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特許異議申立

2022-700059

電気掃除機

審判番号
2022-700059
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2018-227147
登録番号
6944435
請求日
2022年01月21日
審決日
2023年05月10日
公報発行日
2023年08月25日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】シャープ株式会社
  • 【権利者代理人】井上 知哉
  • 【異議申立人】須藤 晃伸
  • 【異議申立人】榛葉 貴宏
審判長/審判官
  • 審判長 窪田 治彦
  • 審判官 小川 恭司
  • 審判官 山崎 孔徳
分類
P1651.113-YAA(A47L) / P1651.121-YAA(A47L) / P1651.537-YAA(A47L) / P1651.55 -YAA(A47L)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条、特許法第44条、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第4項、特許法第120条の5第2項、特許法第17条の2第3項、特許法第113条、特許法第36条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第6944435号発明「電気掃除機」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第6944435号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、2〕について訂正することを認める。 特許第6944435号の請求項1、2に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯の概略 特許第6944435号の請求項1、2に係る特許(以下「本件特許」という。)についての手続の経緯は、概ね、次のとおりである。 平成27年 4月21日 原出願(特願2015-87077号) 平成30年12月 4日 出願 令和 1年 5月14日付け 拒絶査定 令和 1年 7月19日 審判請求書 令和 3年 1月 8日付け 拒絶理由通知書(最後) 令和 3年 2月12日 出願人による意見書及び手続補正書の提出 令和 3年 9月14日 特許権の設定登録 令和 3年10月 6日 特許掲載公報 令和 4年 1月21日 特許異議申立人須藤晃伸、榛葉貴宏による特許異議の申立て 令和 4年 6月15日付け 取消理由通知書 令和 4年 8月18日 特許権者による意見書及び訂正請求書の提出 令和 4年10月 3日 特許異議申立人による意見書の提出 令和 4年10月26日付け 訂正拒絶理由通知書 令和 4年11月22日 特許権者による意見書の提出 令和 4年12月21日付け 取消理由通知書(決定の予告) 令和 5年 2月27日 特許権者による意見書及び訂正請求書の提出 以下、令和5年2月27日に提出された訂正請求書に係る訂正を「本件訂正」という。なお、令和4年8月18日に提出された訂正請求書は、取り下げられたものと見なす(特許法120条の5第7項)。 第2 本件訂正の適否 1 本件訂正の内容 本件訂正の請求は、特許第6944435号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1、2について訂正することを求めるものであって、その訂正の内容は次のとおりである(下線は訂正箇所を示す。)。 (訂正事項1) 特許請求の範囲の請求項1において、 「上記外部排出口は、上記吸込口が掃除対象物に近接対向した状態で、上記掃除対象物との間に空間を隔てて対向する底面に配置され、」と記載されているのを、 「上記外部排出口は、上記吸込口が掃除対象物に近接対向した状態で、上記掃除対象物との間に空間を隔てて対向する底面に配置され、上記外部排出口が配置される上記底面は、掃除機本体の下部の下部基体の後側部分の錐面であり、上記空間は、上記掃除対象物と上記錐面との間に形成され、」との記載に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2も同様に訂正する)。 (訂正事項2) 特許請求の範囲の請求項1において、 「上記吸込口から上記外部排出口に向かう方向を後方向とした場合、前から上記吸込口、上記外部排出口、上記ハンドルの後端部の順に存在している」と記載されているのを、 「上記吸込口から上記外部排出口に向かう方向を後方向とした場合、前から上記吸込口、上記外部排出口、上記ハンドルの後端部の順に存在し、上記ハンドルは、上記掃除機本体の頂部から上記集塵装置と反対方向へ向かってL字状に屈曲して設けられている」との記載に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2も同様に訂正する)。 2 本件訂正の適否について (1)訂正事項1について ア 訂正の目的 訂正事項1は、外部排出口が配置される底面は、「掃除機本体の下部の下部基体の後側部分の錐面で」あり、外部排出口が配置される底面と掃除対象物との間の空間は、「上記掃除対象物と上記錐面との間に形成され」た空間であることを特定することで、外部排出口及び空間の位置をより具体的に特定するものである。 よって、訂正事項1は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 新規事項の追加の有無 本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件明細書等」という。)には、「掃除機本体100の底面に形成された外部排出口3」(【0062】)、「本実施形態に係る電気掃除機1は、掃除機本体100と集塵装置200と、を備えている。」(【0021】)、「掃除機本体100の外観を構成する筐体ユニット120は、上部の錐面を構成する上部筐体121と、下部の錐面を構成する下部基体122と、集塵装置200を保持する保持体123と、上側頂部の外観を構成する第1頂部筐体124及び第2頂部筐体125と、を備えている。」(【0022】)、「また、掃除機本体100の下部基体122の後側部分には、掃除機本体100内を通過した空気を外部へ排出する外部排出口3が形成されている。」(【0023】)と記載されており、図5において、下部基体122における下部の錐面を構成する部分(下部基体122における掃除対象物に略平行に位置する部分から上方に湾曲している部分)のうち後側部分から流路Z1の空気が外部に排出され、外部排出口3が形成されている錐面と掃除対象物との間に空間が形成される点が記載されているから、本件明細書等には、外部排出口が配置される底面は、掃除機本体の下部の下部基体の後側部分の錐面であり、掃除対象物と上記錐面との間に空間が形成される点が記載されていると認められる。 (図5) [図:0001400419000001.jpg] そうすると、訂正事項1に係る本件訂正は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであって、新規事項を追加するものではない。 ウ 訂正事項1に係る本件訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張、又は変更するものではない。 (2)訂正事項2について ア 訂正の目的 訂正事項2は、ハンドルについて、「上記ハンドルは、上記掃除機本体の頂部から上記集塵装置と反対方向へ向かってL字状に屈曲して設けられている」ことを特定することで、ハンドルの形状をより具体的に特定するものである。 よって、訂正事項2は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 新規事項の追加の有無 本件明細書等には、「掃除機本体100には、L字状の操作ハンドル300が設けられている。この操作ハンドル300は、ハンドル本体310とハンドル本体310を覆うハンドルカバー320とから構成されており、掃除機本体100の頂部から集塵装置200と反対方向へ向かって屈曲して設けられている。」(【0021】)と記載されているから、本件明細書等には、ハンドルは、掃除機本体の頂部から集塵装置と反対方向へ向かってL字状に屈曲して設けられている点が記載されていると認められる。 そうすると、訂正事項2に係る本件訂正は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであって、新規事項を追加するものではない。 ウ 訂正事項2に係る本件訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張、又は変更するものではない。 (3)一群の請求項について 本件訂正前の請求項2は、請求項1を引用する関係であるから、請求項1、2は、一群の請求項である。そして、本件訂正は、請求項1、2について訂正することを求めるものであるから、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項に対してされたものである。 (4)まとめ 以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる事項を目的とするものであって、同条9項において準用する同法126条5項~6項の規定に適合するので、訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~2〕について訂正することを認める。 第3 本件発明 前記第2のとおり本件訂正は認められるから、本件特許の請求項1、2に係る発明(以下「本件発明1」「本件発明2」、まとめて「本件発明」という。)は、特許請求の範囲の請求項1、2に記載された事項により特定される次のとおりである。 【請求項1】 ハンドルと、 掃除対象物に対向する底面に設けた吸込口と、 上記吸込口を介して空気を内部に吸引する電動送風機と、 上記吸込口から吸引された空気に含まれる塵埃を分離する集塵装置と、 上記集塵装置にて分離された後の空気を外部に排出する外部排出口と、を備え、 上記電動送風機により、吸引された空気を加熱し、加熱された空気を上記外部排出口から上記掃除対象物へ吹き付ける電気掃除機であって、 上記外部排出口は、上記吸込口が掃除対象物に近接対向した状態で、上記掃除対象物との間に空間を隔てて対向する底面に配置され、 上記外部排出口が配置される上記底面は、掃除機本体の下部の下部基体の後側部分の錐面であり、 上記空間は、上記掃除対象物と上記錐面との間に形成され、 上記掃除対象物を掃除する際に、上記吸込口から空気を吸引しながら、上記外部排出口から上記掃除対象物へ向かって空気を排出し、 上記吸込口から上記外部排出口に向かう方向を後方向とした場合、前から上記吸込口、上記外部排出口、上記ハンドルの後端部の順に存在し、 上記ハンドルは、上記掃除機本体の頂部から上記集塵装置と反対方向へ向かってL字状に屈曲して設けられていることを特徴とする電気掃除機。 