特許異議申立
2022-700269
電気掃除機
- 審判番号
- 2022-700269
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2018-227145
- 登録番号
- 6944434
- 請求日
- 2022年03月29日
- 審決日
- 2023年04月21日
- 公報発行日
- 2023年07月28日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】シャープ株式会社
- 【権利者代理人】井上 知哉
- 【異議申立人】榛葉 貴宏
- 審判長/審判官
- 審判長 小川 恭司
- 審判官 窪田 治彦
- 審判官 山崎 孔徳
- 分類
- P1651.113-YAA(A47L) / P1651.121-YAA(A47L)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条、特許法第44条、特許法第120条の5第7項、特許法第36条、特許法第120条の5第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第6944434号発明「電気掃除機」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第6944434号の明細書、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1について訂正することを認める。
特許第6944434号の請求項1に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯の概略
特許第6944434号の請求項1に係る特許(以下「本件特許」という。)についての手続の経緯は、概ね、次のとおりである。
平成27年 4月21日 原出願(特願2015-87077号)
平成30年12月 4日 出願
令和 3年 9月14日 特許権の設定登録
令和 3年10月 6日 特許掲載公報
令和 4年 3月29日 特許異議申立人榛葉貴宏による特許異議
の申立て
令和 4年 6月17日付け 取消理由通知書
令和 4年 8月18日 特許権者による意見書及び訂正請求書の
提出
令和 4年10月11日 特許異議申立人による意見書の提出
令和 4年11月25日付け 取消理由通知書(決定の予告)
令和 5年 1月26日 特許権者による意見書及び訂正請求書の
提出
令和 5年 3月 7日 特許権者による手続補正書(方式)の提
出
以下、令和5年3月7日に提出された手続補正書(方式)により補正された令和5年1月26日に提出された訂正請求書に係る訂正を「本件訂正」という。なお、令和4年8月18日に提出された訂正請求書は、取り下げられたものと見なす(特許法120条の5第7項)。
第2 本件訂正の適否
1 本件訂正の内容
本件訂正の請求は、特許第6944434号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1について訂正することを求めるものであって、その訂正の内容は次のとおりである(下線は訂正箇所を示す。)。
(訂正事項1)
特許請求の範囲の請求項1において、
「掃除対象物に対向する底面に設けた吸込口と、」と記載されているのを、「掃除対象物に対向する底面に設けた吸込口を備える吸込ユニットと、」に訂正し、
「上記電動送風機により、吸引された空気を加熱し、加熱された空気を上記外部排出口から上記掃除対象物へ吹き付ける電気掃除機であって、」との記載と、「上記吸込口を掃除対象物に近接対向させた状態で、上記外部排出口から排出された空気が上記吸込口から吸引されないように、上記吸込口と上記外部排出口とを配置し、」との記載の間に、「上記外部排出口は、前記電気掃除機の下部基体の錐面に配置されており、」との記載を追加し、
「上記電気掃除機の下部の前側部分に上記吸込口が設けられ」と記載されているのを、「上記電気掃除機の本体の下部の前側部分に上記吸込ユニットが設けられ」に訂正する。
2 本件訂正の適否について
(1) 訂正の目的
まず、「掃除対象物に対向する底面に設けた吸込口」を「掃除対象物に対向する底面に設けた吸込口を備える吸込ユニット」に訂正する点については、「電気掃除機」がさらに「吸込ユニット」を備えることを特定するとともに、当該「吸込ユニット」が「吸込口」を備えることを特定することで「吸込口」が設けられた箇所をより具体的に特定するものである。
次に、「上記外部排出口は、前記電気掃除機の下部基体の錐面に配置されて(いる)」ことを追加するように訂正する点については、「電気掃除機」がさらに「下部基体」を備えることを特定するとともに、「外部排出口」が設けられた箇所をより具体的に特定するものである。
そして、「上記電気掃除機の下部の前側部分に上記吸込口が設けられ(る)」ことを「上記電気掃除機の本体の下部の前側部分に上記吸込ユニットが設けられ(る)」ことに訂正する点については、当該「吸い込みユニット」が「電気掃除機の本体の下部の前側部分」に設けられることを特定することで、「吸込口」が設けられた箇所をより具体的に特定するものである。
よって、訂正事項1は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(2) 新規事項の追加の有無
ア 本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件明細書等」という。)には、「吸込ユニット20は、回転ブラシ4及びローラー16を収容するブラシ筐体21を備えている。ブラシ筐体21には、回転ブラシ4が露出するように、開口部21a、及びリブ21bが設けられている。開口部21aは、電気掃除機1の吸込口として機能する。」(【0025】)と記載されているから、本件明細書等には、「電気掃除機」が「掃除対象物に対向する底面に設けた吸込口を備える吸込ユニット」を備えることが記載されていると認められる。
また、本件明細書等には、「本実施形態に係る電気掃除機1は、掃除機本体100と集塵装置200と、を備えている。」(【0021】)、「掃除機本体100の外観を構成する筐体ユニット120は、上部の錐面を構成する上部筐体121と、下部の錐面を構成する下部基体122と、集塵装置200を保持する保持体123と、上側頂部の外観を構成する第1頂部筐体124及び第2頂部筐体125と、を備えている。」(【0022】)、「また、掃除機本体100の下部基体122の後側部分には、掃除機本体100内を通過した空気を外部へ排出する外部排出口3が形成されている。」(【0023】)と記載されており、図5において、下部基体122における下部の錐面を構成する部分(下部基体122における掃除対象物に略平行に位置する部分から上方に湾曲している部分)のうち後側部分から流路Z1の空気が外部に排出されている点が記載されているから、本件明細書等には、外部排出口が、電気掃除機の下部基体の錐面に配置されている点が記載されていると認められる。
(図5)
[図:0001399337000001.jpg]
そして、本件明細書等には、「また、掃除機本体100は、下部基体122の前側部分に取り付けられた吸込ユニット20を備えている(図9参照)。」(【0023】)と記載されているから、本件明細書等には、電気掃除機の本体の下部の前側部分に吸込ユニットが設けられる点が記載されていると認められる。
そうすると、訂正事項1に係る本件訂正は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであって、新規事項を追加するものではない。
イ 異議申立人は、「上記外部排出口は、前記電気掃除機の下部基体の錐面に配置されて(いる)」点は、本件明細書等には記載されていない、吸込ユニットの位置、錐面、電気掃除機の下部が不明確であるから、特許法36条6項2号の要件を満たしていない、などと主張している(令和4年10月11日付け意見書)。
本件明細書等には、下部基体122は、掃除機本体の下部の錐面を構成し(【0022】)、そのような下部基体122の後側部分に外部排出口3が形成されていること(【0023】)、空気は、掃除機本体の下部の錘面から外部へ排出されていること(図5)が記載されている。これらの記載によれば、「上記外部排出口は、前記電気掃除機の下部基体の錐面に配置されて(いる)」点は、本件明細書等に記載された事項の範囲内といえる。
また、本件訂正後の請求項1において、吸込ユニットは吸込口を備えること、電気掃除機の本体の下部の前側部分に吸込ユニットが設けられることが記載されており、電気掃除機における吸込ユニットの位置に関し、特段不明確な点は認められない。
そして、本件訂正後の請求項1において、下部基体の錐面に外部排出口が配置されるとともに、電気掃除機の下部の後側部分に外部排出口が設けられることが記載されており、錐面、電気掃除機の下部に関し、特段不明確な点は認められない。
(3) 訂正事項1に係る本件訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張、又は変更するものではない。
(4) まとめ
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる事項を目的とするものであって、同条9項において準用する同法126条5項及び6項の規定に適合するので、訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1について訂正することを認める。
第3 本件発明
前記第2のとおり本件訂正は認められるから、本件特許の請求項1に係る発明(以下「本件発明」という。)は、特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりである。
【請求項1】
掃除対象物に対向する底面に設けた吸込口を備える吸込ユニットと、
上記吸込口を介して空気を内部に吸引する電動送風機と、
上記吸込口から吸引された空気を外部に排出する外部排出口と、を備え、
上記電動送風機により、吸引された空気を加熱し、加熱された空気を上記外部排出口から上記掃除対象物へ吹き付ける電気掃除機であって、
上記外部排出口は、前記電気掃除機の下部基体の錐面に配置されており、
上記吸込口を掃除対象物に近接対向させた状態で、上記外部排出口から排出された空気が上記吸込口から吸引されないように、上記吸込口と上記外部排出ロとを配置し、
上記底面に対し立設し、上記吸込口と上記外部排出口との間を仕切る仕切壁を設け、
