特許異議申立
2022-700860
建設画像配置システム、建設画像配置方法及びプログラム
- 審判番号
- 2022-700860
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2021-560369
- 登録番号
- 7030251
- 請求日
- 2022年09月01日
- 審決日
- 2024年08月02日
- 公報発行日
- 2024年12月27日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】スパイダープラス株式会社
- 【権利者代理人】小木 智彦
- 【異議申立人】奥田 ひとみ
- 審判長/審判官
- 審判長 畑中 高行
- 審判官 木方 庸輔
- 審判官 樫本 剛
- 分類
- P1651.113-YAA(H04N) / P1651.121-YAA(H04N)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第4項、特許法第29条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7030251号発明「建設画像配置システム、建設画像配置方法及びプログラム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7030251号の特許請求の範囲を令和6年1月16日に提出された訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~4〕,5,6について訂正することを認める。
特許第7030251号の請求項1~6に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7030251号(以下「本件特許」という。)の請求項1~6に係る特許についての出願は、2020年(令和2年)12月29日を国際出願日として出願され、令和4年2月24日にその特許権の設定登録がされ、同年3月4日に特許掲載公報が発行された。
本件特許についての本件特許異議の申立ての経緯は、以下のとおりである。
令和4年 9月 1日 特許異議申立人奥田 ひとみによる特許異議の申立て
令和5年 1月24日付け 取消理由通知書
同年 3月22日 特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
同年 6月20日付け 訂正拒絶理由通知書
同年 7月11日 特許権者による手続補正書(訂正請求書の補正)の提出
同年 7月28日差出 特許権者による上申書(訂正請求書の補正に合わせ
た、取消理由に対する意見)の提出
同年 9月 8日 特許異議申立人による意見書の提出
同年11月21日付け 取消理由通知書(決定の予告)
令和6年 1月16日 特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
同年 2月26日 特許異議申立人による意見書の提出
以下、令和6年1月16日に提出された訂正請求書、当該訂正請求書による訂正を、それぞれ「本件訂正請求書」、「本件訂正」という。
なお、令和5年3月22日にされ、同年7月11日に補正された訂正の請求は、本件訂正請求書によってされた訂正の請求によって、特許法第120条の5第7項の規定により、取り下げられたものとみなす。
第2 本件訂正の適否
1 請求の趣旨及び訂正の内容
本件訂正の請求の趣旨は、本件特許の願書に添付した特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~6について訂正することを求めるものであって、その内容は次のとおりである。
なお、この項「1 請求の趣旨及び訂正の内容」において、下線は、補正箇所を示すために当審にて付した。
(1)請求項1~4に係る訂正(訂正事項1)
本件訂正に含まれる請求項1に係る訂正は、本件訂正前の請求項1に
「前記配置部は、前記建設図面データ上に重ねて配置された前記配置用データに紐付けられた画像の枚数を併せて配置する建設画像配置システム。」と記載されているのを、本件訂正後の請求項1において、
「前記配置部は、前記建設図面データ上に重ねて配置された前記配置用データに紐付けられた画像の枚数を併せて配置し、
前記建設現場の画像を撮影することにより、前記建設現場の前記画像を取得した場合には、前記配置部が当該取得した画像を当該建設図面データ上に重ねて配置し、
所定期間、当該画像を取得しない場合には、管理者端末に予め定められたアラート出力を行い、
前記配置部は、指定された箇所と前記配置用データとを繋ぐ線を表示し、前記配置用データを前記建設図面データ上の所望の場所に移動させる建設画像配置システム。」に訂正するものである。
また、請求項1の記載を引用する請求項2~4も同様に訂正するものである。
以下、この訂正を「訂正事項1」という。
(2)請求項5に係る訂正(訂正事項2)
本件訂正に含まれる請求項5に係る訂正は、本件訂正前の請求項5に
「撮影した前記建設現場の画像に関する配置用データを、指定した前記建設図面データ上の所望の箇所に紐付けて、当該建設図面データ上に重ねて配置するステップと、
前記建設図面データ上に重ねて配置された前記配置用データに紐付けられた画像の枚数を併せて配置するステップと、
を備える建設画像配置方法。」と記載されているのを、本件訂正後の請求項5において、
「撮影した前記建設現場の画像に関する配置用データを、指定した前記建設図面データ上の所望の箇所に紐付けて、当該建設図面データ上に重ねて配置するステップと、を備え、
前記配置するステップでは、前記建設図面データ上に重ねて配置された前記配置用データに紐付けられた画像の枚数を併せて配置し、
前記建設現場の画像を撮影することにより、前記建設現場の前記画像を取得した場合には、前記配置するステップにて、当該取得した画像を当該建設図面データ上に重ねて配置し、
所定期間、当該画像を取得しない場合には、管理者端末に予め定められたアラート出力を行い、
前記配置するステップでは、指定された箇所と前記配置用データとを繋ぐ線を表示し、前記配置用データを前記建設図面データ上の所望の場所に移動させる建設画像配置方法。」に訂正するものである。
以下、この訂正を「訂正事項2」という。
(3)請求項6に係る訂正(訂正事項3)
本件訂正に含まれる請求項6に係る訂正は、本件訂正前の請求項6に
「撮影した前記建設現場の画像に関する配置用データを、指定した前記建設図面データ上の所望の箇所に紐付けて、当該建設図面データ上に重ねて配置するステップ、
前記建設図面データ上に重ねて配置された前記配置用データに紐付けられた画像の枚数を併せて配置するステップ、
を実行させるためのコンピュータ読み取り可能なプログラム。」と記載されているのを、本件訂正後の請求項6において、
「撮影した前記建設現場の画像に関する配置用データを、指定した前記建設図面データ上の所望の箇所に紐付けて、当該建設図面データ上に重ねて配置するステップ、を実行させ、
前記配置するステップでは、前記建設図面データ上に重ねて配置された前記配置用データに紐付けられた画像の枚数を併せて配置する処理、
前記建設現場の画像を撮影することにより、前記建設現場の前記画像を取得した場合には、前記配置するステップにて、当該取得した画像を当該建設図面データ上に重ねて配置する処理、
所定期間、当該画像を取得しない場合には、管理者端末に予め定められたアラート出力を行う処理、
前記配置するステップでは、指定された箇所と前記配置用データとを繋ぐ線を表示し、前記配置用データを前記建設図面データ上の所望の場所に移動させる処理を実行させるためのコンピュータ読み取り可能なプログラム。」に訂正するものである。
以下、この訂正を「訂正事項3」という。
2 訂正の適否についての判断
(1)訂正事項1について
ア 一群の請求項について
本件訂正前の請求項2~4は、本件訂正前の請求項1を引用しており、請求項1の訂正に連動して訂正されるものであるから、請求項1~4は、特許法第120条の5第4項に規定する「一群の請求項」に該当する。
イ 訂正の目的
訂正事項1は、上記1(1)で示したとおりであり、この訂正は、本件訂正前の請求項1に以下の1ア~1ウの構成を追加するものと認める。以下、これらの構成をそれぞれ「構成1ア」等と言う。
・1ア:「前記建設現場の画像を撮影することにより、前記建設現場の前記画像を取得した場合には、当該配置部が当該取得した画像を当該建設図面データ上に重ねて配置」する構成。
・1イ:「所定期間、当該画像を取得しない場合には、管理者端末に予め定められたアラート出力を行」う構成。
・1ウ:「前記配置部」が「指定された箇所と前記配置用データとを繋ぐ線を表示し、前記配置用データを前記建設図面データ上の所望の場所に移動させる」構成。
そうすると、構成1ア及び1ウは、本件訂正前の請求項1の「配置部」を特定する事項を追加するものであり、構成1イは、本件訂正前の請求項1の「建設画像配置システム」を特定する事項を追加するものである。
また、請求項1を引用する本件訂正後の請求項2~4についても同様である。
よって、請求項1~4に係る訂正事項1は、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正である。
したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものである。
ウ 新規事項の有無
(ア)本件特許の明細書の記載
本件特許の明細書の段落【0030】~【0033】には、以下の記載がある。なお、下線は、強調のために当審にて付した。