【請求項2】 上記吸込口から上記外部排出口までの上記掃除機本体内部の空気の流路における、上記電動送風機の下流側であって上記外部排出口の上流側に、上記空気を浄化する排気フィルターが配置されることを特徴とする請求項1に記載の電気掃除機。 第4 取消理由の概要 1 本件訂正前の本件特許に対し通知した取消理由は、概ね、次のとおりである。 (1) 取消理由1 令和3年2月12日付けでした手続補正(以下「本件補正」という。)は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「当初明細書等」という。)に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、本件特許は、特許法17条の2第3項に規定する要件を満たしていない補正をした特許出願に対してされたものである。 (2) 取消理由2 本件発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において頒布された甲第1号証又は甲第2号証(後記2)に記載された発明であって、特許法29条1項3号に該当するから、本件発明に係る特許は、特許法29条1項の規定に違反してされたものである。 (3) 取消理由3 本件発明は、甲第1号証又は甲第2号証(後記2)に記載された発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものである。 2 証拠方法 特許異議申立人提出の証拠方法は以下のとおりである。証拠番号に従い、「甲1」などという。 甲1:特開2016-202509号公報 甲2:国際公開第2014/171750号 甲3:韓国公開特許第10-2011-0102605号公報 甲4:韓国登録特許第10-0898368号公報 甲5:特表2008-543356号公報 甲6:登録実用新案第3158175号公報 甲7:韓国公開特許第10-2011-0000936号公報 第5 取消理由について 1 新規事項 (1)「空間」について 本件補正は、請求項1に係る発明において、「上記外部排出口は、上記吸込口が掃除対象物に近接対向した状態で、上記掃除対象物との間に空間を隔てて対向する底面に配置され」ることを特定するものであるが、当該「空間」は当初明細書等に記載されているような特定の構成を備える空間以外の態様のものも含まれるものであった。 本件訂正により、当該「空間」は、上記第2で検討し、上記第3に示したとおり、「上記掃除対象物と上記錐面との間に形成され」た空間であることが特定された。 そして、当初明細書等には、「掃除機本体100の外観を構成する筐体ユニット120は、上部の錐面を構成する上部筐体121と、下部の錐面を構成する下部基体122と、集塵装置200を保持する保持筐体123と、上側頂部の外観を構成する第1頂部筐体124及び第2頂部筐体125と、を備えている。」(【0022】)、「また、掃除機本体100の下部基体122の後側部分には、掃除機本体100内を通過した空気を外部へ排出する外部排出口3が形成されている。」(【0023】)と記載されており、図5において、下部基体122における下部の錐面を構成する部分(下部基体122における掃除対象物に略平行に位置する部分から上方に湾曲している部分)のうち後側部分から流路Z1の空気が外部に排出され、外部排出口3が形成されている錐面と掃除対象物との間に空間が形成されている点が記載されているから、当初明細書等には、外部排出口が配置される底面と掃除対象物との間の空間は、掃除対象物と錐面との間に形成された空間であることが記載されている。 (2)「ハンドルの後端部」について 本件補正は、本件発明1において、「上記吸込口から上記外部排出口に向かう方向を後方向とした場合、前から上記吸込口、上記外部排出口、上記ハンドルの後端部の順に存在している」ことを特定するものであるが、当該「ハンドル」は、当初明細書等に記載されているような特定の構成を備えるハンドル以外の態様のものも含まれるものであった。 本件訂正により、当該「ハンドル」は、上記第2で検討し、上記第3に示したとおり、「上記掃除機本体の頂部から上記集塵装置と反対方向へ向かってL字状に屈曲して設けられている」ハンドルであることが特定された。 そして、当初明細書には、「掃除機本体100には、L字状の操作ハンドル300が設けられている。この操作ハンドル300は、ハンドル本体310とハンドル本体310を覆うハンドルカバー320とから構成されており、掃除機本体100の頂部から集塵装置200と反対方向へ向かって屈曲して設けられている。」(【0021】)と記載されているから、当初明細書等には、ハンドルは、掃除機本体の頂部から集塵装置と反対方向へ向かってL字状に屈曲して設けられている点が記載されている。 (3)まとめ 以上のことから、本件訂正後の本件発明1は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものとなったから、特許法113条1号に該当しない。 2 甲1を主引例とする場合 (1) 分割要件について ア 本件特許に係る出願は、特願2015-87077号(以下「原出願」という。)の分割出願である。 そして、特許法44条2項の規定が適用されるためには、新たな出願の特許請求の範囲、明細書又は図面に記載された事項が、原出願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲、又は図面(以下「原出願の当初明細書等」という。)に記載された事項の範囲内のものでなければならない。 そこで、当該事項が原出願の当初明細書等に記載された範囲内のものか否か検討する。 イ 原出願の当初明細書等(甲1)は、特許請求の範囲、課題を解決するための手段に関する段落(【0017】)及び付記事項(【0124】【0125】)を除いて、本件明細書等と記載事項が同じであるところ、原出願の当初明細書等には、次の事項を備えた「電動掃除機1」が記載されている。 ・「掃除機本体100には、L字状の操作ハンドル300が設けられている。この操作ハンドル300は、ハンドル本体310とハンドル本体310を覆うハンドルカバー320とから構成されており、掃除機本体100の頂部から集塵装置200と反対方向へ向かって屈曲して設けられている。」(【0021】) ・「本発明の態様1に係る電気掃除機1は、電動送風機61を内蔵し、掃除対象物に対向する底面に吸込口(開口部21a)及び外部排出口3が形成された掃除機本体100を備え、上記電動送風機61の排熱により加熱された温風を外部排出口3から上記掃除対象物へ吹き付ける電気掃除機1であって、上記吸込口と上記外部排出口3との間を仕切る仕切壁21cが、上記掃除機本体100の底面に対して設けられている。」(【0111】 ・図1~図20には、電気掃除機1の掃除機本体100の底面に吸込口(開口部21a)及び外部排出口3が形成された態様のみが示されている。 本件訂正前の請求項1にはハンドルの形状や、吸込口と外部排出口の設置場所に関して「掃除対象物に対向する底面に設けた吸込口」及び「上記外部排出口は、上記吸込口が掃除対象物に近接対向した状態で、上記掃除対象物との間に空間を隔てて対向する底面に配置され」と記載されているのみであるから、任意のハンドル形状や、外部排出口が掃除機本体の底面に配置され、吸込口は掃除機本体以外の底面(例えばヘッド等の底面)に設けられる場合などを含み得るものであった。 この点に関し、本件訂正により、吸込口から外部排出口に向かう方向を後方向とした場合、前から吸込口、外部排出口、ハンドルの後端部の順に存在することに加えて、「上記外部排出口が配置される上記底面は、掃除機本体の下部の下部基体の後側部分の錐面であ」ること、「上記ハンドルは、上記掃除機本体の頂部から上記集塵装置と反対方向へ向かってL字状に屈曲して設けられていること」が特定された。また、このことから、吸込口、外部排出口、ハンドルの3つは、ハンドル及び外部排出口が設けられている掃除機本体と位置関係が変わらない場所に設けられていることになるから、吸込口と外部排出口が設けられている底面は、いずれも掃除機本体の底面であると理解される。そして、この理解は明細書とも整合する。 したがって、訂正後の特許請求の範囲に記載された事項は、原出願の当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであって、新規事項を追加するものではないから、原出願の当初明細書等に記載された事項の範囲内のものである。 よって、本件特許に係る出願は分割要件を満たしている。 ウ 以上のとおりであるから、本件特許に係る出願は、原出願の時にしたものとみなされる(特許法44条2項)。 (2) 甲1は本件特許出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物とは認められないから、甲1を前提に、本件発明の特許法29条1項又は29条2項違反をいうことはできない。 3 甲2を主引例とする場合 (1) 甲2について ア 甲2には、以下の事項が記載されている(訳は添付訳文による。下線は当審にて付した。以下同様。)。 ・「 [図:0001400419000002.jpg] 」 (【0001】 本発明は、真空掃除機に係り、さらに詳しくは、熱風の送風によって掃除対象物(Cleaning objects)を乾燥させて掃除対象物の吸着を防止できる真空掃除機に関する。) ・「 [図:0001400419000003.jpg] 」 (【0005】 しかし、前記のような従来の真空掃除機において、空気が電気ブロワーファンの周りを経ながら電気ブロワーファンの発熱によって40~60℃の熱風に加熱されてハウジングの後方に排出されるので、ユーザーが熱風に露出されて使用が煩わしく、不便な問題がある。熱風の排出による問題は、ハンデイタイプの真空掃除機の場合に加重されて使用を忌避するようになる原因になっている。