特許異議申立
2022-701070
エレベーター制御方法、エレベーター制御システム、ロボット制御方法およびコンピュータプログラム
- 審判番号
- 2022-701070
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2020-178417
- 登録番号
- 7071475
- 請求日
- 2022年11月01日
- 審決日
- 2023年06月30日
- 公報発行日
- 2023年11月24日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】ネイバーラボス コーポレーション
- 【権利者代理人】伊東 忠重
- 【権利者代理人】伊東 忠彦
- 【権利者代理人】宮崎 修
- 【異議申立人】角田 朗
- 審判長/審判官
- 審判長 平田 信勝
- 審判官 内田 博之
- 審判官 尾崎 和寛
- 分類
- P1651.121-YAA(B66B) / P1651.536-YAA(B66B) / P1651.537-YAA(B66B)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法120条の8第1項特許法135条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第9項、特許法第36条第6項第1号、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第2項、特許法第36条第4項第1号、特許法第126条第7項、特許法第120条の5第4項、特許法第120条の8第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7071475号発明「エレベーター制御方法、ロボット制御方法およびコンピュータプログラム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7071475号の明細書及び特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~5、7、9~16〕、6、8、17、18について訂正することを認める。
特許第7071475号の請求項6、8、11、13~16及び18に係る特許を維持する。
特許第7071475号の請求項1~5、7、9、10、12及び17に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7071475号(以下、「本件特許」という。)の請求項1~18に係る特許は、令和2年10月23日(パリ条約による優先権主張2019年(令和1年)10月25日(KR)韓国)の出願であって、令和4年5月10日にその特許権の設定登録がされ、同年5月19日に特許掲載公報が発行された。その後、特許異議申立人角田朗(以下、「異議申立人」という。)から本件特許の請求項1~18に係る特許について特許異議の申立てがあったものである。
本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
令和4年11月 1日 :異議申立人による特許異議の申立て
令和5年 2月22日付け:取消理由通知書
令和5年 5月26日 :特許権者による訂正請求書及び意見書の提出
第2 訂正の請求についての判断
1 訂正の内容
令和5年5月26日の訂正請求書による訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、以下のとおりである。(下線は訂正箇所である。)
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1~5、7、9、10、12及び17を削除する。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項6に
「 前記外部ユーザインタフェースは、前記ロボットが搭乗中であること、または前記エレベーターが前記ロボットの搭乗のための専用エレベーターとして使用中であることを表示するが、前記エレベーターが上昇中または下降中であること、前記エレベーターの現在位置、および前記エレベーターの停車予定の階を表示しないように構成される、
請求項1に記載のエレベーター制御方法。」と記載されているのを、
「 ロボット搭乗のためにシステムが実行するエレベーター制御方法であって、
建物内の階の間を移動するエレベーター内に、前記階のうちの少なくとも1つの階でサービスを提供する少なくとも1つのロボットが搭乗することを感知する段階、および
前記ロボットがサービスを提供する階に移動するように前記エレベーターを制御する段階
を含み、
前記エレベーターの内部ユーザインタフェースおよび前記エレベーターの外部ユーザインタフェースのうちの少なくとも1つは、前記ロボットの前記エレベーターの使用の有無を示すように構成され、
前記内部ユーザインタフェースは、前記エレベーター内に前記ロボットが搭乗すると、前記ロボットがサービスを提供する階を表示するように構成されており、
前記外部ユーザインタフェースは、前記ロボットが搭乗中であること、または前記エレベーターが前記ロボットの搭乗のための専用エレベーターとして使用中であることを表示するが、前記エレベーターが上昇中または下降中であること、前記エレベーターの現在位置、および前記エレベーターの停車予定の階を表示しないように構成されている、エレベーター制御方法。」に訂正する。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項8に
「 前記エレベーターの扉が開き、前記ロボットの搭乗、または搭乗していたロボットの降車がなされている場合に、前記内部ユーザインタフェースは、前記エレベーターに搭乗しているユーザが前記エレベーターの扉を強制的に閉めることができないように扉閉ボタンを無効化させるように構成されている、
請求項1に記載のエレベーター制御方法。」と記載されているのを、
「 ロボット搭乗のためにシステムが実行するエレベーター制御方法であって、
建物内の階の間を移動するエレベーター内に、前記階のうちの少なくとも1つの階でサービスを提供する少なくとも1つのロボットが搭乗することを感知する段階、および
前記ロボットがサービスを提供する階に移動するように前記エレベーターを制御する段階
を含み、
前記エレベーターの内部ユーザインタフェースおよび前記エレベーターの外部ユーザインタフェースのうちの少なくとも1つは、前記ロボットの前記エレベーターの使用の有無を示すように構成され、
前記内部ユーザインタフェースは、前記エレベーター内に前記ロボットが搭乗すると、前記ロボットがサービスを提供する階を表示するように構成されており、
前記エレベーターの扉が開き、前記ロボットの搭乗、または搭乗していたロボットの降車がなされている場合に、前記内部ユーザインタフェースは、前記エレベーターに搭乗しているユーザが前記エレベーターの扉を強制的に閉めることができないように扉閉ボタンを無効化させるように構成されている、エレベーター制御方法。」に訂正する。
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項16に「請求項1~15」と記載されているのを、
「請求項6、8、11、13~15」に訂正する。
(5)訂正事項5
明細書の発明の名称に「エレベーター制御方法、エレベーター制御システム、ロボット制御方法およびコンピュータプログラム」と記載されているのを、
「エレベーター制御方法、ロボット制御方法およびコンピュータプログラム」に訂正する。
2 訂正の要件
訂正事項1は、訂正前の請求項1~5、7、9、10、12及び17を削除するものであって、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるといえるから、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合し、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しないことが明らかであるから、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合する。
訂正事項2及び3は、訂正前の請求項6及び8が請求項1の記載を引用するものであったところ、独立請求項形式に記載を改め請求項1の記載を引用しないものとする訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものであり、また、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しないことが明らかであるから、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項及び第6項に適合する。
訂正事項4は、訂正前の請求項16が請求項1~15のいずれか一項の記載を引用するものであったところ、訂正事項1で削除された請求項1~5、7、9、10及び12の記載を引用しないことで、訂正後の請求項16に係る発明を明確にするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。そして、訂正事項4は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しないことが明らかであるから、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項及び第6項に適合する。
訂正事項5は、発明の名称から、訂正事項1で削除された請求項17に係る発明である「エレベーター制御システム」を明細書の発明の名称から削除する訂正であって、発明の名称の記載と特許請求の範囲の記載とを整合させる訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。そして、訂正事項5は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しないことが明らかであるから、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項及び第6項に適合する。
そして、発明の名称は全ての請求項に関係するものであり、本件訂正の請求は全ての請求項に対してなされている。よって、訂正事項5は、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第4項に適合する。
3 独立特許要件
本件特許異議の申立ては、訂正前の請求項1~18に対してなされており、訂正前の請求項1~18に対応する訂正後の請求項1~18に対して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
4 一群の請求項
訂正事項5は発明の名称の訂正であるから全請求項にかかる訂正といえるところ、訂正前の請求項1~16において、請求項16は請求項1~15の記載を引用するものであるから、訂正前の請求項1~16に対応する訂正後の請求項1~16は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。
5 別の訂正単位とする求めについて
特許権者は、本件訂正において、請求項6及び8に係る訂正が認められる場合、訂正後の請求項6及び8については、それぞれ一群の請求項の他の請求項とは別途訂正することを求めている。
6 小括
上記のとおり、訂正事項1~5に係る訂正は、訂正の要件を満たしている。
したがって、明細書及び特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~5、7、9~16〕、6、8、17、18について訂正することを認める。
第3 訂正後の本件発明
