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特許異議申立

2024-700608

活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物、粘着剤層、積層体

審判番号
2024-700608
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2021-046462
登録番号
7405110
請求日
2024年06月26日
審決日
2026年02月04日
公報発行日
2026年05月29日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】荒川化学工業株式会社
  • 【異議申立人】田中 理紗
審判長/審判官
  • 審判長 村守 宏文
  • 審判官 天野 宏樹
  • 審判官 門前 浩一
分類
P1651.113-YAA(C09J) / P1651.121-YAA(C09J) / P1651.537-YAA(C09J) / P1651.536-YAA(C09J)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第9項、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第2項、特許法第113条第2号、特許法第36条第4項第1号、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第4項、特許法第126条第7項、特許法第36条第6項第2号、特許法第36条第6項第1号
データ出所
審決公報(XML)

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特許第7405110号発明「活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物、粘着剤層、積層体」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7405110号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-8〕について訂正することを認める。 特許第7405110号の請求項1~8に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本件特許に係る出願は、令和3年3月19日(優先権主張 令和2年3月27日 日本国)を出願日とするものであって、令和5年12月18日に特許権の設定登録がされ(請求項の数8)、同年同月26日に特許掲載公報が発行され、令和6年6月26日に特許異議申立人 田中 理紗(以下「申立人」という。)により、請求項1~8(全請求項)に係る特許に対して特許異議の申立がされたものである。 その後、当審は、令和6年11月14日付けで取消理由を通知し(発送は同年同月19日)、この取消理由通知に対し、特許権者は、その指定期間内である令和7年1月16日に意見書の提出及び訂正の請求を行った。 当審は、この訂正請求に対し、令和7年2月4日付けで特許権者に手続補正指令を通知し(発送は同年同月6日)、この通知に対し、特許権者は、その指定期間内である同年同月13日に手続補正書を提出した。 また、当審は、同年2月21日付けで申立人に訂正請求があった旨を通知したが(発送は同年同月27日)、この通知に対し、申立人は、その指定期間内に意見書を提出しなかった。 また、当審は、令和7年5月27日付けで取消理由(決定の予告)を通知し(発送は同年6月2日)、この取消理由通知に対し、特許権者は、その指定期間内である令和7年7月14日に意見書の提出及び訂正の請求(以下「本件訂正請求」といい、訂正の内容を「本件訂正」という。)を行った。 当審は、本件訂正請求に対し、令和7年7月29日付けで特許権者に手続補正指令を通知し(発送は同年8月5日)、この通知に対し、特許権者は、その指定期間内である同年同月8日に手続補正書を提出した。 また、当審は、令和7年8月26日付けで申立人に訂正請求があった旨を通知したが(発送は同年9月1日)、この通知に対し、申立人は、その指定期間内に意見書を提出しなかった。 なお、令和7年1月16日にされた訂正の請求は、特許法第120条の5第7項の規定により取り下げられたものとみなす。 第2 本件訂正請求について 1 請求の趣旨 本件訂正の請求の趣旨は、「特許第7405110号の特許請求の範囲を、本訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~8について訂正することを求める。」というものである。 2 本件訂正 (1)本件訂正は、次の訂正事項1~3からなるものである。 ア 訂正事項1 請求項1の「1分子当たりの平均(メタ)アクリロイル基数が1~4、・・・であるポリウレタン(メタ)アクリレート(A)」と記載されているのを、「1分子当たりの平均(メタ)アクリロイル基数が2~4、・・・であるポリウレタン(メタ)アクリレート(A)」に訂正する(請求項1の記載を直接又は間接的に引用する請求項2~8も同様に訂正する)。 イ 訂正事項2 請求項1において、「であり、 (a1)成分が、」と記載されているのを、「であり、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計100質量%中に、(C)成分の含有比率が3~15質量%であり、 (a1)成分が、」と訂正する(請求項1の記載を直接又は間接的に引用する請求項2~8も同様に訂正する)。 ウ 訂正事項3 請求項1において、「(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計100質量%中に、(B)成分の含有比率が35~75質量%であり、」と記載されているのを、「(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計100質量%中に、(B)成分の含有比率が45~75質量%であり、」に訂正する(請求項1の記載を直接又は間接的に引用する請求項2~8も同様に訂正する)。 (2)一群の請求項について 訂正後の請求項1~8に対応する訂正前の請求項1~8について、請求項2~8は、それぞれ請求項1を直接又は間接的に引用するものであって、訂正事項1~3によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。 したがって、訂正前の請求項1~8にそれぞれ対応する本件訂正後の請求項1~8は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項であり、本件訂正は、一群の請求項ごとに請求されたものである。 3 訂正要件についての判断 (1)訂正事項1について ア 訂正の目的について 訂正事項1は、本件訂正前の請求項1に係る「ポリウレタン(メタ)アクリレート(A)」について、その「1分子当たりの平均(メタ)アクリロイル基数が1~4」と特定されていたものを、「1分子当たりの平均(メタ)アクリロイル基数が2~4」であるものに限定する訂正をするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否について 訂正事項1は、本件訂正前の請求項1に係る「ポリウレタン(メタ)アクリレート(A)」の「1分子当たりの平均(メタ)アクリロイル基数」の範囲を「1~4」から「2~4」に減縮するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合する。 ウ 新規事項の追加の有無について 訂正事項1は、ポリウレタン(メタ)アクリレート(A)の1分子あたりの平均(メタ)アクリロイル基数の範囲を「1~4」から「2~4」に変更するものであるところ、本件特許の願書に添付した明細書(以下、「本件特許明細書」ともいう。)には以下の記載がある。 「【0051】 また、(A)成分の1分子当たりの平均(メタ)アクリロイル基数(以下、単に“平均(メタ)アクリロイル基数”ともいう。)が1~4である。平均(メタ)アクリロイル基数が当該範囲にあることで、粘着剤層が高い粘着力を有する。また同様の傾向から、平均(メタ)アクリロイル基数は、1~3が好ましく、1~2がより好ましい。なお、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基又はメタクリロイル基を意味する。」 「【実施例】 【0081】 以下、実施例及び比較例を通じて、本発明を具体的に説明する。なお、それらによって本発明の技術的範囲が限定されないことはもとよりである。実施例中の「部」及び「%」は特に断りがない限り、質量基準である。 【0082】 製造例1 冷却管、撹拌機及び窒素導入管を備える反応装置に、数平均分子量2000のポリプロピレングリコール(商品名:「アデカポリエーテルP-2000」、ADEKA(株)製)(以下、PPG2000)856部、イソホロンジイソシアネート(以下、IPDI)119部、メトキノン(以下、MQ)0.4部、及びオクチル酸第一錫0.1部を加え、70℃まで昇温して3時間保温した後、中間体であるイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを得た。続いて、2-ヒドロキシエチルアクリレート(以下、HEA)25部を加え、70℃で2時間保温し、イソシアネート価(以下、NCO価)を測定して反応の完結を確認することにより、重量平均分子量が26,000、平均アクリロイル基数が2の(A-1)成分を得た。なお、NCO価は、JIS K 1603-1に準拠して測定した(以下同様)。 【0083】 製造例2 冷却管、撹拌機及び窒素導入管を備える反応装置に、PPG2000 870部、IPDI113部、MQ0.4部、及びオクチル酸第一錫0.1部を加え、70℃まで昇温して3時間保温した後、中間体であるイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを得た。続いて、HEA17部を加え、70℃で2時間保温し、NCO価を測定して反応の完結を確認することにより、重量平均分子量が39,000、平均アクリロイル基数が2の(A-2)成分を得た。」 したがって、訂正事項1は、ポリウレタン(メタ)アクリレート(A)の1分子あたりの平均(メタ)アクリロイル基数の範囲の下限値を、本件特許明細書の製造例1あるいは製造例2で「平均アクリロイル基数が2」の(A-1)又は(A-2)成分を製造した旨の記載に基づき、2に変更するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でするものであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合する。 (2)訂正事項2について ア 訂正の目的について 訂正事項2は、本件訂正前の請求項1に係る「活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物」における「(C)成分」の含有割合について、新たに、「(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計100質量%中に、(C)成分の含有比率が3~15質量%」に限定する訂正をするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否について 訂正事項2は、本件訂正前の請求項1に係る「活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物」における「(C)成分」の含有割合について、新たに、「(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計100質量%中に、(C)成分の含有比率が3~15質量%」に限定するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 したがって、訂正事項2は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合する。 ウ 新規事項の追加の有無について 訂正事項2は、活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物における(C)成分の含有割合について、新たに、「(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計100質量%中に、(C)成分の含有比率が3~15質量%」に限定するものであるところ、本件特許明細書には以下の記載がある。 「【0061】 (C)成分の含有量としては、粘着剤層の優れた耐久性及び高い粘着力の点から、通常は、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計100質量%中に、3~20質量%であり、好ましくは3~15質量%であり、より好ましくは5~15質量%である。」 したがって、訂正事項2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でするものであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合する。 (3)訂正事項3について ア 訂正の目的について 訂正事項3は、本件訂正前の請求項1に係る「活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物」における「(B)成分」の含有割合が「(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計100質量%中に、(B)成分の含有比率が35~75質量%」と限定されていたものについて、その下限値を45重量%に変更し、「(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計100質量%中に、(B)成分の含有比率が45~75質量%」に訂正するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否について 訂正事項3は、本件訂正前の請求項1に係る「活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物」における「(B)成分」の含有割合を「35~75質量%」、から「45~75質量%」に限定するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 したがって、訂正事項3は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合する。 ウ 新規事項の追加の有無について 訂正事項3は、活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物における(B)成分の含有割合を「35~75質量%」、から「45~75質量%」に訂正するものであるところ、本件特許明細書には以下の記載がある。 「【0058】 (B)成分の含有量としては、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計100質量%中に、35~75質量%である。(B)成分の含有量が35質量%未満であると、粘着剤層の弾性率が低くなり、ハードコート層が傷付く、もしくは変形しやすくなる。また、含有量が75質量%を超えると粘着剤層の粘着力が発揮されにくくなる。好ましくは35~70質量%であり、より好ましくは40~65質量%である。 ・・・ 【0100】 【表1】 [図:0001435156000001.jpg] 」 したがって、活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物における(B)成分の含有割合を「35~75質量%」、から「45~75質量%」に訂正する訂正事項3は、願書に添付した明細書の段落【0058】及び実施例8の記載を根拠とするものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でするものであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合する。 (4)独立特許要件について 上記第1で述べたように、本件特許異議の申立ては、本件特許の全ての請求項に係る特許に対してなされているので、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項に規定する独立特許要件が課される請求項はない。 (5)本件訂正の適否についての小括 以上のとおり、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5、6項の規定に適合するものである。 したがって、本件特許の特許請求の範囲を本訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~8〕について訂正することを認める。 第3 本件発明 上記第2のとおり、本件訂正請求は認められたので、本件特許の請求項1~8に係る発明は、その特許請求の範囲の請求項1~8に記載された事項により特定される以下のとおりのものである(請求項1~8に係る発明を、それぞれ「本件発明1」~「本件発明8」といい、まとめて「本件発明」ともいう。)。なお、分説のためにA~Mを当審が付した。 「【請求項1】 A:ポリオール(a1)、ポリイソシアネート(a2)、及び、ヒドロキシ基を有するモノ(メタ)アクリレート(a3-1)もしくはイソシアネート基を有するモノ(メタ)アクリレート(a3-2)の反応物であり、1分子当たりの平均(メタ)アクリロイル基数が2~4、及び重量平均分子量が26,000~90,000であるポリウレタン(メタ)アクリレート(A)と、 B:ホモポリマーとした場合のガラス転移温度が40℃以上である、分子内にエチレン性不飽和二重結合を1つ有し、かつヒドロキシ基を有さないモノマー(B)(窒素原子及び不飽和結合を有する単官能モノマーを除く。)