特許異議申立
2023-701127
コンテンツ配信装置及びコンテンツ配信方法
- 審判番号
- 2023-701127
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2022-123860
- 登録番号
- 7265078
- 請求日
- 2023年10月20日
- 審決日
- 2024年12月09日
- 公報発行日
- 2025年03月28日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】MICEプラットフォーム株式会社
- 【権利者代理人】TRY国際弁理士法人
- 【権利者代理人】幸谷 泰造
- 【異議申立人】株式会社 ブイキューブ
- 【異議申立人代理人】弁理士法人創光国際特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 畑中 高行
- 審判官 木方 庸輔
- 審判官 高橋 宣博
- 分類
- P1651.111-YAA(H04N) / P1651.112-YAA(H04N) / P1651.113-YAA(H04N) / P1651.121-YAA(H04N)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第2項、特許法第29条第1項、特許法第120条の5第9項、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第1号、特許法第120条の5第4項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7265078号発明「コンテンツ配信装置及びコンテンツ配信方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7265078号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-5〕、6、7について訂正することを認める。
特許第7265078号の請求項2-5、7に係る特許を維持する。
特許第7265078号の請求項1、6に係る申立てを却下する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7265078号(以下「本件特許」という。)の請求項1~7に係る特許についての出願は、令和4年8月3日に出願され、令和5年4月17日にその特許権の設定登録がされ、同年4月25日に特許掲載公報が発行された。
本件特許についての特許異議の申立ての経緯は、以下のとおりである。
令和5年10月20日 特許異議申立人 株式会社ブイキューブによる
特許異議の申立て
令和6年 1月12日付け 取消理由の通知
同年 3月15日 特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
同年 6月18日付け 特許異議申立人に対する1回目の審尋
同年 7月11日 特許異議申立人による回答書及び意見書の提出
同年 8月 9日付け 特許異議申立人に対する2回目の審尋
そして、特許異議申立人に対する2回目の審尋に対して、指定した期間内に応答はなかった。
第2 訂正の適否
1 請求の趣旨及び訂正の内容
本件特許に対する訂正請求書による訂正の請求の趣旨は、本件特許の願書に添付した特許請求の範囲を、当該訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~7に訂正することを求めるものであって、その訂正の内容は次のとおりである。
なお、下線は、訂正箇所を示すために当審にて付した。
(1)請求項1に係る訂正(訂正事項1-1)
特許請求の範囲の請求項1を削除する。
(2)請求項2に係る訂正(訂正事項2-1)
特許請求の範囲の請求項2に
「コンテンツにアクセスするためのアクセス情報として、前記コンテンツを視聴するユーザ毎に生成される特定アクセス情報を管理する管理部と、
前記特定アクセス情報に対するアクセスに応じて、前記コンテンツを送信する送信部と、を備え、
前記管理部は、前記コンテンツを視聴するユーザの識別情報と対応付けて、前記特定アクセス情報を管理し、
前記管理部は、前記特定アクセス情報を利用するか否かに関する設定を管理する、コンテンツ配信装置。」と記載されているのを、
「コンテンツにアクセスするためのアクセス情報として、前記コンテンツを視聴するユーザ毎に生成される特定アクセス情報を管理する管理部と、
前記特定アクセス情報に対するアクセスに応じて、前記コンテンツを送信する送信部と、を備え、
前記管理部は、前記コンテンツを視聴するユーザの識別情報と対応付けて、前記特定アクセス情報を管理し、
前記管理部は、前記特定アクセス情報を利用するか否かに関する設定を管理し、
前記特定アクセス情報を利用しない設定が管理される場合において、前記コンテンツは、前記ユーザ毎に生成されないアクセス情報に対するアクセスによって視聴される、コンテンツ配信装置。」に訂正する。
(3)請求項3に係る訂正(訂正事項3-1)
特許請求の範囲の請求項3に「請求項1又は請求項2に記載のコンテンツ配信装置」と記載されているのを、「請求項2に記載のコンテンツ配信装置」に訂正する。
(4)請求項4に係る訂正(訂正事項3-2)
特許請求の範囲の請求項4に「請求項1又は請求項2に記載のコンテンツ配信装置」と記載されているのを、「請求項2に記載のコンテンツ配信装置」に訂正する。
(5)請求項5に係る訂正(訂正事項3-3)
特許請求の範囲の請求項5に「請求項1又は請求項2に記載のコンテンツ配信装置」と記載されているのを、「請求項2に記載のコンテンツ配信装置」に訂正する。
(6)請求項6に係る訂正(訂正事項1-2)
特許請求の範囲の請求項6を削除する。
(7)請求項7に係る訂正(訂正事項2-2)
特許請求の範囲の請求項7に
「コンテンツにアクセスするためのアクセス情報として、前記コンテンツを視聴するユーザ毎に生成される特定アクセス情報を管理するステップAと、
前記特定アクセス情報に対するアクセスに応じて、前記コンテンツを送信するステップBと、を備え、
前記ステップAは、前記コンテンツを視聴するユーザの識別情報と対応付けて、前記特定アクセス情報を管理するステップと、前記特定アクセス情報を利用するか否かに関する設定を管理するステップと、を含む、コンテンツ配信方法。」と記載されているのを、
「コンテンツにアクセスするためのアクセス情報として、前記コンテンツを視聴するユーザ毎に生成される特定アクセス情報を管理するステップAと、
前記特定アクセス情報に対するアクセスに応じて、前記コンテンツを送信するステップBと、を備え、
前記ステップAは、前記コンテンツを視聴するユーザの識別情報と対応付けて、前記特定アクセス情報を管理するステップと、前記特定アクセス情報を利用するか否かに関する設定を管理するステップと、を含み、
前記特定アクセス情報を利用しない設定が管理される場合において、前記コンテンツは、前記ユーザ毎に生成されないアクセス情報に対するアクセスによって視聴される、コンテンツ配信方法。」に訂正する。
2 訂正の適否についての判断
(1)一群の請求項について
訂正前の請求項3~5は、訂正前の請求項1又は2を引用しており、請求項1又は2の訂正に連動して訂正されるものであるから、請求項1~5は、特許法第120条の5第4項に規定する「一群の請求項」に該当する。
(2)一群の請求項である請求項1~5に係る訂正について
ア 請求項1に係る訂正(訂正事項1-1)について
(ア)訂正の目的
訂正事項1-1は、上記1(1)で示したとおり、請求項1の削除であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とし、同項の規定に適合する。