「【0030】
図3に戻り、第1の配置処理の続きを説明する。
画像取得判断モジュールは、画像11を取得したか否かを判断する(ステップS14)。画像取得判断モジュールは、撮影モジュールが、建設現場の画像11を撮影したか否か等に基づいて、この判断を実行する。作業者端末50は、この画像11を撮影することにより、建設現場の画像11を取得することになる。
画像取得判断モジュールは、画像11を取得していないと判断した場合(ステップS14 NO)、期間判断モジュールは、所定期間が経過したか否かを判断する(ステップS15)。所定期間は、例えば、5分、10分、1時間、3時間である。期間判断モジュールは、所定期間が経過していないと判断した場合(ステップS15 NO)、作業者端末50は、再度、上述したステップS14の処理を実行する。
【0031】
一方、期間判断モジュールは、所定期間が経過したと判断した場合(ステップS15 YES)、アラートモジュールは、アラートを出力する(ステップS16)。アラートは、管理者端末に画像11を取得していないことを記載したメールを送信、アプリケーションによるプッシュ通知等である。アラートモジュールは、予め設定された内容に基づいて、アラートを出力する。
作業者端末50は、本アラート処理を実行後、再度、上述したステップS14の処理を実行する。
【0032】
ステップS14の処理に戻り、画像取得判断モジュールが、画像11を取得した場合について説明する。
画像取得判断モジュールは、画像11を取得したと判断した場合(ステップS14 YES)、配置用データ作成モジュールは、配置用データを作成する(ステップS17)。配置用データは、取得した画像11そのものである配置用画像、この画像11に紐付けられた配置用アイコン(上述したピン、矢印、カメラマーク等)、これらに紐付けられたメモや、撮影内容が含まれる。メモ及び撮影内容は、作業者からの入力を受け付けた内容や管理者が予め設定した内容に基づいたものである。
配置用データ作成モジュールは、この配置用画像と、メモと、撮影内容とを其々紐付け、配置用データを作成する。また、配置用データ作成モジュールは、取得した画像に配置用アイコンを紐付け、この紐付けた配置用アイコンと、メモと、撮影内容とを其々紐付け、配置用データを作成する。図3に図示はしないが、建設図面データ上の所望の箇所の指定(ステップS12)をしてすぐに、配置用データであるアイコンが作成され(ステップS17)、撮影用アプリケーションを起動して建設現場の画像を撮影(ステップS13)する順序でもよい。
【0033】
配置用データ配置モジュールは、配置用データを配置する(ステップS18)。配置用データ配置モジュールは、作成した配置用データ(配置用画像又は配置用アイコン)を、所望の箇所10に紐付けて、建設図面データ上の指定された箇所10に重ねて配置し、表示モジュールは、建設図面データ上の指定された箇所10又はこの箇所10の近傍に、配置用データを表示する。このとき、配置用データ配置モジュールは、所定の条件(例えば、重要度、作業内容)に基づいて、注目度を変更(例えば、色、サイズ、枠線、アイコン又はテキストの追加又は変更)して配置する。
表示モジュールは、作業者からの入力操作を受け付けることにより、配置用データ配置モジュールは、指定された箇所10と、配置用データとを引出線等で繋ぎ、配置用データを建設図面データ上の所望の場所に移動させる。
また、配置用データ配置モジュールは、配置された配置用データに対して、この配置用データに紐付けられたメモや撮影内容等が記載された電子小黒板を、建設図面データ上に重ねて配置し、表示モジュールは、建設図面データと、配置用データと、メモ等が記載された電子小黒板とを併せて表示する。この電子小黒板は、メモ以外の内容の入力を受け付け、受け付けた内容が追加されるとともに、配置用データに紐付けられたメモに受け付けた内容を登録することも可能である。
このステップS18の処理により、建設画像配置システム1は、撮影した建設現場の画像に関する配置用データを、指定した建設図面データ上の所望の箇所に紐付けて、建設図面データ上に重ねて配置する。」
(イ)構成1アを追加する訂正について
本件特許の明細書には、「作業者端末50は、この画像11を撮影することにより、建設現場の画像11を取得することになる」(【0030】)、「画像取得判断モジュールは、画像11を取得したと判断した場合」「配置用データ作成モジュールは、配置用データを作成する」(【0032】)、「配置用データ配置モジュールは、作成した配置用データを、所望の箇所10に紐付けて、建設図面データ上の指定された箇所10に重ねて配置し」(【0033】)と記載されているから、構成1アの「前記建設現場の画像を撮影することにより、前記建設現場の前記画像を取得した場合には、前記配置部が当該取得した画像を当該建設図面データ上に重ねて配置し」の構成は、本件特許の明細書に記載されている。
(ウ)構成1イを追加する訂正について
本件特許の明細書には、「画像取得判断モジュールは、画像11を取得していないと判断した場合」「期間判断モジュールは、所定期間が経過したか否かを判断する」(【0030】)、「期間判断モジュールは、所定期間が経過したと判断した場合」「アラートモジュールは、アラートを出力する」、「アラートは、管理者端末に画像11を取得していないことを記載したメールを送信、アプリケーションによるプッシュ通知等である」、「アラートモジュールは、予め設定された内容に基づいて、アラートを出力する」(【0031】)と記載されているから、構成1イの「所定期間、当該画像を取得しない場合には、管理者端末に予め定められたアラート出力を行う処理」の構成は、本件特許の明細書に記載されている。
(エ)構成1ウを追加する訂正について
本件特許の明細書には、「配置用データ配置モジュールは、指定された箇所10と、配置用データとを引出線等で繋ぎ、配置用データを建設図面データ上の所望の場所に移動させる」(【0033】)と記載されているから、構成1ウの「前記配置するステップでは、指定された箇所と前記配置用データとを繋ぐ線を表示し、前記配置用データを前記建設図面データ上の所望の場所に移動させる処理」の構成は、本件特許の明細書に記載されている。
(オ)新規事項の有無についてのまとめ
上記(ア)~(エ)のように、訂正事項1に係る構成1ア~1ウは、本件特許の明細書に記載されている。
したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。
エ 拡張ないし変更
上記イで検討したとおり、訂正事項1は、特許請求の範囲を減縮するものであり、特許請求の範囲の拡張や変更を伴うものではない。
したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。
オ 訂正事項1についてのまとめ
上記ア~エのとおり、本件訂正の訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的としており、かつ、同条第4項、並びに、第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
(2)訂正事項2について
ア 訂正の目的
訂正事項2は、本件訂正前の請求項5の「建設画像配置方法」において、以下5ア~5ウの構成を追加するものである。以下それぞれ「構成5ア」等と言う。
・5ア:「前記建設現場の画像を撮影することにより、前記建設現場の前記画像を取得した場合には、前記配置するステップにて、当該取得した画像を当該建設図面データ上に重ねて配置」する「配置ステップ」。
・5イ:「所定期間、当該画像を取得しない場合には、管理者端末に予め定められたアラート出力を行」う「ステップ」。
・5ウ:「指定された箇所と前記配置用データとを繋ぐ線を表示し、前記配置用データを前記建設図面データ上の所望の場所に移動させる」「配置するステップ」。
ここで請求項5の「建設画像配置方法」における構成5ア~5ウは、それぞれ請求項1の「建設画像配置システム」における構成1ア~1ウの構成に対応する。
そして、上記(1)イで示した訂正事項1についての訂正の目的に係る判断と同様に、訂正事項2は、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正と認められる。
したがって、訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものである。
イ 新規事項の有無
上記(1)ウで示した訂正事項1についての新規事項の有無に係る判断と同様に、訂正事項2は、本件特許の明細書又は図面に記載の事項と認められる。
したがって、訂正事項2は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。
ウ 拡張ないし変更
上記アで検討したとおり、訂正事項2は、特許請求の範囲を減縮するものであり、特許請求の範囲の拡張や変更を伴うものではない。
したがって、訂正事項2は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。
エ 訂正事項2についてのまとめ
上記ア~ウのとおり、本件訂正の訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
(3)訂正事項3について
ア 訂正の目的
訂正事項3は、訂正前の請求項6の「コンピュータ読み取り可能なプログラム」において、以下の6ア~6ウの構成を追加するものである。以下、これらの構成をそれぞれ「構成6ア」等と言う。