と、 C:分子内にエチレン性不飽和二重結合を1つ有し、かつヒドロキシ基を有するモノマー(C)とを含み、 D1:(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計100質量%中に、(B)成分の含有比率が45~75質量%であり、 D2:(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計100質量%中に、(C)成分の含有比率が3~15質量%であり、 E:(a1)成分が、ポリエーテルポリオールである、 F:活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物(スチレン樹脂を含むものを除く)。 【請求項2】 G:(B)成分が、脂環族モノ(メタ)アクリレートを含む、請求項1に記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。 【請求項3】 H:(C)成分が、モノヒドロキシアルキルモノ(メタ)アクリレートを含む、請求項1又は2に記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。 【請求項4】 I:更に(D)粘着付与樹脂を含む、請求項1~3に記載のいずれかの活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。 【請求項5】 J:請求項1~4のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物の粘着剤層。 【請求項6】 K:温度25℃及び周波数1Hzにおける貯蔵弾性率G’が0.5MPa以上である、請求項5に記載の粘着剤層。 【請求項7】 L:基材の少なくとも片面に、請求項5又は6に記載の粘着剤層を有する積層体。 【請求項8】 M:基材の一方の面に、請求項5又は6に記載の粘着剤層を有し、かつ他方の面にハードコート層を有する積層体。」 第4 特許異議の申立ての概要 1 証拠方法の一覧 申立人の提示した証拠は次のとおりである。なお、申立人の提示した甲第1号証を、以下、甲1などという。 甲1:特開2007-177169号公報 甲2:特開2012-224841号公報 甲3:特開2018-100403号公報 甲4:特開2019-129279号公報 甲5:特開2017-177811号公報 甲6:特開2020-37689号公報 甲7:三菱ケミカル株式会社コーティング事業部、「UV硬化型ウレタンアクリレート」の出力物、 url:https://www.m-chemical.co.jp/products/departments/mcc/coating-mat/tech/1205787_9232.html 甲8:国際公開第2013/031678号 甲9:国際公開第2017/110647号 甲10:特開2017-186450号公報 甲11:特開2020-45416号公報 甲12:国際公開第2015/087827号 甲13:三菱ケミカルホールディングス、「日本合成化学工業株式会社の合併について」の出力物、平成30年10月11日、 url:https://www.mcgc.com/news_mcc/2018/__icsFiles/afieldfile/2018/10/11/20181011J.pdf 2 申立理由1 本件発明1~3、5~7は、甲1、甲2、甲3、甲4、甲5、甲6に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の発明に該当し、特許を受けることができない発明であるから、特許法第113条第2号の規定により、それらの発明に係る特許は取り消されるべきものである。 3 申立理由2 本件発明1~8は、甲1、甲2、甲3、甲4、甲5、甲6に記載された発明及び甲1~13に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであって、特許法第113条第2号の規定により、それらの発明に係る特許は取り消されるべきものである。 4 申立理由3 本件発明1~8の記載は、「ホモポリマーとした場合のガラス転移温度が40℃以上である、分子内にエチレン性不飽和二重結合を1つ有し、かつヒドロキシ基を有さないモノマー(B)」の範囲が不明確であって、特許法第36条第6項第2号に規定の要件を満たさないため、同法第113条第4号の規定により取り消されるべきものである。 5 申立理由4 本件発明1~8の記載は、実施例に具体的に記載された粘着剤組成物以外の粘着剤組成物を用いた場合に、課題を解決できることが明らかであるとはいえないから、サポート要件に違反するものであって、特許法第36条第6項第1号に規定の要件を満たさないため、同法第113条第4号の規定により取り消されるべきものである。 6 申立理由5 本件明細書の記載は、実施例として具体的に示された粘着剤組成物以外において、過度な試行錯誤なく、本件発明の課題を解決できる粘着剤組成物を製造できるとは認められないから、本件発明1~8を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されているとはいえないものであって、特許法第36条第4項第1号に規定の要件を満たさないため、同法第113条第4号の規定により取り消されるべきものである。 第5 証拠方法の記載事項 1 甲1には次の記載がある。 「【請求項1】 ポリビニルアルコール系偏光フィルムと熱可塑性ノルボルネン系樹脂フィルムとを接着するための光硬化型接着剤組成物であって、該光硬化型接着剤組成物が(a)ウレタン(メタ)アクリレート30~50重量%、(b)ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート13~40重量%及び(c)アクリルアミド誘導体0~30重量%を含有し、且つ(b)ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートと(c)アクリルアミド誘導体の合計量が20~60重量%であることを特徴とする光硬化型接着剤組成物。 【請求項2】 (d)イソボルニル(メタ)アクリレート30~40重量%を含有することを特徴とする請求項1記載の光硬化型接着剤組成物。 【請求項3】 (a)ウレタン(メタ)アクリレートの二重結合1個当たりの数平均分子量が500~3000であることを特徴とする請求項1又は2記載の光硬化型接着剤組成物。 【請求項4】 (b)ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートがヒドロキシエチルメタクリレートであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の光硬化型接着剤組成物。 【請求項5】 (c)アクリルアミド誘導体がN,N-ジエチルアクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N-ヒドロキシエチルアクリルアミドから選ばれる一種又は二種以上であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の光硬化型接着剤組成物。 【請求項6】 ポリビニルアルコール系偏光フィルムと熱可塑性ノルボルネン系樹脂フィルムの剥離強度が500g/25mm以上(材料破壊、剥離不能も含む。)であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の光硬化型接着剤組成物。 【請求項7】 請求項1乃至6のいずれかに記載の接着剤を用いてポリビニルアルコール系偏光フィルムの片面又は両面に熱可塑性ノルボルネン系樹脂フィルムを接着してなる積層フィルム。」 「【0015】 さて、本発明の光硬化型接着剤組成物は、上述したポリビニルアルコール系偏光フィルムと熱可塑性ノルボルネン系樹脂フィルムの接着に用いられるものであり、以下の構成成分からなるものである。 まず、(a)ウレタン(メタ)アクリレートとしては、特に限定されるものではなく、例えばポリイソシアネートと多価アルコール類とを反応させた後、更に水酸基含有(メタ)アクリル化合物および必要に応じて水酸基含有アリルエーテル化合物を反応させることによって得ることが出来るラジカル重合性不飽和基含有オリゴマーが挙げられる。また、これとは別に水酸基含有(メタ)アクリル化合物と多価アルコール類とを反応させた後、更にポリイソシアネートを反応させることによっても得ることができる。これらの中でも一分子当たり2~3個の二重結合を有していて二重結合1個当たりの数平均分子量が500~3000であるウレタン(メタ)アクリレートを使用するのが接着強度、柔軟性、光硬化性や粘度等をバランスさせやすいので好ましい。ウレタン(メタ)アクリレートの配合量は30~50重量%とする必要があり、これが30重量%未満では接着剤層が脆くなる傾向が生じるので好ましくなく、50重量%を超えると全体の粘度が高くなりやすいばかりか、接着強度が低下するので好ましくない。」 「【0021】 以下、本発明を実施例に基づいて説明する。 なお、本実施例においては、以下の原材料を使用した。 <(a)ウレタン(メタ)クリレート> (a)-1 ウレタンアクリレート 日本合成化学工業(株)製、商品名「UV7750B」、数平均分子量=1640、官能基(二重結合)数=2~3、二重結合1個当たりの数平均分子量=547~820 (a)-2 ウレタンアクリレート 日本合成化学工業(株)製、商品名「UV7000B」、数平均分子量=1780、官能基(二重結合)数=2、二重結合1個当たりの数平均分子量=890 (a)-3 ウレタンアクリレート 日本合成化学工業(株)製、商品名「UV6100B」、数平均分子量=2020、官能基(二重結合)数=2、二重結合1個当たりの数平均分子量=1010 (a)-4 ウレタンアクリレート 日本合成化学工業(株)製、商品名「UV3700B」、数平均分子量=5430、官能基(二重結合)数=2、二重結合1個当たりの数平均分子量=2715 【0022】 <(b)ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート> (b) ヒドロキシエチルメタクリレート <(c)アクリルアミド誘導体> (c)-1 N,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミド (c)-2 N,N-ジエチルアクリルアミド (c)-3 N-イソプロピルアクリルアミド (c)-4 N-ヒドロキシエチルアクリルアミド <(d)イソボルニル(メタ)アクリレート> (d) イソボルニルアクリレート <光重合開始剤> 1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(商品名「Irgacure184」)」 「【0024】 <積層フィルムの作成> 熱可塑性ノルボルネン系樹脂フィルムの表面にアプリケーターバーを用いて3μm厚で接着剤組成物を塗布しポリビニルアルコール系偏光フィルムで接着剤組成物を挟んで貼り合わせた。これに2000mJ/cm2の紫外線を照射して接着剤組成物を硬化させて積層フィルムを得た。ついで、これを25mm幅に裁断して剥離強度測定用試験片とした。 <剥離強度の測定> 23℃、50%RH環境下で、JIS K6854に準拠して、引張速度300mm/分で180度剥離強度を測定した。 なお、剥離強度の測定においては、剥離強度のみならず、剥離時の界面の状態についても目視で評価した。剥離が界面で生じた場合は、剥離がどの界面で生じたのかも評価した。 表示方法は以下の通りである。 cf:凝集破壊 接着剤層自体が破壊したもので、各フィルムとの接着性に優れていると判断される。 af:界面破壊 接着剤層とフィルムとの界面で剥離が生じたものであり、剥離界面がPVAと表示した場合は、ポリビニルアルコール系偏光フィルムとの接着性が不十分であることを示す。」 「【0025】 実施例1-8、比較例1-3 表1に示す組成100重量部に光重合開始剤5重量部を配合して光硬化型接着剤組成物を調整した。次いで、得られた接着剤組成物を用いてポリビニルアルコール系偏光フィルムとGフィルムとを貼り合わせて積層フィルムとした。得られた積層フィルムの180度剥離強度を同じく表1に示す。 【0026】 【表1】 [図:0001435156000002.jpg] 」 2 甲2には次の記載がある。 「【請求項1】 単官能ウレタンアクリレート系オリゴマー40~80重量%と、 イソボルニル(メタ)アクリレート第1単官能希釈モノマー1~55重量%と、 ガラス転移温度(Tg)が1℃ 以上であり、エチレン不飽和基を持つ第2単官能希釈モノマー1~55重量%、および フリーラジカル光開始剤0.1~5重量%を含有する光学用感圧粘着剤組成物。 【請求項2】 前記単官能ウレタンアクリレート系オリゴマーは、エステル主鎖、エーテル主鎖またはこれらの混合構造の主鎖を含む請求項1に記載の光学用感圧粘着剤組成物。 【請求項3】 前記第2単官能希釈モノマーは、ガラス転移温度(Tg)が1~150℃である請求項1または2に記載の光学用感圧粘着剤組成物。 【請求項4】 請求項1~3のいずれか一項の粘着剤組成物が硬化された光学用感圧粘着剤。 【請求項5】 透明基材フィルムと、 前記透明基材フィルムの片面に形成された請求項4の粘着剤とを含む粘着フィルム。 【請求項6】 前記粘着剤は、厚さ25~1000μmを有する請求項5に記載の粘着フィルム。」 「【0006】 本発明は、ウレタンアクリレート系オリゴマーを使用して、プラスチック材料だけでなく、無機材料に対する粘着力、耐熱性および耐湿熱性などの耐久性、並びにせん断変形率に優れた光学用感圧粘着剤組成物を提供することを目的とする。」 「【0018】 上記単官能ウレタンアクリレート系オリゴマーは、ポリオールの分子構造に起因する主鎖部分と、イソシアネートとポリオールの反応で生成されるウレタン結合基、および水酸基を含むアクリレートモノマーを結合させて末端にアクリロイル基の反応性基を生成させて製造することが一般的である。」 「【0026】 第1単官能希釈モノマーであるイソボルニル(メタ)アクリレートは、イソボルニル基が立体的形状の脂環基であり、ガラス転移温度(Tg)が約96℃以上であるので、ウレタンアクリレートオリゴマーが主成分である粘着剤に使用されると粘着力を向上することができる。特に、ガラス(Glass)などのような無機材料に対する粘着力を向上することができる。さらに、相対的にガラス転移温度(Tg)が低いアクリレートモノマーと比べると、同一オリゴマーとの硬化時、硬化率が高いというメリットがある。 このような第1単官能希釈モノマーは、1~55重量%、好ましくは5~40重量%を含有することができる。 【0027】 第2単官能希釈モノマーは粘着剤組成物の粘度を調節して塗工が容易になるようにし、上記第1単官能希釈モノマーとともに使用されてポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムまたはトリアセチルセルロース(TAC)フィルムなどのようなプラスチック材料との密着力もしくは粘着力を向上させる役目をする。」 「【0029】 また、希釈モノマーは、エチレン不飽和基を持つ単官能性アクリル系単量体を使用することができる。具体的に、エチルアクリレート、メチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、アリルメタクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、2-ドデシルチオエチルメタクリレート、オクチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、2-メトキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソデキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、テトラフルフリル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、オキタデシルメタクリレート、テトラヒドロフリルアクリレート、およびアクリロイルモルホリンからなる群から選ばれた少なくとも1種を使用することができる。」 「【0038】 本発明の粘着剤組成物は、硬化して粘着剤を形成することができる。また、透明基材フィルムと、上記透明基材フィルムの片面に形成された上記粘着剤を含めて粘着フィルムを形成することができる。 【0039】 上記粘着剤は、厚さ25~1000μmを有することができる。 【0040】 上記透明基材フィルムは、透明性、機械的強度、熱安定性、遮水性などに優れているものであって、特に制限されない。 【0041】 上記硬化は、当分野に公知のものであって特に限定しないが、紫外線を用いた光硬化が一般的である。」 「【0045】 (実施例1) (1)粘着剤組成物 単官能ウレタンアクリレートオリゴマー(商品名DFCN-5、根上化学社製、重量平均分子量=31,000)60重量%、第1単官能希釈モノマーとしてイソボルニルアクリレート(Tg=94℃)28重量%、第2単官能希釈モノマーとしてt-ブチルアクリレート(Tg=41℃)10重量%、フリーラジカル光開始剤(BASF社製、Darocur-1173)2重量%を混合して粘着剤組成物を製造した。 【0046】 (2)粘着フィルムの製造 上記(1)で製造された粘着剤組成物をシリコーン離型剤がコーティングされた透明基材フィルム上に厚みが300μmになるように塗布し、4m/分の速度(600mJ/cm2)で紫外線を照射した後、その上に同じ透明基材フィルムを積層して、さらに4m/分の速度(600mJ/cm2)で紫外線を照射して完全硬化して粘着剤を形成した。 【0047】 (実施例2-9および比較例1-8) 各成分の組成物を下記の表1に示すように使用した以外は、上記実施例1と同様に実施した。 【0048】 【表1】 [図:0001435156000003.jpg] 」 3 甲3には次の記載がある。 「【請求項1】 (A)(a1)ポリエーテルポリオール、(a2)脂肪族ポリイソシアネート、及び(a3-1)水酸基含有モノ(メタ)アクリレート又は(a3-2)イソシアネート基含有モノ(メタ)アクリレートの反応物であるポリウレタン(メタ)アクリレート、 (B)アルキル基の炭素数が4~12のアルキルモノ(メタ)アクリレート、 (C)シクロアルキル基の炭素数が6~10のシクロアルキルモノ(メタ)アクリレート、 (D)一級水酸基含有モノ(メタ)アクリレート、 (E)α-ヒドロキシアルキルフェノン系光重合開始剤及びアシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤からなる群から選択される1種以上の光重合開始剤、 (F)ヒンダードフェノール系酸化防止剤、並びに、 (G)チオエーテル系酸化防止剤を含み、 (A)成分、(B)成分、(C)成分、及び(D)成分の合計質量に対して、(E)成分が0.1~2質量%、(F)成分が0.1~2質量%、(G)成分が、0.1~2質量%、(H)粘着付与樹脂が、5質量%以下であり、 (F)成分と(G)成分との質量比((F)/(G))が0.7~2.0であり、 (I)紫外線非反応性溶剤の含有量が1質量%未満である、 紫外線硬化型粘着剤。 