(イ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項1-1は、請求項1の削除であるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることは明らかである。
よって、訂正事項1-1は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。
(ウ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項1-1は、請求項1の削除であるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかである。
よって、訂正事項1-1は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。
イ 請求項2に係る訂正(訂正事項2-1)について
(ア)訂正の目的
請求項2に係る訂正(訂正事項2-1)は、上記1(2)で示したとおり、訂正前の請求項2に、「前記特定アクセス情報を利用しない設定が管理される場合において、前記コンテンツは、前記ユーザ毎に生成されないアクセス情報に対するアクセスによって視聴される、」との特定を追加するものである。
一方で、訂正前の請求項2の「管理部」は、「前記コンテンツを視聴するユーザの識別情報と対応付けて、前記特定アクセス情報を管理し」、「前記特定アクセス情報を利用するか否かに関する設定を管理する」ものであるから、訂正前の請求項2の管理部において、コンテンツを視聴するユーザを管理するものであり、特定アクセス情報を利用する場合と利用しない場合が設定できるものと認められる。
そうすると、訂正事項2-1は、管理部における管理において、特定アクセス情報を利用しない設定の場合に、前記コンテンツを視聴するユーザに係る管理について、「前記ユーザ毎に生成されないアクセス情報に対するアクセスによって視聴される」ように管理するものへ減縮する訂正と言える。
よって、訂正事項2-1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とし、同項の規定に適合する。
(イ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
願書に添付した明細書には、次の記載がある。
「【0053】
特に限定されるものではないが、ランダムURLが利用されないケースでは、コンテンツのURL(図3で例示したケースでは、”https://pppp/qqqq/video”)に対するアクセスによってコンテンツが視聴されてもよい。但し、このようなケースにおいては、コンテンツの視聴者を特定できないことが許容されてもよい。」
この記載によれば、コンテンツを視聴するユーザに係る管理について、明細書の「ランダムURLが利用されないケース」において「コンテンツのURL(…)に対応するアクセスによってコンテンツが視聴される」との動作は、訂正事項2-1の「特定アクセス情報を利用しない設定が管理される場合」において「ユーザ毎に生成されないアクセス情報に対するアクセスによって視聴される」との動作に相当する。
そうすると、訂正事項2-1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内であると言える。
よって、訂正事項2-1は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。
(ウ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項2-1は、上記(イ)のとおり、特許請求の範囲の請求項2を減縮する訂正であり、かつ、明細書又は図面を訂正するものでもないから、実質上特許請求の範囲を拡張、又は変更するものではないと言える。
よって、訂正事項2-1は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。
ウ 請求項3に係る訂正(訂正事項3-1)について
(ア)訂正の目的
訂正事項3-1は、訂正事項1-1により請求項1が削除されたことに伴い、引用する請求項(請求項1又は2)から削除された請求項(請求項1)を削除する訂正であり、択一的記載の要素を削除する訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とし、同項の規定に適合する。
(イ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項3-1は、訂正事項1-1により請求項1が削除されたことに伴い、引用する請求項から削除された請求項を削除する訂正であり、択一的記載の要素を削除する訂正であるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることは明らかである。
よって、訂正事項3-1は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。
(ウ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項3-1は、訂正事項1-1により請求項1が削除されたことに伴い、引用する請求項から削除された請求項を削除する訂正であり、択一的記載の要素を削除する訂正であるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかである。
よって、訂正事項3-1は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。
エ 請求項4に係る訂正(訂正事項3-2)について
請求項4に係る訂正(訂正事項3-2)は、上記ウの請求項3に係る訂正(訂正事項3-1)と同様に、訂正事項1-1により請求項1が削除されたことに伴い、引用する請求項から削除された請求項を削除する訂正であり、択一的記載の要素を削除する訂正であるから、
・上記ウ(ア)と同様に、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするから、同項の規定に適合し、
・上記ウ(イ)と同様に、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるから、同条第9項で準用する同法第126条第5項に適合し、
・上記ウ(ウ)と同様に、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないから、同法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。
オ 請求項5に係る訂正(訂正事項3-3)について
請求項5に係る訂正(訂正事項3-3)は、上記ウの請求項3に係る訂正(訂正事項3-1)と同様に、訂正事項1-1により請求項1が削除されたことに伴い、引用する請求項から削除された請求項を削除する訂正であり、択一的記載の要素を削除する訂正であるから、
・上記ウ(ア)と同様に、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするから、同項の規定に適合し、
・上記ウ(イ)と同様に、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるから、同条第9項で準用する同法第126条第5項に適合し、
・上記ウ(ウ)と同様に、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないから、同法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。
(3)請求項6に係る訂正(訂正事項1-2)について
請求項6に係る訂正(訂正事項1-2)は、上記1(6)で示したとおり、請求項6の削除であるから、上記(2)アの請求項1に係る訂正(訂正事項1-1)と同様に、
