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特許異議申立

2022-700436

含フッ素エーテル組成物、コーティング液および物品

審判番号
2022-700436
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2019-203296外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
登録番号
6969599
請求日
2022年05月20日
審決日
2023年03月30日
公報発行日
2023年06月30日
結論
訂正認容
当事者
審判長/審判官
分類
P1652.113-YAA(C08L) / P1652.121-YAA(C08L)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第113条第2号、特許法第120条の5第4項、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第1項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第6969599号発明「含フッ素エーテル組成物、コーティング液および物品」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論
特許第6969599号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~10,13及び14〕について訂正することを認める。
特許第6969599号の請求項1,3,4,10,13及び14に係る特許を維持する。

理由

目次 ▾ 20項目
理 由

第1 手続の経緯・本件異議申立の趣旨・審理範囲

折りたたみ中(クリックで表示)

1.本件特許の設定登録までの経緯

本件特許第6969599号に係る出願(特願2019-203296号、以下「本願」ということがある。)は、平成30年3月1日(優先権主張 平成29年3月15日 日本国(JP))を国際出願日とする出願(特願2019-505865)の一部を令和1年11月8日に新たな出願としたものとして出願人AGC株式会社(以下「特許権者」ということがある。)によりされた特許出願であり、令和3年11月1日に特許権の設定登録(請求項の数14)がされ、令和3年11月24日に特許掲載公報が発行されたものである。

2.本件特許異議の申立ての趣旨

本件特許につき、令和4年5月20日に特許異議申立人豊田 奈津子(以下「申立人」という。)により、「特許第6969599号の特許請求の範囲の請求項1,3,4,10,13及び14に記載された発明についての特許を取り消すべきである。」という趣旨の本件特許異議の申立てがされた。(以下、当該申立てを「申立て」という。)

3.審理すべき範囲

上記2.の申立ての趣旨からみて、特許第6969599号の特許請求の範囲の請求項1,3,4,10,13及び14に記載された発明についての特許を審理の対象とすべきものである。

4.申立て以降の手続の経緯

令和4年 8月 4日付け 取消理由通知

同年10月 7日受理 意見書・訂正請求(特許権者)

同年10月27日付け 通知(申立人宛)

なお、申立人は、令和4年10月27日付けの訂正請求があった旨の通知に対して、指定した期間内に何ら応答をしていない。

第2 令和4年10月7日受理の訂正請求について

1.訂正請求の内容

令和4年10月7日受理の訂正請求による訂正(以下「本件訂正」という。)は、本件特許に係る特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、すなわち、訂正前の請求項1~10,13及び14(以下項番に従い「旧請求項1」などという。)を一群の請求項ごとに訂正することにより、訂正後の請求項1~10,13及び14(以下項番に従い「新請求項1」などという。)にするものであり、以下の訂正事項1を含むものである。

訂正事項1

特許請求の範囲の請求項1に「含フッ素エーテル化合物(B)(但し、下記式(1)で表されるパーフルオロ(ポリ)エーテル基含有アミドシランを除く)」と記載されているのを、「含フッ素エーテル化合物(B)(但し、下記式(1)で表されるパーフルオロ(ポリ)エーテル基含有アミドシラン及び下記式(A)で表される化合物を除く)」に変更し、さらに、

特許請求の範囲の請求項1に

「RF1O(CF2CF2O)aCF2-(Q)b(-(CH2)d-SiLpR3-p)c(A)。
ただし、式(A)中の記号は以下の意味を示す。
RF1:炭素数1~20のペルフルオロ1価飽和炭化水素基、または、炭素原子-炭素原子間にエーテル性酸素原子が挿入された炭素数2~20のペルフルオロ1価飽和炭化水素基でありかつ-OCF2O-構造が存在しない基。
a:1~200の整数。
続きを表示(全11行)
b:0または1。
Q:bが0である場合にはQは存在せず、bが1である場合にはQは2~3価の連結基。
c:Qが存在しないまたはQが2価の連結基である場合のcは1、Qが3価の連結基である場合のcは2。
d:2~6の整数。
L:加水分解性基。
R:水素原子または1価炭化水素基。
p:1~3の整数。」を追記する訂正を行う(請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項2~10、13及び14も同様の訂正を行う)。

2.一群の請求項について

旧請求項1~10,13及び14について、請求項2~10,13及び14はいずれも直接又は間接的に請求項1を引用する関係にあり、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。

そうすると、旧請求項1~10,13及び14に対応する新請求項1~10,13及び14は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項に該当するものである。

したがって、訂正事項1による本件訂正は、特許法120条の5第4項に適合するものである。

3.訂正事項1に係る訂正の適否について

ア 訂正の目的について

訂正事項1に係る訂正は、旧請求項1における含フッ素エーテル組成物が含有する含フッ素エーテル化合物(B)うち下記式(A)で表される化合物を除く訂正であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

「RF1O(CF2CF2O)aCF2-(Q)b(-(CH2)d-SiLpR3-p)c(A)。
ただし、式(A)中の記号は以下の意味を示す。
RF1:炭素数1~20のペルフルオロ1価飽和炭化水素基、または、炭素原子-炭素原子間にエーテル性酸素原子が挿入された炭素数2~20のペルフルオロ1価飽和炭化水素基でありかつ-OCF2O-構造が存在しない基。
a:1~200の整数。
続きを表示(全11行)
b:0または1。
Q:bが0である場合にはQは存在せず、bが1である場合にはQは2~3価の連結基。
c:Qが存在しないまたはQが2価の連結基である場合のcは1、Qが3価の連結基である場合のcは2。
d:2~6の整数。
L:加水分解性基。
R:水素原子または1価炭化水素基。
p:1~3の整数。」

イ 新規事項の有無及び特許請求の範囲の実質的な拡張・変更の有無

訂正事項1に係る訂正は、上記ア.で検討したとおり、含フッ素エーテル組成物が含有する含フッ素エーテル化合物(B)うち上記式(A)で表される化合物を除く訂正であり、そのような訂正は、特許請求の範囲の一部を除外するものであって新たな技術的事項を導入するものでもないから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

したがって、訂正事項1に係る訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項に規定する要件を満たすものといえる。

ウ 独立特許要件について

上記「第1」で述べたように、本件の申立ては、本件請求項1~14に係る特許のうち請求項1,3,4,10,13及び14に係る特許に対して申立てられたものであり、請求項1を引用する請求項2,5~9に係る特許に対しては申立てられていない。

そして、本件訂正前の請求項1に対する訂正である訂正事項1は、上記アで述べたように特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるところ、請求項1を引用する請求項2,5~9も、同様に特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正がされたといえる。そこで、本件訂正後の請求項2,5~9に係る発明の独立特許要件について検討する。

下記「第5」で述べるように、本件訂正後の請求項1に係る発明には取消理由がなく、請求項1に係る発明につき、特許を受けることができないとすべき理由はないものであって、それを引用する本件訂正後の請求項2,5~9に係る発明も、特許を受けることができないとすべき理由があるものではないから、本件訂正後の請求項2,5~9に係る発明は特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるといえる。

4.本件訂正に係る検討のまとめ

以上総括するに、本件訂正は、訂正事項1に係る訂正が、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる目的要件を満たすものであり、同法同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項に規定する要件も満たすものであるから、本件訂正を認める。