・6ア:「前記建設現場の画像を撮影することにより、前記建設現場の前記画像を取得した場合には」、「当該取得した画像を当該建設図面データ上に重ねて配置する処理」を実行する「配置するステップ」。
・6イ:「所定期間、当該画像を取得しない場合には、管理者端末に予め定められたアラート出力を行う処理」。
・6ウ:「指定された箇所と前記配置用データとを繋ぐ線を表示し、前記配置用データを前記建設図面データ上の所望の場所に移動させる処理を実行」する「配置するステップ」。
ここで請求項6の「コンピュータ読み取り可能なプログラム」における構成6ア~6ウは、それぞれ請求項1の「建設画像配置システム」における構成1ア~1ウに対応する。
そして、上記(1)イで示した訂正事項1についての訂正の目的に係る判断と同様に、訂正事項2は、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正と認められる。
したがって、訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものである。
イ 新規事項の有無
上記(1)ウで示した訂正事項1についての新規事項の有無に係る判断と同様に、訂正事項2は、本件特許の明細書又は図面に記載の事項と認められる。
したがって、訂正事項2は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。
ウ 拡張ないし変更
上記アで検討したとおり、訂正事項3は、特許請求の範囲を減縮するものであり、特許請求の範囲の拡張や変更を伴うものではない。
したがって、訂正事項3は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。
エ 訂正事項3についてのまとめ
上記ア~ウのとおり、本件訂正の訂正事項3は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
(4)本件訂正の適否についてのまとめ
上記(1)~(3)のとおり、本件訂正の訂正事項1~3は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、並びに、第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、本件特許の特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~4〕、5、6に訂正することを認める。
第3 本件発明
本件特許の請求項1~6に係る発明は、本件訂正により訂正された特許請求の範囲の請求項1~6に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。
本件特許の請求項1~6に係る発明を、以下それぞれ「本件発明1」等という。また、当審にて本件発明1~6を1A~6Jに分説し、分説した事項を、以下それぞれ「発明特定事項1A」等という。
【請求項1】
(1A)建設現場に関する建設図面データ上の所望の箇所に紐付けて、当該建設現場の画像を配置する建設画像配置システムであって、
(1B)前記建設図面データを取得する取得部と、
(1C)取得した前記建設図面データを表示する表示部と、
(1D)表示した前記建設図面データ上の所望の箇所を指定する指定部と、
(1E)指定した前記所望の箇所に該当する前記建設現場の画像を撮影する撮影部と、
(1F)撮影した前記建設現場の画像に関する配置用データを、指定した前記建設図面データ上の所望の箇所に紐付けて、当該建設図面データ上に重ねて配置する配置部と、
を備え、
(1G)前記配置部は、前記建設図面データ上に重ねて配置された前記配置用データに紐付けられた画像の枚数を併せて配置し、
(1H)前記建設現場の画像を撮影することにより、前記建設現場の前記画像を取得した場合には、前記配置部が当該取得した画像を当該建設図面データ上に重ねて配置し、
(1I)所定期間、当該画像を取得しない場合には、管理者端末に予め定められたアラート出力を行い、
(1J)前記配置部は、指定された箇所と前記配置用データとを繋ぐ線を表示し、前記配置用データを前記建設図面データ上の所望の場所に移動させる
(1A)建設画像配置システム。
【請求項2】
(2A)前記撮影部は、前記指定部が前記所望の箇所を指定したことを契機に、撮影用アプリケーションを起動し、前記建設現場の画像を撮影する、
(2B)請求項1に記載の建設画像配置システム。
【請求項3】
(3A)前記配置部は、今回撮影するよりも前に撮影した画像に関する過去の配置用データが存在する場合、当該過去の配置用データを、指定した前記建設図面データ上の所望の箇所に紐付けて、当該建設図面データ上に重ねて配置する、
(3B)請求項1に記載の建設画像配置システム。
【請求項4】
(4A)前記配置部は、前記配置用データを、所定の条件に基づいて、注目度を変更して配置する、
(4B)請求項1に記載の建設画像配置システム。
【請求項5】
(5A)建設現場に関する建設図面データ上の所望の箇所に紐付けて、当該建設現場の画像を配置する建設画像配置システムが実行する建設画像配置方法であって、
(5B)前記建設図面データを取得するステップと、
(5C)取得した前記建設図面データを表示するステップと、
(5D)表示した前記建設図面データ上の所望の箇所を指定するステップと、
(5E)指定した前記所望の箇所に該当する前記建設現場の画像を撮影するステップと、
(5F)撮影した前記建設現場の画像に関する配置用データを、指定した前記建設図面データ上の所望の箇所に紐付けて、当該建設図面データ上に重ねて配置するステップと、を備え、
(5G)前記配置するステップでは、前記建設図面データ上に重ねて配置された前記配置用データに紐付けられた画像の枚数を併せて配置し、
(5H)前記建設現場の画像を撮影することにより、前記建設現場の前記画像を取得した場合には、前記配置するステップにて、当該取得した画像を当該建設図面データ上に重ねて配置し、
(5I)所定期間、当該画像を取得しない場合には、管理者端末に予め定められたアラート出力を行い、
(5J)前記配置するステップでは、指定された箇所と前記配置用データとを繋ぐ線を表示し、前記配置用データを前記建設図面データ上の所望の場所に移動させる
(5A)建設画像配置方法。
【請求項6】
(6A)建設現場に関する建設図面データ上の所望の箇所に紐付けて、当該建設現場の画像を配置するコンピュータに、
(6B)前記建設図面データを取得するステップ、
(6C)取得した前記建設図面データを表示するステップ、
(6D)表示した前記建設図面データ上の所望の箇所を指定するステップ、
(6E)指定した前記所望の箇所に該当する前記建設現場の画像を撮影するステップ、
(6F)撮影した前記建設現場の画像に関する配置用データを、指定した前記建設図面データ上の所望の箇所に紐付けて、当該建設図面データ上に重ねて配置するステップと、を実行させて、
(6G)前記配置するステップでは、前記建設図面データ上に重ねて配置された前記配置用データに紐付けられた画像の枚数を併せて配置する処理、
(6H)前記建設現場の画像を撮影することにより、前記建設現場の前記画像を取得した場合には、前記配置するステップにて、当該取得した画像を当該建設図面データ上に重ねて配置する処理、
(6I)所定期間、当該画像を取得しない場合には、管理者端末に予め定められたアラート出力を行う処理、
(6J)前記配置するステップでは、指定された箇所と前記配置用データとを繋ぐ線を表示し、前記配置用データを前記建設図面データ上の所望の場所に移動させる処理を実行させるための
(6A)コンピュータ読み取り可能なプログラム。
第4 取消理由通知に記載した取消理由の概要
令和5年11月21日付け取消理由通知書(決定の予告)で特許権者に通知した取消理由の概要は、次のとおりである。
各甲号証(甲第1号証~甲第6号証、甲第8号証~甲第11号証、甲14号証)を、以下それぞれ「甲1」等という。
・取消理由1(進歩性)本件特許の下記の請求項に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、公然実施された発明、頒布された刊行物に記載された発明、又は、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、下記の請求項に係る特許は、特許法第29条2項の規定に違反してされたものである。
記
<請求項と各甲号証の対応関係>
1.請求項1~6 甲1、甲2及び周知技術2(甲14)
2.請求項1~6 甲1、周知技術1(甲2~6及び8~11)及び周知技術2
3.請求項1~6 甲14及び甲2
4.請求項1~6 甲14及び周知技術1
以下、上記1及び2を「甲1を主引例とした取消理由1」、上記3及び4を「甲14を主引例とした取消理由1」という。
<各甲号証>
・甲1:特開2018-101385号公報
・甲2:特開2009-93294号公報
・甲3:個人サイト「★グーなキモチ!★スマートフォン、タブレット、パソコンを楽しく使おう!現役講師がつづるデジタルな毎日」の平成28年10月7日付け記事「iPhoneの写真アプリ、撮影場所ごとに分類、飛行経路もわかります。」、インターネット、<URL: https://blog.goo.ne.jp/pasocom777/e/66fbb8ced35841dfc34fbc3fbaab8d08>
・甲4:個人サイト「生産性向上委員会」の平成29年7月18日付け記事「古い写真に位置情報を付加するならライトルームが便利」、インターネット、<URL: https://tech-review.click/how-to-add-gps-data>
