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特許異議申立

2022-700807

多層テープ

審判番号
2022-700807
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2019-513757外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
登録番号
7022118
請求日
2022年08月15日
審決日
2023年09月12日
公報発行日
2023年10月27日
結論
維持
審判長/審判官
分類
P1651.113-Y (C09J) / P1651.121-Y (C09J) / P1651.537-Y (C09J)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条、特許法第36条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7022118号発明「多層テープ」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7022118号の請求項1~34に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7022118号(以下「本件特許」という。)の請求項1~34に係る特許についての出願は、2017年(平成29年)9月20日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2016年9月20日、米国)を国際出願日とする出願であって、令和4年2月8日に特許権の設定登録がされ、同年同月17日に特許掲載公報が発行された。 その後、令和4年8月15日に特許異議申立人である黒田 泰(以下「申立人」という。)によって請求項1~34に係る特許に対して特許異議の申立てがされ、当審合議体は、令和5年1月31日付けで特許権者に対して審尋を行い、特許権者は、同年3月17日に回答書を提出した。 第2 本件発明と本件明細書等の記載 1 本件特許の請求項1~34に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」~「本件発明34」という。)は、次のとおりのものである。 「【請求項1】 減衰用テープであって、 第1面及び反対に向けられた第2面を画成する基材と、 前記基材の第1面上に少なくとも部分的に配置された第1の粘弾性減衰材料層と、 前記基材の第2面上に少なくとも部分的に配置された第2の粘弾性減衰材料層と、 前記第1の粘弾性減衰材料層上に少なくとも部分的に配置された第1剥離ライナーと、 前記第2の粘弾性減衰材料層上に少なくとも部分的に配置された第2剥離ライナーと、 を備え、 前記基材が5μm~3,000μmの範囲内の厚さを有し、前記粘弾性減衰材料層の各々が2μm~5,000μmの範囲内の厚さを有しており、 前記第1の粘弾性減衰材料層および前記第2の粘弾性減衰材料層の各々が、第1の表面および第2の表面を備えており、 前記第1の粘弾性減衰材料層もしくは前記第2の粘弾性減衰材料層、又はそれらの両方が、粘弾性減衰材料層の第1の表面から粘弾性減衰材料層の第2の表面への材料特性の段階的な変化を与える組成勾配を有している、ことを特徴とする減衰用テープ。 【請求項2】 前記基材が、1GPa~1000GPaの室温ヤング率の範囲を有する、請求項1に記載の減衰用テープ。 【請求項3】 前記基材が、20GPa~500GPaの室温ヤング率の範囲を有する、請求項1に記載の減衰用テープ。 【請求項4】 前記基材が金属箔を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の減衰用テープ。 【請求項5】 前記金属箔が鉄箔である、請求項4に記載の減衰用テープ。 【請求項6】 前記金属箔が非鉄系箔である、請求項4に記載の減衰用テープ。 【請求項7】 前記金属箔が、鉄箔の第1領域と非鉄系箔の第2領域とを有するものである、請求項4に記載の減衰用テープ。 【請求項8】 前記金属箔がアルミニウムを含む、請求項4に記載の減衰用テープ。 