特許異議申立
2022-700968
選挙投票用紙及びその製造方法
- 審判番号
- 2022-700968
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2022-023810
- 登録番号
- 7049733
- 請求日
- 2022年09月30日
- 審決日
- 2024年04月10日
- 公報発行日
- 2024年07月26日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】株式会社TBM
- 【権利者代理人】正林 真之
- 【権利者代理人】林 一好
- 【権利者代理人】新山 雄一
- 【異議申立人】神谷 高伸
- 【異議申立人】山田 友則
- 審判長/審判官
- 審判長 殿川 雅也
- 審判官 藤本 義仁
- 審判官 門 良成
- 分類
- P1651.121-YAA(B32B) / P1651.537-YAA(B32B) / P1651.851-YAA(B32B)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法120条の8第1項特許法135条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第5項、特許法第36条第6項第1号、特許法第113条第2号、特許法第29条、特許法第120条の5第4項、特許法第120条の8第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7049733号発明「選挙投票用紙及びその製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7049733号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-8〕、〔9-10〕について」)訂正することを認める。
特許第7049733号の請求項1、5、7乃至9に係る特許を維持する。
特許第7049733号の請求項2乃至4、6及び10に係る申立ては却下する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7049733号の請求項1乃至10に係る特許についての出願は、令和4年2月18日に出願され、同年3月30日にその特許権の設定登録がされ、同年4月7日に特許掲載公報が発行された。その後、同年9月30日付けで特許異議申立人 神谷 高伸(以下「異議申立人1」という。)、及び、同年10月4日付けで特許異議申立人 山田 友則(以下「異議申立人2」という。)より各々請求項1乃至10に対して特許異議の申立てがされ、令和5年1月25日付けで取消理由が通知され、同年3月28日に特許権者より意見書及び訂正請求書が提出され、同年5月10日付けで特許法第120条の5第5項に基づく訂正請求があった旨の通知(以下「通知書」という。)を異議申立人1及び2に対して行ったところ、同年6月9日に異議申立人2から意見書が提出され、同年9月26日付けで取消理由(決定の予告)が通知され、同年10月20日に特許権者より意見書及び訂正請求書が提出され、同年11月21日付けで特許法第120条の5第5項に基づく訂正請求があった旨の通知(以下「通知書」という。)を異議申立人1及び2に対して行ったところ、特許異議申立人1及び2から応答がなかったものである。
第2 本件訂正請求による訂正の適否についての判断
1 本件訂正の内容
本件訂正請求による訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は以下のとおりである。(注:下線部分は訂正箇所を示す。)
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「基材」と記載されているのを、「前記基材が、熱可塑性樹脂と、無機物質粉末とを質量比40:60~20:80の割合で含」む点、及び「前記熱可塑性樹脂が、ポリプロピレン系樹脂であ」る点を訂正する。
請求項1を引用する請求項5、7及び8も同様に訂正する。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項1に「クレイ」と記載されているのを、「前記クレイの体積平均粒子径が、0.29μm」である点を訂正する。
請求項1を引用する請求項5、7及び8も同様に訂正する。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項1に「前記クレイの含有量が、前記コート層に対して、35質量%以上65質量%以下」と記載されているのを、「前記クレイの含有量が、前記コート層に対して、40質量%」と訂正する。
請求項1を引用する請求項5、7及び8も同様に訂正する。
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項1に「前記重質炭酸カルシウムの含有量が、前記コート層に対して、5質量%以上30質量%以下」と記載されているのを、「前記重質炭酸カルシウムの含有量が、前記コート層に対して、8質量%以上25質量%以下」に訂正する。
請求項1を引用する請求項5、7及び8も同様に訂正する。
(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項1に「前記重質炭酸カルシウムの体積平均粒子径が、0.05μm以上2.00μm以下」と記載されているのを、「前記重質炭酸カルシウムの体積平均粒子径が、0.15μm」に訂正する。
請求項1を引用する請求項5、7及び8も同様に訂正する。
(6)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項1に「前記網点印刷部のJIS P8147:2010に準拠した静摩擦係数が、0.45以上0.55以下」と記載されているのを、「前記網点印刷部のJIS P8147:2010に準拠した静摩擦係数が、0.47以上0.53以下」に訂正する。
請求項1を引用する請求項5、7及び8も同様に訂正する。
(7)訂正事項7
特許請求の範囲の請求項1に「前記網点印刷部のJIS P8147:2010に準拠した動摩擦係数が、0.25以上0.35以下」と記載されているのを、「前記網点印刷部のJIS P8147:2010に準拠した動摩擦係数が、0.27以上0.33以下」に訂正する。
請求項1を引用する請求項5、7及び8も同様に訂正する。
(8)訂正事項8
特許請求の範囲の請求項1に「前記網点印刷部のJIS B0601:2001に準拠した算術平均高さが、0.6μm以上0.9μm以下」と記載されているのを、「前記網点印刷部のJIS B0601:2001に準拠した算術平均高さが、0.71μm以上0.80μm以下」に訂正する。
請求項1を引用する請求項5、7及び8も同様に訂正する。
(9)訂正事項9
特許請求の範囲の請求項1に「網点印刷部」と記載されているのを、「前記網点印刷部の網点パーセントが、15%以上25%以下」である点に訂正する。
請求項1を引用する請求項5、7及び8も同様に訂正する。
(10)訂正事項10
特許請求の範囲の請求項1に「前記基材及び前記コート層に含まれる色素の含有量の総量が、前記基材及び前記コート層に対して、0.1質量%以下である」と記載されているのを、「前記基材及び前記コート層には、色素が含まれない」に訂正する。
請求項1を引用する請求項5、7及び8も同様に訂正する。
(11)訂正事項11
特許請求の範囲の請求項2を削除する。
(12)訂正事項12
特許請求の範囲の請求項3を削除する。
(13)訂正事項13
特許請求の範囲の請求項4を削除する。
(14)訂正事項14
特許請求の範囲の請求項5に「請求項1から4の何れかに記載の選挙投票用紙。」と記載されているのを、「請求項1に記載の選挙投票用紙。」に訂正する。
請求項5を引用する請求項7及び8も同様に訂正する。
(15)訂正事項15
特許請求の範囲の請求項6を削除する。
(16)訂正事項16
特許請求の範囲の請求項7に「請求項1から6の何れかに記載の選挙投票用紙。」と記載されているのを、「請求項1又は5に記載の選挙投票用紙。」に訂正する。
請求項7を引用する請求項8も同様に訂正する。
(17)訂正事項17
特許請求の範囲の請求項9に「ポリオレフィン系樹脂と、無機物質粉末と、を質量比50:50~10:90の割合で含む樹脂組成物を押出成形することで基材を得る工程」と記載されているのを、「ポリオレフィン系樹脂と、無機物質粉末と、を質董比40:60~20:80の割合で含む樹脂組成物を押出成形することで基材を得る工程」に訂正する。
(18)訂正事項18
特許請求の範囲の請求項9に「基材」と記載されているのを、「前記基材は、押出成形後に二軸延伸されたもの」である点に訂正する。
(19)訂正事項19
特許請求の範囲の請求項9に「クレイ」と記載されているのを、「前記クレイの体積平均粒子径が、0.29μm」である点に訂正する。
(20)訂正事項20
特許請求の範囲の請求項9に「前記クレイの含有量が、前記コート層に対して、35質量%以上65質量%以下」と記載されているのを、「前記クレイの含有量が、前記コート層に対して、40質量%」に訂正する。
(21)訂正事項21
特許請求の範囲の請求項9に「前記重質炭酸カルシウムの含有量が、前記コート層に対して、5質量%以上30質量%以下」と記載されているのを、「前記重質炭酸カルシウムの含有量が、前記コート層に対して、8質量%以上25質量%以下」に訂正する。
(22)訂正事項22
特許請求の範囲の請求項9の「重質炭酸カルシウム」について、その体積平均粒子径を、「前記重質炭酸カルシウムの体積平均粒子径が、0.15μm以下」に訂正する。
(23)訂正事項23
特許請求の範囲の請求項9に「前記網点印刷部のJIS P8147:2010に準拠した静摩擦係数が、0.45以上0.55以下」と記載されているのを、「前記網点印刷部のJIS P8147:2010に準拠した静摩擦係数が、0.47以上0.53以下」に訂正する。
(24)訂正事項24
特許請求の範囲の請求項9に「前記網点印刷部のJIS P8147:2010に準拠した動摩擦係数が、0.25以上0.35以下」と記載されているのを、「前記網点印刷部のJISP 8147:2010に準拠した動摩擦係数が、0.27以上0.33以下」に訂正する。
(25)訂正事項25
特許請求の範囲の請求項9に「前記網点印刷部のJIS B0601:2001に準拠した算術平均高さが、0.6μm以上0.9μm以下」と記載されているのを、「前記網点印刷部のJIS B0601:2001に準拠した算術平均高さが、0.71μm以上0.80μm以下」に訂正する。
(26)訂正事項26
特許請求の範囲の請求項9に「網点印刷部」と記載されているのを、「前記網点印刷部の網点パーセントが、15%以上25%以下」である点に訂正する。
(27)訂正事項27
特許請求の範囲の請求項9に「前記基材及び前記コート層に含まれる色素の含有量の総量が、前記基材及び前記コート層に対して、0.1質量%以下である」と記載されているのを、「前記基材及び前記コート層には色素が含まれない」に訂正する。
(28)訂正事項28
特許請求の範囲の請求項10を削除する。
2 一群の請求項について
訂正前の請求項1乃至8について、請求項2乃至8は、請求項1を直接的又は間接的に引用しているものであって、訂正事項1乃至10により記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。
したがって、訂正前の請求項1乃至8に対応する訂正後の請求項1、5、7及び8は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。
3 訂正の目的の適否、特許請求の範囲の拡張・変更の存否、及び新規事項の有無について
(1)一群の請求項1乃至8についての訂正
ア 訂正事項1について
(ア)訂正の目的について
訂正事項1は、特許請求の範囲の請求項1の「基材」について、「前記基材が、熱可塑性樹脂と、無機物質粉末とを質量比40:60~20:80の割合で含」むと限定し、さらに、「基材」に含まれる「熱可塑性樹脂」について、「前記熱可塑性樹脂が、ポリプロピレン系樹脂であ」ると限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
請求項1を引用する請求項5、7及び8についても、「基材」について、「前記基材が、熱可塑性樹脂と、無機物質粉末とを質量比40:60~20:80の割合で含」むと限定し、さらに、「基材」に含まれる「熱可塑性樹脂」について、「前記熱可塑性樹脂が、ポリプロピレン系樹脂であ」ると限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
訂正事項1は、上記(ア)のとおり、減縮を目的とする訂正であって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
(ウ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項1について、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面には、段落【0168】【表1】に示されている実施例1-1乃至1-5及び段落【0169】【表2】に示されている実施例2-1乃至2-5の基材が、ポリオリフェン系樹脂と無機物質粉末とを質量比40:60~20:80で構成され、さらに、当該ポリオリフェン系樹脂について、段落【0156】に「ポリオレフィン系樹脂: ポリプロピレン単独重合体( 融点160℃)」と記載されているから、当該訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でするものであって、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
イ 訂正事項2について
(ア)訂正の目的について
訂正事項2は、特許請求の範囲の請求項1の「クレイ」について、「前記クレイの体積平均粒子径が、0.29μm」と限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
請求項1を引用する請求項5、7及び8についても、「クレイ」について、「前記クレイの体積平均粒子径が、0.29μm」と限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
訂正事項2は、上記(ア)のとおり、減縮を目的とする訂正であって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
(ウ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項2について、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面には、段落【0168】【表1】に示されている実施例1-1乃至1-3、1-5及び段落【0169】【表2】に示されている実施例2-1乃至2-3、2-5のクレイ1について、段落【0157】に「クレイ-1:カオリンクレイ(体積平均粒子径0.29μm、比重2.5)」と記載されているから、当該訂正事項2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でするものであって、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
ウ 訂正事項3について
(ア)訂正の目的について
訂正事項3は、特許請求の範囲の請求項1の「コート層」に対する「クレイの含有量」について、「35質量%以上65質量%以下」であったものを、「40質量%」と限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
請求項1を引用する請求項5、7及び8についても、「コート層」に対する「クレイの含有量」について、「35質量%以上65質量%以下」であってものを、「40質量%」と限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
訂正事項3は、上記(ア)のとおり、減縮を目的とする訂正であって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
(ウ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項3について、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面には、段落【0168】【表1】に示されている実施例1-1乃至1-5及び段落【0169】【表2】に示されている実施例2-1乃至2-5における「コート層」に対する「クレイの含有量」はいずれも、40質量%と記載されているから、当該訂正事項3は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でするものであって、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
エ 訂正事項4について
(ア)訂正の目的について
訂正事項4は、特許請求の範囲の請求項1の「コート層」に対する「重質炭酸カルシウムの含有量」について、「5質量%以上30質量%以下」であったものを、「8質量%以上25質量%以下」と限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
請求項1を引用する請求項5、7及び8についても、「コート層」に対する「重質炭酸カルシウムの含有量」について、「5質量%以上30質量%以下」であってものを、「8質量%以上25質量%以下」と限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
訂正事項4は、上記(ア)のとおり、減縮を目的とする訂正であって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
(ウ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項4について、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面には、段落【0168】【表1】に示されている実施例1-1乃至1-5及び段落【0169】【表2】に示されている実施例2-1乃至2-5における「コート層」に対する「重質炭酸カルシウムの含有量」は、8質量%以上25質量%以下の範囲であることが記載されているから、当該訂正事項4は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でするものであって、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
オ 訂正事項5について
(ア)訂正の目的について
訂正事項5は、特許請求の範囲の請求項1の「重質炭酸カルシウムの体積平均粒子径」について、訂正前の「0.05μm以上2.00μm以下」であったものを、「0.15μm」と限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
請求項1を引用する請求項5、7及び8についても、「重質炭酸カルシウムの体積平均粒子径」について訂正前の「0.05μm以上2.00μm以下」であったものを、「0.15μm」と限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
訂正事項5は、上記(ア)のとおり、減縮を目的とする訂正であって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
(ウ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項5について、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面には、段落【0168】【表1】に示されている実施例1-1乃至1-5及び段落【0169】【表2】に示されている実施例2-1乃至2-5のコート層に含まれる炭酸カルシウム2について、段落【0157】に「炭酸カルシウム-2:重質炭酸カルシウム(体積平均粒子径0.15μm、比重2.6)」と記載されているから、当該訂正事項5は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でするものであって、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
カ 訂正事項6について
(ア)訂正の目的について
訂正事項6は、特許請求の範囲の請求項1の「網点印刷部のJIS P8147:2010に準拠した静摩擦係数」について、「0.45以上0.55以下」であったものを、「0.47以上0.53以下」と限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
請求項1を引用する請求項5、7及び8についても、「網点印刷部のJIS P8147:2010に準拠した静摩擦係数」について、「0.45以上0.55以下」であってものを、「0.47以上0.53以下」と限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
訂正事項6は、上記(ア)のとおり、減縮を目的とする訂正であって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
(ウ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項6について、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面には、段落【0168】【表1】に示されている実施例1-1乃至1-5及び段落【0169】【表2】に示されている実施例2-1乃至2-5における「網点印刷部のJIS P8147:2010に準拠した静摩擦係数」は、0.47以上0.53以下の範囲であることが記載されているから、当該訂正事項6は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でするものであって、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
キ 訂正事項7について
(ア)訂正の目的について
訂正事項7は、特許請求の範囲の請求項1の「網点印刷部のJIS P8147:2010に準拠した動摩擦係数」について、「0.25以上0.35以下」であったものを、「0.27以上0.33以下」と限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
請求項1を引用する請求項5、7及び8についても、「網点印刷部のJIS P8147:2010に準拠した動摩擦係数」について、「0.25以上0.35以下」であってものを、「0.27以上0.33以下」と限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
訂正事項7は、上記(ア)のとおり、減縮を目的とする訂正であって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
(ウ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項7について、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面には、段落【0168】【表1】に示されている実施例1-1乃至1-5及び段落【0169】【表2】に示されている実施例2-1乃至2-5における「網点印刷部のJIS P8147:2010に準拠した動摩擦係数」は、0.27以上0.33以下の範囲であることが記載されているから、当該訂正事項7は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でするものであって、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
ク 訂正事項8について
(ア)訂正の目的について
訂正事項8は、特許請求の範囲の請求項1の「網点印刷部のJIS B0601:2001に準拠した算術平均高さ」について、「0.6μm以上0.9μm以下」であってものを、「0.71μm以上0.80μm以下」と限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
請求項1を引用する請求項5、7及び8についても、「網点印刷部のJIS B0601:2001に準拠した算術平均高さ」について、「0.6μm以上0.9μm以下」であってものを、「0.71μm以上0.80μm以下」と限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
訂正事項8は、上記(ア)のとおり、減縮を目的とする訂正であって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
(ウ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項8について、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面には、段落【0168】【表1】に示されている実施例1-1乃至1-5及び段落【0169】【表2】に示されている実施例2-1乃至2-5における「網点印刷部のJIS B0601:2001に準拠した算術平均高さ」は、0.71μm以上0.80μm以下の範囲であることが記載されているから、当該訂正事項8は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でするものであって、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
ケ 訂正事項9について
(ア)訂正の目的について
訂正事項9は、特許請求の範囲の請求項1の「網点印刷部」の「網点パーセント」について、「15%以上25%以下」と限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
請求項1を引用する請求項5、7及び8についても、「網点印刷部」の「網点パーセント」について、「15%以上25%以下」と限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
訂正事項9は、上記(ア)のとおり、減縮を目的とする訂正であって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
(ウ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項9について、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面には、段落【0168】【表1】に示されている実施例1-1乃至1-5及び段落【0169】【表2】に示されている実施例2-1乃至2-5における「網点印刷部」の「網点パーセント」は、15%以上25%以下の範囲であることが記載されているから、当該訂正事項9は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でするものであって、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
コ 訂正事項10について
(ア)訂正の目的について
訂正事項10は、特許請求の範囲の請求項1の「基材及びコート層に含まれる色素の含有量の総量」について訂正前の「基材及びコート層に対して、0.1質量%以下」であったものを、「含まれない」と限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
請求項1を引用する請求項5、7及び8についても、「基材及びコート層に含まれる色素の含有量の総量」について訂正前の「基材及びコート層に対して、0.1質量%以下」であったものを、「含まれない」と限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
訂正事項10は、上記(ア)のとおり、減縮を目的とする訂正であって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
(ウ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項10について、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面には、段落【0062】に「ただし、基材に色素を配合する場合、基材及びコート層に含まれる色素の含有量の総量を、基材及びコート層に対して、0.1質量%以下に調整する。例えば、色素の含有量は、基材に対して、好ましくは0.1質量%以下であり、より好ましくは0質量%である(つまり、基材が色素を全く含まない)。」、段落【0108】に「ただし、コート層に色素を配合する場合、基材及びコート層に含まれる色素の含有量の総量を、基材及びコート層に対して、0.1質量%以下に調整する。例えば、色素の含有量は、コート層に対して、好ましくは0.1質量%以下であり、より好ましくは0質量%である(つまり、コート層が色素を全く含まない)。」と記載されているから、当該訂正事項10は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でするものであって、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
サ 訂正事項11について
(ア)訂正の目的について
訂正事項11は、訂正前の特許請求の範囲の請求項2を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
訂正事項11は、上記(ア)のとおり、減縮を目的とする訂正であって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
(ウ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項11は、上記(ア)のとおり、請求項を削除する訂正であるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でするものであって、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
シ 訂正事項12について
(ア)訂正の目的について
訂正事項12は、訂正前の特許請求の範囲の請求項3を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
