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特許異議申立

2022-700633

改善された耐食性を備えた構造用接着剤

審判番号
2022-700633
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2018-526101
登録番号
7010220
請求日
2022年07月12日
審決日
2024年07月30日
公報発行日
2024年11月29日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
  • 【権利者代理人】藤井 憲
  • 【権利者代理人】赤澤 太朗
  • 【権利者代理人】野村 和歌子
  • 【権利者代理人】佃 誠玄
  • 【権利者代理人】浅村 敬一
  • 【異議申立人】落合 克弘
審判長/審判官
  • 審判長 関根 裕
  • 審判官 門前 浩一
  • 審判官 光本 美奈子
分類
P1652.113-YAA(C09J) / P1652.121-YAA(C09J)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第126条第7項、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第4項、特許法第29条第1項第3号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7010220号発明「改善された耐食性を備えた構造用接着剤」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7010220号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-9〕について訂正することを認める。 特許第7010220号の請求項1-4に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本件特許に係る特許出願は、平成28年(2016年)11月14日(優先権主張外国庁受理 平成27年(2015年)11月19日 欧州特許庁)にされた国際出願であって、令和4年1月17日に特許の設定登録(請求項の数9)がされ、同年同月26日に特許掲載公報が発行され、同年7月12日に特許異議申立人 落合 克弘(以下「申立人」という。)により、請求項1~4に係る特許について、特許異議の申立てがされ、同年12月21日付けで取消理由が通知され、令和5年3月16日に特許権者から意見書が提出されたものである。 その後、当審は、令和5年7月6日付けで取消理由(決定の予告)を通知し(発送は同年7月11日)、この取消理由通知に対し、特許権者は、その指定期間内である同年10月10日に意見書の提出及び訂正の請求(以下「本件訂正請求」といい、訂正の内容を「本件訂正」という。)を行った。 当審は、本件訂正請求に対し、同年10月17日付けで特許権者に手続補正指令を通知し(発送は同年同月20日)、この通知に対し、特許権者は、その指定期間内である同年11月10日に手続補正書を提出した。 また、当審は、同年11月21日付けで申立人に訂正請求があった旨を通知したが(発送は同年同月28日)、この通知に対し、申立人は、その指定期間内に意見書を提出しなかった。 第2 本件訂正請求について 1 請求の趣旨 本件訂正の請求の趣旨は、「特許第7010220号の特許請求の範囲を、本訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~9について訂正することを求める。」というものである。 2 本件訂正 (1)本件訂正は、次の訂正事項1~6からなるものである。 ア 訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に「1剤型の熱硬化性構造用接着剤組成物であって、該組成物の総重量に対して、」との記載を追加すると共に、同項に記載されている「(a)エポキシ化合物」の量を、1剤型の熱硬化性構造用接着剤組成物の総重量に対して「20~50重量%」である旨、訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2~9も同様に訂正する)。 イ 訂正事項2 特許請求の範囲の請求項1に「1剤型の熱硬化性構造用接着剤成物であって、該組成物の総重量に対して」との記載を追加すると共に、同項に記載されている「(b)熱可塑性化合物」の量を、1剤型の熱硬化性構造用接着剤組成物の総重量に対して「7~40重量%」である旨、訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2~9も同様に訂正する)。 ウ 訂正事項3 特許請求の範囲の請求項1に「1剤型の熱硬化性構造用接着剤組成物であって、該組成物の総重量に対して、」との記載を追加すると共に、同項に記載されている「(c)エポキシ硬化剤」の量を、1剤型の熱硬化性構造用接着剤組成物の総重量に対して「2~15重量%」である旨、訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2~9も同様に訂正する)。 エ 訂正事項4 特許請求の範囲の請求項1に「1剤型の熱硬化性構造用接着剤組成物であって、該組成物の総重量に対して、」との記載を追加すると共に、同項に記載されている「(d)少なくとも1つの無機充填剤」の量を、1剤型の熱硬化性構造用接着剤組成物の総重量に対して「0.5~50重量%」である旨、訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2~9も同様に訂正する)。 オ 訂正事項5 特許請求の範囲の請求項1に「1剤型の熱硬化性構造用接着剤組成物であって、該組成物の総重量に対して、」との記載を追加すると共に、同項に記載されている「少なくとも1つのエポキシ部分及び少なくとも1つの直鎖又は分枝鎖アルキル基を含む、少なくとも1つの構成成分であって、前記エポキシ化合物(a)とは異なる構成成分(e)」の量を、1剤型の熱硬化性構造用接着剤組成物の総重量に対して「0.1~20重量%」である旨、訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2~9も同様に訂正する)。 カ 訂正事項6 特許請求の範囲の請求項1に「1剤型の熱硬化性構造用接着剤組成物であって、該組成物の総重量に対して、」との記載を追加すると共に、同項に記載されている1剤型の熱硬化性構造用接着剤組成物の要素として、「(f)0.1~10重量%の、黒鉛フレークであって、前記無機充填剤(d)とは異なる更なる充填剤(f)」を追加する(請求項1の記載を引用する請求項2~9も同様に訂正する)。」 (2)一群の請求項について 訂正前の請求項1~9について、請求項2~9はそれぞれ請求項1を直接又は間接的に引用するものであって、訂正事項1~6によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。 したがって、訂正前の請求項1~9にそれぞれ対応する本件訂正後の請求項1~9は、特許法120条の5第4項に規定する一群の請求項であり、本件訂正は、一群の請求項ごとに請求されたものである。 