特許異議申立
2023-700472
パラレルリンク機構およびリンク作動装置
- 審判番号
- 2023-700472
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2019-054806
- 登録番号
- 7177736
- 請求日
- 2023年05月08日
- 審決日
- 2025年07月30日
- 公報発行日
- 2025年11月28日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】NTN株式会社
- 【権利者代理人】弁理士法人深見特許事務所
- 【異議申立人】家田 亘久
- 審判長/審判官
- 審判長 小川 恭司
- 審判官 石井 孝明
- 審判官 山田 由希子
- 分類
- P1651.113-YAA(F16H) / P1651.121-YAA(F16H) / P1651.537-YAA(F16H)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法120条の8第1項特許法135条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第7項、特許法第126条第7項、特許法第120条の5第4項、特許法第120条の5第2項、特許法第126条第5項、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第1項、特許法第36条第6項第1号、特許法第120条の8第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7177736号発明「パラレルリンク機構およびリンク作動装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7177736号の明細書、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~10〕、〔11~15〕、16、17について訂正することを認める。
特許第7177736号の請求項1、3~5、7~17に係る特許を維持する。
特許第7177736号の請求項2、6に対する特許を異議の申立てを却下する。
理由
理 由
第1 手続の経緯の概略
1 手続の経緯
特許第7177736号の請求項1~15に係る特許(以下、「本件特許」という。)についての出願は、平成31年3月22日の出願であって、令和4年11月15日に特許権の設定登録がされ、令和4年11月24日に特許掲載公報が発行された。
その後、本件特許について、特許異議申立人家田亘久(以下「申立人」という。)により特許異議の申立てがされた。
本件特許異議の申立ての経緯は、概ね、次のとおりである。
令和5年 5月 8日 特許異議の申立て
令和5年 6月13日 申立人による特許異議申立書を補正する手続補正書の提出
令和5年 9月22日付け 取消理由通知書
令和5年11月27日 特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
令和6年 1月18日 申立人による意見書の提出
令和6年 3月27日付け 取消理由通知書(決定の予告)
令和6年 5月30日 特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
令和6年 9月25日 申立人による意見書の提出
令和6年12月20日付け 訂正拒絶理由通知書
令和7年 1月22日 特許権者による意見書及び訂正請求書を補正する手続補正書の提出
令和7年 3月10日付け 取消理由通知書(決定の予告)
令和7年 3月31日 特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
令和7年 5月15日 申立人による意見書の提出
以下、令和7年3月31日に提出された訂正請求書に係る訂正を「本件訂正」という。なお、令和5年11月27日及び令和6年5月30日に提出された訂正請求書による訂正の請求は、取り下げられたものとみなす(特許法第120条の5第7項)。
また、以下、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲、又は図面を「本件明細書等」という。
2 証拠
特許異議申立書に記載されている証拠は以下のとおりである。
甲第1号証:Andrea Bulgarelli, Giorgio Toscana, Ludovico Orlando Russo, Giuseppe Airo Farulla, Marco Indaco and Basilio Bona, “A Low-cost Open Source 3D-Printable Dexterous Anthropomorphic Robotic Hand with a Parallel Spherical Joint Wrist for Sign Languages Reproduction”, International Journal of Advanced Robotic Systems, 2016年5月
甲第2号証:Bassem Sudki, Michel Lauria, Flavio Noca, “Marine Propulsor based on a Three-Degree-of-Freedom Actuated Spherical Joint”, Third International Symposium on Marine Propulsors smp ’13, 2013年5月
甲第3号証:磯部浩,西尾幸宏,曽根啓助,山田裕之,藤川芳夫、“パラレルリンク型高速角度制御装置”、2013 年度精密工学会春季大会学術講演会講演論文集、平成25年2月出版
甲第4号証:特開2015-194207号公報
甲第5号証:特開2018-194056号公報
甲第6号証:E. Cavallo, R.C. Michelini, PMAR Lab. - DIMEC, Universita di Genova, “A ROBOTIC EQUIPMENT FOR THE GUIDANCE OF A VECTORED THRUSTOR AUV”, 35th International Symposium on Robotics ISR 2004, 2004年3月
甲第7号証:国際公開第2011/145499号
甲第8号証:Marc Simnofske, Shivesh Kumar, Bertold Bongardt, Frank Kirchner, “Active Ankle - an Almost-Spherical Parallel Mechanism”, International Symposium on Robotics (ISR) 2016, 2016年9月
甲第9号証:Sylvie Leguay-Durand, Caude Reboulet, “Optimal design of a redundant spherical parallel manipulator”, Robotica(1997), volume 15, Issue 4, 1997年7月
甲第10号証:中国実用新案第201364233号明細書
甲第11号証:特開2018-168885号公報
甲第12号証:特表2013-517951号公報
以下、甲第1号証~甲第12号証を、それぞれ「甲1」~「甲12」という。
また、令和6年1月18日提出の意見書には、周知技術を示す文献として、特開2018-168877号公報、特開2013-096547号公報、及び、特開2012-0663237号公報が挙げられており、令和7年5月15日提出の意見書には、公知技術が記載されている文献として中国特許出願公開第107932480号明細書が挙げられている。これらの文献については、職権で内容を確認した。
ここで、特開2012-0663237号公報が実在しないところ、令和6年1月18日提出の意見書の記載内容から、「特開2012-0663237号公報」は「特開2012-066323号公報」の誤記であると認める。
以下、特開2018-168877号公報を「参考1」といい、特開2013-096547号公報を「参考2」といい、特開2012-066323号公報を「参考3」といい、中国特許出願公開第107932480号明細書を「参考4」という。
第2 本件訂正の適否
1 本件訂正の内容
本件訂正の請求は、特許第7177736号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~17について訂正することを求めるものであって、その訂正の内容は次のとおりである(下線は訂正箇所を示す。)。
(1)訂正事項1
本件訂正前の特許請求の範囲の請求項1に
「基端側リンクハブと、
3つ以上のリンク機構と、
前記3つ以上のリンク機構のうちの少なくとも1つのリンク機構と接続された1つ以上の回転体と、
先端側リンクハブとを備え、
前記1つ以上の回転体は、前記基端側リンクハブと回転自在に連結され、
前記3つ以上のリンク機構のそれぞれは、
第1リンク部材と、
前記第1リンク部材に第1回転対偶部において回転可能に接続された第2リンク部材とを含み、
前記第2リンク部材は、前記先端側リンクハブに第2回転対偶部において回転可能に接続され、
前記少なくとも1つのリンク機構の前記第1リンク部材は、前記1つ以上の回転体に固定されており、
前記3つ以上のリンク機構において、前記第1回転対偶部の第1中心軸と、前記第2回転対偶部の第2中心軸とは球面リンク中心点で交わり、
前記1つ以上の回転体の回転中心軸は前記球面リンク中心点と交わる、パラレルリンク機構。」
と記載されているのを、
「基端側リンクハブと、
3つ以上のリンク機構と、
前記3つ以上のリンク機構のそれぞれと接続された3つ以上の回転体と、
先端側リンクハブとを備え、
前記3つ以上の回転体は、それぞれの回転中心軸が一致するように並んで配置された状態で前記基端側リンクハブと回転自在に連結され、
前記3つ以上のリンク機構のそれぞれは、
第1リンク部材と、
前記第1リンク部材に第1回転対偶部において回転可能に接続された第2リンク部材とを含み、
前記第2リンク部材は、前記先端側リンクハブに第2回転対偶部において回転可能に接続され、
前記3つ以上のリンク機構のそれぞれの前記第1リンク部材は、前記3つ以上の回転体のうちの1つに固定されており、
前記3つ以上のリンク機構において、前記第1回転対偶部の第1中心軸と、前記第2回転対偶部の第2中心軸とは球面リンク中心点で交わり、
前記3つ以上の回転体の前記回転中心軸は前記球面リンク中心点と交わり、
前記3つ以上の回転体は、環状に設けられており、
前記3つ以上の回転体の内径は、互いに異なるように設けられており、
前記3つ以上の回転体は、それぞれの前記回転中心軸が一致するように、前記回転中心軸に対する径方向において並んで配置されている、パラレルリンク機構。」
に訂正する。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2を削除する。
(3)訂正事項3
本件訂正前の特許請求の範囲の請求項3に
「前記3つ以上の回転体は、それぞれの前記回転中心軸が一致するように積層されている、請求項2に記載のパラレルリンク機構。」
と記載されているのを、
「基端側リンクハブと、
3つ以上のリンク機構と、
前記3つ以上のリンク機構のそれぞれと接続された3つ以上の回転体と、
先端側リンクハブとを備え、
前記3つ以上の回転体の少なくともいずれか1つには、軸受が設置されており、
前記基端側リンクハブと前記3つ以上の回転体の少なくともいずれか1つの前記軸受の内輪とに通されているボルトと、前記ボルトの先端部に固定されたナットとをさらに備え、
前記3つ以上の回転体は、それぞれの回転中心軸が一致するように積層された状態で前記ボルトと前記ナットとにより前記基端側リンクハブと回転自在に連結され、
前記3つ以上のリンク機構のそれぞれは、
第1リンク部材と、
前記第1リンク部材に第1回転対偶部において回転可能に接続された第2リンク部材とを含み、
前記第2リンク部材は、前記先端側リンクハブに第2回転対偶部において回転可能に接続され、
前記3つ以上のリンク機構のそれぞれの前記第1リンク部材は、前記3つ以上の回転体のうちの1つに固定されており、
前記3つ以上のリンク機構において、前記第1回転対偶部の第1中心軸と、前記第2回転対偶部の第2中心軸とは球面リンク中心点で交わり、
前記3つ以上の回転体の前記回転中心軸は前記球面リンク中心点と交わり、
前記3つ以上の回転体の少なくともいずれか1つの前記軸受の外輪は、前記3つ以上の回転体の少なくともいずれか1つの内周面に接触するように配置されており、
前記3つ以上の回転体の少なくともいずれか1つの内周面において、前記基端側リンクハブ側の端部には、前記軸受の前記外輪を支持するための突起部が形成されており、
前記3つ以上の回転体の少なくともいずれか1つの前記基端側リンクハブに面する側と反対側の上面上には、押さえ部材が配置されており、
前記3つ以上の回転体の少なくともいずれか1つにおいて、前記押さえ部材は前記軸受の前記外輪を前記突起部側に向けて押圧するように、前記3つ以上の回転体の少なくともいずれか1つに固定されており、
前記3つ以上の回転体の少なくともいずれか1つの前記軸受の前記内輪は、前記ボルトの頭部と前記基端側リンクハブとの間で固定されており、
前記3つ以上の回転体の少なくともいずれか1つの前記軸受には、予圧が付与されている、パラレルリンク機構。」
に訂正する。
(4)訂正事項4
本件訂正前の特許請求の範囲の請求項4に
「前記3つ以上の回転体には、前記回転中心軸の周りを囲むように環状の貫通孔が形成され、
前記3つ以上の回転体は、第1回転体と、前記第1回転体から見て前記基端側リンクハブが位置する側に配置された第2回転体とを含み、
前記第2回転体に接続された前記第1リンク部材は、前記第1回転体の前記貫通孔の内部を通り前記先端側リンクハブ側に延びている、請求項3に記載のパラレルリンク機構。」
と記載されているのを、
「前記3つ以上の回転体には、前記回転中心軸の周りを囲むように環状の貫通孔が形成され、
前記3つ以上の回転体の各々は、前記貫通孔の内周側と外周側とを接続する接続部を含み、
前記3つ以上のリンク機構のそれぞれの前記第1リンク部材は、前記3つ以上の回転体のそれぞれの前記接続部に固定されており、
前記3つ以上の回転体は、第1回転体と、前記第1回転体から見て前記基端側リンクハブが位置する側に配置された第2回転体とを含み、
前記第2回転体の前記接続部に固定された前記第1リンク部材は、前記第1回転体の前記貫通孔の内部を通り前記先端側リンクハブ側に延びている、請求項3に記載のパラレルリンク機構。」
に訂正する。
(5)訂正事項5
本件訂正前の特許請求の範囲の請求項5に
「前記第1回転対偶部および前記第2回転対偶部の少なくともいずれか1つは軸受を含む、請求項3または請求項4に記載のパラレルリンク機構。」
と記載されているのを、
「前記第1回転対偶部および前記第2回転対偶部の少なくともいずれか1つは軸受を含み、前記3つ以上のリンク機構のそれぞれの前記第1リンク部材は、前記3つ以上の回転体のうちの1つにネジによって固定されている、請求項3または請求項4に記載のパラレルリンク機構。」
に訂正する。
(6)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項6を削除する。
(7)訂正事項7
本件訂正前の特許請求の範囲の請求項7に
「請求項1~請求項6のいずれか1項に記載のパラレルリンク機構と、
前記1つ以上の回転体を回転させ、前記基端側リンクハブに対する前記先端側リンクハブの姿勢を任意に変更する姿勢制御用駆動源とを備える、リンク作動装置。」
と記載されているのを、
「請求項1、請求項3~請求項5のいずれか1項に記載のパラレルリンク機構と、
前記3つ以上の回転体のうちの少なくとも3つの回転体を回転させ、前記基端側リンクハブに対する前記先端側リンクハブの姿勢を任意に変更する姿勢制御用駆動源とを備える、リンク作動装置。」
に訂正する。
(8)訂正事項8
本件訂正前の特許請求の範囲の請求項8に
「前記1つ以上の回転体と前記姿勢制御用駆動源とが機械的に接続されている、請求項7に記載のリンク作動装置。」
と記載されているのを、
「前記3つの回転体と前記姿勢制御用駆動源とが機械的に接続されている、請求項7に記載のリンク作動装置。」
に訂正する。
(9)訂正事項9
本件訂正前の特許請求の範囲の請求項9に
「前記1つ以上の回転体に接続された回転伝達部材を備え、
前記姿勢制御用駆動源は、前記回転伝達部材を介して前記1つ以上の回転体を回転させる、請求項8に記載のリンク作動装置。」
と記載されているのを、
「前記3つの回転体に接続された回転伝達部材を備え、
前記姿勢制御用駆動源は、前記回転伝達部材を介して前記3つの回転体を回転させる、請求項8に記載のリンク作動装置。」
に訂正する。
(10)訂正事項10
本件訂正前の特許請求の範囲の請求項10に
「前記1つ以上の回転体は、回転伝達部を含み、
前記姿勢制御用駆動源は、前記回転伝達部を介して前記1つ以上の回転体を回転させる、請求項8に記載のリンク作動装置。」
と記載されているのを、
「前記3つの回転体は、回転伝達部を含み、
前記姿勢制御用駆動源は、前記回転伝達部を介して前記3つの回転体を回転させる、請求項8に記載のリンク作動装置。」
に訂正する。
(11)訂正事項11
本件訂正前の特許請求の範囲の請求項11に
「前記1つ以上の回転体と前記姿勢制御用駆動源とが磁気的に接続されている、請求項7に記載のリンク作動装置。」
と記載されているのを、
「パラレルリンク機構と、姿勢制御用駆動源とを備え、
前記パラレルリンク機構は、
基端側リンクハブと、
3つ以上のリンク機構と、
前記3つ以上のリンク機構のうちの少なくとも1つのリンク機構と接続された1つ以上の回転体と、
先端側リンクハブとを備え、
前記1つ以上の回転体は、前記基端側リンクハブと回転自在に連結され、
前記3つ以上のリンク機構のそれぞれは、
第1リンク部材と、
前記第1リンク部材に第1回転対偶部において回転可能に接続された第2リンク部材とを含み、
前記第2リンク部材は、前記先端側リンクハブに第2回転対偶部において回転可能に接続され、
前記少なくとも1つのリンク機構の前記第1リンク部材は、前記1つ以上の回転体に固定されており、
前記3つ以上のリンク機構において、前記第1回転対偶部の第1中心軸と、前記第2回転対偶部の第2中心軸とは球面リンク中心点で交わり、
前記1つ以上の回転体の回転中心軸は前記球面リンク中心点と交わり、
前記姿勢制御用駆動源は、前記1つ以上の回転体を回転させ、前記基端側リンクハブに対する前記先端側リンクハブの姿勢を任意に変更し、
前記1つ以上の回転体と前記姿勢制御用駆動源とが磁気的に接続されている、リンク作動装置。」
に訂正する。
(12)訂正事項12
本件訂正前の特許請求の範囲の請求項12に
「前記1つ以上の回転体は、磁石を含み、
前記姿勢制御用駆動源は、前記回転中心軸に対する径方向において前記磁石と対向して配置されたコイルを含む、請求項7に記載のリンク作動装置。」
と記載されているのを、
「パラレルリンク機構と、姿勢制御用駆動源とを備え、
前記パラレルリンク機構は、
基端側リンクハブと、
3つ以上のリンク機構と、
前記3つ以上のリンク機構のうちの少なくとも1つのリンク機構と接続された1つ以上の回転体と、
先端側リンクハブとを備え、
前記1つ以上の回転体は、前記基端側リンクハブと回転自在に連結され、
前記3つ以上のリンク機構のそれぞれは、
第1リンク部材と、
前記第1リンク部材に第1回転対偶部において回転可能に接続された第2リンク部材とを含み、
