特許異議申立
2021-701176
制御装置、サーバシステム、及び車両管理システム
- 審判番号
- 2021-701176
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2018-139177
- 登録番号
- 6890107
- 請求日
- 2021年12月13日
- 審決日
- 2024年03月08日
- 公報発行日
- 2024年06月28日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】株式会社ヨコオ
- 【権利者代理人】黒田 泰
- 【権利者代理人】竹腰 昇
- 【権利者代理人】井上 一
- 【異議申立人】岡林 茂
- 審判長/審判官
- 審判長 住田 秀弘
- 審判官 土屋 真理子
- 審判官 西田 秀彦
- 分類
- P1651.113-YAA(E05B) / P1651.121-YAA(E05B)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法120条の8第1項特許法135条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条、特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第7項、特許法第36条、特許法第120条の8第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第6890107号発明「制御装置、サーバシステム、及び車両管理システム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第6890107号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1、〔2-8、10、11〕、9について訂正することを認める。
特許第6890107号の請求項1~8、10、11に係る特許を維持する。
特許第6890107号の請求項9に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第6890107号の請求項1ないし11に係る特許についての出願は、平成30年7月25日に出願され、令和3年5月26日にその特許権の設定登録がされ、同年6月18日に特許掲載公報が発行されたものであり、その後の特許異議の申立ての経緯は以下のとおりである。
令和3年12月13日 特許異議申立人岡林 茂(以下「申立人」と
いう。)による請求項1ないし11に係る発
明の特許に対する特許異議の申立て
令和4年 2月25日付け 取消理由通知書
同年 5月 2日 特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
同年 8月12日付け 取消理由通知書(決定の予告)
同年10月17日 特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
同年12月15日付け 訂正拒絶理由通知書
令和5年 1月20日 特許権者による意見書及び手続補正書の提出
同年 5月15日付け 取消理由通知書(決定の予告)
同年 7月14日 特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
同年10月27日付け 取消理由通知書(決定の予告)
同年12月21日 特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
申立人に対し、令和6年1月4日付けで特許権者より提出された訂正の請求について期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、申立人からは何らの応答もなかった。
なお、令和5年12月21日に訂正請求書が提出されたことにより、令和4年5月2日、同年10月17日及び令和5年7月14日提出の訂正請求書による訂正の請求は、特許法第120条の5第7項の規定により取り下げられたものとみなす。
第2 訂正の適否
1 訂正の内容
令和5年12月21日に提出された訂正請求書による訂正の請求(以下「本件訂正請求」という。)の内容(以下「本件訂正」という。)は以下のとおりである。(下線は、訂正箇所を示す。)
(1)一群の請求項1~8,10,11に係る訂正
ア 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に、
「
前記車両のドア解錠信号を発信する回路部を有する車両電子キー又は前記回路部が取り付けられることで、前記ドア解錠信号を前記回路部から発信させる発動制御が可能な発動制御部と、
」と記載されているのを、
「
前記車両のドア解錠信号を発信する回路部を有する車両電子キーから取り外された当該回路部が配線接続されることで、前記ドア解錠信号を前記回路部から発信させる発動制御が可能な発動制御部と、
」に訂正する。
イ 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2に、
「
車両に設置される制御装置であって、
前記車両のドア解錠信号を発信する回路部を有する車両電子キー又は前記回路部が取り付けられることで、前記ドア解錠信号を前記回路部から発信させる発動制御が可能な発動制御部と、
所与の情報を取得する第1の取得制御部と、
前記第1の取得制御部による前記所与の情報の取得がなされた場合に、前記発動制御部に前記発動制御を行わせる実行制御部と、
を備え、
前記車両電子キーは、前記車両のドア解錠ボタンを有し、
前記発動制御部は、所定位置に取り付けられた前記車両電子キーの前記ドア解錠ボタンを押し下げる押し下げ機構部を有し、当該押し下げ機構部を作動させることで前記発動制御を行う、
制御装置。
」と記載されているのを、
「
複数のユーザが共同で使用することができる一の車両に設置される制御装置であって、
前記車両のドア解錠信号及びドア施錠信号を発信する回路部を有する車両電子キーが取り付けられることで、前記ドア解錠信号及び前記ドア施錠信号を前記回路部から発信させる発動制御が可能な発動制御部と、
少なくとも前記車両を使用する使用ユーザを特定する第1のユーザ認証情報を取得する第1の取得制御部と、
前記使用ユーザを含む前記車両の使用予約をした予約ユーザ毎の予約期間データ及び第2のユーザ認証情報を含む予約情報を管理するサーバシステムから前記予約ユーザ毎の予約情報を取得する第2の取得制御部と、
前記第1の取得制御部による前記第1のユーザ認証情報の取得がなされた場合に、前記発動制御部に前記発動制御を行わせる実行制御部と、
を備え、
前記車両電子キーは、前記車両のドア解錠ボタン及びドア施錠ボタンを有するものであり、
前記発動制御部は、所定位置に取り付けられた前記車両電子キーの前記ドア解錠ボタン及び前記ドア施錠ボタンを別個に押し下げる押し下げ機構部を有し、当該押し下げ機構部を作動させて前記回路部に前記ドア解錠ボタン又は前記ドア施錠ボタンが押し下げられたことを検知させることで前記ドア解錠信号又は前記ドア施錠信号を発信させる前記発動制御を行い、
前記実行制御部は、前記第1のユーザ認証情報と前記予約情報とに基づく前記車両の使用許否判定の結果に応じて、前記発動制御部に前記発動制御を行わせ、
前記車両の使用許否判定は、前記第1のユーザ認証情報と前記第2のユーザ認証情報とが適合するか否かを判定する第1適合判定と、現在日時が前記車両の予約期間に適合するか否かを判定する第2適合判定と、を含み、
前記実行制御部は、前記車両の返却時には、前記第2適合判定を省略して行われる前記車両の使用許否判定の結果に応じて、前記発動制御部に前記発動制御を行わせる、
制御装置。
」に訂正する。(請求項2の記載を引用する請求項3~8,10,11も同様に訂正する。)
ウ 訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3に、
「
前記第1の取得制御部は、前記車両を使用するユーザが携帯する情報担持媒体からユーザ認証に使用する第1のユーザ認証情報を前記所与の情報として取得し、
前記第1の取得制御部による前記第1のユーザ認証情報の取得がなされた場合に、前記第1のユーザ認証情報に基づいて前記車両の使用許否判定を行う使用許否判定部、を更に備え、
前記実行制御部は、前記第1の取得制御部による前記第1のユーザ認証情報の取得がなされて前記使用許否判定部により合格と判定された場合に、前記発動制御部に前記発動制御を行わせる、
請求項1又は2に記載の制御装置。
」と記載されているうち、請求項2を引用するものについて、
「
前記第1の取得制御部は、前記車両を使用する使用ユーザが携帯する情報担持媒体からユーザ認証に使用する前記第1のユーザ認証情報を取得し、
前記第1の取得制御部による前記第1のユーザ認証情報の取得がなされた場合に、前記第1のユーザ認証情報に基づいて前記車両の使用許否判定を行う使用許否判定部、を更に備え、
前記実行制御部は、前記第1の取得制御部による前記第1のユーザ認証情報の取得がなされて前記使用許否判定部により合格と判定された場合に、前記発動制御部に前記発動制御を行わせる、
請求項2に記載の制御装置。
」に訂正する。(請求項3の記載を引用する請求項4~8,10,11も同様に訂正する。)
エ 訂正事項4
特許請求の範囲の請求項4に、
「
前記情報担持媒体は、前記近距離無線通信のための通信回路を有し、
」と記載されているのを、
「
前記情報担持媒体は、前記近距離無線通信のための通信回路を有するものであり、
」に訂正する。(請求項4の記載を引用する請求項5~8,10,11も同様に訂正する。)
オ 訂正事項5
特許請求の範囲の請求項6に、
「
前記ユーザの第2のユーザ認証情報を管理するサーバシステムに通信接続して前記第2のユーザ認証情報を取得する第2の取得制御部、
を更に備え、
前記使用拒否判定部は、前記第1の取得制御部により取得された前記第1のユーザ認証情報と、前記第2の取得制御部により取得された前記第2のユーザ認証情報と、に基づいて前記車両の使用許否判定を行う、
請求項3~5の何れか一項に記載の制御装置。
」と記載されているのを、
「
前記第2の取得制御部は、前記サーバシステムに通信接続して前記予約情報を取得し、
前記使用許否判定部は、前記第1の取得制御部により取得された前記第1のユーザ認証情報と、前記第2の取得制御部により取得された前記予約情報と、に基づいて前記車両の使用許否判定を行う、
請求項3~5の何れか一項に記載の制御装置。
」に訂正する。(請求項6の記載を引用する請求項7,8,10,11も同様に訂正する。)
カ 訂正事項6
特許請求の範囲の請求項7に、
「
前記サーバシステムは、前記第2のユーザ認証情報と関連付けて、前記ユーザによる前記車両の使用を許可する日時を示す許可日時情報を管理し、
前記第2の取得制御部は、前記サーバシステムから前記第2のユーザ認証情報及び前記許可日時情報を取得し、
前記実行制御部は、前記使用許否判定を行う日時が前記許可日時情報に適合し、且つ、前記第1のユーザ認証情報と前記第2のユーザ認証情報とが適合する場合に合格と判定する前記使用許否判定を行う、
請求項6に記載の制御装置。
」と記載されているのを、
「
前記サーバシステムは、前記第2のユーザ認証情報と関連付けて、前記予約ユーザによる前記車両の使用を許可する使用日時を設定した許可日時情報である前記予約期間データを管理し、
前記実行制御部は、前記第2適合判定を行う現在日時が前記許可日時情報に適合し、且つ、前記第1適合判定によって前記第1のユーザ認証情報と前記第2のユーザ認証情報とが適合すると判定された場合に合格と判定する前記使用許否判定の結果に応じて前記発動制御部に前記発動制御を行わせる、
請求項6に記載の制御装置。
」に訂正する。(請求項7の記載を引用する請求項8,10,11も同様に訂正する。)
キ 訂正事項8
特許請求の範囲の請求項10に、
「
第2のユーザ認証情報を管理するサーバシステムであって、請求項6又は7に記載の制御装置からの要求に応じて前記第2のユーザ認証情報を提供するサーバシステム。
」と記載されているのを、
「
前記予約情報を管理するサーバシステムであって、請求項6又は7に記載の制御装置からの要求に応じて前記予約情報を提供するサーバシステム。
」に訂正する。
ク 訂正事項9
特許請求の範囲の請求項11に、
「
前記第2のユーザ認証情報を管理するサーバシステムであって、前記制御装置からの要求に応じて前記第2のユーザ認証情報を提供するサーバシステムと、
」と記載されているのを、
「
前記予約情報を管理するサーバシステムであって、前記制御装置からの要求に応じて前記予約情報を提供するサーバシステムと、
」に訂正する。
ケ 一群の請求項及び別の訂正単位とする求めについて
訂正前の請求項1~8、10、11について、請求項3~8、10、11は、請求項1を直接又は間接的に引用するものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものであり、また、請求項3~8、10、11は、請求項2を直接又は間接的に引用するものであって、訂正事項2によって記載が訂正される請求項2に連動して訂正されるものであるから、訂正前の請求項1~8、10、11に対応する訂正後の請求項1~8、10、11は一群の請求項であって、訂正事項1~6、8、9に係る訂正は、一群の請求項1~8、10、11についてするものである。
特許権者は、訂正後の請求項1についての訂正が認められる場合には、請求項1を一群の請求項の他の請求項とは別途訂正することを求めている。
(2)請求項9に係る訂正
ア 訂正事項7
特許請求の範囲の請求項9を削除する。
2 訂正の適否についての判断
(1)一群の請求項1~8、10、11に係る訂正について
ア 訂正事項1について
(ア)訂正の目的
訂正事項1に係る訂正は、訂正前の請求項1に「前記車両のドア解錠信号を発信する回路部を有する車両電子キー又は前記回路部が取り付けられる」と記載されており、取り付けられる対象が「車両電子キー」または「前記回路部」であり、「取り付けられる」態様についても特定されていなかったものを、取り付けられる対象を「回路部」であって、「車両電子キーから取り外された」ものに特定し、また、「取り付けられる」態様について「配線接続される」と特定して限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)新規事項の有無
願書に添付した明細書(以下「本件明細書」といい、特許請求の範囲及び図面と併せて「本件明細書等」という。)の【0030】に「発動制御部31は、・・・キー回路部15からドア解錠信号を発信させる制御(以下、「解錠発動制御」という)・・・を発動制御として行う。・・・具体的には、発動制御部31は、ドア解錠信号・・・の発信を含む回路動作を行う制御回路311を有し、車両電子キー10から取り出したキー回路部15が取り付けられることで、上記発動制御が可能となる。・・・本実施形態では、車両電子キー10からキー回路部15を取り出した上で、キー回路部15に実装されている車両電子キー10の各ボタンに対応するスイッチ回路151それぞれを制御回路311と配線接続することによって、当該キー回路部15が発動制御部31に取り付けられる」と記載されており、訂正事項1に係る訂正は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
(ウ)特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項1に係る訂正は、上記(ア)のとおり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
イ 訂正事項2について
(ア)訂正の目的
訂正事項2に係る訂正は、
a 「制御装置」が「設置される」「車両」について、訂正前の請求項2においては「車両」が何ら特定されていなかったものを、「複数のユーザが共同で使用することができる一の車両」に特定して限定し、