上記掃除対象物を掃除する際に、上記吸込口から空気を吸引しながら、上記外部排出口から上記掃除対象物へ向かって空気を排出し、
上記電気掃除機の本体の下部の前側部分に上記吸込ユニットが設けられ、上記電気掃除機の下部の後側部分に上記外部排出口が設けられたことを特徴とする電気掃除機。
第4 取消理由の概要
1 本件訂正前の本件特許に対し通知した取消理由は、概ね、次のとおりである。
(1) 取消理由1
本件発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において頒布された甲第1号証又は甲第2号証(後記2)に記載された発明であって、特許法29条1項3号に該当するから、本件発明に係る特許は、特許法29条1項の規定に違反してされたものである。
(2) 取消理由2
本件発明は、甲第1号証又は甲第2号証(後記2)に記載された発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものである。
2 証拠方法
特許異議申立人提出の証拠方法は以下のとおりである。証拠番号に従い、「甲1」などという。
甲1:特開2016-202509号公報
甲2:国際公開第2014/171750号
甲3:韓国公開特許第10-2011-0102605号公報
甲4:米国特許出願公開第2015/0059120号明細書
甲5:特開2002-165731号公報
甲6:実願平2-112950号(実開平4-68749号)のマイクロフィルム
甲7:特表2008-543356号公報
甲8:韓国登録特許第10-0898368号公報
第5 取消理由について
1 甲1を主引例とする場合
(1) 分割要件について
ア 本件特許に係る出願は、特願2015-87077号(以下「原出願」という。)の分割出願である。
そして、特許法44条2項の規定が適用されるためには、新たな出願の特許請求の範囲、明細書又は図面に記載された事項が、原出願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲、又は図面(以下「原出願の当初明細書等」という。)に記載された事項の範囲内のものでなければならない。
そこで、当該事項が原出願の当初明細書等に記載された範囲内のものか否か検討する。
イ 原出願の当初明細書等(甲1)は、特許請求の範囲、課題を解決するための手段に関する段落(【0017】)及び付記事項(【0124】)を除いて、本件明細書等と記載事項が同じであるところ、原出願の当初明細書等には、次の事項を備えた「電動掃除機1」が記載されている。
・吸込口(開口部21a)を介して空気を内部に吸引する電動送風機60を備える点(【0025】、【0028】、【0031】、【0047】、【0059】)
・吸込口から吸引された空気を外部に排出する外部排出口3を備える点(【0023】、【0047】)
・電動送風機60により、吸引された空気を加熱し、加熱された空気を外部排出口3から掃除対象物へ吹き付ける点(【0062】、【0070】、【0074】、【0111】)
・吸込口を掃除対象物に近接対向させた状態で、外部排出口3から排出された空気が吸込口から吸引されないように、吸込口と外部排出ロ3とを配置し、底面に対し立設し、吸込口と外部排出口3との間を仕切る仕切壁21cを設ける点(【0024】、【0075】、【0111】、【0112】)
・掃除対象物を掃除する際に、吸込口から空気を吸引しながら、外部排出口3から掃除対象物へ向かって空気を排出する点(【0056】、【0062】、【0069】、【0070】、【0111】)
・電気掃除機1の下部の後側部分に外部排出口3が設けられる点(【0023】)
そして、既に述べたとおり、本件訂正が、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであって、新規事項を追加するものではないところ(前記第2・2(2))、本件発明に係る「掃除対象物に対向する底面に設けた吸込口を備える吸込ユニット」を備える点、「上記外部排出口は、前記電気掃除機の下部基体の錐面に配置されて(いる)」点、「上記電気掃除機の本体の下部の前側部分に上記吸込ユニットが設けられ(る)」点は、同様の理由により、原出願の当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであって、新規事項を追加するものではない。
そうすると、本件特許の特許請求の範囲、明細書又は図面に記載された事項は、原出願の当初明細書等に記載された事項と認められる。
本件訂正前の請求項1には吸込口と外部排出口の設置場所に関して「掃除対象物に対向する底面に設けた吸込口と、…を備え、…電気掃除機」及び「上記電気掃除機の下部の前側部分に上記吸込口が設けられ、上記電気掃除機の下部の後側部分に上記外部排出口が設けられた」と記載されているのみで、本件訂正前の請求項1に係る発明の電気掃除機には、吸込口が掃除機本体以外に設けられた電気掃除機、具体的には、
・吸込口が掃除機本体以外に設けられた、所謂、ハンディータイプ
・吸込口を有する吸込口体が掃除機本体に延長管を介して接続される、所謂、スティックタイプ
・吸込口を有する吸込口体が掃除機本体にホースを介して接続される、所謂、キャニスタータイプ
の電気掃除機が含まれていたものである。
この点に関し、本件訂正により、吸込口を備える吸込ユニットが、電気掃除機の本体の下部の前側部分に設けられること、すなわち、吸込口が掃除機本体に設けられる点が特定されたことから、この点を理由に本件特許に係る出願が分割要件を満たしていないとは認められない。
ウ 以上のとおりであるから、本件特許に係る出願は、原出願の時にしたものとみなされる(特許法44条2項)。
(2) 甲1は本件特許出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物とは認められないから、甲1を前提に、本件発明の特許法29条1項又は29条2項違反をいうことはできない。
2 甲2を主引例とする場合
(1) 甲2について
ア 甲2には、以下の事項が記載されている(訳は添付訳文による。下線は当審にて付した。以下同様。)。
・「
[図:0001399337000002.jpg]
」
(【0001】 本発明は、真空掃除機に係り、さらに詳しくは、熱風の送風によって掃除対象物(Cleaning objects)を乾燥させて掃除対象物の吸着を防止できる真空掃除機に関する。)
・「
[図:0001399337000003.jpg]
」
(【0005】 しかし、前記のような従来の真空掃除機において、空気が電気ブロワーファンの周りを経ながら電気ブロワーファンの発熱によって40~60℃の熱風に加熱されてハウジングの後方に排出されるので、ユーザーが熱風に露出されて使用が煩わしく、不便な問題がある。熱風の排出による問題は、ハンデイタイプの真空掃除機の場合に加重されて使用を忌避するようになる原因になっている。また、夜具の掃除に使用される真空掃除機の場合、夜具が空気導入口に吸着されることを防止する機能と共に夜具を乾燥させる機能が要求されているが、これを満足できる真空掃除機は、いまだに開発されていない状態である。)
・「
[図:0001399337000004.jpg]
[図:0001399337000005.jpg]
」
(【0011】 本発明による真空掃除機は、電気ブロワーファンの発熱によって加熱される熱風の流れ方向をユーザーが底面空気排出口及び/または後方空気排出口に選択的に制御して掃除対象物に送風させることによって掃除対象物を乾燥させ、ユーザーが熱風に露出されることを最小化することができる。また、ハウジング内に吸入される空気の流れに向かい風が吹くようにして掃除対象物の吸着を防止することによって、使用便宜性を向上させることができる。また、ダストボックス内に流入される空気が旋回流を形成しながら濾過される構造によってフィルターの閉塞を防止して信頼性を向上させることができる。したがって、本発明による真空掃除機によって夜具のように柔軟な掃除対象物を簡便で便利に掃除することができる。)
・「
[図:0001399337000006.jpg]
[図:0001399337000007.jpg]
」
(【0030】 まず、図1乃至図8に示すように、本発明による真空掃除機は、外観を構成するハウジング10を備える。ハウジング10は前面12a、後面12b、上面12c、底面12d、長さ方向Xに対して直交する幅方向Yを有する。ハウジング10の底面12dは、掃除対象物2の掃除のために掃除対象物2、例えば、夜具4の表面に接触される。底面12dの前方と掃除対物2の接触面積が広がるようにハウジング10の前方は後方より幅が広く形成されている。ユーザーが手で取ることができる取手14が上面12cに形成されている。スロット(Slot)が後面12bの下方に幅方向Yに沿って形成されている。)
・「
[図:0001399337000008.jpg]
」
(【0033】 図2、図7及び図8に示すように、第1底面空気流入口24が外部から第1空気を吸入できるように底面12dの前方にハウジング10の幅方向Yに沿って形成されている。前面空気流入口26が第1底面空気流入口24と連結されるように前面12aの下方に形成されている。第1底面空気流入口24と前面空気流入口26が連結されている構造によって空気の吸入が円滑に行われる。第1リセス(Recess)28が第1底面空気流入口24と互いに連通されるように底面12dの前方にハウジング10の幅方向に沿って凹形に形成されている。第1リセス28は、穴18dによって受容部18と連通されている。)
・「
[図:0001399337000009.jpg]
[図:0001399337000010.jpg]
」
(【0035】 第3空気の吸入のための第2底面空気流入口34が第1底面空気流入口24と隣るように底面12dにハウジング10の幅方向に沿って形成されている。第2リセス36が第2底面空気流入口34と連通されるように底面12dに凹形に形成されている。第1リセス28と第2リセス36は隣るように互いに平行に配置されている。第1リセス28と第2リセス36はハウジング10の長手方向に沿って形成されている空気合流通路38によって互いに連通されている。図7に示すように、空気合流通路38では第1空気流れFlと第2空気流れF2が合流されて第2リセス36側に流れる。)
・「
[図:0001399337000011.jpg]
[図:0001399337000012.jpg]
[図:0001399337000013.jpg]
」