・特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするから、同項の規定に適合し、
・願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることは明らかであるから、同条第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合し、
・実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかであるから、同法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。
(4)請求項7に係る訂正(訂正事項2-2)について
請求項7に係る訂正(訂正事項2-2)は、上記1(7)で示したとおり、請求項1に係る訂正と同様の訂正であるから、上記(2)イの請求項2に係る訂正(訂正事項2-1)と同様に、
・特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするから、同項の規定に適合し、
・願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるから、同条第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合し、
・実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないから、同法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。
(5)訂正の適否についてのまとめ
上記(1)~(4)のとおり、訂正請求書の訂正事項1-1~3-2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、並びに、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、本件特許の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~5〕、6、7に訂正することを認める。
第3 本件特許発明
本件特許の請求項1~7に係る発明は、訂正請求書により訂正された特許請求の範囲の請求項1~7に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。なお、当審において請求項2を(A)~(F)に分説した。また、当該(A)~(F)に係る発明特定事項を、以下それぞれ「発明特定事項A」~「発明特定事項F」という。
また、本件特許に係る発明を「本件特許発明」といい、本件特許の請求項1~7に係る発明を以下それぞれ「本件特許発明1」~「本件特許発明7」という。
【請求項1】(削除)
【請求項2】
(A) コンテンツにアクセスするためのアクセス情報として、前記コンテンツを視聴するユーザ毎に生成される特定アクセス情報を管理する管理部と、
(B) 前記特定アクセス情報に対するアクセスに応じて、前記コンテンツを送信する送信部と、を備え、
(C) 前記管理部は、前記コンテンツを視聴するユーザの識別情報と対応付けて、前記特定アクセス情報を管理し、
(D) 前記管理部は、前記特定アクセス情報を利用するか否かに関する設定を管理し、
(E) 前記特定アクセス情報を利用しない設定が管理される場合において、前記コンテンツは、前記ユーザ毎に生成されないアクセス情報に対するアクセスによって視聴される、
(F)コンテンツ配信装置。
【請求項3】
前記ユーザの識別情報を受信する受信部と、
前記ユーザの識別情報の受信に応じて、前記特定アクセス情報を生成する制御部と、を備える、請求項2に記載のコンテンツ配信装置。
【請求項4】
前記管理部は、前記特定アクセス情報に対するアクセスで一時的に用いるパスワードの入力を求めるか否かに関する設定を管理する、請求項2に記載のコンテンツ配信装置。
【請求項5】
前記管理部は、前記特定アクセス情報を用いた前記コンテンツの視聴を許容する期間に関する設定を管理する、請求項2に記載のコンテンツ配信装置。
【請求項6】(削除)
【請求項7】
コンテンツにアクセスするためのアクセス情報として、前記コンテンツを視聴するユーザ毎に生成される特定アクセス情報を管理するステップAと、
前記特定アクセス情報に対するアクセスに応じて、前記コンテンツを送信するステップBと、を備え、
前記ステップAは、前記コンテンツを視聴するユーザの識別情報と対応付けて、前記特定アクセス情報を管理するステップと、前記特定アクセス情報を利用するか否かに関する設定を管理するステップと、を含み、
前記特定アクセス情報を利用しない設定が管理される場合において、前記コンテンツは、前記ユーザ毎に生成されないアクセス情報に対するアクセスによって視聴される、コンテンツ配信方法。
第4 取消理由通知に記載した取消理由の概要
令和6年1月12日付け取消理由通知書で特許権者に通知した取消理由の概要は、次のとおりである。
ここで、本件特許に対する特許異議申立書における甲第1号証~甲第7号証、同年6月18日付けの審尋(1回目)に応答した同年7月11日の特許異議申立人による回答書に添付された甲第8号証及び甲第9号証を、以下それぞれ「甲1」~「甲9」という。
・取消理由1(新規性)本件特許の下記の請求項に係る発明は、下記の点でその出願前に日本国内又は外国において公然知られた発明であり、公然実施をされた発明であり、又は、頒布された下記の刊行物に記載された発明もしくは電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明である。よって、特許法第29条第1項第1~3号に該当するから、同項の規定に違反して特許されたものである。
・取消理由2(進歩性)本件特許の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において公然知られた発明、公然実施をされた発明、又は、頒布された下記の刊行物に記載された発明もしくは電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものである。
記
<各甲号証>
・甲1: 「ライブ配信ツール「A-Liveプラットフォーム」が経済産業省「IT導入補助金2021」対象ツールに認定」、プレスリリース・ニュースリリース配信サービス「PR TIMES」、株式会社PR TIMES、[online]、掲載日:令和3年8月31日、検索日:令和5年12月1日、インターネット<URL:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000226.000023821.html>
・甲2: 「A-Live(デモ環境)操作方法ドキュメント」(最終更新日2022/03/10)
・甲5: 特開2022-38650号公報
・甲6: 特開2010-81265号公報
・甲7: 特開2022-56882号公報
<各取消理由における各項号証と各請求項の関係について>
・取消理由1(新規性)
(1)甲2に基づいて 請求項1,2,6及び7
・取消理由2(進歩性)
(1)甲5及び甲2に基づいて 請求項1,2及び5~7
(2)甲5,甲2及び甲6に基づいて 請求項3
(3)甲5,甲2及び甲7に基づいて 請求項4
第5 取消理由通知に記載した取消理由についての当審の判断
上記「第4」の取消理由1及び2について検討する。
1 各甲号証の記載
(1)甲1の記載と、甲1に記載された発明(甲1発明)
ア 甲1の記載
甲1には以下の記載がある。
(ア)第1頁第1~6行
「ライブ配信ツール「A-Liveプラットフォーム」が経済産業省「IT導入補助金2021」対象ツールに認定
ユナイテッド株式会社
・2021年8月31日 11時30分
ユナイテッド株式会社(本社:…(略)…)の連結子会社である、株式会社ブリューアス(…(略)…、以下「ブリューアス」)は、…(略)」
