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特許異議申立

2022-700689

汚染土層を含む地盤での基礎杭の構築方法

審判番号
2022-700689
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2017-209535
登録番号
7007054
請求日
2022年07月21日
審決日
2022年12月05日
公報発行日
2023年01月27日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】三谷セキサン株式会社
  • 【権利者代理人】涌井 謙一
  • 【権利者代理人】山本 典弘
  • 【権利者代理人】鈴木 一永
  • 【権利者代理人】工藤 貴宏
  • 【権利者代理人】三井 直人
  • 【異議申立人】飯田 進
  • 【異議申立人】飯田 篤
審判長/審判官
  • 審判長 前川 慎喜
  • 審判官 西田 秀彦
  • 審判官 藤脇 昌也
分類
P1651.121-Y (E02D) / P1651.537-Y (E02D)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第36条、特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第1号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7007054号発明「汚染土層を含む地盤での基礎杭の構築方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7007054号の請求項1ないし4に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7007054号(以下「本件特許」という。)の請求項1ないし4に係る特許についての出願は、平成29年10月30日に出願され、令和4年1月11日にその特許権の設定登録がされ、令和4年1月24日に特許掲載公報が発行された。その後、その請求項1ないし4に係る特許に対し、令和4年7月21日に異議申立人飯田進(以下「申立人A」という。)により特許異議の申立てがされ、令和4年7月22日に異議申立人飯田篤(以下「申立人B」という。)により特許異議の申立てがされたものである。 第2 本件発明 本件特許の請求項1ないし4の特許に係る発明(以下、「本件発明1」等といい、全体の発明を「本件発明」という。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。 「【請求項1】 地表付近に汚染土層を有する地盤に基礎杭を構築するに際し、以下のようにして掘削することを特徴とする汚染土層を含む地盤での基礎杭の構築方法。 (1) 地上から、下端部の掘削ヘッドに吐出口および掘削刃を備えた掘削ロッドで、水または掘削液を注入して掘削しながら前記汚染土層の杭穴壁を練り付けて前記汚染土層内の水分がしみ出ることを防止しつつ、前記掘削ロッドの前記掘削刃が、前記汚染土層を貫通したならば上部杭穴を形成して、一旦掘削を停止して、前記掘削ロッドを地上に引き上げ、前記掘削ロッドの下部を清掃あるいは洗浄する。 (2) 前記掘削ロッド使って前記(1)の工程と同時に、あるいは別の手段を使って、前記上部杭穴内の汚染土を含んだ掘削残土を地上に排出する。 (3) 前記掘削ロッドの先端側を前記上部杭穴内に挿入して、掘削液や水などを前記杭穴内に注入して前記汚染土層の杭穴壁を練り付けながら、さらに下方に向けて掘削する。 (4) 前記掘削ロッドにより支持層まで掘削をして杭穴を構築して、水や掘削泥土で満たされた前記杭穴内に、前記吐出口から水硬性材料を注入しながら、前記杭穴底から、前記掘削ロッドを地上に引き上げる。 (5) 前記掘削ロッドを地上に引き上げながら、あるいは前記掘削ロッドを地上に引き上げた後に、構造物を埋設して基礎杭を構築する。 【請求項2】 以下のようにして掘削することを特徴とする請求項1記載の汚染土層を含む地盤での基礎杭の構築方法。 (1) 不透水系地層の上に汚染土層が形成された地盤で、掘削ロッドの掘削刃が、前記汚染土層を貫通して、前記不透水系地層に至ったならば、上部杭穴を形成して、一旦掘削を停止して、前記掘削ロッドを地上に引き上げ、前記上部杭穴内の掘削残土を前記上部杭穴から排出する。 【請求項3】 以下のようにして掘削することを特徴とする請求項1記載の汚染土層を含む地盤での基礎杭の構築方法。 (1) 予め現場敷地内または近接敷地に、釜場ピットを形成する。 (2) 上部杭穴を形成したならば、前記上部杭穴内の掘削残土を地上に排出すると共に、前記釜場ピット内に移動する。 (3) 前記釜場ピット内に不溶化材料を投入して、汚染物質の溶出を確認しつつ、前記掘削残土に不溶化処理を施しマッドケーキとして、前記マッドケーキを前記釜場ピットから排出する。 【請求項4】 掘削ロッドは、掘削ヘッドの直上に練り付けドラムを形成した請求項1記載の汚染土層を含む地盤での基礎杭の構築方法。」 第3 申立理由の概要 1 申立人Aについて 申立人Aは、証拠方法として甲第1号証~甲第5号証(以下「甲A1」等という。)を提出し、以下の申立理由を主張している (1)申立理由の概要 ア 申立理由A(進歩性) 本件発明1ないし3は、甲A1に記載の発明、及び、甲A2~甲A5に記載の周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消されるべきものである。 (2)証拠方法 甲A1:特開2014-114600号公報 甲A2:特開平7-269260号公報 甲A3:特開2013-87582号公報 甲A4:特許第4593259号公報 甲A5:特許第6006110号公報 2 申立人Bについて 申立人Bは、証拠方法として甲第1号証~甲第7号証(以下「甲B1」等という。)を提出し、以下の申立理由を主張している (1)申立理由の概要 ア 申立理由B-1(進歩性) 本件発明1、2及び4は、甲B1に記載の発明、及び、甲B2~甲B5に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、また、本件発明3は、甲B1に記載の発明、及び、甲B2~甲B6に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消されるべきものである。 イ 申立理由B-2(サポート要件) 本件特許の特許請求の範囲の請求項1ないし3の記載には不備があり、本件発明1ないし3は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、その特許は取り消されるべきものである。 (2)証拠方法 甲B1:特開2014-156752号公報 甲B2:実願昭46-62519号(実開昭48-20203号)のマイ クロフィルム 甲B3:実願昭58-185429号(実開昭60-91629号)のマ イクロフィルム 甲B4:特開平7-269260号公報 甲B5:特開平9-195310号公報 甲B6:特許第4593259号公報 甲B7:「既製コンクリート杭の施工管理」,第6版第2刷,一般社団法 人コンクリートパイル建設技術協会,2014年7月,目次,p .244,276,277 なお、甲B4は甲A2と、甲B6は甲A4と、それぞれ同じ文献である。 第4 各甲号証について 1 甲A1 (1)甲A1の記載 本件特許出願前に頒布された甲A1には、以下の事項が記載されている。(下線は決定で付した。以下同様。) ア「【0001】 本発明は、基礎杭施工方法に関する。」 イ「【0006】 本発明は、プレボーリング工法によって基礎杭を築造する基礎杭施工方法において、基礎杭の施工中及び施工後に、上部透水層に含まれる汚染物質によって下部透水層に含まれる地下水が汚染されることを確実に防止することができる基礎杭施工方法を提供することを目的とする。」 ウ「【0015】 本実施形態の基礎杭施工方法は、地盤に鉛直孔を形成し、この鉛直孔に杭周固定液を満たして杭体を建て込むプレボーリング工法に基づくものである。スパイラルフライト及び撹拌翼等を付けたオーガ(以下「スパイラルオーガ」と記述する)により掘削液を噴出しながら地盤を掘削し、地盤の比較的硬い支持層まで掘削したその最下部に、セメントミルクにより根固め部を形成する。そして、鉛直孔に既成杭を設置することで基礎杭の築造が完了する。 【0016】 本実施形態において杭体を施工する地盤は、図1に示されるように、粘土質で水を通しにくい止水層105を有し、この止水層105の上方及び下方に、水を通しやすい上部透水層(第1の層)103及び下部透水層(第2の層)111をそれぞれ有する地盤である。下部透水層111は、地盤の比較的軟らかい帯水層107と、後述する根固め部を形成する、地盤の比較的硬い支持層109とを含む。また、上部透水層103及び下部透水層111はそれぞれ地下水を含んでいる。 【0017】 ここで、上部透水層103を構成する地盤は、重金属や揮発性有機化合物等により汚染されており、これらにより上部透水層103に含まれる地下水も汚染されているものとする。一方、下部透水層111を構成する地盤は、上部透水層103における汚染物質が止水層105により遮断されているため、汚染されておらず、下部透水層111に含まれる地下水は、産業用又は生活用に有効利用することができるものとする。