(【0038】 カバープレート(Cover plate)50が底面熱風排出室48を覆うように底面12dに装着されている。リセス52がカバープレート50に形成されている。リセス52は底面熱風排出室48に没入されている。熱風の排出のために複数の底面空気排出口54が底面熱風排出室48と連通されるようにリセス52の底面に形成されている。空気通路44と底面空気排出口54は底面熱風排出室48の一方に形成されている第2分岐通路56によって連結されている。他の実施形態において、一つ以上の底面空気排出口が空気通路44と連通されるように底面12dの後方に形成されることができる。この場合、カバープレート50は削除されることができる。
【0039】 図7に示すように、本発明による真空掃除機は、駆動室20に空気の吸入のために装着されている電気ブロワーファン60を備える。電気ブロワーファン60は、電気モーター62と電気モーター62の駆動によって回転されるファン64で構成されている。エアガイド(Air guide)66がファン64の周りを囲むようにハウジング10内に装着されている。エアガイド66は受容部18から空気通路44に沿って駆動室20に流れる空気の流れが電気モーター62の周りを経るように案内する。電気モーターの駆動によって発生される熱は空気通路44に沿って流れる空気を加熱して熱風に作る。図1及び図5に示すように、電気モーター62の作動を制御するためのパワースイッチ(Power switch)68が取手14に装着されている。パワースイッチ68は、プッシュボタンスイッチ(Push button switch)、スライドスイッチ(Slide switch)等で構成されることができる。)
・「
[図:0001399337000014.jpg]
」
(【0051】 図7に示すように、ハウジング10の底面12dが掃除対象物2の表面に近接されている状態で電気モーター62が駆動されてファン64が回転されると、空気の吸入力が発生される。吸入力が発生されると、塵などの異物を含んでいる第1空気がグリルフィルター76と第1底面空気流入口24を通じて第1リセス28内に吸入される。第1空気の流れF1は空気合流通路38に向かう。
【0052】 また、第2空気が向かい風空気流入口30に吸入されて、空気排出通路32に沿って第1リセス28内に排出される。第2空気の流れF2は紫外線ランプ72の周りを経て第1空気の流れF1に対する向かい風で吹くようになる。このような第2空気の流れF2によって夜具4のように柔軟な掃除対象物2がグリルフィルター76に吸着されることが防止されて掃除効率を向上させることができる。第1空気の流れF1と第2空気の流れF2は空気合流通路38で合流されて第2リセス36を通過し、空気通路44に沿って受容部18に送られる。)
・「
[図:0001399337000015.jpg]
[図:0001399337000016.jpg]
[図:0001399337000017.jpg]
」
(【0054】 ユーザーは掃除対象物2の掃除のために掃除対象物2の表面に沿って真空掃除機を移動させる。電気モーター86が駆動されてローラー82が回転されると、ブラシ毛84はローラー82の回転によって掃除対象物2の表面を掃きながら掃除対象物2の表面に付いている塵、害虫等を払い落とす。塵は掃除対象物2から脱落されて、第3空気と共に第2底面空気流入口34を通じて第2リセス36内に吸入され、空気通路44に沿って流れて受容部に送られる。
【0055】 続いて、空気、即ち第1乃至第3空気は、受容部18の空気流入口18bとダストボックス92の空気流入口92bを通じて集塵室92aに流入される。集塵室92aに流入される空気の風力によってインペラ94dが回転され、インペラ94dの回転によってロータリーフィルターシリンダー94が回転される。空気はロータリーフィルターシリンダー94の周りを旋回する旋回流を形成しながらフィルターエレメント96によって1次濾過さる。ロータリーフィルターシリンダー94の回転と旋回流の形成によって空気中の塵はフィルターエレメント96の外面に付かないので、フィルターエレメント96の閉塞が防止される。フィルターエレメント96によって濾過される塵は集塵室92aに捕集される。
【0056】 空気はフィルターエレメント96、ロータリーフィルターシリンダー94のボーア94aと空気排出口94c、受容部18の空気排出口18cとエアガイド66を通過して駆動室20に送られる。空気は電気ブロワーファン60の周りを経ながら電気モーター62の駆動時に発生する熱によって熱風に加熱される。熱風は空気通路34に沿って流れて濾過室22に流入されて、フィルターエレメント104によって2次濾過される。
【0057】 一方、本発明による真空掃除機において、ユーザーはバッフルプレート110の操作によってフィルターエレメント104を経る熱風が後方空気排出口40と底面空気排出口54を通じて掛出されるように熱風の流れ方向を選択的に転換させることができる。ユーザーはノブ112を利用してバッフルプレート110を回転させることによって第1分岐通路46と第2分岐通路56を選択的に開閉することができる。
【0058】 図4、図9及び図10に示すように、バッフルプレート110は第1位置P1で第1分岐通路46を閉じ、第2分岐通路56を開ける。熱風は第2分岐通路56と底面空気排出口54を通じて夜具4に送風されて夜具4の湿気を乾燥させる。図5、図11及び図12に示すように、バッフルプレート110は第2位置P2で第1分岐通路46を開け、第2分岐通路56を閉じる。熱風は後方空気排出口40だけを通じてハウジング20の外部に排出され、底面空気排出口54を通じては排出されない。)
・「
[図:0001399337000018.jpg]
[図:0001399337000019.jpg]
[図:0001399337000020.jpg]
」
イ 甲2に記載された真空掃除機において、底面熱風排出室48を覆うように底面12dに装着されたカバープレート50にはリセス52が形成され、このリセス52の底面には底面空気排出口54が形成されているところ([38](【0038】))、第1底面空気流入口24及び第2底面空気流入口34と底面空気排出口54の配置位置、リセス52の構造に照らすと、第1底面空気流入口24及び第2底面空気流入口34を夜具4に近接対向させた状態で、底面空気排出口54から排出された空気が第1底面空気流入口24及び第2底面空気流入口34から吸引されないものと認められる。
また、リセス52の周壁は、リセスの底面から夜具4の側に立設しているといえ、この周壁により、底面空気排出口54と、第1底面空気流入口24及び第2底面空気流入口34との間が仕切られることは明らかである。
そして、カバープレート50の位置に照らすと、底面空気排出口54は真空掃除機の下部の後側に設けられているということができる。
したがって、甲2には次の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されていると認められる。
(甲2発明)
「夜具4に対向する底面12dに設けた第1底面空気流入口24及び第2底面空気流入口34と、
上記第1底面空気流入口24及び上記第2底面空気流入口34を介して空気を内部に吸引する電気ブロワーファン60と、
上記第1底面空気流入口24及び上記第2底面空気流入口34から吸引された空気を外部に排出する底面空気排出口54と、を備え、
上記電気ブロワーファン60により、吸引された空気を加熱し、加熱された空気を上記底面空気排出口54から上記夜具4に送風する真空掃除機であって、
上記底面空気排出口54は、前記真空掃除機の上記底面12dに装着されたカバープレート50に形成されたリセス52の底面に形成されており、
上記第1底面空気流入口24及び上記第2底面空気流入口34を夜具4に近接対向させた状態で、上記底面空気排出口54から排出された空気が上記第1底面空気流入口24及び上記第2底面空気流入口34から吸引されないように、上記第1底面空気流入口24又は第2底面空気流入口34と上記底面空気排出口54とを配置し、
上記リセス52に対し立設し、上記第1底面空気流入口24及び上記第2底面空気流入口34と上記底面空気排出口54との間を仕切る周壁を設け、
上記夜具4を掃除する際に、上記第1底面空気流入口24又は第2底面空気流入口34から空気を吸引しながら、上記底面空気排出口54から上記夜具4へ向かって空気を排出し、
上記真空掃除機のハウジング10の下部の前側部分に上記第1底面空気流入口24及び第2底面空気流入口34が設けられ、上記真空掃除機の下部の後側部分に上記底面空気排出口54が設けられた真空掃除機。」
(2) 甲4~6、8について
ア 甲4
甲4には、以下の事項が記載されている。
・「[0021] As seen in FIG. 1 a vacuum-cleaning robot according to the invention bas a main housing 1, typically of injection-molded plastic holding a schematically illustrated controller 16 and drive 17, as well as a battery serving as power supply 19, antennas, and such.」
(【0021】 図1に示すように、本発明による掃除機ロボットは典型的には、概略的に図示されたコントローラ16および駆動源17を保持する射形プラスチックのメインハジング1、ならびに電源19として機能する電池、アンテナなどを有する。)
・「[0023] The main housing also holds a blower 18, structure including a duct 10 connected to the suction side of the blower 18 for drawing in air and separating dirt. The design of such a vacuum cleaner, which is also called a vacuum robot, has been known for a long time. The weight of the basic body of the vacuum robot is borne by the two driven wheels 2 and the support caster 15. Instead of a caster, this support can a slide.