(イ)第1頁第10~20行
「【ライブ配信ツール「A-Liveプラットフォーム」とは】
ブリューアスが提供する、高品質・低遅延なライブ配信を手軽に、届けたい視聴者だけに届けることを可能とするライブ配信プラットフォームです。従来対面で行っていた営業や教育、講演、興行などの開催が困難な状況の中で、本ツールはインターネットを使ったライブ配信の他に、配信に必要となるさまざまな機能を備えており、企業はより簡単にライブ配信を導入することができます。
提供する機能としては、
・映像および音声を配信する配信機能
・映像および音声を閲覧する視聴機能
・配信者と視聴者がチャットやアンケートなどを通じてコミュニケーションを取れる機能
・ライブ配信イベントを管理するための管理機能
これら全ての機能をWebブラウザ上で提供しています。」
(ウ)第2頁第1~3行
「(略)…本システムでは視聴者は専用アプリの導入や会員登録など一切することがなく、Webブラウザ上で視聴者ごとに個別に発行された専用視聴URLからアクセスするだけで視聴することができます。また、既存システムとのAPI連携することでライブ配信のイベントの作成や視聴用URLの生成をシームレスに実行することが可能です。」
(エ)第2頁第7~16行
「■「A-Liveプラットフォーム」サービス詳細:
https://…(略)…
【主な特徴】
・視聴者は事前準備一切不要!専用URLにアクセスするだけですぐにライブ配信の視聴開始
・配信イベントは管理画面から簡単に作成し、すぐに配信可能
・高品質、低遅延なライブ配信環境を提供
・視聴者毎に個別のURLを生成、1つのURLで同時アクセスを1端末に制限し不正アクセスを防ぐ
・複数端末からの配信、大規模視聴にも対応
・メッセージチャット、アンケート、クイズなどの機能を標準装備し、利用目的に合わせて専用環境のカスタマイズ相談が可能」
イ 甲1に記載された発明(甲1発明)
甲1は、その書誌事項から、電気通信回線上のサイトとして、株式会社PR TIMESが運営するプレスリリース・ニュースリリース配信サービス「PR TIMES」を通じて配信された記事であり、上記ア(ア)の記載から、この記事は令和3年(2021年)8月31日に掲載された記事であると認められる。
上記ア(イ)の記載によれば、「A-Liveプラットフォーム」は、株式会社ブリューアスが提供する、ライブ配信ツールである。また、「A-Liveプラットフォーム」は、「映像および音声を閲覧する視聴機能」及び「ライブ配信イベントを管理するための管理機能」を「Webブラウザ上で提供」する。
上記アの(ウ)及び(エ)の記載によれば、「A-Liveプラットフォーム」は、視聴者ごとに個別に専用視聴URLを発行する。そして、視聴者は、専用視聴URLにアクセスしてライブ配信の視聴を開始する。
上記ア(エ)の記載によれば、「A-Liveプラットフォーム」は、「視聴者毎に個別のURLを生成」することで「1つのURLで同時アクセスを1端末に制限し不正アクセスを防ぐ」。
よって、甲1には以下の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されている。
(甲1発明)
「映像および音声を閲覧する視聴機能、及びライブ配信イベントを管理するための管理機能をWebブラウザ上で提供し、
Webブラウザ上で視聴者ごとに個別に専用視聴URLを発行し、
視聴者は、専用視聴URLにアクセスしてライブ配信の視聴を開始し、
視聴者毎に個別のURLを生成することで1つのURLで同時アクセスを1端末に制限し不正アクセスを防ぐ、
ライブ配信ツール『A-Liveプラットフォーム』。」
(2)甲2の記載と、甲2に記載された発明(甲2発明)
ア 甲2の記載
甲2には以下の記載がある。なお、下線は、強調のために当審にて付した。
(ア)第1頁第1~2行
「A-Live(デモ環境)操作方法ドキュメント
最新更新日付 2022/03/10」
(イ)第3頁第3行~第4頁第6行
「■イベント
イベントページでは作成されたイベント一覧を確認することができます。
イベント一覧には、作成したイベントID、イベント名、ステータス、実施予定日、発行URL数(視聴用URL)の情報が記載されます。
・イベントの新規作成
イベントページ右上にある「新規作成」ボタンからイベントの新規作成を行うことができます。
イベント名(必須)とイベントの概要(任意)、開催予定日時(必須)の他、「1URL1端末制限(必須)」と「視聴入出許可時間」の選択を行い、「登録」ボタンを押してください。
※1URL1端末制限機能とは
1URL1端末制限では、発行されたURLに対しての接続優先順位を設定することができます。また、デフォルト設定では1URLに接続できる端末は1端末のみの設定となっていますが、複数端末からの重複アクセスの許可設定を行うことも可能です。」
イ 甲2に記載された発明(甲2発明)
上記ア(イ)の記載を勘案すれば、「A-Live(デモ環境)」は、コンピュータ上で動作するソフトウェアであることが読み取れる。
そうすると、上記ア(ア)の記載から、甲2は、「A-Live(デモ環境)」と呼称されるソフトウェアに係る操作方法を記した文書であるといえる。
よって、甲2には以下の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されているといえる。
(甲2発明)
「作成されたイベント一覧を確認することができ、
イベント一覧には、視聴用URLが記載され、
デフォルト設定では1URLに接続できる端末は1端末のみの設定であり、複数端末からの重複アクセスの許可設定を行うことも可能である、
『A-Live(デモ環境)』と呼称されるソフトウェア。」
ウ 甲2が特許法第29条第1項の各号に該当するか否かについて
特許異議申立人は、特許異議申立書と共に以下の甲3及び甲4を提出し、回答書と共に甲8及び甲9を提出した。
甲3、4、8及び9には、以下の記載がある。
(ア)甲3:「A-Live(デモ環境)操作方法ドキュメント」更新履歴
甲3には以下の記載がある。なお、甲3において見え消し線のある文字は、当該文字を▲と▼の間に記載することで代用している。
「A-Live(デモ環境)操作方法ドキュメント
最終更新日付 202▲1▼2/0▲9▼3/10」(左欄第1~2行)
よって、甲3は、甲2である「A-Live(デモ環境)操作方法ドキュメント」の更新履歴を示す文書であると認められる。そして、最新更新日付が2022/03/10、すなわち、令和4年3月10日であることが読み取れる。
そうすると、甲3によって以下の事項(以下「甲3記載事項」という。)が示されるといえる。
(甲3記載事項)
「『A-Live(デモ環境)操作方法ドキュメント』の更新履歴であって、
最新更新日付が令和4年3月10日であることを示す、文書。」
(イ)甲9:「A-Live(デモ環境)操作方法ドキュメント」更新履歴
「A-Live(デモ環境)操作方法ドキュメント」である甲2の更新履歴を示す文書における記載として、令和6年6月18日付け審尋(1回目)に応答した同年7月11日の特許異議申立人による回答書に添付した甲9には、以下の記載がある。
「docs.google.com/document/d/1AlEVjTtNfgnb5O-GMa-xboXJ73Nx8u6OSJXStN10N-A/edit」(第2行)
「変更履歴
すべての版
2022年3月
> 2022年3月10日、11:22
現在の版」(右欄第1~5行)
上述の記載から、甲9は、グーグル社の電子ファイル共有サービスであるグーグルドキュメント上に「docs.google.com/document/d/1AlEVjTtNfgnb5O-GMa-xboXJ73Nx8u6OSJXStN10N-A/edit」として保存されている、甲2に係る電子ファイル「A-Live(デモ環境)操作方法ドキュメント」の更新履歴を示す文書であると認められる。そして、最新更新日付が2022/03/10、すなわち、令和4年3月10日であることが読み取れる。
