特許異議申立
2026-700060
導電性ペーストおよび半導体装置
- 審判番号
- 2026-700060
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2021-120582
- 登録番号
- 7711468
- 請求日
- 2026年01月20日
- 審決日
- 2026年04月27日
- 公報発行日
- 2026年06月26日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】住友ベークライト株式会社
- 【権利者代理人】速水 進治
- 【異議申立人】落合 克弘
- 審判長/審判官
- 審判長 松永 稔
- 審判官 棚田 一也
- 審判官 綿引 隆
- 分類
- P1652.121-Y (H10W)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7711468号発明「導電性ペーストおよび半導体装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7711468号の請求項1~5に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7711468号の請求項1~10に係る特許(以下「本件特許」という。)についての出願は、令和3年7月21日の出願であって、令和7年7月14日にその特許権の設定登録がされ、同年同月23日に特許掲載公報が発行され、その後、請求項1~5に係る特許について令和8年1月20日差出の特許異議申立書により、特許異議申立人落合 克弘(以下「申立人」という。)によって、特許異議の申立てがされたものである。
第2 本件発明
本件特許に係る発明のうち、特許異議の申立てがされた請求項1~5に係る発明(以下、「本件発明1~5」という。)は、願書に添付した特許請求の範囲の請求項1~5に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
(A)オレイン酸およびソルビタン酸から選択される少なくとも1つの脂肪酸で表面処理された銀粉と、
(B)希釈剤と、
を含む導電性ペーストであって、
前記希釈剤(B)が、(メタ)アクリルモノマーを含み、
前記脂肪酸の量が、前記銀粉と前記脂肪酸との合計量に対して、0.30質量%以上0.70質量%以下である、導電性ペースト。
【請求項2】
前記希釈剤(B)中に溶解または分散された遊離オレイン酸も遊離ソルビタン酸も含まない、請求項1に記載の導電性ペースト。
【請求項3】
前記脂肪酸で表面処理された銀粉(A)の平均一次粒子径が、0.1μm以上10μm以下である、請求項1または2に記載の導電性ペースト。
【請求項4】
前記脂肪酸で表面処理された銀粉(A)が、当該導電性ペースト全体に対して、40質量%以上90質量%以下の量である、請求項1乃至3のいずれかに記載の導電性ペースト。
【請求項5】
前記(メタ)アクリルモノマーが、単官能(メタ)アクリルモノマーまたは多官能(メタ)アクリルモノマー、あるいはこれらの組み合わせを含む、請求項1乃至4のいずれかに記載の導電性ペースト。」
第3 申立理由の概要
申立人は、証拠として甲第1号証及び甲第2号証(以下、それぞれ「甲1」及び「甲2」という。)を提出し、次の特許異議の申立ての理由(以下、「申立理由」という。)により請求項1~5に係る特許を取り消すべきものである旨主張している。
<申立理由>
(進歩性)本件発明1~5は、甲1に記載された発明及び甲2に記載された事項に基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~5に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
<甲号証一覧>
甲1:特開平11-265900号公報
甲2:特開2009-242914号公報
第4 申立理由についての当審の判断
1 甲号証の記載について
(1)甲1の記載、甲1発明
ア 甲1には、以下の記載がある。(下線は、当審にて付した。以下、同じ。)
