2022-700833
ガンマ線または電子線照射用の環状オレフィン系樹脂組成物、成形体および当該成形体のガンマ線または電子線照射物
- 審判番号
- 2022-700833
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2018-049957外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 登録番号
- 7074517
- 請求日
- 2022年08月25日
- 審決日
- 2023年02月09日
- 公報発行日
- 2023年03月31日
- 結論
- 維持
- 分類
- P1651.121-Y (C08L)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 9項目
第1 手続の経緯
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特許第7074517号の請求項1ないし7に係る特許についての出願は、2018年(平成30年)3月16日を出願日とする特願2018-49957号であって、令和4年5月16日にその特許権の設定登録(請求項の数7)がされ、令和4年5月24日に特許掲載公報が発行された。
その後、この特許に対し、令和4年8月25日に特許異議申立人 小松 一枝及び前田 知子(以下、まとめて「申立人」という。)は、特許異議の申立て(対象請求項:請求項1ないし7;以下、「申立て」という。)を行った。
第2 本件発明
特許第7074517号の請求項1ないし7の特許に係る発明は、それぞれ、願書に添付した特許請求の範囲の請求項1ないし7に記載された事項により特定される次のとおりのものである(以下、「本件発明1」ないし「本件発明7」といい、これらをあわせて「本件発明」という。)。
「【請求項1】ガンマ線または電子線照射用の環状オレフィン系樹脂組成物であって、環状オレフィン系樹脂[A]と、ヒンダードアミン系化合物[B]と、リン系化合物[C]とを含み、組成物中の前記環状オレフィン系樹脂[A]の含有量を100質量部としたとき、前記ヒンダードアミン系化合物[B]およびリン系化合物[C]の合計含有量が0.05~1.50質量部であり、続きを表示(全38行)組成物中の前記環状オレフィン系樹脂[A]の含有量を100質量部としたとき、フェノール系化合物[D]の含有量が0.50質量部未満である、環状オレフィン系樹脂組成物。【請求項2】請求項1に記載の環状オレフィン系樹脂組成物であって、前記環状オレフィン系樹脂[A]が、下記[A-1]、[A-2]、[A-3]および[A-4]からなる群より選択される少なくともいずれかを含む、環状オレフィン系樹脂組成物。[A-1]:炭素原子数が2~20のα-オレフィンと、下記一般式(I)または(II)で表される環状オレフィンとを共重合させて得られるα-オレフィン・環状オレフィンランダム共重合体【化1】[図:0001395236000001.jpg]一般式(I)中、nは0または1であり、mは0または1以上の整数であり、qは0または1であり、R1~R18ならびにRaおよびRbは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子または炭化水素基であり、R15~R18は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、かつ該単環または多環は二重結合を有していてもよく、またR15とR16とで、またはR17とR18とでアルキリデン基を形成していてもよい。【化2】[図:0001395236000002.jpg]一般式(II)中、pおよびqは、それぞれ独立に、0または1以上の整数であり、mおよびnは、それぞれ独立に、0、1または2であり、R1~R19は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基またはアルコキシ基であり、R9およびR10が結合している炭素原子と、R13またはR11が結合している炭素原子とは直接あるいは炭素数1~3のアルキレン基を介して結合していてもよく、またn=m=0のとき、R15とR12またはR15とR19とは互いに結合して単環または多環の芳香族環を形成していてもよい。[A-2]:前記一般式(I)または(II)で表される環状オレフィンの開環重合体または共重合体[A-3]:前記[A-2]の開環重合体または共重合体の水素化物[A-4]:前記[A-1]、[A-2]または[A-3]のグラフト変性物【請求項3】請求項1または2に記載の環状オレフィン系樹脂組成物であって、組成物中の前記環状オレフィン系樹脂[A]の含有量を100質量部としたとき、前記リン系化合物[C]の量が0.05質量部未満である、環状オレフィン系樹脂組成物。【請求項4】請求項1~3のいずれか1項に記載の環状オレフィン系樹脂組成物から形成された成形体。【請求項5】請求項4に記載の成形体であって、医療用容器である、成形体。【請求項6】請求項4または5に記載の成形体であって、シリンジまたは薬液保存容器である、成形体。【請求項7】請求項4~6のいずれか1項に記載の成形体の、ガンマ線または電子線照射物。」
第3 申立理由
1 特許異議申立理由の要旨
申立人が提出した特許異議申立書において主張する特許異議申立理由の要旨は、次のとおりである。
(1)申立理由1(甲第1号証を主引用文献とし甲第2~3号証を副引用文献とする進歩性)
本件特許の請求項1ないし7に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第1号証に記載された発明及び甲第1~3号証に記載された技術事項に基づいて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の上記請求項に係る特許は、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。
(2)申立理由2(甲第3号証を主引用文献とし甲第1~2号証を副引用文献とする進歩性)
本件特許の請求項1ないし7に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第3号証に記載された発明及び甲第1~3号証に記載された技術事項に基づいて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の上記請求項に係る特許は、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。
2 証拠方法
申立人は、証拠として、以下の文献を提出する。
第4 当審の判断
当審は、申立人が申し立てたいずれの申立理由によっても、本件特許の請求項1ないし7に係る特許を取り消すことはできないと判断する。その理由は以下のとおりである。
1 申立理由1について
(1)甲1~3の記載事項
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ア 甲1の記載事項
甲1には、次の記載がある。
(甲1a)
「[請求項1] 極性基を有しないノルボルネン系重合体に、(a)前記ノルボンルネン系重合体100重量部に対して0.01~0.3重量部の、1つのフェノール構造を有する亜リン酸エステル化合物、及び(b)前記ノルボンルネン系重合体100重量部に対して0.05~1.0重量部の、ヒンダードアミン化合物が配合されてなり、(c)前記(a)の1つのフェノール構造を有する亜リン酸エステル化合物以外のヒンダードフェノール化合物の含有量が、前記ノルボンルネン系重合体100重量部に対して0.05重量部以下であることを特徴とする樹脂組成物。[請求項2] 前記(c)のヒンダードフェノール化合物が、リン酸エステル構造を有さず1つのフェノール性水酸基を有するヒンダードフェノール化合物、又は、2以上のフェノール性水酸基を有するヒンダードフェノール化合物である請求項1に記載の樹脂組成物。[請求項3] 請求項1に記載の樹脂組成物を成形してなる樹脂成形体。」
(甲1b)
「[0001] 本発明は、極性基を有しないノルボルネン系単量体、特定の化学構造を有する亜リン酸エステル化合物及びヒンダードアミン化合物を特定量含有し、特定構造のヒンダードフェノール化合物をほとんど含有しない樹脂組成物とその利用に関する。[0002] ノルボルネン系単量体の開環重合体の水素化物、ノルボルネン系開環重合体とα-オレフィンとの付加共重合体、芳香族ビニル単量体の重合体の芳香環水素化物等に代表される脂環構造含有重合体は、酸化防止剤や光安定剤を配合することにより、優れた光学特性を示すことが知られている。[0003] 例えば、特許文献1には、ノルボルネン系単量体の開環重合体の水素化物にフェノール系酸化防止剤とリン系酸化防止剤とを併用した樹脂組成物が、機械的強度、伸び、耐薬品性及び耐候性に優れた成形体を与えることが開示されている。また、この文献には、ヒンダードアミン系光安定剤を併用することで、耐候性を改善できることも記載されている。特許文献2には、芳香族ビニル単量体の重合体の芳香環水素化物に、一分子内にリン酸エステル構造及びフェノール構造を有する酸化防止剤を配合した樹脂組成物が、青紫レーザ等の短波長で強度の光線を照射しても着色しない成形体を与えることが開示されている。続きを表示(全29行)特許文献3、4には、ノルボルネン系単量体の開環重合体の水素化物にある種のリン系酸化防止剤を配合した樹脂組成物が、高温環境下での使用によっても経時的な色相変化を起こさない成形体を与えることが開示されている。また、特許文献3には、リン系酸化防止剤と共に、更に分子量350以上のフェノール系酸化防止剤を併用すると、高温条件下での酸化劣化を防止することが記載されている。特許文献5は、ノルボルネン系開環重合体とα-オレフィンとの付加共重合体に、フェノール構造を有する亜リン酸エステル化合物を配合した樹脂組成物が、波長400nmの光に対して、長期に亘って安定な成形体を与えることが開示されている。以上のように、これまでにも、優れた光学特性を示す成形体を得ることができる、脂環構造含有重合体に、酸化防止剤や光安定剤を配合した樹脂組成物が種々提案されている。しかしながら、これらの樹脂組成物から得られる成形体であっても、青紫色レーザなどの短波長レーザ光に対して十分な光安定性(耐短波長レーザ性)が得られない場合があった。[0004]特許文献1:特開平11-217481号公報特許文献2:特開2004-083813号公報特許文献3:特開2001-261943号公報特許文献4:特開2010-013659号公報特許文献5:特開2006-143927号公報[0005] 本発明は上記した従来技術に鑑みてなされたものであって、耐短波長レーザ性に優れる成形体を得ることができる樹脂組成物を提供することを目的とする。[0006] 本発明者は、上記課題を解決すべく、種々の樹脂組成物について鋭意検討した。その結果、特許文献2に記載された芳香族ビニル単量体の重合体の芳香環水素化物を用いた場合には、耐ダイオードレーザ性には優れるものの、屈折率の温度依存性が高く、光学レンズに際して、設計自由度を低下させることがわかった。また、特許文献3、4に具体的に記載されている、極性基を有するノルボルネン系単量体の開環重合体の水素化物を用いた場合には、短波長レーザ光に対する光安定性が不十分であることが確認された。また、極性基を有しないノルボルネン系開環重合体水素化物を用いた場合であっても、特許文献1に記載されたような、フェノール系酸化防止剤とリン系酸化防止剤とを併用した場合には、例えヒンダードアミン系光安定剤をさらに添加したとしても、短波長レーザ光に対しては十分な光安定性が得られないことがわかった。更に、特許文献5において用いられているノルボルネン系開環重合体とα-オレフィンとの付加共重合体では、短波長レーザ光に対しては十分な光安定性が得られないことが確認された。[0007] 本発明者はかかる知見に基づき、更なる検討を行った。その結果、極性基を有しないノルボルネン系重合体に対して、フェノール構造を有する亜リン酸エステル化合物以外のヒンダードフェノール化合物(具体的には、リン酸エステル構造を有さず1つのフェノール性水酸基を有するヒンダードフェノール化合物と2以上のフェノール性水酸基を有するヒンダードフェノール化合物)を、一般的に酸化劣化の防止効果を示すと言われている量程度を配合した樹脂組成物を用いると、得られる成形体の耐短波長レーザ性が低下するという知見を得た。また、フェノール構造を有する亜リン酸エステル化合物の配合量を特定量とすることで、得られる成形体の耐短波長レーザ性が向上することを見いだし、これらの知見を基に、本発明を完成するに至った。[0008] かくして、本発明によれば、下記(1)、(2)の樹脂組成物、及び、(3)の樹脂成形体が提供される。(1)極性基を有しないノルボルネン系重合体に、(a)前記ノルボンルネン系重合体100重量部に対して0.01~0.3重量部の、1つのフェノール構造を有する亜リン酸エステル化合物、及び(b)前記ノルボンルネン系重合体100重量部に対して0.05~1.0重量部の、ヒンダードアミン化合物が配合されてなり、かつ、(c)前記(a)の1つのフェノール構造を有する亜リン酸エステル化合物以外のヒンダードフェノール化合物の含有量が、前記ノルボンルネン系重合体100重量部に対して0.05重量部以下であることを特徴とする樹脂組成物。(2)前記(c)のヒンダードフェノール化合物が、リン酸エステル構造を有さず1つのフェノール性水酸基を有するヒンダードフェノール化合物、又は、2以上のフェノール性水酸基を有するヒンダードフェノール化合物である(1)に記載の樹脂組成物。(3)(1)記載の樹脂組成物を成形して成る樹脂成形体。[0009] 本発明の樹脂組成物によれば、耐短波長レーザ性に優れる成形体を形成することができる。本発明の樹脂組成物は、ピックアップレンズ、レーザビーム用fθレンズ等のレンズ類;光学式ビデオディスク、光ディスク類等の光学フィルム等の強力なレーザ光が照射されるような部品;等の光学部品を形成するのに好適に用いられる。本発明の樹脂成形体は、ピックアップレンズ、コリメータレンズ、センサーレンズ、レーザビーム用fθレンズ等のレンズ類として、波長390~430nmの短波長レーザを用いる装置に好適に用いられる。」
(甲1c)
「[0010] 以下、本発明を、1)樹脂組成物、及び、2)樹脂成形体、に項分けして詳細に説明する。1)樹脂組成物本発明の樹脂組成物は、極性基を有しないノルボルネン系重合体(I)に、(a)前記ノルボンルネン系重合体100重量部に対して0.01~0.3重量部の、1つのフェノール構造を有する亜リン酸エステル化合物、及び続きを表示(全38行)(b)前記ノルボンルネン系重合体100重量部に対して0.05~1.0重量部の、ヒンダードアミン化合物が配合されてなり、(c)前記(a)の1つのフェノール構造を有する亜リン酸エステル化合物以外のヒンダードフェノール化合物の含有量が、前記ノルボンルネン系重合体100重量部に対して0.05重量部以下であることを特徴とする。[0011](I)極性基を有しないノルボルネン系重合体本発明の樹脂組成物においては、極性基を有しないノルボルネン系重合体を用いる。極性基を有しないノルボルネン系重合体(以下、「ノルボルネン系重合体(I)」ということがある。)を用いることで、短波長レーザ光に対する光安定性を向上させることができる。ノルボルネン系重合体(I)は、置換基として、極性基(ハロゲン原子、水酸基、エステル基、アルコキシ基、シアノ基、アミド基、シリル基、イミド基)を有しないノルボルネン系重合体である。[0012] ノルボルネン系重合体(I)の好ましい具体例としては、(Ia)極性基を有しないノルボルネン系単量体を開環重合させた後、得られた開環重合体を水素化して得られるノルボルネン系開環重合体水素化物(以下、「ノルボルネン系開環重合体水素化物(Ia)」ということがある。)、(Ib)極性基を有しないノルボルネン系単量体とα-オレフィンとを付加重合して得られるノルボルネン系付加重合体(以下、「ノルボルネン系付加重合体(Ib)」が挙げられる。なかでも、成形体の光安定性の観点から、ノルボルネン系開環重合体水素化物(Ia)であるのがより好ましい。[0013] (Ia)ノルボルネン系開環重合体水素化物(1a)ノルボルネン系開環重合体水素化物(1a)は、極性基を有しないノルボルネン系単量体を開環重合させた後、得られた開環重合体を水素化して得られる重合体である。[0014] 〈極性基を有しないノルボルネン系単量体〉極性基を有しないノルボルネン系単量体としては、ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(慣用名:ノルボルネン)、5-エチリデン-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(慣用名:エチリデンノルボルネン)及びその誘導体(環に置換基を有するもの)、等の2環式単量体;トリシクロ[4.3.01,6.12,5]デカ-3,7-ジエン(慣用名ジシクロペンタジエン)及びその誘導体、等の3環式単量体;7,8-ベンゾトリシクロ[4.3.0.12,5]デカ-3-エン(慣用名メタノテトラヒドロフルオレン:1,4-メタノ-1,4,4a,9a-テトラヒドロフルオレンともいう)及びその誘導体、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ-3-エン(慣用名:テトラシクロドデセン)、8-エチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセン及びその誘導体、等の4環式単量体;等が挙げられる。置換基としては、アルキル基、アルキレン基、ビニル基、アルキリデン基等のヘテロ原子のない炭化水素基が例示できる。極性基を有しないノルボルネン系単量体は、これらを2種以上有していてもよい。具体的には、8-エチリデン-テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ-3-エン等が挙げられる。[0015] これらの極性基を有しないノルボルネン系単量体は、それぞれ単独であるいは2種以上を組み合わせて用いられる。なかでも、耐熱性の面から、全単量体中に含まれる2環式単量体の量は、好ましくは0~30重量%、より好ましくは0~15重量%であり、全体量体に含まれる3環及び4環式単量体の合計量は、好ましくは70~100重量%、より好ましくは85~100重量%である。特に耐熱性が要求される分野においては、4環式単量体の量は、好ましくは40~100重量%である。[0016] 〈開環重合〉極性基を有しないノルボルネン系単量体の開環重合は、メタセシス重合触媒を用いる公知の重合方法に従って行うことができる。メタセシス重合触媒としては、特に限定はなく公知のものが用いられる。