前記第2リンク部材は、前記先端側リンクハブに第2回転対偶部において回転可能に接続され、
前記少なくとも1つのリンク機構の前記第1リンク部材は、前記1つ以上の回転体に固定されており、
前記3つ以上のリンク機構において、前記第1回転対偶部の第1中心軸と、前記第2回転対偶部の第2中心軸とは球面リンク中心点で交わり、
前記1つ以上の回転体の回転中心軸は前記球面リンク中心点と交わり、
前記姿勢制御用駆動源は、前記1つ以上の回転体を回転させ、前記基端側リンクハブに対する前記先端側リンクハブの姿勢を任意に変更し、
前記1つ以上の回転体は、磁石を含み、
前記姿勢制御用駆動源は、前記回転中心軸に対する径方向において前記磁石と対向して配置されたコイルを含む、リンク作動装置。」
に訂正する。
(13)訂正事項13
本件訂正前の特許請求の範囲の請求項13に
「前記1つ以上の回転体は、3つの回転体であり、
前記姿勢制御用駆動源は、前記3つの回転体を回転させる、請求項7~請求項12のいずれか1項に記載のリンク作動装置。」
と記載されているのを、
「前記1つ以上の回転体は、3つの回転体であり、
前記姿勢制御用駆動源は、前記3つの回転体を回転させる、請求項11又は請求項12に記載のリンク作動装置。」
に訂正する。
(14)訂正事項14
本件訂正前の特許請求の範囲の請求項14に
「前記1つ以上の回転体は、4つの回転体であり、
前記姿勢制御用駆動源は、前記4つの回転体を回転させる、請求項7~請求項12のいずれか1項に記載のリンク作動装置。」
と記載されているのを、
「パラレルリンク機構と、姿勢制御用駆動源とを備え、
前記パラレルリンク機構は、
基端側リンクハブと、
3つ以上のリンク機構と、
前記3つ以上のリンク機構のうちの少なくとも1つのリンク機構と接続された1つ以上の回転体と、
先端側リンクハブとを備え、
前記1つ以上の回転体は、前記基端側リンクハブと回転自在に連結され、
前記3つ以上のリンク機構のそれぞれは、
第1リンク部材と、
前記第1リンク部材に第1回転対偶部において回転可能に接続された第2リンク部材とを含み、
前記第2リンク部材は、前記先端側リンクハブに第2回転対偶部において回転可能に接続され、
前記少なくとも1つのリンク機構の前記第1リンク部材は、前記1つ以上の回転体に固定されており、
前記3つ以上のリンク機構において、前記第1回転対偶部の第1中心軸と、前記第2回転対偶部の第2中心軸とは球面リンク中心点で交わり、
前記1つ以上の回転体の回転中心軸は前記球面リンク中心点と交わり、
前記姿勢制御用駆動源は、前記1つ以上の回転体を回転させ、前記基端側リンクハブに対する前記先端側リンクハブの姿勢を任意に変更し、
前記1つ以上の回転体は、4つの回転体であり、
前記姿勢制御用駆動源は、前記4つの回転体を回転させる、リンク作動装置。」
に訂正する。
(15)訂正事項15
本件訂正前の特許請求の範囲の請求項15に
「前記1つ以上の回転体の回転量を検出する回転量検出機構をさらに備える、請求項7~請求項14のいずれか1項に記載のリンク作動装置。」
と記載されているのを、
「前記1つ以上の回転体の回転量を検出する回転量検出機構をさらに備える、請求項11~請求項14のいずれか1項に記載のリンク作動装置。」
に訂正する。
(16)訂正事項16
特許請求の範囲に、以下の請求項16を追加する。
「パラレルリンク機構と、姿勢制御用駆動源とを備え、
前記パラレルリンク機構は、
基端側リンクハブと、
3つ以上のリンク機構と、
前記3つ以上のリンク機構のそれぞれと接続された3つ以上の回転体と、
先端側リンクハブとを備え、
前記3つ以上の回転体は、それぞれの回転中心軸が一致するように並んで配置された状態で前記基端側リンクハブと回転自在に連結され、
前記3つ以上のリンク機構のそれぞれは、
第1リンク部材と、
前記第1リンク部材に第1回転対偶部において回転可能に接続された第2リンク部材とを含み、
前記第2リンク部材は、前記先端側リンクハブに第2回転対偶部において回転可能に接続され、
前記3つ以上のリンク機構のそれぞれの前記第1リンク部材は、前記3つ以上の回転体のうちの1つに固定されており、
前記3つ以上のリンク機構において、前記第1回転対偶部の第1中心軸と、前記第2回転対偶部の第2中心軸とは球面リンク中心点で交わり、
前記3つ以上の回転体の前記回転中心軸は前記球面リンク中心点と交わり、
前記基端側リンクハブは、前記3つ以上の回転体と対向する表面を有し、
前記姿勢制御用駆動源は、前記3つ以上の回転体のうちの少なくとも3つの回転体を回転させ、前記基端側リンクハブに対する前記先端側リンクハブの姿勢を任意に変更し、
前記3つの回転体と前記姿勢制御用駆動源とが機械的に接続されており、
前記3つ以上の回転体の各々の全体は、前記基端側リンクハブの前記表面上に、前記基端側リンクハブ側から順に積層されている、リンク作動装置。」
(17)訂正事項17
特許請求の範囲に以下の請求項17を追加する。
「パラレルリンク機構と、姿勢制御用駆動源とを備え、
前記パラレルリンク機構は、
基端側リンクハブと、
3つ以上のリンク機構と、
前記3つ以上のリンク機構のそれぞれと接続された3つ以上の回転体と、
先端側リンクハブとを備え、
前記3つ以上の回転体は、それぞれの回転中心軸が一致するように並んで配置された状態で前記基端側リンクハブと回転自在に連結され、
前記3つ以上のリンク機構のそれぞれは、
第1リンク部材と、
前記第1リンク部材に第1回転対偶部において回転可能に接続された第2リンク部材とを含み、
前記第2リンク部材は、前記先端側リンクハブに第2回転対偶部において回転可能に接続され、
前記3つ以上のリンク機構のそれぞれの前記第1リンク部材は、前記3つ以上の回転体のうちの1つに固定されており、
前記3つ以上のリンク機構において、前記第1回転対偶部の第1中心軸と、前記第2回転対偶部の第2中心軸とは球面リンク中心点で交わり、
前記3つ以上の回転体の前記回転中心軸は前記球面リンク中心点と交わり、
前記基端側リンクハブは、前記3つ以上の回転体と対向する表面を有し、
前記姿勢制御用駆動源は、前記3つ以上の回転体のうちの少なくとも3つの回転体を回転させ、前記基端側リンクハブに対する前記先端側リンクハブの姿勢を任意に変更し、
前記3つの回転体と前記姿勢制御用駆動源とが機械的に接続されており、
前記3つ以上の回転体の各々の全体は、前記基端側リンクハブの前記表面上に、前記基端側リンクハブ側から順に積層されており、
前記3つ以上の回転体の回転量を検出する回転量検出機構をさらに備える、リンク作動装置。」
2 本件訂正の適否について
(1)訂正事項1について
ア 訂正の目的について
訂正事項1に係る訂正は、本件訂正前の請求項1における回転体の数を「3」つ以上と特定し、当該3つ以上の回転体について、「環状に設けられており」、「内径は、互いに異なるように設けられており」、「それぞれの前記回転中心軸が一致するように、前記回転中心軸に対する径方向において並んで配置されている」ことを特定することで、回転体の構造をより具体的に特定し、当該3つ以上の回転体について、3つ以上のリンク機構の「それぞれ」と接続されたこと、「それぞれの回転中心軸が一致するように並んで配置された状態で」基端側リンクハブと回転自在に連結されること、及び、リンク機構の「それぞれの」第1リンク部材は、3つ以上の回転体「のうちの1つ」に固定されていることを特定することで、3つ以上の回転体と、3つ以上のリンク機構、基端側リンクハブ、及び、第1リンク部材との接続構造をより具体的に特定するものである。
よって、訂正事項1に係る訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 新規事項の追加について
(ア)本件明細書等には、「(実施の形態9)<パラレルリンク機構の構成>図35は、実施の形態9に係るパラレルリンク機構の構成を示す模式図である。図35に示すパラレルリンク機構は、基本的には図1~図4に示したパラレルリンク機構と同様の構成を備えるが、回転体2a~2cの形状および配置が図1~図4に示したパラレルリンク機構と異なっている。」(【0140】)、「図35に示したパラレルリンク機構では、回転体2a~2cは環状に設けられている。回転体2a~2cは、それぞれの回転中心軸12が一致するように上記径方向において並んで配置されている。」(【0141】)、「回転体2a~2cの寸法は、互いに異なっている。回転体2aの内径は、ボルト7の外径よりも長い。回転体2aの外径は、回転体2bの内径よりも短い。回転体2bの外径は、回転体2cの内径よりも短い。回転体2aは、平面視において回転中心軸12を中心とする第1の円周上に配置されている。回転体2bは、平面視において回転中心軸12を中心とし、かつ半径が上記第1の円周よりも長い第2の円周上に配置されている。回転体2cは、平面視において回転中心軸12を中心とし、かつ半径が上記第2の円周よりも長い第3の円周上に配置されている。」(【0142】)、「図35に示したパラレルリンク機構では、回転体2a~2cが回転中心軸12に沿った方向に積層しておらず、それぞれの回転中心軸12が一致するように上記径方向において並んで配置されているため、図1~図4に示したパラレルリンク機構と比べて、回転中心軸12に沿った方向における小型化が実現される。」(【0147】)、「なお、実施の形態9に係るパラレルリンク機構は、4つの回転体2a~2dを備えていてもよい。図示しない回転体2dは環状に設けられている。回転体2dは、平面視において回転中心軸12を中心とし、かつ半径が上記第3の円周よりも長い第4の円周上に配置されている。回転体2dは、図示しない軸受99dを介して回転体2cに接続されている。軸受99dの内輪は回転体2cに固定されている。軸受99dの外輪は回転体2dに固定されている。」(【0148】)と記載されているから(下線は当審にて付与した。以下同様。)、本件明細書等には、回転体の数が「3」つ以上であり、当該3つ以上の回転体について、「環状に設けられており」、「内径は、互いに異なるように設けられており」、「それぞれの前記回転中心軸が一致するように、前記回転中心軸に対する径方向において並んで配置されている」ことが記載されていると認められる。
(イ)本件明細書等には、「3つ回転体2a~2cは、上記3つのリンク機構11のそれぞれと上記突出部において接続される。」(【0016】)と記載されているから、本件明細書等には、3つ以上の回転体は、リンク機構の「それぞれ」と接続されたことが記載されていると認められる。
(ウ)本件明細書等には、「3つの回転体2a~2cは、それぞれの回転中心軸12が一致するように積層された状態で基端側リンクハブ1と回転可能に連結される。」(【0016】)と記載されているから、本件明細書等には、3つ以上の回転体は、「それぞれの回転中心軸が一致するように並んで配置された状態で」基端側リンクハブと回転自在に連結されることが記載されていると認められる。
(エ)本件明細書等には、「3つのリンク機構11のそれぞれは、第1リンク部材4a~4cと第2リンク部材6a~6cとを含む。1つめの第1リンク部材4aは、回転体2aの突出部に固定される。2つめの第1リンク部材4bは回転体2bの突出部に固定される。3つめの第1リンク部材4cは回転体2cの突出部に固定される。」(【0017】)と記載されているから、本件明細書等には、「それぞれの」第1リンク部材は、3つ以上の回転体「のうちの1つ」に固定されていることが記載されていると認められる。
(オ)そうすると、訂正事項1に係る訂正は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲においてしたものである。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更について
訂正事項1に係る訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張、又は変更するものではない。
(2)訂正事項2について
訂正事項2に係る訂正は、請求項2を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、本件明細書等に記載した事項の範囲においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張、又は変更するものではない。
(3)訂正事項3について
ア 訂正の目的について
訂正事項3に係る訂正は、請求項1及び2を引用していた本件訂正前の請求項3を独立形式とした上で、3つ以上の回転体が3つ以上のリンク機構の「それぞれと」接続されたことを特定することで、3つ以上の回転体と3つ以上のリンク機構との接続構造をより具体的に特定し、「前記3つ以上の回転体の少なくともいずれか1つには、軸受が設置されて」おり、「前記3つ以上の回転体の少なくともいずれか1つの前記軸受の外輪は、前記3つ以上の回転体の少なくともいずれか1つの内周面に接触するように配置されており、前記3つ以上の回転体の少なくともいずれか1つの内周面において、前記基端側リンクハブ側の端部には、前記軸受の前記外輪を支持するための突起部が形成されており、前記3つ以上の回転体の少なくともいずれか1つの前記基端側リンクハブに面する側と反対側の上面上には、押さえ部材が配置されており、前記3つ以上の回転体の少なくともいずれか1つにおいて、前記押さえ部材は前記軸受の前記外輪を前記突起部側に向けて押圧するように、前記3つ以上の回転体の少なくともいずれか1つに固定されており」、「前記3つ以上の回転体の少なくともいずれか1つの前記軸受には、予圧が付与されている」ことを特定し、さらに、「前記基端側リンクハブと前記3つ以上の回転体の少なくともいずれか1つの前記軸受の内輪とに通されているボルトと、前記ボルトの先端部に固定されたナットとをさらに備え」ており、前記3つ以上の回転体は、「前記ボルトと前記ナットとにより」前記基端側リンクハブと回転自在に連結され、「前記3つ以上の回転体の少なくともいずれか1つの前記軸受の前記内輪は、前記ボルトの頭部と前記基端側リンクハブとの間で固定されて」いることを特定することで、3つ以上の回転体と基端側リンクハブとの連結構造をより具体的に特定するものである。
よって、訂正事項3に係る訂正は、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること、及び、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 新規事項の追加について
(ア)本件明細書等には、「3つ回転体2a~2cは、上記3つのリンク機構11のそれぞれと上記突出部において接続される。」(【0016】)と記載されているから、3つ以上の回転体が3つ以上のリンク機構の「それぞれと」接続されたことが記載されていると認められる。
(イ)本件明細書等には、「図13および図14に示したパラレルリンク機構は、基本的には図1~図4に示したパラレルリンク機構と同様の構成を備えるが、回転体2a~2cのそれぞれに回転抵抗低減手段としての軸受59が設置されている点、および回転体2a~2cを固定するためのボルト7が中空となっている点が図1~図4に示したパラレルリンク機構と異なっている。回転体2a~2cのそれぞれには2つの軸受59が設置されている。なお、図13および図14では、すべての回転体2a~2cに軸受59を設置しているが、複数の回転体2a~2cの少なくともいずれか1つにおいて軸受59を設置するようにしてもよい。また、回転体2a~2cのそれぞれに1つの軸受59を設置してもよい。」(【0057】)、「軸受59は外輪と、内輪と、当該外輪および内輪の間に配置された複数の転動体とを含む。軸受59の外輪は回転体2a~2cの内周面に接触するように配置されている。回転体2a~2cの内周面における基端側リンクハブ1側の端部には軸受59の外輪を支持するための突起部70が形成されている。2つの軸受59の外輪は、回転体2a~2cの内周面に接した状態で、シム33を介して回転中心軸12の方向に沿って積層されている。回転体2a~2cの基端側リンクハブ1に面する側と反対側の上面上には押さえ部材71が配置されている。押さえ部材71は軸受59の外輪に接触している。押さえ部材71は軸受59の外輪を突起部70側に向けて押圧するように、回転体2a~2cに固定されている。」(【0058】)、「このようにして軸受59に予圧を与えることができる。」(【0059】)と記載されているから、本件明細書等には、「前記3つ以上の回転体の少なくともいずれか1つには、軸受が設置されて」おり、「前記3つ以上の回転体の少なくともいずれか1つの前記軸受の外輪は、前記3つ以上の回転体の少なくともいずれか1つの内周面に接触するように配置されており、前記3つ以上の回転体の少なくともいずれか1つの内周面において、前記基端側リンクハブ側の端部には、前記軸受の前記外輪を支持するための突起部が形成されており、前記3つ以上の回転体の少なくともいずれか1つの前記基端側リンクハブに面する側と反対側の上面上には、押さえ部材が配置されており、前記3つ以上の回転体の少なくともいずれか1つにおいて、前記押さえ部材は前記軸受の前記外輪を前記突起部側に向けて押圧するように、前記3つ以上の回転体の少なくともいずれか1つに固定されており」、「前記3つ以上の回転体の少なくともいずれか1つの前記軸受には、予圧が付与されている」ことが記載されていると認められる。
(ウ)本件明細書等には、「図13および図14に示したパラレルリンク機構は、基本的には図1~図4に示したパラレルリンク機構と同様の構成を備えるが、回転体2a~2cのそれぞれに回転抵抗低減手段としての軸受59が設置されている点、および回転体2a~2cを固定するためのボルト7が中空となっている点が図1~図4に示したパラレルリンク機構と異なっている。回転体2a~2cのそれぞれには2つの軸受59が設置されている。なお、図13および図14では、すべての回転体2a~2cに軸受59を設置しているが、複数の回転体2a~2cの少なくともいずれか1つにおいて軸受59を設置するようにしてもよい。また、回転体2a~2cのそれぞれに1つの軸受59を設置してもよい。」(【0057】)、「軸受59の内輪の内周面はボルト7の側面に面するように配置されている。すなわち、内輪の内周面により規定される開口部にボルト7が挿入されている。2つの軸受59の内輪を回転中心軸12に沿った方向から挟むようにワッシャ9が配置されている。図13に示すように、ナット8が基端側リンクハブ1の下側からボルト7の先端部に固定される。ナット8を締め付けることにより、基端側リンクハブ1を先端側リンクハブ3側へ押圧する。この結果、ワッシャ9を介して軸受59の内輪がボルト7の頭部と基端側リンクハブ1との間で固定される。つまり、軸受59の内輪はボルト7に固定される。このようにして軸受59に予圧を与えることができる。」(【0059】)と記載されており、回転体2a~2cはボルト7とナット8とにより基端側リンクハブ1と回転自在に連結されていると理解できるから、本件明細書等には、「前記基端側リンクハブと前記3つ以上の回転体の少なくともいずれか1つの前記軸受の内輪とに通されているボルトと、前記ボルトの先端部に固定されたナットとをさらに備え」ており、前記3つ以上の回転体は、「前記ボルトと前記ナットとにより」前記基端側リンクハブと回転自在に連結され、「前記3つ以上の回転体の少なくともいずれか1つの前記軸受の前記内輪は、前記ボルトの頭部と前記基端側リンクハブとの間で固定されて」いることが記載されていると認められる。
(エ)そうすると、訂正事項3に係る訂正は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲においてしたものである。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更について