上記第2のとおり本件訂正は認められるから、本件特許の請求項6、8、11、13、14、15、16及び18に係る発明(以下それぞれ「本件発明6」、「本件発明8」、「本件発明11」、「本件発明13」、「本件発明14」、「本件発明15」、「本件発明16」及び「本件発明18」といい、総称して「本件発明」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項6、8、11、13、14、15、16及び18に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項6】
ロボット搭乗のためにシステムが実行するエレベーター制御方法であって、
建物内の階の間を移動するエレベーター内に、前記階のうちの少なくとも1つの階でサービスを提供する少なくとも1つのロボットが搭乗することを感知する段階、および
前記ロボットがサービスを提供する階に移動するように前記エレベーターを制御する段階
を含み、
前記エレベーターの内部ユーザインタフェースおよび前記エレベーターの外部ユーザインタフェースのうちの少なくとも1つは、前記ロボットの前記エレベーターの使用の有無を示すように構成され、
前記内部ユーザインタフェースは、前記エレベーター内に前記ロボットが搭乗すると、前記ロボットがサービスを提供する階を表示するように構成されており、
前記外部ユーザインタフェースは、前記ロボットが搭乗中であること、または前記エレベーターが前記ロボットの搭乗のための専用エレベーターとして使用中であることを表示するが、前記エレベーターが上昇中または下降中であること、前記エレベーターの現在位置、および前記エレベーターの停車予定の階を表示しないように構成されている、エレベーター制御方法。
【請求項8】
ロボット搭乗のためにシステムが実行するエレベーター制御方法であって、
建物内の階の間を移動するエレベーター内に、前記階のうちの少なくとも1つの階でサービスを提供する少なくとも1つのロボットが搭乗することを感知する段階、および
前記ロボットがサービスを提供する階に移動するように前記エレベーターを制御する段階
を含み、
前記エレベーターの内部ユーザインタフェースおよび前記エレベーターの外部ユーザインタフェースのうちの少なくとも1つは、前記ロボットの前記エレベーターの使用の有無を示すように構成され、
前記内部ユーザインタフェースは、前記エレベーター内に前記ロボットが搭乗すると、前記ロボットがサービスを提供する階を表示するように構成されており、
前記エレベーターの扉が開き、前記ロボットの搭乗、または搭乗していたロボットの降車がなされている場合に、前記内部ユーザインタフェースは、前記エレベーターに搭乗しているユーザが前記エレベーターの扉を強制的に閉めることができないように扉閉ボタンを無効化させるように構成されている、エレベーター制御方法。
【請求項11】
ロボット搭乗のためにシステムが実行するエレベーター制御方法であって、
建物内の階の間を移動するエレベーター内に、前記階のうちの少なくとも1つの階でサービスを提供する少なくとも1つのロボットが搭乗することを感知する段階、および
前記ロボットがサービスを提供する階に移動するように前記エレベーターを制御する段階
を含み、
前記エレベーターの内部ユーザインタフェースおよび前記エレベーターの外部ユーザインタフェースのうちの少なくとも1つは、前記ロボットの前記エレベーターの使用の有無を示すように構成され、
前記内部ユーザインタフェースは、他のロボットが前記エレベーターに搭乗する階に関する情報を表示するように構成されている、エレベーター制御方法。
【請求項13】
ロボット搭乗のためにシステムが実行するエレベーター制御方法であって、
建物内の階の間を移動するエレベーター内に、前記階のうちの少なくとも1つの階でサービスを提供する少なくとも1つのロボットが搭乗することを感知する段階、および
前記ロボットがサービスを提供する階に移動するように前記エレベーターを制御する段階
を含み、
前記エレベーターの内部ユーザインタフェースおよび前記エレベーターの外部ユーザインタフェースのうちの少なくとも1つは、前記ロボットの前記エレベーターの使用の有無を示すように構成され、
前記エレベーター制御方法は、
前記ロボットを制御するロボット制御システムから呼び出しを受信する段階、
前記呼び出しが示す階に移動するためにエレベーターを選択する段階、および
前記選択されたエレベーターへの搭乗のための待機空間に所定の数以上のユーザまたはロボットが存在する場合、前記選択されたエレベーターに対する呼び出しの取消を前記ロボット制御システムから受信する段階、
前記呼び出しが示す階に移動するために他のエレベーターを選択する段階、および
前記呼び出しが示す階に前記他のエレベーターが移動するように前記他のエレベーターを制御する段階
をさらに含む、エレベーター制御方法。
【請求項14】
ロボット搭乗のためにシステムが実行するエレベーター制御方法であって、
建物内の階の間を移動するエレベーター内に、前記階のうちの少なくとも1つの階でサービスを提供する少なくとも1つのロボットが搭乗することを感知する段階、および
前記ロボットがサービスを提供する階に移動するように前記エレベーターを制御する段階
を含み、
前記エレベーターの内部ユーザインタフェースおよび前記エレベーターの外部ユーザインタフェースのうちの少なくとも1つは、前記ロボットの前記エレベーターの使用の有無を示すように構成され、
前記エレベーター制御方法は、
前記エレベーターにこれ以上のロボットが搭乗するだけの十分な空間がないと判断されたときには、前記エレベーターを満員状態として設定する段階
をさらに含み、
前記満員状態として設定されたエレベーターは、呼び出し不可状態に設定され、
前記エレベーターの内部ユーザインタフェースは、前記満員状態を示すインジケータが出力されるように構成され、
前記インジケータは、前記エレベーターに搭乗したユーザまたはロボットが降車して前記エレベーターにロボットが搭乗するだけの十分な空間が確保されるまで出力され、
前記エレベーターにロボットが搭乗するだけの十分な空間が確保されると、前記エレベーターは呼び出し可能状態に設定される、エレベーター制御方法。
【請求項15】
ロボット搭乗のためにシステムが実行するエレベーター制御方法であって、
建物内の階の間を移動するエレベーター内に、前記階のうちの少なくとも1つの階でサービスを提供する少なくとも1つのロボットが搭乗することを感知する段階、および
前記ロボットがサービスを提供する階に移動するように前記エレベーターを制御する段階
を含み、
前記エレベーターの内部ユーザインタフェースおよび前記エレベーターの外部ユーザインタフェースのうちの少なくとも1つは、前記ロボットの前記エレベーターの使用の有無を示すように構成され、
前記エレベーター制御方法は、
前記ロボットを制御するロボット制御システムから呼び出しを受信する段階、
前記呼び出しが示す階に移動するためにエレベーターを選択する段階、および
前記選択されたエレベーターが、前記呼び出しが示す階に移動するように前記選択されたエレベーターを制御する段階
をさらに含み、前記エレベーター制御方法は、
前記建物内で前記ロボット制御システムによって制御される複数のロボットがサービスを提供する段階をさらに含み、
前記呼び出しを受信する段階は、前記ロボット制御システムから前記複数のロボットと連関する呼び出しを受信し、
前記選択する段階は、前記呼び出しそれぞれが示す階に移動するためにエレベーターを選択し、
前記選択されたエレベーターを制御する段階は、
前記複数のロボットのうち、前記選択されたエレベーターからより後に降りるロボットが、前記選択されたエレベーターにより先に搭乗するように前記選択されたエレベーターを制御する、エレベーター制御方法。
【請求項16】
請求項6、8、11、13~15のうちのいずれか一項に記載のエレベーター制御方法をコンピュータに実行させるコンピュータプログラム。
【請求項18】
エレベーターで建物の階の間を移動してサービスを提供するロボットを制御するロボット制御システムが実行するロボット制御方法であって、
エレベーターを制御するシステムに、前記ロボットが位置する階および前記ロボットがサービスを提供する階に関する情報を含む呼び出しを送信する段階、
前記呼び出しに従って、前記ロボットが位置する階に移動するエレベーターに前記ロボットが搭乗するように前記ロボットを制御する段階、
前記エレベーターは、前記ロボットがサービスを提供する階に関する情報に基づき、前記ロボットがサービスを提供する階に自動的に移動し、前記エレベーターが、前記ロボットがサービスを提供する階に到着すると、前記エレベーターから前記ロボットが降りるように前記ロボットを制御する段階、および
前記ロボットが前記サービスを提供する階で前記サービスを提供するように前記ロボットを制御する段階
を含み、ロボット制御方法は、前記呼び出しに従って前記ロボットが位置する階に移動するエレベーターの待機空間に所定の数以上のユーザまたはロボットが存在する場合、または前記ロボットが位置する階に移動したエレベーターに前記ロボットが搭乗できない場合には、前記エレベーターを制御するシステムに、前記呼び出しの取消を送信し、他のエレベーターを要求するための呼び出しを送信する段階
をさらに含む、ロボット制御方法。」
第4 取消理由通知に記載した取消理由
当審が令和5年2月22日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
(進歩性)本件特許の請求項1~5、7、9、10、12及び17に係る発明と、請求項1~5、7、9、10又は12の記載を引用する請求項16に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の引用文献1~6に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~5、7、9、10、12、16及び17に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
引用文献1:国際公開第2018/066054号(異議申立人が提出した甲第1号証)
引用文献2:特開2009-51617号公報(周知例:異議申立人が提出した甲第2号証)
引用文献3:特開平4-32471号公報(周知例)
引用文献4:特開2001-171918号公報(周知例)
引用文献5:国際公開第2017/072835号(異議申立人が提出した甲第3号証)
引用文献6:国際公開第2018/066057号(異議申立人が提出した甲第5号証)
第5 取消理由についての当審の判断
本件特許の特許請求の範囲の請求項1~5、7、9、10、12及び17は、本件訂正により削除されたため、上記第4における特許請求の範囲の請求項1~5、7、9、10、12、16及び17に係る特許についての取消理由は、その対象が存在しないものとなった。
第6 取消理由において採用しなかった特許異議の申立ての理由について
1 特許法第29条第2項(進歩性)の理由について
(1)申立人の主張及び証拠方法
申立人は、令和4年11月1日付け特許異議申立書(以下、「申立書」という。)の3.(4)イ(ア)~(ク)において、証拠として甲第1~8号証を提出し、請求項1~18に係る発明は、甲第1号証に記載された発明と、甲第2~8号証に記載された事項及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~18に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである旨主張する。
甲第1号証:国際公開第2018/066054号(上記引用文献1)
甲第2号証:特開2009-51617号公報(上記引用文献2)
甲第3号証:国際公開第2017/072835号(上記引用文献5)
甲第4号証:特表2014-532609号公報
甲第5号証:国際公開第2018/066057号(上記引用文献6)
甲第6号証:特許第6194061号公報
甲第7号証:特開平11-147675号公報
甲第8号証:特開2013-216408号公報
(2)甲第1~8号証の記載等
ア 甲第1号証の記載事項等
甲第1号証には、図面とともに、以下の事項が記載されている(下線は、当審において付与した。以下同様。)。
(ア)「[0011] 実施の形態1.