【請求項9】 前記第1の粘弾性減衰材料層及び前記第2の粘弾性減衰材料層のうちの少なくとも一つが、エラストマー、ブチルゴム、スチレン系ブロックコポリマー、ポリウレタン、シリコーンゴム、ニトリルゴム、イソプレン、ブタジエン、粘弾性ポリマーゲル、感圧性接着剤、非感圧性接着剤、及びそれらの組合せを含む群から選択される粘弾性減衰材料を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の減衰用テープ。 【請求項10】 前記第1の粘弾性減衰材料層及び前記第2の粘弾性減衰材料層の両方が、エラストマー、ブチルゴム、スチレン系ブロックコポリマー、ポリウレタン、シリコーンゴム、ニトリルゴム、イソプレン、ブタジエン、粘弾性ポリマーゲル、感圧性接着剤、非感圧性接着剤、及びそれらの組合せを含む群から選択される、請求項1~8のいずれか一項に記載の減衰用テープ。 【請求項11】 前記感圧性接着剤が、アクリル系接着剤、シリコーン接着剤、ゴム接着剤、ビニルエーテル接着剤、及びそれらの組合せを含む、請求項9又は10に記載の減衰用テープ。 【請求項12】 前記第1の粘弾性減衰材料層及び前記第2の粘弾性減衰材料層が同じ化学組成を有する、請求項1~11のいずれか一項に記載の減衰用テープ。 【請求項13】 前記第1の粘弾性減衰材料層及び前記第2の粘弾性減衰材料層が異なる化学組成を有する、請求項1~11のいずれか一項に記載の減衰用テープ。 【請求項14】 前記第1の粘弾性減衰材料層及び前記第2の粘弾性減衰材料層のうちの少なくとも一つが、実質的に連続的である、請求項1~13のいずれか一項に記載の減衰用テープ。 【請求項15】 拘束層システムであって、 振動にさらされる第1構成要素及び第2構成要素のうちの少なくとも1つと、 振動減衰テープと、を備え、 当該振動減衰テープは、(i)第1面及び反対に向けられた第2面を画成する基材と、(ii)前記基材の第1面上に少なくとも部分的に配置された第1の粘弾性減衰材料層と、(iii)前記基材の第2面上に少なくとも部分的に配置された第2の粘弾性減衰材料層とを備え、前記基材が5μm~3,000μmの範囲内の厚さを有し、前記粘弾性減衰材料層の各々が2μm~5,000μmの範囲内の厚さを有しており、 前記第1の粘弾性減衰材料層および前記第2の粘弾性減衰材料層の各々が、第1の表面および第2の表面を備えており、 前記第1の粘弾性減衰材料層もしくは前記第2の粘弾性減衰材料層、又はそれらの両方が、粘弾性減衰材料層の第1の表面から粘弾性減衰材料層の第2の表面への材料特性の段階的な変化を与える組成勾配を有しており、 前記第1の粘弾性減衰材料層が前記第1構成要素に接着されている、ことを特徴とする拘束層システム。 【請求項16】 前記基材が、1GPa~1000GPaの室温ヤング率の範囲を有する、請求項15に記載の拘束層システム。 【請求項17】 前記基材が、20GPa~500GPaの室温ヤング率の範囲を有する、請求項15に記載の拘束層システム。 【請求項18】 前記基材が金属箔を含む、請求項15~17のいずれか一項に記載の拘束層システム。 【請求項19】 前記金属箔が鉄系箔である、請求項18に記載の拘束層システム。 【請求項20】 前記金属箔が非鉄系箔である、請求項18に記載の拘束層システム。 【請求項21】 前記金属箔が、鉄組成の第1領域と非鉄組成の第2領域とを有するものである、請求項18に記載の拘束層システム。 【請求項22】 前記金属箔がアルミニウムを含む、請求項18に記載の拘束層システム。 【請求項23】 前記第1の粘弾性減衰材料層及び前記第2の粘弾性減衰材料層のうちの少なくとも一つが、エラストマー、ブチルゴム、スチレン系ブロックコポリマー、ポリウレタン、シリコーンゴム、ニトリルゴム、イソプレン、ブタジエン、粘弾性ポリマーゲル、感圧性接着剤、非感圧性接着剤、及びそれらの組合せを含む群から選択される、請求項15~22のいずれか一項に記載の拘束層システム。 【請求項24】 前記感圧性接着剤が、アクリル系接着剤、シリコーン接着剤、ゴム接着剤、ビニルエーテル接着剤、及びそれらの組合せを含む、請求項23に記載の拘束層システム。 【請求項25】 前記第1の粘弾性減衰材料層及び前記第2の粘弾性減衰材料層が同じ化学組成を有する、請求項15~24のいずれか一項に記載の拘束層システム。 【請求項26】 前記第1の粘弾性減衰材料層及び前記第2の粘弾性減衰材料層が異なる化学組成を有する、請求項15~24のいずれか一項に記載の拘束層システム。 【請求項27】 前記第1の粘弾性減衰材料層及び前記第2の粘弾性減衰材料層のうちの少なくとも一つが、実質的に連続的である、請求項15~26のいずれか一項に記載の拘束層システム。 