具体的には、例えば、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム及び白金等から選ばれる金属の、ハロゲン化物、硝酸塩又はアセチルアセトン化合物と、還元剤とからなる触媒系;チタン、バナジウム、ジルコニウム、タングステン及びモリブデンから選ばれる金属のハロゲン化物又はアセチルアセトン化合物と、助触媒の有機アルミニウム化合物とからなる触媒系;あるいは、特開平7-179575号、J.Am.Chem.Soc.,1986年,108,p.733、J.Am.Chem.Soc.,1993年,115,p.9858、及びJ.Am.Chem.Soc.,1996年,118,p.100等に開示されている公知のシュロック型やグラッブス型のリビング開環メタセシス触媒等を用いることができる。これらの触媒は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。触媒の使用量は、重合条件等により適宜選択されればよいが、全単量体量に対するモル比で、通常1/1,000,000~1/10、好ましくは、1/100,000~1/100である。・・・[0023] 〈水素化触媒及び水素化方法〉前記極性基を有しないノルボルネン系開環重合体中の炭素―炭素の二重結合を、常法に従って、水素化触媒の存在下に極性基を有しないノルボルネン系開環共重合体を水素と接触させ水素化することによって極性基を有しないノルボルネン系開環重合体水素化物を得ることができる。・・・[0028] 水素化反応終了後、触媒は、遠心、ろ過等の常法にしたがって除去することができる。必要に応じて、水やアルコール等の触媒不活性化剤を利用したり、活性白土やアルミナ等の吸着剤を添加したりしてもよい。医療用器材等、残留した遷移金属が溶出するのが好ましくない用途では、実質的に遷移金属が残留しないようにする。そのような重合体水素化物を得るためには、特開平5-317411号公報等で開示されているような、特定の細孔容積と比表面積を持ったアルミナ類等の吸着剤を用いたり、重合体溶液を酸性水と純水で洗浄したりすることが好ましい。遠心方法やろ過方法は、用いた触媒が除去できる条件であれば、特に限定されない。ろ過による除去は、簡便かつ効率的であるので好ましい。ろ過する場合、加圧ろ過しても、吸引ろ過してもよく、また、効率の点から、珪藻土、パーライト等のろ過助剤を用いることが好ましい。[0029] 得られるノルボルネン系開環重合体水素化物(Ia)が、芳香族環を有する繰り返し単位を有する場合には、主鎖構造中の炭素-炭素二重結合の水素化反応において、側鎖の芳香環族構造を残存させることもできるが、完全に水素化しても構わない。なお、1H-NMRによる分析により、主鎖構造中の炭素-炭素二重結合は、芳香族環構造中の不飽和結合と区別して認識することができる。・・・[0033] (Ib)ノルボルネン系付加重合体〈α-オレフィン〉上述した、極性基を有しないノルボルネン系単量体と付加重合するα-オレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、3-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ペンテン、3-エチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、4-エチル-1-ヘキセン、3-エチル-1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセン等の炭素数2~20のα-オレフィンが挙げられる。[0034] 〈付加重合方法〉極性基を有しないノルボルネン系単量体とα-オレフィンとを付加重合する方法としては、例えば特開平05-310845号公報に記載されているように、炭化水素溶媒中で、(i)可溶性バナジウム化合物と有機アルミニウム化合物とから形成される触媒系又は(ii)周期律表第IVB族から選ばれる遷移金属のメタロセン化合物と有機アルミニウムオキシ化合物とから形成される触媒系の存在下でエチレンと、芳香族含有ノルボルネン誘導体とを共重合させることによって製造することができる。・・・」
(甲1d)
「[0042] (a)1つのフェノール構造を有する亜リン酸エステル化合物1つのフェノール構造を有する亜リン酸エステル化合物(以下、「亜リン酸エステル化合物(a)」ということがある。)は、分子内にフェノール構造を有する亜リン酸エステル化合物である。[0043] 亜リン酸エステル化合物(a)としては、式:(i):HP(=O)(OH)(ORa)、式(ii):HP(=O)(ORa)(ORb)、及び、式(iii):P(ORa)(ORb)(ORc)が挙げられる。[0044] 式(i)~(iii)中、Raはフェノール構造を有する基であり、Rb、Rcは、それぞれ独立して、フェノール構造を有する基:メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等の炭素数1~6のアルキル基;又は、フェニル基、2-メチルフェニル基、4-メチルフェニル基、2,4-ジメチルフェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基等の置換基を有していてもよいアリール基;を表す。また、ORbとORcは、互いに一緒になって、環を形成していてもよい。続きを表示(全29行)[0045] 前記フェノール構造を有する基としては、例えば、下記式(α)、(β)で表される基が挙げられる。[0046][化1][図:0001395236000003.jpg][0047] 式(α)、(β)中、R7、R8はそれぞれ独立して、水素原子;メチル基、エチル基、イソプロピル基、t-ブチル基等の炭素数1~8のアルキル基を表す。また、Aは、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基等の炭素数2~8のアルキレン基を表す。[0048] これらの中でも、本発明に用いる亜リン酸エステル化合物(a)としては、前記式(iii)で表される化合物が好ましく、下記式(1)に示す化合物が特に好ましい。[0049][化2][図:0001395236000004.jpg][0050] 式(1)中、R1~R8、Aは前記と同じ意味を表す。前記式(1)で表される化合物の具体例としては、6-〔3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロポキシ〕-2,4,8,10-テトラキス-t-ブチルジベンゾ〔d,f〕〔1.3.2〕ジオキサフォスフェピン、6-〔3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロポキシ〕-2,4,8,10-テトラキス-t-ブチルジベンゾ〔d,f〕〔1.3.2〕ジオキサフォスフェピン、ジエチル-3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホネート、ジ-n-オクタデシル-3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホネート、3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホン酸モノエステルのカルシウム塩等が挙げられる。[0051] 亜リン酸エステル化合物(a)の使用量は、ノルボルネン系重合体(I)100重量部に対して、0.05~0.3重量部、好ましくは0.05~0.25重量部である。亜リン酸エステル化合物(a)の使用量が多すぎても少なすぎても、耐短波長レーザ性が低下する。[0052] (b)ヒンダードアミン化合物本発明に用いるヒンダードアミン化合物(以下、「ヒンダードアミン化合物(b)」ということがある。)としては、ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)が好ましい。ヒンダードアミン系光安定剤は、窒素原子の結合態様に着目して、NH型(H=水素原子)、NMe型(Me=メチル基)、及びNR型(R=メチル基以外の有機基)に分類することができる。本発明では、これらの何れのタイプのものも使用することができる。ヒンダードアミン化合物は、亜リン酸エステル構造を有しない限り、ヒンダードフェノール構造を有していてもよい。[0053] ヒンダードアミン系光安定剤としては、例えば、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(N-オクトキシ-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(N-ベンジルオキシ-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(N-シクロヘキシルオキシ-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、N,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)-N,N’-ジホルミル-アルキレンジアミン、N,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)-N,N’-ビスアルキレン脂肪酸アミド、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)2-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-2-ブチルマロネート、ビス(1-アクロイル-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)2,2-ビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-2-ブチルマロネート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)サクシネート、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルメタクリレート、4-[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]-1-[2-(3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ)エチル]-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、2-メチル-2-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)アミノ-N-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)プロピオンアミド、テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジノール及び1-トリデカノールとの混合エステル化物、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸と2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジノール及び1-トリデカノールとの混合エステル化物、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジノール及び3,9-ビス(2-ヒドロキシ-1,1-ジメチルエチル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカンとの混合エステル化物、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸と2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジノール及び3,9-ビス(2-ヒドロキシ-1,1-ジメチルエチル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカンとの混合エステル化物、ジメチルサクシネートと1-(2-ヒドロキシエチル)-4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジンとの重縮合物、ポリ[(6-モルホリノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル)〔(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ〕ヘキサメチレン〔(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ〕]、ポリ[〔6-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル〕〔(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ〕ヘキサメチレン〔(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ〕]、ジブチルアミン・1,3,5-トリアジン・N,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ヘキサメチレンジアミン・N-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ブチルアミン縮重合物等が挙げられる。これらのヒンダードアミン系光安定剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。[0054] これらの中でも、テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、N,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)-N,N’-ジホルミル-ヘキサメチレンジアミン等の分子量1,000以下のヒンダードアミン系光安定剤が好ましい。[0055] ヒンダードアミン化合物(b)の使用量は、ノルボルネン系重合体(I)100重量部に対して、0.05~1.0重量部、好ましくは0.1~0.5重量部である。[0056](c)亜リン酸エステル化合物(a)以外のヒンダードフェノール化合物本発明に用いる、亜リン酸エステル化合物(a)以外のヒンダードフェノール化合物(以下、「ヒンダードフェノール化合物(c)」ということがある。)は、一般的には、ベンゼン環に、イソプロピル基、t-ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基等のかさ高い基を置換基として有する(好ましくはかさ高い基を複数個有する)フェノール化合物である。ヒンダードフェノール化合物(c)としては、ヒンダードアミン構造を有しない以下の(c1)、(c2)の2種の化合物が挙げられる。[0057](c1)亜リン酸エステル構造を有さず、1つのフェノール性水酸基を有するヒンダードフェノール化合物具体例としては、2,4-ビス-(n-オクチルチオ)-6-(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ブチルアニリノ)-1,3,5-トリアジン、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、イソオクチル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、2,4,6-トリ-t-ブチルフェノール、2,4-ジオクチルチオメチル-6-メチルフェノール等が挙げられる。[0058](c2)2以上のフェノール性水酸基を有するヒンダードフェノール化合物具体例としては、ペンタエリスリチル・テトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2’-チオビス(6-t-ブチルフェノール)、4,4’-チオビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4-エチル-6-t-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス[4-メチル-6-(α-メチルシクロヘキシル)フェノール)]、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-シクロヘキシルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェノール)、2,2’-エチリデンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェノール)、4,4’-メチレンビス(6-t-ブチル-2-メチルフェノール)、4,4’-メチレンビス(2,6-ジ-t-ブチルフェノール)、4,4’-ブチリデンビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1-ビス(5-t-ブチル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)ブタン、1,1,3-トリス(5-t-ブチル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)ブタン、エチレングリコールビス[3,3-ビス-3’-t-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)ブチレート]、2-t-ブチル-6-(3’-t-ブチル-5’-メチル-2’-ヒドロキシベンジル)-4-メチルフェニルアクリレート、2,4-ジ-t-ペンチル-6-[1-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ペンチルフェニル)エチル]フェニルアクリレート、2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-フェノキシ)-1,3,5-トリアジン、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)イソシアヌレート、ビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、トリス[2-(3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシシンナモイルオキシ)エチル]イソシアヌレート、ネオペンタンテトライルテトラキス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシシンナメート)、チオジエチレンビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシシンナメート)、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、3,6-ジオキサオクタメチレンビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシシンナメート)、ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシシンナメート)、トリエチレングリコールビス(5-t-チル-4-ヒドロキシ-3-メチルシンナメート)、3,9-ビス[2-(3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ)-1,1-ジメチルエチル]-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカン、N,N’-ビス[3-(3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン、N,N’-ビス[3-(3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヘキサメチレンジアミン等が挙げられる。これらは、1種単独で、或いは2種以上を組み合わせて用いてもよい。[0059] ヒンダードフェノール化合物(c)の使用量(複数種類ある場合はその合計量)は、ノルボルネン系重合体(I)100重量部に対して、0.05重量部以下である。0.05重量部以下の使用であれば、耐短波長レーザ性に対する実質的な影響は出ないが、それより多い使用では悪影響が出るおそれがあり、0.1重量部以上の使用で、耐短波長レーザ性が顕著に低下する。」
