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特許異議申立

2022-700542

交換工事方法

審判番号
2022-700542
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2019-035016
登録番号
6987088
請求日
2022年06月17日
審決日
2024年07月31日
公報発行日
2024年11月29日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】ジャパンエレベーターサービスホールディングス株式会社
  • 【権利者代理人】酒井 昭徳
  • 【異議申立人】株式会社 ユビランド・インターナショナル
審判長/審判官
  • 審判長 小川 恭司
  • 審判官 内田 博之
  • 審判官 平城 俊雅
分類
P1651.161-YAA(B66B) / P1651.537-YAA(B66B)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法120条の8第1項特許法135条
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第4項、特許法第36条第6項第1号、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条の2、特許法第120条の8第1項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第6987088号発明「交換工事方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第6987088号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-11〕について訂正することを認める。 特許第6987088号の請求項1、3、5~7に係る特許を維持する。 特許第6987088号の請求項2、4、8~11に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第6987088号の請求項1~11に係る特許(以下「本件特許」という。)についての出願は、2017年(平成29年)9月27日を国際出願日とする出願である特願2018-526822号の一部を平成31年2月27日に新たな特許出願としたものであって、令和3年12月2日にその特許権の設定登録がされ、令和3年12月22日に特許掲載公報が発行された。 そして、本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。 令和4年 6月17日 特許異議申立人星野裕司(以下「申立人」という。)による特許異議申立て 同年11月 2日付け 取消理由通知 同年11月18日 特許権者による意見書及び訂正請求書の提出 令和5年 3月 7日 申立人による意見書の提出 同年 5月31日付け 取消理由通知(決定の予告) 同年 8月 2日 特許権者による意見書及び訂正請求書の提出 同年12月26日 申立人による意見書の提出 令和6年 2月26日付け 訂正拒絶理由通知 同年 3月17日 特許権者による意見書の提出 第2 本件訂正 1 本件訂正の内容 令和5年8月2日に提出された訂正請求書による訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、以下のとおりである(当審注:下線は訂正箇所を示す。)。なお、令和4年11月18日の訂正請求は、特許法第120条の5第7項の規定により、取り下げられたものとみなす。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1の「を含んだこと」を「を含み、 前記第2の工程は、前記構成部のうちの第1の構成部と前記信号変換装置に第1の信号線を接続するとともに、当該第1の信号線によって受信する当該第1の構成部からの信号を変換した信号を前記新制御盤へ送信する第2の信号線を、当該信号変換装置と当該新制御盤の所定の接続箇所(以下「第1の接続箇所」という)に接続し、前記構成部のうちの第2の構成部と前記信号変換装置に第3の信号線を接続するとともに、当該第3の信号線によって受信する当該第2の構成部からの信号を変換した信号を前記新制御盤へ送信する第4の信号線を、当該信号変換装置と、当該新制御盤における前記第1の接続箇所とは別の位置に設けられた接続箇所(以下「第2の接続箇所」という)に接続し、 前記第4の工程は、前記第1の信号線を切り離すとともに、前記第2の信号線を前記第1の接続箇所から切り離し、当該第2の信号線を切り離した当該第1の接続箇所に、前記第1の構成部に代わる前記新構成部と前記新制御盤との通信をおこなう第5の信号線を接続し、前記第3の信号線を切り離すとともに、前記第4の信号線を前記第2の接続箇所から切り離し、当該第4の信号線を切り離した当該第2の接続箇所に、前記第2の構成部に代わる前記新構成部と前記新制御盤との通信をおこなう第6の信号線を接続すること」に訂正する。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2を削除する。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項3の「を含んだこと」を「を含み、 前記第2の工程は、前記構成部のうちの第1の構成部と前記信号変換装置に第1の信号線を接続するとともに、当該第1の信号線によって受信する当該第1の構成部からの信号を変換した信号を前記新制御盤へ送信し、かつ、変換して当該第1の信号線によって当該第1の構成部へ送信する信号を当該新制御盤から受信する第2の信号線を、当該信号変換装置と当該新制御盤の所定の接続箇所(以下「第1の接続箇所」という)に接続し、前記構成部のうちの第2の構成部と前記信号変換装置に第3の信号線を接続するとともに、当該第3の信号線によって受信する当該第2の構成部からの信号を変換した信号を前記新制御盤へ送信し、かつ、変換して当該第3の信号線によって当該第2の構成部へ送信する信号を当該新制御盤から受信する第4の信号線を、当該信号変換装置と、当該新制御盤における前記第1の接続箇所とは別の位置に設けられた接続箇所(以下「第2の接続箇所」という)に接続し、 前記第4の工程は、前記第1の信号線を切り離すとともに、前記第2の信号線を前記第1の接続箇所から切り離し、当該第2の信号線を切り離した当該第1の接続箇所に、前記第1の構成部に代わる前記新構成部と前記新制御盤との通信をおこなう第5の信号線を接続し、前記第3の信号線を切り離すとともに、前記第4の信号線を前記第2の接続箇所から切り離し、当該第4の信号線を切り離した当該第2の接続箇所に、前記第2の構成部に代わる前記新構成部と前記新制御盤との通信をおこなう第6の信号線を接続すること」に訂正する。 (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項4を削除する。 (5)訂正事項5 特許請求の範囲の請求項5の「を含んだこと」を「を含み、 前記第2の工程は、前記構成部のうちの第1の構成部と前記信号変換装置に第1の信号線を接続するとともに、変換して当該第1の信号線によって当該第1の溝成部へ送信する信号を当該新制御盤から受信する第2の信号線を、当該信号変換装置と当該新制御盤の所定の接続箇所(以下「第1の接続箇所」という)に接続し、前記構成部のうちの第2の構成部と前記信号変換装置に第3の信号線を接続するとともに、変換して当該第3の信号線によって当該第2の構成部へ送信する信号を当該新制御盤から受信する第4の信号線を、当該信号変換装置と、当該新制御盤における前記第1の接続箇所とは別の位置に設けられた接続箇所(以下「第2の接続箇所」という)に接続し、 前記第4の工程は、前記第1の信号線を切り離すとともに、前記第2の信号線を前記第1の接続箇所から切り離し、当該第2の信号線を切り離した当該第1の接続箇所に、前記第1の構成部に代わる前記新構成部と前記新制御盤との通信をおこなう第5の信号線を接続し、前記第3の信号線を切り離すとともに、前記第4の信号線を前記第2の接続箇所から切り離し、当該第4の信号線を切り離した当該第2の接続箇所に、前記第2の構成部に代わる前記新構成部と前記新制御盤との通信をおこなう第6の信号線を接続すること」に訂正する。 (6)訂正事項6 特許請求の範囲の請求項6の「を含んだこと」を「を含み、 前記第2の工程は、前記構成部のうちの第1の構成部と前記信号変換装置に第1の信号線を接続するとともに、当該第1の信号線によって受信する当該第1の構成部からの信号を変換した信号を前記新制御盤へ送信し、かつ、変換して当該第1の信号線によって当該第1の構成部へ送信する信号を当該新制御盤から受信する第2の信号線を、当該信号変換装置と当該新制御盤の所定の接続箇所(以下「第1の接続箇所」という)に接続し、前記構成部のうちの第2の構成部と前記信号変換装置に第3の信号線を接続するとともに、当該第3の信号線によって受信する当該第2の構成部からの信号を変換した信号を前記新制御盤へ送信し、かつ、変換して当該第3の信号線によって当該第2の構成部へ送信する信号を当該新制御盤から受信する第4の信号線を、当該信号変換装置と、当該新制御盤における前記第1の接続箇所とは別の位置に設けられた接続箇所(以下「第2の接続箇所」という)に接続し、 前記第4の工程は、前記第1の信号線を切り離すとともに、前記第2の信号線を前記第1の接続箇所から切り離し、当該第2の信号線を切り離した当該第1の接続箇所に、前記第1の構成部に代わる前記新構成部と前記新制御盤との通信をおこなう第5の信号線を接続し、前記第3の信号線を切り離すとともに、前記第4の信号線を前記第2の接続箇所から切り離し、当該第4の信号線を切り離した当該第2の接続箇所に、前記第2の構成部に代わる前記新構成部と前記新制御盤との通信をおこなう第6の信号線を接続すること」に訂正する。 (7)訂正事項7 特許請求の範囲の請求項7の「を含んだこと」を「を含み、 前記第2の工程は、前記構成部のうちの第1の構成部と前記信号変換装置に第1の信号線を接続するとともに、当該第1の信号線によって受信する当該第1の構成部からの信号を変換した信号を前記新制御盤へ送信し、かつ、変換して当該第1の信号線によって当該第1の構成部へ送信する信号を当該新制御盤から受信する第2の信号線を、当該信号変換装置と当該新制御盤の所定の接続箇所(以下「第1の接続箇所」という)に接続し、前記構成部のうちの第2の構成部と前記信号変換装置に第3の信号線を接続するとともに、当該第3の信号線によって受信する当該第2の構成部からの信号を変換した信号を前記新制御盤へ送信し、かつ、変換して当該第3の信号線によって当該第2の構成部へ送信する信号を当該新制御盤から受信する第4の信号線を、当該信号変換装置と、当該新制御盤における前記第1の接続箇所とは別の位置に設けられた接続箇所(以下「第2の接続箇所」という)に接続し、 前記第4の工程は、前記第1の信号線を切り離すとともに、前記第2の信号線を前記第1の接続箇所から切り離し、当該第2の信号線を切り離した当該第1の接続箇所に、前記第1の構成部に代わる前記新構成部と前記新制御盤との通信をおこなう第5の信号線を接続し、前記第3の信号線を切り離すとともに、前記第4の信号線を前記第2の接続箇所から切り離し、当該第4の信号線を切り離した当該第2の接続箇所に、前記第2の構成部に代わる前記新構成部と前記新制御盤との通信をおこなう第6の信号線を接続すること」に訂正する。 (8)訂正事項8 特許請求の範囲の請求項8を削除する。 (9)訂正事項9 特許請求の範囲の請求項9を削除する。 (10)訂正事項10 特許請求の範囲の請求項10を削除する。 (11)訂正事項11 特許請求の範囲の請求項11を削除する。 (12)一群の請求項について 訂正前の請求項1~11について、請求項8~11はそれぞれ請求項1を直接的に引用するものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。したがって、訂正前の請求項1、8~11に対応する訂正後の請求項1、8~11は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 また、訂正前の請求項8~10はそれぞれ請求項2~7のいずれか一つを直接的に引用するものであって、訂正事項2~7によって記載が訂正される請求項2~7に連動して訂正されるものである。したがって、訂正前の請求項2~7、8~10に対応する訂正後の請求項2~7、8~10も、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 よって、訂正前の請求項1~11に対応する訂正後の請求項1~11は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項であり、本件訂正は一群の請求項〔1~11〕について請求されたものである。 