第3 本件特許の特許請求の範囲に記載された事項

上記本件訂正により適法に訂正された本件特許の特許請求の範囲には、以下のとおりの請求項1,3,4,10,13及び14が記載されている。

「【請求項1】
含フッ素エーテル化合物(A)と含フッ素エーテル化合物(B)(但し、下記式(1)で表されるパーフルオロ(ポリ)エーテル基含有アミドシラン及び下記式(A)で表される化合物を除く)とを含み、
前記含フッ素エーテル化合物(A)が、(CF2O)単位を含むポリ(オキシペルフルオロアルキレン)鎖および2個以上の下式(I)で表される基を有する化合物であり、
前記含フッ素エーテル化合物(B)が、(CF2O)単位を含まないポリ(オキシペルフルオロアルキレン)鎖および2個以上の前記式(I)で表される基を有する化合物であることを特徴とする含フッ素エーテル組成物。
続きを表示(全35行)
-SiRnL3-n・・・(I)
ただし、Lは水酸基または加水分解性基であり、
Rは水素原子または1価の炭化水素基であり、
nは0~2の整数であり、
nが0または1のとき(3-n)個のLは、同一であっても異なっていてもよく、
nが2のときn個のRは、同一であっても異なっていてもよく、
前記含フッ素エーテル化合物(A)および前記含フッ素エーテル化合物(B)それぞれが有する前記式(I)で表される基は同一であっても異なっていてもよい。
【化1】
[図:0001398257000001.jpg]
[式(1)中:
Rfは、それぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素数1~16のアルキル基を表し;
PFPEは、それぞれ独立して、-(OC4F8)a-(OC3F6)b-(OC2F4)c-(OCF2)d-を表し、ここに、a、b、cおよびdは、それぞれ独立して0以上200以下の整数であって、a、b、cおよびdの和は少なくとも1であり、a、b、cまたはdを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意であり;
X1は、単結合または2価の有機基を表し;
R1は、水素原子、低級アルキル基またはフェニル基を表し;
R2は、-X2-SiQ1kY13-kを表し;
X2は、2価の有機基を表し;
Y1は、加水分解可能な基を表し;
Q1は、水素原子、低級アルキル基またはフェニル基を表し;
pは、0または1であり;
kは、0~2の整数である。]
RF1O(CF2CF2O)aCF2-(Q)b(-(CH2)d-SiLpR3-p)c(A)。
ただし、式(A)中の記号は以下の意味を示す。
RF1:炭素数1~20のペルフルオロ1価飽和炭化水素基、または、炭素原子-炭素原子間にエーテル性酸素原子が挿入された炭素数2~20のペルフルオロ1価飽和炭化水素基でありかつ-OCF2O-構造が存在しない基。
a:1~200の整数。
b:0または1。
Q:bが0である場合にはQは存在せず、bが1である場合にはQは2~3価の連結基。
c:Qが存在しないまたはQが2価の連結基である場合のcは1、Qが3価の連結基である場合のcは2。
d:2~6の整数。
L:加水分解性基。
R:水素原子または1価炭化水素基。
p:1~3の整数。(当審注:以降、含フッ素エーテル化合物(B)が除くパーフルオロ(ポリ)エーテル基含有アミドシランの式(1)及び化合物の式(A)の化学構造式は省略する。)」
「【請求項3】
前記(CF2O)単位を含むポリ(オキシペルフルオロアルキレン)鎖が、(CF2O)単位と(CF2CF2O)単位とを含むポリ(オキシペルフルオロアルキレン)鎖である、請求項1または2に記載の含フッ素エーテル組成物。」
「【請求項4】
前記(CF2O)単位を含まないポリ(オキシペルフルオロアルキレン)鎖が、(CF2CF2O)単位、(CF2CF2CF2O)単位および(CF2CF2CF2CF2O)単位から選ばれる少なくとも1種を含むポリ(オキシペルフルオロアルキレン)鎖である、請求項1~3のいずれか一項に記載の含フッ素エーテル組成物。」
「【請求項10】
前記含フッ素エーテル化合物(A)と前記含フッ素エーテル化合物(B)の合計に対し、前記含フッ素エーテル化合物(A)を10~80質量%含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の含フッ素エーテル組成物。」
「【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の含フッ素エーテル組成物と、液状媒体とを含むことを特徴とするコーティング液。」
「【請求項14】
請求項1~12のいずれか一項に記載の含フッ素エーテル組成物から形成された表面層を有することを特徴とする物品。」

(以下、上記請求項1,3,4,10,13及び14に係る各発明につき、各々「本件発明1」、「本件発明3」、「本件発明4」、「本件発明10」、「本件発明13」および「本件発明14」という。)。

第4 特許異議申立書に記載した申立ての理由及び当審が通知した取消理由について

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1 特許異議申立書に記載した申立ての理由

本件特許の請求項1,3,4,10,13及び14に係る特許は、下記(1)~(2)のとおり、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。証拠方法として、下記(3)の甲第1号証(以下、「甲1」という。)を提出する。

(1)申立理由1(新規性)

本件訂正前の請求項1,3,4,10,13及び14に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物である又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明である甲1に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、上記請求項に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。

(2)申立理由2(進歩性)

本件訂正前の請求項1,3,4,10,13及び14に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物である又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明である甲1に記載された発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、上記請求項に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

(3)証拠方法

・甲第1号証:国際公開第2009/008380号

2 当審が通知した取消理由

当審が令和4年8月4日付けで通知した取消理由の概要は、以下のとおりである。

(1)取消理由A(新規性)

本件訂正前の請求項1,3,4,13及び14に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物である又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲1に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるから、特許法第113条第2号に該当し、その発明に係る特許は取り消すべきものである。

(2)取消理由B(進歩性)

本件訂正前の請求項1,3,4,10,13及び14に係る発明は、本件特許の出願前日本国内又は外国において頒布された刊行物である又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲1に記載された発明に基いて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、特許法第113条第2号に該当し、その発明に係る特許は取り消すべきものである。

第5 当審の判断

当審は、特許異議申立書に記載された申立て理由及び当審が通知した取消理由によっては、本件発明1,3,4,10,13及び14に係る特許を取り消すことはできないと判断する。以下、検討・詳述する。

1 取消理由A(新規性)、取消理由B(進歩性)、申立理由1(新規性)及び申立理由2(進歩性)について

取消理由A(新規性)、B(進歩性)と申立理由1(新規性)、2(進歩性)は、いずれも同じ甲1を主引用文献とする理由であるから、併せて検討する。

(1)甲1に記載された事項及び甲1に記載された発明

ア 甲1に記載された事項

甲1には,以下の事項が記載されている。

(甲1a)