訂正事項3に係る訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張、又は変更するものではない。
(4)訂正事項4について
ア 訂正の目的について
訂正事項4に係る訂正は、本件訂正前の請求項4において、「前記3つ以上の回転体の各々は、前記貫通孔の内周側と外周側とを接続する接続部を含み、前記3つ以上のリンク機構のそれぞれの前記第1リンク部材は、前記3つ以上の回転体のそれぞれの前記接続部に固定されており」、前記第1リンク部材は前記第2回転体「の前記接続部」に「固定」されたことを特定することで、3つ以上の回転体と第1リンク部材との接続構造をより具体的に特定するものである。
したがって、訂正事項4に係る訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 新規事項の追加について
本件明細書等には、「回転体2a~2cは、貫通孔27a~27cの内周側と外周側とを接続する接続部28a~28cを含む。」(【0063】)、「3つのリンク機構11の第1リンク部材4a~4cは、それぞれ回転体2a~2cの接続部28a~28cに固定されている。」(【0064】)と記載されているから、本件明細書等には、「前記3つ以上の回転体の各々は、前記貫通孔の内周側と外周側とを接続する接続部を含み、前記3つ以上のリンク機構のそれぞれの前記第1リンク部材は、前記3つ以上の回転体のそれぞれの前記接続部に固定されており」、前記第1リンク部材は前記第2回転体「の前記接続部」に「固定」されたことが記載されていると認められる。
そうすると、訂正事項4に係る訂正は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲においてしたものである。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更について
訂正事項4に係る訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張、又は変更するものではない。
(5)訂正事項5について
ア 訂正の目的について
訂正事項5に係る訂正は、本件訂正前の請求項5において、「前記3つ以上のリンク機構のそれぞれの前記第1リンク部材は、前記3つ以上の回転体のうちの1つにネジによって固定されている」ことを特定することで、3つ以上の回転体と第1リンク部材との固定構造をより具体的に特定するものである。
したがって、訂正事項5に係る訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 新規事項の追加について
本件明細書等には、「第1リンク部材4a~4cを回転体2a~2cの突出部に固定する方法は、任意の方法を用いることができる。たとえば、固定部材としてのネジ56によって第1リンク部材4a~4cを回転体2a~2cに固定してもよい。」(【0017】)、「3つのリンク機構11の第1リンク部材4a~4cは、それぞれ回転体2a~2cの接続部28a~28cに固定されている。つまり、第1リンク部材4a~4cは回転体2a~2cの外周部より内側において回転体2a~2cと接続されている。第1リンク部材4a~4cを回転体2a~2cの接続部28a~28cに固定する方法は任意の方法を用いることができる。たとえば、ネジなどの固定部材を用いて第1リンク部材4a~4cを接続部28a~28cに固定してもよい。」(【0064】)と記載されているから、本件明細書等には、「前記3つ以上のリンク機構のそれぞれの前記第1リンク部材は、前記3つ以上の回転体のうちの1つにネジによって固定されている」ことが記載されていると認められる。
そうすると、訂正事項5に係る訂正は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲においてしたものである。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更について
訂正事項5に係る訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張、又は変更するものではない。
(6)訂正事項6について
訂正事項6に係る訂正は、請求項6を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、本件明細書等に記載した事項の範囲においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張、又は変更するものではない。
(7)訂正事項7について
ア 訂正の目的について
訂正事項7に係る訂正は、請求項1~請求項6のいずれか1項を引用していた本件訂正前の請求項7を、請求項2、6の削除に伴い、請求項1、請求項3~請求項5のいずれか1項を引用するとした上で、姿勢制御用駆動源が「3」つ以上の回転体「のうちの少なくとも3つの回転体」を回転させることを特定することで、姿勢制御用駆動源と回転体との接続構造をより具体的に特定するものである。
よって、訂正事項7に係る訂正は、明瞭でない記載の釈明、及び、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 新規事項の追加について
本件明細書等には、「姿勢制御用駆動源35a~35cは、3つ以上の回転体2a~2cのうち少なくとも3つの回転体2a~2cを回転させ、基端側リンクハブ1に対する先端側リンクハブ3の姿勢を任意に変更する。」(【0074】)と記載されているから、本件明細書等には、姿勢制御用駆動源が「3」つ以上の回転体「のうちの少なくとも3つの回転体」を回転させることが記載されていると認められる。
そうすると、訂正事項7に係る訂正は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲においてしたものである。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更について
訂正事項7に係る訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張、又は変更するものではない。
(8)訂正事項8について
ア 訂正の目的について
訂正事項8に係る訂正は、本件訂正前の請求項8において、姿勢制御用駆動源と機械的に接続されているものが「3つの」回転体であることを特定することで、姿勢制御用駆動源と回転体の接続構造をより具体的に特定するものである。
よって、訂正事項8に係る訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 新規事項の追加について
本件明細書等には、「姿勢制御用駆動源35a~35cはそれぞれ回転体2a~2cと歯車38および回転伝達部材37a~37cを介して駆動力を伝達可能に接続されている。」(【0070】)、「具体的には、姿勢制御用駆動源35a~35cはそれぞれ回転軸を含み、当該回転軸の端部に歯車38が接続されている。また回転体2a~2cの外周部には回転伝達部材37a~37cがネジなどの固定部材47により固定されている。回転伝達部材37a~37cは、外周部に歯車部を有する円環状の部材である。なお、回転伝達部材37a~37cを回転体2a~2cに固定する方法としては、必要な強度および精度が得られれば、上述した固定部材47を用いる方法以外の任意の方法を採用できる。たとえば、回転伝達部材37a~37cを接着、圧入、カシメなどの方法により回転体2a~2cに固定してもよい。」(【0071】)と記載されており、姿勢制御用駆動源35a~35cと歯車38との接続、歯車38と回転伝達部材37a~37cとの接続、及び、回転伝達部材37a~37cと回転体2a~2cとの接続は、それぞれ、機械的な接続であると理解できるから、本件明細書等には、姿勢制御用駆動源と機械的に接続されているものが「3つの」回転体であることが記載されていると認められる。
そうすると、訂正事項8に係る訂正は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲においてしたものである。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更について
訂正事項8に係る訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張、又は変更するものではない。
(9)訂正事項9について
ア 訂正の目的について
訂正事項9に係る訂正は、本件訂正前の請求項9において、回転伝達部材が「3つの」回転体に接続され、姿勢制御用駆動源が回転伝達部材を介して回転させるものが「3つの」回転体であることを特定することで、姿勢制御用駆動源と回転体の接続構造をより具体的に特定するものである。
よって、訂正事項9に係る訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 新規事項の追加について
本件明細書等には、「姿勢制御用駆動源35a~35cはそれぞれ回転体2a~2cと歯車38および回転伝達部材37a~37cを介して駆動力を伝達可能に接続されている。」(【0070】)、「具体的には、姿勢制御用駆動源35a~35cはそれぞれ回転軸を含み、当該回転軸の端部に歯車38が接続されている。また回転体2a~2cの外周部には回転伝達部材37a~37cがネジなどの固定部材47により固定されている。回転伝達部材37a~37cは、外周部に歯車部を有する円環状の部材である。なお、回転伝達部材37a~37cを回転体2a~2cに固定する方法としては、必要な強度および精度が得られれば、上述した固定部材47を用いる方法以外の任意の方法を採用できる。たとえば、回転伝達部材37a~37cを接着、圧入、カシメなどの方法により回転体2a~2cに固定してもよい。」、「姿勢制御用駆動源35a~35cは、3つ以上の回転体2a~2cのうち少なくとも3つの回転体2a~2cを回転させ、基端側リンクハブ1に対する先端側リンクハブ3の姿勢を任意に変更する。」(【0074】)と記載されているから、本件明細書等には、回転伝達部材が「3つの」回転体に接続され、姿勢制御用駆動源が回転伝達部材を介して回転させるものが「3つの」回転体であることが記載されていると認められる。
そうすると、訂正事項9に係る訂正は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲においてしたものである。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更について
訂正事項9に係る訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張、又は変更するものではない。
(10)訂正事項10について
ア 訂正の目的について
訂正事項10に係る訂正は、本件訂正前の請求項10において、回転伝達部を含むものが「3つの」回転体であり、姿勢制御用駆動源が回転伝達部を介して回転させるものが「3つの」回転体であることを特定することで、姿勢制御用駆動源と回転体の接続構造をより具体的に特定するものである。
よって、訂正事項10に係る訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 新規事項の追加について
本件明細書等には、「すなわち、図21に示したリンク作動装置において、少なくとも3つの回転体2a~2cは、回転伝達部48a~48cを含む。姿勢制御用駆動源35a~35cは、回転伝達部48a~48cを介して少なくとも3つの回転体2a~2cを回転させる。」(【0079】)と記載されているから、本件明細書等には、回転伝達部を含むものが「3つの」回転体であり、姿勢制御用駆動源が回転伝達部を介して回転させるものが「3つの」回転体であることが記載されていると認められる。
そうすると、訂正事項10に係る訂正は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲においてしたものである。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更について
訂正事項10に係る訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張、又は変更するものではない。
(11)訂正事項11について
訂正事項11に係る訂正は、請求項1~請求項6のいずれか1項を引用していた請求項7を引用していた本件訂正前の請求項11について、引用関係を解消するとともに、請求項1を引用する請求項7を引用する請求項11以外のものを削除しているから、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること、及び、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、訂正事項11に係る訂正は、本件明細書等に記載した事項の範囲においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張、又は変更するものではない。
(12)訂正事項12について
訂正事項12に係る訂正は、請求項1~請求項6のいずれか1項を引用していた請求項7を引用していた本件訂正前の請求項12について、引用関係を解消するとともに、請求項1を引用する請求項7を引用する請求項12以外のものを削除しているから、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること、及び、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、訂正事項12に係る訂正は、本件明細書等に記載した事項の範囲においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張、又は変更するものではない。
(13)訂正事項13について
訂正事項13に係る訂正は、請求項7~請求項12のいずれか1項を引用していた本件訂正前の請求項13を、請求項11又は請求項12を引用するとしたものであり、引用する請求項の一部を削除しているから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、訂正事項13に係る訂正は、本件明細書等に記載した事項の範囲においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張、又は変更するものではない。
(14)訂正事項14について
訂正事項14に係る訂正は、請求項7~請求項12のいずれか1項を引用していた本件訂正前の請求項14について、引用関係を解消するとともに、請求項1を引用する請求項7を引用する請求項14以外のものを削除しているから、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること、及び、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、訂正事項14に係る訂正は、本件明細書等に記載した事項の範囲においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張、又は変更するものではない。
(15)訂正事項15について
訂正事項15に係る訂正は、請求項7~請求項14のいずれか1項を引用していた本件訂正前の請求項15について、請求項11~請求項14のいずれか1項を引用するとしたものであり、引用する請求項の一部を削除しているから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、訂正事項15に係る訂正は、本件明細書等に記載した事項の範囲においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張、又は変更するものではない。
(16)訂正事項16について
ア 訂正の目的について
訂正事項16に係る訂正は、請求項1~請求項6のいずれか1項を引用していた請求項7を引用していた本件訂正前の請求項8について、引用関係を解消するとともに、請求項1を引用する請求項2を引用する請求項7を引用する請求項8以外のものを削除した上で、3つ以上の回転体が3つ以上のリンク機構の「それぞれと」接続されたことを特定することで、3つ以上の回転体と3つ以上のリンク機構との接続構造をより具体的に特定し、姿勢制御用駆動源が「3」つ以上の回転体「のうちの少なくとも3つの回転体」を回転させることを特定することで、姿勢制御用駆動源と回転体との接続構造をより具体的に特定し、「前記基端側リンクハブは、前記3つ以上の回転体と対向する表面を有し」、「前記3つ以上の回転体の各々の全体は、前記基端側リンクハブの前記表面上に、前記基端側リンクハブ側から順に積層されている」ことを特定することで、基端側リンクハブと回転体との配置をより具体的に特定するものである。
よって、訂正事項16に係る訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 新規事項の追加について
(ア)本件明細書等には、「3つ回転体2a~2cは、上記3つのリンク機構11のそれぞれと上記突出部において接続される。」(【0016】)と記載されているから、本件明細書等には、3つ以上の回転体が3つ以上のリンク機構の「それぞれと」接続されたことが記載されていると認められる。
(イ)本件明細書等には、「姿勢制御用駆動源35a~35cは、3つ以上の回転体2a~2cのうち少なくとも3つの回転体2a~2cを回転させ、基端側リンクハブ1に対する先端側リンクハブ3の姿勢を任意に変更する。」(【0074】)と記載されているから、本件明細書等には、姿勢制御用駆動源が「3」つ以上の回転体「のうちの少なくとも3つの回転体」を回転させることが記載されていると認められる。
(ウ)本件明細書等には、「3つの回転体2a~2cは、それぞれの回転中心軸12が一致するように積層された状態で基端側リンクハブ1と回転可能に連結される。」(【0015】)と記載されており、図2、20には、3つの回転体2a~2cが積層された状態で基端側リンクハブ1に連結された状態として、基端側リンクハブ1の上面が、3つの回転体2a~2cとが対向する状態で、3つの回転体2a~2cの各々の全体は、基端側リンクハブ1の上面より上側に、基端側リンクハブ1側から順に積層されている状態であることが記載されているから、本件明細書等には、「前記基端側リンクハブは、前記3つ以上の回転体と対向する表面を有し」、「前記3つ以上の回転体の各々の全体は、前記基端側リンクハブの前記表面上に、前記基端側リンクハブ側から順に積層されている」ことが記載されていると認められる。
(エ)そうすると、訂正事項16に係る訂正は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲においてしたものである。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更について
訂正事項16に係る訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張、又は変更するものではない。
(17)訂正事項17について
ア 訂正の目的について