図1はこの発明の実態の形態1におけるエレベーター制御装置が適用されるエレベーターシステムと自律移動体制御装置が適用される自律移動体システムとの構成図である。
[0012] 図1のエレベーターシステムにおいて、昇降路1は、建築物の各階を貫く。例えば、複数の乗場2の各々は、建築物の各階に設けられる。複数の乗場2の各々は、昇降路1に対向する。少なくとも一つのかご3は、昇降路1の内部に設けられる。
[0013] 複数の乗場表示器4の各々は、複数の乗場2の各々に設けられる。複数の乗場表示灯5の各々は、複数の乗場2の各々に設けられる。複数の乗場スピーカー6の各々は、複数の乗場2の各々に設けられる。
[0014] かごカメラ7は、かご3の内部に設けられる。かご表示器8は、かご3の内部に設けられる。かご表示灯9は、かご3の内部に設けられる。かごスピーカー10は、かご3の内部に設けられる。かご投影器11は、かご3の内部に設けられる。」
(イ)「[0016] 図1の自律移動体システムにおいて、自律移動体13は、人が操作せずとも自律移動し得る機械装置である。例えば、自律移動体13は、ロボットである。例えば、自律移動体13は、パーソナルモビリティである」
(ウ)「[0020] エレベーター制御装置12は、エレベーターの動作を制御する。
[0021] 例えば、エレベーター制御装置12は、エレベーターの呼びに基づいてかご3の動作を制御する。エレベーター制御装置12は、利用者または自律移動体13の乗場呼びに基づいてかご3の動作を制御する。この際の乗場呼びは、かご3の出発階と利用者の上下方向の希望進行方向とかご3の行先階と自律移動体13の個体識別子と自律移動体13が機械であることを示す機械識別子の一部または全部に対応した情報である。例えば、エレベーター制御装置12は、利用者または自律移動体13のかご呼びに基づいてかご3の動作を制御する。この際のかご呼びは、行先階に対応した情報である。複数のかご3が存在する場合、エレベーター制御装置12は、エレベーターの呼びに応答する割当かごを決定する。」
(エ)「[0023] 自律移動体制御装置19は、自律移動体13の動作を制御する。」
(オ)「[0028] 例えば、エレベーター制御装置12は、自律移動体制御装置19から自律移動体13の乗場呼びを受信する。
[0029]例えば、自律移動体制御装置19は、複数のかご3が存在する場合にエレベーター制御装置12から割当かごに関する情報を受信する。例えば、自律移動体制御装置19は、エレベーター制御装置12からかご3が停止可能な最寄階に関する情報を受信する。例えば、自律移動体制御装置19は、エレベーター制御装置12からかご3が乗場呼びに応答する周回数に関する情報を受信する。例えば、自律移動体制御装置19は、エレベーター制御装置12からかご3の走行方向に関する情報を受信する。例えば、自律移動体制御装置19は、エレベーター制御装置12からかご3の乗場呼び応答時の減速開始に関する情報を受信する。例えば、自律移動体制御装置19は、エレベーター制御装置12からかご3のかご呼び応答時の減速開始に関する情報を受信する。
[0030] エレベーター制御装置12は、エレベーター報知制御部20を備える。エレベーター報知制御部20は、自律移動体13のエレベーターの呼びに基づいて当該自律移動体13のかご3に対する乗降を示す情報を当該自律移動体13の存在階の乗場2に設けられた機器またはかご3に設けられた機器に報知させる。
[0031] 例えば、エレベーター報知制御部20は、乗車報知制御部20aと降車報知制御部20bと立ち位置検出部20cと乗車位置報知制御部20dと立ち位置移動促進部20eとを備える。
[0032] 例えば、乗車報知制御部20aは、自律移動体13の乗場呼びを受信した際に当該自律移動体13の存在階の乗場2に設けられた乗場表示器4と乗場表示灯5と乗場スピーカー6とのうちの少なくとも1つに当該自律移動体13がかご3に乗車することを報知させる。この際、乗場表示器4は、乗車報知制御部20aの制御に基づいて自律移動体13がかご3に乗車する旨を表示する。乗場表示灯5は、乗車報知制御部20aの制御に基づいて自律移動体13がかご3に乗車することを示す文字が記載されたプレートの裏側から光を照らすことにより当該文字を表示する。乗場スピーカー6は、乗車報知制御部20aの制御に基づいて自律移動体13がかご3に乗車する旨を音声出力する。
[0033] 例えば、降車報知制御部20bは、自律移動体13のかご呼びを受信した際に当該かご呼びに対応した行先階の乗場2に設けられた乗場表示器4と乗場表示灯5と乗場スピーカー6とのうちの少なくとも1つに当該自律移動体13がかご3から降車することを報知させる。この際、乗場表示器4は、降車報知制御部20bの制御に基づいて自律移動体13がかご3から降車する旨を表示する。乗場表示灯5は、降車報知制御部20bの制御に基づいて自律移動体13がかご3から降車することを示す文字が記載されたプレートの裏側から光を照らすことにより当該文字を表示する。乗場スピーカー6は、降車報知制御部20bの制御に基づいて自律移動体13がかご3から降車する旨を音声出力する。
[0034] 例えば、乗車報知制御部20aは、自律移動体13の乗場呼びを受信し、かご3の停止可能な最寄階と当該自律移動体13の存在階とが一致した際に、かご表示器8とかご表示灯9とかごスピーカー10とのうちの少なくとも1つに当該自律移動体13がかご3に乗車することを報知させる。この際、かご表示器8は、乗車報知制御部20aの制御に基づいて自律移動体13がかご3に乗車する旨を表示する。かご表示灯9は、乗車報知制御部20aの制御に基づいて自律移動体13がかご3に乗車することを示す文字が記載されたプレートの裏側から光を照らすことにより当該文字を表示する。かごスピーカー10は、乗車報知制御部20aの制御に基づいて自律移動体13がかご3に乗車する旨を音声出力する。
[0035] 例えば、降車報知制御部20bは、自律移動体13のかご呼びを受信し、かご3の停止可能な最寄階と当該自律移動体13の存在階とが一致した際に、かご表示器8とかご表示灯9とかごスピーカー10とのうちの少なくとも1つに当該自律移動体13がかご3から降車することを報知させる。この際、かご表示器8は、降車報知制御部20bの制御に基づいて自律移動体13が降車する旨を表示する。かご表示灯9は、降車報知制御部20bの制御に基づいて自律移動体13がかご3から降車することを示す文字が記載されたプレートの裏側から光を照らすことにより当該文字を表示する。かごスピーカー10は、降車報知制御部20bの制御に基づいて自律移動体13がかご3から降車する旨を音声出力する。
[0036] 例えば、立ち位置検出部20cは、かご3の内部の利用者または自律移動体13の立ち位置を検出する。例えば、立ち位置検出部20cは、かごカメラ7の画像を解析することによりかご3の内部の利用者または自律移動体13の立ち位置を検出する。例えば、乗車位置報知制御部20dは、かご表示器8とかご投影器11とのうちの少なくとも1つに立ち位置検出部20cにより検出された利用者または自律移動体13の立ち位置以外の位置をかご3に乗る自律移動体13の乗車位置として表示させる。例えば、立ち位置検出部20cにより検出された利用者の立ち位置が乗車位置報知制御部20dにより報知された乗車位置と重なる際、立ち位置移動促進部20eは、かご表示器8とかご表示灯9とかごスピーカー10とのうちの少なくとも1つに当該利用者に対して立ち位置の移動の促進を報知させる。」
(カ)「[0040] 例えば、乗車報知制御部21aは、当該自律移動体13の自律移動体ライト15と自律移動体表示器16と自律移動体スピーカー17と自律移動体投影器18とのうちの少なくとも1つに当該自律移動体13がかご3に乗車することを報知させる。この際、自律移動体ライト15は、乗車報知制御部21aの制御に基づいて予め設定された点灯を実施する。自律移動体表示器16は、乗車報知制御部21aの制御に基づいて自律移動体13がかご3に乗車する旨を表示する。自律移動体スピーカー17は、乗車報知制御部21aの制御に基づいて自律移動体13がかご3に乗車する旨を音声出力する。自律移動体投影器18は、乗車報知制御部21aの制御に基づいて自律移動体13がかご3に乗車する旨を投影する。
[0041] 報知が開始されるタイミングは、適宜設定される。例えば、乗車報知制御部21aは、応答するかご3が決まった際に報知を開始させる。例えば、乗車報知制御部21aは、かご3が通常の減速度で停止可能な最寄階と当該自律移動体13の存在階とが一致した際に報知を開始させる。例えば、通過回数計測部21cは、かご3の現在位置と進行方向とに基づいてかご3が当該自律移動体13の乗場呼びの方向と順方向に通過する回数を計測する。乗車報知制御部21aは、通過回数計測部21cにより計測された通過の回数が当該自律移動体13の乗場呼びに応答する周回数となった際に報知を開始させる。具体的には、当該自律移動体13の乗場呼びに応答する周回数が2周目である場合、通過回数計測部21cにより計測された通過の回数が2回目の際に報知が開始される。例えば、乗車報知制御部21aは、エレベーター制御装置12から乗車可能であることを示す情報を受信した場合に報知を開始させる。なお、乗場呼びの割当がキャンセルされた場合、報知はすぐに停止される。」
(キ)「[0043] 例えば、降車報知制御部21bは、当該自律移動体13のかご呼びが存在し、かご3が通常の減速度で停止可能な最寄階と当該自律移動体13の行先階とが一致した際に、自律移動体ライト15と自律移動体表示器16と自律移動体スピーカー17と自律移動体投影器18とのうちの少なくとも1つに当該自律移動体13がかご3から降車することを報知させる。この際、自律移動体ライト15は、降車報知制御部21bの制御に基づいて予め設定された点灯を実施する。自律移動体表示器16は、降車報知制御部21bの制御に基づいて自律移動体13が降車する旨を表示する。自律移動体スピーカー17は、降車報知制御部21bの制御に基づいて自律移動体13がかご3から降車する旨を音声出力する。自律移動体投影器18は、降車報知制御部21bの制御に基づいて自律移動体13が降車する旨を投影する。」