訂正事項12は、上記(ア)のとおり、減縮を目的とする訂正であって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
(ウ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項12は、上記(ア)のとおり、請求項を削除する訂正であるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でするものであって、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
ス 訂正事項13について
(ア)訂正の目的について
訂正事項13は、訂正前の特許請求の範囲の請求項4を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
訂正事項13は、上記(ア)のとおり、減縮を目的とする訂正であって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
(ウ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項13は、上記(ア)のとおり、請求項を削除する訂正であるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でするものであって、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
セ 訂正事項14について
(ア)訂正の目的について
訂正事項14は、訂正前の特許請求の範囲の請求項5が「請求項1から4の何れかに記載の選挙投票用紙。」と、請求項1から4の何れかを引用していたところ、上記訂正事項11乃至13の訂正に伴い、請求項5が引用していた請求項2乃至4が削除される補正がなされたことに伴って、引用する請求項を「請求項1」と訂正するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
訂正事項14は、上記(ア)のとおり、減縮を目的とする訂正であって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
(ウ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項14は、上記(ア)のとおり、引用する請求項を削除する訂正であるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でするものであって、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
ソ 訂正事項15について
(ア)訂正の目的について
訂正事項15は、訂正前の特許請求の範囲の請求項6を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
訂正事項15は、上記(ア)のとおり、減縮を目的とする訂正であって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
(ウ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項15は、上記(ア)のとおり、請求項を削除する訂正であるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でするものであって、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
タ 訂正事項16について
(ア)訂正の目的について
訂正事項16は、訂正前の特許請求の範囲の請求項7が「請求項1から6の何れかに記載の選挙投票用紙。」と、請求項1から6の何れかを引用していたところ、上記訂正事項11乃至13及び15の訂正に伴い、請求項7が引用していた請求項2乃至4及び6が削除される補正がなされたことに伴って、引用する請求項を「請求項1又は5」と訂正するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
訂正事項16は、上記(ア)のとおり、減縮を目的とする訂正であって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
(ウ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項16は、上記(ア)のとおり、引用する請求項を削除する訂正であるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でするものであって、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
(2)請求項9についての訂正
ア 訂正事項17について
(ア)訂正の目的について
訂正事項17は、特許請求の範囲の請求項9の「基材を得る工程」における「ポリオレフィン系樹脂と、無機物質粉末」との「質量比」について、「50:50~10:90の割合」であったものを、「40:60~20:80の割合」と限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
訂正事項17は、上記(ア)のとおり、減縮を目的とする訂正であって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
(ウ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項17について、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面には、段落【0168】【表1】に示されている実施例1-1乃至1-5及び段落【0169】【表2】に示されている実施例2-1乃至2-5の基材が、ポリオリフェン系樹脂と無機物質粉末とを質量比40:60~20:80で構成されているから、当該訂正事項17は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でするものであって、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
イ 訂正事項18について
(ア)訂正の目的について
訂正事項18は、特許請求の範囲の請求項9の「基材」について、「押出成形後に二軸延伸されたもの」と限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
訂正事項18は、上記(ア)のとおり、減縮を目的とする訂正であって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
(ウ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項18について、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の段落【0158】に「(2)基材の作製 表1及び2に示す割合で、基材の材料を押出成形機(二軸スクリューを備えるTダイ押出成形装置、φ20mm、L/D=25)に投入し、220℃以下の温度で混練後、成形温度220℃でTダイによりシート成形し、引き取り機で巻き取りながら二軸延伸(縦3.5倍×横5倍)することで、シート状の基材(縦128mm×横80mm、厚さ200μm)を得た。」(スペースは改行を意味する。)と記載されているから、当該訂正事項18は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でするものであって、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
ウ 訂正事項19について
(ア)訂正の目的について
訂正事項19は、特許請求の範囲の請求項9の「クレイ」について、「前記クレイの体積平均粒子径が、0.29μm」と限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
訂正事項19は、上記(ア)のとおり、減縮を目的とする訂正であって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
(ウ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項19について、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面には、段落【0168】【表1】に示されている実施例1-1乃至1-3、1-5及び段落【0169】【表2】に示されている実施例2-1乃至2-3、2-5のクレイ1について、段落【0157】に「クレイ-1:カオリンクレイ(体積平均粒子径0.29μm、比重2.5)」と記載されているから、当該訂正事項19は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でするものであって、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
エ 訂正事項20について
(ア)訂正の目的について
訂正事項20は、特許請求の範囲の請求項1の「コート層」に対する「クレイの含有量」について、「35質量%以上65質量%以下」であったものを、「40質量%」と限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
訂正事項20は、上記(ア)のとおり、減縮を目的とする訂正であって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
(ウ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項20について、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面には、段落【0168】【表1】に示されている実施例1-1乃至1-5及び段落【0169】【表2】に示されている実施例2-1乃至2-5における「コート層」に対する「クレイの含有量」はいずれも、40質量%と記載されているから、当該訂正事項20は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でするものであって、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
オ 訂正事項21について
(ア)訂正の目的について
訂正事項21は、特許請求の範囲の請求項9の「コート層」に対する「重質炭酸カルシウムの含有量」について、「5質量%以上30質量%以下」であったものを、「8質量%以上25質量%以下」と限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
訂正事項21は、上記(ア)のとおり、減縮を目的とする訂正であって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
(ウ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項21について、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面には、段落【0168】【表1】に示されている実施例1-1乃至1-5及び段落【0169】【表2】に示されている実施例2-1乃至2-5における「コート層」に対する「重質炭酸カルシウムの含有量」は、8質量%以上25質量%以下の範囲であることが記載されているから、当該訂正事項21は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でするものであって、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
カ 訂正事項22について
(ア)訂正の目的について
訂正事項22は、特許請求の範囲の請求項9の「重質炭酸カルシウムの体積平均粒子径」について、訂正前の「0.05μm以上2.00μm以下」であったものを、「0.15μm」と限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
訂正事項22は、上記(ア)のとおり、減縮を目的とする訂正であって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
(ウ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項22について、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面には、段落【0168】【表1】に示されている実施例1-1乃至1-5及び段落【0169】【表2】に示されている実施例2-1乃至2-5のコート層に含まれる炭酸カルシウム2について、段落【0157】に「炭酸カルシウム-2:重質炭酸カルシウム(体積平均粒子径0.15μm、比重2.6)」と記載されているから、当該訂正事項22は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でするものであって、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
キ 訂正事項23について
(ア)訂正の目的について
訂正事項23は、特許請求の範囲の請求項9の「網点印刷部のJIS P8147:2010に準拠した静摩擦係数」について、「0.45以上0.55以下」であったものを、「0.47以上0.53以下」と限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
訂正事項23は、上記(ア)のとおり、減縮を目的とする訂正であって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
(ウ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項23について、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面には、段落【0168】【表1】に示されている実施例1-1乃至1-5及び段落【0169】【表2】に示されている実施例2-1乃至2-5における「網点印刷部のJIS P8147:2010に準拠した静摩擦係数」は、0.47以上0.53以下の範囲であることが記載されているから、当該訂正事項23は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でするものであって、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
ク 訂正事項24について
(ア)訂正の目的について
訂正事項24は、特許請求の範囲の請求項9の「網点印刷部のJIS P8147:2010に準拠した動摩擦係数」について、「0.25以上0.35以下」であったものを、「0.27以上0.33以下」と限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
訂正事項24は、上記(ア)のとおり、減縮を目的とする訂正であって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
(ウ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項24について、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面には、段落【0168】【表1】に示されている実施例1-1乃至1-5及び段落【0169】【表2】に示されている実施例2-1乃至2-5における「網点印刷部のJIS P8147:2010に準拠した動摩擦係数」は、0.27以上0.33以下の範囲であることが記載されているから、当該訂正事項24は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でするものであって、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
ケ 訂正事項25について
(ア)訂正の目的について
訂正事項25は、特許請求の範囲の請求項9の「網点印刷部のJIS B0601:2001に準拠した算術平均高さ」について、「0.6μm以上0.9μm以下」であったものを、「0.71μm以上0.80μm以下」と限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
訂正事項25は、上記(ア)のとおり、減縮を目的とする訂正であって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
(ウ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項25について、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面には、段落【0168】【表1】に示されている実施例1-1乃至1-5及び段落【0169】【表2】に示されている実施例2-1乃至2-5における「網点印刷部のJIS B0601:2001に準拠した算術平均高さ」は、0.71μm以上0.80μm以下の範囲であることが記載されているから、当該訂正事項25は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でするものであって、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
コ 訂正事項26について
(ア)訂正の目的について
訂正事項26は、特許請求の範囲の請求項9の「網点印刷部」の「網点パーセント」について、「15%以上25%以下」と限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
訂正事項26は、上記(ア)のとおり、減縮を目的とする訂正であって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
(ウ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項26について、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面には、段落【0168】【表1】に示されている実施例1-1乃至1-5及び段落【0169】【表2】に示されている実施例2-1乃至2-5における「網点印刷部」の「網点パーセント」は、15%以上25%以下の範囲であることが記載されているから、当該訂正事項26は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でするものであって、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
サ 訂正事項27について
(ア)訂正の目的について
訂正事項27は、特許請求の範囲の請求項9の「基材及びコート層に含まれる色素の含有量の総量」について訂正前の「基材及びコート層に対して、0.1質量%以下」であったものを、「含まれない」と限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
訂正事項27は、上記(ア)のとおり、減縮を目的とする訂正であって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
(ウ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項27について、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面には、段落【0062】に「ただし、基材に色素を配合する場合、基材及びコート層に含まれる色素の含有量の総量を、基材及びコート層に対して、0.1質量%以下に調整する。例えば、色素の含有量は、基材に対して、好ましくは0.1質量%以下であり、より好ましくは0質量%である(つまり、基材が色素を全く含まない)。」、段落【0108】に「ただし、コート層に色素を配合する場合、基材及びコート層に含まれる色素の含有量の総量を、基材及びコート層に対して、0.1質量%以下に調整する。例えば、色素の含有量は、コート層に対して、好ましくは0.1質量%以下であり、より好ましくは0質量%である(つまり、コート層が色素を全く含まない)。」と記載されているから、当該訂正事項27は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でするものであって、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
シ 訂正事項28について
(ア)訂正の目的について
訂正事項28は、訂正前の特許請求の範囲の請求項10を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
訂正事項28は、上記(ア)のとおり、減縮を目的とする訂正であって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
(ウ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項28は、上記(ア)のとおり、請求項を削除する訂正であるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でするものであって、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
(3)特許出願の際に独立して特許を受けることができることについて
本件特許についての特許異議の申立て事件では、訂正前の請求項1乃至10について特許異議の申立ての対象とされているから、本件訂正における訂正前の請求項1乃至10に係る訂正事項1乃至28に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
(4)まとめ
以上のとおり、令和5年10月20日に特許権者が行った本件訂正は、訂正事項1乃至28に関して、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項までの規定に適合するので、訂正後の請求項1乃至10について訂正を認める。
第3 訂正後の本件訂正特許発明
上記第2で検討したとおり、請求項1乃至10に係る訂正を認めることができるから、請求項1乃至10に係る特許についての発明は本件訂正請求により訂正された特許請求の範囲の請求項1乃至10に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。(以下、それぞれ「本件訂正特許発明1」乃至「本件訂正特許発明10」といい、総称して「本件訂正特許発明」という。)
「【請求項1】
基材と、前記基材の片面又は両面に設けられたコート層と、を含む選挙投票用紙であって、
前記基材が、熱可塑性樹脂と、無機物質粉末とを質量比40:60~20:80の割合で含み、
前記熱可塑性樹脂が、ポリプロピレン系樹脂であり、
前記コート層の表面の少なくとも一部に、オフセットインキによる網点印刷部が設けられ、
前記コート層が、アクリル系ポリマーからなる連続相、クレイ、及び重質炭酸カルシウムを含み、
前記クレイの体積平均粒子径が、0.29μmであり、
前記クレイの含有量が、前記コート層に対して、40質量%であり、
前記重質炭酸カルシウムの含有量が、前記コート層に対して、8質量%以上25質量%以下であり、
前記重質炭酸カルシウムの体積平均粒子径が、0.15μmであり、
前記網点印刷部のJIS P8147:2010に準拠した静摩擦係数が、0.47以上0.53以下であり、
前記網点印刷部のJIS P8147:2010に準拠した動摩擦係数が、0.27以上0.33以下であり、
前記網点印刷部のJIS B0601:2001に準拠した算術平均高さが、0.71μm以上0.80μm以下であり、
前記網点印刷部の網点パーセントが、15%以上25%以下であり、
前記基材及び前記コート層には、色素が含まれない、
選挙投票用紙。
【請求項2】 (削除)
【請求項3】 (削除)
【請求項4】 (削除)
【請求項5】
前記重質炭酸カルシウムが、表面処理された重質炭酸カルシウムである、請求項1に記載の選挙投票用紙。
【請求項6】 (削除)
【請求項7】
前記アクリル系ポリマーが、(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体である、請求項1又は5に記載の選挙投票用紙。
【請求項8】
前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体が、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n-プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n-オクチル、アクリル酸-2-エチルヘキシル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸ノニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n-プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n-ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n-オクチル、メタクリル酸-2-エチルヘキシル、メタクリル酸イソオクチル、アクリル酸2-ヒドロキシメチル、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル、アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2-ヒドロキシプロピルからなる群から選択される1以上である、請求項7に記載の選挙投票用紙。
【請求項9】
ポリオレフィン系樹脂と、無機物質粉末と、を質量比40:60~20:80の割合で含む樹脂組成物を押出成形することで基材を得る工程と、
前記基材の片面又は両面に、アクリル系ポリマー、クレイ、及び重質炭酸カルシウムを含む水性エマルジョンを塗工及び乾燥することでコート層を設ける工程と、
前記コート層の表面の少なくとも一部に、オフセットインキによる網点印刷部を設ける工程と、
を含み、
前記基材は、押出成形後に二軸延伸されたものであり、
前記クレイの体積平均粒子径が、0.29μmであり、
前記クレイの含有量が、前記コート層に対して、40質量%であり、
前記重質炭酸カルシウムの含有量が、前記コート層に対して、8質量%以上25質量%以下であり、
前記重質炭酸カルシウムの体積平均粒子径が、0.15μmであり、
前記網点印刷部のJIS P8147:2010に準拠した静摩擦係数が、0.47以上0.53以下であり、
前記網点印刷部のJIS P8147:2010に準拠した動摩擦係数が、0.27以上0.33以下であり、
前記網点印刷部のJIS B0601:2001に準拠した算術平均高さが、0.71μm以上0.80μm以下であり、
前記網点印刷部の網点パーセントが、15%以上25%以下であり、
前記基材及び前記コート層には、色素が含まれない、
選挙投票用紙の製造方法。
【請求項10】 (削除)
第4 令和5年9月26日付けの取消理由(決定の予告)の概要
令和5年3月28日になされた訂正請求により訂正された請求項1乃至10に係る特許に対して、上記令和5年9月26日付けの取消理由通知で通知した取消理由の概要は、以下のとおりである。
取消理由(サポート要件):本件特許発明1~10は、特許法第36条第6項第1号の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1~10に係る特許は、同条の規定に違反してされたものであって、同法第113条第4号に該当するから、取り消されるべきものである。
第5 当審の判断
1 発明の詳細な説明の記載
(1)「【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、近年、環境への配慮から、上記のような特性を損なわずに、リサイクルも可能な用紙へのニーズがある。
【0005】
本発明は以上の実情に鑑みてなされたものであり、通紙性、筆記性、折り復元性、及びリサイクル性に優れた選挙投票用紙の提供を課題とする。」
(2)「【実施例】
【0153】
以下に、実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0154】
<選挙投票用紙の作製>
以下の方法で選挙投票用紙を作製した。
【0155】
(1)材料の準備
基材、及びコート層の材料を以下のとおり準備した。
【0156】
(基材の材料)
ポリオレフィン系樹脂:ポリプロピレン単独重合体(融点160℃)
無機物質粉末:重質炭酸カルシウム粉末(JIS M-1511に準じた空気透過法による平均粒子径:2.2μm)
【0157】
(コート層の材料)
アクリル系ポリマー-1:アクリル酸n-ブチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸、酢酸ビニル、及びロジン誘導体を、26:16:44:8:6:3の割合(質量比)で含む(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体
アクリル系ポリマー-2:スチレン、ベンジルアクリレート、ブチルアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、及び2-ヒドロキシエチルメタクリレートを、84.0:26.0:32.0:0.1:0.9(質量比)で含むスチレン-アクリル酸エステル共重合体
クレイ-1:カオリンクレイ(体積平均粒子径0.29μm、比重2.5)
クレイ-2:カオリンクレイ(体積平均粒子径1.50μm、比重2.6)
炭酸カルシウム-1:重質炭酸カルシウム(体積平均粒子径0.01μm、比重2.6)
炭酸カルシウム-2:重質炭酸カルシウム(体積平均粒子径0.15μm、比重2.6)
炭酸カルシウム-3:重質炭酸カルシウム(体積平均粒子径3.00μm、比重2.6)
炭酸カルシウム-4:軽質炭酸カルシウム(体積平均粒子径1.00μm、比重2.6)
【0158】
(2)基材の作製