b 訂正前の請求項2において回路部が発信する信号について、「ドア解錠信号」を「ドア解錠信号及びドア施錠信号」とし、すなわち、回路部がドア解錠信号に加え「ドア施錠信号」をも発信することを特定して限定するとともに、発動制御についても、「前記ドア解錠信号を前記回路部から発信させる」を「前記ドア解錠信号及び前記ドア施錠信号を前記回路部から発信させる」とすることにより、回路部からドア解錠信号に加え「ドア施錠信号」をも発信させることを特定して限定するとともに記載を整合し、
c 訂正前の請求項2において「前記車両のドア解錠信号を発信する回路部を有する車両電子キー又は前記回路部が取り付けられる」と記載されており、取り付けられる対象が「回路部を有する車両電子キー」または「前記回路部」の2の選択肢のいずれかであったものから、「回路部」の選択肢を削除して「回路部を有する車両電子キーが取り付けられる」と特定して限定し、
d 「第1の取得制御部」が「取得」する「情報」について、訂正前の請求項2において「所与の情報」とされていたものを、与えられる「情報」が「少なくとも前記車両を使用する使用ユーザを特定する第1のユーザ認証情報」であることを特定して限定し、
e 「制御装置」が「第1の取得制御部」に加えて「前記使用ユーザを含む前記車両の使用予約をした予約ユーザ毎の予約期間データ及び第2のユーザ認証情報を含む予約情報を管理するサーバシステムから前記予約ユーザ毎の予約情報を取得する第2の取得制御部」を備えることを特定して限定し、
f 訂正事項2のうち上記dに係る訂正において「第1の取得制御部」が「取得」する「情報」が「所与の情報」から「第1のユーザ認証情報」に特定して限定されたのに伴って、訂正前の請求項2において「前記第1の取得制御部による前記所与の情報の取得がなされた場合」と記載されていたもののうち「前記所与の情報」を「前記第1のユーザ認証情報」と特定して限定するとともに記載を整合させ、
g 訂正前の請求項2において「前記車両電子キーは、前記車両のドア解錠ボタンを有し、前記発動制御部は、・・・前記ドア解錠ボタンを押し下げる押し下げ機構部を有し、」ていたものを、車両電子キーが「ドア解錠ボタン」とともに「ドア施錠ボタンを有するものであり」、「発動機構部」が有する「押し下げ機構部」が「前記ドア解錠ボタン及び前記ドア施錠ボタンを別個に」押し下げることを特定して限定し、
h 当該押し下げ機構部を作動させることで行う発動制御について、「当該押し下げ機構部を作動させて前記回路部に前記ドア解錠ボタン又は前記ドア施錠ボタンが押し下げられたことを検知させることで前記ドア解錠信号又は前記ドア施錠信号を発信させる前記発動制御を行い、」とすることによって、発動制御に伴う押し下げ機構部の作動、ドア解錠ボタン又は前記ドア施錠ボタンの押し下げ、回路部による検知とドア解錠信号又はドア施錠信号を発信の関係を特定して限定し、
i 実行制御部について、「前記実行制御部は、前記第1のユーザ認証情報と前記予約情報とに基づく前記車両の使用許否判定の結果に応じて、前記発動制御部に前記発動制御を行わせ、前記車両の使用許否判定は、前記第1のユーザ認証情報と前記第2のユーザ認証情報とが適合するか否かを判定する第1適合判定と、現在日時が前記車両の予約期間に適合するか否かを判定する第2適合判定と、を含」むこと、及び、「前記実行制御部は、前記車両の返却時には、前記第2の適合判定を省略して行われる前記車両の使用許否判定の結果に応じて、前記発動制御部に前記発動制御を行わせる、」ことをさらに特定して限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮及び明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
(イ)新規事項の有無
上記(ア)aに係る訂正について、本件明細書の段落【0021】には、「本実施形態では、車両管理システム100として、複数のユーザが車両1を共同で使用することができるカーシェアリングサービスに係る管理システムへの適用例を示す。」と記載され、
上記(ア)bに係る訂正について、本件明細書の段落【0024】には、「車両電子キー10は、回路部としてのキー回路部15を内蔵する」と記載され、同段落【0025】には、「当該キー回路部15が行う回路動作は、(1)ドア解錠ボタン11の押し下げを検知してドア解錠信号を発信することと、(2)ドア施錠ボタン13の押し下げを検知してドア施錠信号を発信すること、とを含む。」と記載され、同段落【0026】には、「当該ユーザ端末50のユーザによる車両1の使用を許可する場合には、ドア解錠信号を車両電子キー10のキー回路部15から発信させる発動制御を行って、車両ドア19を解錠させる。また、ユーザは、予約期間の終了までに車両1を返却するが、その際には、解錠時と同様の要領でユーザ認証を行った上で、車両ドア19を施錠させる」と記載され、
上記(ア)cに係る訂正は、「回路部を有する車両電子キー」または「前記回路部」の2の選択肢から「前記回路部」を削除したものであるから、新規事項を追加しないことは明白であり、
上記(ア)dに係る訂正について、本件明細書の段落【0036】には、「第1の取得制御としての端末予約情報取得制御部333」と記載され、同段落【0077】には、「端末予約情報取得制御部333が、ユーザ端末50から送信された端末予約情報を受信処理して取得する」と記載され、同段落【0057】には、「1つの端末予約情報590は、予約番号591及び予約パスワード592を含む、所与の情報であって第1のユーザ認証情報の一例である。また、本実施形態では、端末予約情報590は、管理サーバ70が管理する予約情報850(図10を参照)の全項目が送信されるため、・・・使用者データ594と、・・・を含む。」と記載され、同段落【0071】には、「使用者データ856は、ユーザID857を含む。」と記載されており、
上記(ア)eに係る訂正について、本件明細書の段落【0036】には、「第2の取得制御部としての対象車両予約情報管理部331」と記載され、同段落【0037】には、「対象車両予約情報管理部331は、管理サーバ70から車両1(当該車両ドア制御装置30が設置された車両)に係る予約情報850(図10参照)を取得する制御を行い、対象車両予約情報380として管理する。」と記載され、同段落【0057】には、「管理サーバ70が管理する予約情報850」と記載され、同段落【0071】には、「予約情報DB85は、・・・各ユーザによる使用予約毎の予約情報850を蓄積する。・・・1つの予約情報850は、第2のユーザ認証情報としての予約番号851及び予約パスワード852と、許可日時情報としての予約期間データ853と、使用者データ856と、使用車両データ858とを格納する。予約期間データ853は、使用開始日時854と使用終了日時855とを格納する。使用者データ856は、ユーザID857を含む。使用車両データ858は、車両ID859を含む。」と記載されており、
上記(ア)fに係る訂正について、本件明細書の段落【0036】には、「第1の取得制御としての端末予約情報取得制御部333」と記載され、同段落【0039】には、「発動実行制御部335は、発動制御部31による発動制御の実行を制御する。この発動実行制御部335は、車両1の使用許否判定を行う使用許否判定部337を備え、使用許否判定部337が合格と判定した場合に、発動制御部31に発動制御を行わせる。・・・端末予約情報取得制御部333が・・・端末予約情報を取得した際に、・・・端末予約情報を用いた使用許否判定を行う。」と記載され、同段落【0040】には、「端末予約情報・・・は、ユーザ認証情報として、予約番号と、予約パスワードとを含む。」と記載され、
上記(ア)gに係る訂正について、本件明細書の段落【0024】には、「車両電子キー10は、車両ドア19を解錠するためのドア解錠ボタン11と、車両ドア19を施錠するためのドア施錠ボタン13とを前面に配置して備える。」と記載され、段落【0092】には、「押し下げ機構部315は、車両電子キー10のドア解錠ボタン11及びドア施錠ボタン13を別個に押し下げるための押し下げ部を備える。」と記載され、
上記(ア)hに係る訂正について、同段落【0025】には、「当該キー回路部15が行う回路動作は、(1)ドア解錠ボタン11の押し下げを検知してドア解錠信号を発信することと、(2)ドア施錠ボタン13の押し下げを検知してドア施錠信号を発信すること、とを含む。」と記載され、同段落【0093】には、「使用許否判定の合格判定時に押し下げ機構部315を作動させることで、発動制御の実行を制御する。具体的には、車両ドア19の解錠時はドア解錠ボタン11の押し下げ部を押し下げ動作させて、ドア解錠信号を発信させる。一方、車両ドア19の施錠時には、ドア施錠ボタン13の押し下げ部を押し下げ動作させてドア施錠信号を発信させる。」と記載され、
上記(ア)iに係る訂正について、本件明細書の段落【0026】には、「使用許否判定は、ユーザ端末50との近距離無線通信で取得した端末予約情報を、管理サーバ70から配信された車両1に係る予約情報と照合することで行う。その結果合格と判定し、当該ユーザ端末50のユーザによる車両1の使用を許可する場合には、ドア解錠信号を車両電子キー10のキー回路部15から発信させる発動制御を行って、車両ドア19を解錠させる。」と記載され、同段落【0037】には、「対象車両予約情報管理部331は、管理サーバ70から車両1(当該車両ドア制御装置30が設置された車両)に係る予約情報850(図10参照)を取得する制御を行い、対象車両予約情報380として管理する。」と記載され、同段落【0077】には、「一方、車両ドア制御装置30では、端末予約情報取得制御部333が、ユーザ端末50から送信された端末予約情報を受信処理して取得する(ステップS223)。そして、端末予約情報を取得したら、発動実行制御部335において使用許否判定部337が、使用許否判定として先ず、第1の適合判定を行う(ステップS225)。ここでは、対象車両予約情報380を参照し、ステップS223で取得した端末予約情報と予約番号が同じで予約パスワードも同じ対象車両予約情報380がある場合に、ユーザ認証情報が適合すると判定する。」と記載され、同段落【0078】には、「第1の適合判定で適合すると判定した対象車両予約情報380があったときには(ステップS227:YES)、使用許否判定部337は、続いて第2の適合判定を行う(ステップS229)。ここでは、ステップS225で適合すると判定した対象車両予約情報380に従って、その使用日時に現在日時が適合するか否かを判定する。適合すると判定した場合は、使用許否判定を合格と判定する。」と記載され、同段落【0085】には、「・・・端末予約情報を取得したならば、例えば、ステップS225と同様の要領で第1の適合判定を行い(ステップS243)、第1の適合判定で適合すると判定した対象車両予約情報380があったときには(ステップS245:YES)、ステップS229と同様の要領で第2の適合判定を行う(ステップS247)。そして、第2の適合判定で適合すると判定した場合に(ステップS249)、発動実行制御部335が、発動制御部31に施錠発動制御を行わせる(ステップS251)。・・・なお、ステップS243の第2の適合判定については省略し、ステップS247での第1の適合判定(つまりユーザ認証)のみ行う構成としてもよい。」と記載されている。
したがって、訂正事項2に係る訂正は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものであるから、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。
(ウ)特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項2に係る訂正は、上記(ア)のとおり、特許請求の範囲の減縮及び明瞭でない記載の釈明を目的とするものであるから、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
ウ 訂正事項3について
(ア)訂正の目的
訂正事項3に係る訂正は、訂正前の請求項3が請求項1又は2を引用していたものを、請求項1は引用せず、請求項2のみを引用するものとするとともに、訂正事項2に係る訂正により、訂正前の請求項2において「所与の情報」を「少なくとも前記車両を使用する使用ユーザを特定する第1のユーザ認証情報」と訂正するのに整合するために、訂正前の請求項3の「ユーザ」を「使用ユーザ」と訂正し、また、訂正前の請求項3の「第1のユーザ認証情報を前記所与の情報として取得し」を「前記第1のユーザ認証情報を取得し」と訂正するものであるから、特許請求の範囲の減縮及び明瞭でない記載の釈明を目的とする。
(イ)新規事項の有無
本件明細書の段落【0036】には、「第1の取得制御としての端末予約情報取得制御部333」と記載され、同段落【0077】には、「端末予約情報取得制御部333が、ユーザ端末50から送信された端末予約情報を受信処理して取得する」と記載され、同段落【0057】には、「1つの端末予約情報590は、予約番号591及び予約パスワード592を含む、所与の情報であって第1のユーザ認証情報の一例である。また、本実施形態では、端末予約情報590は、管理サーバ70が管理する予約情報850(図10を参照)の全項目が送信されるため、・・・使用者データ594と、・・・を含む。」と記載され、同段落【0071】には、「使用者データ856は、ユーザID857を含む。」と記載されており、訂正事項3に係る訂正は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
(ウ)特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項3に係る訂正は、上記(ア)のとおり、特許請求の範囲の減縮及び明瞭でない記載の釈明を目的とするものであるから、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
エ 訂正事項4について
訂正事項4に係る訂正は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、訂正前の請求項4において「有し」と記載されていたのを「有するものであり」とするだけのものであるから、新規事項を追加するものではなく、特許請求の範囲を実質上拡張し、又は変更するものでもない。
オ 訂正事項5について
(ア)訂正の目的
a 訂正事項5に係る訂正のうち、訂正前の請求項6の「前記ユーザの第2のユーザ認証情報を管理するサーバシステムに通信接続して前記第2のユーザ認証情報を取得する第2の取得制御部、を更に備え、」との記載を削除し、「前記第2の取得制御部は、前記サーバシステムに通信接続して前記予約情報を取得し、」との記載を追加する訂正は、訂正事項2により訂正前の請求項2において「制御装置」が「第1の取得部」に加えて「前記使用ユーザを含む前記車両の使用予約をした予約ユーザ毎の予約期間データ及び第2のユーザ認証情報を含む予約情報を管理するサーバシステムから前記予約ユーザ毎の予約情報を取得する第2の取得制御部」を備えることを特定するとともに、訂正事項3において訂正前の請求項3が請求項1又は2を引用していたものを請求項2のみとしたことにより、訂正後には、請求項3、請求項3を引用する請求項4、請求項3または請求項4を引用する請求項5のいずれかを引用する訂正後の請求項6が、訂正後の請求項2の「前記使用ユーザを含む前記車両の使用予約をした予約ユーザ毎の予約期間データ及び第2のユーザ認証情報を含む予約情報を管理するサーバシステムから前記予約ユーザ毎の予約情報を取得する第2の取得制御部」「を備え」る構成を訂正後の請求項6が具備するものとなったことに伴い、訂正後の請求項6においては「前記ユーザの第2のユーザ認証情報を管理するサーバシステムに通信接続して前記第2のユーザ認証情報を取得する第2の取得制御部、を更に備え、」との構成を記載しないものとし、訂正前の請求項6に記載されており、訂正後の請求項2~5において特定されていない第2のユーザ認証情報の取得の態様について「前記第2の取得制御部は、前記サーバシステムに通信接続して前記予約情報を取得し、」との特定を追加したものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とする。
