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特許異議申立

2022-700735

爪または人工爪用光硬化性樹脂組成物

審判番号
2022-700735
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2018-557645外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
登録番号
7014970
請求日
2022年07月29日
審決日
2022年12月23日
公報発行日
2023年01月27日
結論
維持
当事者
審判長/審判官
分類
P1651.121-Y (A61K) / P1651.537-Y (A61K)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7014970号発明「爪または人工爪用光硬化性樹脂組成物」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7014970号の請求項1ないし9に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7014970号(以下「本件特許」という。)の請求項1~9に係る特許についての出願は、2017年12月4日(優先権主張2016年12月19日 日本国)を国際出願日とする出願であって、令和4年1月25日にその特許権の設定登録がされ、同年2月2日に特許掲載公報が発行され、その後、その特許の全請求項に対し、令和4年7月29日付けで特許異議申立人 田中 俊子(以下「申立人」という。)より、特許異議の申立てがされたものである。 第2 本件特許発明 本件特許の請求項1~9に係る発明は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1~9に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 以下、本件特許の請求項1~9に係る発明を、それぞれ請求項順に、「本件特許発明1」などといい、これらをまとめて「本件特許発明」ともいう。 「【請求項1】 下記の(A)~(C)成分を含み、前記(C)成分の含有量が、前記(A)成分100質量部に対し、45~155質量部である、爪または人工爪用光硬化性樹脂組成物: (A)成分:(メタ)アクリロイル基を有する化合物; (B)成分:光開始剤; (C)成分:平均粒子径3~21μmの(メタ)アクリルポリマー粒子。 【請求項2】 前記(C)成分の(メタ)アクリルポリマー粒子の平均粒子径が5~14μmである、請求項1に記載の爪または人工爪用光硬化性樹脂組成物。 【請求項3】 前記(A)成分が、(メタ)アクリレートオリゴマーおよび/または(メタ)アクリレートモノマーを含む、請求項1または2に記載の爪または人工爪用光硬化性樹脂組成物。 【請求項4】 前記(A)成分が、前記(メタ)アクリレートモノマーを含み、 該(メタ)アクリレートモノマーが多環式シクロアルキル基を含む、請求項3に記載の爪または人工爪用光硬化性樹脂組成物。 【請求項5】 前記(A)成分が、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の爪または人工爪用光硬化性樹脂組成物。 【請求項6】 前記(A)成分100質量部に対し、前記(C)成分の含有量が、100~130質量部である、請求項1~5のいずれか1項に記載の爪または人工爪用光硬化性樹脂組成物。 【請求項7】 前記(C)成分が、ポリメチルメタクリレート粒子である、請求項1~6のいずれか1項に記載の爪または人工爪用光硬化性樹脂組成物。 【請求項8】 請求項1~7のいずれか1項に記載の爪または人工爪用光硬化性樹脂組成物の硬化物。 【請求項9】 請求項1~7のいずれか1項に記載の爪または人工爪用光硬化性樹脂組成物を爪または人工爪上に塗布して塗膜を形成後、エネルギー線を照射して前記塗膜を硬化することを含む、爪または人工爪の被覆方法。」 第3 申立理由の概要 申立人は、証拠方法として、下記3に示す甲第1号証~甲第7号証を提出し、次の申立理由1及び2を主張している。 なお、甲第1号証~甲第7号証を、それぞれ順に「甲1」などという。 1 申立理由1(進歩性) (1)申立理由1-1(進歩性) 本件特許発明1~9は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された甲1に記載された発明及び甲3~5に示される周知の技術的事項並びに甲6に記載の技術的事項に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許発明1~9に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当するから取り消すべきものである。 (2)申立理由1-2(進歩性) 本件特許発明1~9は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された甲2に記載された発明及び甲7に記載の技術的事項に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許発明1~9に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当するから取り消すべきものである。 2 申立理由2(サポート要件) (1)申立理由2-1(サポート要件) 本件特許発明1~9は、(A)成分の(メタ)アクリロイル基を有する化合物について、オリゴマーを含有するところ、その重量平均分子量が特定されていない。 そして、本件特許明細書【0023】のオリゴマーの重量平均分子量に関する記載や、実施例及び比較例を参酌すれば、本件特許発明1~9は、「作業性に優れる」との課題を解決できない、粘度が50Pa・s以上である光硬化性樹脂組成物を包含しているため、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えている。 (2)申立理由2-2(サポート要件) (C)成分の平均粒子径3~21μmに関して、マットコート評価が、実施例5(15μm)の「△」と、比較例1(22μm)の「×」とから、比較例1の数値に近い21μmの場合に、マットコート評価が「△」になるとは認識できない。実施例7(4μm)と比較例2(2.2μm)についても同様である。 したがって、本件特許発明1及び3~9は、(C)成分に関して、「作業性に優れる」との課題又は「マットコート形成可能にする」との課題を解決できるとは認識できない範囲を包含しているため、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えている。 (3)申立理由2-3(サポート要件) (C)成分の平均粒子径3~21μmに関して、比較例2(2.2μm)と比較例1(22μm)とを、重量比1:1で混合した場合、平均粒子径は、3~21μmの範囲内である蓋然性が高いが、マットコートの評価は「×」になると推認される。 したがって、本件特許発明1~9は、(C)成分に関して「作業性に優れる」との課題又は「マットコート形成可能にする」との課題を解決できるとは認識できない範囲を包含していると解され、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えている。 3 証拠方法 甲1:特表2013-523890号公報 甲2:米国特許出願公開第2016/0175212号公報 甲3:特開昭60-16910号公報 甲4:特開昭61-210020号公報 甲5:特開昭63-5013号公報 甲6:特開2000-256137号公報 甲7:特開2013-31504号公報 第4 判断 当審合議体は、本件特許発明1~9に係る特許は、上記第3に概要を示した申立理由1及び2によっては、取り消すことはできないと判断する。