(甲1e)
「[0070] 本発明の樹脂組成物の用途は特に限定されるものではないが、ピックアップレンズ、レーザビーム用fθレンズ等のレンズ類;光学式ビデオディスク、光ディスク類等の光学フィルム;等の強力なレーザ光が照射されるような光学材料に好適である。[0071]2)樹脂成形体本発明の樹脂成形体は、本発明の樹脂組成物を成形して得られる成形体である。本発明の樹脂組成物は、光学材料に好適であることから、本発明の樹脂成形体は、光学部品であるのが好ましい。本発明の樹脂成形体は、本発明の樹脂組成物を加熱溶融成形することにより好適に製造することができる。成形方法としては、例えば、射出成形法、押出成形法、プレス成形法、ブロー成形法、キャスト成形法等の通常の成形方法を用いることができる。光学レンズ等の立体形状の光学部品を製造するには、射出成形法を採用することが好ましい。[0072] 成形された樹脂成形体の表面には、無機化合物、シランカップリング剤等の有機シリコン化合物、アクリル系樹脂、ビニル系樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン樹脂等からなるハードコート層を形成することができる。ハードコート層の形成手段としては、熱硬化法、紫外線硬化法、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の公知の方法が挙げられる。これによって、成形体の耐熱性、光学特性、耐薬品性、耐摩耗性及び耐水性等を向上させることができる。[0073] 光学部品としては、例えば、ピックアップレンズ、コリメータレンズ、センサーレンズ、回折格子、ビデオカメラ用レンズ、望遠鏡レンズ、レーザビーム用fθレンズ等のレンズ類;光学式ビデオディスク、オーディオディスク、文書ファイルディスク、メモリディスク等の光ディスク類;OHPフィルム等の光学フィルム等の光学材料;フォトインタラプター、フォトカプラー、LEDランプ等の光半導体封止材;液晶表示装置用の位相差板、光拡散板、導光板、偏光板保護膜、集光シート等の各種光学部材;等が挙げられる。[0074] なかでも、光学部品は、ピックアップレンズ、コリメータレンズ、センサーレンズ、レーザビーム用fθレンズ等のレンズ類として、波長390~430nmの短波長レーザを用いる装置に使用するのに適している。光学部品の形状は、球状、棒状、板状、ファイバー状、筒状、その他の立体形状等任意である。」
(甲1f)
「[0075] 以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。以下において、部又は%は、特に断りが無い限り重量基準であり、圧力はゲージ圧力である。[0076] なお、各種の物性の測定は、下記の方法に従って行った。(1)分子量水素化物(I)及び重合体(II)の数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(MWD)は、シクロヘキサンを溶媒とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による、標準ポリイソプレン換算値として以下の装置を用い、以下の条件にて測定した。標準ポリイソプレンとしては、東ソー社製、標準ポリイソプレン、Mw=602、1,390、3,920、8,050、13,800、22,700、58,800、71,300、109,000、280,000の計10点を用いた。続きを表示(全85行)〈測定装置:東ソー社製 HLC8120GPC〉・カラム:東ソー社製 TSKgel G5000HXL、TSKgel G4000HXL及びTSKgel G2000HXLを3本直列に繋いたものを用いた。・流速:1.0ml/分・サンプル注入量:100μml・カラム温度:40℃[0077](2)水素化率主鎖及び環状炭化水素構造の水素化率は、1H-NMRスペクトルを測定し算出した。[0078](3)ガラス転移温度(Tg)Tgは示差走査熱量分析計を用いて、JIS K 7121に基づいて測定した。[0079]〔製造例1〕窒素雰囲気下に、脱水したトルエン690部に、テトラシクロ(9.2.1.02,10.03,8)テトラデカ-3,5,7,12-テトラエン210部、テトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]ドデカ-3-エン75部、ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン15部、1-ヘキセン1.1部、塩化タングステンの0.3重量%トルエン溶液11部及びトリイソブチルアルミニウム0.5部を加え、60℃、常圧にて1時間重合させた。得られた重合体の数平均分子量(Mn)は14,000、重量平均分子量(Mw)は24,000、分子量分布(Mw/Mn)は1.7であった。なお、重合体のMw及びMnはテトラヒドロフラン(THF)を溶剤に用いた高速液体クロマトグラフィー(ポリスチレン換算)により測定した。[0080] この重合反応溶液240部にアルミナ担持ニッケル触媒(触媒1部中にニッケル0.70部及び酸化ニッケル0.2部含有、細孔容積0.8cm3/g、比表面積300cm2/cm)4部を加え、オートクレーブ中で190℃、45kgf/cm2で5時間水素化反応させた。濾過によって触媒を除去した水素化反応溶液をアセトン250部とイソプロパノール250部との混合溶液に、攪拌しながら注いで、水素化物を沈澱させ、濾別して回収した。回収した水素化物をさらにアセトン200部で洗浄し、次いで1mmHg以下に減圧した100℃の真空乾燥器で24時間乾燥させた。得られた水素化物(以下、「水素化物(Ia1)」という)の収率は99%であった。重合体主鎖の二重結合の水素化率は99.9%以上、芳香環構造の水素化率は99.8%であった。水素化物(Ia1)の数平均分子量(Mn)は16,500、重量平均分子量(Mw)は28,000、分子量分布(Mw/Mn)は1.7で、ガラス転移温度(Tg)は145℃であった。[0081]〔製造例2〕窒素雰囲気下に、脱水したトルエン690部に、テトラシクロ(9.2.1.02,10.03,8)テトラデカ-3,5,7,12-テトラエン300部、1-ヘキセン1.1部、塩化タングステンの0.3重量%トルエン溶液11部及びテトラブチルスズ0.6部を加え、60℃、常圧にて1時間重合させた。得られた重合体の数平均分子量(Mn)は18,500、重量平均分子量(Mw)は37,000、分子量分布(Mw/Mn)は2.0であった。なお、重合体のMw及びMnはTHFを溶剤に用いた高速液体クロマトグラフィー(ポリスチレン換算)により測定した。[0082] この重合反応溶液240部にアルミナ担持ニッケル触媒(触媒1部中にニッケル0.70部及び酸化ニッケル0.2部含有、細孔容積0.8cm3/g、比表面積300cm2/cm)6部とイソプロピルアルコール5部とを加え、オートクレーブ中で230℃、45kgf/cm2で5時間水素化反応させた。濾過によって触媒を除去した水素化反応溶液をアセトン250部とイソプロパノール250部との混合溶液に、攪拌しながら注いで、水素化物を沈澱させ、濾別して回収した。回収した水素化物をさらにアセトン200部で洗浄し、次いで1mmHg以下に減圧した100℃の真空乾燥器で24時間乾燥させた。得られた水素化物(以下、「水素化物(Ia2)」という)の収率は99%であった。重合体主鎖の二重結合の水素化率は99.9%以上、芳香環構造の水素化率は99.8%であった。水素化物(Ia2)の数平均分子量(Mn)は24,000、重量平均分子量(Mw)は44,000、分子量分布(Mw/Mn)は1.8で、ガラス転移温度(Tg)は140℃であった。[0083]〔製造例3〕乾燥し、窒素置換した重合反応器に、テトラシクロ(9.2.1.02,10.03,8)テトラデカ-3,5,7,12-テトラエン94モル%、1,5-シクロオクタジエン(以下、1,5-CODと略記)6モル%からなる単量体混合物7部(重合に使用するモノマー全量に対して1%)、脱水したトルエン1500部、分子量調節剤として1-ヘキセン3.8部、ジイソプロピルエ-テル1.3部、イソブチルアルコール0.33部、トリイソブチルアルミニウム0.84部及び六塩化タングステン0.66%シクロヘキサン溶液35部を入れ、50℃で10分間攪拌した。次いで、反応系を50℃に保持し、攪拌しながら、前記重合反応器中に前記単量体混合物693部と六塩化タングステン0.66%シクロヘキサン溶液52部を150分かけて連続的に滴下し、さらに滴下終了後30分間攪拌した後にイソプロピルアルコール1.0部を添加して重合反応を停止させた。ガスクロマトグラフィーによって重合反応溶液を測定したしたところ、モノマーのポリマーへの転化率は100%であった。[0084] 次いで、上記開環共重合体を含有する重合反応溶液300部を攪拌器付きオートクレーブに移し、シクロヘキサン100部及び珪藻土担持ニッケル触媒(製品名:T8400RL、日揮化学社製、ニッケル担持率58%)8.0部を加えた。オートクレーブ内を水素で置換した後、170℃、4.5MPaの水素圧力下で8時間反応させた。水素化反応終了後、珪藻土(製品名:ラヂオライト(登録商標)♯500、昭和化学工業社製)をろ過床として、加圧ろ過器(フンダフィルタ-、IHI社製)を使用し、圧力0.25MPaで加圧ろ過して、無色透明な開環共重合体水素化物の溶液を得た。この開環共重合体水素化物溶液をアセトン250部とイソプロパノール250部との混合溶液に、攪拌しながら注いで、開環共重合体水素化物を沈澱させ、濾別して回収した。回収した水素化物をさらにアセトン200部で洗浄し、次いで1mmHg以下に減圧した100℃の真空乾燥器で24時間乾燥させ、水素化物(以下、「水素化物(Ia3)」という)を得た。収率は99%であった。重合体主鎖の二重結合の水素化率は99.9%以上、芳香環構造の水素化率は99.8%であった。水素化物(Ia3)の数平均分子量(Mn)は10,500、重量平均分子量(Mw)は34,000、分子量分布(Mw/Mn)は3.2で、ガラス転移温度(Tg)は135℃であった。[0085]〔製造例4〕窒素置換した内容積500mlのガラス製オートクレーブにシクロヘキサン235mlを装入し、液相及び気相を50リットル/hrの流量のエチレンで飽和させた。その後、このオートクレーブに2mlのテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ-3-エン(以下、「TCD」と略記する。)、メチルアルミノキサン(MAO)をアルミニウム原子換算で1.25mmol、引き続き、下記式(2)に示す構造のジアルコキシジクロロチタン触媒を0.001mmol加え重合を開始した。エチレンガス雰囲気下25℃常圧で10分間反応させた後、少量のイソブチルアルコールを添加することにより重合を停止した。重合終了後、反応物を5mlの濃塩酸を加えたアセトン/メタノール(それぞれ500ml)混合溶媒に投入してポリマーを全量析出後、攪拌後グラスフィルターで濾過した。ポリマーを130℃、10時間で減圧乾燥した後、エチレン/TCD共重合体を得た。エチレン/TCD共重合体(以下、「重合体(Ib1)」という)の重量平均分子量(Mw)、及び分子量分布(Mw/Mn)を測定したところ、Mw=65,000、Mw/Mn=2.15であった。また、ガラス転移温度は132℃であった。[0086][化3][図:0001395236000005.jpg][0087][製造例5]乾燥窒素で置換したステンレス製耐圧容器に、スチレン76部及びイソプレン4部を密封し、攪拌して、混合モノマーを調製した。次に、乾燥窒素で置換した電磁撹拌装置を備えたステンレス鋼製オートクレーブに、脱水シクロヘキサン320部、混合モノマー4部、及びジブチルエーテル0.1部を仕込み、これらを50℃で撹拌しているところに、n-ブチルリチウムのヘキサン溶液(濃度15%)0.18部を添加して重合を開始した。反応開始から0.5時間経過した時点(転化率96%)で、重合反応溶液に混合モノマー76部を1時間かけて連続的に添加し、重合反応を継続させた。混合モノマー添加の終了時(転化率95%)からさらに0.5時間経過した時点で、イソプロピルアルコール0.1部を添加して重合反応を停止させた。このようにして、重合体を得た。この重合体の重量平均分子量(Mw)は、150,000であり、分子量分布(Mw/Mn)は、1.12であった。[0088] 次いで、該重合体を含む反応溶液400質量部に、安定化ニッケル水素化触媒(65%ニッケル担持-アルミナ担体)8部を添加し、それをステンレス鋼製オートクレーブに仕込んだ。オートクレーブ内部を水素ガスで置換し、オートクレーブ内の圧力を4.5MPaに保つように水素を供給し、160℃で6時間水素化反応を行った。次いで、ラジオライト#800を濾過床とする加圧濾過器(製品名:フンダフィルター、IHI社製)を用いて、圧力0.25MPaで加圧濾過して、触媒を除去した無色透明な溶液を得た。[0089] この水素化反応溶液を、アセトン250部とイソプロパノール250部との混合溶液中に攪拌しながら注いで、水素化物を沈澱させ、次いで、濾別して回収した。回収した水素化物を、さらにアセトン200部で洗浄した後、1mmHg以下に減圧した100℃の真空乾燥器で24時間乾燥させ、水素化物(以下、「水素化物(II)」という)を収率99%で得た。水素化物(II)は、水素添加率が99.8%、重量平均分子量(Mw)が100,000、分子量分布(Mw/Mn)が1.28、ガラス転移温度が125℃であった。[0090]〔実施例1〕製造例1で得られた水素化物(Ia1)100部と、6-〔3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロポキシ〕-2,4,8,10-テトラキス-t-ブチルジベンゾ〔d、f〕〔1.3.2〕ジオキサフォスフェピン(以下、「亜リン酸エステル化合物(a1)」という。)0.1部、N,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)-N,N’-ジホルミル-ヘキサメチレンジアミン(以下、「ヒンダードアミン化合物(b1)」という。)0.3部とを2軸混練機で混練して押し出し、ペレット化した樹脂組成物1を得た。樹脂組成物1を用いて、以下に示す方法で成形体を作成し、光線透過率を測定し、屈折率温度依存性及び耐短波長レーザ性の試験を行った。[0091](光線透過率)上記ペレットを80℃で4時間加熱し乾燥させ、次いで射出成形装置を用いて、寸法65mm×65mm×厚さ3mmの平板状の成形体を得た。この成形体の波長400nm、光路長3mmにおける光線透過率を、分光光度計(製品名:V-570、日本分光社製)を用いて測定した。[0092](屈折率温度依存性)上記ペレットを80℃で4時間加熱し乾燥させ、次いで射出成形装置を用いて、寸法90mm×55mm×厚さ5mmの平板状の成形体を得た。得られた成形体の屈折率を自動屈折計(製品名:KPR-200、カルニュー光学工業社製)を用いて、波長587.6nmの屈折率を、試料温度を10℃から60℃まで変化させて測定した。10℃から60℃での屈折率の温度変化率をdn/dTとして求めた。[0093](耐短波長レーザ性)上記寸法65mm×65mm×厚さ3mmの平板状の成形体に、70℃の環境下で、405±10nm、1400mW/cm2のダイオードレーザを1000時間照射した。レーザ照射後の成形体の光線透過率を、分光光度計(製品名「V-570」、日本分光社製)を用いて測定し、レーザ照射前の光線透過率からの低下量を求めた。この低下量が小さいほど耐レーザ性に優れていることを示す。結果を表1に示す。[0094]〔実施例2〕実施例1において、亜リン酸エステル化合物(a1)の添加量を0.1部から0.15部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物2を調製した。次いで、該樹脂組成物2を用いて、実施例1と同様にして成形体を作成し、試験等を行った。結果を表1に示す。[0095]〔実施例3〕実施例1において、亜リン酸エステル化合物(a1)の使用割合を0.1部から0.25部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物3を調製した。次いで、該樹脂組成物3を用いて、実施例1と同様にして成形体を作成し、試験等を行った。結果を表1に示す。[0096]〔実施例4〕実施例2において、更にテトラキス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート(以下、「ヒンダードアミン化合物(b2)」という。)を0.3部添加したこと以外は、実施例2と同様にして樹脂組成物4を調製した。次いで、該樹脂組成物4を用いて、実施例1と同様にして成形体を作成し、試験等を行った。結果を表1に示す。[0097]〔実施例5〕実施例4において、更にペンタエリスリチル-テトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート](以下、「ヒンダードフェノール化合物(c1)」という)を0.05部添加したこと以外は、実施例4と同様にして樹脂組成物5を調製した。次いで、該樹脂組成物5を用いて、実施例1と同様にして成形体を作成し、試験等を行った。結果を表1に示す。[0098]〔実施例6〕実施例4において、製造例2で得られた水素化物(Ia2)を用いたこと以外は、実施例4と同様にして樹脂組成物6を調製した。次いで、該樹脂組成物6を用いて、実施例1と同様にして成形体を作成し、試験等を行った。結果を表1に示す。