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、低応力性、接着性及び速硬化性に優れた半導体接着用ペーストに関するものである。
・・・(中略)・・・
【0009】また、一般にウレタンジアクリレートは粘度が高いためこのままではペースト化しても塗布作業性が悪く実用に適さない。そこで希釈剤として(メタ)アクリル基を一つ含むモノ(メタ)アクリレートを添加する。更に本発明に使用されるモノ(メタ)アクリレートは式(2a)、(2b)で示され、さらには置換基R4が脂環族、及び/又は芳香族基を含み置換基R4中の全炭素数が10個以上であることが必須である。この条件を満たす事により希釈剤としての効果だけでなく嵩高い置換基を有するため硬化中の収縮を押さえることができ、界面の接着信頼性を高めることができる。・・・(中略)・・・
【0016】・・・(中略)・・・一般に、導電性樹脂ペーストに用いる銀粉はこれらの方法で得られた球状及び塊状銀粉を単独もしくは混合して使用しているが、主としてフレーク状銀粉を使用しているのがふつうである。
【0017】また、IC、LSIに使用する導電性樹脂ペーストはディスペンス方式で塗布されるのが主流であるため、使用する銀粉の最大粒径は塗布時にニードル詰まりをおこすため30μm以下が望ましい。そこで、この様な粒径の銀粉を得るためには上述した銀粉の製法の内、還元法を用いるのが主流である。還元法とは硝酸銀水溶液にアセトアルデヒドなどの還元剤を添加することで溶液中の銀イオンが還元され、粒子径が10μm以下の銀粉を得る方法である。また、導電性樹脂ペーストに主として用いるフレーク状銀粉を得るためにはここで得られた銀粉(以下原粉)を主にボールミルでフレーク化する。その際に銀粉同士が機械的な力により凝集してしまい、粒径の小さなものが得られないため、凝集防止剤として種々な脂肪酸類を使用する。この脂肪酸類の種類により、ボールミルのボールと銀粉の滑り具合が異なり、同じ原粉でも異なったフレーク状銀粉を得ることができる。即ち、ボールと銀粉が滑りにくいとボールによる力が大きく、より薄いフレーク状銀粉になり、滑りやすいと厚いフレーク状銀粉になる。凝集防止剤には脂肪酸類を用いるが、これには通常ステアリン酸、オレイン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸等の脂肪酸、またはそれらのナトリウム塩、アンモニウム塩、カリウム塩等の脂肪酸塩がある。
【0018】本発明のようなラジカル重合系においては、凝集防止剤として高級脂肪酸を使用したフレーク状銀粉を用いるのが望ましい。凝集防止剤として高級脂肪酸の脂肪酸塩及び誘導体を使用した銀粉を用いた場合、ラジカル重合反応を促進するため保存性が著しく悪くなる。」
「【0021】
【実施例】実施例1~7
ウレタンアクリレートとして、2-ヒドロキシエチルアクリレート、ポリブチレングリコール、イソフォロンジイソシアネートを反応させて得られるウレタンジアクリレートM-1600(東亜合成社製)、構造式で示されるモノアクリレート、重合開始剤として有機過酸化物1、2及びアゾ化合物、カップリング剤としてリン酸基及びメタクリル基含有PM-21(日本化薬製)、更に導電性フィラーとしてオレイン酸を凝集防止剤として使用した平均粒径3μm、最大粒径20μmのフレーク状銀粉を表1のように配合し、3本ロールを用いて混錬し、脱泡後ペーストを得た。得られたペーストを以下の方法により評価した。
・・・(中略)・・・
【0028】
【表1】
[図:0001436217000001.jpg]
・・・(中略)・・・
【0030】 【化4】
[図:0001436217000002.jpg]
【0031】 【化5】
[図:0001436217000003.jpg]
」
イ 甲1発明
(ア)上記アの段落0021には、「実施例」について、「ウレタンアクリレートとして、2-ヒドロキシエチルアクリレート、ポリブチレングリコール、イソフォロンジイソシアネートを反応させて得られるウレタンジアクリレートM-1600(東亜合成社製)、」「モノアクリレート、重合開始剤として有機過酸化物1、2及びアゾ化合物、カップリング剤としてリン酸基及びメタクリル基含有PM-21(日本化薬製)、更に導電性フィラーとしてオレイン酸を凝集防止剤として使用した平均粒径3μm、最大粒径20μmのフレーク状銀粉を」「配合し、3本ロールを用いて混錬し、脱泡後ペーストを得た。」と記載されている。