その理由は以下のとおりである。 なお、以下の下線は、当審合議体で追加した。また、証拠の転記はすべて全角にして記載する。本決定全体についても同様である。 1 甲各号証の記載事項 (1)甲1の記載事項 (甲1a)「【請求項1】 (A)少なくとも約35重量%のオリゴマー、(B)少なくとも約0.1重量%の顔料、(C)少なくとも約0.5重量%のチキソトロピック添加剤、(D)0から約20重量%の非反応性溶剤、(E)0から約20重量%以下の皮膜形成ポリマー、(F)0.1から5重量%の光開始剤、(G)0から5重量%の分散剤、及び(H)全体で100重量%となるようなバランスの反応性のエチレン性不飽和モノマーを含み、皮膜形成ポリマー(E)に対するオリゴマー(A)の比が2.5以上であり、地爪と人工爪のコーティングと耐摩耗性の装飾品の形成に適したUV硬化性ゲルである組成物。」 (甲1b)「【0002】 本発明は、地爪、人工の手の爪や足の爪、人工つけ爪の化粧装飾に有効な放射線硬化性ゲルの分野に関する。 ・・・ 【0005】 高レベルの溶剤を含有する従来のマニキュアで人工爪や地爪をコーティングする必要性を回避するために、近年では着色剤、特に顔料を含有するゲルの調製が当技術分野で知られるようになった。 【0006】 現在の顔料着色されたゲル製剤は、高粘度であり、例えばマニキュアを塗布することの容易さにくらべて、塗布が容易ではない。使用の仕方が標準的なマニキュアと似ているので、低粘度のゲルが好まれている。しかし、低粘度のゲルの使用は、顔料の沈降や凝固物の硬化のために貯蔵寿命が限られた着色ゲルをもたらすこととなる。一旦凝固物が硬化すると、均質な組成物としてゲルの中に顔料を再懸濁することが困難または不可能となる。 ・・・ 【0015】 本発明の目的は、耐摩耗性であり、簡単かつ迅速に塗布でき、良好な高、低せん断粘度特性を有するので、専門家と非専門家が簡単かつ効率的に塗布でき、また良好な外観を持つUV硬化性ネイルコーティング組成物提供することである。」 (甲1c)「【0025】 本明細書の発明によると、貯蔵安定性を有し、顔料を含有する、低粘度のUV硬化爪ゲルコーティングは、このようなゲルを調製するためにチキソトロピック添加剤(複数可)を利用することで、うまく調製することができる。別の実施形態では、分散剤を加えて、貯蔵寿命を向上させ、また、顔料の再懸濁を可能にすることで周辺条件下で貯蔵寿命を改善することができる。チキソトロピック添加剤は高せん断粘度を低減し、ゲルのレオロジー特性に逆影響を与えることなく、均一なコーティングの塗布を可能にする。これにより、せん断減粘特性(shear thinning properties)のために、ネイルゲルをより低い粘度で爪に容易に塗布することができる。 【0026】 周辺条件(室温または摂氏約25度程度)下での良好な貯蔵安定性の場合、静止状態下の粘度は、下記のストークスの式で定義されているように顔料を浮遊させておくには十分なはずである。」 (甲1d)「【0029】 本発明のUV硬化性組成物は、かなりの量のエチレン性不飽和単量体(G)を含み、いくつかの実施形態では、含有率は組成物中約65から45重量%であり、この単量体は1から5個の反応性二重結合を有することができる。典型的な例には、アクリル及びメタアクリル酸のエステルとアミドが含まれる。アクリル及びメタアクリル酸のエステルは、(メタ)アクリル酸エステルとここでは称される。具体的な、しかし限定してはいないモノメチル(メタ)アクリル酸エステルの例として、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート(HPMA)、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート(HEMA)、・・・イソボルニル(メタ)アクリレート、・・・を含む。具体的な、しかし限定してはいない二官能性メタアクリル酸エステルの例として、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、・・・ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、・・・が含まれる。トリおよびそれ以上の(メタ)アクリロイルエステルの例としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、・・・などが挙げられる。 ・・・ 【0032】 本発明の組成物のオリゴマー成分(A)は、例えば、少なくとも2つ以上のアクリルまたはメタアクリル基とウレタン基を有するウレタン(メタ)アクリレートであることが可能である。例として、脂肪族ポリエステルや芳香族ポリエステルをベースとするウレタン、ポリエーテルポリオールと脂肪族ポリエステルや芳香族ポリエステル、(メタ)アクリレート末端基で封鎖されたポリエーテルジイソシアネート、が挙げられる。・・・本発明で有益なアクリル化ポリエステルオリゴマーは、少なくとも2つ以上のアクリルまたはメタアクリル基とポリエステルのコアを有している。」 (甲1e)「【0033】 本発明のゲル組成物は0.1重量%から最大約5重量%の光重合開始剤(F)を含有する。・・・具体例としては、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル フェニル ケトン、・・・ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、・・・およびそれらの混合物が挙げられる。 【0034】 脂肪族または芳香族アミンなどといった光促進剤(photo accelerator)も、充填剤、抑制剤、可塑剤、ポリマー、接着促進剤と同様にゲルに含まれてもよい。」 (甲1f)「【0048】 実施例1 58重量%の脂肪族ポリエステル系ウレタンmultimethacrylateオリゴマー、20重量%のヒドロキシメチルメタアクリレート(HEMA)モノマー、20重量%のヒドロキシプロピルメタアクリレート(HPMA)モノマー、及び光開始剤としてBASF Resinsから双方とも入手可能なイルガキュア84とダロキュアTPOの混合物の2%を含有するUV硬化性ゲルの125gに対し、25gの分散液を加えた。この分散液は、チキソトロピック剤として14gのAerosil(r)300シリカ(Evonik Degussa GmbHにより入手可能)を上記と同じUV硬化性ゲル686gに加えて10000rpmでせん断する(Biospec Productsで入手可能なBiohomogenizerを使用)ことにより調製されたものである。得られた分散液の44.7gに対し、FD&C赤色7号カルシウムレーキ顔料を24重量%(24%wt/wt)含むポリエーテルジアクリレートモノマーの分散液を5.25g加えた。得られた組成物は、25℃における2/secのせん断率での粘度が18ポイズであり、70/secのせん断率で13ポイズという高せん断粘度を有する。混合物を室内温度で静置し、定期的に沈降をチェックした。26日後、全く沈降は起きていなかった。」 (2)甲2の記載事項(甲2は英文のため訳文で示す。) (甲2a)「1.以下を含む、ネイルトリートメントシステム: (1)以下を含む、少なくとも1つのベースコート: 水;及び 少なくとも1種の非UV硬化性ラテックス;及び (2)以下を含む、少なくとも1つの第2コート: 少なくとも1種の光架橋性ウレタン(メタ)アクリレート化合物P1; 少なくとも1種の光架橋性(メタ)アクリレートモノマー;及び 少なくとも1種の光重合開始剤。 2.ベースコートが非UV硬化性組成物であり、第2コートがUV硬化性組成物である、請求項1に記載のネイルトリートメントシステム。 ・・・ 15.前記少なくとも1つの第2コートが、顔料をさらに含む、請求項1に記載のネイルトリートメントシステム。」 (甲2b)「[0001]本発明は、少なくとも1つのベースコート、少なくとも1つの第2コート及び任意に少なくとも1つのトップコートを含むネイルトリートメントシステムに関し、ベースコートは水及び少なくとも1つの非UV硬化性接着剤ラテックスを含み、第2コートは少なくとも1つの光架橋性ウレタン(メタ)アクリレートと少なくとも1つの(メタ)アクリレートモノマーとを含む。ベースコートと第2コートのユニークな特性により、このネイル組成物システムは簡単に除去することができ、装着感を損なうことなく、爪を健康な状態に保つことができる。 ・・・ [0008]本発明のネイルトリートメントシステムは、非UV硬化性接着剤ラテックスを含むベースコートと、光架橋性ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー及び(メタ)アクリレートモノマーの両方を含む第2コート(好ましくはカラーコートである)のユニークな組み合わせを提供するものである。本発明のネイルトリートメントシステムは、任意に、光架橋性ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー及び(メタ)アクリレートモノマーをも含む第3コート又は「トップコート」を含んでもよい。本発明の組成物は、爪への非常に強い接着力及び良好な装着感を実現し、同時に、トリートメントシステムは、温かい石鹸水の使用により容易に除去することができる。」 (甲2c)「[0034]「ネイルトリートメントシステム」は、爪の表面に適用される複数の組成物を意味する。 ・・・ [0037]「オリゴマー」は、少なくとも2つの(メタ)アクリレート官能基を含む化合物を指す。」 (甲2d)「第2コート(「カラーコート」ともいう)及びトップコート(任意) [0135] ・・・ [0137]本発明は、光架橋性化粧品組成物(第2コート)を含有するネイルトリートメントシステムにも関し、少なくとも1つの下記構造単位を含む少なくとも1つの光架橋性ウレタン(メタ)アクリレート化合物P1: [図:0001393117000001.jpg] [0138]少なくとも1つのメタクリレートモノマー; [0139]少なくとも1つの光重合開始剤; [0140]任意に少なくとも1つの光架橋性ウレタン(メタ)アクリレート化合物P2; [0141]任意に少なくとも1つのフィルム形成ポリマーP3; [0142]任意に少なくとも1つの顔料;及び [0143]任意に少なくとも1つの有機溶媒を含む。」 (甲2e)「[0165]少なくとも1つの光架橋性ウレタン(メタ)アクリレート化合物P1は、第2コート又はトップコートの光架橋性組成物の全重量に対して、好ましくは1重量%以上、有利には、約1重量%~約80重量%、好ましくは約5重量%~約75重量%、より好ましくは約10重量%~約70重量%、有利には約25重量%~約65重量%の範囲で存在する。 ・・・ [0173]一実施形態において、(メタ)アクリレートモノマーは、約0.01重量%~約50重量%、典型的には約5重量%~約30重量%、より詳細には約10重量%~約25重量%、その間のすべての範囲及び下位範囲を含む量で本発明の組成物中に存在し、すべての重量は第2コート又はトップコートの光架橋性組成物の総重量を基準とする。」 (甲2f)「光重合開始剤 [0174]本発明の第2組成物及び任意のトップ組成物は、少なくとも1つの光重合開始剤を含む。 ・・・ [0176]これらの光重合開始剤は以下を含む: ・・・ [0182]好ましくは、本発明による組成物の光重合開始剤は、例えばIRGACURE(登録商標)184(BASF)のようなα-ヒドロキシケトン、例えばLUCIRIN(登録商標)TPO-L(BASF)のようなアシルホスフィンオキシド、又はこれらの混合物である。」 (甲2g)着色剤(任意) [0224]一実施形態によれば、本発明による第2コート、及び任意のトップコートは、可溶性染料、顔料、真珠層及びグリッターからなる群から選択される少なくとも1つの着色剤をさらに含んでいてもよい。 ・・・ [0236]少なくとも1つの着色剤は、層の総重量に対して0.1重量%以上、好ましくは第2コート又はトップコート組成物の総重量に対して約0.1重量%~約5重量%、有利には約0.2重量%~約3重量%の範囲で存在する。 ・・・ [0238]さらなる実施形態によれば、本発明による第2コートは、上記で定義されたような着色剤を含まなくてもよい。」 (甲2h)「実施例 [0270]・・・ 本発明の組成物の調製方法 水性ベースコート: [0271]・・・ ・・・ UVゲルカラーコート: [0275]・・・ トップコート: ・・・ [0281]・・・ ・・・ ネイルトリートメントシステムの本発明の組成物は以下に示す表1の実施例によって表されるが、これらに限定されない。 [図:0001393117000002.jpg] 」 (3)甲3の記載事項 (甲3a)「本発明は新規な美爪料に関する。さらに詳しくは、マットな仕上りを有し、塗り易く、経時でのもちが良く、除光液での落し易さに優れた美爪料に関する。 ・・・ 本発明者らは、こうした事情にかんがみ、鋭意研究を重ねた結果、ニトロセルローズ、レジン、可塑剤、溶剤を含有する美爪料において、特定シリカを特定量配合することにより、マットな仕上りを有し、しかも塗り易さ、経時でのもち、除光液での落し易さなど美爪料として必要な他の特性をも兼備していることを見いだし、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。 すなわち、本発明はニトロセルローズ、レジン、可塑剤、溶剤を含有する美爪料において、平均粒子径0.01~30μのシリカを1~10wt%配合することを特徴とする美爪料を提供するものである。」(1ページ左欄10行~2ページ左上欄4行) (4)甲4の記載事項 (甲4a)「(産業上の利用分野) 本発明は改良された美爪料に関する。さらに詳しくは、塗り易く、マットな仕上りで、はがれにくく、経日でのもちが良い美爪料を提供するものである。 ・・・ 本発明者らは、上記問題点を解決するために鋭意研究を重ねた結果、ニトロセルローズ、レジン可塑剤、溶媒、艶消剤を含有する美爪料に薄片状マイカを特定量配合することにより、仕上り後、剥れにくく、経日でのもちに優れた、しかも塗り易さ、マット感などの緒特性をも兼備している美爪料を見いだし、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。 (問題点を解決するための手段) すなわち、本発明は薄片状マイカの厚さが0.05~1.5μ、粒径が1~30μで、その配合量が0.1~2.5重量%であることを特徴とするマットな美爪料を提供するものである。」(1ページ左欄12行~2ページ右上欄1行) (甲4b)「艶消剤としてはシリカが用いられる。例えば、カープレックス#67(登録商標、塩之義製薬):粒径5μ、サイロイド65(登録商標、富士デビソン化学):粒径4μ、サイロイド244(登録商標、富士デビソン化学):粒径10μなどが挙げられる。配合量は一般的には1~10重量%である。」(2ページ左下欄13~17行) (5)甲5の記載事項 (甲5a)「[産業上の利用分野] 本発明は、極めて有用な美爪料に関し、さらに詳しくは、皮膜形成剤としてニトロセルロースを主成分とする美爪料において、従来の美爪料よりも有意に光沢の抑制された塗膜を有し、しかもフィルム物性や使用性・経時安定性の良好な美爪料に関するものである。 ・・・ [問題点を解決するための手段] 本発明者らは、係る点に鑑み、フィルム物性や使用性・経時安定性を損うことなく塗膜の光沢が抑制された美爪料を得るべく鋭意研究した結果、ナイロンパウダーを配合することにより、顕著な光沢抑制効果が得られることを見出し、本発明を完成するに到った。 すなわち、本発明は、皮膜形成剤としてニトロセルロースを主成分とする美爪料において、ナイロンパウダーを1~10重量%配合することを特徴とするものである。」(1ページ左欄10行~2ページ左上欄11行) (甲5b)「また、本発明に必須に使用されるナイロンパウダーは、化粧料に一般に使用されるもので良く、例えばナイロン6、ナイロン12等の粉末が挙げられる。