[0099]〔実施例7〕実施例4において、製造例3で得られた水素化物(Ia3)を用いたこと以外は、実施例4と同様にして樹脂組成物7を調製した。次いで、該樹脂組成物7を用いて、実施例1と同様にして成形体を作成し、試験等を行った。結果を表1に示す。[0100]〔実施例8〕実施例4において、製造例4で得られた重合体(Ib1)を用いたこと以外は、実施例4と同様にして樹脂組成物8を調製した。次いで、該樹脂組成物8を用いて、実施例1と同様にして成形体を作成し、試験等を行った。結果を表1に示す。[0101]〔比較例1〕実施例4において、製造例5で得られた水素化物(II)を用いたこと以外は、実施例4と同様にして樹脂組成物9を調製した。次いで、該樹脂組成物9を用いて、実施例1と同様にして成形体を作成し、試験等を行った。結果を表1に示す。[0102]〔比較例2〕実施例5において、ヒンダードフェノール化合物(c1)を0.05部から0.1部に変更したこと以外は、実施例5と同様にして樹脂組成物10を調製した。次いで、該樹脂組成物10を用いて、実施例1と同様にして成形体を作成し、試験等を行った。結果を表1に示す。[0103]〔比較例3〕実施例5において、ヒンダードフェノール化合物(c1)を0.05部から0.3部に変更したこと以外は、実施例5と同様にして樹脂組成物11を調製した。次いで、該樹脂組成物11を用いて、実施例1と同様にして成形体を作成し、試験等を行った。結果を表1に示す。[0104]〔比較例4〕実施例4において、更にオクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート(以下、「ヒンダードフェノール化合物(c2)」という)を0.3部添加したこと以外は、実施例4と同様にして樹脂組成物12を調製した。次いで、該樹脂組成物12を用いて、実施例1と同様にして成形体を作成し、試験等を行った。結果を表1に示す。[0105]〔比較例5〕実施例4において、亜リン酸エステル化合物(a1)の添加量を0.15部から0.4部に変更したこと以外は、実施例4と同様にして樹脂組成物13を調製した。次いで、該樹脂組成物13を用いて、実施例1と同様にして成形体を作成し、試験等を行った。結果を表1に示す。[0106]〔比較例6〕実施例2において、ヒンダードアミン化合物(b)を添加しなかったこと以外は、実施例2と同様にして樹脂組成物14を調製した。次いで、該樹脂組成物14を用いて、実施例1と同様にして成形体を作成し、試験等を行った。結果を表1に示す。[0107][表1][図:0001395236000006.jpg][0108] 表1から、次のことが分かる。特許文献2に記載されているような、芳香族ビニル単量体の重合体の芳香環水素化物を用いると、屈折率温度依存性が高くなる(実施例1~8と比較例1)。極性基を有しないノルボルネン系重合体に2以上のフェノール性水酸基を有するヒンダードフェノール化合物を0.05部以上添加すると、耐短波長レーザ性に劣る(比較例2、3)。極性基を有しないノルボルネン系重合体に1つのフェノール構造を有する亜リン酸エステル化合物以外のヒンダードフェノール化合物を0.05部以上添加すると、耐短波長レーザ性に劣る(比較例4)。極性基を有しないノルボルネン系重合体に1つのフェノール構造を有する亜リン酸エステル化合物を0.3部以上添加すると、耐レーザ性に劣る(比較例5)。極性基を有しないノルボルネン系重合体に1つのフェノール構造を有する亜リン酸エステル化合物を0.01~0.3部添加しても、ヒンダードアミン化合物が0.05~1.0部添加されていないと耐短波長レーザ性に劣る(比較例6)。本発明の樹脂組成物は、屈折率温度依存性と耐短波長レーザ性のバランスに優れる(実施例1~8)。」
イ 甲2の記載事項
甲2には、次の記載がある。
(甲2a)
「【請求項1】[A]下記の[A-1]、[A-2]、[A-3]および[A-4]から選ばれる環状オレフィン系樹脂:100重量部と、[B]リン系安定剤:0.01~10重量部と、からなる環状オレフィン系樹脂組成物から形成され、放射線滅菌されるかあるいは放射線滅菌された環状オレフィン系樹脂組成物成形体;[A-1]エチレンと下記式[I]または[II]で示される環状オレフィンとを共重合させて得られるエチレン・環状オレフィンランダム共重合体;【化1】[図:0001395236000007.jpg]続きを表示(全13行)(式[I]中、nは0または1であり、mは0または正の整数であり、qは0または1であり、R1~R18ならびにRaおよびRbは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子またはハロゲンで置換されていてもよい炭化水素基であり、R15~R18は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、かつ該単環または多環は二重結合を有していてもよく、またR15とR16とで、またはR17とR18とでアルキリデン基を形成していてもよい。)、【化2】[図:0001395236000008.jpg](式[II]中、pおよびqは0または正の整数であり、mおよびnは0、1または2であり、R1~R19はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、ハロゲンで置換されていてもよい炭化水素基またはアルコキシ基であり、R9またはR10が結合している炭素原子と、R13が結合している炭素原子またはR11が結合している炭素原子とは直接あるいは炭素数1~3のアルキレン基を介して結合していてもよく、またn=m=0のときR15とR12またはR15とR19とは互いに結合して単環または多環の芳香族環を形成していてもよい。)、[A-2]上記式[I]または[II]で表される環状オレフィンの開環重合体または共重合体、[A-3]上記開環重合体または共重合体[A-2]の水素化物、および[A-4]上記[A-1]、[A-2]または[A-3]のグラフト変性物。【請求項2】リン系安定剤[B]が、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)フォスファイト、ペンタエリスリトール系フォスファイトであることを特徴とする請求項1に記載の環状オレフィン系樹脂組成物成形体。【請求項3】成形体が、医療・医薬用成形体または食品用成形体であることを特徴とする請求項1に記載の環状オレフィン系樹脂組成物成形体。」
(甲2b)
「【0001】【発明の技術分野】本発明は、環状オレフィン系樹脂組成物成形体に関し、放射線を照射しても着色あるいは変色したりすることのない環状オレフィン系樹脂組成物成形体に関する。【0002】【発明の技術的背景】環状オレフィンはα-オレフィンなどに比べると嵩高い構造を有しており、この環状オレフィンから得られる環状オレフィン系樹脂は、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのα-オレフィン(共)重合体に比べて、透明性、耐熱性、剛性、防湿性などに優れている。このような環状オレフィン系樹脂は、種々の用途に利用することができるが、特に医療用途たとえばシャーレ、チューブ、注射器などの医療器具、プレフィルドシリンジ、バイアル瓶、目薬瓶などの医薬容器および医薬用具に好適に利用することができる。ところでこのような医療器具および医薬容器は、熱水、スチーム、エチレンオキサイドガスあるいは放射線など種々の方法により滅菌処理されるが、特に近年、この放射線による滅菌処理が増加してきている。しかしながら上記のような環状オレフィン系樹脂の成形体は、電子線などの放射線が照射されると着色あるいは変色することがあった。このため特にこのような医療用途、食品用途に用いられる環状オレフィン系樹脂成形体は、耐放射線性の向上が望まれている。【発明の目的】本発明は、上記のような従来技術に鑑みてなされたものであって、透明性、耐熱性、剛性、防湿性に優れるとともに、耐放射線性にも優れた環状オレフィン系樹脂組成物成形体を提供することを目的としている。」
(甲2c)
「【0074】本発明に係る環状オレフィン系樹脂組成物成形体は、透明性、耐熱性、剛性、防湿性に優れるとともに、耐放射線性にも優れており、従来の環状オレフィン系樹脂からなる成形体に比べて、放射線を照射しても着色または変色しにくい。【0075】このような本発明に係る環状オレフィン系樹脂組成物成形体は、特に耐放射線性に優れているので、放射線により滅菌処理される医薬・医療用途および食品用途に好適に用いることができる。具体的にはたとえば、注射用の液体薬品容器、バイアル、アンプル、プレフィルドシリンジ、輸液用バッグ、固形薬品容器、点眼薬容器、点滴薬容器などの液体または粉体、固体の薬品容器、食品容器、血液検査用のサンプリング用試験管、採血管、検体容器などのサンプル容器、メス、鉗子、ガーゼ、コンタクトレンズなどの医療材料などの滅菌容器、注射器などの医療器具、ビーカー、シャーレ、フラスコなどの実験器具、医療検査用プラスチックレンズなどの光学部品、医療用輸液チューブ、配管、継ぎ手、バルブなどの配管材料、などが例示される。これらの中でもバイアル、プレフィルドシリンジなどが特に好ましい。【0076】放射線滅菌本発明に係る環状オレフィン系樹脂組成物成形体は、放射線滅菌が施されるかあるいは放射線滅菌が施されており、この滅菌処理は使用時に行われても成形時に行われてもよい。本発明に係る環状オレフィン系樹脂組成物成形体に照射することができる放射線としては特に制限されないが、たとえば放射性同位元素から放射されたα線、β線、γ線を挙げることができる。ヴァン・デ・クラーク型電子加速器、コッククロフト・ウォルトン型電子加速器、絶縁変圧器型電子加速器、変圧器型ガス(油)絶縁方式加速器、冷陰極衝撃電圧型電子加速器、線状フィラメント型電子加速器などからの電子線または放射線を挙げることができる。さらにX線、紫外線、遠紫外線、マイクロ波などを挙げることができる。【0077】本発明では、成形体に放射線を照射する方法は特に限定されず、予め所定形状に成形された成形体に放射線を照射してもよく、またインライン方式で環状オレフィン系樹脂組成物を成形すると同時に放射線を照射してもよい。また使用時に放射線を照射してもよい。本発明に係る環状オレフィン系樹脂組成物成形体が医薬容器(用具、包装体)である場合には、薬品類などの内容物が充填された後、完全に密閉された成形体に、放射線を照射して滅菌処理することが好ましい。このような本発明に係る環状オレフィン系樹脂組成物成形体は、必要に応じてさらに熱水またはスチームによる滅菌処理を加えてもよい。」
ウ 甲3の記載事項
甲3には、次の記載がある。
(甲3a)
「[請求項1] 脂環構造含有重合体、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、及びヒンダードアミン化合物、を含有する樹脂組成物であって、前記ヒンダードフェノール系酸化防止剤が、下記式(1)[化1][図:0001395236000009.jpg]続きを表示(全33行)(R1、R2は、それぞれ独立に、炭素数が1以上の基を表し、R1とR2を構成する炭素数の合計は、2~20である。*は結合手を表す。)で示される基を有する化合物であり、前記ヒンダードアミン化合物が、分子内に、下記式(2)[化2][図:0001395236000010.jpg](R3は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、又はアシル基を表し、水素原子が好ましい。R4~R7は、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、又はアラルキル基を表し、*は、結合手を表す。で示される基を有する化合物であって、前記ヒンダードフェノール系酸化防止剤の含有量が、脂環構造含有重合体100重量部に対して、0.1重量部以上2.0重量部以下であり、前記ヒンダードアミン化合物の含有量が、脂環構造含有重合体100重量部に対して、0重量部超1.0重量部以下である樹脂組成物。[請求項2] 前記ヒンダードアミン化合物が、下記式(2a)[化3][図:0001395236000011.jpg](nは任意の自然数を表し、Meはメチル基を示し、n-Buはノルマルブチル基を示す。)で示される化合物であって、前記ヒンダードフェノール系酸化防止剤の含有量が、脂環構造含有重合体100重量部に対して、0.1重量部以上1.0重量部以下であり、前記ヒンダードアミン化合物の含有量が、脂環構造含有重合体100重量部に対して、0重量部超0.2重量部以下である、請求項1に記載の樹脂組成物。[請求項3] 少なくとも、脂環構造含有重合体、硫黄原子及び/又はリン原子を有していてもよいヒンダードフェノール系酸化防止剤、並びにヒンダードアミン化合物、を配合してなり、硫黄原子及び/又はリン原子を有するヘテロ原子含有化合物(ただし、前記ヒンダードフェノール系酸化防止剤を除く)を含有していてもよい樹脂組成物であって、前記ヒンダードフェノール系酸化防止剤の配合量が、脂環構造含有重合体100重量部に対して0.1~2.0重量部、前記ヒンダードアミン化合物の配合量が、脂環構造含有重合体100重量部に対して0.005~1.0重量部、前記ヘテロ原子含有化合物の配合量が、脂環構造含有重合体100重量部に対して0.05重量部以下である、請求項1に記載の樹脂組成物。[請求項4] 前記ヒンダードアミン化合物の配合量が、脂環構造含有重合体100重量部に対して0.1~1.0重量部である、請求項3に記載の樹脂組成物。[請求項5] 前記ヒンダードフェノール系酸化防止剤が、硫黄原子とリン原子のいずれも有しない化合物である、請求項3又は4に記載の樹脂組成物。[請求項6] 前記脂環構造含有重合体が、ノルボルネン系重合体である、請求項1~5のいずれかに記載の樹脂組成物。[請求項7] 請求項1~6のいずれかに記載の樹脂組成物を成形してなる樹脂成形体。[請求項8] 前記樹脂成形体を材料として用いて光路長が3mmの試験片を作製し、得られた試験片を、酸素濃度が21体積%、温度が125℃の条件下に1,000時間静置して耐熱試験を行ったときに、下記式(I)で表される黄変度(ΔδYI)が20以下であることを特徴とする、請求項7に記載の樹脂成形体。[数1][図:0001395236000012.jpg]〔δYI1は、耐熱試験後の試験片の黄色度(YI1)とブランク(空気)の黄色度(YIB)の差を表し、δYI0は、耐熱試験前の試験片の黄色度(YI0)とブランク(空気)の黄色度(YIB)の差を表す。〕[請求項9] 請求項7又は8に記載の樹脂成形体からなる光学部材。」
(甲3b)
「[0001] 本発明は、成形時の焼けが生じにくく、長期耐熱黄変性(高温下に長期間置かれたときでも黄色に変色しにくい性質)に優れ、かつ、帯電による異物の付着が抑制された樹脂組成物、この樹脂組成物を成形して得られる樹脂成形体、及び、この樹脂成形体からなる光学部材に関する。背景技術[0002] 近年、自動車等においては、周囲の状況把握や走行情報等の記録を目的として、車内にカメラ等を設置することが行われてきている。また、自動車等の車内は、季節によっては非常に高温になるため、そのようなカメラに用いられるレンズには、透明性等の光学特性に優れることに加えて、耐熱黄変性にも優れることが求められる。続きを表示(全25行)[0003] 従来、透明性等に優れる樹脂として、脂環構造含有重合体が知られている。また、脂環構造含有重合体と、酸化防止剤や光安定剤等の各種添加剤を組み合わせて用いることで、優れた光学特性を示す樹脂成形体が得られることも知られている。例えば、特許文献1には、極性基を有しないノルボルネン系重合体、1つのフェノール構造を有する亜リン酸エステル化合物、及び、ヒンダードアミン化合物が配合されてなる特定の樹脂組成物や、この樹脂組成物を成形してなる樹脂成形体が記載されている。また、この文献には、その樹脂成形体が、青紫色レーザ等の短波長レーザ光に対して十分な光安定性を有することも記載されている。先行技術文献特許文献[0004]特許文献1:国際公開第2012/043721号パンフレット発明の概要発明が解決しようとする課題[0005] 上記のように、脂環構造含有重合体と各種添加剤を含有する樹脂組成物を用いることで、光学特性に優れ、自動車等の車内に設置されるカメラのレンズ等として有用な樹脂成形体を得ることができる。しかしながら、脂環構造含有重合体と各種添加剤を含有する樹脂組成物を原料として用いる場合において、樹脂組成物の成形時に焼けが生じたり、長期耐熱黄変性に優れる樹脂成形体が得られなかったりすることがあった。また、脂環構造含有重合体と各種添加剤を含有する樹脂組成物を原料として用いる場合であっても、耐熱黄変性に優れる樹脂成形体が得られないことがあった。[0006] 本発明は、上記した実情に鑑みてなされたものであり、第1に、成形時の焼けが生じにくく、長期耐熱黄変性に優れ、かつ、帯電による異物の付着が抑制された樹脂組成物、この樹脂組成物を成形して得られる樹脂成形体、及び、この樹脂成形体からなる光学部材を提供することを目的とする。本発明は、第2に、光学特性に優れることに加えて、耐熱黄変性にも優れる樹脂成形体、及び、この樹脂成形体からなる光学部材を提供することを目的とする。課題を解決するための手段[0007] 本発明者らは、上記課題を解決すべく、脂環構造含有重合体、フェノール系酸化防止剤及び、ヒンダードアミン系光安定剤を含有する樹脂組成物と、この樹脂組成物を用いて得られる樹脂成形体について鋭意検討した。その結果、樹脂組成物や樹脂成形体が耐熱試験において黄変する原因として、樹脂成分の酸化劣化によるものと、添加剤の劣化によるものがあるという知見を得た。さらに詳細に検討した結果、(i)フェノール系酸化防止剤には、成形時の焼けを防止したり、高温条件下における樹脂成分の黄変を防止したりする機能がある一方で、条件によってはフェノール系酸化防止剤自体が劣化し、結果的に樹脂組成物や樹脂成形体を黄変させること、(ii)フェノール系酸化防止剤とヒンダードアミン化合物を併用することは、フェノール系酸化防止剤自体の劣化による樹脂組成物や樹脂成形体の黄変防止に効果的であること、(iii)一方で、ヒンダードアミン化合物の添加量を多くすると、得られる樹脂組成物や樹脂成形体の耐熱黄変性が悪化し、さらには、樹脂組成物や樹脂成形体は帯電し易くなり、異物の付着が問題になることがわかった。また、本発明者らは、少なくとも、脂環構造含有重合体、硫黄原子及び/又はリン原子を有していてもよいヒンダードフェノール系酸化防止剤、並びにヒンダードアミン化合物を、それぞれ特定量配合してなり、硫黄原子及び/又はリン原子を有するヘテロ原子含有化合物(ただし、前記ヒンダードフェノール系酸化防止剤を除く)の配合量が特定量以下である樹脂組成物が、光学特性に優れることに加えて、耐熱黄変性に優れる樹脂成形体の製造原料として適することを見出した。そして、これらの知見に基づいて、本発明を完成させるに至った。・・・発明の効果[0018] 本発明によれば、成形時の焼けが生じにくく、長期耐熱黄変性に優れ、かつ、帯電による異物の付着が抑制された樹脂組成物、この樹脂組成物を成形して得られる樹脂成形体、及び、この樹脂成形体からなる光学部材が提供される。また、本発明によれば、光学特性に優れ、しかも耐熱黄変性にも優れる樹脂成形体、及び、この樹脂成形体からなる光学部材が提供される。」