(イ)上記(ア)の「ペースト」は、樹脂といえる「ウレタンアクリレート」に係るものであるから、「樹脂ペースト」であるといえる。
さらに、上記アの段落0016には「一般に、導電性樹脂ペーストに用いる銀粉は」「主としてフレーク状銀粉を使用しているのがふつうである。」と記載されていることによれば、上記(ア)の「ペースト」は、「フレーク状銀粉」を配合したものであるから、「導電性樹脂ペースト」であるといえる。
(ウ)上記アの段落0009には「希釈剤として(メタ)アクリル基を一つ含むモノ(メタ)アクリレートを添加する。」と記載されている。
よって、上記(ア)の「モノアクリレート」は、希釈剤として配合されるものである。
(エ)上記(ア)~(ウ)によれば、甲1には次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されているといえる。
<甲1発明>
「ウレタンアクリレートとして、2-ヒドロキシエチルアクリレート、ポリブチレングリコール、イソフォロンジイソシアネートを反応させて得られるウレタンジアクリレートM-1600(東亜合成社製)、希釈剤としてモノアクリレート、重合開始剤として有機過酸化物1、2及びアゾ化合物、カップリング剤としてリン酸基及びメタクリル基含有PM-21(日本化薬製)、更に導電性フィラーとしてオレイン酸を凝集防止剤として使用した平均粒径3μm、最大粒径20μmのフレーク状銀粉を配合し、3本ロールを用いて混錬し、脱泡して得られた、導電性樹脂ペースト。」
(2)甲2の記載、甲2記載事項
ア 甲2の記載
甲2には、以下の記載がある。
「【背景技術】
【0002】
チップ部品などの電極や回路の形成などに使用される導電性ペーストの導電材料として、銀を麟片化したフレーク銀粉が使用されている。そして、これらの電極や回路には大幅なファイン化が要求されているので、配線の高密度化、高精度化が必要になる。したがって、使用されるフレーク銀粉として、粗大なものを含まず微細なものが求められている。
このようなフレーク銀粉は、通常、各種製造方法により得られた銀粉を用いて、物理的な応力を粉体粒子に加え、変形させる方法で製造されることが多い。中でも、原料粉中の銀粒子が微細であれば、微細なフレーク製造に有利であることから、湿式還元法で得られた銀粉を用いることが多いが、粒子が微細なことが災いして、得られるフレーク銀粉は分散性が悪く、凝集して粗大な粒子を含みやすい。
・・・(中略)・・・
【0008】
本発明のフレーク銀粉の製造方法によれば、湿式還元反応により得られた銀粒子を含有する反応後スラリー、または該反応後スラリー洗浄直後の水分散スラリーに、脂肪酸及び非イオン性界面活性剤を添加した後、フレーク化することにより、例えば、体積累積粒径D50が3~5μm且つ体積累積粒径D100が40μm以下の、分散性が良好で粗大なフレーク銀粉を含まないフレーク銀粉を容易に製造することができ、そのような銀粉は、分散性が良く粗粒を含まず、かつ導電性に優れている。
・・・(中略)・・・
【0009】
以下、本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
本発明のフレーク銀粉の製造方法は、湿式還元反応により得られた銀粒子を含有する反応後スラリー、または該反応後スラリー洗浄直後の水分散スラリーに、脂肪酸及び非イオン性界面活性剤を添加した後、フレーク化するものである。
・・・(中略)・・・
【0011】
湿式還元反応によって得られた銀粒子は乾燥させず、上記湿式還元反応により得られた反応後スラリー、または該反応後スラリーを洗浄直後の水分散スラリー中に、脂肪酸及び非イオン性界面活性剤を添加する。このように、脂肪酸及び非イオン性界面活性剤を添加することにより、銀粒子をより分散した状態でフレーク化することができる。
【0012】
