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特許異議申立

2022-700736

紫外線発光素子

審判番号
2022-700736
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2020-053030
登録番号
7015339
請求日
2022年07月29日
審決日
2023年06月05日
公報発行日
2023年09月29日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】旭化成エレクトロニクス株式会社
  • 【権利者代理人】田中 秀▲てつ▼
  • 【権利者代理人】森 哲也
  • 【異議申立人】中野 圭二
審判長/審判官
  • 審判長 瀬川 勝久
  • 審判官 金高 敏康
  • 審判官 吉野 三寛
分類
P1651.113-YAA(H01L) / P1651.121-YAA(H01L)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第5項、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第1項、特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第1号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7015339号発明「紫外線発光素子」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7015339号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~13〕について訂正することを認める。 特許第7015339号の請求項1~13に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7015339号(以下「本件特許」という。)の請求項1~13に係る特許についての出願は、令和2年3月24日に出願した特願2020-53030号に出願され、令和4年1月25日にその特許権の設定登録がされ、令和4年2月2日に特許掲載公報が発行された。 本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。 令和4年 7月29日 :特許異議申立人中野圭二(以下「申立人」 という。)による請求項1~13に係る 特許に対する特許異議の申立て 令和4年11月28日付け:取消理由通知書 令和5年 1月30日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の 提出 なお、当審は、申立人に対して本件訂正に係る請求があった旨の通知(特許法第120条の5第5項)をするとともに期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、申立人は意見書を提出しなかった。 第2 訂正の適否 1 訂正の内容 令和5年 1月30日付け訂正請求書による訂正(以下「本件訂正」という。)は、次のとおりである(下線部が訂正箇所である)。 なお、本件訂正は、一群の請求項である訂正後の請求項〔1~13〕について請求されている。 (1)訂正事項1 請求項1において、「前記第1電極は、前記メサ構造に近づくにつれて膜厚が連続的又は段階的、若しくは連続的及び段階的に小さくなる膜厚変化部を含む第1電極要素を有し、前記膜厚変化部の一部と前記第1導電型窒化物半導体層の前記第1領域との間に、前記第1電極要素の構成成分の酸化物を含む第1の界面部、を更に備える、」と記載されているのを、「前記第1電極は、前記メサ構造に近づくにつれて膜厚が連続的又は段階的、若しくは連続的及び段階的に小さくなる膜厚変化部を含み、前記第1導電型窒化物半導体層と少なくとも一部が接する第1電極要素を有し、前記第1電極要素の前記第2領域側の端部を含む前記膜厚変化部の一部と前記第1導電型窒化物半導体層の前記第1領域との間に、当該間の外部から独立して存在し前記第1電極要素の構成成分の酸化物を含む第1の界面部、を更に備える、」に訂正する。 請求項1の記載を直接的にまたは間接的に引用する請求項2~13においても同様に訂正する。 (2)訂正事項2 請求項3において、「前記第1導電型窒化物半導体層の前記第2領域の平面に対する前記膜厚変化部の上面の傾斜角度が1度以上45度以下ある」と記載されているのを、「前記第1導電型窒化物半導体層の前記第2領域の平面に対する前記膜厚変化部の上面の傾斜角度が1度以上30度以下である」に訂正する。 請求項3の記載を直接的にまたは間接的に引用する請求項6,11~13においても同様に訂正する。 (3)訂正事項3 請求項12において、「前記第1導電型窒化物半導体層が、AlGaNである」と記載されているのを、「前記メサ構造を覆う第1絶縁層を更に備え、前記第1絶縁層の組成と前記第1の界面部の組成が異なっており、前記第1導電型窒化物半導体層が、AlGaNである」に訂正する。 請求項12の記載を直接的に引用する請求項13おいても同様に訂正する。 (4)訂正事項4 請求項13において、「前記第2導電型窒化物半導体層が、GaNである」と記載されているのを、「前記酸化物が前記第1導電型窒化物層と接しており、前記第2導電型窒化物半導体層が、GaNである」に訂正する。 2 訂正要件の判断 (1)訂正事項1について ア 訂正の目的 訂正事項1は、「第1電極要素」について「前記第1導電型窒化物半導体層と少なくとも一部が接する」こと、及び、「第1の界面部」について、「前記第1電極要素の前記第2領域側の端部を含む」膜厚変化部の一部と第1の窒化物半導体層の第1領域との間に存在すること、並びに、「当該間の外部から独立して存在」すること、をそれぞれ限定するものである。 上記訂正事項1による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正である。 イ 新規事項追加の有無 本件特許の願書に添付した特許登録時の明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件明細書等」という。)の図2から「第1電極要素51」が「第1窒化物半導体層20」と接すること、及び、「第1の界面部54」が「膜厚変化部51a」の「第2領域22」側の端部を含む「膜厚変化部51a」と「第1導電型窒化物半導体層20」の間の一部のみに形成されていること、が見て取れる。 よって、訂正事項1による訂正は、新規事項を追加するものではない。 ウ 特許請求の範囲の実質拡張変更の有無 訂正事項1による訂正は、上記ア及びイにも照らせば、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。 したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。 (2)訂正事項2について ア 訂正の目的 訂正事項2は、「前記第1導電型窒化物半導体層の前記第2領域の平面に対する前記膜厚変化部の上面の傾斜角度」について、その上限を「45度」から「30度」と限定し、且つ、「以下ある」との明らかな誤記を「以下である」に訂正するものである。 したがって、訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮、及び、同第2号に規定する誤記又は誤訳の訂正を目的とするものである。 イ 新規事項追加の有無 本件明細書等の【0017】には「第1導電型窒化物半導体層の第2領域の平面に対する膜厚変化部の上面の傾斜角度は特に制限されないが、電流集中の観点から1度以上45度以下であることが好ましく、2度以上30度以下であることがより好ましく、3度以上10度以下であることがさらに好ましい。」と記載されている。 よって、訂正事項2による訂正は、新規事項を追加するものではない。 ウ 特許請求の範囲の実質拡張変更の有無 訂正事項2による訂正は、上記ア及びイにも照らせば、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。 したがって、訂正事項2は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。 (3)訂正事項3について ア 訂正の目的 訂正事項3は、「前記メサ構造を覆う第1絶縁層を更に備え、前記第1絶縁層の組成と前記第1の界面部の組成が異なっており、」との特定を加えるものである。 したがって、訂正事項3は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 新規事項追加の有無 本件明細書等の図1及び2から第1絶縁層71がメサ構造の側面を覆うことが見て取れる。さらに、【0019】には「第1の界面部の構成成分として、酸化アルミニウム等が挙げられる。」と記載され、【0021】には「絶縁層の材料としては特に制限されないが、酸化ケイ素や窒化ケイ素などが挙げられる。」と、すなわち、第1の界面部の組成と、第1絶縁層71を含む絶縁層の組成が異なることが記載されている。 よって、訂正事項3による訂正は、新規事項を追加するものではない。 ウ 特許請求の範囲の実質拡張変更の有無 訂正事項3による訂正は、上記ア及びイにも照らせば、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。 したがって、訂正事項3は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。 (4)訂正事項4について ア 訂正の目的 訂正事項4は、「前記酸化物が前記第1導電型窒化物層と接しており、」との特定を加えるものである。 したがって、訂正事項4は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 新規事項追加の有無 本件明細書等の図2から、「第1の界面部54」が「第1導電型窒化物半導体層20」の接していることが見て取れる。「酸化物」が「第1の界面部54」に含まれるものであることを踏まえると、前記「酸化物」が「第1導電型窒化物半導体層20」が接しているといえる。よって、訂正事項4による訂正は、新規事項を追加するものではない。 ウ 特許請求の範囲の実質拡張変更の有無 訂正事項4による訂正は、上記ア及びイにも照らせば、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。 したがって、訂正事項4は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。 (5)小括 よって、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号又は同第2号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 なお、訂正後の請求項1~13は、特許異議の申立てがなされた請求項であるから、当該各請求項についての訂正には、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する第126条第7項の独立特許要件は課されない。 3 訂正の適否についての判断の小括 以上のとおり、本件訂正は、訂正要件を満たす。 よって、本件特許の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、本件訂正後の請求項〔1~13〕について訂正することを認める。 第3 本件訂正発明 本件訂正後の請求項1~13に係る発明(以下、それぞれ、「本件訂正発明1」~「本件訂正発明13」という。)は、次のとおりのものである。 【本件訂正発明1】 基板と、第1導電型窒化物半導体層の第1領域と、第1導電型窒化物半導体層の第2領域と、発光層と、第2導電型窒化物半導体層と、を一方向に向けてこの順で備え、 前記第1導電型窒化物半導体層の第2領域と、前記発光層と、前記第2導電型窒化物半導体層はメサ構造であり、 前記第1導電型窒化物半導体層の前記第1領域の表面の一部に、第1電極を有し、 前記第2導電型窒化物半導体層の表面の一部に第2電極を有し、 前記第1電極は、前記メサ構造に近づくにつれて膜厚が連続的又は段階的、若しくは連続的及び段階的に小さくなる膜厚変化部を含み、前記第1導電型窒化物半導体層と少なくとも一部が接する第1電極要素を有し、前記第1電極要素の前記第2領域側の端部を含む前記膜厚変化部の一部と前記第1導電型窒化物半導体層の前記第1領域との間に、当該間の外部から独立して存在し前記第1電極要素の構成成分の酸化物を含む第1の界面部、を更に備える、紫外線発光素子。 