[0024] On the underside of the self-propelled vacuum cleaner there is a modular suction cleaning tool 3 that according to the invention includes a cylindrical roller chamber 5 holding a standard driven brush 6 and open downward at an elongated mouth opening 20 having parallel leading and trailing edges 8 and 13 extending perpendicular to a standard travel direction D. The leading edge 3 is formed by a thickened portion of the planar floor or bottom wall of the onepiece injected module housing 21 of the module 3, and having a lower face 7 that is planar and angled downward and back so as to form a smooth and gentle ramp. This angled face 7 is 10 mm high and forms an angle of at most 45° to the horizontal.」
(【0023】 メインハウジングはまた、空気を吸い込み、汚れを分離するためにプロワー18の吸引側に接続されたダクト10を含むプロワー18を保持する。掃除機ロボットとも呼ばれるこのような掃除機の設計は、古くから知られている。掃除機ロボットの基本本体の重量は、2つの駆動ホイール2とサポートキャスター15によって支えられる。キャスターの代わりに、このサポートはスライドが可能である。
【0024】 自走式掃徐機の下側には、モジュール式の吸引清掃ツール3があり、本発明によれば、標準の駆動プラシ6を保持し、標準の移動方向Dに平行に伸びる前縁8および後縁13を有る細長い開ロ部20にて下向きに開方された円筒形のローラーチャンバー5を含む。前縁3は、モジュール3の一体型射出モジュールハウジング21の平面床または底壁の厚み部分によって形成され、滑らかで穏やかな傾斜を形成するように平面で下向きおよび後ろ向きに角度が付けられた低面7を有する。この傾斜面7は、高さが10mmであり、水平に対して最大45゜の角度を形成する。)
・「[0026] Rearward of the trailing edge 13 of the opening 20 is a downwardly projecting transverse lip 9 that is normally flexible and that primarily serves to prevent excessive air being drawn into the opening 20 by the blower 3 from behind.」
(【0026】 開口部20の後縁13の後方は、下向きに突出する横方向リップ9があり、これは通常は可撓性であり、主に、ブロワー3によって後方から開口部20に過剰な空気が引き込まれるのを防ぐのに役立つ。)
・「[0029) The angled slide 7 in the embodiment is a rigid sliding surface on the planar bottom wall 4 of the module housing 21. In place of the sliding surface illustrated in FIGS. 1 and 2 the angled slide 4 can be formed by an array of ribs and/or ridges. The back edge 13 of the bottom-wall opening of the vacuum-cleaning tool is rigid. The flexible lip 9 mounted in the back then is only for additional sealing of the suction-cleaning tool 3 in the back.」
(【0029】 実施形態における傾斜面7は、モジュールハウジング21の平面底壁4上の剛性のある滑り面である。図1および2において、傾斜面4は、リブおよび/または隆起のアレイによって形成することができる。掃除機の底壁の後縁13は剛性を有する、その場合、底面に取り付けられた可撓性リップ9は、底面の吸引清掃ツール3をさらに密閉するためだけのものである。)
・「
[図:0001399337000021.jpg]
[図:0001399337000022.jpg]
」
イ 甲5
甲5には、以下の事項が記載されている。
・「【0011】図において、1は電気掃除機の本体で、ケース2と下ケース3により外観を構成している。また、本体1の前端部1aは2枚壁構造になっている。4は本体1の後方に接続された金属または樹脂からなる細長のパイプ、5は本体1に設けられ、本体1に対して上下または左右に回動する連結部で、パイプ4の一端が接続されている。また、パイプ4の他端にはハンドル6が設けられている。7は本体1を走行させるための車輪、8は駆動用の電源スイッチである。9は本体1の底面前方に回動可能に設けられ、起毛等の軟らかい刷子を有する前ブラシで、例えば1mmから5mm程度の起毛で表面が覆われた構成になっている。前ブラシ9は被掃除面、特にフローリングのような硬質素材の床面に当接するように装着されている。」
・「【0013】14は本体1の後方に内蔵された電動送風機、15は本体1に形成された吸込口で、接触部l3の上方に設けられている,また、吸込口15は前ブラシ9と後ブラシ10の接触部13の占める長手方向の長さとほぼ同じ幅で開口している。16は吸込口15と集塵室17とを連結する塵埃を含んだ空気の通路、18は電動送風機14と集塵室17とを仕切るように設けられた通気性のあるフィルター、19は本体lの側面に設けられた排気口、20は本体1の下面に設けられた蓋で、集塵室17に対して開閉可能に支持されている。21は回転駆動体11及び電動送風機14へ電力を送る電池、22は後ブラシ10と平行に、かつ後ブラシ10の後方に設けられたゴム等で形成された遮蔽片である。
【0014】次に、動作について説明する,電源スイッチ8をONにすると、回転駆動体11と電動送風機14に通電され、電動送風機14は空気と共に塵埃を吸引し、また、回転駆動体11が連結手段12を介して後ブラシ10を図4に示す矢印A方向(後向き、掃除機本体1の進行方向とは逆の方向)に回転させる。この時、前ブラシ9が後ブラシ10と接触部13で接触しているので、接触による摩擦抵抗により、後ブラシ10の動作に連動して、前ブラシ9が図4に示す矢印B方向(前向き、後ブラシ10と逆方向)に回転する。霞動送風機14により吸引された空気は本体1と被滑掃面との間、例えば本体1側方(図3に示す矢印C)の隙間から流入し、接触部13の隙間を介して通路16を通って集塵室17へ流れる。そして、フィルター18を通過して電動送風機14に至り、排気口19から本体1外へ排出される。」
・「
[図:0001399337000023.jpg]
」
ウ 甲6
甲6には、以下の事項が記載されている。
・「本実施例のアツプライト型電気掃除機は、図示の如く、掃除機本体1と、該掃除機本体1に回転自在に支持された吸込口本体2と、該吸込口本体2の吸込口6に回転自在に配された回転ブラシ5とを備え、前記吸込口本体2に、前記吸込口6の後方で吸込口本体2と床面Fとの間をシールするシール部材10と、該シール部材10の床面Fからの高さを可変させる高さ可変手段11と、該高さ可変手段11を床面Fに応じて切換える切換レバー12とが設けられている。」(7頁8~17行)
・「レバー杵26の移動につれて連結棒20が前側に移動して、シール部材取付台19を傾斜部15の上面に沿って前側へ摺動させ、これによつてシール部材10が取付孔16の前側に移動して床面Fからの高さHが小さくなつていき、取付孔16の最前部に達したとき、シール部材10の先端が床面Faと密着した状態となる。そのため、回転ブラシ5によつてかき上げられたごみは、シール部材10によつて吸込口本体2の下面に沿つて後方に通過していくのが防止され、ごみを後方に撒き散らすことはなく、床面Faとの密着性を損なわない。」(11頁5~16行)
・「
[図:0001399337000024.jpg]
」
エ 甲8
甲8には、以下の事項が記載されている。
・「
[図:0001399337000025.jpg]
[図:0001399337000026.jpg]
」
(【0026】 図1aは、本発明の一実施形態による掃除機100の外観を示す斜視図である。図1aを参照すると、掃除機100は、動作モード選択ボタン102、ハンドル104、電源ライン106、ケース上部108、ケース下部110、および不透明な開閉窓112を含む。)
・「