なお、止水層105は、1.0×10-4cm/sec以下の透水係数を有し、且つ厚さが1.0m以上である層であり、この性状の止水層105には、土壌汚染対策法に規定された「準不透水層」が該当する。また、止水層105が土壌汚染対策法に規定された「不透水層」(1.0×10-5cm/sec以下の透水係数を有し、且つ厚さが5.0m以上である層)である場合にも、本施工方法は有効である。 【0018】 図1及び図2を参照しながら、杭体の施工方法について説明する。なお、図1(a)~(e)及び図2(a)~(e)は、一本の杭体の施工について、以下に説明する一連の工程を横並びで連続的に示している。 【0019】 地面に杭打ち機械をセットし(図示せず)、杭芯を測量し、機械を精度よく設置する。スパイラルオーガ7の先端部からベントナイト泥水(ベントナイト配合液)9を噴出しながら、スパイラルオーガ7により上部透水層103を掘削し、掘削が止水層105の上端まで到達したら、掘削した領域の土を置換する(置換工程;図1(a))。すなわち、上部透水層103の掘削により生じた土を全排土する。なお、ベントナイト泥水9は、形成する鉛直孔113の土壁の安定性を維持するための掘削液である。 【0020】 次に、ベントナイト泥水9を注入しながら止水層105の途中まで掘削を進める。そして、止水層105の内部において、スパイラルオーガ7の先端部から掘削ビット7aを水平方向に突出させ(図1(b))、孔径が拡大された拡径掘削部115を形成する。このとき、拡径掘削部115の上端及び下端の少なくとも一方が止水層105内に位置するように形成する。形成した拡径掘削部115に、セメントミルク(水セメント比100%以下)を注入して撹拌し、拡径止水部117を形成する(拡径止水部形成工程;図1(c))。ここで、拡径止水部117の直径は、掘削の容易さ、及び、後述する汚染物質の遮断効果の観点から、杭体5の外径の1.2倍~2.0倍であることが好ましく、拡大が可能であれば2.0倍以上がより好ましい。この拡径止水部117は、杭体の施工完了後に硬化して、後述するソイルセメント体121となるものである。 【0021】 その後、掘削ビット7aを収め、ベントナイト泥水9を注入しながら止水層105を越えて下部透水層111における帯水層107、更には支持層109へと掘削を進める(図1(d))。 【0022】 掘削が支持層109の内部まで到達したら、スパイラルオーガ7の先端部から掘削ビット7aを水平方向に突出させて(図1(e))掘削を進め、孔径を拡大する(図2(a))。そして、孔径を拡大した部分に根固め用のセメントミルク(水セメント比55~60%)を注入して撹拌し、根固め部119を形成する(根固め部形成工程;図2(b))。セメントミルクの注入を終了したら、掘削ビット7aを収める。 【0023】 その後、スパイラルオーガ7を引き揚げながら、鉛直孔113の内部に杭周固定液11たるセメントミルク(水セメント比100%以上)を注入し(図2(c))、杭体5を鉛直孔113に挿入する(建込み工程;図2(d))。このとき、拡径止水部117中のセメントミルクは、杭体5に密着する。このようにして、杭体5の施工が完了する(図2(e))。」 エ 図面 (ア)図1 「 [図:0001393115000001.jpg] 」 (イ)図2 「 [図:0001393115000002.jpg] 」 上記図2の(a)から、孔径を拡大した部位を有する鉛直孔113内において、ベントナイト泥水9が満たされている点が看取できる。 (2)甲A1に記載された発明 上記(1)をふまえると、甲A1には、次の方法発明(以下、「甲A1発明」という。)が記載されているものと認められる。 (甲A1発明) 「基礎杭の施工中及び施工後に、上部透水層に含まれる汚染物質によって下部透水層に含まれる地下水が汚染されることを確実に防止することができる基礎杭施工方法であり、 地盤に鉛直孔を形成し、この鉛直孔に杭周固定液を満たして杭体を建て込むプレボーリング工法に基づくものであって、スパイラルフライト及び撹拌翼等を付けたスパイラルオーガにより掘削液を噴出しながら地盤を掘削し、地盤の比較的硬い支持層まで掘削したその最下部に、セメントミルクにより根固め部を形成し、鉛直孔に既成杭を設置するものであり、 杭体を施工する地盤は、粘土質で水を通しにくい止水層105を有し、この止水層105の上方及び下方に、水を通しやすい上部透水層103及び下部透水層111をそれぞれ有する地盤であり、下部透水層111は、地盤の比較的軟らかい帯水層107と、根固め部を形成する、地盤の比較的硬い支持層109とを含み、上部透水層103及び下部透水層111はそれぞれ地下水を含んでおり、 上部透水層103を構成する地盤は、重金属や揮発性有機化合物等により汚染されており、 地面に杭打ち機械をセットし、杭芯を測量し、機械を精度よく設置し、スパイラルオーガ7の先端部からベントナイト泥水9を噴出しながら、スパイラルオーガ7により上部透水層103を掘削し、掘削が止水層105の上端まで到達したら、掘削した領域の土を置換する、すなわち、上部透水層103の掘削により生じた土を全排土するものであり、ベントナイト泥水9は、形成する鉛直孔113の土壁の安定性を維持するための掘削液であり、 次に、ベントナイト泥水9を注入しながら止水層105の途中まで掘削を進め、止水層105の内部において、スパイラルオーガ7の先端部から掘削ビット7aを水平方向に突出させ孔径が拡大された拡径掘削部115を形成し、形成した拡径掘削部115に、セメントミルクを注入して撹拌し、拡径止水部117を形成し、 その後、掘削ビット7aを収め、ベントナイト泥水9を注入しながら止水層105を越えて下部透水層111における帯水層107、更には支持層109へと掘削を進め、 掘削が支持層109の内部まで到達したら、スパイラルオーガ7の先端部から掘削ビット7aを水平方向に突出させて掘削を進め、孔径を拡大し、孔径が拡大されている鉛直孔113内において、ベントナイト泥水9が満たされており、孔径を拡大した部分に根固め用のセメントミルクを注入して撹拌し、根固め部119を形成し、根固め部119が形成されている鉛直孔113内にはベントナイト泥水9が満たされており、 その後、スパイラルオーガ7を引き揚げながら、鉛直孔113の内部に杭周固定液11たるセメントミルクを注入し、杭体5を鉛直孔113に挿入して、杭体5の施工が完了する、 基礎杭施工方法。」 2 甲A2(甲B4) (1)甲A2(甲B4)の記載 本件特許出願前に頒布された甲A2(甲B4)には、以下の事項が記載されている。 ア「【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、杭の沈設方法および地盤改良工法に関し、特に、掘削工具を用いて掘削孔を穿孔し、ここに固定液などの各種薬液を注入して地盤を改良したり、杭を沈設して地盤の上に立つ構造物の荷重を強固な地盤まで伝達するための工法に関する。」 イ「【0005】また、掘削工具には適当な撹拌翼が設けられているものの、かかる撹拌翼の回転による撹拌のみでは固定液など各種薬液の混合が不十分な場合も少なくなかった。そのため、杭を挿入しても十分な鉛直支持力が得られず、地盤改良の効果が不十分になるという問題があった。これに加えて、回転掘削を行うと土壌に含まれた粘土が掘削工具やロッド、あるいは撹拌翼に付着し、繰り返して掘削を行う場合には、掘削工具を引き上げたときに清掃する必要も生じた。」 3 甲A3 (1)甲A3の記載 本件特許出願前に頒布された甲A3には、以下の事項が記載されている。 ア「【0001】 本発明は、掘削ロッド及び掘削方法に関する。」 イ「【0066】 更に、スクリュー翼62には混合攪拌機能がないため、粘性土地盤においては、スクリュー翼62の上面に粘土塊が付着し易い。付着した粘土塊で掘削孔が閉塞され、掘削抵抗が増大する場合がある。この場合には、スクリュー翼62を一旦地上まで引き上げ、スクリュー翼62から泥塊を掻き落とす作業が必要となる。 上述した問題は、空頭制限下や狭小地での作業など、掘削機の大きさ(能力)や作業空間(上下反復に必要なストロークなど)に制限のある作業ではより顕著となる。」 4 甲A4(甲B6) (1)甲A4(甲B6)の記載 本件特許出願前に頒布された甲A4(甲B6)には、以下の事項が記載されている。 ア「【0001】 本発明は、杭工事で発生する建設汚泥を、該杭工事現場内において処理するための汚泥処理システムに関するものである。」 イ「【0010】 特に、杭工事現場では、杭孔の掘削、あるいは既製杭の沈設の際に掘削液などが混入した液状の建設汚泥が杭孔から大量に溢れ出て、工事現場全体がぬかるみ状態になるなど、杭工事のための重機の搬入、移動の障害になるため、溢れ出た建設汚泥を一時的に貯留するための釜場としての穴を掘削し、さらに工事現場の片隅に搬出まで建設汚泥を貯留しておくためのスペースを確保するなどして対処している。」 ウ「【0056】 (1)建設汚泥の貯留部11への貯留 上述のような杭工事によって発生する汚泥は、まず、杭孔近傍に設けた貯留部11としての釜場に送り込まれる。貯留部11への建設汚泥の移送はバックホーなどを利用しても良いが、杭孔から貯留部11へ向けて誘導溝を設け、杭孔からオーバーフローさせた建設汚泥をそのまま貯留部11へ流下させるようにすれば、効率的であり、かつ現場の汚染を最小限に抑えることができる。 