「[1] 下式(A)で表される化合物および該式(A)で表される化合物と部分加水分解可能な化合物(B)、または、下式(A)で表される化合物と該式(A)で表される化合物と部分加水分解可能な化合物(B)との部分加水分解縮合物、を必須成分とすることを特徴とする表面処理剤。
RF1O(CF2CF2O)aCF2-(Q)b(-(CH2)d-SiLpR3-p)c (A)。
ただし、式中の記号は以下の意味を示す。
RF1:炭素数1~20のペルフルオロ1価飽和炭化水素基、または、炭素原子-炭素原子間にエーテル性酸素原子が挿入された炭素数2~20のペルフルオロ1価飽和炭化水素基でありかつ-OCF2O-構造が存在しない基。
続きを表示(全49行)
a:1~200の整数。
b:0または1。
Q:bが0である場合にはQは存在せず、bが1である場合にはQは2~3価の連結基。
c:Qが存在しないまたはQが2価の連結基である場合のcは1、Qが3価の連結基である場合のcは2。
d:2~6の整数。
L:加水分解性基。
R:水素原子または1価炭化水素基。
p:1~3の整数。(当審注:以降、式(A)の化学構造式及び「ただし」以降の記載は省略する。)
[2] 式(A)で表される化合物が、下式(a)で表される化合物である請求項1に記載の表面処理剤。
RF1O(CF2CF2O)aCF2-X (a)。
ただし、式中の記号は以下の意味を示す。
RF1およびa:前記と同じ意味を示す。
X:下式(X1)~下式(X7)から選ばれるいずれかの基(ただし、L、R、およびpは前記と同じ意味を示す。)。
-C(O)NHCH2CH2CH2SiLpR3-p (X1)
-CH2OC(O)NHCH2CH2CH2SiLpR3-p (X2)、
-CH2OCH2CH2CH2SiLpR3-p (X3)、
-CF2OCH2CH2CH2SiLpR3-p (X4)、
-CH2CH2SiLpR3-p (X5)、
-CH2CH2CH2SiLpR3-p (X6)、
-C(O)N(CH2CH2CH2SiLpR3-p)2(X7)。
[3] Xが、前記式(X1)~前記式(X6)から選ばれるいずれかの基である請求項2に記載の表面処理剤。
[4] 式(A)で表される化合物の分子量分布(Mw/Mn)が1.05~1.3である請求項1~3のいずれかに記載の表面処理剤。
[5] 化合物(B)が、前記式(X1)~前記式(X7)で表される基から選ばれる基を2個以上有し、該基以外の構造が、エーテル性酸素原子を含むペルフルオロ炭化水素基であり、かつ-OCF2O-構造が存在しない基である構造を有する化合物を必須とする請求項1~4のいずれかに記載の表面処理剤。
[6] 化合物(B)が、下式(B1)で表される化合物および/または下式(B2)で表される化合物を必須とする請求項1~4のいずれかに記載の表面処理剤。
X2-CF2O(CF2CF2O)uCF2-X2 (B1)、
[RF3O(CF2CF2O)v-]zY[-O(CF2CF2O)wCF2-X3]x (B2)。
ただし、式中の記号は以下の意味を示す。
X2、X3:それぞれ独立に、下式(X1)で表される基~下式(X7)で表される基から選ばれるいずれかの基を示す(ただし、L、R、およびpは前記と同じ意味を示す。)。
-C(O)NHCH2CH2CH2SiLpR3-p (X1)
-CH2OC(O)NHCH2CH2CH2SiLpR3-p (X2)、
-CH2OCH2CH2CH2SiLpR3-p (X3)、
-CF2OCH2CH2CH2SiLpR3-p (X4)、
-CH2CH2SiLpR3-p (X5)、
-CH2CH2CH2SiLpR3-p (X6)、
-C(O)N(CH2CH2CH2SiLpR3-p)2(X7)。
RF3:炭素数1~20のペルフルオロ1価飽和炭化水素基、または、炭素原子-炭素原子間にエーテル性酸素原子が挿入された炭素数2~20のペルフルオロ1価飽和炭化水素基でありかつ-OCF2O-構造が存在しない基。
Yは、(x+z)価のペルフルオロ化飽和炭化水素基、または炭素原子-炭素原子間にエーテル性酸素原子が挿入された(x+z)価のペルフルオロ化飽和炭化水素基でありかつ-OCF2O-構造が存在しない基。
u、v、w:それぞれ独立に、1~200の整数。
x、z:xは2以上の整数であり、zは0以上の整数であり、(x+z)は、3以上の整数であり、zが2以上である場合のRF3O(CF2CF2O)v-で表される基は、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、xが2以上である場合の-O(CF2CF2O)wCF2-X3で表される基は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
[7] 化合物(B)が、フッ素原子を持たず、ケイ素原子に加水分解性基が2つ以上結合した構造を有する化合物を必須とする請求項1~6のいずれかに記載の表面処理剤。
[8] 化合物(A)の総質量に対する化合物(B)の総質量の割合が、0.1~50質量%である、請求項1~7のいずれかに記載の表面処理剤。
[9] 有機溶剤を含む請求項1~8のいずれかに記載の表面処理剤。
[10] 有機溶剤が、非フッ素系の有機溶剤からなる請求項9に記載の表面処理剤。
[11] 請求項1~10のいずれかに記載の表面処理剤を基材表面に塗布し乾燥させることによる表面処理された基材の製造方法。
・・・」(請求の範囲)

(甲1b)

「発明が解決しようとする課題
[0012] 本発明は、撥水撥油性、油脂汚れの除去性、酸触媒の存在下かつ高温条件下における劣化耐性に優れた塗膜を形成できる表面処理剤を提供する。また該表面処理剤から形成され、撥水撥油性、油脂汚れの除去性に優れ、酸触媒の存在かつ高温条件においても、劣化耐性に優れた塗膜を有する物品を提供する。また本発明は表面処理剤として有用な新規な含フッ素エーテル化合物を提供する。」

(甲1c)