また、夜具の掃除に使用される真空掃除機の場合、夜具が空気導入口に吸着されることを防止する機能と共に夜具を乾燥させる機能が要求されているが、これを満足できる真空掃除機は、いまだに開発されていない状態である。) ・「 [図:0001400419000004.jpg] [図:0001400419000005.jpg] 」 (【0011】 本発明による真空掃除機は、電気ブロワーファンの発熱によって加熱される熱風の流れ方向をユーザーが底面空気排出口及び/または後方空気排出口に選択的に制御して掃除対象物に送風させることによって掃除対象物を乾燥させ、ユーザーが熱風に露出されることを最小化することができる。また、ハウジング内に吸入される空気の流れに向かい風が吹くようにして掃除対象物の吸着を防止することによって、使用便宜性を向上させることができる。また、ダストボックス内に流入される空気が旋回流を形成しながら濾過される構造によってフィルターの閉塞を防止して信頼性を向上させることができる。したがって、本発明による真空掃除機によって夜具のように柔軟な掃除対象物を簡便で便利に掃除することができる。) ・「 [図:0001400419000006.jpg] [図:0001400419000007.jpg] 」 (【0030】 まず、図1乃至図8に示すように、本発明による真空掃除機は、外観を構成するハウジング10を備える。ハウジング10は前面12a、後面12b、上面12c、底面12d、長さ方向Xに対して直交する幅方向Yを有する。ハウジング10の底面12dは、掃除対象物2の掃除のために掃除対象物2、例えば、夜具4の表面に接触される。底面12dの前方と掃除対物2の接触面積が広がるようにハウジング10の前方は後方より幅が広く形成されている。ユーザーが手で取ることができる取手14が上面12cに形成されている。スロット(Slot)が後面12bの下方に幅方向Yに沿って形成されている。) ・「 [図:0001400419000008.jpg] 」 (【0033】 図2、図7及び図8に示すように、第1底面空気流入口24が外部から第1空気を吸入できるように底面12dの前方にハウジング10の幅方向Yに沿って形成されている。前面空気流入口26が第1底面空気流入口24と連結されるように前面12aの下方に形成されている。第1底面空気流入口24と前面空気流入口26が連結されている構造によって空気の吸入が円滑に行われる。第1リセス(Recess)28が第1底面空気流入口24と互いに連通されるように底面12dの前方にハウジング10の幅方向に沿って凹形に形成されている。第1リセス28は、穴18dによって受容部18と連通されている。) ・「 [図:0001400419000009.jpg] [図:0001400419000010.jpg] 」 (【0035】 第3空気の吸入のための第2底面空気流入口34が第1底面空気流入口24と隣るように底面12dにハウジング10の幅方向に沿って形成されている。第2リセス36が第2底面空気流入口34と連通されるように底面12dに凹形に形成されている。第1リセス28と第2リセス36は隣るように互いに平行に配置されている。第1リセス28と第2リセス36はハウジング10の長手方向に沿って形成されている空気合流通路38によって互いに連通されている。図7に示すように、空気合流通路38では第1空気流れFlと第2空気流れF2が合流されて第2リセス36側に流れる。) ・「 [図:0001400419000011.jpg] [図:0001400419000012.jpg] [図:0001400419000013.jpg] 」 (【0038】 カバープレート(Cover plate)50が底面熱風排出室48を覆うように底面12dに装着されている。リセス52がカバープレート50に形成されている。リセス52は底面熱風排出室48に没入されている。熱風の排出のために複数の底面空気排出口54が底面熱風排出室48と連通されるようにリセス52の底面に形成されている。空気通路44と底面空気排出口54は底面熱風排出室48の一方に形成されている第2分岐通路56によって連結されている。他の実施形態において、一つ以上の底面空気排出口が空気通路44と連通されるように底面12dの後方に形成されることができる。この場合、カバープレート50は削除されることができる。 【0039】 図7に示すように、本発明による真空掃除機は、駆動室20に空気の吸入のために装着されている電気ブロワーファン60を備える。電気ブロワーファン60は、電気モーター62と電気モーター62の駆動によって回転されるファン64で構成されている。エアガイド(Air guide)66がファン64の周りを囲むようにハウジング10内に装着されている。エアガイド66は受容部18から空気通路44に沿って駆動室20に流れる空気の流れが電気モーター62の周りを経るように案内する。電気モーターの駆動によって発生される熱は空気通路44に沿って流れる空気を加熱して熱風に作る。図1及び図5に示すように、電気モーター62の作動を制御するためのパワースイッチ(Power switch)68が取手14に装着されている。パワースイッチ68は、プッシュボタンスイッチ(Push button switch)、スライドスイッチ(Slide switch)等で構成されることができる。) ・「 [図:0001400419000014.jpg] 」 (【0044】図1、図5、図7及び図8に示すように、本発明による真空装置畿は、空気の濾過のために受容部18に着脱できるように装着されている第1フィルターユニット90を備える。第1フィルターユニット90はダストボックス92、ロータリーフィルターシリンダー(Rotary filter cylinder)94及びフィルターエレメント(Filter element)96で構成されている。) ・「 [図:0001400419000015.jpg] [図:0001400419000016.jpg] 」 (【0047】 図4、図7、図8、図9、図11及び図13に示すように、本発明による真空掃除機は空気の濾過のために濾過室22に装着されている第2フィルターユニット100を備える。第2フィルターユニット100はフィルターフレーム(Filter frame)102とフィルターエレメント104で構成されている。フィルターフレーム102は濾過室22に着脱できるように装着されている。フィルターエレメント104は濾過室22を通過する空気中の異物を濾過するようにフィルターフレーム102に装着されている。フィルターエレメント104は微細塵を濾過できるようにHEPAフィルター(High efficiency particulate air filter)と言うフレキシブルフォールデッドフィルター(Flexible folded filter)で構成されている。) ・「 [図:0001400419000017.jpg] 」 (【0051】 図7に示すように、ハウジング10の底面12dが掃除対象物2の表面に近接されている状態で電気モーター62が駆動されてファン64が回転されると、空気の吸入力が発生される。吸入力が発生されると、塵などの異物を含んでいる第1空気がグリルフィルター76と第1底面空気流入口24を通じて第1リセス28内に吸入される。第1空気の流れF1は空気合流通路38に向かう。 【0052】 また、第2空気が向かい風空気流入口30に吸入されて、空気排出通路32に沿って第1リセス28内に排出される。第2空気の流れF2は紫外線ランプ72の周りを経て第1空気の流れF1に対する向かい風で吹くようになる。このような第2空気の流れF2によって夜具4のように柔軟な掃除対象物2がグリルフィルター76に吸着されることが防止されて掃除効率を向上させることができる。第1空気の流れF1と第2空気の流れF2は空気合流通路38で合流されて第2リセス36を通過し、空気通路44に沿って受容部18に送られる。) ・「 [図:0001400419000018.jpg] [図:0001400419000019.jpg] [図:0001400419000020.jpg] 」 (【0054】 ユーザーは掃除対象物2の掃除のために掃除対象物2の表面に沿って真空掃除機を移動させる。電気モーター86が駆動されてローラー82が回転されると、ブラシ毛84はローラー82の回転によって掃除対象物2の表面を掃きながら掃除対象物2の表面に付いている塵、害虫等を払い落とす。塵は掃除対象物2から脱落されて、第3空気と共に第2底面空気流入口34を通じて第2リセス36内に吸入され、空気通路44に沿って流れて受容部に送られる。 【0055】 続いて、空気、即ち第1乃至第3空気は、受容部18の空気流入口18bとダストボックス92の空気流入口92bを通じて集塵室92aに流入される。集塵室92aに流入される空気の風力によってインペラ94dが回転され、インペラ94dの回転によってロータリーフィルターシリンダー94が回転される。空気はロータリーフィルターシリンダー94の周りを旋回する旋回流を形成しながらフィルターエレメント96によって1次濾過さる。ロータリーフィルターシリンダー94の回転と旋回流の形成によって空気中の塵はフィルターエレメント96の外面に付かないので、フィルターエレメント96の閉塞が防止される。フィルターエレメント96によって濾過される塵は集塵室92aに捕集される。 【0056】 空気はフィルターエレメント96、ロータリーフィルターシリンダー94のボーア94aと空気排出口94c、受容部18の空気排出口18cとエアガイド66を通過して駆動室20に送られる。空気は電気ブロワーファン60の周りを経ながら電気モーター62の駆動時に発生する熱によって熱風に加熱される。熱風は空気通路34に沿って流れて濾過室22に流入されて、フィルターエレメント104によって2次濾過される。 【0057】 一方、本発明による真空掃除機において、ユーザーはバッフルプレート110の操作によってフィルターエレメント104を経る熱風が後方空気排出口40と底面空気排出口54を通じて掛出されるように熱風の流れ方向を選択的に転換させることができる。ユーザーはノブ112を利用してバッフルプレート110を回転させることによって第1分岐通路46と第2分岐通路56を選択的に開閉することができる。 【0058】 図4、図9及び図10に示すように、バッフルプレート110は第1位置P1で第1分岐通路46を閉じ、第2分岐通路56を開ける。熱風は第2分岐通路56と底面空気排出口54を通じて夜具4に送風されて夜具4の湿気を乾燥させる。図5、図11及び図12に示すように、バッフルプレート110は第2位置P2で第1分岐通路46を開け、第2分岐通路56を閉じる。