b 訂正事項5に係る訂正のうち、訂正前の請求項6の「前記使用拒否判定部」を「前記使用許否判定部」とする訂正は、請求項6が引用する請求項3に「使用許否判定部」と記載され、請求項6においては、本来、「前記」された「使用許否判定部」であることから「前記使用許否判定部」と記載すべきところ、訂正前の請求項6において「前記使用拒否判定部」とされていたものを、「前記使用許否判定部」とするものであるから、誤記の訂正を目的とする。
c 訂正事項5に係る訂正のうち、訂正前の請求項6の「前記第2の取得制御部により取得された前記第2のユーザ認証情報」を「前記第2の取得制御部により取得された前記予約情報」とする訂正は、第2の取得制御部により取得される情報が、訂正前の請求項6において「前記第2のユーザ認証情報」であったところ、訂正事項2により訂正前の請求項2において「制御装置」が「第1の取得部」に加えて「前記使用ユーザを含む前記車両の使用予約をした予約ユーザ毎の予約期間データ及び第2のユーザ認証情報を含む予約情報を管理するサーバシステムから前記予約ユーザ毎の予約情報を取得する第2の取得制御部」を備えることが特定され、「第2の取得制御部」が取得するのが「第2のユーザ認証情報を含む」「予約情報」とされたことに整合するためのものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とする。
(イ)新規事項の有無
上記(ア)bについて、訂正前の請求項3に「使用許否判定部」と記載され、上記(ア)cについて、本件明細書の段落【0036】には、「第2の取得制御部としての対象車両予約情報管理部331」と記載され、同段落【0037】には、「対象車両予約情報管理部331は、管理サーバ70から車両1(当該車両ドア制御装置30が設置された車両)に係る予約情報850(図10参照)を取得する制御を行い、対象車両予約情報380として管理する。」と記載され、同段落【0057】には、「管理サーバ70が管理する予約情報850」と記載され、同段落【0071】には、「予約情報DB85は、・・・各ユーザによる使用予約毎の予約情報850を蓄積する。・・・1つの予約情報850は、第2のユーザ認証情報としての予約番号851及び予約パスワード852と、許可日時情報としての予約期間データ853と、使用者データ856と、使用車両データ858とを格納する。予約期間データ853は、使用開始日時854と使用終了日時855とを格納する。使用者データ856は、ユーザID857を含む。使用車両データ858は、車両ID859を含む。」と記載されており、訂正事項5に係る訂正は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
(ウ)特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項5に係る訂正は、上記(ア)のとおり、誤記の訂正及び明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、請求項6に係る発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
カ 訂正事項6について
(ア)訂正の目的
a 訂正事項6のうち、請求項7において「前記サーバシステム」が「前記第2のユーザ認証情報と関連付けて」「管理」する情報について、訂正前の請求項7において「前記ユーザによる前記車両の使用を許可する日時を示す許可日時情報」としていたものを「前記予約ユーザによる前記車両の使用を許可する使用日時を設定した許可日時情報である前記予約期間データ」とする訂正は、訂正事項2により訂正前の請求項2において「制御装置」が「第1の取得部」に加えて「前記使用ユーザを含む前記車両の使用予約をした予約ユーザ毎の予約期間データ及び第2のユーザ認証情報を含む予約情報を管理するサーバシステムから前記予約ユーザ毎の予約情報を取得する第2の取得制御部」を備えることを特定するものとなったことに整合するために「ユーザ」を「予約ユーザ」とするとともに、「前記車両の使用を許可する日時を示す許可日時情報」を「前記車両の使用を許可する使用日時を設定した許可日時情報である前記予約期間データ」として、記載を整合するとともに限定するものであるから、明瞭でない記載の釈明及び特許請求の範囲の減縮を目的とする。
b 訂正事項6のうち、訂正前の請求項7の「前記第2の取得制御部は、前記サーバシステムから前記第2のユーザ認証情報及び前記許可日時情報を取得し、」との記載を削除する訂正は、上記オ(ア)aにおいて検討したのと同様の理由により、請求項6を引用する請求項7が、訂正により、訂正後の請求項2の「前記使用ユーザを含む前記車両の使用予約をした予約ユーザ毎の予約期間データ及び第2のユーザ認証情報を含む予約情報を管理するサーバシステムから前記予約ユーザ毎の予約情報を取得する第2の取得制御部」「を備え」る構成を具備するものとなったことに伴い、訂正後の請求項7においては「前記第2の取得制御部は、前記サーバシステムから前記第2のユーザ認証情報及び前記許可日時情報を取得し、」を記載しないものとするものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とする。
c 訂正事項6のうち、訂正前の請求項7の「前記実行制御部は、前記使用許否判定を行う日時が前記許可日時情報に適合し、且つ、前記第1のユーザ認証情報と前記第2のユーザ認証情報とが適合する場合に合格と判定する前記使用許否判定を行う、」との記載を「前記実行制御部は、前記第2適合判定を行う現在日時が前記許可日時情報に適合し、且つ、前記第1適合判定によって前記第1のユーザ認証情報と前記第2のユーザ認証情報とが適合すると判定された場合に合格と判定する前記使用許否判定の結果に応じて前記発動制御部に前記発動制御を行わせる、」とする訂正は、訂正事項2により訂正前の請求項2において、「前記実行制御部は、前記第1のユーザ認証情報と前記予約情報とに基づく前記車両の使用許否判定の結果に応じて、前記発動制御部に前記発動制御を行わせ、前記車両の使用許否判定は、前記第1のユーザ認証情報と前記第2のユーザ認証情報とが適合するか否かを判定する第1適合判定と、現在日時が前記車両の予約期間に適合するか否かを判定する第2適合判定と、を含み、」と特定されたことに伴い、訂正前の請求項7において「日時が前記許可日時情報に適合」するのが「使用許否判定」のうちの「第2適合判定」であり、日時が「現在日時」であることを特定して限定し、訂正前の請求項7において「合格と判定する」のが、「前記第2適合判定を行う現在日時が前記許可日時情報に適合し、且つ、前記第1適合判定によって前記第1のユーザ認証情報と前記第2のユーザ認証情報とが適合すると判定された場合」であることを特定して限定し、さらに、訂正前の請求項7においては合格と判定する前記使用許否判定「の結果に応じて前記発動制御部に前記発動制御を行わせる」ことを確認的に記載するものであるから、明瞭でない記載の釈明及び特許請求の範囲の減縮を目的とする。
(イ)新規事項の有無
本件明細書の段落【0057】には、「管理サーバ70が管理する予約情報850」と記載され、同段落【0071】には、「予約情報DB85は、・・・各ユーザによる使用予約毎の予約情報850を蓄積する。・・・1つの予約情報850は、第2のユーザ認証情報としての予約番号851及び予約パスワード852と、許可日時情報としての予約期間データ853と、使用者データ856と、使用車両データ858とを格納する。予約期間データ853は、使用開始日時854と使用終了日時855とを格納する。」と記載され、同段落【0040】には、「先ず、予約番号と予約パスワードの組み合わせが一致するか否かの第1の適合判定をユーザ認証として行い、端末予約情報との比較でその組み合わせが一致する対象車両予約情報380があれば、当該対象車両予約情報380についてユーザ認証情報が適合すると判定する。そして、適合すると判定した対象車両予約情報380があったときには、続いて第2の適合判定を行い、当該対象車両予約情報380の予約期間データに従って、その使用日時に現在日時が適合するか否かを判定する。例えば、現在日時が使用開始日時から使用終了日時までの期間内の場合、適合すると判定する。・・・最終的に、適合する対象車両予約情報380がある場合に、当該使用許否判定の結果を合格とする。」と記載され、同段落【0041】に「・・・そして、使用許否判定部337が合格と判定したならば、電源供給制御部313にキー回路部15への電源供給制御を行わせる。これにより、使用許否判定部337が使用許否判定の結果を合格と判定するとキー回路部15に電源が供給され、キー回路部15の回路動作が可能な状態とされる。また、解錠発動制御が行われることで、キー回路部15からドア解錠信号が発信されることとなる。」と記載されており、訂正事項6に係る訂正は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。
(ウ)特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項6に係る訂正は、上記(ア)のとおり、明瞭でない記載の釈明及び特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
キ 訂正事項8について
(ア)訂正の目的
訂正事項8に係る訂正は、訂正前の請求項10に「前記第2のユーザ認証情報を管理するサーバシステム」と記載されていたのを、「前記予約情報を管理するサーバシステム」とし、同様に「前記第2のユーザ認証情報を提供するサーバシステム」と記載されていたのを「前記予約情報を提供するサーバシステム」とするものであり、当該訂正は、訂正事項2により訂正前の請求項2において「制御装置」が「第1の取得部」に加えて「前記使用ユーザを含む前記車両の使用予約をした予約ユーザ毎の予約期間データ及び第2のユーザ認証情報を含む予約情報を管理するサーバシステムから前記予約ユーザ毎の予約情報を取得する第2の取得制御部」を備えることを特定するものとなったことに整合するために「第2のユーザ認証情報」を「予約情報」と訂正したものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とする。
(イ)新規事項の有無
本件明細書の段落【0057】には、「管理サーバ70が管理する予約情報850」と記載され、同段落【0071】には、「予約情報DB85は、・・・各ユーザによる使用予約毎の予約情報850を蓄積する。・・・1つの予約情報850は、第2のユーザ認証情報としての予約番号851及び予約パスワード852と、許可日時情報としての予約期間データ853と、使用者データ856と、使用車両データ858とを格納する。予約期間データ853は、使用開始日時854と使用終了日時855とを格納する。使用者データ856は、ユーザID857を含む。使用車両データ858は、車両ID859を含む。」と記載されており、訂正事項8に係る訂正は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
(ウ)特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項8に係る訂正は、上記(ア)のとおり、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであるから、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
ク 訂正事項9について
(ア)訂正の目的
訂正事項9に係る訂正は、訂正前の請求項11に「前記第2のユーザ認証情報を管理するサーバシステム」と記載されていたのを、「前記予約情報を管理するサーバシステム」とし、同様に「前記第2のユーザ認証情報を提供するサーバシステム」と記載されていたのを「前記予約情報を提供するサーバシステム」とするものであり、当該訂正は、訂正事項2により訂正前の請求項2において「制御装置」が「第1の取得部」に加えて「前記使用ユーザを含む前記車両の使用予約をした予約ユーザ毎の予約期間データ及び第2のユーザ認証情報を含む予約情報を管理するサーバシステムから前記予約ユーザ毎の予約情報を取得する第2の取得制御部」を備えることを特定するものとなったことに整合するために「第2のユーザ認証情報」を「予約情報」と訂正したものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とする。
(イ)新規事項の有無
本件明細書の段落【0057】には、「管理サーバ70が管理する予約情報850」と記載され、同段落【0071】には、「予約情報DB85は、・・・各ユーザによる使用予約毎の予約情報850を蓄積する。・・・1つの予約情報850は、第2のユーザ認証情報としての予約番号851及び予約パスワード852と、許可日時情報としての予約期間データ853と、使用者データ856と、使用車両データ858とを格納する。予約期間データ853は、使用開始日時854と使用終了日時855とを格納する。使用者データ856は、ユーザID857を含む。使用車両データ858は、車両ID859を含む。」と記載されており、訂正事項9に係る訂正は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
(ウ)特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項9に係る訂正は、上記(ア)のとおり、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであるから、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
ケ 一群の請求項1~8,10、11に係る訂正についてのまとめ
以上のとおりであるから、請求項1~8,10、11に係る訂正事項1ないし6、8、9に係る訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号~3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条9項で準用する同法126条5項及び6項の要件を満たしている。
コ 一群の請求項、別の訂正単位とする求めについて
(ア)一群の請求項について
訂正前の請求項1~8、10、11について、請求項3~8、10、11は、請求項1を直接又は間接的に引用するものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものであり、また、請求項3~8、10、11は、請求項2をも直接又は間接的に引用するものであって、訂正事項2によって記載が訂正される請求項2に連動して訂正されるものであるから、訂正前の請求項1~8、10、11に対応する訂正後の請求項1~8、10、11は一群の請求項であって、訂正事項1~6、8、9に係る訂正は、一群の請求項1~8、10、11についてするものである。
(イ)別の訂正単位とする求めについて
特許権者は、訂正後の請求項1については、当該請求項についての訂正が認められる場合には、一群の請求項の他の請求項とは別途訂正することを求めているところ、上記のとおり、訂正後の請求項1~8、10、11についての訂正は認められるので、請求項1を一群の請求項の他の請求項とは別途訂正することを認める。
(2)請求項9について