脂肪酸及び非イオン性界面活性剤は特に限定されず、例えば、脂肪酸としてオレイン酸、リノール酸、リノレン酸などが、非イオン性界面活性剤として、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートなどが挙げられ、それぞれ単独で用いても、複数種を用いてもよい。また、脂肪酸及び非イオン性界面活性剤の添加量は特に限定されないが、脂肪酸の添加量は銀に対して0.1~2.0質量%であることが好ましく、非イオン性界面活性剤の添加量は、銀に対して0.1~1.0質量%であることが好ましい。
【0013】
そして、脂肪酸及び非イオン性界面活性剤を添加したスラリー中の銀粒子を、乾燥させずにスラリー状態のままで、フレーク化する。具体的には、脂肪酸及び非イオン性界面活性剤を添加したスラリーと、ボールなどの粉砕媒体を、アトライタやボールミルなどの媒体ミルに入れて、例えば1~3時間混合撹拌することによりフレーク化する。粉砕媒体として、直径1~10mmのボールを用いることが好ましい。直径1~10mmのボールを粉砕媒体として用いることにより、レーザー回折散乱式粒度分布測定法による体積累積粒径D50が3~5μmのフレーク銀粉を得ることができる。また、粉砕媒体の量は特に限定されないが、粉砕媒体に対して銀が5~20重量%となるようにすることが好ましい。」
「【0016】
以下、本発明を下記実施例及び比較例に基づいてさらに詳述する。
(実施例1)
(スラリーの作成)
硝酸銀63.3gを純水2Lに溶解させ硝酸銀水溶液を調製し、濃度25質量%のアンモニア水120mLを添加して攪拌することにより、銀アンミン錯体水溶液を得た。次いで、20℃で、この銀アンミン錯体水溶液に濃度7.2g/Lのヒドラジン水溶液2Lを混合することにより銀粒子を析出させて、銀粒子を含有するスラリーを得た。
【0017】
(フレーク化)
上記銀粒子を含有するスラリーに、乾燥させないでスラリー状態のまま、銀に対してオレイン酸0.5質量%及びポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル0.3質量%となるように添加して混合した。その後、直径3mmのボールを用いたアトライタ(三井三池製作所製 MA-1D)で、スラリー中に含まれる銀粒子を粉砕した後、ボールを分離することにより、フレーク銀粉を得た。
・・・(中略)・・・
【0021】
この結果、実施例1及び2では、分散性が良好でフレーク銀粉が凝集せず、粗大なものを含まない微細なフレーク銀粉が得られた。」
イ 甲2記載事項
上記アによれば、甲2には、以下の事項(以下、「甲2記載事項」という。)が記載されている。
「銀に対して0.1~2.0質量%である脂肪酸としてのオレイン酸、及び、非イオン性界面活性剤を添加した銀粒子を含有するスラリーと粉砕媒体をボールミルに入れて、混合撹拌することにより、分散性が良好で凝集しない、導電性ペーストの導電材料として使用されるフレーク銀粉を得ること。」
2 本件発明1について
(1)本件発明1と甲1発明とを対比する。
ア 甲1発明の「フレーク状銀粉」は、本件発明1の「銀粉」に相当する。
イ 甲1発明の「希釈剤」は、本件発明1の「希釈剤」に相当し、また、甲1発明において「希釈剤としてモノアクリレート」「を配合」することは、本件発明1の「希釈剤(B)が、(メタ)アクリルモノマーを含」むことに相当する。
ウ 上記ア及びイによれば、本件発明1の「導電性ペースト」と、甲1発明の「導電性樹脂ペースト」とは、「銀粉」及び「希釈剤」を含む「導電性ペースト」である点で共通する。
エ 上記ア~ウによれば、本件発明1と甲1発明とは、以下の点で一致し、相違する。
<一致点>
「銀粉と、
希釈剤と、
を含む導電性ペーストであって、
前記希釈剤が、アクリルモノマーを含む、導電性ペースト。」
<相違点>
本件発明1は、「銀粉」が「オレイン酸およびソルビタン酸から選択される少なくとも1つの脂肪酸で表面処理された」ものであり、かつ、「前記脂肪酸の量が、前記銀粉と前記脂肪酸との合計量に対して、0.30質量%以上0.70質量%以下である」のに対し、甲1発明は、「フレーク状銀粉」が、「オレイン酸を凝集防止剤として使用した」ものであるものの、オレイン酸で表面処理されたものか不明であり、かつ、オレイン酸の質量割合が不明である点。