【0057】 また、その場合、貯留部11を第1の釜場と第2の釜場というように2段に設け、主として第1の釜場で粗大含有固形分を沈降分離させ、第1の釜場から第2の釜場に向けてオーバーフローする建設汚泥の上澄み液を第2の釜場に貯留するというようにすれば、粗大含有固形分を第1の釜場に集め、第2の釜場からのサンドポンプ21等の移送手段による汚泥分別装置31への汚泥の送り出しをよりスムーズにすることもできる。 【0058】 (2)汚泥の汚泥分別装置への移送 貯留部11で一時的に貯留された建設汚泥は、サンドポンプ21により、ホース22を通じて汚泥分別装置31に送られる。 【0059】 サンドポンプ21は、建設汚泥の特性や量に応じて、それに見合った汎用品のサンドポンプを使用することができる。なお、サンドポンプ21を利用せず、現場のバックホーなどを利用して、汚泥を貯留部11からホッパー32へ投入してもよい。 【0060】 (3)汚泥分別装置による建設汚泥の分別 本実施形態では、汚泥分別装置31として、図1に示すようなトロンメルを用いている。この汚泥分別装置31では、ホッパー32に投入された汚泥について、細粒分固形分(例えば、粒径5mm以下)のみを含む建設汚泥と、それ以外の砂利、不純物などを分別する。 【0061】 汚泥分別装置31として図示したトロンメルは、モーター35によって筒状スクリーン34が軸回りに旋回するように駆動される構造となっている。 【0062】 ホッパー32から筒状スクリーン34の内側に投入された汚泥成分のうち、メッシュ34aの目が細かい部分(例えば、目の寸法が約5mm)で、建設汚泥中の泥水成分と細粒固形分が筒状スクリーン34のメッシュ34aを通過して分離され、排出シュート36aより貯留槽37に投入される。 【0063】 続く、メッシュ34bの目が粗い部分(例えば、目の寸法が約10mm)で、比較的細かい砂利等が分別されて排出シュート36bより排出され、残りの粗い砂利や夾雑物等が排出シュート36cより排出される。 【0064】 なお、これらのメッシュの目詰まりは、振動やウォータージェット、ブラシなどによる洗浄等、従来の方法により適宜除去される。 【0065】 (4)汚泥タンクへの移送 排出シュート36aより貯留槽37に投入された細粒固形分のみを含む汚泥は、細粒固形分の沈降により濃度が不均一にならないように、貯留槽37に設けた攪拌機38で攪拌しながら、配管またはホース43を通じて凝集剤添加装置51の手前の高所に設置した汚泥タンク41に送られる。 【0066】 (5)凝集剤添加装置による凝集剤の混合 汚泥タンク41に上げられた汚泥は、そこから凝集剤添加装置51の上部の投入口53に送り込まれる。汚泥には、螺旋状に配置したホース52を通過する間に、投入口53の近傍に設けた凝集剤添加部としての第1の添加ノズル55aから例えばカチオン系の凝集剤が添加され、さらにその下流に設けた第2の添加ノズル55bから例えばアニオン系の凝集剤が添加される。 【0067】 流下の際の遠心力やホース内面あるいは内部で受ける抵抗により、汚泥と凝集剤がほぼ均等に混合され、ホース52の下部に位置する排出口54から排出される。その間、凝集剤が混合された汚泥は、固形成分のフロック化が進み、固液分離しやすい状態で排出されてくる。 【0068】 図1(a)および図1(c)に符号56a,56bで指示した装置は、凝集剤攪拌タンクであり、攪拌機57で凝集剤を攪拌しながら、それぞれ添加ノズル55a,添加ノズル55bに向けて凝集剤を供給する。 【0069】 また、図1に示したように、本実施形態においては、1つの汚泥タンク41に対し、2つの凝集剤添加装置51を並列に配置し、後述する次工程のベルトコンベヤー61には2つの凝集剤添加装置51から1つのベルトコンベヤー61へ積み出す配置としているが、これらの配置や数は、必要とする処理能力や設置スペースとの関係で任意である。 【0070】 図2は、図1(b)の凝集剤添加装置51および次工程のベルトコンベヤー61および汚泥脱水処理装置71としてのベルトプレス部分を拡大して示したものである。凝集剤添加装置51の螺旋状に配置されるホース52は台車58aの上に組んだ支持フレーム58で支持されている。 【0071】 ホース52としては、課題を解決するための手段の項で述べたように、市販の波付合成樹脂製のフレキシブルなホースを利用することで、汚泥と凝集剤の混合攪拌効果が高められ、さらに透明または半透明のものを使用すれば汚泥の流下に関する管理も容易となる。 【0072】 (6)汚泥脱水処理装置による脱水 凝集剤添加装置51で凝集剤を添加した汚泥は固形成分のフロック化が進み、この例では、凝集剤添加装置51の排出口54からホッパー62を介してベルトコンベア61に載せられる。 【0073】 その際、分離水はフィルター等を介して排水部63に回収され、この例では図1の戻しホース39により、貯留槽37に送られ、汚泥タンク41に送られる前の汚泥の希釈に利用している。 【0074】 ベルトコンベア61からは、汚泥脱水処理装置71としてのベルトプレスに送られ、ベルトプレスで残りの水分が搾り出され、水分は排水部72から回収される。また、残った脱水ケーキは脱水ケーキ貯留槽73に回収される。 【0075】 (7)再利用 脱水ケーキ貯留槽73に回収された脱水ケーキは、セメント系固化材などを添加し、ソイルセメントなどとして現場の地盤改良等に再利用することができる。 【0076】 また、脱水された水分は、上述のように処理過程での汚泥の希釈などに利用できる他、杭施工のための掘削液として、あるいは各種洗浄作業における洗浄液として利用することもできる。」 エ 図1 「 [図:0001393115000003.jpg] 」 5 甲A5 (1)甲A5の記載 本件特許出願前に頒布された甲A5には、以下の事項が記載されている。 ア「【0001】 本発明は、プレボーリング工法によって基礎杭を築造する基礎杭施工方法に関するものである。」 イ「【0006】 本発明の基礎杭施工方法は、地盤を所定の支持層まで掘削して形成した鉛直孔に既成杭を挿入するプレボーリング工法によって基礎杭を築造する基礎杭施工方法であって、地盤は、支持層よりも浅い位置に所定の上下幅で存在し鉛直孔が上下に貫通される止水層を有しており、掘削液を吐出しながらアースオーガで地盤を支持層まで掘削して鉛直孔を形成するとともに鉛直孔の下端部に根固め部を形成する掘削工程と、アースオーガを引き上げながら根固め部に根固め液を注入する根固め液注入工程と、鉛直孔内に杭周固定液を注入しながらアースオーガを更に引き上げ鉛直孔から取り出すオーガ引き上げ工程と、既成杭を鉛直孔に建込む杭建込工程と、を備え、掘削工程は、鉛直孔内の流動物の上面を監視し流動物の上面が所定の許容低下幅以上で低下しないように掘削液の吐出流量と、アースオーガの回転と、アースオーガの上下移動と、の少なくとも1つを制御する第1制御工程を有し、根固め液注入工程は、鉛直孔内の流動物の上面を監視し流動物の上面が所定の許容低下幅以上で低下しないように根固め液の注入流量と、アースオーガの回転と、アースオーガの上下移動と、の少なくとも1つを制御する第2制御工程を有し、オーガ引き上げ工程は、鉛直孔内の流動物の上面を監視し流動物の上面が所定の許容低下幅以上で低下しないように杭周固定液の注入流量と、アースオーガの回転と、アースオーガの上下移動と、の少なくとも1つを制御する第3制御工程を有することを特徴とする。 ・・・ 【0010】 本発明によれば、プレボーリング工法において、工期の増大を抑えながら基礎杭施工に起因する地盤の汚染拡散を抑制することができる基礎杭施工方法を提供することができる。」 6 甲B1 (1)甲B1の記載 本件特許出願前に頒布された甲B1には、以下の事項が記載されている。 ア「【0001】 本発明は、杭又は鋼材を挿入するための鉛直孔を掘削する鉛直孔掘削方法及び鉛直孔掘削装置に関するものである。 【背景技術】 【0002】 近年、汚染土や汚染水を含む地層(以下、汚染層という)が存在する地盤において、杭又は鋼材を挿入するための鉛直孔の掘削により、下層にまで汚染範囲が拡大することが問題視されている。すなわち、不透水層の上部の汚染層と、不透水層の下部の透水層とが存在する地盤において、鉛直孔は不透水層を上下に貫通して形成されることになる。そうすると、鉛直孔の掘削中に不透水層による絶縁状態が失われるので、掘削時に汚染層の汚染物質が下に位置する透水層に移動するおそれがあり、下層の透水層にまで汚染が拡大するおそれがある。」 イ「【0016】 図1に示されるように、杭体を施工する対象の地盤101は、粘土質で水を通しにくい不透水層103と、不透水層103の上部に位置する上部透水層105と、不透水層103の下部に位置する下部透水層107と、を有する地盤である。上部透水層105と下部透水層107には、それぞれ地下水が含まれている。 【0017】 上部透水層105を構成する地盤は、重金属や揮発性有機化合物等により汚染されており、上部透水層105に含まれる地下水も汚染されているものとする。下部透水層107を構成する地盤は、上部透水層105の汚染物質が不透水層103で遮断されているため、汚染されておらず、下部透水層107に含まれる地下水は、産業用又は生活用に有効利用できるものとする。また、下部透水層107は、例えば、比較的軟らかい帯水層と、帯水層の下部に位置し帯水層よりも硬い支持層とを含んでいる。 