【本件訂正発明2】 前記第1電極が、前記第1電極要素上に、第2電極要素と、第3電極要素とをこの順で更に有し、 前記第1電極要素の前記膜厚変化部の一部と前記第2電極要素との界面に、チタンで構成される第2の界面部を有する、請求項1に記載の紫外線発光素子。 【本件訂正発明3】 前記第1導電型窒化物半導体層の前記第2領域の平面に対する前記膜厚変化部の上面の傾斜角度が1度以上30度以下である請求項1又は2に記載の紫外線発光素子。 【本件訂正発明4】 前記第1の界面部の膜厚が、1nm以上100nm以下である請求項1に記載の紫外線発光素子。 【本件訂正発明5】 前記第2の界面部の膜厚が、1nm以上100nm以下である請求項2に記載の紫外線発光素子。 【本件訂正発明6】 前記第1電極要素の構成成分がアルミニウムである請求項1から5のいずれか一項に記載の紫外線発光素子。 【本件訂正発明7】 前記第1の界面部の構成成分が、酸化アルミニウムである請求項1に記載の紫外線発光素子。 【本件訂正発明8】 前記第3電極要素の構成成分が、金とチタンの合金である請求項2に記載の紫外線発光素子。 【本件訂正発明9】 前記第2電極要素の構成成分が、ニッケルである請求項2又は8に記載の紫外線発光素子。 【本件訂正発明10】 前記第2の界面部が、前記第3電極要素の構成成分の少なくとも1つを含む請求項2、8及び9のいずれか一項に記載の紫外線発光素子。 【本件訂正発明11】 前記基板が窒化アルミニウムである請求項1から10のいずれか一項に記載の紫外線発光素子。 【本件訂正発明12】 前記メサ構造を覆う第1絶縁層を更に備え、 前記第1絶縁層の組成と前記第1の界面部の組成が異なっており、 前記第1導電型窒化物半導体層が、AlGaNである請求項1から11のいずれか一項に記載の紫外線発光素子。 【本件訂正発明13】 前記酸化物が前記第1導電型窒化物層と接しており、 前記第2導電型窒化物半導体層が、GaNである請求項1から12のいずれか一項に記載の紫外線発光素子。 第4 取消理由の概要 令和4年11月28日付け取消理由通知書(以下「取消理由通知書」という。)により特許権者に通知した取消しの理由の要旨は、以下のとおりである。 1 本件訂正前の請求項1~13に係る特許は、本件特許出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物である又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、甲第1~3号証(以下「甲1」~「甲3」という。)のそれぞれに記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。(新規性欠如) 2 本件訂正前の求項1~13に係る特許は、本件特許出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物である又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、甲1~3のそれぞれに機作入れた発明に基づいて、発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。(進歩性欠如) 甲1:特開2019- 41109号公報 甲2:特開2012-164930号公報 甲3:特開2019-207944号公報 第5 当審の判断 1 甲1~3及び甲第4号証の記載事項 (1)甲1 ア 取消理由で引用された甲1には、次の事項が記載されている。(なお、下線は当合議体が付したものである。以下同じ。) (ア)「【請求項1】 第1導電型半導体層、第2導電型半導体層、および前記第1導電型半導体層と第2導電型半導体層間に配置される活性層を含む半導体構造物、 前記第1導電型半導体層上に配置される第1電極、 前記第2導電型半導体層上に配置される第2電極、 前記第1電極上に配置される第1カバー電極、および 前記第2電極上に配置される第2カバー電極を含み、 前記第2カバー電極は複数個のパッド部、および前記複数個のパッド部を連結する連結部を含み、 前記連結部は隣り合うパッド部の中間地点で幅が最も小さく、 前記第2カバー電極と前記第1カバー電極の面積比は1:1.1~1:1.5である、半導体素子。 【請求項2】 前記半導体構造物上に配置される第1絶縁層、および 前記第1カバー電極および第2カバー電極上に配置される第2絶縁層を含み、 前記第1絶縁層は前記第1電極が配置される第1ホールおよび前記第2電極が配置される第2ホールを含み、 前記第2絶縁層は前記第1カバー電極を一部露出させる第3ホール、および前記第2カバー電極の一部を露出させる第4ホールを含む、請求項1に記載の半導体素子。 ・・・(略)・・・ 【請求項11】 前記第1電極は上面に配置される第1溝、および前記第1溝を囲む突起部を含み、 前記第1カバー電極は前記第1溝および前記突起部上に配置される、請求項1に記載の半導体素子。 【請求項12】 前記突起部と前記第1カバー電極の間に配置される酸化膜を含む、請求項11に記載の半導体素子。 【請求項13】 前記第1カバー電極は前記第1溝に配置される第1凹凸部、および 前記第1絶縁層と前記第1電極の間の離隔領域に配置される第2凹凸部を含み、 前記第2凹凸部は前記第1導電型半導体層と接触する、請求項11に記載の半導体素子。 【請求項14】 前記第1カバー電極は前記第1絶縁層の上部に延びる、請求項11に記載の半導体素子。 【請求項15】 第1項において、 前記活性層は紫外線波長帯の光を生成する、請求項1に記載の半導体素子。」 「【0022】 図1は本発明の一実施例に係る半導体素子の断面図であり、図2は図1のA部分の拡大図である。 【0023】 図1および図2を参照すると、本発明の一実施例に係る半導体素子は、半導体構造物120、半導体構造物120上に配置される第1絶縁層171、第1絶縁層171の第1ホール171aを介して第1導電型半導体層121上に配置される第1電極151、第1絶縁層171の第2ホール171bを介して第2導電型半導体層123上に配置される第2電極161、第1電極151上に配置される第1カバー電極152、第2電極161上に配置される第2カバー電極162、および第1カバー電極152および第2カバー電極162上に配置される第2絶縁層172を含む。 【0024】 本発明の実施例に係る半導体構造物120は紫外線波長帯の光を出力することができる。例示的に、半導体構造物120は近紫外線波長帯の光(UV-A)を出力することもでき、遠紫外線波長帯の光(UV-B)を出力することもでき、深紫外線波長帯の光(UV-C)を出力することができる。」 「【0028】 基板110は、サファイア(Al2O3)、SiC、GaAs、GaN、ZnO、Si、GaP、InPおよびGeのうち選択された物質で形成され得るが、これに限定されはしない。基板110は紫外線波長帯の光が透過できる投光基板であり得る。」 「【0030】 第1導電型半導体層121はIII-V族、II-VI族などの化合物半導体で具現され得、第1ドーパントがドーピングされ得る。第1導電型半導体層121は、Inx1Aly1Ga1-x1-y1N(0≦x1≦1、0<y1≦1、0≦x1+y1≦1)の組成式を有する半導体材料、例えばAlGaN、AlN、InAlGaNなどで選択され得る。そして、第1ドーパントは、Si、Ge、Sn、Se、Teのようなn型ドーパントであり得る。第1ドーパントがn型ドーパントである場合、第1ドーパントがドーピングされた第1導電型半導体層121はn型半導体層であり得る。」 「【0035】 第2導電型半導体層123は、Inx5Aly2Ga1-x5-y2N(0≦x5≦1、0<y2≦1、0≦x5+y2≦1)の組成式を有する半導体物質またはAlInN、AlGaAs、GaP、GaAs、GaAsP、AlGaInPのうち選択された物質で形成され得る。」 「【0037】 半導体構造物120は第1導電型半導体層121上に活性層122と第2導電型半導体層123が配置される第1領域M1、および第1導電型半導体層121が露出する第2領域M2を含むことができる。第1領域M1は発光領域であり、第2領域M2は非発光領域であり得る。 【0038】 第1絶縁層171は第1電極151と第2電極161の間に配置され得る。具体的には、第1絶縁層171は第1電極151が配置される第1ホール171aおよび第2電極161が配置される第2ホール171bを含むことができる。 【0039】 第1電極151は第1導電型半導体層121上に配置され、第2電極161は第2導電型半導体層123上に配置され得る。 【0040】 第1電極151と第2電極161はオーミック電極であり得る。第1電極151と第2電極161は、ITO(indiumtin oxide)、IZO(indium zinc oxide)、IZTO(indium zinc tin oxide)、IAZO(indium aluminum zinc oxide)、IGZO(indium gallium zinc oxide)、IGTO(indium gallium tin oxide)、AZO(aluminum zinc oxide)、ATO(antimony tin oxide)、GZO(gallium zinc oxide)、IZON(IZO Nitride)、AGZO(Al-Ga ZnO)、IGZO(In-Ga ZnO)、ZnO、IrOx、RuOx、NiO、RuOx/ITO、Ni/IrOx/Au、またはNi/IrOx/Au/ITO、Ag、Ni、Cr、Ti、 Al、Rh、Pd、Ir、Sn、In、Ru、Mg、Zn、Pt、Au、Hfのうち少なくとも一つを含んで形成され得るが、このような材料に限定されはしない。例示的に、第1電極151は複数の金属層(例:Cr/Al/Ni)を有し、第2電極161はITOであり得る。 【0041】 第1電極151は第1ホール171aを介して第1導電型半導体層121と電気的に連結され得る。第1電極151は一面に形成された第1溝151aを含むことができる。一般の可視光発光素子とは異なって紫外線発光素子の場合、オーミックのために電極を高温で熱処理する必要がある。例示的に、第1電極151および/または第2電極161は約600℃~900℃で熱処理することができ、この過程で第1電極151の表面には酸化膜OX1が形成され得る。酸化膜OX1は抵抗層として作用し得るため、動作電圧が上昇し得る。」 「【0045】 しかし、実施例によると、第1絶縁層171は第2導電型半導体層123の上面の一部の領域に延びて活性層122の側面および第1導電型半導体層121の一部の領域まで配置され得る。また、第1絶縁層171は、第1電極151と第2電極161の間で第1導電型半導体層121の側面、活性層122の側面、第2導電型半導体層123の側面に配置され得る。」 「【0049】 第1カバー電極152は第1電極151上に配置され得る。この時、第1カバー電極152は第1溝151aに配置される第1凹凸部152aを含むことができる。このような構成によると、第1カバー電極152と第1電極151の電気的連結が改善されて動作電圧が低くなり得る。万一、第1電極151に第1溝151aがない場合、酸化膜が除去されないため第1カバー電極152と第1電極151の間の抵抗が上昇し得る。 【0050】 第1カバー電極152は第1電極151の側面を覆うことができる。したがって、第1カバー電極152と第1電極151の接触面積が広くなるため、動作電圧がさらに低くなり得る。また、第1カバー電極152が第1電極151の側面を覆うため、外部から浸透する水分やその他の汚染物質から第1電極151を保護することができる。したがって、半導体素子の信頼性が改善し得る。 【0051】 第1カバー電極152は、第1絶縁層171と第1電極151の間の離隔領域d2に配置される第2凹凸部152bを含むことができる。第2凹凸部152bは第1導電型半導体層121と直接接触することができる。したがって、第1導電型半導体層121に注入される電流をより均一に分散させる効果を有することができる。この時、第1カバー電極152が第1導電型半導体層121と直接接する場合、第1カバー電極152と第1導電型半導体層121の間の抵抗が第1電極151と第1導電型半導体層121の間の抵抗より大きくてもよい。離隔領域d2の幅は約1μm~10μmであり得る。 【0052】 第1カバー電極152は第1絶縁層171の上部に延びた第1領域d1を有することができる。したがって、第1カバー電極152の全体面積が増加して動作電圧が低くなり得る。」 「【0058】 第1カバー電極152と第2カバー電極162は、Ni/Al/Au、またはNi/IrOx/Au、Ag、Ni、Cr、Ti、Al、Rh、Pd、Ir、Sn、In、Ru、Mg、Zn、Pt、Au、Hfのうち少なくとも一つを含んで形成され得るが特に限定されない。ただし、第1カバー電極152と第2カバー電極162は外部に露出する最外郭層がAuを含むことができる。」 