【請求項2】 (A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分の合計質量に対して、夫々の比率が順に20~60質量%、10~50質量%、10~50質量%、及び20~60質量%である、請求項1に記載の紫外線硬化型粘着剤。 【請求項3】 (A)成分の重量平均分子量が10,000~90,000である、請求項1又は2に記載の紫外線硬化型粘着剤。 【請求項4】 (E)成分が、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン及び/又は2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニルホスフィンオキサイドである、請求項1~3のいずれか1項に記載の紫外線硬化型粘着剤。 【請求項5】 (F)成分が、セミヒンダードフェノール系酸化防止剤である、請求項1~4のいずれか1項に記載の紫外線硬化型粘着剤。 【請求項6】 (H)成分が、ロジン誘導体、ロジン及びロジン誘導体の水素添加樹脂、テルぺンフェノール樹脂の水素添加樹脂、及び石油樹脂の水素添加樹脂からなる群から選択される1種以上である、請求項1~5のいずれか1項に記載の紫外線硬化型粘着剤。」 「【0076】 (H)粘着付与樹脂((H)成分ともいう) (H)成分は、粘着力及び柔軟性向上の目的で利用可能な任意成分であり、ロジン誘導体や水素添加樹脂等が挙げられる。水素添加樹脂はロジン及びロジン誘導体の水素添加樹脂、テルぺンフェノール樹脂の水素添加樹脂、石油樹脂の水素添加樹脂等が例示される。」 「【0095】 製造例1 冷却菅、撹拌機及び窒素導入管を備える反応装置に、重量平均分子量2,000のポリプロピレングリコール(ADEKA(株)製、商品名「アデカポリエーテルP-2000」)(以下、PPG2000)869部、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(以下、水添MDI)123部、2-エチルヘキシルアクリレート(以下、2-EHA)333部及びジオクチル錫ジラウレート0.4部を加え、80℃まで昇温して3時間保温した後、中間体であるイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーの2-EHA溶液を得た。続いて、2-ヒドロキシエチルアクリレート(以下、HEA)を8部加え、80℃で2時間保温し、NCO測定にて反応完結を確認することにより、重量平均分子量58,000、1分子中の(メタ)アクリロイル基の平均個数2.0のポリウレタンアクリレート(以下、(A-1)成分)の2-EHA溶液を得た。」 「【0101】 実施例1 (A)成分として製造例1で製造した(A-1)成分、(B)成分として2-EHA、(C)成分としてイソボルニルアクリレート(以下IBXA)、(D)成分としてHEA、(E)成分として1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(DKSHジャパン社製、商品名「Luna200」)(以下、Luna200)、(F)成分として3,9-ビス[2-{3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ}-1,1-ジメチルエチル]-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン(アデカ社製、商品名「アデカスタブAO-80」)(以下、AO80)、並びに(G)成分としてジトリデシル-3,3’-チオジプロピオネート(アデカ社製、商品名「アデカスタブAO-503」)(以下、AO503)を表1で示す質量%となるよう混合することにより、紫外線硬化型粘着剤を得た。溶剤含有率、ガードナー色数及び粘度を表2に示す。なお、(I)成分の含有量は粘着剤の1質量%未満であった。 【0102】 実施例2~13及び比較例1~11 表1に記載するように成分を変更した以外は実施例1と同様にして実施した。なお、(I)成分の含有量はいずれも粘着剤の1質量%未満であった。 【0103】 【表1】 [図:0001435156000004.jpg] 表中に記載の使用量(質量%)は、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分の合計質量に対する比率である。 2-EHA:2-エチルヘキシルアクリレート(三菱ケミカル(株)製、商品名「アクリル酸2-エチルヘキシル」) BA:n-ブチルアクリレート(三菱ケミカル(株)製、商品名「アクリル酸ブチル」) IBXA:イソボルニルアクリレート(大阪有機化学(株)製、商品名「IBXA」) HEA:2-ヒドロキシエチルアクリレート(大阪有機化学(株)製、商品名「HEA」) 4HBA:4-ヒドロキシブチルアクリレート(大阪有機化学(株)製、商品名「4-HBA」) 2HBA:2-ヒドロキシブチルアクリレート(共栄社化学(株)製、商品名「ライトアクリレートHOB-A」) Luna200:1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(DKSHジャパン(株)製、商品名「Luna200」) TPO:2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニルホスフィンオキサイド(DKSHジャパン(株)製、商品名「Speedcure TPO」) Irg.651:2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン(BASF社製、商品名Irgacure651) AO30:1,1,3-トリス-(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ブタン((株)アデカ製、商品名「アデカスタブAO-30」) AO80:3,9-ビス[2-{3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ}-1,1-ジメチルエチル]-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン((株)アデカ製、商品名「アデカスタブAO-80」) AO503:ジトリデシル-3,3’-チオジプロピオネート((株)アデカ製、商品名「アデカスタブAO-503」) Irganox1726:4,6-ビス(ドデシルチオメチル)-O-クレゾール(BASF社製、商品名Irganox1726) KE311:水添ロジンエステル(荒川化学工業(株)製、商品名「パインクリスタルKE-311」)」 4 甲4には次の記載がある。 「【請求項1】 ラジカル重合反応性モノマー及び/又はオリゴマー(成分A)と、光ラジカル重合開始剤(成分B)とを含むインプリント成型用光硬化性樹脂組成物であって、 前記成分Aは、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー及びエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーからなる群より選択される少なくとも1種のオリゴマー(成分A1)と、環構造を有するメタクリレートモノマー(成分A2)と、カルボキシル基を含有する(メタ)アクリレートモノマー(成分A3)とを含み、 前記成分A1は、重量平均分子量が1,000~50,000であり、 前記成分A中、前記成分A2が30~90重量%、前記成分A3が0.1~10重量%であり、 粘度が1000mPa・s以下であるインプリント成型用光硬化性樹脂組成物。」 「【0014】 <<ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー>> ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、脂肪族系、ポリエーテル系、ポリカーボネート系、ポリエステル系又はこれらの組合せのポリウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーが挙げられる。これらは、1種でも、2種以上の組合せでもよい。これらの中でも脂肪族系が好ましく、脂肪族系の中でもポリエン骨格を有するもの又はポリエン骨格を有するものの水素添加物(水添物)が好ましい。ポリエン骨格としては、ポリブタジエン及びポリイソプレンの骨格が挙げられる。 【0015】 ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、例えば、特開2008-260898号公報に記載されているような方法で、有機ジイソシアネートとヒドロキシル基を有する樹脂とを反応させた後、さらにヒドロキシル基を有する1~5官能の(メタ)アクリレートとを反応して製造することができる。有機ジイソシアネートとしては、例えば、芳香族系、脂肪族系、脂環式系等のジイソシアネートが挙げられ、具体的には、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、変性ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香族系ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族系ジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン等の脂環式系ジイソシアネート類が挙げられる。これらの中でも脂環式系のジイソシアネートが好ましい。」 「【0044】 インプリント成型硬化体の製造方法では、組成物が工程(1)~(4)を含む製造方法で使用されることによって、インプリント成型体の基材密着性と型剥離性が両立し、基材密着性、好ましくはインプリント成型硬化体上に形成された金属膜の密着性に優れ、透明性に優れ、基材の反りが最小限である、インプリント成型硬化体を得ることができる。」 「【0060】 (好ましい態様) インプリント成型硬化体の製造方法は、工程(1)~工程(4)を、それぞれ単独で又は組み合わせで、複数行うことにより、積層化や多重パターニングもできる。また、インプリント成型硬化体の製造方法は、通常の熱インプリントと組み合わせて用いることもできる。インプリント成型硬化体の製造方法は、更に、インプリント成型硬化体上に金属膜を形成する工程を含んでいてもよい。」 「【0069】 (3)クロスカットテープ剥離(ガラス) ガラス基板上に光硬化性樹脂組成物を0.01g塗布して、その上にPET(ポリエステル)フィルム(パナック社製 ルミラー100T60)を貼り合せ、上からゴムロールを3kgの力で5回往復させて光硬化性樹脂組成物を押し潰した。その後メタルハライドランプ(アイグラフィックス製、M06-L31)にて6000mJ/cm2のUVをPETフィルム越しに光硬化性樹脂組成物に照射して硬化させた後、PETフィルムを剥がし、ガラス基板上に密着した10~20μm厚の硬化体を試験片とした。 JIS-K5400による100マスクロスカット試験によって硬化体がガラス基板から剥がれるか剥がれないかを確認した。 1マスも剥離しない場合を○ 1マスでも剥離した場合を× と判断した。」 「【0073】 表1中略称で記載されている成分は以下の通りである。 なお、表1中、オリゴマーA及びオリゴマーB以外の成分A1の重量平均分子量は、カタログ値である。 オリゴマーA:合成例1で製造した水添ポリブタジエン骨格ウレタンアクリレート UN-9200A:根上工業社製、ポリカーボネート骨格ウレタンアクリレート オリゴマーB:合成例2で製造した水添ポリイソプレン骨格ウレタンアクリレート UV3700B:日本合成化学化学工業社製、ポリエーテル骨格ウレタンアクリレート EB3708:ダイセルオルネクス社製 変性エポキシアクリレート EB3700:ダイセルオルネクス社製 ビスフェノールA型エポキシアクリレート IB:新中村化学社製 イソボルニルメタクリレート FA-513M:日立化成社製 ジシクロペンタニルメタクリレート IBOA:日本触媒社製 イソボルニルアクリレート FA-513AS:日立化成社製 ジシクロペンタニルアクリレート DCP-A:共栄社化学社製 ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート HO-MS:共栄社化学社製 2-メタクリロイルオキシエチル-コハク酸 HO-250:共栄社化学社製 2-ヒドロキシエチルアクリレート A-BZ:新中村化学社製 ベンジルアクリレート I-184:BASF社製 Irgacure184 1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン I-819:BASF社製 Irgacure819 ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド 【0074】 (1)実施例1 成分A1として、オリゴマーAの30重量部、成分A2として、IBの70重量部、成分A3として、HO-MSの5重量部及び、成分Bとして、I-184の3重量部とI-819の0.5重量部とを、成分A及び成分Bの合計が0.1kgである量で、手動にて撹拌した後自転・公転ミキサーあわとり錬太郎(THINKY社製、品番ARV-200)に投入し、1800rpm、室温25℃で3分間混錬して排出したものを実施例1のインプリント用光硬化性樹脂組成物とした。 【0075】 (2)実施例2~9及び比較例1~6 表1に記載される重量部にて、全成分の合計で0.1kgを、実施例1と同じ条件で混錬して排出したものをそれぞれの例のインプリント用光硬化性樹脂組成物とした。 【0076】 【表1】 [図:0001435156000005.jpg] 」 5 甲5には次の記載がある。 「【請求項1】 基板、粘着剤層及び被着体を有する積層体の製造方法であって、該粘着剤層は、紫外線重合性反応基を末端に有するポリウレタン(A)、紫外線重合性反応基を1つ有するモノマー(B)及び光重合開始剤(C)を含み、溶剤含有量が1重量%未満である粘着剤組成物を塗布・硬化させたものであり、基板側又は被着体側から紫外線を照射する工程を有する積層体の製造方法。 【請求項2】 前記紫外線重合性反応基を1つ有するモノマー(B)が、炭素数8~16のアルキル基を有し、かつそのホモポリマーのガラス転移温度が-70~40℃であるモノマー(B-1)、一級水酸基を有するモノマー(B-2)、及び脂環構造を有するモノマー(B-3)の群から選ばれる少なくとも1種以上である請求項1記載の積層体の製造方法。 【請求項3】 前記粘着剤層の膜厚が、10~500μmである請求項1又は2記載の積層体の製造方法。 【請求項4】 前記基板が、アクリル及び/又はポリカーボネートである請求項1~3のいずれかに記載の積層体の製造方法。 【請求項5】 前記被着体が、透明導電膜である請求項1~4のいずれかに記載の積層体の製造方法。 【請求項6】 前記透明導電膜が、スズドープ酸化インジウム(ITO)からなる透明導電膜、Ag、Cuメッシュからなるメタルメッシュ透明導電膜及び有機導電性高分子からなる透明導電膜の群から選ばれる少なくとも1種である請求項5に記載の積層体の製造方法。 【請求項7】 前記透明導電膜が、タッチセンサーとして使用される請求項5又は6記載の積層体の製造方法。」 「【0021】 上記紫外線重合性反応基を末端に有するポリウレタン(A)は、例えば、ポリオール(a-1)(以下、「(a-1)成分」ともいう)、ポリイソシアネート(a-2)(以下、「(a-2)成分」ともいう)、及び水酸基又はイソシアネート基を有する紫外線重合性化合物(a-3)(以下、「(a-3)成分」ともいう)を反応させて得られるものを用いることができる。」 「【0032】 なお、上記(A)成分の平均官能基数は、特に限定されないが、得られる粘着剤層の耐久性及び硬化性の点から、1.5~3.0であることが好ましく、より好ましくは1.8~2.2である。なお、該平均官能基数とは、(A)成分の1分子中に存在する(メタ)アクリロイル基の平均個数を意味する。 【0033】 上記(A)成分の使用量は、粘着剤組成物中、10~50重量%であることが好ましく、20~40重量%であることがより好ましい。(A)成分の割合を10重量%以上にすることで、粘着剤組成物・粘着剤層の粘着力・耐久性を向上でき、また(A)成分の割合を50重量%以下にすることで、粘着剤組成物の取り扱い性を向上できる。 【0034】 上記(B)成分は、炭素数8~16のアルキル基を有し、かつそのホモポリマーのガラス転移温度が-70~40℃であるモノマー(B-1)(以下、「(B-1)成分」ともいう)、一級水酸基を有するモノマー(B-2)(以下、「(B-2)成分」ともいう)、及び脂環構造を有するモノマー(B-3)(以下、「(B-3)成分」ともいう)の群から選ばれる少なくとも1種以上であることが好ましい。」 「【0039】 上記一級水酸基を有するモノマー(B-2)が1級水酸基を持たない場合は、粘着剤層の耐久性が低下する。上記(B-2)成分の具体例としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレートなどの一級水酸基を持つヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。 【0040】 上記(B-2)成分の使用量は、粘着剤組成物中、5~25重量%であることが好ましく、10~20重量%であることがより好ましい。(B-2)成分の割合を5重量%以上にすることで、粘着剤層の耐湿熱性と硬化性及び耐発泡性を向上でき、25重量%以下にすることで、粘着剤組成物の相溶性が低下するのを防ぐことができる。 【0041】 上記(B-3)成分は、シクロヘキシルアクリレート、4-t-ブチルシクロヘキシルアクリレート、イソボルニルアクリレート及びジシクロペンタニルアクリレ-トなどの環状構造を有するアクリレートが挙げられる。