表1及び2に示す割合で、基材の材料を押出成形機(二軸スクリューを備えるTダイ押出成形装置、φ20mm、L/D=25)に投入し、220℃以下の温度で混練後、成形温度220℃でTダイによりシート成形し、引き取り機で巻き取りながら二軸延伸(縦3.5倍×横5倍)することで、シート状の基材(縦128mm×横80mm、厚さ200μm)を得た。
【0159】
(3)コート層の塗工
表1及び2に示す割合で、分散媒(水)とともに、アクリル系ポリマー、クレイ、及び重質炭酸カルシウムを、エッジドタービンを用いて3000rpmで3分間攪拌混合し、水性エマルジョンを得た。
得られた水性エマルジョンを、各基材の片側表面の全体に、マイクログラビア法によって塗工した後、110℃で乾燥させ、コート層(膜厚4μm)が設けられた基材を得た。
なお、表中の「コート層」の組成の数値は、乾燥質量の値である。
【0160】
(4)網点印刷
コート層の表面全体に、オフセット印刷により、オフセットインキ(油性、青色)による網点印刷部を設けた。なお、オフセット印刷機として、「RMGT920」(リョービMHIグラフィックテクノロジー株式会社製)を用いた。
得られた着色用紙(選挙投票用紙に相当する。)を、以下の評価に供した。
【0161】
また、「参考」として、「(3)コート層の塗工」の工程において、コート層に対して0.1質量%の色素(青色)を配合した点、及び、「(4)網点印刷」の工程を行わなかった点以外は上記同様に作製した着色用紙を作製し、あわせて以下の評価に供した。この着色用紙は、従来の選挙投票用紙に相当する。
【0162】
<網点特性>
各選挙投票用紙の網点印刷部の以下の数値を、表中の「網点特性」の項に示す。
(1)網点印刷部のJIS P8147:2010に準拠した静摩擦係数
(2)網点印刷部のJIS P8147:2010に準拠した動摩擦係数
(3)網点印刷部のJIS B0601:2001に準拠した算術平均高さ
(4)網点印刷部の網点パーセント
【0163】
<選挙投票用紙の評価>
以下の方法で、選挙投票用紙について、通紙性、筆記性、折り復元性、及びリサイクル性を評価した。その結果を表中の「用紙評価」の項に示す。
【0164】
(通紙性)
市販の投票用紙計数機を用いて、特開2008-307835号公報に記載された方法を参考に、選挙投票用紙の通紙性を評価した。
具体的には、選挙投票用紙の中央部にのりをごく軽く付着させ、その上に更に選挙投票用紙を重ねることで、2枚重ねの選挙投票用紙を5組作成した。
これらの2枚重ねの選挙投票用紙を含む選挙投票用紙(合計500枚)について、上記計数機を用いて計数を行い、正常に計数できなかった選挙投票用紙の枚数を特定し、以下の基準で通紙性を評価した。
[通紙性の評価基準]
A:正常に計数できなかった選挙投票用紙の枚数が、0枚だった(全ての選挙投票用紙を計数できた)。
B:正常に計数できなかった選挙投票用紙の枚数が、1枚以上2枚以下だった。
C:正常に計数できなかった選挙投票用紙の枚数が、3枚以上だった。
【0165】
(筆記性)
10名のモニターに、各選挙投票用紙へHBの鉛筆で記名、及び、市販コピー用紙と比較した書き味の回答をさせ、以下の基準で筆記性を評価した。
なお、本例において「書き味」とは、用紙表面への顔料の載り具合、鉛筆の滑り具合を包含する。
[筆記性の評価基準]
A:10名が、書き味が良好であると回答した。
B:8名以上9名以下が、書き味が良好であると回答した。
C:7名以下が、書き味が良好であると回答した。
【0166】
(折り復元性)
各選挙投票用紙を手で二つ折りにし(折り角0°)、平板な台の上に静置し、折り角が120°になるまでの時間を計測し、以下の基準で折り復元性を評価した。
[折り復元性の評価基準]
A:折り角が120°になるまでの時間が3秒以下だった。
B:折り角が120°になるまでの時間が3秒超4秒以下だった。
C:折り角が120°になるまでの時間が4秒超だった。
【0167】
(リサイクル性)
選挙投票用紙のリサイクルの際に、界面活性剤による脱色作業の容易性を評価した。
【0168】
【表1】
[図:0001412268000001.jpg]
【0169】
【表2】
[図:0001412268000002.jpg]
【0170】
表に示されるとおり、本発明の要件を満たす選挙投票用紙は、通紙性、筆記性、折り復元性、及びリサイクル性の何れもが良好だった。
【0171】
なお、上記各実施例において、脂肪酸によって表面処理された重質炭酸カルシウムを用いると、より良好な効果が奏される傾向にあった。」
2 発明が解決しようとする課題
上記1(1)より、本件訂正特許発明が解決しようとする課題(以下「課題」という。)は、「通紙性、筆記性、折り復元性、及びリサイクル性に優れた選挙投票用紙」を提供することであると認める。
3 課題を解決するための手段
上記1(2)より、発明の詳細な説明の実施例には、上記課題を解決するための手段として、以下のものが記載されている。
「基材と、前記基材の片面又は両面に設けられたコート層と、を含む選挙投票用紙であって、
前記基材が、熱可塑性樹脂と、無機物質粉末とを質量比40:60~20:80の割合で含む、
前記熱可塑性樹脂が、ポリプロピレン系樹脂である、
前記コート層の表面の少なくとも一部に、オフセットインキによる網点印刷部が設けられ、
前記コート層が、アクリル系ポリマーからなる連続相、クレイ、及び重質炭酸カルシウムを含み、
前記クレイの体積平均粒子径が、0.29μmであり、
前記クレイの含有量が、前記コート層に対して、40質量%であり、
前記重質炭酸カルシウムの含有量が、前記コート層に対して、8質量%以上25質量%以下であり、
前記重質炭酸カルシウムの体積平均粒子径が、0.15μmであり、
前記網点印刷部のJIS P8147:2010に準拠した静摩擦係数が、0.47以上0.53以下であり、
前記網点印刷部のJIS P8147:2010に準拠した動摩擦係数が、0.27以上0.33以下であり、
前記網点印刷部のJIS B0601:2001に準拠した算術平均高さが、0.71μm以上0.80μm以下であり、
前記網点印刷部の網点パーセントが、15%以上25%以下である、
前記基材及び前記コート層には、色素が含まれない、
選挙投票用紙。」
「ポリオレフィン系樹脂と、無機物質粉末と、を質量比40:60~20:80の割合で含む樹脂組成物を押出成形することで基材を得る工程と、
前記基材は、押出成形後に二軸延伸されたものである、
前記基材の片面又は両面に、アクリル系ポリマー、クレイ、及び重質炭酸カルシウムを含む水性エマルジョンを塗工及び乾燥することでコート層を設ける工程と、
前記コート層の表面の少なくとも一部に、オフセットインキによる網点印刷部を設ける工程と、
を含み、
前記クレイの体積平均粒子径が、0.29μmであり、
前記クレイの含有量が、前記コート層に対して、40質量%であり、
前記重質炭酸カルシウムの含有量が、前記コート層に対して、8質量%以上25質量%以下であり、
前記重質炭酸カルシウムの体積平均粒子径が、0.15μmであり、
前記網点印刷部のJIS P8147:2010に準拠した静摩擦係数が、0.47以上0.53以下であり、
前記網点印刷部のJIS P8147:2010に準拠した動摩擦係数が、0.27以上0.33以下であり、
前記網点印刷部のJIS B0601:2001に準拠した算術平均高さが、0.71μm以上0.80μm以下であり、
前記網点印刷部の網点パーセントが、15%以上25%以下である、
前記基材及び前記コート層には、色素が含まれない、
選挙投票用紙の製造方法。」
4 本件訂正特許発明1、5、7乃至9について
本件訂正特許発明が解決しようとする課題を解決するための手段は、上記3のとおりの「選挙投票用紙」及び「選挙投票用紙の製造方法」であるところ、本件訂正特許発明1、5、7乃至9は、本件訂正により、上記本件訂正特許発明が解決しようとする課題を解決するための手段が反映された。
してみると、本件訂正特許発明1、5、7乃至9の記載に接した当業者は、本件特許明細書等に記載の発明が解決しようとする課題である「通紙性、筆記性、折り復元性、及びリサイクル性に優れた選挙投票用紙」を提供することを解決し得るものと認識できるものと認められる。
5 本件訂正特許発明2乃至4及び6について
本件訂正により、請求項2乃至4及び6に係る特許は削除された。
そうすると、取消理由は、その対象が消滅したものである。
よって、請求項2乃至4及び6に対する取消理由は解消された。
6 取消理由(決定の予告)のまとめ
上記のとおりであるから、本件訂正特許請求の範囲の請求項1、5、7乃至9の記載が特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないということはできないから、請求項1、5、7乃至9に係る特許が、同法第36条第6項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであって、同法第113条第4号に該当し取り消されるべきものということはできない。
第6 取消理由通知(決定の予告)で採用しなかった特許異議申立理由について
1 特許異議申立理由(特許法第29条第2項違反)の概要
(1)申立理由1
本件特許発明1~10は、甲第1-1号証及び本件出願日当時の技術常識に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許は特許法第113条第2号の規定に該当し、取り消されるべきである。
(2)申立理由2
本件特許発明1~10は、甲第2-1~2-14号証及び本件出願日当時の技術常識に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許は特許法第113条第2号の規定に該当し、取り消されるべきである。
2 証拠の記載について
(1)甲第1-1号証について
本件特許に係る出願の出願日前の平成21年2月5日に頒布された刊行物である甲第1-1号証(特開2009-23091号公報)には、以下の事項が記載されている(下線は、当審で付した。以下同じ。)。
ア 「【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂からなる二軸延伸フィルムを基材層として有する合成紙を基紙とし、この基紙の表面側と裏面側に塗工剤を塗布し、乾燥させて得た、表面塗工層及び裏面塗工層の各々の25℃、相対湿度30%における表面固有抵抗が1×109~1×1012Ωの範囲であり、各々のJIS-K-8119:1998で規定するベック平滑度が30~90秒及び400~1,400秒の範囲である塗工紙を得、この塗工紙の表面塗工層に被選挙人の記入欄を印刷してなることを特徴とする不透明度が90%以上の選挙投票用紙。
【請求項2】
塗工剤が、
(A)樹脂バインダー、
(B)無機微細粉末、
(C)帯電防止機能を有するポリマー、
を含有する塗工剤であることを特徴とする請求項1に記載の選挙投票用紙。」
イ 「【0001】
本発明は、国会議員や県会議員、市町村の議員および県知事、市町村長の選挙や、最高裁判所の判事の罷免選挙に用いられる選挙投票用紙に関するものである。
本発明の選挙投票用紙は、投票用紙専用計数機を用いた集計作業において、冬場で静電気の発生しやすい低湿度条件下においても、用紙搬送時に重送することがなく、開票・集計作業が容易となるものである。」
ウ 「【0011】
以下、本発明について詳細に説明する。
<合成紙>
本発明の選挙投票用紙の基紙として用いる熱可塑性樹脂からなる二軸延伸フィルムを基材層として有する合成紙とは、特許文献1、2に開示の合成紙と同様に、選挙投票用紙に耐水性、不透明性、耐折れ性、剛性による計数機上での搬送性を付与するものである。
合成紙としては、熱可塑性樹脂からなる二軸延伸フィルムを基材層とする合成紙であるならば如何なるものでもよく、フィラーを8~65重量%含有する熱可塑性樹脂の二軸延伸フィルム基材層単層のものであってもよく、またこの二軸延伸フィルムを基材層として表裏面にフィラーを含有する熱可塑性樹脂の1軸延伸フィルムを紙状層とする層が積層されたものであってもよく、更にこの二軸延伸フィルムを基材層として表裏面にフィラーを含有する熱可塑性樹脂の2軸延伸フィルムを紙状層とする層が積層されたものであってもよい。従って、前述の特許公報群に記載されたもの全てを利用できる。
…
【0013】
(1)熱可塑性樹脂
本発明で用いる合成紙に用いられる熱可塑性樹脂は、基材層となる二軸延伸フィルムおよび表裏層のマトリクスを形成するものであり、その種類は特に制限されない。例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン等のエチレン系樹脂、あるいはポリプロピレン等のプロピレン系樹脂、ポリ(4-メチルペンタ-1-エン)、エチレン-環状オレフィン共重合体等のシクロオレフィンコポリマー、等のオレフィン系樹脂;ナイロン-6、ナイロン-6,6、ナイロン-6,10、ナイロン-6,12等のポリアミド系樹脂;ポリエチレンテレフタレートやその共重合体、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、脂肪族ポリエステル等の熱可塑性ポリエステル系樹脂;アタクティックポリスチレン、シンジオタクティックポリスチレン、スチレン-アクリロニトリルプラスチック、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンプラスチック等のスチレン系樹脂;ポリカーボネート、ポリフェニレンスルフィド等の延伸成形が可能な熱可塑性樹脂が挙げられる。これらは2種以上混合して用いることもできる。
【0014】
本発明では熱可塑性樹脂として、生産性、加工容易性、耐水性、耐薬品性、リサイクル性、コストの面からオレフィン系樹脂を用いることが好ましい。更にオレフィン系樹脂の中でも、プロピレン系樹脂、高密度ポリエチレンを用いることが好ましく、プロピレン系樹脂を用いることが特に好ましい。
かかるプロピレン系樹脂としては、プロピレン単独重合体であり、アイソタクティック乃至はシンジオタクティックおよび種々の立体規則性を示すポリプロピレンや、プロピレンを主成分とし、これとエチレン、ブテン-1、ヘキセン-1、ヘプテン-1,4-メチルペンテン-1等のα-オレフィンとの共重合体が使用できる。この共重合体は、2元系でも3元系でも4元系でもよく、またランダム共重合体でもブロック共重合体でもよい。またプロピレン系樹脂を用いる場合は、延伸性を良好とするためポリエチレン、ポリスチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体等のプロピレン系樹脂よりも融点が低い熱可塑性樹脂を3~25重量%配合するのがよい。このような熱可塑性樹脂は、二軸延伸フィルム中に、35~92重量%で使用することがより好ましく、50~86重量%で使用することがさらに好ましい。
二軸延伸フィルムにおける熱可塑性樹脂の含有量が35重量%未満であれば、基紙としての強度が不足し、また延伸成形時に破断しやすい傾向がある。逆に92重量%を超えては充分な空孔数が得られない傾向がある。
【0015】
(2)フィラー
本発明で用いる二軸延伸フィルムに熱可塑性樹脂とともに用いることができるフィラーとしては、各種無機フィラーまたは有機フィラーを使用することができる。本発明の合成紙に所望の不透明度を持たせるために、無機フィラーまたは有機フィラーは、二軸延伸フィルム中に、8~65重量%の範囲で使用することがより好ましく、14~50重量%で使用することがさらに好ましい。無機フィラーとしては、炭酸カルシウム、焼成クレイ、シリカ、珪藻土、タルク、硫酸バリウム、硫酸アルミニウム、酸化マグネシウム、アルミナ、紫外光吸収フィラー等が挙げられる。また紫外光吸収フィラーとして、二酸化チタン、酸化亜鉛等が挙げられ、同様に使用できる。有機フィラーとしては、マトリクス樹脂がポリオレフィン樹脂の場合に、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ナイロン-6、ナイロン-6,6、環状オレフィン重合体、環状オレフィンとエチレンとの共重合体等の用いるポリオレフィン樹脂の融点よりは高い融点、例えば、120~300℃の範囲、乃至はガラス転移温度、例えば、120~280℃の範囲、を有するものが使用できる。」
エ 「【0022】
(6)後処理
本発明で用いる合成紙の表裏の表面は、塗工層との接着性を良好とするためにコロナ放電処理されていてもよいし、更にプライマー処理されていてもよい。
<塗工剤>
本発明で用いる塗工紙は、上記合成紙の表裏面には塗工剤を塗布し、更に乾燥させて表面塗工層と裏面塗工層を設けることで得られる。
本発明においてこれらの塗工層は、投票用紙に所望の表面固有抵抗とベック平滑度を付与するものである。また投票用紙に求められる印刷適性、鉛筆筆記適性などを付与するものである。
【0023】
塗布される塗工剤は、例えば(A)樹脂バインダー、(B)無機微細粉末、(C)帯電防止機能を有するポリマーを含有することが好ましく、さらに塗工剤は(D)着色剤を含有することが好ましい。
塗工剤各成分の配合割合は通常、(A)樹脂バインダー中の樹脂の固形分100重量部に対し、(B)無機微細粉末300~800重量部、好ましくは350~700重量部、より好ましくは400~600重量部、(C)帯電防止ポリマー0.1~10重量部、好ましくは0.5~5重量部、より好ましくは1~3重量部、(D)着色剤0~10重量部、好ましくは0~5重量部の割合で用いられる。
特に表裏面での平滑度に差異をつける具体的な手法としては、(A)樹脂バインダーと(B)無機微細粉末の配合割合を変えること、平均粒径の異なる(B)無機微細粉末を用いることなどが挙げられる。
【0024】
(7)樹脂バインダー(A)
本発明で用い得る樹脂バインダー(A)は、塗工層に耐水性、無機微細粉末(B)やポリマー(C)の固着性、および塗工層の合成紙への密着性を付与するものである。
本発明に使用し得る樹脂バインダー(A)は、基材である合成紙の素材の熱可塑性樹脂の種類及びその他の条件を考慮して任意に選択すればよいが、例えば、メタクリル酸メチル-ブタジエン共重合体ゴムラテックス、ポリ塩化ビニリデン系エマルジョン、エチレン-酢酸ビニル-塩化ビニル共重合体エマルジョン、スチレン-ブタジエン共重合体ゴムラテックス、酢酸ビニル-アクリル酸エステル共重合体ラテックス、アクリル酸エステル-スチレン共重合体エマルジョン、エチレン-酢酸ビニル共重合体エマルジョン、アクリル系樹脂エマルジョン等を単独で、または二種以上を併用して用いることができる。
これらバインダーは、塗工剤として用いる際に、同じく用いる溶剤に併せて、組成物を溶剤の相の中に溶解、分散、乳濁分散等の公知の方法で希釈して、流動性があり塗工可能な状態として使用する。
【0025】
(8)無機微細粉末(B)
本発明で用いうる無機微細粉末(B)は、充填材や顔料として用いられ、印刷性の向上、鉛筆筆記性の向上、白度の向上、着色、不透明感付与、表面平滑性調整、質感向上、及び充填材としてコスト低減を目的としている。
(B)成分の無機微細粉末としては、炭酸カルシウム、サチンホワイト、シリカ、酸化チタン、アルミナ、亜鉛華、酸化鉄、クレイ及び硫酸アルミニウム等が挙げられるが、特に炭酸カルシウム等の充填材類、及び酸化チタン、亜鉛華、酸化鉄等の顔料類が好ましい。
【0026】
本発明を検討するに際し、投票用紙表面の平滑度を低下させる無機微細粉末成分を多数検討した結果、従来用いている無機微細粉末よりも平均粒径が大きい(粗い)ものを用いることで、所期の平滑度が達成できることを見出している。即ち、これら塗工剤に用いうる無機微細粉末(B)の平均粒径は1.6~10μmであることが好ましく、1.7~5μmであることがより好ましく、1.8~3μmであることが特に好ましい。用いる無機微細粉末の平均粒径が1.6μmに満たない場合は、特に表面の平滑度を所定の範囲とすることが困難である。10μmを超えては、得られる選挙投票用紙の表面が粗面となりすぎ、同じく表面の平滑度を所定の範囲とすることが困難である。」
オ 「【0051】
(10)塗工剤の調合
本発明で用いる塗工剤においては、上記(A)、(B)および(C)、または(D)成分を均一に混合して、基紙への塗布に好適な塗工剤を調整する。
混合方法としては、一般的に用いられる無機微細粉末含有塗工液の調合方式が使用可能である。例えば、攪拌機が付設された調合容器中に水等の溶剤を投入しておき、次いで上記(B)無機微細粉末をゆっくり投入し、無機微細粉末の分散液を作成後、さらに本容器へ、(A)樹脂バインダー、(C)帯電防止機能を有するポリマーを投入し、均一に攪拌混合することで、塗工剤を調合することができる。
なお、無機微細粉末の分散は、プロペラ式の攪拌機で粗分散後、ボールミルといった粉砕機を使用して再度分散するといった方式を採ることも可能である。」
カ 「【0055】
平滑度は、より平滑な(ベック指数が高い)程、開票された投票用紙を手で揃え、めくるなどの作業が容易となるが、余り高くなり過ぎると投票用紙同士の貼りつき(所謂ブロッキング)を起こしやすくなる。また静電気がたまりやすい条件下では計数機で二重送りが発生しやすい。また特に表面の平滑度が高くなり過ぎると鉛筆筆記が困難になる。
投票用紙の表面側の平滑度が90秒を超えると、鉛筆筆記性および低湿度での計数機における給排紙性が低下するため好ましくない。30秒未満であると粗面すぎるために、印刷がきれいに乗らずにざらついた外観となるため好ましくない。同じく投票用紙の裏面側の平滑度が1,400秒を超えると、低湿度での計数機における給排紙性が低下するため好ましくない。400秒未満では紙揃え等、投票用紙を手で取り扱う作業性が低下するため好ましくない。」
キ 「【実施例】
【0057】
以下に、製造例、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。
なお、以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
<製造例1:合成紙の製造例>
ポリプロピレン(日本ポリケム(株)製、商品名:ノバテックPP、EA8W)81重量%、高密度ポリエチレン(日本ポリエチレン(株)製、商品名:ノバテックHD、HJ360)3重量%、及び炭酸カルシウム(備北粉化工業(株)製、商品名:ソフトン1800)16重量%を混合した組成物(A1)を、270℃の温度に設定した押出機にて溶融混練した後、ダイよりシート状に押し出し、更に冷却装置により冷却して、無延伸シートを得た。次いで、この無延伸シートを150℃の温度に再度加熱した後、ロール群の周速差を利用して縦方向に5倍の延伸を行って縦延伸シートを得た。
【0058】
さらに表裏面層用として、ポリプロピレン(日本ポリケム(株)製、商品名:ノバテックPP、FY6H)54重量%と、炭酸カルシウム(備北粉化工業(株)製、商品名:ソフトン1800)46重量%とを混合した組成物(A2)を別の押出機にて210℃で溶融混練させた後、ダイよりシート状に押し出し、これを上記工程で得られた縦延伸シートの両面にラミネート法にて積層し、3層構造の積層フィルムを得た。次いで、この3層構造の積層フィルムを60℃の温度にまで冷却した後、再び約155℃の温度にまで加熱し、テンターを用いて横方向に7.5倍延伸し(面積延伸倍率 37.5倍)、165℃の温度でアニーリング処理し、60℃の温度にまで冷却し、耳部をスリットして、コロナ放電処理を施し、3層構造(一軸延伸/二軸延伸/一軸延伸)の厚さ90μm(A2/A1/A2=20μm/50μm/20μm)の積層フィルムで、白色度96%、不透明度93%、密度0.78g/cm3の合成紙(基紙)を得た。」
ク 「【0064】
<実施例1>
前記製造例1で得た厚さ90μmの基紙の表裏面に、表2記載の組成と配合量を有する表面用塗工剤と裏面用塗工剤を、それぞれバーコーターを用いて塗布し、100℃で乾燥させて、表面塗工層の厚さが8μm、裏面塗工層の厚さが6μmの白色の塗工紙を得た。この塗工紙の表面塗工層の上に被選挙人の記入欄や、注意書事項、選挙管理委員会名を印刷し、本発明の選挙投票用紙を作成した。この選挙投票用紙の物性を表2に示す。
<実施例2~5>
実施例1で使用した塗工剤を表2記載の組成と配合に変更した以外は、実施例1と同様の手法で、本発明の選挙投票用紙を作成した。この選挙投票用紙の物性を表2に示す。」
ケ 「【0069】
(7)オフセット印刷インキ密着性
得られた選挙投票用紙の表面側に、評価用印刷機(石川島産業機械(株)製、商品名:RIテスタ-)を用いて、オフセット印刷用油性インキ((株)T&KTOKA製、商品名:ベストSP・墨)を、1.5g/m2の量で転色した。転色したものを23℃、50%RH下にて一日放置後、内部結合強さ試験機(熊谷理機工業(株)製、インターナルボンドテスター)を用いて印刷面のインキ密着強度を測定し、インキ密着性を下記評価基準により判定した。結果を表2、表3に示す。
○ 密着強度 1.5kg-cm 以上
× 密着強度 1.5kg-cm 未満」
コ 「【0072】
【表2】
[図:0001412268000003.jpg]
」
サ 上記【0057】、【0064】、コ【表2】に示された実施例1より、
「ポリプロピレン(日本ポリケム(株)製、商品名:ノバテックPP、EA8W)81重量%、炭酸カルシウム(備北粉化工業(株)製、商品名:ソフトン1800)16重量%を配合して製造した合成紙(基紙)上に、
SBRラテックス(固形分50%)32部、
アクリル酸エステル系樹脂ラテックス(固形分50%)11部、
平均粒径1.8μmのCaCO3(備北粉化工業(株)社製、ソフトン1200)100部
第4級アンモニウム塩型共重合体(固形分20%)2部
からなる表面用塗工剤を使用し、
SBRラテックス(固形分50%)50部、
アクリル酸エステル系樹脂ラテックス(固形分50%)10部、
平均粒径1.8μmのCaCO3(備北粉化工業(株)社製、ソフトン1200)100部
第4級アンモニウム塩型共重合体(固形分20%)2部
からなる裏面用塗工剤を使用して得られた表面用塗工層と裏面用塗工層とが設けられ、
表面塗工層の厚さが8μmであり、裏面塗工層の厚さが6μmである選挙投票用紙」が示されているものと認める。
上記記載事項ア乃至コ及び認定事項サによれば、甲第1-1号証には、次の発明(以下「甲1-1発明」という。)が記載されているものと認められる。
「ポリプロピレン(日本ポリケム(株)製、商品名:ノバテックPP、EA8W)81重量%、炭酸カルシウム(備北粉化工業(株)製、商品名:ソフトン1800)16重量%を配合してなる合成紙(基紙)上に、
SBRラテックス(固形分50%)32部、
アクリル酸エステル系樹脂ラテックス(固形分50%)11部、
平均粒径1.8μmのCaCO3(備北粉化工業(株)社製、ソフトン1200)100部
第4級アンモニウム塩型共重合体(固形分20%)2部
からなる表面用塗工剤を使用し、
SBRラテックス(固形分50%)50部、
アクリル酸エステル系樹脂ラテックス(固形分50%)10部、
平均粒径1.8μmのCaCO3(備北粉化工業(株)社製、ソフトン1200)100部
第4級アンモニウム塩型共重合体(固形分20%)2部
からなる裏面用塗工剤を使用して得られた表面用塗工層と裏面用塗工層とが設けられ、
表面塗工層の厚さが8μmであり、裏面塗工層の厚さが6μmである選挙投票用紙。」
(2)甲第1-2号証について
本件特許に係る出願の出願日前の昭和62年3月10日に頒布された刊行物である甲第1-2号証(山下憲一、「JISの試験用ダストに新たに規定された重質炭酸カルシウム」、P147-153、粉体工学会誌、1987年24巻3号)には、以下の事項が記載されている。
ア 「4.試料
収集試料を表2に示す。
これは,我が国の重質炭酸カルシウム工業会に加盟する重質炭酸カルシウムの製造会社から,粒度別に中位径DP50がほぼ倍になるように2,4,8及び16μmのいずれかを製造している4社を選び,この4社から収集した11点の試料である。
試料No.1~3は超微粒,微粒及び細粒の3階級の平均粒子径を有し,No.4~7は超微粒,微粒,細粒及び粗粒の4階級を,No.8,9及びNo.10,11はそれぞれ超微粒,微粒の2階級の平均粒子径を有するものである。これらの色調は白色で,いずれもきめ細かい感触を有する。」(148ページ左欄)
イ 「
[図:0001412268000004.jpg]
」(148ページ下段)
(3)甲第1-3号証について
本件特許に係る出願の出願日前の平成23年11月20日に頒布された刊行物である甲第1-3号証(尾崎健司、「最新オフセット印刷技術」、P393-397、色材協会誌、2011年84巻11号)には、以下の事項が記載されている。
ア 「1. オフセット印刷の原理・特徴
1.1 オフセット印刷の原理
オフセット印刷は,平らな版を使用し,水と油がはじく作用を利用して印刷する平版印刷の一つであり,インキを版からいったんプランケットに転写させ,被印刷材料に転写させる印刷方式。
オフセット印刷プロセスについて下記に示す(図-1)。
丸1(丸数字を「丸数字」と表記する。以下同様。)版への転移(水)
版には画線部(親油性)と非画線部(親水性)があり非画線部に水を供給する。
丸2版への転移(インキ)
版に水が供給された後,画線部にインキが供給される。供給する際,インキ膜厚は数本のローラを介し,所望の膜厚(1~3μm程度)になっている。
丸3版からプランケットヘの転移
画線部にあるインキが,プランケットに転写される。
丸4プランケットから被印刷材料への転移
プランケットに転写されたインキは,さらに被印測材料へ転写される。」(393ページ左欄)
イ 「丸2網点再現性
オフセット印刷は,薄い色は小さな網点で,濃い色は大きな網点を使用し,網点の大小のみで色の濃淡を表現している。オフセット印刷は網点再現が良いため,薄い色から濃い色まで色の変化を正確に表現することが可能である。」(393ページ右欄)
(4)甲第1-4号証について
本件特許に係る出願の出願日前の平成17年8月25日に頒布された刊行物である甲第1-4号証(中野雅之、「印刷分野での階調表現技術の基礎と最近の動向」、P304-308、日本写真学会誌、2005年68巻4号)には、以下の事項が記載されている。
ア 「要旨 カタログやポスター,チラシ等の印刷物に目を凝らして観察すると,小さな点の集合体で画像が形成されている事に気づく.この小さな点を印刷業界では『網点』と呼ぶ.網点の技術は,印刷製版機器のデジタル化や精密化に伴い日々進歩している.ここでは,網点に関わる技術の基礎と最近の動向を紹介する.」(304ページ上段)
イ 「印刷分野において印刷物の濃淡(階調)を表現する方法は.印刷の版式で大きく2種類に分類できる.一つはグラビア等で用いられる凹版印刷方式である.これは凹んだ画像部にインキを詰め被印刷物に圧着転写を行い,画像の濃淡は凹んだ深さ『インキの盛り具合・膜厚』で表現している.もう一つは平版・孔版印刷等で用いられる方式で.これらは原理上,被印刷物上でのインキの膜厚は凡そ一定となり,画像の濃淡をインキの盛り具合で表現できない.そこで「網点」という手法を用い,インキの被膜面積の大きさを変化させることで画像の濃淡が表現される(Table1).