(甲3c)
「発明を実施するための形態[0020] 以下、本発明を、1)樹脂組成物、並びに、2)樹脂成形体及び光学部材、に項分けして詳細に説明する。[0021]1)樹脂組成物本発明の樹脂組成物は、続きを表示(全48行)(i)脂環構造含有重合体、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、及びヒンダードアミン化合物、を含有する樹脂組成物であって、(ii)前記ヒンダードフェノール系酸化防止剤が、前記式(1)で示される基を有する化合物であり、(iii)前記ヒンダードアミン化合物が、分子内に、前記式(2)で示される基を有する化合物であり、(iv)前記ヒンダードフェノール系酸化防止剤の含有量が、脂環構造含有重合体100重量部に対して、0.1重量部以上2.0重量部以下であり、(v)前記ヒンダードアミン化合物の含有量が、脂環構造含有重合体100重量部に対して、0重量部超1.0重量部以下である、ことを特徴とする。[0022]〔脂環構造含有重合体〕本発明の樹脂組成物を構成する脂環構造含有重合体は、主鎖及び/又は側鎖に脂環構造を有する重合体である。なかでも、機械的強度、耐熱性等に優れる樹脂成形体が得られ易いことから、主鎖に脂環構造を有するものが好ましい。脂環構造としては、飽和環状炭化水素(シクロアルカン)構造、不飽和環状炭化水素(シクロアルケン)構造等が挙げられる。なかでも、機械的強度、耐熱性等に優れる樹脂成形体が得られ易いことから、シクロアルカン構造やシクロアルケン構造が好ましく、シクロアルカン構造がより好ましい。脂環構造を構成する炭素原子数は、特に限定されないが、通常4~30個、好ましくは5~20個、より好ましくは5~15個の範囲である。脂環構造を構成する炭素原子数がこれらの範囲内であることで、機械的強度、耐熱性、及び成形性等の特性がより高度にバランスされた樹脂成形体が得られ易くなる。[0023] 脂環構造含有重合体中の脂環構造を有する繰り返し単位の割合は、使用目的に応じて適宜選択することができる。この繰り返し単位の割合は、全繰り返し単位に対して、通常30重量%以上、好ましくは50重量%以上、より好ましくは70重量%以上である。脂環構造含有重合体中の脂環構造を有する繰り返し単位の割合が30重量%以上であることで、耐熱性、透明性等に優れる樹脂成形体が得られ易くなる。脂環構造含有重合体中の脂環構造を有する繰り返し単位以外の残部は、特に限定されず、使用目的に応じて適宜選択される。[0024] 脂環構造含有重合体の重量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、通常、5,000~500,000、好ましくは8,000~200,000、より好ましくは10,000~100,000である。脂環構造含有重合体の重量平均分子量(Mw)がこれらの範囲内であることで、樹脂成形体の機械的強度と、樹脂成形体を製造する際の成形加工性とがより高度にバランスされる。脂環構造含有重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、特に限定されないが、通常、1.0~4.0、好ましくは1.0~3.0、より好ましくは1.0~2.5である。脂環構造含有重合体の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、例えば、シクロヘキサンを溶媒としてゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)を行い、標準ポリイソプレン換算値として求めることができる。[0025] 脂環構造含有重合体のガラス転移温度(Tg)は、特に限定されないが、通常、100~200℃、好ましくは130~170℃である。脂環構造含有重合体のガラス転移温度(Tg)が100℃以上であることで、耐熱性に優れる樹脂成形体が得られ易くなる。また、脂環構造含有重合体のガラス転移温度(Tg)が200℃以下の脂環構造含有重合体を含有する樹脂組成物は溶融時に十分な流動性を有し、成形性に優れる。ガラス転移温度(Tg)は、JIS K 7121に基づいて測定することができる。脂環構造含有重合体は、非晶性樹脂(融点を有しない樹脂)であることが好ましい。脂環構造含有重合体が非晶性樹脂であることで、より透明性に優れる樹脂成形体が得られ易くなる。[0026] 脂環構造含有重合体の具体例としては、(a)ノルボルネン系重合体、(b)単環の環状オレフィン系重合体、(c)環状共役ジエン系重合体、(d)ビニル脂環式炭化水素系重合体等が挙げられる。これらの中でも、耐熱性、機械的強度に優れる樹脂成形体が得られ易いことから、ノルボルネン系重合体が好ましい。なお、本明細書において、これらの重合体は、重合反応生成物だけでなく、その水素化物も意味するものである。[0027](a)ノルボルネン系重合体ノルボルネン系重合体は、ノルボルネン骨格を有する単量体であるノルボルネン系単量体を重合して得られる重合体又はその水素化物である。ノルボルネン系重合体としては、ノルボルネン系単量体の開環重合体、ノルボルネン系単量体とこれと開環共重合可能なその他の単量体との開環重合体、これらの開環重合体の水素化物、ノルボルネン系単量体の付加重合体、ノルボルネン系単量体とこれと共重合可能なその他の単量体との付加重合体等が挙げられる。[0028] ノルボルネン系単量体としては、ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(慣用名:ノルボルネン)及びその誘導体(環に置換基を有するもの)、トリシクロ[4.3.01,6.12,5]デカ-3,7-ジエン(慣用名:ジシクロペンタジエン)及びその誘導体(環に置換基を有するもの)、テトラシクロ[9.2.1.02,10.03,8]テトラデカ-3,5,7,12-テトラエン、(メタノテトラヒドロフルオレン:1,4-メタノ-1,4,4a,9a-テトラヒドロフルオレンともいう)及びその誘導体(環に置換基を有するもの)、テトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]ドデカ-3-エン(慣用名:テトラシクロドデセン)及びその誘導体(環に置換基を有するもの)、等が挙げられる。置換基としては、アルキル基、アルキレン基、ビニル基、アルコキシカルボニル基、アルキリデン基等が挙げられる。置換基を有するノルボルネン系単量体としては、8-メトキシカルボニル-テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ-3-エン、8-メチル-8-メトキシカルボニル-テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ-3-エン、8-エチリデン-テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ-3-エン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらのノルボルネン系単量体は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。[0029] ノルボルネン系単量体と開環共重合可能なその他の単量体としては、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン、及びこれらの誘導体(環に置換基を有するもの)等の単環の環状オレフィン系単量体等が挙げられる。これらの置換基としては、ノルボルネン系単量体の置換基として示したものと同様のものが挙げられる。[0030]ノルボルネン系単量体と付加共重合可能なその他の単量体としては、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン等の炭素数2~20の、α-オレフィン及びこれらの誘導体(置換基を有するもの);シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクテン等の、シクロオレフィン及びこれらの誘導体(環に置換基を有するもの);1,4-ヘキサジエン、4-メチル-1,4-ヘキサジエン、5-メチル-1,4-ヘキサジエン、1,7-オクタジエン等の非共役ジエン;等が挙げられる。これらの中でも、α-オレフィンが好ましく、エチレンが特に好ましい。これらの置換基としては、ノルボルネン系単量体の置換基として示したものと同様のものが挙げられる。[0031] ノルボルネン系単量体の開環重合体、又はノルボルネン系単量体とこれと開環共重合可能なその他の単量体との開環重合体は、単量体成分を、公知の開環重合触媒の存在下で重合させることにより合成することができる。開環重合触媒としては、ルテニウム、オスミウム等の金属のハロゲン化物と、硝酸塩又はアセチルアセトン化合物、及び還元剤とからなる触媒、あるいは、チタン、ジルコニウム、タングステン、モリブデン等の金属のハロゲン化物又はアセチルアセトン化合物と、有機アルミニウム化合物とからなる触媒等が挙げられる。[0032] ノルボルネン系単量体の開環重合体水素化物は、通常、上記開環重合体の重合溶液に、ニッケル、パラジウム等の遷移金属を含む公知の水素化触媒を添加し、炭素-炭素不飽和結合を水素化することにより得ることができる。[0033] ノルボルネン系単量体の付加重合体、又はノルボルネン系単量体とこれと共重合可能なその他の単量体との付加重合体は、単量体成分を、公知の付加重合触媒の存在下で重合させることにより合成することができる。付加重合触媒としては、例えば、チタン、ジルコニウム又はバナジウム化合物と有機アルミニウム化合物とからなる触媒が挙げられる。[0034] これらのノルボルネン系重合体の中でも、耐熱性、機械的強度等に優れる樹脂成形体が得られ易いことから、ノルボルネン系単量体の開環重合体水素化物が好ましく、ノルボルネン系単量体として、テトラシクロ[9.2.1.02,10.03,8]テトラデカ-3,5,7,12-テトラエンを用いたノルボルネン系単量体の開環重合体水素化物がより好ましい。ノルボルネン系重合体中の、テトラシクロ[9.2.1.02,10.03,8]テトラデカ-3,5,7,12-テトラエン由来の繰り返し単位の量は、50重量%以上が好ましく、70重量%以上がより好ましい。[0035](b)単環の環状オレフィン系重合体単環の環状オレフィン系重合体としては、例えば、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン等の単環の環状オレフィン系単量体の、付加重合体が挙げられる。これらの付加重合体の合成方法は特に限定されず、公知の方法を適宜利用することができる。[0036](c)環状共役ジエン系重合体環状共役ジエン系重合体としては、例えば、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン等の環状共役ジエン系単量体を1,2-又は1,4-付加重合した重合体及びその水素化物等が挙げられる。これらの付加重合体の合成方法は特に限定されず、公知の方法を適宜利用することができる。[0037](d)ビニル脂環式炭化水素系重合体ビニル脂環式炭化水素系重合体としては、例えば、ビニルシクロヘキセン、ビニルシクロヘキサン等のビニル脂環式炭化水素系単量体の重合体及びその水素化物;スチレン、α-メチルスチレン等のビニル芳香族系単量体の重合体の芳香環部分の水素化物;等が挙げられる。また、ビニル脂環式炭化水素系重合体は、ビニル脂環式炭化水素系単量体やビニル芳香族系単量体と、これらの単量体と共重合可能な他の単量体との共重合体であってもよい。かかる共重合体としては、ランダム共重合体、ブロック共重合体等が挙げられる。これらの重合体の合成方法は特に限定されず、公知の方法を適宜利用することができる。」
(甲3d)
「[0038]〔ヒンダードフェノール系酸化防止剤〕本発明の樹脂組成物を構成するヒンダードフェノール系酸化防止剤は、下記式(1)で示される基を有する化合物であって、パーオキシラジカル(ROO・)を捕捉し得るものである。[0039][化4][図:0001395236000013.jpg]続きを表示(全42行)[0040] 式(1)中、R1、R2は、それぞれ独立に、炭素数が1以上の基を表し、R1とR2を構成する炭素数の合計は、2~20であり、好ましくは3~15、より好ましくは5~10である。*は結合手を表す。R1、R2としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基等のアルキル基が挙げられる。また、R1、R2は、これらのアルキル基の炭素-炭素結合間に硫黄原子が挿入されてなるものであってもよい。ヒンダードフェノール系酸化防止剤に含まれる前記式(1)で示される基の数は特に限定されず、通常1~10、好ましくは1~5である。[0041] ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、分子内に硫黄原子やリン原子を有するものであってもよいし、有しないものであってもよいが、耐熱黄変性により優れる樹脂成形体が得られ易いことから、分子内に硫黄原子とリン原子のいずれも有しないものが好ましい。[0042] 分子内に硫黄原子とリン原子のいずれも有しないヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシトルエン、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート等の、前記式(1)で示される基の数が1の化合物;トリエチレングリコール-ビス〔3-(3-t-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール-ビス〔3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6-ヘキサンジオール-ビス〔3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕等の、前記式(1)で示される基の数が2の化合物;1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン等の、前記式(1)で示される基の数が3の化合物;ペンタエリスリトール-テトラキス〔3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕等の、前記式(1)で示される基の数が4の化合物;等が挙げられる。これらの中でも、ペンタエリスリトール-テトラキス〔3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕が好ましい。[0043] 分子内に硫黄原子及び/又はリン原子を有するヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、2,2’-チオジエチルビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、6-t-ブチル-4-[3-(2,4,8,10-テトラ-t-ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン-6-イルオキシ)プロピル]-o-クレゾール等が挙げられる。[0044] ヒンダードフェノール系酸化防止剤の分子量は、好ましくは200~1,500、より好ましくは500~1,300である。分子量が上記範囲内のヒンダードフェノール系酸化防止剤を用いることで、成形時の焼けがより生じにくく、かつ、長期耐熱黄変性により優れる樹脂組成物を得ることができる。[0045]〔ヒンダードアミン化合物〕本発明の樹脂組成物を構成するヒンダードアミン化合物は、分子内に、下記式(2)で示される基を有する化合物であって、光安定剤として機能し得るものである。[0046][化5][図:0001395236000014.jpg][0047] 式(2)中、R3は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、又はアシル基を表し、水素原子が好ましい。R4~R7は、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、又はアラルキル基を表し、アルキル基が好ましい。*は、結合手を表す。[0048] R3~R7のアルキル基の炭素数は1~15が好ましく、1~10がより好ましい。R3~R7のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基、n-デシル基等が挙げられる。R3~R7のシクロアルキル基の炭素数は3~15が好ましく、3~10がより好ましい。R3~R7のクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、ノルボルニル基等が挙げられる。R3~R7のアラルキル基の炭素数は7~15が好ましく、7~12がより好ましい。R3~R7のアラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基等が挙げられる。R3~R7のアシル基の炭素数は2~15が好ましく、2~8がより好ましい。R3~R7のアシル基としては、アセチル基、プロパノイル基、ブタノイル基、ペンタノイル基、ベンゾイル基等が挙げられる。これらの基は、アルコキシ基、ハロゲン原子等の置換基を有するものであってもよい。[0049] ヒンダードアミン化合物は、低分子量型の化合物であってもよいし、高分子量型の化合物であってもよい。低分子量型のヒンダードアミン化合物としては、1-[2-〔3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]-4-〔3-3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、2-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-2-n-ブチルマロン酸-ビス-(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)、N,N’,N’’,N’’’-テトラキス-(4,6-ビス(ブチル-(N-メチル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)アミノ)-トリアジン-2-イル)-4,7-ジアザデカン-1,10-アミン、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(N-メチル-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル/トリデシル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル/トリデシル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート等が挙げられる。