軸10を中心として攪拌機構ローター8と共に回転可能な、さらなる混合ツール24を担持している。・・・さらなる混合ツール24に対して直径方向に追加の第4混合ツール34が攪拌機構ローター8上に、同様に攪拌機構ローター8の対応するキャビティ内の弾性軸受によって対応する方法で配置される。」 エ Fig.1 「 [図:0001404768000011.jpg] 」 (5)甲5には、次の記載がある。抄訳は申立人が作成したものを採用した。 ア 2頁21~27行 「 [図:0001404768000012.jpg] 」 (抄訳)これに基づき、本発明は、混合されるべき材料の最滴化された混合が可能となるように、低い構造的労力で冒頭に述べたタイプの混合機をさらに設計することを課題とするものである。その目的は、被混合物の迅速かつ/または均ーな混合、および/または混合時間の短縮を達成することである。さらに、粗粒、細粒、粉状、ペースト状など、混合する材料の性質や組成に合わせ、簡単な方法で調整できることが望ましい。 イ 4頁14~16行 「 [図:0001404768000013.jpg] 」 (抄訳)好ましくはプラネタリーミキサーとして設計されたこのミキサーは、混合される材料を受けるための混合トラフ2を含み、これは本質的に円筒形で、その上に支持フレーム4が配置されています。 ウ 4頁31行~5頁20行 「 [図:0001404768000014.jpg] [図:0001404768000015.jpg] 」 (抄訳)第1駆動モータ6は、特に好ましくは混合機構ローター8に配置された第1ギアボックス12によって、混合機構ローター8と作動的にギア接続されており、このギアボックスは、好ましくは遊星ギアボックスとして設計され、それを用いて混合機構ローター8が二重矢印14で示すようにその本質的に垂直な回転中心軸16を中心として一方または他の方向に回転され得る第1ギアボックス12によって混合機構ローター8と作動的にギア接続されており、このギアボックスは、好ましくは遊星ギアボックスとして設計されており、このギアボックスによって、混合機構ローターは二重矢印14に従ってその本質的に垂直な回転中心軸16を中心として一方向または他方向に回転させることができる。ここでミキシングスターとして設計されている第1攪拌具18が混合機構ローター8に回転可能に配置され、取り付けられている。特に第1混合ツール18は、第1アボックス12を介して第1駆動モータ6と作動的にギア接続されており、それによって、混合機構ローター8の速度と第1混合ツール18との間にある速度比が第1ギアボックス12によって予め決定される。二重矢印20によれば、混合機構ローター8に対する回転方向の両方に駆動することも可能である。 さらに、特にワーラーとして設計された第2混合ツール22が、混合機構ローターに一体化され、および/または混合機構ローター8に回転可能に取り付けられている。好ましい態様では、第2混合ツール22を駆動するための第2の、特に電気駆動モータ24が支持フレーム4に設けられ、このモータは第2歯車26を介して第2混合ツール22と作動的に歯車接続されている。特に第2ギア26を混合機構ローターに一体化させることで、コンパクトな構造及び/又は小さな構造体積を実現することができる。本発明によれば、第2混合ツール22の二重矢印28に従った速度および/または回転方向は、第2駆動モータ24によって、混合機構ローター8の速度および/または第1混合ツール18の回転方向とは独立して規定される。 エ 6頁5~7行 「 [図:0001404768000016.jpg] 」 (抄訳)さらに混合機構ローター8には、さらなる混合ツール34が配置および/または装着されている。さらなる混合ツールは、特にスクレーパーとして設計されており、混合機構ローター8とともに、混合トラフ2内またはそこに存在する混合材料内で同じ速度および同じ回転方向で回転させることができます。 オ 8頁29行~9頁6行 「 [図:0001404768000017.jpg] [図:0001404768000018.jpg] 」 (抄訳)ギアボックスの設計によりますが、混合ローター8の回転数は、50Hzで給電した場合、10~20回転/分の範囲、好ましくは本質的に15回転/分です。混合ローター8の速度と比較して、第1混合ツール18の速度は、好ましくは2~4の間の係数で、かなり大きくなるように予め設定されているので、第1駆動モータ6に50Hzを供給する場合、速度は実質的に30~60の間になるように予め設定することが可能である。 カ Fig. 1 「 [図:0001404768000019.jpg] 」 (6)甲6には、次の記載がある。 「【0007】 ・・・図1において円筒形のドラム1には、公転する攪拌翼2と、公転しながら自転するロータ3が備えられている。そして公転する攪拌翼2が付設されている第1回転軸4は、ドラム1の外部に設けられ変速機構A13を介するモータA5を備え、変速機構A13の操作によって公転する回転方向・回転速度が自由に変更できる。また、公転しながら自転するロータ3は、・・・ロータ3の備える回転羽根15の自転の回転方向・回転速度が自由に変更できる構造になされている。・・・」 「【0010】 ・・・また、図5では土壌をほぐすために攪拌翼2を正回転させ、先端の攪拌具4で土壌を図8Aの如くほぐしながら高速回転するロータ3によってせん断力を伝える。・・・」 「【図2】 [図:0001404768000020.jpg] 」 「【図8】 [図:0001404768000021.jpg] 」 (7)甲7には、次の記載がある。 「【0010】 ・・・ 図3において、ミキサ21には被処理土を内部へ貯えるミキサドラム1と公転しながら自転するロータ3が備えられている。また、公転する撹拌翼2が付設されている第1回転軸4は、ドラム1の外部に設けられる変速機構A13を介するモータA5を備え、変速機構A13の操作によって公転する回転方向・回転速度が自由に変更できる。 また、公転しながら自転するロータ3は、第1回転軸4の上部に該回転軸4と一体的に設けられるアーム6に付設され、第1回転軸4の回転によって公転されると共にアーム6に備える変速機構B14を介するモータB7によって、ロータ3の備える回転羽根15の自転の回転方向・回転速度が自由に変更できる構造になされている。また、図4に示すように、回転羽根15はロータ3の回転軸に対し直角方向に配置される。 本発明に係るミキサは、ロータ3の公転と自転の回転方向を各々切り替え、正転及び逆転させること、及び回転速度を可変することが可能で、これらの動きを組み合せることで、多種多様な性状を持つ被処理土に対応でき、更には、1台のミキサで解砕、混合及び造粒を達成するものである。」 「【図4】 [図:0001404768000022.jpg] 」 (8)甲8には、次の記載がある。 「【0020】 図2~図5を参照して、造粒設備30について具体的に説明する。造粒設備30は、含金属副産物、還元材、ダストおよび水を受入れる円筒形状の処理槽32と、この処理槽32の内部に設けられたブレード52と、同じく処理槽32の内部に設けられたロータ56と、造粒設備30の各機器を制御する制御手段68とを備えている。・・・」 「【0026】 前記ブレード52は、制御手段68の制御に基づいて第1変速機構42により任意の方向および回転速度で、処理槽32の中心を軸として回転可能に構成される。・・・ 【0027】 ・・・ロータ56は、アーム46の回転によりブレード52と共に、処理槽32の中心を軸としてブレード52と同一方向に同一速度で回転すると共に、アーム46に対してブレード52における正方向の回転と同一方向に自転するよう構成される。・・・」 「【0044】 ・・・ロータ56を高速な第1自転速度で自転させつつ、ブレード52と共に処理槽32の中心を軸として逆方向に回転することで、混合物を攪拌しつつほぐして細かくすることができる。