熱風は後方空気排出口40だけを通じてハウジング20の外部に排出され、底面空気排出口54を通じては排出されない。) ・「 [図:0001400419000021.jpg] 」 イ 図7から、底面空気排出口54は、第1底面空気流入口24及び第2底面空気流入口34が掃除対象物2の表面に近接している時に、掃除対象物2と距離をおいて向かい合うリセス52の底に形成されている点、前面12a側から後面12b側に向かって、第1底面空気流入口24、第2底面空気流入口34、底面空気排出口54、取手14の後端部の順に配置されている点、第1底面空気流入口24及び第2底面空気流入口34から底面空気排出口54までのハウジング10内部の空気通路44における、電気ブロワーファン60の下流側であって底面空気排出口54の上流側に、フィルターエレメント104が配置されている点、取手14は、上側が閉じた略コ字状に設けられている点が看取される。 したがって、甲2には次の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されていると認められる。 (甲2発明) 「取手14と、 掃除対象物2の表面に近接する底面12dに形成された第1底面空気流入口24及び第2底面空気流入口34と、 上記第1底面空気流入口24及び上記第2底面空気流入口34を通じて第1空気及び第3空気を第1リセス28及び第2リセス36内に吸入する電気ブロワーファン60と、 上記第1底面空気流入口24及び上記第2底面空気流入口34から吸引された第1空気及び第3空気を濾過する第1フィルターユニット90と、 上記第1フィルターユニット90にて濾過された後の第1空気及び第3空気を外部に排出する底面空気排出口54と、を備え、 上記電気ブロワーファン60の電気モーター62の駆動により、吸入された第1空気及び第3空気を加熱し、加熱された第1空気及び第3空気を上記底面空気排出口54を通じて上記掃除対象物2に送風する真空掃除機であって、 上記底面空気排出口54は、上記第1底面空気流入口24及び第2底面空気流入口34が掃除対象物2の表面に近接している時に、掃除対象物2と距離をおいて向かい合うリセス52の底に形成され、 上記掃除対象物2を掃除する際に、上記第1底面空気流入口24及び上記第2底面空気流入口34から第1空気及び第3空気を吸入しながら、上記底面空気排出口54から上記掃除対象物2に送風し、 前面12a側から後面12b側に向かって、上記第1底面空気流入口24及び上記第2底面空気流入口34、上記底面空気排出口54、上記取手14の後端部の順に配置され、 上記取手14は、上側が閉じた略コ字状に設けられており、 上記第1底面空気流入口24及び上記第2底面空気流入口34から上記底面空気排出口54までのハウジング10内部の空気通路44における、上記電気ブロワーファン60の下流側であって上記底面空気排出口54の上流側に、上記第1空気及び上記第3空気を濾過するフィルターエレメント104が配置される真空掃除機。」 (2) 甲6~7について ア 甲6 甲6には、以下の事項が記載されている。 ・「【0031】 図1から図3に開示するように、本体10は、ベース11と、上蓋14と、ダストボックス30と、ドラム20と、殺菌ライト座40とを含んでなる。 【0032】 該ベース11と上蓋14は、上下に対応して螺接される。 【0033】 該ベース11は、端縁部の側面に形成された凹溝111と、底部側面の該凹溝111の下方に隣接して凹設された前方溝112と、底溝113とを含んでなる。 【0034】 該前方溝112は、ドラム20を設けるために供する。底溝113は、底蓋12を対応するように設けて被覆して螺接する。 【0035】 該底蓋12には第一吸引口121を構成する複数の孔が形成される。」 ・「【0039】 ベース11は、モーター13の下方に排気口115を設けてなる。」 ・「【0042】 上蓋14は、モーター13の一端に対応してハンドル15を螺接固定する。該ハンドル15にはモーター13のスイッチ151を電気的に接続して設け、モーター13の開始、或いは停止を制御するために供する。」 ・「【0087】 殺菌ライト座40は、殺菌ライトで柔らかいものに接触、付着しているものを殺菌する。」 ・「 【図3】 【図4】 [図:0001400419000022.jpg] 」 イ 甲7 甲7には、以下の事項が記載されている。 ・「 [図:0001400419000023.jpg] 」 (【0026】 前記真空掃除機(10)を詳細によく見ると真空掃除機(10)は外部を構成する本体(100)、前記本体(100)の前面下部に具備される吸入口(110)、前記吸入口(110)を通じて吸入された異物が保存される収集ボックス(120)、前記本体(100)の内部で前記吸入口(110)に吸入力を供給する吸入ファン(130)と前記吸入ファン(130)を回転させるモーター(140)、前記吸入口(110)を通じてほこり及び異物と共に吸入された空気を本本(100)の外部で排出させる排出口(150)、前記モーター(140)に電力を供給する充電池(160)及び前記吸入口(110)の外部で空気を排出させて隙間のほこりを飛散させるブロワー(200)で構成される。) ・「 図3 [図:0001400419000024.jpg] 」 (3) 対比 本件発明1と甲2発明とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比すると、甲2発明における「取手14」は、本件発明1における「ハンドル」に相当し、以下同様に、「掃除対象物2」は「掃除対象物」に、「掃除対象物2の表面に近接する底面12d」は「掃除対象物に対向する底面」に、「形成された」という事項は「設けた」という事項に、「第1底面空気流入口24及び第2底面空気流入口34」は「吸込口」に、「通じて」という事項は「介して」という事項に、「第1空気及び第3空気」は「空気」に、「第1リセス28及び第2リセス36内」は「内部」に、「電気ブロワーファン60」は「電動送風機」に、「第1空気及び第3空気を濾過する」という事項は「空気に含まれる塵埃を分離する」という事項に、「第1フィルターユニット90」は「集塵装置」に、「底面空気排出口54」は「外部排出口」に、「上記電気ブロワーファン60の電気モーター62の駆動により」加熱されることは「上記電動送風機により」加熱されることに、「上記底面空気排出口54を通じて上記掃除対象物2に送風する」という事項は「上記外部排出口から上記掃除対象物へ吹き付ける」という事項に、「真空掃除機」は「電気掃除機」に、「掃除対象物2の表面に近接している時に」という事項は「掃除対象物に近接対向した状態で」という事項に、「掃除対象物2と距離をおいて向かい合うリセス52の底」は「掃除対象物との間に空間を隔てて対向する底面」に、「形成され」という事項は「配置され」という事項に、「上記掃除対象物2に送風し」という事項は「上記掃除対象物へ向かって空気を排出し」という事項に、「前面12a側から後面12b側に向かって、上記第1底面空気流入口24及び上記第2底面空気流入口34、上記底面空気排出口54、上記取手14の後端部の順に配置されており」という事項は「上記吸込口から上記外部排出口に向かう方向を後方向とした場合、前から上記吸込口、上記外部排出口、上記ハンドルの後端部の順に存在している」という事項に、それぞれ相当する。 したがって、本件発明1と甲2発明とは、次の点で一致し、相違するものと認められる。 (一致点) 「ハンドルと、 掃除対象物に対向する底面に設けた吸込口と、 上記吸込口を介して空気を内部に吸引する電動送風機と、 上記吸込口から吸引された空気に含まれる塵埃を分離する集塵装置と、 上記集塵装置にて分離された後の空気を外部に排出する外部排出口と、を備え、 上記電動送風機により、吸引された空気を加熱し、加熱された空気を上記外部排出口から上記掃除対象物へ吹き付ける電気掃除機であって、 上記外部排出口は、上記吸込口が掃除対象物に近接対向した状態で、上記掃除対象物との間に空間を隔てて対向する底面に配置され、 上記掃除対象物を掃除する際に、上記吸込口から空気を吸引しながら、上記外部排出口から上記掃除対象物へ向かって空気を排出し、 上記吸込口から上記外部排出口に向かう方向を後方向とした場合、前から上記吸込口、上記外部排出口、上記ハンドルの後端部の順に存在する、 電気掃除機。」 (相違点2-1) 本件発明1では、「上記外部排出口が配置される上記底面は、掃除機本体の下部の下部基体の後側部分の錐面であり、上記空間は、上記掃除対象物と上記錐面との間に形成され」ているのに対し、甲2発明では「上記底面空気排出口54は」「掃除対象物2と距離をおいて向かい合うリセス52の底に形成され」ている点。 (相違点2-2) ハンドルに関し、本件発明1では、「上記掃除機本体の頂部から上記集塵装置と反対方向へ向かってL字状に屈曲して設けられている」のに対し、甲2発明では「上側が閉じた略コ字状に設けられている」点。 (4) 判断 ア 前記(3)のとおり、本件発明1は、前記相違点2-1、2-2の点で甲2発明と相違し、この点は実質的なものであるから、本件発明1は、甲2発明ではない。本件発明1を引用する本件発明2も、同様の理由により甲2発明ではない。 よって、本件発明は、甲2に記載された発明であるとは認められない。 イ 次に、相違点2-1について検討する。 (ア) 甲2によれば(前記(1))、甲2発明は、従来の技術が、加熱された空気がハウジングの後方に排出されるので、ユーザーが熱風に露出されて使用が煩わしく、不便な問題があることに鑑みなされたもので([5](【0005】))、加熱された空気の流れの方向を底面空気排出口又は後方空気排出口に選択的に制御して、ユーザーが熱風に露出されることを最小化することができるものであるから([11](【0011】))、底面空気排出口54に係る構造は、甲2発明の特徴的な部分であると認められる。甲2にはこれを変更する旨の記載、示唆はなく、甲2発明において、底面空気排出口54を、真空掃除機本体の下部を構成するような部材の後側部分の錐面に配置することの動機付けは特段認められない。底面空気排出口54を、真空掃除機本体の下部を構成するような部材の後側部分の錘面に配置することは、ユーザーが熱風に露出されることにもつながることから、むしろ、そのような変更には阻害要因が認められる。 次に、甲3~5についてみるに、甲3には、洗浄対象物をたたいてほこりなどを起こして吸い込む打撃部材及びこれを利用した真空掃除機において、本体(700)の下部ケース(710)に排出口(765)を設ける点が記載されているが(後記第6・2(1))、この排気口(765)は集塵後の空気を排出するためのもので、吸入モーター(530)によって空気が加熱されるかも明らかでなく、排気口(765)から加熱された空気を掃除対象物に吹き付けるものとは認められない。 