[図:0001399337000027.jpg]
」
(【0052】 また、異物吸入ユニット20には、フィルターアセンブリ収容チャンバ20aに自由に着脱可能なフィルターアセンブリ22を収納し、異物吸入口20bから導入された異物を主に濾過する。チャンバ20aを収容するフィルターアセンブリに収容されたフィルターアセンブリ22の例が、図4a、4bおよび4Cに詳細に示されている。)
・「
[図:0001399337000028.jpg]
」
(【0057】 図5aおよび図5bを参照して、ミクロフィルターアセンブリ70は、内部ケース74、ミクロフィルタ76および外部ケース78を含み、ミクロフィルタ76は、内部ケース74および外部ケース78の間に挿入され、1次的にフィルターアセンプリ22によって濾過され、さらに、より微細な異物を2次的に濾過する。参照番号72a、72bは、空気の流れのための経路を提供する孔である。)
・「
[図:0001399337000029.jpg]
[図:0001399337000030.jpg]
」
(3) 対比
本件発明と甲2発明とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比する。
ア 甲2発明における「夜具4」は、本件発明における「掃除対象物」に相当し、以下同様に、「底面12d」は「底面」に、「第1底面空気流入口24及び第2底面空気流入口34」は「吸込口」に、「電気ブロワーファン60」は「電動送風機」に、「底面空気排出口54」は「外部排出口」に、「夜具4に送風する」という事項は「掃除対象物へ吹き付ける」という事項に、「真空掃除機」は「電気掃除機」に、それぞれ相当する。
そして、甲2発明は、本件発明と、「掃除対象物に対向する底面に設けた吸込口」を備える「電気掃除機」である点で共通する。
イ 甲2発明は、「上記第1底面空気流入口24及び上記第2底面空気流入口34を夜具4に近接対向させた状態で、上記底面空気排出口54から排出された空気が上記第1底面空気流入口24及び上記第2底面空気流入口34から吸引されないように、上記第1底面空気流入口24又は第2底面空気流入口34と上記底面空気排出口54とを配置(する)」ものであるところ、本件発明と、「上記吸込口を掃除対象物に近接対向させた状態で、上記外部排出口から排出された空気が上記吸込口から吸引されないように、上記吸込口と上記外部排出ロとを配置(する)」点で一致する。
ウ 甲2発明の「上記リセス52」は、その位置に照らすと、真空掃除機の底面といえ、「周壁」は、本件発明における「仕切壁」に相当するから、甲2発明は、本件発明と、「上記底面に対し立設し、上記吸込口と上記外部排出口との間を仕切る仕切壁を設け(る)」点で一致する。
エ 甲2発明は、「上記夜具4を掃除する際に、上記第1底面空気流入口24又は第2底面空気流入口34から空気を吸引しながら、上記底面空気排出口54から上記夜具4へ向かって空気を排出(する)」ものであるところ、本件発明と、「上記掃除対象物を掃除する際に、上記吸込口から空気を吸引しながら、上記外部排出口から上記掃除対象物へ向かって空気を排出(する)」点で一致する。
オ 甲2発明は、「上記真空掃除機のハウジング10の下部の前側部分に上記第1底面空気流入口24及び上記第2底面空気流入口34が設けられ(る)」ものであるところ、本件発明の「吸込口」は「吸込ユニット」に備えられるものであるから、甲2発明は、本件発明と、「上記電気掃除機の本体の下部の前側部分に上記吸込口が設けられ(る)」点で共通する。
カ 甲2発明は、「上記真空掃除機の下部の後側部分に上記底面空気排出口54が設けられ(る)」ものであるところ、本件発明と、「上記電気掃除機の下部の後側部分に上記外部排出口が設けられ(る)」点で一致する。
キ したがって、本件発明と甲2発明とは、次の点で一致し、相違するものと認められる。
(一致点)
「掃除対象物に対向する底面に設けた吸込口と、
上記吸込口を介して空気を内部に吸引する電動送風機と、
上記吸込口から吸引された空気を外部に排出する外部排出口と、を備え、
上記電動送風機により、吸引された空気を加熱し、加熱された空気を上記外部排出口から上記掃除対象物へ吹き付ける電気掃除機であって、
上記吸込口を掃除対象物に近接対向させた状態で、上記外部排出口から排出された空気が上記吸込口から吸引されないように、上記吸込口と上記外部排出ロとを配置し、
上記底面に対し立設し、上記吸込口と上記外部排出口との間を仕切る仕切壁を設け、
上記掃除対象物を掃除する際に、上記吸込口から空気を吸引しながら、上記外部排出口から上記掃除対象物へ向かって空気を排出し、
上記電気掃除機の本体の下部の前側部分に上記吸込口が設けられ、上記電気掃除機の下部の後側部分に上記外部排出口が設けられた電気掃除機。」
(相違点1)
吸込口に関し、本件発明は、「掃除対象物に対向する底面に設けた吸込口を備える吸込ユニット」を備え、「上記電気掃除機の本体の下部の前側部分に上記吸込ユニットが設けられ(る)」のに対し、甲2発明は、吸込ユニットを備えていない点。
(相違点2)
外部排出口に関し、本件発明は、「上記外部排出口は、前記電気掃除機の下部基体の錐面に配置されて(いる)」のに対し、甲2発明は、「上記底面空気排出口54が前記真空掃除機の上記底面12dに装着されたカバープレート50に形成されたリセス52の底面に形成されて(いる)」点。
(4) 判断
ア 前記(3)のとおり、本件発明は、前記相違点1、2の点で甲2発明と相違し、この点は実質的なものであるから、本件発明は、甲2発明ではない。
よって、本件発明は、甲2に記載された発明であるとは認められない。
イ 次に、相違点について検討する。事案に鑑み、まず、前記相違点2について検討する。
(ア) 甲2によれば(前記(1))、甲2発明は、従来の技術が、加熱された空気がハウジングの後方に排出されるので、ユーザーが熱風に露出されて使用が煩わしく、不便な問題があることに鑑みなされたもので([5](【0005】))、加熱された空気の流れの方向を底面空気排出口又は後方空気排出口に選択的に制御して、ユーザーが熱風に露出されることを最小化することができるものであるから([11](【0011】))、底面空気排出口54に係る構造は、甲2発明の特徴的な部分であると認められる。甲2にはこれを変更する旨の記載、示唆はなく、甲2発明において、底面空気排出口54を、真空掃除機の下部の錐面を構成するような部材の当該錐面に配置し、真空掃除機の下部の後側部分に設けることの動機付けは特段認められない。底面空気排出口54を、真空掃除機の下部の錘面に形成し、真空掃除機の下部の後側部分に設けることは、ユーザーが熱風に露出されることにもつながることから、むしろ、そのような変更には阻害要因が認められる。
次に、甲3、7、8についてみるに、甲3には、洗浄対象物をたたいてほこりなどを起こして吸い込む打撃部材及びこれを利用した真空掃除機において、本体(700)の下部ケース(710)に排出口(765)を設ける点が記載されているが(後記第6・2(1))、この排気口(765)は集塵後の空気を排出するためのもので、吸入モーター(530)によって空気が加熱されるかも明らかでなく、排気口(765)から加熱された空気を掃除対象物に吹き付けるものとは認められない。
甲7には、寝具用殺菌装置2000において、寝具用殺菌装置2000のハウジング2100の第2フィルター部240に通風孔244を設けた点が記載されているが(後記第6・3(1))、この通風孔244は集塵後の空気を排出するためのもので、モーター290によって空気が加熱されるとしても、通風孔244から加熱された空気を掃除対象物に吹き付けるものとは認められない。
甲8には、寝具類を殺菌及び殺虫し、寝具類に付着した異物を除去するための掃除機100において、掃除機100のケース下部110のミクロフィルターアセンブリ70に孔72a、72bを設ける点が記載されているが(前記(2)エ)、この孔72a、72bは集塵後の空気を排出するためのもので、吸入モーターアセンブリ40によって空気が加熱されるかも明らかでなく、孔72a、72bから加熱された空気を掃除対象物に吹き付けるものとは認められない。
このように、甲3、7、8をみても、加熱された空気を掃除対象物に吹き付けている甲2発明において、底面空気排出口54を、真空掃除機の下部の錐面を構成するような部材の当該錐面に配置し、真空掃除機の下部の後側部分に設けることの動機付けは特段認められない。
この点は、甲4~6もみても同様である(前記(2)ア~ウ)。
以上のとおり、甲2発明において、加熱された空気を排出する底面空気排出口54を、真空掃除機の下部の錐面を構成するような部材の当該錐面の後側部分に配置し、真空掃除機の下部の後側部分に設けることの動機付けは特段認められない上、阻害要因が認められるのであるから、甲2発明において、前記相違点2に係る構成とすることは、当業者が容易に想到できたものとは認められない。
(イ) 異議申立人は、相違点2に係る構成は、甲3、7、8に記載されており、周知技術である、と主張しているが(令和4年10月11日付け意見書)、甲3、7、8の排気に係る構造が、本件発明の外部排出口に係る構造に類するところがあるとしても、その目的は異なるものである。