「実施例
[0124] 以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は該実施例に限定されない。
(略号)
TMS:テトラメチルシラン、
続きを表示(全160行)
R-113:CCl2FCClF2、
R-225:ジクロロペンタフルオロプロパン、
DBTDL:ジブチル錫ジラウレート、
CFE-419:CClF2CClFCF2OCF2CF2Cl、
L:リットル、
Mn:数平均分子量、
Mw:質量平均分子量、
Rf:-CF(CF3)OCF2CF(CF3)OCF2CF2CF3。
a:aを付した化合物は、a値が異なる2種以上の化合物からなる。aは1~200の整数から選ばれる値であり、平均値は化合物のMn値になる整数、
d1、d2、d3:d1~d3を付した化合物は、d1~d3値がそれぞれ異なる2種以上の化合物からなる。d1~d3は、1~200の整数から選ばれる値であり、平均値は化合物のMn値になる整数。
[0125](Mnの測定)
Mnは、GPCによって測定した。
GPCの測定は、特開2001-208736号公報に記載の方法にしたがった。具体的には、移動相として、R-225(旭硝子社製、アサヒクリンAK-225SECグレード1)およびヘキサフルオロイソプロピルアルコール(HFIP)の混合溶媒(R-225/HFIP=99/1容量比)を用いた。分析カラムとして、PLgel MIXED-Eカラム(ポリマーラボラトリーズ社製)を2本直列に連結したものを用いた。分子量測定用標準試料として、分子量分布(Mw/Mn)が1.1未満である、分子量が2000~10000のペルフルオロポリエーテル4種および分子量分布(Mw/Mn)が1.1以上である、分子量が1300のペルフルオロポリエーテル1種を用いた。検出器として、蒸発光散乱検出器を用い、移動相流速を1.0mL/分とし、カラム温度を37℃としてGPCを測定した。
[0126](接触角)
物品の塗膜の表面に、直径約2μLの水滴またはヘキサデカンを5滴置き、接触角を測定し、5つの値の平均値を求めた。未処理のソーダライムガラス板の水接触角は約30度である。
[0127](水転落角)
物品を水平に保持し、該物品の塗膜の表面に50μLの水滴を滴下した後、物品を徐々に傾け、水滴が転落しはじめた時の物品と水平面との角度(転落角)を測定した。転落角が小さいほど水滴滑落性に優れる。
[0128](耐摩耗性)
往復式トラバース試験機(ケイエヌテー社製)を用いて、ネル布、荷重1kg、摩耗回数3000往復の条件にて物品の塗膜の表面について磨耗試験を行った後、水接触角および水転落角を測定した。
[0129](耐アルカリ性)
物品をpH13の水酸化ナトリウム水溶液に2時間浸漬した。物品を水洗、乾燥した後、物品の塗膜の表面の水接触角および水転落角を測定した。
[0130](油脂汚れの除去性)
物品の塗膜の表面に、オレイン酸で人工的に油脂汚れを付着させた後、一定荷重でセルロース製不織布(旭化成社製、ペンコットM-3)で拭き取り、油脂汚れの取れやすさを目視で判定した。判定基準は、下記の通りとした。
○:油脂汚れを完全に拭き取ることができる。
△:油脂汚れの拭き取り跡が残る。
×:油脂汚れを拭き取ることができない。
[0131]〔例1〕
〔例1-1〕化合物(D3-1)の製造例
フラスコ内に、下記化合物(D1-1)(市販のポリオキシエチレングリコールモノメチルエーテル、aの平均値:7.3。)の25g、R-225の20g、NaFの1.2g、およびピリジンの1.6gを入れ、内温を10℃以下に保ちながら激しく撹拌し、窒素をバブリングさせた。フラスコ内に、下記化合物(D2-1)の46.6gを、内温を5℃以下に保ちながら3.0時間かけて滴下した。滴下終了後、50℃にて12時間撹拌し、室温にて24時間撹拌して、粗液を回収した。粗液を減圧濾過した後、回収液を真空乾燥機(50℃、5.0torr。)で12時間乾燥し、粗液を得た。粗液を100mLのR-225に溶解し、1000mLの飽和重曹水で3回水洗し、有機相を回収した。有機相に硫酸マグネシウムの1.0gを加え、12時間撹拌した後、加圧濾過して硫酸マグネシウムを除去し、回収液からエバポレータにてR-225を留去し、室温で液体である化合物の56.1gを得た。該化合物のNMR分析の結果、下記化合物(D3-1)(aの平均値:7.3。)であることを確認した。
CH3O[CH2CH2O]aCH2CH2OH (D1-1)、
FC(O)-Rf (D2-1)、
CH3O[CH2CH2O]aCH2CH2OC(O)-Rf (D3-1)。
[0132] 化合物(D3-1)のNMRスペクトル;
1H-NMR(300.4MHz、溶媒:CDCl3、基準:TMS)δ(ppm):4.2,4.35,4.4,4.75。
19F-NMR(282.7MHz、溶媒:CDCl3、基準:CFCl3)δ(ppm):-79.5,-80.0,-82.5~-85.0,-128.0~-129.2,-131.5,-144.5。
[0133]〔例1-2〕化合物(D4-1)の製造例:
3000mLのハステロイ製オートクレーブ内に、R-113の1560gを入れて撹拌し、25℃に保った。オートクレーブガス出口には、20℃に保持した冷却器、NaFペレット充填層、および-20℃に保持した冷却器を直列に設置した。また、-20℃に保持した冷却器から凝集した液をオートクレーブに戻すための液体返送ラインを設置した。
オートクレーブ内に窒素ガスを1.0時間吹き込んだ後、窒素ガスで10%に希釈したフッ素ガス(以下、10%フッ素ガスと記す。)を、流速24.8L/時間で1時間吹き込んだ。つぎに、オートクレーブ内に10%フッ素ガスを同じ流速で吹き込みながら、化合物(D3-1)の27.5gをR-113の1350gに溶解した溶液を30時間かけて注入した。つぎに、オートクレーブ内に10%フッ素ガスを同じ流速で吹き込みながら、R-113の12mLを注入した。この際、内温を40℃に変更した。つづけて、ベンゼンを1質量%溶解したR-113溶液の6mLを注入した。さらに、フッ素ガスを1.0時間吹き込んだ後、窒素ガスを1.0時間吹き込んだ。
反応終了後、溶媒を真空乾燥(60℃、6.0時間。)にて留去し、室温で液体の化合物の45.4gを得た。該化合物のNMR分析の結果、化合物(D3-1)の水素原子の総数の99.9%がフッ素原子に置換された、下記化合物(D4-1)が主たる成分であることを確認した。
CF3O[CF2CF2O]aCF2CF2OC(O)-Rf (D4-1)。
[0134] 化合物(D4-1)のNMRスペクトル;
1H-NMR(300.4MHz、溶媒:R-113、基準:TMS、内部標準:ニトロベンゼン)δ(ppm):5.9~6.4。
19F-NMR(282.7MHz、溶媒:R-113、基準:CFCl3、内部標準:ヘキサフルオロベンゼン)δ(ppm):12.7,-54.9,-77.5~-80.0,-81.5,-82.2,-84.5,-87.5,-89.7,-129,-131.5,-135.0~-139.0,-144.5。
[0135] 〔例1-3〕化合物(D5-1)の製造例:
スターラーチップを投入した50mLのナスフラスコを充分に窒素置換した。ナスフラスコ内に、1,1,3,4-テトラクロロヘキサフルオロブタンの5.0g、KFの0.05g、および化合物(D4-1)の2.0gを入れて激しく撹拌し、120℃に保った。ナスフラスコ出口には、20℃に保持した冷却器、およびドライアイス-エタノール冷却管を直列に設置し、ナスフラスコ出口は窒素シールした。
8時間後、ナスフラスコの内温を室温まで下げ、つづいて冷却管に真空ポンプを設置して系内を減圧に保ち、溶媒および副生物を留去した。3時間後、室温で液体の化合物の0.86gを得た。該化合物のNMR分析の結果、化合物(D4-1)のエステル結合の総数の99%がフッ素原子に置換された、下記化合物(D5-1)が主たる生成物であることを確認した。
CF3O[CF2CF2O]aCF2COF (D5-1)。
[0136] 化合物(D5-1)のNMRスペクトル;
1H-NMR(300.4MHz、溶媒:R-113、基準:TMS、内部標準:ニトロベンゼン)δ(ppm):5.9~6.4。
19F-NMR(282.7MHz、溶媒:R-113、基準:CFCl3、内部標準:ヘキサフルオロベンゼン)δ(ppm):12.7,-54.9,-78.1,-87.5,-89.7,-135.0~-139.0。
[0137] 〔例1-4〕化合物(D7-1)の製造例(1):
化合物(D5-1)の40gが入ったナスフラスコ内に、R-113の20.0gを入れ、内温を25℃に保ちながら激しく撹拌した。ナスフラスコ内に、エタノールの20.0gを、内温を25℃以上に保ちながらゆっくりと滴下した。
8時間後、撹拌を停止し、粗液を加圧濾過し、KFを除去した。つづいて、回収液からエバポレータにてR-113および過剰のエタノールを完全に除去して室温で液状の化合物の43gを得た。該化合物のNMR分析の結果、化合物(D5-1)の酸フルオリドの総数がエステル化された、下記化合物(D7-1)が主たる生成物であることを確認した。
CF3O[CF2CF2O]aCF2C(O)OCH2CH3 (D7-1)。
[0138] 化合物(D7-1)のNMRスペクトル;
1H-NMR(300.4MHz、溶媒:R-113、基準:TMS、内部標準:ニトロベンゼン)δ(ppm):1.27,4.27,5.9~6.4。
19F-NMR(282.7MHz、溶媒:R-113、基準:CFCl3、内部標準:ヘキサフルオロベンゼン)δ(ppm):-54.9,-78.5,-87.5,-89.7,-135.0~-139.0。
[0139] 〔例1-5〕化合物(D7-1)の製造例(2):
スターラーチップを投入した300mLのナスフラスコを充分に窒素置換した。ナスフラスコ内に、エタノールの40g、NaFの5.6g、およびR-225(50g)を入れた。ナスフラスコ内に、化合物(D4-1)の43.5gを滴下した後、室温にてバブリングを行いながら、激しく撹拌した。ナスフラスコ出口は窒素シールした。