・甲5:IT総合情報ポータル「ITmedia NEWS」の平成18年8月29日付け記事「Flickr、地図情報と連動する写真タグ付け機能を提供」、インターネット、<URL: https://www.itmedia.co.jp/news/articles/0608/29/news020.html>
・甲6:デジタルカメラの総合情報サイト「デジカメWatch」の平成26年3月24日付け記事「フォトアプリガイドPhotosPro(iOS)地図と連携できる写真管理アプリ」、インターネット、<URL: https://dc.watch.impress.co.jp/docs/review/app/640595.html>
・甲8:動画共有プラットホーム「YouTube」の令和元年11月30日付け動画「Photo Location Map Demo」の再生時刻0:14を印刷した書面、インターネット、<URL: https://www.youtube.com/watch?v=n7hv_h1llKo>
・甲9:ウェブサイト「週刊アスキー」の平成30年5月10日付け記事「枚数多すぎ問題を解決! 写真の撮影場所を調べるXperiaテク」、インターネット、<URL: https://weekly.ascii.jp/elem/000/001/674/1674303/>
・甲10:アプリ紹介サイト「アプリノ」の平成29年3月2日付け記事「地図上に思い出を記録できるセルフキュレーション地図アプリ」、[検索日 2023.09.13]、インターネット、<URL: https://applinote.com/ios/article/315687>
・甲11:動画共有プラットホーム「YouTube」の令和元年12月15日付け動画「Photo Map App for Android」の再生時刻0:09を印刷した書面、インターネット、<URL: https://www.youtube.com/watch?v=xyvNlf5gpHw>
・甲14: 特開2018-45355号公報
第5 当審の判断
上記「第4」の取消理由1について検討する。
1 各甲号証の記載及び各甲号証に記載された発明又は技術
(1)甲1の記載及び甲1に記載された発明(甲1発明)
ア 甲1の記載
甲1には、以下の記載がある。
なお、下線は、強調のために当審にて付した(以下同様)。
「【背景技術】
【0002】
例えば、地域・建物・工事現場等の場所において、図面と写真を利用することの有用性が広く知られている。図面はその場所の全体像を、写真はその場所の特定の箇所に関する詳細な情報を持つため、両者を関連付けて整理することにより、その場所に関する情報をより速く正確に得ることが可能となる。両者を関連付けて整理する方法として、写真に整理番号を付ける、階層構造に類別するなどの手法がしばしば用いられている。」
「【0008】
かかる課題に鑑み、本発明は、写真を撮影した場合に、その撮影された位置の情報、または位置の情報と方向の情報を含めて、写真を管理することを可能とする装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本第一の発明の写真管理装置は、(中略)を具備する写真管理装置である。」
「【0042】
また、写真管理装置は、電子端末に表示した図面上をタッチ・スワイプすることで、写真を撮影する位置と方向を予め指定し、続けて撮影した写真と共に、図面上に撮影位置・方向・撮影された写真の情報を埋め込む機能を有する。」
「【0059】
図1は、建設する建物の図面の画像を示す図面情報である。図1の(a)において、ユーザは「図面上をタッチ」すると、写真管理装置は、タッチした位置にマーカーを表示し、撮影位置として記録する。次に、ユーザは、任意の位置へのタッチに続けてスワイプすると(図1(b)参照)、写真管理装置は、スワイプした方向に矢印が向き、撮影方向として記録する(図1(c)参照)。次に、ユーザは、スワイプの操作に続けて、カメラを起動して、写真撮影を、写真管理装置を用いて行う(図1(c)参照)。そして、写真撮影が完了した時点で、写真管理装置において、撮影位置、撮影方向の図面への埋め込みが完了する(図1(d)参照)。」
「【0099】
(前略)…なお、図柄は、上記のマーカーと同意義である、と考えても良い。図柄の形状や色やデータ構造等は問わない。図柄は視覚的に認識できるものであれば何でも良い。つまり、図柄は、例えば、画像、文字等により構成される。」
「【0143】
出力部4、図面情報出力部41、指示写真出力部42、検索写真出力部43、および図柄出力部44は、ディスプレイやスピーカー等の出力デバイスを含むと考えても含まないと考えても良い。出力部4は、出力デバイスのドライバーソフトまたは、出力デバイスのドライバーソフトと出力デバイス等で実現され得る。」
「【0146】
(ステップS602)処理部3は、出力指示に対応する図面情報を図面情報格納部11から読み込む。なお、例えば、処理部3は、出力指示が有する図面情報識別子で識別される図面情報を図面情報格納部11から読み込む。
【0147】
(ステップS603)図柄付き図面情報構成部34は、ステップS602で読み込まれた図面情報に対応付く地点情報が存在するか否かを判断する。地点情報が存在する場合はステップS604に行き、地点情報が存在しない場合はステップS605に行く。なお、図柄付き図面情報構成部34は、例えば、属性情報格納部13に属性情報が存在するか否かにより、地点情報が存在するか否かを判断する。
【0148】
(ステップS604)図柄付き図面情報構成部34は、図柄付き図面情報の構成処理を行う。かかる図柄付き図面情報の構成処理について、図8のフローチャートを用いて説明する。
【0149】
(ステップS605)図面情報出力部41は、ステップS604で構成された図柄付き図面情報、またはステップS602で読み込まれた図面情報を出力する。ステップS601に戻る。
【0150】
(ステップS606)指示情報受付部22は、指示情報を受け付けたか否かを判断する。指示情報を受け付けた場合はステップS607に行き、指示情報を受け付けない場合はステップS613に行く。
【0151】
(ステップS607)処理部3は、指示情報に含まれる地点情報等を図示しないバッファに一時蓄積する。
【0152】
(ステップS608)出力部4は、撮影を促すユーザインターフェイス(UI)を出力する。なお、撮影を促すUIは、カメラの図柄のボタン、撮影モードに移行するためのメニュー項目等である。また、かかるUIを構成するためのUI情報は、格納部1に格納されている、とする。なお、撮影を促すUIは、撮影指示を受け付けるUIである。また、指示情報受付部22の指示情報の受け付けにより、撮影を促すUIを出力することは好適である。
【0153】
(ステップS609)撮影指示受付部23は、撮影指示を受け付けたか否かを判断する。撮影指示を受け付けた場合はステップS610に行き、撮影指示を受け付けない場合はステップS609に戻る。なお、撮影指示は、ここでは、カメラモードに移行する指示であるが、撮影を行う指示でも良い。」
「【0156】
(ステップS612)撮影部31は、撮影し、写真を取得する。そして、写真蓄積部33は、図示しないバッファに一時蓄積されている地点情報等に対応付けて、取得した写真を写真格納部12に蓄積する。ステップS601に戻る。なお、ここで、地点情報等とは、地点情報、または地点情報と方向情報である。また、付帯情報取得部32は付帯情報を取得しても良い。かかる場合、写真蓄積部33は、地点情報等と付帯情報とに対応付けて、取得した写真を写真格納部12に蓄積する。」
「【0208】
なお、図13において、ユーザが1307のボタンを押下した場合、図15に示す図柄の編集画面1501が表示され、図柄を構成する円の色や、矢印の色、線種、サイズが変更できる。」
「【0216】
次に、処理部3は、標準の図柄に対して、目立つ態様に変更した図柄を取得する。そして、図柄出力部44は、変更された図柄を、取得された地点情報が示す地点であり、図面情報上の地点に出力する。かかる出力例は、図17である。図17において、図柄1701の色が、他の図柄の色とは異なる色になっている。」
「【0222】
また、本実施の形態によれば、一の地点で撮影した2以上の写真であり、適切に並べられた2以上の写真を容易に確認できる。」
「【図16】
[図:0001417584000001.jpg]
」
イ 甲1に記載された発明(甲1発明)
上記アによれば、甲1には、以下の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されている。
当審にて甲1発明を1a~1kに分説した。分説した事項を、以下それぞれ「発明特定事項1a」等という。
なお、甲1における記載箇所を、発明を特定する記載の末尾の( )内に示した(以下同様)。
(甲1発明)
「(1a)地域・建物・工事現場等の場所において、図面と写真の両者を関連付けて整理することにより、その場所に関する情報をより速く正確に得ることが可能(【0002】)となり、写真を撮影した場合に、その撮影された位置の情報を含めて、写真を管理する(【0008】)、写真管理装置(【0009】)であって、
(1b)写真管理装置は、電子端末に表示した図面上をタッチすることで、写真を撮影する位置を予め指定し(【0042】)、ユーザは図面上をタッチすると、写真管理装置は、タッチした位置にマーカーを表示し、撮影位置として記録し、ユーザは、カメラを起動して、写真撮影を、写真管理装置を用いて行い