(ク)[図4]
[図:0001403657000001.jpg]
(ケ) 上記(ア)の「図1のエレベーターシステムにおいて、昇降路1は、建築物の各階を貫く。(中略)少なくとも一つのかご3は、昇降路1の内部に設けられる。」([0012]参照。)との記載、上記(ウ)の「エレベーター制御装置12は、エレベーターの動作を制御する。」([0020]参照。)との記載、上記(ウ)の「例えば、エレベーター制御装置12は、利用者または自律移動体13のかご呼びに基づいてかご3の動作を制御する。この際のかご呼びは、行先階に対応した情報である。」([0021]参照。)との記載及び上記(オ)の「例えば、自律移動体制御装置19は、エレベーター制御装置12からかご3の走行方向に関する情報を受信する。」([0029]参照。)との記載から、かご3は、建築物の各階を貫く昇降路1の内部を走行し、エレベーター制御装置12が自律移動体13の行先階へかご3を走行させる制御を行うと認められる。
(コ) 上記(エ)の「自律移動体制御装置19は、自律移動体13の動作を制御する。」([0023]参照。)との記載から、自律移動体制御装置19は、自律移動体13が出発階でかご3に乗車するとき、自律移動体13がかご3に乗車するよう制御し、自律移動体13が行先階でかご3から降車するとき、自律移動体13がかご3から降車するよう制御すると認められる。
(サ) 上記(オ)の、「エレベーター制御装置12は、自律移動体制御装置19から自律移動体13の乗場呼びを受信する。」([0028]参照。)との記載から、自律移動体制御装置19は、エレベーター制御装置12に、自律移動体13の乗場呼びを送信する構成を備えると認められる。
(シ)甲1発明1及び2
上記(ア)~(ク)の記載事項及び(ケ)~(サ)の認定事項から、甲第1号証には次の発明(以下、「甲1発明1」及び「甲1発明2」という。)が記載されていると認められる。
[甲1発明1]
「ロボットである自律移動体13がかご3に乗降するために、エレベーター制御装置12が適用されたエレベーターシステムがエレベーターの動作を制御する方法であって、
建築物の各階を貫く昇降路1の内部を走行するかご3に自律移動体13が乗車し、
エレベーター制御装置12が、自律移動体13の行先階へかご3を走行させる状態を含み、
エレベーター報知制御部20は、自律移動体13のエレベーターの呼びに基づいて当該自律移動体13のかご3に対する乗降を示す情報を当該自律移動体13の存在階の乗場2に設けられた機器またはかご3に設けられた機器に報知させる、
エレベーターの動作を制御する方法。」
[甲1発明2]
「建築物の各階を貫く昇降路1の内部を走行するかご3で移動する自律移動体13を制御する、自律移動体制御装置19が実行する自律移動体13の制御方法であって、
自律移動体制御装置19は、エレベーター制御装置12に、出発階と行先階を含む自律移動体13の乗場呼びを送信すること、
自律移動体制御装置19は、前記乗場呼びによって、出発階に走行するかご3に自律移動体13が乗車するように自律移動体13を制御すること、
前記かご3は、行先階を含む自律移動体13の乗場呼びにより、行先階に走行し、かご3が、行先階に停止すると、自律移動体制御装置19は、自律移動体13がかご3から降車するよう制御すること、
を含む、自律移動体13の制御方法。」
イ 甲第2号証に記載された事項
甲第2号証には、図面とともに、以下の事項が記載されている。
(ア)「【0024】
エレベータ1は、建物内に複数台が並んで設けられており、図示しない昇降装置によって乗りかご3が空洞のエレベータタワー2内で各階に移動されるように構成されている。乗りかご3には、行き先階を指定するための行き先階指定ボタン11や、かご扉を開くための開ボタン12等を有する操作部、乗りかご3の現在位置等の情報を示す表示装置4、かご扉を開閉させるかご扉開閉装置5、過積載やロボット専用運転中であること等を音声出力する音声出力装置6、乗りかご3内を照らす照明装置7、乗りかご3内に利用者が乗っているか否かを検知する例えば赤外線センサ等の利用者検知センサ13が設けられている。また、各階のエレベータホールには、乗りかご3を呼び出すための乗り場呼出ボタン14、かご扉に連動してホール扉を開閉させるホール扉開閉装置8が各々設けられている。」
(イ)「【0026】
自律走行作業ロボット30は、本実施の形態では清掃ロボットである。清掃ロボット30は、駆動輪の回転駆動により床面上を走行する走行手段と、走行しながら床面を清掃する清掃手段を有しており、清掃ロボット30の内部には、全体の動作を制御するCPU及びタイマ等を有する制御部が設けられている。そして、清掃ロボット30の上部には、ホール送受信器16及びかご内送受信器15を介してエレベータ制御装置20との間で信号の授受を行うロボット送受信器31が設けられている。
【0027】
清掃ロボット30は、運転開始時刻になると自動的に運転を開始し、保管場所から移動して、複数の清掃階の間をエレベータ1を使用して移動しながら各清掃階の清掃作業を実施、最終清掃階の清掃作業が終了したのを検出すると、保管場所へ移動して運転を停止する。」
(ウ)「【0053】
そして、記憶手段に利用者行き先階情報が記憶されていない(ステップS7でNO)と判断された場合、又は、利用者検知センサ13からの検知信号に基づいて対象エレベータ1の乗りかご3内に利用者が乗っていない(ステップS5でNO)と判断された場合に、対象エレベータ1の運転制御手段を利用者専用運転制御手段からロボット専用運転制御手段に切り替える。
【0054】
ロボット専用運転制御手段は、対象エレベータ1の乗りかご3の照明装置7を消灯し、表示装置4にロボット専用運転モードの表示を表示させる。そして、利用者が間違って乗り込んだ場合を想定して、乗りかご3内の行き先階指定ボタン11の操作を無効にすると共に、乗りかご3内の開ボタン12の操作を有効にして、乗りかご3から降りることができるようにしておく。行き先階指定ボタン11の操作を無効化は、例えばボタンを押した際にボタンが点灯しなくなる、あるいは全階のボタンを点滅させる等して、通常の状態と違うことを利用者が明確に理解できるようにしてもよい。」
ウ 甲第3号証に記載された事項等
甲第3号証には、図面とともに、以下の事項が記載されている。
(ア)「[0047] ロボット7が乗場61に到着したとき、ステップST4において、廃棄物箱4とロボット7のそれぞれに取り付けられたIDタグ9は、受信器612の検出範囲に入る。受信器612は、これらのIDタグ9から発信された無線信号を受信する。
[0048] 受信器612は、運行管理部643に対して、廃棄物箱収集場所5が設置された階へと向かう方向、すなわち図1における下方向の乗場呼びの登録を要求する信号を出力する。この信号を受信後、運行管理部643は、乗場呼びを許可する信号を乗場ボタン611に出力し、乗場ボタン611のうちの下方向のボタンを点灯させる。」
(イ)「[0050] ステップST5において、待機している階に乗りかご63が到着したとき、ロボット7は、乗りかご63に乗車する。乗りかご63に乗車すると、廃棄物箱4とロボット7のそれぞれに取り付けられたIDタグ9は、受信器632の検出範囲に入る。受信器632は、これらのIDタグ9から発信された無線信号を受信する。無線信号には、上記のとおり、廃棄物箱4の識別信号またはロボット7の識別信号が含まれている。受信器632は、廃棄物箱4の識別信号とロボット7の識別信号をデータ処理部641に出力する。」
(ウ)「[0055] 一方、ステップST7の結果がNoの場合、ステップST9に進む。ステップST9において、運行管理部643は、乗りかご63内の行先ボタン631のうち、ロボット7の次の移動先の階に対応するボタンを点灯させる。運行管理部643は、乗場61及び乗りかご63の扉を閉じた後、ロボット7の次の移動先の階へと乗りかご63を移動させる。」
エ 甲第4号証に記載された事項
甲第4号証には、図面とともに、以下の事項が記載されている。
(ア)「【0038】
図2を参照すると、本発明による階別操作盤108、少なくとも1つの停止予定階表示部FLD、内部状況モニタICM、上昇ボタンUBと下降ボタンDBは、現在階表示部CFMおよびお知らせ/広告モニタCAMを備える。図2では、一例として、4階に備えられた一つの階別操作盤108のみを示したが、上述したように、階別操作盤101~10nは、エレベータが停止可能なすべての階に設けられてもよい。
【0039】
少なくとも一つの停止予定階表示部FLDは、それぞれ複数個の外部ランプOLと複数個の内部ランプILとを備える。複数個の外部ランプOLと複数個の内部ランプILとは、エレベータ400が停止可能な階の数に対応する数で備えられる。そしてエレベータ400が停止可能な階の数が多い場合には、停止予定階表示部FLDが複数備えられ、複数個の停止予定階表示部FLDを区別してそれぞれに対応する階を表示するようにする。図2では、2つの停止予定階表示部FLDが備えられた階別操作盤101の一例を示した。」
(イ)「【0053】
図3における停止予定階選択表示部FSD1、FSD2も図2の停止予定階表示部FLD1、FLD2と同様に、エレベータの停止階の数が多いので、2つの第1及び第2の停止予定階選択表示部FSD1、FSD2に区分されている。また、停止予定階選択表示部FSD1、FSD2は、それぞれ複数個の外部ランプOLと複数個の内部選択ボタンILBとを備える。複数個の外部ランプOLは、図2の外部ランプOLと同じであるので、別に説明はしない。しかし、内部操作盤410は、エレベータの内部に搭乗した利用者が移動しようとする目的階を直接入力する必要があるため、図3の内部操作盤410は、図2の階別操作盤101~10nと異なり、内部ランプILではなく、内部選択ボタンILBを備える。内部選択ボタンILBは、エレベータに搭乗した利用者が移動を希望する階を選択可能とするだけでなく、現在エレベータの内部で選択された階を表示できるようにする。このため、内部選択ボタンILBは、内部にランプを備えることができる。そして、図示しないが、場合によっては階別操作盤101~10nも外部ランプOLではなく、外部の選択ボタンOLBを備えることができる。これは、利用者がエレベータの搭乗を待っている階で、即座に目的階を入力できるようにして、エレベータの移動時間をより正確に判断できるようにする。この際、入力される目的階は、複数個の階別操作盤のそれぞれの停止予定階表示部FLD1、FLD2で外部選択ボタンOLBに表示されることができる。」