ここでは,印刷分野で広く普及しているオフセット平版印刷方式における階調表現手法である「網点」技術を中心に,広く概観していくことにしたい.」(304ページ左欄)
(5)甲第1-5号証について
本件特許に係る出願の出願日前の平成16年11月16日に頒布された刊行物である甲第1-5号証(宮内康弘、「オフセット印刷での高精細印刷の現状と課題」、P22-24、日本写真学会誌、2004年67巻Supplement第2号)には、以下の事項が記載されている。
ア 「1.はじめに
オフセット印刷の表面を拡大して観察すると藍、紅、黄、黒のインキの点が見える。これらの点は網点と呼ばれ、AM(振幅変調)スクリーンの場合はそれぞれの色について一定の間隔で格子状にならんでいる(Fig.1)。通常、AMスクリーンの場合の網点の線密度は1インチあたり200線前後であるが、弊社の場合は1000線までの印刷を商業ベースで行なっている。」(22ページ左欄)
イ 「
[図:0001412268000005.jpg]
」(22ページ左欄)
(6)甲第1-6号証について
本件特許に係る出願の出願日前の平成7年6月5日に頒布された刊行物である甲第1-6号証(特公平7-51393号公報)には、以下の事項が記載されている。
ア 「【特許請求の範囲】
【請求項1】熱可塑性樹脂フィルムの二軸延伸フィルムを基材層として有する合成紙を基紙とし、この基紙の表面側と裏面側に塗工剤を、表面側と裏面側との組成を変えて塗布し、乾燥させてそれぞれの表面塗工層と裏面塗工層の表面固有抵抗と平滑度とが下記の物性値を示す塗工紙であって、この塗工紙の表面塗工層と裏面塗工層との静摩擦係数および動摩擦係数が下記の範囲内である塗工紙を得、この塗工紙の表面塗工層に被選挙人の記入欄を印刷してなる、不透明度が90%以上の選挙投票用紙。
[図:0001412268000006.jpg]
【請求項2】塗工剤が、
(a)樹脂水性バインダー
(b)無機微細粉末
(c)帯電防止機能を有する水溶性ポリマー
を含有する塗工剤であることを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の投票用紙。」
イ 「次に、(b)成分の無機微細粉末としては、炭酸カルシウム、サチン白、シリカ、酸化チタン、アルミナ、クレー及び硫酸アルミニウム等が挙げられるが、特に炭酸カルシウム等のフイラー類及び酸化チタン、亜鉛華、酸化鉄等の顔料類等が好ましい。また、この非水硬性無機微細粉末の粒径は15μ以下、特に、0.1~10μが好ましい。その理由は無機微細粉末の粒径が15μ以上であると、得られる合成紙の表面が粗面となり、その平滑性が悪くなるからである。(b)成分は、印刷性の向上、白度の向上、着色,不透明感付与、表面平滑性、及び充填材としてコスト低減を目的としている。」(3ページ左欄15行~右欄8行)
ウ 「平滑度は、より平滑(Bekk指数値が高い)程、手で投票用紙をめくる作業が容易となるからであるが、平滑度が余り高くなりすぎるとブロッキングを生じるようになる。このブロッキングを防ぐのに、一方の塗工層の平滑度を180~500秒と粗面とし、他方の塗工層の平滑度を2,000秒以上と平滑にする手法もあるが、この場合には選挙専用計数機の給排紙性に適した静摩擦係数、動摩擦係数を有する投票用紙が得られない。静摩擦係数は0.6以下であることが必要である。動摩擦係数は0.25~0.4であり、0.4を越えては投票用紙が計数機のロール等を滑べるのが困難となり、0.25未満では計数機のロール等の滑べりが良すぎて集計ミスに連なる。」(5ページ左欄28~39行)
(7)甲第1-7号証について
本件特許に係る出願の出願日前の平成10年2月25日に頒布された刊行物である甲第1-7号証(特許第2718753号公報)には、以下の事項が記載されている。
ア 「【特許請求の範囲】
【請求項1】熱可塑性樹脂フィルムの二軸延伸フィルムを基材層として有する合成紙を基紙とし、この基紙の表面側と裏面側に塗工剤を塗布し、乾燥させてそれぞれの表面塗工層と裏面塗工層の表面固有抵抗、平滑度、静摩擦係数、動摩擦係数及び帯電減衰量がそれぞれ下記の範囲内である塗工紙を得、
[図:0001412268000007.jpg]
[図:0001412268000008.jpg]
この塗工紙の表面塗工層に被選挙人の記入欄を印刷してなる、不透明度が90%以上の選挙投票用紙。
【請求項2】塗工剤が、
(a) 樹脂水性バインダー
(b) 無機微細粉末
(c) 帯電防止機能を有する水溶性ポリマー
を含有する塗工剤であることを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の投票用紙。」
イ 「次に、(b)成分の無機微細粉末としては、炭酸カルシウム、サチン白、シリカ、酸化チタン、アルミナ、クレー及び硫酸アルミニウム等が挙げられるが、特に炭酸カルシウム等のフイラー類及び酸化チタン、亜鉛華、酸化鉄等の顔料類等が好ましい。また、この無機微細粉末の粒径は15μ以下、特に、0.1~10μが好ましい。その理由は無機微細粉末の粒径が15μ以上であると、得られる合成紙の表面が粗面となり、その平滑性が悪くなるからである。(b)成分は、印刷性の向上、白度の向上、着色、不透明感付与、表面平滑性、及び充填材としてコスト低減を目的としている。」(3ページ左欄17行~右欄9行)
(8)甲第1-8号証について
本件特許に係る出願の出願日前の平成19年7月12日に頒布された刊行物である甲第1-8号証(特開2007-176185号公報)には、以下の事項が記載されている。
ア 「【請求項1】
熱可塑性樹脂からなる不透明度90~100%の二軸延伸フィルムを基紙とし、この基紙の表面側と裏面側に塗工層を有し、かつ表面塗工層に被選挙人の記入欄を印刷してなる選挙投票用紙において、折り回復時間が1~10秒であることを特徴とする選挙投票用紙。
【請求項2】
塗工層が、
(a)水性樹脂バインダー
(b)無機微細粉末
(c)帯電防止機能を有する水溶性ポリマーを含有していることを特徴とする請求項1記載の投票用紙。」(【特許請求の範囲】)
イ 「【0014】
2)フィラー
本発明の二軸延伸フィルムに熱可塑性樹脂とともに用いることができるフィラーとしては、各種無機フィラーまたは有機フィラーを使用することができる。無機フィラーまたは有機フィラーは、二軸延伸フィルム中に、11~56重量%で使用することがより好ましく、14~50重量%で使用することがさらに好ましい。
無機フィラーとしては、炭酸カルシウム、焼成クレイ、シリカ、けいそう土、タルク、硫酸バリウム、硫酸アルミニウム、酸化マグネシウム、アルミナ、紫外光吸収フィラー等が挙げられ、紫外光吸収フィラーとしては、二酸化チタン、酸化亜鉛等が挙げられる。
有機フィラーとしては、マトリクス樹脂がポリオレフィン樹脂の場合に、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ナイロン-6、ナイロン-6,6、環状オレフィン重合体、環状オレフィンとエチレンとの共重合体等の用いるポリオレフィン樹脂の融点よりは高い融点(例えば、120~300℃)ないしはガラス転移温度(例えば、120~280℃)を有するものが使用できる。
二軸延伸フィルムには、上記の無機フィラーまたは有機フィラーの中から1種を選択してこれを単独で使用してもよいし、2種以上を選択して組み合わせて使用してもよい。2種以上を組み合わせて使用する場合には、有機フィラーと無機フィラーとを混合して使用してもよい。」
ウ 「【0033】
本発明の塗工層は、表面塗工層および裏面塗工層ともに、塗工剤の素材、組成により、表面固有抵抗が1×1012Ω未満、平滑度(JIS-P-8119のベック指数)が100~5,000秒となるように調整することが好ましい。
表面固有抵抗が1×1012Ωを越えると用紙間でブロッキングを生じたり、ほこりが投票用紙に付着しやすい。平滑度は、より平滑である(ベック指数値が高い)程、手で投票用紙をめくる作業が容易となるが、平滑度が余り高くなりすぎるとブロッキングを生じるようになり開票に支障を来たす可能性がある。また鉛筆筆記性も悪化する。
塗工層の厚みは表面側、裏面側とも0.05~10μm程度とする。選挙投票用紙の肉厚は60~150μmであることが好ましく、70~140μmであることがより好ましく、80~130μmであることが特に好ましい。」
(9)甲第1-9号証について
本件特許に係る出願の出願日前の平成20年12月25日に頒布された刊行物である甲第1-9号証(特開2008-307835号公報)には、以下の事項が記載されている。
ア 「【請求項1】
熱可塑性樹脂からなる二軸延伸フィルムを基紙とし、この基紙の表面と裏面にそれぞれ塗工層を有し、かつ表面塗工層に被選挙人の記入欄を印刷してなる選挙投票用紙であって、不透明度が90~98%、かつ光波長900nmにおける光線透過率が14~20%であることを特徴とする選挙投票用紙。
【請求項2】
塗工層が、
(a)水性樹脂バインダー、
(b)無機微細粉末、
(c)帯電防止機能を有する水溶性ポリマー、
を含有していることを特徴とする請求項1に記載の投票用紙。」(【特許請求の範囲】)
イ 「【0013】
2)フィラー
本発明の二軸延伸フィルムには、熱可塑性樹脂とともにフィラーを用いることができ、該フィラーとしては、各種無機フィラーまたは有機フィラーを使用することができる。本発明の選挙投票用紙に所望の不透明度を持たせるために、無機フィラーまたは有機フィラーは、二軸延伸フィルム中に、11~56重量%の範囲で使用することがより好ましく、14~50重量%で使用することがさらに好ましい。
無機フィラーとしては、炭酸カルシウム、焼成クレイ、シリカ、けいそう土、タルク、硫酸バリウム、硫酸アルミニウム、酸化マグネシウム、アルミナ、紫外光吸収フィラー等が挙げられ、紫外光吸収フィラーとしては、二酸化チタン、酸化亜鉛等が挙げられる。
有機フィラーとしては、マトリクス樹脂がポリオレフィン樹脂の場合に、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ナイロン-6、ナイロン-6,6、環状オレフィン重合体、環状オレフィンとエチレンとの共重合体等の用いるポリオレフィン樹脂の融点よりは高い融点(例えば、120~300℃)ないしはガラス転移温度(例えば、120~280℃)を有するものが使用できる。
二軸延伸フィルムには、上記の無機フィラーまたは有機フィラーの中から1種を選択してこれを単独で使用してもよいし、2種以上を選択して組み合わせて使用してもよい。2種以上を組み合わせて使用する場合には、有機フィラーと無機フィラーを混合して使用してもよい。」
ウ 「【0031】
本発明の塗工層は、表面塗工層および裏面塗工層ともに、塗工剤の素材、組成により、表面固有抵抗が1×1012Ω未満、平滑度(JIS-P-8119のベック指数)が100~5,000秒となるように調整することが好ましい。
表面固有抵抗が1×1012Ωを越えると用紙間でブロッキングを生じたり、ほこりが投票用紙に付着しやすい。平滑度は、より平滑である(ベック指数値が高い)程、手で投票用紙をめくる作業が容易となるが、平滑度が余り高くなりすぎるとブロッキングを生じるようになり開票に支障を来たす可能性がある。また鉛筆筆記性も悪化する。
塗工層の厚みは表面側、裏面側とも0.05~10μm程度とする。選挙投票用紙の肉厚は60~170μmであることが好ましく、70~140μmであることがより好ましく、80~130μmであることが特に好ましい。」
(10)甲第1-10号証について
本件特許に係る出願の出願日前の平成13年3月21日に頒布された刊行物である甲第1-10号証(特開2001-72890号公報)には、以下の事項が記載されている。
ア 「【0014】
【発明の実施の形態】本発明に用いられる表面処理剤は、有機物であれば特に限定されることなく用いることができる。具体的に例示すると、一価アルコールの高級脂肪酸エステル、多価アルコールの高級脂肪酸エステル、モンタワックスタイプの非常に長鎖のエステルの部分加水分解物等の脂肪酸エステル系滑剤;ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油および硬化ひまし油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルの非イオン界面活性剤が挙げられ、これらは単独で又は2種以上組み合わせて用いられる。尚、上記一価アルコールとしては炭素数が1~18であるメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール等が挙げられ、多価アルコールとしてはエチレングリコール、グリセリン、ソルビトール等が挙げられ、高級脂肪酸としては炭素数が8~18のラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等が挙げられる。
【0015】さらには、オレイン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ミリスチン酸イソトリデシル、パルミチン酸、ベヘニン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸等の脂肪酸;前記脂肪酸のアマイドおよびビスアマイド;ステアリルアルコール等の高級アルコールまたは分岐高級アルコール;ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムまたはその複合体等の金属石鹸系滑剤;C16以上の流動パラフィン、マイクロクリスタンワックス、天然パラフィン、合成パラフィン、ポリオレフィンワックスおよびこれらの部分酸化物、あるいはフッ化物、塩化物などの脂肪族炭化水素系滑剤;シリコンオイル、大豆油、ヤシ油、パーム核油、アマニ油、ナタネ油、綿実油、キリ油、ヒマシ油、牛脂、スクワラン、ラノリン、硬化油等の油剤;N-アシルアミノ酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アシル化ペプチド等のカルボン酸塩;アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンおよびアルキルナフタレンスルホン酸塩、スルホンコハク酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、N-アシルスルホン酸塩等のスルホン酸塩;硫酸化油、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルキルアリルエーテル硫酸塩、アルキルアミド硫酸塩等の硫酸エステル塩;アルキルリン酸塩、アルキルエーテルリン酸塩、アルキルアリルエーテルリン酸塩等のリン酸エステル塩;脂肪族アミン塩、脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩等の陽イオン界面活性剤;カルボキシベタイン型、アミノカルボン酸塩、イミダゾリニウムベタイン、レシチン等の両性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン2級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステロールエーテル、ポリオキシエチレンラノリン誘導体、アルキルフェノールホルマリン縮合物の酸化エチレン誘導体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルアミド、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアミンオキサイド等の非イオン界面活性剤;フッ素系界面活性剤;ポリオキシエチレンアリルグリシジルノニルフェニルエーテル等の反応系界面活性剤等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上組み合わせて用いられる。更には、上記した非イオン界面活性剤と組み合わせて用いられる。」
イ 「【0020】上記の如くして得られた表面処理炭酸カルシウムは、各種合成樹脂、ゴム、塗料等における分散性に優れており、特に樹脂との相溶性及び分散性に優れている。樹脂としては特に制限されず、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂等が挙げられ、これらは単独で又は必要に応じ2種以上組み合わせて用いられる。配合割合は、合成樹脂100重量部に対して表面処理炭酸カルシウム25~400重量部が好適である。」
(11)甲第1-11号証について
本件特許に係る出願の出願日前の平成18年6月29日に頒布された刊行物である甲第1-11号証(特開2006-169421号公報)には、以下の事項が記載されている。
ア 「【請求項1】
無機粒子が、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、脂環族カルボン酸、芳香族スルフォン酸、樹脂酸、それらの塩、それらのエステル、アルコール系界面活性剤、ソルビタン脂肪酸エステル類、アミド系界面活性剤、アミン系界面活性剤、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、アルファオレフィンスルフォン酸ナトリウム、長鎖アルキルアミノ酸、アミンオキサイド、アルキルアミン、第四級アンモニウム塩から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤(A)と、縮合リン酸、その塩、多価カルボン酸、その塩から選ばれる少なくとも1種の、アルカリ土類金属に対してキレート能を有する化合物(B)とで表面処理された無機粒子からなることを特徴とする多孔質フィルム用填剤。
【請求項2】
無機粒子が炭酸カルシウム又は硫酸バリウムであることを特徴とする請求項1記載の多孔質フィルム用填剤。」(【特許請求の範囲】)
イ 「【0024】
本発明の多孔質フィルム用填剤は、樹脂との混合が容易で、且つ樹脂中での分散性が良好であり、例えば電池の電極間のセパレーターとして有用な多孔質フィルムを提供することができる。また、本発明の多孔質フィルム用填剤は、樹脂との混合が速やかに行える他に、例えばミキサーの内壁面や攪拌・混合用の羽根への付着が少なく、ミキサー内部での付着が誘引する変質樹脂や凝集物の発生も少なくなり、混合の作業性及び後工程での混練押出機でのストレーナーの目詰まり等の発生も少ない等の特徴を有する。」
(12)甲第1-12号証について
本件特許に係る出願の出願日前の平成18年10月5日に頒布された刊行物である甲第1-12号証(特開2006-265472号公報)には、以下の事項が記載されている。
ア 「【請求項1】
飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、脂環族カルボン酸、芳香族スルフォン酸、樹脂酸、それらの塩、それらのエステル、アルコール系界面活性剤、ソルビタン脂肪酸エステル類、アミド系界面活性剤、アミン系界面活性剤、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、アルファオレフィンスルフォン酸ナトリウム、長鎖アルキルアミノ酸、アミンオキサイド、アルキルアミン、第四級アンモニウム塩から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤(A) と、縮合リン酸、その塩、多価カルボン酸、その塩から選ばれる少なくとも1種の、アルカリ土類金属に対してキレート能を有する化合物(B) とで表面処理された無機粒子からなることを特徴とする光反射多孔質フィルム用填剤。
【請求項2】
無機粒子が炭酸カルシウム又は硫酸バリウムであることを特徴とする請求項1記載の光反射多孔質フィルム用填剤。」(【特許請求の範囲】)
イ 「【0024】
本発明の表面処理無機粒子からなる光反射多孔質フィルム用填剤は、樹脂との混合が容易で、且つ樹脂中での分散性が良好であり、例えば液晶ディスプレイのバックライト装置の光反射体の光反射層として有用な多孔質フィルムを提供することができる。