3 訂正要件についての判断 (1)訂正事項1について ア 訂正の目的について 訂正事項1は、本件訂正前には限定がなかった「(a)エポキシ化合物」の量について、1剤型の熱硬化性構造用接着剤組成物の総重量に対して「20~50重量%」に限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 新規事項の追加の有無、及び、特許請求の範囲の拡張・変更の存否について 本件特許明細書の段落【0054】には「好ましい実施形態において、本開示による構造用接着剤組成物は、 (a)20~50重量%、好ましくは30~50重量%、より好ましくは38~50重量%の、好ましくは、平均エポキシ当量が250g/当量未満、好ましくは230g/当量未満、より好ましくは220g/当量未満、更により好ましくは200g/当量未満であるエポキシ化合物と、・・・を含む。」と記載されているから、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でするものである。 また、上記アのとおり、訂正事項1は、本件訂正前には限定がなかった「(a)エポキシ化合物」の量について、1剤型の熱硬化性構造用接着剤組成物の総重量に対して「20~50重量%」に限定するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5、6項に適合する。 (2)訂正事項2について ア 訂正の目的について 訂正事項2は、本件訂正前には限定がなかった「(b)熱可塑性化合物」の量について、1剤型の熱硬化性構造用接着剤組成物の総重量に対して「7~40重量%」に限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 新規事項の追加の有無、及び、特許請求の範囲の拡張・変更の存否について 本件特許明細書の段落【0054】には「好ましい実施形態において、本開示による構造用接着剤組成物は、・・・(b)7~40重量%、好ましくは10~24重量%、より好ましくは15~24重量%の、好ましくは軟化点が60℃~140℃の範囲である熱可塑性化合物と、・・・を含む。」と記載されているから、訂正事項2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でするものである。 また、上記アのとおり、訂正事項2は、本件訂正前には限定がなかった「(b)熱可塑性化合物」の量について、1剤型の熱硬化性構造用接着剤組成物の総重量に対して「7~40重量%」に限定するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないはない。 したがって、訂正事項2は、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5、6項に適合する。 (3)訂正事項3について ア 訂正の目的について 訂正事項3は、本件訂正前には限定がなかった「(c)エポキシ硬化剤」の量について、1剤型の熱硬化性構造用接着剤組成物の総重量に対して「2~15重量%」に限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 新規事項の追加の有無、及び、特許請求の範囲の拡張・変更の存否について 本件特許明細書の段落【0054】には「好ましい実施形態において、本開示による構造用接着剤組成物は、・・・(c)2~15重量%、好ましくは2~8重量%、より好ましくは2~4重量%のエポキシ硬化剤と、・・・を含む。」と記載されているから、訂正事項3は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でするものである。 また、上記アのとおり、訂正事項3は、本件訂正前には限定がなかった「(c)エポキシ硬化剤」の量について、1剤型の熱硬化性構造用接着剤組成物の総重量に対して「2~15重量%」に限定するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 したがって、訂正事項3は、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5、6項に適合する。 (4)訂正事項4について ア 訂正の目的について 訂正事項4は、本件訂正前には限定がなかった「(d)少なくとも1つの無機充填剤」の量について、1剤型の熱硬化性構造用接着剤組成物の総重量に対して「0.5~50重量%」に限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 新規事項の追加の有無、及び、特許請求の範囲の拡張・変更の存否について 本件特許明細書の段落【0054】には「好ましい実施形態において、本開示による構造用接着剤組成物は、・・・(d)組成物の総重量に対して0.5~50重量%、好ましくは組成物の総重量に対して2~40重量%、より好ましくは組成物の総重量に対して10~30重量%の無機充填剤と、を含む。」と記載されているから、訂正事項4は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でするものである。 また、上記アのとおり、訂正事項4は、本件訂正前には限定がなかった「(d)少なくとも1つの無機充填剤」の量について、1剤型の熱硬化性構造用接着剤組成物の総重量に対して「0.5~50重量%」に限定するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 したがって、訂正事項4は、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5、6項に適合する。 (5)訂正事項5について ア 訂正の目的について 訂正事項5は、本件訂正前には限定がなかった「少なくとも1つのエポキシ部分及び少なくとも1つの直鎖又は分枝鎖アルキル基を含む、少なくとも1つの構成成分であって、前記エポキシ化合物(a)とは異なる構成成分(e)」の量について、1剤型の熱硬化性構造用接着剤組成物の総重量に対して「0.1~20重量%」に限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 新規事項の追加の有無、及び、特許請求の範囲の拡張・変更の存否について 本件特許明細書の段落【0046】には「本開示による構造用接着剤組成物は、少なくとも1つの構成成分(e)(反応性希釈剤)を、組成物の総重量に対して0.1~20重量%、好ましくは組成物の総重量に対して1~15重量%、より好ましくは組成物の総重量に対して1.5~10重量%、更により好ましくは組成物の総重量に対して2~7重量%の量で含むことが好ましい。」と記載されているから、訂正事項5は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でするものである。 また、上記アのとおり、訂正事項5は、本件訂正前には限定がなかった「少なくとも1つのエポキシ部分及び少なくとも1つの直鎖又は分枝鎖アルキル基を含む、少なくとも1つの構成成分であって、前記エポキシ化合物(a)とは異なる構成成分(e)」の量について、1剤型の熱硬化性構造用接着剤組成物の総重量に対して「0.1~20重量%」に限定するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 したがって、訂正事項5は、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5、6項に適合する。 (6)訂正事項6について ア 訂正の目的について 訂正事項6は、1剤型の熱硬化性構造用接着剤組成物に含まれている必須の成分について、本件訂正前に規定されていた「(a)エポキシ化合物」、「(b)熱可塑性化合物」、「(c)エポキシ硬化剤」、「(d)少なくとも1つの無機充填剤」、及び、「(e)少なくとも1つのエポキシ部分及び少なくとも1つの直鎖又は分枝鎖アルキル基を含む、少なくとも1つの構成成分であって、前記エポキシ化合物(a)とは異なる構成成分(e)」に加えて、更に、1剤型の熱硬化性構造用接着剤組成物の総重量に対して「(f)0.1~10重量%の、黒鉛フレークであって、前記無機充填剤(d)とは異なる更なる充填剤(f)」も必須の成分であることを限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 新規事項の追加の有無について 本件特許明細書の段落【0047】~【0053】には「 更なる充填剤 本開示による構造用接着剤組成物は、好ましくは、カーボンブラック、黒鉛、無機炭素源、ガラスビーズ、ガラスチップ、金属チップ、金属フレーク、ガラスバブル、有機繊維、及び無機繊維、好ましくは、黒鉛、ガラスビーズ、ガラスチップ、より好ましくは黒鉛、更により好ましくは黒鉛フレークの列挙から選択される、更なる充填剤(f)を更に含む。好ましくは、更なる充填剤(f)は、非球状粒子の形態である。非球状粒子を用いることは、本開示による接着剤組成物及び接着フィルムに、改善された破壊モード及び高い機械的強度をもたらす効果を有する。・・・非球状粒子は無機粒子であり、・・・好ましくは、金属、炭素及びガラスから選択される材料からなる。金属は、好ましくは、鉄、鋼、アルミニウム、チタン、マグネシウム、並びにこれらの混合物及び合金から選択される。炭素からなる非球状粒子が好ましい。この点に関し、黒鉛及びカーボンブラック、特に黒鉛、より好ましくは熱膨張性黒鉛が好ましい。粒子は、概して非球状の形状を有する。・・・粒子は、不規則な形状又はフレーク形状のいずれかを有することが好ましい。フレーク形状の粒子は、接着強度及び凝集破壊モードに関して最良の結果をもたらすため、本開示による構造用接着剤組成物においては、フレーク形状の粒が好ましい。好ましくは、本明細書に記載の非球状粒子は、アスペクト比が少なくとも1:2.5、好ましくは1:2.5~1:20の範囲、より好ましくは1:4~1:7の範囲である。この点に関して特定の望ましい効果が、黒鉛フレークを用いた際に確認することができる。したがって、更なる充填剤(f)は、黒鉛、好ましくは熱膨張性黒鉛、より好ましくは熱膨張性黒鉛フレークを含むことが好ましい。・・・本開示による構造用接着剤組成物は、更なる充填剤(f)を、組成物の総重量に対して0.1~10重量%、好ましくは組成物の総重量に対して0.5~7重量%、より好ましくは組成物の総重量に対して1.0~5重量%の量で含むことが更に好ましい。」と記載されている(下線は、当審合議体が付したものである。) したがって、訂正事項6は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でするものであり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合する。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否について 上記アのとおり、訂正事項6は、本件訂正前には規定されていなかった「(f)0.1~10重量%の、黒鉛フレークであって、前記無機充填剤(d)とは異なる更なる充填剤(f)」も1剤型の熱硬化性構造用接着剤組成物の必須の成分であることを限定するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 したがって、訂正事項6は、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合する。 (7)独立特許要件について ア 独立特許要件の課されない請求項 上記第1で述べたように、本件特許異議の申立ては、本件請求項1~9に係る特許のうち請求項1~4に係る特許に対してなされているので、請求項1~4については、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項に規定される独立特許要件が課されない。 イ 独立特許要件の課される請求項 上記第1で述べたように、本件特許異議の申立ては、本件請求項1~9に係る特許のうち請求項5~9に係る特許に対しては申立てられていない。そして、本件訂正前の請求項1に対する訂正である訂正事項1~6は、上記(1)~(6)で述べたようにいずれも特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるところ、請求項5~9は、請求項1を直接又は間接的に引用するものであるから、請求項1と同様に特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正がされたといえる。 したがって、請求項5~9については、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項に規定される独立特許要件が課される。 ウ 独立特許要件についての判断 下記第6で述べるように、本件訂正後の請求項1に係る発明には新規性または進歩性欠如との取消理由がないから、訂正後の請求項1に係る発明をそのままの態様で包含する本件訂正後の請求項5~9に係る発明は、新規性または進歩性欠如との理由により特許を受けることができないものでないことは明らかである。また、本件訂正後の請求項5~9に係る特許についてはその他の特許を受けることができないとする理由もない。 そうすると、請求項1を直接又は間接的に引用する本件訂正後の請求項5~9に係る発明も、特許を受けることができないとすべき理由があるものではないから、本件訂正後の請求項5~9に係る発明は特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるといえる。 エ 小括 以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する同法126条第7項に適合する。 (8)本件訂正の適否についての小括 以上のとおり、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる事項を目的とするものであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5、6項の規定、及び、特許法第120条の5第9項により読み替えて準用する特許法第126条第7項の規定に適合するものである。 したがって、本件特許の特許請求の範囲を本訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~9について訂正することを認める。 第3 本件発明 上記第2のとおり、本件訂正請求は認められたので、本件特許の請求項1~9に係る発明は、その特許の特許請求の範囲の請求項1~9に記載された以下のとおりのものである(請求項1~9に係る発明を、それぞれ「本件発明1」~「本件発明9」といい、まとめて「本件発明」ともいう。)。 「【請求項1】 1剤型の熱硬化性構造用接着剤組成物であって、該組成物の総重量に対して、 (a)20~50重量%のエポキシ化合物と、 (b)7~40重量%の熱可塑性化合物と、 (c)2~15重量%のエポキシ硬化剤と、 (d)0.5~50重量%の少なくとも1つの無機充填剤と、 (e)0.1~20重量%の、少なくとも1つのエポキシ部分及び少なくとも1つの直鎖又は分枝鎖アルキル基を含む、少なくとも1つの構成成分であって、前記エポキシ化合物 (a)とは異なる構成成分(e)と、 (f)0.1~10重量%の、黒鉛フレークであって 前記無機充填(d)とは異なる更なる充填剤(f)、 を含み、前記少なくとも1つの無機充填剤が水を吸収できる、1剤型の熱硬化性構造用接着剤組成物。 