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特許異議申立

2022-700712

発動制御装置

審判番号
2022-700712
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2021-035064
登録番号
7012178
請求日
2022年07月25日
審決日
2023年08月31日
公報発行日
2023年12月28日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】株式会社ヨコオ
  • 【権利者代理人】黒田 泰
  • 【権利者代理人】竹腰 昇
  • 【権利者代理人】井上 一
  • 【異議申立人】古川 慎二
審判長/審判官
  • 審判長 前川 慎喜
  • 審判官 土屋 真理子
  • 審判官 佐藤 史彬
分類
P1651.113-YAA(E05B) / P1651.121-YAA(E05B)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条、特許法第120条の5第5項、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第4項、特許法第120条の5第2項、特許法第120条の8第1項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7012178号発明「発動制御装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7012178号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-4〕について訂正することを認める。 特許第7012178号の請求項1、4に係る特許を維持する。 特許第7012178号の請求項2、3に係る特許異議の申立てを却下する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7012178号(以下「本件特許」という。)に係る特許出願は、平成30年7月25日に出願した特願2018-139177号の一部を令和3年3月5日に新たな特許出願としたものであって、令和4年1月19日にその特許権の設定登録がされ、同年同月27日に特許掲載公報が発行されたものであり、その後の特許異議の申立ての経緯は以下のとおりである。 令和4年 7月25日 特許異議申立人古川 慎二(以下「申立人」 という。)による請求項1~4に係る発明の 特許に対する特許異議の申立て 同年10月14日付け 取消理由通知 同年12月 8日 意見書及び訂正請求書の提出(特許権者) 令和5年 4月17日付け 取消理由通知(決定の予告) 同年 6月16日 意見書及び訂正請求書の提出(特許権者) そして、令和5年6月26日付けで申立人に対し、訂正の請求があった旨の通知をするとともに、相当の期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが(特許法120条の5第5項)、申立人から意見書は提出されなかった。 なお、令和5年6月16日に訂正請求がなされたことにより、令和4年12月8日にした訂正請求は、特許法120条の5第7項の規定により取り下げられたものとみなす。 第2 訂正の適否についての判断 1 訂正の内容 令和5年6月16日提出の訂正請求書による訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は以下のとおりである(下線は訂正箇所を示す。)。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に、 「 を備え、前記押し下げ機構部が作動することで、前記ドア解錠ボタンを押し下げた場合には前記車両電子キーからドア解錠信号を発信させ、前記ドア施錠ボタンを押し下げた場合には前記車両電子キーからドア施錠信号を発信させる、発動制御装置。」 と記載されているのを、 「 を備え、前記押し下げ機構部が作動することで、前記ドア解錠ボタンを押し下げた場合には前記車両電子キーからドア解錠信号を発信させ、前記ドア施錠ボタンを押し下げた場合には前記車両電子キーからドア施錠信号を発信させ、 前記車両を使用するユーザが携帯する情報担持媒体から取得された第1の認証情報と、外部サーバから取得された前記ユーザの第2の認証情報と、に基づき前記ユーザが前記車両を使用する正規の使用者であるか否かを判断する実行制御に従って前記押し下げ機構部を作動させる制御を行い、 前記情報担持媒体は、前記車両電子キーの前記ドア解錠ボタンと前記ドア施錠ボタンに対する操作指示を行うための操作画面を表示するものであり、 前記第1の認証情報と前記第2の認証情報とに基づき前記正規の使用者であると判断した前記実行制御の後の前記車両の使用中においては、近距離無線通信を介して受信した前記情報担持媒体からの前記ユーザによる前記操作画面の操作指示に基づいて前記押し下げ機構部を作動させる制御を行う、 発動制御装置。」 