訂正事項17に係る訂正は、請求項7~請求項14のいずれか1項を引用していた本件訂正前の請求項15について、引用関係を解消するとともに、請求項1を引用する請求項2を引用する請求項7を引用する請求項8を引用する請求項15以外のものを削除した上で、3つ以上の回転体が3つ以上のリンク機構の「それぞれと」接続されたことを特定することで、3つ以上の回転体と3つ以上のリンク機構との接続構造をより具体的に特定し、姿勢制御用駆動源が「3」つ以上の回転体「のうちの少なくとも3つの回転体」を回転させることを特定することで、姿勢制御用駆動源と回転体との接続構造をより具体的に特定し、「前記基端側リンクハブは、前記3つ以上の回転体と対向する表面を有し」、「前記3つ以上の回転体の各々の全体は、前記基端側リンクハブの前記表面上に、前記基端側リンクハブ側から順に積層されている」ことを特定することで、基端側リンクハブと回転体との配置をより具体的に特定するものである。
よって、訂正事項17に係る訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 新規事項の追加について
(ア)本件明細書等には、「3つ回転体2a~2cは、上記3つのリンク機構11のそれぞれと上記突出部において接続される。」(【0016】)と記載されているから、本件明細書等には、3つ以上の回転体が3つ以上のリンク機構の「それぞれと」接続されたことが記載されていると認められる。
(イ)本件明細書等には、「姿勢制御用駆動源35a~35cは、3つ以上の回転体2a~2cのうち少なくとも3つの回転体2a~2cを回転させ、基端側リンクハブ1に対する先端側リンクハブ3の姿勢を任意に変更する。」(【0074】)と記載されているから、本件明細書等には、姿勢制御用駆動源が「3」つ以上の回転体「のうちの少なくとも3つの回転体」を回転させることが記載されていると認められる。
(ウ)本件明細書等には、「3つの回転体2a~2cは、それぞれの回転中心軸12が一致するように積層された状態で基端側リンクハブ1と回転可能に連結される。」(【0015】)と記載されており、図2、20には、3つの回転体2a~2cが積層された状態で基端側リンクハブ1に連結された状態として、基端側リンクハブ1の上面が、3つの回転体2a~2cとが対向する状態で、3つの回転体2a~2cの各々の全体は、基端側リンクハブ1の上面より上側に、基端側リンクハブ1側から順に積層されている状態であることが記載されているから、本件明細書等には、「前記基端側リンクハブは、前記3つ以上の回転体と対向する表面を有し」、「前記3つ以上の回転体の各々の全体は、前記基端側リンクハブの前記表面上に、前記基端側リンクハブ側から順に積層されている」ことが記載されていると認められる。
(エ)そうすると、訂正事項17に係る訂正は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲においてしたものである。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更について
訂正事項17に係る訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張、又は変更するものではない。
(18)独立特許要件について
本件において、訂正前の全ての請求項1~15について特許異議申立てがなされているので、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項に規定される独立特許要件は課されない。
(19)一群の請求項について
本件訂正前の請求項2~15は、本件訂正前の請求項1を引用する関係であるから、本件訂正前の請求項1~15は、一群の請求項である。
よって、訂正事項1~17は、いずれも一群の請求項に対して請求されたものである。
さらに、特許権者から、本件訂正後の請求項11~15と、請求項16と、請求項17については、当該請求項についての訂正が認められる場合には、一群の他の請求項とは別の訂正単位として扱われることの求めがあった。
(20)まとめ
以上のとおりであるので、本件訂正は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項に対して請求されたものであり、特許法第120条の5第2項ただし書第1号、第3号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、特許法第120条の5第9項において準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~10〕、〔11~15〕、16、17について訂正することを認める。
第3 本件発明
前記第2のとおり本件訂正は認められるから、本件特許の請求項1~17に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」~「本件発明17」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1~17に記載された事項により特定される次のとおりである。
「【請求項1】
基端側リンクハブと、
3つ以上のリンク機構と、
前記3つ以上のリンク機構のそれぞれと接続された3つ以上の回転体と、
先端側リンクハブとを備え、
前記3つ以上の回転体は、それぞれの回転中心軸が一致するように並んで配置された状態で前記基端側リンクハブと回転自在に連結され、
前記3つ以上のリンク機構のそれぞれは、
第1リンク部材と、
前記第1リンク部材に第1回転対偶部において回転可能に接続された第2リンク部材とを含み、
前記第2リンク部材は、前記先端側リンクハブに第2回転対偶部において回転可能に接続され、
前記3つ以上のリンク機構のそれぞれの前記第1リンク部材は、前記3つ以上の回転体のうちの1つに固定されており、
前記3つ以上のリンク機構において、前記第1回転対偶部の第1中心軸と、前記第2回転対偶部の第2中心軸とは球面リンク中心点で交わり、
前記3つ以上の回転体の前記回転中心軸は前記球面リンク中心点と交わり、
前記3つ以上の回転体は、環状に設けられており、
前記3つ以上の回転体の内径は、互いに異なるように設けられており、
前記3つ以上の回転体は、それぞれの前記回転中心軸が一致するように、前記回転中心軸に対する径方向において並んで配置されている、パラレルリンク機構。
【請求項2】(削除)
【請求項3】
基端側リンクハブと、
3つ以上のリンク機構と、
前記3つ以上のリンク機構のそれぞれと接続された3つ以上の回転体と、
先端側リンクハブとを備え、
前記3つ以上の回転体の少なくともいずれか1つには、軸受が設置されており、
前記基端側リンクハブと前記3つ以上の回転体の少なくともいずれか1つの前記軸受の内輪とに通されているボルトと、前記ボルトの先端部に固定されたナットとをさらに備え、
前記3つ以上の回転体は、それぞれの回転中心軸が一致するように積層された状態で前記ボルトと前記ナットとにより前記基端側リンクハブと回転自在に連結され、
前記3つ以上のリンク機構のそれぞれは、
第1リンク部材と、
前記第1リンク部材に第1回転対偶部において回転可能に接続された第2リンク部材とを含み、
前記第2リンク部材は、前記先端側リンクハブに第2回転対偶部において回転可能に接続され、
前記3つ以上のリンク機構のそれぞれの前記第1リンク部材は、前記3つ以上の回転体のうちの1つに固定されており、
前記3つ以上のリンク機構において、前記第1回転対偶部の第1中心軸と、前記第2回転対偶部の第2中心軸とは球面リンク中心点で交わり、
前記3つ以上の回転体の前記回転中心軸は前記球面リンク中心点と交わり、
前記3つ以上の回転体の少なくともいずれか1つの前記軸受の外輪は、前記3つ以上の回転体の少なくともいずれか1つの内周面に接触するように配置されており、
前記3つ以上の回転体の少なくともいずれか1つの内周面において、前記基端側リンクハブ側の端部には、前記軸受の前記外輪を支持するための突起部が形成されており、
前記3つ以上の回転体の少なくともいずれか1つの前記基端側リンクハブに面する側と反対側の上面上には、押さえ部材が配置されており、
前記3つ以上の回転体の少なくともいずれか1つにおいて、前記押さえ部材は前記軸受の前記外輪を前記突起部側に向けて押圧するように、前記3つ以上の回転体の少なくともいずれか1つに固定されており、
前記3つ以上の回転体の少なくともいずれか1つの前記軸受の前記内輪は、前記ボルトの頭部と前記基端側リンクハブとの間で固定されており、
前記3つ以上の回転体の少なくともいずれか1つの前記軸受には、予圧が付与されている、パラレルリンク機構。
【請求項4】
前記3つ以上の回転体には、前記回転中心軸の周りを囲むように環状の貫通孔が形成され、
前記3つ以上の回転体の各々は、前記貫通孔の内周側と外周側とを接続する接続部を含み、
前記3つ以上のリンク機構のそれぞれの前記第1リンク部材は、前記3つ以上の回転体のそれぞれの前記接続部に固定されており、
前記3つ以上の回転体は、第1回転体と、前記第1回転体から見て前記基端側リンクハブが位置する側に配置された第2回転体とを含み、
前記第2回転体の前記接続部に固定された前記第1リンク部材は、前記第1回転体の前記貫通孔の内部を通り前記先端側リンクハブ側に延びている、請求項3に記載のパラレルリンク機構。
【請求項5】
前記第1回転対偶部および前記第2回転対偶部の少なくともいずれか1つは軸受を含み、
前記3つ以上のリンク機構のそれぞれの前記第1リンク部材は、前記3つ以上の回転体のうちの1つにネジによって固定されている、請求項3または請求項4に記載のパラレルリンク機構。
【請求項6】(削除)
【請求項7】
請求項1、請求項3~請求項5のいずれか1項に記載のパラレルリンク機構と、
前記3つ以上の回転体のうちの少なくとも3つの回転体を回転させ、前記基端側リンクハブに対する前記先端側リンクハブの姿勢を任意に変更する姿勢制御用駆動源とを備える、リンク作動装置。
【請求項8】
前記3つの回転体と前記姿勢制御用駆動源とが機械的に接続されている、請求項7に記載のリンク作動装置。
【請求項9】
前記3つの回転体に接続された回転伝達部材を備え、
前記姿勢制御用駆動源は、前記回転伝達部材を介して前記3つの回転体を回転させる、請求項8に記載のリンク作動装置。
【請求項10】
前記3つの回転体は、回転伝達部を含み、
前記姿勢制御用駆動源は、前記回転伝達部を介して前記3つの回転体を回転させる、請求項8に記載のリンク作動装置。
【請求項11】
パラレルリンク機構と、姿勢制御用駆動源とを備え、
前記パラレルリンク機構は、
基端側リンクハブと、
3つ以上のリンク機構と、
前記3つ以上のリンク機構のうちの少なくとも1つのリンク機構と接続された1つ以上の回転体と、
先端側リンクハブとを備え、
前記1つ以上の回転体は、前記基端側リンクハブと回転自在に連結され、
前記3つ以上のリンク機構のそれぞれは、
第1リンク部材と、
前記第1リンク部材に第1回転対偶部において回転可能に接続された第2リンク部材とを含み、
前記第2リンク部材は、前記先端側リンクハブに第2回転対偶部において回転可能に接続され、
前記少なくとも1つのリンク機構の前記第1リンク部材は、前記1つ以上の回転体に固定されており、
前記3つ以上のリンク機構において、前記第1回転対偶部の第1中心軸と、前記第2回転対偶部の第2中心軸とは球面リンク中心点で交わり、
前記1つ以上の回転体の回転中心軸は前記球面リンク中心点と交わり、
前記姿勢制御用駆動源は、前記1つ以上の回転体を回転させ、前記基端側リンクハブに対する前記先端側リンクハブの姿勢を任意に変更し、
前記1つ以上の回転体と前記姿勢制御用駆動源とが磁気的に接続されている、リンク作動装置。
【請求項12】
パラレルリンク機構と、姿勢制御用駆動源とを備え、
前記パラレルリンク機構は、
基端側リンクハブと、
3つ以上のリンク機構と、
前記3つ以上のリンク機構のうちの少なくとも1つのリンク機構と接続された1つ以上の回転体と、
先端側リンクハブとを備え、
前記1つ以上の回転体は、前記基端側リンクハブと回転自在に連結され、
前記3つ以上のリンク機構のそれぞれは、
第1リンク部材と、
前記第1リンク部材に第1回転対偶部において回転可能に接続された第2リンク部材とを含み、
前記第2リンク部材は、前記先端側リンクハブに第2回転対偶部において回転可能に接続され、
前記少なくとも1つのリンク機構の前記第1リンク部材は、前記1つ以上の回転体に固定されており、
前記3つ以上のリンク機構において、前記第1回転対偶部の第1中心軸と、前記第2回転対偶部の第2中心軸とは球面リンク中心点で交わり、
前記1つ以上の回転体の回転中心軸は前記球面リンク中心点と交わり、
前記姿勢制御用駆動源は、前記1つ以上の回転体を回転させ、前記基端側リンクハブに対する前記先端側リンクハブの姿勢を任意に変更し、
前記1つ以上の回転体は、磁石を含み、
前記姿勢制御用駆動源は、前記回転中心軸に対する径方向において前記磁石と対向して配置されたコイルを含む、リンク作動装置。
【請求項13】
前記1つ以上の回転体は、3つの回転体であり、
前記姿勢制御用駆動源は、前記3つの回転体を回転させる、請求項11又は請求項12に記載のリンク作動装置。
【請求項14】
パラレルリンク機構と、姿勢制御用駆動源とを備え、
前記パラレルリンク機構は、
基端側リンクハブと、
3つ以上のリンク機構と、
前記3つ以上のリンク機構のうちの少なくとも1つのリンク機構と接続された1つ以上の回転体と、
先端側リンクハブとを備え、
前記1つ以上の回転体は、前記基端側リンクハブと回転自在に連結され、
前記3つ以上のリンク機構のそれぞれは、
第1リンク部材と、
前記第1リンク部材に第1回転対偶部において回転可能に接続された第2リンク部材とを含み、
前記第2リンク部材は、前記先端側リンクハブに第2回転対偶部において回転可能に接続され、
前記少なくとも1つのリンク機構の前記第1リンク部材は、前記1つ以上の回転体に固定されており、
前記3つ以上のリンク機構において、前記第1回転対偶部の第1中心軸と、前記第2回転対偶部の第2中心軸とは球面リンク中心点で交わり、
前記1つ以上の回転体の回転中心軸は前記球面リンク中心点と交わり、
前記姿勢制御用駆動源は、前記1つ以上の回転体を回転させ、前記基端側リンクハブに対する前記先端側リンクハブの姿勢を任意に変更し、
前記1つ以上の回転体は、4つの回転体であり、
前記姿勢制御用駆動源は、前記4つの回転体を回転させる、リンク作動装置。
【請求項15】
前記1つ以上の回転体の回転量を検出する回転量検出機構をさらに備える、請求項11~請求項14のいずれか1項に記載のリンク作動装置。
【請求項16】
パラレルリンク機構と、姿勢制御用駆動源とを備え、
前記パラレルリンク機構は、
基端側リンクハブと、
3つ以上のリンク機構と、
前記3つ以上のリンク機構のそれぞれと接続された3つ以上の回転体と、
先端側リンクハブとを備え、
前記3つ以上の回転体は、それぞれの回転中心軸が一致するように並んで配置された状態で前記基端側リンクハブと回転自在に連結され、
前記3つ以上のリンク機構のそれぞれは、
第1リンク部材と、
前記第1リンク部材に第1回転対偶部において回転可能に接続された第2リンク部材とを含み、
前記第2リンク部材は、前記先端側リンクハブに第2回転対偶部において回転可能に接続され、
前記3つ以上のリンク機構のそれぞれの前記第1リンク部材は、前記3つ以上の回転体のうちの1つに固定されており、
前記3つ以上のリンク機構において、前記第1回転対偶部の第1中心軸と、前記第2回転対偶部の第2中心軸とは球面リンク中心点で交わり、
前記3つ以上の回転体の前記回転中心軸は前記球面リンク中心点と交わり、
前記基端側リンクハブは、前記3つ以上の回転体と対向する表面を有し、
前記姿勢制御用駆動源は、前記3つ以上の回転体のうちの少なくとも3つの回転体を回転させ、前記基端側リンクハブに対する前記先端側リンクハブの姿勢を任意に変更し、
前記3つの回転体と前記姿勢制御用駆動源とが機械的に接続されており、
前記3つ以上の回転体の各々の全体は、前記基端側リンクハブの前記表面上に、前記基端側リンクハブ側から順に積層されている、リンク作動装置。
【請求項17】
パラレルリンク機構と、姿勢制御用駆動源とを備え、
前記パラレルリンク機構は、
基端側リンクハブと、
3つ以上のリンク機構と、
前記3つ以上のリンク機構のそれぞれと接続された3つ以上の回転体と、
先端側リンクハブとを備え、
前記3つ以上の回転体は、それぞれの回転中心軸が一致するように並んで配置された状態で前記基端側リンクハブと回転自在に連結され、
前記3つ以上のリンク機構のそれぞれは、
第1リンク部材と、
前記第1リンク部材に第1回転対偶部において回転可能に接続された第2リンク部材とを含み、
前記第2リンク部材は、前記先端側リンクハブに第2回転対偶部において回転可能に接続され、
前記3つ以上のリンク機構のそれぞれの前記第1リンク部材は、前記3つ以上の回転体のうちの1つに固定されており、
前記3つ以上のリンク機構において、前記第1回転対偶部の第1中心軸と、前記第2回転対偶部の第2中心軸とは球面リンク中心点で交わり、
前記3つ以上の回転体の前記回転中心軸は前記球面リンク中心点と交わり、
前記基端側リンクハブは、前記3つ以上の回転体と対向する表面を有し、
前記姿勢制御用駆動源は、前記3つ以上の回転体のうちの少なくとも3つの回転体を回転させ、前記基端側リンクハブに対する前記先端側リンクハブの姿勢を任意に変更し、
前記3つの回転体と前記姿勢制御用駆動源とが機械的に接続されており、
前記3つ以上の回転体の各々の全体は、前記基端側リンクハブの前記表面上に、前記基端側リンクハブ側から順に積層されており、
前記3つ以上の回転体の回転量を検出する回転量検出機構をさらに備える、リンク作動装置。」
第4 取消理由通知の概要
本件訂正前の特許に対して、令和7年3月10日付けで通知した取消理由は、概ね、次のとおりである。
令和7年1月22日提出の手続補正書による令和6年5月30日に提出された訂正請求書の補正は採用せず、令和6年5月30日に提出された訂正請求書による訂正は認めない。
そして、請求項1~3に係る特許は、甲1に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、請求項1~3に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
また、請求項1~3に係る特許は、甲1に記載された発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであり、請求項4に係る特許は、甲1に記載された発明及び甲12に開示された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、請求項5、7~10、13、15に係る特許は、甲1に記載された発明、甲12に開示された技術的事項及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~5、7~10、13、15に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
第5 取消理由について
1 甲1について
(1)甲1の記載事項
甲1には、以下の事項が記載されている(下線は当審において付与した。)。()中の和文は、当審における訳。
ア
「2. 2 Architecture of the wrist
The wrist presented in this paper is a particular case of the spherical three-DoF parallel manipulator described in [23] and studied by [24]. Our own modified version, depicted in Figure 2, is inspired by [12].