平均粒子径は5~30μのものが好ましく、製品の色や他の配合成分等を考慮して適宜選定すれば良い。これらは必要に応じて任意に選択し、単独若しくは併用して用いられる。」(2ページ右上欄3~10行) (6)甲6の記載事項 (甲6a)「【請求項1】 空隙率が40~85%である多孔質粉体を1~10重量%と皮膜形成剤とを含有することを特徴とする美爪料。 【請求項2】 該多孔質粉体の平均粒子径が0.1μm~30μmである請求項1記載の美爪料。 【請求項3】 該多孔質粉体が無水珪酸であることを特徴とする請求項1又は2記載の美爪料。 【請求項4】 該皮膜形成剤がニトロセルロースであることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の美爪料。」 (甲6b)「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は塗りやすく、乾燥速度が速く、経日での持ちが良いマットな仕上りを有する美爪料を提供するものである。 【0002】 【従来の技術】従来、美爪料においてマットな質感を演出するために、シリカを配合(特開昭60-1910号公報)したり、薄片状マイカ(特開昭61-21020号公報)やナイロン粉末(特開昭63-5013号公報)を配合することが検討されてきた。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、シリカやマイカ、ナイロン粉末を用いて使用上満足できるマット感を得るためには、多量の粉体を配合しなくてはならなかった。こうした粉体を美爪料中に多量に配合すると、塗膜形成能の低下、塗膜乾燥速度の低下や塗布時の使用感の著しい低下などを招き、美爪料としての機能を欠くという問題点があった。 【0004】 【課題を解決するための手段】そこで本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、特定の多孔質粉体と皮膜形成剤とを含有することにより、従来より少ない粉体の配合量でマット感を演出でき、使用感も優れた美爪料を得ることが出来ることを見出し、本発明を開発するに至った。すなわち、本発明は、美爪料としての機能、また使用感を損なわずにマットな質感を得るため、特定の多孔質粉体を1~10重量%(以下単に「%」で示す)配合することを特徴とする美爪料に関するものである。 【0005】 【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。・・・本発明で用いられる多孔質粉体の配合量は1~10%の範囲で選択される。1%未満では充分なマット感のある仕上がりができず、10%を超えると塗布時の使用性が重くなり、爪に滑らかに塗りにくくなるので好ましくない。 【0006】本発明に使用される皮膜形成剤としては、通常美爪料に使用されるものであれば特に制限されることはなく、例えばニトロセルロース、アルキッド樹脂、アクリル系樹脂、トルエンスルホンアミド樹脂、シリコーン樹脂、アクリル系ポリマーエマルジョン等が挙げられ、・・・。これら皮膜形成剤は必要に応じて、1種又は2種以上を用いることができ、配合量は皮膜形成剤の種類により異なるが、固形分として3~40%が好ましい。」 (甲6c)「【0009】 【実施例】以下に実施例をあげて本発明を詳細に説明する。尚、これらは本発明を何ら限定するものではない。 【0010】実施例及び比較例で用いた多孔質粉体、非多孔質粉体の粒径と空隙率を表1に示した。 【0011】 【表1】 [図:0001393117000003.jpg] 【0012】実施例1~6及び比較例1~6 美爪料 表2に示す組成の美爪料を調製し、マット感、使用性(塗りやすさ)、化粧持ち(はがれ難さ、かけ難さ)及び乾燥速度について以下の方法により評価を行った。その結果も併せて表2に示す。 【0013】 【表2】 [図:0001393117000004.jpg] 」 (7)甲7の記載事項 (甲7a)「【0001】 本発明は、電子写真法を利用したネイル用カラー粉体の供給方法、ネイル用カラー塗布剤およびその製造方法、ネイルチップ、並びに電子写真装置に関する。 ・・・ 【発明が解決しようとする課題】 【0007】 本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであって、その第1の目的は、微量のネイル用カラー粉体を所望の色かつ所望の量で、その上、高い色再現性で得られるネイル用カラー粉体の供給方法および電子写真装置を提供することにある。 また、本発明の第2の目的は、高い色再現性を有するネイル用カラー塗布剤およびその製造方法、並びにネイルチップを提供することにある。」 (甲7b)「【0041】 〔トナー〕 本発明のネイル用カラー粉体の供給方法に用いられるトナーは、電子写真法において一般的に用いられているものを用いることができ、少なくともイエロートナー、マゼンタトナー、シアントナーを含むことが好ましく、ブラックトナー、ホワイトトナー、オレンジトナー、グリーントナーなどのカラートナーを加えることもできる。これらのトナーは、具体的には、少なくとも結着樹脂および着色剤を含有するトナー粒子よりなるものである。また、トナー粒子には、必要に応じて、界面活性剤、荷電制御剤、離型剤、外添剤などを含有することができる。 【0042】 (結着樹脂) 本発明に用いられるトナーを構成するトナー粒子が例えば粉砕法、溶解懸濁法などによって製造される場合には、トナーを構成する結着樹脂として、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン-(メタ)アクリル系共重合体樹脂、オレフィン系樹脂などのビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、カーボネート樹脂、ポリエーテル、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリスルフォン、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、尿素樹脂などの公知の種々の樹脂を挙げることができる。特に、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂が好適に挙げられる。これらは1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。 【0043】 また、トナー粒子が例えば懸濁重合法、ミニエマルション重合凝集法、乳化重合凝集法などによって製造される場合には、トナーを構成する結着樹脂を得るための重合性単量体として、例えば・・・などのスチレンあるいはスチレンスチレン誘導体;・・・などのメタクリル酸エステル誘導体;・・・などのアクリル酸エステル誘導体;・・・などのオレフィン類;・・・などのビニルエステル類;・・・などのビニルエーテル類;・・・などのビニルケトン類;・・・などのN-ビニル化合物類;・・・などのビニル化合物類;・・・などのアクリル酸またはメタクリル酸誘導体などのビニル系単量体を挙げることができる。これらのビニル系単量体は、1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。 ・・・ 【0051】 (トナー粒子の粒径) トナーを構成するトナー粒子の粒径は、体積基準のメジアン径で3.0~10.0μmであることが好ましく、より好ましくは3.5~8.0μmである。」 (甲7c)「【0058】 〔ネイル用カラー塗布剤〕 本発明のネイル用カラー塗布剤は、本発明のネイル用カラー粉体の供給方法により得られたネイル用カラー粉体と、ネイル用ベース塗布剤とを含有するものである。 このネイル用ベース塗布剤は液体、粘性液体、固体のいずれでもよく、これらの混合物であってもよい。 