に訂正する。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2を削除する。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項3を削除する。 (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項4に 「 請求項1~3の何れか一項に記載の発動制御装置。」と記載されているのを、 「 請求項1に記載の発動制御装置。」に訂正する。 2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 (1)訂正事項1について ア 訂正の目的 訂正事項1に係る訂正は、押し下げ機構部の作動に関し、その制御について、 「前記車両を使用するユーザが携帯する情報担持媒体から取得された第1の認証情報と、外部サーバから取得された前記ユーザの第2の認証情報と、に基づき前記ユーザが前記車両を使用する正規の使用者であるか否かを判断する実行制御に従って前記押し下げ機構部を作動させる制御を行」うこと(以下、便宜上「訂正事項1A」という。)を特定し、 「前記情報担持媒体は、前記車両電子キーの前記ドア解錠ボタンと前記ドア施錠ボタンに対する操作指示を行うための操作画面を表示するものであ」ること(同様に、「訂正事項1B」という。)を特定するとともに、 「前記第1の認証情報と前記第2の認証情報とに基づき前記正規の使用者であると判断した前記実行制御の後の前記車両の使用中においては、近距離無線通信を介して受信した前記情報担持媒体からの前記ユーザによる前記操作画面の操作指示に基づいて前記押し下げ機構部を作動させる制御を行う」こと(同様に、「訂正事項1C」という。)を特定して限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とする。 イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項1は、上記アのとおり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 ウ 新規事項の有無 (ア)訂正事項1Aについて 訂正前の請求項3には、「前記外部サーバは、前記車両を使用するユーザの第2の認証情報を管理しており、前記ユーザが携帯する情報担持媒体から取得された第1のユーザ認証情報と、前記外部サーバから取得された前記情報である前記第2の認証情報とに基づく実行制御に従って前記押し下げ機構部を作動させる制御を行う」と記載され、願書に添付した明細書(以下「本件明細書」といい、特許請求の範囲及び図面と併せて「本件明細書等」という。)の段落【0037】には、「対象車両予約情報管理部331は、管理サーバ70から車両1(当該車両ドア制御装置30が設置された車両)に係る予約情報850(図10参照)を取得する制御を行い、対象車両予約情報380として管理する。」と記載され、同【0071】には、「・・・図10に示すように、1つの予約情報850は、第2のユーザ認証情報としての予約番号851及び予約パスワード852と、許可日時情報としての予約期間データ853と、使用者データ856と、使用車両データ858とを格納する。」と記載され、同【0087】には、「・・・ユーザ端末50から、第1のユーザ認証情報(端末予約情報590)という所与の情報の取得がなされた場合・・・管理サーバ70から取得した対象車両予約情報380と、ユーザ端末50から取得した端末予約情報590とに基づいて車両の使用許否判定を行い、合格と判定した場合に発動制御部31に発動制御を行わせることができる。したがって、正規の使用者かどうかを判断した上で、車両ドア19の解錠を適正に行うことが可能となる。」と記載されており、「前記車両を使用するユーザが携帯する情報担持媒体から取得された第1の認証情報と、外部サーバから取得された前記ユーザの第2の認証情報と、に基づ」く実行制御が「前記ユーザが前記車両を使用する正規の使用者であるか否かを判断する」ものであることは明らかである。 したがって、訂正事項1Aに係る訂正は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではなく、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。 (イ)訂正事項1Bについて 本件明細書の段落【0095】には、[変形例2]として、「また、乗車手続きの後、返却手続きがされるまでの間は、ドア解錠ボタン11及びドア施錠ボタン13に対する操作指示をユーザ端末50にて受け付けるようにしてもよい。