【請求項28】 前記第1の粘弾性減衰材料層が前記第1構成要素に接着されており、 当該拘束層システムが、前記第2構成要素に接着されている前記第2の粘弾性減衰材料層を更に備える、請求項15~27のいずれか一項に記載の拘束層システム。 【請求項29】 追加の基材を更に備える、請求項15~28のいずれか一項に記載の拘束層システム。 【請求項30】 追加の粘弾性減衰層を更に備える、請求項15~29のいずれか一項に記載の拘束層システム。 【請求項31】 CLF(複合損失係数)が、200Hzにて15℃の範囲にわたって少なくとも0.05である、請求項15~30のいずれか一項に記載の拘束層システム。 【請求項32】 CLF(複合損失係数)が、200Hzにて15℃の範囲にわたって少なくとも0.10である、請求項15~31のいずれか一項に記載の拘束層システム。 【請求項33】 線密度正規化減衰効率指数(ζ)が、200Hzにて少なくとも2.0×103より大きい、請求項15~32のいずれか一項に記載の拘束層システム。 【請求項34】 線密度正規化減衰効率指数(ζ)が、200Hzにて少なくとも4.5×103より大きい、請求項15~33のいずれか一項に記載の拘束層システム。」 2 本件特許の願書に添付した明細書及び図面(以下「本件明細書等」という。)には、次の記載がある。 「【0030】 本明細書で使用する場合、減衰効率は、その厚さ及び質量によって正規化された複合損失係数(CLF)の高さ及び幅の尺度である。減衰効率については、線密度正規化減衰効率指数ζ=(W×M)/(ρA×t)(単位:℃/(kg/m))を使用して、各種のテープの性能が評価され得て、式中、Wは、CLF≧0.10(℃)に対するCLF曲線の幅であり、Mは測定されたCLFの最大値であり、ρAは単位面積当たりの質量(kg/m2)であり、tは構造全体の厚さ(m)である。本明細書に開示されているもののいくつかの実施形態において、減衰が改善されたサンプルは、少なくとも2.0×103を超える線密度正規化減衰効率指数(ζ)を有し得る。」 「【0052】 図8は、本明細書に記載するように、200Hzにて計算した減衰効率の尺度を与える。図8は、サンプルA~Iの線密度正規化減衰効率指数(ζ)のプロットを与える。現在入手可能なサンプル(サンプルA、B、F及びG)では、線密度正規化減衰効率指数(ζ)は、約4.5×103より小さい。開示された製品(サンプルC、D、E、H及びI)については、線密度正規化減衰効率指数(ζ)は、少なくとも約4.5×103より大きい。最大温度依存減衰に対してより最適化された表面密度を有する製品(ζが少なくとも約4.5×103より大きいもの)では、線密度正規化減衰効率指数が上昇する。例えば、サンプルAは軽量にもかかわらず、そのピークCLFが0.10未満であるため(図6)、線密度正規化減衰効率指数(ζ)が約0である。サンプルF及びサンプルGは、CLF値が0.10より大きいかなりの部分を有するにもかかわらず(図7参照)、その表面密度が比較的高いために、約4.4×103のζを有する。比較すると、サンプルC、D及びEは、同程度以上の減衰を有するため(図6参照)、1.12×104より大きいζを有し、該サンプルは表面密度が約50%の減少している。同様に、サンプルH及びサンプルIをサンプルF及びサンプルGなどの同等の重質生成物と比較すると、サンプルH及びサンプルIは、線密度正規化減衰効率指数によって測定されるように、改善されないとしても、少なくとも同程度の減衰を有する(図7及び図8参照)。本明細書に開示されているもののいくつかの実施形態において(図示せず)、減衰が改善されたサンプルは、少なくとも2.0×103より大きい線密度正規化減衰効率指数(ζ)を有し得る。」 「【図8】 [図:0001402747000001.jpg] 」 第3 特許異議の申立ての概要 申立人は、下記2の証拠方法(以下、甲第1号証~甲第8号証を、それぞれ「甲1」~「甲8」という。)により、下記1を申立ての理由とする特許異議の申立てをしている。 1 申立ての理由 (1)申立理由1(新規性欠如・進歩性欠如) 本件発明1、4~15及び18~30は、甲1に記載された発明であって、特許法29条1項3号の規定により特許を受けることができないものであるか、または、甲1に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであって、同法29条2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件発明1、4~15及び18~30に係る特許は、同法113条2号に該当する。 (2)申立理由2(進歩性欠如) 本件発明2、3、16及び17は、甲1に記載された発明と甲5及び7に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件発明2、3、16及び17に係る特許は、同法113条2号に該当する。 (3)申立理由3(進歩性欠如) 本件発明31~34は、甲1に記載された発明と甲1~4及び甲8に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件発明31~34に係る特許は、同法113条2号に該当する。 (4)申立理由4(明確性要件違反) 本件発明33及び34における「線密度正規化減衰効率指数」は不明確であって、特許請求の範囲の記載が特許法36条6項2号に適合するものではないから、本件発明33及び34に係る特許は、同法113条4号に該当する。 2 証拠方法 甲1:特開平7-71519号公報 甲2:特開平8-34089号公報 甲3:特開平7-196992号公報 甲4:特公平6-73935号公報 甲5:日本工業規格JIS G3141:2017 甲6:特開2004-286210号公報 甲7:特公平7-51339号公報 甲8:特表2014-529525号公報 第4 甲号証の記載事項 1 甲1 甲1には、次の記載がある。 「【請求項2】 金属板等の拘束板の少なくとも片面にゴムコーティング層を形成し、そのゴムコーティング層の表面に熱硬化型接着剤層を形成し、前記拘束板の他面に粘着剤層を中にして拘束板を貼り合わせたことを特徴とする制振シム構造体。」 「【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、自動車のディスクブレーキパッド用制振シム構造体に係るもので、特にブレーキ制動時に発生する高周波ノイズ(鳴き現象と呼ぶ)を低減する制振シム構造体の改良に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、ディスクブレーキ鳴き防止用制振シム構造体として、図8(a),(b),(c),(d)に示す構造体が知られている。図8(a),(b),(c)は粘着剤接着タイプ、図8(d)はサンドウイッチタイプである。 【0003】図8(a)において、1はディスクブレーキパッド、2はブレーキパッドを形成しているバックプレート、3は摩擦材であり、拘束板となる薄い金属板4を、その表面に形成した粘着剤層5によりバックプレート2に貼り合わせ、金属板4-粘着剤層5-バックプレート2により拘束型制振構造を構成し、それにより振動減衰作用(鳴き防止作用)が得られるようになっている。なお、6はブレーキピストン部材である。 【0004】図8(b)は、ゴム層7/金属板4/ゴム層7/粘着剤層5(/バックプレート)より構成されている。 【0005】図8(c)は、ゴム層7/金属板4/粘着剤層5(/バックプレート)より構成されている。ここに示した粘着剤は溶剤に溶かしたもの、または水に分散させた粘着固形分をコーティングし、乾燥したものを言い、このままでは、粘着するため、離型紙で保護し、使用時に離型紙を剥がしてバックプレートに貼り合わせるものである。 【0006】図8(d)に示したサンドウイッチタイプは、金属板4/粘着剤層5/金属板4/熱硬化型接着剤層8(/バックプレート)より構成されている。ここに示した熱硬化型接着剤は、溶液状の接着剤をコーティングし、熱硬化反応を起こさない程度の温度で乾燥したもので、粘着性等はないため、離型紙は不要である。熱硬化型接着剤としては、バックプレートへの貼り合わせ時点でコーティング、熱硬化反応を起こすものも考えられているが、量産業を必要とするブレーキシムの特性上、ここでは除外し、工場生産を前提としたものを対象とする。」 「【0008】図8に示した従来技術のうち、図8(a),(b),(c)の「粘着剤接着タイプ」は、粘着剤が常温で柔らかいという特長を利用し、特に加熱しなくとも圧着力によりバックプレートへ接着できる。また、たとえ被着体であるバックプレートの表面に若干の凹凸があっても、粘着剤の柔らかさがこれを吸収し、馴染むことで有効な制振効果を発現できることにもなる。 【0009】ただし、それ故、一般に粘着剤は常温近辺にガラス転移領域が存在し、そのため制振効果が常温でのみ発揮され、幅広い温度領域で高い制振性を望ことはできない。よってブレーキ鳴き防止においては、主として常温領域での鳴きを対象としたものである。