「【0063】 第1絶縁層171と第2絶縁層172は、SiO2、SixOy、Si3N4、SixNy、SiOxNy、Al2O3、TiO2、AlNなどからなる群から少なくとも一つが選択されて形成され得る。第2絶縁層172が形成される過程で、部分的に第1絶縁層171と第2絶縁層172は境界が消滅して一つの絶縁層170を形成してもよい。」 「【0093】 図4を参照すると、基板110上に、第1導電型半導体層121、活性層122、および第2導電型半導体層123を順に形成することができる。その後、半導体構造物をメサ食刻して第1導電型半導体層121が露出する非発光領域M2と非発光領域M2に比べて突出した発光領域M1を形成することができる。その後、第1絶縁層171を形成し、第1ホール171aと第2ホール171bを形成することができる。したがって、第1絶縁層171は主に発光領域M1の側面に配置され得る。」 (イ) 図1及び図2は、次のとおりである。 「 [図:0001401642000001.jpg] 」 (ウ) 上記(イ)の図1及び図2から、第1カバー電極152は、非発光領域M2において第1導電型半導体層121上に形成され、発光領域M1に近づくにつれて膜厚が連続的に減少していること、及び、第1カバー電極152の前記膜厚が連続的に減少しているところと第1導電型半導体層121の間に第1絶縁膜171が形成されていること、が見て取れる。 イ 上記アから、甲1には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。(なお、参考までに、引用発明の認定に用いた甲1の記載等に係る段落番号等を括弧内に付してある。以下同じ。) 「第1導電型半導体層、第2導電型半導体層、および前記第1導電型半導体層と第2導電型半導体層間に配置される活性層を含む半導体構造物、 前記第1導電型半導体層上に配置される第1電極、 前記第2導電型半導体層上に配置される第2電極、 前記第1電極上に配置される第1カバー電極、および 前記第2電極上に配置される第2カバー電極を含み、 前記第2カバー電極は複数個のパッド部、および前記複数個のパッド部を連結する連結部を含み、 前記連結部は隣り合うパッド部の中間地点で幅が最も小さく、 前記第2カバー電極と前記第1カバー電極の面積比は1:1.1~1:1.5であり、(【請求項1】) 前記半導体構造物上に配置される第1絶縁層、および 前記第1カバー電極および第2カバー電極上に配置される第2絶縁層を含み、 前記第1絶縁層は前記第1電極が配置される第1ホールおよび前記第2電極が配置される第2ホールを含み、 前記第2絶縁層は前記第1カバー電極を一部露出させる第3ホール、および前記第2カバー電極の一部を露出させる第4ホールを含み、(【請求項2】) 前記第1電極は上面に配置される第1溝、および前記第1溝を囲む突起部を含み、前記第1カバー電極は前記第1溝および前記突起部上に配置され、(【請求項11】) 前記突起部と前記第1カバー電極の間に配置される酸化膜を含み、(【請求項12】) 前記第1カバー電極は前記第1溝に配置される第1凹凸部、および前記第1絶縁層と前記第1電極の間の離隔領域に配置される第2凹凸部を含み、前記第2凹凸部は前記第1導電型半導体層と接触し、(【請求項13】、【0051】) 前記第1カバー電極は前記第1絶縁層の上部に延び、(【請求項14】、【0052】) 前記活性層は紫外線波長帯の光を生成するものであって、(【請求項15】、【0024】) 半導体構造物120は第1導電型半導体層121上に活性層122と第2導電型半導体層12が配置される第1領域M1、および第1導電型半導体層121が露出する第2領域M2を含むことができ、第1領域M1は発光領域であり、第2領域M2は非発光領域であり、(【0037】) 基板110上に、第1導電型半導体層121、活性層122、および第2導電型半導体層123を順に形成し、その後、半導体構造物をメサ食刻して第1導電型半導体層121が露出する非発光領域M2と非発光領域M2に比べて突出した発光領域M1を形成されたものであり、(【0093】) 基板110は、紫外線波長帯の光が透過できる透光基板であり、(【0028】) 第1導電型半導体層121は、Inx1Aly1Ga1-x1-y1N(0≦x1≦1、0<y1≦1、0≦x1+y1≦1)の組成式を有する半導体材料から選択されるAlGaNであり、(【0030】) 第2導電型半導体層123は、Inx5Aly2Ga1-x5-y2N(0≦x5≦1、0<y2≦1、0≦x5+y2≦1)の組成式を有する半導体物質であり、(【0035】) 第1電極151は、Alで形成され、(【0040】) 第1電極151の表面には酸化膜OX1が形成され、(【0040】) 第1カバー電極152は、Alで形成され、(【0058】) 第1カバー電極152は、Ni/Al/Au、またはNi/IrOx/Au、Ag、Ni、Cr、Ti、Al、Rh、Pd、Ir、Sn、In、Ru、Mg、Zn、Pt、Au、Hfのうち少なくとも一つを含んで形成され得るが特に限定されず、(【0058】) 第1絶縁層171はAl2O3で形成され、(【0063】) 第1絶縁層171は第2導電型半導体層123の上面の一部の領域に延びて活性層122の側面および第1導電型半導体層121の一部の領域まで配置され、また、第1絶縁層171は、第1電極151と第2電極161の間で第1導電型半導体層121の側面、活性層122の側面、第2導電型半導体層123の側面に配置され、(【0045】) 第1電極151及び第1カバー電極152は、非発光領域M2において第1導電型半導体層上に121上に形成され、発光領域M1に近づくにつれて膜厚が連続的に減少し、(上記ア(ウ)) 第1カバー電極152の前記膜厚が連続的に減少しているところと第1導電型半導体層121の間に第1絶縁膜171が形成されている、(上記ア(ウ)) 半導体素子。」 (2)甲2 ア 甲2には次の記載がある。 (ア) 「【0010】 以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。 図1は、本実施の形態が適用される半導体発光素子(発光ダイオード)1の一例を上方からみた上面図を示している。また、図2は、図1に示す半導体発光素子1のII-II断面図を示している。なお、図1においては、後述する保護層400を取り除いた半導体発光素子1を例示している。 【0011】 この半導体発光素子1は、基板110と、基板110の上に積層される中間層120と、中間層120の上に積層される下地層130とを備える。また、半導体発光素子1は、下地層130の上に積層されるn型半導体層140と、n型半導体層140の上に積層される発光層150と、発光層150の上に積層されるp型半導体層160とを備える。なお、以下の説明においては、必要に応じて、これらn型半導体層140、発光層150およびp型半導体層160を、まとめて積層半導体層100と呼ぶ。 また、この半導体発光素子1においては、上方に向けてn型半導体層140の上面140cが露出するように、積層されたp型半導体層160、発光層150およびn型半導体層140が、一部の領域において厚さ方向に切り欠かれている。 【0012】 さらに、この半導体発光素子1は、発光層150から出力される光に対する透過性および導電性を有し、p型半導体層160の上に積層される透明導電層170を備えている。 さらにまた、この半導体発光素子1は、発光層150から出力される光に対する透過性および絶縁性を有し、透明導電層170の上面から、p型半導体層160、発光層150およびn型半導体層140の側面を介して、n型半導体層140の上面140cに至るように、一体的に積層される透明絶縁層180を備えている。この透明絶縁層180は、保護膜としての機能もあり、化学的に安定で、耐湿性の優れた材質が適する。 ここで、発光層150の発光波長λ(nm)における、透明導電層170の屈折率を第1屈折率n1とし、透明絶縁層180の屈折率を第2屈折率n2としたとき、両者はn1>n2の関係を有している。そして、両者の屈折率の大きさの差(n1-n2)により、透明導電層170と透明絶縁層180との界面での反射が増大し、半導体発光素子1からの光取り出し効率が向上する。この屈折率の大きさの差は、0.4以上であることが望ましい。」 「【0017】 このように、本実施の形態の半導体発光素子1は、基板110とは反対側となる一方の面側に、p電極200およびn電極300が形成された構造を有している。そして、この半導体発光素子1においては、p電極200を正電極、n電極300を負電極とし、両者を介して積層半導体層100(より具体的にはp型半導体層160、発光層150およびn型半導体層140)に電流を流すことで、発光層150が発光するようになっている。 【0018】 以下、本実施の形態における半導体発光素子1の各構成を説明する。 <基板> 基板110としては、III族窒化物半導体結晶が表面にエピタキシャル成長される基板であれば、特に限定されず、各種の基板を選択して用いることができる。 本実施の形態の半導体発光素子1は、後述するように、基板110側から光を取り出すようにフリップチップ実装される。したがって、発光層150から出射される光に対して光透過性を有していることが、光取出し効率を高めるために好ましく、特に、C面を主面とするサファイアを基板110として用いることが好ましい。サファイアを基板110として用いる場合は、サファイアのC面上に中間層120(バッファ層)を形成するとよい。 ・・・(略)・・・ 【0021】 <積層半導体層> III族窒化物半導体を含んで構成される積層半導体層100は、図2に示すように、基板110上に、n型半導体層140、発光層150およびp型半導体層160の各層が、この順で積層されて構成されている。また、n型半導体層140、発光層150およびp型半導体層160の各層は、それぞれ、複数の半導体層から構成してもよい。 ここで、n型半導体層140は、電子をキャリアとして電気伝導を行うものであり、p型半導体層160は、正孔をキャリアとして電気伝導を行うものである。この例においては、電子をキャリアとするn型が第1導電型に対応しており、正孔をキャリアとするp型が第2導電型に対応している。 【0022】 <n型半導体層> 第1導電型を有する第1半導体層の一例としてのn型半導体層140は、基板110側(この例では下地層130)に積層されるnコンタクト層と、nコンタクト層に積層されるnクラッド層とで構成することが好ましい。なお、nコンタクト層はnクラッド層を兼ねることも可能である。また、前述の下地層130をn型半導体層140に含めてもよい。 【0023】 nコンタクト層は、n電極300を設けるための層である。したがって、n型半導体層140における上面140cには、nコンタクト層を露出させておくとよい。nコンタクト層としては、AlxGa1-xN層(0≦x<1、好ましくは0≦x≦0.5、さらに好ましくは0≦x≦0.1)を用いるとよい。 ・・・(略)・・・ 【0027】 <p型半導体層> 第2導電型を有する第2半導体層の一例としてのp型半導体層160は、発光層150に積層されるpクラッド層と、pクラッド層に積層されるpコンタクト層とで構成することが好ましい。ただし、pコンタクト層がpクラッド層を兼ねることも可能である。 ・・・(略)・・・ 【0029】 pコンタクト層は、透明導電層170を介してp電極200を設けるための層である。pコンタクト層は、AlxGa1-xN(0≦x≦0.4)とすることが好ましい。pコンタクト層におけるAl組成が上記範囲であると、良好な結晶性の維持および透明導電層170との良好なオーミック接触の維持が可能となる点で好ましい。 pコンタクト層の膜厚は、特に限定されないが、10~500nmが好ましく、より好ましくは50~200nmである。pコンタクト層の膜厚をこの範囲とすると、順方向電圧Vfを低減できる点で好ましい。 ・・・(略)・・・ 【0034】 <透明絶縁層> 透明絶縁層180は、例えば図2に示すように、透明導電層170、透明導電層170が積層されていないp型半導体層160、および発光層150が積層されていないn型半導体層140をそれぞれ覆うように積層されている。また、透明絶縁層180は、各層の表面を覆うだけでなく、発光層150およびp型半導体層160の側面、すなわちp型半導体層160とn型半導体層140とで形成される段差の壁部にあたる部分を覆い、さらに透明導電層170の側面も覆う。 【0035】 そして、透明絶縁層180は、上述のように、発光層150から出力される光に対する透過性、透明導電層170の屈折率(第1屈折率n1)よりも低い屈折率(第2屈折率n2)、および絶縁性を有する材質から構成される。透明絶縁層180を構成する材料としては、例えばSiO2(酸化珪素)やMgF2(フッ化マグネシウム)、CaF2(フッ化カルシウム)、Si3N4(窒化珪素)、Al2O3(酸化アルミニウム)を使用することができる。