甲4には、寝具類を殺菌及び殺虫し、寝具類に付着した異物を除去するための掃除機100において、掃除機100のケース下部110に孔72a、72bを設ける点が記載されているが(後記第6・3(1))、この孔72a、72bは集塵後の空気を排出するためのもので、吸入モーターアセンブリ40によって空気が加熱されるかも明らかでなく、孔72a、72bから加熱された空気を掃除対象物に吹き付けるものとは認められない。 甲5には、寝具用の殺菌装置2000において、殺菌装置2000のハウジング2100の第2フィルター部240に通風孔244を設けた点が記載されているが(後記第6・4(1))、この通風孔244は集塵後の空気を排出するためのもので、モーター290によって空気が加熱されるとしても、通風孔244から加熱された空気を掃除対象物に吹き付けるものとは認められない。 このように、甲3~5をみても、加熱された空気を掃除対象物に吹き付けている甲2発明において、底面空気排出口54を、真空掃除機本体の下部を構成するような部材の後側部分の錐面に配置することの動機付けは特段認められない。 この点は、甲6~7もみても同様である(前記(2)ア~イ)。 以上のとおり、甲2発明において、加熱された空気を排出する底面空気排出口54を、真空掃除機の下部の錐面を構成するような部材の当該錐面の後側部分に配置し、真空掃除機の下部の後側部分に設けることの動機付けは特段認められない上、阻害要因が認められるのであるから、甲2発明において、前記相違点2-1に係る構成とすることは、当業者が容易に想到できたものとは認められない。 (イ) 異議申立人は、相違点2-1に係る構成は、甲3~6に記載されており、周知技術である、と主張しているが(令和4年10月3日付け意見書)、甲3~6の排気に係る構造が、本件発明の外部排出口に係る構造に類するところがあるとしても、その目的は異なるものである。 そして、既に述べたとおり、甲2発明において、加熱された空気を排出する底面空気排出口54を、真空掃除機本体の下部を構成するような部材の後側部分の錐面に配置することの動機付けは特段認められない上、阻害要因が認められるのであるから、仮に、甲3~6の排気構造が周知の技術であるとしても、甲2発明において、前記相違点2-1に係る構成とすることは、当業者が容易に想到できたものとは認められない。 (ウ) 以上のとおりであるから、その余の事項を検討するまでもなく、本件発明1は、甲2発明及び甲3~7に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとも認められない。 本件発明1を引用する本件発明2も、同様の理由により、甲2発明及び甲3~7に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとは認められない。 第6 取消理由通知において採用しなかった特許異議の申立ての理由について 1 取消理由通知において採用しなかった特許異議の申立ての理由は、概ね、次のとおりである。 (1)本件発明は、甲3に記載された発明であるか、甲3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるか、甲3に記載された発明と甲4~7に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明に係る特許は、特許法29条1項又は同条2項の規定に違反してされたものである。 (2)本件発明は、甲4に記載された発明であるか、甲4に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明に係る特許は、特許法29条1項又は同条2項の規定に違反してされたものである。 (3)本件発明は、甲5に記載された発明であるか、甲5に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明に係る特許は、特許法29条1項又は同条2項の規定に違反してされたものである。 (4)請求項1、2は、特許を受けようとする発明が明確でないから、本件発明に係る特許は、特許法36条6項2号の規定に違反してされたものである。 2 甲3を主引例とする場合 (1) 甲3について ア 甲3には、以下の事項が記載されている。 ・「 [図:0001400419000025.jpg] 」 (【0001】本発明は洗浄対象物(寝具類、カーペット、カーテン、衣類、ソファー、マットレスなど)をたたいてほこりなどを起こして真空吸いこむ打撃部材及びこれを利用した真空掃除機に関し、特に振動バーを弾性支持部で支持してシーソー運動に加えて上下振動を起こして全体的な振幅を拡大した打撃部材及びこれを利用した真空掃除機に関する。) ・「 [図:0001400419000026.jpg] 」 (【0010】一方、図15に示すように、第1及び第2フィルター(31)(33)は本体(100)内部に吸入された空気の中に含有されたほこり、細菌、害虫などの異物をろ過するためのものである。集塵のための第1フィルター(31)はフィルター装着室)11)に着脱可能に設置されて、第2フィルター(33)は排気部(17)の外側に着脱可能に設置される。第1及び第2フィルター(31)(33)は異物をろ過するための第1及び第2フィルター部材(32)(34)をそれぞれ具備する。第2フィルタ一部材(34)は第1フィルター部材(32)よりコンパクトな構造で成り立っているため、第1フィルタ一部材(32)で濾過されなかった微細な異物は第2フィルタ一部材(134)によって濾過および除去される。そして、ファンモーター(136)で発生する熱風が2フィルター(33)に供給されて2フィルター部材(34)に濾過された細菌や害虫を殺虫するようになる。第2フィルター(33)には異物の除去された空気が排出されるグリル部(35)が具備される。) ・「 [図:0001400419000027.jpg] [図:0001400419000028.jpg] 」 (【0040】図1ないし図4に図示すように、本発明の真空掃除機は洗浄対象物をたたく打撃アセンブリー(100)と、前記洗浄対象物の異物を殺菌する殺菌アセンブリー(300)と、前記異物を吸いこんで集塵する真空掃除アセンブリー(500)と、打撃アセンブリー(100)、殺菌アセンブリー(300)及び真空掃除アセンブリー(500)を装着する本体(700)を含む。 【0041】特に本発明の真空掃除機は殺菌アセンブリー(300)が打撃アセンブリー(100)より前方に配置されて、洗浄対象物の異物中の細菌や害虫を殺菌(滅菌や殺虫)した後たたくため洗浄対象物から死んだ細菌や害虫がよく落ちて吸入されることで綺麗に掃除することができます。 【0042】本体(700)は、外形を成す下部ケース(710)と上部ケース(750)から成る。上部ケース(750)には取っ手(730)が設置されるのが望ましい。) ・「 [図:0001400419000029.jpg] [図:0001400419000030.jpg] [図:0001400419000031.jpg] 」 (【0064】本発明の特徴中の一つの殺菌アセンブリー(300)は、清掃対象物に熱を加えて殺菌する加熱殺菌アセンブリー(300)に具現されているということである。 【0065】加熱殺菌アセンブリー(300)は図8及び図9に示されるように、下部ケース(710)の底面に配置される熱板(310)と電気ヒーター(330)から成る。 ) ・「 [図:0001400419000032.jpg] 」 (【0077】真空掃除アセンブリー(500)は、図3及び図8に示されるように、下部ケース(710)の床に形成される吸入口(510)と、下部ケース(710)の上面に装着される吸入モーター(530)と、上部ケース(750)の上部に形成された集塵容器装着溝(760)に着脱可能に設置される集塵容器(550)を含む。 【0078】吸入口(510)は下部ケース(710)の底面に形成される吸入溝(511)を介して形成されている。吸入溝(511)には格子状の格子515)が装着されることで織物類の完全吸培を防止して円滑な吸入を可能にする。) ・「 [図:0001400419000033.jpg] 」 (【0089】よって主要吸入作用は、吸入溝(510)→吸入溝(510)、または第1導入流入路(521)→第2導入流入路(523)→吸入溝(511)→吸入口(510)である。 【0090】集塵容器(550)は図11に示すように下面と背面に流入口(553)と流出口(555)が形成される集塵ハウジング(551)と、流出口(555)に装着されるフィルター部(527)で構成している。集塵ハウジング(551)の上面には取っ手(552)が突出形成されることが望ましい。) ・「 [図:0001400419000034.jpg] 」 (【0093】よって、異物は吸入口(510)→第1流路連通孔(761)→流入口(553)→フィルタ一部(527)を経た濾過空気が第2流路連通孔(763)→吸入モーター(530)→排出口(765)に出る。) 【0094】排出口(765)で空気が出る前に微細なほこりを濾過するために吸入モーター(530)の排気口側にHEPAフィルタ一部(540)をさらに置くことが望ましい) ・「 [図:0001400419000035.jpg] [図:0001400419000036.jpg] [図:0001400419000037.jpg] 」 イ 図1~8において、下部ケース(710)の底面の左右後方に凹部があり、この凹部に外部排出口(765)が形成されている点が見て取れ、その位置に照らすと、排出口(765)は、真空掃除機の本体(700)の、下部ケース(710)の後側部分に設けられているということができる。また、吸入口(51)と排出口(765)の配置位置、下部ケース(710)の左右後方の凹部の構造に照らすと、排出口(765)は、吸込口(510)が洗浄対象物に近接対向した状態で、上記洗浄対象物との間に空間を隔てて対向する凹部に配置されているといえる。また、吸込口(510)から排出口(765)に向かう方向を後方向とした場合、前から吸込口(510)、排出口(765)の順に存在していること、取っ手(730)は上側が閉じた略コ字状に設けられていることが看取される。 前記ア、イの内容を総合すると、甲3には次の発明(以下「甲3発明」という。)が記載されていると認められる。 (甲3発明) 「取っ手(730)と、 洗浄対象物に対向する底面に設けた吸込口(510)と、 上記吸込口(510)を経て空気を吸入する吸入モーター(530)と、 上記吸込口(510)から吸入された空気に含まれるほこりを濾過するHEPAフィルター部(540)と、 上記HEPAフィルター部(540)にて濾過された後の空気を外部に排出する排出口(765)と、を備え、 上記吸入モーター(530)により、吸入した空気を上記排出口(765)から排出する真空掃除機であって、 上記排出口(765)は、上記吸込口(510)が掃除対象物に近接対向した状態で、上記掃除対象物との間に空間を隔てて対向する底面に配置され、 上記排出口(765)が配置される上記底面は、上記真空掃除機の本体(700)の、下部ケース(710)の後側部分の凹部であり、 上記空間は、上記洗浄対象物と上記凹部との間に形成され、 上記洗浄対象物を掃除する際に、上記吸込口(510)から空気を吸入しながら、上記排出口(765)から空気を排出し、 上記吸込口(510)から上記排出口(765)に向かう方向を後方向とした場合、前から上記吸込口(510)、上記排出口(765)の順に存在し、 上記取っ手(730)は、上側が閉じた略コ字状に設けられている真空掃除機。」 (2) 対比 本件発明1と甲3発明とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比すると、甲3発明における「取っ手(730)」は本件発明1の「ハンドル」に相当し、以下同様に、「洗浄対象物」は「掃除対象物」に、「吸入口(510)」は「吸込口」に、「経て」という事項は「介して」という事項に、「吸入する」という事項は「内部に吸引する」という事項に、「吸入モーター530」は「電動送風機」に、「ほこりを濾過する」という事項は「塵埃を分離する」という事項に、「HEPAフィルター部(540)」は「集塵装置」に、「排出口765」は「外部排出口」に、それぞれ相当する。 甲3発明の「上記吸入モーター(530)により、吸入した空気を上記排出口(765)から排出する」という事項と本件発明1の「上記電動送風機により、吸引された空気を加熱し、加熱された空気を上記外部排出口から上記掃除対象物へ吹き付ける」という事項とは、「上記電動送風機により、吸引された空気を上記外部排出口から外部に排出する」という点で共通する。 甲3発明の「真空掃除機」は本件発明1の「電気掃除機」に相当する。 甲3発明の「上記排出口(765)が配置される上記底面は、上記真空掃除機の本体(700)の、下部ケース(710)の後側部分の凹部であり、上記空間は、上記洗浄対象物と上記凹部との間に形成され」ている事項と、本件発明1の「上記外部排出口が配置される上記底面は、掃除機本体の下部の下部基体の後側部分の錐面であり、上記空間は、上記掃除対象物と上記錐面との間に形成され」ている事項は、「上記外部排出口が配置される上記底面は、掃除機本体の下部の下部基体の後側部分であり、上記空間は、上記掃除対象物と、上記掃除機本体の下部の下部基体の後側部分との間に形成され」ている点において共通する。 甲3発明の「上記取っ手(730)は、上側が閉じた略コ字状に設けられている」という事項と本件発明1の「上記ハンドルは、上記掃除機本体の頂部から上記集塵装置と反対方向へ向かってL字状に屈曲して設けられている」という事項とは、「上記ハンドルは、所定の形状に設けられている」という点で共通する。 したがって、本件発明と甲3発明とは、次の点で一致し、相違するものと認められる。 (一致点) 「ハンドルと、 掃除対象物に対向する底面に設けた吸込口と、 上記吸込口を介して空気を内部に吸引する電動送風機と、 上記吸込口から吸引された空気に含まれる塵埃を分離する集塵装置と、 上記集塵装置にて分離された後の空気を外部に排出する外部排出口と、を備え、 上記電動送風機により、吸引された空気を上記外部排出口から外部に排出する電気掃除機であって、 上記外部排出口は、上記吸込口が掃除対象物に近接対向した状態で、上記掃除対象物との間に空間を隔てて対向する底面に配置され、 上記外部排出口が配置される上記底面は、掃除機本体の下部の下部基体の後側部分であり、 上記空間は、上記掃除対象物と、上記掃除機本体の下部の下部基体の後側部分との間に形成され、 上記掃除対象物を掃除する際に、上記吸込口から空気を吸引しながら、上記外部排出口から空気を排出し、 上記吸込口から上記外部排出口に向かう方向を後方向とした場合、前から上記吸込口、上記外部排出口の順に存在し、 上記ハンドルは、所定の形状に設けられている電気掃除機。」 (相違点3-1) 電動送風機により、吸引された空気を外部に排出する点に関し、本件発明は、上記電動送風機により、吸引された空気を「加熱し、加熱された空気を」上記外部排出口から「上記掃除対象物へ吹き付ける」ものであり、上記掃除対象物を掃除する際に、上記吸込口から空気を吸引しながら、上記外部排出口から「上記掃除対象物へ向かって」空気を排出するものであって、上記外部排出口は、掃除機本体の下部の下部基体の後側部分の「錐面」に、掃除対象物と空間を隔てて配置され、上記空間は上記掃除対象物と「上記錐面」との間に形成されているのに対し、甲3発明は、吸入モーター(530)により、吸引された空気を加熱し、加熱された空気を排出口(765)から洗浄対象物へ吹き付けるものではなく、洗浄対象物へ向かって空気を排出するものかも明らかでなく、排出口765は本体(700)の、下部ケース(710)の後側部分の凹部に配置され、上記空間は上記洗浄対象物と上記凹部との間に形成されている点。 (相違点3-2) 本件発明1では、前から上記吸込口、上記外部排出口、「上記ハンドルの後端部」の順に存在しているのに対し、甲3発明では、排出口(765)と取っ手(730)の後端部との前後関係が明らかではない点。 (相違点3-3) 本件発明1のハンドルは、「上記掃除機本体の頂部から上記集塵装置と反対方向へ向かってL字状に屈曲して」設けられているのに対し、甲3発明の取っ手(730)は、上側が閉じた略コ字状に設けられている点。 (3) 判断 ア 前記(2)のとおり、本件発明1は、前記相違点3-1~3-3の点で甲3発明と相違し、この点は実質的なものであるから、本件発明1は、甲3発明ではない。本件発明1を引用する本件発明2も、同様の理由により甲3発明ではない。 よって、本件発明は、甲3に記載された発明であるとは認められない。 イ 次に、相違点3-1について検討する。 (ア) 甲3によれば(前記(1))、甲3発明は、打撃アセンブリー(100)と加熱殺菌アセンブリー(300)を備え、洗浄対象物に加熱殺菌アセンブリ(300)の熱板(310)と電気ヒーター(330)により熱を加えて殺菌することを特徴とするものであるところ([0064](【0064】))、甲3には、これに代えて、加熱された空気を排出口(765)から洗浄対象物へ吹き付けることについて記載、示唆はない。 そして、甲3発明は、加熱殺菌アセンブリー(300)が打撃アセンブリー(100)よりも前方に配置されることにより、洗浄対象物の異物中の細菌や害虫を殺菌(滅菌や殺虫)した後たたくため、洗浄対象物から死んだ細菌や害虫がよく落ちて吸入されることで綺麗に掃除することができるものである([0041](【0041】))。排出口(765)から排出される空気が吸入モーター(530)により加熱されるとしても、加熱殺菌アセンブリー(300)に代えて、加熱された空気を排出口(765)から洗浄対象物へ吹き付けることによると、当該効果を奏しないことになるから、そのような変更には阻害要因があるといえる。 ところで、甲2発明は熱風を吹き付けるものであるが、夜具の乾燥を目的としたものであるから(甲2[58](【0058】))、甲3発明の加熱殺菌アセンブリーとして甲2発明の構成を採用する理由は特段なく、甲3発明において、さらに甲2発明の構成を採用する理由も特段ない。 既に述べたとおり(前記第5・3(4)イ(ア))、甲2発明において、底面空気排出口54を、真空掃除機本体の下部を構成するような部材の後側部分の錐面に配置することの動機付けは特段認められない上、阻害要因が認められるから、仮に、甲3発明の排出口(765)に、甲2発明の底面空気排出口54に係る事項を適用するとしても、その場合に、排出口(765)を、本体(700)の、下部ケース(710)の後側部分の錐面に配置するものとは認められない。 甲4~5についてみても、甲4~5の排気に係る構造の目的は異なるものである(後記3(1)、4(1))。 甲6~7(前記第5・3(2)ア及びイ)をみても同様で、甲4~7に本件発明の外部排出口に類する構造が記載され、周知の技術であるとしても、甲3発明において、吸入モーター(530)により、吸引された空気を加熱し、加熱された空気を排出口(765)から洗浄対象物へ吹き付けること、排出口(765)から洗浄対象物へ向かって空気を排出することについて、動機付けられるものとは認められない。 そうすると、甲3発明において、相違点3-1に係る構成とすることは、当業者が容易に想到できたものとは認められない。 (イ) 以上のとおりであるから、その余の事項を検討するまでもなく、本件発明1は、甲3発明及び甲2、4~7に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとは認められない。 本件発明1を引用する本件発明2も、同様の理由により、甲3発明及び甲2、4~7に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとは認められない。 3 甲4を主引例とする場合 (1) 甲4について ア 甲4には、以下の事項が記載されている。 ・「 [図:0001400419000038.jpg] [図:0001400419000039.jpg] 」 (【0026】 図1aは、本発明の一実施形態による掃除機100の外観を示す斜視図である。図1aを参照すると、掃除機100は、動作モード選択ボタン102、ハンドル104、電源ライン106、ケース上部108、ケース下部110、および不透明な開閉窓112を含む。) ・「 [図:0001400419000040.jpg] 」 (【0028】 ハンドル104は、ユーザが掃除100を持ち上げて操乍することを可能にする部分であり、電源ライン106は、掃除機100の操作に必要な電力を供給するための部分である。ハンドル104の形状は、図1に示される形態を含む様々な形態に変更され得る。電源ライン106を介して家庭用電力(例えば、110V、220Vなど)が供給されることができるし、機動性を高めるために、充電器(図示せず)または充電式電池ユニット(図示せず)が掃除機100の内部にさらに提供され得る。) ・「 [図:0001400419000041.jpg] 」 (【0033】 図2a、図2b、図2c及び図2dを参照して、打撃ユニット10と紫外線放射ユニット30との間に、寝具等の紫外線放射ユニット30a、30b、30cが配置され、寝具類のような対象物に付着した異物または打撃によって対象物から、分離した異物を吸引するための異吸入ユニット20aを備えている。