2 本件訂正の適否 (1)訂正事項1 ア 訂正の目的 訂正事項1は、訂正前の請求項1に係る発明において、 (ア)「第2工程」に関し、「前記第2の工程は、前記構成部のうちの第1の構成部と前記信号変換装置に第1の信号線を接続するとともに、当該第1の信号線によって受信する当該第1の構成部からの信号を変換した信号を前記新制御盤へ送信する第2の信号線を、当該信号変換装置と当該新制御盤の所定の接続箇所(以下「第1の接続箇所」という)に接続し、前記構成部のうちの第2の構成部と前記信号変換装置に第3の信号線を接続するとともに、当該第3の信号線によって受信する当該第2の構成部からの信号を変換した信号を前記新制御盤へ送信する第4の信号線を、当該信号変換装置と、当該新制御盤における前記第1の接続箇所とは別の位置に設けられた接続箇所(以下「第2の接続箇所」という)に接続し」と、第2工程における構成部と信号変換装置との接続の内容、及び、信号変換装置と新制御盤との接続の内容をより具体的に特定し、さらに限定するものであり、 (イ)「第4工程」に関し、「前記第4の工程は、前記第1の信号線を切り離すとともに、前記第2の信号線を前記第1の接続箇所から切り離し、当該第2の信号線を切り離した当該第1の接続箇所に、前記第1の構成部に代わる前記新構成部と前記新制御盤との通信をおこなう第5の信号線を接続し、前記第3の信号線を切り離すとともに、前記第4の信号線を前記第2の接続箇所から切り離し、当該第4の信号線を切り離した当該第2の接続箇所に、前記第2の構成部に代わる前記新構成部と前記新制御盤との通信をおこなう第6の信号線を接続する」と、第4工程における構成部と信号変換装置との切り離しの内容、及び、新構成部と新制御盤との接続の内容をより具体的に特定し、さらに限定するものである。 したがって、訂正事項1は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 新規事項の有無 (ア)記載事項等について 本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件明細書等」という。)の段落【0003】には「・・・制御盤の更新にともない、駆動機構などの構成部と制御盤とを接続する各種の配線も更新する。」と記載されており、 段落【0022】には「また、この発明にかかる信号変換装置は、エレベーターが備える複数の構成部を制御する制御盤を、当該制御盤とは別の種類の新制御盤に交換する際に、当該新制御盤と前記構成部との間に接続され、前記新制御盤から前記構成部への下り信号の入力を受け付ける入力部と、前記下り信号を、当該下り信号と同じ意味の信号であって、前記構成部が理解できる別の信号へ変換する信号変換部と、前記信号変換部が変換した信号を、前記構成部へ出力する出力部と、を備えたことを特徴とする。 また、この発明にかかる信号変換装置は、エレベーターが備える複数の構成部を制御する制御盤を、当該制御盤とは別の種類の新制御盤に交換する際に、当該新制御盤と前記構成部との間に接続され、前記構成部から前記新制御盤への上り信号の入力を受け付ける入力部と、前記上り信号を、当該上り信号と同じ意味の信号であって、前記新制御盤が理解できる別の信号へ変換する信号変換部と、前記信号変換部が変換した信号を、前記新制御盤へ出力する出力部と、を備えたことを特徴とする。 また、この発明にかかる信号変換装置は、上記の発明において、前記入力部が、前記構成部ごとに接続端子を備えていることを特徴とする。 また、この発明にかかる信号変換装置は、上記の発明において、前記出力部が、前記構成部ごとに接続端子を備えていることを特徴とする。」と記載されている。 そして、段落【0082】には「・・・図7A~図7Dにおいては、信号変換装置400を用いた、制御盤106の交換過程の概要を示している。図6および図7A~図7Dにおいては、旧制御盤106を新制御盤106’に交換する際の交換手順について示している。」と記載されており、 段落【0085】には、「図6において、信号変換装置400を用いた、制御盤106の交換作業に際しては、まず、図7Aに示すように接続されている旧制御盤106と各構成部700との接続を切り離し、図7Bに示すように旧制御盤106を取り外す(ステップS601)。」と記載されており、 段落【0086】には、「つぎに、旧制御盤106が取り外された構成部700に、図7Cに示すように、信号変換装置400を接続する(ステップS602)。・・・そして、ステップS602において構成部700に接続された信号変換装置400に、図7Dに示すように、新制御盤106’を接続する(ステップS603)。・・・」と記載されている。 そうすると、上記【0003】、【0022】、【0082】、【0085】及び【0086】の記載に照らせば、配線の更新の過程に関して、 a 図7Aから図7Bの変化によって、構成部A~Dごとの配線が制御盤106の接続端子から取り外される過程が、 b 図7Bから図7Cの変化によって、制御盤106から取り外された構成部A~Dごとの配線が信号変換装置400の接続端子に接続される過程が、 c 【0022】の「また、この発明にかかる信号変換装置は、上記の発明において、前記入力部が、前記構成部ごとに接続端子を備えていることを特徴とする。また、この発明にかかる信号変換装置は、上記の発明において、前記出力部が、前記構成部ごとに接続端子を備えていることを特徴とする。」との記載及び図7Cから図7Dの変化によって、構成部A~Dごとの配線によって、信号変換装置400の接続端子と新制御盤106’の接続端子が接続される過程が、それぞれ看取される。 また、「第4工程」に関しては、段落【0092】に「・・・図9A~図9Dは、この発明にかかる実施の形態の交換工事方法の交換過程の概要を示す説明図である。・・・」と記載され、 段落【0093】に「・・・構成部700の交換作業に際しては、まず、図9Aに示すように、信号変換装置400と旧構成部700との接続を切り離し(ステップS801)、図9Bに示すように、新制御盤106’に、取り外した旧構成部700に代わる新構成部700’を接続する(ステップS802)。・・・」と記載され、 段落【0094】に、「複数の旧構成部700を新構成部700’に交換する場合、ステップS802においては、図9Cに示すように、交換対象とする構成部700ごとに、該当する旧構成部700を信号変換装置400から取り外し、取り外した旧構成部700に代わる新構成部700’を新制御盤106’に接続する作業をおこなう。」と記載されている。 そうすると、上記【0003】、【0022】、【0086】、【0092】~【0094】の記載に照らせば、配線の更新の過程に関して、 d 【0022】の「また、この発明にかかる信号変換装置は、上記の発明において、前記入力部が、前記構成部ごとに接続端子を備えていることを特徴とする。また、この発明にかかる信号変換装置は、上記の発明において、前記出力部が、前記構成部ごとに接続端子を備えていることを特徴とする。」との記載及び図7Dから図9Aの変化によって、構成部Aの接続端子と信号変換装置400の接続端子の間の配線、及び、構成部Aのための、新制御盤106’の接続端子と信号変換装置400の接続端子の間の配線が取り外される過程が、 e 図9Aから図9Bの変化によって、構成部Aが新構成部Aに更新され、新制御盤106’の接続端子と新構成部Aの接続端子が、更新された配線によって接続される過程が、 f 図9Bから図9Cの変化によって、構成部Bが新構成部Bに更新され、新制御盤106’の接続端子と新構成部Bの接続端子が、更新された配線によって接続される過程が、 g 図9Cから図9Dの変化によって、構成部C及びDが新構成部C及びDに更新され、新制御盤106’の接続端子と新構成部C及びDの接続端子が、更新された配線によって接続される過程が、それぞれ看取される。 そして、伝達情報に係る信号のやりとりがある配線の更新には、信号線の更新が伴うと認められる。 (イ)新たな技術的事項の導入の有無について 上記(ア)を踏まえれば、各構成部A~Dごと、あるいは各新構成部A~Dごとに、それぞれの信号線によって信号変換装置400や新制御盤106’の接続箇所に接続されることは開示されているといえるから、第2工程に関し、「前記構成部のうちの第1の構成部と前記信号変換装置に第1の信号線を接続するとともに、当該第1の信号線によって受信する当該第1の構成部からの信号を変換した信号を前記新制御盤へ送信する第2の信号線を、当該信号変換装置と当該新制御盤の所定の接続箇所(以下「第1の接続箇所」という)に接続し、前記構成部のうちの第2の構成部と前記信号変換装置に第3の信号線を接続するとともに、当該第3の信号線によって受信する当該第2の構成部からの信号を変換した信号を前記新制御盤へ送信する第4の信号線を、当該信号変換装置と、当該新制御盤における前記第1の接続箇所とは別の位置に設けられた接続箇所(以下「第2の接続箇所」という)に接続」することは本件明細書等に記載されている事項であるといえる。 そして、図7Dから図9Bへの変化、図9Bから図9Cへの変化及び図9Cから図9Dへの変化から、構成部A~Dの信号線の代わりに新構成部A~Dの信号線が、各々、接続箇所を変更することなく新制御盤106’に接続されることが看取できるから、第4工程に関し、「前記第1の信号線を切り離すとともに、前記第2の信号線を前記第1の接続箇所から切り離し、当該第2の信号線を切り離した当該第1の接続箇所に、前記第1の構成部に代わる前記新構成部と前記新制御盤との通信をおこなう第5の信号線を接続し、前記第3の信号線を切り離すとともに、前記第4の信号線を前記第2の接続箇所から切り離し、当該第4の信号線を切り離した当該第2の接続箇所に、前記第2の構成部に代わる前記新構成部と前記新制御盤との通信をおこなう第6の信号線を接続する」ことは本件明細書等に記載されている事項であるといえる。 したがって、訂正事項1は本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものである。 なお、上記のとおり、訂正事項1は、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものであるから、令和6年2月26日付けで通知した訂正拒絶理由は解消された。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項1によって、発明のカテゴリーや対象、目的は何ら変更されておらず、また、訂正事項1による訂正前の請求項1に係る発明に含まれないとする事項が、訂正後の請求項1に係る発明に含まれるとの事情は伺えないから、訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を拡張、又は変更するものではない。 (2)訂正事項3 ア 訂正の目的 訂正事項3は、訂正前の請求項3に係る発明において、 (ア)「第2工程」に関し、「前記構成部のうちの第1の構成部と前記信号変換装置に第1の信号線を接続するとともに、当該第1の信号線によって受信する当該第1の構成部からの信号を変換した信号を前記新制御盤へ送信し、かつ、変換して当該第1の信号線によって当該第1の構成部へ送信する信号を当該新制御盤から受信する第2の信号線を、当該信号変換装置と当該新制御盤の所定の接続箇所(以下「第1の接続箇所」という)に接続し、前記構成部のうちの第2の構成部と前記信号変換装置に第3の信号線を接続するとともに、当該第3の信号線によって受信する当該第2の構成部からの信号を変換した信号を前記新制御盤へ送信し、かつ、変換して当該第3の信号線によって当該第2の構成部へ送信する信号を当該新制御盤から受信する第4の信号線を、当該信号変換装置と、当該新制御盤における前記第1の接続箇所とは別の位置に設けられた接続箇所(以下「第2の接続箇所」という)に接続し、」と、第2工程における構成部と信号変換装置との接続の内容、及び、信号変換装置と新制御盤との接続の内容をより具体的に特定し、さらに限定するものであり、 (イ)「第4工程」に関し、「前記第1の信号線を切り離すとともに、前記第2の信号線を前記第1の接続箇所から切り離し、当該第2の信号線を切り離した当該第1の接続箇所に、前記第1の構成部に代わる前記新構成部と前記新制御盤との通信をおこなう第5の信号線を接続し、前記第3の信号線を切り離すとともに、前記第4の信号線を前記第2の接続箇所から切り離し、当該第4の信号線を切り離した当該第2の接続箇所に、前記第2の構成部に代わる前記新構成部と前記新制御盤との通信をおこなう第6の信号線を接続する」と、第4工程における構成部と信号変換装置との切り離しの内容、及び、新構成部と新制御盤との接続の内容をより具体的に特定し、さらに限定するものである。 したがって、訂正事項3は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 新規事項の有無 上記(1)イ(ア)を踏まえれば、各構成部A~Dごと、あるいは各新構成部A~Dごとに、それぞれの信号線によって信号変換装置400や新制御盤106’の接続箇所に接続されることは開示されているといえるから、第2工程に関し、「前記構成部のうちの第1の構成部と前記信号変換装置に第1の信号線を接続するとともに、当該第1の信号線によって受信する当該第1の構成部からの信号を変換した信号を前記新制御盤へ送信し、かつ、変換して当該第1の信号線によって当該第1の構成部へ送信する信号を当該新制御盤から受信する第2の信号線を、当該信号変換装置と当該新制御盤の所定の接続箇所(以下「第1の接続箇所」という)に接続し、前記構成部のうちの第2の構成部と前記信号変換装置に第3の信号線を接続するとともに、当該第3の信号線によって受信する当該第2の構成部からの信号を変換した信号を前記新制御盤へ送信し、かつ、変換して当該第3の信号線によって当該第2の構成部へ送信する信号を当該新制御盤から受信する第4の信号線を、当該信号変換装置と、当該新制御盤における前記第1の接続箇所とは別の位置に設けられた接続箇所(以下「第2の接続箇所」という)に接続」することは本件明細書等に記載されている事項であるといえる。 