【請求項2】 前記少なくとも1つの無機充填剤(d)が、水と化学的に反応できるか、または金属酸化物及び金属水酸化物からなる群から選択されるか、または水と化学的に反応できかつ金属酸化物及び金属水酸化物からなる群から選択される、請求項1に記載の構造用接着剤組成物。【請求項3】 前記組成物が、前記少なくとも1つの構成成分(e)を前記組成物の総重量に対して0.1~20重量%の量で含むか、または前記少なくとも1つの無機充填剤(d)を前記組成物の総重量に対して0.5~50重量%の量で含むか、または前記少なくとも1つの構成成分(e)を前記組成物の総重量に対して0.1~20重量%の量で含みかつ前記少なくとも1つの無機充填剤(d)を前記組成物の総重量に対して0.5~50重量%の量で含む、請求項1又は2に記載の構造用接着剤組成物。 【請求項4】 前記少なくとも1つの構成成分(e)が、式(I) (R1)n-A-B-C-(R2)m (式(I)) [式中、 R1は直鎖又は分枝鎖アルキルであり、 R2はエポキシ部分であり、 A、B、Cは異なる、又は、同一であり、かつ直鎖又は分枝鎖の、アルキル、アルコキシ、アルケン、アルキン、フェニル、フェノキシ、カルボキシであり、かつ任意に、直鎖又は分枝鎖の、アルキル、アルコキシ、アルケン、アルキン、フェニル、フェノキシ及びカルボキシによって置換されており、 nは1、2、又は3であり、 mは1、2、又は3である]による化合物である、請求項1~3のいずれか一項に記載の構造用接着剤組成物 【請求項5】 前記少なくとも1つの構成成分(e)が、構成成分 【化1】 [図:0001416428000001.jpg] 【化2】 [図:0001416428000002.jpg] 【化3】 [図:0001416428000003.jpg] 並びにこれらの混合物及び誘導体から選択される、請求項4に記載の構造用接着剤組成物。【請求項6】 (a)-40℃で少なくとも21MPa、かつ/又は23℃で少なくとも17MPa、かつ/又は80℃で少なくとも11MPaの、DIN EN 1465による重なりせん断強度をもたらすか、(b)少なくとも165Nの、ASTM D1876によるT型剥離強度をもたらすか、(c)湿潤状態後に、30%以下の、DIN EN 1465による重なりせん断強度の低下をもたらすか、前記(a)、(b)、(c)の任意の組み合わせを備え、前記湿潤条件とは、試験片を、水を含ませた脱脂綿で包んだ後、ポリエチレン袋中に気密密閉し、70℃及び相対湿度100%で7日間保存し、包んだ試料を開いた後、試験片を23℃で2時間保存した後、-28℃で2時間保存し、続いて標準的な雰囲気下で再コンディショニングした条件である、請求項1~5のいずれか一項に記載の構造用接着剤組成物。 【請求項7】 請求項1~6のいずれか一項に記載の構造用接着剤組成物を含む、耐食性構造用接着フィルム。 【請求項8】 部品を結合する方法であって、前記方法が、以下の工程、すなわち、 i.第1の部品及び第2の部品を準備する工程と、 ii.請求項1~6のいずれか一項に記載の構造用接着剤組成物、又は請求項7に記載の構造用接着フィルムを、前記第1の部品及び/又は前記第2の部品の少なくとも1つの面に対して提供する工程と、 iii.前記第1の部品と前記第2の部品とを、前記エポキシ硬化剤の活性化温度よりも低い温度で接着することによって、前記第1の部品と前記第2の部品との間に接合部を形成する工程と、 iv.前記熱硬化性組成物を熱硬化させるように、前記接合部を、前記エポキシ硬化剤の活「生化温度よりも高い温度で加熱する工程と、 を含む、方法。 【請求項9】 (I)第1の部品及び第2の部品と、 (II)熱硬化された構造用接着フィルムと、を備え、 前記熱硬化された構造用接着フィルムが、前記構造用接着フィルムの第1の末端に近い第1の部分と、前記構造用接着フィルムの前記第1の末端の反対側の第2の末端に近い第2の部分と、を有し、 前記熱硬化された構造用接着フィルムが、前記第1の部品と前記第2の部品との間に提供され、前記第1の部品と前記第2の部品とを共に接着しており、かつ 前記熱硬化された構造用接着フィルムが、請求項1~6のいずれか一項に記載の熱硬化性組成物、又は請求項7に記載の構造用接着フィルムの熱硬化によって得られる、部品アセンブリ。」 第4 特許異議の申立ての概要 申立人は、下記2の証拠方法(以下、甲第1号証を「甲1」などという。)により、下記1を申立ての理由とする特許異議の申立てをしている。 1 申立ての理由 本件発明1~4は、甲1に記載された発明、甲1に記載された事項、及び、甲2に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。 2 証拠方法 甲1:特開2015-182248号公報 甲2:特開2013-104025号公報 第5 証拠等の記載事項 1 甲1の記載事項 甲1には、以下の事項が記載されている。なお、下線は、当審が付したものである。 「【特許請求の範囲】 【請求項1】 線膨張係数の異なる複数の部材の間に硬化性樹脂組成物を挟んで張り合わせた後に、前記硬化性樹脂組成物を硬化することにより前記部材を接合させてなる積層体であって、前記硬化性樹脂組成物が、エポキシ樹脂(A)100質量部に対して、ポリマー微粒子(B)1~100質量部、を含有する硬化性樹脂組成物であることを特徴とする積層体。 ・・・ 【請求項17】 (A)成分として、軟化点が50℃以上であるビスフェノールA型固体エポキシ樹脂(A2)を含有し、(A)成分の総量の内の(A2)成分の含有量が、1~100wt%であることを特徴とする請求項1から16のいずれかに記載の積層体。 【請求項18】 硬化性樹脂組成物が、一液型硬化性樹脂組成物であることを特徴とする請求項1から17のいずれかに記載の積層体。 【請求項19】 硬化性樹脂組成物が、(A)成分100質量部に対して、更に、エポキシ硬化剤(C)1~40質量部を含有する事を特徴とする請求項1から18のいずれかに記載の積層体。 【請求項20】 硬化性樹脂組成物が、(A)成分100質量部に対して、更に、硬化促進剤(D)0.1~10質量部を含有する事を特徴とする請求項1から19のいずれかに記載の積層体。」 「【0025】 (A)成分として、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(A1)を含有し、(A)成分の総量の内の(A1)成分の含有量が、1~100wt%であることが好ましい。 【0026】 (A)成分として、軟化点が50℃以上であるビスフェノールA型固体エポキシ樹脂(A2)を含有し、(A)成分の総量の内の(A2)成分の含有量が、1~100wt%であることが好ましい。」 「【発明の効果】 【0031】 本発明の硬化性樹脂組成物は、線膨張係数の異なる複数の部材に強固に接着し、前記硬化性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物は高伸びと高弾性率を両立するので、これら異種部材の間に前記硬化性樹脂組成物を挟んで張り合わせた後に硬化させて接合した積層体は、異種部材間の線膨張係数の違いにより生じた応力による接合面の剥がれ等が無く、更に、高剛性の構造部材となる。」 「【0040】 <エポキシ樹脂(A)> 本発明の硬化性樹脂組成物の主成分として、エポキシ樹脂(A)を使用する。エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂・・・ 【0042】 また、前述のエポキシ樹脂の中でも、室温で液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(A1)、軟化点が50℃以上であるビスフェノールA型固体エポキシ樹脂(A2)、ゴム変性エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、キレート変性エポキシ樹脂は、コスト、硬化物の伸び、弾性率、部材への接着性、等の点から好ましい。 【0043】 ビスフェノールF型エポキシ樹脂(A1)、軟化点が50℃以上であるビスフェノールA型固体エポキシ樹脂(A2)、ゴム変性エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂は、後述の(B)成分との組合せにより、高伸びの硬化物が得られやすいので好ましく、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(A1)または軟化点が50℃以上であるビスフェノールA型固体エポキシ樹脂(A2)は、伸びと弾性率の物性バランスの点からより好ましく、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(A1)は、特に好ましい。 ・・・ 【0045】 (A2)成分の数平均分子量は、500~6000であることが好ましく、700~2000がより好ましく、800~1500が更に好ましい。(A2)成分の数平均分子量が500未満では、得られる硬化物の伸び物性が十分ではない場合があり、数平均分子量が6000よりも大きいと、硬化性樹脂組成物の粘度が高くなり、作業性が低下する場合がある。 【0046】 (A)成分として、軟化点が50℃以上であるビスフェノールA型固体エポキシ樹脂(A2)を含有する場合、(A)成分の総量の内の(A2)成分の含有量は、1~100wt%であることが好ましく、5~80wt%であることがより好ましく、10~60wt%であることが更に好ましく、15~40wt%であることが特に好ましい。(A2)成分の含有量が少ないと、得られる硬化物の伸び物性値が十分ではない場合がある。(A2)成分の含有量が多いと、硬化性樹脂組成物の粘度が高くなり、作業性が低下する場合がある。」 「【0129】 <無機充填材> 本発明の硬化性樹脂組成物は、無機充填材として、ケイ酸および/またはケイ酸塩を添加することができる。 【0130】 具体例としては、乾式シリカ、湿式シリカ、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、などが挙げられる。 【0131】 前記乾式シリカはヒュームドシリカとも呼ばれ、表面無処理の親水性ヒュームドシリカと、親水性ヒュームドシリカのシラノール基部分にシランやシロキサンで化学的に処理することによって製造した疎水性ヒュームドシリカが挙げられるが、(A)成分への分散性の点から、疎水性ヒュームドシリカが好ましい。 【0132】 その他の無機充填材としては、ドロマイトおよびカーボンブラックの如き補強性充填材;膠質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化チタン、酸化第二鉄、アルミニウム微粉末、酸化亜鉛、活性亜鉛華等が挙げられる。 【0133】 無機充填材の使用量は、(A)成分100質量部に対して、1~100質量部が好ましく、2~70質量部がより好ましく、5~40質量部が更に好ましく、7~20質量部が特に好ましい。1質量部未満では、チクソ性付与効果が十分ではない場合があり、100質量部より多いと、硬化性樹脂組成物が高粘度となり、取り扱い難くなる場合がある。 【0134】 無機充填材は単独で用いても良く2種以上併用しても良い。」 「【0146】 <その他の配合成分> 本発明では、必要に応じて、その他の配合成分を使用することができる。その他の配合成分としては、酸化カルシウムなどの脱水剤、顔料や染料等の着色剤、体質顔料、紫外線吸収剤、酸化防止剤、安定化剤(ゲル化防止剤)、可塑剤、レベリング剤、消泡剤、シランカップリング剤、帯電防止剤、難燃剤、滑剤、減粘剤、低収縮剤、有機質充填剤、熱可塑性樹脂、乾燥剤、分散剤等が挙げられる。」 「【0155】 <用途> 本発明の硬化性樹脂組成物は、取扱い性の点から、一液型の硬化性樹脂組成物であるのが好ましい。 【0156】 本発明の積層体は、車両や航空機、船舶等の輸送機器の構造部材(パネル部品、骨格部品、足回り部品、など)として使用可能であり、特に、構造パネルとして使用することが好ましく、特に、車両用構造パネルとして有用である。」 「【実施例】 【0157】 以下、実施例および比較例によって本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適宜変更して実施することが可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。なお下記実施例および比較例において「部」および「%」とあるのは、質量部または質量%を意味する。 ・・・ 【0160】 <1.コア層の形成> (製造例1-1;ポリブタジエンゴムラテックス(R-1)の調製) 耐圧重合機中に、脱イオン水200質量部、リン酸三カリウム0.03質量部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(EDTA)0.002質量部、硫酸第一鉄・7水和塩0.001質量部、及び、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDBS)1.55質量部を投入し、撹拌しつつ十分に窒素置換を行なって酸素を除いた後、ブタジエン(Bd)100質量部を系中に投入し、45℃に昇温した。パラメンタンハイドロパーオキサイド(PHP)0.03質量部、続いてナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート(SFS)0.10質量部を投入し重合を開始した。重合開始から3、5、7時間目それぞれに、パラメンタンハイドロパーオキサイド(PHP)0.025質量部を投入した。また、重合開始4、6、8時間目それぞれに、EDTA0.0006質量部、及び硫酸第一鉄・7水和塩0.003質量部を投入した。重合15時間目に減圧下残存モノマーを脱揮除去して重合を終了し、ポリブタジエンゴムを主成分とするポリブタジエンゴムラテックス(R-1)を得た。得られたラテックスに含まれるポリブタジエンゴム粒子の体積平均粒子径は0.08μmであった。 (製造例1-2;ポリブタジエンゴムラテックス(R-2)の調製) 耐圧重合機中に、製造例1-1で得たポリブタジエンゴムラテックス(R-1)を21質量部(ポリブタジエンゴム7質量部を含む)、脱イオン水185質量部、リン酸三カリウム0.03質量部、EDTA0.002質量部、及び硫酸第一鉄・7水和塩0.001質量部を投入し、撹拌しつつ十分に窒素置換を行なって酸素を除いた後、Bd93質量部を系中に投入し、45℃に昇温した。PHP0.02質量部、続いてSFS0.10質量部を投入し重合を開始した。重合開始から24時間目まで3時間おきに、それぞれ、PHP0.025質量部、及びEDTA0.0006質量部、及び硫酸第一鉄・7水和塩0.003質量部を投入した。重合30時間目に減圧下残存モノマーを脱揮除去して重合を終了し、ポリブタジエンゴムを主成分とするポリブタジエンゴムラテックス(R-2)を得た。