また、本発明の光反射多孔質フィルム用填剤は、樹脂との混合が速やかに行える他に、例えばミキサーの内壁面や攪拌・混合用の羽根への付着が少ないため、配合の振れが小さく安定する。また、ミキサー内部での付着が誘引する変質樹脂や凝集物の発生も少なくなり、混合の作業性及び後工程での混練押出機でのストレーナーの目詰まり等の発生も少ない等の特徴を有する。」
(13)甲第2-1号証について
本件特許に係る出願の出願日前の平成10年2月25日に頒布された刊行物である甲第2-1号証(特許第2718753号公報)には、以下の事項が記載されている。
ア 「【特許請求の範囲】
【請求項1】熱可塑性樹脂フィルムの二軸延伸フィルムを基材層として有する合成紙を基紙とし、この基紙の表面側と裏面側に塗工剤を塗布し、乾燥させてそれぞれの表面塗工層と裏面塗工層の表面固有抵抗、平滑度、静摩擦係数、動摩擦係数及び帯電減衰量がそれぞれ下記の範囲内である塗工紙を得、
[図:0001412268000009.jpg]
[図:0001412268000010.jpg]
この塗工紙の表面塗工層に被選挙人の記入欄を印刷してなる、不透明度が90%以上の選挙投票用紙。」
イ 「〔産業上の利用分野〕
本発明は、国会議員や県会議員、市町村の議員および県知事、市町村長の選挙や、最高裁判所の判事の罷免選挙に用いられる選挙投票用紙に関するものである。
本発明の選挙投票用紙は、ブロッキングがなく、手作業や選挙専用計数機での集計作業が容易である。」(2ページ左欄1~6行)
ウ 「選挙投票終了後、投票箱より投票用紙は取り出され、選挙管理委員会の立会のもとに折り曲げられた投票用紙を人々は開き、候補者名毎に投票用紙を振い分け、人手により各候補者毎の票数を数え挙げて集計し、更に確認を兼ねて選挙専用計数機を用いて集計している。」(2ページ左欄14~18行)
エ 「しかし、撥水性に優れるため人手の集計のさいに指につけた手めくり用の水分が合成紙の表面に残り、この水分により前後する投票用紙が密着し、選挙専用計数機で集計する際、2枚一緒に計数機にかけられて人手による集計数と計数機による集計数と異なることが発生することが判明した。
また、計数機にかけると、給排紙時のロールにより帯電し、計数機のカウントを停止させることがしばしばあることが判明した。」(2ページ左欄41~49行)
オ 「(合成紙)
合成紙としては、熱可塑性樹脂の2軸延伸フィルムを基材層とする合成紙なら如何なるものでもよく、無機微細粉末を8~65重量%含有する熱可塑性樹脂の2軸延伸フィルム単層の合成紙であっても、この2軸延伸フィルム基材層の表裏面に無機微細粉末を含有する熱可塑性樹脂の1軸延伸フィルムを紙状層とする層が積層されたものであってもよい。従って、前述の特許公報群に記載されたもの全て利用できる。」(2ページ右欄19~27行)
カ 「(塗工剤)
合成紙の表裏面に塗工される塗工剤は、例えば樹脂水性エマルジョンと、無機微細粉末と、帯電防止機能を有する水溶性ポリマーを含有するもので、エマルジョン(a)中の樹脂の固型分100重量部に対し、無機微細粉末は300~2,000重量部、好ましくは500~700重量部の割合で、水溶性ポリマー(c)は0.1~5重量部の割合で用いられる。
樹脂水性エマルジョンは有機バインダーとして、耐水性、顔料、充填材の固着、および塗工層の合成紙への密着性を付与するものであり、本発明において使用される水性樹脂バインダーは、基材である合成紙の素材の熱可塑性樹脂の種類及びその他の条件を考慮して任意に選択すればよいが、例えば、メタクリル酸メチル-ブタジエン共重合体ゴムラテックス、ポリ塩化ビニリデン系エマルジョン、エチレン-酢酸ビニル-塩化ビニル共重合体エマルジョン、スチレン-ブタジエン共重合体ゴムラテックス、酢酸ビニル-アクリル酸エステル共重合体ラテックス、アクリル酸エステル-スチレン共重合体エマルジョン、エチレン-酢酸ビニル共重合体エマルジョン、アクリル系樹脂エマルジョン等を単独で、または二種以上併用して用いる。
次に、(b)成分の無機微細粉末としては、炭酸カルシウム、サチン白、シリカ、酸化チタン、アルミナ、クレー及び硫酸アルミニウム等が挙げられるが、特に炭酸カルシウム等のフイラー類及び酸化チタン、亜鉛華、酸化鉄等の顔料類等が好ましい。」(2ページ右欄35行~3ページ右欄3行)
キ 「塗工剤の素材、組成は、表面塗工層および裏面塗工層の表面固有抵抗、平滑度(JIS P-8119のBekk指数)、静摩擦係数および動摩擦計数(JIS C-6244の6,12項)、帯電減衰量(宍戸商会のスタテックネオストメーターを用い23℃、50RH%下に試料に10kVの電圧を30秒間かけて帯電させたのち、電圧をゼロにして帯電量が1/2に減衰するまでに要した時間)が前記表に示す物性となるように選択する。」(5ページ左欄19~26行)
ク 「静摩擦係数は0.6以下であることが必要である。動摩擦係数は0.25~0.4であり、0.4を越えて投票用紙が計数機のロール等を滑べるのが困難となり、0.25未満では計数機のロール等の滑べりがよすぎて集計ミスに連なる。」(5ページ左欄34~37行)
ケ 「合成紙の製造例:
三菱油化(株)製ポリプロピレン“ノーブレンMA-6"(商品名)69部、三菱油化(株)製高密度ポリエチレン“ユカロンバードEY-40"(商品名)8部、耐光性改良剤として平均粒径1μの酸化チタン0.8部および三共(株)製ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート“サノールLS-770"(商品名)0.06部、クレイ22.2部、酸化防止剤0.3部および分散剤として花王石鹸(株)製オレイン酸“ルナック”(商品名)0.1部よりなる組成物を押出機を用いて熔融、混練したのち、ダイより200℃の温度でシート状に押出し、約50℃迄、該シートを冷却した。次いでこのシートを約150℃に加熱した後、ロール群の周速度を利用して縦方向に4倍延伸した。
別に、ポリプロピレン(三菱ノーブルMA-6)55部、平均粒径0.8μの重質炭酸カルシウム42部、平均粒径1μの酸化チタン3部、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート0.4部、抗酸化剤としてヨシノックスBHT、マーク329およびイルガノックス-1076をそれぞれ0.1部、オレイン酸0.1部の割合で配合した組成物を別の2台の押出機を用いて熔融混練し、ダイより200℃の温度でシート状に前記縦軸延伸されたシートの両側面にラミネートし、一旦、室温より20℃高い温度まで冷却後、約155℃に再加熱し、テンターを用いて横方向に8倍延伸し、次いで160℃のオーブン中を通過させて熱セットし、更にコロナ放電処理して、中間層(基材層)の2軸延伸フィルムの肉厚が70μ、表裏層の1軸延伸フィルムの肉厚が各々10μの三層構造の印刷、筆記性のすぐれた合成紙を得た。」(5ページ右欄1~29行)
コ 「実施例1~2、比較例1
前記例で得た肉厚が90ミクロンの合成紙1の表裏面に、下記の塗工剤IまたはIIを塗布し、100℃で乾燥させて、表面塗工層1aの肉厚が4μ、裏面塗工層1bの肉厚が4μの塗工紙を得た。
この塗工紙1の表面塗工層1aの上に候補者記入欄や注意書事項、選挙管理委員会名を印刷2し、投票用紙3を作成した。(第1図)
これらの投票用紙と、塗工する前の合成紙の物性を表2に示す。
[図:0001412268000011.jpg]
[図:0001412268000012.jpg]
」(5ページ右欄32行~6ページ右欄)
サ 上記ア及びコより、甲2-1号証には、熱可塑性樹脂フィルムの2二軸延伸フィルムを基材層として有する合成紙を基紙とし、この基紙の表面側と裏面側に表面塗工層と裏面塗工層が設けられた選挙投票用紙であって、表面塗工層と裏面塗工層は、静摩擦係数が0.51又は0.55、動摩擦係数が0.38である選挙投票用紙が示されていると認められる。
シ 上記キより、静摩擦係数及び動摩擦係数は、静摩擦係数および動摩擦計数(JIS C-6244の6,12項)に準拠する。
ス 上記カより、表面塗工層及び裏面塗工層となる塗工剤は、樹脂水性エマルジョン及び無機微細粉末を含有し、樹脂水性エマルジョンは有機バインダーとして、耐水性、顔料、充填材の固着、および塗工層の合成紙への密着性を付与するものであり、水性樹脂バインダーとして、酢酸ビニルーアクリル酸エステル共重合体ラテックス、アクリル酸エステルースチレン共重合体工マルジョン、アクリル系樹脂エマルジョンが開示されている。
セ 上記カより、無機微細粉末として、炭酸カルシウム及びクレーが開示されている。
ソ 上記コより、実施例では、表面塗工層及び裏面塗工層となる塗工剤に、粒径1.5μのCaCO3が用いられており、色素は含まれていない。
タ 上記コより、表面塗工層及び裏面塗工層における粒径1.5μのCaCO3の含有量は、{粒径1.5μのCaC03/(SBRラテックス(固型分50%)+アクリル酸エステル系樹脂ラテックス(固型分50%)+粒径1.5μのCaC03+ST-1100の水溶液(固型分4%))}X100(質量%)
で表され、塗工剤Iを用いた場合には、
{100部/(40部0.5+9部X0.5+100部+12部X0.04)}=80.0質量%、
塗工剤IIを用いた場合には
{100部/(50部X0.5+10部X0.5+100部+12部X0.04)}=76.6質量%
である。
上記記載事項ア乃至コ及び認定事項サ乃至タによれば、甲第2-1号証には、次の発明「甲2-1発明」という。)が記載されているものと認められる。「無機微細粉末を8~65重量%含有する熱可塑性樹脂(三菱油化(株)製ポリプロピレン“ノーブレンMA-6"(商品名))の2軸延伸フィルム単層の基材層として有する合成紙からなる基紙と、前記基紙の両面に設けられた表面塗工層及び裏面塗工層と、を含む選挙投票用紙であって、
前記表面塗工層及び裏面塗工層が、
耐水性、顔料、充填材の固着、および塗工層の合成紙への密着性を付与する有機バインダーとしての樹脂水性エマルジョンがSBRラテックス(固形分50%) 40部
アクリル酸エステル系樹脂ラテックス(固形分50%) 9部
粒径1.5μのCaCo3(炭酸カルシウム) 100部
ST-1100の水溶液(固形分4%) 12部
無機微細粉末としてクレー
からなり、
前記炭酸カルシウムの含有量が、前記表面塗工層及び裏面塗工層に対して、80.0質量%又は76.6質量%であり、
前記表面塗工層及び裏面塗工層のJISC-6244の6,12項に準拠した静摩擦係数が、0.51又は0.55であり、
前記表面塗工層及び裏面塗工層のJISC-6244の6,12項に準拠した動摩擦係数が、0.38であり、
前記基紙並びに前記表面塗工層及び前記裏面塗工層に、色素は含まれず、
水溶性ポリマーは、酢酸ビニルーアクリル酸エステル共重合体ラテックス、アクリル酸エステルースチレン共重合体エマルジョン、アクリル系樹脂エマルジョンといったアクリル系ポリマーを単独で、または二種以上併用して用いる、
選挙投票用紙。」
(14)甲第2-2号証について
本件特許に係る出願の出願日前の平成22年2月22日に頒布された刊行物である甲第2-2号証(「紙及び板紙-静及び動摩擦係数の測定方法」JIS P 8147、日本規格協会)には、以下の事項が記載されている。
ア 「1 適用範囲
この規格は,水平法及び傾斜法を用いた摩擦試験方法並びに摩擦係数を測定する手順について規定する。IS0水平法による測定方法では,最初の状態の静摩擦係数及び/ 又は一定回数表面が磨耗した後の静及び動摩擦係数を測定する。水平法による測定方法では,最初の状態の静摩擦係数及び/又は動摩擦係数を測定する。傾斜法による測定方法では,最初の状態の静摩擦係数を測定する。」(1ページ11~16行)
イ 「4 測定方法の種類
摩擦係数の測定方法の種類は、次による。
a) IS0水平法
b) 水平法
c) 傾斜法」(2ページ23~27行)
ウ 「6 IS0水平法
6.1 概要
IS0水平法では,最初の滑りの静摩擦係数,3回目の滑りの静摩擦係数又は3回目の滑りの動摩擦係数の少なくとも一つを測定する。
…
6.2 装置(図1参照)
6.2.1 水平テーブル
スレッドを収容できる幅の平らな表面の非圧縮性の物質(金属,硬い木材,ガラスなど)からなるもの。試験の間,試験片とテーブルとの間で滑りを生じないものとする。
6.2.2 スレッド
底面にセットした試験片に2.2kPa土0.6kPaの垂直の圧力を加えられるもの。その底面は平たんで,(60mm土5mm)×(60mm土5mm)の寸法であり、非圧縮性の物質からなる。
…
6.6.3 最初の静摩擦係数並びに3回目の静摩擦係数及び動摩擦係数
最初の静摩擦係数並びに3回目の静摩擦係数及び動摩擦係数を求める場合には,試験は次による。
測定面が外を向いて接触するように,試験片をテーブル及びスレッドに固定する。テーブル及びスレッドの試試験片の方向が,引っ張る方向に対して平行になるようにする。
…
駆動装置をスタートさせ,ランプタイムが0.5秒~5秒の間で,ランプカーブが図2の網掛け部で示した範囲になるように,力の表示が上昇することを確認する。最初の滑りの動きを始めるときに必要な力Fs1を記録する。
…
試験片を最初の位置に戻す。同じ対及び同じ面の紙片片を用いて,3回目の滑りの操作を繰り返す。
3回目の滑りの動きを始めるときに必要な力Fs3を記録する。
3回目の滑りで、40mm~60mmの滑りの距離における平均の摩擦力FKを記録する。…」(2ページ32行~8ページ4行)
(15)甲第2-3号証について
本件特許に係る出願の出願日前の昭和50年8月1日に頒布された刊行物である甲第2-3号証(「情報交換用カード」JIS X 6193、日本規格協会)には、以下の事項が記載されている。
ア 「このJIS C 6244-1975は,1987年3月1日付けで次の番号に変更になりました。
JIS X 6193-1975」(表紙)
イ 「「6.12 摩擦係数 摩擦係数試験は,次の方法によって行う。
(1) 測定器具
(a) 定盤 水平に設置すること。
(b) おもり 質量1000g
寸法縦76 mm、横76 mm
厚さは,一様であること,底面は,平滑なゴム張りとする。
(c) ゲージ チャタリオンプッシュプルゲージで水平に校正されたものとする。
(d) ゲージ駆動装置 ゲージを水平方向にむらなく90cm/minの速さで動かし得るもの。
(2) 供試カード
…
(c) 測定方法 11枚のカードを重ねて定盤の上に,カードの短辺の左端をストッパーに当てて置く。次に一番上のカードを1枚,右方向に約50mmずらし,その上におもりをのせる。おもりは11枚全部のカードで支持させるよう下側のカードの右端にそれからはずれないようにしておく。ゲージをおもりに当て,おもりをカードの右側から左方に押すように置き,おもりをゲージで動かす。おもりと一番上のカードが動き始めるときのゲージの読み( g )を読み取り,それを1000で除したものを静摩擦係数とする。
また,おもりと一番上のカードが一定の速度で動いているときのゲージの読み(g)を読み取り,それを100 0で除したものを動摩擦係数とする。
測定は,まず一番上のカードについて行い,終了したらそれを一番下に入れ,次のカードについて行う。これを全部のカードについて行うものとする。」(6ページ33行~7ページ12行)
(16)甲第2-4号証について
本件特許に係る出願の出願日前の平成9年6月24日に頒布された刊行物である甲第2-4号証(特開平9-164757号公報)には、以下の事項が記載されている。
ア 「【請求項1】 紙基材の外面に抗菌性オフセットインキにより形成された抗菌性印刷層を有することを特徴とする抗菌加工紙。」
イ 「【0004】
【課題を解決するための手段】紙基材の外面に抗菌性オフセットインキにより形成された抗菌性印刷層を有することを特徴とする抗菌加工紙である。この場合、所定の絵柄をオフセット方式により印刷する際に同時に抗菌性印刷層を形成することができるので安価に製造できる上に、最外面に抗菌性印刷層を有するので細菌、かび類に対する優れた抗菌効果が得られる。」
ウ 「【0007】前記抗菌性印刷層が、全面に印刷された網点面積率が10~30%の網点印刷層であることを特徴とする上記の抗萌加工紙である。この場合、抗菌性印刷層の表面に筆記が可能である。」
エ 「【0013】…網点面積率は10~30%が適当であり、網点面積率を10%以下にすると抗菌効果が低下するし、網点面積率を30%以上にすると水性インキ等で筆記する場合に紙面へのインキの吸収が悪くなりインキがはじかれるので筆記適性が低下し好ましくない。
【0014】本発明の第3実施例の抗菌加工紙を便箋用紙に使用した状態は図4に示すとおりであり、便箋用紙を構成する紙基材1の表面の全面に抗菌性カラー印刷層5が形成された構成である。便箋用紙等においては表面に淡色のカラー印刷が施されるケースが多いが、淡色のカラー印刷を抗菌性のオフセットインキにより形成したものである。抗菌性カラー印刷層5はオレンジ、ブルー等の抗菌性オフセットインキにより30%以下の網点により形成されるので筆記適性が損なわれない上に優れた抗菌効果も得られる・・・。」
オ 「【0019】実施例5
80g/m2の上質紙の表面全面に、オフセットオレンジインキに1.0重量%の銀イオンを含有するゼオライト系無機抗菌剤(シナネンゼオミツク、XAZ-10D)を混練した抗菌性オフセットオレンジインキを使用して、網点面積率30%以下の網点により淡色のカラー印刷層を形成することにより抗菌加工紙を作製した。抗菌効果は表1に示すとおりである。水性ペンによる筆記適性は良好であった。」
(17)甲第2-5号証について
本件特許に係る出願の出願日前の平成13年2月13日に頒布された刊行物である甲第2-5号証(特開2001-39012号公報)には、以下の事項が記載されている。
ア 「【請求項1】 支持体の少なくとも片面にインク受容層が設けられ、かつ該インク受容層表面に油性インクで印刷が施されてなるインクジェット記録シートにおいて、該印刷がランダムドット方式によって網点が形成されたものであり、かつ該油性インクによるドットの被覆面積率が70%以下であることを特徴とするインクジェット記録シート。」
イ 「【0006】一方、デザイン、イベント、広告などの分野では、白色系のインクジェット記録シートだけではなく、記録画像の画質を損なわない範囲で地肌部に薄く着色を施し装飾性を向上させたインクジェット記録シートの要望も増えている。こうした着色したインクジェット記録シートを製造する方法としては、当該インクジェット記録シートを構成する支持体あるいはインク受理層中に染料、顔料等の着色剤を配合する方法;着色を施していない白色系のインクジェット記録シートにインクジェット記録方式により、画像記録とともに地肌部の着色も行う方法等がある。しかしながら、前者の方法は、支持体作製時、インク受理層の塗液の調製あるいは支持体への塗工時に染料や顔料等により設備を汚染する問題がある。また、インクジェット記録シートは一般に大ロット向きの生産方式により生産されており、消費者の要望により、小ロット多品種の様々な種類の着色に対応することは困難となる。一方、後者の方法は、インクジェット記録用のインキが高価である、シート全面に画像記録を行う必要があり印字に時間がかかるという問題が生じている。
【0007】さらに、インクジェット記録したシートを屋外のポスター、看板等に使用する場合、当然のことながら、インクジェット記録シートは太陽光や風雨に晒されることになる。こうした影響により、インクジェット記録シートは破損し紙破れを生じたり、記録画像が退色したり等、外観上見苦しいものとなる問題があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、布風な独特な風合いがあり装飾性に優れ、かつ記録画像の発色が良好なインクジェット記録シート、さらには、屋外使用時の耐性の高いインクジェット記録シートを提供するものである。」
ウ 「【0013】