そうすると、甲9によって以下の事項(以下「甲9記載事項」という。)が示されるといえる。
(甲9記載事項)
「グーグル社の電子ファイル共有サービスであるグーグルドキュメント上に置かれた電子ファイル『A-Live(デモ環境)操作方法ドキュメント』の更新履歴であって、
最新更新日付が令和4年3月10日であることを示す、文書。」
(ウ)甲4:「A-Live(デモ環境)操作方法ドキュメント」送付記録
「A-Live(デモ環境)操作方法ドキュメント」である甲2の送付記録を示す文書における記載として、甲4には以下の記載がある。
なお、以下の記載の記号「■」は、黒塗り等で読みとれないことを表す。以下同様。
「吉澤■■―@brewus.co.jp>
To ■■
お世話になっております。ブリューアスの吉澤です。
お待たせしておりました、A-Liveプラットフォームドキュメント最新版の
更新が完了いたしましたのでご査収ください。
https://docs.google.com/document/d/1AlEVjTtNfgnb5O-GMa-xboXJ73Nx8u6OSJXStN10N-A/edit?usp=sharing」(第1~6行)
「2022年3月10日(木)11:29」(右上欄)
ここで、「吉澤■■―@brewus.co.jp>」及び「To ■■」と記載されているから、甲4は、電子メール送付のための文書を示すものである。
また、「A-Liveプラットフォームドキュメント最新版」と呼称されている、上記甲4の記載のURLによってアクセスできるファイルを、令和5年12月1日現在において確認すると、甲2の「A-Live(デモ環境)操作方法ドキュメント(最新更新日付2022/03/10)」と同一の内容であるファイルを閲覧することができた。よって、甲4の「A-Liveプラットフォームドキュメント最新版」は、甲2の文書「A-Live(デモ環境)操作方法ドキュメント(最新更新日付2022/03/10)」である。
また、甲4には「ブリューアスの吉澤です」との記載があり、「ブリューアス」は、上記甲1の記載のとおり、「A-Liveプラットフォーム」を提供する株式会社である。そうすると、甲4は、株式会社ブリューアスの従業員が作成した文書であることが読み取れる。
よって、上記の記載から、甲4には以下の事項(以下「甲4記載事項」という。)が記載されているといえる。
(甲4記載事項)
「『A-Liveプラットフォームドキュメント最新版』と呼称される、
『A-Live(デモ環境)操作方法ドキュメント(最新更新日付2022/03/10)』を
2022年3月10日に電子メールにて送付するために、
株式会社ブリューアスの吉澤が作成した、文書。」
(エ)甲8:「A-Live(デモ環境)操作方法ドキュメント」送付記録
「A-Live(デモ環境)操作方法ドキュメント」である甲2の送付記録を示す文書における記載として、令和6年6月18日付け審尋(1回目)に応答した同年7月11日の特許異議申立人による回答書に添付した甲8には、以下の記載がある。
「吉澤■ <■[email protected]>
To:“上坂■(uesaka ■)”<■[email protected]>
Cc: (略)
ヒビノ
上坂様
お世話になっております。ブリューアスの吉澤です。
お待たせしておりました、A-Liveプラットフォームドキュメント最新版の
更新が完了いたしましたのでご査収ください。
https://docs.google.com/document/d/1AlEVjTtNfgnb5O-GMa-xboXJ73Nx8u6OSJXStN10N-A/edit?usp=sharing」(第1~10行)
「2022年3月10日(木)11:29」(右上欄)
ここで、「吉澤■ <■[email protected]>」及び「To:“上坂■(uesaka■)”<■[email protected]>」と記載されているから、甲9は、電子メール送付のための文書を示すものである。
また、「A-Liveプラットフォームドキュメント最新版」と呼称されている、上記甲8に記載のURLは、甲4に記載のURLと同一であり、当該URLによりアクセスできるファイルを、令和5年12月1日現在において確認したところ、甲2の「A-Live(デモ環境)操作方法ドキュメント(最新更新日付2022/03/10)」と同一の内容であるファイルを閲覧することができた。よって、甲4の「A-Liveプラットフォームドキュメント最新版」は、甲2の文書「A-Live(デモ環境)操作方法ドキュメント(最新更新日付2022/03/10)」である。
また、甲8には「ブリューアスの吉澤です」との記載があり、「ブリューアス」は、上記甲1の記載のとおり、「A-Liveプラットフォーム」を提供する株式会社である。そうすると、甲8は、株式会社ブリューアスの従業員が作成した文書であることが読み取れる。
そして、甲8には「To:“上坂■(uesaka ■)”<■[email protected]>」及び「ヒビノ 上坂様」との記載があり、「@hibino.co.jp」の記載から、「hibino.co.jp」というドメインを所有する「ヒビノ」の「上坂」に宛てたメールであることが読み取れる。
よって、上記の記載から、甲8には以下の事項(以下「甲8記載事項」という。)が記載されているといえる。
(甲8記載事項)
「『A-Liveプラットフォームドキュメント最新版』と呼称される、
『A-Live(デモ環境)操作方法ドキュメント(最新更新日付2022/03/10)』を
2022年3月10日に電子メールにて送付するために、
株式会社ブリューアスの吉澤が作成し、ヒビノの上坂に宛てたメールの、文書。」
(3)甲5の記載と、甲5に記載された発明(甲5発明)
ア 甲5の記載
甲5には以下の記載がある。
「【0021】
[1]概要
本実施形態の情報配信システムは、複数のユーザの端末に、イベントのデータを配信する処理を行うシステムに関する。「イベント」とは、インターネットを介して行われるオンラインイベント、オンラインセミナー、個別相談、等である。また、「イベントのデータ」とは、イベントに関する動画データ、発話データ、音声データ、映像データ、画面データ等である。」
「【0076】
[5]受付宛先の生成
サーバ10は、ユーザの端末からイベントの参加要求情報を受け付けた場合に、当該イベントに参加するための受付宛先を生成する。受付宛先は、オンラインでイベント(オンラインセミナー及び個別相談)を行うためのURLである。なお、URLは、Uniform Resource Locatorの略である。」
「【0078】
また、本実施形態では、受付宛先にユーザID(ユーザの識別情報)や担当者ID(担当者の識別情報)が含まれるようにし、ユーザ毎に固有の受付宛先を生成する。このようにすれば、サーバ10は、受付宛先が選択(クリック)された場合に、どのユーザからのアクセスであるのか、そして、当該ユーザの担当者を特定することができる。」
「【0106】
(前略)…なお、相談会の期間(例えば、20分)を予め決め、オンラインセミナーの動画データの配信終了条件を満たした時点T2から当該相談会の期間の終了時が到来した場合や、イベントの終了時刻T3が到来した場合に、個別相談の動画データの配信を終了してもよい。」
イ 甲5に記載された発明(甲5発明)
上記アによれば、甲5には以下の発明(以下「甲5発明」という。)が記載されている。
また、甲5発明を当審にて5a~5fに分説した。以下それぞれ「発明特定事項5a」~「発明特定事項5f」と言う。
なお、各発明特定事項の末尾に、甲5における記載箇所を( )内に示した。
(甲5発明)
「(5a) 複数のユーザの端末に、イベントのデータを配信する処理を行うシステム(【0021】)であって、
(5b) サーバ10は、ユーザの端末からイベントの参加要求情報を受け付けた場合に、当該イベントに参加するための受付宛先を生成(【0076】)し、