そして、図7Dから図9Bへの変化、図9Bから図9Cへの変化及び図9Cから図9Dへの変化から、構成部A~Dの信号線の代わりに新構成部A~Dの信号線が、各々、接続箇所を変更することなく新制御盤106’に接続されることが看取できるから、第4工程に関し、「前記第1の信号線を切り離すとともに、前記第2の信号線を前記第1の接続箇所から切り離し、当該第2の信号線を切り離した当該第1の接続箇所に、前記第1の構成部に代わる前記新構成部と前記新制御盤との通信をおこなう第5の信号線を接続し、前記第3の信号線を切り離すとともに、前記第4の信号線を前記第2の接続箇所から切り離し、当該第4の信号線を切り離した当該第2の接続箇所に、前記第2の構成部に代わる前記新構成部と前記新制御盤との通信をおこなう第6の信号線を接続する」ことは本件明細書等に記載されている事項であるといえる。 したがって、訂正事項3は本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものである。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項3によって、発明のカテゴリーや対象、目的は何ら変更されておらず、また、訂正事項3による訂正前の請求項3に係る発明に含まれないとする事項が、訂正後の請求項3に係る発明に含まれるとの事情は伺えないから、訂正事項3は、実質上特許請求の範囲を拡張、又は変更するものではない。 (3)訂正事項5 ア 訂正の目的 訂正事項5は、訂正前の請求項5に係る発明において、 (ア)「第2工程」に関し、「前記構成部のうちの第1の構成部と前記信号変換装置に第1の信号線を接続するとともに、変換して当該第1の信号線によって当該第1の溝成部へ送信する信号を当該新制御盤から受信する第2の信号線を、当該信号変換装置と当該新制御盤の所定の接続箇所(以下「第1の接続箇所」という)に接続し、前記構成部のうちの第2の構成部と前記信号変換装置に第3の信号線を接続するとともに、変換して当該第3の信号線によって当該第2の構成部へ送信する信号を当該新制御盤から受信する第4の信号線を、当該信号変換装置と、当該新制御盤における前記第1の接続箇所とは別の位置に設けられた接続箇所(以下「第2の接続箇所」という)に接続し、」と、第2工程における構成部と信号変換装置との接続の内容、及び、信号変換装置と新制御盤との接続の内容をより具体的に特定し、さらに限定するものであり、 (イ)「第4工程」に関し、「前記第1の信号線を切り離すとともに、前記第2の信号線を前記第1の接続箇所から切り離し、当該第2の信号線を切り離した当該第1の接続箇所に、前記第1の構成部に代わる前記新構成部と前記新制御盤との通信をおこなう第5の信号線を接続し、前記第3の信号線を切り離すとともに、前記第4の信号線を前記第2の接続箇所から切り離し、当該第4の信号線を切り離した当該第2の接続箇所に、前記第2の構成部に代わる前記新構成部と前記新制御盤との通信をおこなう第6の信号線を接続する」と、第4工程における構成部と信号変換装置との切り離しの内容、及び、新構成部と新制御盤との接続の内容をより具体的に特定し、さらに限定するものである。 したがって、訂正事項5は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 新規事項の有無 上記(1)イ(ア)を踏まえれば、各構成部A~Dごと、あるいは各新構成部A~Dごとに、それぞれの信号線によって信号変換装置400や新制御盤106’の接続箇所に接続されることは開示されているといえるから、第2工程に関し、「前記構成部のうちの第1の構成部と前記信号変換装置に第1の信号線を接続するとともに、変換して当該第1の信号線によって当該第1の溝成部へ送信する信号を当該新制御盤から受信する第2の信号線を、当該信号変換装置と当該新制御盤の所定の接続箇所(以下「第1の接続箇所」という)に接続し、前記構成部のうちの第2の構成部と前記信号変換装置に第3の信号線を接続するとともに、変換して当該第3の信号線によって当該第2の構成部へ送信する信号を当該新制御盤から受信する第4の信号線を、当該信号変換装置と、当該新制御盤における前記第1の接続箇所とは別の位置に設けられた接続箇所(以下「第2の接続箇所」という)に接続」することは本件明細書等に記載されている事項であるといえる。 そして、図7Dから図9Bへの変化、図9Bから図9Cへの変化及び図9Cから図9Dへの変化から、構成部A~Dの信号線の代わりに新構成部A~Dの信号線が、各々、接続箇所を変更することなく新制御盤106’に接続されることが看取できるから、第4工程に関し、「前記第1の信号線を切り離すとともに、前記第2の信号線を前記第1の接続箇所から切り離し、当該第2の信号線を切り離した当該第1の接続箇所に、前記第1の構成部に代わる前記新構成部と前記新制御盤との通信をおこなう第5の信号線を接続し、前記第3の信号線を切り離すとともに、前記第4の信号線を前記第2の接続箇所から切り離し、当該第4の信号線を切り離した当該第2の接続箇所に、前記第2の構成部に代わる前記新構成部と前記新制御盤との通信をおこなう第6の信号線を接続する」ことは本件明細書等に記載されている事項であるといえる。 したがって、訂正事項5は本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものである。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項5によって、発明のカテゴリーや対象、目的は何ら変更されておらず、また、訂正事項5による訂正前の請求項5に係る発明に含まれないとする事項が、訂正後の請求項5に係る発明に含まれるとの事情は伺えないから、訂正事項5は、実質上特許請求の範囲を拡張、又は変更するものではない。 (4)訂正事項6 ア 訂正の目的 訂正事項6は、訂正前の請求項6に係る発明において、 (ア)「第2工程」に関し、「前記構成部のうちの第1の構成部と前記信号変換装置に第1の信号線を接続するとともに、当該第1の信号線によって受信する当該第1の構成部からの信号を変換した信号を前記新制御盤へ送信し、かつ、変換して当該第1の信号線によって当該第1の構成部へ送信する信号を当該新制御盤から受信する第2の信号線を、当該信号変換装置と当該新制御盤の所定の接続箇所(以下「第1の接続箇所」という)に接続し、前記構成部のうちの第2の構成部と前記信号変換装置に第3の信号線を接続するとともに、当該第3の信号線によって受信する当該第2の構成部からの信号を変換した信号を前記新制御盤へ送信し、かつ、変換して当該第3の信号線によって当該第2の構成部へ送信する信号を当該新制御盤から受信する第4の信号線を、当該信号変換装置と、当該新制御盤における前記第1の接続箇所とは別の位置に設けられた接続箇所(以下「第2の接続箇所」という)に接続し、」と、第2工程における構成部と信号変換装置との接続の内容、及び、信号変換装置と新制御盤との接続の内容をより具体的に特定し、さらに限定するものであり、 (イ)「第4工程」に関し、「前記第1の信号線を切り離すとともに、前記第2の信号線を前記第1の接続箇所から切り離し、当該第2の信号線を切り離した当該第1の接続箇所に、前記第1の構成部に代わる前記新構成部と前記新制御盤との通信をおこなう第5の信号線を接続し、前記第3の信号線を切り離すとともに、前記第4の信号線を前記第2の接続箇所から切り離し、当該第4の信号線を切り離した当該第2の接続箇所に、前記第2の構成部に代わる前記新構成部と前記新制御盤との通信をおこなう第6の信号線を接続する」と、第4工程における構成部と信号変換装置との切り離しの内容、及び、新構成部と新制御盤との接続の内容をより具体的に特定し、さらに限定するものである。 したがって、訂正事項6は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 新規事項の有無 上記(1)イ(ア)を踏まえれば、各構成部A~Dごと、あるいは各新構成部A~Dごとに、それぞれの信号線によって信号変換装置400や新制御盤106’の接続箇所に接続されることは開示されているといえるから、第2工程に関し、「前記構成部のうちの第1の構成部と前記信号変換装置に第1の信号線を接続するとともに、当該第1の信号線によって受信する当該第1の構成部からの信号を変換した信号を前記新制御盤へ送信し、かつ、変換して当該第1の信号線によって当該第1の構成部へ送信する信号を当該新制御盤から受信する第2の信号線を、当該信号変換装置と当該新制御盤の所定の接続箇所(以下「第1の接続箇所」という)に接続し、前記構成部のうちの第2の構成部と前記信号変換装置に第3の信号線を接続するとともに、当該第3の信号線によって受信する当該第2の構成部からの信号を変換した信号を前記新制御盤へ送信し、かつ、変換して当該第3の信号線によって当該第2の構成部へ送信する信号を当該新制御盤から受信する第4の信号線を、当該信号変換装置と、当該新制御盤における前記第1の接続箇所とは別の位置に設けられた接続箇所(以下「第2の接続箇所」という)に接続し、」することは本件明細書等に記載されている事項であるといえる。 そして、図7Dから図9Bへの変化、図9Bから図9Cへの変化及び図9Cから図9Dへの変化から、構成部A~Dの信号線の代わりに新構成部A~Dの信号線が、各々、接続箇所を変更することなく新制御盤106’に接続されることが看取できるから、第4工程に関し、「前記第1の信号線を切り離すとともに、前記第2の信号線を前記第1の接続箇所から切り離し、当該第2の信号線を切り離した当該第1の接続箇所に、前記第1の構成部に代わる前記新構成部と前記新制御盤との通信をおこなう第5の信号線を接続し、前記第3の信号線を切り離すとともに、前記第4の信号線を前記第2の接続箇所から切り離し、当該第4の信号線を切り離した当該第2の接続箇所に、前記第2の構成部に代わる前記新構成部と前記新制御盤との通信をおこなう第6の信号線を接続する」ことは本件明細書等に記載されている事項であるといえる。 したがって、訂正事項3は本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものである。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項6によって、発明のカテゴリーや対象、目的は何ら変更されておらず、また、訂正事項6による訂正前の請求項3に係る発明に含まれないとする事項が、訂正後の請求項6に係る発明に含まれるとの事情は伺えないから、訂正事項6は、実質上特許請求の範囲を拡張、又は変更するものではない。 (5)訂正事項7 ア 訂正の目的 訂正事項7は、訂正前の請求項7に係る発明において、 (ア)「第2工程」に関し、「前記構成部のうちの第1の構成部と前記信号変換装置に第1の信号線を接続するとともに、当該第1の信号線によって受信する当該第1の構成部からの信号を変換した信号を前記新制御盤へ送信し、かつ、変換して当該第1の信号線によって当該第1の構成部へ送信する信号を当該新制御盤から受信する第2の信号線を、当該信号変換装置と当該新制御盤の所定の接続箇所(以下「第1の接続箇所」という)に接続し、前記構成部のうちの第2の構成部と前記信号変換装置に第3の信号線を接続するとともに、当該第3の信号線によって受信する当該第2の構成部からの信号を変換した信号を前記新制御盤へ送信し、かつ、変換して当該第3の信号線によって当該第2の構成部へ送信する信号を当該新制御盤から受信する第4の信号線を、当該信号変換装置と、当該新制御盤における前記第1の接続箇所とは別の位置に設けられた接続箇所(以下「第2の接続箇所」という)に接続し、」と、第2工程における構成部と信号変換装置との接続の内容、及び、信号変換装置と新制御盤との接続の内容をより具体的に特定し、さらに限定するものであり、 (イ)「第4工程」に関し、「前記第1の信号線を切り離すとともに、前記第2の信号線を前記第1の接続箇所から切り離し、当該第2の信号線を切り離した当該第1の接続箇所に、前記第1の構成部に代わる前記新構成部と前記新制御盤との通信をおこなう第5の信号線を接続し、前記第3の信号線を切り離すとともに、前記第4の信号線を前記第2の接続箇所から切り離し、当該第4の信号線を切り離した当該第2の接続箇所に、前記第2の構成部に代わる前記新構成部と前記新制御盤との通信をおこなう第6の信号線を接続する」と、第4工程における構成部と信号変換装置との切り離しの内容、及び、新構成部と新制御盤との接続の内容をより具体的に特定し、さらに限定するものである。 