また、粘着剤は一般的に接着強度が低く、熱間で流動し易いこともあり、脱落・ずれ防止用に他の固定方法の併用は必須である。」 「【0018】 【実施例】図1~図2は、第1の発明による実施例を示すブレーキバッド用制振シム構造体の一部を切除した平面図であり、図2は、その構造を模式的に示した断面図である。図1~図2において、Aはシム構造体であり、10はシム構造体を形成する拘束板、11は拘束板の片面に形成されたゴムコーティング層、12はゴムコーティング層表面に設けられた熱硬化型接着剤であるフェノール系接着剤層である。 【0019】図2は、シム構造体AをブレーキパッドBを形成しているバックプレート14の表面に、接着剤層12により接着した状態を示している。15はブレーキパッドを形成している摩擦材である。 【0020】前記シム構造体Aを構成する拘束板10としては、例えば、鉄板(冷間圧延鋼板)、アルミ板、ステンレス板、銅板等の金属板が挙げられる。一方、前記ゴムコーティング層11に使用されるゴム材料としては、NBR(アクリロニトリルブタジェンゴム)、SBR(スチレンブタジェンゴム)、IR(イソプレンゴム)、BR(ブタジェンゴム)、CR(クロロプレンゴム)、IIR(ブルチゴム)、EPM(エチレンプロピレンゴム)、EDDM(エチレンプロピレンゴム)、FKM(フッ素ゴム)等が挙げられる。特に良好な馴染み性を得るために、前記ゴムコーティング層の硬さは、デュロメータA硬度で90以下、望ましくは70以下のものがよい。」 「【0022】図3に、第2の発明による実施例を示す。本実施例のシム構造体は、図2のシム構造体における拘束板10の表面に粘着剤層16を中にして第2の拘束板17を貼り合わせて構成したものである。前記粘着剤層16の粘着剤としては、アクリル系、ゴム系等が挙げられ、実用上アクリル系感圧型粘着剤の使用が好ましい。」 「【0026】さらに、図3に示した制振シム構造体によれば、ゴムコーティング層11に粘着層16が組み合わされているので、両者の相乗作用効果により、広い温度域での大きな制振特性(損失係数)が得られる。」 「【0029】次に、本発明の具体的実施例を述べる。 実施例(1) 図2の制振シム構造体 拘束板10……厚さ0.4mmの冷間圧延鋼板 ゴムコーティング層11……厚さ0.1mmのNBR 接着剤層12……フェノール系ノボラック・レゾール型混合物、厚さ0.05mm 【0030】実施例(2) 拘束板10、ゴムコーティング層11、接着剤層12は実施例(1)と同じ、 粘着剤層16……厚さ0.1mmのアクリル系感圧型粘着剤 拘束板17……厚さ0.6mmのSUS304 【0031】実施例(3) 拘束板10、ゴムコーティング層11、接着剤層12、拘束板17は実施例(2)と同じ、 含泡粘着剤層18……気泡を含有する厚さ0.1mmのアクリル系感圧型粘着剤」 「【図3】 [図:0001402747000002.jpg] 」 「【図7】 [図:0001402747000003.jpg] 」 「【図8】 [図:0001402747000004.jpg] 」 2 甲2 甲2には、次の記載がある。 「【0059】[3]離型シート5 未使用時には、粘接着剤層4に離型シート5が貼着される。この離型シート5としては、公知のいずれのものを使用してもよく、例えば、基材の粘接着剤層4との接合面にシリコーン層が形成されたものを用いることができる。この場合、離型シート5の基材としては、例えば、グラシン紙のような紙材や、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等よりなるの樹脂フィルムが挙げられる。なお、前記粘接着剤層4が、嫌気硬化性粘接着剤を用いている場合には、離型シート5は、例えば紙材のような通気性を有するものとされる。」 3 甲3 甲3には、次の記載がある。 「【0068】[6]剥離紙 未使用時には、粘着剤層7に剥離紙8が貼着される。この剥離紙8としては、公知のいずれのものを使用してもよく、例えば、紙材を基材として、粘着剤層7との接合面にシリコーン層が形成されたものを用いることができる。」 4 甲4 甲4には、次の記載がある。 「【第9A図】 [図:0001402747000005.jpg] 【第9B図】 [図:0001402747000006.jpg] 【第9C図】 [図:0001402747000007.jpg] 」 「【第9D図】 [図:0001402747000008.jpg] 」 5 甲5 甲5には、次の記載がある。 