これにより、粘着剤組成物の硬化性及び粘着剤層の粘着力を向上させることができる。 【0042】 上記(B-3)成分の使用量は、粘着剤組成物100重量部中、5~40重量%であることが好ましく、10~35重量%であることがより好ましい。(B-3)成分の割合を5重量%以上にすることで、粘着剤層の粘着力を向上することができ、40重量%以下にすることで、柔軟性を保つことができる。」 「【0046】 上記紫外線硬化型粘着剤組成物には、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲において、種々の添加剤を含有させることができる。例えば、可塑剤、粘着付与剤、表面調整剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、無機フィラー、シランカップリング剤、コロイダルシリカ、消泡剤、湿潤剤、防錆剤、安定化剤等の添加剤を含有させることができる。」 「【0067】 <(A)成分の合成> 合成例1 (A-1)成分の合成 冷却管と撹拌機を備えた反応装置に、数平均分子量2000のポリプロピレングリコール(ADEKA(株)製、商品名「アデカポリエーテルP-2000」)886部、イソホロンジイソシアネート106部、2-エチルヘキシルアクリレート(2-EHA)333部およびオクチル酸スズ0.4部を加え、80℃まで昇温して3時間保温した後、中間体であるイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーの2-EHA溶液を得た。続いて、2-ヒドロキシエチルアクリレートを8部加え、80℃で2時間保温し、NCO測定にて反応完結を確認することにより、重量平均分子量54,000、平均官能基数2.0のポリウレタンアクリレートオリゴマー(以下、(A-1)成分という)の2-EHA溶液を得た。なお、当該重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算値であり、該測定条件は以下のとおりである〔測定装置本体(製品名「HLC-8220GPC」、東ソー(株)製)、カラム(製品名「TSKGel G1000H」、「TSKGel G2000H」、東ソー(株)製)、展開溶媒(テトラヒドロフラン)〕。(以下同様) 【0068】 合成例2 (A-2)成分の合成 合成例1と同様の反応装置に、数平均分子量2000のポリプロピレングリコール(ADEKA(株)製、商品名「アデカポリエーテルP-2000」)909部、ヘキサメチレンジイソシアネート83部、2-エチルヘキシルアクリレート(2-EHA)333部およびオクチル酸スズ0.2部を加え、80℃まで昇温して2時間保温した後、中間体であるイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーの2-EHA溶液を得た。続いて、2-ヒドロキシエチルアクリレートを8部加え、80℃で3時間保温し、NCO測定にて反応完結を確認することにより、重量平均分子量57,000、平均官能基数2.0のポリウレタンアクリレートオリゴマー(以下、(A-2)成分という)の2-EHA溶液を得た。 【0069】 合成例3 (A-3)成分の合成 合成例1と同様の反応装置に、数平均分子量1000のポリプロピレングリコール(ADEKA(株)製、商品名「アデカポリエーテルP-1000」)840部、ヘキサメチレンジイソシアネート149部、2-エチルヘキシルアクリレート(2-EHA)333部およびオクチル酸スズ0.2部を加え、80℃まで昇温して3時間保温した後、中間体であるイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーの2-EHA溶液を得た。続いて、2-ヒドロキシエチルアクリレートを11部加え、80℃で2時間保温し、NCO測定にて反応完結を確認することにより、重量平均分子量68,000、平均官能基数2.0のポリウレタンアクリレートオリゴマー(以下、(A-3)成分という)の2-EHA溶液を得た。」 「【0072】 比較合成例1 (A-6)成分の合成 合成例1と同様の反応装置に、数平均分子量18000のポリプロピレングリコール(旭硝子(株)製、商品名「PREMINOL S 4318F」)986部、イソホロンジイソシアネート6部およびオクチル酸スズ0.3部を加え、80℃まで昇温して2時間保温した後、NCO測定にて反応完結を確認し、中間体である水酸基末端ウレタンオリゴマーを得た。ついで、2-イソシアナトエチルメタアクリレートを8部加え、80℃で2時間保温し、NCO測定にて反応完結を確認することにより、重量平均分子量62,000、平均官能基数2.0のポリウレタンメタクリレートオリゴマー(以下、(A-6)成分という)を得た。」 「【0076】 <粘着剤組成物の調製> 実施例1 (A-1)成分35部、(B-1)成分として、2-エチルヘキシルアクリレート(三菱化学(株)製、商品名「アクリル酸2-エチルヘキシル」、ホモポリマーガラス転移温度は-70℃、以下、2EHAという)30部、(B-2)成分として、2-ヒドロキシエチルアクリレート(大阪有機化学(株)製、商品名「HEA」、以下、HEAという)10部、(B-3)成分として、イソボルニルアクリレート(大阪有機化学(株)製、商品名「IBXA」、以下、IBXAという)25部、(C)成分として、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASFジャパン(株)製、商品名「イルガキュア184」、以下(C-1)成分という)1部を、いずれも純分換算で配合し、粘着剤組成物を調製した(表1参照)。また、該組成物のガードナー色数、溶剤含有量および相溶性を評価し、結果を表2に示した(以下同様)。 【0077】 実施例2 実施例1の(A-1)成分を(A-2)成分35部に置換し、他配合は実施例1同様に粘着剤組成物を調製した。 【0078】 実施例3 実施例1の(A-1)成分を(A-3)成分35部に置換し、他配合は実施例1同様に粘着剤組成物を調製した。」 「【0081】 実施例6 実施例3のHEAを4-ヒドロキシブチルアクリレート(以下、HBAという)10部に置換し、他配合は実施例3同様に粘着剤組成物を調製した。」 「【0084】 実施例9 実施例1の2EHAを使用せず、HEAを30部、IBXAを35部に変更し他配合は実施例1同様に粘着剤組成物を調製した。 【0085】 実施例10 実施例1の(B-1)成分として、2EHAを20部、ラウリルアクリレート(大阪有機化学(株)製、商品名「LA」、ホモポリマーガラス転移温度は-23℃、以下、LAという)を10部に変更し他配合は実施例1同様に粘着剤組成物を調製した。 【0086】 実施例11 実施例1の(B-1)成分として、2EHAを20部、ステアリルアクリレート(大阪有機化学(株)製、商品名「SA」、ホモポリマーガラス転移温度は-18℃、以下、STAという)を10部に変更し他配合は実施例1同様に粘着剤組成物を調製した。」 「【0088】 比較例1 実施例1の(A-1)成分を(A-6)成分35部に置換し、他配合は実施例1同様に粘着剤組成物を調製した。(表1参照)。また、該組成物のガードナー色数、粘度、溶剤含有量および相溶性を評価し、結果を表2に示した(以下同様)。」 「【0092】 【表1】 [図:0001435156000006.jpg] 」 「【0097】 [粘着剤層についての各種試験] 評価例1~15、比較評価例1~20 <粘着力> 作製した実施例1~12、及び比較例1~4の粘着剤層の片面の軽剥離処理ポリエステルフィルムを剥離し、50μm厚のポリエステルフィルム(東洋紡績(株)製、商品名「コスモシャインA-4300」)をkgローラーで貼り合わせ、2時間放置した。残りの重剥離処理ポリエステルフィルムを剥離し、厚さ0.8mmのポリカーボネート板(三菱ガス化学社製,製品名「ユーピロン・シートMR58」)とkgローラーで貼り合わせた。50μmPET/粘着剤層(100μm)/ガラス試験片を作製した。25℃50%RH下で24時間放置後、180°方向に300mm/minの速度で剥離を行うことで、粘着力を測定した(N/25mm)。結果を表3及び表4に示す。」 「【0099】 <耐久性> 作製した粘着剤層を粘着力試験と同様に50μmPET/粘着剤層(100μm)/ガラス試験片を作製し、温度85℃、湿度85%の恒温恒湿槽中に500時間静置した後、ヘイズの変化量(△HAZE)を測定した。ヘイズ値を、村上色彩技術研究所製カラーへイズメーターを用い、JIS K 5400に準拠して測定した。結果を表3に示す。なお、各ヘイズ値は基材であるガラスのヘイズ値を含めた数値である。結果を表3及び表4に示す。 また、耐久性は以下の基準で評価した。 ○:剥がれなし、粘着剤層位置ズレなし、気泡および破損なし、△HAZEは1%以下 ×:剥がれあり、粘着剤層位置ズレあり、気泡および破損あり、△HAZEは1%以上」 6 甲6には次の記載がある。 「【請求項1】 (A)(a1)ポリオール、(a2)脂肪族ポリイソシアネート、(a3)水酸基含有モノ(メタ)アクリレート及び(a4)水酸基含有光重合開始剤の反応物であるポリウレタンと、 (B)(b1)脂環構造を含有しない直鎖状アルキル基の炭素数が4以上18以下のアルキルモノ(メタ)アクリレート、脂環構造を含有しない分岐状アルキル基の炭素数が4以上18以下のアルキルモノ(メタ)アクリレート及び、(b2)脂環構造を含有するアルキル基の炭素数が6以上15以下のアルキルモノ(メタ)アクリレートから選択される1種以上のアルキルモノ(メタ)アクリレートと、 (C)一級水酸基含有モノ(メタ)アクリレートとを含み、 (A)成分が、(a1)成分と(a2)成分で構成されるウレタンプレポリマーの末端にあるイソシアネート基に対し、(a3)成分が10mol%以上90mol%以下導入されており、(a4)成分が10mol%以上90mol%以下導入されている、 活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。 【請求項2】 (A)成分、(B)成分、及び(C)成分の合計を100質量%とした場合において、(A)成分が20質量%以上70質量%以下であり、(B)成分が25質量%以上75質量%以下であり、及び(C)成分が5質量%以上55質量%以下である、請求項1に記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。 【請求項3】 (a1)成分の数平均分子量が700以上10,000以下である、請求項1又は2に記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。 【請求項4】 (a3)成分が炭素数5以上10以下の水酸基含有モノ(メタ)アクリレートである、請求項1~3のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。 【請求項5】 (A)成分の重量平均分子量が10,000以上90,000以下である、請求項1~4のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。 【請求項6】 請求項1~5のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物の硬化物。 【請求項7】 25℃及び1Hzにおける貯蔵弾性率G’が8×104Pa以上であり、並びに、50℃及び1Hzにおける損失係数Tanδが0.4以上である、請求項6に記載の硬化物。 【請求項8】 請求項6又は7に記載の硬化物を基材表面の少なくとも一つの面に有する、粘着シート。」 「【0076】 <(C)成分> (C)成分は、一級水酸基含有モノ(メタ)アクリレートである。(C)成分を用いることで、粘着剤組成物が硬化性に優れ、粘着層が耐湿熱試験後の耐久性に優れる。(C)成分は、特に限定されず、各種公知のものであってもよい。(C)成分は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。(C)成分の代替物として水酸基を有しないモノ(メタ)アクリレートを用いた場合、耐湿熱試験後の耐久性や耐湿熱試験後のヘイズ値が劣る。また、(C)成分の代替物として二級水酸基含有モノ(メタ)アクリレートを用いた場合、耐湿熱試験後のヘイズ値が劣る。」 「【0092】 添加剤として、表面調整剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、粘着付与剤、無機フィラー、シランカップリング剤、コロイダルシリカ、消泡剤、湿潤剤、防錆剤、可塑剤、連鎖移動剤、光増感剤等が例示される。」 「【0134】 <製造例1:(A)-1成分の作製> 攪拌機、温度計、滴下ロート、冷却管及び空気導入口を備えた反応容器に、(a1)成分として数平均分子量2,000のポリテトラメチレンエーテルグリコール(製品名「PTMG2000」、三菱ケミカル(株)製)(以下、「PTMG2000」ともいう。)863部、(a2)成分としてヘキサメチレンジイソシアネート(製品名「HDI」、東ソー(株)製)(以下、「HDI」ともいう。)97部、2-エチルヘキシルアクリレート(製品名「アクリル酸-2-エチルヘキシル」、三菱ケミカル(株)製)(以下、「2-EHA」ともいう。)333部及びオクチル酸スズ 0.5部を加えて70℃2時間反応させ、中間体であるイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーの2-EHA溶液を得た。得られた反応物に(a3)成分として2-ヒドロキシエチルアクリレート(製品名「HEA」、大阪有機化学工業(株)製)(以下、「HEA」ともいう。)17部、(a4)成分として2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン(製品名「Luna100」、DKSHジャパン(株)製)(以下、「L100」ともいう。)23部を混合し、70℃2時間保温し反応させ、NCO測定にて反応完結を確認することにより、反応物(以下、「(A)-1成分」)の2-EHA溶液を得た。 【0135】 <製造例2~5及び比較製造例1~4:(A)-2成分~(A)-5成分及び(A)-C1~(A)-C4成分の作製> 表1に記載するように成分を変更した以外は製造例1と同様にして実施した。なお、表2には、(a1)成分と(a2)成分で構成されるウレタンプレポリマーの末端にあるイソシアネート基に対して導入される(a3)成分のmol%及び(a4)成分のmol%を示す。」 「【0140】 【表2】 [図:0001435156000007.jpg] 【0141】 <実施例1:粘着剤組成物(1)の作製> (A)成分として製造例1の(A)-1成分、(b1)成分として2-EHA、(b2)成分としてイソボルニルアクリレート(製品名「IBXA」、大阪有機化学工業(株)製、以下、IBXA)、(C)成分としてHEA、(D)成分としてL200を表3で示す質量%となるよう混合することにより、粘着剤組成物(1)を得た。 【0142】 <実施例2~12及び比較例1~7:粘着剤組成物(2)~(12)及び粘着剤組成物(C1)~(C7)> 表3及び4に記載するように成分を変更した以外は実施例1と同様にして実施した。」 「【0144】 <性能評価(2):貯蔵弾性率(G’)及び損失係数Tanδ> 粘着剤組成物(1)~(12)及び(C1)~(C7)のいずれかを、75μm厚の重剥離処理ポリエステルフィルム(製品名「SP-PET-03-75BU」、パナック(株)製)上に、硬化後の粘着層の膜厚が200μmとなるよう塗布し、粘着剤組成物塗布層に38μm厚の軽剥離処理ポリエステルフィルム(製品名「SP-PET-01-38BU」、パナック(株)製)の剥離処理面を貼り合わせる。次いで、得られた塗工フィルムを、大気中、高圧水銀灯(粘着剤組成物(9)及び(C4)以外:100mW/cm2、900mJ/cm2、粘着剤組成物(9)及び(C4):100mW/cm2、3,000mJ/cm2)で紫外線を照射することで、粘着層を含む積層フィルム(軽剥離処理ポリエステルフィルム/粘着層/重剥離処理ポリエステルフィルム)を作製した。次に、該積層フィルムから1cm×1cmの試験片を切り取った。次に、該試験片より軽剥離処理ポリエステルフィルムと重剥離処理ポリエステルフィルムを剥がし、粘着層(以下、「硬化物」ともいう。)のみからなるシート(粘着シート(1)~(12)及び(C1)~(C7))を得た。 粘着シート(1)~(12)及び(C1)~(C7)を、市販の測定機(製品名「MCR302」、アントンパール社製)にかけ、その動的粘弾性を以下の条件で測定した。そして、測定結果より、25℃及び1Hzにおける貯蔵弾性率G’と50℃及び1Hzにおける損失係数Tanδを求めた。 (測定条件) 変形モード:ねじり 測定周波数:1Hz 歪:0.01~1%AUTO設定 昇温速度:3℃/分 測定温度:25~50℃ 形状:パラレルプレート 8.0mmφ」 「【0150】 <性能評価(8):耐久性(耐湿熱試験後)> 積層体(1-2)~(12-2)及び(C1-2)~(C7-2)を、温度85℃及び湿度85%の恒温恒湿機中に500時間静置した後、粘着層の耐久性を以下の基準で評価した。 ○:基材の剥がれ、粘着層位置のズレ、粘着層中の気泡、粘着層の破損のいずれもなし ×:基材の剥がれ、粘着層位置のズレ、粘着層中の気泡、粘着層の破損の少なくとも一の欠陥が発生 【0151】 【表3】 [図:0001435156000008.jpg] [図:0001435156000009.jpg] [図:0001435156000010.jpg] [図:0001435156000011.jpg] 」 (2)物性表の項「 [図:0001435156000012.jpg] 」 8 甲8には次の記載がある。 「[0061]ウレタン系(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエステル系(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエーテル系(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ系(メタ)アクリレートオリゴマー、ジエン重合体系(メタ)アクリレートオリゴマー、及び、ジエン重合体系(メタ)アクリレートの水素添加物の骨格を有するオリゴマーからなる群から選ばれる1種以上である(メタ)アクリレートオリゴマー(A)として、 (A-1)1,2-ポリブタジエン変性ウレタン系メタクリレートオリゴマー(日本曹達社製「TE-2000」)(GPCによるポリスチレン換算の数平均分子量2000、2官能のメタクリレートオリゴマー)。 (A-2)アクリル酸エステル重合体とウレタン系アクリレートオリゴマーの混合物(大阪有機化学工業社製「PM-654」)(GPCによるポリスチレン換算の数平均分子量20000、2官能のアクリレートオリゴマー) (A-3)ポリエステルウレタン系アクリレートオリゴマー(根上工業社製「KHP-17」)(GPCによるポリスチレン換算の重量平均分子量40000、2官能のアクリレートオリゴマー) (A-4)ジブチレングリコールウレタン系アクリレートオリゴマー(日本合成化学社製「UV-3000B」(GPCによるポリスチレン換算の重量平均分子量18000、2官能のアクリレートオリゴマー) (A-5)ポリカーボネートウレタン系アクリレートオリゴマー(根上工業社製「UN-9000PEP」)(GPCによるポリスチレン換算の重量平均分子量5000、2官能のアクリレートオリゴマー) (A-6)ポリエーテルウレタン系アクリレートオリゴマー(日本合成化学社製「UV-3700B」)(GPCによるポリスチレン換算の重量平均分子量38000、2官能のアクリレートオリゴマー) ホモポリマーガラス転移温度が-100~60℃を示す(メタ)アクリレート(B)として、 (B-1)EO変性ノニルフェニルアクリレート(東亞合成社製「M-111」:ホモポリマーガラス転移温度:-25℃) (B-2)イソステアリルアクリレート(大阪有機化学工業社製「ISTA」:ホモポリマーガラス転移温度:-18℃) (B-3)4-ヒドロキシブチルアクリレート(日本化成社製「4-HBA」:ホモポリマーガラス転移温度:-80℃) メルカプト基含有化合物(C)として、 (C-1)n-デカンチオール(Aldrich社製「デカンチオール」) (C-2)n-ドデカンチオール(Aldrich社製「ドデカンチオール」) (C-3)β-メルカプトプロピオン酸(SC有機化学工業社製「BMPA」) (C-4)n-オクチル-3-メルカプトプロピオネート(SC有機化学工業社 製「NOMP」) 光重合開始剤(D)として、 (D-1)1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバスペシャリティケミカル社製「Irgacure184」) (D-2)ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキサイド(チバスペシャリティケミカル社製「Irgacure819」) (A)と(B)以外の(メタ)アクリレート(E)として、 (E-1)ジシクロペンテニルアクリレート(日立化成社製「FA-511AS」:ホモポリマーガラス転移温度:120℃) (E-2)ジシクロペンテニルジアクリレート(新中村化学社製「DCP」:ホモポリマーガラス転移温度:100℃) (E-3)トリシクロデカンジメタノールアクリレート(日本化薬社製「KAYARADR-684」:ホモポリマーガラス転移温度:150℃) (E-4)トリメチロールプロパントリアクリレート(新中村化学工業社製「A-TMPT」:ホモポリマーガラス転移温度:>250℃) (E-5)イソボルニルアクリレート(日立化成工業社製「IBXA」:ホモポリマーガラス転移温度:180℃) 比較例として、 (C-5)DMDO:トリグリコールジメルカプタン(丸善油化社製「DMDO」) (C-6)3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製「KBM-803」)」 9 甲9には次の記載がある。 「[0024]<エチレン性不飽和基を有するポリウレタン(B)> 本発明のコーティング組成物は、エチレン性不飽和基を有するポリウレタン(B)(成分B)を含有する。成分Bは、成分Bが有するエチレン性不飽和基同士が反応すると共に、成分Aとも反応性を有する。更に、その一部は、基材が有する内部オレフィンとも反応性を有すると考えられる。また、成分Bは硬化して硬化膜を形成し、基材がジエン系ゴムを含有する場合には、その耐オゾン性を向上させる。更に、成分Bはポリウレタン骨格を有することで、柔軟性に優れ、ゴムの変形に対する追従性の向上に寄与するものと推定される。 成分Bは、少なくとも1つエチレン性不飽和基を有するポリウレタンであれば特に限定されず、主鎖又は側鎖の内部にエチレン性不飽和基を有していてもよいが、反応性(硬化性)の観点から、主鎖又は側鎖の末端にエチレン性不飽和基を有することが好ましく、主鎖又は側鎖の末端に(メタ)アクリロイルオキシ基(CH2=CR-C(=O)-O-、Rは水素原子又はメチル基)を有することがより好ましく、主鎖又は側鎖の末端にアクリロイルオキシ基(CH2=CH-C(=O)-O-)を有することが更に好ましい。 なお、本発明において「主鎖」とは、ポリマーを構成する分子中で相対的に最も長い結合鎖を表し、「側鎖」とは、主鎖から枝分かれしている炭素鎖を表し、主鎖及び側鎖はヘテロ原子を含んでいてもよい。 [0025]成分Bは、少なくとも(b1)ポリイソシアネート化合物、及び(b2)ポリオール化合物から生成されたポリウレタンであることが好ましい。 エチレン性不飽和基を有するポリウレタン(B)とするためには、(1)ポリオール化合物として、ポリアルカジエンジオールのように、主鎖の内部にエチレン性不飽和基を有するポリオールを用いる方法、(2)ポリオール化合物として、2つ以上の水酸基と、少なくとも1つの末端エチレン性不飽和基とを有する化合物を用いる方法、(3)1つの水酸基と、少なくとも1つのエチレン性不飽和基とを有する化合物を、上記ポリイソシアネート化合物及びポリオール化合物と共に反応させるか、又は末端にイソシアネート基を有するポリウレタンを得た後に反応させる方法、(4)1つのイソシアネート基と、少なくとも1つのエチレン性不飽和基とを有する化合物を、上記ポリイソシアネート化合物及びポリオール化合物と共に反応させるか、又は末端に水酸基を有するポリウレタンを得た後に反応させる方法等が例示される。 [0039]成分Bとして、上市されている製品を使用してもよく、例えば、エチレン性不飽和基を有する水系のポリウレタンとしては、スーパーフレック R-5002(第一工業製薬株式会社製)、NeoPacシリーズ(R-9699、R-9029、E-125、E-106等)、NeoRadシリーズ(R-444等)(以上、楠本化成株式会社製)、UVTKAシリーズ(UVTKA-420等)(株式会社トクシキ製)が例示される。 また、成分Bとして、紫光シリーズ(UV6640B(ポリエーテルウレタンアクリレートオリゴマー、重量平均分子量(Mw)=5,000)、UV3310B(ポリカーボネート系ウレタンアクリレートオリゴマー、重量平均分子量(Mw)=5,000)、UV3200B(ポリエステル系ウレタンアクリレートオリゴマー、重量平均分子量(Mw)=10,000)、UV3700B(ポリエーテル系ウレタンアクリレートオリゴマー、重量平均分子量(Mw)=38,000)、UV6300B(ウレタンアクリレートオリゴマー含有組成物、重量平均分子量(Mw)=1,800)、UV7605B(ウレタンアクリレートオリゴマー含有組成物、重量平均分子量(Mw)=3,900))(日本合成化学株式会社製)が例示される。 本発明において、成分Bの重量平均分子量は、900~20,000であることが好ましく、900~10,000であることがより好ましく、900~5,000であることが更に好ましい。重量平均分子量が上記範囲内であると、製膜性に優れ、結果として基材との密着性に優れるので好ましい。 [0040]本発明において、重量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)で測定され、分子量既知のポリスチレンにより換算する。成分B中のエチレン性不飽和基の含有量は、硬化性及び硬化膜の柔軟性の観点から、0.1~10mmol/gであることが好ましく、0.2~5mmol/gであることがより好ましく、0.4~2.5mmol/gであることが更に好ましい。」 10 甲10には次の記載がある。 「【0032】 本実施形態の粘着剤組成物は、ヒドロキシ基を有する単官能(メタ)アクリレート(以下、「ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート」と記載することがある。)を含有する。ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートは、分子構造中に、ヒドロキシ基と、アクリロイル基又はメタクリロイル基とを有する単官能モノマーである。粘着剤組成物がヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートを含有することで、ガラス及び電極等の無機基材に対する粘着力や耐発泡性を高めることが可能であり、複数種の基材に対して粘着力及び耐発泡性を高めやすくなる。」 「【0038】 本実施形態の粘着剤組成物は、スチレン系樹脂をさらに含有していてもよい。一般的に、粘着付与剤として、スチレン系樹脂の他、ロジン類及びテルペン系樹脂等が知られているが、本実施形態の樹脂組成物に粘着付与剤を含有させる場合には、前述のウレタン(メタ)アクリレートとの相溶性を考慮して、スチレン系樹脂を用いることが好ましい。粘着剤組成物に対して良好な耐発泡性を発揮させる観点から、粘着剤組成物には、ガラス転移点(Tg)が60~90℃であるスチレン系樹脂をさらに含有させることがより好ましい。」 「【0050】 本実施形態の粘着剤組成物は、光学部材に用いられることが好ましい。粘着剤組成物による粘着剤層を光学部材の片面若しくは両面、又は一部に設けることができる。好適な光学部材としては、例えば、透明導電膜が設けられたフィルム(透明導電フィルム)、反射防止フィルム、防汚フィルム、偏光フィルム、位相差フィルム、帯電防止フィルム、導光フィルム、輝度向上フィルム、光拡散フィルム、及びハードコートフィルム等の光学フィルム、並びに透明導電膜が設けられた基板(透明導電板)、反射防止板、防汚板、偏光板、位相差板、帯電防止板、導光板、輝度向上板、及び光拡散板等の光学板を挙げることができる。これらの光学フィルム及び光学板は、例えば液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、及び有機ELディスプレイ等の画像表示装置に用いられる。また、画像表示装置の用途は特に限定されず、例えば、タッチパネル等の入力装置、パーソナルコンピュータ、複写機、携帯電話、及びデジタルカメラ等の情報機器、カーナビゲーション等の車載機器等を挙げることができる。」 「【0081】 [評価方法] (耐発泡性試験) 各実施例及び比較例で得られた粘着剤組成物を50μm厚のシリコーンコートPETフィルム上にアプリケーターを用いて1回の塗工で膜厚100μmの塗工層を形成した。そして、粘着剤組成物の塗工層上に、前記PETフィルムと同じシリコーンコートPETフィルムでラミネートし、フィルム越しに80W/cmの高圧水銀ランプにて、積算光量1000mJ/cm2になるように紫外線を照射して、シリコーンコートPETフィルム間に粘着剤(粘着剤層)を備えたラミネート物を得た。このラミネート物を24時間養生した。 その後、ラミネート物における片面のシリコーンコートPETフィルムを剥離し、別の片面のシリコーンコートPETフィルム上の粘着剤を、厚さ1.0mmのポリカーボネート板(三菱エンジニアリングプラスチックス社製の商品名「ユーピロン」;表1中「PC」と記載。)又はハードコート付ポリカーボネート板(三菱ガス化学社製の商品名「ユーピロン・シート MR58」;表1中「PCHC」と記載。)に2kgf/cm2で貼り合わせた。その後、別の片面のシリコーンコートPETフィルムも剥離し、前述のポリカーボネート(PC)板上の粘着剤を、各種基材に2kgf/cm2で貼り合わせた後、24時間養生し、試験片となる積層体を作製した。 作製した積層体(試験片)を、温度85℃かつ相対湿度85%RHの恒温恒湿槽に24時間静置させ、その高温高湿試験後における試験片について、発泡の有無を目視にて確認し、評価した。表1中、「○」は発泡がなかったことを表し、「×」は発泡があったことを表す。」 11 甲11には次の記載がある。 「【0021】 前記(B)に含まれる水酸基を有する単官能(メタ)アクリレートモノマー(b1)は、カバー部材がガラスの場合に、ガラスとの密着性向上を目的に配合される。(B)に対する(b1)の配合量は、15~25重量%が好ましく、18~22重量%が更に好ましい。15重量%以上とすることで充分なガラスとの密着性を確保することができ、25重量%以下とすることで弾性率を低くコントロールしやすくできる。」 「【0025】 本発明で使用される粘着付与剤(C)は、非反応成分であることから硬化収縮を生じることなく、剥離強度を向上させる目的で配合する。例えばロジンエステル系樹脂、テルペン系樹脂、石油樹脂、スチレン系樹脂、クマロンインデン系樹脂、アルキルフェノール系樹脂等があり、単独または2種類以上を組み合わせて使用できる。これらの中では、(A)及び(B)との相溶性に優れる点でロジンエステル系樹脂が好ましい。」 12 甲12には次の記載がある。 「[0044](ハードコート層) 本実施形態のハードコート層11とは、高硬度フィルム1に表面硬度を付与するための硬質成分を含有する層である。本実施形態において、ハードコート層11として、硬化性樹脂を用いることが好ましい。」 13 甲13には次の記載がある。 「 [図:0001435156000013.jpg] 」 第6 当審の判断 1 令和7年5月27日付けで通知した取消理由(決定の予告)について (1)令和7年5月27日付けで通知した取消理由(決定の予告)の概要 当審が令和7年5月27日付けで通知した取消理由の概要は、申立理由1及び2を、主として引用する証拠毎に整理した以下の理由1~6のうち、理由5である。 理由1(新規性/進歩性) 本件特許の請求項1~3、5~7に係る発明は、その出願前日本国内又は外国において、頒布された刊行物(甲1)に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものであるか、または、本件特許の請求項1~8に係る発明は、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が、その出願前日本国内又は外国において、頒布された刊行物(甲1)に記載された発明に基いて、容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 理由2(新規性/進歩性) 本件特許の請求項1~3、5~7に係る発明は、その出願前日本国内又は外国において、頒布された刊行物(甲2)に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものであるか、または、本件特許の請求項1~8に係る発明は、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が、その出願前日本国内又は外国において、頒布された刊行物(甲2)に記載された発明に基いて、容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 理由3(新規性/進歩性) 本件特許の請求項1~3、5~7に係る発明は、その出願前日本国内又は外国において、頒布された刊行物(甲3)に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものであるか、または、本件特許の請求項1~8に係る発明は、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が、その出願前日本国内又は外国において、頒布された刊行物(甲3)に記載された発明に基いて、容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 理由4(新規性/進歩性) 本件特許の請求項1~3、5~7に係る発明は、その出願前日本国内又は外国において、頒布された刊行物(甲4)に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものであるか、または、本件特許の請求項1~8に係る発明は、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が、その出願前日本国内又は外国において、頒布された刊行物(甲4)に記載された発明に基いて、容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 理由5(新規性/進歩性) 本件特許の請求項1~3、5~7に係る発明は、その出願前日本国内又は外国において、頒布された刊行物(甲5)に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものであるか、または、本件特許の請求項1~8に係る発明は、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が、その出願前日本国内又は外国において、頒布された刊行物(甲5)に記載された発明に基いて、容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 理由6(新規性/進歩性) 本件特許の請求項1~3、5~7に係る発明は、その出願前日本国内又は外国において、頒布された刊行物(甲6)に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものであるか、または、本件特許の請求項1~8に係る発明は、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が、その出願前日本国内又は外国において、頒布された刊行物(甲6)に記載された発明に基いて、容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 理由1~6で主として引用する刊行物等 甲1:特開2007-177169号公報 甲2:特開2012-224841号公報 甲3:特開2018-100403号公報 甲4:特開2019-129279号公報 甲5:特開2017-177811号公報 甲6:特開2020-37689号公報 (2)甲5発明の認定 甲5の【0067】の記載及び【0076】に記載の実施例1の粘着剤組成物における各成分の含有量について【0092】の【表1】を参照すると、実施例1の記載に基づき、次の発明(以下「甲5発明」という。)