(1c)処理部3は、出力指示に対応する図面情報を図面情報格納部11から読み込み(【0146】)、
(1d)図柄付き図面情報構成部34は、読み込まれた図面情報に対応付く地点情報が存在するか否かを判断し(【0147】)、
(1e)図柄付き図面情報構成部34は、図柄付き図面情報の構成処理を行う(【0148】)ものであり、図柄は、マーカーであり、図柄の形状や色やデータ構造等は、視覚的に認識できるものであれば何でも良く(【0099】)、
(1f)出力部4、図面情報出力部41、指示写真出力部42、検索写真出力部43、及び図柄出力部44は、ディスプレイ等の出力デバイスを含み(【0143】)、
(1g)図面情報出力部41は、構成された図柄付き図面情報、又は読み込まれた図面情報を出力し(【0149】)、
(1h)指示情報受付部22は、指示情報を受け付けたか否かを判断し、指示情報を受け付けた場合は(【0150】)、処理部3は、指示情報に含まれる地点情報等をバッファに一時蓄積し(【0151】)、出力部4は、撮影を促すユーザインターフェイス(UI)を出力し、撮影を促すUIは、撮影指示を受け付けるUIであり(【0152】)、撮影指示は、カメラモードに移行する指示であり(【0153】)、
(1i)撮影部31は、撮影し、写真を取得し、写真蓄積部33は、取得した写真を写真格納部12に蓄積し(【0156】)、
(1j)ユーザがボタンを押下した場合、図柄を構成する円の色や、矢印の色、線種、サイズが変更でき(【0208】)、処理部3は、標準の図柄に対して、目立つ態様に変更した図柄を取得し、図柄出力部44は、変更された図柄を、取得された地点情報が示す地点であり、図面情報上の地点に出力し(【0216】)、
(1k)一の地点で撮影した2以上の写真であり、適切に並べられた2以上の写真を容易に確認できる(【0222】)
(1a)写真管理装置(【0009】)。」
(2)甲2の記載、及び、甲2に記載された技術(甲2技術)
ア 甲2の記載
甲2には、以下の記載がある。
「【0083】
所望の地域の地形図面データが表示されると、閲覧者によるユーザ入力部240の操作により、地形図面データ上に表示させる画像データの所望の配置位置種別が選択され、画像データ閲覧処理部226により画像管理サーバ10に送信される(S46)。この配置位置種別は、図7の表示画面例右上の表示配置位置種別指定ウィンドウ702に表示されている、「撮影対象位置」、「撮影位置」、および「撮影対象位置と撮影位置」の中から選択される。ここでは、「撮影対象位置」が選択されたものとして説明する。」
「【0085】
配置位置種別が「撮影対象位置」であることが判別されると、記憶部130の画像データ記憶部132に記憶されている中から、「撮影対象位置」に対応して登録されている画像データがデータ選択部122により選択される(S48)。
【0086】
データ選択部122において「撮影対象位置」に対応して登録されている画像データが選択されると、撮影対象位置情報204が相互に所定領域内にある近隣の画像データが1つの画像データ群とされ、この画像データ群を地形図面データ上に表示させるためのパラメータである画像群マーカ情報が生成される(S49)。
【0087】
この画像群マーカ情報は、画像群マーカを識別するための画像群マーカIDと、配置位置種別情報201と、画像データ群の中心座標と、画像データ群に含まれる画像データ数とを含んで構成される。」
「【0090】
この表示データは、図7に示すように、画像分布データに含まれる画像群マーカ703が、画像データ数704とともに地形図面ウィンドウ701内の画像データ群の中心座標の位置に表示されることにより構成されている。」
「【図7】
[図:0001417584000002.jpg]
」
イ 甲2に記載された技術(甲2技術)
上記アの【0083】、【0085】~【0087】及び【0090】、ならびに【図7】の記載によれば、地形図面データが表示され、図7の表示画面例右上の表示配置位置種別指定ウィンドウ702に表示されている「撮影対象位置」、「撮影位置」等の中から、「撮影対象位置」が選択された場合に、以下の処理が行われる。
・画像データ記憶部132に記憶されている中から、「撮影対象位置」に対応して登録されている画像データが選択され(【0085】)、
撮影対象位置情報204が相互に所定領域内にある近隣の画像データが1つの画像データ群とされ、この画像データ群を地形図面データ上に表示させるためのパラメータである画像群マーカ情報が生成され(【0086】)、
画像群マーカ情報は、画像データ群の中心座標と、画像データ群に含まれる画像データ数とを含んで構成され(【0087】)、
画像データ数704とともに地形図面ウィンドウ701内の画像データ群の中心座標の位置に表示される(【0090】、【図7】)。
そして、表示配置位置種別指定ウィンドウ702において、配置位置種別として、「撮影対象位置」に替えて「撮影位置」が選択された場合には、「撮影対象位置」が選択された場合と同様の以下の処理が行われるものと認められる。
・画像データ記憶部132に記憶されている中から、「撮影位置」に対応して登録されている画像データが選択され、
撮影位置情報が相互に所定領域内にある近隣の画像データが1つの画像データ群とされ、この画像データ群を地形図面データ上に表示させるためのパラメータである画像群マーカ情報が生成され、
画像群マーカ情報は、画像データ群の中心座標と、画像データ群に含まれる画像データ数とを含んで構成され、
画像データ数704とともに地形図面ウィンドウ701内の画像データ群の中心座標の位置に表示される。
したがって、甲2には、以下の技術(以下「甲2技術」という。)が記載されている。
(甲2技術)
「地形図面データが表示され、表示配置位置種別として「撮影位置」が選択された場合に、
画像データ記憶部132に記憶されている中から、「撮影位置」に対応して登録されている画像データが選択され、
撮影位置情報が相互に所定領域内にある近隣の画像データが1つの画像データ群とされ、この画像データ群を地形図面データ上に表示させるためのパラメータである画像群マーカ情報が生成され、
画像群マーカ情報は、画像データ群の中心座標と、画像データ群に含まれる画像データ数とを含んで構成され、
画像データ数704とともに地形図面ウィンドウ701内の画像データ群の中心座標の位置に表示される、技術。」
(3)甲2~甲6及び甲8~甲11に記載された技術(周知技術)
ア 甲2の記載及び甲2に記載された技術
上記(2)によれば、甲2には、「画像群マーカ情報は、画像データ群の中心座標と、画像データ群に含まれる画像データ数とを含んで構成され、画像データ数704とともに地形図面ウィンドウ701内の画像データ群の中心座標の位置に表示される、技術」が示されており、【図7】には、地図が表示され、その地図の中の撮影した場所に写真が重畳して表示され、さらに、その場所で撮影された写真の枚数を表す数字が青い印を背景にしてその写真に重畳して表示されている。
よって、甲2には、写真を確認するための表示方法として、地図と、その地図の中の撮影した場所を示す写真と、その場所で撮影された写真の枚数を表示する技術が記載されている。
イ 甲3の記載及び甲3に記載された技術
甲3には、「それぞれそこで撮った写真の枚数が表示されます。」及び「それぞれの場所で撮影した写真が表示されます。」との記述と共に、表示の様子を示す図が示されており、それらの図には、地図が表示され、その地図の中の撮影した場所に写真が重畳して表示され、さらに、その場所で撮影された写真の枚数を表す数字が青い印を背景にしてその写真に重畳して表示されている。
よって、甲3には、写真を確認するための表示方法として、地図と、その地図の中の撮影した場所を示す写真と、その場所で撮影された写真の枚数を表示する技術が記載されている。
ウ 甲4の記載及び甲4に記載された技術
甲4には、「こうやって位置情報をメタデータに埋め込んでいくと、こんな風に、写真の撮影枚数が表示された吹き出しが写真の位置情報に合わせて配置されます。」及び「マウスをそれぞれの吹き出しの上に持っていくとその場所で撮影された写真が表示され、」との記述と共に、表示の様子を示す図が示されており、その図には、地図が表示され、その地図の中の各場所に「吹き出し」が重畳して表示され、さらに、その場所で撮影された写真の枚数を表す数字が「吹き出し」に重畳して表示されている。
よって、甲4には、写真を確認するための表示方法として、地図と、その地図の中の撮影した場所を示す「吹き出し」と、その場所で撮影された写真の枚数を表示する技術が記載されている。
エ 甲5の記載及び甲5に記載された技術
甲5には、「自分が撮影した写真を置きたい場所を選択して、ドラッグ&ドロップすると、位置情報が写真データに書き込まれる。」及び「既に登録された写真が地域ごとに、枚数で表示されており、」との記述と共に、表示の様子を示す図が示されており、その図には、地図が表示され、その地図の中の各場所に桃色の円が重畳して表示され、さらに、その場所に関連付けられた写真の枚数を表す数字がその桃色の円に重畳して表示されている。
ここで、「自分が撮影した写真を置きたい場所」は、撮影した場所とすることができることは明らかである。
よって、甲5には、写真を確認するための表示方法として、地図と、その地図の中の撮影した場所を示す桃色の円と、その場所で撮影された写真の枚数を表示する技術が記載されている。
オ 甲6の記載及び甲6に記載された技術