得られたラテックスに含まれるポリブタジエンゴム粒子の体積平均粒子径は0.20μmであった。 【0161】 <2.ポリマー微粒子の調製(シェル層の形成)> (製造例2-1;コアシェルポリマーラテックス(L-1)の調製) 温度計、撹拌機、還流冷却器、窒素流入口、及びモノマーの添加装置を有するガラス反応器に、製造例1-1で得たポリブタジエンゴムラテックス(R-1)78質量部(ポリブタジエンゴム粒子26質量部を含む)、製造例1-2で得たポリブタジエンゴムラテックス(R-2)183質量部(ポリブタジエンゴム粒子61質量部を含む)、及び脱イオン水54質量部を仕込み、窒素置換を行いながら60℃で撹拌した。EDTA0.004質量部、硫酸第一鉄・7水和塩0.001質量部、及びSFS0.2質量部を加えた後、スチレン(St)5質量部、アクリロニトリル(AN)4質量部、グリシジルメタクリレート(GMA)4質量部、及び、CHP0.04質量部の混合物を85分間かけて連続的に添加した。添加終了後、CHP0.065質量部を添加し、さらに1時間撹拌を続けて重合を完結させ、コアシェルポリマーを含む水性ラテックス(L-1)を得た。モノマー成分の重合転化率は99%以上であった。得られた水性ラテックスに含まれるコアシェルポリマーの体積平均粒子径は0.19μmであった。 ・・・ 【0162】 <3.硬化性樹脂中にポリマー微粒子(B)が分散した分散物の調製> (製造例3-1~3-3;分散物(M-1~M-3)の調製) 25℃の1L混合槽にメチルエチルケトン(MEK)132gを導入し、撹拌しながら、それぞれ前記製造例2-1~2-3で得られたコアシェルポリマーの水性ラテックス(L-1~L-3)を132g(ポリマー微粒子40g相当)投入した。均一に混合後、水200gを80g/分の供給速度で投入した。供給終了後、速やかに撹拌を停止したところ、浮上性の凝集体および有機溶媒を一部含む水相からなるスラリー液を得た。次に、一部の水相を含む凝集体を残し、水相360gを槽下部の払い出し口より排出させた。得られた凝集体にMEK90gを追加して均一に混合し、コアシェルポリマーを均一に分散した分散体を得た。この分散体に、(A)成分であるエポキシ樹脂(A-1:三菱化学社製、JER828EL)60gを混合した。この混合物から、回転式の蒸発装置で、MEKを除去した。このようにして、エポキシ樹脂にポリマー微粒子が分散した分散物(M-1~M-3)を得た。 【0163】 (実施例1~12、比較例1~2) 表1に示す処方にしたがって、(A)成分であるエポキシ樹脂、前記製造例3-1~3-3で得られた分散物(M-1~M-3)、(C)成分であるエポキシ硬化剤、(D)成分である硬化促進剤、をそれぞれ計量し、よく混合し、更に、脱泡して硬化性樹脂組成物を得た。この組成物を、厚み3mmのスペーサーを挟んだ2枚のガラス板の間に注ぎ込み、熱風オーブン中170℃で1時間で2時間硬化させ、厚み3mmの硬化板を得た。この硬化板を、1号型試験片の形状に切削し、チャック間距離:115mm、標線間距離:50mm、測定温度:23℃、テストスピード:1mm/min、の条件で、JIS K 7113に従って引張試験を行った。 【0164】 配合組成と引張試験の結果を表1に示す 【0165】 なお、表1中の各種配合剤は、以下に示すものを使用した。 <エポキシ樹脂(A)> jER828EL(三菱化学社製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量:184~194)、 jER1001(三菱化学社製、環球法による軟化点が64℃であるビスフェノールA型固体エポキシ樹脂、エポキシ当量:450~500) ・・・ <変性エポキシ樹脂> EPON Resin 58005(Momentive製、エラストマー変性エポキシ樹脂、エラストマー濃度:40wt%、エポキシ当量:325~375) <エポキシ硬化剤(C)> Dyhard 100S(AlzChem製、ジシアンジアミド)、 <硬化促進剤(D)> Dyhard UR300(AlzChem製、1,1-ジメチル-3-フェニルウレア)、 ・・・ 【0168】 (実施例13~19、比較例3~4) 表2に示す処方にしたがって、(A)成分であるエポキシ樹脂、前記製造例3-1~3-3で得られた分散物(M-1~M-3)、各種無機充填材、反応性希釈剤、(C)成分であるエポキシ硬化剤、(D)成分である硬化促進剤、をそれぞれ計量し、よく混合して硬化性樹脂組成物を得た。 【0169】 線膨張係数が異なる部材として、鋼板(線膨張係数:1.2×10-5cm/cm/℃)、アルミニウム板(線膨張係数:2.4×10-5cm/cm/℃)、または、GFRP板(線膨張係数:0.7×10-5cm/cm/℃)、の何れかの2枚を用い、これらの異なる2枚の部材の間に前記硬化性樹脂組成物を挟んで張り合わせた後に、硬化性樹脂組成物を硬化することにより、異なる2枚の部材を接合させて積層体を得た。 【0170】 得られた積層体を以下の方法により、接着性を評価した。 <せん断接着強さ> 硬化性樹脂組成物を、寸法:25×100×1.6mmのSPCC鋼板と、寸法:25×100×4.0mmのGFRP板に塗布し、接着層厚み0.13mmとなるように重ね合せ、170℃×1時間の条件で硬化させ、測定温度:23℃、テストスピード:1.3mm/min、の条件で、JIS K6850に従って、せん断接着強さを測定した。 <動的割裂抵抗力(耐衝撃剥離接着性)> 硬化性樹脂組成物を、寸法:20×90×0.8mmのSPCC鋼板と、寸法:20×90×1.0mmのアルミニウム板(A5052)に塗布し、に塗布し、接着層厚み0.25mmとなるように重ね合せ、170℃×1時間の条件で硬化させ、ISO 11343に従って、23℃での動的割裂抵抗力を測定した。 【0171】 配合組成とせん断接着強さおよび動的割裂抵抗力の結果を表2に示す。 【0172】 なお、表2中の各種配合剤は、表1中の配合剤以外に以下に示すものを使用した。 ・・・ <反応性希釈剤> Cardula E10P(Momentive製、バーサチック酸グリシジルエステル) ERISYS GE-25(CVC Thermoset Specialties製、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル)【0173】 【表2】 [図:0001416428000004.jpg] 」 2 甲2の記載事項 甲2には、以下の事項が記載されている。 「【0045】 固形エポキシ樹脂としては常温で固体のエポキシ樹脂であり、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、イソシアネート変性エポキシ樹脂等が挙げられる。」 「【0047】 フェノキシ樹脂とは、分子量10000以上の高分子量固形エポキシのことであり、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂の高分子量体がこれに相当する。これらのフェノキシ樹脂は本実施の形態に用いるエポキシ樹脂(A)として、好適に使用されるビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂とも構造が似ていることから相溶性がよく、フェノキシ樹脂を用いると固定強度の向上も期待できる。」 3 参考例1の記載事項 当審において技術水準を参照する刊行物等として引用する特公昭47-41742号公報(以下、「参考例1」ともいう。)の第2欄17行~28行には次の記載がある。 