オ 甲第5号証に記載された事項
甲第5号証には、図面とともに、以下の事項が記載されている。
「[0038] 第2連携設定がなされている場合、エレベーター制御装置5と自律移動体制御装置7とは、自律移動体6等の専有面積に基づいて連携する。
[0039] 例えば、エレベーター制御装置5において、予測部8bは、自律移動体6の乗場呼びを受信した際に、当該自律移動体6がかご3に乗り込んだ際の当該かご3の内部における利用者と自律移動体6との占有総面積を予測する。具体的には、予測部8bは、当該かご3に乗車中の利用者の専有面積と当該かご3に乗車中の自律移動体6の専有面積と各階における当該かご3に乗車予定の利用者の専有面積と各階における当該かご3に乗車予定の自律移動体6の専有面積とに基づいて当該かご3の内部における利用者と自律移動体6との占有総面積を予測する。例えば、自律移動体6の専有面積は、自律移動体制御装置7から受信した専有面積の情報に基づいて設定される。この際、自律移動体6の専有面積は、自律移動体6が乗せる荷物と利用者とのうちの少なくとも1つの占有面積を含むこともある。例えば、自律移動体6の重量は、自律移動体制御装置7から受信した個体識別子に対応付けられた専有面積の情報が設定データベース8aから抽出されることにより設定される。予測部8bにより予測されたかご3の内部における利用者と自律移動体6との占有総面積がかご3の床面積を超えた場合、割当部8cは、当該かご3を当該乗場呼びに応答させない。」
カ 甲第6号証に記載された事項
甲第6号証には、図面とともに、以下の事項が記載されている。
(ア)「【0016】
〈第1実施形態によるエレベータシステムの動作〉
次に、本実施形態によるエレベータシステム1Aの動作の一例について、図3のシーケンス図を参照して説明する。まず、携帯端末6を所持する利用者がエレベータを利用するために3階のエレベータ乗場に近づくと、信号送受信装置7-3の無線通信制御部71-3により発信されている信号が携帯端末6で受信される。携帯端末6で信号が受信されると、信号送受信装置7-3の無線通信制御部71-3でこれが検知され、携帯端末6との無線接続が確立される(S1)。
【0017】
信号送受信装置7-3と携帯端末6との無線接続が確立されると、携帯端末6から信号送受信装置7-3に、乗場呼び登録指示が無線送信される。この乗場呼び登録指示は、携帯端末6に予め保持された利用者の行先階情報および信号送受信装置7-3の設置階に基づいて生成されるものであり、本実施形態においては、3階下り方向の乗場呼びを登録するための指示情報が生成される。信号送受信装置7-3では、携帯端末6から送信された乗場呼び登録指示が受信されると、当該指示が第1情報処理部72-3により呼び登録指示装置8に送信される(S2)。」
(イ)「【0032】
連動呼び登録指示装置9は、第4情報処理部91と、情報保持部92とを有する。第4情報処理部91は、信号送受信装置7-1~7-5のいずれかから所定方向の乗場呼び登録指示を受信すると、連動制御装置10に送信して当該指示に応答させる乗りかごを割当てさせるとともに、乗りかご4-1および4-2の現在の混雑度を算出して、応答させることが決定した乗りかごの情報と算出した混雑度とを該当する信号送受信装置7-1~7-5を介して携帯端末6に送信する。また第4情報処理部91は、混雑度等の送信から所定時間内に携帯端末6から、当該乗場呼びに応答させる乗りかごを別号機に変更させるための応答かご変更指示が送信され、且つ当該乗場呼びの登録以前に登録された当該階床の該当する方向に関する呼びがないときには、当該乗場呼び登録指示に応答する乗りかごの応答かご変更指示を連動制御装置10に送信する。(以下省略。)」
キ 甲第7号証に記載された事項
甲第7号証には、図面とともに、以下の事項が記載されている。
「【0024】次にステップ36で予約エレベータが呼出し階に到着したかどうかが判定され、到着していればステップ37に進み、到着していなければ前述したステップ34に戻る。ステップ37ではエレベータかご内に人がいるかどうかが判定され、人がいなければ一連のエレベータの選択制御が終了し、人がいればステップ38により音声合成器15を動作させて他のエレベータに移るようスピーカ16により伝える。【0025】そして、ステップ39により再度人が降りたかどうかを判定し、まだ人がいる場合にはステップ40によりエレベータの予約をキャンセルし、選択制御のスタート位置に戻り、前述した各ステップを繰返す。この場合、呼出し階にエレベータかごが到着後、利用者がいるかどうかはかご内に設けられている赤外線センサからの検出信号により判定し、タイマ11による時間計測により一定時間経過しても人が降りない場合はエレベータのドアを閉じて予約をキャンセルする。また、自律走行作業ロボット12はエレベータが呼出し階に到着後、かご内に人がいないことを確認し、さらにドアが一定時間開いていることを条件にかご内への移動が開始される。」
ク 甲第8号証に記載された事項
甲第8号証には、図面とともに、以下の事項が記載されている。
(ア)「【0018】
割当決定手段23は、複数台分のエレベータ活用型ロボット3の搬送に必要な乗りかご5の割当(配車台数・割当号機)及び乗車順序を決定するものである。すなわち、割当決定手段23は、複数台分のエレベータ活用型ロボット3を搬送するために配車台数として何基の乗りかご5をエレベータ活用型ロボット3の待つ乗場9に向かわせたらよいか、具体的にどの号機(複数基であればさらに、どの号機)を乗場9に向かわせたらよいか、さらに、どの号機に、どのエレベータ活用型ロボット3をどの順番で乗車させたらよいかを決定する。」
(イ)「【0022】
乗車順序の決定に際しては、一例であるが、同乗対象となる複数台のエレベータ活用型ロボット3の占有データ(占有面積や高さ等の情報)と、乗りかご5のスペースデータ(搭載可能な床面積や高さ等)と、複数台ロボット乗車階・降車階要求検出手段21から得られた対応する複数台のエレベータ活用型ロボット3のそれぞれの降車階としての複数台分の降車階の情報とから、待っているエレベータ活用型ロボット3のうち、どの順序で乗りかご5に乗車させるべきかを決定する。エレベータ活用型ロボット3の場合、複数の人間の乗降の場合とは異なり、乗りかご5内で降車経路をあけてあげたり、昇降中に乗りかご5内の相互のポジションを入れ替えたりといった行動は簡単ではない。また、乗りかご5の手前側(かごドア側)に乗ったエレベータ活用型ロボット3が、自己よりも奥側に乗り且つ先に降車するエレベータ活用型ロボット3の降車のために、該当の降車階でいったん先に降車し、降車経路を開放し、該当のエレベータ活用型ロボット3が降車した後、再び、乗りかご5に乗り込むといった行動も簡単ではないし、効率が悪い。そこで、上述したようにロボット側の占有データと、乗りかご側のスペースデータと、それぞれの降車階の情報とから、乗車の際に既に降車のときに適した順番で乗るように指示を与えておくためのものである。
【0023】
エレベータ制御装置7における配車指示手段25は、割当決定手段23により割り当てられた乗りかご5のかご制御装置13に対して配車指示を行うものである。また、割当号機指示手段27は、対応する複数台のエレベータ活用型ロボット3に対して、割り当てられた乗りかご5の情報(何号機か)を指示するものである。乗車順序指示手段29は、対応する複数台のエレベータ活用型ロボット3に対して、乗車順序を指示するものである。」
(ウ)「【0032】
エレベータ活用型ロボット3は、ステップS23として、割り当てられた乗りかごが乗車階に到着したら、乗車順序に従って、割り当てられた乗りかごに乗車する。以上により、本実施の形態によれば、複数台のロボットを効率よく搬送することができる。」
(3)本件発明6について
ア 対比
本件発明6と甲1発明1とを対比する。
甲1発明1の「ロボットである自律移動体13」は、本件発明6の「ロボット」に相当し、甲1発明1の「ロボットである自律移動体13がかご3に乗降する」ことは、本件発明6の「ロボット搭乗」に相当する。
甲1発明1の「エレベーター制御装置12が適用されたエレベーターシステム」は、本件発明6の「システム」に相当し、
甲1発明1の「エレベーターの動作を制御する方法」は、本件発明6の「エレベーター制御方法」に相当するから、
甲1発明1の「エレベーター制御装置12が適用されたエレベーターシステムがエレベーターの動作を制御する方法」は、本件発明6の「システムが実行するエレベーター制御方法」に相当する。
甲1発明1の「建築物の各階を貫く昇降路1の内部を走行するかご3」は、本件発明6の「建物内の階の間を移動するエレベーター」に、
甲1発明1の「かご3に自律移動体13が乗車」することは、本件発明6の「エレベーター内」に「少なくとも1つのロボットが搭乗」することに、それぞれ相当する。
甲1発明1の「自律移動体13の行先階へかご3を走行させる」ことと、本件発明6の「ロボットがサービスを提供する階に移動するように前記エレベーターを制御する」こととは、「ロボットが特定の階に移動するように前記エレベーターを制御する」という点で共通し、甲1発明1の「エレベーター制御装置12が、自律移動体13の行先階へかご3を走行させる状態」と、本件発明6の「前記ロボットがサービスを提供する階に移動するように前記エレベーターを制御する段階」とは、「前記ロボットが特定の階に移動するように前記エレベーターを制御する段階」の点で共通する。