【0059】 ネイル用ベース塗布剤は、一般的に、自然乾燥や熱乾燥することにより爪に固着される乾燥型ネイル用ベース塗布剤、紫外線などの光を照射して硬化、または、重合性単量体を含む液体と重合開始剤を含む粉体とを混合することによって硬化することにより爪に固着される硬化型ネイル用ベース塗布剤などが挙げられる。 乾燥型ネイル用ベース塗布剤としては、例えば、トップコート、ベースコートなどが挙げられる。 硬化型ネイル用ベース塗布剤としては、例えば、ジェルネイル、アクリリックスカルプチャー、グラスネイル(ネイルカンパニーグループ株式会社製)などが挙げられる。 ・・・ 【0061】 ネイル用カラー粉体の含有量は、ネイル用ベース塗布剤の種類や所望するネイル用カラー塗布剤の色や量により適宜選択することができるが、例えば、ネイル用カラー塗布剤中1~50質量%とされる。」 2 申立理由1-1(進歩性)について (1)甲1に記載された発明 甲1は、請求項1に記載の含有量と比で特定される(A)~(H)の成分を含む、地爪と人工爪のコーティングと耐摩耗性の装飾品の形成に適したUV硬化性ゲルである組成物に関する技術的事項を開示するものである(上記1(1)(甲1a)及び(甲1b)。以下、上記1の甲各号証の記載箇所については、単に(甲1a)などと示す。)。 そして、その具体例を示した実施例1には、(A)のオリゴマーとして「脂肪族ポリエステル系ウレタンmultimethacrylateオリゴマー」、(B)の顔料として「FD&C赤色7号カルシウムレーキ顔料」、(C)のチキソトロピック添加剤として「Aerosil(r)300シリカ」、(F)の光開始剤として「イルガキュア84とダロキュアTPOの混合物」(なお、甲1のほかの実施例の記載から「イルガキュア184とダロキュアTPO」の誤記と認める。)及び(H)の反応性のエチレン性不飽和モノマーとして「ヒドロキシメチルメタアクリレート(HEMA)モノマー」、「ヒドロキシプロピルメタアクリレート(HPMA)モノマー」及び「ポリエーテルジアクリレートモノマー」を用いた組成物が記載されていることからみて((甲1d)及び(甲1f))、甲1には、次の「甲1発明」が記載されていると認める。 甲1発明: 「脂肪族ポリエステル系ウレタンmultimethacrylateオリゴマー、ヒドロキシメチルメタアクリレート(HEMA)モノマー、ヒドロキシプロピルメタアクリレート(HPMA)モノマー、ポリエーテルジアクリレートモノマー、イルガキュア184及びダロキュアTPOの混合物からなる光開始剤、Aerosil(r)300シリカからなるチキソトロピック剤、FD&C赤色7号カルシウムレーキ顔料を含有する、地爪と人工爪のコーティングと耐摩耗性の装飾品の形成に適したUV硬化性ゲルである組成物。」 (2)本件特許発明1について ア 対比 (ア)本件特許明細書【0021】~【0049】に、本件特許発明1の(A)成分についての記載があり、(メタ)アクリレートオリゴマー及び(メタ)アクリレートモノマーの両方を含むと好ましいこと(【0028】)、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(【0032】)、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート(【0040】)、ポリエチレングルコールジ(メタ)アクリレート(【0042】)などが例示されている。 したがって、甲1発明の「脂肪族ポリエステル系ウレタンmultimethacrylateオリゴマー」、「ヒドロキシメチルメタアクリレート(HEMA)モノマー」、「ヒドロキシプロピルメタアクリレート(HPMA)モノマー」及び「ポリエーテルジアクリレートモノマー」は、本件特許発明1の「(A)成分:(メタ)アクリロイル基を有する化合物」に相当する。 (イ)甲1発明の光開始剤である「イルガキュア184」及び「ダロキュアTPO」は、甲1に「具体例としては、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル フェニル ケトン、・・・ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、・・・およびそれらの混合物が挙げられる」(甲1e)と記載され、例えば特開2014-52493号公報【0120】に「C2:BASF社製「ダロキュアTPO」(2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニルホスフィンオキシド)C3:BASF社製「イル.ガキュア184」(1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)」と記載されているとおり、「1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン」及び「ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド」である。 そして、これらは、本件特許明細書【0085】に記載の実施例で<(B)成分>として用いられている「b1:1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン」及び「b2:2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-ホスフィンオキサイド」と同じ物質である。 したがって、甲1発明の「イルガキュア184及びダロキュアTPOの混合物からなる光開始剤」は、本件特許発明1の「(B)成分:光開始剤」に相当する。 (ウ)本件特許発明1の「光硬化性樹脂組成物」は、本件特許明細書【0019】に、「本発明に係る光硬化性樹脂組成物は、マットコートの形成が可能なUVネイルジェルの用途においても好適に使用される。」と記載されているとおり、UV硬化性ゲルを包含するものである。 したがって、甲1発明の「地爪と人工爪のコーティングと耐摩耗性の装飾品の形成に適したUV硬化性ゲルである組成物」は、本件特許発明1の「爪または人工爪用光硬化性樹脂組成物」に相当する。 (エ)甲1発明がさらに「Aerosil(r)300シリカからなるチキソトロピック剤」及び「FD&C赤色7号カルシウムレーキ顔料」を含むことは、本件特許明細書【0067】に「本発明に対し、本発明の目的を損なわない範囲で、上記(A)~(C)成分の他、充填剤、導電性フィラー、シランカップリング剤、可塑剤、消泡剤、顔料、防錆剤、レベリング剤、分散剤、レオロジー調整剤、難燃剤等の添加剤を使用することができる。」と記載されていることから、本件特許発明1に包含され相違点とはならない。 (オ)よって、両発明は、次の一致点及び相違点1を有する。 一致点: 「下記の(A)~(B)成分を含む、爪または人工爪用光硬化性樹脂組成物: (A)成分:(メタ)アクリロイル基を有する化合物; (B)成分:光開始剤。」である点。 相違点1: 本件特許発明1は、さらに「(C)成分:平均粒子径3~21μmの(メタ)アクリルポリマー粒子」を含み、「前記(C)成分の含有量が、前記(A)成分100質量部に対し、45~155質量部である」と特定しているのに対し、甲1発明は、(C)成分に該当する成分を含まない点。 イ 判断 甲1には、ゲル組成物に充填剤などが含まれてよいことが記載されている((甲1e)【0034】)。 甲3は、マットな仕上りを有し、塗り易く、経時での持ちが良く、除光液での落し易さに優れた美爪料に関し、ニトロセルローズ、レジン、可塑剤、溶剤を含有する美爪料に、平均粒子径0.01~30μのシリカを1~10wt%配合することが記載されている(甲3a)。 甲4は、塗り易く、マットな仕上りで、はがれにくく、経日での持ちが良い美爪料に関し、ニトロセルローズ、レジン、可塑剤、溶媒、艶消剤を含有する美爪料に、粒径が1~30μの薄片状マイカを0.1~2.5重量%配合することが記載され(甲4a)、艶消剤として粒径が4、5又は10μなどのシリカを1~10重量%配合することが記載されている(甲4b)。 