The wrist structure is formed by a triangular platform and three different legs (highlighted in blue, red and green colours in Figure 2). Each leg is composed of a proximal L-shaped link of angle α1 = 60 ° and a distal L-shaped link of angle α2 = 90 °, and has three revolution joints of which only the one at the base is actuated. All the actuated joints share the same motion axis, which is parallel to the unit vector u. Iden
tifying with i = 1, 2, 3 the three legs of the wrist, for the i-th leg the two passive joints rotate around the unit vector wi, connecting the poximal link with the distal link, and the unit vector vi, connecting the distal link with the platform. Figure 2(a) shows the joints' motion axes in detail.
The motion axes of all the joints intersect in a unique fixed point (Pc) just above the triangular platform: the center of the spherical manipulator. This point defines the origin of the reference frame(RFt) of the platform itself (Figure 2(b)).」(第3ページ右欄第16行~第4ページ左欄第17行)
(2. 2 手首構造について
本紙で提示する手首構造は、球面方向に姿勢を自由に変化させることができる球面パラレルリンク機構を採用し、[23]の文献で言及されていたり、[24]の文献で研究されていたりする球面パラレルリンク機構である。Figure2に示した私達の球面パラレルリンク機構は、[12]の文献を基に改良されたものである。
手首構造は、三角形状のプラットフォームと、(Figure 2の中で青、赤、緑で強調された)3つのリンク機構と、で構成されている。それぞれのリンク機構は、近くに配置され60゜曲げられてL字状を成すリンクと、遠くに配置され90゜曲げられてL字状を成すリンクと、により構成されているとともに、1つの台座上で駆動する3つの回転軸を有している。回転軸のすべては、手首構造の座標系上にあるベクトルuを中心に回転するという動作を共用している。識別番号iは、手首構造において3つのリンク機構に割当たられた番号1、2、3が入り、i番目のリンク機構における2つの回転対偶部は、手首構造の座標系上にあるベクトルwiを中心に回転し、かつ第1リンクと第2リンクとを接続するものであり、手首構造の座標系上にあるベクトルviを中心に回転し、かつ第2リンクとプラットフォームとを接続するものである。Figure 2(a)に、駆動軸と回転対偶部の中心軸の詳細を示す。
回転軸及び回転対偶部の全ての中心軸は、プラットフォームの上に配置される単一かつ不動のPcを、言い換えると、球面パラレルリンク機構の中心点を指している。点Pcは、プラットフォームにおける移動座標の原点と定義される(Figure 2(b))。)
イ Figure 2(a)
「
[図:0001428976000001.jpg]
」
ウ Figure 2(b)
「
[図:0001428976000002.jpg]
」
エ Figure 2(c)
「
[図:0001428976000003.jpg]
」
(2)甲1の記載からわかること
ア 3つのリンク機構は、Figure 2の中で青、赤、緑で強調されているものであり、3つのリンク機構のそれぞれのうち、近くに配置され60゜曲げられてL字状を成すリンクと、遠くに配置され90゜曲げられてL字状を成すリンクとを合わせて、以下「リンク部分」というと、Figure 2(a)~(c)より、3つのリンク部分のそれぞれは、3つのリンク機構に含まれる3つの回転軸と接続されており、前記3つのリンク部分のそれぞれの、近くに配置され60°曲げられてL字状を成すリンクは、前記3つの回転軸のうちの1つと一体に構成されていることが看取される。
イ リンク機構は、リンク部分により構成されているとともに、1つの台座上で駆動する3つの回転軸を有しているところ、Figure 2(a)、(c)より、青、赤、緑で強調されているもののうち、ベクトルuを中心に回転する部分(近くに配置され60゜曲げられてL字状を成すリンクと一体に構成されていると看取される部分、及び、当該部分と同軸で歯車を有していると看取される部分)が、それぞれの回転軸に含まれると認められる。
ウ Figure 2(c)より、球面パラレルリンク機構は、3つの回転軸のうち、近くに配置され60゜曲げられてL字状を成すリンクと一体に構成されていると看取される部分の下方、あるいは、3つの回転軸の歯車の外周部に基端側部材(図面における薄灰色で示された部材)を備え、当該基端側部材は3つの回転軸と接していることが看取され、3つの回転軸は基端側部材と接するとともに、ベクトルuを中心に回転するものであるから、3つの回転軸は、それぞれのベクトルuが一致するように並んで配置された状態で基端側部材と回転自在に連結されているものであるといえる。
エ Figure 2(c)より、基端側部材は、3つの回転軸と対向する表面を有することが看取される。また、Figure 2(c)より、3つの回転軸の各々は、その一部(図面における基端側部材よりも上方にある部分)が前記基端側部材の前記表面上に前記基端側部材側から順に積層されていることが看取されるから、3つの回転軸の各々は、その一部において、前記基端側部材の前記表面上に前記基端側部材側から順に積層されているものであるといえる。
オ Figure 2(a)~(c)より、プラットフォームは3つの回転軸と一体に回転することが看取されるから、手首機構は、3つの回転軸を回転させ、基端側部材に対するプラットフォームの姿勢を自由に変化させるものであるといえる。
(3)甲1発明
上記(1)(2)から、甲1には、次の発明(以下、それぞれ、「甲1-1発明」、「甲1-2発明」、「甲1-3発明」という。)が記載されていると認められる。
[甲1-1発明]
「基端側部材と、
3つのリンク部分と、
前記3つのリンク部分のそれぞれと接続された3つの回転軸と、
プラットフォームとを備え、
前記3つの回転軸は、それぞれのベクトルuが一致するように並んで配置された状態で前記基端側部材と回転自在に連結され、
前記3つのリンク部分のそれぞれは、
近くに配置され60°曲げられてL字状を成すリンクと、
前記近くに配置され60°曲げられてL字状を成すリンクに回転対偶部において回転可能に接続された遠くに配置され90°曲げられてL字状を成すリンクとにより構成され、
前記遠くに配置され90°曲げられてL字状を成すリンクは、前記プラットフォームに回転対偶部において回転可能に接続され、
前記3つのリンク部分のそれぞれの前記近くに配置され60°曲げられてL字状を成すリンクは、前記3つの回転軸のうちの1つと一体に構成され、
前記3つのリンク部分において、前記近くに配置され60°曲げられてL字状を成すリンクと前記遠くに配置され90°曲げられてL字状を成すリンクとの間の回転対偶部のベクトルwiと、前記遠くに配置され90°曲げられてL字状を成すリンクと前記プラットフォームとの間の回転対偶部のベクトルviとは点Pcを指し、
前記3つの回転軸の前記ベクトルuは前記点Pcを指し、
前記3つの回転軸は、それぞれのベクトルuが一致するように、前記3つの回転軸の一部が積層された状態で前記基端側部材と回転自在に連結される、球面パラレルリンク機構。」
[甲1-2発明]
「球面パラレルリンク機構を備え、
前記球面パラレルリンク機構は、
基端側部材と、
3つのリンク部分と、
前記3つのリンク部分のそれぞれと接続された3つの回転軸と、
プラットフォームとを備え、
前記3つの回転軸は、それぞれのベクトルuが一致するように並んで配置された状態で前記基端側部材と回転自在に連結され、
前記3つのリンク部分のそれぞれは、
近くに配置され60°曲げられてL字状を成すリンクと、
前記近くに配置され60°曲げられてL字状を成すリンクに回転対偶部において回転可能に接続された遠くに配置され90°曲げられてL字状を成すリンクとにより構成され、
前記遠くに配置され90°曲げられてL字状を成すリンクは、前記プラットフォームに回転対偶部において回転可能に接続され、
前記3つのリンク部分のそれぞれの前記近くに配置され60°曲げられてL字状を成すリンクは、前記3つの回転軸のうちの1つと一体に構成され、
前記3つのリンク部分において、前記近くに配置され60°曲げられてL字状を成すリンクと前記遠くに配置され90°曲げられてL字状を成すリンクとの間の回転対偶部のベクトルwiと、前記遠くに配置され90°曲げられてL字状を成すリンクと前記プラットフォームとの間の回転対偶部のベクトルviとは点Pcを指し、
前記3つの回転軸の前記ベクトルuは前記点Pcを指し、
前記基端側部材は、前記3つの回転軸と対向する表面を有し、
前記3つの回転軸を回転させ、前記基端側部材に対する前記プラットフォームの姿勢を自由に変化させ
前記3つの回転軸の各々は、その一部において、前記基端側部材の前記表面上に、前記基端側部材側から順に積層されている、手首構造。」
[甲1-3発明]
「球面パラレルリンク機構を備え、
前記球面パラレルリンク機構は、
基端側部材と、
3つのリンク部分と、
前記3つのリンク部分のそれぞれと接続された3つの回転軸と、
プラットフォームとを備え、
前記3つの回転軸は、前記基端側部材と回転自在に連結され、
前記3つのリンク部分のそれぞれは、
近くに配置され60°曲げられてL字状を成すリンクと、
前記近くに配置され60°曲げられてL字状を成すリンクに回転対偶部において回転可能に接続された遠くに配置され90°曲げられてL字状を成すリンクとにより構成され、
前記遠くに配置され90°曲げられてL字状を成すリンクは、前記プラットフォームに回転対偶部において回転可能に接続され、
前記3つのリンク部分のそれぞれの前記近くに配置され60°曲げられてL字状を成すリンクは、前記3つの回転軸のうちの1つと一体に構成され、
前記3つのリンク部分において、前記近くに配置され60°曲げられてL字状を成すリンクと前記遠くに配置され90°曲げられてL字状を成すリンクとの間の回転対偶部のベクトルwiと、前記遠くに配置され90°曲げられてL字状を成すリンクと前記プラットフォームとの間の回転対偶部のベクトルviとは点Pcを指し、
前記3つの回転軸のベクトルuは前記点Pcを指し、
前記3つの回転軸を回転させ、前記基端側部材に対する前記プラットフォームの姿勢を自由に変化させる、手首構造。」
2 甲2について
(1)甲2の記載事項
甲2には、以下の事項が記載されている。()中の和文は、当審における訳。
ア
「The whole mechanism is driven by three gears connected to the coaxial shafts of the assembly. The gears will be driven (via belts) by brushless servomotors with gearheads allowing up to 2.5 Hz transients. The motors can be programmed to provide the desired kinematics.」(第484ページ右欄第6行~第10行)
(メカニズムとしては、3つの駆動軸に連結する3つのギヤを駆動させるようになっている。回転速度が最大で2.5 Hzの複数のブラシレスサーボモータにより、ベルトを介して、複数のギヤを駆動している。また、ブラシレスサーボモータは、所望の動作を行うようにプログラムされている。)
イ Figure 4
「
[図:0001428976000004.jpg]
」
ウ Figure 5
「
[図:0001428976000005.jpg]
」
3 甲3について
(1)甲3の記載事項
甲3には、以下の事項が記載されている。
ア
「3.2 駆動機構および制御方法
本パラレルリンク機構の姿勢は2台のモータで制御できるが,本装置は,3台のモータで各アーム回転角β1~3を変化させて先端側リンクハブの姿勢を制御する.3台のモータで各基端側アームを軽く干渉させて駆動機構のバックラッシュを打ち消し,位置決め精度を±0.025mmまで向上させた.
駆動機構はモータを含め約450mm角に収めた.また,モータを水平配置することにより,高さ方向をコンパクトにした.モータの回転駆動力は,平歯車を介して基端側アームに伝えられる.」(第810ページ左欄第11行~第20行)
4 甲4について
(1)甲4の記載事項
甲4には、以下の事項が記載されている。
ア
「【0050】
図11~図14は、この発明の一実施形態にかかるリンク作動装置を示す。このリンク作動装置50は、図1~図7のパラレルリンク機構1を用いたものであり、図11~図13に示すように、3組のリンク機構4のそれぞれに、基端側のリンクハブ2に対する先端側のリンクハブ3の姿勢を任意に変更する姿勢変更用アクチュエータ51を設けてある。各姿勢変更用アクチュエータ51は、減速機構52を備えたロータリアクチュエータであり、基端側のリンクハブ2の土台10の上面に、回転軸12と同軸上に設置されている。姿勢変更用アクチュエータ51と減速機構52は一体に設けられ、モータ固定部材53により減速機構52が土台10に固定されている。なお、3組のリンク機構4のうち少なくとも2組に姿勢変更用アクチュエータ51を設ければ、基端側のリンクハブ2に対する先端側のリンクハブ3の姿勢を確定することができる。」
イ 図11
「
[図:0001428976000006.jpg]
」
ウ 図12
「
[図:0001428976000007.jpg]
」
エ 図13
「
[図:0001428976000008.jpg]
」
オ 図14
「
[図:0001428976000009.jpg]
」
5 甲5について
(1)甲5の記載事項
甲5には、以下の事項が記載されている。
ア
「【0048】
図6は、図1のVI-VI断面図である。基端部材10の底面の外周縁から下向きに突出してアクチュエータ支持部材52が設けられ、このアクチュエータ支持部材52の外側面に、前記姿勢制御用アクチュエータ50およびこれに付属の減速機構51が取り付けられている。具体的には、減速機構51の部分で、姿勢制御用アクチュエータ50および付属の減速機構51がアクチュエータ支持部材52に取り付けられている。
【0049】
姿勢制御用アクチュエータ50は回転モータであって、その出力軸50aが、アクチュエータ支持部材52を貫通してアクチュエータ支持部材52の内側まで水平に延びている。そして、姿勢制御用アクチュエータ50の出力軸50aから前記回転軸12へ、ベルト式の動力伝達機構53によって回転が伝達される。ベルト式の動力伝達機構53は、出力軸50aに取り付けられた駆動側のタイミングプーリ54と、回転軸12のプーリ取付部12aに取り付けられた従動側のタイミングプーリ55と、両タイミングプーリ54,55に掛けられたタイミングベルト56とで構成される。タイミングベルト56は、基端部材10に開けられた開口10bに通されている。
【0050】
このリンク作動装置は、各姿勢制御用アクチュエータ50を回転駆動することで、パラレルリンク機構1を作動させる。詳しくは、姿勢制御用アクチュエータ50を回転駆動すると、その回転動力が減速機構51によって減速され、その減速された回転動力が、動力伝達機構53を介して回転軸12に伝達される。それにより、基端側の端部リンク部材5の角度が変わり、基端側のリンクハブ2に対する先端側のリンクハブ3の姿勢が変更される。パラレルリンク機構1は、基端側のリンクハブ2に対し先端側のリンクハブ3を、4節連鎖の3組のリンク機構4を介して姿勢を変更可能に連結した構成であるたため、コンパクトでありながら、高速、高精度で、広範な作動範囲の動作が可能である。」
イ 図6
「
[図:0001428976000010.jpg]
」
6 甲6について
(1)甲6の記載事項
甲6には、以下の事項が記載されている。()中の和文は、当審における訳。
ア
「The mechanical architecture of the finally selected robotic fixture splits in the rear part, with three motors and gearboxes, and the front part, with the three symmetric twolinks arms, carrying the propeller shelter. In-between, the motion follows three co-axial shafts.」(第3ページ左欄第1行~第5行)
(この機械構造は、最終的には、後方に位置するロボット部品と、前方に位置するロボット部品とに分けられ、後方に位置するロボット部品は3つのモータと複数のギヤボックスとを有し、前方に位置するロボット部品は、プロペラを格納する部分を所定の向きに変位させるための部位であり、2つのリンクを有するリンク機構を3つ有している。)
7 甲7について
(1)甲7の記載事項
甲7には、以下の事項が記載されている。
ア
「[0030] 軸受109は、入力部材104の貫通孔108に内嵌された軸受外輪と、軸部材110に外嵌された軸受内輪と、軸受外輪と軸受内輪間に回転自在に介挿されたボール等の転動体とからなる。軸部材110の外側端部は、入力部材104から突出し、その突出部に端部リンク部材101a,102a,103aおよびギア部材111が結合され、ナット113による締付けでもって軸受109に所定の予圧量を付与して固定されている。ギア部材111は、後述するリンク機構101~103の角度制御機構120の一部を構成する。入力部材104に対して軸部材110を回転自在に支承する軸受109は、止め輪112により入力部材104から抜け止めされている。」