甲1発明1の「乗場2に設けられた機器」は、本件発明6の「前記エレベーターの外部ユーザインタフェース」に相当し、
甲1発明1の「かご3に設けられた機器」は、本件発明6の「前記エレベーターの内部ユーザインタフェース」に相当し、
甲1発明1の「自律移動体13のかご3に対する乗降を示す情報」を「報知させる」ことは、本件発明6の「前記ロボットの前記エレベーターの使用の有無を示す」ことに相当する。
したがって、本件発明6と甲1発明1とは、以下の一致点1で一致し、相違点1~5で相違する。
[一致点1]
「ロボット搭乗のためにシステムが実行するエレベーター制御方法であって、
建物内の階の間を移動するエレベーター内に、少なくとも1つのロボットが搭乗し、
前記ロボットが特定の階に移動するように前記エレベーターを制御する段階
を含み、
前記エレベーターの内部ユーザインタフェースおよび前記エレベーターの外部ユーザインタフェースのうちの少なくとも1つは、前記ロボットの前記エレベーターの使用の有無を示すように構成されている、エレベーター制御方法。」
[相違点1]
本件発明6は、「エレベータ内に」「ロボットが搭乗することを感知する段階」を含むものであるのに対し、甲1発明1は、このような特定がない点。
[相違点2]
本件発明6の「ロボット」は、「前記階のうちの少なくとも1つの階でサービスを提供する」ものであるのに対し、甲1発明1の「自律移動体13」は、このような特定がない点。
[相違点3]
エレベーターが移動する「特定の階」が、本件発明6では「前記ロボットがサービスを提供する階」であるのに対し、甲1発明1は「自律移動体13の行先階」である点。
[相違点4]
本件発明6は、「前記内部ユーザインタフェースは、前記エレベーター内に前記ロボットが搭乗すると、前記ロボットがサービスを提供する階を表示するように構成されている」のに対し、甲1発明1は、このような構成を有しない点。
[相違点5]
本件発明6は、「前記外部ユーザインタフェースは、前記ロボットが搭乗中であること、または前記エレベーターが前記ロボットの搭乗のための専用エレベーターとして使用中であることを表示するが、前記エレベーターが上昇中または下降中であること、前記エレベーターの現在位置、および前記エレベーターの停車予定の階を表示しないように構成されている」のに対し、甲1発明1は、「自律移動体13のエレベーターの呼びに基づいて当該自律移動体13のかご3に対する乗降を示す情報を当該自律移動体13の存在階の乗場2に設けられた機器またはかご3に設けられた機器に報知させる」構成である点。
イ 判断
事案に鑑み、相違点5について検討する。
甲1発明1の「乗場2に設けられた機器」において、「報知させる」構成は、「自律移動体13のエレベーターの呼びに基づ」くものであり、「ロボットが搭乗中であること」や「エレベーターが前記ロボットの搭乗のための専用エレベーターとして使用中であること」を報知させるものではない。
また、甲第2号証には、乗りかご3に設けられた表示装置4にロボット専用運転モードであることを表示させることは記載されている(段落【0054】参照。)ものの、エレベータホールでの表示については記載されておらず、相違点5に係る本件発明6の構成の、「外部ユーザインタフェース」に「ロボットが搭乗中であること」または「エレベーターが前記ロボットの搭乗のための専用エレベーターとして使用中であること」を表示する点、「エレベーターが上昇中または下降中であること」、「エレベーターの現在位置」、および「エレベーターの停車予定の階」を表示しない点は記載されておらず、これらの点は、甲第3号証~甲第6号証のいずれにも記載ないし示唆されていないし、周知技術であるとも認められない。
そうすると、甲1発明1及び甲第2~8号証に記載された事項及び周知技術に基いて、相違点5に係る本件発明6の構成を、当業者が容易に想到し得たとはいえない。
ウ 小括
したがって、相違点1~4について検討するまでもなく、本件発明6は、甲1発明1、甲第2~8号証に記載された事項及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(4)本件発明8について
ア 対比
本件発明8と甲1発明1とを対比すると、両者は上記(3)アの一致点1で一致し、相違点1~4で相違するとともに、以下の相違点6で相違する。
[相違点6]
本件発明8は、「前記エレベーターの扉が開き、前記ロボットの搭乗、または搭乗していたロボットの降車がなされている場合に、前記内部ユーザインタフェースは、前記エレベーターに搭乗しているユーザが前記エレベーターの扉を強制的に閉めることができないように扉閉ボタンを無効化させるように構成されている」のに対し、甲1発明1は、このような構成を有しない点。
イ 相違点の検討
事案に鑑み、相違点6について検討する。
甲第2号証には、対象エレベータ1がロボット専用運転モードにあるとき、乗りかご3内の行き先階指定ボタン11の操作を無効にすることと、開ボタン12の操作を有効にすることは記載されている(段落【0054】参照。)ものの、相違点6に係る本件発明8の構成の、ロボットの搭乗または降車の際に、閉ボタンの操作を無効とする点は記載されておらず、この点は、甲第3号証~甲第6号証のいずれにも記載ないし示唆されていないし、周知技術であるとも認められない。
そうすると、甲1発明1、甲第2~8号証に記載された事項及び周知技術に基づいて、相違点6に係る本件発明8の構成を、当業者が容易に想到し得たとはいえない。
ウ 小括
したがって、相違点1~4について検討するまでもなく、本件発明8は、甲1発明1、甲第2~8号証に記載された事項及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(5)本件発明11について
ア 対比
本件発明11と甲1発明1とを対比すると、両者は上記(3)アの一致点1で一致し、相違点1~4で相違するとともに、以下の相違点7で相違する。
[相違点7]
本件発明11は、「前記内部ユーザインタフェースは、他のロボットが前記エレベーターに搭乗する階に関する情報を表示するように構成されている」のに対し、甲1発明1は、このような構成を有しない点。
イ 相違点の検討
事案に鑑み、相違点7について検討する
甲第4号証には、「利用者が移動を希望する階」や、「現在エレベータの内部で選択された階」を表示する「停止予定階表示部FLD」を備えた「内部操作盤410」が記載されている(段落【0039】及び【0053】参照)ものの、相違点7に係る本件発明11の、「内部ユーザインタフェース」に「他のロボットが前記エレベーターに搭乗する階に関する情報を表示する」点は記載されておらず、この点は、甲第2、3及び5~8号証のいずれにも記載ないし示唆されていないし、周知技術であるとも認められない。
そうすると、甲1発明1及び甲第2~8号証に記載された事項及び周知技術に基いて、相違点7に係る本件発明11の構成を、当業者が容易に想到し得たとはいえない。
ウ 小括
したがって、相違点1~4について検討するまでもなく、本件発明11は、甲1発明1、甲第2~8号証に記載された事項及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(6)本件発明13について
ア 対比
本件発明13と甲1発明1とを対比すると、両者は上記(3)アの一致点1で一致し、相違点1~3で相違するとともに、以下の相違点8で相違する。
[相違点8]
本件発明13は、「前記エレベーター制御方法は、
前記ロボットを制御するロボット制御システムから呼び出しを受信する段階、
前記呼び出しが示す階に移動するためにエレベーターを選択する段階、および
前記選択されたエレベーターへの搭乗のための待機空間に所定の数以上のユーザまたはロボットが存在する場合、前記選択されたエレベーターに対する呼び出しの取消を前記ロボット制御システムから受信する段階、
前記呼び出しが示す階に移動するために他のエレベーターを選択する段階、および
前記呼び出しが示す階に前記他のエレベーターが移動するように前記他のエレベーターを制御する段階
をさらに含む」のに対し、甲1発明1は、このような構成を有しない点。
イ 相違点の検討
事案に鑑み、相違点8について検討する。
甲第6号証には、乗りかごの「現在の混雑度を算出」して携帯端末6に送信し、「乗りかごを別号機に変更させるための応答かご変更指示」を携帯端末6が送信することが記載されている(段落【0032】参照)ものの、相違点8に係る本件発明13の、「エレベーターへの搭乗のための待機空間に所定の数以上のユーザまたはロボットが存在する場合」に、「選択されたエレベーターに対する呼び出しの取消」をする点や、「呼び出しが示す階に移動するために他のエレベーターを選択」する点は記載されておらず、これらの点は、甲第2~5、7及び8号証のいずれにも記載ないし示唆されていないし、周知技術であるとも認められない。
そうすると、甲1発明1及び甲第2~8号証に記載された事項及び周知技術に基いて、相違点8に係る本件発明13の構成を、当業者が容易に想到し得たとはいえない。
ウ 小括
したがって、相違点1~3について検討するまでもなく、本件発明13は、甲1発明1、甲第2~8号証に記載された事項及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(7)本件発明14について
ア 対比
本件発明14と甲1発明1とを対比すると、両者は上記(3)アの一致点1で一致し、相違点1~3で相違するとともに、以下の相違点9で相違する。
[相違点9]
本件発明14は「前記エレベーター制御方法は、
前記エレベーターにこれ以上のロボットが搭乗するだけの十分な空間がないと判断されたときには、前記エレベーターを満員状態として設定する段階
をさらに含み、
前記満員状態として設定されたエレベーターは、呼び出し不可状態に設定され、