甲5は、皮膜形成剤としてニトロセルロースを主成分とする美爪料において、従来の美爪料よりも有意に光沢の抑制された塗膜を有し、しかもフィルム物性や使用性・経時安定性の良好な美爪料に関し、皮膜形成剤としてニトロセルロースを主成分とする美爪料に、好ましい平均粒子径が5~30μのナイロンパウダーを1~10重量%配合することが記載されている((甲5a)及び(甲5b))。 さらに、甲6には、空隙率が40~85%であり、平均粒子径が0.1μm~30μmである多孔質粉体を1~10重量%と、ニトロセルロースである皮膜形成剤とを含有する美爪料が記載されている(甲6a)。そして、従来はマットな質感を演出するために、シリカやマイカ、ナイロン粉末を用いていたが、使用上満足できるマット感を得るためには、多量の粉体を配合しなくてはならなかったため、塗膜形成能の低下、塗膜乾燥速度の低下や塗布時の使用感の著しい低下などの問題があったことから、上記の多孔質粉体と皮膜形成剤とを含有する美爪料として、塗りやすく、乾燥速度が速く、経日での持ちが良いマットな仕上りを有する美爪料を提供したことが記載されている(甲6b)。 また、甲6には、実施例において、粒径8μmのPMMA(ポリメタクリル酸メチル)粉体を配合したことが記載されている(甲6c)。 しかしながら、甲1発明と、甲3~6に記載されている美爪料とは、いずれも爪に塗布して用いるものである点では共通するものの、甲1発明は、「脂肪族ポリエステル系ウレタンmultimethacrylateオリゴマー」、「ヒドロキシメチルメタアクリレート(HEMA)モノマー」、「ヒドロキシプロピルメタアクリレート(HPMA)モノマー」及び「ポリエーテルジアクリレートモノマー」からなるUV硬化性ゲルを用いるのに対し、甲3~6は、皮膜形成剤としてニトロセルロースを用いる点で異なっている。 そうすると、甲1発明と、甲3~6とは、塗膜を形成するための材料及び塗膜の形成方法が異なり、技術分野が共通するとはいえないから、甲3~5に示される周知の技術的事項を参照しても、甲1発明に、甲6に記載の粒径8μmのPMMA(ポリメタクリル酸メチル)粉体を配合する動機付けがあるとはいえない。 そして、本件特許発明1は、相違点1に係る構成を採用することにより、透明性かつ作業性に優れたマットコート形成可能な爪又は人工爪用光硬化性樹脂組成物を提供するという、本件特許明細書記載の甲1及び3~6からは予測できない効果を奏するものである。 ウ 小括 よって、本件特許発明1は、甲1に記載された発明及び甲3~5に示される周知の技術的事項並びに甲6に記載の技術的事項に基いて容易になし得たものとはいえない。 (3)本件特許発明2~9について 本件特許発明2~7は、それぞれ本件特許発明1を引用して、爪又は人工爪用光硬化性樹脂組成物についてさらに限定するものである。 また、本件特許発明8は、本件特許発明1の樹脂組成物の硬化物であり、本件特許発明9は、本件特許発明1の樹脂組成物を用いる爪又は人工爪の被覆方法に関するものである。 そうすると、本件特許発明1のすべての発明特定事項を含む本件特許発明2~9についても、上記(2)で検討したのと同様の理由により、甲1に記載された発明及び甲3~5に示される周知の技術的事項並びに甲6に記載の技術的事項に基いて容易になし得たものとはいえない。 (4)申立人の主張について 申立人は、甲1発明のUV硬化性ゲルである組成物において、マット性を付与するための充填剤が含まれてもよいことは、甲3~5から当業者が容易に認識し得ることであり、その充填剤として、甲6に記載の従来配合されていたシリカなどに比べて塗りやすく、経日での持ちがよく、さらにマット感に優れる、粒径8μmのPMMA(ポリメタクリル酸メチル)粉体を用いる動機付けは十分にあることや、甲6の開示から(甲6b)、多孔質粉体の配合量は、皮膜形成剤100質量部に対し、2.5~333質量部でよいことが理解できるため、その範囲内の45~155質量部とすることも容易に想到し得たことであり、格別な作用効果を奏するものともいえないと主張している。 しかしながら、甲1は、甲3~6に開示されているような溶剤を多く含む従来のマニキュアの使用を回避するために用いられてきたゲル製剤に関するものであり、ゲル製剤が、高粘度であり塗布が容易ではなく、低粘度では顔料の沈降や凝固物の硬化による貯蔵寿命が短いなどの欠点を有することから、請求項1に記載の特定の組成を採用し、チキソトロピック添加剤を利用して、静止状態では顔料を浮遊さておくのに十分な粘度を有し、塗布時には均一なコーティングを可能にする粘度となるようにしたことに特徴を有するものである((甲1b)及び(甲1c))。 したがって、甲1に充填剤を配合してもよいことが記載されているとしても、当然に上記の課題を解決できることを前提にして配合するものといえ、甲1において、使用を回避することが示されている溶剤を多く含む従来のマニキュアに関する甲3~6において配合されている充填剤を、配合する動機付けはない。 また、そもそも甲1には、マット感については記載されていないから、甲1の充填剤を配合してもよいという記載から、ことさらマット性を付与するための充填剤に着目してそれを配合しようとする理由はないし、配合量についても、甲3~6には、美爪料全体における配合量が示されているだけであり((甲3a)、(甲4a)~(甲4b)、(甲5a)及び(甲6a)~(甲6b))、(A)成分である(メタ)アクリロイル基を有する化合物に対する量が示されているものでもない。(なお、樹脂の違いを考慮しないとしても、甲6において、粒径8μmのPMMA(ポリメタクリル酸メチル)粉体を用いた実施例1では、ニトロセルロース、アルキッド樹脂及びトルエンスルホンアミド樹脂の合計30重量%に対し、PMMA(ポリメタクリル酸メチル)粉体は2重量%しか配合していないので、100質量部に対し、6.7質量部程度と計算され、45質量部~155質量部である本件特許発明1とは全く異なる配合量である。) よって、申立人の上記主張は採用できない。 また、申立人は、上記甲1発明を認定した甲1の実施例1以外に、実施例3又は6からも本件特許発明が進歩性を有しないことを主張しているが、実施例3又は6から甲1発明を認定しても、上記(2)ア(オ)で検討したのと同じ一致点及び相違点1を有し、その判断についても、上記(2)イのとおりであるから、この主張についても採用できない。 (5)まとめ 以上のとおりであるから、申立理由1-1(進歩性)は理由がない。 3 申立理由1-2(進歩性)について (1)甲2に記載された発明 甲2の請求の範囲の記載、特に請求項1、2及び15の記載からみて(甲2a)、甲2には、次の「甲2発明」が記載されていると認める。 甲2発明: 「以下を含む、ネイルトリートメントシステム。 (1)以下を含む、少なくとも1つの非UV硬化性組成物であるベースコート: 水;及び 少なくとも1種の非UV硬化性ラテックス;及び (2)以下を含む、少なくとも1つのUV硬化性組成物である第2コート: 少なくとも1種の光架橋性ウレタン(メタ)アクリレート化合物P1; 少なくとも1種の光架橋性(メタ)アクリレートモノマー; 少なくとも1種の光重合開始剤;及び 顔料。」 (2)本件特許発明1について ア 対比 (ア)上記2(2)ア(ア)のとおり、本件特許発明1の(A)成分は、(メタ)アクリレートオリゴマー及び(メタ)アクリレートモノマーの両方を含むことが好ましいものである。 そして、甲2発明の第2コートにおける「少なくとも1種の光架橋性ウレタン(メタ)アクリレート化合物P1」は、光架橋性ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーである((甲2b)、(甲2c)及び(甲2d))。 したがって、甲2発明の第2コートにおける「少なくとも1種の光架橋性ウレタン(メタ)アクリレート化合物P1」及び「少なくとも1種の光架橋性(メタ)アクリレートモノマー」は、本件特許発明1の「(A)成分:(メタ)アクリロイル基を有する化合物」に相当する。 (イ)甲2発明の「少なくとも1種の光重合開始剤」については、甲2に「好ましくは、本発明による組成物の光重合開始剤は、例えばIRGACURE(登録商標)184(BASF)のようなα-ヒドロキシケトン、例えばLUCIRIN(登録商標)TPO-L(BASF)のようなアシルホスフィンオキシド、又はこれらの混合物である」(甲2f)と記載されている。 そして、本件特許明細書【0051】に「(B)成分のラジカル系光開始剤の具体的としては、・・・1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、・・・アシルホフィンオキサイド類;等が挙げられるが、これに限定されるものではない。」と記載されている。 したがって、甲2発明の「少なくとも1種の光重合開始剤」は、本件特許発明1の「(B)成分:光開始剤」に相当する。 (ウ)甲2発明の「ネイルトリートメントシステム」について、甲2に「「ネイルトリートメントシステム」は、爪の表面に適用される複数の組成物を意味する」(甲2c)と記載されている。 そして、本件特許明細書【0082】に「また、予め形成された他の層(ベースコート、カラーUVネイルジェルの硬化膜)の上に塗布しても良い。」と記載されている。 したがって、甲2発明の「ネイルトリートメントシステム」における「(2)以下を含む、少なくとも1つのUV硬化性組成物である第2コート」は、本件特許発明1の「爪または人工爪用光硬化性樹脂組成物」に相当する。 (エ)甲2発明がさらに「(1)以下を含む、少なくとも1つの非UV硬化性組成物であるベースコート:水;及び少なくとも1種の非UV硬化性ラテックス」を含むこと、第2コートに「顔料」を含むことは、上記(ウ)の本件特許明細書の記載及び【0067】に「本発明に対し、本発明の目的を損なわない範囲で、上記(A)~(C)成分の他、充填剤、導電性フィラー、シランカップリング剤、可塑剤、消泡剤、顔料、防錆剤、レベリング剤、分散剤、レオロジー調整剤、難燃剤等の添加剤を使用することができる。」と記載されていることから、本件特許発明1に包含され相違点とはならない。 (オ)よって、両発明は、次の一致点及び相違点2を有する。 一致点: 「下記の(A)~(B)成分を含む、爪または人工爪用光硬化性樹脂組成物: (A)成分:(メタ)アクリロイル基を有する化合物; (B)成分:光開始剤。」である点。 相違点2: 本件特許発明1は、さらに「(C)成分:平均粒子径3~21μmの(メタ)アクリルポリマー粒子」を含み、「前記(C)成分の含有量が、前記(A)成分100質量部に対し、45~155質量部である」と特定しているのに対し、甲2発明は、(C)成分に該当する成分を含まない点。 イ 判断 甲2発明には、第2コートに「顔料」が含まれている。 甲7には、電子写真法を利用したネイル用カラー粉体の供給方法、ネイル用カラー塗布剤などに関して、微量のネイル用カラー粉体を所望の色かつ所望の量で、その上、高い色再現性で得られるネイル用カラー粉体の供給方法や、高い色再現性を有するネイル用カラー塗布剤を提供することが記載されている(甲7a)。 そして、ネイル用カラー粉体の供給方法に用いられるトナーは、少なくとも結着樹脂及び着色剤を含有するトナー粒子よりなり、トナーを構成するトナー粒子が例えば粉砕法、溶解懸濁法などによって製造される場合には、トナーを構成する結着樹脂として、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂が好適に挙げられること、トナー粒子が例えば懸濁重合法、ミニエマルション重合凝集法、乳化重合凝集法などによって製造される場合には、トナーを構成する結着樹脂を得るための重合性単量体として、スチレンあるいはスチレンスチレン誘導体、メタクリル酸エステル誘導体、アクリル酸エステル誘導体、オレフィン類、フッ化ビニル類、ビニルエステル類、ビニルエーテル類、ビニルケトン類、N-ビニル化合物類、ビニル化合物類、アクリル酸又はメタクリル酸誘導体などのビニル系単量体が挙げられること、トナーを構成するトナー粒子の粒径は、体積基準のメジアン径で3.0~10.0μmであることが好ましく、より好ましくは3.5~8.0μmであることが記載されている(甲7b)。 また、ネイル用カラー塗布剤は、ネイル用カラー粉体の供給方法により得られたネイル用カラー粉体と、ネイル用ベース塗布剤とを含有するものであり、ネイル用ベース塗布剤は、自然乾燥や熱乾燥することにより爪に固着される乾燥型ネイル用ベース塗布剤やジェルネイルなどの紫外線などの光を照射して硬化することにより爪に固着される硬化型ネイル用ベース塗布剤などが挙げられること、ネイル用カラー粉体の含有量は、ネイル用カラー塗布剤中1~50質量%とされることが記載されている(甲7c)。 しかしながら、甲7には、ネイル用ベース塗布剤として、硬化型ネイル用ベース塗布剤以外に、乾燥型ネイル用ベース塗布剤でもよいことが記載されており、ネイル用カラー粉体に採用し得る結着樹脂としても、上記のとおり様々な材料が挙げられているところ、ネイル用ベース塗布剤の種類と結着樹脂との関係について記載したところはないから、結着樹脂として、(メタ)アクリルポリマーを選択して、甲2発明のUV硬化性組成物である第2コートの顔料として用いることが動機付けられるところはない。 そして、本件特許発明1は、相違点2に係る構成を採用することにより、透明性かつ作業性に優れたマットコート形成可能な爪又は人工爪用光硬化性樹脂組成物を提供するという、本件特許明細書記載の甲2及び7からは予測できない効果を奏するものである。 ウ 小括 よって、本件特許発明1は、甲2に記載された発明及び甲7に記載の技術的事項に基いて容易になし得たものとはいえない。 (3)本件特許発明2~9について 本件特許発明2~7は、それぞれ本件特許発明1を引用して、爪又は人工爪用光硬化性樹脂組成物についてさらに限定するものである。 また、本件特許発明8は、本件特許発明1の樹脂組成物の硬化物であり、本件特許発明9は、本件特許発明1の樹脂組成物を用いる爪又は人工爪の被覆方法に関するものである。 そうすると、本件特許発明1のすべての発明特定事項を含む本件特許発明2~9についても、上記(2)で検討したのと同様の理由により、甲2に記載された発明及び甲7に記載の技術的事項に基いて容易になし得たものとはいえない。 (4)申立人の主張について 申立人は、甲7には、UV硬化型ネイル用カラー塗布剤において特にアクリル樹脂が好適であるとされていると主張しているが、上記(2)イのとおり、甲7にそのような記載はない。 また、配合量については、甲2の第2コートにおける「少なくとも1種の光架橋性ウレタン(メタ)アクリレート化合物P1」及び「少なくとも1種の光架橋性(メタ)アクリレートモノマー」配合量は、それぞれ、好ましくは1重量%以上及び約0.01重量%~約50重量%(甲2e)であり、「顔料」の配合量は、好ましくは第2コート又はトップコート組成物の総重量に対して約0.1重量%~約5重量%(甲2g)であることが記載されているから、甲2発明の第2コートにおいて、爪への良好な接着力及び装着感を実現するために、前記3成分の配合量を調整し、例えば、それぞれを、2重量%、2重量%及び4重量%として、「少なくとも1種の光架橋性ウレタン(メタ)アクリレート化合物P1」及び「少なくとも1種の光架橋性(メタ)アクリレートモノマー」100質量部に対して「顔料」100質量部とすることは、当業者が容易に想到し得たことであり、格別な作用効果を奏するものともいえないことも主張している。 しかしながら、甲2は、水及び少なくとも1つの非UV硬化性接着剤ラテックスを含むベースコートと、少なくとも1つの光架橋性ウレタン(メタ)アクリレートと少なくとも1つの(メタ)アクリレートモノマーとを含む第2コートのユニークな特性により、簡単に除去することができ、装着感を損なうことなく、爪を健康な状態に保つことができるネイルトリートメントシステムに関するものであり(甲2b)、顔料は任意成分であって、必ず含むものではないし(甲2g)、「少なくとも1種の光架橋性ウレタン(メタ)アクリレート化合物P1」、「少なくとも1種の光架橋性(メタ)アクリレートモノマー」及び「顔料」の配合量は、いずれも第2コートの総重量に対する量が特定されているだけである。 