8時間後、冷却管に真空ポンプを設置して系内を減圧に保ち、過剰のエタノールおよび交換によって生じるCH3CH2OC(O)-Rfを留去した。24時間後、室温で液体の化合物の26.8gを得た。該化合物のNMR分析の結果、化合物(D4-1)のエステル基の全量がエステル交換された、化合物(D7-1)が主たる生成物であることを確認した。
[0140] 化合物(D7-1)のNMRスペクトル;
1H-NMR(300.4MHz、溶媒:R-113、基準:TMS、内部標準:ニトロベンゼン)δ(ppm):1.27,4.27,5.9~6.4。
19F-NMR(282.7MHz、溶媒:R-113、基準:CFCl3、内部標準:ヘキサフルオロベンゼン)δ(ppm):-54.9,-78.5,-87.5,-89.7,-135.0~-139.0。
[0141] 〔例1-6〕化合物(D9-1)の製造例:
スターラーチップを投入した300mLのナスフラスコを充分に窒素置換した。ナスフラスコ内に、2-プロパノールの30g、R-225の50.0g、および、NaBH4の4.1gを入れた。ナスフラスコ出口は窒素シールした。化合物(D7-1)の26.2gをR-225の30gに希釈して滴下した後、室温にて激しく撹拌した。
8時間後、冷却管に真空ポンプを設置して系内を減圧に保ち、溶媒を留去した。24時間後、ナスフラスコ内にR-225の100gを入れ、撹拌を行いながら、0.2規定塩酸水溶液の500gを滴下した。滴下後、6時間撹拌を維持した。有機相を蒸留水の500gにて3回水洗し、二層分離にて有機相を回収した。有機相に硫酸マグネシウムの1.0gを加え、12時間撹拌した後、加圧濾過にて硫酸マグネシウムを除去し、回収液からエバポレータにてR-225を留去して、室温で液体の化合物の24.8gを得た。該化合物のNMR分析の結果、化合物(D7-1)のエステル基の全量が還元された、下記化合物(D9-1)が主たる生成物であることを確認した。
CF3O[CF2CF2O]aCF2CH2OH (D9-1)。
[0142] 化合物(D9-1)のNMRスペクトル;
1H-NMR(300.4MHz、溶媒:R-113、基準:TMS、内部標準:ニトロベンゼン)δ(ppm):2.6,3.92,5.9~6.4。
19F-NMR(282.7MHz、溶媒:R-113、基準:CFCl3、内部標準:ヘキサフルオロベンゼン)δ(ppm):-54.9,-79.8,-87.5,-89.7,-135.0~-139.0。
[0143] 〔例2〕化合物(A1-1)の製造例:
100mLの丸底フラスコ内に、化合物(D7-1)の33.1g、下記化合物(D8-1)の3.7gを入れ、室温で2時間撹拌した。反応終了後、未反応の化合物(D8-1)および副生したエタノールを減圧留去し、室温で液体の化合物の32.3gを得た。
該化合物のNMR分析の結果、化合物(D7-1)中の-CF2C(O)OCH2CH3の95.0モル%が-CF2C(O)NHCH2CH2CH2Si(OCH3)3に変換され、-(OCF2O)-単位が存在しない化合物であることを確認した。すなわち、下記化合物(A1-1)が主たる生成物であった。化合物(A1-1)の分子量分布は1.16であった。
NH2CH2CH2CH2Si(OCH3)3 (D8-1)、
CF3O[CF2CF2O]aCF2C(O)NH(CH2)3Si(OCH3)3 (A1-1)。
[0144] 化合物(A1-1)のNMRスペクトル;
1H-NMR(300.4MHz,溶媒:R-113,基準:TMS)δ(ppm):0.51,1.60,3.05,3.41,3.67,7.20。
19F-NMR(282.65MHz,溶媒:R-113,基準:CFCl3)δ(ppm):-54.9,-78.0,-88.2,-89.7。
[0145] 〔例3〕化合物(A2-1)の製造例:
250mLの丸底フラスコ内に、窒素雰囲気下で化合物(D9-1)の10gおよび触媒であるDBTDLの0.03gをCFE-419の25.0gに溶解した溶液を入れ、内温を5℃以下に保持した。丸底フラスコ内に、市販の下記化合物(D11-1)の3gをCFE-419の10.0gに溶解した溶液を1時間かけて穏やかに滴下し、約12時間撹拌した。過剰の化合物(D11-1)およびCFE-419を減圧留去し、室温で液体の化合物の10.70gを得た。
該化合物のNMR分析の結果、化合物(D9-1)中の-CF2CH2OHの99.1モル%が-CF2CH2OC(O)NH(CH2)3Si(OCH3)3に変換され、-(OCF2O)-単位が存在しない化合物であることを確認した。すなわち、下記化合物(A2-1)が主たる生成物であった。GPCの分析結果から、化合物(A2-1)のMnは1110であった。
(O)C=NCH2CH2CH2Si(OCH3)3 (D11-1)、
CF3O[CF2CF2O]aCF2CH2OC(O)NH(CH2)3Si(OCH3)3 (A2-1)。
[0146] 化合物(A2-1)のNMRスペクトル;
1H-NMR(300.4MHz,溶媒:R-113,基準:TMS)δ(ppm):0.85,1.82,3.20,3.80,4.10,5.90。
19F-NMR(282.65MHz,溶媒:R-113,基準:CFCl3)δ(ppm):-54.9,-79.5,-88.2,-89.7。
[0147] 〔例4〕化合物(A3-1)の製造例
250mLの丸底フラスコ内に、窒素雰囲気下で水素化ナトリウムの0.36gを入れ、ヘキサンの25mLで洗浄し、ヘキサンを回収した。該操作をさらに2回繰り返した後、残留するヘキサンを減圧留去した。丸底フラスコ内に、CFE-419の25.0gを入れ、内温を5℃以下に保持した。丸底フラスコ内に、化合物(D9-1)の10gをCFE-419の25.0gに溶解した溶液を1時間かけて穏やかに滴下し、約10時間撹拌した。丸底フラスコ内に、下記化合物(D12-1)の0.85gを滴下して室温で2時間撹拌した後、72時間加熱還流した。還流終了後、室温まで冷却し、未反応の水素化ナトリウムおよび副生した塩化ナトリウムを加圧濾過し、CFE-419および過剰の化合物(D12-1)を減圧留去し、室温で液体の化合物の10.70gを得た。
該化合物のNMR分析の結果、化合物(D9-1)中の-CF2CH2OHの98.5モル%が-CF2CH2O(CH2)3Si(OCH3)3に変換され、-(OCF2O)-単位が存在しない化合物であることを確認した。すなわち、下記化合物(A3-1)が主たる生成物であった。GPCの分析結果から、化合物(A3-1)のMnは1100であり分子量分布は1.15であった。
CClH2CH2CH2Si(OCH3)3 (D12-1)、
CF3O[CF2CF2O]aCF2CH2O(CH2)3Si(OCH3)3 (A3-1)。
[0148] 化合物(A3-1)のNMRスペクトル;
1H-NMR(300.4MHz,溶媒:R-113,基準:TMS)δ(ppm):0.76,1.79,3.36,3.8,5.6。
19F-NMR(282.65MHz,溶媒:R-113,基準:CFCl3)δ(ppm):-54.9,-80.8,-88.2,-89.7。
[0149] 〔例5〕化合物(A6-1)の製造例:
250mLの丸底フラスコ内に、窒素雰囲気下で化合物(D9-1)の50gおよびR-225の100gに溶解した溶液を入れ、内温を5℃以下に保持した。丸底フラスコ内に、CF3CF2CF2CF2SO2Clの15gをR-225の15.0gに溶解した溶液を1時間かけて穏やかに滴下し、約12時間撹拌した。R-225を減圧留去したのち、粗生成物を二層分離、下層を回収して室温で液体の化合物(D9-2)の58gを得た。該化合物のNMR分析の結果、化合物(D9-1)中の-CF2CH2OHの99.8モル%が-CF2CH2OSO2CF2CF2CF2CF3に変換され、-(OCF2O)-単位が存在しない式CF3O[CF2CF2O]aCF2CH2OSO2(CF2)3CF3で表される化合物であることを確認した。
[0150] つづいて、撹拌機、滴下ロート、還流冷却器及び温度計を備えた200mL4つ口フラスコ中に(D9-2)の50gを投入し、溶媒としてアセトンの100gを投入して1時間撹拌を行った。さらに、LiIの15gを投入し、撹拌を継続しながら60℃まで昇温して3時間保持した。反応終了後、系を冷却したのちLi塩を濾別し、2層に分離した液相から分液ロートを用いて下層を分取した。これをアセトンを用いて数回洗浄したのち、0.1LのR-225に溶解し、フイルターによって微細な不溶物を濾別した。得られた溶液から減圧下揮発分を完全に留去することによって、室温で液体の化合物(D9-3)の43gを得た。該化合物のNMR分析の結果、化合物(D9-2)中の-CF2CH2OSO2CF2CF2CF2CF3の99.5モル%が-CF2CH2Iに変換され、-(OCF2O)-単位が存在しない式CF3O[CF2CF2O]aCF2CH2Iで表される化合物であることを確認した。
[0151] つづいて、撹拌機、滴下ロート、還流冷却器及び温度計を備えた200mL4つ口フラスコ中に(D9-3)の40gを投入し、溶媒としてR-225の100gを投入して1時間撹拌を行った。さらに、ジt-ブチルパーオキシド0.5gを仕込み、充分に系内を窒素置換したのち、窒素気流下滴下ロートよりビニルトリクロロシラン25gを滴下した。滴下終了後系内の温度を120℃に昇温させ、4時間反応させた。反応終了後減圧下揮発分を完全に留去することによって、室温で液体の化合物(D9-4)の39gを得た。該化合物のNMR分析の結果、化合物(D9-3)中の-CF2CH2Iの99.0モル%が-CF2CH2(CH2CH(Si(OCH3)3))x-Iに変換され、-(OCF2O)-単位が存在しない化合物であることを確認した。