[0050] 高分子量型のヒンダードアミン化合物としては、ジブチルアミン、2,4,6-トリクロロ-1,3,5-トリアジン、N,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル-1,6-ヘキサメチレンジアミン、N-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物、ジブチルアミン、2,4,6-トリクロロ-1,3,5-トリアジン、N,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ブチルアミンとの重縮合物、ポリ〔{(1,1,3,3-テトラメチルブチル)アミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル}{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}〕、1,6-ヘキサンジアミン-N,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)とモルフォリン-2,4,6-トリクロロ-1,3,5-トリアジンとの重縮合物、ポリ〔(6-モルフォリノ-s-トリアジン-2,4-ジイル)〔(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ〕-ヘキサメチレン〔(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ〕、コハク酸ジメチルと4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジンエタノールとの重合物、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジノールと3,9-ビス(2-ヒドロキシ-1,1-ジメチルエチル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンとの混合エステル化物、ポリ[{6-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)アミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル}{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}]、下記式(2a)で示さる化合物等が挙げられる。これらの中でも、成形時の焼けが生じにくく、長期耐熱黄変性に優れ、且つ、帯電による異物の付着が抑制された樹脂組成物が得られる観点から、下記式(2a)で示さる化合物が特に好ましい。[0051][化6][図:0001395236000015.jpg][0052] 式(2a)中、nは任意の自然数を表し、Meはメチル基を示し、n-Buはノルマルブチル基を示す。式(2a)で示されるヒンダードアミン化合物の分子量は、好ましくは1,000~5,000、より好ましくは2,000~4,000である。分子量が上記範囲内のヒンダードアミン化合物を用いることで、成形時の焼けが生じにくく、かつ、長期耐熱黄変性に優れる樹脂組成物を得ることができる。[0053] 式(2a)で示される化合物は、例えば、ジブチルアミン、2,4,6-トリクロロ-1,3,5-トリアジン、N,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル-1,6-ヘキサメチレンジアミン、N-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ブチルアミンを重縮合することにより合成することができる。また、式(2a)で示される化合物として、CHIMASSORB 2020 FDL(BASF社製)等の市販品を用いることもできる。」
(甲3e)
「[0064] 樹脂組成物は、本発明の効果を妨げない範囲において、脂環構造含有重合体以外の高分子化合物や、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン化合物以外の添加剤を含有するものであってもよい。ただし、樹脂組成物が、〔硫黄原子及び/又はリン原子を有するヘテロ原子含有化合物(ただし、前記ヒンダードフェノール系酸化防止剤を除く)〕(以下、この化合物を「ヘテロ原子含有化合物」ということがある。)を含有する場合、樹脂組成物を調製する際の、ヘテロ原子含有化合物の配合量は、脂環構造含有重合体100重量部に対して0.05重量部以下であり、好ましくは0.02重量部以下、より好ましくは0.01重量部以下である。ヘテロ原子含有化合物の配合量が脂環構造含有重合体100重量部に対して0.05重量部を超えるときは、得られる樹脂成形体は、耐熱黄変性に劣り易くなる。」
(甲3f)
「[0091] 本発明の樹脂成形体は、本発明の樹脂組成物からなるものであり、帯電による異物の付着が抑制され、成形時の焼けが生じにくく、かつ、長期耐熱黄変性に優れる。したがって、本発明の樹脂成形体は、光学レンズ、プリズム、導光体等の光学部材として、好適に用いられる。なかでも、自動車の車内に設置されるカメラに用いられるレンズ等の光学部材として特に好ましく用いられる。[0092] 本発明の樹脂成形体は、光学レンズ、プリズム、導光体等の光学部材として、好適に用いられる。なかでも、自動車の車内に設置されるカメラに用いられるレンズ等の光学部材として特に好ましく用いられる。」
(甲3g)
「実施例[0093] 以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明する。なお、本発明はこれらの例に何ら限定されるものではない。以下において、「部」及び「%」は特に断りのない限り、重量基準である。[0094] 各種の物性の測定は、下記の方法に従って行った。(1)重量平均分子量続きを表示(全150行)製造例において、重合体の重量平均分子量(Mw)は、シクロヘキサンを溶媒とするゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により測定し、標準ポリイソプレン換算値として求めた。標準ポリイソプレンとしては、東ソー社製標準ポリイソプレン(Mw=602、1390、3920、8050、13800、22700、58800、71300、109000、280000)を用いた。測定は、東ソー社製カラム(TSKgelG5000HXL、TSKgelG4000HXL及びTSKgel G2000HXL)を3本直列に繋いで用い、流速1.0mL/分、サンプル注入量100μL、カラム温度40℃の条件で行った。[0095](2)ガラス転移温度(Tg)ガラス転移温度は示差走査熱量分析計(DSC6220SII、ナノテクノロジー社製)を用いて、JISK6911に基づき昇温速度10℃/分の条件で測定した。[0096](3)耐熱黄変性試験実施例又は比較例で得た樹脂成形体を試験片として用いて、以下の方法により耐熱黄変性試験を行った。[耐熱黄変性試験(1)]JISK7373に準拠して、色差計(製品名「SE-2000」、日本電色工業社製)を用いて、試験片の黄色度(YI:イエローインデックス)を透過モードにて測定した。なお、このとき、ブランクとして空気のみの黄色度を測定した。次いで、試験片を、酸素濃度が21体積%、温度が125℃の条件下に、1,000時間静置して耐熱試験を行った後、上記と同様にして、黄色度を測定した。次いで、前記式(I)に基づいて、黄変度(ΔδYI)を求めた。△δYIが小さいほど、高温下での黄変が少なく耐熱性が良好であることを意味する。[0097][耐熱黄変性試験(2)]試験片の加熱条件を、酸素濃度が21体積%、温度が135℃の条件下で480時間に変更したことを除き、耐熱黄変性試験(1)と同様にして試験を行った。[0098](4)酸化開始温度実施例又は比較例で得た樹脂組成物について熱重量測定を行い、酸化開始温度を測定した。測定結果に基づき、以下の基準により、成形時の焼けの抑制効果を評価した。○(良好):酸化開始温度が240℃以上×(不良):酸化開始温度が240℃未満[0099]〔製造例1〕脂環構造含有重合体(I)の製造内部を乾燥し、窒素置換した重合反応器に、ジシクロペンタジエン10%、テトラシクロドデセン75%、メタノテトラヒドロフルオレン15%からなる単量体混合物2.0部(重合に使用するモノマー全量に対して1%)、脱水シクロヘキサン785部、分子量調節剤(1-ヘキセン)1.21部、ジエチルアルミニウムエトキシドのn-ヘキサン溶液(濃度:19%)0.98部、及びタングステン(フェニルイミド)テトラクロリド・テトラヒドロフランのトルエン溶液(濃度:2.0%)11.7部を入れ、50℃で10分間攪拌した。次いで、全容を50℃に保持し、攪拌しながら、前記重合反応器中に、前記組成と同じ単量体混合物198.0部を150分かけて連続的に滴下した。滴下終了後30分間攪拌を継続した後、イソプロピルアルコール4部を添加して重合反応を停止させた。ガスクロマトグラフィーによって重合反応溶液を測定したしたところ、単量体の重合体への転化率は100%であった。得られた重合反応溶液中の重合体の数平均分子量(Mn)は14,000、重量平均分子量(Mw)は24,000、分子量分布(Mw/Mn)は1.7であった。この重合反応溶液240部に珪藻土担持ニッケル触媒(日揮化学社製;「T8400RL」、ニッケル担持率58%)4部を加え、オートクレーブ中、4.4MPa、190℃で5時間、水素化反応を行った。水素化反応後、水素化反応溶液中の触媒残渣を濾別し、無色透明の溶液(水素化反応溶液I)を得た。水素化反応における水添率は99%以上であった。アセトン250部とイソプロパノール250部との混合溶液を攪拌しながら、この混合溶液中に水素化反応溶液Iを注いで重合体水素化物を析出させ、これを濾取した。得られた重合体水素化物を、アセトン200部で洗浄した後、0.13kPa以下に減圧した100℃の真空乾燥器で24時間乾燥させた。得られた重合体水素化物〔脂環構造含有重合体(I)〕の数平均分子量(Mn)は13,700、重量平均分子量(Mw)は23,300、分子量分布(Mw/Mn)は1.7で、ガラス転移温度(Tg)は152℃であった。[0100]〔製造例2〕脂環構造含有重合体(II)の製造内部を乾燥し、窒素置換した重合反応器に、トルエン960部、テトラシクロドデセン220部、及び1-ヘキセン0.166部を反応器に仕込み、回転数300~350rpmで攪拌しながら溶媒温度を40℃に昇温した。一方で、トルエン23.5部、rac-エチレンビス(1-インデニル)ジルコニウムジクロリド0.044部、メチルアルミノキサン9.0%トルエン溶液(東ソー・ファインケム社製:TMAO-200シリーズ)6.22部をガラス容器にて混合して触媒液を得た。前記反応器中の溶媒温度が40℃に達したところで、前記触媒液を反応器に添加し、その後直ちに0.08MPaのエチレンガスを液相に導入し、重合を開始した。エチレン噴出し口の位置は、反応器の底と液面との距離(A)と、エチレン噴出し口と液面との距離(B)との比(B)/(A)が0.60である。エチレンガスが消費されると、自動的にエチレンガスが供給されるようにして、エチレンガスの圧力を一定に保った。30分間経過した後、エチレンガスの導入を停止し、脱圧し、次いでメタノール5部を添加し重合反応を停止させた。得られた反応溶液をラジオライト#800で濾過し、0.05%の塩酸を含むイソプロパノール中に注いで重合体を析出させた。析出した重合体を分取、洗浄し、100℃で15時間減圧乾燥した。得られた重合体〔脂環構造含有重合体(II)〕の数平均分子量(Mn)は22,000、重量平均分子量(Mw)は56,000、分子量分布(Mw/Mn)は2.6で、ガラス転移温度(Tg)は145℃であった。[0101]〔参考例1〕製造例1で得た脂環構造含有重合体(I)100部、ヒンダードフェノール系酸化防止剤として、ペンタエリスリトール-テトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート](BASF社製、製品名「イルガノックス(登録商標)1010」)(以下、「ヒンダードフェノール系酸化防止剤(1)」又は「H.P.」ということがある。)0.20部を2軸混練機で混練して押し出し、ペレット化した樹脂組成物1を得た。上記ペレットを80℃で4時間加熱して乾燥させ、次いで射出成形機(ファナック社製、ロボショットα-100B)に投入し、シリンダー温度280℃で射出成形し、65mm×65mm×3mmの平板状の樹脂成形体1を得た。得られた樹脂成形体1を試験片として用いて、長期耐熱黄変性試験(1)を行った。結果を第1表に示す。[0102]〔参考例2~3〕ヒンダードフェノール系酸化防止剤(1)の含有量を第1表に記載の量に変更したこと以外は、参考例1と同様にして樹脂組成物2~3を調製し、これを用いて樹脂成形体2~3を得て、長期耐熱黄変性試験(1)を行った。結果を第1表に示す。[0103] 〔参考例4〕製造例1で得た重合体水素化物100部、ヒンダードフェノール系酸化防止剤として、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(1)0.20部、ヒンダードアミン化合物として、ジブチルアミン、2,4,6-トリクロロ-1,3,5-トリアジン、N,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル-1,6-ヘキサメチレンジアミン、N-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物(BASF社製 製品名「CHIMASSORB (登録商標)2020 FDL」)(以下、「ヒンダードアミン化合物(1)」又は「H.A.」ということがある。)0.30部を2軸混練機で混練して押し出し、ペレット化した樹脂組成物4を調製し。これを用いて樹脂成形体4を得、長期耐熱黄変性試験(1)を行った。結果を第1表に示す。[0104]〔参考例5~9〕ヒンダードフェノール系酸化防止剤(1)とヒンダードアミン化合物(1)の含有量を第1表に記載の量に変更したこと以外は、参考例4と同様にして樹脂組成物5~9を調製し、これを用いて樹脂成形体5~9を得、長期耐熱黄変性試験(1)を行った。結果を第1表に示す。また、参考例1~9の長期耐熱黄変性試験(1)の結果をまとめたグラフを図1に示す。[0105][表1][図:0001395236000016.jpg][0106] 第1表及び図1から以下のことが分かる。ヒンダードアミン化合物(1)を含有しない樹脂組成物1~3(参考例1~3)においては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(1)の含有量が増加するにしたがって、△δYIが小さくなる。一方、ヒンダードアミン化合物(1)を含有する樹脂組成物4~9(参考例4~9)においては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(1)の含有量が増加するにしたがって、△δYIが大きくなる。このように、ヒンダードアミン化合物の有無という違いにより、樹脂組成物の黄変性に関するヒンダードフェノール系酸化防止剤の影響が大きく異なることが分かる。これらのことから、ヒンダードアミン化合物を含有しない樹脂組成物においては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤の含有量が多くなるにつれて樹脂がより劣化し難くなり、黄変がより抑えられていると考えられる。一方、ヒンダードアミン化合物を含有する樹脂組成物においては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤の含有量が多くなるにつれてヒンダードフェノール系酸化防止剤の劣化物も多くなり、これにより試験片が黄変していると考えられる。[0107]〔実施例1~9〕ヒンダードフェノール系酸化防止剤(1)とヒンダードアミン化合物(1)の含有量を第2表に記載の量に変更したこと以外は、参考例4と同様にして樹脂組成物10~18を調製し、これを用いて樹脂成形体10~18を得、長期耐熱黄変性試験(2)と酸化開始温度の測定を行った。結果を第2表に示す。[0108]〔実施例10~11〕脂環構造含有重合体(I)に代えて、脂環構造含有重合体(II)を使用したことと、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(1)とヒンダードアミン化合物(1)の含有量を第2表に記載の量に変更したこと以外は、参考例4と同様にして樹脂組成物19~20を調製し、これを用いて樹脂成形体19~20を得、長期耐熱黄変性試験(2)と酸化開始温度の測定を行った。結果を第2表に示す。[0109]〔比較例1~6〕ヒンダードフェノール系酸化防止剤(1)とヒンダードアミン化合物(1)の含有量を第2表に記載の量に変更したこと以外は、参考例4と同様にして樹脂組成物21~26を調製し、これを用いて樹脂成形体21~26を得、長期耐熱黄変性試験(2)と酸化開始温度の測定を行った。結果を第2表に示す。また、実施例1~9、比較例1~6の長期耐熱黄変性試験(2)の結果をまとめたグラフを図2に示す。[0110][表2][図:0001395236000017.jpg][0111] 第2表及び図2から以下のことが分かる。実施例1~11の樹脂組成物10~20は、長期耐熱黄変性に優れている。この長期耐熱黄変性は、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(1)を十分に含有しながらも達成されたものである。したがって、このヒンダードフェノール系酸化防止剤(1)の効果により、これらの樹脂組成物は、成形時の焼けが生じにくいものである。またこれらの樹脂組成物は、ヒンダードアミン化合物(1)の含有量が少ないため、帯電し難く、異物の付着の問題が生じにくいものである。一方、比較例1~3の樹脂組成物21~23は、ヒンダードアミン化合物(1)を含有しないものであるため、長期耐熱黄変性に劣っている。また、比較例4~6の樹脂組成物24~26は、長期耐熱黄変性には優れるものの、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(1)の含有量が少ない。このため、これらの樹脂組成物は、酸化開始温度が低いため、成形時の焼けの問題が生じやすいものである。[0112]〔製造例3〕窒素置換した重合反応容器に、脱水したトルエン690部、テトラシクロ[9.2.1.02,10.03,8]テトラデカ-3,5,7,12-テトラエン210部、テトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]ドデカ-3-エン75部、ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン15部、1-ヘキセン1.1部、塩化タングステンの0.3%トルエン溶液11部、及びトリイソブチルアルミニウム0.5部を入れ、1気圧、60℃で1時間、開環重合反応を行った。