そして、甲2及び7には、マット感に関する記載はないから、仮に、甲2発明に甲7に記載のネイル用カラー粉体を配合したとしても、透明性かつ作業性に優れたマットコート形成可能という効果を予測することはできない。(なお、甲2の実施例に関する表1には(甲2h)、第2コートに「顔料」として「赤6レーキ」、「酸化二酸化チタン」及び「赤7レーキ」を合計で1.52重量%配合し、「peg400で鎖長延長されたウレタンジメタクリレート-P2」、「ウレタンジメタクリレート-P2」、「イソホロンウレタンジメタクリレート-P1」及び「テトラヒドロフルフリルメタクリレート」を合計で91.58重量%配合したことが記載されているから、樹脂100質量部に対して顔料は1.7質量部程度と計算され、45質量部~155質量部である本件特許発明1とは全く異なる配合量である。) よって、申立人の上記主張は採用できない。 (5)まとめ 以上のとおりであるから、申立理由1-2(進歩性)は理由がない。 4 申立理由2(サポート要件)について (1)本件特許発明の解決しようとする課題について 本件特許明細書全体の記載、特に【0005】からみて、本件特許発明1~9の解決しようとする課題は、「透明性かつ作業性に優れたマットコート形成可能な爪または人工爪用光硬化性樹脂組成物、その硬化物及びその爪または人工爪の被覆方法を提供する」ことにあると認める。 (2)発明の詳細な説明の記載の検討 本件特許明細書【0016】~【0018】に、(A)成分:(メタ)アクリロイル基を有する化合物、(B)成分:光開始剤及び(C)成分:平均粒子径3~21μmの(メタ)アクリルポリマー粒子を含むことで、良好な透明性を有し、比較的低い粘度を有するため、作業性にも優れ、光硬化性樹脂組成物を硬化させてなる硬化物は、マット性(低い光沢性)を有すること、特に、(C)成分として含まれる粒子の平均粒子径が3μm未満であると、硬化物の光沢性が高くなってしまい、十分なマット性が得られず(艶消し効果が得られない)、平均粒子径が21μmを超えると、均一なマットコートを形成することができないが、平均粒子径が3~21μmであると、優れたマット性(低い光沢性)を有する均一なマットコートを形成することができ、(C)成分の材料種を(メタ)アクリルポリマーとすることにより、優れた透明性に加え、塗布に適した粘度を有する(作業性に優れる)光硬化性樹脂組成物を得ることができることが記載されている。 そして、実施例において、上記条件を満たす場合に、課題を解決できることが具体的に示されている。 したがって、本件特許発明1~9は、発明の詳細な説明において、上記(1)の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲内のものである。 (3)申立理由2-1(サポート要件)について 申立人は、本件特許発明1~9は、(A)成分の(メタ)アクリロイル基を有する化合物にオリゴマーを含み、本件特許明細書【0023】に「良好な硬化速度および作業性(塗布時における適度な流動性)を得るという観点から、・・・好ましくは、「オリゴマー」は、重量平均分子量が、1,000以上、100,000以下であるものであると好ましい。」と記載されているが、実施例に示される光硬化性樹脂組成物の粘度を参酌すると、オリゴマーの重量平均分子量が5,000程度以下であれば、実用的な作業性が得られるとされる50Pa・s未満になることが推認できるが、オリゴマーの重量平均分子量が大きくなれば組成物の粘度も高くなることは技術常識であるため、5,000~100,000の場合にも課題を解決できると推認することはできず、粘度が50Pa・s以上の光硬化性樹脂組成物を包含している本件特許発明1~9は、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えている旨主張している。 しかしながら、本件特許明細書【0025】に「(A)成分は、25℃雰囲気下で液体(液状)である(すなわち、流動性を有する)ことが好ましい。具体的には、塗布する際の作業性を良好にするために、EHD型回転粘度計を用いて測定される25℃における粘度が50Pa・s以下であると好ましく、40Pa・s以下であるとより好ましい(下限:1mPa・s)。」と記載されており、当業者であれば、塗布する際の作業性を考慮して、好ましくは粘度が50Pa・s以下の光硬化性樹脂組成物を採用することで、本件特許発明の課題を解決できることを理解できるから、申立人の上記主張は採用できない。 (4)申立理由2-2(サポート要件)について 申立人は、(C)成分の平均粒子径3~21μmに関して、実施例及び比較例のマットコート評価について、実施例5(15μm)の「△」と、比較例1(22μm)の「×」とから、比較例1の数値に近い21μmの場合に「△」になるとは認識できず、実施例7(4μm)の「△」と、比較例2(2.2μm)の「×」とから、実施例7と比較例2のほぼ中間値である3μmの場合に「△」となるとは認識することができないから、課題を解決できるとは認識できない範囲を包含している本件特許発明1及び3~9は、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えている旨主張している。 しかしながら、上記(2)でも述べたとおり、本件特許明細書には、(C)成分の平均粒子径の好ましい範囲とその理由が記載されており、申立人が指摘する比較例は、むしろ数値範囲の臨界的意義を示したものと解するのが自然である。 そして、申立人は、マットコート評価が「×」に近い数値は「△」とは認識できないという以外、平均粒子径3~21μmの範囲内の場合に課題が解決できないという具体的な理由を示していないから、申立人の上記主張は採用できない。 (5)申立理由2-3(サポート要件)について 申立人は、(C)成分の平均粒子径3~21μmに関して、マットコート評価が「×」である比較例2(2.2μm)と比較例1(22μm)とを、重量比1:1で混合した場合、平均粒子径は、3~21μmの範囲内である蓋然性が高いが、比較例1及び比較例2の評価を参酌すると、これらを混合した粒子を用いた場合のマットコートの評価も「×」になると推認されるから、課題を解決できるとは認識できない範囲を包含している本件特許発明1~9は、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えている旨主張している。 しかしながら、本件特許明細書【0057】に「なお、本明細書中、「平均粒子径」とは、レーザー回折式粒度分布測定機で粒度分布を測定することにより求められる、積算体積50%粒子径の値をいう。」と記載されているとおり、本件特許発明における平均粒子径とは、粒度分布がシャープな粒子径を意味しているのではなく、粒度分布がブロードな粒子径を意味していることが理解できるから、仮に、申立人の主張するような粒子の集合であっても、平均粒子径が3~21μmの範囲にあれば、課題を解決できると認識できるといえる。 そして、申立人は、単に仮説を述べているだけで、具体的な理由を示していないから、申立人の上記主張は採用できない。 (6)小括 以上のとおりであるから、申立理由2-1(サポート要件)~申立理由2-3(サポート要件)は、いずれも理由がない。 第5 むすび したがって、申立人の特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1~9に係る発明の特許を取り消すことはできない。 また、他に請求項1~9に係る発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2022-700735

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