したがって、訂正事項7は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 新規事項の有無 上記(1)イ(ア)を踏まえれば、各構成部A~Dごと、あるいは各新構成部A~Dごとに、それぞれの信号線によって信号変換装置400や新制御盤106’の接続箇所に接続されることは開示されているといえるから、第2工程に関し、「前記構成部のうちの第1の構成部と前記信号変換装置に第1の信号線を接続するとともに、当該第1の信号線によって受信する当該第1の構成部からの信号を変換した信号を前記新制御盤へ送信し、かつ、変換して当該第1の信号線によって当該第1の構成部へ送信する信号を当該新制御盤から受信する第2の信号線を、当該信号変換装置と当該新制御盤の所定の接続箇所(以下「第1の接続箇所」という)に接続し、前記構成部のうちの第2の構成部と前記信号変換装置に第3の信号線を接続するとともに、当該第3の信号線によって受信する当該第2の構成部からの信号を変換した信号を前記新制御盤へ送信し、かつ、変換して当該第3の信号線によって当該第2の構成部へ送信する信号を当該新制御盤から受信する第4の信号線を、当該信号変換装置と、当該新制御盤における前記第1の接続箇所とは別の位置に設けられた接続箇所(以下「第2の接続箇所」という)に接続」することは本件明細書等に記載されている事項であるといえる。 そして、図7Dから図9Bへの変化、図9Bから図9Cへの変化及び図9Cから図9Dへの変化から、構成部A~Dの信号線の代わりに新構成部A~Dの信号線が、各々、接続箇所を変更することなく新制御盤106’に接続されることが看取できるから、第4工程に関し、「前記第1の信号線を切り離すとともに、前記第2の信号線を前記第1の接続箇所から切り離し、当該第2の信号線を切り離した当該第1の接続箇所に、前記第1の構成部に代わる前記新構成部と前記新制御盤との通信をおこなう第5の信号線を接続し、前記第3の信号線を切り離すとともに、前記第4の信号線を前記第2の接続箇所から切り離し、当該第4の信号線を切り離した当該第2の接続箇所に、前記第2の構成部に代わる前記新構成部と前記新制御盤との通信をおこなう第6の信号線を接続する」ことは本件明細書等に記載されている事項であるといえる。 したがって、訂正事項7は本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものである。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項7によって、発明のカテゴリーや対象、目的は何ら変更されておらず、また、訂正事項7による訂正前の請求項3に係る発明に含まれないとする事項が、訂正後の請求項7に係る発明に含まれるとの事情は伺えないから、訂正事項7は、実質上特許請求の範囲を拡張、又は変更するものではない。 (6)訂正事項2、4、8~11 訂正事項2、4、8~11は、それぞれ訂正前の特許請求の範囲の請求項2、4、8~11を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、本件明細書等に記載された事項の範囲内の訂正であるとともに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 3 小括 上記のとおり、訂正事項1~11に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~11〕について訂正することを認める。 第3 本件発明 本件訂正により訂正された請求項1、3、5~7に係る発明(以下、「本件発明1」、「本件発明3」などという。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1、3、5~7に記載された次の事項により特定されるとおりのものである(なお、本件訂正請求により請求項2、4、8~11は削除された。)。 [本件発明1] カゴが一つのみ設けられたエレベーターであって、複数の構成部を備えた当該エレベーターの当該構成部の交換工事をおこなう交換工事方法において、 前記構成部を制御する制御盤と当該構成部との接続を切り離し、当該制御盤を取り外す第1の工程と、 前記構成部が出力する、当該構成部から前記制御盤への伝達情報にかかる信号を、当該信号と同じ意味の信号であって、前記制御盤とは別の種類の新制御盤が理解できる、当該伝達情報にかかる別の信号へ変換する信号変換装置を、前記構成部に接続するとともに、当該信号変換装置を前記新制御盤に接続する第2の工程と、 前記第2の工程による接続の動作確詫をおこなう第3の工程と、 を有する制御盤交換工程と、 前記制御盤交換工程による制御盤の交換が完了した後に、前記構成部の少なくとも一つと前記信号変換装置との接続を切り離し、当該構成部とは別の構成部であって、前記新制御盤が理解できる、当該新制御盤への伝達情報にかかる信号を出力する新構成部を、前記新制御盤に接続する第4の工程と、 前記第4の工程による接続の動作確認をおこなう第5の工程と、 を有する構成部交換工程と、 を含み、 前記第2の工程は、前記構成部のうちの第1の構成部と前記信号変換装置に第1の信号線を接続するとともに、当該第1の信号線によって受信する当該第1の構成部からの信号を変換した信号を前記新制御盤へ送信する第2の信号線を、当該信号変換装置と当該新制御盤の所定の接続箇所(以下「第1の接続箇所」という)に接続し、前記構成部のうちの第2の構成部と前記信号変換装置に第3の信号線を接続するとともに、当該第3の信号線によって受信する当該第2の構成部からの信号を変換した信号を前記新制御盤へ送信する第4の信号線を、当該信号変換装置と、当該新制御盤における前記第1の接続箇所とは別の位置に設けられた接続箇所(以下「第2の接続箇所」という)に接続し、 前記第4の工程は、前記第1の信号線を切り離すとともに、前記第2の信号線を前記第1の接続箇所から切り離し、当該第2の信号線を切り離した当該第1の接続箇所に、前記第1の構成部に代わる前記新構成部と前記新制御盤との通信をおこなう第5の信号線を接続し、前記第3の信号線を切り離すとともに、前記第4の信号線を前記第2の接続箇所から切り離し、当該第4の信号線を切り離した当該第2の接続箇所に、前記第2の構成部に代わる前記新構成部と前記新制御盤との通信をおこなう第6の信号線を接続することを特徴とする交換工事方法。 [本件発明3] カゴが一つのみ設けられたエレベーターであって、複数の構成部を備えた当該エレベーターの当該構成部の交換工事をおこなう交換工事方法において、 前記構成部を制御する制御盤と当該構成部との接続を切り離し、当該制御盤を取り外す第1の工程と、 前記構成部が出力する、当該構成部から前記制御盤への伝達情報にかかる信号を、当該信号と同じ意味の信号であって、前記制御盤とは別の種類の新制御盤が理解できる、当該伝達情報にかかる別の信号へ変換し、かつ、前記新制御盤が出力する、当該新制御盤から前記構成部への伝達情報にかかる信号を、当該伝達情報にかかる信号と同じ意味の信号であって、前記構成部が理解できる、当該伝達情報にかかる別の信号へ変換する信号変換装置を、前記構成部に接続するとともに、当該信号変換装置を前記新制御盤に接続する第2の工程と、 前記第2の工程による接続の動作確認をおこなう第3の工程と、 を有する制御盤交換工程と、 前記制御盤交換工程による制御盤の交換が完了した後に、前記構成部の少なくとも一つと前記信号変換装置との接続を切り離し、当該構成部とは別の構成部であって、前記新制御盤が理解できる、当該新制御盤への伝達情報にかかる信号を出力する新構成部を、前記新制御盤に接続する第4の工程と、 前記第4の工程による接続の動作確認をおこなう第5の工程と、 を有する構成部交換工程と、 を含み、 前記第2の工程は、前記構成部のうちの第1の構成部と前記信号変換装置に第1の信号線を接続するとともに、当該第1の信号線によって受信する当該第1の構成部からの信号を変換した信号を前記新制御盤へ送信し、かつ、変換して当該第1の信号線によって当該第1の構成部へ送信する信号を当該新制御盤から受信する第2の信号線を、当該信号変換装置と当該新制御盤の所定の接続箇所(以下「第1の接続箇所」という)に接続し、前記構成部のうちの第2の構成部と前記信号変換装置に第3の信号線を接続するとともに、当該第3の信号線によって受信する当該第2の構成部からの信号を変換した信号を前記新制御盤へ送信し、かつ、変換して当該第3の信号線によって当該第2の構成部へ送信する信号を当該新制御盤から受信する第4の信号線を、当該信号変換装置と、当該新制御盤における前記第1の接続箇所とは別の位置に設けられた接続箇所(以下「第2の接続箇所」という)に接続し、 前記第4の工程は、前記第1の信号線を切り離すとともに、前記第2の信号線を前記第1の接続箇所から切り離し、当該第2の信号線を切り離した当該第1の接続箇所に、前記第1の構成部に代わる前記新構成部と前記新制御盤との通信をおこなう第5の信号線を接続し、前記第3の信号線を切り離すとともに、前記第4の信号線を前記第2の接続箇所から切り離し、当該第4の信号線を切り離した当該第2の接続箇所に、前記第2の構成部に代わる前記新構成部と前記新制御盤との通信をおこなう第6の信号線を接続することを特徴とする交換工事方法。 [本件発明5] カゴが一つのみ設けられたエレベーターであって、複数の構成部を備えた当該エレベーターの当該構成部の交換工事をおこなう交換工事方法において、 前記構成部を制御する制御盤と当該構成部との接続を切り離し、当該制御盤を取り外す第1の工程と、 新制御盤が出力する、当該新制御盤から前記構成部への伝達情報にかかる信号を、当該伝達情報にかかる信号と同じ意味の信号であって、前記構成部が理解できる、当該伝達情報にかかる別の信号へ変換する信号変換装置を、前記構成部に接続するとともに、当該信号変換装置を前記新制御盤に接続する第2の工程と、 前記第2の工程による接続の動作確認をおこなう第3の工程と、 を有する制御盤交換工程と、 前記制御盤交換工程による制御盤の交換が完了した後に、前記構成部の少なくとも一つと前記信号変換装置との接続を切り離し、当該構成部とは別の構成部であって、前記新制御盤が出力する、当該新制御盤からの伝達情報にかかる信号を理解できる新構成部を、前記新制御盤に接続する第4の工程と、 前記第4の工程による接続の動作確認をおこなう第5の工程と、 を有する構成部交換工程と、 を含み、 前記第2の工程は、前記構成部のうちの第1の構成部と前記信号変換装置に第1の信号線を接続するとともに、変換して当該第1の信号線によって当該第1の溝成部へ送信する信号を当該新制御盤から受信する第2の信号線を、当該信号変換装置と当該新制御盤の所定の接続箇所(以下「第1の接続箇所」という)に接続し、前記構成部のうちの第2の構成部と前記信号変換装置に第3の信号線を接続するとともに、変換して当該第3の信号線によって当該第2の構成部へ送信する信号を当該新制御盤から受信する第4の信号線を、当該信号変換装置と、当該新制御盤における前記第1の接続箇所とは別の位置に設けられた接続箇所(以下「第2の接続箇所」という)に接続し、 前記第4の工程は、前記第1の信号線を切り離すとともに、前記第2の信号線を前記第1の接続箇所から切り離し、当該第2の信号線を切り離した当該第1の接続箇所に、前記第1の構成部に代わる前記新構成部と前記新制御盤との通信をおこなう第5の信号線を接続し、前記第3の信号線を切り離すとともに、前記第4の信号線を前記第2の接続箇所から切り離し、当該第4の信号線を切り離した当該第2の接続箇所に、前記第2の構成部に代わる前記新構成部と前記新制御盤との通信をおこなう第6の信号線を接続することを特徴とする交換工事方法。 [本件発明6] カゴが一つのみ設けられたエレベーターであって、複数の構成部を備えた当該エレベーターの当該構成部の交換工事をおこなう交換工事方法において、 前記構成部を制御する制御盤と当該構成部との接続を切り離し、当該制御盤を取り外す第1の工程と、 前記構成部が出力する、当該構成部から前記制御盤への伝達情報にかかる信号を、当該信号と同じ意味の信号であって、前記制御盤とは別の種類の新制御盤が理解できる、当該伝達情報にかかる別の信号へ変換し、かつ、前記新制御盤が出力する、当該新制御盤から前記構成部への伝達情報にかかる信号を、当該伝達情報にかかる信号と同じ意味の信号であって、前記構成部が理解できる、当該伝達情報にかかる別の信号へ変換する信号変換装置を、前記構成部に接続するとともに、当該信号変換装置を前記新制御盤に接続する第2の工程と、 前記第2の工程による接続の動作確認をおこなう第3の工程と、 を有する制御盤交換工程と、 前記制御盤交換工程による制御盤の交換が完了した後に、前記構成部の少なくとも一つと前記信号変換装置との接続を切り離し、当該構成部とは別の構成部であって、前記新制御盤が出力する、当該新制御盤からの伝達情報にかかる信号を理解できる新構成部を、前記新制御盤に接続する第4の工程と、 前記第4の工程による接続の動作確認をおこなう第5の工程と、 を有する構成部交換工程と、 を含み、 前記第2の工程は、前記構成部のうちの第1の構成部と前記信号変換装置に第1の信号線を接続するとともに、当該第1の信号線によって受信する当該第1の構成部からの信号を変換した信号を前記新制御盤へ送信し、かつ、変換して当該第1の信号線によって当該第1の構成部へ送信する信号を当該新制御盤から受信する第2の信号線を、当該信号変換装置と当該新制御盤の所定の接続箇所(以下「第1の接続箇所」という)に接続し、前記構成部のうちの第2の構成部と前記信号変換装置に第3の信号線を接続するとともに、当該第3の信号線によって受信する当該第2の構成部からの信号を変換した信号を前記新制御盤へ送信し、かつ、変換して当該第3の信号線によって当該第2の構成部へ送信する信号を当該新制御盤から受信する第4の信号線を、当該信号変換装置と、当該新制御盤における前記第1の接続箇所とは別の位置に設けられた接続箇所(以下「第2の接続箇所」という)に接続し、 前記第4の工程は、前記第1の信号線を切り離すとともに、前記第2の信号線を前記第1の接続箇所から切り離し、当該第2の信号線を切り離した当該第1の接続箇所に、前記第1の構成部に代わる前記新構成部と前記新制御盤との通信をおこなう第5の信号線を接続し、前記第3の信号線を切り離すとともに、前記第4の信号線を前記第2の接続箇所から切り離し、当該第4の信号線を切り離した当該第2の接続箇所に、前記第2の構成部に代わる前記新構成部と前記新制御盤との通信をおこなう第6の信号線を接続することを特徴とする交換工事方法。 [本件発明7] カゴが一つのみ設けられたエレベーターであって、複数の構成部を備えた当該エレベーターの当該構成部の交換工事をおこなう交換工事方法において、 前記構成部を制御する制御盤と当該構成部との接続を切り離し、当該制御盤を取り外す第1の工程と、 前記構成部が出力する、当該構成部から前記制御盤への伝達情報にかかる信号を、当該信号と同じ意味の信号であって、前記制御盤とは別の種類の新制御盤が理解できる、当該伝達情報にかかる別の信号へ変換し、かつ、前記新制御盤が出力する、当該新制御盤から前記構成部への伝達情報にかかる信号を、当該伝達情報にかかる信号と同じ意味の信号であって、前記構成部が理解できる、当該伝達情報にかかる別の信号へ変換する信号変換装置を、前記構成部に接続するとともに、当該信号変換装置を前記新制御盤に接続する第2の工程と、 前記第2の工程による接続の動作確認をおこなう第3の工程と、 を有する制御盤交換工程と、 前記制御盤交換工程による制御盤の交換が完了した後に、前記構成部の少なくとも一つと前記信号変換装置との接続を切り離し、当該構成部とは別の構成部であって、前記新制御盤が理解できる、当該新制御盤への伝達情報にかかる信号を出力し、かつ、前記新制御盤が出力する、当該新制御盤からの伝達情報にかかる信号を理解できる新構成部を、前記新制御盤に接続する第4の工程と、 前記第4の工程による接続の動作確認をおこなう第5の工程と、 を有する構成部交換工程と、 を含み、 前記第2の工程は、前記構成部のうちの第1の構成部と前記信号変換装置に第1の信号線を接続するとともに、当該第1の信号線によって受信する当該第1の構成部からの信号を変換した信号を前記新制御盤へ送信し、かつ、変換して当該第1の信号線によって当該第1の構成部へ送信する信号を当該新制御盤から受信する第2の信号線を、当該信号変換装置と当該新制御盤の所定の接続箇所(以下「第1の接続箇所」という)に接続し、前記構成部のうちの第2の構成部と前記信号変換装置に第3の信号線を接続するとともに、当該第3の信号線によって受信する当該第2の構成部からの信号を変換した信号を前記新制御盤へ送信し、かつ、変換して当該第3の信号線によって当該第2の構成部へ送信する信号を当該新制御盤から受信する第4の信号線を、当該信号変換装置と、当該新制御盤における前記第1の接続箇所とは別の位置に設けられた接続箇所(以下「第2の接続箇所」という)に接続し、 前記第4の工程は、前記第1の信号線を切り離すとともに、前記第2の信号線を前記第1の接続箇所から切り離し、当該第2の信号線を切り離した当該第1の接続箇所に、前記第1の構成部に代わる前記新構成部と前記新制御盤との通信をおこなう第5の信号線を接続し、前記第3の信号線を切り離すとともに、前記第4の信号線を前記第2の接続箇所から切り離し、当該第4の信号線を切り離した当該第2の接続箇所に、前記第2の構成部に代わる前記新構成部と前記新制御盤との通信をおこなう第6の信号線を接続することを特徴とする交換工事方法。 第4 取消理由の概要 取消理由の概要は、次のとおりである。 理由1(拡大先願):本件特許の請求項1、3、5~7に係る発明は、甲第1号証に記載された発明と同一であり、しかも、甲第1号証に係る出願の発明者が本件特許に係る発明をした者と同一ではなく、また本件特許の出願の時において、その出願人が甲第1号証に係る出願の出願人と同一でもないから、特許法第29条の2の規定により、特許を受けることができない。 理由2(サポート要件):本件特許の請求項2、4、9~11は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしておらず、特許を受けることができない。 よって、本件特許は、特許を受けることができないものに対してされたものであり、取り消すべきものである。 以下、申立人が提出した「甲第1号証」~「甲第3号証」は「甲1」~「甲3」という。 甲1:PCT/JP2017/029671(国際公開第2019/035214号) 甲2:特開平2-265883号公報(周知技術を示す文献) 甲3:特開昭55-11418号公報(周知技術を示す文献) 第5 当審の判断 1 理由1(拡大先願)について (1)甲1の記載等 取消理由通知で引用された甲1には次の事項が記載されている。(当審注:下線は当審で付した。以下同様。) ア「[0014] 実施の形態1. 図1は、この発明の実施の形態1に係るエレベーターのリニューアル方法が適用されるエレベーター装置を示す構成図である。図1において、機械室1には、巻上モータを含む巻上機2、制御盤3および調速機4が設けられており、昇降路5には、かご6、釣り合いおもり7、かご6と釣り合いおもり7とを連結する主索8、ガイドレール9および終点スイッチ10が設けられており、かご6には、ドアモータを含むドア駆動装置11およびかご操作盤12が設けられており、乗場13には、乗場操作盤14が設けられており、ピット15には、緩衝器16が設けられている。制御盤3とかご上ステーション18との間は、移動ケーブル17で接続され、かご上ステーション18とかご機器とが接続されている。なお、かご上ステーション18は、ドアの開閉制御その他かご機器との中継機能を有する。 [0015] ここで、かご機器とは、ドア駆動装置11、かご操作盤12、かご上ステーション18等のかご周りの機器のことをいう。また、乗場機器とは、乗場操作盤14等の乗場周りの機器のことをいう。また、昇降路機器とは、終点スイッチ10および図1に示していない昇降路ケーブル等のことをいう。 ・・・ [0019] 具体的には、旧機器と新機器とを取り替える一連の分割施工ステップの内、エレベーターを利用可能とする時間帯を設ける分割施工ステップ群に分割してリニューアル工事を実施する。また、エレベーターを利用可能とする時間帯は、リニューアル前のエレベーターの起動頻度、建物の用途により決定される。また、少なくとも1日に確保できる工事時間と工事完了後にエレベーターが利用できる分割施工ステップ群に分割してリニューアル工事を実施する。つまり、一連の分割施工ステップは、それぞれの分割施工ステップがさらにリニューアル工事期間中のリニューアル工事日毎に連続で確保できる、一連の工事時間のそれぞれで完了するように分割されている。すなわち、通常運転モードと据付作業モードとがあり、各分割施工ステップが完了するたびに据付作業モードから通常運転モードに切替えて、エレベーターを就役(サービス)可能とし、乗客にエレベーター利用を供する通常運転を行うことができる。」 イ「[0020] (リニューアル方法) 続いて、図1、図2とともに、図3~図12を参照しながら、この発明の実施の形態1に係るエレベーターのリニューアル方法について説明する。図3は、この発明の実施の形態1に係るエレベーターのリニューアル方法が適用されるエレベーター装置における初期状態を示すブロック構成図である。 [0021] 図3において、エレベーター装置の初期状態では、取り替え前の旧制御盤100に、旧シリアル通信方式により旧乗場機器200および旧かご機器300が接続されている。旧制御盤100は、旧乗場機器200、旧かご機器300、図示しない旧巻上機等の動作を制御する旧エレベーター制御基板110を有している。 [0022] (分割施工ステップ1:機械室改修) ここで、このエレベーター装置に対して、図2で示した分割施工ステップ1により、エレベーター制御盤を取り替える。つまり、分割施工ステップ1では、既設のエレベーターの旧制御盤を新制御盤に取り替える。また、分割施工ステップ1では、新制御盤とは別体である付属盤が新たに設置される。図4は、この発明の実施の形態1に係るエレベーターのリニューアル方法が適用されるエレベーター装置における制御盤取り替え後の状態を示すブロック構成図である。 ・・・ [0024] 図4において、旧制御盤100が新制御盤100Aに取り替えられ、さらに、新制御盤100Aと接続される通信変換基板410が設けられ、新制御盤100Aとは別体である付属盤400が設置される。新制御盤100Aには、付属盤400を介して旧乗場機器200および旧かご機器300が接続されている。また、新制御盤100Aは、図3に示した旧エレベーター制御基板110に代えて、新エレベーター制御基板110Aを有している。」 ウ「[0035] 図4の説明に戻り、新エレベーター制御基板110Aは、後述する新乗場機器、新かご機器、新巻上機等の動作を制御する機能だけでなく、図2で示した各分割施工ステップに応じてパラメータの設定を変更することにより、旧乗場機器200、旧かご機器300、旧巻上機等の動作を制御する機能も有している。 [0036] しかしながら、新エレベーター制御基板110Aは、新かご機器との間で、旧シリアル通信方式よりも大容量のデータの送受信を可能とした新シリアル通信方式、例えばCAN(Controller Area Network)通信方式により通信を行うので、新エレベーター制御基板110Aと旧かご機器300とは、直接通信することができない。ここで、旧シリアル通信方式の一例としては、通信速度が4800bpsであり、CAN通信方式の一例としては、通信速度が122.88kbpsであり、旧シリアル通信方式に比べて、新シリアル通信方式のデータの伝送速度は、約10倍以上の伝送速度となっている。 ・・・ [0039] そこで、新制御盤100Aは、旧シリアル通信方式と新シリアル通信方式(CAN通信方式)との間で通信方式を相互に変換する通信変換部としての通信変換基板410が設けられた付属盤400と接続される。また、付属盤400は、旧かご機器300と接続される。なお、旧乗場機器200についても、旧かご機器300と同様のことがいえ、付属盤400は、旧乗場機器200と接続される。図8は、この発明の実施の形態1に係るエレベーター付属盤における通信変換基板を示すハードウェア構成図である。図8において、通信変換基板410は、CPU411およびRAM412を有している。なお、図8では、1つのCPUと1つのメモリとから、通信変換基板410を構成する場合を例示している。 [0040] CPU411は、新エレベーター制御基板110Aからのデータを、旧かご機器300に対応したデータにフォーマット変換し、RAM412に記憶する。また、CPU411は、旧かご機器300からのデータを、新エレベーター制御基板110Aに対応したデータにフォーマット変換し、RAM412に記憶する。なお、フォーマットとは、bit数等のデータ構造を指している。 [0041] また、CPU411は、新エレベーター制御基板110Aからの求めに応じて、フォーマット変換されたデータをRAM412から取り出して出力し、旧かご機器300からの求めに応じて、フォーマット変換されたデータをRAM412から取り出して出力する。これにより、新エレベーター制御基板110Aと旧かご機器300とが、通信変換基板410を介して互いに通信することができる。なお、旧乗場機器200についても、旧かご機器300と同様のことがいえ、新エレベーター制御基板110Aと旧乗場機器200とが、通信変換基板410を介して互いに通信することができる。 ・・・ [0046] これにより、既設のエレベーターの旧制御盤を新制御盤に取り替える工程の後に、新制御盤100Aが、通信変換部(通信変換基板410)を介して旧乗場機器200および旧かご機器300を制御する。すなわち、新制御盤100Aは、付属盤400に設けられた通信変換基板410を介して通信方式を新シリアル通信方式から旧シリアル通信方式に変換し、旧シリアル通信方式により、旧乗場機器200および旧かご機器300の少なくともいずれかを含む旧機器と通信可能なように構成されている。これにより、乗客にエレベーター利用を供する通常運転を行うことが可能となる。そのため、リニューアル工事の各工程の間に乗客がエレベーターを利用可能となるため、エレベーターのリニューアル工事期間中におけるエレベーターの連続休止期間を短縮することが可能となる。」 エ「[0047] (分割施工ステップ2:かご改修)および(分割施工ステップ3:昇降路・乗場改修) 次に、このエレベーター装置に対して、図2で示した分割施工ステップ2および分割施工ステップ3により、かご機器および乗場機器・昇降路機器を取り替える。