(5c) 受付宛先は、オンラインでイベントを行うためのURLであり(【0076】)、
(5d) ユーザ毎に固有の受付宛先が生成(【0078】)され、
(5e) サーバ10は、受付宛先が選択された場合に、どのユーザからのアクセスであるのかを特定し(【0078】)、
(5f) 相談会の期間を予め決め、個別相談の動画データの配信を終了する(【0106】)
(5a)情報配信システム(【0021】)。」
(4)甲6の記載と、甲6に記載された事項(甲6記載事項)
ア 甲6の記載
甲6には以下の記載がある。
「【0049】
図9は、クライアント2又は3のユーザが会議への参加を求める場合に、サーバ1で実行される処理を示すフローチャートである。
【0050】
まず、通信制御部がユーザIDを受信すると(ステップS11)、ユーザ管理部69は、図6のユーザ情報管理テーブルに受信したユーザIDが登録されているか否かを判別する(ステップS12)。即ち、ユーザ管理部69ではユーザ認証が実行されている。」
イ 甲6に記載された事項(甲6記載事項)
上記アによれば、甲6には以下の事項(以下「甲6記載事項」という。)が記載されている。
(甲6記載事項)
「ユーザが会議への参加を求める場合に、
通信制御部がユーザIDを受信すると、受信したユーザIDが登録されているか否かを判別することで、ユーザ認証が実行される。」
(5)甲7の記載と、甲7に記載された事項(甲7記載事項)
ア 甲7の記載
甲7には以下の記載がある。
「【0035】
なお、本実施の形態では、ルーム名をAAとしているが、これに限定されるものではなく、クイックミーティングやワンタイムルームなど他のルーム名であってもよい。また、ここでのルーム名は、主催者のルーム作成の工数低減を目的として、デフォルトで設定されている。また、パスワードは、セキュアな環境を保持するために「ワンタイムルーム」のルームを作成する際、自動的に設定されている。…(後略)」
イ 甲7に記載された事項(甲7記載事項)
上記アによれば、甲7には以下の事項(以下「甲7記載事項」という。)が記載されている。
(甲7記載事項)
「セキュアな環境を保持するために「ワンタイムルーム」のルームを作成する際、パスワードは、自動的に設定されている。」
2 甲2発明が特許法第29条第1項の各号に該当するか否かの判断
特許法第29条第1項は「産業上利用することができる発明をした者は、次に掲げる発明を除き、その発明について特許を受けることができる。」と規定しており、同項の第1~3号として、以下のように掲げている。
・第1号 特許出願前に日本国内又は外国において公然知られた発明
・第2号 特許出願前に日本国内又は外国において公然実施をされた発明
・第3号 特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明
ここで、同項第3号において「又は」の前後に記載されている事項は、以下のように分けて書き下すことができる。
・第3号前段 特許出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された発明
・第3号後段 特許出願前に日本国内又は外国において電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明
つまり、同項の規定は、第1号、第2号、第3号前段又は第3号後段のいずれかに該当する発明は、特許を受けることができないとする規定である。
そこで、甲2発明が上述のいずれかの発明に該当するかについて、以下に検討する。
まず、甲2は刊行物ではないので、甲2発明が特許出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された発明(特許法第29条第1項第3号前段)でないことは、明らかである。
そして、甲2については、甲3記載事項及び甲9記載事項から、「グーグル社の電子ファイル共有サービスであるグーグルドキュメント上に置かれた電子ファイル『A-Live(デモ環境)操作方法ドキュメント』であって、最新更新日付が令和4年3月10日であることを示す、文書。」であることが示されている。
また、甲4記載事項及び甲8記載事項から、「『A-Liveプラットフォームドキュメント最新版』と呼称される、『A-Live(デモ環境)操作方法ドキュメント(最新更新日付2022/03/10)』を2022年3月10日に電子メールにて送付するために、株式会社ブリューアスの吉澤が作成し、ヒビノの上坂に宛てたメールの、文書」であることが示されている。
ここで、グーグル社の電子ファイル共有サービスであるグーグルドキュメントの仕様を確認すると、グーグルドキュメント上に置かれた電子ファイルは、それぞれ公開レベルを設定することが可能であり、公開レベルとして、公衆による検索の対象とすることができるか否かを選択できるものである。
そうすると、甲3記載事項、甲4記載事項、甲8記載事項及び甲9記載事項からは、甲2の公開レベル、すなわち、公衆による検索の対象となる設定であったことが示されていないから、甲2が「電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明」(特許法第29条第1項第3号後段)に該当することは、示されていない。
また、甲4記載事項及び甲8記載事項から、当該電子メールが株式会社ブリューアスから、ヒビノに対して送付されていることは示されているものの、「ヒビノ」が株式会社ブリューアスと共同開発者などの関係にないこと、即ち実質的に社外であること、または「ヒビノ」に守秘義務が課せられていなかったことは、示されていない。
そうすると、甲2発明は、特許出願前に日本国内又は外国において「公然知られた発明」(特許法第29条第1項第1号)、「公然実施をされた発明」(同項第2号)または「電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明」(同項第3号後段)であることは示されていない。
よって、甲2発明は、特許法第29条第1項の各号に掲げる発明に該当しないから、本件特許について、同項の規定により、甲2発明に基づいて特許を受けることができないとすることはできない。
なお、同様に、本件特許について、同条第2項の規定により、甲2発明に基づいて特許を受けることができないとすることはできない。
3 甲5発明と本件特許発明2~5及び7との対比・判断
(1)甲5発明と本件特許発明2について
ア 対比(甲5発明と本件特許発明2)
(ア)発明特定事項A及び発明特定事項F
甲5発明は、発明特定事項5aによれば「複数のユーザの端末に、イベントのデータを配信する処理を行う」「情報配信システム」であって、発明特定事項5bによれば「サーバ10は、ユーザの端末からイベントの参加要求情報を受け付けた場合に、当該イベントに参加するための受付宛先を生成」し、発明特定事項5cによれば「受付宛先は、オンラインでイベントを行うためのURL」である。
ここで、甲5発明の「情報配信システム」、「受付宛先」は、それぞれ本件特許発明1の「コンテンツ配信装置」、「特定アクセス情報」に相当する。
また、甲5発明の「サーバ10」は、発明特定事項5eによれば「受付宛先が選択された場合に、どのユーザからのアクセスであるのかを特定する」ものであるから、本件特許発明1の発明特定事項Aの「特定アクセス情報を管理する管理部」に相当する。
そして、甲5発明の発明特定事項5aである「情報配信システム」は、下記(エ)及び(オ)で示す相違点を除いて、本件特許発明1の発明特定事項Fである「コンテンツ配信装置」に相当する。
(イ)発明特定事項B
甲5発明である情報配信システムは、発明特定事項5aによれば「複数のユーザの端末に、イベントのデータを配信する処理を行うシステム」であり、発明特定事項5dによれば「ユーザ毎に固有の受付宛先が生成」され、発明特定事項5eによれば「サーバ10」が「受付宛先が選択された場合に、どのユーザからのアクセスであるのかを特定する」ものである。