ア 訂正事項7について
訂正事項7に係る訂正は、訂正前の請求項9を削除する訂正であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、新規事項を追加するものではなく、特許請求の範囲を実質上拡張し、又は変更するものでもない。
イ 請求項9に係る訂正についてのまとめ
以上のとおりであるから、訂正事項7に係る訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条9項で準用する同法126条5項及び6項の要件を満たしている。
(3)訂正の適否についての判断のまとめ
以上検討したとおり、本件訂正は適法になされたものであるから、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1、〔2-8、10、11〕、9について本件訂正のとおり訂正することを認める。
第3 本件発明
上記第2で示したとおり、本件訂正請求による訂正は認められるので、本件訂正後の請求項1~11に係る発明(以下「本件発明1」等という。)は、以下のとおりである。
【請求項1】
車両に設置される制御装置であって、
前記車両のドア解錠信号を発信する回路部を有する車両電子キーから取り外された当該回路部が配線接続されることで、前記ドア解錠信号を前記回路部から発信させる発動制御が可能な発動制御部と、
所与の情報を取得する第1の取得制御部と、
前記第1の取得制御部による前記所与の情報の取得がなされた場合に、前記発動制御部に前記発動制御を行わせる実行制御部と、
を備え、
前記発動制御部は、前記車両電子キーに設けられたドア解錠ボタンが押し下げられた時に当該押し下げを検知するために前記回路部に設けられた検知回路を検知状態とすることで前記発動制御を行う、
制御装置。
【請求項2】
複数のユーザが共同で使用することができる一の車両に設置される制御装置であって、
前記車両のドア解錠信号及びドア施錠信号を発信する回路部を有する車両電子キーが取り付けられることで、前記ドア解錠信号及び前記ドア施錠信号を前記回路部から発信させる発動制御が可能な発動制御部と、
少なくとも前記車両を使用する使用ユーザを特定する第1のユーザ認証情報を取得する第1の取得制御部と、
前記使用ユーザを含む前記車両の使用予約をした予約ユーザ毎の予約期間データ及び第2のユーザ認証情報を含む予約情報を管理するサーバシステムから前記予約ユーザ毎の予約情報を取得する第2の取得制御部と、
前記第1の取得制御部による前記第1のユーザ認証情報の取得がなされた場合に、前記発動制御部に前記発動制御を行わせる実行制御部と、
を備え、
前記車両電子キーは、前記車両のドア解錠ボタン及びドア施錠ボタンを有するものであり、
前記発動制御部は、所定位置に取り付けられた前記車両電子キーの前記ドア解錠ボタン及び前記ドア施錠ボタンを別個に押し下げる押し下げ機構部を有し、当該押し下げ機構部を作動させて前記回路部に前記ドア解錠ボタン又は前記ドア施錠ボタンが押し下げられたことを検知させることで前記ドア解錠信号又は前記ドア施錠信号を発信させる前記発動制御を行い、
前記実行制御部は、前記第1のユーザ認証情報と前記予約情報とに基づく前記車両の使用許否判定の結果に応じて、前記発動制御部に前記発動制御を行わせ、
前記車両の使用許否判定は、前記第1のユーザ認証情報と前記第2のユーザ認証情報とが適合するか否かを判定する第1適合判定と、現在日時が前記車両の予約期間に適合するか否かを判定する第2適合判定と、を含み、
前記実行制御部は、前記車両の返却時には、前記第2適合判定を省略して行われる前記車両の使用許否判定の結果に応じて、前記発動制御部に前記発動制御を行わせる、
制御装置。
【請求項3】
前記第1の取得制御部は、前記車両を使用する使用ユーザが携帯する情報担持媒体からユーザ認証に使用する前記第1のユーザ認証情報を取得し、
前記第1の取得制御部による前記第1のユーザ認証情報の取得がなされた場合に、前記第1のユーザ認証情報に基づいて前記車両の使用許否判定を行う使用許否判定部、を更に備え、
前記実行制御部は、前記第1の取得制御部による前記第1のユーザ認証情報の取得がなされて前記使用許否判定部により合格と判定された場合に、前記発動制御部に前記発動制御を行わせる、
請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
近距離無線通信を行う近距離無線通信部を更に備え、
前記情報担持媒体は、前記近距離無線通信のための通信回路を有するものであり、
前記第1の取得制御部は、前記近距離無線通信部を制御して前記第1のユーザ認証情報を取得する、
請求項3に記載の制御装置。
【請求項5】
前記情報担持媒体は、電子機器又はICカードである、
請求項3又は4に記載の制御装置。
【請求項6】
前記第2の取得制御部は、前記サーバシステムに通信接続して前記予約情報を取得し、
前記使用許否判定部は、前記第1の取得制御部により取得された前記第1のユーザ認証情報と、前記第2の取得制御部により取得された前記予約情報と、に基づいて前記車両の使用許否判定を行う、
請求項3~5の何れか一項に記載の制御装置。
【請求項7】
前記サーバシステムは、前記第2のユーザ認証情報と関連付けて、前記予約ユーザによる前記車両の使用を許可する使用日時を設定した許可日時情報である前記予約期間データを管理し、
前記実行制御部は、前記第2適合判定を行う現在日時が前記許可日時情報に適合し、且つ、前記第1適合判定によって前記第1のユーザ認証情報と前記第2のユーザ認証情報とが適合すると判定された場合に合格と判定する前記使用許否判定の結果に応じて前記発動制御部に前記発動制御を行わせる、
請求項6に記載の制御装置。
【請求項8】
前記回路部は、所定の電源に基づいて回路動作を行い、前記回路動作には、前記車両がエンジン始動時に所定の認証処理を行う際の認証キーを発信することを含み、
前記発動制御部は、前記回路部への電源供給制御を行う電源供給制御部を有し、
前記実行制御部は、前記使用許否判定によって合格と判定するまでは前記電源供給制御部による電源供給制御を抑止し、合格と判定した場合に電源供給制御を行わせる、
請求項3~7の何れか一項に記載の制御装置。
【請求項9】(削除)
【請求項10】
前記予約情報を管理するサーバシステムであって、請求項6又は7に記載の制御装置からの要求に応じて前記予約情報を提供するサーバシステム。
【請求項11】
請求項6又は7に記載の制御装置と、
前記予約情報を管理するサーバシステムであって、前記制御装置からの要求に応じて前記予約情報を提供するサーバシステムと、
を具備した車両管理システム。
第4 異議申立理由及び取消理由(決定の予告)の概要
1 異議申立理由の概要
本件訂正前の請求項1~11に係る発明に対する異議申立理由は以下のとおりである。
(1)本件特許の請求項1~5に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であり、その発明に係る特許は、特許法29条1項の規定に違反してされたものであって、取り消されるべきものである。
(2)本件特許の請求項1~7、10、11に係る発明は、甲第2号証に記載された発明であり、その発明に係る特許は、特許法29条1項の規定に違反してされたものであって、取り消されるべきものである。
(3)本件特許の請求項1~5に係る発明は、甲第1号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、その発明に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものであるから、取り消されるべきものである。
(4)本件特許の請求項1~7、10、11に係る発明は、甲第2号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、その発明に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものであるから、取り消されるべきものである。
(5)本件特許の請求項6、7、10、11に係る発明は、甲第2号証に記載された発明及び甲第6号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、その発明に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものであるから、取り消されるべきものである。
(6)本件特許の請求項8に係る発明は、甲第2号証に記載された発明及び甲第3号証に記載された発明に基づいて、甲第2号証に記載された発明及び甲第5号証に記載された発明に基づいて、甲第2号証に記載された発明、甲第3号証に記載された発明及び甲第4号証に記載された発明に基づいて、または甲第2号証に記載された発明、甲第4号証に記載された発明及び甲第5号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、その発明に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものであるから、取り消されるべきものである。
(7)本件特許の請求項9に係る発明は、甲第2号証に記載された発明及び甲第5号証に記載された発明に基づいて、甲第2号証に記載された発明及び甲第3号証に記載された発明に基づいてまたは甲第3号証に記載された発明及び甲第5号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、その発明に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものであるから、取り消されるべきものである。
申立人により、特許異議申立書とともに提出された証拠は以下のとおりである。
甲第1号証 特開2003-307063号公報
甲第2号証 独国特許出願公開102005059061号明細書
甲第3号証 特開2011-27002号公報
甲第4号証 特開2009-262783号公報
甲第5号証 特開2018-5353号公報
甲第6号証 特開2004-190233号公報
(以下「甲第1号証」等を「甲1」等という場合がある。)
2 取消理由(決定の予告)の概要
令和5年7月14日付け訂正請求書により訂正された特許請求の範囲の請求項2~8、10、11に係る発明に対して、令和5年10月27日付け取消理由通知書(決定の予告)で特許権者に通知した取消理由の概要は、以下のとおりである。
(1)請求項2~8、10、11に係る発明は、発明が明確でなく、その発明に係る特許は、特許法36条6項2号の要件に適合しない発明に対して特許されたものであるから、取り消されるべきものである。
第5 令和5年10月27日付け取消理由通知書(決定の予告)で特許権者に通知した取消理由についての当審の判断
1 令和5年10月27日付け取消理由通知書(決定の予告)で特許権者に通知した取消理由のうち、令和5年7月14日提出の訂正請求書により訂正された請求項2及び請求項2を引用する請求項3~8、10、11に対してした通知は、発動制御が「ドア解錠信号を前記回路部から発信させる」ものとして特定され、「前記車両電子キーは、前記車両のドア解錠ボタン及びドア施錠ボタンを有するものであり、前記発動制御部は、所定位置に取り付けられた前記車両電子キーの前記ドア解錠ボタン及び前記ドア施錠ボタンを別個に押し下げる押し下げ機構部を有し、当該押し下げ機構部を作動させることで前記発動制御を行」うとされていたことから、「ドア施錠ボタン」による発動制御について、発明が明確でないものとなっていたために通知をしたものである。
この点につき、本件訂正により、請求項2が「前記車両のドア解錠信号及びドア施錠信号を発信する回路部を有する車両電子キーが取り付けられることで、前記ドア解錠信号及び前記ドア施錠信号を前記回路部から発信させる発動制御が可能な発動制御部」を備え、「前記車両電子キーは、前記車両のドア解錠ボタン及びドア施錠ボタンを有するものであり」、「前記発動制御部は、所定位置に取り付けられた前記車両電子キーの前記ドア解錠ボタン及び前記ドア施錠ボタンを別個に押し下げる押し下げ機構部を有し、当該押し下げ機構部を作動させて前記回路部に前記ドア解錠ボタン又は前記ドア施錠ボタンが押し下げられたことを検知させることで前記ドア解錠信号又は前記ドア施錠信号を発信させる前記発動制御を行」うことが特定されたため、発明は明確となった。
2 令和5年10月27日付け取消理由通知書(決定の予告)で特許権者に通知した取消理由のうち、令和5年7月14日提出の訂正請求書により訂正された請求項6及び請求項6を引用する請求項7、8、10、11に対してした通知は、第2の取得制御部がサーバシステムからどのように情報を取得するのか、明確でないために通知したものである。
この点につき、本件訂正により、請求項6が「前記第2の取得制御部は、前記サーバシステムに通信接続して前記予約情報を取得し、」との発明特定事項を備えたものとなり、第2の取得制御部が「サーバシステムに通信接続して」情報を取得することが明確となった。
第6 異議申立理由についての当審の判断
1 各甲号証の記載
(1)甲1
ア 甲1の記載
甲1には以下の記載がある(下線は、当審で付加した。以下、同様。)。
(ア)「【0021】
【発明の実施の形態】以下、図を用いて本発明の車両盗難防止装置の第1~第3の実施形態を説明する。
【0022】図1は、本発明の車両盗難防止装置の構成を示す図である。また、図2は、本発明の車両盗難防止装置の構成を示すブロック図である。図1および図2に示すように、車両盗難防止装置1は、車両盗難防止装置本体(以下、単に車載本体という。)1と車両盗難防止装置用キーレスエントリ装置(以下、単に送信機という。)10(10a~10c)とで構成されている。なお、車載本体1と送信機10(10a~10c)は、通常、一対で取引の対象となるところ、車載本体1と送信機10(10a~10c)とのそれぞれにシリアルナンバー等を付与されている。このため、原則として、車載本体1はシリアルナンバーが適合する送信機10(10a~10c)から信号のみに反応するため、他の者が取得した送信機を用いて、不正に車載装置1が操作されることはない。
【0023】車載本体1は、車内の任意の場所に設置されるものであり、警報手段としての警報発生部2、テンキーを含む入力ボタンを有する入力部4、送信機10からの信号を受信する受信部3、車両の動作を検出する移動検出手段17、送信機10から送信される認証信号の内容および制御信号の内容を更新的に記憶する記憶部15、制御信号に基づいて決定される任意の操作ボタンを押圧する後述の作用部7を動作させるモータやソレノイドを駆動させる駆動系回路部6、およびこれらの構成要素の動作を統括するCPU18を備えている。
【0024】CPU18は、本発明の実施形態では、主に、記憶部15内に記憶されている認証情報と入力部4に入力される認証情報との照合を行い、両者が一致するか否かの判定を行う照合処理を行う。なお、この照合処理の結果に基づいてCPU18は、警報発生部2の動作を無効にする。」
(イ)「【0033】ここで、本発明に適用される送信機10(10a~10c)は、以下で説明する第1~第3の実施形態に対応して3つのバリエーションがあるため、第1の実施形態に用いられる送信機10aから順次説明する。なお、以下の実施形態で用いられる送信機10aはすべて車両購入の際に供給される車両既存の純正品110の代替として使用されるものであり、例えば、図1に示すように、車両のキー13にキーホルダ状に取り付けられて使用される。
【0034】図1および図2が示すように、第1の実施形態における送信機10aは、認証情報としてのパスワードの作成に使用するテンキー、車両ドア20の施解錠を行う「ロック」ボタンや「アンロック」ボタン、および学習モード設定ボタン等を有する入力部11、制御信号としてのロック信号L2およびロック信号L2に認証信号としてのパスワードを付加したパスワード付きロック信号L1を送信する信号送信部12、パスワード付きロック信号L1のパスワードや学習機能により取得した純正品が発生する信号等を記憶する記憶部31、認証情報に対応した認証信号を作成する信号作成部32、外部からの信号を受信する受信部14、ならびに送信機10の構成要素を統括するCPU30を備えている。