[0152] 撹拌機、滴下ロート、還流冷却器及び温度計を備えた200mL4つ口フラスコ中にD9-4の35gとR-225の50gを仕込み、亜鉛2.5gを強撹拌分散させた。氷水浴で系を冷却し、窒素気流下無水エタノール10gを滴下した。滴下終了後氷水浴を取り除き、加熱還流下2時間反応させた。反応終了後不溶物を濾別し、2層に分離した液相から分液ロートを用いて下層を分取した。得られた溶液を無水エタノールを用いて3回洗浄したのち、減圧下揮発分を完全に留去することによって、室温で液体の化合物(D9-5)の30gを得た。該化合物のNMR分析の結果、化合物(D9-4)中の-CF2CH2(CH2CH(Si(OCH3)3))x-Iの99.9モル%が-CF2CH2(CH2CH(Si(OCH3)3))x-Hに変換され、-(OCF2O)-単位が存在しない化合物であることを確認した。すなわち、下記化合物(A6-1)のxが1である化合物を含み、xの平均値が1.4である化合物の混合物であった。GPCの分析結果から、化合物(A6-1)のMnは1100であり、1H-NMR分析より、xの平均値は1.4であった。化合物(A6-1)の分子量分布は1.09であった。
CF3O[CF2CF2O]aCF2CH2(CH2CH(Si(OCH3)2))x-H (A6-1)
[0153] 化合物(A6-1)のNMRスペクトル;
1H-NMR(300.4MHz,溶媒:R-113,基準:TMS)δ(ppm):0.76,1.6~2.6,3.8,5.1。
19F-NMR(282.65MHz,溶媒:R-113,基準:CFCl3)δ(ppm):-54.9,-78.8,-88.2,-89.7。
[0154] 〔例6〕化合物(A7-1)の製造例:
100mLの丸底フラスコ内に、化合物(D7-1)の50.0g、下記化合物(D8-2)の16.2gを入れ、60℃で撹拌した。そのまま徐々に圧力を100mmHgまで下げ、複製するエタノールを系外に除去した。反応終了後、未反応の化合物(D8-1)および副生したエタノールをヘキサン(100ml)で抽出除去し、室温で液体の化合物の64.5gを得た。
該化合物のNMR分析の結果、化合物(D7-2)中の-CF2C(O)OCH2CH3の95.0モル%が-CF2C(O)N((CH2)3Si(OCH3)3)2に変換され、-(OCF2O)-単位が存在しない下記化合物(A7-1)が主生成物であった。化合物(A7-1)の分子量分布は1.21であった。
NH((CH2)3Si(OCH3)3)2 (D8-2)、
CF3O[CF2CF2O]aCF2C(O)N((CH2)3Si(OCH3)3)2 (A7-1)。
化合物(A7-1)のNMRスペクトル;
1H-NMR(300.4MHz,溶媒:R-113,基準:TMS)δ(ppm):0.56,1.57,3.1,3.41。
19F-NMR(282.65MHz,溶媒:R-113,基準:CFCl3)δ(ppm):-54.9,-72.5,-77.7,-88.2,-89.7。
[0155] 〔例7〕化合物(B)の製造例
〔例7-1〕化合物(B11-1)の製造例:
下記化合物(b-0)(市販のポリオキシエチレングリコール、uの平均値:8.3。)を用い、国際公開第2004/035656号パンフレットの(例1)~(例4)に記載の方法と同様にして、下記化合物(b-1)(uの平均値:8.5。)を得た。
化合物(b-1)を用い、国際公開第2004/035656号パンフレットの(例5)に記載の方法と同様にして、下記化合物(b-2)を得た。
化合物(D7-1)の代わりに、化合物(b-2)の15.5gを用いる以外は、例2と同様にして、室温で液体の化合物の16.5gを得た。
該化合物のNMR分析の結果、化合物(b-2)中の-CF2C(O)OCH3の98.0モル%が-CF2C(O)NHCH2CH2CH2Si(OCH3)3に変換され、-(OCF2O)-単位が存在しない化合物であることを確認した。すなわち、下記化合物(B11-1)が主たる生成物であった。
HOCH2CH2O[CH2CH2O]uCH2CH2OH (b-0)、
CH3OC(O)CF2O[CF2CF2O]uCF2C(O)OCH3 (b-1)、
HOCH2CF2O[CF2CF2O]uCF2CH2OH (b-2)、
(CH3O)3Si(CH2)3NHC(O)CF2O[CF2CF2O]uCF2C(O)NH(CH2)3Si(OCH3)3 (B11-1)。
[0156] 化合物(B11-1)のNMRスペクトル;
1H-NMR(300.4MHz,溶媒:R-113,基準:TMS)δ(ppm):0.51,1.60,3.05,3.41,3.67,7.20。
19F-NMR(282.65MHz,溶媒:R-113,基準:CFCl3)δ(ppm):-78.0,-88.2,-89.7。
[0157] 〔例7-2〕化合物(B12-1)の製造例:
国際公開第2005/068534号パンフレットの(例11-1)に記載の方法と同様にして、下記化合物(b3)を得て、つぎに化合物(b3)を還元して下記化合物(b4)を得た。ただし、d1+d2+d3の平均値は、27.0である。
[0158] 化合物(D9-1)の代わりに、化合物(b4)の10gを用いる以外は、例3と同様にして、室温で液体の化合物の10.5gを得た。
該化合物のNMR分析の結果、化合物(b4)中の-CF2CH2OHの99.1モル%が-CF2CH2OC(O)NH(CH2)3Si(OCH3)3構造に変換され、-(OCF2O)-単位が存在しない化合物であることを確認した。すなわち、下記化合物(B12-1)が主たる生成物であった。GPCの分析結果から、化合物(B12-1)のMnは3200であった。
[0159][化21]
[図:0001398257000002.jpg]
[0160] 化合物(B12-1)のNMRスペクトル;
1H-NMR(300.4MHz,溶媒:R-113,基準:TMS)δ(ppm):0.85,1.82,3.20,3.80,4.10,5.90。
19F-NMR(282.65MHz,溶媒:R-113,基準:CFCl3)δ(ppm):-79.5,-88.2,-89.7。
[0161] 〔例8〕化合物(A1-1)と化合物(B11-1)を含む組成物1
撹拌機、温度計がセットされたガラス容器内に、メタノール(純正化学社製)の48.5g、10%硝酸水溶液の0.37gを入れ、25℃にて10分間撹拌した。ガラス容器内に、化合物(A1-1)の1.35gおよび化合物(B11-1)の0.15gをあらかじめ調合した混合物を徐々に添加した後、25℃にて1時間撹拌して、組成物1を得た。
[0162] 酸化セリウムで表面を研磨洗浄し、乾燥した清浄なガラス基板(100mm×100mm×3.5mm)に、組成物1をスピンコートによって塗布した後、1昼夜(24時間)、室温(20~25℃)、相対湿度40~60%にて保持し、物品1を得た。物品1について、接触角、水転落角、耐摩耗性、耐アルカリ性および油脂汚れの除去性を評価した。
結果を表1に示す。物品1は優れた撥水撥油性、耐摩耗性、耐アルカリ性、油脂汚れの除去性を有していた。
[0163] 〔例9〕化合物(A1-1)と化合物(B11-1)を含む組成物2の例
撹拌機、温度計がセットされたガラス容器内に、メタノール(純正化学社製)の48.5g、10%硝酸水溶液の0.37gを入れ、25℃にて10分間撹拌した。ガラス容器内に、化合物(A1-1)の0.34g、化合物(B11-1)の0.04g、およびテトラメトキシシランの1.13gを徐々に添加した後、50℃にて3時間撹拌して、組成物2を得た。
[0164] 組成物1の代わりに、組成物2を用いた以外は、例8と同様にして物品2を得た。物品2について、接触角、水転落角、耐摩耗性、耐アルカリ性および油脂汚れの除去性を評価した。結果を表1に示す。物品2は、優れた撥水撥油性、耐摩耗性、油脂汚れの除去性を有していた。
[0165] 〔例10〕化合物(A1-1)と化合物(B12-1)を含む組成物3の例
化合物(B11-1)の代わりに、化合物(B12-1)の0.02gを用いた以外は、例9と同様にして組成物3を得た。
組成物1の代わりに、組成物3を用いた以外は、例8と同様にして物品3を得た。物品3について、接触角および油脂汚れの除去性を評価した。結果を表1に示す。物品3は、優れた撥水撥油性、油脂汚れの除去性を有していた。
[0166] 〔例11(比較例)〕化合物(B12-1)からなる組成物4の例
化合物(A1-1)と化合物(B11-1)の全量の代わりに、化合物(B12-1)の0.16gを用いた以外は、例9と同様にして組成物4を得た。
組成物1の代わりに、組成物4を用いた以外は、例8と同様にして物品4を得た。物品4について、接触角および油脂汚れの除去性を評価した。結果を表1に示す。物品4は、撥水撥油性に劣っていた。
[0167] 〔例12(比較例)〕化合物(2)からなる組成物5の例
撹拌機、温度計がセットされたガラス容器内に、R-225の19g、化合物(2)(ダイキン工業社製、オプツールDSX)の1gを入れて、25℃にて10分間撹拌して、組成物5を得た。
組成物1の代わりに、組成物5を用いた以外は、例8と同様にして物品5を得た。物品5について、接触角、水転落角、耐摩耗性、耐アルカリ性および油脂汚れの除去性を評価した。結果を表1に示す。物品5は、油脂汚れの除去性に劣っていた。
〔例13〕化合物(A6-1)と化合物(B11-1)を含む組成物6の例
例8と同様の方法で、化合物(A1-1)の代わりに、化合物(A6-1)の0.4gを用いて組成物6を調製し、物品6を得た。物品6について、接触角および油脂汚れの除去性を評価した結果を表1に示す。物品6は、優れた撥水撥油性、油脂汚れの除去性を有していた。
〔例14〕化合物(A7-1)と化合物(B11-1)を含む組成物7の例
例8と同様の方法で、化合物(A1-1)の代わりに、化合物(A7-1)の0.4gを用いた以外は、例8と同様にして組成物7を調製し、物品7を得た。物品7について、接触角および油脂汚れの除去性を評価した結果を表1に示す。物品7は、特に優れた撥水撥油性、油脂汚れの除去性を有していた。
[0168][表1]
[図:0001398257000003.jpg]
・・・」