・・・ 【0045】 ・・・ブレード52を処理槽32の中心を軸として正方向に回転することで、回転方向前側から後側へ向けて上方傾斜するブレード52によって、混合物が処理槽32の内底面32c側から上方へ向けて掻き上げられる(図5(a)参照))。・・・」 「【図3】 [図:0001404768000023.jpg] 」 (9)甲9には、次の記載がある。 「【0017】 以下、本発明の一実施例について説明する。図1は、本発明に係るミキサーの一例を示す縦断面図、図2は、本発明のミキサーの回転ブレード及び羽根部を示す平面図である。本実施例において、内部に被撹拌材料を収容する円筒状の収容容器10と、前記収容容器10の中央に回転自在に周囲を支承された旋回体11と、前記旋回体11の旋回中心11aから偏心した位置に垂設された第1の軸12と、前記第1の軸12の上端に形成された第1歯車13と噛合する内接歯車14と、前記第1の軸12の下端に取り付けられた回転ブレード15と、前記旋回体11の旋回中心に垂設され、駆動モータ16によって回転駆動される主軸17と、前記主軸17の下端に形成された歯車18と噛合し前記第1の軸12に固定された第2歯車19と、前記主軸17の外周に回転自在に支承された中空状の副軸20と、前記副軸20を回転駆動する第2の駆動モータ21と、前記副軸20によって回転駆動されると共に前記旋回体11上に回転自在に設置された第2の軸22と、前記第2の軸22によって回転駆動される回転羽根23とを備えている。」 「【0025】 以上のように構成したミキサーは、駆動モータ16によって回転ブレード15を自転させるとともに、旋回体11を内接歯車14及び第1歯車13によって公転させるので、回転ブレード15は収容容器10内を自転しつつ公転する。また、回転羽根23は、第2の駆動モータ21によって自転するとともに、これを支持する軸44a、44bが旋回体11から延設された支持部材45に支持されているので、旋回体11とともに公転する。」 「【図1】 [図:0001404768000024.jpg] 」 (10)甲10には、次の記載がある。 ア 3頁9~20行 「これらの図に示すように、この考案のミキサーは従来の逆流式ミキサーと同様に原料混合槽Aの中心に対して、それぞれ偏心位置に先端部にブレードDを取付けた混合スターBとアジテータCが配置されている。 本考案の特徴は上記逆流式ミキサーにおいて、原料混合槽Aを基礎Eに固定し、モータBMによつて回転する混合スターBとモータCMによつて同一方向に回転するアジテータCとをそれぞれ偏心位置に取付けた上蓋1を回転軸2を中心に、上記混合スターBとアジテータCとの回転方向とは逆の方向に回転するように構成されている点にある。」 イ 第1図 「 [図:0001404768000025.jpg] 」 ウ 第2図 「 [図:0001404768000026.jpg] 」 (11)甲11には、次の記載がある。 「【0028】ケーシング3の上面にはアルカリ飛灰の供給口16と、液体の供給口17と、炭酸ガス含有ガスの供給口18と、ガスの排出口19とが設けられている。・・・」 「【0031】図1のアルカリ飛灰処理装置を用いてアルカリ飛灰を特開平8-155417号の方法に従って処理するには、アルカリ飛灰を供給口16からケーシング3内に所定量供給し、回転軸5及び高速回転軸14を回転させながら所定量の水を供給口17から少しずつ供給し、飛灰と水とを混合する。次いで、炭酸ガス含有ガス供給口18から炭酸ガス含有ガス(炭酸ガス又は炭酸ガスと他のガスとを含有するガス)をケーシング3内に供給し、且つ排出口19からガスを排出しながら回転軸5及び高速回転軸14を回転させて炭酸ガスをアルカリ(とくにCa(OH)2)と反応させる。・・・」 「【0035】このアルカリ飛灰処理装置においては、攪拌翼付きの回転軸5を低速で回転させ、ケーシング3内の飛灰全体を攪拌しながら剪断分散羽根13付きの高速回転軸14を高速で回転させて飛灰を剪断分散させるので、ケーシング3内の飛灰が水溶液と効率良く混合攪拌されると共に、炭酸ガス含有ガスと効率良く接触する。従って、きわめて効率良く飛灰処理を行うことができる。・・・」 「【図1】 [図:0001404768000027.jpg] 」 (12)甲12には、次の記載がある。 「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、ゴミ処理施設で発生した焼却灰、集塵灰等の灰の溶融処理に使用される灰処理用電気抵抗溶融炉及びその操業方法に関する。」 「【0017】炉壁1は、炉体内筒鉄皮2と炉体外筒鉄皮3で構成され、両鉄皮間に冷却水を冷却水入口4から供給し、排水口5から排出して水冷する水冷ジャケット式の水冷鉄皮構造で形成されている。冷却水入口4には流量計22及び冷却水温度計Ti、排水口5には排水温度計Toが設けられている。」 「【0025】安定操業時、溶融スラグ温度1450℃の時、冷却水量1トン/時で冷却水の出入口の温度差は約6℃であったが、硬化層が発生し供給灰の溶融が止まると、溶融スラグ温度が上昇し1550℃になると、冷却水の出入口の温度差は約8℃に上昇した。水冷炉体構造の場合、冷却水抜熱量変化がスラグ温度変化を最も早く正確に近似できることが判かる。 【0026】そこで、冷却水の出入口の温度差が設定値に達すると、硬化層破壊装置の上下動駆動装置27により破壊棒を上下動させて硬化層を破壊する。」 「【図3】 [図:0001404768000028.jpg] 」 (13)甲13の11頁17~19行には、次の記載がある。抄訳は申立人が作成したものを採用した。 「 [図:0001404768000029.jpg] 」 (抄訳)2.モータ2-5は、主軸2-9の周りに回転するように遊星盤を駆動し、原料の粉砕および攪拌を転輪列2-7と攪拌ブレードアセンブリ2-6にさせ、第1スクレーパー2-7-3と第2スクレーパー2-7-4は、ケーシング2-4の内壁に粘着された原料を中間部に掻き揚げる。 (14)甲14には、次の記載がある。 「【0001】 この発明は、鉄鋼スラグの処理装置、及びこれを用いた鉄鋼スラグの処理方法に関し、詳しくは、鉄鋼スラグを天然砕石、骨材等の土木材料、建築材料等の代替品をはじめとして、海域環境を修復する資材等として利用した際に、鉄鋼スラグから高アルカリ水や白濁水が溶出するのを抑制したり、これに加えて、更に鉄鋼スラグの膨張を防ぐことができる鉄鋼スラグの処理装置、及びこれを用いた鉄鋼スラグの処理方法に関する。」 「【0024】 また、本発明に係る処理装置では、第1及び第2の処理装置において、CO2供給口から圧力容器内に吹き込まれるCO2含有ガスの流れを減速させる、又はこのCO2含有ガスの流れを鉛直方向の下側に向けるガス速度調整手段を備えるようにしたり、水蒸気供給口から圧力容器内に吹き込まれる水蒸気の流れを減速させる、又はこの水蒸気の流れを鉛直方向の上側に向けるガス速度調整手段を備えるようにしてもよい。・・・」 「【0029】 ・・・次いで、排気配管のバルブを閉めて、圧力容器内を0.1MPa以上2.0MPa以下、好ましくは0.4MPa以上2.0MPa以下のCO2含有ガス雰囲気にして、スラグの炭酸化を行うことができる(炭酸化工程)。・・・」 (15)甲15には、次の記載がある。 「【0017】加えて、本発明では、炉頂ガス流速を1.5m/sec以下としたり、竪型溶融炉の排ガス管に該竪型溶融炉内の炉頂ガス流速を制御する手段及び排ガス中のダスト濃度を計測する手段を設け、該竪型溶融炉から排出されるダスト濃度を10(g/Nm3)以下となるように、炉頂ガス流速を制御しながら焼却灰を炉頂から炭素系固体還元剤と共に炉内に装入するようにしたので、1mm以上の焼却灰又は該竪型溶融炉から排出されるダストの飛散が防止でき、炉頂ダクトの閉塞抑制及び冷却装置や集塵装置の負荷を軽減し、安定して焼却灰の溶融処理できるようになる。」 