そして、既に述べたとおり、甲2発明において、加熱された空気を排出する底面空気排出口54を、真空掃除機の下部の錐面を構成するような部材の当該錐面の後側部分に配置し、真空掃除機の下部の後側部分に設けることの動機付けは特段認められない上、阻害要因が認められるのであるから、仮に、甲3、7、8の排気構造が周知の技術であるとしても、甲2発明において、前記相違点2に係る構成とすることは、当業者が容易に想到できたものとは認められない。
(ウ) 以上のとおりであるから、その余の事項を検討するまでもなく、本件発明は、甲2発明及び甲3~8に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとも認められない。
第6 取消理由通知において採用しなかった特許異議の申立ての理由について
1 取消理由通知において採用しなかった特許異議の申立ての理由は、概ね、次のとおりである。
(1) 本件発明は、甲3に記載された発明であって、特許法29条1項3号に該当するから、本件発明に係る特許は、特許法29条1項の規定に違反してされたものである。
(2)本件発明は、甲3、7に記載された発明及び甲4~6に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものである。
2 甲3を主引例とする場合
(1) 甲3について
ア 甲3には、以下の事項が記載されている。
・「
[図:0001399337000031.jpg]
」
(【0001】本発明は洗浄対象物(寝具類、カーペット、カーテン、衣類、ソファー、マットレスなど)をたたいてほこりなどを起こして真空吸いこむ打撃部材及びこれを利用した真空掃除機に関し、特に振動バーを弾性支持部で支持してシーソー運動に加えて上下振動を起こして全体的な振幅を拡大した打撃部材及びこれを利用した真空掃除機に関する。)
・「
[図:0001399337000032.jpg]
[図:0001399337000033.jpg]
」
(【0040】図1ないし図4に図示すように、本発明の真空掃除機は洗浄対象物をたたく打撃アセンブリー(100)と、前記洗浄対象物の異物を殺菌する殺菌アセンブリー(300)と、前記異物を吸いこんで集塵する真空掃除アセンブリー(500)と、打撃アセンブリー(100)、殺菌アセンブリー(300)及び真空掃除アセンブリー(500)を装着する本体(700)を含む。
【0041】特に本発明の真空掃除機は殺菌アセンブリー(300)が打撃アセンブリー(100)より前方に配置されて、洗浄対象物の異物中の細菌や害虫を殺菌(滅菌や殺虫)した後たたくため洗浄対象物から死んだ細菌や害虫がよく落ちて吸入されることで綺麗に掃除することができます。
【0042】本体(700)は、外形を成す下部ケース(710)と上部ケース(750)から成る。上部ケース(750)には取っ手(730)が設置されるのが望ましい。)
・「
[図:0001399337000034.jpg]
[図:0001399337000035.jpg]
」
(【0064】本発明の特徴中の一つの殺菌アセンブリー(300)は、清掃対象物に熱を加えて殺菌する加熱殺菌アセンブリー(300)に具現されているということである。)
・「
[図:0001399337000036.jpg]
」
(【0077】真空掃除アセンブリー(500)は、図3及び図8に示されるように、下部ケース(710)の床に形成される吸入口(510)と、下部ケース(710)の上面に装着される吸入モーター(530)と、上部ケース(750)の上部に形成された集塵容器装着溝(760)に着脱可能に設置される集塵容器(550)を含む。
【0078】吸入口(510)は下部ケース(710)の底面に形成される吸入溝(511)を介して形成されている。吸入溝(511)には格子状の格子515)が装着されることで織物類の完全吸培を防止して円滑な吸入を可能にする。)
・「
[図:0001399337000037.jpg]
」
(【0093】よって、異物は吸入口(510)→第1流路連通孔(761)→流入口(553)→フィルタ一部(527)を経た濾過空気が第2流路連通孔(763)→吸入モーター(530)→排出口(765)に出る。)
・「
[図:0001399337000038.jpg]
[図:0001399337000039.jpg]
[図:0001399337000040.jpg]
」
イ 図1~6において、下部ケース(710)の左右後方に凹状の部分があり、この凹状の部分に外部排出口(765)が形成されている点が見て取れ、その位置に照らすと、排出口(765)は、真空掃除機の下部の後側部分に設けられているということができる。
また、吸入口(51)と排出口(765)の配置位置、下部ケース(710)の左右後方の凹状の部分の構造に照らすと、吸込口(510)を洗浄対象物に近接対向させた状態で、排出口(765)から排出された空気が吸入口(510)から吸引されないものと認められる。
前記ア、イの内容を総合すると、甲3には次の発明(以下「甲3発明」という。)が記載されていると認められる。
(甲3発明)
「打撃アセンブリー(100)と、殺菌アセンブリー(300)と、真空掃除アセンブリー(500)と、打撃アセンブリー(100)、殺菌アセンブリー(300)及び真空掃除アセンブリー(500)を装着する本体(700)を含む真空掃除機であって、
殺菌アセンブリー(300)は、打撃アセンブリー(100)よりも前方に配置され、
洗浄対象物に対向する底面に形成された吸入口(510)と、
上記吸入口(510)を介して空気を内部に吸引する吸入モーター(530)と、
上記吸入口(510)から吸引された空気を外部に排出する排出口(765)と、を備え、
上記吸入モーター(530)により、吸引された空気を上記排出口(765)から外部に排出する真空掃除機であって、
上記排出口(765)は、前記真空掃除機の下部ケース(710)の左右後方の凹状の部分に形成され、
上記吸込口(510)を洗浄対象物に近接対向させた状態で、上記排出口(765)から排出された空気が上記吸入口(510)から吸引されないように、上記吸入口(510)と上記排出ロ(765)とを配置し、
上記洗浄対象物を掃除する際に、上記吸入口(510)から空気を吸引しながら、上記排出口(765)から空気を排出し、
上記真空掃除機の上記本体(70)の前側部分に上記吸込口(510)が設けられ、上記真空掃除機の下部の後側部分に上記排出口(765)が設けられた真空掃除機。」
(2) 対比
本件発明と甲3発明とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比する。
ア 甲3発明における「洗浄対象物」は、本件発明における「掃除対象物」に相当し、以下同様に、「吸入口(510)」は「吸込口」に、「吸入モーター(530)」は「電動送風機」に、「排出口(765)」は「外部排出口」に、「真空掃除機」は「電気掃除機」に、それぞれ相当する。
そして、甲3発明は、本件発明と、「掃除対象物に対向する底面に設けた吸込口」を備える「電気掃除機」である点で共通する。
イ 甲3発明は、「上記吸入モーター(530)により、吸引された空気を上記排出口(765)から外部に排出する」ものであるところ、本件発明と、「上記電動送風機により、吸引された空気」を「外部に排出する」点で共通する。
ウ 甲3発明は、「上記吸込口(510)を洗浄対象物に近接対向させた状態で、上記排出口(765)から排出された空気が上記吸入口(510)から吸引されないように、上記吸入口(510)と上記排出ロ(765)とを配置(する)」ものであるところ、本件発明と、「上記吸込口を掃除対象物に近接対向させた状態で、上記外部排出口から排出された空気が上記吸込口から吸引されないように、上記吸込口と上記外部排出ロとを配置(する)」点で一致する。
エ 甲3発明は、「上記真空掃除機の上記本体(70)の前側部分に上記吸入口(510)が設けられ(る)」ものであるところ、本件発明の「吸込口」は「吸込ユニット」に備えられるものであるから、甲3発明は、本件発明と、「上記電気掃除機の本体の下部の前側部分に上記吸込口が設けられ(る)」点で共通する。
オ 甲3発明は、「上記真空掃除機の下部の後側部分に上記排出口(765)が設けられ(る)」ものであるところ、本件発明と、「上記電気掃除機の下部の後側部分に上記外部排出口が設けられ(る)」点で一致する。
カ したがって、本件発明と甲3発明とは、次の点で一致し、相違するものと認められる。
(一致点)
「掃除対象物に対向する底面に設けた吸込口と、
上記吸込口を介して空気を内部に吸引する電動送風機と、
上記吸込口から吸引された空気を外部に排出する外部排出口と、を備え、
上記電動送風機により、吸引された空気を外部に排出する電気掃除機であって、
上記吸込口を掃除対象物に近接対向させた状態で、上記外部排出口から排出された空気が上記吸込口から吸引されないように、上記吸込口と上記外部排出ロとを配置し、
上記電気掃除機の本体の下部の前側部分に上記吸込口が設けられ、上記電気掃除機の下部の後側部分に上記外部排出口が設けられた電気掃除機。」
(相違点3)
吸込口に関し、本件発明は、「掃除対象物に対向する底面に設けた吸込口を備える吸込ユニット」を備え、「上記電気掃除機の本体の下部の前側部分に上記吸込ユニットが設けられ(る)」のに対し、甲3発明は、吸込ユニットを備えていない点。
(相違点4)