イ
「[0036] この軸受116は、中央リンク部材101b~103bの貫通孔114に内嵌された軸受外輪と、端部リンク部材101a~103a,101c~103cの軸部115に外嵌された軸受内輪と、軸受外輪と軸受内輪間に回転自在に介挿されたボール等の転動体とからなる。端部リンク部材101a~103a,101c~103cに対して中央リンク部材101b~103bを回転自在に支承する軸受116は、止め輪117により中央リンク部材101b~103bから抜け止めされている。」
ウ 図3
「
[図:0001428976000011.jpg]
」
エ 図4
「
[図:0001428976000012.jpg]
」
8 甲8について
(1)甲8の記載事項
甲8には、以下の事項が記載されている。()中の和文は、当審における訳。
ア
「For sake of a high modularity, specific motor units, designed in the iStruct project [14], have been adapted for the ACTIVE ANKLE. Each actuator (Figure 5) is realized by a brushless DC-motor coupled with a harmonic drive gear and allows a nominal torque of 28 Nm and a speed of 300 RPM at the output with a weight of 392g.」(第3ページ左欄第12行~第17行)
([14]のプロジェクトにおいて、高いモジュール性、特別なモータユニットのため、言い換えると、作動可能な足首構造に適用するため、構造に関する研究が行われた。それぞれのアクチュエータは、ブラシレスの直流モータとハーモニックドライブギヤを組み合わせたものであり、定格トルクが28Nmであり、392gの重りを付けた場合の1分間当たりの回転数は300回転である。)
イ Figure 5
「
[図:0001428976000013.jpg]
」
9 甲9について
(1)甲9の記載事項
甲9には、以下の事項が記載されている。()中の和文は、当審における訳。
ア
「The mechanism is composed of two pairs of sub-arms, pair (1) and (2), and pair (3) and (4), attached at one end to points P1,2 and P3,4 of the moving platform, respectively, and at the other two points of the fixed axis zf.」(第1ページ右欄第45行~第2ページ左欄第1行)
(このメカニズムは一組となっているサブフレームを2つ有し、1つ目の一組のサブフレームがサブフレーム(1)とサブフレーム(2)とからなり、2つ目の一組のサブフレームがサブフレーム(3)とサブフレーム(4)とからなり、サブフレーム(1)、(2)、(3)、(4)の他端は、異なる2点でZf軸回りに回転する軸に固定されいる。)
イ Fig.1
「
[図:0001428976000014.jpg]
」
10 甲10について
(1)甲10の記載事項
甲10には、以下の事項が記載されている。()中の和文は、当審における訳。
ア
「
[図:0001428976000015.jpg]
」(第8ページ第12行~第13行)
(この振動台は第1、第2、第3サーボモータ6、15と9のドライブで、空間任意の方向の振動に振動台5を実現することができる。)
イ 図1
「
[図:0001428976000016.jpg]
」
11 甲11について
(1)甲11の記載事項
甲11には、以下の事項が記載されている。
ア
「【0031】
図2およびその部分拡大図である図3に示すように、各姿勢制御用アクチュエータ3は、ロータリアクチュエータからなる。より詳しくは、減速機3a付きのサーボモータである。姿勢制御用アクチュエータ3は、減速機3aの部分で、モータ固定部材32により土台4に固定されている。また、減速機3aとは別に、姿勢制御用アクチュエータ3の回転を基端側の端部リンク部材15へ減速して伝達する歯車機構33が設けられている。」
イ 図2
「
[図:0001428976000017.jpg]
」
ウ 図3
「
[図:0001428976000018.jpg]
」
12 甲12について
(1)甲12の記載事項
甲12には、以下の事項が記載されている。
ア
「【0022】
回転軸を中心にして個々の支持部3および個々のマウンティング8を独立して動かすために、それぞれの支持部3は、サーボモーター17の形態とした独立した駆動手段16と対応付ける。サーボモーター17は、例として図1を参照すると、筒状ハウジング2に動かないように配置される。すなわち、それらはマウンティング8が受け器15の位置を調整するために移動するときに動くことはない。このため、図6のように、サーボモーター17は伝導歯車18と介在性ギヤ19によって個々の支持部3の外側の歯部20にそれぞれ結合されている。それぞれの支持部3は外側の歯部を有し、それと個々のサーボモーター17の介在性ギヤ19がかみ合っていることはこの図から明らかである。このように、支持部の位置とそれによるマウンティングの位置は非常に正確に調整され、これにより、連結されたロッド13のそれぞれの空間的位置が変化し、次にその変化を通して受け器15の空間的位置が変化する。」
イ 図6
「
[図:0001428976000019.jpg]
」
13 参考1について
(1)参考1の記載事項
参考1には、以下の事項が記載されている。
ア
「【0046】
図6は、回転対偶部T1の拡大図である。リンクハブ2の円周方向3箇所(図6は1箇所だけを示す)に、前記軸方向の貫通孔10と外周側とを連通する半径方向に延びる連通孔11が形成され、この連通孔11内に設けられた内側および外側の2つの軸受12により軸部材13が回転自在に支持されている。ここで内側、外側は、球面リンク中心PA(図4)に対する位置関係を指す。軸部材13の外端部はリンクハブ2から突出し、その突出部に端部リンク部材5が連結され、先端ねじ部13aに螺着したナット14によって、端部リンク部材5が間座部材15と共に締付け固定されている。つまり、回転対偶部T1は、リンクハブ2と端部リンク部材5とが、軸受12を介して互いに回転自在に連結されている。
【0047】
より詳しくは、2つの軸受12はアンギュラ玉軸受であり、例えば背面組合せで配置されている。軸部材13の内端部分は、軸受12の内輪12aの内周に嵌合した部分13bよりも外径が大きい段差部13cとされ、この段差部13cの段差面13dが内側の軸受12の内輪12aの端面に当接することで、内輪12aを軸方向に位置決めしている。また、外側の軸受12の内輪12aと端部リンク部材5との間には、両端をこれらに接して間座部材15が設けられている。よって、前記ナット14を締め付けることにより、端部リンク部材5および間座部材15を介して内輪12aが前記段差面13dに押し付けられて、内輪12aを締付け固定すると共に、軸受12に対して予圧を付与する。
【0048】
リンクハブ2における前記連通孔11の周辺部分は、軸受設置部16をなしている。この軸受設置部16の内端部は、軸受12の外輪12bの外周に嵌合した部分である外輪嵌合部16aよりも内径が小さい段差部16bとされ、この段差部16bの段差面16cが内側の軸受12の外輪12bの端面に当接することで、外輪12bを軸方向に位置決めしている。また、外側の軸受12の外輪12bは、軸受設置部16に取り付けた止め輪17によって抜け止めされている。」
イ 図3
「
[図:0001428976000020.jpg]
」
ウ 図4
「
[図:0001428976000021.jpg]
」
エ 図6
「
[図:0001428976000022.jpg]
」
14 参考2について
(1)参考2の記載事項
参考2には、以下の事項が記載されている。
ア
「【0036】
基端側のリンクハブ2は、前記軸方向の貫通孔10と外周側とを連通する半径方向に延びる連通孔11が円周方向3箇所に形成され、各連通孔11内に設けた二つの軸受12により軸部材13がそれぞれ回転自在に支持されている。軸部材13の外側端部は基端側のリンクハブ2から突出し、その突出部に基端側の端部リンク部材5が連結され、先端ねじ部13aに螺着したナット14によって、間座部材16と共に締付け固定されている。つまり、回転対偶部T1は、一対の対偶構成部材である基端側のリンクハブ2と他方の対偶構成部材である基端側の端部リンク部材5とが、軸受12を介して互いに回転自在に連結されている。」
イ
「【0038】
より詳しくは、図6の部分拡大図に示すように、二つの軸受12はアンギュラ玉軸受であり、例えば背面組合せで配置されている。軸部材13の内端部分は、軸受12の内輪12aの内周に嵌合した部分13bよりも外径が大きい段差部13cとされ、この段差部13cの段差面13dが内側の軸受12の内輪12aの端面に当接することで、内輪12aを軸方向に位置決めしている。また、外側の軸受12の内輪12aと端部リンク部材5との間には、両端をこれらに接して間座部材16が設けられている。よって、前記ナット14を締付けることにより、端部リンク部材5および間座部材16を介して内輪12aが前記段差面13dに押付けられて、内輪12aを締付け固定すると共に、軸受12に対して予圧を付与する。ナット14は、内輪12aの軸方向位置を固定する内輪固定手段である。
【0039】
環状内面形成部15の一部は、軸受12の外輪12bの外周に嵌合した部分すなわち外輪嵌合部15aよりも内径が小さい段差部15bとされ、この段差部15bの段差面15cが内側の軸受12の外輪12bの端面に当接することで、外輪12bを軸方向に位置決めしている。また、外側の軸受12の外輪12bは、環状内面形成部15に取付けた止め輪17によって抜け止めされている。」
ウ 図3
「
[図:0001428976000023.jpg]
」
エ 図5
「
[図:0001428976000024.jpg]
」
オ 図6
「
[図:0001428976000025.jpg]
」
15 参考3について
(1)参考3の記載事項
参考3には、以下の事項が記載されている。
ア
「【0032】
図6に示すように、固定部材14A(14B)は、その中心部に貫通孔16が軸方向に沿って形成され、また、大きな角度がとれるように外形を球面状としたドーナツ形状をなしている。固定部材14A(14B)には、半径方向に延びる軸部材嵌挿用の貫通孔18が円周方向等間隔で3個形成され、各貫通孔18に複列の軸受19を介して軸部材20が嵌挿されている。入力部材15A(出力部材15B)も同じ構造で、その中心部に貫通孔16(図4、図5)が軸方向に沿って形成されている。
【0033】
前記軸受19は、例えば深溝玉軸受であって、固定部材14A(14B)の貫通孔18に内嵌された外輪19aと、軸部材20に外嵌された内輪19bと、これら外輪19aと内輪19b間に回転自在に介挿されたボール等の転動体19cとからなる。つまり、外輪19aは固定部材14A(14B)に固定され、内輪19bは軸部材20と共に回転する構造である。軸部材20の外側端部は、固定部材14A(14B)から突出し、その突出ねじ部20aに端部リンク部材11a,12a,13aが結合され、ナット23による締付けでもって軸受19に所定の予圧量を付与して固定されている。固定部材14A(14B)に対して軸部材20を回転自在に支承する軸受19は、止め輪22により固定部材14A(14B)から抜け止めされている。なお、軸受19としては、図6に図示されているように深溝玉軸受を複列で配設する以外に、アンギュラ玉軸受、ローラ軸受、あるいは滑り軸受を使用することも可能である。」
イ 図4
「
[図:0001428976000026.jpg]
」
ウ 図5
「
[図:0001428976000027.jpg]
」
エ 図6
「
[図:0001428976000028.jpg]
」
16 参考4について
(1)参考4の記載事項
参考4には、以下の事項が記載されている。()中の和文は、当審における訳。
ア
「
[図:0001428976000029.jpg]
」
([0019] 図中:1はL型揺動レバ-aとし、2はL型揺動レバ-bとし、3はクランクBとし、4は二層シャフト系とし、5はクランクAとし、6はクランクCとし、7はL型揺動レバ-cとし、8は移動プラットフォームとし、9は小軸受とし、10は大軸受とし、11は内層の軸固定ナットとし、12は内層の軸とし、13は外層の軸ベアリングカバーとし、14は二層シャフト系ハウジングとし、15は外層管状軸とし、20は第1の回転軸とし、21は第2の回転軸とする。)
イ 図1
「
[図:0001428976000030.jpg]
」
ウ 図2
「
[図:0001428976000031.jpg]
」
17 対比及び判断
(1)本件発明1について
ア 対比
本件発明1と、甲1-1発明とを対比する。
甲1-1発明の「基端側部材」は、本件発明1の「基端側リンクハブ」に相当する。
甲1-1発明の「3つのリンク部分」は、「3つ以上」が「3つ」を含むという点で、本件発明1の「3つ以上のリンク機構」に相当する。
甲1-1発明の「3つの回転軸」は、「3つ以上」が「3つ」を含むという点で、本件発明1の「3つ以上の回転体」に相当する。
甲1-1発明の「プラットフォーム」は、本件発明1の「先端側リンクハブ」に相当する。
甲1-1発明の3つの回転軸の「ベクトルu」は、本件発明1の3つ以上の回転体の「回転中心軸」に相当するから、甲1-1発明の「前記3つの回転軸は、それぞれのベクトルuが一致するように並んで配置された状態で前記基端側部材と回転自在に連結され」るという事項は、本件発明1の「前記3つ以上の回転体は、それぞれの回転中心軸が一致するように並んで配置された状態で前記基端側リンクハブと回転自在に連結され」るという事項に相当する。
甲1-1発明の「近くに配置され60°曲げられてL字状を成すリンク」は、本件発明1の「第1リンク部材」に相当し、甲1-1発明の「遠くに配置され90°曲げられてL字状を成すリンク」は、本件発明1の「第2リンク部材」に相当し、甲1-1発明の近くに配置され60°曲げられてL字状を成すリンクと遠くに配置され90°曲げられてL字状を成すリンクとの間の「回転対偶部」は、本件発明1の「第1回転対偶部」に相当する。そうすると、甲1-1発明の「近くに配置され60°曲げられてL字状を成すリンクと、前記近くに配置され60°曲げられてL字状を成すリンクに回転対偶部において回転可能に接続された遠くに配置され90°曲げられてL字状を成すリンクとにより構成され」ているという事項は、本件発明1の「第1リンク部材と、前記第1リンク部材に第1回転対偶部において回転可能に接続された第2リンク部材とを含」んでいるという事項に相当する。
甲1-1発明の遠くに配置され90°曲げられてL字状を成すリンクとプラットフォームとの間の「回転対偶部」は、本件発明1の「第2回転対偶部」に相当する。
甲1-1発明の「前記3つのリンク部分のそれぞれの前記近くに配置され60°曲げられてL字状を成すリンクは、前記3つの回転軸のうちの1つと一体に構成され」という事項は、本件発明1の「前記3つ以上のリンク機構のそれぞれの前記第1リンク部材は、前記3つ以上の回転体のうちの1つに固定され」という事項に相当する。
甲1-1発明の「前記近くに配置され60°曲げられてL字状を成すリンクと前記遠くに配置され90°曲げられてL字状を成すリンクとの間の回転対偶部のベクトルwi」は、本件発明1の「第1回転対偶部の第1中心軸」に相当し、甲1-1発明の「前記遠くに配置され90°曲げられてL字状を成すリンクと前記プラットフォームとの間の回転対偶部のベクトルvi」は、本件発明1の「第2回転対偶部の第2中心軸」に相当する。また、甲1-1発明の「点Pc」は、球面パラレルリンク機構の中心点であるから、本件発明1の「球面リンク中心点」に相当する。そうすると、甲1-1発明の「前記近くに配置され60°曲げられてL字状を成すリンクと前記遠くに配置され90°曲げられてL字状を成すリンクとの間の回転対偶部のベクトルwiと、前記遠くに配置され90°曲げられてL字状を成すリンクと前記プラットフォームとの間の回転対偶部のベクトルviとは点Pcを指」すという事項は、本件発明1の「前記第1回転対偶部の第1中心軸と、前記第2回転対偶部の第2中心軸とは球面リンク中心点で交わ」るという事項に相当する。
甲1-1発明の「前記3つの回転軸の前記ベクトルuは前記点Pcを指」すという事項は、本件発明1の「前記3つ以上の回転体の前記回転中心軸は前記球面リンク中心点と交わ」るという事項に相当する。
甲1-1発明の「球面パラレルリンク機構」は、本件発明1の「パラレルリンク機構」に相当する。
そうすると、本件発明1と甲1-1発明とは、以下の点で一致し、相違する。
【一致点1】
「基端側リンクハブと、
3つ以上のリンク機構と、
前記3つ以上のリンク機構のそれぞれと接続された3つ以上の回転体と、
先端側リンクハブとを備え、
前記3つ以上の回転体は、それぞれの回転中心軸が一致するように並んで配置された状態で前記基端側リンクハブと回転自在に連結され、
前記3つ以上のリンク機構のそれぞれは、
第1リンク部材と、
前記第1リンク部材に第1回転対偶部において回転可能に接続された第2リンク部材とを含み、
前記第2リンク部材は、前記先端側リンクハブに第2回転対偶部において回転可能に接続され、
前記3つ以上のリンク機構のそれぞれの前記第1リンク部材は、前記3つ以上の回転体のうちの1つに固定されており、
前記3つ以上のリンク機構において、前記第1回転対偶部の第1中心軸と、前記第2回転対偶部の第2中心軸とは球面リンク中心点で交わり、
前記3つ以上の回転体の前記回転中心軸は前記球面リンク中心点と交わる、パラレルリンク機構。」
【相違点1】
本件発明1は、「前記3つ以上の回転体は、環状に設けられており、前記3つ以上の回転体の内径は、互いに異なるように設けられており、前記3つ以上の回転体は、それぞれの前記回転中心軸が一致するように、前記回転中心軸に対する径方向において並んで配置されている」のに対し、甲1-1発明は、3つ以上の回転体の形状の詳細が不明であることから「環状に設けられて」いるか否か不明であり、「内径は、互いに異なるように設けられて」いるか否か不明であり、さらに、3つ以上の回転体は、それぞれの回転中心軸が一致するように配置されてはいるものの、一部が積層された状態で配置されており、「前記回転中心軸に対する径方向において並んで」配置されているものではない点。