・・・
【0040】上述の車載本体1および送信機10a等の構成において、送信機10aの入力部11に配置されている施錠状態に移行するための「ロック」ボタンが押されると、信号送信部12から出力されるロック信号L2が車両ドア20に取り付けられる施解錠操作部22に入力される。この施解錠操作部22は、送信機10aおよび純正品110からの信号を受信する受信部と、受信した信号に基づいて車両ドア20の施錠または解錠を行う施解錠部と、を備えているため、ロック信号L2が施解錠操作部22に入力されることにより車両ドア20は施錠される。このとき同時に、パスワード付きロック信号L1が車載本体1に送信されることから、パスワードを検出した受信部3は、このパスワードの内容を記憶部15に保存する。なお、記憶部15内には、常に最新のパスワードの内容が上書きされつつ保存される。
【0041】また、パスワード付きロック信号L1には、車両ドア20に送信されたロック信号L2等の制御信号が含まれており、車載本体1は、その信号の内容に基づいて記憶部15内の車両ドア20の状態に関する内容を更新するため、車両ドア20の施錠がされると同時に記憶部15の記憶内容も車両ドアの状態と同様に「施錠状態」とされる。
【0042】一方で、送信機10aの入力部11に配置されている解錠状態に移行するための「アンロック」ボタンが押されると信号出力部12から出力されるアンロック信号L2により車両ドア20は解錠される。上述と同様に、記憶部15内の車両ドアの状態の内容およびパスワードの内容が更新され、実際の車両ドアの状態とともに記憶部15内に記憶されている車両ドアの状態が「解錠状態」になる。」
(ウ)「【0050】図3は、第2の実施形態における車載本体の構成を示している。本実施形態において、送信機10bの構成は送信機10aと同様であるが、必ずしも送信機10aのように学習機能を搭載している必要はない。つまり、車両の車種の中には、純正品から発する信号の複写ができないように信号の加工がされている場合もあるため、これを学習モードにより記憶することができない場合を想定して送信機10bが構成されているため、本実施形態では、図2に示す送信機10の受信部14を設ける必要はない。
【0051】送信機10bと送信機10aとの主な相違は、送信機10bが送信する信号には、車載本体1に設けられた後述の作用部7の動作を制御する信号が含まれていることである。
【0052】本実施形態で使用される車載本体1は、図3に示すように、純正品110が装着される装着部8および送信機10bのロックボタンやアンロックボタンを含む任意の操作ボタンを選択的に押圧する作用部7を備えている。
【0053】作用部7は、本体に移動支点により支持されている支持部73、ピン支点71を中心に支持部73に対して揺動自在に設けられる押圧部72により構成されている。
【0054】支持部73は、車載本体1に設けられた図示しないレール部に取り付けられており、図における紙面に垂直方向に移動自在となっており、押圧部72は、紙面左右方向において伸縮自在にされている。そして、これらの支持部73の移動および押圧部72の伸縮の制御はCPU18により行われるため、純正品における任意の位置に押圧部72を移動させることが可能となる。
【0055】上述のように、送信機10bが車載本体1に対して送信する信号には、支持部73の移動および押圧部72の伸縮の制御に関するものが含まれていることから、装着部8に装着される純正品の任意の操作ボタンを押圧部72により押圧することができる。
【0056】よって、本実施形態によれば、純正品の信号を複写できない場合等においても、送信機10bにより車載本体1の記憶部15内の車両ドア20の状態についての内容を更新すると同時に、操作部7が純正品のロックボタンやアンロックボタンを押圧して車両ドア20の施解錠の制御を行うことが可能になるため、好適に本発明の実施をすることが可能になる。」
イ 甲1発明
上記アより、甲1には、次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されている。
(甲1発明)
「車載本体1と送信機10(10a又は10b)とで構成されている車両盗難防止装置であって、
車載本体1と送信機10とのそれぞれにシリアルナンバーを付与され、車載本体1はシリアルナンバーが適合する送信機10から信号のみに反応するものとされ、
車載本体1は、車内の任意の場所に設置され、送信機10からの信号を受信する受信部3、送信機10から送信される認証信号の内容および制御信号の内容を更新的に記憶する記憶部15、制御信号に基づいて決定される任意の操作ボタンを押圧する作用部7を動作させるモータやソレノイドを駆動させる駆動系回路部6、およびこれらの構成要素の動作を統括するCPU18を備え、CPU18は、記憶部15内に記憶されている認証情報と入力部4に入力される認証情報との照合を行い、両者が一致するか否かの判定を行う照合処理を行い、
送信機10aは車両既存の純正品110の代替として使用されるものであり、認証情報としてのパスワードの作成に使用するテンキー、車両ドア20の施解錠を行う「ロック」ボタンや「アンロック」ボタン、制御信号としてのロック信号L2およびロック信号L2に認証信号としてのパスワードを付加したパスワード付きロック信号L1を送信する信号送信部12、送信機10の構成要素を統括するCPU30を備え、
送信機10aの入力部11に配置されている施錠状態に移行するための「ロック」ボタンが押されると、信号送信部12から出力されるロック信号L2が車両ドア20に取り付けられる施解錠操作部22に入力され、ロック信号L2が施解錠操作部22に入力されることにより車両ドア20は施錠され、送信機10aの入力部11に配置されている解錠状態に移行するための「アンロック」ボタンが押されると信号出力部12から出力されるアンロック信号L2により車両ドア20は解錠され、
送信機10bの構成は送信機10aと同様であるが、純正品から発する信号の複写ができないように信号の加工がされて、これを学習モードにより記憶することができない場合を想定して送信機10bが構成され、送信機10bが送信する信号には、車載本体1に設けられた後述の作用部7の動作を制御する信号が含まれ、
車載本体1は、純正品110が装着される装着部8およびロックボタンやアンロックボタンを含む任意の操作ボタンを選択的に押圧する作用部7を備え、作用部7は、本体に移動支点により支持されている支持部73、ピン支点71を中心に支持部73に対して揺動自在に設けられる押圧部72により構成され、装着部8に装着される純正品の任意の操作ボタンを押圧部72により押圧することができ、操作部7が純正品のロックボタンやアンロックボタンを押圧して車両ドア20の施解錠の制御を行う、
車両盗難防止装置。」
(2)甲2
ア 甲2の記載
甲2には以下の記載がある(訳は、申立人の添付した翻訳文を参考にして当審において付与した。)。
(ア)「
[図:0001411223000001.jpg]
」
(訳)
「(54)発明の名称:車両を開放するための方法及び装置」
(イ)「
[図:0001411223000002.jpg]
」
(訳)
「【0001】この発明は、車両の標準キーであって無線で開信号を送信するか車両から送信される信号を開信号に変換する標準キーによりコントロールされる開信号により遠隔制御される施解錠可能なドアロックによりロック可能な車両を開放するための方法に関する」
(ウ)「
[図:0001411223000003.jpg]
」
(訳)
「【0003】しかしながら、公知の装置及び方法には、車両所有者がそれぞれのユーザに対してキーを手渡さなければならず、通常、利用可能なキーの数が制限されているという欠点がある。私的領域においてはこれで十分であろうが、車両が多数のユーザによって使用される場合には、利用可能なキーの数が限られていることは欠点となる。例えば、レンタカー会社は、自動車が車両を開放して運転することができるようにするために、各顧客に対してキーを渡さなければならない。後に返却された車両を再び賃出することができるようにするために、キーは次のユーザに渡すことができるように返却されなければならない。キーを取り扱うためのロジスティック的な費用を必要とする。」
(エ)「
[図:0001411223000004.jpg]
」
(訳)
「【0006】従って、本発明の目的は、複数のユーザにより許可無く使用をされることなく、車両を可能な限り安全に開くことができる、車両を開くための方法を提供することである。」
(オ)「
[図:0001411223000005.jpg]
」
(訳)
「【0008】この第1の目的は、本発明によれば、車両がロックされる際に、標準キーが、起動手段を介して制御可能なキーボックスに格納され、車両のロックを解除するために、車両の外部に配置された補助送信機を介して開信号を起動手段が発するようにされることによって達成される。」
(カ)「
[図:0001411223000006.jpg]
[図:0001411223000007.jpg]
」
(訳)
「【0010】補助送信機を介して提供されると、キーボックスの起動手段に、キーボックスに挿入されたイグニッション・キーを介して、例えば、プランジャでキーの関連するボタンを押すことによって、車両を開かせることができる。したがって、キーボックスは、そうでなければ車両の外にいる運転者または乗客によって実行されるタスクを引き受ける。この機能は、補助送信機を介して遠隔制御することができる。」
(キ)「
[図:0001411223000008.jpg]
」
(訳)
「【0012】このような車両では、他の車両の場合と同様に、イモビライザをキーに組み込むことができるので、RFID技術は車両を開けるためにのみ使用されるが、イモビライザをトランスポンダシステム自体に組み込むことも可能である。これに関連して、本発明は、イモビライザの機能に限定されるものではなく、むしろ、本発明は、一般に、車両の開放及び始動準備に適用することができることを強調しておく。」
(ク)「
[図:0001411223000009.jpg]
」
(訳)
「【0014】しかしながら、本発明の特に好ましい用途は、中央ロックシステムを作動させるためのプッシュボタンを有する古典的なキーの使用にある。ここで、キーボックスは、キーボックスまたは車両が補助送信機から信号を受信すると、起動手段がこのボタンを押すことができるように設計される。この信号は、非接触で送信できる任意の信号、特に無線信号または赤外線信号とすることができる。例えば、オーガナイザや将来のドライバーの携帯電話とのブルートゥース接続も可能である。ドライバーは携帯電話接続を介してキーボックスに接触することも可能であり、これは、特に車両電子機器を介して間接的な接触として可能である。」
(ケ)「
[図:0001411223000010.jpg]
」
(訳)
「【0017】車両内のキーによってイモビライザの機能が無効化されないように、キーボックスをロック可能にすることができる。本発明の利点が、キーボックスを開くのに必要なキーによって相殺されないように、キーボックスは、例えば、コンビネーションロックによって固定することができ、または、好ましくは、補助送信機からの信号を受信することによって自動的にロック解除されるロックを備えることができる。」
(コ)「
[図:0001411223000011.jpg]
」
(訳)
「【0021】キーが所定の位置に挿入されると、キーボックス内のプッシュボタンがキーのプリントヘッドを作動させることができる。キーボックスは、閉鎖ボックスとして設計することができ、その中にキーを平坦な側または広い側に置いて配置することができる。あるいは、当然ながら、キーボックスは、従来のロックのようにキーを挿入することができる挿入スロットを有するように設計することもできる。作動機能を実現できるようにするために、後者の場合、キーヘッドは、頂部が広くなっているキースロットに挿入できなければならず、この場合、可動圧力要素は、例えば、電源によって横方向に駆動され、キーヘッドのボタンを押すことができる。移動または力の制限は、誤った操作による破壊からキーを保護することができる。」
(サ)「
[図:0001411223000012.jpg]
」
(訳)
「【0022】車両毎、キーの種類毎に専用のキーボックスを製作する必要がないように、種々の調整を行うことができる。最も単純なものは、キーが常にプッシュボタンの上または下にあるようにキー形状であるプラスチックインサートであり、その結果、圧力要素が正しいスポットに当たる。」
(シ)「
[図:0001411223000013.jpg]
」
(訳)
「【0025】本発明の特に好ましい発展形態は、一時的な使用許可に関連して使用される。この目的のために、車両は、特定のユーザの使用許可を記憶する外部データ処理部に一時的または継続的に接続されることができる。
補助送信機からの信号を受信すると、車両はまず、送信側ユーザが実際にその使用を許可されているかどうかをチェックすることができる。このチェックも、多数の方法で行うことができる:
・ユーザは、一時的にワゴンの使用を許可される。この目的のために、その補助送信機からの信号は、ユーザを識別するための情報も含む。データベースを比較し、この特定のユーザが許可されていると判定した後、起動手段が起動される。
・ユーザは、定期的に特定の時間に車両を使用する資格を有する。この場合、スケジュールは、車両電子機器またはキーボックスに恒久的に格納することができ、その結果、ユーザIDが送信された後、起動は、時間ウィンドウ内で行われるか、またはこの時間ウィンドウ外で拒否される。
・ユーザは一時的にのみ使用を許可されるが、時間は補助送信機の信号に符号化される。これは、信号を復号するためにデータ処理から復号テーブルをダウンロードすることを必要とし得る。車両において時間が比較され、起動手段が車両を開くかどうかを車両電子機器またはキーボックスによって決定することができる。」
(ス)「
[図:0001411223000014.jpg]
」
(訳)
「【0030】車両使用許可のためのデータは、補助送信器を介して車両の開放の要求が受信されたときにオンラインで呼び出すことができる。しかし、本発明の別の実施形態では、このデータを、個々のまたは複数の運転者に対して、特定の時点で、外部データ処理から取り出し、車両に格納する。これにより、例えば地下駐車場の車両に達しないことにより外部データ処理部とのコンタクトがされず、開放がなされないことを防止することができる。」
(セ)「
[図:0001411223000015.jpg]
」
(訳)
「【0034】キーボックスは、ユーザが識別された後にのみ、場合によっては一時的な使用許可の追加の比較と共に、キーを解放することができるか、または、イモビライザをさらに非アクティブ化することによって識別チェックを行うことができる。時間に関して許可されていないユーザは、車両を開けることはできるが、始動させることはできない。これは、例えば、車両から忘れ物をとることを可能にするが、車両の広範な使用を可能にしない。」
(ソ)「
[図:0001411223000016.jpg]
」
(訳)
「【0042】車両ユーザは、補助送信機5を介して車両1に信号を送信する。これは、ここでは圧力要素8として形成される起動手段を任意に使用して、プリントヘッドを作動させて中央ロックシステムを作動させ、したがって車両を開くか、または最初に外部データ処理部7とのコンタクトを確立することができ、外部データ処理部には、特に要求信号を送信したユーザが車両を使用することを許可されているかどうかのさらなるデータを記憶することができる。この比較および正当性の検証の肯定的な結果の後、圧力要素8が作動される。」