電動送風機により、吸引された空気を外部に排出する点に関し、本件発明は、上記電動送風機により、吸引された空気を「加熱し、加熱された空気を上記外部排出口から上記掃除対象物へ吹き付ける」もので、「上記外部排出口は、前記電気掃除機の下部基体の錐面に配置されており」、「上記底面に対し立設し、上記吸込口と上記外部排出口との間を仕切る仕切壁を設け」、「上記掃除対象物を掃除する際に、上記吸込口から空気を吸引しながら、上記外部排出口から上記掃除対象物へ向かって空気を排出(する)」ものであるのに対し、甲3発明は、吸入モーター(530)により、吸引された空気を加熱し、加熱された空気を排出口(765)から洗浄対象物へ吹き付けるものではなく、排出口(765)から洗浄対象物へ向かって空気を排出するものかも明らかでなく、排出口(765)が、本体(70)の下部ケース(710)の左右後方の凹状の部分に形成されるものの、仕切壁を有しているか明らかでない点。
(3) 判断
ア 前記(2)のとおり、本件発明は、前記相違点3、4の点で甲3発明と相違し、この点は実質的なものであるから、本件発明は、甲3発明ではない。
よって、本件発明は、甲3に記載された発明であるとは認められない。
イ 次に、相違点について検討する。事案に鑑み、まず、前記相違点4について検討する。
(ア) 甲3によれば(前記(1))、甲3発明は、打撃アセンブリー(100)と殺菌アセンブリー(300)を備え、洗浄対象物に熱を加えて殺菌することを特徴とするものであるところ([0064](【0064】))、甲3には、これに代えて、加熱された空気を排出口(765)から洗浄対象物へ吹き付けることについて記載、示唆はない。
そして、甲3発明は、殺菌アセンブリー(300)が打撃アセンブリー(100)よりも前方に配置されることにより、洗浄対象物の異物中の細菌や害虫を殺菌(滅菌や殺虫)した後たたくため、洗浄対象物から死んだ細菌や害虫がよく落ちて吸入されることで綺麗に掃除することができるものである([0041](【0041】))。排出口(765)から排出される空気が吸入モーター(530)により加熱されるとしても、殺菌アセンブリー(300)に代えて、加熱された空気を排出口(765)から洗浄対象物へ吹き付けることによると、当該効果を奏しないことになるから、そのような変更には阻害要因があるといえる。
ところで、甲2発明は熱風を吹き付けるものであるが、夜具の乾燥を目的としたものであるから(甲2[58](【0058】))、甲3発明の殺菌アセンブリーとして甲2発明の構成を採用する理由は特段なく、甲3発明において、さらに甲2発明の構成を採用する理由も特段ない。
既に述べたとおり(前記第5・3(4)イ(ア))、甲2発明において、底面空気排出口54を、真空掃除機の下部の錐面を構成するような部材の当該錐面に配置し、真空掃除機の下部の後側部分に設けることの動機付けは特段認められない上、阻害要因が認められるから、仮に、甲3発明の排出口(765)に、甲2発明の底面空気排出口54に係る事項を適用するとしても、その場合に、排出口(765)を、本体(700)の下部の錐面を構成するような下部ケース(710)の当該錐面に配置し、真空掃除機の下部の後側部分に設けるものとは認められない。
甲7、8についてみても、甲7、8の排気に係る構造の目的は異なるものである(前記第5・3(4)イ(ア))。
甲4~6をみても同様で、甲4~6に本件発明の仕切壁に類する構造が記載され、周知の技術であるとしても、甲3発明において、吸入モーター(530)により、吸引された空気を加熱し、加熱された空気を排出口(765)から洗浄対象物へ吹き付けること、排出口(765)から洗浄対象物へ向かって空気を排出することについて、動機付けられるものとは認められない。
そうすると、甲3発明において、前記相違点4に係る構成とすることは、当業者が容易に想到できたものとは認められない。
(イ) 以上のとおりであるから、その余の事項を検討するまでもなく、本件発明は、甲3発明及び甲2、4~8に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとは認められない。
3 甲7を主引例とする場合
(1) 甲7について
ア 甲7には、以下の事項が記載されている。
・「【0001】
本発明は殺菌装置に係り、特に布団又はカーペットなどのように、接触面の変形がひどくて柔らかいし、繊維汚染物が多い掃除対象物上で容易に移動可能であり、前記掃除対象物の表面に棲息する細菌及びだになどの害虫を殺菌及び殺虫し、殺菌及び殺虫された細菌及びだになどを容易に除去することができる寝具用殺菌装饂に関するものである。また、本発明は、寝具のような掃除対象物から、前記掃除対象物の表面にくっついているほこりなどの異物を容易に除去することができる寝具用殺菌装置に関するものである。」
・「【0042】
前記のような本実施例の殺菌装置1000は、布団のような寝具類に棲息する微細害虫を除去するための装置であって、紫外線ランプ50を点灯して微細害虫を殺菌し、モータ-80を動作させてほこりや微細害虫を吸い込み、フィルター33で濾過する。この際、前記吸着防止通路10には複数の突起11が形成され、底面から側面12まで吸着防止通路10が延設されているから、繊維材質がモーター80の吸入力によってくっついても、前記側面12に空気通路が確保されるので、閉塞現象が発生しない。」
・「【0044】
また、本実施例による殺菌装置1000は、殺菌及び掃除対象物を打って、表面についている微細害虫及びほこりなどを表面から打ち落とす打撃部160を備えている。前記打撃部160は、ハウジング100の内部に設置された磁石161と、前記磁石161に隣り合って設置された電磁石163と、ー側は前記電磁石163が設置され、他側はヒンジで支持され、前記電磁石163の極性が変わるにしたがい、前記磁石161の磁場によって揺れる揺動バー162と、前記揺動バー162の設定位置に設置され、前記掃除対象物を打つ打撃棒I64とを含む。前記打撃棒164は、前記ハウジング100の吸着防止通路10側に突設され、打撃棒164によって掃除対象物を打って、掃除対象物の表面についている微細なほこり及び害虫を打ち落とし、紫外線ランプ50で殺菌し、モーター80の動作により発生する吸入力でほこりを容易に除去することができる。」
・「【0057】
本実施例の殺菌装置2000は、底面及びその底面に隣り合う側面に延長され、複数リブ211が延長方向に形成された吸着防止通路210が形成されたハウジング2100と、前記ハウジング2100の上面に設置され、外部の操作によってハウジング2100の内部のモーター290及び/又は紫外線放射部250のオン/オフ信号を出力する操作部220と、前記ハウジング2100の内部に、底面側に突出するように設置され、殺菌対象物を打つための打撃部260と、前記吸着防止通路210に沿って吸入口(図示せず)を通じてハウジング2100の内部に流入する空気を浄化し、前記ハウジング2100上部側に挿設される第1フィルター部230と、モーターが装着され、内部から外部側に突出するようにハウジングの内部に形成されたモーター装着部2110を取り囲むように着脱可能に設置される第2フィルター部240とを含む。前記ハウジング2100の上面には、内部に設置された紫外線放射部250の紫外線ランプ(医示せず)の動作状態を外部から肉眼で識別できるように、表示窓280がさらに形成されている。前記表示窓280は、貫通孔282と、前記貫通孔282に設置され、光は透過するが紫外線は遮断する表示部材281とからなる。前記モーター装着部2110には、空気を排出するための排出口2111が形成されている。
【0058】
前記第2フィルター部240は、前記ハウジング2100のモーター装着部2110を取り囲むようにハウジング2100に形成された結合孔(図示せず)と結合するための結合手段243が備えられたケース241と、前記ケース241の内部に設置され、空気中の異物を濾過するために設置されたフィルター部材242とを含む。前記フィルター部材242の空気透過率は、前記第1フィルター部230のフィルター部材よりも低い。
【0059】
前記モーター290には、過熱防止ユニット292がさらに設置される。前記過熱防止ユニット292は、モーターの発熱を感知して、設定温度以上の熱が一定時間以上感知されれば、前記モーターの動作を遮断する。すなわち、前記第2フィルタ一部240がモーター装着部2110を取り囲むように設置され、フィルター部材242の透過率が低いので、モーターから発生した熱が第2フィルター部240に一部存在し、その熱により、フィルター部材242で濾過された微細害虫を殺虫することができるものである。よって、過熱防止ユニット292を設置することで、必要以上の熱が一定時間以上発生すれば、モーターの動作を遮断して、過熱による故障発生を防止することになる。」
・「【0061】
本実施例の殺菌装置2000は、打撃部260の打撃によって、寝具類の表面にくっついているほこりや微細害虫が寝具から打ち落とされ、モーターの動作によるファン291の吸入力によって、吸入口を通じてほこり及び微細害虫を含む空気を流入させて第1フィルター部230とで一次的に浄化し、モーターを通過した空気中のほこりや微細害虫を第2フィルター部240によって完全に除去することになる。この際、第2フィルタ一部240で濾過された微細害虫はモーターの動作熱によって殺虫される。」
・「【0069】