得られた重合反応溶液中の重合体の数平均分子量(Mn)は14,000、重量平均分子量(Mw)は24,000、分子量分布(Mw/Mn)は1.7であった。この重合反応溶液240部に珪藻土担持ニッケル触媒(日揮化学社製;「T8400RL」、ニッケル担持率58%)4部を加え、オートクレーブ中、45kgf/cm2、190℃で5時間、水素化反応を行った。水素化反応後、水素化反応溶液中の触媒残渣を濾別し、無色透明の溶液(水素化反応溶液III)を得た。水素化反応における水添率は99%以上であった。得られた重合体水素化物の数平均分子量(Mn)は16,500、重量平均分子量(Mw)は28,000、分子量分布(Mw/Mn)は1.7で、ガラス転移温度(Tg)は145℃であった。[0113]〔実施例12〕製造例3で得られた水素化反応溶液IIIに、重合体水素化物100部当り、ヒンダードフェノール系酸化防止剤として、ペンタエリスリトール-テトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート](BASF社製;「イルガノックス(登録商標)1010」)(以下、「ヒンダードフェノール系酸化防止剤(a1)」という。)0.8部、ヒンダードアミン化合物として、ジブチルアミン、2,4,6-トリクロロ-1,3,5-トリアジン、N,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル-1,6-ヘキサメチレンジアミン、N-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物(BASF社製;「CHIMASSORB(登録商標)2020 FDL」)(以下、「ヒンダードアミン化合物(b1)」という。)0.3部を加えた後、フィルター(キュノーフィルター社製;「ゼータプラス(登録商標)30H」、孔径0.5~1μm)、及び金属ファイバー製フィルター(ニチダイ社製;孔径0.4μm)を用いて異物を濾別除去した。次いで、得られた濾液を、円筒型濃縮乾燥機(日立製作所社製)に入れ、温度290℃、圧力1kPa以下の条件で、溶媒であるシクロヘキサン及びその他の揮発成分を除去し、濃縮機に直結したダイから溶融状態でストランド状に押出し、水冷後、ペレタイザー(長田製作所製;「OSP-2」)でカッティングしてペレット化した樹脂組成物27を得た。[0114] 上記ペレットを80℃で4時間加熱して乾燥させ、次いで射出成形機(ファナック社製;「ロボショットα-100B」)に投入し、シリンダー温度280℃で射出成形し、65mm×65mm×3mmの平板状の樹脂成形体27を得た。得られた樹脂成形体27を試験片として用いて耐熱黄変性試験を行った。結果を第3表に示す。[0115]〔実施例13〕実施例12において、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(a1)に代えて、6-t-ブチル-4-[3-(2,4,8,10-テトラ-t-ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン-6-イルオキシ)プロピル]-o-クレゾール(住友化学社製;「スミライザーGP」)(以下、「ヒンダードフェノール系酸化防止剤(a2)」という。)0.8部を添加したことを除き、実施例12と同様にして、樹脂組成物28及び樹脂成形体28を得た。得られた樹脂成形体28を試験片として用いて耐熱黄変性試験を行った。結果を第3表に示す。[0116]〔実施例14〕実施例12において、ヒンダードアミン化合物(b1)に代えて、ポリ[{6-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)アミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル}{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}](BASF社製;「Chimassorb(登録商標)944FDL」)(以下、「ヒンダードアミン化合物(b2)」という。)0.3部を添加したことを除き、実施例12と同様にして、樹脂組成物29及び樹脂成形体29を得た。得られた樹脂成形体29を試験片として用いて耐熱黄変性試験を行った。結果を第3表に示す。[0117]〔実施例15〕実施例12において、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(a1)の添加量を、重合体水素化物100部当り0.3部に変更したことを除き、実施例12と同様にして、樹脂組成物30及び樹脂成形体30を得た。得られた樹脂成形体30を試験片として用いて耐熱黄変性試験を行った。結果を第3表に示す。[0118]〔実施例16〕実施例12において、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(a1)の添加量を、重合体水素化物100部当り2.0部に変更したことを除き、実施例12と同様にして、樹脂組成物31及び樹脂成形体31を得た。得られた樹脂成形体31を試験片として用いて耐熱黄変性試験を行った。結果を第3表に示す。[0119]〔実施例17〕実施例12において、ヒンダードアミン化合物(b1)の添加量を、重合体水素化物100部当り1.0部に変更したことを除き、実施例12と同様にして、樹脂組成物32及び樹脂成形体32を得た。得られた樹脂成形体32を試験片として用いて耐熱黄変性試験を行った。結果を第3表に示す。[0120]〔実施例18〕実施例12において、樹脂組成物を調製する際に、さらに、リン含有酸化防止剤として、3,9-ビス(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノキシ)-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン(ADEKA社製;「PEP-36」)(以下、「ヘテロ原子含有化合物(c1)」という)を重合体水素化物100部当り0.05部添加したことを除き、実施例12と同様にして、樹脂組成物33及び樹脂成形体33を得た。得られた樹脂成形体33を試験片として用いて耐熱黄変性試験を行った。結果を第3表に示す。[0121]〔実施例19〕実施例12において、樹脂組成物を調製する際に、さらに、硫黄含有酸化防止剤として、ペンタエリスリトール-テトラキス(3-ラウリルチオプロピオネート)(住友化学社製;「スミライザーTP-D」)(以下、「ヘテロ原子含有化合物(c2)」という)を重合体水素化物100部当り0.05部添加したことを除き、実施例12と同様にして、樹脂組成物34及び樹脂成形体34を得た。得られた樹脂成形体34を試験片として用いて耐熱黄変性試験を行った。結果を第3表に示す。[0122]〔実施例20〕実施例12において、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(a1)の添加量を、重合体水素化物100部当り0.1部に変更し、ヒンダードアミン化合物(b1)の添加量を、重合体水素化物100部当り0.1部に変更したことを除き、実施例12と同様にして、樹脂組成物35及び樹脂成形体35を得た。得られた樹脂成形体35を試験片として用いて耐熱黄変性試験を行った。結果を第3表に示す。[0123]〔実施例21〕実施例12において、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(a1)の添加量を、重合体水素化物100部当り2.0部に変更し、ヒンダードアミン化合物(b1)の添加量を、重合体水素化物100部当り、1.0部に変更したことを除き、実施例12と同様にして樹脂組成物36及び樹脂成形体36を得た。得られた樹脂成形体36を試験片として用いて耐熱黄変性試験を行った。結果を第3表に示す。[0124]〔実施例22〕アセトン250部とイソプロパノール250部との混合溶液を撹拌しながら、この混合溶液中に製造例3で得られた水素化反応溶液IIIを注いで重合体水素化物を析出させ、これを濾取した。得られた重合体水素化物を、アセトン200部で洗浄した後、1mmHg以下に減圧した100℃の真空乾燥器で24時間乾燥させた。得られた重合体水素化物100部、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(a1)0.8部、ヒンダードアミン化合物(b1)0.3部を2軸混練機で混練して押し出し、ペレット化した樹脂組成物37を得た。次いで、実施例12において、樹脂組成物12に代えて樹脂組成物37を用いたことを除き、実施例12と同様にして樹脂成形体37を得た。得られた樹脂成形体37を試験片として用いて耐熱黄変性試験を行った。結果を第3表に示す。[0125]〔実施例23〕実施例12において、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(a1)の添加量を、重合体水素化物100部当り0.1部に変更し、ヒンダードアミン化合物(b1)の添加量を、重合体水素化物100部当り、0.005部に変更したことを除き、実施例12と同様にして樹脂組成物38及び樹脂成形体38を得た。得られた樹脂成形体38を試験片として用いて耐熱黄変性試験を行った。結果を第3表に示す。[0126]〔比較例7〕実施例12において、樹脂組成物を調製する際に、さらに、ヘテロ原子含有化合物(c1)を重合体水素化物100部当り0.1部添加したことを除き、実施例12と同様にして、樹脂組成物39及び樹脂成形体39を得た。得られた樹脂成形体39を試験片として用いて耐熱黄変性試験を行った。結果を第3表に示す。[0127]〔比較例8〕実施例12において、樹脂組成物を調製する際に、さらに、ヘテロ原子含有化合物(c2)を重合体水素化物100部当り0.1部添加したことを除き、実施例12と同様にして、樹脂組成物40及び樹脂成形体40を得た。得られた樹脂成形体40を試験片として用いて耐熱黄変性試験を行った。結果を第3表に示す。[0128]〔比較例9〕実施例12において、ヒンダードアミン化合物(b1)を添加しなかったことを除き、実施例12と同様にして、樹脂組成物41及び樹脂成形体41を得た。得られた樹脂成形体41を試験片として用いて耐熱黄変性試験を行った。結果を第3表に示す。[0129]〔比較例10〕実施例12において、ヒンダードアミン化合物(b1)の添加量を、重合体水素化物100部当り2.0部に変更したことを除き、実施例12と同様にして、樹脂組成物42及び樹脂成形体42を得た。得られた樹脂成形体42を試験片として用いて耐熱黄変性試験を行った。結果を第3表に示す。[0130]〔比較例11〕実施例12において、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(a1)の添加量を、重合体水素化物100部当り0.05部に変更し、ヒンダードアミン化合物(b1)の添加量を、重合体水素化物100部当り0.5部に変更したことを除き、実施例12と同様にして、樹脂組成物43及び樹脂成形体43を得た。得られた樹脂成形体43を試験片として用いて耐熱黄変性試験を行った。結果を第3表に示す。[0131]〔比較例12〕実施例12において、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(a1)の添加量を、重合体水素化物100部当り3.0部に変更したことを除き、実施例12と同様にして、樹脂組成物44及び樹脂成形体44を得た。得られた樹脂成形体44を試験片として用いて耐熱黄変性試験を行った。結果を第3表に示す。[0132]〔比較例13〕実施例15において、射出成形時のシリンダー温度を320℃に変更したことを除き、実施例15と同様にして、樹脂組成物45及び樹脂成形体45を得た。得られた樹脂成形体45を試験片として用いて耐熱黄変性試験を行った。結果を第3表に示す。[0133]〔比較例14〕実施例22において、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(a1)の添加量を、重合体水素化物100部当り0.1部に変更し、ヒンダードアミン化合物(b1)の添加量を、重合体水素化物100部当り0.1部に変更したことを除き、実施例22と同様にして樹脂組成物46及び樹脂成形体46を得た。得られた樹脂成形体46を試験片として用いて耐熱黄変性試験を行った。結果を第3表に示す。[0134]〔比較例15〕実施例15において、ヒンダードアミン化合物(b1)の添加量を、重合体水素化物100部当り0.002部に変更したことを除き、実施例15と同様にして、樹脂組成物47及び樹脂成形体47を得た。得られた樹脂成形体47を試験片として用いて耐熱黄変性試験を行った。結果を第3表に示す。[0135]〔比較例16〕実施例12において、ヒンダードアミン化合物(b1)の添加量を、重合体水素化物100部当り0.002部に変更したことを除き、実施例12と同様にして、樹脂組成物48及び樹脂成形体48を得た。得られた樹脂成形体48を試験片として用いて耐熱黄変性試験を行った。結果を第3表に示す。[0136][表3][図:0001395236000018.jpg][0137] 第3表から以下のことが分かる。実施例27~38の樹脂成形体27~38は、耐熱試験後の黄変度ΔδYIが、いずれも20以下であり、耐熱黄変性に優れている。一方、比較例7、8の樹脂成形体39、40は、いずれも、ヘテロ原子含有化合物の配合量が多いため、耐熱黄変性に劣っている。比較例9、10、15、16の樹脂成形体41、42、47、48は、いずれも、ヒンダードアミン化合物の配合量が適切な範囲外であるため、耐熱黄変性に劣っている。比較例11、12の樹脂成形体43、44は、いずれも、ヒンダードフェノール系酸化防止剤の配合量が適切な範囲外であるため、耐熱黄変性に劣っている。比較例13の樹脂成形体45は、添加剤の配合量が若干少なめであり、また、射出成形時における溶融温度が高すぎたため、耐熱黄変性に劣っている。比較例14の樹脂成形体46は、添加剤の配合量が若干少なめであり、また、樹脂組成物の調製方法として二軸混錬法を採用したため、耐熱黄変性に劣っている。」
(2)甲1に記載された発明
上記第4(1)アの甲1の上記摘記のうち、(甲1f)の実施例8に着目すると、甲1には、以下の発明が記載されているといえる。
「窒素置換した内容積500mlのガラス製オートクレーブにシクロヘキサン235mlを装入し、液相及び気相を50リットル/hrの流量のエチレンで飽和させ、その後、このオートクレーブに2mlのテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ-3-エン(以下、「TCD」と略記する。)、メチルアルミノキサン(MAO)をアルミニウム原子換算で1.25mmol、引き続き、下記式(2)に示す構造のジアルコキシジクロロチタン触媒を0.001mmol加え重合を開始し、[化3][図:0001395236000019.jpg]エチレンガス雰囲気下25℃常圧で10分間反応させた後、少量のイソブチルアルコールを添加することにより重合を停止し、重合終了後、反応物を5mlの濃塩酸を加えたアセトン/メタノール(それぞれ500ml)混合溶媒に投入してポリマーを全量析出後、攪拌後グラスフィルターで濾過し、ポリマーを130℃、10時間で減圧乾燥して得たエチレン/TCD共重合体(以下、「重合体(Ib1)」といい、重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)及びガラス転移温度は各々Mw=65,000、Mw/Mn=2.15及び132℃)100部と、6-〔3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロポキシ〕-2,4,8,10-テトラキス-t-ブチルジベンゾ〔d、f〕〔1.3.2〕ジオキサフォスフェピン(以下、「亜リン酸エステル化合物(a1)」という。)0.15部、N,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)-N,N’-ジホルミル-ヘキサメチレンジアミン(以下、「ヒンダードアミン化合物(b1)」という。)0.3部及びテトラキス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート(以下、「ヒンダードアミン化合物(b2)」という。)0.3部とを2軸混練機で混練して押し出し、ペレット化した樹脂組成物8。」(以下、「甲1発明」という。)
(3)対比・判断
(3-1) 本件発明1について
ア 対比
本件発明1と甲1発明とを対比する。
甲1発明の「重合体(Ib1)」は、環状オレフィンであるTCDをモノマー成分の一つとしているから、本件発明1の「環状オレフィン系樹脂[A]」に相当し、該「重合体(Ib1)」及びその他の成分を含有する甲1発明の「ペレット化した樹脂組成物8」は、「環状オレフィン系樹脂組成物」であるといえる。
甲1発明の「ヒンダードアミン化合物(b1)」及び「ヒンダードアミン化合物(b2)」は、本件発明1の「ヒンダートアミン系化合物[B]」に相当する。
甲1発明の「亜リン酸エステル化合物(a1)」は、リン原子を構造中に有するものであるから、本件発明1の「リン系化合物[C]」に相当する。
甲1発明の上記「ヒンダードアミン化合物(b1)」、「ヒンダードアミン化合物(b2)」及び「亜リン酸エステル化合物(a1)」は、「重合体(Ib1)」100部に対して合計0.75部添加されており、これは本件発明1の「組成物中の前記環状オレフィン系樹脂[A]の含有量を100質量部としたとき、前記ヒンダードアミン系化合物[B]およびリン系化合物[C]の合計含有量が0.05~1.50質量部」であることに相当する。
甲1発明は上記「重合体(Ib1)」、「ヒンダードアミン化合物(b1)」、「ヒンダードアミン化合物(b2)」及び「亜リン酸エステル化合物(a1)」のみを含むものであり、該「亜リン酸エステル化合物(a1)」である「6-〔3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロポキシ〕-2,4,8,10-テトラキス-t-ブチルジベンゾ〔d、f〕〔1.3.2〕ジオキサフォスフェピン」は亜リン酸エステル構造とともにフェノールも有するものであるが、本件明細書の段落【0013】の「本実施形態の環状オレフィン系樹脂組成物中のある成分が、リン系化合物[C]とフェノール系化合物[D]の両方に該当する場合、その成分はリン系化合物[C]とみなされ、フェノール系化合物[D]とはみなされない。」なる記載を参照すれば上記「亜リン酸エステル化合物(a1)」は本件発明1の「フェノール系化合物[D]」とはみなされないものである。