「【0023】次に、炉頂ガス流速は、竪型溶融炉1の炉頂部に圧力計14と温度計15を配置し、竪型溶融炉1の排ガス量を温度と圧力で補正した実ガスを演算装置17で求める。また、竪型溶融炉1と冷却装置19の間の排ガス管にダスト濃度測定装置16を配置して排ガス中のダスト濃度を標準状態のガス量あたりのダスト濃度として、演算装置17で計算させ、ダスト濃度を求める。そして、演算装置17で計算されたダスト濃度が10(g/Nm3)以下となるように、炉頂圧力調整装置18を作動させ、竪型溶融炉1の炉頂圧力を制御することにより、炉頂ガス流速が制御される。その結果、焼却灰の熱割れと粉化による竪型溶融炉1から排出される微細な焼却灰や炭材の灰分に起因したダストの飛散が低減され、炉頂ダクトの閉塞抑制及び冷却装置や集塵装置の負荷が軽減し、焼却灰の溶融処理が安定して行われるようになる。」 (16)甲16には、次の記載がある。 「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、単段式焼却炉に関するものである。」 「【0012】 ・・・さらに、区画板8は多数の貫通孔9を有するため邪魔板と同様の効果を有するので、炉内での排ガスの流速を抑えて排気口7からの焼却灰の放散を防止することができる。」 (17)甲17には、次の記載がある。 「【0035】 集塵部23を通過した排ガスは、誘引式の送風機24により煙突25へと送出され、煙突25から大気中へと放出される。ゴミ焼却施設1では、排ガス流路26が、集塵部23と煙突25との間にて分岐しており、ゴミ焼却炉21からの排ガスの一部が排ガス処理装置4へと導かれる。排ガス処理装置4の詳細については後述する。」 「【0038】 飛灰貯留部64は、飛灰加熱部61にてダイオキシン分解処理が施された飛灰を一時的に貯留する。飛灰炭酸化部62は、飛灰貯留部64から供給された飛灰の炭酸化処理を行う。これにより、飛灰からの重金属類の溶出が防止または抑制される。すなわち、飛灰炭酸化部62は、飛灰からの重金属類の溶出防止処理を行う溶出防止処理部である。飛灰炭酸化部62から排出された飛灰(すなわち、処理済み飛灰)は、例えば、最終処分場において埋め立て処分される。」 「【0043】 第1ガス分離部42では、複数のバルブ427が切り替えられることにより、排ガス中の二酸化炭素が吸着塔422において吸着され、二酸化炭素濃縮ガスが生成される。二酸化炭素濃縮ガスは、ガス圧縮機425において圧縮された後、ガス貯留タンク426に貯留される。ガス貯留タンク426に貯留された二酸化炭素濃縮ガスは、図1に示すガス圧縮部45へと送出される。 【0044】 ガス圧縮部45では、二酸化炭素濃縮ガスが圧縮されることにより、二酸化炭素濃縮ガス中の水分が凝縮する。凝縮した水は、ドレン水として排ガス処理装置4の外部へと排出される。換言すれば、ガス圧縮部45は、二酸化炭素濃縮ガスから水を除去する水除去部である。当該ドレン水は、例えば、冷却塔22に供給され、冷却塔22における排ガスの冷却に利用される。」 「【0062】 図6は、飛灰処理部6の飛灰炭酸化部62の構成を示す図である。飛灰炭酸化部62には、上述の第1ガス分離部42により生成された二酸化炭素濃縮ガスが供給される。飛灰炭酸化部62は、第1収容部621と、第1撹拌部622と、第1モータ623と、第1液体供給部624と、ガス充填部625と、第2収容部626と、第2撹拌部627と、第2モータ628と、第2液体供給部629とを備える。」 (18)参1には、次の記載がある。 「【0001】 本発明は、放射性廃棄物の固化処理方法及び固化処理装置に係り、特に、原子力発電所などの放射性物質取扱施設から発生する可燃性の物質を焼却して得られる焼却灰を固化処理する固化処理方法及び固化処理装置に関する。」 「【0007】 また、中レベル放射性廃棄物を含有する焼却灰には、焼却対象物に遮蔽グローブ等が含まれており、これには鉛等の重金属化合物が多量に含まれるため、この鉛等の作用でセメントが硬化遅延する課題がある。さらに、人のアクセスが困難になることから、メンテナンスを極力必要としない固化システムが望まれる。さらにまた、焼却灰中にはCaOなどのような吸水して発熱(CaO+H2O→Ca(OH)2+反応熱)する成分が含まれると想定されているが、これが多量に含まれている場合は、直接セメントペーストと混練すると発熱して急激に粘性を失うため、良好に固定化できない課題がある。」 「【0017】 この放射性廃棄物を含有する焼却灰は、まず、攪拌工程において、所定量の添加水、すなわち放射性廃液を含む添加水とともに混練機10に投入され、冷却しつつ攪拌される(S1)。攪拌工程における冷却は、混練機10の周囲に配置される、例えば冷却ジャケットなどの冷却手段19により、一定温度に保持される。この保持される温度は通常5~35℃程度であり、20~35℃が好ましい。また、攪拌時間は、概ね15分以上である。この攪拌工程において、放射性廃棄物を含有する焼却灰に含まれる、吸水により発熱する成分(吸水加熱性成分)、例えば主に酸化カルシウム(CaO)を、以下の反応 CaO + H2O → Ca(OH)2 + 反応熱 により水と反応しない水酸化カルシウム(Ca(OH)2)として安定化させると共に、このときに発生する反応熱による、セメント系固型化材料との混練後の悪影響、例えばセメント系固型化材料との混練において、発熱により急激に粘性を失うことを、抑制でき、良好に固定化できる。」 第5 当審の判断 1 判断の順序 判断を行うにあたり、新規性等を判断する前提として特許請求の範囲の明確性が求められるところ、本件においては、明確性(前記第4の2(4)「申立理由4」参照)の判断を先に行う。 2 申立理由4(明確性)について (1)判断手法 特許請求の範囲の記載が明確性要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載だけでなく、願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮し、また、当業者の出願当時における技術常識を基礎として、特許請求の範囲の記載が第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるか否かという観点から判断されるべきものであるから、以下、この観点に立って検討する。 (2)第1攪拌機及び第2攪拌機の「回転速度」について 本件訂正発明の「第2攪拌機の回転速度が第1攪拌機の回転速度より高速である」との記載について、本件特許の明細書(前記第3の2参照)の【0071】には「炭酸化処理では、前記第1攪拌機521を、例えば、25rpm~250rpmの回転速度で回転(自転)させ、前記第2攪拌機522を、例えば、100rpm~1000rpmの回転速度で回転(自転)させることができる。これらの攪拌機52は、炭酸化処理に際して10~60rpmの回転速度で公転させ得る。」と記載されている。 そうすると、本件訂正発明の「第2攪拌機の回転速度が第1攪拌機の回転速度より高速である」のは、自転の回転速度であって、公転の回転速度ではないことを理解できる。 このことは、本件訂正発明の構造上、第1攪拌機と第2攪拌機の公転速度が異なるものであると、攪拌中に第1攪拌機と第2攪拌機とが衝突することになるという技術常識からも明らかである。 してみると、本件訂正発明の第1攪拌機及び第2攪拌機の「回転速度」は、第1攪拌機及び第2攪拌機の自転の回転速度を意味することが明らかである。 (3)まとめ したがって、本件訂正発明は、特許請求の範囲の記載が第三者の利益が不当に害されるほどに不明確ではないから、その特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たさないものとはいえない。 