「 [図:0001402747000009.jpg] 」 6 甲6 甲6には、次の記載がある。 「【0009】 以下、本発明に関して図面を参照して詳細に説明する。 (第1の鳴き防止用シム) 図1は、本発明に係る第1の鳴き防止用シムを示す断面図である。図示されるように、鳴き防止用シムは、メッキ鋼板1の両面に、ゴム層2を固着して構成される。一般にメッキ鋼板には、ニッケルメッキ鋼板等の鉄よりも腐食し難い金属をメッキをしたものと、亜鉛メッキ鋼板やアルミメッキ鋼板等の鉄よりも腐食し易い金属をメッキしたものの2種類がある。前者のメッキ鋼板は、鉄と空気や水分との接触を防ぐことで耐食性を向上させている。また、後者のメッキ鋼板は、メッキ層の金属が鉄の代わりに犠牲的に腐食されて鉄の腐食を防いでいる(以下、この効果を「犠牲腐食防食効果」という)。従って、鋼板端部のメッキされていない部分が直接空気や水分と接触し難い用途に使用される製品や部材には、前者のメッキ鋼板が有効である。しかしながら、ブレーキシムのようにメッキされていない端面が容易に空気や水分と接触する場合、前者のメッキ鋼板では端部から腐食が進行する問題が生じる。ところが、後者のメッキ鋼板では、メッキされていない端部もメッキ層の犠牲防食効果により鉄の腐食を防ぐことが可能になる。また、後者のメッキ鋼板には、亜鉛メッキ鋼板やアルミメッキ鋼板があるが、アルミメッキ鋼板では数年以上の長期にわたって使用される部品には適さない。故に、本発明ではメッキ鋼板1として、亜鉛を主に使用したメッキ鋼板を使用することが好ましい。このようなメッキ鋼板1としては、電気亜鉛メッキ鋼板、電気亜鉛合金メッキ鋼板、溶融亜鉛メッキ鋼板、溶融亜鉛合金メッキ鋼板、鉛-錫合金メッキ鋼板等を好適に使用できる。中でも、耐食性を維持する上で、電気亜鉛合金メッキ鋼板及び溶融亜鉛合金メッキ鋼板が好ましい。これら亜鉛合金メッキ中の亜鉛以外の含有成分としては、コバルト、モリブデン、アルミニウム等が好ましい。これらメッキ鋼板1は、ステンレス鋼板に比べて安価であるという利点を有する。 また、メッキ鋼板1は、耐食性を更に向上させる目的で、クロム処理やリン酸処理等の表面処理が施されていてもよい。」 7 甲7 甲7には、次の記載がある。 「第22図において、1は厚さ0.4~2.0mmのSPCCまたはSUSの金属板、5は厚さ0.5~3mmで、ストロンチウムフェライト(またはバリウムフェライト)を70~98wt%含むゴム層、12は厚さ0.01~0.3mmの接着剤または粘着剤層である。 次に剛体からなる板で、金属板以外のものを用いた実施例について説明する。 金属板以外の剛体材料としては、けい酸カルシウム板,セッコウボード,セッコウ,スラグ板,石綿セメント板セメントあるいは石灰に珪藻土あるいは、副産シリカなどを主原料としてオートクレーブ処理を施したもの、アルミナ,コージェライト,チタン,フェライト等の焼結処理を施したセラミック系のもの、不飽和ポリエステル,エポキシ樹脂,フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂、またはナイロン,ポリカーボネート,アセタール,ポリエチレン,ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂をガラス繊維等で強化した繊維強化プラスチック等の合成樹脂系のもの等を用いることができる。 上記材料による剛体のヤング率は300kgf/mm2以上、好ましくは500kgf/mm2以上が望ましい。剛体のヤング率が小さいと振動体の振動に対して複合型制振材が容易に追従してしまい、振動体と複合型制振材との磁力のみで接触している接触面のすべりが起きにくくなる。また、複合型制振材内の拘束型ダンピング構造、非拘型ダンピング構造部での高分子粘弾性体のずり変形、曲げ変形等がおきにくくなる等により制振性が低下する。」(9頁右欄35行~10頁左欄10行目) 8 甲8 甲8には、次の記載がある。 「【0017】 一実施形態において、前記減衰積層体および/または振動減衰テープは、約-10℃~約85℃の温度範囲及び共振周波数500Hzにおける最小複合損失係数が0.05である。他の実施形態において、前記減衰積層体および/または振動減衰テープは、約5℃~約125℃の温度範囲及び共振周波数100Hzにおける最小複合損失係数が0.05である。また別の実施形態において、前記減衰積層体および/または振動減衰テープは、約-10℃~約80℃の温度範囲及び共振周波数1000Hzにおける最小複合損失係数が0.05である。