前記エレベーターの内部ユーザインタフェースは、前記満員状態を示すインジケータが出力されるように構成され、
前記インジケータは、前記エレベーターに搭乗したユーザまたはロボットが降車して前記エレベーターにロボットが搭乗するだけの十分な空間が確保されるまで出力され、
前記エレベーターにロボットが搭乗するだけの十分な空間が確保されると、前記エレベーターは呼び出し可能状態に設定される」のに対し、甲1発明1は、このような構成を有しない点。
イ 相違点の検討
事案に鑑み、相違点9について検討する。
甲第5号証には、「かご3の内部における利用者と自律移動体6との占有総面積がかご3の床面積を超えた場合、割当部8cは、当該かご3を当該乗場呼びに応答させない」(段落[0039]参照。)ことが記載され、甲第7号証には、自律走行作業ロボット12が乗る予定のエレベータかご内に、人がいれば「音声合成器15を動作させて他のエレベータに移るようスピーカ16により伝える」(段落【0024】参照。)こと、及び、「再度人が降りたかどうかを判定」して、人がいなければ、「自律走行作業ロボット12」の「かご内への移動が開始される」(段落【0025】参照。)ことが記載されている。
しかしながら、上記相違点9に係る本件発明14の構成の、「ロボットが搭乗するだけの十分な空間がないと判断されたときには、前記エレベーターを満員状態として設定」して「内部ユーザインタフェース」に「前記満員状態を示すインジケータ」を出力させる点、及び「前記インジケータは、前記エレベーターに搭乗したユーザまたはロボットが降車して前記エレベーターにロボットが搭乗するだけの十分な空間が確保されるまで出力され」る点は記載されておらず、これらの点は、甲第2~8号証のいずれにも記載ないし示唆されていないし、周知技術であるとも認められない。
そうすると、甲1発明1及び甲第2~8号証に記載された事項及び周知技術に基いて、上記相違点9に係る本件発明14の構成を、当業者が容易に想到し得たとはいえない。
ウ 小括
したがって、相違点1~3について検討するまでもなく、本件発明14は、甲1発明1、甲第2~8号証に記載された事項及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(8)本件発明15について
ア 対比
本件発明15と甲1発明1とを対比すると、両者は上記(3)アの一致点1で一致し、相違点1~3で相違するとともに、以下の相違点10で相違する。
[相違点10]
本件発明15は「前記エレベーター制御方法は、
前記ロボットを制御するロボット制御システムから呼び出しを受信する段階、
前記呼び出しが示す階に移動するためにエレベーターを選択する段階、および
前記選択されたエレベーターが、前記呼び出しが示す階に移動するように前記選択されたエレベーターを制御する段階
をさらに含み、前記エレベーター制御方法は、
前記建物内で前記ロボット制御システムによって制御される複数のロボットがサービスを提供する段階をさらに含み、
前記呼び出しを受信する段階は、前記ロボット制御システムから前記複数のロボットと連関する呼び出しを受信し、
前記選択する段階は、前記呼び出しそれぞれが示す階に移動するためにエレベーターを選択し、
前記選択されたエレベーターを制御する段階は、
前記複数のロボットのうち、前記選択されたエレベーターからより後に降りるロボットが、前記選択されたエレベーターにより先に搭乗するように前記選択されたエレベーターを制御する」のに対し、甲1発明1は、このような構成を有しない点。
イ 相違点の検討
事案に鑑み、相違点10について検討する。
甲第8号証には、同乗する複数台のエレベータ活用型ロボット3それぞれの降車階の情報から、エレベータ活用型ロボット3をどの順序で乗りかごに乗車させるかを決定してロボットを制御すること(段落【0018】、【0022】等参照)は記載されているものの、上記相違点10に係る本件発明15の構成の、「前記複数のロボットのうち、前記選択されたエレベーターからより後に降りるロボットが、前記選択されたエレベーターにより先に搭乗するように前記選択されたエレベーターを制御する」点は記載されておらず、この点は、甲第2~7号証のいずれにも記載ないし示唆されていないし、周知技術であるとも認められない。
そうすると、甲1発明1及び甲第2~8号証に記載された事項及び周知技術に基いて、相違点10に係る本件発明15の構成を、当業者が容易に想到し得たとはいえない。
ウ 小括
したがって、相違点1~3について検討するまでもなく、本件発明15は、甲1発明1、甲第2~8号証に記載された事項及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(9)本件発明16について
本件発明16は、本件発明6、8、11、13~15のいずれかを「コンピュータに実行させるコンピュータプログラム」の発明であるから、上記(3)~(8)で検討したのと同様の理由により、甲1発明1、甲第2~8号証に記載された事項及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(10)本件発明18について
ア 対比
本件発明18と甲1発明2を対比する。
甲1発明2の「建築物の各階を貫く昇降路1の内部を走行するかご3で移動する」ことは、本件発明18の「エレベーターで建物の階の間を移動する」ことに相当する。
甲1発明2の「自律移動体13」は本件発明18の「ロボット」に相当するから、
甲1発明2の「自律移動体13を制御する自律移動体制御装置19」は本件発明18の「ロボットを制御するロボット制御システム」に相当し、
甲1発明2の「自律移動体制御装置19が実行する自律移動体13の制御方法」は本件発明18の「ロボット制御システムが実行するロボット制御方法」に相当する。
甲1発明2の「エレベーター制御装置12」は本件発明18の「エレベーターを制御するシステム」に相当する。
甲1発明2の「出発階」は本件発明18の「ロボットが位置する階」に相当し、
甲1発明2の「行先階」と本件発明18の「ロボットがサービスを提供する階」とは「ロボットの行先階」の限りで共通するから、
甲1発明2の「出発階と行先階を含む自律移動体13の乗場呼び」と本件発明18の「前記ロボットが位置する階および前記ロボットがサービスを提供する階に関する情報を含む呼び出し」とは「前記ロボットが位置する階および前記ロボットの行先階に関する情報を含む呼び出し」の限りで共通する。
そして、甲1発明2の「送信すること」は本件発明18の「送信する段階」に相当する。
甲1発明2の「乗場呼びによって」いることは本件発明18の「前記呼び出しに従って」いることに相当する。
甲1発明2の「出発階に走行するかご3」は本件発明18の「ロボットが位置する階に移動するエレベーター」に相当する。
甲1発明2の「自律移動体13が乗車するように自律移動体13を制御すること」は本件発明18の「ロボットが搭乗するように前記ロボットを制御する段階」に相当する。
甲1発明2の「かご3は、行先階を含む自律移動体13の乗場呼びにより、行先階に走行」することと、本件発明18の「エレベーターは、前記ロボットがサービスを提供する階に関する情報に基づき、前記ロボットがサービスを提供する階に自動的に移動」することとは「エレベーターは、前記ロボットの行先階に関する情報に基づき、前記ロボットの行先階に自動的に移動」することの限りで共通する。
甲1発明2の「かご3が、行先階に停止」することと本件発明18の「エレベーターが、前記ロボットがサービスを提供する階に到着」することとは「エレベーターが、前記ロボットの行先階に到着」することの限りで共通する。
甲1発明2の「自律移動体制御装置19は、自律移動体13がかご3から降車するよう制御すること」は本件発明18の「前記エレベーターから前記ロボットが降りるように前記ロボットを制御する段階」に相当する。
したがって、本件発明18と甲1発明2とは、以下の一致点2で一致し、相違点10及び11で相違する。
[一致点2]
「エレベーターで建物の階の間を移動するロボットを制御するロボット制御システムが実行するロボット制御方法であって、
エレベーターを制御するシステムに、前記ロボットが位置する階および前記ロボットの行先階に関する情報を含む呼び出しを送信する段階、
前記呼び出しに従って、前記ロボットが位置する階に移動するエレベーターに前記ロボットが搭乗するように前記ロボットを制御する段階、
前記エレベーターは、前記ロボットの行先階に関する情報に基づき、前記ロボットの行先階に自動的に移動し、前記エレベーターが、前記ロボットの行先階に到着すると、前記エレベーターから前記ロボットが降りるように前記ロボットを制御する段階
を含む、ロボット制御方法。」
[相違点11]
本件発明18の「ロボット」は「サービスを提供するロボット」であり、「ロボットの行き先の階」が「ロボットがサービスを提供する階」であり、「ロボット制御方法」は「ロボットが前記サービスを提供する階で前記サービスを提供するように前記ロボットを制御する段階を含む」のに対し、甲1発明2の「自律移動体13」に関しては、このような特定がない点。
[相違点12]
本件発明18は、「ロボット制御方法は、前記呼び出しに従って前記ロボットが位置する階に移動するエレベーターの待機空間に所定の数以上のユーザまたはロボットが存在する場合、または前記ロボットが位置する階に移動したエレベーターに前記ロボットが搭乗できない場合には、前記エレベーターを制御するシステムに、前記呼び出しの取消を送信し、他のエレベーターを要求するための呼び出しを送信する段階をさらに含む」のに対し、甲1発明2には、このような特定がない点。
イ 判断
事案に鑑み、相違点12について検討する。