(2)上記相違点について検討する。
甲1発明と甲2記載事項とは、いずれも導電性ペーストという共通する技術分野に属するから、甲1発明のフレーク状銀粉として、甲2記載事項により得たフレーク銀粉を採用する動機付けは存在する。
ここで、本件特許の明細書の段落0018の「この脂肪酸で表面処理された銀粉(A)の脂肪酸含有量(銀粉(A)の表面に吸着された脂肪酸の量)は、銀粉(A)全体に対して、0.30質量%以上0.70質量%以下である。」との記載によると、本件発明1の「脂肪酸の量」は、「銀粉(A)の表面に吸着された脂肪酸の量」を意味する。
しかしながら、甲2記載事項により得られるフレーク銀粉は、混合撹拌する前の時点で、銀に対して0.1~2.0質量%である脂肪酸としてのオレイン酸が添加されるものであって、混合撹拌した後に得られるフレーク銀粉の表面に吸着された脂肪酸の量が、0.30質量%以上0.70質量%以下であるものであるかは明らかでない。
そうすると、甲1発明のフレーク状銀粉として、甲2記載事項により得たフレーク銀粉を採用したとしても、相違点に係る本件発明1の構成となるかは明らかでない。
したがって、本件発明1は、甲1発明及び甲2記載事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
(3)申立人の主張について
ア 申立人は、特許異議申立書の第5頁第6行~第15行において、「甲第2号証は分散性が良く粗粒を含まず、かつ導電性に優れたフレーク銀粉及び該フレーク銀粉を容易に得ることができるフレーク銀粉とその製造方法の発明であり、段落0017に記載の通り、銀に対してオレイン酸0.5質量%を処理していることが開示されている。甲第2号証の段落0008には分散性が良好で粗大なフレーク銀粉を含まないフレーク銀粉を容易に製造することができることが記載され、その製造方法を用いた銀粉は分散性が良く粗粒を含まず、かつ導電性に優れていると記載されている。さらに甲第2号証の段落0012には脂肪酸の添加量は銀に対して0.1~2.0質量%であることが好ましいことが記載されている。よって、高い導電性と接着性を向上させる目的で、フレーク状銀粉に処理された凝集防止剤(オレイン酸)の最適化を行い、分散性を高めることは容易に想到するものであり、本件発明1は甲第1号証と甲第2号証から進歩性を有しない。」と主張している。
イ 上記申立人の主張について検討する。
上記(2)のとおり、甲2には、フレーク銀粉を得るための混合撹拌する前の時点で、銀に対して0.1~2.0質量%である脂肪酸としてのオレイン酸が添加されることが記載されているものの、混合撹拌した後に得られるフレーク銀粉の表面に吸着された脂肪酸の量が、0.30質量%以上0.70質量%以下であることについては、記載も示唆もされていないから、上記アの申立人の主張は採用できない。
(4)小括
以上のとおりであるから、本件発明1は、甲1発明及び甲2記載事項に基づき当業者が容易に発明をすることができたものではない。
3 本件発明2~5について
請求項2~5の記載は、請求項1の記載を引用してさらに限定するものであり、本件発明2~5は、本件発明1の構成をすべて備えるものである。
よって、上記2(2)における判断と同様の理由により、本件発明2~5は、甲1発明及び甲2記載事項に基づき当業者が容易に発明をすることができたものではない。
4 申立理由についての当審の判断のまとめ
上記2及び3のとおりであるから、請求項1~5に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではなく、申立理由には理由がない。
第5 むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立書に記載した申立理由によっては、請求項1~5に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1~5に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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