イ 甲1に記載された発明

上記甲1の記載のうち、摘記(甲1c)の段落[0167]に記載の例13に着目すると、甲1には、

「撹拌機、温度計がセットされたガラス容器内に、メタノール(純正化学社製)の48.5g、10%硝酸水溶液の0.37gを入れ、25℃にて10分間撹拌し、ガラス容器内に、化合物(A6-1)の0.4gおよび化合物(B11-1)の0.15gをあらかじめ調合した混合物を徐々に添加した後、25℃にて1時間撹拌して得られた、組成物6であって、化合物(A6-1)および化合物(B11-1)が各々下記式にて示される組成物6。
化合物(A6-1):
CF3O[CF2CF2O]aCF2CH2(CH2CH(Si(OCH3)3))x-H (Mnは1100であり、1H-NMR分析によるxの平均値は1.4であり、分子量分布は1.09。)
化合物(B11-1):
(CH3O)3Si(CH2)3NHC(O)CF2O[CF2CF2O]uCF2C(O)NH(CH2)3Si(OCH3)3 (uの平均値:8.5)」の発明(以下「甲1発明A」という。)、および、

「甲1発明Aの組成物6を、酸化セリウムで表面を研磨洗浄し、乾燥した清浄なガラス基板(100mm×100mm×3.5mm)にスピンコートによって塗布した後、1昼夜(24時間)、室温(20~25℃)、相対湿度40~60%にて保持して得られた物品6」の発明(以下「甲1発明B」という。)が記載されているといえる。

なお、上記摘記(甲1c)のうち、段落[0152]の第14行目には化合物(A6-1)に関し「CF3O[CF2CF2O]aCF2CH2(CH2CH(Si(OCH3)2))x-H (A6-1)」という記載があるが、同段落第7-10行目の化合物(D9-4)を化合物(A6-1)に変換する工程に関する記載「化合物(D9-4)中の-CF2CH2(CH2CH(Si(OCH3)3))x-Iの99.9モル%が-CF2CH2(CH2CH(Si(OCH3)3))x-Hに変換され、-(OCF2O)-単位が存在しない化合物であることを確認した。」やSiの価電子数が4であるという技術常識を考慮すると、第14行目の「CF3O[CF2CF2O]aCF2CH2(CH2CH(Si(OCH3)2))x-H (A6-1)」の「Si(OCH3)2」は「Si(OCH3)3」の誤記であると認められる。

(2)本件発明1について

ア 甲1発明Aとの対比

本件発明1と甲1発明Aとを対比する。

甲1発明Aの「化合物(B11-1):

(CH3O)3Si(CH2)3NHC(O)CF2O[CF2CF2O]uCF2C(O)NH(CH2)3Si(OCH3)3 (uの平均値:8.5)」は、CF2O単位と[CF2CF2O]鎖および2個のSi(CH3O)3構造を含み、またアミドシラン構造を有するものの、該構造を両末端に2つ有する化合物であるから、本願発明1の「(CF2O)単位を含むポリ(オキシペルフルオロアルキレン)鎖および2個以上の前記式(I)で表される基を有する化合物」である「含フッ素エーテル化合物(A)」に相当する。