(タ)「
[図:0001411223000017.jpg]
」
(訳)
「【0043】圧力要素8は、単純なリニアモータを介して、または電磁的に操作することができる。圧力要素8が伸長された後、公知の通常のキー2から、開信号3が送出される。キーボックス4は、車両1の内部および外部に配置することができるが、車両1からの盗難を防止するために、車両1の内部に配置することが好ましい。必要に応じて、車両1の内部にキーボックス4を配置し、外部に1または複数のキーボックス4を配置することもでき、その場合、キーは、キーボックス4の1つに選択的に挿入することができる。」
(チ)「
[図:0001411223000018.jpg]
」
(訳)
「【0044】図2および図3は、図1のキーボックス4が拡大して示している。図示のキーボックス4は、車両1を開放するため及びロックするための2の圧力要素8を有する。この方法は、降車した運転者または外部データ処理部7のいずれかから遠隔操作によるロックにも用いることができる。」
(ツ)図1~3は以下のとおり。
「
[図:0001411223000019.jpg]
[図:0001411223000020.jpg]
[図:0001411223000021.jpg]
」
上記(コ)、(ソ)、(タ)及び(チ)の記載を踏まえると、図2及び図3からは、キーボックス4内の所定位置に取り付けられたキー2は、2のプリントヘッドを有し、車両1を開放するため及びロックするための2の圧力要素8のそれぞれは、伸長することで2のプリントヘッドを別個に押し下げる様子が看取できる。
イ 甲2発明
上記アより、甲2には、次の発明(以下、「甲2発明」という。)が記載されている。
(甲2発明)
「開信号を送信する標準キーにより施解錠可能なドアロックによりロック可能な車両に関し、
車両がロックされる際に、標準キーが、起動手段を介して制御可能なキーボックスに格納され、車両のロックを解除するために、車両の外部に配置された補助送信機を介して開信号を起動手段が発するようにされる、車両を開放するための装置であって、
キーボックスは、キーボックスまたは車両が補助送信機から信号を受信すると、起動手段が中央ロックシステムを作動させるためのキーのプッシュボタンを押すことができるように設計され、この信号は、非接触で送信できる任意の信号、特に無線信号または赤外線信号とすることができ、ブルートゥース接続も可能であり、
キーが所定の位置に挿入されると、キーボックス内のプッシュボタンがキーのプリントヘッドを作動させることができ、
好ましい発展形態は、一時的な使用許可に関連して使用され、この目的のために、車両は、特定のユーザの使用許可を記憶する外部データ処理部に一時的または継続的に接続されることができ、
補助送信機からの信号を受信すると、車両はまず、送信側ユーザが実際にその使用を許可されているかどうかをチェックすることができ、
ユーザは、一時的にワゴンの使用を許可される場合、補助送信機からの信号は、ユーザを識別するための情報も含み、データベースを比較し、この特定のユーザが許可されていると判定した後、起動手段が起動され、
ユーザは一時的にのみ使用を許可される場合、車両において時間が比較され、起動手段が車両を開くかどうかを車両電子機器またはキーボックスによって決定することができ、
車両使用許可のためのデータは、補助送信器を介して車両の開放の要求が受信されたときにオンラインで呼び出すことができ、別の形態では、このデータを、個々のまたは複数の運転者に対して、特定の時点で、外部データ処理部から取り出し、車両に格納し、これにより、例えば地下駐車場の車両に達しないことにより外部データ処理部とのコンタクトがされず、開放がなされないことを防止することができ、
キーボックス4内の所定位置に取り付けられたキー2は、2のプリントヘッドを有し、車両1を開放するため及びロックするための2の圧力要素8のそれぞれは、伸長することで2のプリントヘッドを別個に押し下げるものであり、
車両ユーザは、補助送信機5を介して車両1に信号を送信し、圧力要素8として形成される起動手段を使用して、プリントヘッドを作動させて中央ロックシステムを作動させ、したがって車両を開くか、または最初に外部データ処理部7とのコンタクトを確立することができ、外部データ処理部には、特に要求信号を送信したユーザが車両を使用することを許可されているかどうかのさらなるデータを記憶することができ、この比較および正当性の検証の肯定的な結果の後、圧力要素8が作動され、
圧力要素8が伸長された後、キー2から、開信号3が送出され、
降車した運転者の遠隔操作によるロックにも用いることができ、
キーボックス4は、車両1の内部に配置する、装置。」
(3)甲3
ア 甲3の記載
甲3には以下の記載がある。
(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、リモコン操作により、車両の外からエンジンやエアコン等の装置を始動させることができる車両用遠隔式始動装置及び遠隔式始動システムに関するもので、より具体的には、エンジン始動信号等の始動信号を受けた際に純正携帯機からの認証情報を受信したことを条件にスタータモータ等の装置を駆動する制御ユニットを備えた車両に適用可能とするものである。」
(イ)「【0009】
本発明では、純正携帯機への給電手段を設け、必要なときに純正携帯機に対して給電することで、純正携帯機から正規の認証情報を出力させる。これにより、車両に装備されている制御ユニットは、その認証情報を受信することで、正規の純正携帯機がそばにあり、装置を始動しても良い状態であることを認識する。よって、その状態で、制御手段が制御ユニットに対して始動信号を与えれば、始動装置(エンジンの場合はスタータモータ)を駆動してエンジン等の装置を始動させることができる。そして、従前のこの種の純正でない後付けの商品(アフターマーケット商品)による遠隔式エンジン始動装置の場合、何かしらの方法で純正携帯機が持つ認証情報を予め取得して記憶保持しておき、制御手段がその取得して記憶保持している認証情報を出力することで、エンジン制御ユニットを動作させるようにしたが、実際には、認証情報を取得する作業が繁雑であったり、単純に認証情報を出力するだけでは動作しなかったりするが、本発明の場合、認証情報は、正規の純正携帯機から出力させるため、エンジン制御ユニット等の制御ユニットは確実にエンジンその他の装置の始動処理を実行する。さらに各携帯機の認証情報を予め取得する必要がないので、遠隔式エンジン始動装置(制御手段)等の開発・作成が容易になる。さらに、本装置を購入したユーザも、使用に先立ち行う作業は、給電手段により純正携帯機へ給電可能な状態にするだけでよく、作業が簡単となる。
【0010】
(2)前記制御手段は、平常時は前記給電をOFFにし、携帯機からの始動命令を受信した際に、前記給電をONにするとともに、前記制御ユニットに対して始動信号を与えるものとすることができる。本発明では、給電手段が接続された純正携帯機は、車内に置かれたままとなるが、平常時は給電をOFFにすることで、純正携帯機から認証情報は出力されない。よって、制御ユニットその他の車載機器は、純正携帯機の存在を認識しないようになるので、例えば、ドアロックシステムにおける施錠や、盗難警報システムの警戒開始など、純正携帯機が車外にある(純正携帯機を携帯するユーザが車外にいる)ことを条件に動作するシステムが搭載された車両であっても、純正携帯機を車内に置いたままの状態で正常に動作させることができる。」
(ウ)「【0016】
以下、図面を用いて本発明の好適な実施形態を説明する。本実施形態の遠隔式エンジン始動システム(エンジンスタータシステム)は、キーフリーシステムを採用する車両に搭載される。キーフリーシステムは、エンジンキー(メカニカルキー)をキーシリンダにキーインすることなく、キーフリーキー用の純正携帯機1を携帯した状態で、エンジン始動スイッチ2を操作することで、エンジンを始動・停止の制御を行うことができるもので、インテリジェントキー(登録商標:日産自動車)やスマートキー(登録商標:トヨタ自動車)などと称されるものが製品化されている。すなわち、純正携帯機1には、所定のコード等の識別情報が記憶されており、純正携帯機1は、定期的にその識別情報を送信する。車両側の純正キーフリー制御部3(ECU)は、受信機を備え純正携帯機1から送られてくる識別情報を受信すると、それが自己に対応する正規の純正携帯機1からのものか否かを判断する。そして、純正携帯機1から識別情報を受信した状態で、エンジン始動スイッチ1がONになった場合、純正キーフリー制御部3は、スタータモータ4を回転させ、エンジン始動処理を実行する。
【0017】
また、本実施形態の純正キーフリー制御部3は、ドア錠の施錠・解錠も制御する。すなわち、純正携帯機1から、ドア錠の施錠/解錠の命令信号を受けた場合、ドアロック部5に対して受信した命令信号に応じた制御信号を送り、ドア錠の施錠(ロック),解錠(アンロック)の制御を行う。ここでドアロック部5は、例えば、ドア錠用の駆動モータであり、その駆動モータを正逆回転することで、施錠したり解錠したりする。また、純正キーフリー制御部3は、上記のように、純正携帯機1から命令信号を受信したときに限らず、純正携帯機1を携帯したユーザが、車両のドアに設けたスイッチを押下したことに基づき、施錠/解錠のための制御を行うべくドアロック部5に対して制御信号を送る機能も備える。なお、このドア錠の施錠・解錠の制御機能は、無くても良い。
・・・
【0019】
次に、遠隔式エンジン始動システムについて説明する。この遠隔式エンジン始動システムは、ユーザが手元におく携帯機(子機)8と、自動車に搭載される車載器(装置本体)9とを備える。携帯機8は、ケース表面にエンジン始動ボタン8aとエンジン停止ボタン8bを備える。携帯機8は、車載器9との間で双方向通信可能なトランシーバー機能を備えているため、内部には送受信回路や制御部等を備えている。さらに図示省略するが、LED・液晶パネル・スピーカー等の出力手段を設けても良い。携帯機8内の制御部は、エンジン始動ボタン8a或いはエンジン停止ボタン8bが押下されたことを認識すると、自己を特定するための所定のコード(認証情報)とともに、押下されたボタンの内容(エンジン始動/停止)を示す命令信号を、送信回路を介して送信する。
・・・
【0021】
車載器9は、リモコン送受信機10と、制御部としてのMPU15とを備える。リモコン送受信機10は、アンテナ11と受信回路12と送信回路13とを備えている。アンテナ11経由で受信回路12で受信した信号は、MPU15に与えられる。MPU15は、受信した信号に含まれる認証情報から、受信した信号が対となる携帯機8からのものであるか否かを判断し、対となる携帯機8からの信号である場合、その受信した信号に含まれる命令信号に基づく処理を実行する。そして、命令信号に基づく処理を実行後、制御部15は、アンサーバック信号を生成し送信回路13経由で携帯機8に向けて返信する。なお、制御部15が行う具体的な処理は、後述する。」
(エ)「【0026】
ところで、純正キーフリー制御部3によるエンジン始動(スタータモータ4の回転開始)を行うためには、対応する純正携帯機1から正規の認証情報を受信する必要がある。そこで、本実施形態では、純正携帯機1を、車室内の所定位置(純正キーフリー制御部3との間で通信可能な場所)に置いておき、MPU15は、純正キーフリー制御部3に対してエンジン始動命令を出力する(エンジン始動スイッチ2のONと同じ状態にする)に際し、純正携帯機1から正規の認証情報を出力させるようにする。これにより、純正キーフリー制御部3は、純正携帯機1から出力された正規の認証情報を受信するので、MPU15から与えられるエンジン始動命令に従ってスタータモータ4を始動する。
【0027】
ここで、MPU15が純正携帯機1から所望のタイミングで正規の認証情報を出力する制御は、定常状態では純正携帯機1の動作(少なくとも正規の認証情報を出力する動作・機能)を停止させておき、必要なときに純正携帯機1の正規の認証情報を出力する動作・機能を起動させるもので、具体的には、純正携帯機1に対する給電を制御する。すなわち、通常、純正携帯機1は、電池駆動なため、純正携帯機1の電池ホルダー(収納部)から当該電池を取り外し、車載器9(MPU15)に接続された給電手段20を電池ホルダーに装着する。純正携帯機1は、電源がONしているときは、所定のタイミング(たとえば一定間隔)で正規の認証情報を出力するので、エンジン始動命令を出力するに際し、MPU15は給電手段20から純正携帯機1に対して給電を開始する。そして、平常時は、給電を停止する。これにより、携帯機8からエンジン始動命令を受信した車載器9のMPU15は、給電手段20によって純正携帯機1に対して電源を供給し、純正携帯機1を作動させることで純正キーフリー制御部3に対するイモビライザの認証をさせるとともに、純正のエンジン始動時に純正キーフリー制御部3へ出力するエンジン始動信号と同様の信号を発生させて、純正キーフリー制御部3によりエンジンを始動させる。
・・・
【0029】
図2は、エンジン始動の処理アルゴリズムを示す。まず、ユーザは、携帯機8のエンジン始動ボタン8aを操作する(S1)。この操作に伴い、携帯機8は、エンジン始動命令を出力する。車載器9(MPU15)は、対となる携帯機8からエンジン始動命令を受信すると、給電手段20であるダミー電池に対し、給電を開始する(S2)。この給電は、純正携帯機1が、正規の認証情報を出力する動作が行えるようになっていればよい。
【0030】
純正携帯機1は、ダミー電池による給電開始に伴い、認証情報を出力開始する(S3)。これに伴い、純正キーフリー制御部3は、純正携帯機1からの正規の認証情報を受信することで、純正携帯機1が車室内等に存在していると認識する。
【0031】
ついでMPU15は、純正キーフリー制御部3に対し、エンジン始動信号を出力する(S4)。これを受けて、純正キーフリー制御部3は、エンジン始動スイッチ2がONになったのと同じ状態になり、処理ステップS3の実行により正規の認証情報も受信しているので、スタータモータ4を回転させ、通常のエンジン始動処理を実行する。
・・・
【0033】
なお、上述した実施形態では、セルモータを駆動して始動するエンジン始動装置に適用した例を示したが、本発明はそれに限ることはなく、電気自動車の始動装置や、電気自動車等におけるエアコン装置や、その他のリモコン操作により始動する装置(車載装置・車両装置)に適用することができる。」
イ 甲3発明
上記アより、甲3には、次の発明(以下、「甲3発明」という。)が記載されている。
(甲3発明)
「キーフリーキー用の純正携帯機1を携帯した状態で、エンジン始動スイッチ2を操作することで、エンジンを始動・停止の制御を行うことができるキーフリーシステムを採用する車両に搭載される遠隔式エンジン始動システムであって、
純正携帯機1には、所定のコード等の識別情報が記憶されており、車両側の純正キーフリー制御部3は、受信機を備え純正携帯機1から送られてくる識別情報を受信すると、それが自己に対応する正規の純正携帯機1からのものか否かを判断し、純正携帯機1から識別情報を受信した状態で、エンジン始動スイッチ1がONになった場合、純正キーフリー制御部3は、スタータモータ4を回転させ、エンジン始動処理を実行するものであり、
純正キーフリー制御部3は、純正携帯機1から、ドア錠の施錠/解錠の命令信号を受けた場合、ドアロック部5に対して受信した命令信号に応じた制御信号を送り、ドア錠の施錠(ロック),解錠(アンロック)の制御を行い、
遠隔式エンジン始動システムは、ユーザが手元におく携帯機(子機)8と、自動車に搭載される車載器(装置本体)9とを備え、携帯機8は、エンジン始動ボタン8aを備え、携帯機8内の制御部は、エンジン始動ボタン8aが押下されたことを認識すると、自己を特定するための所定のコード(認証情報)とともに、押下されたボタンの内容(エンジン始動)を示す命令信号を、送信回路を介して送信し、