3 取消理由(甲2を主引例とした進歩性)について (1)甲2に記載された発明 ア 甲2(前記第4の4(2)参照)の【請求項1】を引用する【請求項3】には「ケーシングと、該ケーシングに設けられた焼却灰供給口、処理灰排出口、炭酸ガス供給口及びガス排出口と、該ケーシング内に設置された加重方式の混合攪拌手段と、を具備してなる焼却灰の処理装置」であって「該混合攪拌手段は、上下方向に配置された回転軸と、該回転軸に保持されており、該回転軸の回転に伴って該回転軸の周囲を公転する車輪と、該車輪を下方に付勢する付勢機構とを備え」「る焼却灰の処理装置」が記載されている。 イ 同【0011】には、焼却灰の処理装置は、「ケーシング内に焼却灰を供給し、該ケーシング内に炭酸ガスを通気しながら焼却灰を混合攪拌するものであり、炭酸ガス通気中の焼却灰を効率的に混合攪拌することにより、」「炭酸化反応を」行うものであることが記載されている。 ウ 同【0014】には、図1について、「1は有底円筒状のケーシング(攪拌槽)であり、該ケーシング1の上端開口は蓋部材2によって密閉されている」ことが記載されている。 エ 同【図1】には、「炭酸ガス供給口27」と「ガス排出口30」が、「ケーシングの蓋部材2」に設けられたことが示されている。 オ してみると、甲2には次の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されていると認められる。 (甲2発明) 「ケーシングと、該ケーシングに設けられた焼却灰供給口、処理灰排出口、炭酸ガス供給口及びガス排出口と、該ケーシング内に設置された加重方式の混合攪拌手段とを具備してなる焼却灰の処理装置であって、 該ケーシングは有底円筒状であり、上端開口が蓋部材2によって密閉されており、 該炭酸ガス供給口27と該ガス排出口30は、該蓋部材2に設けられており、 該焼却灰の処理装置は、該ケーシング内に焼却灰を供給し、該ケーシング内に炭酸ガスを通気しながら焼却灰を混合攪拌し、炭酸ガス通気中の焼却灰を効率的に混合攪拌することにより、炭酸化反応を行うものであり、 該混合攪拌手段は、上下方向に配置された回転軸と、該回転軸に保持されており、該回転軸の回転に伴って該回転軸の周囲を公転する車輪と、該車輪を下方に付勢する付勢機構とを備える焼却灰の処理装置」 カ また、甲2(前記第4の4(2)参照)の【請求項1】を引用する【請求項4】には、「請求項1ないし3のいずれか1項に記載の焼却灰の処理装置を用いて焼却灰を処理する方法であって、該ケーシング内に焼却灰を供給し、該ケーシング内に炭酸ガスを通気しながら該焼却灰を混合攪拌する」「焼却灰の処理方法」が記載されているから、前記ア~オで検討した事項も考慮すると、甲2には次の発明(以下「甲2’発明」という。)も記載されていると認められる。 (甲2’発明) 「ケーシングと、該ケーシングに設けられた焼却灰供給口、処理灰排出口、炭酸ガス供給口及びガス排出口と、該ケーシング内に設置された加重方式の混合攪拌手段とを具備してなる焼却灰の処理装置を用いて焼却灰を処理する方法であって、 該ケーシングは有底円筒状であり、上端開口が蓋部材2によって密閉されており、 該炭酸ガス供給口27と該ガス排出口30は、該蓋部材2に設けられており、 該焼却灰の処理装置は、該ケーシング内に焼却灰を供給し、該ケーシング内に炭酸ガスを通気しながら焼却灰を混合攪拌し、炭酸ガス通気中の焼却灰を効率的に混合攪拌することにより、炭酸化反応を行うものであり、 該混合攪拌手段は、上下方向に配置された回転軸と、該回転軸に保持されており、該回転軸の回転に伴って該回転軸の周囲を公転する車輪と、該車輪を下方に付勢する付勢機構とを備える焼却灰の処理装置を用いて焼却灰を処理する方法」 (2)対比・判断 ア 本件訂正発明1 本件訂正発明1と甲2発明を対比すると、甲2発明の「焼却灰」は、本件訂正発明1の「固形物を含む被処理物」に相当する。 甲2発明の「焼却灰の処理装置」は「焼却灰を混合攪拌し、炭酸ガス通気中の焼却灰を効率的に混合攪拌することにより、炭酸化反応を行うもの」であるから、本件訂正発明1の「炭酸化処理される固形物を含む被処理物を攪拌しつつ二酸化炭素と接触させて前記固形物に炭酸化処理を施すための炭酸化処理装置」に相当する。 甲2発明の「ケーシング」は「該ケーシング内に焼却灰を供給」するものであるから、本件訂正発明1の「被処理物が収容される収容空間を有する反応容器」に相当する。 甲2発明の「混合攪拌手段」は「上下方向に配置された回転軸と、該回転軸に保持されており、該回転軸の回転に伴って該回転軸の周囲を公転する車輪と、該車輪を下方に付勢する付勢機構とを備える」ものであるから、本件訂正発明1の「上下方向に延びる軸周りに回転して前記収容空間に収容された前記被処理物を攪拌する少なくとも1つの攪拌機」に相当する。 甲2発明の「ケーシングは有底円筒状であり、上端開口が蓋部材2によって密閉されて」いるから、本件訂正発明1の「反応容器が、円柱状の前記収容空間を有し、該反応容器が、前記収容空間の底面を画定する底壁と、前記収容空間の側面を画定する周側壁と、前記収容空間の天面を画定する天井壁とを有し」に相当する。 してみると、両者の一致点及び相違点は次のとおりである。 <一致点> 「炭酸化処理される固形物を含む被処理物を攪拌しつつ二酸化炭素と接触させて前記固形物に炭酸化処理を施すための炭酸化処理装置であって、 前記被処理物が収容される収容空間を有する反応容器と、 上下方向に延びる軸周りに回転して前記収容空間に収容された前記被処理物を攪拌する少なくとも1つの攪拌機とを備え、 前記反応容器が、円柱状の前記収容空間を有し、 該反応容器が、前記収容空間の底面を画定する底壁と、前記収容空間の側面を画定する周側壁と、前記収容空間の天面を画定する天井壁とを有している炭酸化処理装置。」 <相違点1> 攪拌機の攪拌の詳細について、本件訂正発明1は「該攪拌機が、前記被処理物の攪拌に際して前記収容空間において遊星運動するように備えられ、前記攪拌機が、複数備えられ、該複数の前記攪拌機には、第1攪拌機と、第2攪拌機とが含まれており、前記第2攪拌機が前記第1攪拌機よりも高速回転可能で、」「前記第1攪拌機は、回転した際に前記被処理物を前記反応容器の底部からすくい上げて攪拌し得るように前記底壁に沿って移動する攪拌羽根を備え、前記第2攪拌機は、前記第1攪拌機ですくい上げられた前記被処理物に含まれている凝集塊を破砕し得るように前記第1攪拌機の前記攪拌羽根よりも上方で回転する攪拌羽根を有して」いるのに対し、甲2発明は「該混合攪拌手段は、上下方向に配置された回転軸と、該回転軸に保持されており、該回転軸の回転に伴って該回転軸の周囲を公転する車輪と、該車輪を下方に付勢する付勢機構とを備える」ものである点。 <相違点2> 攪拌機の冷却について、本件訂正発明1は「前記周側壁の内側を周回して該周側壁の内壁面に付着した前記被処理物を掻き落とすスクレーパーを備え、前記被処理物に接する前記反応容器の前記周側壁の内壁面を冷却する冷却装置が更に備えられている」のに対し、甲2発明は、攪拌容器にスクレーパー及び冷却手段を備えたものではない点。 事案に鑑み、まず、相違点2について検討する。 スクレーパーについて、甲1(前記第4の4(1)参照)には、「低コストでシンプルな構造ながら各攪拌羽根や剪断羽根の自転速度を個別に調整可能とし、材料の種類や性状、或いは用途等、広範囲で利用可能な攪拌装置」(【0005】)において、「攪拌槽3の内周壁に付着する材料を掻き取って攪拌槽3の中心側に掻き寄せるスクレーパ」「25」を設けたことが記載されているが、攪拌槽を冷却する冷却装置については記載も示唆もない。 