甲6には、「位置情報を利用して、地図上にサムネイルが配置されているのがわかる。なお、サムネイルの左上に表示されたバッジは、該当位置で撮影された写真の枚数を示している。」との記述と共に、表示の様子を示す図が示されており、その図には、地図が表示され、その地図の中の撮影された位置にサムネイルが重畳して表示され、さらに、その位置で撮影された写真の枚数を表す数字がバッジとしてそのサムネイルに重畳して表示されている。
よって、甲6には、写真を確認するための表示方法として、地図と、その地図の中の撮影した位置を示すサムネイルと、その位置で撮影された写真の枚数を表示する技術が記載されている。
カ 甲8の記載及び甲8に記載された技術
甲8の書面に係る動画は、タイトルが「Photo Location Map Demo」であり、その表示時刻00:14で表示される画像を印刷した書面によれば、地図が表示され、その地図の中の撮影位置に円(ピン)が重畳して表示され、さらに、その撮影位置で撮影された写真の枚数を表す数字がそのピンに重畳して表示されている。
よって、甲8には、写真を確認するための表示方法として、地図と、その地図の中の撮影位置を示すピンと、その位置で撮影された写真の枚数を表示する技術が記載されている。
キ 甲9の記載及び甲9に記載された技術
甲9には、「撮影したポイントにサムネイルと、写真の枚数が表示される」との記述と共に、表示の様子を示す図が示されており、その図には、地図が表示され、その地図の中の撮影したポイントにサムネイルが重畳して表示され、さらに、そのポイントで撮影された写真の枚数を表す数字が橙色の円を背景にしてそのサムネイルに重畳して表示されている。
よって、甲9には、写真を確認するための表示方法として、地図と、その地図の中の撮影したポイントを示すサムネイルと、そのポイントで撮影された写真の枚数を表示する技術が記載されている。
ク 甲10の記載及び甲10に記載された技術
甲10には、「カメラの位置情報をオンにした状態で撮った写真や動画は自動的に地図上にフォトマッピング表示されます。」及び「地図と写真を合成して、保存、シェアできるマップショット機能がとても便利です。」との記述と共に、表示の様子を示す図が示されており、その図には、地図が表示され、その地図の中の撮った位置に写真が重畳して表示され、さらに、その位置で撮った写真の枚数を表す数字が黒い印を背景にしてその写真に重畳して表示されている。
よって、甲10には、写真を確認するための表示方法として、地図と、その地図の中の撮影した位置を示す写真と、その位置で撮影された写真の枚数を表示する技術が記載されている。
ケ 甲11の記載及び甲11に記載された技術
甲11の書面に係る動画は、タイトルが「Photo Map App for Android」であり、その表示時刻00:09で表示される画像を印刷した書面によれば、地図が表示され、その地図の中の撮影した各地点を示すために写真が重畳して表示され、その地点で撮影された写真の枚数を表す数字が橙色の円を背景にしてその写真に表示されている。
よって、甲11には、写真を確認するための表示方法として、地図と、その地図の中の撮影した地点を示す写真と、その地点で撮影された写真の枚数を表示する技術が記載されている。
コ 周知技術についてのまとめ
上記ア~ケのとおり、甲2~甲6及び甲8~甲11の記載から、写真を確認するための表示方法として、地図と、その地図の中の撮影した地点を示す画像と、その地点で撮影された写真の枚数を表示する技術は、周知技術である。
(4)甲14の記載及び甲14に記載された技術(甲14技術)
ア 甲14の記載
「【0007】
本発明の一実施形態は、施工現場における撮影の進捗管理を支援する施工管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した目的を達成するため、本願請求項1は、撮影機能を有する1台以上の携帯端末と、ユーザの操作により前記携帯端末が行う撮影の進捗を管理するサーバ装置と、がネットワークを介して通信を行う施工管理システムであって、前記サーバ装置は、施工現場の図面上の位置で表した前記施工現場における施工確認場所の情報を前記携帯端末に提供する提供手段と、前記携帯端末において撮影された写真に関する情報を前記施工現場における施工確認場所の情報と対応付けて保存する保存手段と、を有し、前記携帯端末は、前記サーバ装置から提供された前記施工現場における施工確認場所の情報に基づき、前記施工現場の図面上に、前記施工現場における施工確認場所を表すアイコンを表示する表示処理手段と、ユーザから前記アイコンが表す前記施工現場における施工確認場所での写真の撮影の操作及び撮影完了の操作を受け付ける操作判断手段と、前記施工現場における施工確認場所において撮影された結果に基づき、前記写真に関する情報の更新を前記サーバ装置に要求する更新処理手段と、を有し、前記表示処理手段は、前記施工現場における施工確認場所の撮影の進捗を、未撮影である状態、ユーザから前記撮影完了の操作を受け付けた状態、撮影済みであるが前記撮影完了の操作をユーザから受け付けていない状態に分け、前記アイコンの色により区別して表すこと、を特徴とする。」
「【0024】
タブレット端末14は例えば図3に示すハードウェア構成により実現される。図3は本実施形態に係るタブレット端末の一例のハードウェア構成図である。図3のタブレット端末14は、CPU601、ROM602、RAM603、EEPROM604、CMOSセンサ605、加速度・方位センサ606、メディアドライブ608を備えている。」
「【0026】
CPU601はタブレット端末14全体の動作を制御する。(中略)CMOSセンサ605は、撮影機能を実現する。COMSセンサ605はCPU601の制御に従って撮影を行い、画像データを得る。(後略)」
「【0028】
さらに、タブレット端末14は、音声入力部609、音声出力部610、アンテナ611、通信部612、無線LAN通信部613、近距離無線通信用アンテナ614、近距離無線通信部615、ディスプレイ616、タッチパネル617及びバスライン619を備える。」
「【0033】
サーバ装置10はプログラムを実行することで、図面ファイル登録部31、カメラアイコン登録部32、カメラアイコン情報編集部33、カメラアイコン情報提供部34、カメラアイコン情報更新部35、テーブル保存部36、図面ファイル保存部37、写真ファイル保存部38を実現している。
【0034】
図面ファイル登録部31はPC12からの図面ファイル登録要求に応じて施工現場の図面を電子化した図面ファイルを図面ファイル保存部37に保存する。カメラアイコン登録部32は、PC12からのカメラアイコン情報登録要求に応じて、電子化された施工現場の図面上の位置と対応付けて、施工現場における施工確認場所を示すカメラアイコンの情報をテーブル保存部36に保存する。」
「【0050】
また、図5の写真情報テーブル64はペアレントID、登録ユーザ、更新ユーザ、撮影日付、登録時刻、更新時刻、写真数、写真ファイル格納パス、コメントを項目として有する。写真情報テーブル64は、ペアレントIDに設定されるオブジェクトIDによりオブジェクトテーブル63と対応付けられている。」
「【0052】
図5に示すように、各図面には、1つ以上のメモを対応付けることができ、各メモに1つ以上のカメラアイコンを対応付けることができ、各カメラアイコンに写真ファイル及びコメントを対応付けることができる。」
「【0060】
ステップS16に進み、ユーザはタブレット端末14の画面に表示されたカメラアイコンを選択する。ステップS17に進み、タブレット端末14は選択されたカメラアイコンの「カメラアイコン情報を確認する画面」を表示する。なお、「カメラアイコン情報を確認する画面」には、施工確認場所や撮影箇所に関するコメントの内容が後述するように表示される。ユーザはタブレット端末14に表示された「カメラアイコン情報を確認する画面」上の撮影ボタンで撮影指示を行うことができる。
【0061】
ステップS18においてユーザから撮影指示があるか、ステップS21においてユーザから「閉じる」ボタンが押下されるまで、タブレット端末14は「カメラアイコン情報を確認する画面」を表示した状態を維持する。ユーザから撮影指示があったと判定すると、タブレット端末14はステップS19に進み、撮影を行う。ステップS20に進み、タブレット端末14は施工現場における撮影の進捗管理を支援するため、未撮影、撮影完了、撮影が行われてから撮影完了となるまでの状態で、カメラアイコンの色を変化させる。(後略)」
「【0070】
図9又は図10の画面1010には、そのカメラアイコン1001により示される施工確認場所で撮影する写真の撮影箇所が一箇所(片面だけ)、または二箇所(両面)のいずれかを指定する片面ボタン1011及び両面ボタン1012が設けられている。図9及び図10は区画貫通処理検査に対応させたものであり、そのカメラアイコン1001により示される施工確認場所で片面(一箇所)を撮影するのか両面(二箇所)を撮影するのかを指定できる。すなわち、区画貫通処理が行われた壁の一方側(片面)のみの撮影で良いのか、壁の両側(両面)の撮影が必要であるのかを指定できる。図9は、片面が指定された状態の画面例で、カメラアイコン1101bの登録例である。図10は、両面が指定された状態の画面例で、カメラアイコン1101cの登録例である。」
「【0084】
《S18及びS20:カメラアイコン更新処理》