【0018】 なお、不透水層103は、1.0×10-4cm/sec以下の透水係数を有し、且つ厚さが1.0m以上の層であり、土壌汚染対策法に規定された「準不透水層」が該当する。また、不透水層103は、土壌汚染対策法に規定された「不透水層」(1.0×10-5cm/sec以下の透水係数を有し、且つ厚さが5.0m以上である層)であってもよい。 【0019】 次に、図1及び図2を参照しながら、本実施形態の鉛直孔掘削方法について説明する。図1(a)~(f)及び図2(a)~(e)は、一本の杭体の施工について一連の工程を横並びで連続的に示している。本実施形態の鉛直孔掘削方法は、以下で説明する第1の掘削工程と、置換工程と、層形成工程と、第2の掘削工程と、杭設置工程とを備えている。鉛直孔は、本実施形態の鉛直孔掘削装置1に設けられたアースオーガ(掘削部)3によって掘削される。アースオーガ3は、上下に延在する中空状のロッド3aと、ロッド3aの先端に設けられた掘削ビット3bと、ロッド3aに設けられた排土用の螺旋翼3cと、水平方向に伸縮する拡径翼3dとを備えている。以下では、本実施形態の鉛直孔掘削方法の各工程について説明する。 【0020】 [第1の掘削工程] 第1の掘削工程では、まず地面に杭打ち機械をセットし(不図示)、杭芯を測量し、機械を精度よく設置する。そして、図1(a)に示されるように、アースオーガ3により上部透水層105を掘削し、アースオーガ3は、不透水層103を貫通しないように不透水層103の途中部分103aまで鉛直孔109を掘削する。ここで、上部透水層105及び不透水層103の掘削によって生じた土は全排土される。 【0021】 [置換工程] そして、図1(b)に示されるように、第1の掘削工程で掘削された鉛直孔109の内部において、アースオーガ3の先端部からベントナイト泥水(ベントナイト配合液)5を噴出させる。ベントナイト泥水5は、鉛直孔109の土壁の安定性を維持するための掘削液(安定液とも称される)であり、掘削液の比重は水の比重よりも大きくなっている。このように、置換工程では、第1の掘削工程で掘削された領域の土がベントナイト泥水5で置換され、この置換工程により汚染土の鉛直孔109内への落下が抑えられる。 【0022】 なお、第1の掘削工程と置換工程は同時に行ってもよく、この場合、アースオーガ3は、ベントナイト泥水5を噴出しながら、上部透水層105及び不透水層103の途中部分103aまでの掘削を行う。また、置換工程では、ベントナイト泥水5に代えて、水等、別の掘削液を用いてもよい。なお、掘削液として水を用いる場合には、鉛直孔109内への汚染物質の進入を確実に抑えるため、掘削液の高さHを地面Aよりも高くすることが好ましい。 【0023】 [層形成工程] 図1(c)に示されるように、層形成工程では、ベントナイト泥水5中で上部透水層105と不透水層103との境目部分を含む領域Sに層形成材料111を吹き付ける。このとき、図3(a)及び図3(b)に示されるように、アースオーガ3の螺旋翼3cの先端側に設けられた吹付部11から層形成材料111が吹き付けられる。吹付部11は、ロッド3aの表面に形成された孔部内に層形成材料111の噴出用のノズル(不図示)を備えている。このノズルは、ロッド3aの孔部の外側から視認可能となっている。また、吹付部11のノズルは、ロッド3aと共に回転及び上下移動を行いながら層形成材料111を噴出し、層形成材料111は鉛直孔109の内側面に螺旋状に吹き付けられる。こうして、図1(c)に示されるように、鉛直孔109の内側面における上部透水層105から不透水層103に亘る上下幅の領域Sに層形成材料111が吹き付けられる。 【0024】 ところで、アースオーガ3のロッド3aの内部には、層形成材料111が流通する管路(不図示)と、吹付部11に電力を供給する配線(不図示)が延在している。また、吹付部11による層形成材料111の吐出圧力は、上部透水層105及び不透水層103の土質に応じて適宜変更することができ、例えば5~30(MPa)程度とすることができる。 【0025】 図1(d)に示されるように、層形成材料111を鉛直孔109の内側面に吹き付けてから一定時間(例えば数秒~数十分)が経過すると、層形成材料111が硬化又は高粘性化してシーリング層113が形成される。このシーリング層113を形成する層形成材料111としては、例えば、モルタルのように固化する特性を有する材料や、水ガラス、又は活性シリカコロイド等の薬液のように、地盤に浸透し高粘性化する材料を用いることができる。ここで、層形成材料111としてモルタルを用いる場合、モルタルは図2に示す杭(既製杭)7及び杭周固定液117と同じ材料であるため、シーリング層113によって杭7の性能が変化することはない。一方、水ガラスや薬液としては、地盤改良に用いられるものを採用することができ、更に2液混合の材料を用いることができるので、シーリング層113の硬化のタイミングを容易に調整することが可能となる。すなわち、例えば、比較的崩れやすい地盤で鉛直孔109を形成する場合は硬化のタイミングを早め、径が比較的大きい鉛直孔109を形成する場合は硬化のタイミングを遅くする等といったことが可能となる。 【0026】 また、図4に示されるように、シーリング層113を形成する領域Sは、鉛直孔109の内側面であって上部透水層105から不透水層103に亘る上下幅の領域Sである。よって、シーリング層113の上端は上部透水層105に位置し、シーリング層113の下端は不透水層103に位置していればよい。また、上部透水層105における領域Sの上下幅を上下幅L1、不透水層103における領域Sの上下幅を上下幅L2、不透水層103の上下幅を上下幅L3、とすると、例えば、上下幅L1=上下幅L2=1.0(m)、上下幅L3=2.0(m)とすることができる。」 ウ「【0029】 [第2の掘削工程] 図1(e)に示されるように、第2の掘削工程では、鉛直孔109を不透水層103の途中部分103aから下部透水層107まで掘削する。掘削が下部透水層107まで到達した後には、アースオーガ3の拡径翼3dを水平方向に突出させて掘削を進め、鉛直孔109の孔径を拡大する(図1(f))。そして、図2(a)に示されるように、孔径を拡大した部分に根固め液115としてのセメントミルク(水セメント比55~60%)を注入して撹拌する。セメントミルクの注入を終了した後には拡径翼3dを縮小し、その後、アースオーガ3を引き上げながら鉛直孔109の内部に杭周固定液117たるセメントミルク(水セメント比100%以上)を注入する(図2(b))。アースオーガ3が鉛直孔109から抜き取られた後には(図2(c))、鉛直孔109内の泥土は、ほぼ杭周固定液117たるセメントミルクに置換されている。 【0030】 [杭設置工程] そして、図2(d)に示されるように、杭7を鉛直孔109に挿入し、ゆっくりと降下させ、杭7の下端部を根固め液115としてのセメントミルクに挿入する(図2(e))。このようにして杭7の設置は完了し、根固め液115及び杭周固定液117が硬化したところで、杭7を含む基礎杭17が完成する。」 エ 図面 (ア)図1 「 [図:0001393115000004.jpg] 」 上記図1の(f)から、孔径を拡大した部位を有する鉛直孔109内において、ベントナイト泥水5が満たされている点が看取できる。 (イ)図2 「 [図:0001393115000005.jpg] 」 (2)甲B1に記載された発明 上記(1)をふまえると、甲B1には、次の発明(以下「甲B1発明」という。)が記載されているものと認められる。 (甲B1発明) 「杭を挿入するための鉛直孔を掘削する鉛直孔掘削方法であって、 杭体を施工する対象の地盤101は、粘土質で水を通しにくい不透水層103と、不透水層103の上部に位置する上部透水層105と、不透水層103の下部に位置する下部透水層107と、を有する地盤であり、上部透水層105と下部透水層107には、それぞれ地下水が含まれており、上部透水層105を構成する地盤は、重金属や揮発性有機化合物等により汚染されており、上部透水層105に含まれる地下水も汚染されていて、下部透水層107は、比較的軟らかい帯水層と、帯水層の下部に位置し帯水層よりも硬い支持層とを含んでおり、 第1の掘削工程と、置換工程と、層形成工程と、第2の掘削工程と、杭設置工程とを備えていて、鉛直孔は、鉛直孔掘削装置1に設けられたアースオーガ3によって掘削され、アースオーガ3は、上下に延在する中空状のロッド3aと、ロッド3aの先端に設けられた掘削ビット3bと、ロッド3aに設けられた排土用の螺旋翼3cと、水平方向に伸縮する拡径翼3dとを備えていて、 第1の掘削工程では、アースオーガ3により上部透水層105を掘削し、アースオーガ3は、不透水層103を貫通しないように不透水層103の途中部分103aまで鉛直孔109を掘削し、上部透水層105及び不透水層103の掘削によって生じた土は全排土され、 置換工程では、第1の掘削工程で掘削された鉛直孔109の内部において、アースオーガ3の先端部からベントナイト泥水5を噴出させ、第1の掘削工程で掘削された領域の土がベントナイト泥水5で置換され、この置換工程により汚染土の鉛直孔109内への落下が抑えられ、 第1の掘削工程と置換工程は同時に行ってもよく、この場合、アースオーガ3は、ベントナイト泥水5を噴出しながら、上部透水層105及び不透水層103の途中部分103aまでの掘削を行うものであり、 層形成工程では、ベントナイト泥水5中で上部透水層105と不透水層103との境目部分を含む領域Sに層形成材料111を吹き付け、層形成材料111を鉛直孔109の内側面に吹き付けてから一定時間(例えば数秒~数十分)が経過すると、層形成材料111が硬化又は高粘性化してシーリング層113が形成され、 第2の掘削工程では、鉛直孔109を不透水層103の途中部分103aから下部透水層107まで掘削し、掘削が下部透水層107まで到達した後には、アースオーガ3の拡径翼3dを水平方向に突出させて掘削を進め、鉛直孔109の孔径を拡大し、孔径を拡大した部位を有する鉛直孔109内において、ベントナイト泥水5が満たされており、孔径を拡大した部分に根固め液115としてのセメントミルクを注入して撹拌し、セメントミルクの注入を終了した後には拡径翼3dを縮小し、 その後、アースオーガ3を引き上げながら鉛直孔109の内部に杭周固定液117たるセメントミルクを注入し、アースオーガ3が鉛直孔109から抜き取られた後には、鉛直孔109内の泥土は、ほぼ杭周固定液117たるセメントミルクに置換されており、 杭設置工程では、杭7を鉛直孔109に挿入し、ゆっくりと降下させ、杭7の下端部を根固め液115としてのセメントミルクに挿入して、杭7の設置は完了し、根固め液115及び杭周固定液117が硬化したところで、杭7を含む基礎杭17が完成する、 杭を挿入するための鉛直孔を掘削する鉛直孔掘削方法。」 