また、冷却装置について、甲12(前記第4の4(12)の【0017】及び【0026】参照)に、焼却灰等の灰の溶融処理に使用される灰処理用電気抵抗溶融炉において、溶融炉の炉壁に冷却水を供給し、その温度変化に基づいて硬化層破壊装置を作動させる技術が記載され、参1(前記第4の4(18)の【0001】及び【0017】参照)に、焼却灰を固化処理する固化処理装置において、焼却灰中のCaOなどのような吸水して発熱する成分が多量に含まれている場合は、直接セメントペーストと混練すると発熱して急激に粘性を失うため、良好に固定化できないという課題を解決するために、添加水とともに混練機10に投入された焼却灰を、混練機10の周囲に配置される、例えば冷却ジャケットなどの冷却手段19により、冷却しつつ攪拌する(S1)ことにより、一定温度に保持する技術が記載されているものの、周側壁の内側を周回して該周側壁の内壁面に付着した被処理物を掻き落とすスクレーパーを設けることについては、記載も示唆もない。 そうすると、甲2発明において、周側壁の内側を周回して該周側壁の内壁面に付着した被処理物を掻き落とすスクレーパーを備え、かつ、被処理物に接する反応容器の周側壁の内壁面を冷却する冷却装置を更に備えるようにすることは、甲1、甲12、参1等に記載された技術に触れた当業者であっても、容易になし得たこととはいえない。 そして、本件訂正発明1は、その明細書(前記第3の2参照)の【0063】に「攪拌機52の公転により周側壁51sに付着した被処理物Xを掻き落とすスクレーパー53を備えているため、周側壁51sで冷却された被処理物Xを素早く脱離させて被処理物Xを順次周側壁51sで冷却させることができ、優れた冷却効率が発揮され得る。」と記載されるように、収束壁に付着した被処理物を掻き落とすスクレーパーと、周側壁を冷却する冷却装置の相乗効果により、優れた冷却効率を発揮するものであるが、このような効果は、甲2発明、甲1、甲12及び参1に記載された事項からみて、顕著なものである。 したがって、前記相違点1について検討するまでもなく、本件訂正発明1は、甲2発明及び甲1、甲12及び参1に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 イ 本件訂正発明2 本件訂正発明2は、本件訂正発明1の特定事項を全て含むものであるから、前記アと同じ理由により、本件訂正発明2も、甲2発明、甲1、甲12及び参1に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 ウ 本件訂正発明5 本件訂正発明5と甲2’発明を対比すると、甲2’発明の「焼却灰の処理装置を用いて焼却灰を処理する方法」は、本件訂正発明5の「炭酸化処理装置を用い、二酸化炭素によって固形物に炭酸化処理を施す炭酸化処理方法」に相当する。 また、前記アにおける本件訂正発明1の「炭酸化処理装置」と甲2発明の「焼却灰の処理装置」の相当関係も考慮すれば、両者の一致点及び相違点は、次のとおりである。 <一致点> 「炭酸化処理装置を用い、二酸化炭素によって固形物に炭酸化処理を施す炭酸化処理方法であって、 前記炭酸化処理装置は、前記固形物を含む被処理物が収容される収容空間を有する反応容器と、 上下方向に延びる軸周りに回転して前記収容空間に収容された前記被処理物を攪拌する少なくとも1つの攪拌機とを備え、 該反応容器が、前記収容空間の底面を画定する底壁と、前記収容空間の側面を画定する周側壁と、前記収容空間の天面を画定する天井壁とを有し、 前記攪拌機によって前記被処理物を攪拌して前記炭酸化処理を実施する炭酸化処理方法。」 <相違点3> 攪拌機の攪拌の詳細について、本件訂正発明5は「該攪拌機が、前記収容空間において遊星運動するように備えられ、該炭酸化処理装置には、前記攪拌機が、複数備えられ、該複数の前記攪拌機には、第1攪拌機と、第2攪拌機とが含まれており、前記第2攪拌機が前記第1攪拌機よりも高速回転可能で、」「前記第1攪拌機は、回転した際に前記被処理物を前記反応容器の底部からすくい上げて攪拌し得るように前記底壁に沿って移動する攪拌羽根を備え、前記第2攪拌機は、前記第1攪拌機ですくい上げられた前記被処理物に含まれている凝集塊を破砕し得るように前記第1攪拌機の前記攪拌羽根よりも上方で回転する攪拌羽根を有して」いるのに対し、甲2’発明は「該混合攪拌手段は、上下方向に配置された回転軸と、該回転軸に保持されており、該回転軸の回転に伴って該回転軸の周囲を公転する車輪と、該車輪を下方に付勢する付勢機構とを備える」ものである点。 <相違点4> 攪拌機の冷却について、本件訂正発明5は「前記周側壁の内側を周回して該周側壁の内壁面に付着した前記被処理物を掻き落とすスクレーパーを備え、前記被処理物に接する前記反応容器の前記周側壁の内壁面を冷却する冷却装置を更に備え」るのに対し、甲2’発明は、攪拌容器にスクレーパー及び冷却手段を備えたものではない点。 事案に鑑み、まず、前記相違点4について検討すると、前記アで検討したのと同様の理由により、甲2’発明において、周側壁の内側を周回して該周側壁の内壁面に付着した被処理物を掻き落とすスクレーパーを備え、かつ、被処理物に接する反応容器の周側壁の内壁面を冷却する冷却装置を更に備えるようにすることは、甲1、甲12、参1等に記載された技術に触れた当業者であっても、容易になし得たこととはいえないし、その効果についてみても、甲2発明、甲1、甲12及び参1に記載された事項からみて、顕著なものといえる。 したがって、前記相違点3について検討するまでもなく、本件訂正発明5は、甲2’発明、甲1、甲12及び参1に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 エ 本件訂正発明6~10 本件訂正発明6~10は、本件訂正発明5の特定事項を全て含むものであるから、前記ウと同じ理由により、本件訂正発明6~10も、甲2’発明、甲1、甲12及び参1記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (3)申立人の主張 申立人は、令和5年6月13日の意見書において、「特許権者は、甲第1号証と甲第2号証とのそれぞれにおいて、「冷却装置」と「スクレーパー」とが炭酸化処理装置において併用されることが開示されていないばかりでなく、そのようなことを示唆する記載もないと主張している。しかしながら、取消理由通知書では、冷却手段を設けることは当業者が容易になし得ることであり、スクレーパーも同時に採用することは当業者が容易になし得たことである、と既に認定されている。また、甲第1号証と甲第2号証とのそれぞれにおいて、「冷却装置」と「スクレーパー」との併用を排除する開示や示唆もなく、特定事項1、2は周知技術であるため、併用されることの開示や示唆がなくとも、特定事項1、2を併用することは当業者が容易になし得ることである。」と主張している。 しかしながら、前記したとおり、本件訂正発明は、収束壁に付着した被処理物を掻き落とすスクレーパーと、周側壁を冷却する冷却装置の相乗効果により、優れた冷却効率を発揮するものであるから、申立人の主張は採用できない。 (4)まとめ 以上より、本件訂正発明1、2、5~10は、甲2発明又は甲2’発明、並びに甲1、甲12及び参1記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、本件訂正後の請求項1、2、5~10に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものとはいえない。 