撮影後、図15の画面1120は例えば図16に示すようになる。図16は撮影後の画面の一例のイメージ図である。図16の画面1120のコメント欄1127は図15のコメント欄1126に表示されたコメントに加え、撮影時間などの情報が追加されたコメントが表示されている。また、図16の画面1120は撮影された写真1124が表示されている。写真1124には、コメント欄1127に表示されたコメントの内容が記入された電子黒板1128が合成されている。また、図16の画面1100では、タブレット端末14はカメラアイコン1101cを未撮影の状態を表す赤色から、撮影が行われてから撮影完了となるまでの状態を表す緑色に変化させる。(後略)
【0085】
(前略)画面1120の未完了表示の状態であった完了ボタン1125がユーザによりタップされると、タブレット端末14は図17の画面1100に示すようにカメラアイコン1101cの色を緑色から、撮影完了の状態を表す青色に変化するとともに、完了ボタン1125の表示を完了表示に変化する。撮影した写真は、その写真情報が画面1120下部の表示欄1129に、撮影した写真の日時順に並べて、表示される。
【0086】
このように、タブレット端末14は、未撮影のカメラアイコン1101を赤色、撮影完了のカメラアイコン1101を青色、撮影が行われてから撮影完了となるまでのカメラアイコン1101を緑色で区別して表すことで、撮影の進捗をユーザに一目で把握させることができる。」
「【0099】
このように、更新したカメラアイコン1101cの情報がサーバ装置10から複数のタブレット端末14に配信されることで、施工現場での写真撮影を複数人のユーザが協力して行うことができる。(中略)複数のタブレット端末14のカメラアイコン1101の色が直ちに変更となるので、複数人のユーザが現場で撮影を行う場合であっても、施工確認場所に行く前に撮影完了状態を把握でき、移動時間を無駄にすることがない。施工確認場所や報告に必要な情報は、現場管理事務所等において事前に登録されている。このため、施工現場における施工状態の確認のための写真撮影作業自体は、施工作業を行う作業員が退出した後の定時時間外に行うことになるが、その撮影作業を短時間で終わらせることが可能となる。」
「【図6】
[図:0001417584000003.jpg]
」
「【図16】
[図:0001417584000004.jpg]
」
イ 甲14に記載された技術(甲14技術)
段落【0008】の「携帯端末」に、段落【0011】以降の「タブレット端末14」が含まれることは、明らかであるから、段落【0008】の「携帯端末」は、「タブレット端末」に読み替えることができる。
また、段落【0008】の「アイコン」に、段落【0033】以降の「カメラアイコン」が含まれることは、明らかであるから、段落【0008】の「アイコン」は、「カメラアイコン」に読み替えることができる。
さらに、上記アの【図16】によれば、タブレット端末14の画面1100には、施工現場の図面が表示されており、施工現場の図面に重畳して、画面1120が表示されていること、及びカメラアイコン1101a~cがいずれも壁を跨いで表示されていることが読み取れる。
よって、上記アによれば、甲14には、以下の技術(以下「甲14技術」という。)が記載されている。
また、当審にて、甲14技術を14a~14lに分説した。以下、分説した構成をそれぞれ「構成14a」等という。なお、甲14における記載箇所を、( )内に示した。
(甲14技術)
「(14a)施工現場における撮影の進捗管理を支援する施工管理システム(【0007】)であって、
(14b)サーバ装置は、タブレット携帯端末において撮影された写真に関する情報を前記施工現場における施工確認場所の情報と対応付けて保存する保存手段を有し、前記タブレット端末は、前記施工現場の図面上に、前記施工現場における施工確認場所を表すカメラアイコンを表示する表示処理手段と、ユーザから前記アイコンが表す前記施工現場における施工確認場所での写真の撮影の操作及び撮影完了の操作を受け付ける操作判断手段と、を有し、(【0008】)、
(14c)タブレット端末14は、CMOSセンサ605を備え(【0024】)、CMOSセンサ605は、撮影機能を実現し(【0026】)、タブレット端末14は、ディスプレイ616を備え(【0028】)、
(14d)サーバ装置10は、図面ファイル登録部31、図面ファイル保存部37を実現し(【0033】)、図面ファイル登録部31は、施工現場の図面を電子化した図面ファイルを図面ファイル保存部37に保存し(【0034】)、
(14e)写真情報テーブル64は、撮影日付、登録時刻、更新時刻を項目として有し(【0050】)、
(14f)各図面には、各カメラアイコンに写真ファイル及びコメントを対応付けることができ(【0052】)、
(14g)ユーザは、タブレット端末14の画面に表示されたカメラアイコンを選択し、タブレット端末14に表示された「カメラアイコン情報を確認する画面」上の撮影ボタンで撮影指示を行い(【0060】)、
(14h)ユーザから撮影指示があったと判定すると、タブレット端末14は、撮影を行い、未撮影、撮影完了、撮影が行われてから撮影完了となるまでの状態で、カメラアイコンの色を変化させ(【0061】)、
(14i)カメラアイコン1001により示される施工確認場所で撮影する写真の撮影箇所が一箇所(片面だけ)の、または二箇所(両面)のいずれかを指定し、区画貫通処理が行われた壁の一方側(片面)のみの撮影で良い位置にカメラアイコン1101b、壁の両側(両面)の撮影が必要である位置にカメラアイコン1101cを指定し、カメラアイコン1101a~cがいずれも壁を跨いで表示されている(【0070】,【図16】)ものであり、
(14j)タブレット端末14の画面1100には、施工現場の図面が表示されており、施工現場の図面に重畳して、画面1120が表示されており(【図16】)、画面1120には、撮影された写真1124が表示され(【0084】)、
(14k)タブレット端末14は、カメラアイコン1101cの色を緑色から、撮影完了の状態を表す青色に変化させる(【0085】)ことで、撮影の進捗をユーザに一目で把握させることができ(【0086】)、
(14l)施工現場での写真撮影を複数人のユーザが協力して行うことができ、複数人のユーザが現場で撮影を行う場合であっても、施工確認場所に行く前に撮影完了状態を把握できる(【0099】)
技術。」
2 対比・判断
(1)甲1を主引例とした取消理由1について
ア 本件発明1について
(ア)発明特定事項1A
甲1発明は、発明特定事項1aによれば、「地域・建物・工事現場等の場所において、図面と写真の両者を関連付けて整理することにより、その場所に関する情報をより速く正確に得ることが可能となる、写真管理装置」であり、甲1発明の「写真管理装置」は、指定された図面の位置においてユーザが撮影した写真を関連付けるものといえるから、本件発明1の発明特定事項1Aである「建設現場に関する建設図面データ上の所望の箇所に紐付けて、当該建設現場の画像を配置する建設画像配置システム」に相当する。
(イ)発明特定事項1B
甲1発明は、発明特定事項1cによれば、「処理部3は、出力指示に対応する図面情報を図面情報格納部11から読み込」むものであるから、甲1発明の「処理部3」は、本件発明1の発明特定事項1Bである「前記建設図面データを取得する取得部」に相当する。
(ウ)発明特定事項1C
甲1発明は、発明特定事項1gによれば、「図面情報出力部41は、構成された図柄付き図面情報、又は読み込まれた図面情報を出力」するものであり、発明特定事項1fによれば、「図面情報出力部41は、ディスプレイ等の出力デバイスを含」むものであるから、甲1発明の「図面情報出力部41」の「ディスプレイ」は、本件発明1の発明特定事項1Cである「取得した前記建設図面データを表示する表示部」に相当する。
(エ)発明特定事項1Dについて
甲1発明は、発明特定事項1bによれば、「写真管理装置は、電子端末に表示した図面上をタッチすることで、写真を撮影する位置を予め指定」するものであり、「ユーザは図面上をタッチすると、写真管理装置は、タッチした位置にマーカーを表示し、撮影位置として記録」するものであるから、甲1発明の「写真管理装置」において図面が表示され、タッチされると、撮影位置が指定される構成は、本件発明1の発明特定事項1Dである「表示した前記建設図面データ上の所望の箇所を指定する指定部」に相当する。
(オ)発明特定事項1Eについて
甲1発明は、発明特定事項1bによれば、「ユーザは図面上をタッチすると、写真管理装置は、タッチした位置にマーカーを表示し、撮影位置として記録し、ユーザは、カメラを起動して、写真撮影を、写真管理装置を用いて行」うものであり、発明特定事項1iによれば、「撮影部31は、撮影し、写真を取得」するものであるから、甲1発明の「撮影部31」は、本件発明1の発明特定事項1Eである「指定した前記所望の箇所に該当する前記建設現場の画像を撮影する撮影部」に相当する。
(カ)発明特定事項1Fについて
甲1発明は、発明特定事項1cによれば、「処理部3は、出力指示に対応する図面情報を図面情報格納部11から読み込」むものであり、発明特定事項1eによれば、「図柄付き図面情報構成部34は、図柄付き図面情報の構成処理を行うものであり、図柄は、マーカーである。
ここで、甲1発明の上記マーカーである「図柄」は、発明特定事項1bによれば、写真を撮影する位置を予め指定する際に、図面上のタッチされた位置に表示されるものであることから、本件発明1の「撮影した前記建設現場の画像に関する配置用データ」に相当する。
そして、甲1発明は、発明特定事項1gによれば、「図面情報出力部41は、構成された図柄付き図面情報、又は読み込まれた図面情報を出力」するものであるから、甲1発明の「処理部3」の出力指示により、図面情報とともに写真を撮影する位置に図柄を「図面情報出力部41」に表示するものであり、図柄には撮影した画像が紐付けられるものである。