イ 判断
上記2(1)イ及びウより、甲2に記載されている3つの回転体は、「環状に設けられており」、かつ、「前記回転中心軸に対する径方向において並んで配置されている」構成であるとは認められず、甲2には、上記構成が記載又は示唆されているとは認められない。
また、甲3~12、及び、参考1~4のいずれにも、上記構成は記載又は示唆されておらず、その他に、上記構成が本願出願時において周知技術又は当業者の技術常識であったと認めるに足る根拠もない。
したがって、甲1-1発明、甲2~12に記載された事項、参考1~4に記載された事項、及び、周知技術に基いて、3つ以上の回転体を「環状に」かつ「内径は、互いに異なるように」設け、それぞれの前記回転中心軸が一致するように、「前記回転中心軸に対する径方向において並んで」配置することで、上記相違点1に係る本件発明1の構成とすることは、当業者といえども容易に想到し得たことであるとはいえない。
よって、本件発明1は、甲1-1発明、甲2~甲12に記載された事項、参考1~4に記載された事項、及び、周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(2)本件発明3について
ア 対比
本件発明3と甲1-1発明とを対比すると上記(1)アの対比と同様の対比に加えて、甲1-1発明の「前記3つの回転軸は、それぞれのベクトルuが一致するように、前記3つの回転軸の一部が積層された状態で前記基端側部材と回転自在に連結され」という事項は、本件発明3の「前記3つ以上の回転体は、それぞれの回転中心軸が一致するように積層された状態で」「前記基端側リンクハブと回転自在に連結され」という事項に相当する。
そうすると、本件発明3と甲1-1発明とは、以下の点で一致し、相違する。
【一致点3】
「基端側リンクハブと、
3つ以上のリンク機構と、
前記3つ以上のリンク機構のそれぞれと接続された3つ以上の回転体と、
先端側リンクハブとを備え、
前記3つ以上の回転体は、それぞれの回転中心軸が一致するように積層された状態で前記基端側リンクハブと回転自在に連結され、
前記3つ以上のリンク機構のそれぞれは、
第1リンク部材と、
前記第1リンク部材に第1回転対偶部において回転可能に接続された第2リンク部材とを含み、
前記第2リンク部材は、前記先端側リンクハブに第2回転対偶部において回転可能に接続され、
前記3つ以上のリンク機構のそれぞれの前記第1リンク部材は、前記3つ以上の回転体のうちの1つに固定されており、
前記3つ以上のリンク機構において、前記第1回転対偶部の第1中心軸と、前記第2回転対偶部の第2中心軸とは球面リンク中心点で交わり、
前記3つ以上の回転体の前記回転中心軸は前記球面リンク中心点と交わる、パラレルリンク機構。」
【相違点3-1】
本件発明3は、「前記3つ以上の回転体の少なくともいずれか1つには、軸受が設置されており」、
「前記3つ以上の回転体の少なくともいずれか1つの前記軸受の外輪は、前記3つ以上の回転体の少なくともいずれか1つの内周面に接触するように配置されており、
前記3つ以上の回転体の少なくともいずれか1つの内周面において、前記基端側リンクハブ側の端部には、前記軸受の前記外輪を支持するための突起部が形成されており、
前記3つ以上の回転体の少なくともいずれか1つの前記基端側リンクハブに面する側と反対側の上面上には、押さえ部材が配置されており、
前記3つ以上の回転体の少なくともいずれか1つにおいて、前記押さえ部材は前記軸受の前記外輪を前記突起部側に向けて押圧するように、前記3つ以上の回転体の少なくともいずれか1つに固定されており、
前記3つ以上の回転体の少なくともいずれか1つの前記軸受の前記内輪は、前記ボルトの頭部と前記基端側リンクハブとの間で固定されており、
前記3つ以上の回転体の少なくともいずれか1つの前記軸受には、予圧が付与されている」のに対し、甲1-1発明は、このような軸受が設置されているか否か不明な点。
【相違点3-2】
本件発明3は、「前記基端側リンクハブと前記3つ以上の回転体の少なくともいずれか1つの前記軸受の内輪とに通されているボルトと、前記ボルトの先端部に固定されたナットとをさらに備え」、前記3つ以上の回転体は、「前記ボルトと前記ナットとにより」前記基端側リンクハブと回転自在に連結されているのに対し、甲1-1発明は、このようなボルトとナットを備えていない点。
イ 判断
事案に鑑み上記相違点3-2から検討する。
甲2~12、及び、参考1~4のいずれにも、3つ以上のリンク機構のそれぞれと接続され、それぞれの回転中心軸が一致するように積層され、前記3つ以上のリンク機構のそれぞれの第1リンク部材が固定されており、前記回転中心軸が球面リンク中心点と交わる「前記3つ以上の回転体」が「ボルトとナット」とにより「基端側リンクハブ」と回転自在に連結される構成は記載又は示唆されておらず、その他に、当該構成が本願出願時において周知技術又は当業者の技術常識であったと認めるに足る根拠もない。
したがって、甲1-1発明、甲2~12に記載された事項、参考1~4に記載された事項、及び、周知技術に基いて、前記3つ以上の回転体が、「前記ボルトと前記ナットとにより」前記基端側リンクハブと回転自在に連結されている構成とすることで、上記相違点3-2に係る本件発明3の構成とすることは、当業者といえども容易に想到し得たことであるとはいえない。
よって、本件発明3は、相違点3-1について検討するまでもなく、甲1発明1、甲2~甲12に記載された事項、参考1~4に記載された事項、及び、周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(3)本件発明4~5について
本件発明4~5は、本件発明3にさらに限定を付加したものであるから、上記(2)と同じ理由により、本件発明3を引用する本件発明4~5も、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(4)本件発明7~10について
本件発明7~10は、本件発明1または本件発明3にさらに限定を付加したものであるから、上記(1)または(2)と同じ理由により、本件発明1または本件発明3を引用する本件発明7~10も、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(5)本件発明13、15について
本件訂正により、請求項13が引用する請求項が、請求項7~請求項12のいずれか1項から請求項11又は請求項12に変更され、請求項15が引用する請求項が、請求項7~請求項14のいずれか1項から請求項11~請求項14のいずれか1項に変更され、その結果、取消理由を通知していない請求項のみを引用するものとなったので、後に「第6」で検討する。
(6)本件発明16について
ア 対比
本件発明16と甲1-2発明とを対比すると上記(1)アの対比と同様の対比に加えて、甲1-2発明の「球面パラレルリンク機構」は、本件発明16の「パラレルリンク機構」に相当し、甲1-2発明の「前記3つの回転軸を回転させ」という事項は、「3つ以上」が「3つ」を含み、「少なくとも3つ」が「3つ」を含むという点で、本件発明16の「前記3つ以上の回転体のうちの少なくとも3つの回転体を回転させ」という事項に相当し、甲1-2発明の前記プラットフォームの「姿勢を自由に変化させる」という事項は、本件発明16の前記先端側リンクハブの「姿勢を任意に変更する」という事項に相当し、甲1-2発明の「手首構造」は、球面パラレルリンク機構を備える点で、本件発明16の「リンク作動装置」に相当する。
そうすると、本件発明16と甲1-2発明とは、以下の点で一致し、相違する。
[一致点16]
「パラレルリンク機構を備え、
前記パラレルリンク機構は、
基端側リンクハブと、
3つ以上のリンク機構と、
前記3つ以上のリンク機構のそれぞれと接続された3つ以上の回転体と、
先端側リンクハブとを備え、
前記3つ以上の回転体は、それぞれの回転中心軸が一致するように並んで配置された状態で前記基端側リンクハブと回転自在に連結され、
前記3つ以上のリンク機構のそれぞれは、
第1リンク部材と、
前記第1リンク部材に第1回転対偶部において回転可能に接続された第2リンク部材とを含み、
前記第2リンク部材は、前記先端側リンクハブに第2回転対偶部において回転可能に接続され、
前記3つ以上のリンク機構のそれぞれの前記第1リンク部材は、前記3つ以上の回転体のうちの1つに固定されており、
前記3つ以上のリンク機構において、前記第1回転対偶部の第1中心軸と、前記第2回転対偶部の第2中心軸とは球面リンク中心点で交わり、
前記3つ以上の回転体の前記回転中心軸は前記球面リンク中心点と交わり、
前記基端側リンクハブは、前記3つ以上の回転体と対向する表面を有し、
前記3つ以上の回転体のうちの少なくとも3つの回転体を回転させ、前記基端側リンクハブに対する前記先端側リンクハブの姿勢を任意に変更する、リンク作動装置。」
[相違点16-1]
本件発明16は、前記3つ以上の回転体のうちの少なくとも3つの回転体を回転させ、前記基端側リンクハブに対する前記先端側リンクハブの姿勢を任意に変更する「姿勢制御用駆動源を備え」、「前記3つの回転体と前記姿勢制御用駆動源とが機械的に接続されて」いるのに対し、甲1-2発明は、前記3つ以上の回転体のうちの少なくとも3つの回転体を回転させ、前記基端側リンクハブに対する前記先端側リンクハブの姿勢を任意に変更する「姿勢制御用駆動源」を備えるか否か不明であり、「前記3つの回転体と前記姿勢制御用駆動源とが機械的に接続されて」いるか否か不明な点。
[相違点16-2]
本件発明16は、前記3つ以上の回転体の各々の「全体」が、前記基端側リンクハブの前記表面上に、前記基端側リンクハブ側から順に積層されているのに対し、甲1-2発明は、3つ以上の回転体が「その一部において」、前記基端側リンクハブの前記表面上に、前記基端側リンクハブ側から順に積層されている点。
イ 判断
事案に鑑み上記相違点16-2から検討する。
甲2~12、及び、参考1~4のいずれにも、3つ以上の回転体の各々の「全体」が、前記基端側リンクハブの前記表面上に、前記基端側リンクハブ側から順に積層されている構成は記載又は示唆されておらず、その他に、当該構成が本願出願時において周知技術又は当業者の技術常識であったと認めるに足る根拠もない。
したがって、甲1-2発明、甲2~甲12に記載された事項、参考1~4に記載された事項、及び、周知技術に基いて、3つ以上の回転体の各々の「全体」が、前記基端側リンクハブの前記表面上に、前記基端側リンクハブ側から順に積層されている構成とすることで、上記相違点16-2に係る本件発明16の構成とすることは、当業者といえども容易に想到し得たことであるとはいえない。
よって、本件発明16は、相違点16-1について検討するまでもなく、甲1発明2、甲2~甲12に記載された事項、参考1~4に記載された事項、及び、周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(7)本件発明17について
ア 対比
本件発明17と甲1-2発明とを対比すると、上記(6)アと同様の対比となり、本件発明17と甲1-2発明とは、以下の点で一致し、相違する。
[一致点17]
「パラレルリンク機構を備え、
前記パラレルリンク機構は、
基端側リンクハブと、
3つ以上のリンク機構と、
前記3つ以上のリンク機構のそれぞれと接続された3つ以上の回転体と、
先端側リンクハブとを備え、
前記3つ以上の回転体は、それぞれの回転中心軸が一致するように並んで配置された状態で前記基端側リンクハブと回転自在に連結され、
前記3つ以上のリンク機構のそれぞれは、
第1リンク部材と、
前記第1リンク部材に第1回転対偶部において回転可能に接続された第2リンク部材とを含み、
前記第2リンク部材は、前記先端側リンクハブに第2回転対偶部において回転可能に接続され、
前記3つ以上のリンク機構のそれぞれの前記第1リンク部材は、前記3つ以上の回転体のうちの1つに固定されており、
前記3つ以上のリンク機構において、前記第1回転対偶部の第1中心軸と、前記第2回転対偶部の第2中心軸とは球面リンク中心点で交わり、
前記3つ以上の回転体の前記回転中心軸は前記球面リンク中心点と交わり、
前記基端側リンクハブは、前記3つ以上の回転体と対向する表面を有し、
前記3つ以上の回転体のうちの少なくとも3つの回転体を回転させ、前記基端側リンクハブに対する前記先端側リンクハブの姿勢を任意に変更し、
前記3つ以上の回転体の各々は、前記基端側リンクハブの前記表面上に、前記基端側リンクハブ側から順に積層されている、リンク作動装置。」
[相違点17-1]
本件発明17は、前記3つ以上の回転体のうちの少なくとも3つの回転体を回転させ、前記基端側リンクハブに対する前記先端側リンクハブの姿勢を任意に変更する「姿勢制御用駆動源を備え」、「前記3つの回転体と前記姿勢制御用駆動源とが機械的に接続されて」いるのに対し、甲1-2発明は、前記3つ以上の回転体のうちの少なくとも3つの回転体を回転させ、前記基端側リンクハブに対する前記先端側リンクハブの姿勢を任意に変更する姿勢制御用駆動源を備えるか否か不明であり、「前記3つの回転体と前記姿勢制御用駆動源とが機械的に接続されて」いるか否か不明な点。
[相違点17-2]
本件発明17は、前記3つ以上の回転体の各々の「全体」が、前記基端側リンクハブの前記表面上に、前記基端側リンクハブ側から順に積層されているのに対し、甲1-2発明は、3つ以上の回転体が「その一部において」、前記基端側リンクハブの前記表面上に、前記基端側リンクハブ側から順に積層されている点。
[相違点17-3]
本件発明17は、「前記3つ以上の回転体の回転量を検出する回転量検出機構をさらに備える」のに対し、甲1-2発明は、「前記3つ以上の回転体の回転量を検出する回転量検出機構」を備えるか否か不明な点。
イ 判断
事案に鑑み、上記相違点17-2から検討すると、上記(6)イと同じ理由により、甲1-2発明、甲2~甲12に記載された事項、参考1~4に記載された事項、及び、周知技術に基いて、3つ以上の回転体の各々の「全体」が、前記基端側リンクハブの前記表面上に、前記基端側リンクハブ側から順に積層されている構成とすることで、上記相違点17-2に係る本件発明17の構成とすることは、当業者といえども容易に想到し得たことであるとはいえない。
よって、本件発明17は、相違点17-1及び相違点17-3について検討するまでもなく、甲1発明2、甲2~甲12に記載された事項、参考1~4に記載された事項、及び、周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
第6 取消理由通知において採用しなかった特許異議の申立の理由について
1 取消理由通知において採用しなかった特許異議の申立の理由の概要
取消理由通知において採用しなかった特許異議の申立の理由は、概ね、次のとおりである。
(1)請求項11に係る特許は、甲1に記載された発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項11に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
(2)請求項12に係る特許は、甲1に記載された発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項12に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
(3)請求項14に係る特許は、甲1に記載された発明及び甲9に開示された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項14に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
(4)本件明細書等には「前記回転中心軸の周りを囲むように環状の貫通孔が形成され」た回転体が記載されておらず、請求項4に係る特許は発明の詳細な説明に記載したものとはいえないから、請求項4に係る特許は、特許法第36条第6項第1号の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
2 本件発明11の進歩性について
(1)対比
本件発明11と、甲1-3発明とを対比する。
甲1-3発明の「球面パラレルリンク機構」は、本件発明11の「パラレルリンク機構」に相当する。
甲1-3発明の「基端側部材」は、本件発明11の「基端側リンクハブ」に相当する。
甲1-3発明の「3つのリンク部分」は、「3つ以上」が「3つ」を含むという点で、本件発明11の「3つ以上のリンク機構」に相当する。
甲1-3発明の「3つの回転軸」は、「1つ以上」が「3つ」を含むという点で、本件発明11の「1つ以上の回転体」に相当する。
甲1-3発明の「前記3つのリンク部分のそれぞれと接続された3つの回転軸」は、本件発明11の「前記3つ以上のリンク機構のうちの少なくとも1つのリンク機構と接続された1つ以上の回転体」に相当する。
甲1-3発明の「プラットフォーム」は、本件発明11の「先端側リンクハブ」に相当する。
甲1-3発明の「近くに配置され60°曲げられてL字状を成すリンク」は、本件発明11の「第1リンク部材」に相当し、甲1-3発明の「遠くに配置され90°曲げられてL字状を成すリンク」は、本件発明11の「第2リンク部材」に相当し、甲1-3発明の近くに配置され60°曲げられてL字状を成すリンクと遠くに配置され90°曲げられてL字状を成すリンクとの間の「回転対偶部」は、本件発明11の「第1回転対偶部」に相当する。そうすると、甲1-3発明の「近くに配置され60°曲げられてL字状を成すリンクと、前記近くに配置され60°曲げられてL字状を成すリンクに回転対偶部において回転可能に接続された遠くに配置され90°曲げられてL字状を成すリンクとにより構成され」ているという事項は、本件発明11の「第1リンク部材と、前記第1リンク部材に第1回転対偶部において回転可能に接続された第2リンク部材とを含」んでいるという事項に相当する。
甲1-3発明の遠くに配置され90°曲げられてL字状を成すリンクとプラットフォームとの間の「回転対偶部」は、本件発明11の「第2回転対偶部」に相当する。
甲1-3発明の「前記3つのリンク部分のそれぞれの前記近くに配置され60°曲げられてL字状を成すリンクは、前記3つの回転軸のうちの1つと一体に構成され」という事項は、本件発明11の「前記少なくとも1つのリンク機構の前記第1リンク部材は、前記1つ以上の回転体に固定され」という事項に相当する。