もちろん掃除機100は、異物を吸引するための吸引力を発生させる吸入モーターアセンブリ40、吸入モーターアセンブリ40内の吸入モーター、打撃ユニット10内の打撃モーター、およびその中の紫外線射ユニット30の紫外線ランプを駆動するための回路を含むプリント回路基板52、54を含む。さらに、掃除機は、主に異物吸入ユニット20aによって濾過された結果物を二次的に濾過するためのミクロフィルターアセンブリ70をさらに備えている。さらに、掃除機は、動作中に寝具類などの対象物上で自由に往復運動するために、ローラー60a、60b、および60Cをさらに含み得る。) ・「 [図:0001400419000042.jpg] 」 (【0049】 また、異物混入ユニット20の異物吸入口20bが対象物側に直接露出することを防止するために、異物吸入ロカバー部材115がさらに設けられている。異物吸入口20bは、打撃ユニット10の方向にのみ形成された通路を有し、対象物と接触する部分には露出していないため、対象物によって異物吸入口20bが詰まることを防止して滑らかに掃除機を運転することができる。図2aの参照番号20bは図2cまたは図2dの参照番号20bと同じ対象として、図2で異物吸入ユニット20の収容チャンバ20aの床部分の一部または全体に形成された異物吸入口を示す。) ・「 [図:0001400419000043.jpg] 」 (【0052】 また、異物吸入ユニット20には、フィルターアセンブリ収容チャンバ20aに自由に着脱可能なフィルターアセンブリ22を収納し、異物吸入口20bから導入された異物を主に濾過する。チャンバ20aを収容するフィルターアセンブリに収容されたフィルターアセンブリ22の例が、図4a、4bおよび4Cに詳細に示されている。) ・「 [図:0001400419000044.jpg] 」 (【0057】 図5aおよび図5bを参照して、ミクロフィルターアセンブリ70は、内部ケース74、ミクロフィルタ76および外部ケース78を含み、ミクロフィルタ76は、内部ケース74および外部ケース78の間に挿入され、1次的にフィルターアセンプリ22によって濾過され、さらに、より微細な異物を2次的に濾過する。参照番号72a、72bは、空気の流れのための経路を提供する孔である。) ・「 図1b 図2c 図5a [図:0001400419000045.jpg] 」 イ 図1a~図2cより、異物吸入口20bは寝具類に対向する底面付近に設けられ、孔72a、72bは、異物吸入口20bが寝具類に近接対向した状態で、上記寝具類との間に空間を隔てて対向する底面及び側面に配置され、上記孔72a、72bが配置される上記底面及び側面は、掃除機本体の下部のケース下部110の後側部分の傾斜面であり、上記空間は、上記寝具類と上記傾斜面との間に形成され、上記異物吸入口20bから上記孔72a、72bに向かう方向を後方向とした場合、前から上記異物吸入口20b、上記孔72a、72bの順に存在し、ハンドル104は、掃除機本体の上面略中央からフィルターアセンブリ22と反対方向へ向かってL字状に屈曲して設けられているものであることが看取される。 前記ア、イの内容を総合すると、甲4には次の発明(以下「甲4発明」という。)が記載されていると認められる。 (甲4発明) 「ハンドル104と、 寝具類に対向する底面付近に設けた異物吸入口20bと、 上記異物吸入口20bを介して異物を吸引するための吸引力を発生させる吸入モーターアセンブリ40と、 上記異物吸入口20bから導入された異物を主に濾過するフィルターアセンブリ22と、 上記フィルターアセンブリ22にて濾過された後の空気の流れのための経路を提供する孔72a、72bと、を備え、 上記吸入モーターアセンブリ40により、吸引された空気を上記孔72a、72bから排出する掃除機100であって、 上記孔72a、72bは、上記異物吸入口20bが寝具類に近接対向した状態で、上記寝具類との間に空間を隔てて対向する底面及び側面に配置され、 上記孔72a、72bが配置される上記底面及び側面は、掃除機本体の下部のケース下部110の後側部分の傾斜面であり、 上記空間は、上記寝具類と上記傾斜面との間に形成され、 上記掃除対象物を掃除する際に、上記吸入口から空気を吸引しながら、上記通風孔244から空気を排出し、 上記異物吸入口20bから上記孔72a、72bに向かう方向を後方向とした場合、前から上記異物吸入口20b、上記孔72a、72bの順に存在し、 上記ハンドル104は、上記掃除機本体の上面略中央から上記フィルターアセンブリ22と反対方向へ向かってL字状に屈曲して設けられている掃除機100。」 (2) 対比 本件発明1と甲4発明とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比すると、甲4発明の「ハンドル104」は本件発明1「ハンドル」に相当し、以下同様に、「寝具類」は「掃除対象物」に、「異物吸入口20b」は「吸込口」に、「異物を吸引するための吸引力を発生させる」という事項は「空気を内部に吸引する」という事項に、「吸入モーターアセンブリ40」は「電動送風機」に、「導入された異物を主に濾過する」という事項は「吸引された空気に含まれる塵埃を分離する」という事項に、「フィルターアセンブリ22」は「集塵装置」に、「空気の流れのための経路を提供する」という事項は「空気を外部に排出する」という事項に、「孔72a、72b」は「外部排出口」に、それぞれ相当する。 甲4発明の「上記ファン29及びモーター290により、吸引された空気を上記通風孔244から排出する」という事項と本件発明1の「上記電動送風機により、吸引された空気を加熱し、加熱された空気を上記外部排出口から上記掃除対象物へ吹き付ける」という事項とは、「上記電動送風機により、吸引された空気を上記外部排出口から外部に排出する」という点で共通する。 甲4発明の「掃除機100」は本件発明1の「電気掃除機」に相当し、以下同様に、「寝具類との間に空間を隔てて対向する底面及び側面」は「掃除対象物との間に空間を隔てて対向する底面」に、「掃除機本体の下部のケース下部110の後側部分の傾斜面」は「掃除機本体の下部の下部基体の後側部分の錐面」に、それぞれ相当する。 甲4発明の「上記ハンドル104は、上記掃除機本体の上面略中央から上記フィルターアセンブリ22と反対方向へ向かってL字状に屈曲して設けられている」という事項と本件発明1の「上記ハンドルは、上記掃除機本体の頂部から上記集塵装置と反対方向へ向かってL字状に屈曲して設けられている」という事項とは、「上記ハンドルは、上記掃除機本体の所定位置から上記集塵装置と反対方向へ向かってL字状に屈曲して設けられている」という点で共通する。 したがって、本件発明1と甲4発明とは、次の点で一致し、相違するものと認められる。 (一致点) 「ハンドルと、 掃除対象物に対向する底面に設けた吸込口と、 上記吸込口を介して空気を内部に吸引する電動送風機と、 上記吸込口から吸引された空気に含まれる塵埃を分離する集塵装置と、 上記集塵装置にて分離された後の空気を外部に排出する外部排出口と、を備え、 上記電動送風機により、吸引された空気を上記外部排出口から外部に排出する電気掃除機であって、 上記外部排出口は、上記吸込口が掃除対象物に近接対向した状態で、上記掃除対象物との間に空間を隔てて対向する底面に配置され、 上記外部排出口が配置される上記底面は、掃除機本体の下部の下部基体の後側部分の錐面であり、 上記空間は、上記掃除対象物と上記錐面との間に形成され、 上記掃除対象物を掃除する際に、上記吸込口から空気を吸引しながら、上記外部排出口から空気を排出し、 上記吸込口から上記外部排出口に向かう方向を後方向とした場合、前から上記吸込口、上記外部排出口の順に存在し、 上記ハンドルは、上記掃除機本体の所定位置から上記集塵装置と反対方向へ向かってL字状に屈曲して設けられている電気掃除機。」 (相違点4-1) 電動送風機により、吸引された空気を外部に排出する点に関し、本件発明1は、上記電動送風機により、吸引された空気を「加熱し、加熱された空気を」上記外部排出口から「上記掃除対象物へ吹き付ける」ものであり、上記掃除対象物を掃除する際に、上記吸込口から空気を吸引しながら、上記外部排出口から「上記掃除対象物へ向かって」空気を排出するものであるのに対し、甲4発明は、吸入モーターアセンブリ40により、吸引された空気を加熱し、加熱された空気を孔72a、72bから寝具類へ吹き付けるものではなく、寝具類へ向かって空気を排出するものかも明らかでない点。 (相違点4-2) 本件発明1では、前から上記吸込口、上記外部排出口、「上記ハンドルの後端部」の順に存在しているのに対し、甲4発明では、孔72a、72bとハンドル140の後端部の前後関係が明らかではない点。 (相違点4-3) ハンドルが設けられている掃除機本体の所定位置に関し、本件発明1では、掃除機本体の「頂部」であるのに対し、甲4発明の掃除機100の上面略中央は頂部であるか明らかではない点。 (3) 判断 ア 前記(2)のとおり、本件発明1は、前記相違点4-1~4-3の点で甲4発明と相違し、この点は実質的なものであるから、本件発明1は、甲4発明ではない。本件発明1を引用する本件発明2も、同様の理由により甲4発明ではない。 よって、本件発明は、甲4に記載された発明であるとは認められない。 イ 次に、相違点4-1について検討する。 (ア) 甲4によれば(前記(1))、甲4発明は、打撃ユニット100の打撃によって寝具類を打って、寝具類についている異物を打ち落とし、紫外線放射ユニット30で殺菌し、吸入モーターアセンブリ40の動作により発生する吸引力で異物を除去するものであるところ(【0033】)、甲4には、紫外線放射ユニット30で殺菌することに代えて、加熱された空気を孔72a、72bから寝具類に吹き付けることについて記載、示唆はない。孔72a、72bから排出される空気が吸入モーターアセンブリ40により加熱されるとしても、紫外線放射ユニット30を備えることが前提のものであるから、これに代える理由は特段認められない。 ところで、甲2発明は熱風を吹き付けるものであるが、夜具の乾燥を目的としたものであるから(甲2[58](【0058】))、甲4発明の殺菌するための手段として甲2発明の構成を採用する理由は特段なく、甲4発明において、さらに甲2発明の構成を採用する理由も特段ない。 既に述べたとおり(前記第5・3(4)イ(ア))、甲2発明において、底面空気排出口54を、真空掃除機本体の下部を構成するような部材の後側部分の錐面に配置することの動機付けは特段認められない上、阻害要因が認められるから、仮に、甲4発明の孔72a、72bに、甲2発明の底面空気排出口54に係る事項を適用するとしても、その場合に、孔72a、72bを、掃除機100の下部の後側部分の傾斜面に設けるものとは認められない。 