7 甲B2 (1)甲B2の記載 本件特許出願前に頒布された甲B2には、以下の事項が記載されている。 ア「本案は地中に削孔を形成する為に使用するスパイラルオーガーの改良に係るもので、従来のスパイラルオーガーで削孔する場合、スパイラルオーガーの先端に設けられた掘削爪で土面を掘り起しつゝ下降し、之れをオーガーシヤフトの周辺に設けられたスパイラルの排土鈑で順次上昇して排土するものであるから、その間排土鈑で土を削る作用も加わり、削孔内壁は粗面且乱雑で削孔内壁の土くずれが大きいばかりでなく削孔の孔径を均一に保持する事が困難である。依つて均一孔径を保持する為にはスパイラルオーガーの排土鈑の周辺に沿うケーシングを使用する事が望ましいが、小さな現場では機械費が高額になり過ぎる欠点があつた。」 (明細書1頁10行-2頁3行) イ「以下之れを図面に基いて説明すると、(1)はオーガーシヤフト、(2)はオーガーシヤフトの周辺にスパイラルに形成された排土鈑、(3)は掘削爪で、本案は此の様なスパイラルオーガー(4)の先端部に於ける排土鈑(2)の周側面に、表面が弧面をなす幅約150ミリ程度の短冊状プレート(5)を排土鈑(2)の接線の上下数枚に渉り螺線に順じて千鳥状に120°の等分に数枚取付けて成るスパイラルオーガー先端部の構造である。 本案品は上記の構造によりオーガーシヤフト(1)を回転しつゝ降下せしめると、その先端部の掘削爪(3)で土中を掘削すると共にその掘り起こされた土はスパイラルの排土鈑(2)により順次上昇されて漸次掘進し、上端部から排土されるものであるが、此の際スパイラルオーガー(4)の掘削と共に排土鈑(2)の側面に取付けたプレート(5)はオーガーシヤフト(1)及び排土鈑(2)と共に回転しつゝ下降して削孔(イ)の孔壁(ロ)をなすりつける作業を行う事となり、又そのプレート(5)が排土鈑(2)の側面に、その螺線軸方向に沿うて千鳥状に数枚取付けてあるが為、スパイラルオーガー(4)の掘進と共にその回転によつて孔壁(ロ)を重複して摺擦しつゝ下降するから削孔(イ)の孔壁(ロ)面が平滑に仕上げられ、均一孔径の削孔が容易に行われるものである。」 (明細書2頁8行-3頁11行) ウ「以上の様に本案ではスパイラルオーガーの掘削と共に排土鈑の側面に取付けた数枚のプレートは孔壁をなすり、均一孔径に仕上げるのに非常に有効である。又削孔の孔壁を綺麗に仕上げる事が出来て孔壁の土崩れをよく阻止し、孔壁脱落を防止できるばかりでなく、容易にスパイラルオーガーの抜き出しが出来る。又此の孔壁脱落を防止するために孔内にベントナイト溶液を充満する場合はこのプレートは孔壁にベントナイト溶液をなすりつける作業を行う為、孔壁脱落をより一層確実に防止する事が出来、構成も非常に簡単で一般のスパイラルオーガーにも極めて簡単に応用できて正確なる掘削削孔作業が行える等実用上極めて有益である。」 (明細書3頁12行-4頁5行) エ 第3図 「 [図:0001393115000006.jpg] 」 8 甲B3 (1)甲B3の記載 本件特許出願前に頒布された甲B3には、以下の事項が記載されている。 ア「(1)中空ロッドと、該中空ロッドの外周面に突設した複数の攪拌部材と、前記中空ロッド軸方向所定位置において軸直角方向に複数突設したブラケットと、前記ブラケットに支持アームを介して着脱自在に取付けた均し部材とからなることを特徴とする掘削ロッド。」 (明細書1頁5-11行) イ「第1図は削孔の様子を示したもので、中空ロッド1の先端にビット4を取り付け中空ロッド1の回転により掘削を行なう。このとき、通常先端から水が吐出され、棒状の攪拌部材2が水と掘削土を攪拌し、スラリー化する。また、中空ロッド1の外周に配した円筒状の均し部材3が中空ロッド1とともに回転し、掘削土の一部を孔壁に練り付けて行く。」 (明細書6頁10-17行) ウ「○1(当審注:○の中に1)均し部材で孔壁を均すため、スパイラルスクリューを有する掘削ロッドのように孔壁を乱すことがない。」 (明細書8頁1-3行) エ 図面 (ア)第1図 「 [図:0001393115000007.jpg] 」 (イ)第4図 「 [図:0001393115000008.jpg] 」 9 甲B5 (1)甲B5の記載 本件特許出願前に頒布された甲B5には、以下の事項が記載されている。 ア「【0001】 【発明の属する技術分野】こ発明は、各種建築・土木工事に使用される掘削機に関し、特に地盤改良のために掘削したり、あるいは地下連続壁を形成したりするために適した掘削機と、その掘削機を用いて地盤を改良する方法および地下連続壁を形成する方法に関するものである。」 イ「【0053】 【発明の効果】この発明の掘削機によれば、地盤を垂直方向へ掘削するだけではなく、垂直方向に掘削した後に掘削装置本体を地上へ引上げることなく横方向へ掘り進めることができる。したがって例えば地下連続壁を形成する場合でも、従来の柱列式地下連続壁工法の如く垂直に1本または2本以上の立坑を掘削した後、地上へ掘削ロッドを引上げて所定距離だけ移動してから再び立坑を掘削する過程を繰返すという煩雑な作業が不要となり、掘削能率が従来よりも格段に向上して、工期の大幅な短縮を図ることができる。また従来の掘削機では、泥水飛散防止のため掘削ロッドを地上へ引上げるたびごとに掘削ロッドにジェット水を噴射して洗浄しており、そのための人員、工数も無視できず、そしてまたこの場合多量の水を使用するため打上り壁上端部分のソイル材質が水で薄くなり、硬化しない等の弊害が生じることがあったが、この発明の掘削機を用いた場合には前述のように掘削ロッドを地上へ引上げる頻度を著しく少なくすることができるため、これらの問題の発生を防止することができる。さらにこの発明の掘削機を用いれば、セメントミルク等の硬化剤の注入量を適切に調整しながら横方向掘削を行なうことによって、地中の所定深さの部分に層状に改良地盤層を種々のパターンで容易に形成することができる。」 10 甲B7 (1)甲B7の記載 本件特許出願前に頒布された甲B7には、以下の事項が記載されている。 ア「3)掘削 掘削装置先端のビットを,杭心位置へ正確に設置する。 掘削装置の杭心合わせと鉛直度の確認・調整の要領は前述の打込み工法と同様である。 プレボーリング工法の掘削には各種の掘削設備が用いられているが,掘削は,地盤に適した速度で掘り進めることが重要である。特に粘着力の大きな地層や硬い地盤では,無理な負荷をかけるとアースオーガが曲がったり破損したりするため十分に時間をかけて掘削排土することが重要である。 掘削中は,ビットの先端から掘削液を注入しながら掘削・攪拌・混合を行う。 掘削液としては,水・ベントナイト泥水および杭周固定液を各工法別に使用する事になっているので,その施工要領における配合および注入量等によって施工する。 また,一部の工法には,泥土化された孔内の土を孔内面に練り付け効果を有する治具を装着したものもある。」 (244頁21-31行) イ「3)アースオーガ,ロッド アースオーガは地盤を掘削するために用いるもので,本工法においては,軸の外側にらせん状のブレード(スパイラル部)が取付けられ,軸部は中空で水,空気および根固め液や杭周固定液等の各種液をビット先端から注入できる構造となっている。オーガの径は一般に杭径+50~100mmとしている。 アースオーガはスパイラル部の変形,軸の曲り等に十分留意する。特に軸部の曲がりは掘削孔の傾斜・曲がりを招き,杭沈設時における杭破損の原因となるので,変形や曲がりの著しい場合は交換しなければならない。 アースオーガの他に掘削ロッド(地盤を掘削・泥土化させるための攪拌翼と孔壁の安定を保つためローラやドラムを取り付けたもの)を用いる工法やアースオーガと掘削ロッドを用いる工法,またアースオーガのブレードの一部に切り抜きを設けたスリットスクリューと掘削ロッドを連結した工法など多くの種類がある。従って,各工法別の施工指針に準拠した型式のアースオーガや掘削ロッドを用いなければならない。」 (276頁17-28行) 第5 当審の判断 1 申立理由A(進歩性)について (1)本件発明1について ア 対比 本件発明1と甲A1発明とを対比する。 (ア)甲A1発明の「杭体を施工する地盤」は、「粘土質で水を通しにくい止水層105を有し、この止水層105の上方及び下方に、水を通しやすい上部透水層103及び下部透水層111をそれぞれ有する地盤」であって、「上部透水層103を構成する地盤は、重金属や揮発性有機化合物等により汚染されて」いる。 そうすると、甲A1発明の「杭体を施工する地盤」は、本件発明1の「地表付近に汚染土層を有する地盤」又は「汚染土層を含む地盤」に相当する。 甲A1発明の「基礎杭の施工」及び「基礎杭施工方法」は、本件発明1の「基礎杭を構築する」こと、及び「基礎杭の構築方法」に相当する。 甲A1発明の「掘削」することは、本件発明1の「掘削すること」に相当する。 以上をふまえると、甲A1発明の「杭体を施工する地盤」に「杭体を施工」することにおいて、以下のように「掘削」する「基礎杭の構築方法」は、本件発明1の「地表付近に汚染土層を有する地盤に基礎杭を構築するに際し、以下のようにして掘削する」「汚染土層を含む地盤での基礎杭の構築方法」に相当する。 (イ)甲A1発明の「スパイラルオーガ7」及び「ベントナイト泥水9」は、本件発明1の「掘削ロッド」及び「掘削液」に、それぞれ相当する。 甲A1発明の「スパイラルオーガ7の先端部」は、本件発明1の「掘削ロッド」の「下端部の掘削ヘッド」に相当する。 甲1A発明は、「スパイラルオーガ7」により「地盤」を「掘削」するのであるから、「スパイラルオーガ7の先端部」に、掘削刃を有していることは明らかである。そうすると、刊行物1発明の「スパイラルオーガ7」は、本件発明1の「下端部の掘削ヘッド」に「掘削刃を備えた掘削ロッド」に相当する。 甲A1発明は「スパイラルオーガ7により上部透水層103を掘削」するものであるから、地上から掘削している明らかであり、「スパイラルオーガ7の先端部からベントナイト泥水9を噴出し」ていることから、当該先端部に、ベントナイト泥水9を吐出する吐出口を備えていることは明らかである。 以上をふまえると、甲A1発明の「スパイラルオーガ7の先端部からベントナイト泥水9を噴出しながら、スパイラルオーガ7により上部透水層103を掘削し」ていることは、本件発明1の「地上から、下端部の掘削ヘッドに吐出口および掘削刃を備えた掘削ロッド」で、「掘削液を注入して掘削し」ていることに相当する。 甲A1発明の「鉛直孔113」は、本件発明1の「杭穴」に相当する。 甲A1発明は「止水層105の途中まで掘削を進め」ているから、当該掘削により「上部透水層103」を貫通していて、「鉛直孔113」における上方の部分が形成されることは明らかである。 そうすると、甲A1発明の「止水層105の途中まで掘削を進め」ることは、本件発明1の「掘削」し「前記掘削ロッドの前記掘削刃が、前記汚染土層を貫通したならば上部杭穴を形成」することに相当する。 (ウ)甲A1発明は、「上部透水層103を構成する地盤」を「スパイラルオーガにより」「掘削し」ていることから、掘削と同時に、「鉛直孔113」の上方の部分における汚染された土を、「スパイラルオーガ」のスパイラルにより地上に排出しているといえる。仮に、スパイラルオーガにより排土していないとしても、甲A1発明は、「上部透水層103の掘削により生じた土を全排土」しているから、別の手段を使って、汚染物質を含んだ掘削残土を地上に排出していることは明らかである。 そうすると、甲A1発明の「上部透水層103を構成する地盤」を「スパイラルオーガにより」「掘削し」、「上部透水層103の掘削により生じた土を全排土する」ことは、本件発明1の「前記掘削ロッド使って前記(1)の工程と同時に、あるいは別の手段を使って、前記上部杭穴内の汚染土を含んだ掘削残土を地上に排出する」ことに相当する。 (エ)甲A1発明の「支持層109へと掘削を進め」ることは、本件発明1の「前記掘削ロッドにより支持層まで掘削をして杭穴を構築して」いることに相当する。 甲A1発明において、「掘削が支持層109の内部まで到達」し、「スパイラルオーガ7の先端部から掘削ビット7aを水平方向に突出させて掘削を進め、孔径を拡大し」ている時点は、それ以降鉛直方向に掘削をしないことから、「スパイラルオーガ7」が、「鉛直孔113」の底に位置している時点であるといえる。 また、甲A1発明は、「孔径を拡大した部位を有する鉛直孔113内において、ベントナイト泥水9が満たされて」いるとともに、「鉛直孔113」を形成するために「掘削」したことで掘削土が生じていることから、鉛直孔113内に水や掘削泥土が存在していることは明らかである。よって、甲A1発明の、孔径を拡大した部位を有する鉛直孔113は、水や掘削泥土で満たされているといえる。 そうすると、甲A1発明の「その後」(上記「孔径を拡大し」た時点の後の)、「スパイラルオーガ7を引き揚げながら、鉛直孔113の内部に杭周固定液11たるセメントミルクを注入」することは、本件発明1の「水や掘削泥土で満たされた前記杭穴内に、前記吐出口から水硬性材料を注入しながら、前記杭穴底から、前記掘削ロッドを地上に引き上げる」ことに相当する。 (オ)甲A1発明の「杭体5を鉛直孔113に挿入」すること、及び、「杭体5の施工が完了する」ことは、本件発明1の「構造物を埋設」すること、及び、「基礎杭を構築する」ことに、それぞれ相当する。 甲A1発明は「鉛直孔113の内部に杭周固定液11たるセメントミルクを注入し、杭体5を鉛直孔113に挿入して、杭体5の施工が完了」させることから、「鉛直孔113」から「スパイラルオーガ7」が地上に引き上げられた後に「杭体5を鉛直孔113に挿入」していることは明らかである。 そうすると、甲A1発明の「鉛直孔113の内部に杭周固定液11たるセメントミルクを注入し、杭体5を鉛直孔113に挿入して、杭体5の施工が完了」させることは、本件発明1の「前記掘削ロッドを地上に引き上げた後に、構造物を埋設して基礎杭を構築する」ことに相当する。 以上のことをふまえると、本件発明1と甲A1発明との一致点及び相違点は、以下のとおりである。 <一致点> 「地表付近に汚染土層を有する地盤に基礎杭を構築するに際し、以下のようにして掘削する汚染土層を含む地盤での基礎杭の構築方法。 (1) 地上から、下端部の掘削ヘッドに吐出口および掘削刃を備えた掘削ロッドで、水または掘削液を注入して掘削し、前記掘削ロッドの前記掘削刃が、前記汚染土層を貫通したならば上部杭穴を形成し、 (2) 前記掘削ロッド使って前記(1)の工程と同時に、あるいは別の手段を使って、前記上部杭穴内の汚染土を含んだ掘削残土を地上に排出する。 (4) 前記掘削ロッドにより支持層まで掘削をして杭穴を構築して、水や掘削泥土で満たされた前記杭穴内に、前記吐出口から水硬性材料を注入しながら、前記杭穴底から、前記掘削ロッドを地上に引き上げる。 (5) 前記掘削ロッドを地上に引き上げながら、あるいは前記掘削ロッドを地上に引き上げた後に、構造物を埋設して基礎杭を構築する。」 <相違点1A> 本件発明1では、「地上から、下端部の掘削ヘッドに吐出口および掘削刃を備えた掘削ロッドで、水または掘削液を注入して掘削しながら前記汚染土層の杭穴壁を練り付けて前記汚染土層内の水分がしみ出ることを防止」しているのに対して、甲A1発明では、「スパイラルオーガ7の先端部からベントナイト泥水9を噴出しながら、スパイラルオーガ7により上部透水層103を掘削し」ているものの、「スパイラルオーガ7」が、「汚染物質」を含む「上部透水層」の杭の孔を練り付けて上部透水層内の水分がしみ出ることを防止するとの特定がされていない点。 <相違点2A> 本件発明1では、「掘削ロッドの前記掘削刃が、前記汚染土層を貫通した」タイミングで「一旦掘削を停止して、前記掘削ロッドを地上に引き上げ、前記掘削ロッドの下部を清掃あるいは洗浄する」のに対して、甲A1発明では、そのような特定がされていない点。 <相違点3A> 本件発明1では、「上部杭穴内の汚染土を含んだ掘削残土を地上に排出」した後に「前記掘削ロッドの先端側を前記上部杭穴内に挿入して、掘削液や水などを前記杭穴内に注入して前記汚染土層の杭穴壁を練り付けながら、さらに下方に向けて掘削する」のに対して、甲A1発明では、そのような特定がされていない点。 イ 判断 事案に鑑みて、まず、上記相違点2Aについて検討する。 甲A2には、「回転掘削を行うと土壌に含まれた粘土が掘削工具やロッド、あるいは撹拌翼に付着し、繰り返して掘削を行う場合には、掘削工具を引き上げたときに清掃する」ことが記載されており、甲A3には、「粘性土地盤においては、スクリュー翼62の上面に粘土塊が付着し易い」こと、及び、「付着した粘土塊で掘削孔が閉塞され、掘削抵抗が増大する場合」には、「スクリュー翼62を一旦地上まで引き上げ、スクリュー翼62から泥塊を掻き落とす作業が必要となる」ことが記載されているものの、掘削の対象となる地盤は、いずれも汚染土層が含む地盤ではなく、甲A2の「ロッド」や、甲A3の「スクリュー翼62」が、汚染土層を貫通した後に引き上げられて、付着した土の「清掃」や「掻き落とす作業」がなされるものではない。 よって、甲A2及び甲A3のいずれにおいても、相違点2Aに係る本件発明1の「掘削ロッドの前記掘削刃が、前記汚染土層を貫通した」タイミングで、「一旦掘削を停止して、前記掘削ロッドを地上に引き上げ、前記掘削ロッドの下部を清掃あるいは洗浄する」との工程を設けることは記載も示唆もされていない。 また、申立人Aが提出したその余の証拠をみても相違点2Aに係る本件発明1の上記構成は記載も示唆もされていない。 