車載器9は、リモコン送受信機10と、制御部としてのMPU15とを備え、リモコン送受信機10は、アンテナ11と受信回路12と送信回路13とを備え、アンテナ11経由で受信回路12で受信した信号は、MPU15に与えられ、MPU15は、受信した信号に含まれる認証情報から、受信した信号が対となる携帯機8からのものであるか否かを判断し、対となる携帯機8からの信号である場合、その受信した信号に含まれる命令信号に基づく処理を実行し、
純正キーフリー制御部3によるエンジン始動を行うために、純正携帯機1を、車室内の所定位置(純正キーフリー制御部3との間で通信可能な場所)に置いておき、MPU15は、純正キーフリー制御部3に対してエンジン始動命令を出力する(エンジン始動スイッチ2のONと同じ状態にする)に際し、純正携帯機1から正規の認証情報を出力させるようにするものであり、
MPU15は、定常状態では純正携帯機1の認証情報を出力する動作・機能を停止させておき、必要なときに純正携帯機1の認証情報を出力する動作・機能を起動させるもので、具体的には、純正携帯機1に対する給電を制御し、携帯機8からエンジン始動命令を受信した車載器9のMPU15は、給電手段20によって純正携帯機1に対して電源を供給し、純正携帯機1を作動させることで純正キーフリー制御部3に対するイモビライザの認証をさせるとともに、純正のエンジン始動時に純正キーフリー制御部3へ出力するエンジン始動信号と同様の信号を発生させて、純正キーフリー制御部3によりエンジンを始動させ、給電手段が接続された純正携帯機は、車内に置かれたままとなるが、平常時は給電をOFFにすることで、純正携帯機から認証情報は出力されないため、制御ユニットその他の車載機器は、純正携帯機の存在を認識しないようになるので、例えば、ドアロックシステムにおける施錠や、盗難警報システムの警戒開始など、純正携帯機が車外にある(純正携帯機を携帯するユーザが車外にいる)ことを条件に動作するシステムが搭載された車両であっても、純正携帯機を車内に置いたままの状態で正常に動作させることができる、
遠隔式エンジン始動システム。」
(4)甲6
ア 甲6の記載
甲6には以下の記載がある。
(ア)「【0021】
図1は、第1及び第2の実施形態に係る自動車電子鍵システム100の構成を示す。自動車電子鍵システム100は、カーシェアリング等の一台の車両を複数人で使用するサービスにおいて円滑な車両運営を実現することを目的とする。自動車電子鍵システム100は、自動車200の開錠を制御する自動車電子鍵システム100と、自動車200を開錠する電子鍵として機能する利用者端末120と、ネットワーク80を介して利用者端末120及び車載装置10と接続され、電子鍵の鍵データを発行する鍵サーバ50とを主に備える。鍵サーバ50は、本実施形態に係るカーシェアリングサービスを提供する運営会社132によって運用される。」
(イ)「【0037】
図3は、第2の実施形態に係る自動車電子鍵システム100の内部構成を示す。本実施形態は、以下の説明を除き、図2で説明した第1の実施形態と同様である。鍵サーバ50が有する鍵配信部18は、第1の実施形態におけるサーバ鍵に代えて、自動車200に配信するための鍵データである車載鍵を発行する。そして、発行した車載鍵を車両IDで特定される車載装置10に配信する。
【0038】
車載装置10は、鍵サーバ50から車載鍵を受信して格納する車載鍵格納部20と、利用者端末120から端末鍵を受信したときに、車載鍵格納部20に格納された車載鍵と利用者端末120から受信した端末鍵とがいずれも利用可能期間内であって、かつ照合の結果、認証が成立することを条件にして、自動車200を開錠する開錠部22とを有する。なお、利用可能期間の情報は、車載鍵及び端末鍵のデータ内に含まれてもよいし、別ファイルとして車載鍵及び端末鍵と共に配信されてもよい。
【0039】
本実施形態に係る自動車電子鍵システム100によれば、車載装置10は、利用者端末120から受信した端末鍵を、自身に格納した車載鍵と照合するので、照合の際に外部を参照する必要がなく、認証の可否を素早く判断することができる。」
(ウ)「【0058】
図6は、第2の実施形態に係る車載装置10、鍵サーバ50、及び利用者端末120による通信シーケンスの例である。まず、鍵データの発行が要求されると(S100)、発行要求部12は、利用希望期間、端末ID、及び車両IDを鍵サーバ50に送信する(S102)。鍵サーバ50の鍵配信部18は、受け付けた車両IDに基づいて予約部16を参照し、自動車200の予約状況を確認する(S103)。そして鍵配信部18は、利用希望期間及び予約状況に基づいて利用可能期間を設定する(S104)。鍵配信部18は、設定した利用可能期間における照合で認証が成立する車載鍵及び端末鍵を発行し(S106)、発行した車載鍵を車両IDで特定される車載装置10に送信し、端末鍵を端末IDで特定される利用者端末120に配信する(S108)。
【0059】
車載装置10の車載鍵格納部20は、鍵サーバ50から車載鍵を受信して格納する(S110)。利用者端末120の鍵送受信部14は、鍵サーバ50から端末鍵を受信してICチップなどの記録媒体に書き込み、利用者から自動車200の開錠を要求されると(S112)、端末ID及び端末鍵を車載装置10に送信する(S114)。開錠部22は、利用者端末120から端末ID及び端末鍵を受信したことに応じて、車載鍵格納部20に格納された車載鍵と利用者端末120から受信した端末鍵とがいずれも利用可能期間内であって、かつ照合の結果、認証が成立する場合に(S116:Yes)、前記自動車を開錠する(S118)。
・・・
【0061】
以上の通信シーケンスによれば、車載装置10は、利用者端末120から受信した端末鍵を、自身に格納した車載鍵と照合するので、照合の際に鍵サーバ50を参照する必要がない。しがたって、本実施形態に係る自動車電子鍵システム100は、利用者の認証を素早く行うことができる。」
イ 甲6記載技術
上記アより、甲6には、次の技術(以下、「甲6記載技術」という。)が記載されている。
(甲6記載技術)
「ネットワーク80を介して利用者端末120及び車載装置10と接続され、電子鍵の鍵データを発行する鍵サーバ50を備える自動車電子鍵システム100であって、車載装置10は、鍵サーバ50から車載鍵を受信して格納する車載鍵格納部20と、認証が成立することを条件にして、自動車200を開錠する開錠部22とを有するものにおいて、
車載装置10、鍵サーバ50、及び利用者端末120による通信シーケンスは、
鍵サーバ50の鍵配信部18は、設定した利用可能期間における照合で認証が成立する車載鍵及び端末鍵を発行し、発行した車載鍵を車両IDで特定される車載装置10に送信し、端末鍵を端末IDで特定される利用者端末120に配信し、
車載装置10の車載鍵格納部20は、鍵サーバ50から車載鍵を受信して格納し、
利用者端末120の鍵送受信部14は、利用者から自動車200の開錠を要求されると、端末ID及び端末鍵を車載装置10に送信し、
開錠部22は、利用者端末120から端末ID及び端末鍵を受信したことに応じて、車載鍵格納部20に格納された車載鍵と利用者端末120から受信した端末鍵とがいずれも利用可能期間内であって、かつ照合の結果、認証が成立する場合に前記自動車を開錠するものとし、
車載装置10は、利用者端末120から受信した端末鍵を、自身に格納した車載鍵と照合するので、照合の際に鍵サーバ50を参照する必要がないため、自動車電子鍵システム100は、利用者の認証を素早く行うことができる、
自動車電子鍵の開錠技術。」
2 甲1を主引例とする場合(第4の1(1)及び(3)について)
(1)本件発明1
ア 対比
本件発明1と甲1発明とを対比する。
(ア)甲1発明の「車内の任意の場所に設置され」る「車載本体1」は、「CPU18」等を備えるから、本件発明1の「車両に設置される制御装置」に相当する。
(イ)甲1発明は、「作用部7」の「押圧部72」による「純正品110」の「アンロックボタン」の「押圧」によって「施解錠の制御」が行われるものであり、甲1発明の「純正品110」は、「車両ドア20」を「解錠」するための制御信号を送信する回路部を有することは自明であるから、本件発明1の「前記車両のドア解錠信号を発信する回路部を有する車両電子キー」に相当する。
(ウ)上記(イ)で検討したように、甲1発明は、「作用部7」の「押圧部72」による「純正品110」の「アンロックボタン」の「押圧」によって「施解錠の制御」が行われるものであり、「純正品110」は、「車両ドア20」を「解錠」するための制御信号を送信する回路部を有することは自明である。そうすると、本件発明1の「前記車両のドア解錠信号を発信する回路部を有する車両電子キーから取り外された当該回路部が配線接続されることで、前記ドア解錠信号を前記回路部から発信させる発動制御が可能な発動制御部」と、甲1発明の「純正品110」の「アンロックボタンを含む任意の操作ボタン」を「押圧する」「押圧部72」を有して構成される「作用部7」及び「作用部7を動作させるモータやソレノイドを駆動させる駆動系回路部6」とは、「前記ドア解錠信号を前記回路部から発信させる発動制御が可能な発動制御部」の点で共通する。
(エ)甲1発明の「送信機10bが送信する」「車載本体1に設けられた作用部7の動作を制御する信号」のうち、「車両ドア20」を「解錠」するための信号は、本件発明1の「所与の情報」に相当し、甲1発明の「車載本体1」の「送信機10からの信号を受信する受信部3」の「動作を統括する」「CPU18」は、本件発明1の「第1の取得制御部」に相当する。
(オ)甲1発明の、「作用部7」、「駆動系回路部6」等の構成要素の動作を統括する「CPU18」は、「車両ドア20」を「解錠」するための信号を受けて、「駆動系回路部6」及び「作用部7」(発動制御部)に「純正品110」の「アンロックボタン」を「押圧」させるものであるから、本件発明1の「実行制御部」に相当する。
(カ)甲1発明の「純正品110」(車両電子キー)は、「車両ドア20の施解錠の制御を行う」ための「アンロックボタン」を有し、「アンロックボタン」の「押圧」によって、解錠の制御を行うものである。また、上記(イ)で検討したように「純正品110」が、「車両ドア20」を「解錠」するための制御信号を送信する回路部を有することは自明であり、「純正品110」は「車両ドア20」を「アンロック」するためのドア解除信号を送信するにあたり、「押し下げ」を検知する検知回路を検知状態としているといえるから、甲1発明において、「作用部7」の「押圧部72」による「純正品110」の「アンロックボタン」の「押圧」によって「施解錠の制御」が行われることは、本件発明1の「発動制御部は、車両電子キーに設けられたドア解錠ボタンが押し下げられた時に当該押し下げを検知するために回路部に設けられた検知回路を検知状態とすることで発動制御を行う」に相当するといえる。
(キ)そうすると、本件発明1と甲1発明とは、以下の一致点、相違点を有する。
(一致点)
「車両に設置される制御装置であって、
前記ドア解錠信号を前記回路部から発信させる発動制御が可能な発動制御部と、
前記車両のドア解錠信号を発信する回路部を有する車両電子キーの前記回路部から前記ドア解錠信号を発信させる発動制御が可能な発動制御部と、
所与の情報を取得する第1の取得制御部と、
前記第1の取得制御部による前記所与の情報の取得がなされた場合に、前記発動制御部に前記発動制御を行わせる実行制御部と、
を備え、
前記発動制御部は、前記車両電子キーに設けられたドア解錠ボタンが押し下げられた時に当該押し下げを検知するために前記回路部に設けられた検知回路を検知状態とすることで前記発動制御を行う、
制御装置。」
(相違点1)
本件発明1は、発動制御部が「前記車両のドア解錠信号を発信する回路部を有する車両電子キーから取り外された当該回路部が配線接続され」るのに対し、甲1発明はそのようにされていない点。
イ 判断
(ア)新規性について(上記第4の1(1))
本件発明1と甲1発明とは、上記ア(キ)の相違点1を有し、相違点1は実質的な相違点であるから、本件発明1は、甲1に記載された発明ではない。
(イ)進歩性について(上記第4の1(3))
相違点1に係る構成が本件特許の出願の前に公知または周知の技術であったことを示す証拠は提出されておらず、また、設計的事項ともいえない。よって、相違点1に係る本件発明1の構成は、甲1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
ウ 小括
したがって、本件発明1は、甲1に記載された発明ではない。
また、本件発明1は、甲1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(2)本件発明2
ア 対比
本件発明2と甲1発明とを対比する。
(ア)甲1発明の「車内の任意の場所に設置され」る「車載本体1」は、「CPU18」等を備えるから、本件発明2の「複数のユーザが共同で使用することができる一の車両に設置される制御装置」と「車両に設置される制御装置」の点で共通する。
(イ)甲1発明の「純正品」は「ロックボタンやアンロックボタン」を備え、は、その「押圧」によって「車両ドア20の施解錠の制御を行う」ものであるから、回路を備えることは自明である。そうすると、甲1発明は、本件発明2の「前記車両のドア解錠信号及びドア施錠信号を発信する回路部を有する車両電子キー」及び「 前記車両電子キーは、前記車両のドア解錠ボタン及びドア施錠ボタンを有するものであり、」との構成を備える。
(ウ)甲1発明は、「作用部7」の「押圧部72」による「純正品110」の「ロックボタン」、「アンロックボタン」の「押圧」によって「施解錠の制御」が行われるものであり、「純正品110」は、「車両ドア20」を「解錠」するための制御信号を送信する回路部を有することは自明であるから、甲1発明の「純正品110」の「ロックボタン」、「アンロックボタン」を「押圧する」「押圧部72」を有して構成される「作用部7」及び「作用部7を動作させるモータやソレノイドを駆動させる駆動系回路部6」は、本件発明1の「発動制御部」に相当する。
(エ)甲1発明の「認証信号」は、本件発明2の「少なくとも前記車両を使用する使用ユーザを特定する第1のユーザ認証情報」に相当し、信号を受信する「受信部3」は、本件発明2の「第1の取得制御部」に相当する。
(オ)甲1発明の「CPU18」は、「認証情報」の「照合処理を行い」、「操作ボタンを押圧する作用部7を動作させるモータやソレノイドを駆動させる駆動系回路部6」「の動作を統括する」ものであり、本件発明2の「前記第1の取得制御部による前記第1のユーザ認証情報の取得がなされた場合に、前記発動制御部に前記発動制御を行わせる実行制御部」に相当するといえる。
(カ)甲1発明の「装着部8に装着される純正品」の「ロックボタン」、「アンロックボタン」を「押圧する」「押圧部72」は、本件発明2の「発動制御部」が有する「所定位置に取り付けられた前記車両電子キーの前記ドア解錠ボタン及び前記ドア施錠ボタンを別個に押し下げる押し下げ機構部」に相当する。
(キ)上記(ウ)及び(カ)の対比を踏まえると、甲1発明は、本件発明2の「前記発動制御部は、所定位置に取り付けられた前記車両電子キーの前記ドア解錠ボタン及び前記ドア施錠ボタンを別個に押し下げる押し下げ機構部を有し、当該押し下げ機構部を作動させて前記回路部に前記ドア解錠ボタン又は前記ドア施錠ボタンが押し下げられたことを検知させることで前記ドア解錠信号又は前記ドア施錠信号を発信させる前記発動制御を行い、」との構成を備える。
(ク)そうすると、本件発明2と甲1発明とは、以下の一致点、相違点を有する。
(一致点)
「車両に設置される制御装置であって、
前記車両のドア解錠信号及びドア施錠信号を発信する回路部を有する車両電子キーが取り付けられることで、前記ドア解錠信号及び前記ドア施錠信号を前記回路部から発信させる発動制御が可能な発動制御部と、