例えば、各ボタン11,13の操作指示を行うための操作画面を表示することで実現できる。」と記載されており、訂正事項1Bに係る訂正は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではなく、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。 (ウ)訂正事項1Cについて 本件明細書の段落【0095】には、「乗車手続きの後、返却手続きがされるまでの間は、ドア解錠ボタン11及びドア施錠ボタン13に対する操作指示をユーザ端末50にて受け付けるようにしてもよい。・・・当該操作指示を受け付けたときには、操作情報を近距離無線通信で車両ドア制御装置30に送信処理する。一方、車両ドア制御装置30では、各ボタン11,13の操作情報を受信すると、発動実行制御部335が発動制御部31に解錠発動制御を行わせ、或いは発動制御部31に施錠発動制御を行わせる。」と記載されている。 そして、「乗車手続きの後、返却手続きがされるまでの間」は「車両の使用中」であることは明らかであり、訂正事項1Cに係る訂正は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではなく、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。 (2)訂正事項2、3について 訂正事項2及び3に係る訂正は、それぞれ、訂正前の請求項2及び3を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とし、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであることは明らかである。 (3)訂正事項4について 訂正事項4に係る訂正は、訂正事項2及び訂正事項3によって請求項2及び3が削除されたことに伴い、請求項4が引用する請求項を「請求項1~3の何れか一項」から「請求項1」とするものであるから、特許請求の範囲の減縮及び明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、この訂正が、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであることは明らかである。 3 一群の請求項について 本件訂正前の請求項2ないし4は、本件訂正前の請求項1を直接又は間接的に引用しているところ、本件訂正前の請求項1及び同請求項1を直接又は間接的に引用する請求項2ないし4は、特許法120条の5第4項に規定する一群の請求項であり、訂正事項1~4の訂正は、当該一群の請求項〔1-4〕に対し請求されたものである。 4 まとめ 以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号及び3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条9項において準用する同法126条5項及び6項の規定に適合する。 したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-4〕について訂正することを認める。 第3 訂正後の本件特許発明 上記第2のとおり、本件訂正は認められるから、本件特許の請求項1及び4に係る発明(以下、それぞれ「本件訂正発明1」及び「本件訂正発明4」いう。)は、本件訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1及び4に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。 「【請求項1】 車両に設置される発動制御装置であって、 前記車両のドア解錠ボタンとドア施錠ボタンとを有する車両電子キーが取り付けられる取り付け部と、 前記取り付け部に取り付けられた前記車両電子キーの前記ドア解錠ボタンと前記ドア施錠ボタンとを押し下げ可能な押し下げ機構部と、 を備え、前記押し下げ機構部が作動することで、前記ドア解錠ボタンを押し下げた場合には前記車両電子キーからドア解錠信号を発信させ、前記ドア施錠ボタンを押し下げた場合には前記車両電子キーからドア施錠信号を発信させ、 前記車両を使用するユーザが携帯する情報担持媒体から取得された第1の認証情報と、外部サーバから取得された前記ユーザの第2の認証情報と、に基づき前記ユーザが前記車両を使用する正規の使用者であるか否かを判断する実行制御に従って前記押し下げ機構部を作動させる制御を行い、 前記情報担持媒体は、前記車両電子キーの前記ドア解錠ボタンと前記ドア施錠ボタンに対する操作指示を行うための操作画面を表示するものであり、 前記第1の認証情報と前記第2の認証情報とに基づき前記正規の使用者であると判断した前記実行制御の後の前記車両の使用中においては、近距離無線通信を介して受信した前記情報担持媒体からの前記ユーザによる前記操作画面の操作指示に基づいて前記押し下げ機構部を作動させる制御を行う、 発動制御装置。」 