なお、この例では、透明絶縁層180として、絶縁性が高く、屈折率が小さく(1.4~1.5)、耐湿性に優れた、最適な材料であるSiO2(二酸化珪素)を用いた。 【0036】 また、本実施の形態において、透明絶縁層180の膜厚をHとし、発光層150の発光波長λ(nm)を、透明絶縁層180の屈折率である第2屈折率n2の4倍で除したものをQとしたとき、膜厚Hは、以下に示す式(1)の関係で設定される。但しAは整数である。 【0037】 H=AQ … (1) 【0038】 そして、透明絶縁層180の膜厚Hは、以下の式(2)に基づいて設定されていること、すなわち、膜厚Hが3λ/4n2以上となる範囲にあること(膜厚Hが3Q以上であること)がより好ましい。更に、発光出力の向上には望ましくは5Q以上である。ただし、生産コストの制約および、膜厚の増加に伴い本発明の課題であるクラック発生がしやすくなる点から、膜厚Hは20Q以下、望ましくは、10Q以下が好適である。透明絶縁層180の膜厚Hをこの範囲から選択した場合、発光層150から出力される光に対する光学的な反射率が増大し、結果として高い発光出力が得られる。この例において、透明絶縁層180の膜厚Hは、例えばA=5、λ=460nm、n2=1.5とした場合、H=375nmである。なお、透明絶縁層180に設けられる複数の貫通孔の形状や大きさ等の詳細については後述する。 【0039】 3λ/4n2≧H … (2)」 「【0064】 <n電極> 図4は、本実施の形態の半導体発光素子1におけるn電極300周辺の断面構成の一例を示す図である。ここで、図4は、図2におけるn電極300周辺の断面を拡大したものとなっている。 【0065】 第1電極の一例としてのn電極300は、最もn型半導体層140および透明絶縁層180に近い側において、これらn型半導体層140および透明絶縁層180と接するように積層されるn密着層301と、n密着層301に積層されるn金属反射層302と、n金属反射層302に積層されるn拡散防止層303と、n拡散防止層303に積層されるnボンディング層304と、nボンディング層304に積層され、さらにその上に保護層400が積層されるn保護密着層305とを有する。そして、本実施の形態では、n密着層301、n金属反射層302、n拡散防止層303、nボンディング層304およびn保護密着層305によって、複数のn接続導体311を含むn導体部310とnパッド部320とが一体化した、n電極300を構成している。」 「【0070】 [n金属反射層] n金属反射層302は、図4に示したように、n密着層301の上に積層され、且つ、その上にはn拡散防止層303が積層される。n金属反射層302は、発光層150から出射され、内部反射等に伴ってn型半導体層140および透明絶縁層180を通過してきた光を、基板110側に向けて反射させるために設けられている。ここで、本実施の形態では、n密着層301を介して透明絶縁層180とn金属反射層302とを配置することにより、これら透明絶縁層180およびn金属反射層302が直接には接触しない構造となっている。また、n金属反射層302は、n電極300の構成要素の1つとなっていることから、自身の抵抗が低く且つn密着層301との接触抵抗が低く抑えられるものを用いることが好ましい。 【0071】 本実施の形態のn金属反射層302は、アルミニウム、パラジウム、銅、ニッケル、銀、金、白金などの金属および少なくともこれらのうちの1つを含む合金で構成されている。特に、n金属反射層302としてアルミニウム合金を用いることは、n密着層301を介したn型半導体層140との接触抵抗を低く抑えられる点で好ましい。 【0072】 n金属反射層302としてアルミニウムあるいはアルミニウム合金を用いた場合、n密着層301の材質としては、n型半導体層140との接触抵抗が低い、チタン等の透光性金属薄膜材料を用いることが好ましい。ここで、n密着層301を設けずに透明絶縁層180の上にn金属反射層302を直接に積層した場合、n密着層301を設けた場合と比較して、密着性が低下する。 【0073】 このn金属反射層302の膜厚は、好ましくは80nm~200nmの範囲から選ばれる。n金属反射層302の膜厚が80nm未満の場合には、n金属反射層302による光反射率が低下する。また、n金属反射層302の膜厚が200nmを超える場合には、半導体発光素子1の製造にかかるコストが上昇してしまう。なお、この例において、n金属反射層302の膜厚は100nmである。 【0074】 [n拡散防止層] n拡散防止層303は、図4に示したように、n金属反射層302の上に積層され、且つ、その上にはnボンディング層304が積層される。n拡散防止層303は、接触状態にあるn金属反射層302を構成する金属(この例ではアルミニウム合金)、および、接触状態にあるnボンディング層304を構成する金属(この例では金(詳細は後述))の拡散を、それぞれ抑制するために設けられている。ここで、本実施の形態では、n拡散防止層303を介してn金属反射層302とnボンディング層304とを配置することにより、これらn金属反射層302およびnボンディング層304が直接には接触しない構造となっている。また、n拡散防止層303は、n電極300の構成要素の1つとなっていることから、自身の抵抗が低く且つn金属反射層302およびnボンディング層304との接触抵抗がそれぞれ低く抑えられるものを用いることが好ましい。なお、n拡散防止層303は、発光層150からの光を透過させる機能を基本的に必要とし ないので、上述したn密着層301とは異なり、光透過性を有している必要はない。n拡散防止層303には、チタン、タンタル、タングステン、モリブデン、クロム、白金、パラジウム、ニッケル等の、高温で安定な高融点金属をもちいることが望ましい。また、n拡散防止層303は単層構成としてもよいが、n金属反射層302およびnボンディング層304の両者に対して、良好な密着性が得られるとともにこれらと合金化しない適切な材料がない場合には、以下に説明するように多層構造を用いるのが望ましい。 【0075】 本実施の形態におけるn拡散防止層303は、n金属反射層302に積層されるn第1拡散防止層303aと、n第1拡散防止層303aに積層されるn第2拡散防止層303bと、n第2拡散防止層303bに積層され、さらにその上にnボンディング層304が積層されるn第3拡散防止層303cとを備える。 【0076】 そして、本実施の形態では、n第1拡散防止層303aおよびp第1拡散防止層203a、n第2拡散防止層303bおよびp第2拡散防止層203b、そしてn第3拡散防止層303cおよびp第3拡散防止層203cが、それぞれ、同一材料且つ同一厚さで構成されている。 【0077】 ここで、n第1拡散防止層303aおよびn第2拡散防止層303bは、上述したn金属反射層302を構成する金属(この例ではアルミニウム合金)の拡散を抑制するだけでなく、n第3拡散防止層303cを構成する金属(この例では白金)の拡散を抑制する機能も有している。また、n第3拡散防止層303cは、上述したnボンディング層304を構成する金属(この例では金)の拡散を抑制するだけでなく、n第2拡散防止層303bを構成する金属(この例ではチタン)の拡散を抑制する機能も有している。 【0078】 [nボンディング層] nボンディング層304は、図4に示したように、n拡散防止層303の上に積層され、且つ、その上には最終的に外部に露出させる一部の領域を除いてn保護密着層305が積層される。nボンディング層304は、外部と電気的に接続されることによりn電極300に給電を行うために設けられている。ここで、本実施の形態では、n拡散防止層303を介してn金属反射層302とnボンディング層304とを配置することにより、これらn金属反射層302とnボンディング層304が直接には接触しない構造となっている。また、nボンディング層304は、n電極300の構成要素の1つとなっていることから、自身の抵抗が低く且つn拡散防止層303との接触抵抗がそれぞれ低く抑えられるものを用いることが好ましい。なお、nボンディング層304は、n拡散防止層303と同様、発光層150からの光を透過させる機能を基本的に必要としないので、光透過性を有している必要はない。」 「【0131】 【表3】 [図:0001401642000002.jpg] 」 (イ) 図2及び図4は、次のとおりである。 「【図2】 [図:0001401642000003.jpg] 【図4】 [図:0001401642000004.jpg] 」 (ウ) a 【0036】~【0038】には、透明絶縁層180の膜厚Hについて、発光層150の発光波長λ(nm)を、透明絶縁層180の屈折率である第2屈折率n2の4倍で除したものをQ、Aは整数としたとき、当該膜厚Hは、以下に示す式(1)の関係で設定され、 H=AQ … (1) 例えばA=5、λ=460nm、n2=1.5とした場合、H=375nmであることが記載されているところ、 上記式(1)において、A=1、λ=460nm、n2=1.5とした場合、H=75nmとなる。そうすると、甲1は、透明絶縁膜の厚さを75nmとする技術的事項を開示していると認められる。 b 図2及び図4から、n電極300に含まれるn密着層301とn金属反射層302は、積層されたp型半導体層160、発光層150およびn型半導体層140が厚さ方向に切り欠かれた領域に形成され、切り欠かれていない領域に向けて厚さが減少する領域を有すこと、及び、当該減少する領域とn型半導体層140の間に透明絶縁層180を有すること、が見て取れる。 イ 上記アから、甲2には、次の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されていると認められる。 「基板110と、基板110の上に積層される中間層120と、中間層120の上に積層される下地層130とを備え、半導体発光素子1は、下地層130の上に積層されるn型半導体層140と、n型半導体層140の上に積層される発光層150と、発光層150の上に積層されるp型半導体層160とを備え、(【0011】) 上方に向けてn型半導体層140の上面140cが露出するように、積層されたp型半導体層160、発光層150およびn型半導体層140が、一部の領域において厚さ方向に切り欠かれ、(【0011】) 基板110とは反対側となる一方の面側に、p電極200およびn電極300が形成され、(【0017】) 基板110としては、III族窒化物半導体結晶が表面にエピタキシャル成長される基板で、発光層150から出射される光に対して光透過性を有するものであり、(【0018】) n型半導体層140は、基板110側に積層されるnコンタクト層を有し、(【0022】) nコンタクト層は、n電極300を設けるための層であり、n型半導体層140における上面140cには、nコンタクト層を露出させ、コンタクト層としては、AlxGa1-xN層(0≦x≦0.1)であり、(【0023】) p型半導体層160は、pコンタクト層を有し、(【0027】) pコンタクト層は、透明導電層170を介してp電極200を設けるための層であり、AlxGa1-xN(0≦x≦0.4)」からなり、(【0029】) 透明絶縁層180は、発光層150から出力される光に対する透過性および絶縁性を有し、透明導電層170の上面から、p型半導体層160、発光層150およびn型半導体層140の側面を介して、n型半導体層140の上面140cに至るように、一体的に積層され、保護膜としての機能もあり、化学的に安定で、耐湿性の優れた材質が適するものであり、(【0012】) 透明絶縁層180は、Al2O3(酸化アルミニウム)からなり、(【0035】) 透明絶縁層180の膜厚Hは、75nmであり、(上記ア(ウ)a) n電極300は、最もn型半導体層140および透明絶縁層180に近い側において、これらn型半導体層140および透明絶縁層180と接するように積層されるn密着層301と、n密着層301に積層されるn金属反射層302と、n金属反射層302に積層されるn拡散防止層303と、n拡散防止層303に積層されるnボンディング層304と、nボンディング層304に積層され、さらにその上に保護層400が積層されるn保護密着層305と、を含み、(【0065】) n密着層301とn金属反射層302は、積層されたp型半導体層160、発光層150およびn型半導体層140が厚さ方向に切り欠かれた領域に形成され、切り欠かれていない領域に向けて厚さが減少する領域を有し、(上記ア(ウ)b) 当該減少する領域とn型半導体層140の間に透明絶縁層180を有し、(上記ア(ウ)b) n金属反射層302はAl合金を、n第1拡散防止層303aは厚さ50nmのTaを、n第2拡散防止層303bは厚さ40nmのTiを、n第3拡散防止層303cは厚さ200nmのPtを、nボンディング層304はAuを、それぞれ用いて構成された、(【0131】の【表3】) 半導体発光素子。