ここで、甲5発明の「ユーザ毎に固有の受付宛先」は、本件特許発明1の「特定アクセス情報」に相当する。
そして、甲5発明の情報配信システムは、「受付宛先」に応じて「ユーザ」を「特定」し、情報を配信するシステムであると認められる。
よって、甲5発明の発明特定事項5aである「情報配信システム」において発明特定事項5d及び5eを実施する構成は、本件特許発明1の発明特定事項Bである「前記特定アクセス情報に対するアクセスに応じて、前記コンテンツを送信する送信部」に相当する。
(ウ)発明特定事項C
甲5発明である情報配信システムは、上記(イ)のとおり、「特定アクセス情報に対するアクセス」に応じて「コンテンツを送信する」ものであるから、「特定アクセス情報」を管理する構成を備えるシステムであると認められる。
よって、甲5発明の情報配信システムは、本件特許発明1の発明特定事項Cである「前記管理部は、前記コンテンツを視聴するユーザの識別情報と対応付けて、前記特定アクセス情報を管理」する構成を備えるシステムであると認められる。
(エ)発明特定事項D
本件特許発明1は、発明特定事項Dである「前記管理部は、前記特定アクセス情報を利用するか否かに関する設定を管理」する構成を備えるものであるが、甲5発明には、そのような構成がない点で相違する。
(オ)発明特定事項E
本件特許発明1は、発明特定事項Dである「前記特定アクセス情報を利用しない設定が管理される場合において、前記コンテンツは、前記ユーザ毎に生成されないアクセス情報に対するアクセスによって視聴される」構成を備えるものであるが、甲5発明には、そのような構成がない点で相違する。
(カ)一致点・相違点
上記(ア)~(オ)のとおりであるから、甲1発明と本件特許発明2は、以下の一致点で一致し、以下の相違点1~3で相違する。
(一致点)
(1A) コンテンツにアクセスするためのアクセス情報として、前記コンテンツを視聴するユーザ毎に生成される特定アクセス情報を管理する管理部と、
(1B) 前記特定アクセス情報に対するアクセスに応じて、前記コンテンツを送信する送信部と、を備え、
(1C) 前記管理部は、前記コンテンツを視聴するユーザの識別情報と対応付けて、前記特定アクセス情報を管理する
(1F)コンテンツ配信装置。
(相違点)
(相違点1)本件特許発明1は発明特定事項Dである「前記管理部は、前記特定アクセス情報を用いた前記コンテンツの同時視聴を許容するか否かに関する設定を管理する」との発明特定事項を備えるのに対し、甲5発明は、そのような発明特定事項を備えない点。
(相違点2)本件特許発明1は発明特定事項Eである「前記特定アクセス情報を利用しない設定が管理される場合において、前記コンテンツは、前記ユーザ毎に生成されないアクセス情報に対するアクセスによって視聴される」との発明特定事項を備えるのに対し、甲5発明は、そのような発明特定事項を備えない点。
イ 判断(甲5発明と本件特許発明2)
上記相違点1に係る発明特定事項Dの「前記管理部は、前記特定アクセス情報を利用するか否かに関する設定を管理する」構成、及び上記相違点2に係る発明特定事項Eの「前記特定アクセス情報を利用しない設定が管理される場合において、前記コンテンツは、前記ユーザ毎に生成されないアクセス情報に対するアクセスによって視聴される」構成を備える構成は、甲1及び甲5~甲7に記載されていない。
そして、「特定アクセス情報を利用しない設定」に係る構成を追加することは、ユーザ毎にアクセスを管理する甲5発明において、動機がないといえる。
したがって、本件特許発明2は、当業者が甲5発明に基づいて容易に想到し得たものではない。
(2)甲5発明と本件特許発明3~5について
本件特許の請求項3~5は、請求項2を引用しており、上記(1)アのとおり本件特許発明2と甲5発明とは、本件特許発明2が発明特定事項Dを備えるのに対し、甲5発明は、当該構成を備えない点で相違するから、本件特許発明3~5と甲5発明とについても、本件特許発明3~5が発明特定事項Dを備えるのに対し、甲1発明は、当該構成を備えない点で相違する。
そして、本件特許発明3~5は、本件特許発明2と同様に、当業者が甲5発明に基づいて容易に想到し得たものではない。
(3)甲5発明と本件特許発明7について
本件特許の請求項7は、本件特許のコンテンツ配信装置に係る発明である本件特許発明2について、カテゴリーを変更してコンテンツ配信方法の発明としたものであるから、上記(1)アと同様に、本件特許発明7と甲5発明とは、本件特許発明7が発明特定事項Dを備えるのに対し、甲1発明は、当該構成を備えない点で相違する。
そして、本件特許発明7は、本件特許発明2と同様に、当業者が甲5発明に基づいて容易に想到し得たものではない。
第6 その他の取消理由についての当審の判断
甲1発明に基づく特許法第29条第1項の各号、及び同条第2項について検討する。
1 甲1発明と本件特許発明との対比・判断
(1)甲1発明と本件特許発明2について
ア 対比(甲1発明と本件特許発明2)
(ア)発明特定事項A
甲1発明である「ライブ配信ツール」は、「Webブラウザ上で視聴者ごとに個別に発行し、視聴者ごとに個別に発行された専用視聴URLからのアクセスに対して視聴を許可し、視聴者毎に個別のURLを生成することで1つのURLで同時アクセスを1端末に制限し不正アクセスを防ぐ」との動作を行うものである。
ここで、「専用視聴URL」は、本件特許発明1の発明特定事項Aにおける「前記コンテンツを視聴するユーザ毎に生成される特定アクセス情報」に相当する。
そうすると、甲1発明の「ライブ配信ツール」は、「視聴者ごとに個別に発行された専用視聴URLからアクセスに対して視聴を許可」するものであるから、「専用視聴URL」を管理する構成を備えるものであると認められる。
よって、本件特許発明2の発明特定事項Aと、甲1発明の上記動作を行う構成は、「前記コンテンツを視聴するユーザ毎に生成される特定アクセス情報を管理する」(以下「発明特定事項A’」という。)点で共通する。
一方で、本件特許発明2は、発明特定事項Aにおいて上記の動作を行う「管理部」を備え、また、上記「特定アクセス情報」とは異なる、「コンテンツにアクセスするためのアクセス情報」についても管理するのに対し、甲1発明には、そのような構成がない点で相違する。
(イ)発明特定事項B
甲1発明の「ライブ配信ツール」は、Webブラウザ上で視聴者ごとに個別に専用視聴URLを発行し、視聴者は、専用視聴URLにアクセスしてライブ配信の視聴を開始するものである。
そうすると、甲1発明では、専用視聴URLを発行されて当該専用視聴URLにアクセスした視聴者が、ライブ配信コンテンツを視聴できるものであるから、甲1発明の「ライブ配信ツール」は、専用視聴URLによるアクセスに応じて、ライブ配信のコンテンツを送信するものである。
したがって、甲1発明と本件特許発明2とは、発明特定事項Bである「前記特定アクセス情報に対するアクセスに応じて、前記コンテンツを送信する」(以下「発明特定事項B’」という。)点で共通する。
一方で、本件特許発明2は、発明特定事項Bにおいて上記の動作を行う「送信部」を備えるのに対し、甲1発明には、そのような構成がない点で相違する。
(ウ)発明特定事項C
甲1発明は、「視聴者毎に個別のURLを生成すること」により「不正アクセスを防ぐ」ものである。そうすると、甲1発明では、視聴者とURLは対応しており、URLは管理されているものと認められるから、甲1発明と本件特許発明2とは、発明特定事項Cである「前記コンテンツを視聴するユーザの識別情報と対応付けて、前記特定アクセス情報を管理する」(以下「発明特定事項C’」という。)点で共通する。
一方で、本件特許発明2は、発明特定事項Cにおいて上記の動作を行う構成が「前記管理部」であり、また、当該「前記管理部」とは、発明特定事項Aの「管理部」であるのに対し、甲1発明は、「管理部」を備えておらず、また、発明特定事項Cの上記の動作を発明特定事項Aの「管理部」において行うものでもない点で相違する。