また別の実施形態において、前記減衰積層体および/または振動減衰テープは、約5℃~約70℃の温度範囲及び共振周波数500Hzにおける最小複合損失係数が0.1である。また別の実施形態において、前記減衰積層体および/または振動減衰テープは、約10℃~約75℃の温度範囲及び共振周波数100Hzにおける最小複合損失係数が0.1である。また別の実施形態において、前記減衰積層体および/または振動減衰テープは、約0℃~約65℃の温度範囲及び共振周波数1000Hzにおける最小複合損失係数が0.1である。」 第5 当審合議体の判断 1 申立理由1~3(新規性・進歩性欠如)について (1)甲1に記載された発明について 甲1の実施例(2)(【0030】)に着目し、請求項2、【0029】及び図3を参照すると、甲1には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されているものと認められる。 <甲1発明> 「厚さ0.4mmの冷間圧延鋼板である拘束板10の片面に、厚さ0.1mmのNBR(アクリロニトリルブタジェンゴム)であるゴムコーティング層11を形成し、そのゴムコーティング層11の表面に、厚さ0.05mmのフェノール系ノボラック・レゾール型混合物である接着剤層12を形成し、前記拘束板10の他面に、厚さ0.1mmのアクリル系感圧型粘着剤である粘着剤層16を中にして、厚さ0.6mmのSUS304である拘束板17を貼り合わせた制振シム構造体。」 (2)本件発明1について ア 対比 本件発明1と甲1発明とを対比する。 甲1発明の「制振シム構造体」は、その厚さが1.25mm(=0.4mm+0.1mm+0.05mm+0.1mm+0.6mm)であることからして、本件発明1の「減衰用テープ」に相当する。 また、甲1発明の「冷間圧延鋼板である拘束板10」は、本件発明1の「第1面及び反対に向けられた第2面を画成する基材」に相当する。 さらに、甲1の【0026】には、「ゴムコーティング層11に粘着層16が組み合わされているので、両者の相乗作用効果により、広い温度域での大きな制振特性(損失係数)が得られる。」と記載されていることから、甲1発明の「粘着剤層16」及び「ゴムコーティング層11の表面に・・・接着剤層12を形成」したものは、それぞれ、本件発明1の「第1の粘弾性減衰材料層」及び「第2の粘弾性減衰材料層」に相当する。 そして、甲1発明の「拘束板10」は「厚さ0.4mm」並びに、「ゴムコーティング層11の表面に・・・接着剤層12を形成」したものは「厚さ(0.1+0.05)mm」及び「粘着剤層16」は「厚さ0.1mm」であるから、本件発明1の「基材が5μm~3,000μmの範囲内の厚さを有し」及び「粘弾性減衰材料層の各々が2μm~5,000μmの範囲内の厚さを有し」を充足する。 してみると、本件発明1と甲1発明とは、次の一致点及び相違点を有している。 <一致点> 「減衰用テープであって、 第1面及び反対に向けられた第2面を画成する基材と、 前記基材の第1面上に少なくとも部分的に配置された第1の粘弾性減衰材料層と、 前記基材の第2面上に少なくとも部分的に配置された第2の粘弾性減衰材料層と、 を備え、 前記基材が5μm~3,000μmの範囲内の厚さを有し、前記粘弾性減衰材料層の各々が2μm~5,000μmの範囲内の厚さを有している、 減衰用テープ。」 <相違点1> 本件発明1は、「第1の粘弾性減衰材料層上に少なくとも部分的に配置された第1剥離ライナー」と「第2の粘弾性減衰材料層上に少なくとも部分的に配置された第2剥離ライナー」とを備えているのに対し、甲1発明は、そのような特定がされていない点。 <相違点2> 本件発明1は、「前記第1の粘弾性減衰材料層および前記第2の粘弾性減衰材料層の各々が、第1の表面および第2の表面を備えており、前記第1の粘弾性減衰材料層もしくは前記第2の粘弾性減衰材料層、又はそれらの両方が、粘弾性減衰材料層の第1の表面から粘弾性減衰材料層の第2の表面への材料特性の段階的な変化を与える組成勾配を有している」のに対し、甲1発明は、そのような特定がされていない点。 イ 相違点についての判断 事案に鑑み、まず相違点2について検討する。 (ア)第1の粘弾性減衰材料層に対応する粘着剤層について 甲1発明の「粘着剤層16」は「アクリル系感圧型粘着剤」であり、その組成は一定であるから、「第1の表面から粘弾性減衰材料層の第2の表面への材料特性の段階的な変化を与える組成勾配を有している」ということはできない。 (イ)第2の粘弾性減衰材料層に対応する層について 甲1発明の「ゴムコーティング層11の表面に・・・接着剤層12を形成」したものについて検討すると、「ゴムコーティング層11」は「NBR(アクリロニトリルブタジェンゴム)」であり、「粘着剤層12」は、フェノール樹脂及びポリイミドが例示されており、これらは共通の成分を有しておらず、「材料特性の段階的な変化を与える組成勾配を有している」ものとはいえないから、相違点2は、実質的な相違点である。 (ウ)さらに、甲2~8の記載を見ても、また、当該分野の技術常識からしても、甲1発明の「粘着剤層16」である「アクリル系感圧型粘着剤」または「ゴムコーティング層11」である「NBR(アクリロニトリルブタジェンゴム)」において、「材料特性の段階的な変化を与える組成勾配を有している」ものとする動機付けがあるとはいえない。 (エ)そして、本件発明1は、粘弾性減衰材料層が「材料特性の段階的な変化を与える組成勾配を有している」ものとすることにより、比較的薄く、軽量な接着テープであっても、振動を効果的に減衰又は低減できるという顕著な効果を奏するものといえる。 ウ 申立人の主張について 申立人による特許異議申立書の25頁17~26行における主張について、前記(1)のとおり認定した甲1発明に即して言い換えれば、ゴムコーティング層11及び接着剤層12が、第1の表面から第2の表面へ向けて、ゴムコーティング層11及び接着剤層12との間で組成が異なっているのであるから、物理特性に段階的な変化、すなわち2段階の変化を与えることは明らかであって、物理特性は、材料特性の概念に包含されるものであるから、甲1発明のゴムコーティング層11及び接着剤層12は、本件発明1にいう「前記第1の粘弾性減衰材料層もしくは前記第2の粘弾性減衰材料層、又はそれらの両方が、粘弾性減衰材料層の第1の表面から粘弾性減衰材料層の第2の表面への材料特性の段階的な変化を与える組成勾配を有している」に相当することに疑いない旨主張している。 しかしながら、前記ア(イ)のとおり、ゴムコーティング層11と接着剤層12のそれぞれの層においては同一の組成であるし、例え組成の不均一があったとしても、それが勾配をもって段階的な変化が与えられるものではないから、本件発明1において特定される、第1の表面から第2の表面への「材料特性の段階的な変化を与える組成勾配を有している」ものということはできない。 さらに、当審合議体による審尋に対して、令和5年3月17日に提出された回答書の5頁12~14行において、特許権者は、「異なる素材からなる隣接二層の並置構造が、本発明で言うところの「材料特性の段階的な変化を与える組成勾配(を有する層)」という発明特定事項に該当することはありません」と回答している。 よって、申立人の主張を採用することはできない。 エ 小括 したがって、相違点1について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明でないし、甲1発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 (3)本件発明2~14について 本件発明2~14は、本件発明1に係る特定事項を引用し、さらに限定をする特定事項を有するものであるから、甲1発明でないし、甲1発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 (4)本件発明15~34について 本件発明15~34は、「拘束層システム」に係る発明であるが、相違点2に係る特定事項を有するものであるから、甲1に記載された発明でないし、甲1に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 2 申立理由4(明確性要件違反)について 本件発明33及び34における「線密度正規化減衰効率指数」については、本件明細書等の【0030】及び【0052】並びに図8において、定義がなされた上で具体的に求められている。 したがって、本件発明特許33及び34が、特許請求の範囲の明確性要件に適合しないということはできない。 第6 むすび 以上のとおり、申立人の主張する理由によっては、本件発明1~34に係る特許を取り消すべきものということはできない。 また、他に本件発明1~34に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2022-700807

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