「【請求項4】 前記押し下げ機構部は、前記ドア解錠ボタンと前記ドア施錠ボタンとを別個に押し下げる押し下げ部を有し、 ドア解錠時にドア解錠ボタン用の押し下げ部を作動させ、ドア施錠時にドア施錠ボタン用の押し下げ部を作動させる、 請求項1に記載の発動制御装置。」 第4 特許異議申立理由及び取消理由通知(決定の予告)で通知した取消理由の概要 1 特許異議申立理由の概要 申立人は、本件訂正前の本件特許の請求項1ないし4に係る発明に対して、次の特許異議申立理由を申し立てている。 (1)新規性 ア 請求項1は、甲第1号証に記載された発明である。 イ 請求項1ないし4は、甲第2号証に記載された発明である。 (2)進歩性 ア 請求項1は、甲第1号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 イ 請求項2及び3は、甲第1号証に記載された発明及び甲第3号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 ウ 請求項1ないし4に係る発明は、甲第2号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 エ 請求項1ないし4に係る発明は、甲第2号証及び甲第3号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 よって、請求項1ないし4に係る特許は、特許法29条1項及び2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。 (3)証拠 申立人が提出した証拠は、以下のとおり。 甲第1号証 特開2003-307063号公報 甲第2号証 独国特許出願公開第102005059061号明細書 甲第3号証 特開2004-190233号公報 以下、甲第1号証を「甲1」等ということがある。 2 取消理由通知(決定の予告)で通知した取消理由の概要 令和4年12月8日提出の訂正請求書により訂正された特許請求の範囲の請求項1及び4に係る特許に対して、当審が令和5年4月17日付けで特許権者に通知した取消理由の概要は、次のとおりである。 (1)請求項1及び4に係る発明は、甲第2号証に記載された発明である。 (2)請求項1及び4に係る発明は、甲第2号証に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 よって、請求項1ないし4に係る特許は、特許法29条1項及び2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。 第5 当審の判断 1 証拠の記載 (1)甲1 ア 甲1の記載 甲1には次の事項が記載されている(下線は当審で付した。以下同様。)。 (ア)「【0016】この構成においては、車両購入時に供給される車両既存の純正のキーレスエントリ発信機(以下、単に純正品という。)が発生する車両ドアの施解錠を行う信号を送信機の受信部に入力すると、送信機がこの信号の内容を学習し、以後の車両ドアの施解錠の制御の際に使用することから、通常のキーレスエントリ機能を搭載した車両であればその車種を問わず純正品が発生する信号と同一の信号が送信機から発せられるため、送信機とともに純正品を携帯することが不要になり使用の便宜が図られる。」 (イ)「【0037】つまり、純正品が発する信号を送信機10aの受信部14に入力してその内容を記憶部31に記憶させることにより純正品を常時携帯する必要なく、送信機10aのみの操作で車載本体1の記憶部15の記憶内容の更新および車両ドア20施解錠の制御が可能になる。このように、送信機10aの信号送信操作と純正品の信号送信操作とを同時に行い、これらの操作を分離させないことにより、車両ドア20の施錠をしたが車載本体の記憶部15が記憶している内容を施錠状態にするのを忘れた等により車両ドア20を施錠したが車載本体1は解錠状態のままにされているといった防犯上好ましくない状態を回避することができる。」 (ウ)「【0052】本実施形態で使用される車載本体1は、図3に示すように、純正品110が装着される装着部8および送信機10bのロックボタンやアンロックボタンを含む任意の操作ボタン(当審合議体注:左記「ロックボタンやアンロックボタンを含む任意の操作ボタン」は、図3をふまえ、「純正品110」のボタンと解される。)を選択的に押圧する作用部7を備えている。」 (エ)「【0056】よって、本実施形態によれば、純正品の信号を複写できない場合等においても、送信機10bにより車載本体1の記憶部15内の車両ドア20の状態についての内容を更新すると同時に、操作部7が純正品のロックボタンやアンロックボタンを押圧して車両ドア20の施解錠の制御を行うことが可能になるため、好適に本発明の実施をすることが可能になる。」