【発明の実施の形態】本発明に関わるインクジェット記録シートについて詳細に説明する。本発明のインクジェット記録シートは、支持体が布帛であり、かつインク受理層を網点により着色したことを特徴とする。インク受理層をベタ印刷により一面に着色することでもインクジェット記録シートを着色することは可能であるが、該シートをインクジェット記録すると、インク受理層がインクを吸収せず画像が大きくにじむ。本発明者らは、こうした問題点を解決するために鋭意検討した結果、本発明に到ったのである。本発明のように、インク受理層を網点により着色することにより、通常は白色であるインクジェット記録シートを簡便に着色することが可能となり、布風の独特の風合いがあり装飾性に優れ、かつ記録画像のにじみがなく発色が良好なインクジェット記録シートとすることが可能となる。本発明のインクジェット記録シートは、小ロット対応が可能で、デザイン、イベント、広告などの分野で使用可能である。」
エ 「【0016】単位面積当たりに占める網点による着色層の割合は、特に限定されないが、5%以上50%以下であることが好ましい。さらに好ましくは10%以上40%以下、特に好ましくは15%以上30%以下である。単位面積当たりに占める網点による着色層の割合が5%より小さいと着色の効果が得にくい。また、50%を超えるとインク受理層のインク吸収性が低下し、インクジェット記録時に画像のにじみが発生しやすい。」
(18)甲第2-6号証について
本件特許に係る出願の出願日前の平成11年4月13日に頒布された刊行物である甲第2-6号証(特開平11-99741号公報)には、以下の事項が記載されている。
ア 「【請求項1】 支持体の少なくとも片面にインク受容層が設けられ、かつ該インク受容層表面に油性インクで印刷が施されてなるインクジェット記録シートにおいて、該印刷がランダムドット方式によって網点が形成されたものであり、かつ該油性インクによるドットの被覆面積率が70%以下であることを特徴とするインクジェット記録シート。」
イ 「【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記の問題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、従来の製版印刷方式とインクジェット記録の優位点を活かし、油性インクで背景色等がある特定な印刷方式で印刷されてなるインクジェット記録シートに水性インクでインクジェット記録することで、課題が解決されることを見出したものである。」
ウ 「【0043】本発明における印刷の油性インキで被覆される面積はインク受容層表面の70%以下であることが必要である。より好ましくは50%以下であり、更に好ましくは30%以下である。油性インクの被覆面積率が70%を超えると後から打込まれる水性インクジェット用インクの吸収性が十分に得られず、インクジェット記録した文字や画像の鮮鋭度が低下するために好ましくない。」
エ 「【0066】
【発明の効果】表1~3から明らかなように、ランダムドット印刷方式により油性インクで被覆率70%以下に印刷した本発明によるインクジェット記録シートは、従来方式の印刷を施したインクジェット記録シートに比べ、インク吸収性は変わらず、鮮鋭度において優秀な性能を示している。従ってランダムドット印刷方式を施した本発明のインクジェット記録シートは、白紙のインクジェット記録シートと全く同じように使用でき、かつ背景印刷がすでに施されているために、インクジェットインキでその部分は印刷する必要がなく、必要な画像のみを印刷することで、目的が達成されるため、インクの使用量は節約出来、かつ印画時間も極めて短縮出来る効果が得られる。また単位ドットの直径が50ミクロン以下になると印刷面の粗い感じが無くなり、より好ましい効果が得られる。」
(19)甲第2-7号証について
本件特許に係る出願の出願日前の平成12年12月25日に頒布された刊行物である甲第2-7号証(特許第3120553号公報)には、以下の事項が記載されている。
ア 「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、紙塗被組成物に関し、さらに詳しくは、特にオフセット印刷において要求される耐水性及びインク受理性に優れた塗被紙を提供し、かつ、該塗被紙の製造において塗工操業性に優れた紙塗被組成物に関する。」
イ 「【0042】(紙塗被組成物)得られた共重合体ラテックスは、顔料と組み合わせて紙塗被組成物とする。紙塗被組成物に使用される顔料は、例えば、クレイ、炭酸カルシウム、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、サチン白などの無機顔料;プラスチックピグメントやバインダーピグメントなどとして知られる有機顔料;などが挙げられ、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。本発明の共重合体ラテックスは、顔料(固形分)100重量部に対して、固形分で通常5~40重量部の割合で使用する。」
ウ 「【0048】[製造例1](共重合体ラテックスA)
内容積約10リットルの反応容器に、
水 150部
ラウリル硫酸ソーダ 2部
重炭酸ソーダ 0.5部
エチレンジアミン四酢酸の四ナトリウム塩 0.1部
ブタジエン 43部
イタコン酸 2部
スチレン 30部
メタクリル酸メチル 15部
アクリロニトリル 10部
t-ドデシルメルカプタン 0.8部
過硫酸カリウム 1部
を仕込み(以下、「仕込み組成a」と称す)、反応温度75℃で7時間反応を行い、重合転化率を95%とした。
【0049】次いで、反応容器にメタクリル酸メチル2部を添加し、さらに4時間反応を行ったところ、重合転化率は99%となり、この段階で重合反応を終了して冷却した。未反応単量体を除去した後、水酸化ナトリウム水溶液でラテックスのpHを8に調整し、次いで濃縮して固形分濃度50%として共重合体ラテックス(A)を得た。」
エ 「【0052】[製造例8](共重合体ラテクックスH)
撹拌機付きタンクに次の組成を仕込み、モノマーエマルジョンを作成した。
水 48部
ラウリル硫酸ソーダ 0.2部
重炭酸ソーダ 0.5部
ブタジエン 44部
スチレン 28部
メタクリル酸メチル 15部
アクリロニトリル 10部
メタクリル酸 2部
α-メチルスチレンダイマー 2部
【0053】次に、撹拌機付きオートクレーブに次の組成を仕込み、十分に混合した。
水 32部
エチレンジアミン四酢酸の四ナトリウム塩 0.1部
ラウリル硫酸ソーダ 0.1部
シードラテックス 4部
過硫酸カリウム 0.5部
イタコン酸 1部
用いたシードラテックスは、スチレン98重量%とメタクリル酸2重量%の単量体組成からなる平均粒子径40nmのラテックスであった。
【0054】オートクレーブ内温を80℃に加温後、前記モノマーエマルジョンを均一に6時間にわたって連続的にオートクレーブ内に添加した。同時に、下記の過硫酸カリウム水溶液を均一に6時間にわたって連続的にオートクレーブに添加した。
水 10部
過硫酸カリウム 1部
【0055】前記のモノマーエマルジョンと過硫酸カリウム水溶液をすべて添加し終わった後、さらに一時間反応を続けたところ、転化率は95%となった。次に、アクリロニトリルを2部添加し、さらに反応を4時間継続した。重合転化率は99%となり、反応を終了した。未反応単量体を除去した後、水酸化ナトリウム水溶液でラテックスのpHを8に調整し、さらに固形分濃度を50%に調整して共重合体ラテックス(H)を得た。」
オ 「【0060】
(紙塗被組成物の調製)
カオリンクレイ(UW90、エンゲルハルド社製) 70部
重質炭酸カルシウム(カーピタル90、イーシーシージャパン社製) 30部
分散剤(アロンT40、東亜合成化学社製) 0.5部
共重合体ラテックス 11部
酸化澱粉(王子エース、王子コーンスターチ社製) 4部」
(20)甲第2-8号証について
本件特許に係る出願の出願日前の平成5年3月9日に頒布された刊行物である甲第2-8号証(特開平5-59693号公報)には、以下の事項が記載されている。
ア 「【請求項1】 顔料100重量部に対して、下記の単量体成分(a)~(e)を乳化重合してなり、かつ、トルエン不溶分が70重量%以上である共重合体ラテックスを1~30重量部(固形分換算)含有することを特徴とするオフセット印刷用紙塗工組成物。
(a)脂肪族共役ジエン単量体 20~60重量%、
(b)シアン化ビニル単量体 10~50重量%、
(c)エチレン系不飽和カルボン酸単量体 0.5~15重量%、
(d)芳香族ビニル単量体 0~50重量%、
(e)上記(a)~(d)と共重合可能な他の単量体 0~63.5重量%。」
イ 「【0034】本発明の紙塗工用組成物において使用する顔料としては、紙塗工用に一般に使用されている鉱物性顔料や有機顔料を使用することができる。その代表例としては、クレイ,硫酸バリウム,酸化チタン,炭酸カルシウム,サチンホワイトなどの無機顔料、ポリスチレン,尿素,ホルマリン樹脂などの有機顔料などを挙げることができる。」
ウ 「【0041】
【表1】
[図:0001412268000013.jpg]
【0042】
【表2】
[図:0001412268000014.jpg]
【0043】
【表3】
[図:0001412268000015.jpg]
得られた共重合体ラテックスの平均粒子径は、コールター社製のサブミクロンパーティクルアナライザー(モデルN4)で、常法により求めた。
[実施例1~11,比較例1~6]共重合体ラテックス(A)~(K)および(イ)~(ホ)を用いて、下記の処方により紙塗工用組成物を調製した。
【0044】
配合
カオリナイトクレイー1) 70.0部
炭酸カルシウム2) 30.0部
分散剤3) 0.2部
水酸化ナトリウム 0.1部
でんぷん4) 4.0部
ラテックス(固形分として) 10.0部
水 全固形分が60%となるように適当量添加
1)ENGEL HARD社製 ウルトラホワイト-90
2)富士カオリン社製 カルビタール90
3)東亜合成社製 アロンT-40
4)日本食品加工社製 MS-4600
この塗工用組成物を塗被原紙上に、塗工量が片面18.0±0.5g/m2となるように、電動式ブレードコーター(熊谷理器社製)で塗工し、150℃の電気式熱風乾燥機にて15秒間乾燥した。得られた塗工紙を23℃、50%R.H.の室内条件にて一昼夜放置し、その後、線圧100kg/cm、ロール温度50℃の条件でスーパーカレンダー処理を4回行った。得られた塗工紙について、その特性を次の方法により測定した。
丸1 RIドライピック:接着強度の指標
RI印刷機で印刷したときのピッキングの程度を肉眼で判定し、5段階法で評価した。点数の高いものほど良好である。数値は測定回数6回の平均値で表示した。
丸2 印刷光沢:RI印刷機を使用してオフセット用インキをベタ塗りし、村上式光沢計を使用して60°の角度で測定した。
丸3 インク乾燥性
RI印刷機を使用してオフセット様インキをベタ塗りし、時間を追ってインキの乾燥度合いを裏取り紙への転移濃度を目視にて判定する。評価は4段階で表す。(◎○△×)。」
(21)甲第2-9号証について
本件特許に係る出願の出願日前の令和3年6月30日に頒布された刊行物である甲第2-9号証(特許第6894654号公報)には、以下の事項が記載されている。
ア 「【請求項1】
基材の片面又は両面に、アクリル系ポリマーを含むコート層を有する抗菌性印刷用シートであって、
前記コート層の全体の質量を100質量%とした場合に、
前記アクリル系ポリマーからなる連続相中にジンクピリチオンが0.40質量%以上2.00質量%以下の割合で配合され、
体積平均粒子径が0.05μm以上2.00μm以下の酸化亜鉛が0.10質量%以上1.00質量%以下の割合で配合され、
体積平均粒子径が0.05μm以上2.00μm以下のクレイが30質量%以上50質量%以下の割合で配合され、かつ、
体積平均粒子径が0.05μm以上2.00μm以下の炭酸カルシウムが10質量%以上30質量%以下の割合で配合されている、抗菌性印刷用シート。」
イ 「【0021】
本発明によれば、インク受容のためのコート層を基材の少なくとも一方の表面に有する抗菌性印刷用シートにおいて、抗菌性に優れ、印刷後のインキ表面も十分な抗菌性を示し、印刷適性に優れ、基材とコート層の密着性が良好であり、帯電防止性能が良好であって印刷時における紙詰まり等の不具合が生じにくく、更に耐水性、耐候性等の諸特性にも優れた印刷用シートを与えることができる。さらに本発明によれば抗菌性印刷用シートの白色度や質感(適度なグロス感)も良好であり、また油性オフセット印刷、UVオフセット印刷等に用いられた場合におけるインクの速乾性も良好であって、オフセット適性にも優れた抗菌性印刷用シートとなる。」
ウ 「【0036】
また、無機物質粉末の分散性又は反応性を高めるために、無機物質粉末の表面を予め常法に従い表面改質しておいても良い。表面改質法としては、プラズマ処理等の物理的な方法や、カップリング剤や界面活性剤で表面を化学的に表面処理するもの等が例示できる。カップリング剤としては、例えば、シランカップリング剤やチタンカップリング剤等が挙げられる。界面活性剤としては、アニオン性、カチオン性、ノニオン性及び両性の何れのものであっても良く、例えば、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸塩等が挙げられる。」
エ 「【0040】
基材が上述した様に無機物質粉末配合熱可塑性プラスチックシートである場合に、これに含まれる上記した熱可塑性樹脂と、無機物質粉末との配合比(質量%)としては、前記した様に、50:50~10:90の比率であることが望ましいが、40:60~20:80の比率であることがより好ましく、40:60~25:75の比率であることが更に好ましい。熱可塑性樹脂と無機物質粉末との配合比において、無機物質粉末の割合が50質量%より低いものであると、無機物質粉末を配合したことによる無機物質粉末配合熱可塑性樹脂組成物の所定の質感、耐衝撃性等の物性が得られないものとなり、一方90質量%よりも高いものであると、押出成形、真空成形等による成形加工が困難となるためである。」
オ 「【0072】
またこのクレイの粒子径としては、特に限定されるものではなく、形成しようとするコート層の厚さによってもある程度左右されるが、例えば、体積平均粒子径が、0.05μm以上2.00μm以下、より好ましくは0.1μm以上1.5μm以下、更に好ましくは0.5μm以上1.0μm以下であることが好ましい。この様な粒子径範囲を有するものであると、形成されるコート層においてクレイを分散性良く配合することができ、上述した基材接着性の向上、印刷適性の向上、帯電防止性能といった所期の効果をより好適に発揮し得るものとなる上、ジンクピリチオンに起因する抗菌効果を、更に顕著なものとすることができる。」
カ 「【0094】
(オフセット印刷適性)
印刷用シートのオフセット印刷適性を調べるために、各シートに対して、オフセット印刷機(製品名:RMGT920、リョービMHIグラフィックテクノロジー株式会社製)にて、UVオフセットインクを用いてテストパターンを印刷し、着肉性、インキの定着性を目視により観察し、以下の評価基準に基づき、オフセット印刷適性を評価した。
・評価基準
○ テストパターンが綺麗に印刷され、着肉不良、インキの剥離が全くない。
△ テストパターンが良好に印刷されているが、着肉不良、インキの剥離が若干生じている。
× テストパターンがうまく印刷されず、着肉不良、インキの剥離が著しい。」
キ 「【0097】
・アクリル系ポリマー:アクリル酸n-ブチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸、酢酸ビニル、ロジン誘導体とを、質量比26:16:44:8:6:3の割合で含有してなる(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体の水性エマルジョン(固形分:水=50:50(質量比))
・ジンクピリチオン
・酸化亜鉛:体積平均粒子径0.75μm
・クレイ:カオリンクレイ(体積平均粒子径0.29μm、比重2.6)
・炭酸カルシウム粒子:重質炭酸カルシウム(体積平均粒子径0.34μm、比重2.6)
・分散剤:ポリアクリル酸ナトリウム
・増粘剤:デンプン
・消泡剤:疎水性シリカタイプの鉱物油系消泡剤
【0098】
[実施例1~3、比較例1~2]
上記のアクリル系ポリマー水性エマルジョン、ジンクピリチオン、酸化亜鉛、クレイ、及び炭酸カルシウムをそれぞれ、下記表1に示す添加量(固形分)で配合し、エッジドタービンを用いて3000rpmで3分間攪拌混合して、コート層塗工液を調製した。なお、表1において示す各原料の添加量は、コート層塗工液の乾燥質量換算の値である。なお、何れのコート層塗工液においても、分散媒として水を用い、固形分濃度は約55質量%とした。また、何れのコート層塗工液においても、分散剤を約0.2質量%、増粘剤を約0.5質量%、及び消泡剤を約0.1質量%配合したが、これらの増粘剤及び消泡剤は必須の成分ではなく、これらを加えなくとも、コート層塗工液を調製することは可能であった。この様にして調製したコート層塗工液を、前記した基材の両面に、乾燥後の塗工量が各4g/m2となる様にマイクログラビア法によって塗工し、110℃にて乾燥させて、印刷用シートを作成した。得られた各印刷用シートについて、上記の方法でLBP印刷適性、オフセット印刷適性を評価した。次いで、これら印刷後又は印刷前の各シートについて、抗菌性及び抗ウィルス性を、上記の方法で評価した。得られた結果を、表1に示す。
【0099】
【表1】
[図:0001412268000016.jpg]
…
【0101】
[実施例3、比較例3~6]
コート層における各充填剤の含有量を表2に示すように変動し、また、クレイの代わりにタルク(平均粒径:3.3μm)を使用して、実施例3と同様の試験を行った。試験結果を表2に示す。尚、表2中の含有量は、いずれも固形分に基づく質量%の値である。
【0102】
【表2】
[図:0001412268000017.jpg]
」
(22)甲第2-10号証について
本件特許に係る出願の出願日前の平成19年6月21日に頒布された刊行物である甲第2-10号証(特開2007-154125号公報)には、以下の事項が記載されている。
ア 「【請求項1】
(a)共役ジエン系単量体25~60質量%、(b)エチレン系不飽和カルボン酸単量体1.5~7質量%、(c)シアン化ビニル単量体10~30質量%、および(d)その他共重合可能な単量体3~63.5質量%から成る単量体混合物を乳化重合して得られる共重合体ラテックスであって、該共重合体ラテックスに含有するアクリル酸単量体が、該共重合体ラテックスの固形分に対して100~5000ppmであることを特徴とする共重合体ラテックス。
…
【請求項5】
顔料と共重合体ラテックスとを含有するオフセット印刷紙用の紙塗工組成物であって、前記顔料は、粒子径が2μm以下のものが80質量%以上であるカオリンクレーと、粒子径が2μm以下のものが80質量%以上である重質炭酸カルシウムとから成るものであり、前記共重合体ラテックスは、請求項1~4のいずれかに記載の共重合体ラテックスであることを特徴とする紙塗工組成物。
【請求項6】
請求項5に記載の紙塗工組成物が、表面に塗工処理されたオフセット印刷用塗工紙。」
イ 「【0069】
Robert F.Fedorsが規定する方法により、各々の単量体化合物構造と単量体組成から算出した。(POLYMER ENGINNEERING AND SCIENCE,1974,Vol.14,No.2,147~154page参照)
[実施例1]
○共重合体ラテックスの製造
【0070】
耐圧反応容器に、重合初期の原料として水120質量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5質量部、イタコン酸1.5質量部、及びα-メチルスチレンダイマー0.5質量部を含む重合初期原料を一括して仕込み、60℃にて十分に攪拌した。次いで、予め調整しておいたスチレン35質量部、ブタジエン34質量部、メタクリル酸メチル7質量部、アクリロニトリル18質量部、2-ヒドロキシエチルアクリレート3質量部、アクリル酸1.5質量部、α-メチルスチレンダイマー0.5質量部、及びt-ドデシルメルカプタン0.03質量部からなる単量体及び連鎖移動剤混合物を、耐圧容器内に連続的に添加開始し、7時間で全量を添加した。一方、上記単量体及び連鎖移動剤混合物の添加開始と同時に、水12質量部、ペルオキソ二硫酸ナトリウム0.5質量部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム0.5質量部、及び水酸化ナトリウム0.2質量部からなる水系混合物の添加を開始し、3時間30分かけて連続的に添加し、重合反応を開始させた。単量体及び連鎖移動剤混合物の添加終了後、耐圧容器内の温度を95℃に昇温させ、2時間重合反応を継続させて各単量体の重合転化率を高めた。全単量体の最終的な重合転化率は99.1質量%であった。