したがって、甲A1発明に、甲A2及び甲A3に記載された事項、並びに申立人Aが提出したその余の証拠に記載された事項に基いて、相違点2に係る本件発明1の構成とすることはできない。 そして、本件発明1は、上記構成により、「汚染土層の成分を除外した杭穴を掘削して、基礎杭を構築できる」との作用効果を奏するものである。 ウ 申立人Aの主張 申立人Aは、この種の基礎杭を構築するに際し、掘削工具を適宜地上に引き上げ、掘削工具の下部を清掃することは周知技術1(甲A2、甲A3)である。甲A1発明は、汚染度(「土」の誤記と認める。)の排出を伴うものであるから、スパイラルオーガを引き上げた際にその下部を清掃する必要があることは明らかであり、しかも、甲A1発明及び周知技術1は同じ技術分野に属するから、本件発明1は、甲A1発明及び周知技術1に基づいて当業者ならば容易に想到し得たものである旨主張する。(申立書11頁12-27行) しかしながら、単に掘削工具を適宜地上に引き上げ、掘削工具の下部を清掃することは周知の技術であるものの、上記イで説示したとおり、甲A2及び甲A3のいずれにも、また、申立人Aが提出したその余の証拠をみても、「掘削ロッドの前記掘削刃が、前記汚染土層を貫通した」タイミングで、「一旦掘削を停止して、前記掘削ロッドを地上に引き上げ、前記掘削ロッドの下部を清掃あるいは洗浄する」ことは、記載も示唆もされておらず、周知技術であるとはいえない。 よって、甲A1発明に、甲A2及び甲A3に記載された事項、及び申立人Aが提出したその余の証拠に記載された事項を適用したとしても、相違点2Aに係る本件発明1に構成に想到することはできない。 以上のとおりであるから、申立人の主張は採用することはできない。 エ 小括 したがって、その他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲A1発明、甲A2ないし甲A5の証拠に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (2)本件発明2及び3について 本件発明2及び3は、本件発明1の構成を全て含み、さらに限定を加えた発明であるから、上記(1)で検討した理由と同じ理由により、本件発明2及び3は、甲A1発明、甲A2ないし甲A5の証拠に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 2 申立理由B-1(進歩性)について (1)本件発明1について ア 対比 本件発明1と甲B1発明とを対比する (ア)甲B1発明の「杭体を施工する対象の地盤101」は、「粘土質で水を通しにくい不透水層103と、不透水層103の上部に位置する上部透水層105と、不透水層103の下部に位置する下部透水層107と、を有する地盤」であって、「上部透水層105を構成する地盤は、重金属や揮発性有機化合物等により汚染されて」いる。 そうすると、甲B1発明の「杭体を施工する対象の地盤101」は、本件発明1の「地表付近に汚染土層を有する地盤」又は「汚染土層を含む地盤」に相当する。 甲B1発明の「鉛直孔掘削方法」は、「第1の掘削工程と、置換工程と、層形成工程と、第2の掘削工程と、杭設置工程とを備えてい」て、「杭設置工程」において「杭7を含む基礎杭17が完成」することになる。よって、甲B1発明の「鉛直孔掘削方法」において、上記工程を進めていくことは、本件発明1の「基礎杭を構築する」ことに相当し、甲B1発明の「鉛直孔掘削方法」は、本件発明1の「基礎杭の構築方法」に相当する。 甲B1発明の「掘削」することは、本件発明1の「掘削すること」に相当する。 以上をふまえると、甲B1発明の「杭体を施工する対象の地盤101」に「杭7を含む基礎杭17」を「完成」させるに際して、以下のように「掘削」する「鉛直孔掘削方法」は、本件発明1の「地表付近に汚染土層を有する地盤に基礎杭を構築するに際し、以下のようにして掘削する」「地表付近に汚染土層を含む地盤での基礎杭の構築方法」に相当する。 (イ)甲B1発明の「アースオーガ3」及び「ベントナイト泥水5」は、本件発明1の「掘削ロッド」及び「掘削液」に、それぞれ相当する。 甲B1発明の「アースオーガ3の先端部」及び「掘削ビット3b」は、本件発明1の「掘削ロッド」の「下端部の掘削ヘッド」及び「掘削刃」に、それぞれ相当する。 そうすると、甲B1発明において、先端部に「掘削ビット3b」を設けている「アースオーガ3」は、本件発明1において、「下端部の掘削ヘッド」に「掘削刃を備えた掘削ロッド」に相当する。 甲B1発明は、「アースオーガ3により上部透水層105を掘削」するものであることから、地上から掘削をしていることは、明らかであり、甲B1発明は「アースオーガ3の先端部からベントナイト泥水5を噴出させ」ていることから、「アースオーガ3の先端部」において、「ベントナイト泥水5を吐出する吐出口を備えていることは明らかである。 以上をふまえると、甲B1発明において、「アースオーガ3の先端部」に「掘削ビット3b」を設け、「アースオーガ3の先端部からベントナイト泥水5を噴出させ」て「上部透水層105を掘削し」ていることは、本件発明1においいて、「地上から、下端部の掘削ヘッドに吐出口および掘削刃を備えた掘削ロッド」で、「掘削液を注入して掘削し」ていることに相当する。 甲B1発明の「鉛直孔109」は、本件発明1の「杭穴」に相当する。 甲B1発明において、「アースオーガ3」が、「不透水層103を貫通しないように不透水層103の途中部分103aまで鉛直孔109を掘削する」と、「アースオーガ3の先端部」に設けた「掘削ビット3b」が、「汚染されている」「上部透水層105」を貫通するとともに、「鉛直孔109」における上方の部分孔が形成されることは明らかである。 以上をふまえると、甲B1発明の「不透水層103を貫通しないように不透水層103の途中部分103aまで鉛直孔109を掘削する」ことは、本件発明1の「掘削」し、「前記掘削ロッドの前記掘削刃が、前記汚染土層を貫通したならば上部杭穴を形成」することに相当する。 (ウ)甲B1発明は、「上部透水層105」と「不透水層103の途中部分103a」が「アースオーガ3により」「掘削」されていて、「上部透水層105及び不透水層103の掘削によって生じた土は全排土され」ることから、掘削と同時であるかどうかは特定されていないものの、別の手段を使って、「鉛直孔109」の上方の部分における汚染された土を地上に排出していることは明らかである。 そうすると、甲B1発明の「上部透水層105」と「不透水層103の途中部分103a」が「アースオーガ3により」「掘削」され、「上部透水層105及び不透水層103の掘削によって生じた土は全排土され」ることは、本件発明1の「(2)」の「前記掘削ロッド使って前記(1)の工程と同時に、あるいは別の手段を使って、前記上部杭穴内の汚染土を含んだ掘削残土を地上に排出する」ことに相当する。 (エ)一般的に基礎杭において、十分な支持力を得るために、拡径させた部位は支持層に形成するのが技術常識である。よって、甲B1発明において、「鉛直孔109の孔径を拡大し」たところは「下部透水層107」のうちの「硬い支持層」であるといえる。 そうすると、甲B1発明の「下部透水層107は、比較的軟らかい帯水層と、帯水層の下部に位置し帯水層よりも硬い支持層とを含んで」いて、「アースオーガ3」が、「下部透水層107まで掘削し、掘削が下部透水層107まで到達した後には、アースオーガ3の拡径翼3dを水平方向に突出させて掘削を進め、鉛直孔109の孔径を拡大し」ていることは、本件発明1の「前記掘削ロッドにより支持層まで掘削をして杭穴を構築して」いることに相当する。 甲B1発明は、「第2の掘削工程」において、「アースオーガ3の拡径翼3dを水平方向に突出させて掘削を進め、鉛直孔109の孔径を拡大」した時点は、それ以降鉛直方向に掘削をしないことから、「アースオーガ3」が、「鉛直孔109」の底に位置している時点であるといえる。 また、甲B1発明は、「孔径を拡大した部位を有する鉛直孔109内において、ベントナイト泥水5が満たされて」いるとともに、「鉛直孔109」を形成するために「掘削」したことで掘削土が生じていることから、鉛直孔109内に水や掘削泥土が存在していることは明らかである。よって、甲B1発明の、孔径を拡大した部位を有する鉛直孔109は、水や掘削泥土で満たされているといえる。 そうすると、甲B1発明の「その後」(上記「孔径を拡大し」た時点の後の)「アースオーガ3を引き上げながら鉛直孔109の内部に杭周固定液117たるセメントミルクを注入」することは、本件発明1の「水や掘削泥土で満たされた前記杭穴内に、前記吐出口から水硬性材料を注入しながら、前記杭穴底から、前記掘削ロッドを地上に引き上げる」ことに相当する。 (オ)甲B1発明の「杭7を鉛直孔109に挿入」することは、本件発明1の「構造物を埋設」することに相当する。 そうすると、甲B1発明の「アースオーガ3が鉛直孔109から抜き取られた後には、鉛直孔109内の泥土は、ほぼ杭周固定液117たるセメントミルクに置換され」、「杭7を鉛直孔109に挿入」することは、本件発明1の「前記掘削ロッドを地上に引き上げた後に、構造物を埋設」することに相当する。 また、甲B1発明の「鉛直孔掘削方法」は、上記(ア)で説示したとおり、「杭設置工程」により「杭7を含む基礎杭17が完成」することになるから、甲B1発明の「鉛直孔掘削方法」において、上記工程を進めていくことは、本件発明1の「基礎杭を構築する」ことに相当する。 以上のことをふまえると、本件発明1と甲B1発明との一致点及び相違点は、以下のとおりである。 <一致点> 「地表付近に汚染土層を有する地盤に基礎杭を構築するに際し、以下のようにして掘削する汚染土層を含む地盤での基礎杭の構築方法。 (1) 地上から、下端部の掘削ヘッドに吐出口および掘削刃を備えた掘削ロッドで、水または掘削液を注入して掘削し、 (2) 前記掘削ロッド使って前記(1)の工程と同時に、あるいは別の手段を使って、前記上部杭穴内の汚染土を含んだ掘削残土を地上に排出する。 (4) 前記掘削ロッドにより支持層まで掘削をして杭穴を構築して、水や掘削泥土で満たされた前記杭穴内に、前記吐出口から水硬性材料を注入しながら、前記杭穴底から、前記掘削ロッドを地上に引き上げる。 (5) 前記掘削ロッドを地上に引き上げながら、あるいは前記掘削ロッドを地上に引き上げた後に、構造物を埋設して基礎杭を構築する。」 <相違点1B> 本件発明1では、「地上から、下端部の掘削ヘッドに吐出口および掘削刃を備えた掘削ロッドで、水または掘削液を注入して掘削しながら前記汚染土層の杭穴壁を練り付けて前記汚染土層内の水分がしみ出ることを防止」しているのに対して、甲B1発明では、「アースオーガ3の先端部からベントナイト泥水5を噴出させ」、「上部透水層105及び不透水層103の途中部分103aまでの掘削」しているものの、「アースオーガ3」が、「汚染物質」を含む「上部透水層」の杭の孔を練り付けて上部透水層内の水分がしみ出ることを防止するとの特定がされていない点。 <相違点2B> 本件発明1では、「掘削ロッドの前記掘削刃が、前記汚染土層を貫通した」タイミングで、「一旦掘削を停止して、前記掘削ロッドを地上に引き上げ、前記掘削ロッドの下部を清掃あるいは洗浄する」のに対して、甲B1発明では、そのような特定がされていない点。 <相違点3B> 本件発明1では、「上部杭穴内の汚染土を含んだ掘削残土を地上に排出」した後に、「前記掘削ロッドの先端側を前記上部杭穴内に挿入して、掘削液や水などを前記杭穴内に注入して前記汚染土層の杭穴壁を練り付けながら、さらに下方に向けて掘削する」のに対して、甲B1発明では、そのような特定がされていない点。 イ 判断 事案に鑑みて、まず、上記相違点2Bについて検討する。 甲B4(甲A2)には、「回転掘削を行うと土壌に含まれた粘土が掘削工具やロッド、あるいは撹拌翼に付着し、繰り返して掘削を行う場合には、掘削工具を引き上げたときに清掃する」ことが記載されており、甲B5には、「掘削ロッドを地上へ引上げるたびごとに掘削ロッドにジェット水を噴射して洗浄」することが記載されているものの、掘削の対象となる地盤は、いずれも汚染土層が含む地盤ではなく、甲B4(甲A2)の「ロッド」や、甲B5の「掘削ロッド」が、汚染土層を貫通した後に引き上げられて、付着した土の「清掃」や「掻き落とす作業」がなされるものではない。 したがって、甲B4(甲A2)及び甲B5のいずれにおいても、相違点2Bに係る本件発明1の「掘削ロッドの前記掘削刃が、前記汚染土層を貫通した」タイミングで、「一旦掘削を停止して、前記掘削ロッドを地上に引き上げ、前記掘削ロッドの下部を清掃あるいは洗浄する」との工程を設けることは記載も示唆もされていない。 また、申立人Bが提出したその余の証拠をみても上記構成は記載も示唆もされていない。 したがって、甲B1発明に、甲B4(甲A2)及び甲B5に記載された事項、並びに申立人Bが提出したその余の証拠に記載された事項に基いて、相違点2Bに係る本件発明1の構成とすることはできない。 そして、本件発明1は、上記構成により、「汚染土層の成分を除外した杭穴を掘削して、基礎杭を構築できる」との作用効果を奏するものである。 ウ 申立人Bの主張 申立人Bは、掘削を停止した際に、掘削ロッドを地上に引き上げ、掘削ロッドの下部を清掃あるいは洗浄することは甲B4、甲B5に記載されているように、掘削の停止時に必要に応じて行われることであるから、相違点2Bのように掘削ロッドを地上に引き上げ、掘削ロッドの下部を清掃あるいは洗浄することは、当業者が容易にな得たことである旨主張する。(申立書23頁6-10行) しかしながら、単に掘削を停止した際に、掘削ロッドを地上に引き上げ、掘削ロッドの下部を清掃あるいは洗浄することは周知の技術であるものの、上記イで説示したとおり、甲B4及び甲B5のいずれも、また、申立人Bが提出したその余の証拠をみても「掘削ロッドの前記掘削刃が、前記汚染土層を貫通した」タイミングで、「一旦掘削を停止して、前記掘削ロッドを地上に引き上げ、前記掘削ロッドの下部を清掃あるいは洗浄する」ことは、記載も示唆もされていない。 よって、甲B1発明に、甲B4及び甲B5に記載された事項、及び申立人Bが提出したその余の証拠に記載された事項を適用したとしても、相違点2に係る本件発明1に構成に想到することはできない。 以上のとおりであるから、申立人の主張は採用することはできない。 エ 小括 よって、その他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲B1発明、甲B2ないし甲B6の証拠に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (2)本件発明2~4について 本件発明2~4は、本件発明1の構成を全て含み、さらに限定を加えた発明であるから、上記(1)で検討した理由と同じ理由により、本件発明2~4は、甲B1発明、甲B2ないし甲B6の証拠に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 3 申立理由B-2(サポート要件)について (1)申立人Bの主張 申立人Bは、申立書において以下のとおり主張している。 請求項1に記載の「前記汚染土層の杭穴壁を練り付け」及び「前記汚染土層の杭穴壁を練り付けながら」を行う「練り付け手段」は、請求項4で特定している「掘削ロッドは、掘削ヘッドの直上に練り付けドラムを形成した」で特定される構造が、明細書にも実施例として説明され図示されているのみであり、「練り付け手段」が練り付けドラム以外にどのような手段によってなされるのか明らかでない。そして、明細書には「練り付け手段」に関して、段落【0035】の「練り付けドラム2と同等の機能を有する練り付け面」がどのような構造であるのか記載も図示もされておらず、また、「練り付けドラム2と同等の機能」がどのような機能を意味するのかも不明であって、「練り付け手段」が練り付けドラム以外にどのような手段によってなされるのか明らかでない。 また、段落【0036】の記載を示しつつ、スパイラルだけでは「練り付け機能」を備えるとはいえず(甲第7号証の記載事項ア)イ)(当審注:申立書20頁3-末行)、甲第2号証の記載事項ア)(当審注:申立書14頁9-18行)参照。)、「練り付け機能と排土機能(スパイラルなど)を備えた掘削ロッド」がどのような構造の掘削ロッドであるのか明らかでない。 以上のとおりであり、練り付けドラム以外の「練り付け手段」がどのような構造であるのか明らかでなく、請求項1に係る発明は、発明の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲を超えているものであり、特許法36条6項1号に規定する要件を満たしていない。 請求項2、3に記載された発明は請求項1を引用するものであるから、請求項1と同様に特許法36条6項1号に規定する要件を満たしていない。 (申立書26頁19行-28頁1行) (2)検討・判断 上記主張について検討する。 本件特許の発明の課題は、本件特許の明細書の段落【0006】、【0015】から、簡易な方法でかつ確実に、汚染土層の成分を除外した杭穴を掘削して基礎杭を構築することであると認められる。 一方、請求項1に係る発明は、「汚染土層の杭穴壁を練り付け」るという構成を有しており、当該構成により「前記汚染土層内の水分がしみ出ることを防止」しているので、汚染土層の成分が杭穴に入らないようにすることができるものである。また、請求項1に係る発明は、「前記掘削ロッド使って前記(1)の工程と同時に、あるいは別の手段を使って、前記上部杭穴内の汚染土を含んだ掘削残土を地上に排出する」及び「前記掘削ロッドを地上に引き上げ、前記掘削ロッドの下部を清掃あるいは洗浄する」という構成により、汚染土層の成分が杭穴に残らないようにして杭穴を掘削し、基礎杭を構築することができるものである。 なお、請求項1に係る発明において、「練り付け手段」及び「掘削ロッド」について、具体的に構造が特定されていなくても、本件特許の明細書の記載全体からみて、本件特許の発明の課題を解決することができるといえる。 したがって、請求項1に係る発明は、簡易な方法でかつ確実に、汚染土層の成分を除外した杭穴を掘削して基礎杭を構築することができる、すなわち、上記発明の課題を解決することができるから、特許法36条6項1号に規定する要件を満たしているといえる。 請求項1を引用して記載する請求項2及び請求項3に係る発明についても同様である。 したがって、申立人の主張を採用することはできない。 第6 むすび したがって、特許異議申立ての理由及び証拠によっては請求項1ないし4に係る 特許を取り消すことはできない。 また、他に請求項1ないし4に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2022-700689

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