(当審合議体注:左記「操作部7」は番号「7」が同じであることから「作用部7」の誤記であるとし、以下、「作用部」と表記する。) イ 甲1に記載された発明 上記アからみて、甲1には、次の発明が記載されていると認められる。 (甲1発明) 「車両既存の純正のキーレスエントリ発信機である純正品が装着される装着部および純正品のロックボタンやアンロックボタンを含む任意の操作ボタンを選択的に押圧する作用部を備え、 作用部が純正品のロックボタンやアンロックボタンを押圧して車両ドアの施解錠の制御を行うことが可能になる、 車載本体。」 (2)甲2 ア 甲2の記載 甲2には、以下の事項が記載されている。(訳は、申立人の添付した翻訳文を参考にして当審において付与した。) (ア)「 [図:0001404753000001.jpg] 」 (訳:(54)発明の名称:車両を開放するための方法及び装置) (イ)「 [図:0001404753000002.jpg] 」 (訳:[0001] この発明は、車両の標準キーであって無線で開信号を送信するか車両から送信される信号を開信号に変換する標準キーによりコントロールされる開信号により遠隔制御される施解錠可能なドアロックによりロック可能な車両を開放するための方法に関する。) (ウ)「 [図:0001404753000003.jpg] 」 (訳:[0025] 本発明の特に好ましい発展形態は、一時的な使用許可に関連して使用される。この目的のために、車両は、特定のユーザの使用許可を記憶する外部データ処理部に一時的または継続的に接続されることができる。 補助送信機からの信号を受信すると、車両はまず、送信側ユーザが実際にその使用を許可されているかどうかをチェックすることができる。このチェックも、多数の方法で行うことができる: ・ユーザは、一時的にワゴンの使用を許可される。この目的のために、その補助送信機からの信号は、ユーザを識別するための情報も含む。データベースを比較し、この特定のユーザが許可されていると判定した後、起動手段が起動される。 ・ユーザは、定期的に特定の時間に車両を使用する資格を有する。この場合、スケジュールは、車両電子機器またはキーボックスに恒久的に格納することができ、その結果、ユーザIDが送信された後、起動は、時間ウィンドウ内で行われるか、またはこの時間ウィンドウ外で拒否される。 ・ユーザは一時的にのみ使用を許可されるが、時間は補助送信機の信号に符号化される。これは、信号を復号するためにデータ処理から復号テーブルをダウンロードすることを必要とし得る。車両において時間が比較され、起動手段が車両を開くかどうかを車両電子機器またはキーボックスによって決定することができる。) (エ)「 [図:0001404753000004.jpg] 」 (訳:[0030] 車両使用許可のためのデータは、補助送信器を介して車両の開放の要求が受信されたときにオンラインで呼び出すことができる。しかし、本発明の別の実施形態では、一人のまたは複数の運転者に対するデータを、特定の時点で、外部データ処理から取り出し、車両に格納する。これにより、例えば地下駐車場の車両に達しないことにより外部データ処理部とのコンタクトがされず、開放がなされないことを防止することができる。) (オ)「 [図:0001404753000005.jpg] 」 (訳:[0040] 図1には、車両1の開放方法が示されている。キー2は、拡大されて示されたキーボックス4内に配置されており、このボックスは、ここでは引出し6を有しているので、キー2は取り外し可能である。) (カ)「 [図:0001404753000006.jpg] [図:0001404753000007.jpg] 」 (訳:[0041] キーボックス4内で、キー2は、所定の位置に配置され、不正確に挿入されないように、収容部内に配置されている。このために、キーボックス4内の収容部は、相応の形状、特にキー2のネガティブ形状を有している。全てのキー2において一義的な位置を可能にするために、付加的な構成部分がキー2に、キーが対称的な場合には、特にその頭部に配置され得る。これは、例えば、キー2に接着された片側突出小板であってもよい。これにより、キー2の押ボタンが下向きになることが防止される。) (キ)「 [図:0001404753000008.jpg] 」 (訳:[0042] 車両ユーザは、補助送信機5を介して車両1に信号を送信する。これは、ここでは圧力要素8として形成される起動手段を任意に使用して、プリントヘッドを作動させて中央ロックシステムを作動させ、したがって車両を開くか、または最初に外部データ処理部7とのコンタクトを確立することができ、外部データ処理部には、特に要求信号を送信したユーザが車両を使用することを許可されているかどうかのさらなるデータを記憶することができる。