甲第6号証には、乗りかごの「現在の混雑度を算出」して携帯端末6に送信し、「乗りかごを別号機に変更させるための応答かご変更指示」を携帯端末6が送信することが記載されている(段落【0032】参照)ものの、相違点12に係る本件発明18の、「ロボット制御方法」が「ロボットが位置する階に移動するエレベーターの待機空間に所定の数以上のユーザまたはロボットが存在する場合」や、「ロボットが位置する階に移動したエレベーターに前記ロボットが搭乗できない場合」に、エレベーターの呼び出しの取消を「送信」する点、あるいは、他のエレベーターを要求するための呼び出しを「送信」する点は記載されておらず、これらの点は、甲第2~5、7及び8号証のいずれにも記載ないし示唆されていないし、周知技術であるとも認められない。
そうすると、甲1発明2及び甲第2~8号証に記載された事項及び周知技術に基いて、相違点12に係る本件発明18の構成を、当業者が容易に想到し得たとはいえない。
ウ 小括
したがって、相違点11について検討するまでもなく、本件発明18は、甲1発明2、甲第2~8号証に記載された事項及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(11)まとめ
本件発明6、8、11、13~16及び18は、甲1発明1又は2、甲第2~8号証に記載された事項並びに周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
2 特許法第36条第6項第1号(サポート要件)の理由について
(1)請求項13について
異議申立人は、本件特許の請求項13に係る発明の
「前記選択されたエレベーターへの搭乗のための待機空間に所定の数以上のユーザまたはロボットが存在する場合、前記選択されたエレベーターに対する呼び出しの取消を前記ロボット制御システムから受信する段階(以下、「構成13G」という。)、
前記呼び出しが示す階に移動するために他のエレベーターを選択する段階(以下、「構成13H」という。)、および
前記呼び出しが示す階に前記他のエレベーターが移動するように前記他のエレベーターを制御する段階」(以下、「構成13I」という。)
の構成について、構成13Hにおけるエレベーターの選択が、構成13Gにおける「前記選択されたエレベーターに対する呼び出しの取消」に伴う一連の動作であることが特定されておらず、構成13Hは、呼び出しが事前に取り消されていることを条件としていないので、構成13Gにおいて「待機空間に所定の数以上のユーザまたはロボットが存在」しない場合でも、構成13Hでは「前記呼び出しが示す階に呼び出す他のエレベーターを選択する」ことになり、1つの呼び出しに対して複数のエレベーターが選択されることを意味し、このような例は発明の詳細な説明に記載も示唆もされておらず、本件特許の請求項13に係る発明は、発明の詳細な説明に記載されてものでないか、或いは、発明の課題を解決するための手段が反映されておらず、本件特許の請求項13の記載が、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないから、請求項13に係る特許を取り消すべき旨主張する(特許異議申立書88頁下から1行~89頁25行)。
しかしながら、上記構成13G~Iを整理すると、「待機空間に所定の数以上のユーザまたはロボットが存在する場合」という条件を満たすときに、「前記選択されたエレベーターに対する呼び出しの取消を前記ロボット制御システムから受信する段階」、「前記呼び出しが示す階に呼び出す他のエレベーターを選択する段階」および「前記呼び出しが示す階に前記他のエレベーターが移動するように前記他のエレベーターを制御する段階」の、合計3つの段階が生ずることが本件特許の請求項13に特定されていることが理解でき、構成13Gの「待機空間に所定の数以上のユーザまたはロボットが存在する場合」という条件を満たさない、つまり「待機空間に所定の数以上のユーザまたはロボットが存在」しない場合には、構成13Hの「前記呼び出しが示す階に呼び出す他のエレベーターを選択する段階」が生ずることのない発明が請求項13に特定されており、当該発明は、発明の詳細な説明における、段階1530(特に【0178】及び【図15】参照)を含むフローチャートとして明細書の【0171】~【0181】及び【図13】~【図17】に記載されており、本件特許の請求項13の記載が、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たすことは明らかであるから、異議申立人の主張は採用できない。
(2)請求項15について
異議申立人は、本件特許の請求項15に係る発明の
「前記選択する段階は、前記呼び出しそれぞれが示す階に移動するためにエレベーターを選択し、」(以下、「構成15J」という。)
「前記選択されたエレベーターを制御する段階は、 前記複数のロボットのうち、前記選択されたエレベーターからより後に降りるロボットが、前記選択されたエレベーターにより先に搭乗するように前記選択されたエレベーターを制御する、」(以下、「構成15K」という。)
の構成について、構成15Jの「前記呼び出しそれぞれが示す階」には、全てが同じ階である場合が含まれ、構成15Kには「エレベーター」を制御することが記載されており、呼び出しそれぞれが示す階の全てが同じ階であり、搭乗を予定しているロボットが全て同じ階に存在する場合、エレベーターをどのように制御するかについては、発明の詳細な説明に記載も示唆もされていないから、本件特許の請求項15に係る発明は、発明の詳細な説明に記載されたものでないか、或いは、発明の課題を解決するための手段が反映されておらず、本件特許の請求項15の記載が、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないから、請求項15に係る特許を取り消すべき旨主張する。
しかしながら、請求項15には「前記ロボットがサービスを提供する階に移動するように前記エレベーターを制御する段階を含み、」との特定事項が記載されており、この特定事項によれば、搭乗を予定しているロボットが全て同じ階に存在する場合、呼び出しを受けたエレベーターの制御として必要なのは、エレベーターを当該同じ階に移動し、移動した後は、当該同じ階のロボットが乗り終わるまでエレベーターを別の階に移動させないことであって、このような発明は、発明の詳細な説明における、段階1335(特に段落【0173】及び【図13】参照」)を含むフローチャートとして明細書の【0171】~【0181】及び【図13】~【図17】に記載されているから、本件特許の請求項15の記載が、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たすことは明らかであり、異議申立人の主張は採用できない。
3 特許法第36条第4項第1号(実施可能要件)の理由について
異議申立人は、本件特許の請求項15に係る発明の
「前記選択する段階は、前記呼び出しそれぞれが示す階に移動するためにエレベーターを選択し、」(以下、「構成15J」という。)
「前記選択されたエレベーターを制御する段階は、
前記複数のロボットのうち、前記選択されたエレベーターからより後に降りるロボットが、前記選択されたエレベーターにより先に搭乗するように前記選択されたエレベーターを制御する、」(以下、「構成15K」という。)
の構成について、構成15Jの「前記呼び出しそれぞれが示す階」には、全てが同じ階である場合が含まれ、構成15Kには「エレベーター」を制御することが記載されており、呼び出しそれぞれが示す階の全てが同じ階であり、搭乗を予定しているロボットが全て同じ階に存在する場合、エレベーターをどのように制御して、エレベーターからより後に降りるロボットをより先に搭乗させるのかを理解することができず、発明の詳細な説明は、本件特許の請求項15に係る発明について、当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載されておらず、本件特許の請求項15に係る特許について、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていないから、請求項15に係る特許を取り消すべき旨主張する。
しかしながら、請求項15に係る発明は「前記ロボットがサービスを提供する階に移動するように前記エレベーターを制御する段階を含み、」との構成を備えており、搭乗を予定しているロボットが全て同じ階に存在する場合、呼び出しを受けたエレベーターの制御として必要なのは、エレベーターを当該同じ階に移動し、移動した後は、当該同じ階のロボットが乗り終わるまでエレベーターを別の階に移動させないことであって、このような実施例は、発明の詳細な説明における、段階1335(特に段落【0173】及び【図13】参照」)を含むフローチャートとして明細書の【0171】~【0181】及び【図13】~【図17】に記載されており、発明の詳細な説明は、本件特許の請求項15に係る発明について、当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載されているから、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たすことは明らかであり、異議申立人の主張は採用できない。
第7 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、請求項6、8、11、13~16及び18に係る特許を取り消すことはできない。
そして、他に請求項6、8、11、13~16及び18に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
また、請求項1~5、7、9、10、12及び17に係る特許は、本件訂正により削除された。これにより、異議申立人による特許異議の申立てについて、請求項1~5、7、9、10、12及び17に係る申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。
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2022-701070