【0071】
この共重合体ラテックスには、水酸化カリウム及び水酸化ナトリウムを添加してpHを6.0に調整し、スチームストリッピング法で未反応の単量体を除去した後、分散剤としてポリアクリル酸ナトリウムを共重合体ラテックスの固形分100質量部当たり1質量部添加し、水酸化ナトリウムを用いてpHを8.0に調整し、最後に固形分濃度を50質量%に調整した。この共重合体ラテックスを325メッシュのフィルターを通過させて濾過し、各物性評価に用いた。この共重合体ラテックスをAとする。共重合体ラテックスAの各物性の評価結果を表1に記載した。優れた耐湿潤ベタツキ性が得られた。
○紙塗工組成物の調製
【0072】
次に、この共重合体ラテックスAと以下の構成材料とを使用し、均一に混合して紙塗工組成物を調製した。尚、以下の配合(質量部)は、水を除いて、全て固形分に換算した値である。
カオリンクレー 50質量部
重質炭酸カルシウム 45質量部
酸化チタン 5質量部
ポリアクリル酸ナトリウム 0.1質量部
水酸化ナトリウム 0.1質量部
ヒドロキシエチルエーテル化酸化澱粉 3質量部
共重合体ラテックスA 12質量部
水(塗工液の全固形分濃度が64質量%となるように添加)
【0073】
なお、カオリンクレーとしては、商品名カオファイン(THIELE KAOLIN社製;粒子径2μm以下の割合=95質量%以上)、重質炭酸カルシウムとしては、商品名カービタル97(ECC社製;粒子径2μm以下の割合=97質量%以上)、酸化チタンとしては商品名KRONOS KA-10(チタン工業社製)、ポリアクリル酸ナトリウムとしては商品名アロンT-40(東亞合成社製)およびヒドロキシエチルエーテル化酸化澱粉としては商品名ペンフォードガム280(ペンフォード社製)をそれぞれ使用した。
【0074】
次に、このようにして得られた紙塗工組成物を、塗工量が片面11g/m2になるように坪量74g/m2の塗工原紙にブレードコーターで塗工し、乾燥した後、ロール温度50℃、線圧150kg/cmでスーパーカレンダー処理を行い塗工紙を得た。得られた塗工紙を印刷試験に用いた。この塗工紙のピック強度、湿潤ピック強度を評価した。次いで前述の方法で、塗工紙の初期耐水性を評価した。また、前述の方法で紙塗工組成物のドクターブレード洗浄性を評価した。これらの評価結果を表1に記載した。優れたピック強度及び湿潤ピック強度、初期耐水性、ドクターブレード洗浄性を有していた。
[実施例2、3]
【0075】
重合初期原料、重合温度、単量体組成及び連鎖移動剤組成を表1に記載した通りに変更した以外は、全て実施例1と同じ条件で共重合体ラテックスB、Cを得た。いずれも優れた耐湿潤ベタツキ性を有していた。続いて実施例1と全く同様の条件で紙塗工組成物を調製し、塗工紙を得た。いずれも優れたピック強度及び湿潤ピック強度、初期耐水性、ドクターブレード洗浄性を有していた。評価結果を表1に記載した。
[実施例4]
○共重合体ラテックスの製造
【0076】
耐圧反応容器に重合初期の原料として水120質量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5質量部、及びα-メチルスチレンダイマー0.5質量部を含む重合初期原料を一括して仕込み、65℃にて十分に攪拌した。次いで、第一重合段用として調製しておいたスチレン20.5質量部、ブタジエン25質量部、メタクリル酸メチル2質量部、アクリロニトリル8質量部、2-ヒドロキシエチルアクリレート1質量部、アクリル酸1質量部、t-ドデシルメルカプタン0.03質量部、α-メチルスチレンダイマー1質量部から成る単量体混合物の内、15質量%をこの耐圧反応容器内に一括して仕込み、攪拌混合後、ペルオキソ二硫酸ナトリウム0.5質量部を耐圧容器内に添加して重合反応を開始させた。この時点から15分後、残りの第一重合段用の単量体混合物をこの耐圧容器内に添加開始し、3時間20分で連続的に添加を行った。一方、この残りの第一重合段用の単量体混合物の添加と同時に、水10質量部、水酸化ナトリウム0.2質量部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム0.5質量部、及びペルオキソ二硫酸ナトリウム0.6質量部からなる水系混合物の添加を開始し、3時間10分かけて連続的に添加し、重合反応を加速させた。
【0077】
第一重合段用の単量体混合物の添加が終了した時点で、直ちに第二重合段用の単量体混合物の添加を開始した。この第二重合段用の単量体混合物は、スチレン16質量部、ブタジエン14質量部、メタクリル酸メチル1質量部、アクリロニトリル7質量部、2-ヒドロキシエチルアクリレート1質量部、アクリル酸1質量部、t-ドデシルメルカプタン0.04質量部、α-メチルスチレンダイマー0.8質量部から成るものであり、2時間20分で連続的にこの耐圧容器内に添加し、重合反応を継続させた。
【0078】
第二重合段の単量体混合物の添加開始時期から30分後に、水14質量部、イタコン酸2.5質量部からなる45℃のイタコン酸水溶液について、この耐圧容器への添加を開始し、1時間かけて全量を添加した。イタコン酸水溶液の添加開始時点での、容器内の単量体混合物の重合転化率は、74.2質量%であった。
【0079】
第二重合段の単量体混合物の添加終了後、耐圧容器内の温度を95℃に昇温させ、2時間重合反応を継続させて各単量体の重合転化率を高めた。全単量体の最終的な重合転化率は98.8質量%であった。
【0080】
この共重合体ラテックスには、水酸化カリウム及び水酸化ナトリウムを添加してpHを6.0に調整し、スチームストリッピング法で未反応の単量体を除去した後、分散剤としてポリアクリル酸ナトリウムを共重合体ラテックスの固形分100質量部当たり1質量部添加し、水酸化ナトリウムを用いてpHを8.0に調整し、最後に固形分濃度を50質量%に調整した。この共重合体ラテックスを325メッシュのフィルターを通過させて濾過し、各物性評価に用いた。この共重合体ラテックスをDとする。共重合体ラテックスDの各物性の評価結果を表2に記載した。優れた耐湿潤ベタツキ性が得られた。
○紙塗工組成物、塗工紙の調製
【0081】
次に、共重合体ラテックスAに代えて上記で得られた共重合体ラテックスDを用いた以外は、実施例1と同様にして紙塗工組成物と塗工紙を得た。評価結果を表2に記した。優れたピック強度及び湿潤ピック強度、初期耐水性、ドクターブレード洗浄性を有していた。
[実施例5]
【0082】
実施例1と同一の耐圧反応容器に、重合初期の原料として水110質量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.2質量部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム0.2質量部、及びα-メチルスチレンダイマー0.4質量部を含む重合初期原料を一括して仕込み、70℃にて十分に攪拌した。次いで、第一重合段用として調製しておいたスチレン20質量部、ブタジエン23質量部、メタクリル酸メチル6質量部、アクリロニトリル8質量部、2-ヒドロキシエチルアクリレート0.5質量部、t-ドデシルメルカプタン0.1質量部、α-メチルスチレンダイマー0.6質量部から成る単量体及び連鎖移動剤混合物の内、17質量%をこの耐圧反応容器内に一括して仕込み、攪拌混合後、濃度30質量%のペルオキソ二硫酸ナトリウム水溶液0.45質量部(固形分換算)を耐圧容器内に5分間かけて添加して重合反応を開始させた。ペルオキソ二硫酸ナトリウム水溶液の添加終了時点から10分後、残りの第一重合段用の単量体及び連鎖移動剤混合物をこの耐圧容器内に添加開始し、3時間10分で連続的に添加を行った。一方、この残りの第一重合段用の単量体及び連鎖移動剤混合物の添加開始時の10分後より、水15質量部、水酸化カリウム0.1質量部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム0.7質量部、及びペルオキソ二硫酸ナトリウム1質量部からなる水系混合物の添加を開始し、4時間かけて連続的に添加し、重合反応を加速させた。
【0083】
第一重合段用の単量体及び連鎖移動剤混合物の添加が終了した時点から、1時間後に第二重合段用の単量体及び連鎖移動剤混合物の添加を開始した。この系においては、第一重合段と第二重合段との間に、系内に単量体及び連鎖移動剤を添加しないインターバル時間を設け、第一重合段の重合転化率を高めた。この第二重合段用の単量体及び連鎖移動剤混合物は、スチレン13.5質量部、ブタジエン13質量部、メタクリル酸メチル5質量部、アクリロニトリル7質量部、2-ヒドロキシエチルアクリレート1質量部、t-ドデシルメルカプタン0.1質量部、α-メチルスチレンダイマー0.8質量部、アクリル酸0.5重量部から成るものであり、2時間で連続的にこの耐圧容器内に添加し、重合反応を継続させた。
【0084】
一方、第二重合段の単量体及び連鎖移動剤混合物の添加開始時点と同時に、イタコン酸2.5質量部を含む固形分濃度15質量%の、50℃のイタコン酸水溶液について、この耐圧容器への添加を開始し、60分かけて全量を添加した。添加開始時点での容器内の単量体混合物の重合転化率は、82.7質量%であった。
【0085】
第二重合段の単量体混合物の添加終了後、耐圧容器内の温度を、60分かけて95℃にまで昇温させ、更に30分間重合反応を継続させて各単量体の重合転化率を高めた。全単量体の最終的な重合転化率は98.8質量%であった。この共重合体ラテックスには、水酸化カリウム及び水酸化ナトリウムを添加してpHを6.0以上に調整し、スチームストリッピング法で未反応の単量体を除去した後、分散剤としてポリアクリル酸ナトリウムを共重合体ラテックスの固形分100質量部当たり0.5質量部添加し、水酸化ナトリウムを用いてpHを8.0に調整し、前述の濾過装置及び条件でフィルターを通過させて濾過し、各物性評価に用いた。この共重合体ラテックスをEとする。共重合体ラテックスEの各物性の評価結果を表2に記載した。優れた耐湿潤ベタツキ性が得られた。
【0086】
次に、共重合体ラテックスAに代えて上記で得られた共重合体ラテックスEを用いた事以外は、実施例1と同様にして紙塗工組成物と塗工紙を得た。結果を表2に記載した。優れたピック強度及び湿潤ピック強度、初期耐水性及びドクターブレード洗浄性を有していた。
[実施例6]
【0087】
重合初期原料、重合温度、各重合段の単量体組成及び連鎖移動剤組成、後添加する二塩基性エチレン系不飽和カルボン酸量について、表2に記載した通りに変更した事以外は、全て実施例5と同一の条件で共重合体ラテックスFを製造した。優れた耐湿潤ベタツキ性が得られた。次いで共重合体ラテックスAに代えて上記で得られた共重合体ラテックスFを用いた事以外は、実施例1と同様にして紙塗工組成物と塗工紙を得た。結果を表2に記載した。優れたピック強度及び湿潤ピック強度、初期耐水性及びドクターブレード洗浄性を有していた。
[比較例1、2]
重合初期原料、重合温度、単量体組成及び連鎖移動剤組成を表1に記載した通りに変更した事以外は、全て実施例1と同じ条件で共重合体ラテックスG、Hを得た。いずれも耐湿潤ベタツキ性が劣る結果となった。続いて共重合体ラテックスAに代えて上記で得られた共重合体ラテックスG又はHを用いた事以外は、実施例1と全く同様の条件で紙塗工組成物を調製し、塗工紙を得た。ピック強度及び湿潤ピック強度、初期耐水性、ドクターブレード洗浄性はいずれも劣る結果となった。評価結果を表1に記載した。
[比較例3、4]」
(23)甲第2-11号証について
本件特許に係る出願の出願日前の平成7年9月26日に頒布された刊行物である甲第2-11号証(特開平7-247327号公報)には、以下の事項が記載されている。
ア 「【請求項1】 共役ジエン単量体30.0~70.0重量%、エチレン性不飽和カルボン酸単量体0.5~5.0重量%、芳香族ビニル単量体10.0~69.5重量%、エチレン性不飽和ニトリル単量体2.0~20.0重量%及びこれら以外のエチレン性不飽和単量体0.0~57.5重量%からなる単量体(a)50~95重量部を共重合してなる共重合体ラテックス(A)の存在下に、α置換α,β-エチレン性不飽和ニトリル単量体20.0重量%を超え75.0重量%以下、共役ジエン単量体20.0~50.0重量%及びその他のエチレン性不飽和単量体0.0重量%以上60.0重量%未満からなる単量体(b)50~5重量部(ただし、単量体(a)と単量体(b)との合計量が100重量部)を共重合してなることを特徴とする紙塗工用ラテックス。
【請求項2】 請求項1記載の紙塗工用ラテックスと顔料とを必須成分とする紙塗工組成物。」
イ 「【0031】
【発明の効果】本発明の紙塗工組成物を用いることによって、ドライピック強度、ウェットピック強度、印刷光沢、白紙光沢、ウェット着肉性及び耐ブロッキング性に優れ且つそれらのバランスがよい塗工紙を得ることができる。この塗工紙は、オフセット枚葉印刷に好適に適用でき、またオフセット輪転印刷又はグラビア印刷にも適用できる。」
ウ 「【0040】実施例1
攪拌機付タンクに1,3-ブタジエン52.0部、スチレン21.0部、メタクリル酸メチル12.0部、アクリロニトリル10.0部、アクリルアミド2.0部、イタコン酸3.0部、t-ドデシルメルカプタン0.6部、α-メチルスチレンダイマー1.0部、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ0.2部及び軟水60部を仕込み、攪拌して単量体(a)のエマルジョンを得た。別の攪拌機付タンクに1,3-ブタジエン42.0部、アクリロニトリル5.0部、メタクリロニトリル50.0部、イタコン酸3.0部、t-ドデシルメルカプタン0.4部、α-メチルスチレンダイマー1.0部、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ0.2部及び軟水60部を仕込み、攪拌して単量体(b)のエマルジョンを得た。攪拌機付オートクレーブに軟水60部、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ0.5部、過硫酸カリウム1.0部を仕込んだ後、単量体(a)のエマルジョン16.18部を添加し攪拌しながら60℃に加熱し、60℃を維持して1時間重合した。次にオートクレーブを70℃に加熱し、単量体(a)のエマルジョン97.08部を、29部/時間の速度で添加し、単量体(a)の重合転化率が75%を越えた時点で単量体(b)のエマルジョン48.48部を29部/時間の速度で添加した。その後、オートクレーブを80℃に加熱して、さらに5時間反応させ、室温に冷却して本発明の紙塗工用ラテックスを得た。単量体(b)の重合における重合転化率は98%以上であった。
【0041】次に、前記紙塗工用ラテックス10部、カオリンクレー(エンゲルハルド社製、UW90)60部、重質炭酸カルシウム(ECC社製、Carbital-90)40部、分散剤(東亜合成社製、アロンT-40)0.2部、水酸化ナトリウム0.15部及び酸化デンプン3部を混合して攪拌し、固形分濃度65%、pH10に調整して紙塗工組成物を得た。この紙塗工組成物を上質紙に塗工量が片面あたり15g/m2となるように塗布し、塗布直後に120℃の熱風で10秒間乾燥し、温度20℃、相対湿度65%の恒温恒湿室内に一夜放置した。その後、温度50℃、線圧100Kg/cmの条件で2回スーパーカレンダー処理を行って塗工紙を得た。共重合体粒子の水分散液及び塗工紙の評価結果を表1に示した。
【0042】実施例2~5及び比較例1~4
表1に示す単量体処方に変えた他は実施例1と同様にして紙塗工用ラテックス、紙塗工組成物及び塗工紙を得た。評価結果を表1に示す。」
(24)甲第2-12号証について
本件特許に係る出願の出願日前の2005年10月5日に頒布された刊行物である甲第2-12号証(オフセット印刷技術研究会、オフセット印刷技術 作業手順と知識、p48-52、2005年10月5日、日本印刷技術協会)には、以下の事項が記載されている。
ア 「「3.刷り順を決める
(1)プロセス印刷の場合
多色印刷を行うとき、どんな刷り順で印刷するかという問題は今まで試行錯誤があったが、現在のプロセスインキでは、藍インキからだんだん膜厚を厚く印刷するという刷り順になっている。
具体的には、Bk(墨)→C(藍)→M(紅)→Y(黄)インキの刷り順になっている。
一般的にプロセス印刷のときのインキ膜厚は、0.7μmから1.0μmで間で正常に印刷される。インキ膜厚が0.7μm以下では膜厚が薄すぎてベタ部分の着肉が悪くなったり、印刷機上でインキの粘度が増加して湿し水とのバランスが取りにくくなり、安定した印刷ができなくなる。またインキ膜厚が1.0μm以上では、ドットゲインが多くなったり、乾燥が遅くなり裏移りが起きやすくなる。
現在のプロセスインキのインキ膜厚とベタ濃度との関係は図表6-7のようになっている。プロセス印刷の場合は、この基準濃度にしたがって管理することによって、ベタ濃度が高く、良好なトラッピングが得られ、適正なドットゲインを保って印刷することができ、メリハリのある印刷物が得られることになる。」(51ページ36行~52ページ14行)
(25)甲第2-13号証について
本件特許に係る出願の出願日前の平成3年2月6日に頒布された刊行物である甲第2-13号証(特開平3-27979号公報)には、以下の事項が記載されている。
「実施例5
実施例1と同一の操作を行った。但し、内添剤として、前記軽質炭酸カルシウム15部と、カオリン(商標: UW90、エンゲルハルド社製、平均粒子径: 0. 5μm) 5部とを用いた。」(5ページ左下欄7~11行)
(26)甲第2-14号証について
本件特許に係る出願の出願日前の平成9年2月25日に頒布された刊行物である甲第2-14号証(特開平9-52921号公報)には、以下の事項が記載されている。
「【0027】実施例6
実施例1において、微粒子重質炭酸カルシウムに替えて、微粒子カオリンクレーとしてエンゲルハード社製ウルトラホワイト90(平均粒径0.5μ)を使用した以外は同様に行った。評価結果を表2に示す。
実施例7
実施例2において、微粒子重質炭酸カルシウムに替えて、微粒子カオリンクレーとしてエンゲルハード社製ウルトラホワイト90を使用した以外は同様に行った。評価結果を表2に示す。
実施例8
実施例5において、微粒子重質炭酸カルシウムに替えて、微粒子カオリンクレーとしてエンゲルハード社製ウルトラホワイト90を使用した以外は同様に行った。評価結果を表2に示す。」
3 申立理由1について
(1)本件訂正特許発明1について
ア 本件訂正特許発明1と甲1-1発明とを対比する。
後者の「合成紙(基紙)」、「表面用塗工層と裏面用塗工層」、「選挙投票用紙」、「ポリプロピレン(日本ポリケム(株)製、商品名:ノバテックPP、EA8W)」、「炭酸カルシウム(備北粉化工業(株)製、商品名:ソフトン1800)」、「アクリル酸エステル系樹脂ラテックス(固形分50%)」、「CaCO3(備北粉化工業(株)社製、ソフトン1200)」は、それぞれ、前者の「基材」、「基材の片面又は両面に設けられたコート層」、「選挙投票用紙」、「熱可塑性樹脂が、ポリプロピレン系樹脂であり」、「無機物質粉末」、「アクリル系ポリマーからなる連続相」、「重質炭酸カルシウム」に相当する。
以上のことからすると、本件訂正特許発明1と甲1-1発明とはつぎの一致点で一致し、各相違点で相違する。
[一致点]
「基材と、前記基材の片面又は両面に設けられたコート層と、を含む選挙投票用紙であって、
前記熱可塑性樹脂が、ポリプロピレン系樹脂であり、
前記コート層が、アクリル系ポリマーからなる連続相、クレイ、及び重質炭酸カルシウムを含む、