が認定できる。 「a,e:(A-1):ポリプロピレングリコール、イソホロンジイソシアネート、及び2-ヒドロキシエチルアクリレートの反応物であり、重量平均分子量54000、平均官能基数2.0のポリウレタンアクリレートオリゴマーと、 b:IBXA:イソボルニルアクリレートと、 c:HEA:2-ヒドロキシエチルアクリレート d:とを含み、(A-1)成分の含有量が35質量%、IBXA成分の含有量が25質量%、HEA成分の含有量が10質量%である、 f:粘着剤組成物。」 (3)本件発明1について ア 対比 前記(1)における甲5発明の成分のうち、(A-1)は、その反応物や重量平均分子量などから、本件発明1の構成A及びEを充足する。 前記(1)における甲5発明の成分のうち、IBXA:イソボルニルアクリレートは、本件発明1の構成Bを充足する。 前記(1)における成分のうち、HEA:2-ヒドロキシエチルアクリレートは、本件発明1の構成Cを充足する。 甲5発明は、(A-1)成分の含有量が35質量%、IBXA成分の含有量が25質量%、HEA成分の含有量が10質量%であるから、その合計(70質量%)に対するIBXA成分の含有量(25質量%)の割合は、35.7質量%(=25/70*100)であり、HEA成分の含有量(10質量%)の割合は、14.3質量%(=10/70*100)である。 したがって、甲5発明は、本件発明1の構成D2を充足する。 甲5発明における「粘着剤組成物」は、本件発明1の構成Fを充足する。 以上によれば、本件発明1と甲5発明は、 「A:ポリオール(a1)、ポリイソシアネート(a2)、及び、ヒドロキシ基を有するモノ(メタ)アクリレート(a3-1)もしくはイソシアネート基を有するモノ(メタ)アクリレート(a3-2)の反応物であり、1分子当たりの平均(メタ)アクリロイル基数が2~4、及び重量平均分子量が26,000~90,000であるポリウレタン(メタ)アクリレート(A)と、 B:ホモポリマーとした場合のガラス転移温度が40℃以上である、分子内にエチレン性不飽和二重結合を1つ有し、かつヒドロキシ基を有さないモノマー(B)(窒素原子及び不飽和結合を有する単官能モノマーを除く。)と、 C:分子内にエチレン性不飽和二重結合を1つ有し、かつヒドロキシ基を有するモノマー(C)とを含み、 D2:(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計100質量%中に、(C)成分の含有比率が3~15質量%であり、 E:(a1)成分が、ポリエーテルポリオールである、 F:活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物(スチレン樹脂を含むものを除く)。」 である点で一致する。 また、本件発明1と甲5発明は、以下の点で相違する。 <相違点1> 本件発明1は、「(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計100質量%中に、(B)成分の含有比率が45~75質量%であり」と特定されているのに対し、甲5発明は、そのような特定を備えていない点 イ 検討 甲5には、甲5発明の粘着剤組成物について、紫外線重合性反応基を末端に有するポリウレタン(A)と紫外線重合性反応基を1つ有するモノマー(B)とを含むものとすることや、紫外線重合性反応基を1つ有するモノマー(B)を、炭素数8~16のアルキル基を有し、かつそのホモポリマーのガラス転移温度が-70~40℃であるモノマー(B-1)、一級水酸基を有するモノマー(B-2)、及び脂環構造を有するモノマー(B-3)の群から選ばれる少なくとも1種以上とすることなどが記載されている(【請求項1】、【請求項2】)。 しかしながら、甲5には、甲5発明の(A-1)重量平均分子量54000、平均官能基数2.0のポリウレタンアクリレートオリゴマーと、イソボルニルアクリレートと、2-ヒドロキシエチルアクリレートの合計100質量%中におけるイソボルニルアクリレートの含有比率に着目し、その範囲を45~75質量%とすることについては記載も示唆もない。 ウ 本件発明1についての小括 以上のとおりであるから、相違点1は、実質的な相違点であり、本件発明1は、甲5に記載された発明であるとは認められない。また、甲5に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとも認められない。 (4)本件発明2~8について 本件発明2~8は、本件発明1を直接又は間接的に引用しさらに限定した粘着剤組成物等の発明である。また、上記(3)ウのとおり、本件発明1は、甲5に記載された発明であるとは認められず、また、甲5に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとも認められないものである。 そうすると、さらに検討するまでもなく、本件発明2、3、5~7も本件発明1と同様の理由により、甲5に記載された発明であるとは認められず、また、本件発明2~8も甲5に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとは認められない。 (5)小括 以上のとおりであるから、本件請求項1~8に係る特許は、令和7年5月27日付けで通知した取消理由(理由5)によって取り消すべきものであるとは認められない。 2 令和6年11月14日付けで通知した取消理由について (1)令和6年11月14日付けで通知した取消理由の概要 当審が令和6年11月14日付けで通知した取消理由の概要は、理由1~3、5及び6(新規性/進歩性)並びに理由4(進歩性)(上記1(1)参照)である。 なお、上記1のとおり令和7年5月27日付けで通知した取消理由も理由5を含むが、それぞれ、異なる実施例の記載に基づき引用発明を認定するものである。 (2)理由1について ア 甲1A発明の認定 甲1の実施例1から次の発明(以下「甲1A発明」という。)が認定できる。 「a,e:(a)-4ウレタンアクリレート(日本合成化学工業(株)製、商品名「UV3700B」、数平均分子量=5430、官能基(二重結合)数=2、二重結合1個当たりの数平均分子量=2715)と、 b:(d)イソボルニルアクリレート及び(c)-1 N,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミドと、 c:(b)ヒドロキシエチルメタクリレート d:とを含み、(a)-4成分の含有量が30質量部、(d)成分の含有量が30質量部、(b)成分の含有量が20質量部である、 f:光硬化型接着剤組成物。」 イ 甲1B発明の認定 甲1の実施例3から次の発明(以下「甲1B発明」という。)が認定できる。 「a,e:(a)-4ウレタンアクリレート(日本合成化学工業(株)製、商品名「UV3700B」、数平均分子量=5430、官能基(二重結合)数=2、二重結合1個当たりの数平均分子葦=2715)と、 b:(d)イソボルニルアクリレート及び(c)-1 N,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミドと、 c:(b)ヒドロキシエチルメタクリレート d:とを含み、(a)-4成分の含有量が40質量部、(d)成分の含有量が30質量部、(b)成分の含有量が15質量部である、 f:光硬化型接着剤組成物。」 ウ 本件発明1について (ア)甲1A発明との対比 甲1A発明の「UV3700B」は、甲8の段落【0061】によれば、2官能であるから、本件発明1の構成Aの1分子当たりの平均(メタ)アクリロイル基数が2~4を充足し、また、「UV3700B」は、甲9の段落【0039】によれば、重量平均分子量38,000のポリエーテル系ウレタンアクリレートオリゴマーであるから、本件発明1の構成A、Eを充足する。 甲1A発明のイソボルニルアクリレートは、ホモポリマーとした場合のガラス転移温度が94℃であり(本件明細書の段落【0101】)、また、窒素原子も含まないから、本件発明1の構成Bを充足する。 甲1A発明のヒドロキシエチルアクリレートは、本件発明1の構成Cを充足する。 甲1A発明の構成「光硬化型」「組成物」は、本件発明1の「活性エネルギー線硬化型」「組成物」に相当する。 そうすると、本件発明1と甲1A発明とは次の点で一致する。 「A:ポリオール(a1)、ポリイソシアネート(a2)、及び、ヒドロキシ基を有するモノ(メタ)アクリレート(a3-1)もしくはイソシアネート基を有するモノ(メタ)アクリレート(a3-2)の反応物であり、1分子当たりの平均(メタ)アクリロイル基数が2~4、及び重量平均分子量が26,000~90,000であるポリウレタン(メタ)アクリレート(A)と、 B:ホモポリマーとした場合のガラス転移温度が40℃以上である、分子内にエチレン性不飽和二重結合を1つ有し、かつヒドロキシ基を有さないモノマー(B)(窒素原子及び不飽和結合を有する単官能モノマーを除く。)と、 C:分子内にエチレン性不飽和二重結合を1つ有し、かつヒドロキシ基を有するモノマー(C)とを含み、 E:(a1)成分が、ポリエーテルポリオールである、 F’:活性エネルギー線硬化型組成物(スチレン樹脂を含むものを除く)。」 また、本件発明1と甲1A発明とは次の点で相違する。 <相違点2> 本件発明1は、「(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計100質量%中に、(B)成分の含有比率が45~75質量%であり」と特定されているのに対し、甲5発明は、そのような特定を備えていない点 <相違点3> 本件発明1は、「(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計100質量%中に、(C)成分の含有比率が3~15質量%であり」と特定されているのに対し、甲5発明は、そのような特定を備えていない点 <相違点4> 組成物について、本件発明1においては、粘着剤であるが、甲1A発明においては、接着剤である点。 (イ)甲1B発明との対比 甲1B発明の「UV3700B」、イソボルニルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレートについては、上記(ア)と同様であり、甲1B発明は、本件発明1の構成A、B、C、Eを充足する。 甲1B発明の構成「光硬化型」「組成物」は、本件発明1の「活性エネルギー線硬化型」「組成物」に相当する。 以上によれば、本件発明1と甲1B発明の一致点相違点は、本件発明1と甲1A発明の一致点相違点(上記(ア)参照)と同じである。 (ウ)相違点2についての検討 甲1A発明と甲1B発明(以下、まとめて「甲1発明」ともいう。)についてまとめて検討する。 甲1には、甲1発明の接着剤組成物について、(a)ウレタン(メタ)アクリレート30~50重量%、(b)ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート13~40重量%及び(c)アクリルアミド誘導体0~30重量%を含有するものとすることや、(b)ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートと(c)アクリルアミド誘導体の合計量を20~60重量%とすること等が記載されている(【請求項1】)。 しかしながら、甲1には、甲1A発明のウレタンアクリレート(日本合成化学工業(株)製、商品名「UV3700B」)と、イソボルニルアクリレートと、ヒドロキシエチルメタクリレートの合計100質量%中におけるイソボルニルアクリレートの含有比率に着目し、その範囲を45~75質量%とすることについては記載も示唆もないし、甲1B発明についても同様である。 (エ)本件発明1についての小括 以上のとおりであるから、相違点2は、実質的な相違点であり、本件発明1は、甲1に記載された発明であるとは認められない。また、その余の相違点について検討するまでもなく、甲1に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとも認められない。 エ 本件発明2~8について 本件発明2~8は、本件発明1を直接又は間接的に引用しさらに限定した接着剤組成物等の発明である。また、上記ウ(エ)のとおり、本件発明1は、甲1に記載された発明であるとは認められず、また、甲1に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとも認められないものである。 そうすると、さらに検討するまでもなく、本件発明2、3、5~7も本件発明1と同様の理由により、甲1に記載された発明であるとは認められず、また、本件発明2~8も甲1に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとは認められない。 オ 小括 以上のとおりであるから、本件請求項1~8に係る特許は、令和6年11月14日付けで通知した取消理由(理由1)によって取り消すべきものであるとは認められない。 (3)理由2について ア 甲2A発明の認定 甲2の【0048】に記載の実施例7によれば、以下の発明(以下「甲2A発明」という。)が認定できる。 「a,e:A-1:単官能ウレタンアクリレートオリゴマー(商品名DFCN-5、根上化学社製、重量平均分子量=31,000、1官能、エーテル主鎖)と、 b:B-1:イソボルニルアクリレート(Tg=94℃)及びB-2:t-ブチルアクリレート(Tg=41℃)と、 c:B-5:2-ヒドロキシエチルメタクリレート d:とを含み、A-1成分の含有量が50質量%、B-1成分の含有量が23質量%、B-2成分の含有量が20質量%、B-5成分の含有量が5質量%である、 f:光学用感圧粘着剤組成物」 イ 甲2B発明の認定 甲2の【0048】に記載の比較例2によれば、以下の発明(以下「甲2B発明」という。)が認定できる。 「a,e:A-1:単官能ウレタンアクリレートオリゴマー(商品名DFCN-5、根上化学社製、重量平均分子量=31,000、1官能、エーテル主鎖)と、 b:B-1:イソボルニルアクリレート(Tg=94℃)と、 c:B-5:2-ヒドロキシエチルメタクリレート d:とを含み、A-1成分の含有量が35質量%、B-1成分の含有量が58質量%、B-5成分の含有量が5質量%である、 f:光学用感圧粘着剤組成物」 ウ 本件発明1について (ア)甲2A発明との対比 甲2A発明のA-1:単官能ウレタンアクリレートオリゴマー(商品名DFCN-5、根上化学社製、重量平均分子量=31,000、1官能、エーテル主鎖)は、本件発明1の構成Eを充足するが、単官能であるから、1分子当たりの平均(メタ)アクリロイル基数が1であり、本件発明1の構成Aを充足しない。 甲2A発明のB-1:イソボルニルアクリレート(Tg=94℃)及びB-2:t-ブチルアクリレート(Tg=41℃)は両方とも、本件発明1の構成Bを充足する。 甲2A発明のB-5:2-ヒドロキシエチルメタクリレートは、本件発明1の構成Cを充足する。 甲2A発明は、A-1成分(35質量%)、B-1成分(58質量%)、B-5成分(5質量%)の合計(98質量%)に対して、B-1:イソボルニルアクリレート(Tg=94℃)及びB-2:t-ブチルアクリレート(Tg=41℃)が合わせて43質量%存在するので、その比は、43/98=43.9質量%であり、本件発明1の構成D1を充足しない。また、B-5成分の含有比率は5/98=5.1質量%であるから、本件発明1の構成D2を充足する。 甲2A発明の「f:光学用感圧粘着剤組成物」は、スチレン樹脂を含まないから、本件発明1の構成Fを充足する。 以上によれば、本件発明1と甲2A発明は、 「A:ポリオール(a1)、ポリイソシアネート(a2)、及び、ヒドロキシ基を有するモノ(メタ)アクリレート(a3-1)もしくはイソシアネート基を有するモノ(メタ)アクリレート(a3-2)の反応物であり、重量平均分子量が26,000~90,000であるポリウレタン(メタ)アクリレート(A)と、 B:ホモポリマーとした場合のガラス転移温度が40℃以上である、分子内にエチレン性不飽和二重結合を1つ有し、かつヒドロキシ基を有さないモノマー(B)(窒素原子及び不飽和結合を有する単官能モノマーを除く。)と、 C:分子内にエチレン性不飽和二重結合を1つ有し、かつヒドロキシ基を有するモノマー(C)とを含み、 D2:(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計100質量%中に、(C)成分の含有比率が3~15質量%であり、 E:(a1)成分が、ポリエーテルポリオールである、 F:活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物(スチレン樹脂を含むものを除く)。」 である点で一致する。 また、本件発明1と甲2A発明は、以下の点で相違する。 <相違点5> 本件発明1は、(A)成分のポリウレタン(メタ)アクリレートについて「1分子当たりの平均(メタ)アクリロイル基数が2~4」に特定されているのに対し、甲2A発明は、「単官能」である点。 <相違点6> 本件発明1は、「(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計100質量%中に、(B)成分の含有比率が45~75質量%であり」と特定されているのに対し、甲2A発明は、そのような特定を備えていない点。 (イ)甲2B発明との対比 甲2B発明のA-1成分、B-1成分、B-5成分については、前記(ア)と同様であるから、甲2B発明は、本件発明1の構成B、C、E、Fを充足する。 (イ)甲2B発明のA-1成分は、35質量%であり、B-1成分は、58質量%であり、B-5成分は、5質量%であるので、本件発明1の構成D1、D2を充足する。 以上によれば、本件発明1と甲2B発明は、 「A:ポリオール(a1)、ポリイソシアネート(a2)、及び、ヒドロキシ基を有するモノ(メタ)アクリレート(a3-1)もしくはイソシアネート基を有するモノ(メタ)アクリレート(a3-2)の反応物であり、重量平均分子量が26,000~90,000であるポリウレタン(メタ)アクリレート(A)と、 B:ホモポリマーとした場合のガラス転移温度が40℃以上である、分子内にエチレン性不飽和二重結合を1つ有し、かつヒドロキシ基を有さないモノマー(B)(窒素原子及び不飽和結合を有する単官能モノマーを除く。)