4 申立理由1及び2(甲1を主引例とした新規性、進歩性)について (1)甲1に記載された発明 甲1(前記第4の4(1)参照)の【0005】には、「低コストでシンプルな構造ながら各攪拌羽根や剪断羽根の自転速度を個別に調整可能とし、材料の種類や性状、或いは用途等、広範囲で利用可能な攪拌装置」が、同【0001】には「パン型状の攪拌槽内に供給される各種材料を攪拌羽根や剪断羽根にて攪拌・混合処理する攪拌装置に関し、特に攪拌羽根や剪断羽根をそれぞれ自転させながら同時に攪拌槽中心部の駆動軸周囲を公転させて攪拌・混合処理を行う攪拌装置」が、同【0015】には「剪断羽根の自転速度を攪拌羽根よりも高速に調整でき、材料の効果的な剪断処理が可能となって、多用途に利用可能な使い勝手のよい攪拌装置」が記載され、同【0026】には「パン型状の攪拌槽3を備え、該攪拌槽3の上部開放部はカバー体4で覆っている」ことが記載され、同【0029】には「前記攪拌羽根9aは、」「攪拌槽3底部の材料を掻き上げながら効果的に攪拌処理可能」なことが記載され、同【0031】には「一方、剪断羽根9bは、」「上下方向に一定間隔にて固着して成しており、剪断ブレード14の回転によって材料を細かく剪断処理可能」なことが記載され、同【0037】には「攪拌槽3の内周壁に付着する材料を掻き取って攪拌槽3の中心側に掻き寄せるスクレーパ」「25」が記載されている。 また、甲1の【0026】、【図1】~【図3】を合わせ見れば、攪拌槽3は、円柱状の収容空間を有していることを見て取れる。 してみると、甲1には、次の発明が記載されている。 (甲1発明) 「低コストでシンプルな構造ながら各攪拌羽根や剪断羽根の自転速度を個別に調整可能とし、材料の種類や性状、或いは用途等、広範囲で利用可能な攪拌装置であって、 攪拌装置は、パン型状の攪拌槽内に供給される各種材料を攪拌羽根や剪断羽根にて攪拌・混合処理するものであり、特に攪拌羽根や剪断羽根をそれぞれ自転させながら同時に攪拌槽中心部の駆動軸周囲を公転させて攪拌・混合処理を行うものであり、 剪断羽根の自転速度を攪拌羽根よりも高速に調整でき、材料の効果的な剪断処理が可能であり、 パン型状の攪拌槽の上部開放部はカバー体で覆われた、円柱形状の収容空間を有しており、 攪拌羽根は、攪拌槽底部の材料を掻き上げながら効果的に攪拌処理可能であり、 剪断羽根は、上下方向に一定間隔にて固着して成しており、剪断ブレードの回転によって材料を細かく剪断処理可能であり、 攪拌槽の内周壁に付着する材料を掻き取って攪拌槽の中心側に掻き寄せるスクレーパを備えた攪拌装置」 (甲1’発明) 「低コストでシンプルな構造ながら各攪拌羽根や剪断羽根の自転速度を個別に調整可能とし、材料の種類や性状、或いは用途等、広範囲で利用可能な攪拌装置を用いた攪拌方法であって、 攪拌装置は、パン型状の攪拌槽内に供給される各種材料を攪拌羽根や剪断羽根にて攪拌・混合処理するものであり、特に攪拌羽根や剪断羽根をそれぞれ自転させながら同時に攪拌槽中心部の駆動軸周囲を公転させて攪拌・混合処理を行うものであり、 剪断羽根の自転速度を攪拌羽根よりも高速に調整でき、材料の効果的な剪断処理が可能であり、 パン型状の攪拌槽の上部開放部はカバー体で覆われた、円柱形状の収容空間を有しており、 攪拌羽根は、攪拌槽底部の材料を掻き上げながら効果的に攪拌処理可能であり、 剪断羽根は、上下方向に一定間隔にて固着して成しており、剪断ブレードの回転によって材料を細かく剪断処理可能であり、 攪拌槽の内周壁に付着する材料を掻き取って攪拌槽の中心側に掻き寄せるスクレーパを備えた攪拌装置を用いた攪拌方法」 (2)対比・判断 ア 本件訂正発明1 本件訂正発明1と甲1発明を対比すると、甲1発明の「攪拌装置」と本件訂正発明1の「炭酸化処理装置」とは、ともに「装置」である点で共通する。 甲1発明の「攪拌槽」と本件訂正発明1の「反応容器」とは、ともに「容器」である点で共通するから、甲1発明の「パン型状の攪拌槽内に供給される各種材料」、「パン型状の攪拌槽の上部開放部はカバー体で覆われた、円柱形状の収容空間を有しており」は、本件訂正発明1の「被処理物が収容される収容空間を有する容器と」、「前記容器が、円柱状の前記収容空間を有し、該容器が、前記収容空間の底面を画定する底壁と、前記収容空間の側面を画定する周側壁と、前記収容空間の天面を画定する天井壁とを有し」に相当する。 甲1発明の「攪拌装置は、パン型状の攪拌槽内に供給される各種材料を攪拌羽根や剪断羽根にて攪拌・混合処理するものであり、特に攪拌羽根や剪断羽根をそれぞれ自転させながら同時に攪拌槽中心部の駆動軸周囲を公転させて攪拌・混合処理を行うものであり、剪断羽根の自転速度を攪拌羽根よりも高速に調整でき、材料の効果的な剪断処理が可能であり」、「攪拌羽根は、攪拌槽底部の材料を掻き上げながら効果的に攪拌処理可能であり、剪断羽根は、上下方向に一定間隔にて固着して成しており、剪断ブレードの回転によって材料を細かく剪断処理可能であり」は、本件訂正発明1の「上下方向に延びる軸周りに回転して前記収容空間に収容された前記被処理物を攪拌する少なくとも1つの攪拌機とを備え、該攪拌機が、前記被処理物の攪拌に際して前記収容空間において遊星運動するように備えられ、前記攪拌機が、複数備えられ、該複数の前記攪拌機には、第1攪拌機と、第2攪拌機とが含まれており、前記第2攪拌機が前記第1攪拌機よりも高速回転可能で」、「前記第1攪拌機は、回転した際に前記被処理物を前記容器の底部からすくい上げて攪拌し得るように前記底壁に沿って移動する攪拌羽根を備え、前記第2攪拌機は、前記第1攪拌機ですくい上げられた前記被処理物に含まれている凝集塊を破砕し得るように前記第1攪拌機の前記攪拌羽根よりも上方で回転する攪拌羽根を有しており」に相当する。 甲1発明の「攪拌槽の内周壁に付着する材料を掻き取って攪拌槽の中心側に掻き寄せるスクレーパ」は、本件訂正発明1の「前記周側壁の内側を周回して該周側壁の内壁面に付着した前記被処理物を掻き落とすスクレーパー」に相当する。 してみると、両者の一致点及び相違点は次のとおりである。 <一致点> 「被処理物が収容される収容空間を有する容器と、 上下方向に延びる軸周りに回転して前記収容空間に収容された前記被処理物を攪拌する少なくとも1つの攪拌機とを備え、 該攪拌機が、前記被処理物の攪拌に際して前記収容空間において遊星運動するように備えられ、 前記攪拌機が、複数備えられ、 該複数の前記攪拌機には、第1攪拌機と、第2攪拌機とが含まれており、 前記第2攪拌機が前記第1攪拌機よりも高速回転可能で、 前記容器が、円柱状の前記収容空間を有し、 該容器が、前記収容空間の底面を画定する底壁と、前記収容空間の側面を画定する周側壁と、前記収容空間の天面を画定する天井壁とを有し、 前記第1攪拌機は、回転した際に前記被処理物を前記容器の底部からすくい上げて攪拌し得るように前記底壁に沿って移動する攪拌羽根を備え、 前記第2攪拌機は、前記第1攪拌機ですくい上げられた前記被処理物に含まれている凝集塊を破砕し得るように前記第1攪拌機の前記攪拌羽根よりも上方で回転する攪拌羽根を有しており、 前記周側壁の内側を周回して該周側壁の内壁面に付着した前記被処理物を掻き落とすスクレーパーを備えている装置。」 <相違点5> 本件訂正発明1は、「炭酸化処理される固形物を含む被処理物を攪拌しつつ二酸化炭素と接触させて前記固形物に炭酸化処理を施すための炭酸化処理装置」であって、「前記被処理物に接する前記反応容器の前記周側壁の内壁面を冷却する冷却装置が更に備えられている」のに対し、甲1発明は、単なる「攪拌装置」であって、容器は反応容器ではなく、冷却装置を備えるものでもない点。 相違点5について検討する。 甲1発明の「攪拌装置」は、「材料の種類や性状、或いは用途等、広範囲で利用可能な攪拌装置」であるが、特に、炭酸化処理装置の攪拌装置として用いられるものではなく、また、容器が反応容器であることや、容器の周側壁の内壁面を冷却する冷却装置を備えることについては、記載も示唆もないものである。 この点について、甲2(前記第4の4(2)参照)の【0011】には、「焼却灰の処理装置のケーシング内に焼却灰を供給し、該ケーシング内に炭酸ガスを通気しながら焼却灰を混合攪拌するものであり、炭酸ガス通気中の焼却灰を効率的に混合攪拌することにより、良好な処理効果を得ることができる。炭酸ガスの通気前又は通気中に水を添加してもよく、これにより炭酸化反応を促進できる」と記載され、焼却灰の炭酸化処理について記載されているものの、攪拌手段の具体的な構成は本件訂正発明1の構成とは異なるものであり、また、攪拌容器にスクレーパー及び冷却装置の両方を備えたものではない。 