甲1-3発明の「前記近くに配置され60°曲げられてL字状を成すリンクと前記遠くに配置され90°曲げられてL字状を成すリンクとの間の回転対偶部のベクトルwi」は、本件発明11の「第1回転対偶部の第1中心軸」に相当し、甲1-3発明の「前記遠くに配置され90°曲げられてL字状を成すリンクと前記プラットフォームとの間の回転対偶部のベクトルvi」は、本件発明11の「第2回転対偶部の第2中心軸」に相当する。また、甲1-3発明の「点Pc」は、球面パラレルリンク機構の中心点であるから、本件発明11の「球面リンク中心点」に相当する。そうすると、甲1-3発明において、「前記近くに配置され60°曲げられてL字状を成すリンクと前記遠くに配置され90°曲げられてL字状を成すリンクとの間の回転対偶部のベクトルwiと、前記遠くに配置され90°曲げられてL字状を成すリンクと前記プラットフォームとの間の回転対偶部のベクトルviとは点Pcを指」すという事項は、本件発明11における、「前記第1回転対偶部の第1中心軸と、前記第2回転対偶部の第2中心軸とは球面リンク中心点で交わ」るという事項に相当する。
甲1-3発明の3つの回転軸の「ベクトルu」は、本件発明11の1つ以上の回転体の「回転中心軸」に相当するから、甲1-3発明の「前記3つの回転軸のベクトルuは前記点Pcを指」すという事項は、本件発明11の「前記1つ以上の回転体の回転中心軸は前記球面リンク中心点と交わ」るという事項に相当する。
甲1-3発明の前記プラットフォームの「姿勢を自由に変化させる」という事項は、本件発明11の前記先端側リンクハブの「姿勢を任意に変更する」という事項に相当する。
甲1-3発明の「手首構造」は、球面パラレルリンク機構を備える点で、本件発明11の「リンク作動装置」に相当する。
そうすると、本件発明11と甲1-3発明とは、以下の点で一致し、相違する。
[一致点11]
「パラレルリンク機構を備え、
前記パラレルリンク機構は、
基端側リンクハブと、
3つ以上のリンク機構と、
前記3つ以上のリンク機構のうちの少なくとも1つのリンク機構と接続された1つ以上の回転体と、
先端側リンクハブとを備え、
前記1つ以上の回転体は、前記基端側リンクハブと回転自在に連結され、
前記3つ以上のリンク機構のそれぞれは、
第1リンク部材と、
前記第1リンク部材に第1回転対偶部において回転可能に接続された第2リンク部材とを含み、
前記第2リンク部材は、前記先端側リンクハブに第2回転対偶部において回転可能に接続され、
前記少なくとも1つのリンク機構の前記第1リンク部材は、前記1つ以上の回転体に固定されており、
前記3つ以上のリンク機構において、前記第1回転対偶部の第1中心軸と、前記第2回転対偶部の第2中心軸とは球面リンク中心点で交わり、
前記1つ以上の回転体の回転中心軸は前記球面リンク中心点と交わり、
前記1つ以上の回転体を回転させ、前記基端側リンクハブに対する前記先端側リンクハブの姿勢を任意に変更する、リンク作動装置。」
[相違点11-1]
本件発明11は、前記1つ以上の回転体を回転させ、前記基端側リンクハブに対する前記先端側リンクハブの姿勢を任意に変更する「姿勢制御用駆動源を備え」ているのに対し、甲1-3発明は、そのような姿勢制御用駆動源を備えるか否か不明な点。
[相違点11-2]
本件発明11は、「前記1つ以上の回転体と前記姿勢制御用駆動源とが磁気的に接続されている」のに対し、甲1-3発明は、前記1つ以上の回転体と前記姿勢制御用駆動源とが磁気的に接続されているか否か不明な点。
(2)判断
事案に鑑み上記相違点11-2から検討する。
甲2~12、及び、参考1~4のいずれにも、3つ以上のリンク機構のうちの少なくとも1つのリンク機構と接続され、基端側リンクハブと回転自在に連結され、前記少なくとも1つのリンク機構の第1リンク部材が固定され、回転中心軸が球面リンク中心点と交わる「前記1つ以上の回転体」と「前記姿勢制御用駆動源」とを磁気的に接続する構成は、記載又は示唆されておらず、その他に、当該構成が本願出願時において周知技術又は当業者の技術常識であったと認めるに足る根拠もない。
したがって、甲1-3発明、甲2~甲12に記載された事項、参考1~4に記載された事項、及び、周知技術に基いて、「前記1つ以上の回転体と前記姿勢制御用駆動源とが磁気的に接続されている」構成とすることで、上記相違点11-2に係る本件発明11の構成とすることは、当業者といえども容易に想到し得たことであるとはいえない。
よって、本件発明11は、相違点11-1について検討するまでもなく、甲1発明3、甲2~甲12に記載された事項、参考1~4に記載された事項、及び、周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
3 本件発明12の進歩性について
(1)対比
本件発明12と、甲1-3発明とを対比すると、上記2(1)と同様の対比となり、本件発明12と甲1-3発明とは、以下の点で一致し、相違する。
[一致点12]
「パラレルリンク機構を備え、
前記パラレルリンク機構は、
基端側リンクハブと、
3つ以上のリンク機構と、
前記3つ以上のリンク機構のうちの少なくとも1つのリンク機構と接続された1つ以上の回転体と、
先端側リンクハブとを備え、
前記1つ以上の回転体は、前記基端側リンクハブと回転自在に連結され、
前記3つ以上のリンク機構のそれぞれは、
第1リンク部材と、
前記第1リンク部材に第1回転対偶部において回転可能に接続された第2リンク部材とを含み、
前記第2リンク部材は、前記先端側リンクハブに第2回転対偶部において回転可能に接続され、
前記少なくとも1つのリンク機構の前記第1リンク部材は、前記1つ以上の回転体に固定されており、
前記3つ以上のリンク機構において、前記第1回転対偶部の第1中心軸と、前記第2回転対偶部の第2中心軸とは球面リンク中心点で交わり、
前記1つ以上の回転体の回転中心軸は前記球面リンク中心点と交わり、
前記1つ以上の回転体を回転させ、前記基端側リンクハブに対する前記先端側リンクハブの姿勢を任意に変更する、リンク作動装置。」
[相違点12-1]
本件発明12は、前記1つ以上の回転体を回転させ、前記基端側リンクハブに対する前記先端側リンクハブの姿勢を任意に変更する「姿勢制御用駆動源を備え」ているのに対し、甲1-3発明は、そのような姿勢制御用駆動源を備えるか否か不明な点。
[相違点12-2]
本件発明12は、「前記1つ以上の回転体は、磁石を含み、前記姿勢制御用駆動源は、前記回転中心軸に対する径方向において前記磁石と対向して配置されたコイルを含む」のに対し、甲1-3発明は、そのような磁石やコイルを含むか否か不明な点。
(2)判断
事案に鑑み上記相違点12-2から検討する。
甲2~3、甲5、甲10~12のいずれにも、3つ以上のリンク機構のうちの少なくとも1つのリンク機構と接続され、基端側リンクハブと回転自在に連結され、前記少なくとも1つのリンク機構の第1リンク部材が固定され、回転中心軸が球面リンク中心点と交わる「前記1つ以上の回転体」に磁石を設け、「前記姿勢制御用駆動源」に、回転中心軸に対する径方向において前記磁石と対向したコイルを設ける構成は、記載又は示唆されていない。
さらに、甲4、甲6~9、参考1~4のいずれにも、上記構成は記載又は示唆されておらず、その他に、上記構成が本願出願時において周知技術又は当業者の技術常識であったと認めるに足る根拠もない。
したがって、甲1-3発明、甲2~甲12に記載された事項、参考1~4に記載された事項、及び、周知技術に基いて、「前記1つ以上の回転体は、磁石を含み、前記姿勢制御用駆動源は、前記回転中心軸に対する径方向において前記磁石と対向して配置されたコイルを含む」構成とすることで、上記相違点12-2に係る本件発明12の構成とすることは、当業者といえども容易に想到し得たことであるとはいえない。
よって、本件発明12は、相違点12-1について検討するまでもなく、甲1発明3、甲2~甲12に記載された事項、参考1~4に記載された事項、及び、周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
4 本件発明13の進歩性について
本件発明13は、本件発明11又は本件発明12にさらに限定を付加したものであるから、上記2又は3と同じ理由により、本件発明11又は本件発明12を引用する本件発明13も、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
5 本件発明14の進歩性について
(1)対比
本件発明14と、甲1-3発明とを対比すると、上記2(1)と同様の対比となり、本件発明14と甲1-3発明とは、以下の点で一致し、相違する。
[一致点14]
「パラレルリンク機構を備え、
前記パラレルリンク機構は、
基端側リンクハブと、
3つ以上のリンク機構と、
前記3つ以上のリンク機構のうちの少なくとも1つのリンク機構と接続された1つ以上の回転体と、
先端側リンクハブとを備え、
前記1つ以上の回転体は、前記基端側リンクハブと回転自在に連結され、
前記3つ以上のリンク機構のそれぞれは、
第1リンク部材と、
前記第1リンク部材に第1回転対偶部において回転可能に接続された第2リンク部材とを含み、
前記第2リンク部材は、前記先端側リンクハブに第2回転対偶部において回転可能に接続され、
前記少なくとも1つのリンク機構の前記第1リンク部材は、前記1つ以上の回転体に固定されており、
前記3つ以上のリンク機構において、前記第1回転対偶部の第1中心軸と、前記第2回転対偶部の第2中心軸とは球面リンク中心点で交わり、
前記1つ以上の回転体の回転中心軸は前記球面リンク中心点と交わり、
前記1つ以上の回転体を回転させ、前記基端側リンクハブに対する前記先端側リンクハブの姿勢を任意に変更する、リンク作動装置。」
[相違点14-1]
本件発明14は、前記1つ以上の回転体を回転させ、前記基端側リンクハブに対する前記先端側リンクハブの姿勢を任意に変更する「姿勢制御用駆動源を備え」ているのに対し、甲1-3発明は、そのような姿勢制御用駆動源を備えるか否か不明な点。
[相違点14-2]
本件発明14は、「前記1つ以上の回転体は、4つの回転体であり、前記姿勢制御用駆動源は、前記4つの回転体を回転させる」のに対し、甲1-3発明は、前記1つ以上の回転体は「3つの」回転体であり、「3つの」回転体が回転させられている点。
(2)判断
事案に鑑み上記相違点14-2から検討する。
甲9には、3つ以上のリンク機構のうちの少なくとも1つのリンク機構と接続され、基端側リンクハブと回転自在に連結され、前記少なくとも1つのリンク機構の第1リンク部材が固定され、回転中心軸が球面リンク中心点と交わる「前記1つ以上の回転体」が4つである構成は、記載又は示唆されていない。
さらに、甲1~8、甲10~12、参考1~4のいずれにも、上記構成は記載又は示唆されておらず、その他に、上記構成が本願出願時において周知技術又は当業者の技術常識であったと認めるに足る根拠もない。
したがって、甲1-3発明、甲2~甲12に記載された事項、参考1~4に記載された事項、及び、周知技術に基いて、「前記1つ以上の回転体は、4つの回転体であり、前記姿勢制御用駆動源は、前記4つの回転体を回転させる」構成とすることで、上記相違点14-2に係る本件発明14の構成とすることは、当業者といえども容易に想到し得たことであるとはいえない。
よって、本件発明14は、相違点14-1について検討するまでもなく、甲1発明3、甲2~甲12に記載された事項、参考1~4に記載された事項、及び、周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
6 本件発明15の進歩性について
本件発明15は、本件発明11~本件発明14のいずれかにさらに限定を付加したものであるから、上記2~5と同じ理由により、本件発明11~本件発明14のいずれかを引用する本件発明15も、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
7 本件発明4のサポート要件について
異議申立書に記載されている理由は、「本件特許発明4の特許請求の範囲には、「前記3つ以上の回転体には、前記回転中心軸の周りを囲むように環状の貫通孔が形成され、」とある。本件明細書を検討したが、回転中心軸の回りを囲む環状の貫通孔が形成された回転体について記載されていない。よって、特許を受けようとする発明は、発明の詳細な説明に記載したものとはいえない。」というものである。
本件訂正後の請求項4にも「前記3つ以上の回転体には、前記回転中心軸の周りを囲むように環状の貫通孔が形成され、」と記載されているところ、本件明細書等の【0066】には、「上記パラレルリンク機構において、3つ以上の回転体2a~2cには、回転中心軸12の周りを囲むように環状の貫通孔27a~27cが形成されている。」と記載されているから、「前記3つ以上の回転体には、前記回転中心軸の周りを囲むように環状の貫通孔が形成され、」という事項は、発明の詳細な説明に記載されている。
よって、本件発明4は、発明の詳細な説明に記載されたものである。
第7 申立人の主張について
1 令和6年1月18日提出の意見書での主張
申立人は、令和6年1月18日提出の意見書で、周知技術を示す文献として参考1~3を挙げた上で、以下の主張をしている。
(1)令和5年11月27日提出の訂正請求書による訂正後の請求項3(本件発明3に相当する)、及び、当該請求項3に従属する請求項は、甲1に記載された発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
2 令和7年5月15日提出の意見書での主張
申立人は、令和7年5月15日提出の意見書で、公知技術が記載されている文献として参考4を挙げた上で、以下の主張をしている。
(1)本件発明3は、甲1に記載された発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
(2)本件発明16は、甲1に記載された発明である。
(3)本件発明16は、甲1に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
(4)本件発明17の「前記1つ以上の回転量を検出する回転量検出機構をさらに備える」という構成は周知であるから、本件発明17は、甲1に記載された発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
3 主張についての検討
(1)上記1(1)及び2(1)の主張について
参考1~3には、リンク部材同士や、リンク部材と先端側リンクハブとが、「ボルトとナット」により回転自在に連結される構成は記載されているが、「前記3つ以上の回転体」が「ボルトとナット」とにより「基端側リンクハブ」と回転自在に連結される構成は記載又は示唆されていない。
参考4には、回転体と基端側リンクハブとが回転自在に連結される構成は記載されているが、これらが「ボルトとナット」とにより回転自在に連結される構成は記載又は示唆されていない。
よって、参考1~4のいずれにも、3つ以上のリンク機構のそれぞれと接続され、それぞれの回転中心軸が一致するように積層され、前記3つ以上のリンク機構のそれぞれの第1リンク部材が固定されており、前記回転中心軸が球面リンク中心点と交わる「前記3つ以上の回転体」が「ボルトとナット」とにより「基端側リンクハブ」と回転自在に連結される構成は記載又は示唆されていない。
したがって、上記「第5」17(2)イに示したとおり、甲1-1発明、甲2~12に記載された事項、参考文献1~4に記載された事項、及び、周知技術に基いて、前記3つ以上の回転体が、「前記ボルトと前記ナットとにより」前記基端側リンクハブと回転自在に連結されている構成とすることは、当業者といえども容易に発明をすることができたものとはいえず、上記1(1)及び2(1)の主張を採用することはできない。
(2)上記2(2)~(3)の主張について
申立人は、甲1のFigure 2の中で青、赤、緑で強調されており、ベクトルuを中心に回転する部分のうち、基端側部材よりも上方にある部分のみを「回転体」とし、3つの回転体の全てが基端側部材の表面上に、基端側部材側から順に積層されている旨、主張する。
また、基端側部材の表面上に配置する部分を回転体の全てとするか、又は回転体の一部とするか、ということは当業者の通常の創作能力の発揮の範囲内である旨、主張する。
しかし、甲1のFigure 2の中で青、赤、緑で強調されており、ベクトルuを中心に回転する部分の構成の詳細は甲1には記載されておらず、基端側部材よりも上方にある部分のみが「回転体」であることが自明であると認めるに足る根拠もない。
したがって、本件発明16は甲1に記載された発明ではないから、上記2(2)の主張を採用することができない。
また、甲1に記載された発明において、基端側部材の表面上に配置する部分を回転体の全てとする動機付けがあると認めるに足る根拠もない。
したがって、本件発明16は甲1に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、上記2(3)の主張を採用することができない。
(3)上記2(4)の主張について
本件発明17は、本件発明16に「前記1つ以上の回転量を検出する回転量検出機構をさらに備える」という構成を付加したものであり、申立人の上記2(4)の主張は、当該追加された構成が周知であるから、本件発明17は、甲1に記載された発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるというものである。つまり、上記2(2)または(3)の主張が採用されることを前提とした主張である。
しかし、上記(2)に示したとおり、上記2(2)~(3)の主張は採用することができないから、上記2(4)の主張も採用することができない。
第8 むすび
以上のとおり、取消理由通知に記載した取消理由、及び特許異議申立書に記載した特許異議の申立ての理由によっては、本件の請求項1、3~5、7~17に係る特許を取り消すことができない。
また、他に本件の請求項1、3~5、7~17に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
本件の請求項2、6に係る特許は、本件訂正により削除され、特許異議の申立ての対象が存在しなくなったため、当該特許に係る申立ては、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。
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2023-700472