図20は本発明の第9実施例による寝具用殺菌装置を示す図で、前記ハウジングの前記第2フィルター部240に隣接して、第2フィルタ一部240の通風孔244を通じて出た空気が使用者側に向かわないように、空気をガイドするためのガイド部245がさらに設置されているものを示す。寝具用殺菌装置の駆動の際、第2フィルター部240の通風孔244を通じて出た空気が使用者に直接向かうことになり、使用者が不快感を感じる可能性があるので、前記ガイド部244をハウジングにさらに設置して、第2フィルター部240の通風孔244を通じて出た空気が使用者側ではない他の方向に流れるようにする。」
・「
[図:0001399337000041.jpg]
[図:0001399337000042.jpg]
[図:0001399337000043.jpg]
[図:0001399337000044.jpg]
」
イ 紫外線照射空間に形成された吸入口は、掃除対象物に対向する底面に形成されたものであるといえる。
また、吸入口と通風孔244の配置位置、第2フィルター部240の構造に照らすと、吸入口を掃除対象物に近接対向させた状態で、通風孔244から排出された空気が吸入口から吸引されないものと認められる。
そして、第2フィルター部240の位置に照らすと、通風孔244は、殺菌装置2000の下部の後側部分に設けられているということができる。
前記ア、イの内容を総合すると、甲7には次の発明(以下「甲7発明」という。)が記載されていると認められる。
(甲7発明)
「打撃部260と、紫外線放射部250と、ファン29及びモーター290と含む殺菌装置2000であって、
掃除対象物に対向する底面に形成された吸入口と、
上記吸入口を介して空気を内部に吸引するファン29及びモーター290と、
上記吸入口から吸引された空気を外部に排出する通風孔244と、を備え、
上記ファン29及び上記モーター290により、吸引された空気を上記通風孔244から外部に排出する殺菌装置2000であって、
上記通風孔244は、前記殺菌装置2000の第2フィルター部240に形成され、
上記吸入口を掃除対象物に近接対向させた状態で、上記通風孔244から排出された空気が上記吸入口から吸引されないように、上記吸入口と上記通風孔244とを配置し、
上記掃除対象物を掃除する際に、上記吸入口から空気を吸引しながら、上記通風孔244から空気を排出し、
上記殺菌装置2000のハウジング2100の前側部分に上記吸入口が設けられ、上記殺菌装置2000の下部の後側部分に上記通風孔244が設けられた殺菌装置2000。」
(2) 対比
本件発明と甲7発明とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比する。
ア 甲7発明における「吸入口」は、本件発明における「吸込口」に相当し、以下同様に、「ファン29及びモーター290」は「電動送風機」に、「通風孔244」は「外部排出口」に、「殺菌装置2000」は「電気掃除機」に、それぞれ相当する。
そして、甲7発明は、本件発明と、「掃除対象物に対向する底面に設けた吸込口」を備える「電気掃除機」である点で共通する。
イ 甲7発明は、「上記ファン29及びモーター290により、吸引された空気を上記通風孔244から外部に排出する」ものであるところ、本件発明と、「上記電動送風機により、吸引された空気」を「外部に排出する」点で共通する。
ウ 甲7発明は、「上記吸入口を掃除対象物に近接対向させた状態で、上記通風孔244から排出された空気が上記吸入口から吸引されないように、上記吸入口と上記通風孔244とを配置(する)」ものであるところ、本件発明と、「上記吸込口を掃除対象物に近接対向させた状態で、上記外部排出口から排出された空気が上記吸込口から吸引されないように、上記吸込口と上記外部排出ロとを配置(する)」点で一致する。
エ 甲7発明は、「上記殺菌装置2000のハウジング2100の前側部分に上記吸入口が設けられ(る)」ものであるところ、本件発明の「吸込口」は「吸込ユニット」に備えられるものであるから、甲7発明は、本件発明と、「上記電気掃除機の本体の下部の前側部分に上記吸込口が設けられ(る)」点で共通する。
オ 甲7発明は、「上記殺菌装置2000の下部の後側部分に上記通風孔244が設けられ(る)」ものであるところ、本件発明と、「上記電気掃除機の下部の後側部分に上記外部排出口が設けられ(る)」点で一致する。
カ したがって、本件発明と甲3発明とは、次の点で一致し、相違するものと認められる。
(一致点)
「掃除対象物に対向する底面に設けた吸込口と、
上記吸込口を介して空気を内部に吸引する電動送風機と、
上記吸込口から吸引された空気を外部に排出する外部排出口と、を備え、
上記電動送風機により、吸引された空気を外部に排出する電気掃除機であって、
上記吸込口を掃除対象物に近接対向させた状態で、上記外部排出口から排出された空気が上記吸込口から吸引されないように、上記吸込口と上記外部排出ロとを配置し、
上記電気掃除機の本体の下部の前側部分に上記吸込口が設けられ、上記電気掃除機の下部の後側部分に上記外部排出口が設けられた電気掃除機。」
(相違点5)
吸込口に関し、本件発明は、「掃除対象物に対向する底面に設けた吸込口を備える吸込ユニット」を備え、「上記電気掃除機の本体の下部の前側部分に上記吸込ユニットが設けられ(る)」のに対し、甲7発明は、吸込ユニットを備えていない点。
(相違点6)
電動送風機により、吸引された空気を外部に排出する点に関し、本件発明は、上記電動送風機により、吸引された空気を「加熱し、加熱された空気を上記外部排出口から上記掃除対象物へ吹き付ける」もので、「上記外部排出口は、前記電気掃除機の下部基体の錐面に配置されており」、「上記底面に対し立設し、上記吸込口と上記外部排出口との間を仕切る仕切壁を設け」、「上記掃除対象物を掃除する際に、上記吸込口から空気を吸引しながら、上記外部排出口から上記掃除対象物へ向かって空気を排出(する)」ものであるのに対し、甲7発明は、ファン29及びモーター290により、吸引された空気を加熱するか定かではなく、加熱された空気を通風孔244から掃除対象物へ吹き付けるものではなく、通風孔244から掃除対象物へ向かって空気を排出するものかも明らかでない上、仕切壁を有していない点。
(3) 判断
ア 事案に鑑み、まず、前記相違点6について検討する。
(ア) 甲7によれば(前記(1))、甲7発明は、打撃部260の打撃によって掃除対象物を打って、掃除対象物の表面についている微細なほこり及び害虫を打ち落とし、紫外線放射部250の紫外線ランプで殺菌し、ファン29及びモーター290の動作により発生する吸引力でほこりを除去するものであるところ(【0044】、【0057】)、甲7には、紫外線放射部250の紫外線ランプで殺菌することに代えて、加熱された空気を通風孔244から掃除対象物に吹き付けることについて記載、示唆はない。通風孔244から排出される空気がモーター290により加熱されるとしても、紫外線放射部250を備えることが前提のものであるから、これに代える理由は特段認められない。
ところで、甲2発明は熱風を吹き付けるものであるが、夜具の乾燥を目的としたものであるから(甲2[58](【0058】))、甲7発明の殺菌するための手段として甲2発明の構成を採用する理由は特段なく、甲7発明において、さらに甲2発明の構成を採用する理由も特段ない。
既に述べたとおり(前記第5・3(4)イ(ア))、甲2発明において、底面空気排出口54を、真空掃除機の下部の錐面を構成するような部材の当該錐面に配置し、真空掃除機の下部の後側部分に設けることの動機付けは特段認められない上、阻害要因が認められるから、仮に、甲7発明の通風孔244に、甲2発明の底面空気排出口54に係る事項を適用するとしても、その場合に、通風孔244を、殺菌装置2000の下部の錐面を構成するような第2フィルター部240の当該錐面に配置し、殺菌装置2000の下部の後側部分に設けるものとは認められない。
甲3、8についてみても、甲3、8の排気に係る構造の目的は異なるものである(前記第5・3(4)イ(ア))。
甲4~6をみても同様で、甲4~6に本件発明の仕切壁に類する構造が記載され、周知の技術であるとしても、甲7発明において、ファン29及びモーター290により、吸引された空気を加熱し、加熱された空気を通風孔244から洗浄対象物へ吹き付けること、通風孔244から掃除対象物へ向かって空気を排出することについて、動機付けられるものとは認められない。
そうすると、甲7発明において、前記相違点6に係る構成とすることは、当業者が容易に想到できたものとは認められない。
(イ) 以上のとおりであるから、その余の事項を検討するまでもなく、本件発明は、甲7発明及び甲2、4~6、8に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとは認められない。
第7 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議の申立ての理由によっては、本件の請求項1に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件の請求項1に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2022-700269