(【0011】)」 (3)甲3 ア 甲3には次の記載がある。 (ア) 「【請求項1】 基板上に設けられるn型窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)系半導体材料のn型半導体層と、 前記n型半導体層上の第1領域に設けられるAlGaN系半導体材料の活性層と、 前記活性層上に設けられるp型AlGaN系半導体材料のp型半導体層と、 前記p型半導体層上に設けられ、酸化シリコン(SiO2)または酸窒化シリコン(SiON)で構成される第1保護層と、 前記第1保護層上と、前記n型半導体層上の前記第1領域とは異なる第2領域と、前記活性層の側面とを被覆するように設けられ、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸窒化アルミニウム(AlON)または窒化アルミニウム(AlN)で構成される第2保護層と、前記p型半導体層上の前記第1保護層および前記第2保護層を貫通するp側開口にて前記p型半導体層上に接して設けられるp側電極と、 前記n型半導体層上の前記第2領域の前記第2保護層を貫通するn側開口にて前記n型半導体層上に接して設けられるn側電極と、を備えることを特徴とする半導体発光素子。 ・・・(略)・・・ 【請求項3】 前記第2保護層の厚みは、50nm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体発光素子。 【請求項4】 前記n側電極および前記p側電極のそれぞれの一部は、前記第2保護層上に設けられることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の半導体発光素子。」 「【0007】 この態様によると、p型半導体層上に酸化シリコン(SiO2)または酸窒化シリコン(SiON)で構成される低屈折率の第1保護層を設けることで、p型半導体層と第1保護層の界面にてより多くの紫外光を全反射させることができる。これにより、より多くの紫外光を全反射させて光取出面を有する基板に向かわせることができ、外部量子効率を高めることができる。また、活性層の側面を酸化アルミニウム(Al2O3)または窒化アルミニウム(AlN)で構成される第2保護層で被覆することで、耐湿性を向上させることができる。」 「【0018】 図1は、実施の形態に係る半導体発光素子10の構成を概略的に示す断面図である。半導体発光素子10は、中心波長λが約360nm以下となる「深紫外光」を発するように構成されるLED(Light Emitting Diode)チップである。このような波長の深紫外光を出力するため、半導体発光素子10は、バンドギャップが約3.4eV以上となる窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)系半導体材料で構成される。本実施の形態では、特に、中心波長λが約240nm~350nmの深紫外光を発する場合について示す。 【0019】 本明細書において、「AlGaN系半導体材料」とは、主に窒化アルミニウム(AlN)と窒化ガリウム(GaN)を含む半導体材料のことをいい、窒化インジウム(InN)などの他の材料を含有する半導体材料を含むものとする。したがって、本明細書にいう「AlGaN系半導体材料」は、例えば、In1-x-yAlxGayN(0≦x+y≦1、0≦x≦1、0≦y≦1)の組成で表すことができ、AlN、GaN、AlGaN、窒化インジウムアルミニウム(InAlN)、窒化インジウムガリウム(InGaN)、窒化インジウムアルミニウムガリウム(InAlGaN)を含むものとする。 【0020】 また「AlGaN系半導体材料」のうち、AlNを実質的に含まない材料を区別するために「GaN系半導体材料」ということがある。「GaN系半導体材料」には、主にGaNやInGaNが含まれ、これらに微量のAlNを含有する材料も含まれる。同様に、「AlGaN系半導体材料」のうち、GaNを実質的に含まない材料を区別するために「AlN系半導体材料」ということがある。「AlN系半導体材料」には、主にAlNやInAlNが含まれ、これらに微量のGaNが含有される材料も含まれる。」 「【0022】 基板20は、半導体発光素子10が発する深紫外光に対して透光性を有する基板であり、例えば、サファイア(Al2O3)基板である。基板20は、第1主面20aと、第1主面20aの反対側の第2主面20bを有する。第1主面20aは、バッファ層22より上の各層を成長させるための結晶成長面となる一主面である。第2主面20bは、活性層26が発する深紫外光を外部に取り出すための光取出面となる一主面である。変形例において、基板20は、窒化アルミニウ ム(AlN)基板であってもよいし、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)基板であってもよい。」 「【0024】 n型クラッド層24は、バッファ層22の上に形成されるn型半導体層である。n型クラッド層24は、n型のAlGaN系半導体材料層であり、例えば、n型の不純物としてシリコン(Si)がドープされるAlGaN層である。n型クラッド層24は、活性層26が発する深紫外光を透過するように組成比が選択され、例えば、AlNのモル分率が25%以上、好ましくは、40%以上または50%以上となるように形成される。n型クラッド層24は、活性層26が発する深紫外光の波長よりも大きいバンドギャップを有し、例えば、バンドギャップが4.3eV以上となるように形成される。n型クラッド層24は、AlNのモル分率が80%以下、つまり、バンドギャップが5.5eV以下となるように形成されることが好ましく、AlNのモル分率が70%以下(つまり、バンドギャップが5.2eV以下)となるように形成されることがより望ましい。n型クラッド層24は、1μm~3μm程度の厚さを有し、例えば、2μm程度の厚さを有する。」 「【0026】 活性層26は、AlGaN系半導体材料で構成され、n型クラッド層24と電子ブロック層28の間に挟まれてダブルへテロ接合構造を形成する。活性層26は、単層または多層の量子井戸構造を有してもよく、例えば、アンドープのAlGaN系半導体材料で形成されるバリア層と、アンドープのAlGaN系半導体材料で形成される井戸層の積層体で構成されてもよい。活性層26は、波長355nm以下の深紫外光を出力するためにバンドギャップが3.4eV以上となるように構成され、例えば、波長310nm以下の深紫外光を出力できるようにAlN組成比が選択される。活性層26は、n型クラッド層24の第1上面24aに形成され、第1上面24aの隣の第2上面24bには形成されない。活性層26は、n型クラッド層24の全面に形成されず、n型クラッド層24の一部領域(第1領域W1)にのみ形成される。」 「【0028】 p型クラッド層30は、電子ブロック層28の上に形成されるp型半導体層である。p型クラッド層30は、p型のAlGaN系半導体材料層であり、例えば、p型の不純物としてマグネシウム(Mg)がドープされるAlGaN層である。p型クラッド層30は、300nm~700nm程度の厚さを有し、例えば、400nm~600nm程度の厚さを有する。p型クラッド層30は、実質的にAlNを含まないp型GaN系半導体材料で形成されてもよい。」 「【0031】 第2保護層38は、第1保護層36の上と、n型クラッド層24の第2上面24bの上と、n型クラッド層24、活性層26および電子ブロック層28の側面とを被覆するように設けられる。第2保護層38は、図示されるように、バッファ層22の側面や基板20の側面の一部を被覆してもよい。第2保護層38は、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸窒化アルミニウム(AlON)または窒化アルミニウム(AlN)で構成される。第2保護層38を構成する酸化アルミニウム(Al2O3)、酸窒化アルミニウム(AlON)および窒化アルミニウム(AlN)は、第1保護層36を構成する酸化シリコン(SiO2)または酸窒化シリコン(SiON)に比べて耐湿性に優れる。そのため、素子構造の上面および側面の全体を第2保護層38で被覆することで、耐湿性に優れた保護機能を提供できる。第2保護層38の厚みは、50nm以下とすることができ、例えば、10nm~30nm程度とすることができる。 【0032】 第2保護層38には、n側電極32を形成するためのn側開口40が設けられる。n側開口40は、n型クラッド層24の第2上面24b上に設けられ、第2保護層38を貫通してn型クラッド層24を露出させるように形成される。第2保護層38には、p側電極34を形成するための第2p側開口42が設けられる。第2p側開口42は、p型クラッド層30上または第1保護層36上に設けられ、第2保護層38を貫通して第1保護層36またはp型クラッド層30を露出させるように形成される。 【0033】 n側電極32は、n側開口40に設けられ、n型クラッド層24の第2上面24bに接するように形成される。n側電極32は、Ti/Al系の電極であり、n型クラッド層24上に接して設けられるTi層と、Ti層上に接して設けられるAl層とを少なくとも有する。Ti層の厚みは1nm~10nm程度であり、Al層の厚みは20nm~1000nm程度である。n側電極32は、n型クラッド層24からの紫外光を反射させて基板20の第2主面20bに向かわせる反射電極としても機能する。 【0034】 n側電極32の一部は、第2領域W2の第2保護層38上にも形成される。n側電極32をn側開口40内のみならず、第2保護層38の上にも形成することで、反射電極の形成領域を広くし、より多くの紫外光を光取出面である基板20の第2主面20bに向けて反射させることができる。また、n側開口40の全体を被覆するようにn側電極32を形成することで、第2保護層38との組み合わせによる封止機能を高めることができる。」 (イ) 図1は、次のとおりである。 「 [図:0001401642000005.jpg] 」 (ウ) 図1から、n電極32は、第1領域W1側の第2保護層上における厚さは、第2保護層のn型開口40における厚さから段階的に変化していることが見て取れる。 イ 上記アから、甲3には、次の発明(以下「甲3発明」という。)が記載されていると認められる。 「基板上に設けられるn型窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)系半導体材料のn型半導体層と、 前記n型半導体層上の第1領域に設けられるAlGaN系半導体材料の活性層と、前記活性層上に設けられるp型AlGaN系半導体材料のp型半導体層と、 前記p型半導体層上に設けられ、酸化シリコン(SiO2)または酸窒化シリコン(SiON)で構成される第1保護層と、 前記第1保護層上と、前記n型半導体層上の前記第1領域とは異なる第2領域と、前記活性層の側面とを被覆するように設けられ、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸窒化アルミニウム(AlON)または窒化アルミニウム(AlN)で構成される第2保護層と、 前記p型半導体層上の前記第1保護層および前記第2保護層を貫通するp側開口にて前記p型半導体層上に接して設けられるp側電極と、 前記n型半導体層上の前記第2領域の前記第2保護層を貫通するn側開口にて前記n型半導体層上に接して設けられるn側電極と、を備え、(【請求項1】) 前記第2保護層の厚みは、50nm以下であり、(【請求項3】) 前記n側電極および前記p側電極のそれぞれの一部は、前記第2保護層上に設けられ、(【請求項4】) 中心波長λが約360nm以下となる「深紫外光」を発するように構成されるLED(Light Emitting Diode)チップであって、(【0018】) 基板20は、窒化アルミニウム(AlN)基板であり、(【0022】) n型クラッド層24は、n型のAlGaN系半導体材料層であり、(【0024】) p型クラッド層30は、実質的にAlNを含まないp型GaN系半導体材料で形成され、(【0028】) 第2保護層38は、第1保護層36の上と、n型クラッド層24の第2上面24bの上に設けられ、(【0031】) 第2保護層38の厚みは、50nm以下とすることができ、例えば、10nm~30nm程度であり、(【0031】) 第2保護層38には、n側電極32を形成するためのn側開口40が設けられ、(【0032】) 第2保護層38は、活性層の側面を酸化アルミニウム(Al2O3)または窒化アルミニウム(AlN)で構成される第2保護層で被覆することで、耐湿性を向上させることができ、(【0007】) n側電極32は、n側開口40に設けられ、n型クラッド層24の第2上面24bに接するように形成されるTi/Al系の電極であり、n型クラッド層24上に接して設けられるTi層と、Ti層上に接して設けられるAl層とを少なくとも有し、Ti層の厚みは1nm~10nm程度であり、Al層の厚みは20nm~1000nm程度であり、(【0033】) n側電極32の一部は、第2領域W2の第2保護層38上にも形成され、(【0034】) n電極32は、第1領域W1側の第2保護層上における厚さは、第2保護層のn型開口40における厚さから段階的に変化している、(上記イ(ウ)) 半導体発光素子。