選挙投票用紙。」
[相違点1]
本件訂正特許発明1の「基材」が、熱可塑性樹脂と、無機物質粉末とを質量比「40:60~20:80の割合」で含んでいるのに対し、甲1-1発明の合成紙(基紙)は、ポリプロピレン(日本ポリケム(株)製、商品名:ノバテックPP、EA8W)81重量%、炭酸カルシウム(備北粉化工業(株)製、商品名:ソフトン1800)16重量%を配合している点。
[相違点2]
本件訂正特許発明1が、コート層の「表面の少なくとも一部に、オフセットインキによる網点印刷部が設けられ」ているのに対し、甲1-1発明の表面塗工層には、そのような構成が設けられていない点。
[相違点3]
本件訂正特許発明1が、コート層が、「クレイ」を含み、「前記クレイの体積平均粒子径が、0.29μmであり、前記クレイの含有量が、前記コート層に対して、40質量%であ」るのに対し、甲1-1発明の表面塗工層には、そのような構成を含んでいない点。
[相違点4]
本件訂正特許発明1の重質炭酸カルシウムの含有量が、コート層に対して、「8質量%以上25質量%以下であ」り、重質炭酸カルシウムの体積平均粒子径が、「0.15μm」であるのに対し、甲1-1発明は、表面用塗工層において、100/(32+11+100+2)*100=69%であり、裏面用塗工層において、100/(50+10+100+2)*100=62%であり、CaCO3(備北粉化工業(株)社製、ソフトン1200)は、平均粒径1.8μmである点。
[相違点5]
本件訂正特許発明1が、「網点印刷部のJIS P8147:2010に準拠した静摩擦係数が、0.47以上0.53以下であり、前記網点印刷部のJIS P8147:2010に準拠した動摩擦係数が、0.27以上0.33以下であり、前記網点印刷部のJIS B0601:2001に準拠した算術平均高さが、0.71μm以上0.80μm以下であり、前記網点印刷部の網点パーセントが、15%以上25%以下であ」るのに対し、甲1-1発明は、網点印刷部が設けられていない点。
[相違点6]
本件訂正特許発明1が、「前記基材及び前記コート層には、色素が含まれない」のに対し、甲1-1発明は、色素の含有量が不明である点。
イ 相違点1について
相違点1に係る構成は、特許異議申立人が提出したいずれの証拠にも記載されていないし、設計的事項といえる理由もない。
そして、本件訂正特許発明1は、上記相違点1により、「耐衝撃性や成形加工性により優れる。」(【0035】参照。)という効果を奏するものである。
してみると、甲1-1発明においての「基材」が、熱可塑性樹脂と、無機物質粉末とを質量比「40:60~20:80の割合」で含むようにすることを当業者が容易に想到し得るものということはできない。
ウ 相違点2について
一般に、オフセット印刷により網点印刷部を設けることは周知の技術手段であるといえるものの、選挙投票用紙にオフセット印刷で網点画像を形成することが周知技術であることは、特許異議申立人1及び2が提出したいずれの証拠にも記載されていないし、設計的事項といえる理由もない。
そして、本件訂正特許発明1は、上記相違点2により、後述する「静摩擦係数」、「動摩擦係数」及び「算術平均高さ」を調整できるという効果を奏するものである。
してみると、甲1-1発明においてコート層の「表面の少なくとも一部に、オフセットインキによる網点印刷部が設けられ」ているようにすることを当業者が容易に想到し得るものということはできない。
エ 相違点3について
選挙投票用紙の表面のコート層(塗工層)にクレイを配合することは技術常識(例えば、甲第1-6号証第3ページ左欄第15行~右欄第8行、甲第1-7号証第3ページ左欄第17行~右欄第9行、甲第1-8号証【0014】及び甲第1-9号証【0013】参照。)であるものの、コート層に対して、体積平均粒子径が、0.29μmのクレイの含有量を40質量%とすることは、特許異議申立人1及び2が提出したいずれの証拠にも記載されていないし、設計的事項といえる理由もない。
そして、本件訂正特許発明1は、上記相違点3により、「コート層の印刷適性を向上させ易く、更に上記のアンカー効果が奏し易い」(【0085】参照。)及び「アクリル系ポリマーからなる連続相を充分に形成し易く、更に、コート層に充分な耐水性を付与し、良好な外観を得易い」(【0086】参照。)という効果を奏するものである。
してみると、甲1-1発明においての、コート層が、クレイを含み、前記クレイの体積平均粒子径が、0.29μmであり、前記クレイの含有量が、前記コート層に対して、40質量%であるようにすることを当業者が容易に想到し得るものということはできない。
オ 相違点4について
「重質炭酸カルシウムの含有量が、前記コート層に対して、8質量%以上25質量%以下であ」ること及び「重質炭酸カルシウムの体積平均粒子径が、0.15μm」であることは、特許異議申立人が提出したいずれの証拠にも記載されていないし、設計的事項といえる理由もない。
そして、本件訂正特許発明1は、上記相違点4により、「コート層上のインキの速乾性や、オフセット印刷適性を向上させ易く、更に白色度を改善し易い」(【0103】参照。)及び「アクリル系ポリマーからなる連続相を充分に形成し易く、更に、コート層の表面を平滑化し得易い」(【0104】参照。)、並びに「基材との接合界面における接着性を向上させ得るというアンカー効果を充分に発現させ、更に、コート層の平滑性やシートの光沢性を向上させ易い」(【0100】参照。)及び「基材とコート層との接着性を向上させ易い」(【0101】参照。)という効果を奏するものである。
してみると、甲1-1発明において、「重質炭酸カルシウムの含有量が、前記コート層に対して、8質量%以上25質量%以下であ」ること及び「重質炭酸カルシウムの体積平均粒子径が、0.15μm」とすることを当業者が容易に想到し得るものということはできない。
カ 相違点5について
選挙投票用紙において、計数機による集計のし易さを考慮して、表面の静摩擦係数を0.4~0.6の範囲とすることは技術常識(例えば、甲第1-6号証【請求項1】及び甲第1-7号証【請求項1】参照。)であり、また、選挙投票用紙において、計数機による集計のし易さを考慮して、表面の動摩擦係数を0.25~0.4の範囲とすることは技術常識(例えば、甲第1-6号証【請求項1】及び甲第1-7号証【請求項1】参照。)であり、さらに、算術平均高さは表面粗さに対応するところ、選挙投票用紙において、選挙投票用紙を手でめくる作業、鉛筆での筆記性等を考慮して選挙投票用紙の表面の平滑度(すなわち、表面粗さ)を所定の範囲とすることは技術常識(例えば、甲第1-6号証第5ページ左欄第28~39行、甲第1-7号証5ページ左欄第34~42行、甲第1-8号証【0033】及び甲第1-9号証【0031】参照。)であるものの、上記ウ 相違点2について のとおり、選挙投票用紙に、オフセットインキによる網点印刷部を設けることが、当業者にとって容易に想到できるものではないのであるから、甲1-1発明において、「網点印刷部のJIS P8147:2010に準拠した静摩擦係数が、0.47以上0.53以下であり、前記網点印刷部のJIS P8147:2010に準拠した動摩擦係数が、0.27以上0.33以下であり、前記網点印刷部のJIS B0601:2001に準拠した算術平均高さが、0.71μm以上0.80μm以下であり、前記網点印刷部の網点パーセントが、15%以上25%以下であ」るとすることを当業者が容易に想到し得るものということはできない。
キ 相違点6について
選挙の種類(参議院選、衆議院選等)、地域(国政選挙、地方選挙等)等に応じて選挙投票用紙の色を変えることは通常行われており、そのために、必要に応じて、色素を使用して選挙投票用紙を着色することは、当業者が適宜なし得る事項であるものの、「基材及びコート層には、色素が含まれない」ようにすることは、特許異議申立人が提出したいずれの証拠にも記載されていないし、設計的事項といえる理由もない。
そして、本件訂正特許発明1は、上記相違点6により、「本発明の効果(通紙性、筆記性、折り復元性、及びリサイクル性)が奏され易い」(【0109】参照。)という効果を奏するものである。
してみると、甲1-1発明において「前記基材及び前記コート層には、色素が含まれない」ようにすることを当業者が容易に想到し得るものということはできない。
ク したがって、本件訂正特許発明1は、甲第1-1号証及び本件出願日当時の技術常識に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(2)本件訂正特許発明5、7乃至9について
本件訂正特許発明5、7及び8は、本件訂正特許発明1のすべての構成を備え、さらに限定した発明であり、また、本件訂正特許発明9は、本件訂正特許発明1の「選挙投票用紙」をカテゴリーの違う方法の発明としたものであるところ、実質的な内容は同じ発明であるから、上記(1)の検討により、本件訂正特許発明5、7乃至9は、甲第1-1号証及び本件出願日当時の技術常識に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない
(3)小括
上記のとおりであって、本件訂正特許発明1、5、7乃至9は、甲第1-1号証及び本件出願日当時の技術常識に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえないから、特許異議申立人1の主張する申立理由1によっては、本件請求項1、5、7乃至9に係る特許は、特許法第29条の規定に違反してされたものとはいえず、同法第113条第2号に該当し取り消されるべきものということはできない。
4 申立理由2について
(1)本件訂正特許発明1について
ア 本件訂正特許発明1と甲2-1発明とを対比する。
後者の「基紙」、「基紙の両面に設けられた表面塗工層及び裏面塗工層」、「選挙投票用紙」、「熱可塑性樹脂(三菱油化(株)製ポリプロピレン“ノーブレンMA-6"(商品名))」、「無機微細粉末」、「SBRラテックス(固形分50%)」、「クレー」、「CaCo3」は、それぞれ、前者の「基材」、「基材の片面又は両面に設けられたコート層」、「選挙投票用紙」、「熱可塑性樹脂(ポリプロピレン系樹脂)」、「無機物質粉末」、「アクリル系ポリマー」、「クレイ」、「重質炭酸カルシウム」に相当する。
後者の「基紙」は、無機微細粉末を8~65重量%含有するから、熱可塑性樹脂はおおよそ92~35重量%含有するものと推認できる。そうすると、前者の「基材」と後者の「基紙」とは、熱可塑性樹脂と、無機物質粉末とを質量比40:60~35:65の割合で含んでいる点で一致する。
後者の「SBRラテックス(固形分50%)」は、耐水性、顔料、充填材の固着、および塗工層の合成紙への密着性を付与するものであるから、連続相といえる。
前者の「選挙投票用紙」と後者の「選挙投票用紙」とは、色素が含まれない点で一致する。
以上のことからすると、本件訂正特許発明1と甲2-1発明とはつぎの一致点で一致し、各相違点で相違する。
[一致点]
「基材と、前記基材の片面又は両面に設けられたコート層と、を含む選挙投票用紙であって、
前記基材が、熱可塑性樹脂と、無機物質粉末とを質量比40:60~20:80の割合で含み、
前記熱可塑性樹脂が、ポリプロピレン系樹脂であり、
前記コート層が、アクリル系ポリマーからなる連続相、クレイ、及び重質炭酸カルシウムを含み、
前記基材及び前記コート層には、色素が含まれない、
選挙投票用紙。」
[相違点1]
本件訂正特許発明1が、「コート層の表面の少なくとも一部に、オフセットインキによる網点印刷部が設けられ」ているのに対し、甲2-1発明は、網点印刷部が設けられていない点。
[相違点2]
本件訂正特許発明1が、「クレイの体積平均粒子径が、0.29μmであ」り、「クレイの含有量が、前記コート層に対して、40質量%であ」るのに対し、甲2-1発明は、「クレー」の体積平均粒子径及びコート層に対する含有量が不明な点。
[相違点3]
本件訂正特許発明1が、「重質炭酸カルシウムの含有量が、前記コート層に対して、8質量%以上25質量%以下であ」り、「重質炭酸カルシウムの体積平均粒子径が、0.15μm」であるのに対し、甲2-1発明の含有量は、80.0質量%又は76.6質量%であり、粒径1.5μ(m)である点。
[相違点4]
本件訂正特許発明1が、「網点印刷部のJIS P8147:2010に準拠した静摩擦係数が、0.47以上0.53以下であり、前記網点印刷部のJIS P8147:2010に準拠した動摩擦係数が、0.27以上0.33以下であり、前記網点印刷部のJIS B0601:2001に準拠した算術平均高さが、0.71μm以上0.80μm以下であり、前記網点印刷部の網点パーセントが、15%以上25%以下であ」るのに対し、甲2-1発明は、網点印刷部が設けられていない点。
イ 相違点1について
一般に、オフセット印刷により網点印刷部を設けることは周知の技術手段であるといえるものの、選挙投票用紙にオフセット印刷で網点画像を形成することが周知技術であることは、特許異議申立人1及び2が提出したいずれの証拠にも記載されていないし、設計的事項といえる理由もない。
そして、本件訂正特許発明1は、上記相違点1により、後述する「静摩擦係数」、「動摩擦係数」及び「算術平均高さ」を調整できるという効果を奏するものである。
してみると、甲2-1発明において、「コート層の表面の少なくとも一部に、オフセットインキによる網点印刷部が設けられ」ているようにすることを当業者が容易に想到し得るものということはできない。
ウ 相違点2について
選挙投票用紙の表面のコート層(塗工層)にクレイを配合することは技術常識(例えば、甲第1-6号証第3ページ左欄第15行~右欄第8行、甲第1-7号証第3ページ左欄第17行~右欄第9行、甲第1-8号証【0014】及び甲第1-9号証【0013】参照。)であるものの、コート層に対して、体積平均粒子径が、0.29μmのクレイの含有量を40質量%とすることは、特許異議申立人1及び2が提出したいずれの証拠にも記載されていないし、設計的事項といえる理由もない。
そして、本件訂正特許発明1は、上記相違点3により、「コート層の印刷適性を向上させ易く、更に上記のアンカー効果が奏し易い」(【0085】参照。)及び「アクリル系ポリマーからなる連続相を充分に形成し易く、更に、コート層に充分な耐水性を付与し、良好な外観を得易い」(【0086】参照。)という効果を奏するものである。
してみると、甲2-1発明においての、「クレイの体積平均粒子径が、0.29μmであ」り、「クレイの含有量が、前記コート層に対して、40質量%であ」るようにすることを当業者が容易に想到し得るものということはできない。
エ 相違点3について
「重質炭酸カルシウムの含有量が、前記コート層に対して、8質量%以上25質量%以下であ」ること及び「重質炭酸カルシウムの体積平均粒子径が、0.15μm」であることは、特許異議申立人が提出したいずれの証拠にも記載されていないし、設計的事項といえる理由もない。
そして、本件訂正特許発明1は、上記相違点3により、「コート層上のインキの速乾性や、オフセット印刷適性を向上させ易く、更に白色度を改善し易い」(【0103】参照。)及び「アクリル系ポリマーからなる連続相を充分に形成し易く、更に、コート層の表面を平滑化し得易い」(【0104】参照。)、並びに「基材との接合界面における接着性を向上させ得るというアンカー効果を充分に発現させ、更に、コート層の平滑性やシートの光沢性を向上させ易い」(【0100】参照。)及び「基材とコート層との接着性を向上させ易い」(【0101】参照。)という効果を奏するものである。
してみると、甲2-1発明において、「重質炭酸カルシウムの含有量が、前記コート層に対して、8質量%以上25質量%以下であ」ること及び「重質炭酸カルシウムの体積平均粒子径が、0.15μm」とすることを当業者が容易に想到し得るものということはできない。
相違点1に係る構成は、特許異議申立人が提出したいずれの証拠にも記載されていないし、設計的事項といえる理由もない。
そして、本件訂正特許発明1は、上記相違点1により、「耐衝撃性や成形加工性により優れる。」(【0035】参照。)という効果を奏するものである。
してみると、甲1-1発明においての「基材」が、熱可塑性樹脂と、無機物質粉末とを質量比「40:60~20:80の割合」で含むようにすることを当業者が容易に想到し得るものということはできない。
オ 相違点4について
選挙投票用紙において、計数機による集計のし易さを考慮して、表面の静摩擦係数を0.4~0.6の範囲とすることは技術常識(例えば、甲第1-6号証【請求項1】及び甲第1-7号証【請求項1】参照。)であり、また、選挙投票用紙において、計数機による集計のし易さを考慮して、表面の動摩擦係数を0.25~0.4の範囲とすることは技術常識(例えば、甲第1-6号証【請求項1】及び甲第1-7号証【請求項1】参照。)であり、さらに、算術平均高さは表面粗さに対応するところ、選挙投票用紙において、選挙投票用紙を手でめくる作業、鉛筆での筆記性等を考慮して選挙投票用紙の表面の平滑度(すなわち、表面粗さ)を所定の範囲とすることは技術常識(例えば、甲第1-6号証第5ページ左欄第28~39行、甲第1-7号証5ページ左欄第34~42行、甲第1-8号証【0033】及び甲第1-9号証【0031】参照。)であるものの、上記ウ 相違点2について のとおり、選挙投票用紙に、オフセットインキによる網点印刷部を設けることが、当業者にとって容易に想到できるものではないのであるから、甲2-1発明において、「網点印刷部のJIS P8147:2010に準拠した静摩擦係数が、0.47以上0.53以下であり、前記網点印刷部のJIS P8147:2010に準拠した動摩擦係数が、0.27以上0.33以下であり、前記網点印刷部のJIS B0601:2001に準拠した算術平均高さが、0.71μm以上0.80μm以下であり、前記網点印刷部の網点パーセントが、15%以上25%以下であ」るとすることを当業者が容易に想到し得るものということはできない。
カ したがって、本件訂正特許発明1は、甲第2-1~2-14号証及び本件出願日当時の技術常識に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない
(2)本件訂正特許発明5、7乃至9について
本件訂正特許発明5、7及び8は、本件訂正特許発明1のすべての構成を備え、さらに限定した発明であり、また、本件訂正特許発明9は、本件訂正特許発明1の「選挙投票用紙」をカテゴリーの違う方法の発明としたものであるところ、実質的な内容は同じ発明であるから、上記(1)の検討により、本件訂正特許発明5、7乃至9は、甲第2-1~2-14号証及び本件出願日当時の技術常識に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない
(3)小括
上記のとおりであって、本件訂正特許発明1、5、7乃至9は、甲第2-1~2-14号証及び本件出願日当時の技術常識に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえないから、特許異議申立人2の主張する申立理由2によっては、本件請求項1、5、7乃至9に係る特許は、特許法第29条の規定に違反してされたものとはいえず、同法第113条第2号に該当し取り消されるべきものということはできない。
第7 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1、5、7乃至9に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1、5、7乃至9に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
さらに、請求項2乃至4、6及び10は、本件訂正請求により削除された。これにより、特許異議申立人による特許異議申立てについて、請求項2乃至4、6及び10に係る申立ては、申立ての対象が存在しなくなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。
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2022-700968