よって、甲1発明は本件発明1と同じく、「組成物中の前記環状オレフィン系樹脂[A]の含有量を100質量部としたとき、フェノール系化合物[D]の含有量が0.50質量部未満である」といえる。
してみると、本件発明1と甲1発明とは、
「環状オレフィン系樹脂組成物であって、環状オレフィン系樹脂[A]と、ヒンダードアミン系化合物[B]と、リン系化合物[C]とを含み、組成物中の前記環状オレフィン系樹脂[A]の含有量を100質量部としたとき、前記ヒンダードアミン系化合物[B]およびリン系化合物[C]の合計含有量が0.05~1.50質量部であり、組成物中の前記環状オレフィン系樹脂[A]の含有量を100質量部としたとき、フェノール系化合物[D]の含有量が0.50質量部未満である、環状オレフィン系樹脂組成物。」
である点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点1>
本件発明1は、「ガンマ線または電子線照射用」であるのに対して、甲1発明は、そのような特定がない点
イ 判断
上記相違点1について検討するに、甲1発明は、上記1(1)ア(甲1b)の[0003]~[0005]を参照すると「これまでにも、優れた光学特性を示す成形体を得ることができる、脂環構造含有重合体に、酸化防止剤や光安定剤を配合した樹脂組成物が種々提案されている。」ものの、「しかしながら、これらの樹脂組成物から得られる成形体であっても、青紫色レーザなどの短波長レーザ光に対して十分な光安定性(耐短波長レーザ性)が得られない場合があった。」という背景技術をうけ、「耐短波長レーザ性に優れる成形体を得ることができる樹脂組成物を提供することを目的とする」ものであり、また(甲1e)の[0070]~[0074]における用途に関する記載である、「本発明の樹脂組成物の用途は特に限定されるものではないが、ピックアップレンズ、レーザビーム用fθレンズ等のレンズ類;光学式ビデオディスク、光ディスク類等の光学フィルム;等の強力なレーザ光が照射されるような光学材料に好適である」、「なかでも、光学部品は、ピックアップレンズ、コリメータレンズ、センサーレンズ、レーザビーム用fθレンズ等のレンズ類として、波長390~430nmの短波長レーザを用いる装置に使用するのに適している。」等の記載を参照すると、甲1発明が課題とする「耐短波長レーザ性」とは、青紫色を含む波長390~430nmの短波長のうち単一の波長の光のみが一定の方向に進むレーザに対しての安定性であると解される。
一方、ガンマ線はその波長およそ10pmよりも短い電磁波のことであり、該波長に関しX線と明確な区別がない場合もあるが、仮にX線と同程度の波長を含めても高々10nm程度の電磁波であり、また電子線は電子の流れであるところ、甲1の「短波長レーザ」は「ガンマ線」又は「電子線」とは明らかに異なるものである。
そして、甲1の上記摘記やその他の箇所の記載を参照しても、甲1には「ガンマ線または電子線照射用」とすることに関する記載や示唆もないものであり、そのような甲1を出発点として、相違点1に係る構成を想到することは、当業者にとって容易になしえることではない。
なお、甲1の段落[0028]には、樹脂組成物における重合体の水素化物に関し「医療用器材等、残留した遷移金属が溶出するのが好ましくない用途では、実質的に遷移金属が残留しないようにする。」とあるが、該「医療用器材」も「青紫色レーザなどの短波長レーザ光」に照射されることが前提であると解するべきであり、この「医療用器材」を用途とするという記載から「ガンマ線または電子線照射用」とすることが想起されるものともいえない。
また、甲2には環状オレフィン系樹脂に電子線を照射して殺菌・滅菌処理するとの記載はあるが、上記摘記(甲2b)にあるとおり、甲2は「放射線を照射しても着色あるいは変色したりすることのない環状オレフィン系樹脂組成物成形体」を技術分野とし、「透明性、耐熱性、剛性、防湿性に優れるとともに、耐放射線性にも優れた環状オレフィン系樹脂組成物成形体を提供すること」を課題とするものであるところ、甲1と甲2は課題や技術分野が異なるもの同士であるから、両者を結びつける動機はない。
更に、甲3には環状オレフィン系樹脂組成物を「ガンマ線または電子線照射用」とすることに関して記載も示唆もないところ、仮に甲1発明に接した当業者が甲3の記載を参照しても甲1発明を「ガンマ線または電子線照射用」とすることを導くことができるものではない。
次に、本件発明1の効果を予測できるか否かについて検討する。
本件発明1は、本件明細書【0006】~【0008】の記載を参照するに、特定量のヒンダードアミン系化合物およびリン系化合物を含む環状オレフィン系樹脂組成物を用いることや、樹脂組成物中のフェノール系化合物の量を抑えること等により、「電子線あるいはガンマ線照射による変色の少ない成形体を実現できる環状オレフィン系樹脂組成物を提供」し、また「電子線あるいはガンマ線照射によるラジカルの発生が少ない環状オレフィン系樹脂組成物を提供」するものである。
この点について、本件明細書には、次の記載がある。
「本発明者らは、従来の環状オレフィン系樹脂の成形体に、電子線あるいはガンマ線照射を照射したときに変色してしまう原因を様々な観点から検討した。検討の結果、電子線あるいはガンマ線照射を照射した際、成型体中に含まれるフェノール系化合物から、比較的多量のラジカルが発生するらしいことを知見した。このラジカルによりフェノール系安定剤自身が分解あるいは構造変化を起こし、特性吸収を有するキノン骨格を形成することで、成型体が変色してしまうものと推定される。上記知見に基づき、本発明者らは、環状オレフィン系樹脂組成物を得るに際し、フェノール系化合物を用いない、または、用いるとしてもその量を、組成物中の環状オレフィン系樹脂[A]100質量部に対して0.50質量部未満とすることで、ラジカルの発生量を低減することとした。それに加え、樹脂組成物の安定剤(光安定剤、酸化防止剤など)として知られている、ヒンダードアミン系化合物および/またはリン系化合物を適量用いることで、ラジカルが発生したとしてもそれを十分トラップしうるようにした。以上により、電子線あるいはガンマ線照射による変色を少なくし、また、電子線あるいはガンマ線照射によるラジカルの発生を少なくできたものと推定される。」(【0015】~【0016】)
上記記載から、環状オレフィン系樹脂に対するフェノール系化合物、ヒンダードアミン系化合物及びリン系化合物の配合量を特定することで、ラジカルが発生したとしてもそれを十分トラップしうるようになるため、電子線あるいはガンマ線照射による樹脂の変色を少なくし、また、電子線あるいはガンマ線照射によるラジカルの発生を少なくできるものと把握できる。
そして、本件発明1の具体的態様であるといえる実施例1,6では、環状オレフィン系樹脂100質量部にヒンダートアミン系化合物及びリン系化合物を合計0.4質量部含有させ、またフェノール系化合物を含有させないことで、ガンマ線を照射した際にラジカル発生量及び変色が少ないことが示されている。(【0118】~【0152】、特に【0150】の【表2】にある実施例1及び実施例6の欄参照))
一方で、甲1の記載を参照しても、甲1はそもそもガンマ線又は電子線が照射されることを想定していないものであるから、そこにはガンマ線又は電子線を照射した際にラジカル発生量や変色を少なくすることができることについて記載も示唆もない。
そうすると、甲1の記載から本件発明1が奏する効果を当業者が予測できるものとはいえない。
したがって、本件発明1は、甲1発明及び甲1~3の記載に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
(3-2)本件発明2ないし7について
本件発明2ないし7は、本件発明1を引用するものであるから、上記(3-1)で検討したのと同様の理由により、本件発明2ないし7は、甲1発明及び甲1~3の記載に基づいて当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。
(4)申立理由1についてのまとめ
本件発明1ないし7は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるとはいえないから、本件特許の請求項1ないし7に係る特許は、申立理由2によって取り消すことはできない。
2 申立理由2について
(1)甲3に記載された発明
上記第4(1)ウの甲3の上記摘記のうち、(甲3g)の実施例18に着目すると、甲3には、以下の発明が記載されているといえる。
「窒素置換した重合反応容器に、脱水したトルエン690部、テトラシクロ[9.2.1.02,10.03,8]テトラデカ-3,5,7,12-テトラエン210部、テトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]ドデカ-3-エン75部、ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン15部、1-ヘキセン1.1部、塩化タングステンの0.3%トルエン溶液11部、及びトリイソブチルアルミニウム0.5部を入れ、1気圧、60℃で1時間、開環重合反応を行い、得られた重合反応溶液(溶液中の重合体の数平均分子量(Mn)は14,000、重量平均分子量(Mw)は24,000、分子量分布(Mw/Mn)は1.7であった)240部に珪藻土担持ニッケル触媒(日揮化学社製;「T8400RL」、ニッケル担持率58%)4部を加え、オートクレーブ中、45kgf/cm2、190℃で5時間、水素化反応を行い、水素化反応後、水素化反応溶液中の触媒残渣を濾別し、無色透明の溶液である水素化反応溶液III(得られた重合体水素化物の数平均分子量(Mn)は16,500、重量平均分子量(Mw)は28,000、分子量分布(Mw/Mn)は1.7で、ガラス転移温度(Tg)は145℃であった)を得た後に、該水素化反応溶液IIIに、重合体水素化物100部当り、ヒンダードフェノール系酸化防止剤として、ペンタエリスリトール-テトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート](BASF社製;「イルガノックス(登録商標)1010」)(以下、「ヒンダードフェノール系酸化防止剤(a1)」という。)0.8部、ヒンダードアミン化合物として、ジブチルアミン、2,4,6-トリクロロ-1,3,5-トリアジン、N,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル-1,6-ヘキサメチレンジアミン、N-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物(BASF社製;「CHIMASSORB(登録商標)2020 FDL」)(以下、「ヒンダードアミン化合物(b1)」という。)0.3部、リン含有酸化防止剤として、3,9-ビス(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノキシ)-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン(ADEKA社製;「PEP-36」)(以下、「ヘテロ原子含有化合物(c1)」という)を0.05部を加えた後、フィルター(キュノーフィルター社製;「ゼータプラス(登録商標)30H」、孔径0.5~1μm)、及び金属ファイバー製フィルター(ニチダイ社製;孔径0.4μm)を用いて異物を濾別除去し、次いで、得られた濾液を、円筒型濃縮乾燥機(日立製作所社製)に入れ、温度290℃、圧力1kPa以下の条件で、溶媒であるシクロヘキサン及びその他の揮発成分を除去し、濃縮機に直結したダイから溶融状態でストランド状に押出し、水冷後、ペレタイザー(長田製作所製;「OSP-2」)でカッティングしてペレット化して得られた樹脂組成物33。」(以下、「甲3発明」という。)
(2)対比・判断
(2-1)本件発明1について
ア 対比
本件発明1と甲3発明とを対比する。
甲3発明の「重合体水素化物」は、「テトラシクロ[9.2.1.02,10.03,8]テトラデカ-3,5,7,12-テトラエン」、「テトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]ドデカ-3-エン」及び「ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン」といった環状オレフィンを含むモノマー原料を開環重合した後に水素化して得られたものであるから、本件発明1の「環状オレフィン系樹脂[A]」に相当し、該「重合体水素化物」及びその他の成分を含有する甲3発明の「ペレット化して得られた樹脂組成物33」は、「環状オレフィン系樹脂組成物」であるといえる。
甲3発明の「ヒンダードアミン化合物(b1)」は、本件発明1の「ヒンダートアミン系化合物[B]」に相当する。
甲3発明の「ヘテロ原子含有化合物(c1)」は、リン含有酸化防止剤であるから、本件発明1の「リン系化合物[C]」に相当する。
甲3発明の上記「ヒンダードアミン化合物(b1)」及び「ヘテロ原子含有化合物(c1)」は、「重合体水素化物」100部に対して合計0.35部添加されており、これは本件発明1の「組成物中の前記環状オレフィン系樹脂[A]の含有量を100質量部としたとき、前記ヒンダードアミン系化合物[B]およびリン系化合物[C]の合計含有量が0.05~1.50質量部」であることに相当する。
甲3発明の「ヒンダードフェノール系酸化防止剤(a1)」は、本件発明1の「フェノール系化合物[D]」に相当する。
してみると、本件発明1と甲3発明とは、
「環状オレフィン系樹脂組成物であって、環状オレフィン系樹脂[A]と、ヒンダードアミン系化合物[B]と、リン系化合物[C]とを含み、組成物中の前記環状オレフィン系樹脂[A]の含有量を100質量部としたとき、前記ヒンダードアミン系化合物[B]およびリン系化合物[C]の合計含有量が0.05~1.50質量部であり、フェノール系化合物[D]を含有する、環状オレフィン系樹脂組成物。」
である点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点1>
本件発明1は、「ガンマ線または電子線照射用」であるのに対して、甲3発明は、そのような特定がない点
<相違点2>
本件発明1は、「フェノール系化合物[D]」の「環状オレフィン系樹脂[A]の含有量を100質量部としたとき」の「含有量」が、「0.50質量部未満」であるのに対して、甲3発明は、「0.8質量部」である点
イ 判断(相違点1について)
上記相違点のうち、相違点1について検討するに、甲3発明は、上記1(1)ウ(甲3b)の[0001]~[0006]を参照すると「脂環構造含有重合体と各種添加剤を含有する樹脂組成物を原料として用いる場合において、樹脂組成物の成形時に焼けが生じたり、長期耐熱黄変性に優れる樹脂成形体が得られなかったりすることがあった」ことや、「脂環構造含有重合体と各種添加剤を含有する樹脂組成物を原料として用いる場合であっても、耐熱黄変性に優れる樹脂成形体が得られないことがあった」ことに鑑みてなされたものであり、「成形時の焼けが生じにくく、長期耐熱黄変性に優れ、かつ、帯電による異物の付着が抑制された樹脂組成物、この樹脂組成物を成形して得られる樹脂成形体、及び、この樹脂成形体からなる光学部材を提供すること」及び「光学特性に優れることに加えて、耐熱黄変性にも優れる樹脂成形体、及び、この樹脂成形体からなる光学部材を提供すること」を目的とするものであり、また(甲3f)の[0091]における用途に関する記載である「本発明の樹脂成形体は、本発明の樹脂組成物からなるものであり、帯電による異物の付着が抑制され、成形時の焼けが生じにくく、かつ、長期耐熱黄変性に優れる。」、「したがって、本発明の樹脂成形体は、光学レンズ、プリズム、導光体等の光学部材として、好適に用いられる。なかでも、自動車の車内に設置されるカメラに用いられるレンズ等の光学部材として特に好ましく用いられる。」や、その他の箇所の記載を参照しても、甲3には「ガンマ線または電子線照射用」とすることに関する記載や示唆もないものであり、そのような甲3を出発点として、相違点1に係る構成を想到することは、当業者にとって容易になしえることではない。
また、甲2には環状オレフィン系樹脂に電子線を照射して殺菌・滅菌処理するとの記載はあるが、上記(3-1)「イ 判断」にて説示したとおり、甲2は「放射線を照射しても着色あるいは変色したりすることのない環状オレフィン系樹脂組成物成形体」を技術分野とし、「透明性、耐熱性、剛性、防湿性に優れるとともに、耐放射線性にも優れた環状オレフィン系樹脂組成物成形体を提供すること」を課題とするものであるところ、甲3と甲2は課題や技術分野が異なるもの同士であるから、両者を結びつける動機はない。
更に、甲1には、上記(3-1)「イ 判断」にて説示したとおり、環状オレフィン系樹脂組成物を「ガンマ線または電子線照射用」とすることに関して記載も示唆もないところ、仮に甲3発明に接した当業者が甲1の記載を参照しても甲3発明を「ガンマ線または電子線照射用」とすることを導くことができるものではない。
次に、本件発明1の効果を予測できるか否かについて検討するに、本件発明1の効果については上記(3-1)「イ 判断」にて説示したとおりである。
一方で、甲3の記載を参照しても、甲3はそもそもガンマ線又は電子線が照射されることを想定していないものであるから、そこにはガンマ線又は電子線を照射した際にラジカル発生量や変色を少なくすることができることについて記載も示唆もない。
そうすると、甲3の記載から本件発明1が奏する効果を当業者が予測できるものとはいえない。
したがって、相違点2について検討するまでもなく、本件発明1は、甲3発明及び甲1~3の記載に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
なお、(甲3g)の摘記のうち、実施例15や実施例20等、他の実施例を甲3発明としたうえで検討したとしても、上記判断は変わるものではない。
(2-2)本件発明2ないし7について
本件発明2ないし7は、本件発明1を引用するものであるから、上記(2-1)で検討したのと同様の理由により、本件発明2ないし7は、甲3発明及び甲1~3の記載に基づいて当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。
(3)申立理由2についてのまとめ
本件発明1ないし7は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるとはいえないから、本件特許の請求項1ないし7に係る特許は、申立理由2によって取り消すことはできない。
第5 むすび
したがって、申立人が申し立てた特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、本件特許の請求項1ないし7に係る特許を取り消すことはできない。
また、ほかに本件特許の請求項1ないし7に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2022-700833