また、甲11(前記第4の4(11)参照)の【0035】にも「攪拌翼付きの回転軸5を低速で回転させ、ケーシング3内の飛灰全体を攪拌しながら剪断分散羽根13付きの高速回転軸14を高速で回転させて飛灰を剪断分散させるので、ケーシング3内の飛灰が水溶液と効率良く混合攪拌されると共に、炭酸ガス含有ガスと効率良く接触」し、「きわめて効率良く飛灰処理を行うことができる」「アルカリ飛灰処理装置」が記載され、飛灰の炭酸化処理についての記載があるものの、攪拌手段の具体的な構成は本件訂正発明1の構成とは異なるものであり、また、攪拌容器にスクレーパー及び冷却装置を備えたものではない。 また、甲14(前記第4の4(14)参照)の【0001】及び【0029】には、「鉄鋼スラグを天然砕石、骨材等の土木材料、建築材料等の代替品をはじめとして、海域環境を修復する資材等として利用した際に、鉄鋼スラグから高アルカリ水や白濁水が溶出するのを抑制したり、これに加えて、更に鉄鋼スラグの膨張を防ぐことができる鉄鋼スラグの処理装置」において「排気配管のバルブを閉めて、圧力容器内を0.1MPa以上2.0MPa以下、好ましくは0.4MPa以上2.0MPa以下のCO2含有ガス雰囲気にして、スラグの炭酸化を行うことができる(炭酸化工程)」と記載され、鉄鋼スラグの炭酸化処理についての記載があるものの、攪拌手段を備えるかどうかは不明であり、また、攪拌容器にスクレーパー及び冷却装置を備えたものではない。 また、甲17(前記第4の4(17)参照)の【0012】には、「ゴミ焼却炉から排出された排ガスを冷却するガス冷却部と、前記ガス冷却部を通過した前記排ガス中の二酸化炭素を濃縮し、前記排ガスよりも高濃度の二酸化炭素を含む二酸化炭素濃縮ガスを生成するガス分離部とを備え、前記ガス分離部にて生成された前記二酸化炭素濃縮ガスが、前記ゴミ焼却炉から排出された灰を処理する灰処理部へと導かれ、前記灰処理部における前記灰の処理に利用される」「ゴミ焼却施設の排ガスを処理する排ガス処理装置」が記載され、同【0044】には「ガス圧縮部45では、二酸化炭素濃縮ガスが圧縮されることにより、二酸化炭素濃縮ガス中の水分が凝縮する。凝縮した水は、ドレン水として排ガス処理装置4の外部へと排出され」、「当該ドレン水は、例えば、冷却塔22に供給され、冷却塔22における排ガスの冷却に利用される。」と記載されており、飛灰の炭酸化処理についての記載があるものの、攪拌手段の具体的な構成は本件訂正発明1の構成とは異なるものであり、また、攪拌容器にスクレーパー及び冷却装置を備えたものではない。 そうすると、甲2、甲11、甲14及び甲17に記載されるような炭酸化処理装置が知られていたとしても、甲1発明の「攪拌装置」を炭酸化処理に用いることには動機付けがないから、甲1発明の「攪拌装置」を炭酸化処理に用いることは、当業者が容易になし得たこととはいえない。 また、仮に甲1発明の「攪拌装置」を、甲2、甲11、甲14及び甲17に記載される事項に基づいて炭酸化処理に用いたとしても、攪拌容器に冷却装置を設けたものとはならないから、本件訂正発明1は、甲1発明、甲2、甲11、甲14及び甲17に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 さらに、甲3の6頁7行~7頁2行(前記第4の4(3)イ参照)、甲4の[0009](前記第4の4(4)イ参照)、甲5の4頁31行~5頁20行(前記第4の4(5)ウ参照)、甲6(前記第4の4(6)参照)の【0007】、甲7(前記第4の4(7)参照)の【0010】、甲8(前記第4の4(8)参照)の【0026】及び甲9(前記第4の4(9)参照)の【0025】には、収容空間において遊星運動するような第1攪拌機と第2攪拌機を備えた攪拌機が記載され、甲10の3頁9~20行(前記第4の4(10)ア参照)、甲13の11頁17~19行(前記第4の4(13)参照)には、収容空間に第1攪拌機と第2攪拌機を備えた攪拌機が記載されているが、これらは、甲1発明と類似の技術を示すに留まり、前記相違点3の容易性を否定する証拠とはならない。 加えて、甲15(前記第4の4(15)参照)の【0017】には「竪型溶融炉内の炉頂ガス流速を制御する手段及び排ガス中のダスト濃度を計測する手段を設け」たことが記載され、甲16(前記第4の4(16)参照)の【0012】には「炉内での排ガスの流速を抑えて排気口7からの焼却灰の放散を防止すること」が記載されているものの、前記相違点3の容易性を否定する証拠とはならない。 また、参1(前記第4の4(18)参照)の【0017】には、「放射性廃棄物を含有する焼却灰は、まず、攪拌工程において、所定量の添加水、すなわち放射性廃液を含む添加水とともに混練機10に投入され、冷却しつつ攪拌される(S1)。攪拌工程における冷却は、混練機10の周囲に配置される、例えば冷却ジャケットなどの冷却手段19により、一定温度に保持される。」「この攪拌工程において、放射性廃棄物を含有する焼却灰に含まれる、吸水により発熱する成分(吸水加熱性成分)、例えば主に酸化カルシウム(CaO)を」「水と反応しない水酸化カルシウム(Ca(OH)2)として安定化させると共に、このときに発生する反応熱による、セメント系固型化材料との混練後の悪影響、例えばセメント系固型化材料との混練において、発熱により急激に粘性を失うことを、抑制でき、良好に固定化できる。」と記載され、焼却灰の反応熱を冷却ジャケットなどの冷却手段19で冷却することが記載されているものの、炭酸化処理については記載も示唆もなく、攪拌手段の具体的な構成は本件訂正発明1の構成とは異なるものであり、攪拌容器にスクレーパーを備えたものではない。 そうすると、参1に記載されるような反応容器の冷却手段が知られていたとしても、甲1発明の「攪拌装置」に適用する動機付けはないし、仮に参1に記載されるような反応容器の冷却手段に係る技術を甲1発明の「攪拌装置」に適用したとしても、甲1発明は炭酸化処理とは無関係であり、また、参1には炭酸化処理について記載も示唆もないことから、甲1発明の「攪拌装置」が炭酸化処理装置になることはないから、本件訂正発明1は、甲1発明及び参1に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 そして、本件訂正発明1は、その明細書(前記第3の2参照)の【0063】に「攪拌機52の公転により周側壁51sに付着した被処理物Xを掻き落とすスクレーパー53を備えているため、周側壁51sで冷却された被処理物Xを素早く脱離させて被処理物Xを順次周側壁51sで冷却させることができ、優れた冷却効率が発揮され得る。」と記載されるように、収束壁に付着した被処理物を掻き落とすスクレーパーと、周側壁を冷却する冷却装置の相乗効果により、優れた冷却効率を発揮するものであるが、このような効果は、甲1発明、甲2~甲17及び参1に記載された事項からみて、顕著なものである。 したがって、本件訂正発明1は、甲1発明、甲2~甲17及び参1に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 イ 本件訂正発明2 本件訂正発明2は、本件訂正発明1の特定事項を全て含むものであるから、前記アと同じ理由により、本件訂正発明2も、甲1発明、甲2~甲17及び参1に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 ウ 本件訂正発明5 本件訂正発明5と甲1’発明を対比すると、甲1’発明の「攪拌装置」と本件訂正発明5の「炭酸化処理装置」とは、ともに「装置」である点で共通する。 また、甲1’発明の「攪拌槽」と本件訂正発明5の「反応容器」とは、ともに「容器」である点で共通する。 また、前記アにおける本件訂正発明1の「炭酸化処理装置」と甲1発明の「攪拌装置」の相当関係も考慮すれば、両者の一致点及び相違点は、次のとおりである。 <一致点> 「装置は、固形物を含む被処理物が収容される収容空間を有する容器と、 上下方向に延びる軸周りに回転して前記収容空間に収容された前記被処理物を攪拌する少なくとも1つの攪拌機とを備え、 該攪拌機が、前記収容空間において遊星運動するように備えられており、 該装置には、前記攪拌機が、複数備えられ、 該複数の前記攪拌機には、第1攪拌機と、第2攪拌機とが含まれており、 前記第2攪拌機が前記第1攪拌機よりも高速回転可能で、 前記容器が、円柱状の前記収容空間を有し、 該容器が、前記収容空間の底面を画定する底壁と、前記収容空間の側面を画定する周側壁と、前記収容空間の天面を画定する天井壁とを有し、 前記第1攪拌機は、回転した際に前記被処理物を前記容器の底部からすくい上げて攪拌し得るように前記底壁に沿って移動する攪拌羽根を備え、 前記第2攪拌機は、前記第1攪拌機ですくい上げられた前記被処理物に含まれている凝集塊を破砕し得るように前記第1攪拌機の前記攪拌羽根よりも上方で回転する攪拌羽根を有しており、 前記周側壁の内側を周回して該周側壁の内壁面に付着した前記被処理物を掻き落とすスクレーパーを備え、 前記複数の攪拌機によって前記被処理物を攪拌する方法。」 <相違点6> 本件訂正発明5は、装置が「炭酸化処理装置」であり、容器が「反応容器」であり、方法が「炭酸化処理装置を用い、二酸化炭素によって固形物に炭酸化処理を施す炭酸化処理方法」であり、「被処理物に接する前記反応容器の前記周側壁の内壁面を冷却する冷却装置が更に備えられている」のに対し、甲1’発明は、装置が、冷却装置を備えていない「攪拌装置」であり、「炭酸化処理方法」とは無関係な装置である点。 前記相違点6について検討すると、前記アで検討したのと同様の理由により、甲1’発明の「攪拌装置」を、炭酸化処理方法に用いることには動機付けがなく、仮に甲1’発明の「攪拌装置」を炭酸化処理方法に用いたとしても、さらに、攪拌容器に冷却装置を設けることは、当業者が容易になし得たことではない。 してみると、本件訂正発明5は、甲1’発明、甲2~甲17及び参1に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 エ 本件訂正発明6~10 本件訂正発明6~10は、本件訂正発明5の特定事項を全て含むものであるから、前記ウと同じ理由により、本件訂正発明6~10も、甲1’発明、甲2~甲17及び参1に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (3)まとめ 以上より、本件訂正発明1、2、5~10は、甲1発明又は甲1’発明、並びに甲2~甲17及び参1に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、本件訂正後の請求項1、2、5~10に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものとはいえない。 4 申立理由3(サポート要件)について (1)判断手法 特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第1号に規定する、いわゆるサポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らして当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである。そこで、以下、この観点に沿って検討を進める。 (2)発明の課題 本件訂正発明の解決しようとする課題は、本件特許の明細書(前記第3の2参照。)に記載されたすべての事項からみて、「効率良く炭酸化処理が可能な炭酸化処理装置と炭酸化処理方法とを提供すること」(前記第3の2の【0007】参照。)である。 (3)明細書の記載及び判断 本件特許の明細書(前記第3の2参照。)の【0005】~【0007】には、「横置きにされた円筒状の反応容器の中心を通る回転軸に攪拌羽根を装着した攪拌機」の問題点と、「上下方向に延びる回転軸に攪拌羽根を装着した攪拌機を用い攪拌羽根を横回転させて炭酸化処理を行う」場合に「単に攪拌羽根を横回転させるだけでは十分な攪拌が行われ難い」という問題点が記載されており、本件訂正発明では、特に後者について、「上下方向に延びる軸周りに回転して前記収容空間に収容された前記被処理物を攪拌する少なくとも1つの攪拌機とを備え、該攪拌機が、前記被処理物の攪拌に際して前記収容空間において遊星運動するように備えられ、前記攪拌機が、複数備えられ、該複数の前記攪拌機には、第1攪拌機と、第2攪拌機とが含まれており、前記第2攪拌機が前記第1攪拌機よりも高速回転可能で」、「前記第1攪拌機は、回転した際に前記被処理物を前記反応容器の底部からすくい上げて攪拌し得るように前記底壁に沿って移動する攪拌羽根を備え、前記第2攪拌機は、前記第1攪拌機ですくい上げられた前記被処理物に含まれている凝集塊を破砕し得るように前記第1攪拌機の前記攪拌羽根よりも上方で回転する攪拌羽根を有しており」との構成を備えることにより、結果として、【0087】記載されるように、「本発明での炭酸化処理装置や炭酸化処理方法では効率良く炭酸化処理を行うことができた。」というものである。 これらの記載によれば、本件訂正発明の「炭酸化処理装置」ないしは「炭酸化処理方法」は、前記(2)の「効率良く炭酸化処理が可能な炭酸化処理装置と炭酸化処理方法とを提供すること」との課題を解決できることを、当業者であれば認識できるものといえる。 (4)申立人の主張 申立人は、本件特許発明1、5の「第2攪拌機の回転速度が第1攪拌機の回転速度より高速である」との記載について、「本件特許発明1、5は、第1攪拌機の回転が停止しているものも含み得るが、本件特許明細書では、第1攪拌機が回転している場合のみが記載されている。」及び「本件特許発明1、5は、各攪拌機の公転の回転速度の場合も含み得るが、本件特許明細書では、各攪拌機の自転速度の場合のみが記載されている。」と主張する。 しかしながら、前記「第1攪拌機の回転が停止している場合」との主張について、本件訂正発明は、前記したとおり「該攪拌機が、前記被処理物の攪拌に際して前記収容空間において遊星運動するように備えられ」ているものであって、第1攪拌機と第2攪拌機公転及び自転の両方を行うものであるから、申立人の主張するような「第1攪拌機の回転が停止している場合」を含む発明ではない。 また、前記「各攪拌機の公転の回転速度の場合」との主張について、前記「2 申立理由4(明確性)について」で検討したとおり、本件訂正発明の第1攪拌機及び第2攪拌機の公転の速度は同じであるから、第2攪拌機が第1攪拌機よりも公転速度が高いものは、そもそも本件訂正発明に含まれない。 そうすると、申立人の主張は、いずれも採用できない。 (5)まとめ 以上より、本件訂正発明に係る特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たさないものとはいえない。 第7 むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載された特許異議申立ての理由によっては、本件訂正後の請求項1、2、5~10に係る特許を取り消すことはできない。 また、他にこれらの特許を取り消すべき理由を発見しない。 そして、請求項3及び4は、本件訂正により削除され、当該請求項に係る特許異議の申立ては、その対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。 よって、結論のとおり決定する。

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2022-700986

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