この比較および正当性の検証の肯定的な結果の後、圧力要素8が作動される。) (ク)「 [図:0001404753000009.jpg] 」 (訳:[0043] 圧力要素8は、単純なリニアモータを介して、または電磁的に操作することができる。圧力要素8が伸長された後、公知の通常のキー2から、開信号3が送出される。キーボックス4は、車両1の内部および外部に配置することができるが、車両1からの盗難を防止するために、車両1の内部に配置することが好ましい。必要に応じて、車両1の内部にキーボックス4を配置し、外部に1または複数のキーボックス4を配置することもでき、その場合、キーは、キーボックス4の1つに選択的に挿入することができる。) (ケ)「 [図:0001404753000010.jpg] 」 (訳:[0044] 図2および図3は、図1のキーボックス4が拡大して示している。図示のキーボックス4は、車両1を開放するため及びロックするための2の圧力要素8を有する。この方法は、降車した運転者または外部データ処理部7のいずれかから遠隔操作によるロックにも用いることができる。) (コ)Fig.2は次のものである。 [図:0001404753000011.jpg] (サ)上記(カ)の「キーボックス4内で、キー2は、」「収容部内に配置されている」との記載、上記(ケ)の「キーボックス4は、車両1を開放するため及びロックするための2の圧力要素8を有する」との記載を踏まえると、Fig.2からは、車両を開放するため及びロックのための2つの圧力ヘッドがキー2に設けられており、収容部内に配置されたキー2の車両を開放するための圧力ヘッドとロックのための2つの圧力ヘッドとを、2の圧力要素8が押し下げ可能であることが看取される。 イ 甲2に記載された発明 上記アからみて、甲2には、次の発明が記載されていると認められる。 (甲2発明) 「施解錠可能なドアロックによりロック可能な車両において、([0001]) 車両1の内部に、キーボックス4が配置され、([0043]) キーボックス4は、車両1を開放するため及びロックするための2の圧力要素8を有し、([0044]) キーボックス4内で、キー2は、収容部内に配置されており、([0041]) 車両を開放するため及びロックのための2つの圧力ヘッドがキー2に設けられており、収容部内に配置されたキー2の車両を開放するための圧力ヘッドとロックのための2つの圧力ヘッドとを、2の圧力要素8が押し下げ可能であり、([0041],[0044],Fig.2) 圧力要素8が伸長された後、キー2から、開信号3が送出され、([0043]) 車両ユーザは、補助送信機5を介して車両1に信号を送信し、外部データ処理部には、要求信号を送信したユーザが車両を使用することを許可されているかどうかのデータを記憶し、この比較および正当性の検証の肯定的な結果の後、圧力要素8が作動され、([0042]) 車両使用許可のためのデータは、特定の時点で、外部データ処理から取り出し、車両に格納することができ、([0030]) 車両を開くかどうかをキーボックスによって決定することができ、([0025]) 降車した運転者の遠隔操作によるロックにも用いることができる、([0044])、 車両を開放する装置。」 (3)甲3 ア 甲3の記載 甲3には、以下の事項が記載されている。 (ア)「【0021】 図1は、第1及び第2の実施形態に係る自動車電子鍵システム100の構成を示す。自動車電子鍵システム100は、カーシェアリング等の一台の車両を複数人で使用するサービスにおいて円滑な車両運営を実現することを目的とする。自動車電子鍵システム100は、自動車200の開錠を制御する自動車電子鍵システム100(当審合議体注:左記の「自動車200の開錠を制御する自動車電子鍵システム100」は、図1をふまえ、「車載装置10」の誤記と認める。)と、自動車200を開錠する電子鍵として機能する利用者端末120と、ネットワーク80を介して利用者端末120及び車載装置10と接続され、電子鍵の鍵データを発行する鍵サーバ50とを主に備える。鍵サーバ50は、本実施形態に係るカーシェアリングサービスを提供する運営会社132によって運用される。」 (イ)「【0038】 車載装置10は、鍵サーバ50から車載鍵を受信して格納する車載鍵格納部20と、利用者端末120から端末鍵を受信したときに、車載鍵格納部20に格納された車載鍵と利用者端末120から受信した端末鍵とがいずれも利用可能期間内であって、かつ照合の結果、認証が成立することを条件にして、自動車200を開錠する開錠部22とを有する。なお、利用可能期間の情報は、車載鍵及び端末鍵のデータ内に含まれてもよいし、別ファイルとして車載鍵及び端末鍵と共に配信されてもよい。」 イ 甲3に記載された技術事項 上記アからみて、甲3には、次の技術事項(以下「甲3技術事項」という。)が記載されていると認められる。 (甲3技術事項) 「自動車の開錠を制御する車載装置と、自動車を開錠する電子鍵として機能する利用者端末と、ネットワークを介して利用者端末及び車載装置と接続され、電子鍵の鍵データを発行する鍵サーバとを備える自動車電子鍵システムにおいて、 車載装置は、鍵サーバから車載鍵を受信して車載鍵格納部に格納し、利用者端末から端末鍵を受信したときに、車載鍵格納部に格納された車載鍵と利用者端末から受信した端末鍵とがいずれも利用可能期間内であって、かつ照合の結果、認証が成立することを条件にして、自動車を開錠すること。」 2 取消理由(決定の予告)において通知した取消理由について (1)本件訂正発明1について ア 対比 本件訂正発明1と甲2発明とを対比する。 (ア)甲2発明の「車両を開放するため及びロックのための2つの圧力ヘッド」が「設けられ」た「キー2」は、本件訂正発明1の「車両のドア解錠ボタンとドア施錠ボタンとを有する車両電子キー」に相当し、甲2発明の「キー2」が「配置され」る「キーボックス4」内の「収容部」は、本件訂正発明1の「車両電子キーが取り付けられる取り付け部」に相当する。 (イ)甲2発明の「収容部内に配置されたキー2の車両を開放するための圧力ヘッドとロックのための2つの圧力ヘッド」を、「押し下げ可能」な「2の圧力要素8」は、本件訂正発明1の「前記取り付け部に取り付けられた前記車両電子キーの前記ドア解錠ボタンと前記ドア施錠ボタンとを押し下げ可能な押し下げ機構部」に相当する。 (ウ)上記(イ)の対比を踏まえると、甲2発明において「圧力要素8」が伸長して「キー2から、開信号3が送出され」るのが、「キー2の車両を開放するための圧力ヘッド」が「押し下げ」られたときであることは自明であり、甲2発明は、本件訂正発明1の「前記押し下げ機構部が作動することで、前記ドア解錠ボタンを押し下げた場合には前記車両電子キーからドア解錠信号を発信させ」ることに相当する構成を備える。また、同様に「圧力要素8」が「ロックのため」の「圧力ヘッド」を「押し下げ」れば、キー2から閉信号が送出されることは自明であり、甲2発明は、本件訂正発明1の「前記押し下げ機構部が作動することで」、「前記ドア施錠ボタンを押し下げた場合には前記車両電子キーからドア施錠信号を発信させ」ることに相当する構成を備える。 (エ)甲2発明の「車両使用許可のためのデータ」が「特定の時点で、外部データ処理から取り出」されて「車両に格納」された場合において、「車両ユーザ」が「補助送信機5を介して車両1に信号を送信し」、「外部データ処理」が「記憶」していた「要求信号を送信したユーザが車両を使用することを許可されているかどうかのデータ」との「比較および正当性の検証の肯定的な結果の後、圧力要素8が作動され」ることは、本件訂正発明1の「前記車両を使用するユーザが携帯する情報担持媒体から取得された第1の認証情報と、外部サーバから取得された前記ユーザの第2の認証情報と、に基づき前記ユーザが前記車両を使用する正規の使用者であるか否かを判断する実行制御に従って前記押し下げ機構部を作動させる制御を行」うことに相当する。 (オ)甲2発明の「降車した運転者の遠隔操作によるロック」は、「補助送信機5を介して車両1に信号を送信し」て「外部データ処理」が「記憶」していた「要求信号を送信したユーザが車両を使用することを許可されているかどうかのデータ」との「比較および正当性の検証の肯定的な結果の後、圧力要素8が作動され」て車両が開放された後に行われること、及び、「遠隔操作によるロック」が「補助送信機5を介して車両1に信号を送信し」て、「圧力要素8」が「ロックのため」の「圧力ヘッド」を「押し下げ」ることによりなされることは自明であり、このことは、本件訂正発明1の「前記第1の認証情報と前記第2の認証情報とに基づき前記正規の使用者であると判断した前記実行制御の後の前記車両の使用中においては、近距離無線通信を介して受信した前記情報担持媒体からの前記ユーザによる前記操作画面の操作指示に基づいて前記押し下げ機構部を作動させる制御を行う」と「前記第1の認証情報と前記第2の認証情報とに基づき前記正規の使用者であると判断した前記実行制御の後の前記車両の使用中においては、前記情報担持媒体からの操作情報に基づいて前記押し下げ機構部を作動させる制御を行う」ことで共通する。 (カ)上記(ア)ないし(オ)の対比を踏まえると、甲2発明の「車両1の内部」に、「配置され」る、「収容部」と「車両1を開放するため及びロックするための2の圧力要素8」とを有し、「車両を開くかどうか」を「決定することができ」る「キーボックス4」は、本件訂正発明1の「車両に設置される発動制御装置」に相当する。 (キ)そうすると、本件訂正発明1と甲2発明とは、以下の一致点、相違点を有する。 (一致点) 車両に設置される発動制御装置であって、 前記車両のドア解錠ボタンとドア施錠ボタンとを有する車両電子キーが取り付けられる取り付け部と、 前記取り付け部に取り付けられた前記車両電子キーの前記ドア解錠ボタンと前記ドア施錠ボタンとを押し下げ可能な押し下げ機構部と、 を備え、前記押し下げ機構部が作動することで、前記ドア解錠ボタンを押し下げた場合には前記車両電子キーからドア解錠信号を発信させ、前記ドア施錠ボタンを押し下げた場合には前記車両電子キーからドア施錠信号を発信させ、 前記車両を使用するユーザが携帯する情報担持媒体から取得された第1の認証情報と、外部サーバから取得された前記ユーザの第2の認証情報とに基づく実行制御に従って前記押し下げ機構部を作動させる制御を行い、 前記第1の認証情報と前記第2の認証情報とに基づく実行制御の後の前記車両の使用中においては、前記情報担持媒体からの操作情報に従って前記押し下げ機構部を作動させる制御を行う、 発動制御装置。 (相違点1) 本件訂正発明1は、「前記情報担持媒体は、前記車両電子キーの前記ドア解錠ボタンと前記ドア施錠ボタンに対する操作指示を行うための操作画面を表示するものであり」、車両の使用中における「前記情報担持媒体からの操作情報」が「近距離無線通信を介して受信した前記情報担持媒体からの前記ユーザによる前記操作画面の操作指示」によって得られるものであるのに対し、甲2発明は、そのように特定されていない点。 イ 判断 (ア)新規性について 上記相違点1は、実質的な相違点であるから、本件訂正発明1は、甲2に記載された発明ではない。 (イ)進歩性について 申立人が証拠として提出したいずれの証拠にも、上記相違点1に係る事項は記載も示唆もされておらず、本件訂正発明1は、甲2発明及び甲1ないし甲3に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 ウ 小括 よって、本件訂正発明1は、甲2に記載された発明ではない。 また、本件訂正発明1は、甲2発明及び甲1ないし甲3に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (2)本件訂正発明4について 本件訂正発明4は、本件訂正発明1の構成を全て有し、さらに構成を付加したものであるところ、本件訂正発明1は、甲2に記載された発明ではなく、甲2発明及び甲1ないし甲3に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではないから、本件訂正発明4も、甲2に記載された発明ではなく、甲2発明及び甲1ないし甲3に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 3 取消理由(決定の予告)において通知しなかった異議申立理由について (1)本件訂正発明1について ア 対比 本件訂正発明1と甲1発明とを対比すると、少なくとも、以下の点で相違する。 (相違点1’) 本件訂正発明1は、「前記情報担持媒体は、前記車両電子キーの前記ドア解錠ボタンと前記ドア施錠ボタンに対する操作指示を行うための操作画面を表示するものであり」、車両の使用中における「前記情報担持媒体からの操作情報」が「近距離無線通信を介して受信した前記情報担持媒体からの前記ユーザによる前記操作画面の操作指示」によって得られるものであるのに対し、甲1発明は、そのように特定されていない点。 イ 判断 (ア)新規性について 上記相違点1’は、実質的な相違点であるから、本件訂正発明1は、甲1に記載された発明ではない。 (イ)進歩性について 上記相違点1’は、上記2(1)ア(キ)の相違点1と同様の点であり、上記2(1)イ(イ)において検討したとおり、申立人が証拠として提出したいずれの証拠にも、上記相違点1’に係る事項は記載も示唆もされていない。そうすると、本件訂正発明1は、甲1発明及び甲2ないし甲3に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 ウ 小括 よって、本件訂正発明1は、甲1に記載された発明ではない。 また、本件訂正発明1は、甲1発明及び甲2ないし甲3に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 第6 むすび 以上のとおり、本件訂正発明1及び4に係る特許は、取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては取り消すことはできない。また、他に本件訂正発明1及び4に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 また、請求項2、3に係る特許は、上記のとおり、訂正により削除された。これにより、申立人による特許異議の申し立てについて、請求項2、3に係る申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法120条の8第1項で準用する同法135条の規定により却下する。 よって、結論のとおり決定する。

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2022-700712

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