よって、甲1発明の「処理部3」は、本件発明1の発明特定事項1Fである「撮影した前記建設現場の画像に関する配置用データを、指定した前記建設図面データ上の所望の箇所に紐付けて、当該建設図面データ上に重ねて配置する配置部」に相当する。
(キ)発明特定事項1G~1Jについて
本件発明1は、発明特定事項1G~1Jである以下の各発明特定事項を備えるのに対し、甲1発明は、これらの発明特定事項を備えていない点で相違する。
(1G)前記配置部は、前記建設図面データ上に重ねて配置された前記配置用データに紐付けられた画像の枚数を併せて配置し、
(1H)前記建設現場の画像を撮影することにより、前記建設現場の前記画像を取得した場合には、前記配置部が当該取得した画像を当該建設図面データ上に重ねて配置し、
(1I)所定期間、当該画像を取得しない場合には、管理者端末に予め定められたアラート出力を行い、
(1J)前記配置部は、指定された箇所と前記配置用データとを繋ぐ線を表示し、前記配置用データを前記建設図面データ上の所望の場所に移動させる
(ク)一致点と相違点
上記(ア)~(キ)のとおりであるから、甲1発明と本件発明1とは、以下の一致点で一致し、以下の相違点で相違する。
【一致点】
「(1A)建設現場に関する建設図面データ上の所望の箇所に紐付けて、当該建設現場の画像を配置する建設画像配置システムであって、
(1B)前記建設図面データを取得する取得部と、
(1C)取得した前記建設図面データを表示する表示部と、
(1D)表示した前記建設図面データ上の所望の箇所を指定する指定部と、
(1E)指定した前記所望の箇所に該当する前記建設現場の画像を撮影する撮影部と、
(1F)撮影した前記建設現場の画像に関する配置用データを、指定した前記建設図面データ上の所望の箇所に紐付けて、当該建設図面データ上に重ねて配置する配置部と、
を備える
(1A)建設画像配置システム。」
【相違点】
(相違点1)本件発明1は、発明特定事項1Gである「前記配置部は、前記建設図面データ上に重ねて配置された前記配置用データに紐付けられた画像の枚数を併せて配置」するとの発明特定事項を備えるのに対し、甲1発明は、この発明特定事項を備えていない点。
(相違点2)本件発明1は、発明特定事項1Hである「前記建設現場の画像を撮影することにより、前記建設現場の前記画像を取得した場合には、前記配置部が当該取得した画像を当該建設図面データ上に重ねて配置」するとの発明特定事項を備えるのに対し、甲1発明は、この発明特定事項を備えていない点。
(相違点3)本件発明1は、発明特定事項1Iである「所定期間、当該画像を取得しない場合には、管理者端末に予め定められたアラート出力を行」うとの発明特定事項を備えるのに対し、甲1発明は、この発明特定事項を備えていない点。
(相違点4)本件発明1は、発明特定事項1Jである「前記配置部は、指定された箇所と前記配置用データとを繋ぐ線を表示し、前記配置用データを前記建設図面データ上の所望の場所に移動させる」との発明特定事項を備えるのに対し、甲1発明は、この発明特定事項を備えていない点。
(ケ)判断
上記(ク)に示した相違点(相違点1~4)について検討する。
まず、相違点のうち、相違点4について検討する。
相違点4に係る構成は、各甲号証に記載も示唆もない。
また、甲1は、上記1(1)アに示した図16のとおり、撮像の位置を点で表示し、撮影された方向を矢印で表示するものであり、甲1において、撮像された位置を示す点は、建設図面上に十分に小さく表示されているから、表示位置を変更すること、及び、繋ぐ線を表示するように変更することについて動機がなく、また、当業者が適宜なし得る設計事項であるとも認められない。
よって、本件発明1は、甲1発明及び各甲号証に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
なお、特許異議申立人は、令和6年2月26日提出の意見書の3(2)エにおいて、本件発明1の発明特定事項1Jは、「建設図面上で指定された箇所と配置用データを線で繋ぐという構成である」とし、「図面上に表示するアイコンが一定の大きさを持つため、当該アイコンを図面上で移動させるとともに、当該アイコンが図面上のどの位置に特定されているかを示すために、引出線を用いるというのは、建設図面上に配置する配置用データをどう表示させるかの問題であり、当業者であれば、適宜採用しうる設計事項に過ぎないというべきである。また、建設図面に限らず、アイコンに引出線を繋げて指定した場所を特定する手法は、多く見られるものであり、ごくごく普通の表示方法に過ぎない。」と主張している。
しかし、そのような表示方法が周知の技術であったとしても、上述したとおり、甲1発明に当該技術を適用する動機がない。
(コ)本件発明1についてのまとめ
上記(ケ)のとおりであるから、本件発明1は、当業者が容易に発明することができるものではない。
そうすると、相違点4以外の相違点1~3について検討するまでもなく、本件発明1は、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
イ 本件発明2~4について
本件特許の請求項2~4は、いずれも請求項1を引用するものであり、本件発明2~4はと甲1発明の相違点は、いずれも上記ア(ク)で示した相違点4を含むものであるから、上記ア(ケ)と同様に判断される。
よって、本件発明2~4は、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
ウ 本件発明5及び6について
本件発明5は、本件発明1に係る発明を、システムの発明から方法の発明へと変更したものである。また、本件発明6は、本件発明1を、システムの発明からコンピュータプログラムの発明へと変更したものである。
よって、本件発明5及び6は、本件発明1と同様に、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(2)甲14を主引例とした取消理由1について
各甲号証の記載及び、記載された技術は、上記1のとおりである。なお、上記1において、上記1(1)に示した「甲1発明」を「甲1技術」と読み替える。また、上記1(4)に示した「甲14技術」を「甲14発明」と読み替える。
本件発明1と甲14発明を対比すると、両者は少なくとも、本件発明1が発明特定事項1Jを備えるのに対し、上記(1)ア(ケ)で判断したとおり甲14発明(甲14技術)は発明特定事項1Jを備えていない点で相違する。
当該相違点に係る本件発明1の発明特定事項1Jは、甲1~6及び8~11に記載も示唆もない。
また、甲14発明の施工管理システムは、構成14aによると、施工現場における撮影の進捗管理を支援するものであり、構成14iによると、カメラアイコン1001(1101a~c)の表示位置は、撮影する位置であり、また、カメラアイコン1101a~cは、壁を跨いで配置されて、壁の撮影が片面か両面かの指定を提示するものである。そのようなカメラアイコンについて、壁の両側に重ならない線で繋ぐ構成とする動機が存在しない。
よって、本件発明1は、甲14発明及び各甲号証に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
なお、特許異議申立人は、令和6年2月26日提出の意見書の3(2)エにおいて、本件発明1の発明特定事項1Jは、「建設図面上で指定された箇所と配置用データを線で繋ぐという構成である」とし、「図面上に表示するアイコンが一定の大きさを持つため、当該アイコンを図面上で移動させるとともに、当該アイコンが図面上のどの位置に特定されているかを示すために、引出線を用いるというのは、建設図面上に配置する配置用データをどう表示させるかの問題であり、当業者であれば、適宜採用しうる設計事項に過ぎないというべきである。また、建設図面に限らず、アイコンに引出線を繋げて指定した場所を特定する手法は、多く見られるものであり、ごくごく普通の表示方法に過ぎない。」と主張している。
しかし、そのような表示方法が周知の技術であったとしても、上述したとおり、甲14発明に適用する動機がない。
また、本件特許の請求項2~4は、いずれも請求項1を引用するものであり、本件発明2~4と甲14発明は、いずれも少なくとも上記相違点で相違するものであるから、本件発明2~4は、本件発明1と同様に、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
さらに、本件発明5は、本件発明1に係る発明を、システムの発明から方法の発明へと変更したものである。また、本件発明6は、本件発明1を、システムの発明からコンピュータプログラムの発明へと変更したものである。よって、本件発明5及び6は、本件発明1と同様に、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
3 取消理由1についてのまとめ
上記1及び2のとおりであるから、本件発明1~6は、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
第6 まとめ
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由(特許異議申立書に記載した特許異議申立理由)によっては、本件請求項1~6に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1~6に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2022-700860