「バルサチツク酸のグリシジルエステル(たとえばカージユラE:シエル化学製品、一般式 [図:0001416428000005.jpg] (式中R1,R2およびR,R3は直鎖状のアルキル基でそのうち少なくとも1つはメチル基である。)の構造をもつものである。)」 第6 当審合議体の判断 1 令和5年7月6日付けの取消理由(決定の予告)について 当審が令和5年7月6日付けで通知した取消理由(決定の予告)の概要は、以下のとおりである。 取消理由1(新規性) 本件特許の請求項1~4に係る発明は、その出願前日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載され、又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明(甲1発明)であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものであり、その特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 取消理由2(進歩性) 本件特許の請求項1~4に係る発明は、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が、その出願前日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載され、又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明(甲1発明)に基いて、容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 取消理由1、2で引用する刊行物等 特開2015-182248号公報(甲1) 特開2013-104025号公報(甲2) 特公昭47-41742号公報(参考例1) 2 甲1に記載された発明について 甲1には、上記第5の1に摘記した事項が記載されており、その請求項1に係る発明の具体的な態様として記載されている実施例13に係る硬化性樹脂組成物に基づき、以下の発明が記載(以下、「甲1発明」ともいう。)されていると認められる。 <甲1発明> 「以下の成分をよく混合して得た硬化性組成物。 エポキシ樹脂(A)としてjER828を55重量部 エポキシ樹脂(A)中にポリマー微粒子(B)が分散した分散物M-1を75重量部、 重質炭酸カルシウムとしてホワイトンSBを15重量部、 酸化カルシウムとしてCML-31を5重量部、 カーボンブラックとしてMONARCH280を0.3重量部、 反応性希釈剤としてCadura E10Pを10重量部、 ヒュームドシリカとしてTS720を3重量部、 エポキシ硬化剤(C)としてDyhard 100Sを7重量部、 硬化促進剤(D)としてDyhard UR300を1重量部」 3 本件発明1について (1) 本件発明1と甲1発明の対比 ア 甲1発明は、「エポキシ樹脂(A)としてjER828を55重量部」及び「エポキシ樹脂(A)中にポリマー微粒子(B)が分散した分散物M-1を75重量部」含むものである。また、甲1発明の「エポキシ樹脂(A)中にポリマー微粒子(B)が分散した分散物M-1」は、甲1の【0162】の記載からみて、「ポリマー微粒子40g相当」と「(A)成分であるエポキシ樹脂(A-1:三菱化学社製、JER828EL)60g」の混合物であると認められる。また、「エポキシ樹脂(A)としてjER828」及び「(A)成分であるエポキシ樹脂(A-1:三菱化学社製、JER828EL)」は、「ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量:184~194」(【0165】)であるから、本件発明1の「(a)エポキシ化合物」に相当する。 したがって、甲1発明は、本件発明1の「(a)エポキシ化合物と」、「を含み」を充足する。 イ 甲1発明の「エポキシ樹脂(A)中にポリマー微粒子(B)が分散した分散物M-1を75重量部」は、エポキシ樹脂(A-1:三菱化学社製、JER828EL)を45重量部(=75×60/(60+40))を含むものであるから、甲1発明の「硬化性組成物」は、エポキシ樹脂(三菱化学社製、JER828EL)を100重量部(=45+55)を含むものである。 また、甲1発明の「硬化性組成物」は、全体で171.3重量部である。 したがって、甲1発明の「硬化性組成物」におけるエポキシ樹脂の割合は、58.4重量%(=100/171.3×100)であり、本件発明1の「20~50重量%」を充足しない。 ウ 甲1発明の「エポキシ硬化剤(C)としてDyhard 100S」は、「AlzChem製、ジシアンジアミド」(甲1の【0165】)であり、ジシアンジアミドは、本件発明1の「(c)エポキシ硬化剤」として好ましいものであるとされている(本件特許の明細書の【0029】)から、本件発明1の「(c)エポキシ硬化剤」に相当する。 また、甲1発明の「硬化性組成物」は、「エポキシ硬化剤(C)としてDyhard 100S」を7重量部含んでいるから、その割合は、4.1重量%(=7/171.3×100)である。 したがって、甲1発明は、本件発明1の「該組成物の総重量に対して」、「(c)2~15重量%のエポキシ硬化剤と」、「を含み」を充足する。 エ 甲1発明の「酸化カルシウムとしてCML-31」は、酸化カルシウムが本件発明1の「(d)少なくとも1つの無機充填剤」の好ましい例として記載されている(【0038】)とともに、実施例でも使用されている(【表3】)ことを踏まえれば、本件発明1の「(d)少なくとも1つの無機充填剤」および「前記少なくとも1つの無機充填剤が水を吸収できる」に相当する。 また、甲1発明の「硬化性組成物」は、「酸化カルシウムとしてCML-31」を5重量部含んでいるから、その割合は、2.9重量%(=5/171.3×100)である。 したがって、甲1発明は、本件発明1の「該組成物の総重量に対して」、「(d)0.5~50重量%の少なくとも1つの無機充填剤と」、「を含み、前記少なくとも1つの無機充填剤が水を吸収できる」を充足する。 オ 甲1発明の「反応性希釈剤としてCadura E10P」は、Momentive製、バーサチック酸グリシジルエステル」(【0172】)であって、前記第5の3に記載された構造を有するから、本件発明1の「(e)少なくとも1つのエポキシ部分及び少なくとも1つの直鎖又は分枝鎖アルキル基を含む、少なくとも1つの構成成分であって、前記エポキシ化合物(a)とは異なる構成成分(e)」に相当する。 また、甲1発明の「硬化性組成物」は、「反応性希釈剤としてCadura E10P」を10重量部含んでいるから、その割合は、5.8重量%(=10/171.3×100)である。 したがって、甲1発明は、本件発明1の「該組成物の総重量に対して」、「(e)0.1~20重量%の、少なくとも1つのエポキシ部分及び少なくとも1つの直鎖又は分枝鎖アルキル基を含む、少なくとも1つの構成成分であって、前記エポキシ化合物 (a)とは異なる構成成分(e)と」、「を含み」を充足する。 以上によれば、本件発明1と甲1発明の一致点、相違点は、以下のとおりである。 <一致点> 「硬化性組成物であって、該組成物の総重量に対して、 (a)エポキシ化合物と、 (c)2~15重量%のエポキシ硬化剤と、 (d)0.5~50重量%の少なくとも1つの無機充填剤と、 (e)0.1~20重量%の、少なくとも1つのエポキシ部分及び少なくとも1つの直鎖又は分枝鎖アルキル基を含む、少なくとも1つの構成成分であって、前記エポキシ化合物 (a)とは異なる構成成分(e)と、 を含み、前記少なくとも1つの無機充填剤が水を吸収できる、硬化性組成物。」 <相違点1> 「硬化性組成物」について、本件発明1は、「1剤型の熱硬化性構造用接着剤組成物」であると特定されているのに対し、甲1発明は、そのような特定を備えていない点 <相違点2> 「硬化性組成物」に含まれている成分について、本件発明1は、「該組成物の総重量に対して」、「(b)7~40重量%の熱可塑性化合物と」、「を含み」と特定されているのに対し、甲1発明は、そのような特定を備えていない点 <相違点3> 「(a)エポキシ化合物」について、本件発明1は、「該組成物の総重量に対して」、「20~50重量%の」と特定されているのに対し、甲1発明は、58.4重量%である点 <相違点4> 「硬化性組成物」に含まれている成分について、本件発明1は、「該組成物の総重量に対して」、「(f)0.1~10重量%の、黒鉛フレークであって 前記無機充填剤(d)とは異なる更なる充填剤(f)、を含み」と特定されているのに対し、甲1発明は、そのような特定を備えていない点 (2)相違点についての判断 ア 下記イ~エのとおり、相違点3、4は、実質的な相違点であるから、相違点1、2について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1に記載された発明ではないから、新規性を欠如するものではない。以下、進歩性について検討する。 イ 事案に鑑み、相違点3について検討する。 甲1には、甲1発明の硬化性組成物の「エポキシ樹脂(A)」の含有割合(58.4重量%)について、より好ましい範囲があることを示す記載等の、当業者に当該含有割合を変更することを動機付けるような記載も示唆もない。また、甲1には実施例が19例記載されているが、その「エポキシ樹脂(A)」の含有割合を上記(1)イと同様にして計算すると、81重量%(実施例1~7、9~12)、83重量%(実施例8)、62重量%(実施例14~19)であるから、甲1発明の硬化性組成物の「エポキシ樹脂(A)」の含有割合は、実施例で採用されている範囲(58.4~83重量%)の中で最小値であることが理解できる。そうすると、仮に、甲1に記載されている事項に加えて、甲2及び参考例1に記載されている事項に基づき、甲1発明の硬化性組成物の「エポキシ樹脂(A)」の含有割合を変更することを動機付けられたとしても、その含有割合をさらに増加するように動機付けられるのであって、その含有割合を減少させて20~50重量%に変更し、相違点3に係る事項を充足するものとすることを容易になし得たとはいえない。 ウ 相違点4について検討する。 甲1には、硬化性組成物に含ませることができる無機充填材として「ケイ酸および/またはケイ酸塩」(段落【0129】)、「ドロマイトおよびカーボンブラックの如き補強性充填材;膠質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化チタン、酸化第二鉄、アルミニウム微粉末、酸化亜鉛、活性亜鉛華等」(段落【0132】)が記載されているが、「黒鉛フレーク」については記載も示唆もない。また、「無機充填材は単独で用いても良く2種以上併用しても良い。」(段落【0134】)と記載されているが、この記載は、無機充填材を2種以上併用することを積極的に動機づけるものではないし、併用した場合の含有割合については記載も示唆もない。 そうすると、仮に、甲1に記載されている事項に加えて、甲2及び参考例1に記載されている事項に基づき、甲1発明の硬化性組成物に更に無機充填材を含有させることを着想し得たとしても、甲1に例示されているものの中から選択することを動機付けられるのであって、あえて甲1に例示されていない無機充填材を含有させることとした上で、膨大な種類の無機充填材の中から黒鉛フレークに着目し、かつ、その含有割合を0.1~10重量%に限定し、相違点4に係る事項を充足するものとすることを容易になし得たとはいえない。 エ 効果について 本件発明1は、相違点1~4に係る構成を備えていることによって、「特に湿潤状態(cataplasma conditions)等の経時劣化条件に付された後の高い剥離強度及び高い重なりせん断強度、並びに耐食性等を呈する、熱硬化されたフィルムをもたらし得る」(本件明細書の段落【0015】)という顕著な効果を奏するものである。 オ 上記イ~エのとおりであるから、相違点1、2について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1に記載された発明、及び、甲1、2及び参考例1に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものであるとは認められない。 (3)小括 上記(2)アのとおり、本件発明1は、甲1に記載された発明ではないから、本件発明1に係る特許を取消理由1によって取り消すべきものとすることはできない。 また、上記(2)オのとおり、本件発明1は、甲1に記載された発明、及び、甲1、2及び参考例1に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものであるとは認められないから、本件発明1に係る特許を取消理由2によって取り消すべきものとすることはできない。 4 本件発明2~4について 本件発明2~4は、本件発明1を直接又は間接的に引用しさらに限定した発明に該当する。 また、上記3(3)のとおり、本件発明1は、甲1に記載された発明ではないし、甲1に記載された発明、及び、甲1、2及び参考例1に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものであるとも認められないものであって、本件発明1に係る特許を取消理由1、2によって取り消すべきものとすることはできないものである。 そうすると、さらに検討するまでもなく、本件発明2~4に係る特許も本件発明1に係る特許と同様の理由により、取消理由1、2によって取り消すべきものとすることはできない。 5 令和4年12月21日付け取消理由について (1)当審は、令和4年12月21日付け取消理由において、甲1の実施例15を主引用例とした進歩性欠如の取消理由を通知した。 (2)甲1の実施例15は、反応性希釈剤として、甲1の【0172】に記載のように、「1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル」を用いており、この化合物は、本件発明1における「少なくとも1つの直鎖又は分枝鎖アルキル基を含む」ものではなく、この点が相違点となる。 (3)そうすると、甲1の実施例15を主引用例とした場合、本件発明1と甲1発明の相違点に加え、上記(2)の相違点を有することとなり、上記3(2)の検討と同様に、本件発明1に進歩性がないとすることができない。 第7 取消理由通知で採用しなかった特許異議の申立理由について 特許異議の申立理由の概要は、上記第4のとおりであり、取消理由通知で通知した取消理由は、上記第6の1のとおりであるから、取消理由通知で採用しなかった特許異議の申立理由はない。 第8 むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1~4に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件請求項1~4に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2022-700633

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