少なくとも前記車両を使用する使用ユーザを特定する第1のユーザ認証情報を取得する第1の取得制御部と、
前記第1の取得制御部による前記第1のユーザ認証情報の取得がなされた場合に、前記発動制御部に前記発動制御を行わせる実行制御部と、
を備え、
前記車両電子キーは、前記車両のドア解錠ボタン及びドア施錠ボタンを有するものであり、
前記発動制御部は、所定位置に取り付けられた前記車両電子キーの前記ドア解錠ボタン及び前記ドア施錠ボタンを別個に押し下げる押し下げ機構部を有し、当該押し下げ機構部を作動させて前記回路部に前記ドア解錠ボタン又は前記ドア施錠ボタンが押し下げられたことを検知させることで前記ドア解錠信号又は前記ドア施錠信号を発信させる前記発動制御を行う、
制御装置。」
(相違点2)
本件発明2は、制御装置が「複数のユーザが共同で使用することができる一の車両」に設置され、「前記使用ユーザを含む前記車両の使用予約をした予約ユーザ毎の予約期間データ及び第2のユーザ認証情報を含む予約情報を管理するサーバシステムから前記予約ユーザ毎の予約情報を取得する第2の取得制御部」を備え、「前記実行制御部は、前記第1のユーザ認証情報と前記予約情報とに基づく前記車両の使用許否判定の結果に応じて、前記発動制御部に前記発動制御を行わせ、前記車両の使用許否判定は、前記第1のユーザ認証情報と前記第2のユーザ認証情報とが適合するか否かを判定する第1適合判定と、現在日時が前記車両の予約期間に適合するか否かを判定する第2適合判定と、を含み、前記実行制御部は、前記車両の返却時には、前記第2適合判定を省略して行われる前記車両の使用許否判定の結果に応じて、前記発動制御部に前記発動制御を行わせる」のに対し、甲1発明は、車両盗難防止装置であって、制御装置が、本件発明2のように特定されていない点。
イ 判断
(ア)新規性について(上記第4の1(1))
本件発明2と甲1発明とは、上記ア(ウ)の相違点2を有し、相違点2は実質的な相違点であるから、本件発明2は、甲1に記載された発明ではない。
(イ)進歩性について(上記第4の1(3))
甲1発明は車両盗難防止装置であって、第1のユーザ認証情報及び第2のユーザ認証情報による認証を行うものではない。また、相違点2に係る構成が本件特許の出願の前に公知または周知の技術であったことを示す証拠は提出されておらず、また、設計的事項ともいえない。よって、相違点2に係る本件発明2の構成は、甲1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
ウ 小括
したがって、本件発明2は、甲1に記載された発明ではない。
また、本件発明2は、甲1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(3)本件発明3~5
本件発明3~5は、本件発明2の構成をすべて含みさらに限定を加えた発明であるから、上記(2)で説示した理由と同じ理由により、甲1に記載された発明ではなく、甲1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。
3 甲2を主引例とする場合(第4の1(2)、(4)~(6)について)
(1)本件発明1
ア 対比
本件発明1と甲2発明とを対比する。
(ア)甲2発明において「車両電子機器」が車両に設置されることは自明である。そして、甲2発明において「キーボックス」及び「車両電子機器」は、「起動手段が車両を開くかどうか」の「決定」等をするものであるから、甲2発明の「車両1の内部に配置する」「キーボックス」及び「車両電子機器」は、本件発明1の「車両に設置される制御装置」に相当するといえる。
(イ)甲2発明の「ドアロック」を「施解錠可能」な「開信号を送信する標準キー」は、「開信号を送信」する回路部を有することは自明であるから、本件発明1の「車両のドア解錠信号を発信する回路部を有する電子車両キー」に相当する。
(ウ)上記(イ)の対比を踏まえると、本件発明1の「前記車両のドア解錠信号を発信する回路部を有する車両電子キーから取り外された当該回路部が配線接続されることで、前記ドア解錠信号を前記回路部から発信させる発動制御が可能な発動制御部」と、甲2発明の「キーボックスまたは車両が補助送信機から信号を受信すると、起動手段が中央ロックシステムを作動させるためのキーのプッシュボタンを押すことができるように設計され」た「キーボックス」は、本件発明1の「前記ドア解錠信号を前記回路部から発信させる発動制御が可能な発動制御部」である点で共通する。
(エ)上記(ウ)に関連し、甲2発明の「補助送信機」から「受信」すると「起動手段」が「ボタンを押す」ことができる「信号」は、本件発明1の「所与の情報」に相当し、「キーボックスまたは車両」の当該信号を受信する部分は、本件発明1の「第1の取得制御部」に相当する。
(オ)上記(ウ)に関連し、甲2発明の「補助送信機から信号を受信」した際に「ボタンを押す」「起動手段」を含む「キーボックス」を制御する部分は、本件発明1の「実行制御部」に相当する。
(カ)甲2発明は、「キーボックス4内に取り付けられたキー2のプリントヘッド」が「伸長された圧力要素8によって押し下げられ」て「キー2」から、開信号3が送出され」るものである。また、「キー2」が「開信号を送信」する回路部を有することは自明であり、「キー2」は「開信号を送信」するにあたり、「押し下げ」を検知する検知回路を検知状態としているといえるから、甲2発明において、「キーボックス4内に取り付けられたキー2のプリントヘッド」が「伸長された圧力要素8によって押し下げられ」て「キー2」から、「開信号3が送出され」るものであることは、本件発明1の「発動制御部は、車両電子キーに設けられたドア解錠ボタンが押し下げられた時に当該押し下げを検知するために回路部に設けられた検知回路を検知状態とすることで発動制御を行う」ことに相当するといえる。
(キ)そうすると、本件発明1と甲2発明とは、以下の一致点、相違点を有する。
(一致点)
「車両に設置される制御装置であって、
前記車両のドア解錠信号を発信する回路部を有する車両電子キーの前記回路部から前記ドア解錠信号を発信させる発動制御が可能な発動制御部と、
所与の情報を取得する第1の取得制御部と、
前記第1の取得制御部による前記所与の情報の取得がなされた場合に、前記発動制御部に前記発動制御を行わせる実行制御部と、
を備え、
前記発動制御部は、前記車両電子キーに設けられたドア解錠ボタンが押し下げられた時に当該押し下げを検知するために前記回路部に設けられた検知回路を検知状態とすることで前記発動制御を行う、
制御装置。」
(相違点A)
本件発明1は、発動制御部が「前記車両のドア解錠信号を発信する回路部を有する車両電子キーから取り外された当該回路部が配線接続され」るのに対し、甲2発明はそのようにされていない点。
イ 判断
(ア)新規性について(上記第4の1(2))
本件発明1と甲2発明とは、上記ア(キ)の相違点Aを有し、相違点Aは実質的な相違点であるから、本件発明1は、甲2に記載された発明ではない。
(イ)進歩性について(上記第4の1(4))
相違点Aに係る構成が本件特許の出願の前に公知または周知の技術であったことを示す証拠は提出されておらず、また、設計的事項ともいえない。よって、相違点Aに係る本件発明1の構成は、甲2発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
ウ 小括
したがって、本件発明1は、甲2に記載された発明ではない。
また、本件発明1は、甲2発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(2)本件発明2
ア 対比
(ア)甲2発明の「特定のユーザの使用許可を記憶する外部データ処理部に一時的または継続的に接続される」「車両」は、本件発明2の「複数のユーザが共同で使用することができる一の車両」に相当する。
(イ)甲2発明において「車両電子機器」が車両に設置されることは自明である。そして、甲2発明において「キーボックス」及び「車両電子機器」は、「起動手段が車両を開くかどうか」の「決定」等をするものであるから、甲2発明の「車両1の内部に配置する」「キーボックス」及び「車両電子機器」は、本件発明1の「車両に設置される制御装置」に相当するといえる。
(ウ)甲2発明の「2のプリントヘッドを有」する「キー」であって、車両の「開放」及び「ロック」のために2の圧力要素8のそれぞれに別個に押し下げられる「キー」は、信号の送信のために回路部を有することは自明であるから、本件発明1の「車両のドア解錠信号及びドア施錠信号を発信する回路部を有する電子車両キー」に相当する。また、上記のとおりであるから、甲2発明は、本件発明2の「前記車両電子キーは、前記車両のドア解錠ボタン及びドア施錠ボタンを有するものであり、」との構成も備える。
(エ)甲2発明の「キーボックスまたは車両が補助送信機から信号を受信すると、起動手段が中央ロックシステムを作動させるためのキーのプッシュボタンを押すことができるように設計され」た「キーボックス」は、(ウ)の対比も踏まえると、本件発明2の「発動制御部」に相当する。また、甲2発明は、本件発明2の「前記発動制御部は、所定位置に取り付けられた前記車両電子キーの前記ドア解錠ボタン及び前記ドア施錠ボタンを別個に押し下げる押し下げ機構部を有し、当該押し下げ機構部を作動させて前記回路部に前記ドア解錠ボタン又は前記ドア施錠ボタンが押し下げられたことを検知させることで前記ドア解錠信号又は前記ドア施錠信号を発信させる前記発動制御を行い、」との構成も備える。
(オ)甲2発明の「補助送信機からの信号」に含まれる「ユーザを識別するための情報」は、本件発明2の「第1のユーザ認証情報」に相当し、甲2発明の「補助送信機」からの信号を取得する部分は、本件発明2の「第1の取得制御部」に相当する。
(カ)甲2発明の「要求信号を送信したユーザが車両を使用することを許可されているかどうか」の「データ」を格納する「外部データ処理部」は、本件発明2の「サーバシステム」に相当する。甲2発明において「ユーザは一時的にのみ使用を許可される場合、車両において時間が比較」され、「比較および正当性の検証の肯定的な結果の後、圧力要素8が作動され」るものであるから、甲2発明の「データ」は、本件発明2の「前記使用ユーザを含む前記車両の使用予約をした予約ユーザ毎の予約期間データ及び第2のユーザ認証情報を含む予約情報」に相当するといえる。また、甲2発明の「外部データ処理部」から「データ」を取得する部分は、本件発明2の「第2の取得制御部」に相当する。
(キ)甲2発明の「補助送信器を介して車両の開放の要求が受信され」、「比較および正当性の検証」によって「肯定的な結果」が得られた後に「圧力要素8」を作動させる部分は、本件発明2の「前記第1の取得制御部による前記第1のユーザ認証情報の取得がなされた場合に、前記発動制御部に前記発動制御を行わせる実行制御部」に相当する。また、甲2発明は、本件発明2の「前記実行制御部は、前記第1のユーザ認証情報と前記予約情報とに基づく前記車両の使用許否判定の結果に応じて、前記発動制御部に前記発動制御を行わせ」、「前記車両の使用許否判定は、前記第1のユーザ認証情報と前記第2のユーザ認証情報とが適合するか否かを判定する第1適合判定と、現在日時が前記車両の予約期間に適合するか否かを判定する第2適合判定と、を含み、」に相当する構成を備えるといえる。
(ク)そうすると、本件発明2と甲2発明とは、以下の一致点、相違点を有する。
(一致点)
「 複数のユーザが共同で使用することができる一の車両に設置される制御装置であって、
前記車両のドア解錠信号及びドア施錠信号を発信する回路部を有する車両電子キーが取り付けられることで、前記ドア解錠信号及び前記ドア施錠信号を前記回路部から発信させる発動制御が可能な発動制御部と、
少なくとも前記車両を使用する使用ユーザを特定する第1のユーザ認証情報を取得する第1の取得制御部と、
前記使用ユーザを含む前記車両の使用予約をした予約ユーザ毎の予約期間データ及び第2のユーザ認証情報を含む予約情報を管理するサーバシステムから前記予約ユーザ毎の予約情報を取得する第2の取得制御部と、
前記第1の取得制御部による前記第1のユーザ認証情報の取得がなされた場合に、前記発動制御部に前記発動制御を行わせる実行制御部と、
を備え、
前記車両電子キーは、前記車両のドア解錠ボタン及びドア施錠ボタンを有するものであり、
前記発動制御部は、所定位置に取り付けられた前記車両電子キーの前記ドア解錠ボタン及び前記ドア施錠ボタンを別個に押し下げる押し下げ機構部を有し、当該押し下げ機構部を作動させて前記回路部に前記ドア解錠ボタン又は前記ドア施錠ボタンが押し下げられたことを検知させることで前記ドア解錠信号又は前記ドア施錠信号を発信させる前記発動制御を行い、
前記実行制御部は、前記第1のユーザ認証情報と前記予約情報とに基づく前記車両の使用許否判定の結果に応じて、前記発動制御部に前記発動制御を行わせ、
前記車両の使用許否判定は、前記第1のユーザ認証情報と前記第2のユーザ認証情報とが適合するか否かを判定する第1適合判定と、現在日時が前記車両の予約期間に適合するか否かを判定する第2適合判定と、を含む、
制御装置。」
(相違点B)
本件発明2は「前記実行制御部は、前記車両の返却時には、前記第2適合判定を省略して行われる前記車両の使用許否判定の結果に応じて、前記発動制御部に前記発動制御を行わせる」ものであるのに対し、甲2発明は、そのように特定されない点。
イ 判断
(ア)新規性について(上記第4の1(2))
本件発明2と甲2発明とは、上記ア(ク)の相違点Bを有し、相違点Bは実質的な相違点であるから、本件発明2は、甲2に記載された発明ではない。
(イ)進歩性について(上記第4の1(4))
相違点Bは、甲6に記載されたものではなく、相違点Bに係る構成が本件特許の出願の前に公知または周知の技術であったことを示す証拠は提出されておらず、また、設計的事項ともいえない。よって、相違点Bに係る本件発明2の構成は、甲2発明に基づいて、、または甲2発明及び甲6記載技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
ウ 小括
したがって、本件発明2は、甲2に記載された発明ではない。
また、本件発明2は、甲2発明に基づいて、または甲2発明及び甲6記載技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(3)本件発明3~8、10、11(上記第4の1(2)、(4)~(6))
本件発明3~8、10、11は、本件発明2を引用するものであり、本件発明2の構成をすべて含みさらに限定を加えた発明であるから、上記(2)で説示した理由と同じ理由により、甲2に記載された発明ではなく、甲2発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでもない。
また、上記相違点Bに係る構成は、甲3ないし甲5のいずれの文献にも記載されておらず、甲2発明、甲6記載技術及び甲3ないし甲5に記載された技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。
第7 むすび
以上のとおり、請求項1~8、10、11に係る特許は、取消理由通知に記載した取消理由又は特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては取り消すことはできない。
さらに他に請求項1~8、10、11に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
請求項9は、訂正により削除されたため、本件特許の請求項9に対して、申立人がした特許異議の申立てについては、対象となる請求項が存在しないものとなったから、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。
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2021-701176