ここでの分割施工ステップ3では、代表的な乗場機器についてのみ説明する。このとき、分割施工ステップ2および分割施工ステップ3は、どちらが先行してもよい。図9は、この発明の実施の形態1に係るエレベーターのリニューアル方法が適用されるエレベーター装置における乗場機器およびかご機器取り替え後の状態を示すブロック構成図である。 [0048] 旧機器を、新乗場機器200Aおよび新かご機器300(当審注:「新かご機器300A」の誤記と考えられる。)の少なくともいずれかを含む新機器に取り替え、新機器を、新制御盤100Aと通信可能な状態にする。具体的には、図9において、旧乗場機器200および旧かご機器300がそれぞれ新乗場機器200Aおよび新かご機器300Aに取り替えられる。また、旧ケーブルを新ケーブルに取り替え、新ケーブルを介して、新制御盤100Aには、新乗場機器200Aおよび新かご機器300Aが接続される。」 オ「[0052] 図10および図11において、分割施工ステップ1のとき、旧乗場機器200の旧ケーブルは、中継ハーネス120Aに接続され、旧かご機器300の旧ケーブルは、中継ハーネス420に接続される。中継ハーネス120Aは、旧乗場機器200の旧ケーブルに適合したコネクタを有する。また、中継ハーネス420は、旧かご機器300の旧ケーブルに適合したコネクタを有する。このように、新制御盤100Aに中継ハーネス120Aを介して旧乗場機器200の旧ケーブルが接続され、付属盤400に設けられた通信変換基板410に中継ハーネス420を介して旧かご機器300の旧ケーブルが接続される。すなわち、旧ケーブルを介して旧機器と通信変換基板410を接続する際、旧ケーブルを、通信変換基板410に、旧ケーブルに適合したコネクタを有する中継ハーネスを介して接続する。 [0053] 新制御盤100Aと旧かご機器300との間が旧ケーブルにより接続されると、新制御盤100Aは、付属盤400に設けられた通信変換基板410および旧ケーブルを介して新シリアル通信方式から旧シリアル通信方式に変換し、旧シリアル通信方式により旧かご機器300を制御することが可能となる。また、新制御盤100Aは、付属盤400に設けられた通信変換基板410を介して旧かご機器300を制御することにより、乗客にエレベーター利用を供する通常運転を行うことが可能となる。 [0054] その後、分割施工ステップ2により、旧かご機器300を新かご機器300Aに取り替える。この際、旧かご機器300の旧ケーブルが付属盤400から外され、新かご機器300Aの新ケーブルが新制御盤100Aに接続される(図11参照)。つまり、旧ケーブルを新ケーブルに取り替え、新制御盤100Aと新かご機器300Aとの間を新ケーブルにより接続する。新制御盤100Aと新かご機器300Aとの間が新ケーブルにより接続されると、新制御盤100Aは、旧シリアル通信方式とは少なくともデータの伝送速度が異なる新シリアル通信方式により新かご機器300Aを制御することが可能となる。すなわち、新制御盤100Aは、新シリアル通信方式により新機器と通信可能なように構成されている。」 カ 図1 「 [図:0001416426000001.jpg] 」 図2 「 [図:0001416426000002.jpg] 」 図3 「 [図:0001416426000003.jpg] 」 図4 「 [図:0001416426000004.jpg] 」 図8 「 [図:0001416426000005.jpg] 」 図9 「 [図:0001416426000006.jpg] 」 図11 「 [図:0001416426000007.jpg] 」 キ 上記アの記載及び図1、図3から、甲1には、かご6が一つのみ設けられたエレベーターであって、当該エレベーターは、乗場操作盤14等の乗場周りの機器である乗場機器、ドア駆動装置11、かご操作盤12、かご上ステーション18等のかご周りの機器であるかご機器、及び巻上機2を備えるものが記載されていると認められる。 また、上記アの記載及び図2から、エレベーターのリニューアル方法は、乗場機器やかご機器等の旧機器と新機器とを取り替える方法であると認められる。 ク 上記イの段落[0021]~[0022]、[0024]の記載及び図3~4から、甲1には、旧制御盤100と当該旧乗場機器200及び旧かご機器300との接続を切り離し、旧制御盤100を取り外す工程と、旧乗場機器200及び旧かご機器300と新制御盤100Aとを通信変換基板410を介して接続する工程とが記載されていると認められる。 ケ 上記エ~オの記載及び図9から、甲1には、少なくとも一つの旧機器を、新乗場機器200Aおよび新かご機器300Aの少なくともいずれかを含む新機器に取り替え、旧ケーブルを新ケーブルに取り替え、新ケーブルを介して、新制御盤100Aに新機器を接続して通信可能な状態にする分割施工ステップ2~3が記載されていると認められる。 (2)甲1に記載された発明 上記摘記事項ア~オ、カに摘記した図1~4、8~11及び認定事項キ~ケから、甲1には次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。 [甲1発明] 「かご6が一つのみ設けられたエレベーターであって、かご機器を備えた当該エレベーターの旧かご機器300と新かご機器300Aとを取り替えるエレベーターのリニューアル方法において、 旧制御盤100と当該旧かご機器300との接続を切り離し、当該旧制御盤100を取り外す工程と、 旧かご機器300と新制御盤100Aとを通信変換基板410を介して接続する工程と、 を有する分割施工ステップ1と、 前記分割施工ステップ1が完了すると、通常運転モードに切替える工程と、 少なくとも一つの旧かご機器300を、新かご機器300Aに取り替え、旧ケーブルを新ケーブルに取り替え、新ケーブルを介して、新制御盤100Aに新かご機器300Aを接続して通信可能な状態にする分割施工ステップ2~3と、 前記分割施工ステップ2~3が完了すると、通常運転モードに切替える工程と、 を含むエレベーターのリニューアル方法であって、 新制御盤100Aは、旧シリアル通信方式と新シリアル通信方式(CAN通信方式)との間で通信方式を相互に変換する通信変換部としての通信変換基板410が設けられた付属盤400と接続され、 付属盤400は、旧かご機器300と接続され、 通信変換基板410は、CPU411及びRAM412を有し、新制御基板100Aの新エレベーター制御基板110Aからのデータを、旧かご機器300に対応したデータにフォーマット変換し、RAM412に記憶し、また、旧かご機器300からのデータを、新エレベーター制御基板110Aに対応したデータにフォーマット変換し、RAM412に記憶し、 CPU411は、新エレベーター制御基板110Aからの求めに応じて、フォーマット変換されたデータをRAM412から取り出して出力し、旧かご機器300からの求めに応じて、フォーマット変換されたデータをRAM412から取り出して出力することにより、新エレベーター制御基板110Aと旧かご機器300とが、通信変換基板410を介して互いに通信することができる、 エレベーターのリニューアル方法。」 (3)甲2の記載 「ビル毎のエレベーターの動作は上記のように標準動作とビル毎の動作仕様の選択により決定される。そして、このエレベーターの動作の試験は工場にて基本的な動作については全て試験が行われており、検査済みとなっている。 上記のような標準化されたエレベータにおいても、据え付け現場や保守点検時においては確認や故障検出さらには機器の接続誤り検査のために、試験が実施されており、試験のためにかなりの時間と人手を要していた。」(第2ページ左上欄第15行~右上欄第4行) (4)甲3の記載 「また、エレベータ納入時、及びその後必要に応じて、調整、検査、保守等のために試験運転する必要もある。」(第2ページ右下欄第2行~第4行) (5)本件発明1について ア 対比 本件発明1と甲1発明とを対比する。 (ア)後者の「かご6」は前者の「カゴ」に相当し、以下、同様に、「旧かご機器300と新かご機器300Aとを取り替えるエレベーターのリニューアル方法」は「当該構成部の交換工事をおこなう交換工事方法」に、それぞれ相当する。 また、後者の「かご機器」は、「ドア駆動装置11、かご操作盤12、かご上ステーション18等のかご周りの機器」(上記(1)アの段落[0015]参照。)のことであるため、前者の「複数の構成部」に相当する。 (イ)後者の「旧制御盤100」は、その機能からみて、前者の「制御盤」に相当する。 そうすると、後者の「旧制御盤100と旧かご機器300との接続を切り離し、当該旧制御盤100を取り外す工程」は、前者の「前記構成部を制御する制御盤と当該構成部との接続を切り離し、当該制御盤を取り外す第1の工程」に相当する。 (ウ)後者の「旧かご機器300と新制御盤100Aとを通信変換基板410を介して接続する工程」について検討する。 後者の「新制御盤100A」は、「旧シリアル通信方式と新シリアル通信方式(CAN通信方式)との間で通信方式を相互に変換する通信変換部としての通信変換基板410が設けられた付属盤400と接続され」、 「付属盤400」は、「旧かご機器300と接続され」ており、 「通信変換基板410」は、「CPU411及びRAM412を有し、・・・、旧かご機器300からのデータを、新エレベーター制御基板110Aに対応したデータにフォーマット変換し、RAM412に記憶」するものであり、 「CPU411」が、「新エレベーター制御基板110Aからの求めに応じて、フォーマット変換されたデータをRAM412から取り出して出力・・・することにより、新エレベーター制御基板110Aと旧かご機器300とが、通信変換基板410を介して互いに通信することができる」ものである。 すなわち、付属盤400の通信変換基板410は、旧かご機器300が出力するデータを、新制御盤100Aの新エレベーター制御基板110Aに対応したデータにフォーマット変換するものである。 そうすると、後者の「通信変換基板410」は、前者の「前記構成部が出力する、当該構成部から前記制御盤への伝達情報にかかる信号を、当該信号と同じ意味の信号であって、前記制御盤とは別の種類の新制御盤が理解できる、当該伝達情報にかかる別の信号へ変換する信号変換装置」に相当し、同様に、後者の「旧かご機器300と新制御盤100Aとを通信変換基板410を介して接続する工程」は、前者の「信号変換装置を、前記構成部に接続するとともに、当該信号変換装置を前記新制御盤に接続する第2の工程」に相当する。 (エ)後者の「分割施工ステップ1と、 前記分割施工ステップ1が完了すると、通常運転モードに切替える工程」は、「分割施工ステップ1」が「旧制御盤100と当該旧かご機器300との接続を切り離し、当該旧制御盤100を取り外す工程と、旧かご機器300と新制御盤100Aとを通信変換基板410を介して接続する工程と、を有する」ことから、前者の「制御盤交換工程」と、「第1の工程」及び「第2の工程」を有する「分割工程1」である点で共通する。 (オ)後者の「少なくとも一つの旧かご機器300を、新かご機器300Aに取り替え、旧ケーブルを新ケーブルに取り替え、新ケーブルを介して、新制御盤100Aに新かご機器300Aを接続して通信可能な状態にする分割施工ステップ2~3」について検討する。 後者の「新かご機器300A」は前者の「新構成部」に相当する。 そして、後者の「分割施工ステップ2~3」は分割施工ステップ1が完了した後に行われる工程であって、「少なくとも一つの旧かご機器300を、新かご機器300Aに取り替え」る際に「旧ケーブルを新ケーブルに取り替え、新ケーブルを介して、新制御盤100Aに新かご機器300Aを接続して通信可能な状態にする」のであるから、前者の「前記制御盤交換工程による制御盤の交換が完了した後に、前記構成部の少なくとも一つと前記信号変換装置との接続を切り離し、当該構成部とは別の構成部であって、前記新制御盤が理解できる、当該新制御盤への伝達情報にかかる信号を出力し、かつ、前記新制御盤が出力する、当該新制御盤からの伝達情報にかかる信号を理解できる新構成部を、前記新制御盤に接続する第4の工程」に相当する。 (カ)後者の「分割施工ステップ2~3と、前記分割施工ステップ2~3が完了すると、通常運転モードに切替える工程と」は、前者の「構成部交換工程」と、「第4の工程」を有する「分割工程2」である点で共通する。 (キ)上記(ア)~(カ)から、本件発明1と甲1発明とは、次の一致点1で一致し、相違点1及び2で相違すると認められる。 <一致点1> 「カゴが一つのみ設けられたエレベーターであって、複数の構成部を備えた当該エレベーターの当該構成部の交換工事をおこなう交換工事方法において、 前記構成部を制御する制御盤と当該構成部との接続を切り離し、当該制御盤を取り外す第1の工程と、 前記構成部が出力する、当該構成部から前記制御盤への伝達情報にかかる信号を、当該信号と同じ意味の信号であって、前記制御盤とは別の種類の新制御盤が理解できる、当該伝達情報にかかる別の信号へ変換する信号変換装置を、前記構成部に接続するとともに、当該信号変換装置を前記新制御盤に接続する第2の工程と、 を有する分割工程1と、 前記制御盤交換工程による制御盤の交換が完了した後に、前記構成部の少なくとも一つと前記信号変換装置との接続を切り離し、当該構成部とは別の構成部であって、前記新制御盤が理解できる、当該新制御盤への伝達情報にかかる信号を出力する新構成部を、前記新制御盤に接続する第4の工程、 を有する分割工程2と、 を含む交換工事方法。」 <相違点1> 「分割工程1」及び「分割工程2」について、本件発明1は、第2の工程の後に、「前記第2の工程による接続の動作確認をおこなう第3の工程」を有し、第4の工程の後に「前記第4の工程による接続の動作確認をおこなう第5の工程」を有するのに対し、 甲1発明は、「前記分割施工ステップ1が完了すると、通常運転モードに切替える工程」を有し、「前記分割施工ステップ2~3が完了すると、通常運転モードに切替える工程」を有するものの、それぞれの通常運転モードに切替える工程において「接続の動作確認をおこなう」ことについての特定がない点。 <相違点2> 本件発明1は、 「前記第2の工程は、前記構成部のうちの第1の構成部と前記信号変換装置に第1の信号線を接続するとともに、当該第1の信号線によって受信する当該第1の構成部からの信号を変換した信号を前記新制御盤へ送信する第2の信号線を、当該信号変換装置と当該新制御盤の所定の接続箇所(以下「第1の接続箇所」という)に接続し、前記構成部のうちの第2の構成部と前記信号変換装置に第3の信号線を接続するとともに、当該第3の信号線によって受信する当該第2の構成部からの信号を変換した信号を前記新制御盤へ送信する第4の信号線を、当該信号変換装置と、当該新制御盤における前記第1の接続箇所とは別の位置に設けられた接続箇所(以下「第2の接続箇所」という)に接続し、 前記第4の工程は、前記第1の信号線を切り離すとともに、前記第2の信号線を前記第1の接続箇所から切り離し、当該第2の信号線を切り離した当該第1の接続箇所に、前記第1の構成部に代わる前記新構成部と前記新制御盤との通信をおこなう第5の信号線を接続し、前記第3の信号線を切り離すとともに、前記第4の信号線を前記第2の接続箇所から切り離し、当該第4の信号線を切り離した当該第2の接続箇所に、前記第2の構成部に代わる前記新構成部と前記新制御盤との通信をおこなう第6の信号線を接続する」のに対し、甲1発明は、そのような特定がない点。 イ 相違点の検討 事案に鑑み、相違点2について先に検討する。 (ア)まず、甲1における新制御盤100Aと、付属盤400が設けられた通信変換基板410との接続について検討する。甲1の[0039]には「新制御盤100Aは・・・通信変換部としての通信変換基板410が設けられた付属盤400と接続される」と記載されている。また、図4及び図11からは、新制御盤100Aに設けられた新エレベータ制御基板110Aと付属盤400に設けられた通信変換基板410とが1本の線で接続されていることが看取される。また、図8からは通信変換基板410に設けられたCPU411と新制御盤とが1本の線で接続されていることが看取される。ここで、甲1の図4、図8、図11において新制御盤100Aと通信変換基板410とが1本の線で接続されていることが、必ずしも物理的な配線1本で接続されていることを意味しているとは限らないが、少なくとも甲1には、当該1本の線が、制御対象である乗場機器やかご機器の数に対応した複数本の物理的な配線を意味するとの記載はない。また、通信変換基板410が新制御盤100Aとの接続端子を、乗場機器やかご機器の数に対応して複数備えているとの記載もない。 むしろ、甲1の[0036]には「新エレベーター制御基板110Aは・・・新シリアル通信方式、例えばCAN(Controller Area Network)通信方式により通信を行う」と記載されている。CAN通信方式は、物理的な配線の本数を削減しつつ高速な通信を実現するための規格であって、複数のデバイスを制御する場合でもデバイスの数と同数の物理的な配線やインターフェースを必要としないことが技術常識であるから、新制御盤100Aと通信変換基板410のCPU411との間は、制御対象である複数のかご機器や乗場機器の数と同じ数の物理的な配線を設けていないと解することが自然である。 (イ)次に、甲1における新旧かご機器を含めた接続関係について検討する。甲1の[0052]~[0054]には、旧かご機器300を新かご機器300Aへ取り替える工程について記載されている。具体的には、[0052]に「分割施工ステップ1のとき」「旧かご機器300の旧ケーブル(合議体注:本件発明1における「第1の信号線」に相当。以下、括弧内に本件発明1に相当する構成を示す。)は、中継ハーネス420に接続される。」と記載され、[0054]には「その後、分割施工ステップ2により、旧かご機器300を新かご機器300Aに取り替える。この際、旧かご機器300の旧ケーブル(第1の信号線)が付属盤400から外され、新かご機器300Aの新ケーブル(第5信号線)が新制御盤100Aに接続される(図11参照)。」と記載されている。しかし、これらの工程において、新制御盤100Aと通信変換基板410の間の配線(第2の信号線及び第4の信号線)を交換することは記載されていないし、示唆もされていない。 (ウ)また、甲1の[0052]における「図11において、分割施工ステップ1のとき・・・旧かご機器300の旧ケーブルは、中継ハーネス420に接続される。」との記載及び図11の上段から、分割施工ステップ1のとき、新制御盤100Aには、通信変換基板410と接続する線とは別にコネクタが存在していることが理解される。また、甲1の[0054]における「その後、分割施工ステップ2により、旧かご機器300を新かご機器300Aに取り替える。この際、旧かご機器300の旧ケーブルが付属盤400から外され、新かご機器300Aの新ケーブルが新制御盤100Aに接続される(図11参照)。」との記載及び図11の下段から、分割施工ステップ1のときに通信変換基板410と新制御盤100Aとを接続する線とは別に存在していた前記コネクタに、分割施工ステップ2において新かご機器300Aの新ケーブルが接続されていることがわかる。そのため、旧かご機器300を通信変換基板410が設けられた付属盤400から外したときに、新制御盤100Aと通信変換基板410との接続を外さなくとも、新かご機器300Aを新制御盤100Aに接続可能であると理解される。 そうすると、上記(ア)から、甲1には、新エレベーター制御基板110Aと通信変換基板410との間を、旧乗場機器や旧かご機器の数と同数の物理的な配線で接続することは記載も示唆もされておらず、CAN通信方式を採用している甲1発明において、新エレベーター制御基板110Aと通信変換基板410との間を、制御対象と同数の物理的な配線で接続するように変更すること、すなわち、相違点2の第2工程における「第2の信号線を、当該信号変換装置と当該新制御盤の所定の接続箇所(以下「第1の接続箇所」という)に接続し、」「第4の信号線を、当該信号変換装置と、当該新制御盤における前記第1の接続箇所とは別の位置に設けられた接続箇所(以下「第2の接続箇所」という)に接続」する構成とすることが、課題解決のための具体化手段における微差とはいえない。 また、上記(ア)~(ウ)から、甲1発明において通信変換基板410から旧ケーブルを外したときに、通信変換基板410と新制御盤100Aの配線も外さなければならないようにし、それに加えて、新制御盤100Aから通信変換基板410の配線を外した場所へ、新ケーブルを接続しなければならないようにすること、すなわち、相違点2の「第4の工程は、第1の信号線を切り離すとともに、第2の信号線を第1の接続箇所から切り離し、当該第2の信号線を切り離した当該第1の接続箇所に、第1の構成部に代わる新構成部と新制御盤との通信をおこなう第5の信号線を接続し、第3の信号線を切り離すとともに、第4の信号線を第2の接続箇所から切り離し、当該第4の信号線を切り離した当該第2の接続箇所に、第2の構成部に代わる新構成部と新制御盤との通信をおこなう第6の信号線を接続する」ように構成することは、課題解決のための具体化手段における微差とはいえない。 したがって、相違点1について検討するまでもなく、本件発明1は甲1発明と同一ではない。 (6)本件発明3について 本件発明3は、本件発明1の 「信号変換装置」を、さらに「前記新制御盤が出力する、当該新制御盤から前記構成部への伝達情報にかかる信号を、当該伝達情報にかかる信号と同じ意味の信号であって、前記構成部が理解できる、当該伝達情報にかかる別の信号へ変換する」ものに限定し、 「第2の信号線」を、さらに「変換して当該第1の信号線によって当該第1の構成部へ送信する信号を当該新制御盤から受信する」ものに限定し、 「第4の信号線」を、さらに「変換して当該第3の信号線によって当該第2の構成部へ送信する信号を当該新制御盤から受信」ものに限定した発明である。 そうすると、本件発明3は、本件発明1の発明特定事項を全て含む発明であるから、上記(5)イで検討したことと同様の理由で、本件発明3は甲1発明と同一ではない。 (7)本件発明5について ア 対比 本件発明5と甲1発明とを対比する。 (ア)後者の「かご6」は前者の「カゴ」に相当し、以下、同様に、「エレベーター」は「エレベーター」に、「機器」は「構成部」に、「旧機器と新機器とを取り替えるエレベーターのリニューアル方法」は「当該構成部の交換工事をおこなう交換工事方法」に、それぞれ相当する。 (イ)後者の「旧制御盤100」は、その機能からみて、前者の「制御盤」に相当する。 そうすると、後者の「旧制御盤100と当該旧機器との接続を切り離し、当該旧制御盤100を取り外す工程」は、前者の「前記構成部を制御する制御盤と当該構成部との接続を切り離し、当該制御盤を取り外す第1の工程」に相当する。 (ウ)後者の「旧機器と新制御盤100Aとを通信変換基板410を介して接続する工程」について検討する。 後者の「新制御盤100A」は、「旧シリアル通信方式と新シリアル通信方式(CAN通信方式)との間で通信方式を相互に変換する通信変換部としての通信変換基板410が設けられた付属盤400と接続され」、 「付属盤400」は、「旧かご機器300と接続され」ており、 「通信変換基板410」は、「CPU411及びRAM412を有し、新制御基板100Aの新エレベーター制御基板110Aからのデータを、旧かご機器300に対応したデータにフォーマット変換し、RAM412に記憶し、また、旧かご機器300からのデータを、新エレベーター制御基板110Aに対応したデータにフォーマット変換し、RAM412に記憶」するものであり、 「CPU411」が、「新エレベーター制御基板110Aからの求めに応じて、フォーマット変換されたデータをRAM412から取り出して出力し、旧かご機器300からの求めに応じて、フォーマット変換されたデータをRAM412から取り出して出力することにより、新エレベーター制御基板110Aと旧かご機器300とが、通信変換基板410を介して互いに通信することができる」ものである。 すなわち、付属盤400の通信変換基板410は、旧かご機器300が出力するデータを、新制御盤100Aの新エレベーター制御基板110Aに対応したデータにフォーマット変換し、かつ、新制御基板100Aの新エレベーター制御基板110Aが出力するデータを、旧かご機器300に対応したデータにフォーマット変換するものである。 そうすると、後者の「通信変換基板410」は、前者の「新制御盤が出力する、当該新制御盤から前記構成部への伝達情報にかかる信号を、当該伝達情報にかかる信号と同じ意味の信号であって、前記構成部が理解できる、当該伝達情報にかかる別の信号へ変換する信号変換装置」に相当し、同様に、「旧かご機器300と新制御盤100Aとを通信変換基板410を介して接続する工程」は、「信号変換装置を、前記構成部に接続するとともに、当該信号変換装置を前記新制御盤に接続する第2の工程」に相当する。 (エ)後者の「分割施工ステップ1と、前記分割施工ステップ1が完了すると、通常運転モードに切替える工程と」は、「分割施工ステップ1」が「旧制御盤100と当該旧かご機器300との接続を切り離し、当該旧制御盤100を取り外す工程と、旧かご機器300と新制御盤100Aとを通信変換基板410を介して接続する工程と、を有する」ことから、前者の「制御盤交換工程」と、「第1の工程」及び「第2の工程」を有する「分割工程1」である点で共通する。 (オ)後者の「少なくとも一つの旧かご機器300を、新かご機器300Aに取り替え、旧ケーブルを新ケーブルに取り替え、新ケーブルを介して、新制御盤100Aに新かご機器300Aを接続して通信可能な状態にする分割施工ステップ2~3」について検討する。 後者の「新かご機器300A」は前者の「新構成部」に相当する。 そして、後者の「分割施工ステップ2~3」は分割施工ステップ1が完了した後に行われる工程であって、「少なくとも一つの旧かご機器300を、新かご機器300Aに取り替え」る際に「旧ケーブルを新ケーブルに取り替え、新ケーブルを介して、新制御盤100Aに新かご機器300Aを接続して通信可能な状態にする」のであるから、前者の「前記制御盤交換工程による制御盤の交換が完了した後に、前記構成部の少なくとも一つと前記信号変換装置との接続を切り離し、当該構成部とは別の構成部であって、前記新制御盤が出力する、当該新制御盤からの伝達情報にかかる信号を理解できる新構成部を、前記新制御盤に接続する第4の工程」に相当する。 (カ)後者の「分割施工ステップ2~3と、前記分割施工ステップ2~3が完了すると、通常運転モードに切替える工程と」は、前者の「構成部交換工程」と、「第4の工程」を有する「分割工程2」である点で共通する。 (キ)上記(ア)~(カ)から、本件発明5と甲1発明とは、次の一致点2で一致し、相違点3及び4で相違すると認められる。 <一致点2> 「カゴが一つのみ設けられたエレベーターであって、複数の構成部を備えた当該エレベーターの当該構成部の交換工事をおこなう交換工事方法において、 前記構成部を制御する制御盤と当該構成部との接続を切り離し、当該制御盤を取り外す第1の工程と、 新制御盤が出力する、当該新制御盤から前記構成部への伝達情報にかかる信号を、当該伝達情報にかかる信号と同じ意味の信号であって、前記構成部が理解できる、当該伝達情報にかかる別の信号へ変換する信号変換装置を、前記構成部に接続するとともに、当該信号変換装置を前記新制御盤に接続する第2の工程と、 を有する分割工程1と、 前記制御盤交換工程による制御盤の交換が完了した後に、前記構成部の少なくとも一つと前記信号変換装置との接続を切り離し、当該構成部とは別の構成部であって、前記新制御盤が出力する、当該新制御盤からの伝達情報にかかる信号を理解できる新構成部を、前記新制御盤に接続する第4の工程と、 を有する分割工程2と、 を含む交換工事方法。」 <相違点3> 「分割工程1」及び「分割工程2」について、本件発明5は、第2の工程の後に、「前記第2の工程による接続の動作確認をおこなう第3の工程」を有し、第4の工程の後に「前記第4の工程による接続の動作確認をおこなう第5の工程」を有するのに対し、 甲1発明は、「前記分割施工ステップ1が完了すると、通常運転モードに切替える工程」を有し、「前記分割施工ステップ2~3が完了すると、通常運転モードに切替える工程」を有するものの、それぞれの通常運転モードに切替える工程において「接続の動作確認をおこなう」ことについての特定がない点。 <相違点4> 本件発明5は、 「前記第2の工程は、前記構成部のうちの第1の構成部と前記信号変換装置に第1の信号線を接続するとともに、変換して当該第1の信号線によって当該第1の構成部へ送信する信号を当該新制御盤から受信する第2の信号線を、当該信号変換装置と当該新制御盤の所定の接続箇所(以下「第1の接続箇所」という)に接続し、前記構成部のうちの第2の構成部と前記信号変換装置に第3の信号線を接続するとともに、変換して当該第3の信号線によって当該第2の構成部へ送信する信号を当該新制御盤から受信する第4の信号線を、当該信号変換装置と、当該新制御盤における前記第1の接続箇所とは別の位置に設けられた接続箇所(以下「第2の接続箇所」という)に接続し、 前記第4の工程は、前記第1の信号線を切り離すとともに、前記第2の信号線を前記第1の接続箇所から切り離し、当該第2の信号線を切り離した当該第1の接続箇所に、前記第1の構成部に代わる前記新構成部と前記新制御盤との通信をおこなう第5の信号線を接続し、前記第3の信号線を切り離すとともに、前記第4の信号線を前記第2の接続箇所から切り離し、当該第4の信号線を切り離した当該第2の接続箇所に、前記第2の構成部に代わる前記新構成部と前記新制御盤との通信をおこなう第6の信号線を接続する」のに対し、甲1発明は、そのような特定がない点。 イ 相違点の検討 事案に鑑み、上記相違点4について先に検討する。 上記(5)イで検討したとおり、相違点4に係る構成は、甲1に記載も示唆もされていない。また、当該構成が、課題解決のための具体化手段における微差であるともいえない。 したがって、相違点3について検討するまでもなく、本件発明5は甲1発明と同一ではない。 (8)本件発明6について 本件発明6は、本件発明5の 「信号変換装置」を、さらに「前記構成部が出力する、当該構成部から前記制御盤への伝達情報にかかる信号を、当該信号と同じ意味の信号であって、前記制御盤とは別の種類の新制御盤が理解できる、当該伝達情報にかかる別の信号へ変換」するものに限定し、 「第2の信号線」を、さらに「当該第1の信号線によって受信する当該第1の構成部からの信号を変換した信号を前記新制御盤へ送信」するものに限定し、 「第4の信号線」を、さらに「当該第3の信号線によって受信する当該第2の構成部からの信号を変換した信号を前記新制御盤へ送信」ものに限定した発明である。 そうすると、本件発明6は、本件発明5の発明特定事項を全て含む発明であるから、上記(5)イで検討したことと同様の理由で、本件発明6は甲1発明と同一ではない。 (9)本件発明7について 本件発明7は、本件発明1の 「信号変換装置」を、さらに「前記新制御盤が出力する、当該新制御盤から前記構成部への伝達情報にかかる信号を、当該伝達情報にかかる信号と同じ意味の信号であって、前記構成部が理解できる、当該伝達情報にかかる別の信号へ変換する」ものに限定し、 「新構成部」を、さらに「前記新制御盤が出力する、当該新制御盤からの伝達情報にかかる信号を理解できる」ものに限定し、 「第2の信号線」を、さらに「変換して当該第1の信号線によって当該第1の構成部へ送信する信号を当該新制御盤から受信する」ものに限定し、 「第4の信号線」を、さらに「変換して当該第3の信号線によって当該第2の構成部へ送信する信号を当該新制御盤から受信」ものに限定した発明である。 そうすると、本件発明7は、本件発明1の発明特定事項を全て含む発明であるから、上記(5)イで検討したことと同様の理由で、本件発明7は甲1発明と同一ではない。 (10)申立人の主張について 申立人は、令和5年12月26日の意見書において、 「甲第1号証の図4には、通信変換基板(410)と新制御盤(100A)とが「新乗場通信」及び「新かご通信」のそれぞれに対応する2本の信号線によって別々に接続されていることが記載されているといえます。従って、甲第1号証の図4には、通信変換基板(410)と新制御盤(100A)とを繋ぐ「新乗場通信」に対応する信号線、即ち旧乗場機器(200)にかかる第2の信号線の新制御盤(100A)における接続箇所と、通信変換基板(410)と新制御盤(100A)とを繋ぐ「新かご通信」に対応する信号線、即ち旧かご機器(300)にかかる第4の信号線の新制御盤(100A)における接続箇所とが別々の位置となっていることが記載されているといえます。」(第3ページ第21~29行)、 「甲第1号証の各図において信号線の実際の接続箇所が同じであってもブロックにおける信号線の接続箇所の表示が異なっていることがあることを踏まえると、甲第1号証において、「新乗場通信」に対応する信号線の新制御盤(100A)における実際の接続箇所が図4と図9とで同じであってもよいこと、また「新かご通信」に対応する信号線の新制御盤(100A)における実際の接続箇所が図4と図9とで同じであってもよいことが甲第1号証に示唆されていることは、当業者にとって明らかです。」(第4ページ第21~27行)、 「甲第1号証の図9において、「新乗場通信」に対応する信号線、即ち新乗場機器(200A)にかかる第5の信号線と、「新かご通信」に対応する信号線、即ち新かご機器(300A)にかかる第6の信号線とを接続する新制御盤(100A)における実際の箇所を図4と同じにすることは、甲第1号証の明細書、特許請求の範囲又は図面(「明細書等」)に記載されている事項から出願時の技術常識を参酌することにより導き出せる事項であるといえます。」(第4ページ第30~34行)と主張する。 しかしながら、上記(5)イで検討したとおり、通信変換基板(410)と新制御盤(100A)とが「新乗場通信」及び「新かご通信」のそれぞれに対応する2本の信号線によって別々に接続されているとはいえないし、「新乗場通信」及び「新かご通信」に対応する信号線の新制御盤(100A)における実際の接続箇所が図4と図9とで同じともいえない。そして、甲1発明におい て、新エレベーター制御基板110Aと通信変換基板410との間を、旧乗場機器及び旧かご機器に対応した異なる配線で異なる接続箇所へ接続するようにすること、及び、通信変換基板410から旧かご機器のケーブルを外したときに、通信変換基板410と新制御盤100Aの配線も外さなければならないようにするとともに、新制御盤100Aから通信変換基板410の配線を外した場所へ、新かご機器のケーブルを接続しなければならないようにすることは、いずれも、課題解決のための具体化手段における微差とはいえないから、申立人の上記主張は採用できない。 (11)小括 以上のとおりであるから、上記第4の理由1によって取り消すことはできない。 2 理由2(サポート要件)について 本件訂正により、請求項2、4、9~11は削除されたため、上記第4の理由2によって取り消すことはできない。 3 取消理由通知で採用しなかった特許異議申立理由について 申立人は、特許異議申立書において、請求項1に係る発明について、第3の工程及び第5の工程における動作確認を行うために、それぞれ、新制御盤が信号変換装置を介して構成部を制御すること、及び、新制御盤が出力する信号を新構成部が理解できることが前提となるところ、当該前提が特定されていないとし、 また、請求項3に係る発明について、第5の工程における動作確認を行うために、新制御盤が出力する信号を新構成部が理解できることが前提となるところ、当該前提が特定されていないとし、 請求項1及び3において、発明の詳細な説明に記載された、発明の課題を解決するための手段が反映されていないため、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えたものとなっているため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件(サポート要件)を満たさない旨主張する(3.(4)キ参照)。 しかしながら、本件発明1は、第2の工程において、「前記構成部が出力する、当該構成部から前記制御盤への伝達情報にかかる信号を、当該信号と同じ意味の信号であって、前記制御盤とは別の種類の新制御盤が理解できる、当該伝達情報報にかかる別の信号へ変換する信号変換装置を、前記構成部に接続するとともに、当該信号変換装置を前記新制御盤に接続する」ことと、第4の工程において、「前記新制御盤が理解できる、当該新制御盤への伝達情報にかかる信号を出力する新構成部を、前記新制御盤に接続する」ことを含む方法であるところ、段落【0056】には「また、構成部は、たとえば、エレベーター100のセンサー機構によって実現することができる。」「これらの各種センサは、制御盤106に対して上り信号を出力する。」と記載されていることから、本件発明1では構成部として上り信号のみを必要とする各種センサも想定されており、交換対象の構成部及び新構成部がこれらの各種センサであれば、第3の工程及び第5の工程において動作確認をすることは可能であるから、本件特許明細書等の段落【0007】に記載する、エレベーターの利用者に不便をかけることなく、エレベーターのリニューアルをおこなうことができる交換工事方法を提供するという発明の課題を解決できるといえる。 同様に、本件発明3は、第2の工程において、「前記構成部が出力する、当該構成部から前記制御盤への伝達情報にかかる信号を、当該信号と同じ意味の信号であって、前記制御盤とは別の種類の新制御盤が理解できる、当該伝達情報にかかる別の信号へ変換し、かつ、前記新制御盤が出力する、当該新制御盤から前記構成部への伝達情報にかかる信号を、当該伝達情報にかかる信号と同じ意味の信号であって、前記構成部が理解できる、当該伝達情報にかかる別の信号へ変換する信号変換装置を、前記構成部に接続するとともに、当該信号変換装置を前記新制御盤に接続する」ことと、第4の工程において、「前記新制御盤が理解できる、当該新制御盤への伝達情報にかかる信号を出力する新構成部を、前記新制御盤に接続する」ことを含む方法であり、特に、構成部及び新構成部が、「巻上機104、電磁ブレーキ107、扉101aを開閉させるモーター」のように「下り信号にしたがって動作する」(段落【0054】参照。)ものであれば、第3の工程及び第5の工程において動作確認することは可能であるから、上記発明の課題を解決できるといえる。 よって、申立人の上記主張は採用できない。 第6 むすび 以上のとおり、請求項1、3、5~7に係る特許については、取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由並びに特許異議申立書に記載された特許異議申立理由及び証拠によって、取り消すことはできない。さらに、他に請求項1、3、5~7に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 また、請求項2、4、8~11に係る特許は、上記のとおり訂正により削除されたことにより、申立人による請求項2、4、8~11に対する特許異議の申立ては対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。 よって、結論のとおり決定する。

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2022-700542

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