(【請求項1】)」 (4)甲第4号証 申立人により提出され取消理由において使用されていない甲第4号証(特開2014-241401号公報。以下「甲4」という。)には、次の事項が記載されている。 「【0001】 本発明は、金属からなる全面電極を有する半導体発光素子およびその製造技術に関する。」 「【0026】 (金属酸化膜) 金属酸化膜43は、カバー電極42の表面を被覆する絶縁性の膜であり、p側電極4pの側面と接するように設けられている。金属酸化膜43は、絶縁膜6とともに、カバー電極42の製造工程における損傷を防止する保護膜として機能する。また、金属酸化膜43は、p側電極4pと接するように設けられることにより、絶縁膜6とp側電極4pとの隙間から侵入する酸素や水分などが、カバー電極42と接触することを防止し、その結果として、絶縁膜6のカバー電極42からの剥離を効果的に防止する。 【0027】 また、金属酸化膜43は、カバー電極42を構成する金属材料の酸化物を少なくとも含有する被膜である。金属酸化膜43は、カバー電極42の表面を酸化することによって形成される膜であり、主としてAlの酸化物によって構成されることが好ましい。これによって、カバー電極42と金属酸化膜43とを良好に密着させることができる。また、絶縁膜6として、SiO2やTiO2等の酸化物を用いる場合は、金属からなるカバー電極42との密着性は、必ずしも高くないが、本実施形態のように、カバー電極42を酸化して形成した金属酸化膜43を介して被覆することにより、絶縁膜6とカバー電極42との密着性が向上すると推測される。 この金属酸化膜43の膜厚は、例えば、50Å(5nm)程度とすることができる。」 2 甲1発明を主引用発明とした対比・判断 (1)本件訂正発明1について ア 対比 本件訂正発明1と甲1発明を対比する。 (ア)本件訂正発明1の「基板と、第1導電型窒化物半導体層の第1領域と、第1導電型窒化物半導体層の第2領域と、発光層と、第2導電型窒化物半導体層と、を一方向に向けてこの順で備え」との特定事項について a 甲1発明の「基板」は、本件訂正発明1の「基板」に相当する。 b 甲1発明の「活性層122」は「紫外線波長帯の光を生成するもの」であるから、本件訂正発明1の「発光層」に相当する。 c 甲1発明の「第1導電型半導体層」は、「半導体材料」が「AlGaN」であるから、本件訂正発明1の「第1導電型窒化物半導体」に相当する。 d 甲1発明の「第2導電型半導体層」は、「Inx5Aly2Ga1-x5-y2N(0≦x5≦1、0<y2≦1、0≦x5+y2≦1)の組成式を有する半導体物質」からなるものであるから、本件訂正発明1の「第2窒化物半導体層」に相当する。 e 上記a~dを踏まえると、甲1発明の「基板110上に、第1導電型半導体層121、活性層122、および第2導電型半導体層123を順に形成」することは、本件訂正発明1の「基板と、」第1導電型窒化物半導体層と、「発光層と、第2導電型窒化物半導体層と、を一方向に向けてこの順で備え」ることに相当する。 f 甲1発明は「基板110上に、第1導電型半導体層121、活性層122、および第2導電型半導体層123を順に形成し、」「半導体構造体をメサ食刻して第1導電型半導体層121が露出する非発光領域M2と非発光領域M2に比べて突出した発光領域M1」を形成されたものであるところ、甲1発明の「第1導電型半導体」において「発光領域M1」の「突出」した構造に含まれる領域は、本件訂正発明1の「第2領域」に相当する。 さらに、甲1発明の「第1導電型半導体」において「発光領域M1」の「突出」した構造に含まれる領域以外の領域は、本件訂正発明1の「第1領域」に相当する。 また、甲1発明の「第1導電型半導体」において「発光領域M1」の「突出」した構造に含まれる領域(本件訂正発明1の「第2領域」に相当。)は「メサ食刻」により形成されることを踏まえると、それ以外の領域(本件訂正発明1の「第1領域」に相当。)と「活性層122」との間にあるといえる。 g 上記a~fから、甲1発明は本件訂正発明1の上記特定事項を満たす。 (イ)本件訂正発明1の「前記第1導電型窒化物半導体層の第2領域と、前記発光層と、前記第2導電型窒化物半導体層はメサ構造であり」との特定事項について a 甲1発明の当該「メサ食刻」により「突出」した構造は、本件訂正発明1の「メサ構造」に相当する。 b さらに、甲1発明の前記「突出」した構造は、「第1導電型半導体層、第2導電型半導体層、および前記第1導電型半導体層と第2導電型半導体層間に配置される活性層を含む」「半導体構造物」を「メサ食刻」して形成されることから、本件訂正発明1の「前記第1導電型窒化物半導体層の第2領域と、前記発光層と、前記第2導電型窒化物半導体層」に相当する構成を有する。 c 上記a及びbから、甲1発明は、上記特定事項を満たす。 (ウ)本件訂正発明1の「前記第1導電型窒化物半導体層の前記第1領域の表面の一部に、第1電極を有し」との特定事項について a 甲1発明の「第1電極151」と「第1電極上に配置される第1カバー電極152」の2つの電極からなる構造(以下「第1導電型電極」という。)は、本件訂正発明1の「第1電極」に相当する。さらに、甲1発明の「非発光領域M2」の「第1導電型半導体層」は、本件訂正発明1の「前記第1導電型窒化物半導体層の前記第1領域」に相当する。 b 甲1発明の第1導電型電極が「非発光領域M2において第1導電型半導体層121上に形成」に形成されることは、本件訂正発明1の「第1電極」が「前記第1導電型窒化物半導体層の前記第1領域の表面の一部」にあることに相当する。 c 上記a及びbから、甲1発明は上記特定事項を満たす。 (エ)本件訂正発明1の「前記第2導電型窒化物半導体層の表面の一部に第2電極を有し」との特定事項について 甲1発明の「第2電極」は「前記第2導電型半導体層上に配置される」ものであることから、甲1発明は、本件訂正発明1の上記特定事項を満たす。 (オ)本件訂正発明1の「前記第1電極は、前記メサ構造に近づくにつれて膜厚が連続的又は段階的、若しくは連続的及び段階的に小さくなる膜厚変化部を含み、前記第1導電型窒化物半導体層と少なくとも一部が接する第1電極要素を有し、」との特定事項について a 甲1発明の「第1カバー電極152」は、本件訂正発明1の「第1電極要素」に相当する。 b 甲1発明の第1導電型電極に含まれる「第1カバー電極152」が「発光領域M1に近づくにつれて膜厚が連続的に減少」することは、本件訂正発明1の「前記第1電極」の「第1電極要素」が「前記メサ構造に近づくにつれて膜厚が連続的」「に小さくなる」ことに相当し、さらに、甲1発明の前記「第1カバー電極部」は、本件訂正発明1の「膜厚変化部」を有するといえる。 c 甲1発明の「第1カバー電極152」は「第2凹凸部を含み、前記第2凹凸部は前記第1導電型半導体層と接触」することは、本件訂正発明1の「第1電極要素」が「前記第1導電型窒化物半導体層と少なくとも一部が接する」ことに相当する。 d a~cから、甲1発明は上記特定事項を満たす。 (カ)本件訂正発明1の「前記第1電極要素の前記第2領域側の端部を含む前記膜厚変化部の一部と前記第1導電型窒化物半導体層の前記第1領域との間に、当該間の外部から独立して存在し前記第1電極要素の構成成分の酸化物を含む第1の界面部、を更に備える、」との特定事項について a 甲1発明の「第1絶縁膜171」は、本件訂正発明1の「第1界面部」に相当する。 b 甲1発明の「第1絶縁膜171」が「第1カバー電極152の前記膜厚が連続的に減少しているところと第1導電型半導体層121の間に」「形成されている」ことは、本件訂正発明1の「第1の界面部」が「前記第1電極要素の前記第2領域側の端部を含む前記膜厚変化部の一部と前記第1導電型窒化物半導体層の前記第1領域との間に」「更に備え」られることに相当する。 c 甲1発明の「第1カバー電極152」が「Alで形成」され、「第1絶縁膜171」が「Al2O3で形成」されることは、本件訂正発明1の「第1の界面部」が「前記第1電極要素の構成成分の酸化物を含む」ことに相当する。 d また、甲1発明の「第1電極151の表面」に形成された「酸化膜OX1」は、「Al」で形成された「第1電極151」の表面の酸化膜であるから酸化アルミニウムであり、かつ、「第1カバー電極152」と「第1導電型半導体層121」との間に「第1電極151」を介して形成されたものであるから、甲1発明の当該「酸化膜OX1」は、本件訂正発明1の上記特定事項を備える「第1の界面部」に相当する。 e 上記a~dから、本件訂正発明1の「第1の界面部」に係る上記特定事項は、当該「第1の界面部」を甲1発明の「第1絶縁膜171」に相当する認定と、甲1発明の「酸化膜OX1」に相当する認定と、の2つの異なる認定のそれぞれにおいて、甲1発明から満たされる。 f 一方で、甲1発明の「第1絶縁膜171(本件訂正発明1の「第1の界面部」に相当。)は、「第2導電型半導体層123の上面の一部の領域に延びて活性層122の側面および第1導電型半導体層121の一部の領域まで配置され、また、」「第1電極151と第2電極161の間で第1導電型半導体層121の側面、活性層122の側面、第2導電型半導体層123の側面に配置され」るものであることから、第1電極の外部にも形成されたものといえる。 そうすると、甲1発明は、本件訂正発明1の「第1の界面部」が「当該間の外部から独立して存在」するとの特定事項を満たさない。 (キ)本件訂正発明1の「紫外線発光素子」との特定事項について 甲1発明において、「半導体素子」の「活性層」は、「紫外線波長帯の光を生成する」ことから、甲1発明の「半導体素子」は、本件訂正発明1の「紫外線発光素子」に相当する。 よって、甲1発明は、上記特定事項を満たす。 (ク)以上のことから、本件訂正発明1と甲1発明とは、次の一致点で一致、また、相違する。 <一致点> 「基板と、第1導電型窒化物半導体層の第1領域と、第1導電型窒化物半導体層の第2領域と、発光層と、第2導電型窒化物半導体層と、を一方向に向けてこの順で備え、 前記第1導電型窒化物半導体層の第2領域と、前記発光層と、前記第2導電型窒化物半導体層はメサ構造であり、 前記第1導電型窒化物半導体層の前記第1領域の表面の一部に、第1電極を有し、 前記第2導電型窒化物半導体層の表面の一部に第2電極を有し、 前記第1電極は、前記メサ構造に近づくにつれて膜厚が連続的又は段階的、若しくは連続的及び段階的に小さくなる膜厚変化部を含む第1電極要素を有し、 前記膜厚変化部の一部と前記第1基板と、第1導電型窒化物半導体層の第1領域と、第1導電型窒化物半導体層の第2領域と、発光層と、第2導電型窒化物半導体層と、を一方向に向けてこの順で備え、 前記第1導電型窒化物半導体層の第2領域と、前記発光層と、前記第2導電型窒化物半導体層はメサ構造であり、 前記第1導電型窒化物半導体層の前記第1領域の表面の一部に、第1電極を有し、 前記第2導電型窒化物半導体層の表面の一部に第2電極を有し、 前記第1電極は、前記メサ構造に近づくにつれて膜厚が連続的又は段階的、若しくは連続的及び段階的に小さくなる膜厚変化部を含み、前記第1導電型窒化物半導体層と少なくとも一部が接する第1電極要素を有し、 前記第1電極要素の前記第2領域側の端部を含む前記膜厚変化部の一部と前記第1導電型窒化物半導体層の前記第1領域との間に、前記第1電極要素の構成成分の酸化物を含む第1の界面部、を更に備える、紫外線発光素子。」 <相違点1> 「前記第1電極要素の前記第2領域側の端部を含む前記膜厚変化部の一部と前記第1導電型窒化物半導体層の前記第1領域との間」にある「第1の界面部」について、本件訂正発明1は「当該間の外部から独立して存在し」ているのに対して、甲1発明は、そのようになっていない点。 イ 判断 (ア)相違点1について a 相違点1について検討するにあたり、甲1発明をどのように変更すれば、当該相違点1に係る構成に至るかについて検討する。 甲1発明において相違点1に係る本件訂正発明1の構成に至るためには、「第1絶縁層171」を「第1カバー電極152の前記膜厚が連続的に減少しているところ」のみに形成されることを要するといえる。 