と、 C:分子内にエチレン性不飽和二重結合を1つ有し、かつヒドロキシ基を有するモノマー(C)とを含み、 D1:(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計100質量%中に、(B)成分の含有比率が45~75質量%であり、 D2:(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計100質量%中に、(C)成分の含有比率が3~15質量%であり、 E:(a1)成分が、ポリエーテルポリオールである、 F:活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物(スチレン樹脂を含むものを除く)。」 である点で一致する。 また、本件発明1と甲2B発明は、以下の点で相違する。 <相違点7> 本件発明1は、(A)成分のポリウレタン(メタ)アクリレートについて「1分子当たりの平均(メタ)アクリロイル基数が2~4」に特定されているのに対し、甲2B発明は、「単官能」である点。 (ウ)相違点5、7についての検討 甲2には、甲2A発明の「A-1:単官能ウレタンアクリレートオリゴマー(商品名DFCN-5、根上化学社製、重量平均分子量=31,000、1官能、エーテル主鎖)」を、その1分子当たりの平均(メタ)アクリロイル基数が2~4であるものに変更することを動機付けるような記載や示唆は見出せない。 また、上記アのとおり、甲2A発明は、甲2の実施例7の記載に基づいて認定した発明であり、甲2A発明のA-1成分は、甲2の請求項1に記載されている「単官能ウレタンアクリレート系オリゴマー」の具体例であると理解できる。そうすると、甲2A発明の「A-1:単官能ウレタンアクリレートオリゴマー(商品名DFCN-5、根上化学社製、重量平均分子量=31,000、1官能、エーテル主鎖)」を、その1分子当たりの平均(メタ)アクリロイル基数が2~4であるものに変更することには阻害要因があるといえる。 相違点7についても同様である。 (エ)本件発明1についての小括 以上のとおりであるから、相違点5、7は、実質的な相違点であり、本件発明1は、甲2に記載された発明であるとは認められない。また、その余の相違点について検討するまでもなく、甲2に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとも認められない。 エ 本件発明2~8について 本件発明2~8は、本件発明1を直接又は間接的に引用しさらに限定した接着剤組成物等の発明である。また、上記ウ(エ)のとおり、本件発明1は、甲2に記載された発明であるとは認められず、また、甲2に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとも認められないものである。 そうすると、さらに検討するまでもなく、本件発明2、3、5~7も本件発明1と同様の理由により、甲2に記載された発明であるとは認められず、また、本件発明2~8も甲2に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとは認められない。 オ 小括 以上のとおりであるから、本件請求項1~8に係る特許は、令和6年11月14日付けで通知した取消理由(理由2)によって取り消すべきものであるとは認められない。 (4)理由3について ア 甲3発明の認定 甲3の【0095】の記載及び【0103】の実施例7から次の発明(以下「甲3発明」という。)が認定できる。 「a,e:(A-1):ポリプロピレングリコール、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、及び2-ヒドロキシエチルアクリレートの反応物であり、重量平均分子量58,000、1分子中の(メタ)アクリロイル基の平均個数2.0のポリウレタンアクリレートと、 2-EHA:2-エチルヘキシルアクリレートと、 b:IBXA:イソボルニルアクリレートと、 c:HEA:2-ヒドロキシエチルアクリレート d:とを含み、(A-1)成分の含有量が25質量%、IBXA成分の含有量が30質量%、HEA成分の含有量が25質量%である、 f:紫外線硬化型粘着剤。」 イ 本件発明1について (ア)対比 甲3発明における「2-EHA:2-エチルヘキシルアクリレート」は、そのホモポリマーのTgが-70℃(甲5の【0076】)であるから、本件発明の構成Bに該当せず、A、C、Eのいずれにも該当しないから、本件発明1と無関係の任意成分である。 甲3発明における(A-1)は、その分子量や製法からみて、本件発明1の構成A及びEを充足する。 甲3発明におけるb:IBXA:イソボルニルアクリレートは、本件発明1の構成Bを充足する。 甲3発明におけるc:HEA:2-ヒドロキシエチルアクリレートは、本件発明1における構成Cを充足する。 甲3発明の「f:紫外線硬化型粘着剤」は、スチレン樹脂を含まないから、本件発明1の構成Fを充足する。 以上によれば、本件発明1と甲3発明は、 「A:ポリオール(a1)、ポリイソシアネート(a2)、及び、ヒドロキシ基を有するモノ(メタ)アクリレート(a3-1)もしくはイソシアネート基を有するモノ(メタ)アクリレート(a3-2)の反応物であり、1分子当たりの平均(メタ)アクリロイル基数が2~4、及び重量平均分子量が26,000~90,000であるポリウレタン(メタ)アクリレート(A)と、 B:ホモポリマーとした場合のガラス転移温度が40℃以上である、分子内にエチレン性不飽和二重結合を1つ有し、かつヒドロキシ基を有さないモノマー(B)(窒素原子及び不飽和結合を有する単官能モノマーを除く。)と、 C:分子内にエチレン性不飽和二重結合を1つ有し、かつヒドロキシ基を有するモノマー(C)とを含み、 E:(a1)成分が、ポリエーテルポリオールである、 F:活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物(スチレン樹脂を含むものを除く)。」 である点で一致する。 また、本件発明1と甲3発明は、以下の点で相違する。 <相違点8> 本件発明1は、「(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計100質量%中に、(B)成分の含有比率が45~75質量%であり」と特定されているのに対し、甲3発明は、(A-1)成分の含有量が25質量%、IBXA成分の含有量が30質量%、HEA成分の含有量が25質量%であるから、(A-1)成分とIBXA成分とHEA成分の合計(80質量%)に対して、IBXA成分が30質量%、HEA成分が25質量%存在するので、その比は、30/80=37.5質量%である点。 <相違点9> 本件発明1は、「(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計100質量%中に、(C)成分の含有比率が3~15質量%であり」と特定されているのに対し、甲3発明は、また、HEA成分の含有比率は25/80=31.25質量%である点。 (イ)相違点8についての検討 甲3には、(A)(a1)ポリエーテルポリオール、(a2)脂肪族ポリイソシアネート、及び(a3-1)水酸基含有モノ(メタ)アクリレート又は(a3-2)イソシアネート基含有モノ(メタ)アクリレートの反応物であるポリウレタン(メタ)アクリレート、 (B)アルキル基の炭素数が4~12のアルキルモノ(メタ)アクリレート、 (C)シクロアルキル基の炭素数が6~10のシクロアルキルモノ(メタ)アクリレート、 (D)一級水酸基含有モノ(メタ)アクリレート、 を含む紫外線硬化型粘着剤について、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分の合計質量に対して、夫々の比率が順に20~60質量%、10~50質量%、10~50質量%、及び20~60質量%となるようにすることなどが記載されている(【請求項1】)。 しかしながら、甲3には、甲3発明の重量平均分子量58,000、1分子中の(メタ)アクリロイル基の平均個数2.0のポリウレタンアクリレートと、イソボルニルアクリレートと、2-ヒドロキシエチルアクリレートの合計100質量%中におけるイソボルニルアクリレートの含有比率に着目し、その範囲を45~75質量%とすることについては記載も示唆もない。 (ウ)本件発明1についての小括 以上のとおりであるから、相違点8は、実質的な相違点であり、本件発明1は、甲3に記載された発明であるとは認められない。また、その余の相違点について検討するまでもなく、甲3に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとも認められない。 ウ 本件発明2~8について 本件発明2~8は、本件発明1を直接又は間接的に引用しさらに限定した接着剤組成物等の発明である。また、上記イ(ウ)のとおり、本件発明1は、甲3に記載された発明であるとは認められず、また、甲3に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとも認められないものである。 そうすると、さらに検討するまでもなく、本件発明2、3、5~7も本件発明1と同様の理由により、甲3に記載された発明であるとは認められず、また、本件発明2~8も甲3に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとは認められない。 エ 小括 以上のとおりであるから、本件請求項1~8に係る特許は、令和6年11月14日付けで通知した取消理由(理由3)によって取り消すべきものであるとは認められない。 (5)理由4について ア 甲4発明の認定 甲4の【0073】の記載及び【0076】に記載の実施例8によれば、甲4には、次の発明(以下「甲4発明」という。)が記載されている。 「a,e:UV3700B:日本合成化学化学工業社製、重量平均分子量(Mw)が38000であるポリエーテル骨格ウレタンアクリレートと、 b:IB:イソボルニルメタクリレートと、 c:HO-250:2-ヒドロキシエチルアクリレート d:とを含み、UV3700B成分の含有量が30重量部、IB成分の含有量が50重量部、HO-250成分の含有量が20重量部である、 f:インプリント用光硬化性樹脂組成物。」 イ 本件発明1について (ア)対比 甲4発明におけるUV3700Bについては、前記(2)ウ(ア)の検討において、甲1を主引用例とした検討と同様に、本件発明1の構成A及びEを充足する。 甲4発明におけるb:IB:イソボルニルメタクリレートは、本件発明1における構成Bを充足する。 甲4発明におけるc:HO-250:2-ヒドロキシエチルアクリレートは、本件発明1における構成Cを充足する。 甲4発明におけるIB成分の含有量が50質量部は、50/(30+50+20)=50質量%であるから、本件発明1の構成D1を充足する。 甲4発明におけるHO-250成分の含有量が20重最部は、20/(30+50+20)=20質量%であるから、本件発明1の構成D2を充足しない。 甲4発明の「インプリント用光硬化性樹脂組成物」は、活性エネルギー線硬化型であり、スチレン樹脂を含んでいないから、本件発明1と「活性エネルギー線硬化型組成物(スチレン樹脂を含むものを除く)」である点で一致する。 以上によれば、本件発明1と甲4発明は、 「A:ポリオール(a1)、ポリイソシアネート(a2)、及び、ヒドロキシ基を有するモノ(メタ)アクリレート(a3-1)もしくはイソシアネート基を有するモノ(メタ)アクリレート(a3-2)の反応物であり、1分子当たりの平均(メタ)アクリロイル基数が2~4、及び重量平均分子量が26,000~90,000であるポリウレタン(メタ)アクリレート(A)と、 B:ホモポリマーとした場合のガラス転移温度が40℃以上である、分子内にエチレン性不飽和二重結合を1つ有し、かつヒドロキシ基を有さないモノマー(B)(窒素原子及び不飽和結合を有する単官能モノマーを除く。)と、 C:分子内にエチレン性不飽和二重結合を1つ有し、かつヒドロキシ基を有するモノマー(C)とを含み、 D1:(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計100質量%中に、(B)成分の含有比率が45~75質量%であり、 E:(a1)成分が、ポリエーテルポリオールである、 F’:活性エネルギー線硬化型組成物(スチレン樹脂を含むものを除く)。」 である点で一致する。 また、本件発明1と甲4発明は、以下の点で相違する。 <相違点10> 本件発明1は、「(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計100質量%中に、(C)成分の含有比率が3~15質量%であり」と特定されているのに対し、甲4発明は、そのような特定を備えていない点 <相違点11> 硬化型組成物について、本件発明1は、「粘着剤(組成物)」と特定されているのに対し、甲4発明は、「インプリント用」である点 (イ)相違点10についての検討 甲4には、ラジカル重合反応性モノマー及び/又はオリゴマー(成分A)と、光ラジカル重合開始剤(成分B)とを含むインプリント成型用光硬化性樹脂組成物について、成分Aを、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー及びエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーからなる群より選択される少なくとも1種のオリゴマー(成分A1)と、環構造を有するメタクリレートモノマー(成分A2)と、カルボキシル基を含有する(メタ)アクリレートモノマー(成分A3)とを含むものとすることや、成分A中、成分A2が30~90重量%、成分A3が0.1~10重量%となるようにすることなどが記載されている(【請求項1】)。 しかしながら、甲4には、甲4発明のインプリント用光硬化性樹脂組成物において、UV3700Bとイソボルニルメタクリレートと2-ヒドロキシエチルアクリレートの合計100質量%中における2-ヒドロキシエチルアクリレートの含有比率に着目し、その範囲を3~15質量%とすることについては記載も示唆もない。 (ウ)本件発明1についての小括 以上のとおりであるから、その余の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲4に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとは認められない。 ウ 本件発明2~8について 本件発明2~8は、本件発明1を直接又は間接的に引用しさらに限定した接着剤組成物等の発明である。また、上記イ(ウ)のとおり、本件発明1は、甲4に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとは認められないものである。 そうすると、さらに検討するまでもなく、本件発明2~8も本件発明1と同様の理由により、甲4に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとは認められない。 エ 小括 以上のとおりであるから、本件請求項1~8に係る特許は、令和6年11月14日付けで通知した取消理由(理由4)によって取り消すべきものであるとは認められない。 (6)理由5について ア 甲5発明の認定 甲5の【0067】の記載及び【0092】に記載の実施例9によれば、次の発明(以下「甲5発明」が認定できる。 「a,e:(A-1):ポリプロピレングリコール、イソホロンジイソシアネート、及び2-ヒドロキシエチルアクリレートの反応物であり、重量平均分子量54000、平均官能基数2.0のポリウレタンアクリレートオリゴマーと、 b:IBXA:イソボルニルアクリレートと、 c:HEA:2-ヒドロキシエチルアクリレート d:とを含み、(A-1)成分の含有量が35質量%、IBXA成分の含有量が35質量%、HEA成分の含有最が30質量%である、 f:粘着剤組成物。」 イ 本件発明1について (ア)対比 甲5発明の成分のうち、(A-1)は、その反応物や重量平均分子量などから、本件発明1の構成A及びEを充足する。 甲5発明の成分のうち、IBXA:イソボルニルアクリレートは、本件発明1の構成Bを充足する。 甲5発明における成分のうち、HEA:2-ヒドロキシエチルアクリレートは、本件発明1の構成Cを充足する。 甲5発明における「粘着剤組成物」は、本件発明1の構成Fを充足する。 以上によれば、本件発明1と甲5発明は、 「A:ポリオール(a1)、ポリイソシアネート(a2)、及び、ヒドロキシ基を有するモノ(メタ)アクリレート(a3-1)もしくはイソシアネート基を有するモノ(メタ)アクリレート(a3-2)の反応物であり、1分子当たりの平均(メタ)アクリロイル基数が2~4、及び重量平均分子量が26,000~90,000であるポリウレタン(メタ)アクリレート(A)と、 B:ホモポリマーとした場合のガラス転移温度が40℃以上である、分子内にエチレン性不飽和二重結合を1つ有し、かつヒドロキシ基を有さないモノマー(B)(窒素原子及び不飽和結合を有する単官能モノマーを除く。)と、 C:分子内にエチレン性不飽和二重結合を1つ有し、かつヒドロキシ基を有するモノマー(C)とを含み、 E:(a1)成分が、ポリエーテルポリオールである、 F:活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物(スチレン樹脂を含むものを除く)。」 である点で一致する。 また、本件発明1と甲5発明は、以下の点で相違する。 <相違点12> 本件発明1は、「(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計100質量%中に、(B)成分の含有比率が45~75質量%であり」と特定されているのに対し、甲5発明における(A-1)成分の含有量(35質量%)とIBXA成分の含有量(35質量%)とHEA成分の含有量(30質量%)の合計(100質量%)に対するIBXA成分の含有比率は35質量%である点 <相違点13> 本件発明1は、「(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計100質量%中に、(C)成分の含有比率が3~15質量%であり」と特定されているのに対し、甲5発明は、HEA成分の含有比率は30質量%である点 (イ)相違点12についての検討 甲5には、甲5発明の粘着剤組成物について、紫外線重合性反応基を末端に有するポリウレタン(A)と紫外線重合性反応基を1つ有するモノマー(B)を含むものとすることや、前記紫外線重合性反応基を1つ有するモノマー(B)が、炭素数8~16のアルキル基を有し、かつそのホモポリマーのガラス転移温度が-70~40℃であるモノマー(B-1)、一級水酸基を有するモノマー(B-2)、及び脂環構造を有するモノマー(B-3)の群から選ばれる少なくとも1種以上とすることなどが記載されている(【請求項1】、【請求項2】)。 