(エ)発明特定事項D
本件特許発明2は、発明特定事項Dである「前記管理部は、前記特定アクセス情報を利用するか否かに関する設定を管理」する構成を備えるものであるが、甲1発明には、そのような構成がない点で相違する。
(オ)発明特定事項E
本件特許発明2は、発明特定事項Dである「前記特定アクセス情報を利用しない設定が管理される場合において、前記コンテンツは、前記ユーザ毎に生成されないアクセス情報に対するアクセスによって視聴される」構成を備えるものであるが、甲1発明には、そのような構成がない点で相違する。
(カ)発明特定事項F
甲1発明の「ライブ配信ツール『A-Liveプラットフォーム』」は、上記(ア)~(オ)で示した相違点を除いて、本件特許発明2は、発明特定事項Fである「コンテンツ配信装置」に相当する。
(キ)一致点・相違点
上記(ア)~(カ)のとおりであるから、甲1発明と本件特許発明2は、以下の一致点で一致し、以下の相違点1~4で相違する。
・一致点
(A’) 前記コンテンツを視聴するユーザ毎に生成される特定アクセス情報を管理し、
(B’) 前記特定アクセス情報に対するアクセスに応じて、前記コンテンツを送信し、
(C’) 前記コンテンツを視聴するユーザの識別情報と対応付けて、前記特定アクセス情報を管理する、
(F)コンテンツ配信装置。
・相違点
(相違点1)本件特許発明2は、発明特定事項Aにおいて発明特定事項A’を、及び、発明特定事項Cにおいて発明特定事項C’を行う具体的な構成である「管理部」を備え、また、発明特定事項Bにおいて発明特定事項B’を行う具体的な構成である「送信部」を備えるのに対し、甲1発明には、そのような構成がない点。
(相違点2)本件特許発明2は、発明特定事項Aにおいて上記「特定アクセス情報」とは異なる、「コンテンツにアクセスするためのアクセス情報」を備えるのに対し、甲1発明には、そのような構成がない点。
(相違点3)本件特許発明2は、発明特定事項Dである「前記管理部は、前記特定アクセス情報を利用するか否かに関する設定を管理」する構成を備えるものであるが、甲1発明には、そのような構成がない点。
(相違点4)本件特許発明2は、発明特定事項Eである「前記特定アクセス情報を利用しない設定が管理される場合において、前記コンテンツは、前記ユーザ毎に生成されないアクセス情報に対するアクセスによって視聴される」構成を備えるものであるが、甲1発明には、そのような構成がない点。
イ 判断(甲1発明と本件特許発明2)
上記アのとおり、本件特許発明2と甲1発明には相違点があり、甲1発明は本件特許発明2ではないから、特許法第29条第1項の各号に掲げる発明に該当せず、同項の規定に違反しない。
また、上記相違点2~4に係る構成である、発明特定事項Dである「前記管理部は、前記特定アクセス情報を利用するか否かに関する設定を管理」する構成、及び発明特定事項Eである「前記特定アクセス情報を利用しない設定が管理される場合において、前記コンテンツは、前記ユーザ毎に生成されないアクセス情報に対するアクセスによって視聴される」構成、並びに、発明特定事項Aにおける「コンテンツにアクセスするためのアクセス情報」を備える構成は、甲1及び甲5~甲7に記載されていない。
そして、特定アクセス情報を利用しない設定を設ける構成を追加することは、ユーザ毎にアクセスを管理する甲1発明において、動機がないといえる。
したがって、上記相違点1が容易であるか否かにかかわらず、本件特許発明2は、当業者が甲1発明に基づいて容易に想到し得たものではないから、特許法第29条第2項の規定に違反しない。
(2)甲1発明と本件特許発明3~5について
本件特許の請求項3~5は、請求項2を引用しており、上記(1)アのとおり本件特許発明2と甲1発明とは、本件特許発明2が発明特定事項D及びEを備えるのに対し、甲1発明は、当該構成を備えない点で相違するから、本件特許発明3~5と甲1発明とについても、本件特許発明3~5が発明特定事項D及びEを備えるのに対し、甲1発明は、当該構成を備えない点で相違する。
そして、本件特許発明3~5は、本件特許発明2と同様に、当業者が甲1発明に基づいて容易に想到し得たものではない。
(3)甲1発明と本件特許発明7について
本件特許の請求項7は、本件特許のコンテンツ配信装置に係る発明である本件特許発明2について、カテゴリーを変更してコンテンツ配信方法の発明としたものであるから、上記(1)アと同様に、本件特許発明7と甲1発明とは、本件特許発明7が発明特定事項D及びEを備えるのに対し、甲1発明は、当該構成を備えない点で相違する。
そして、本件特許発明7は、本件特許発明2と同様に、当業者が甲1発明に基づいて容易に想到し得たものでもない。
2 取消理由1及び2についてのまとめ
上記1のとおりであるから、本件特許発明2~5及び7は、甲1発明と相違し、また、当業者が甲1発明に基づいて容易に発明をすることができたものではない。
第7 特許異議申立人による特許異議申立書、意見書及び回答書における主張について
本件申立人は、本件特許異議申立書の「3 申立ての根拠」「(1)取消理由1(新規性)」において、甲1及び甲2の「A-Liveプラットフォーム」が、本件特許に係る出願の出願日前に、日本国内において、公然知られており(特許法第29条第1項第1号)、公然実施をされており(同項第2号)、また、甲1及び甲2が、日本国内において頒布されていた(同項第3号)と主張している。
また、本件申立人は、本件特許異議申立書の「4 具体的理由」「(1)取消理由1(新規性)」のア(イ)において、甲3(「A-Live(デモ環境)操作方法ドキュメント」更新履歴)により、甲2が2022年3月10日に作成されたものであること、及び、甲4(「A-Live(デモ環境)操作方法ドキュメント」送付記録)により、甲2が2022年3月10日に株式会社ブリューアスから外部の会社に提供されたものであることを主張している。
そして、令和6年7月11日提出の回答書及び意見書においても、特許異議申立人は同様の主張をしていると認められる。
しかし、上記「第5」の2のとおり、甲2は、刊行物ではないから、特許出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された発明(特許法第29条第1項第3号前段)に該当しない。また、甲2は、公衆による検索の対象となる設定であったことが示されていないから、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明(同項第3号後段)に該当せず、また、「ヒビノ」が株式会社ブリューアスの社外であること、または「ヒビノ」に守秘義務が課せられていなかったことが、示されていないから、公然知られた発明(同項第1号)、公然実施をされた発明(同項第2号)または電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明(同項第3号後段)に該当することも示されていない。
したがって、甲2発明は、特許法第29条第1項の各号に掲げる発明に該当しない。
第8 まとめ
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由(特許異議申立書に記載した特許異議申立理由)によっては、本件特許の請求項2~5及び7に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件特許の請求項2~5及び7に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、本件特許の請求項2~5及び7に係る特許を取り消すことはできない。
また、本件特許の請求項1及び6は削除されているから、これらの請求項に対する特許異議の申立ては却下する。
よって、結論のとおり決定する。
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2023-701127