b そこで検討すると、甲1発明において、「第1絶縁層171」は、「第2導電型半導体層123の上面の一部の領域に延びて活性層122の側面および第1導電型半導体層121の一部の領域まで配置され」、また、「第1絶縁層171は、第1電極151と第2電極161の間で第1導電型半導体層121の側面、活性層122の側面、第2導電型半導体層123の側面に配置され」るものであるところ、半導体素子において、半導体層上に絶縁層からなる保護膜を形成することは技術常識であることを踏まえると、甲1発明における「第1絶縁層171」は保護膜として機能するものであると認められる。 そうすると、甲1発明において、前記「第1絶縁膜171」からなる保護膜を「第1カバー電極152の前記膜厚が連続的に減少しているところ」のみに形成される構成へ変更することは、前記保護膜としての機能が失われることとなり、そのような変更を行う動機付けは存在しない。 c さらに、甲2~4に記載された技術的事項を見ても、上記判断が左右されることはない。 d したがって、相違点1に係る本件訂正発明1の構成は、甲1発明及び甲2~4に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易になし得たこととはいえない。 そうすると、本件訂正発明1は、甲1発明及び甲2~4に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (2) 本件訂正発明2~13について 本件訂正発明2~13は、本件訂正発明1をさらに減縮したものであるから、上記本件訂正発明1についての判断と同様の理由により、甲1発明及び甲2~4に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 3 甲2発明を主引用発明とした対比・判断 (1)本件訂正発明1について ア 対比 本件訂正発明1と甲2発明を対比する。 (ア)本件訂正発明1の「基板と、第1導電型窒化物半導体層の第1領域と、第1導電型窒化物半導体層の第2領域と、発光層と、第2導電型窒化物半導体層と、を一方向に向けてこの順で備え」との特定事項について a 甲2発明の「基板110」は、本件訂正発明1の「基板」に相当する。 b 甲2発明の「n型半導体層140」は、「AlxGa1-xN層(0≦x≦0.1)」からなる「nコンタクト層」を含むものであるから、本件訂正発明1の「第1導電型窒化物半導体層」に相当する。 c 甲2発明の「発光層150」は、本件訂正発明1の「発光層」に相当する。 d 甲2発明の「p型半導体層160」は「AlxGa1-xN(0≦x≦0.4)」からなる「pコンタクト層」を含むものであるから、本件訂正発明1の「第2導電型窒化物半導体層」に相当する。 e 上記a~dを踏まえると、甲2発明の「基板110と、基板110の上に積層される中間層120と、中間層120の上に積層される下地層130とを備え、」「下地層130の上に積層されるn型半導体層140と、n型半導体層140の上に積層される発光層150と、発光層150の上に積層されるp型半導体層160とを備え」ることは、本件訂正発明1の「基板と、」第1導電型窒化物半導体層と、「発光層と、第2導電型窒化物半導体層と、を一方向に向けてこの順で備え」ることに相当する。 f 甲2発明の「nコンタクト層」を含む「n型半導体層140」は、「上方に向けて」「上面140cが露出するように、積層されたp型半導体層160、発光層150およびn型半導体層140が、一部の領域において厚さ方向に切り欠かれ」たものである。甲2発明において「n型半導体層140」の「上面140c」よりも上方であって、前記「切り欠かれ」た「一部の領域」以外の「n型半導体層140」の領域は、本件訂正発明1の「第1導電型窒化物半導体層の第2領域」に相当する。 さらに、甲2発明の「n型半導体層140」において、上記bの「第1導電型窒化物半導体層の第2領域」に相当する領域以外の領域は、本件訂正発明1の「第1導電型窒化物半導体層の第1領域」に相当する。 また、甲2発明の「n型半導体層140」において「切り欠かれ」た「一部の領域」(本件訂正発明1の「第2領域」に相当。)は「積層されたp型半導体層160、発光層150およびn型半導体層140が、一部の領域において厚さ方向に切り欠かれ」ることにより形成されることを踏まえると、それ以外の領域(本件発明の「第1領域」に相当。)と「発光層150」との間にあるといえる。 g 上記a~fより、甲2発明は、上記特定事項を満たす。 (イ)本件訂正発明1の「前記第1導電型窒化物半導体層の第2領域と、前記発光層と、前記第2導電型窒化物半導体層はメサ構造であり」との特定事項について 甲2発明の「積層されたp型半導体層160、発光層150およびn型半導体層140が、一部の領域において厚さ方向に切り欠かれ」ているところ、当該「一部の領域」以外の「積層されたp型半導体層160、発光層150およびn型半導体層140」からなる構造は、本件訂正発明1の上記特定事項に相当する。 (ウ)本件訂正発明1の「前記第1導電型窒化物半導体層の前記第1領域の表面の一部に、第1電極を有し」との特定事項について a 甲2発明の「n電極300」は、本件訂正発明1の「第1電極」に相当する。 b 甲2発明は「n型半導体層140における上面140cには、nコンタクト層を露出」するものであって、「nコンタクト層」に「n電極300」が設けられている。甲2発明の「nコンタクト層」の「露出」した「上面140c」は、「n型半導体層」の上面でもあり、本件訂正発明1の「前記第1導電型窒化物半導体層の」「表面」に相当する。 さらに、甲2発明の上記「上面140c」は、上記(ア)fのとおり「切り欠」きにより形成された領域(本件訂正発明1の「第1の領域」に相当)にあるから、甲2発明は、本件訂正発明1の「第1導電型窒化物半導体層の」「表面」が「第1領域」であることを満たす。 c a及びbから、甲2発明には、上記特定事項を満たす。 (エ)本件訂正発明1の「前記第2導電型窒化物半導体層の表面の一部に第2電極を有し」との特定事項について 甲2発明の「p型半導体層」に含まれる「pコンタクト層」に「p電極200」を設けることは、本件訂正発明1の上記特定事項に相当する。 (オ)本件訂正発明1の「前記第1電極は、前記メサ構造に近づくにつれて膜厚が連続的又は段階的、若しくは連続的及び段階的に小さくなる膜厚変化部を含み、前記第1導電型窒化物半導体層と少なくとも一部が接する第1電極要素を有し、」との特定事項について a 甲2発明の「n密着層301とn金属反射層302は、積層されたp型半導体層160、発光層150およびn型半導体層140が厚さ方向に切り欠かれた領域に形成され、切り欠かれていない領域に向けて厚さが減少する領域を有」することは、本件訂正発明1の「前記第1電極は、前記メサ構造に近づくにつれて膜厚が連続的」「に小さくなる膜厚変化部を含む第1電極要素を有し」に相当する。 b 一方で、「第1電極要素」について、甲2発明が、本件訂正発明1の「前記第1導電型窒化物半導体層と少なくとも一部が接する」との特定事項を備えることは明らかではない。 (カ)本件訂正発明1の「前記第1電極要素の前記第2領域側の端部を含む前記膜厚変化部の一部と前記第1導電型窒化物半導体層の前記第1領域との間に、当該間の外部から独立して存在し前記第1電極要素の構成成分の酸化物を含む第1の界面部、を更に備える、」との特定事項について a 甲2発明の「n密着層301とn金属反射層302は、積層されたp型半導体層160、発光層150およびn型半導体層140が厚さ方向に切り欠かれた領域に形成され、切り欠かれていない領域に向けて厚さが減少する領域を有し、当該減少する領域とn型半導体層140の間に透明絶縁層180を有」することは、本件訂正発明1の「前記膜厚変化部の一部と前記第1導電型窒化物半導体層の前記第1領域との間に、」「第1の界面部、を更に備える」ことに相当する。 b 甲2発明の「n金属反射層302はAl合金」であり、「透明絶縁層180は、Al2O3(酸化アルミニウム)」であることから、「透明絶縁層180」は「n型金属反射層302」の構成成分の酸化物を含むということができる。 そうすると。甲2発明は、本件訂正発明1の「第1の界面部」が「前記第1電極要素の構成成分の酸化物を含む」ことを備える。 c 一方で、甲2発明の「透明絶縁層180(本件訂正発明1の「第1の界面部」に相当。)は、「透明導電層170の上面から、p型半導体層160、発光層150およびn型半導体層140の側面を介して、n型半導体層140の上面140cに至るように、一体的に積層」されるものであることから、n電極の外部にも形成されたものといえる。 そうすると、甲2発明は、本件訂正発明1の「第1の界面部」が「当該間の外部から独立して存在」するとの特定事項を満たさない。 (キ)本件訂正発明1の「紫外線発光素子」との特定事項について 甲2発明は「半導体発光素子」であり、本件訂正発明1とは「発光素子」であることで一致するもの、発光層の発光波長が紫外線であることが特定されていないことで、一応相違する。 (ク)以上のことから、本件訂正発明1と甲2発明とは、次の一致点で一致する。 <一致点> 「基板と、第1導電型窒化物半導体層の第1領域と、第1導電型窒化物半導体層の第2領域と、発光層と、第2導電型窒化物半導体層と、を一方向に向けてこの順で備え、 前記第1導電型窒化物半導体層の第2領域と、前記発光層と、前記第2導電型窒化物半導体層はメサ構造であり、 前記第1導電型窒化物半導体層の前記第1領域の表面の一部に、第1電極を有し、 前記第2導電型窒化物半導体層の表面の一部に第2電極を有し、 前記第1電極は、前記メサ構造に近づくにつれて膜厚が連続的又は段階的、若しくは連続的及び段階的に小さくなる膜厚変化部を含む第1電極要素を有し、 前記膜厚変化部の一部と前記第1導電型窒化物半導体層の前記第1領域との間に、前記第1電極要素の構成成分の酸化物を含む第1の界面部、を更に備える、 発光素子」 そして、次の点で相違する。 <相違点2> 「第1電極要素」について、本件訂正発明1が「前記第1導電型窒化物半導体層と少なくとも一部が接する」のに対して、甲2発明が、そのようになっているのか明らかではない点。 <相違点3> 「第1の界面部」について、本件訂正発明1が「当該間の外部から独立して存在」するのに対して、甲2発明は、そのようになっていない点。 <相違点4> 本件訂正発明1が「紫外線発光素子」であるのに対して、甲2発明の発光層の発光波長が紫外線であることが特定されておらず、「紫外線発光素子」といえない点。 イ 判断 (ア)相違点3について a 事案に鑑み、まず相違点3について検討する。 相違点3について検討するにあたり、甲2発明をどのように変更すれば、当該相違点3に係る構成に至るかについて検討する。 甲2発明において相違点3に係る本件訂正発明1の構成に至るためには、「透明導電層170の上面から、p型半導体層160、発光層150およびn型半導体層140の側面を介して、n型半導体層140の上面140cに至るように、一体的に積層」された「透明絶縁膜180」を「積層されたp型半導体層160、発光層150およびn型半導体層140が厚さ方向に切り欠かれた領域に形成され、切り欠かれていない領域に向けて厚さが減少する領域」のみに形成されることを要するといえる。 b そこで検討すると、甲2発明において、「透明絶縁膜180」は、「保護膜としての機能」するものである。 そうすると、甲2発明において、「保護膜として機能」する前記「透明絶縁膜180」を「積層されたp型半導体層160、発光層150およびn型半導体層140が厚さ方向に切り欠かれた領域に形成され、切り欠かれていない領域に向けて厚さが減少する領域」のみに形成される構成へ変更することは、前記保護膜としての機能が失われることとなり、そのような変更を行う動機付けは存在しない。 c さらに、甲1、3及び4に記載された技術的事項を見ても、上記判断が左右されることはない。 d したがって、相違点3に係る本件訂正発明1の構成は、甲2発明並びに甲1、3及び4に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易になし得たこととはいえない。 そうすると、本件訂正発明1は、相違点2及び4について検討するまでもなく、甲2発明及び甲1、3に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (2) 本件訂正発明2~13について 本件訂正発明2~13は、本件訂正発明1をさらに減縮したものであるから、上記本件訂正発明1についての判断と同様の理由により、甲2発明並びに甲1、3及び4に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 4 甲3発明を主引用発明とした対比・判断 (1)本件訂正発明1について ア 対比 本件訂正発明1と甲3発明を対比する。 (ア)本件訂正発明1の「基板と、第1導電型窒化物半導体層の第1領域と、第1導電型窒化物半導体層の第2領域と、発光層と、第2導電型窒化物半導体層と、を一方向に向けてこの順で備え」との特定事項について a 甲3発明の「基板」、「n型窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)系半導体材料のn型半導体層」、「活性層」及び」「p型AlGaN系半導体材料のp型半導体層」は、それぞれ本件訂正発明1の「基板」、「第1導電型窒化物半導体層」、「発光層」及び「第2導電型窒化物半導体層」に相当する。 b 上記aを踏まえると甲3発明と本件訂正発明1は「基板と、」第1導電型窒化物半導体層と、「発光層と、第2導電型窒化物半導体層と、を一方向に向けてこの順で備え」ることで共通する。 c 甲3発明の「第1領域」において、「n型半導体層」の「第2上面24b」よりも上側にある領域は、本件訂正発明1の「第1導電型窒化物半導体層の第2領域」に相当する。さらに、甲3発明の「n型半導体層」において、前記本件発明1の「第1導電型窒化物半導体層の第2領域」に相当する領域以外のものは、本件訂正発明1の「第1導電型窒化物半導体層の第1領域」に相当する。 また、甲3発明においてm「n型半導体層」の「第2上面24b」よりも上側にある領域は、それ以外の領域の「基板」と反対側にあるといえる。 d 上記a~cから、甲3発明は、上記特定事項を満たす。 (イ)本件訂正発明1の「前記第1導電型窒化物半導体層の第2領域と、前記発光層と、前記第2導電型窒化物半導体層はメサ構造であり」との特定事項について 甲3発明の「第1領域」における「p型半導体層」、「活性層」、及び、「n型半導体層」の「第2上面24b」よりも上にある領域、からなる構造は、本件発明1の「メサ構造」に相当する。 よって、甲3発明は、上記特定事項を満たす。 (ウ)本件訂正発明1の「前記第1導電型窒化物半導体層の前記第1領域の表面の一部に、第1電極を有し」との特定事項について 甲3発明は、「前記n型半導体層上の前記第1領域とは異なる第2領域」において「n型クラッド層24の第2上面24bに接するように形成される」「n側電極32」を有し、当該「n側電極32」は、本件訂正発明1の「第1電極」に相当する。 さらに、当該甲3の「n型クラッド層24の第2上面24b」は本件発明1の「前記第1導電型窒化物半導体層の前記第1領域の表面」に相当する。 よって、甲3発明は、上記特定事項を満たす。 (エ)本件訂正発明1の「前記第2導電型窒化物半導体層の表面の一部に第2電極を有し」との特定事項について 甲3発明の「前記p型半導体層上に接して設けられるp側電極」を有することは、本件訂正発明1の「前記第2導電型窒化物半導体層の表面の一部に第2電極を有し」に相当する。 よって、甲3発明は、上記特定事項を満たす。 (オ)本件訂正発明1の「前記第1電極は、前記メサ構造に近づくにつれて膜厚が連続的又は段階的、若しくは連続的及び段階的に小さくなる膜厚変化部を含み、前記第1導電型窒化物半導体層と少なくとも一部が接する第1電極要素を有し、」との特定事項について a 甲3発明は「n側電極32」は「Ti/Al系の電極」で「Al層」を有しており、当該「Al層」は、本件訂正発明1の「第1電極要素」に対して、「電極要素」であることで一致する。 b 甲3発明において、「n側電極32」(本件訂正発明1の「第1電極」に相当)は「第1領域W1側の第2保護層上における厚さは、第2保護層のn型開口40における厚さから段階的に変化している」ものの、「Al層」の膜厚の変化は不明である。そうすると、甲3発明が本件訂正発明1の「前記メサ構造に近づくにつれて膜厚が連続的又は段階的、若しくは連続的及び段階的に小さくなる膜厚変化部を含む第1電極要素」を備えるか不明である。 c 「第1電極」について、甲3発明が、本件訂正発明1の「前記第1導電型窒化物半導体層と少なくとも一部が接する」との特定事項を備えることは明らかではない。 (カ)本件訂正発明1の「前記第1電極要素の前記第2領域側の端部を含む前記膜厚変化部の一部と前記第1導電型窒化物半導体層の前記第1領域との間に、当該間の外部から独立して存在し前記第1電極要素の構成成分の酸化物を含む第1の界面部、を更に備える、」との特定事項について a 甲3発明の「第2保護層38」は、本件訂正発明1の「第1の界面部」に相当する。 b 甲3発明の「第2保護層38」は「酸化アルミニウム(Al2O3)」を含むことは、本件訂正発明1の電極要素の「構成成分の酸化物を含む」ことに相当する。 c 上記a及びbから、甲3発明と本件訂正発明1とは「電極要素の構成成分の酸化物を含む第1の界面部、を更に備える」ことで共通している。 一方で、甲3発明で「電極要素」の「膜厚変化部」が不明であることから、「前記膜厚変化部の一部と前記第1導電型窒化物半導体層の前記第1領域との間に」との本件訂正発明1の特定事項を満たすことが不明である。 d 甲3発明の「第2保護層38」は、「p側電極の」「一部」と重なるように形成され、且つ、 型半導体層上の前記第1領域とは異なる第2領域と、前記活性層の側面とを被覆する」ものであることを踏まえると、甲3発明は、本件訂正発明1の「当該間の外部から独立して存在し」との特定事項を満たさない。 (キ)本件訂正発明1の「紫外線発光素子」との特定事項について 甲3発明の「半導体発光素子」は「中心波長λが約360nm以下となる「深紫外光」を発するように構成されるLED(Light Emitting Diode)チップ」であることから、本件訂正発明1の上記特定事項を満たす。 (ク)以上のことから、本件訂正発明1と甲3発明とは、次の一致点で一致し、また、相違する。 <一致点> 「基板と、第1導電型窒化物半導体層の第1領域と、第1導電型窒化物半導体層の第2領域と、発光層と、第2導電型窒化物半導体層と、を一方向に向けてこの順で備え、 前記第1導電型窒化物半導体層の第2領域と、前記発光層と、前記第2導電型窒化物半導体層はメサ構造であり、 前記第1導電型窒化物半導体層の前記第1領域の表面の一部に、第1電極を有し、 前記第2導電型窒化物半導体層の表面の一部に第2電極を有し、 前記第1電極は、電極要素を有し、 前記電極要素の構成成分の酸化物を含む第1の界面部、を更に備える、紫外線発光素子。」 <相違点5> 「第1電極要素」について、本件訂正発明1が「前記第1導電型窒化物半導体層と少なくとも一部が接する」のに対して、甲3発明が、そのようになっているのか明らかではない点。 <相違点6> 「第1の界面部」について、本件訂正発明1が「当該間の外部から独立して存在」するのに対して、甲3発明は、そのようになっていない点。 <相違点7> 本件訂正発明1の「第1電極要素」は「前記メサ構造に近づくにつれて膜厚が連続的又は段階的、若しくは連続的及び段階的に小さくなる膜厚変化部を含む」ものであって、「第1の界面部」が「前記膜厚変化部の一部と前記第1導電型窒化物半導体層の前記第1領域との間」であるのに対して、甲3発明は、そのようになっているのか不明である点。 イ 判断 (ア)相違点6について a 事案に鑑み、まず相違点6について検討する。 相違点6について検討するにあたり、甲3発明をどのように変更すれば、当該相違点6に係る構成に至るかについて検討する。 甲3発明において相違点6に係る本件訂正発明1の構成に至るためには、「前記n側電極および前記p側電極のそれぞれの一部」が「前記第2保護層上」に形成され、且つ、「前記n型半導体層上の前記第1領域とは異なる第2領域と、活性層の側面」を「被覆」する「第2保護膜38」を、「n側電極」と重なる領域のみに形成されることを要するといえる。 b そこで検討すると、甲3発明において、「第2保護層38」は、「前記n型半導体層上の前記第1領域とは異なる第2領域と、活性層の側面を」被覆することで、耐湿性を向上させる」ものである。 そうすると、甲3発明において、前記「第2保護層38」を「n側電極」と重なる領域のみに形成される構成へ変更することは、「耐湿性を向上」する効果が失われることとなり、そのような変更を行う動機付けは存在しない。 c さらに、甲1,2及び4に記載された技術的事項を見ても、上記判断が左右されることはない。 d したがって、相違点6に係る本件訂正発明1の構成は、甲3発明並びに甲1,2及び4に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易になし得たこととはいえない。 そうすると、本件訂正発明1は、相違点5及び7について検討するまでもなく、甲3発明及び甲1、2及び4に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (2)本件訂正発明2~13について 本件訂正発明2~13は、本件訂正発明1をさらに減縮したものであるから、上記本件訂正発明1についての判断と同様の理由により、甲3発明並びに甲1、2及び4に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 第6 取消理由において採用しなかった特許異議申立理由について 1 特許法第36条第6項第1号(サポート要件違反)について (1)申立人は、請求項1~13の記載において「第1の界面部」の厚みについて何ら特定されていないことから、「電極集中を緩和する」課題を解決するために必要な手段が反映されていないため、サポート要件を満たしていない旨主張する。 しかしながら、請求項1の記載には、当該「第1の界面部」が「第1電極要素の酸化物を含む」ことが特定されている。そして、第1電極要素の酸化物が存在する領域は、存在しない領域に比べて、抵抗が高くなり電流が流れにくくなり、「電流集中を緩和する」課題を解決しうることは自明なことである。 そうすると、請求項1及び従属請求項2~13は、課題を解決するために必要な手段が反映されていないものとはいえない。 (2)申立人は、請求項3に記載された「膜厚変化部の傾斜角度」について、本願明細書等には、前記傾斜角度の範囲について臨界的意義が記載されていないため、当業者が前記傾斜角度の範囲であれば「電流集中を緩和する」課題を解決しうると認識できないため、請求項3及び従属請求項6、11~13は、サポート要件を満たしていない旨主張する。 しかしながら、本願明細書等には、膜厚変化部内の電気抵抗が高くなることから電流集中が緩和しうること(【0022】)が記載されており、当該電気抵抗は、前記傾斜角度に依存することは当業者には自明であることを踏まえると、請求項3に記載された角度範囲において「電流集中を緩和する」課題を解決しうることは、当業者が認識しうるものである。 そうすると、請求項3及び従属請求項6、11~13は、サポート要件を満たしていないとはいえない。 (3)申立人は、請求項4に記載された「第1界面部の膜厚」について、本願明細書等には、前記膜厚の範囲について臨界的意義が記載されていないため、当業者が前記膜厚の範囲であれば「電流集中を緩和する」課題を解決しうると認識できないため、請求項4及び従属請求項6、11~13は、サポート要件を満たしていない旨主張する。 しかし、上記(1)で説示したとおり、当業者は「第1電極要素の酸化物を含む第1の界面部」が形成されたことによって、「電流集中を緩和する」課題を解決しうると認識できるものであるから、請求項4及び従属請求項6、11~13は、サポート要件を満たしていないとはいえない。 (4)申立人は、請求項5に記載された「第2の界面部の膜厚」について、本願明細書等には、前記膜厚の範囲について臨界的意義が記載されていないため、当業者が前記膜厚の範囲であれば「電流集中を緩和する」課題を解決しうると認識できないため、請求項5及び従属請求項6、11~13は、サポート要件を満たしていない旨主張する。 しかし、「第2の界面部」は請求項2に「チタンで構成される」ものであって、本願明細書等の【0024】には当該「第2の界面部」を設けたことにより電流集中が緩和されることが記載されており、「第2の界面部の膜厚」に応じて、その抵抗が変化することは当業者には自明であることを踏まえると、請求項5に記載された膜厚の範囲において「電流集中を緩和する」課題を解決しうることは、当業者が認識しうるものである。 そうすると、請求項5及び従属請求項6、11~13は、サポート要件を満たしていないとはいえない。 2 小括 よって、取消理由において採用しなかった特許異議申立理由は、理由がない。 第7 むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知書に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件訂正発明1~13に係る特許を取り消すことはできない。また、他に本件訂正発明1~13に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2022-700736

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