しかしながら、甲5には、甲5発明の重量平均分子量54000、平均官能基数2.0のポリウレタンアクリレートオリゴマーと、イソボルニルアクリレートと、2-ヒドロキシエチルアクリレートの合計100質量%中におけるイソボルニルアクリレートの含有比率に着目し、その範囲を45~75質量%とすることについては記載も示唆もない。 (ウ)本件発明1についての小括 以上のとおりであるから、相違点12は、実質的な相違点であり、本件発明1は、甲5に記載された発明であるとは認められない。また、その余の相違点について検討するまでもなく、甲5に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとも認められない。 ウ 本件発明2~8について 本件発明2~8は、本件発明1を直接又は間接的に引用しさらに限定した接着剤組成物等の発明である。また、上記イ(ウ)のとおり、本件発明1は、甲5に記載された発明であるとは認められず、また、甲5に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとも認められないものである。 そうすると、さらに検討するまでもなく、本件発明2、3、5~7も本件発明1と同様の理由により、甲5に記載された発明であるとは認められず、また、本件発明2~8も甲5に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとは認められない。 エ 小括 以上のとおりであるから、本件請求項1~8に係る特許は、令和6年11月14日付けで通知した取消理由(理由5)によって取り消すべきものであるとは認められない。 (7)理由6について ア 甲6発明の認定 甲6の【0134】、【0135】、【0140】、及び【0151】に記載の実施例4によれば、甲6には、以下の発明(以下、「甲6発明」という。)が記載されている。 「a,e:(A-1):(al)成分としてポリテトラメチレンエーテルグリコールと、(a2)成分としてヘキサメチレンジイソシアネートとで構成されるイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーの末端にあるイソシアネート基に、(a3)成分として2-ヒドロキシエチルアクリレートを50mol%と、(a4)成分として2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オンを50mo1%導入した反応物であり、重量平均分子量36,000であるポリウレタンアクリレートオリゴマーと、 b:IBXA:イソボルニルアクリレートと、 c:HEA:2-ヒドロキシエチルアクリレート d:とを含み、(A-1)成分の含有量が20質量%、IBXA成分の含有量が30質量%、HEA成分の含有量が20質董%である、 f:活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。」 イ 本件発明1について (ア)対比 甲6発明のIBXA:イソボルニルアクリレートは、本件発明1の構成Bを充足する。 甲6発明のHEA:2-ヒドロキシエチルアクリレートは、本件発明1の構成Cを充足する。 甲6発明の「粘着剤組成物」は、本件発明1の構成Fを充足する。 以上によれば、本件発明1と甲6発明は、 「A:ポリオール(a1)、ポリイソシアネート(a2)、及び、ヒドロキシ基を有するモノ(メタ)アクリレート(a3-1)もしくはイソシアネート基を有するモノ(メタ)アクリレート(a3-2)の反応物であり、重量平均分子量が26,000~90,000であるポリウレタン(メタ)アクリレート(A)と、 B:ホモポリマーとした場合のガラス転移温度が40℃以上である、分子内にエチレン性不飽和二重結合を1つ有し、かつヒドロキシ基を有さないモノマー(B)(窒素原子及び不飽和結合を有する単官能モノマーを除く。)と、 C:分子内にエチレン性不飽和二重結合を1つ有し、かつヒドロキシ基を有するモノマー(C)とを含み、 E:(a1)成分が、ポリエーテルポリオールである、 F:活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物(スチレン樹脂を含むものを除く)。」 である点で一致する。 また、本件発明1と甲6発明は、以下の点で相違する。 <相違点14> 本件発明1は、(A)成分のポリウレタン(メタ)アクリレートについて「1分子当たりの平均(メタ)アクリロイル基数が2~4」に特定されているのに対し、甲6発明は、「1(以下)」である点 <相違点15> 本件発明1は、「(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計100質量%中に、(B)成分の含有比率が45~75質量%であり」と特定されているのに対し、甲6発明は、甲6発明は、 甲6発明のIBXA成分の含有量が30質量%は、30/(20+30+20)=42.9質量%である点 <相違点16> 本件発明1は、「(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計100質量%中に、(C)成分の含有比率が3~15質量%であり」と特定されているのに対し、甲6発明は 甲6発明のHEA成分の含有量が20質董%は、20/(20+30+20)=28.6質量%である点。 (イ)相違点15についての検討 甲6には、甲6発明の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物について、(A)(a1)ポリオール、(a2)脂肪族ポリイソシアネート、(a3)水酸基含有モノ(メタ)アクリレート及び(a4)水酸基含有光重合開始剤の反応物であるポリウレタンと、(B)(b1)脂環構造を含有しない直鎖状アルキル基の炭素数が4以上18以下のアルキルモノ(メタ)アクリレート、脂環構造を含有しない分岐状アルキル基の炭素数が4以上18以下のアルキルモノ(メタ)アクリレート及び、(b2)脂環構造を含有するアルキル基の炭素数が6以上15以下のアルキルモノ(メタ)アクリレートから選択される1種以上のアルキルモノ(メタ)アクリレートと、(C)一級水酸基含有モノ(メタ)アクリレートとを含むものとすることや、(A)成分、(B)成分、及び(C)成分の合計を100質量%とした場合において、(A)成分が20質量%以上70質量%以下であり、(B)成分が25質量%以上75質量%以下であり、及び(C)成分が5質量%以上55質量%以下とすることなどが記載されている(【請求項1】、【請求項2】)。 しかしながら、甲6には、甲6発明の重量平均分子量36,000であるポリウレタンアクリレートオリゴマーと、イソボルニルアクリレートと、2-ヒドロキシエチルアクリレートの合計100質量%中におけるイソボルニルアクリレートの含有比率に着目し、その範囲を45~75質量%とすることについては記載も示唆もない。 (ウ)本件発明1についての小括 以上のとおりであるから、相違点15は、実質的な相違点であり、本件発明1は、甲6に記載された発明であるとは認められない。また、その余の相違点について検討するまでもなく、甲6に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとも認められない。 ウ 本件発明2~8について 本件発明2~8は、本件発明1を直接又は間接的に引用しさらに限定した接着剤組成物等の発明である。また、上記イ(ウ)のとおり、本件発明1は、甲6に記載された発明であるとは認められず、また、甲6に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとも認められないものである。 そうすると、さらに検討するまでもなく、本件発明2、3、5~7も本件発明1と同様の理由により、甲6に記載された発明であるとは認められず、また、本件発明2~8も甲6に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとは認められない。 エ 小括 以上のとおりであるから、本件請求項1~8に係る特許は、令和6年11月14日付けで通知した取消理由(理由6)によって取り消すべきものであるとは認められない。 3 取消理由通知で採用しなかった申立の理由について 令和6年11月14日付けで通知した取消理由及び令和7年5月27日付けで通知した取消理由(決定の予告)で採用しなかった申立の理由は、上記第4の申立理由1のうち甲4を引用例とする理由及び上記第4の申立理由3~5である。 (1)申立理由1(甲4を引用例とする新規性)について 甲4発明の認定及び本件発明1との対比、判断は、2(5)ア~ウに記載したとおりであり、甲4発明と本件発明1とは少なくとも相違点10で実質的に相違する。よって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲4に記載された発明であるとは認められない。 また、本件発明2、3、5~7は、本件発明1を直接又は間接的に引用しさらに限定した接着剤組成物等の発明であるから、さらに検討するまでもなく、本件発明2、3、5~7も本件発明1と同様の理由により、甲4に記載された発明であるとは認められない。 したがって、申立理由1(甲4を引用例とする新規性)は、採用できない。 (2)申立理由3について ア 判断手法 一般に「法36条6項2号は、特許請求の範囲の記載に関し、特許を受けようとする発明が明確でなければならない旨規定する。同号がこのように規定した趣旨は、仮に、特許請求の範囲に記載された発明が明確でない場合には、特許の付与された発明の技術的範囲が不明確となり、第三者に不測の不利益を及ぼすことがあり得るので、そのような不都合な結果を防止することにある。そして、特許を受けようとする発明が明確であるか否かは、特許請求の範囲の記載だけではなく、願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮し、また、当業者の出願当時における技術的常識を基礎として、特許請求の範囲の記載が、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるか否かという観点から判断されるべきことはいうまでもない。」とされているところ(知財高裁平成21年(行ケ)第10434号、平成22年8月31日判決言渡)、このような観点に基づいて、本件特許の明確性要件の適否を以下に検討する。 イ 申立理由3の概要 申立理由3(特許異議申立書96頁7行~97頁1行)は、要するに、請求項1の「ホモポリマーとした場合のガラス転移温度が40℃以上である、分子内にエチレン性不飽和二重結合を1つ有し、かつヒドロキシ基を有さないモノマー(B)」を充足するモノマーの範囲について、ガラス転移温度がその測定条件等に応じて異なる値になりうることから、明確ではない、というものである。 ウ 判断 請求項1に記載されたモノマー(B)を特定する事項のうち、「ホモポリマーとした場合のガラス転移温度」という特定事項は、「ホモポリマー」という用語は定義として明確であり、また、「ガラス転移温度」というの用語も技術的に明確に定義されるものであるから(JIS-K6900:1994及びJIS-K7121:1987参照。)、明確に理解できるものであり、「40℃以上」という数値範囲の特定も明確である。また、「分子内にエチレン性不飽和二重結合を1つ有し、かつヒドロキシ基を有さない」及び「窒素原子及び不飽和結合を有する単官能モノマーを除く」という化学構造の特定も明確である。よって、請求項1における「ホモポリマーとした場合のガラス転移温度が40℃以上である、分子内にエチレン性不飽和二重結合を1つ有し、かつヒドロキシ基を有さないモノマー(B)(窒素原子及び不飽和結合を有する単官能モノマーを除く。)」という記載それ自体は明確であるといえる。さらに、本件明細書の【0056】には、「「ホモポリマーとした場合のガラス転移温度」とは、そのモノマーのみを単独で重合して製造したポリマーのガラス転移温度(Tg)のことであり、例えば、Wiley-Interscienceの『POLYMER HANDBOOK FOURTH EDITION』(2003)には具体的な数値が記載されている。」及び「本発明では、化学メーカーのホームページやカタログの製品情報に記載の値を採用した。」と記載されているから、本件明細書にガラス転移温度の測定条件等の記載がなくとも、当業者は「ホモポリマーとした場合のガラス転移温度が40℃以上」に該当するモノマーを特定することができると解され、また、そのように解して請求項1の記載と矛盾することもない。そうすると、請求項1におけるモノマー(B)を特定する記載は明確であり、当該記載を含む請求項1の記載も明確であり、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるとはいえない。 また、本件発明2~8についても同様である。 したがって、申立理由3は、採用できない。 (3)申立理由4について ア 判断手法 特許請求の範囲の記載が、明細書のサポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである〔知財高裁、平成17年(行ケ)10042号判決参照。〕。 イ 申立理由4の概要 申立理由4(特許異議申立書97頁2行~98頁10行)は、要するに、実施例で裏付けられていない態様について、課題を解決できることが明らかであるとはいえないというものである。 ウ 判断 本件発明が実施例で裏付けられていない態様を含むとしても、そのことから直ちに課題を解決することができない態様を含んでいるとはいえないし、他に本件発明が、課題を解決することができない態様を含んでいるといえる理由を申立人はなにも示していない。 一方、本件発明1の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物は、上記第3に記載のとおりのものであって、ポリウレタン(メタ)アクリレート(A)とヒドロキシ基を有さないモノマー(B)とヒドロキシ基を有するモノマー(C)を含むものに限定され、さらに、ポリウレタン(メタ)アクリレート(A)についてその原料や1分子当たりの平均(メタ)アクリロイル基数や重量平均分子量が限定され、ヒドロキシ基を有さないモノマー(B)がホモポリマーとした場合のガラス転移温度が40℃以上であるものに限定され、さらに、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計100質量%中に、(B)成分の含有比率が45~75質量%であり、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計100質量%中に、(C)成分の含有比率が3~15質量%であるものに限定されている。 また、技術常識によれば、組成が類似している組成物は、類似する物性を示す。 そうすると、当業者であれば、実施例で裏付けられていない態様についても実施例と同様の物性等を示すと予測することが合理的であって、上記技術常識に反して、本件発明には課題を解決することができない態様が含まれているといえるような証拠(理論的な根拠や具体的な裏付け)はなにもない。 また、本件発明2~8についても同様である。 したがって、申立理由4は、採用できない。 (4)申立理由5について ア 判断手法 特許法第36条第4項第1号は、発明の詳細な説明の記載について、「経済産業省令で定めるところにより、その発明が属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したもの」、でなければならないと定めている。そして、この規定にいう「実施」とは、物の発明においては、その物を作ることができ、かつ、その物を使用できることである。また、明細書の記載が実施可能要件を満たすと言えるためには、明細書にその物を生産する方法及び使用する方法についての具体的な記載が必要であるが、そのような記載がなくても、明細書及び図面の記載並びに出願当時の技術常識に基づき、当業者がその物を作ることができ、かつ、その物を使用できるのであれば、上記の実施可能要件を満たすということができる。また、「使用できる」といえるためには、特許発明に係る物について、例えば、発明が目的とする作用効果等を奏する態様で用いることができることを要するというべきである。 イ 申立理由5の概要 申立理由5(特許異議申立書98頁11~17行)は、要するに、実施例として具体的に示された粘着剤組成物以外において、過度な試行錯誤なく、本件発明の課題を解決できる粘着剤組成物を製造できるとは認められないというものである。 ウ 判断 実施可能要件の判断手法は上記アのとおりであって、本件発明の粘着剤組成物を製造し使用できれば、発明の詳細な説明の記載は、当業者が本件発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものであるといえる、というものである。 また、実施例として具体的に示された粘着剤組成物以外についても、例えば本件発明1の各成分を所定の割合で混合すれば本件発明1の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物を製造できることは明らかであるし、当該組成物を使用することができることも明らかである。 また、本件発明2~8についても同様である。 よって、申立理由5は、採用できるものではない。 第7 むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1~8に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件請求項1~8に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2024-700608

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