甲1発明Aの「化合物(A6-1):

CF3O[CF2CF2O]aCF2CH2(CH2CH(Si(OCH3)3))x-H (Mnは1100であり、1H-NMR分析によるxの平均値は1.4であり、分子量分布は1.09。)」は、(CF2O)構造を含まない[CF2CF2O]鎖を有し、Si(OCH3)3を平均で1.4個有するものであって、アミドシラン構造を有しないものであるから、本願発明1の「(CF2O)単位を含まないポリ(オキシペルフルオロアルキレン)鎖および2個以上の前記式(I)で表される基を有する化合物」である「含フッ素エーテル化合物(B)(但し、下記式(1)で表されるパーフルオロ(ポリ)エーテル基含有アミドシラン及び下記式(A)で表される化合物を除く)」と、「(CF2O)単位を含まないポリ(オキシペルフルオロアルキレン)鎖および式(I)で表される基を有する化合物(但し、下記式(1)で表されるパーフルオロ(ポリ)エーテル基含有アミドシランを除く)」である限りにおいて一致する。

甲1発明Aの「組成物6」は含フッ素エーテル化合物を含むものであるから、本件発明1の「含フッ素エーテル組成物」に相当する。

そうすると、本件発明1と甲1発明Aは、

「含フッ素エーテル化合物(A)と含フッ素エーテル化合物(B)(但し、下記式(1)で表されるパーフルオロ(ポリ)エーテル基含有アミドシランを除く)とを含み、
前記含フッ素エーテル化合物(A)が、(CF2O)単位を含むポリ(オキシペルフルオロアルキレン)鎖および2個以上の下式(I)で表される基を有する化合物であり、
前記含フッ素エーテル化合物(B)が、(CF2O)単位を含まないポリ(オキシペルフルオロアルキレン)鎖および前記式(I)で表される基を有する化合物であることを特徴とする含フッ素エーテル組成物。
-SiRnL3-n・・・(I)
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ただし、Lは水酸基または加水分解性基であり、
Rは水素原子または1価の炭化水素基であり、
nは0~2の整数であり、
nが0または1のとき(3-n)個のLは、同一であっても異なっていてもよく、
nが2のときn個のRは、同一であっても異なっていてもよく、
前記含フッ素エーテル化合物(A)および前記含フッ素エーテル化合物(B)それぞれが有する前記式(I)で表される基は同一であっても異なっていてもよい。
【化1】
[図:0001398257000004.jpg]
[式(1)中:
Rfは、それぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素数1~16のアルキル基を表し;
PFPEは、それぞれ独立して、-(OC4F8)a-(OC3F6)b-(OC2F4)c-(OCF2)d-を表し、ここに、a、b、cおよびdは、それぞれ独立して0以上200以下の整数であって、a、b、cおよびdの和は少なくとも1であり、a、b、cまたはdを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意であり;
X1は、単結合または2価の有機基を表し;
R1は、水素原子、低級アルキル基またはフェニル基を表し;
R2は、-X2-SiQ1kY13-kを表し;
X2は、2価の有機基を表し;
Y1は、加水分解可能な基を表し;
Q1は、水素原子、低級アルキル基またはフェニル基を表し;
pは、0または1であり;
kは、0~2の整数である。]」の点で一致し、以下の2点で相違する。

<相違点1>

本件発明1は、含フッ素エーテル化合物(B)に関して、式(I)で表される基を「2個以上」有するのに対し、甲1発明Aは-Si(OCH3)3で表される基を「平均で1.4」個有する点

<相違点2>

本件発明1は、含フッ素エーテル化合物(B)に関して、式(1)で表されるパーフルオロ(ポリ)エーテル基含有アミドシランのみならず式(A)で表される化合物も除くものであるのに対し、甲1発明Aはそのような特定がない点

イ 新規性に関する検討

事案に鑑み、上記相違点2について検討する。

甲1発明Aは、化合物(A6-1)として「CF3O[CF2CF2O]aCF2CH2(CH2CH(Si(OCH3)3))x-H (Mnは1100であり、1H-NMR分析によるxの平均値は1.4であり、分子量分布は1.09。)」を含有するものであり、該化合物(A6-1)は上記摘記(甲1a)にある請求の範囲[1]における式(A):RF1O(CF2CF2O)aCF2-(Q)b(-(CH2)d-SiLpR3-p)cで表される化合物の具体的な態様であると認められるところ、甲1の該式(A)で表される化合物は本件発明1における「含フッ素エーテル化合物(B)(但し、下記式(1)で表されるパーフルオロ(ポリ)エーテル基含有アミドシラン及び下記式(A)で表される化合物を除く)」から除かれる式(A)で表される化合物に相当するものであるから、甲1発明Aの化合物(A6-1)は本件発明1の「含フッ素エーテル化合物(B)(但し、下記式(1)で表されるパーフルオロ(ポリ)エーテル基含有アミドシラン及び下記式(A)で表される化合物を除く)」から除かれるものであり、該「含フッ素エーテル化合物(B)(但し、下記式(1)で表されるパーフルオロ(ポリ)エーテル基含有アミドシラン及び下記式(A)で表される化合物を除く)」に該当しないものである。

また、甲1発明Aは、他の成分として本件発明1の「含フッ素エーテル化合物(B)(但し、下記式(1)で表されるパーフルオロ(ポリ)エーテル基含有アミドシラン及び下記式(A)で表される化合物を除く)」に相当する化合物を含有するものではない。

そうすると、相違点2は実質的な相違点である。

よって、甲1発明Aと本件発明1とは、上記相違点2に関して実質的に相違するものであり、相違点1について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1に記載された発明ではない。

ウ 進歩性に関する検討

次に、上記イにて実質的な相違点であるとした相違点2について、甲1の記載から容易に発明をすることができたか否かを検討する。

甲1の上記摘記やそれ以外の箇所の記載を参照しても、含フッ素エーテル化合物として組成物中に含まれるのは、式(A):RF1O(CF2CF2O)aCF2-(Q)b(-(CH2)d-SiLpR3-p)cで表される化合物および該式(A)で表される化合物と部分加水分解可能な化合物(B)、または、式(A)で表される化合物と該式(A)で表される化合物と部分加水分解可能な化合物(B)との部分加水分解縮合物のみであり、それ以外の、本件発明1にて特定された「含フッ素エーテル化合物(B)(但し、下記式(1)で表されるパーフルオロ(ポリ)エーテル基含有アミドシラン及び下記式(A)で表される化合物を除く)」のような構造を有する化合物を組成物に添加することは記載も示唆もされていない。

そうすると、甲1の記載を参照しても、甲1発明Aに本件発明1にて特定された「含フッ素エーテル化合物(B)(但し、下記式(1)で表されるパーフルオロ(ポリ)エーテル基含有アミドシラン及び下記式(A)で表される化合物を除く)」のような構造を有する化合物を含有させることは動機づけられず、当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。

エ 小括

よって、本件発明1は、相違点1を検討するまでもなく、甲1に記載された発明ではなく、また、甲1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(3)本件発明3,4,10,13及び14について

本件発明3,4,10,13及び14は、本件発明1を直接又は間接的に引用するものであり、本件発明1について上記(2)で述べたのと同じ理由により、甲1に記載された発明ではなく、また、甲1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

2 当審の判断のまとめ

以上より、本件発明1,3,4,10,13及び14は甲1に記載された発明ではなく、また、甲1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

第6 むすび

以上のとおり、上記本件訂正は適法であるから、これを認める。

そして、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した申立理由によっては、本件請求項1,3,4,10,13及び14に係る特許を取り消すことはできない。

また、他に本件請求項1,3,4,10,13及び14に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり決定する。

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2022-700436

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