甲3、5についてみても、甲3、5の排気に係る構造の目的は異なるものである(前記2(1)、後記4(1))。 甲6~7(前記第5・3(2)ア及びイ)をみても同様で、甲5~7に本件発明の外部排出口に類する構造が記載され、周知の技術であるとしても、甲4発明において、吸入モーターアセンブリ40により、吸引された空気を加熱し、加熱された空気を孔72a、72bから寝具類へ吹き付けること、孔72a、72bから寝具類へ向かって空気を排出することについて、動機付けられるものとは認められない。 そうすると、甲4発明において、前記相違点4-1に係る構成とすることは、当業者が容易に想到できたものとは認められない。 (イ) 以上のとおりであるから、その余の事項を検討するまでもなく、本件発明1は、甲4発明及び甲2~3、5~7に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとは認められない。 本件発明1を引用する本件発明2も、同様の理由により、甲4発明及び甲2~3、5~7に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとは認められない。 4 甲5を主引例とする場合 (1) 甲5について ア 甲5には、以下の事項が記載されている。 ・「【0001】 本発明は殺菌装置に係り、特に布団又はカーペットなどのように、接触面の変形がひどくて柔らかいし、繊維汚染物が多い掃除対象物上で容易に移動可能であり、前記掃除対象物の表面に棲息する細菌及びだになどの害虫を殺菌及び殺虫し、殺菌及び殺虫された細菌及びだになどを容易に除去することができる寝具用殺菌装饂に関するものである。また、本発明は、寝具のような掃除対象物から、前記掃除対象物の表面にくっついているほこりなどの異物を容易に除去することができる寝具用殺菌装置に関するものである。」 ・「【0035】 本実施例による殺菌装置1000は、底面に陥没するように形成された紫外線照射空間52と、前記紫外線照射空間52に形成された吸入口(図示せず)と、側面に形成された排出口90と、前記吸入口と排出口90を連結する空気通路(図示せず)と、殺菌しようとする対象物が底面に吸着されることを防止するために、前記紫外線照射空間52内で底面が陷沒して側面に延長された吸着防止通路10を含むハウジング100と;前記ハウジング100の上面に設置され、外部からの入力を電気的信号に出力するための操作部20と;前記ハウジング100の上部に設置された取っ手40と;を含む。」 ・「【0042】 前記のような本実施例の殺菌装置1000は、布団のような寝具類に棲息する微細害虫を除去するための装置であって、紫外線ランプ50を点灯して微細害虫を殺菌し、モータ-80を動作させてほこりや微細害虫を吸い込み、フィルター33で濾過する。この際、前記吸着防止通路10には複数の突起11が形成され、底面から側面12まで吸着防止通路10が延設されているから、繊維材質がモーター80の吸入力によってくっついても、前記側面12に空気通路が確保されるので、閉塞現象が発生しない。」 ・「【0044】 また、本実施例による殺菌装置1000は、殺菌及び掃除対象物を打って、表面についている微細害虫及びほこりなどを表面から打ち落とす打撃部160を備えている。前記打撃部160は、ハウジング100の内部に設置された磁石161と、前記磁石161に隣り合って設置された電磁石163と、ー側は前記電磁石163が設置され、他側はヒンジで支持され、前記電磁石163の極性が変わるにしたがい、前記磁石161の磁場によって揺れる揺動バー162と、前記揺動バー162の設定位置に設置され、前記掃除対象物を打つ打撃棒I64とを含む。前記打撃棒164は、前記ハウジング100の吸着防止通路10側に突設され、打撃棒164によって掃除対象物を打って、掃除対象物の表面についている微細なほこり及び害虫を打ち落とし、紫外線ランプ50で殺菌し、モーター80の動作により発生する吸入力でほこりを容易に除去することができる。」 ・「【0057】 本実施例の殺菌装置2000は、底面及びその底面に隣り合う側面に延長され、複数リブ211が延長方向に形成された吸着防止通路210が形成されたハウジング2100と、前記ハウジング2100の上面に設置され、外部の操作によってハウジング2100の内部のモーター290及び/又は紫外線放射部250のオン/オフ信号を出力する操作部220と、前記ハウジング2100の内部に、底面側に突出するように設置され、殺菌対象物を打つための打撃部260と、前記吸着防止通路210に沿って吸入口(図示せず)を通じてハウジング2100の内部に流入する空気を浄化し、前記ハウジング2100上部側に挿設される第1フィルター部230と、モーターが装着され、内部から外部側に突出するようにハウジングの内部に形成されたモーター装着部2110を取り囲むように着脱可能に設置される第2フィルター部240とを含む。前記ハウジング2100の上面には、内部に設置された紫外線放射部250の紫外線ランプ(医示せず)の動作状態を外部から肉眼で識別できるように、表示窓280がさらに形成されている。前記表示窓280は、貫通孔282と、前記貫通孔282に設置され、光は透過するが紫外線は遮断する表示部材281とからなる。前記モーター装着部2110には、空気を排出するための排出口2111が形成されている。 【0058】 前記第2フィルター部240は、前記ハウジング2100のモーター装着部2110を取り囲むようにハウジング2100に形成された結合孔(図示せず)と結合するための結合手段243が備えられたケース241と、前記ケース241の内部に設置され、空気中の異物を濾過するために設置されたフィルター部材242とを含む。前記フィルター部材242の空気透過率は、前記第1フィルター部230のフィルター部材よりも低い。 【0059】 前記モーター290には、過熱防止ユニット292がさらに設置される。前記過熱防止ユニット292は、モーターの発熱を感知して、設定温度以上の熱が一定時間以上感知されれば、前記モーターの動作を遮断する。すなわち、前記第2フィルター部240がモーター装着部2110を取り囲むように設置され、フィルター部材242の透過率が低いので、モーターから発生した熱が第2フィルター部240に一部存在し、その熱により、フィルター部材242で濾過された微細害虫を殺虫することができるものである。よって、過熱防止ユニット292を設置することで、必要以上の熱が一定時間以上発生すれば、モーターの動作を遮断して、過熱による故障発生を防止することになる。」 ・「【0061】 本実施例の殺菌装置2000は、打撃部260の打撃によって、寝具類の表面にくっついているほこりや微細害虫が寝具から打ち落とされ、モーターの動作によるファン291の吸入力によって、吸入口を通じてほこり及び微細害虫を含む空気を流入させて第1フィルター部230とで一次的に浄化し、モーターを通過した空気中のほこりや微細害虫を第2フィルター部240によって完全に除去することになる。この際、第2フィルタ一部240で濾過された微細害虫はモーターの動作熱によって殺虫される。」 ・「【0069】 図20は本発明の第9実施例による寝具用殺菌装置を示す図で、前記ハウジングの前記第2フィルター部240に隣接して、第2フィルタ一部240の通風孔244を通じて出た空気が使用者側に向かわないように、空気をガイドするためのガイド部245がさらに設置されているものを示す。寝具用殺菌装置の駆動の際、第2フィルター部240の通風孔244を通じて出た空気が使用者に直接向かうことになり、使用者が不快感を感じる可能性があるので、前記ガイド部244をハウジングにさらに設置して、第2フィルター部240の通風孔244を通じて出た空気が使用者側ではない他の方向に流れるようにする。」 ・「 [図:0001400419000046.jpg] [図:0001400419000047.jpg] 」 イ 【0026】と図12~図14より、紫外線照射空間に形成された吸着防止通路210及び吸入口は、掃除対象物に対向する底面に形成され、通風孔244は、上記吸込口が掃除対象物に近接対向した状態で、上記掃除対象物との間に空間を隔てて対向する底面に配置され、上記通風孔244が配置される上記底面は、殺菌装置本体の下部の後側部分の曲面であり、上記空間は、上記掃除対象物と上記曲面との間に形成され、上記吸入口から上記通風孔244に向かう方向を後方向とした場合、前から上記吸入口、上記通風孔244、上記取っ手40の後端部の順に存在し、上記取っ手40は、上側が閉じた略C字状に設けられているものであるといえる。 前記ア、イの内容を総合すると、甲5には次の発明(以下「甲5発明」という。)が記載されていると認められる。 (甲5発明) 「取っ手40と、 掃除対象物に対向する底面に設けた吸入口と、 上記吸入口を介して空気を内部に吸引するファン29及びモーター290と、 上記吸入口から流入する空気を浄化する第1フィルター部230及び第2フィルター部240と、 上記第1フィルター部230及び第2フィルター部240にて浄化された後の空気を外部に排出する通風孔244と、を備え、 上記ファン29及びモーター290により、吸引された空気を上記通風孔244から排出する殺菌装置2000であって、 上記通風孔244は、上記吸込口が掃除対象物に近接対向した状態で、上記掃除対象物との間に空間を隔てて対向する第2フィルター部240の底面に配置され、 上記通風孔244が配置される上記底面は、殺菌装置本体の下部の後側部分の曲面であり、 上記空間は、上記掃除対象物と上記曲面との間に形成され、 上記掃除対象物を掃除する際に、上記吸入口から空気を吸引しながら、上記通風孔244から空気を排出し、 上記吸入口から上記通風孔244に向かう方向を後方向とした場合、前から上記吸入口、上記通風孔244、上記取っ手40の後端部の順に存在し、 上記取っ手40は、上側が閉じた略C字状に設けられている殺菌装置2000。」 (2) 対比 本件発明1と甲5発明とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比すると、甲5発明の「取っ手40」は本件発明1の「ハンドル」に相当し、以下同様に、「掃除対象物」は「掃除対象物」に、「吸入口」は「吸込口」に、「ファン29及びモーター290」は「電動送風機」に、「流入する空気を浄化する」という事項は「吸引された空気に含まれる塵埃を分離する」という事項に、「第1フィルター部230及び第2フィルター部240」は「集塵装置」に、「通風孔244」は「外部排出口」に、それぞれ相当する。 甲5発明の「上記ファン29及びモーター290により、吸引された空気を上記通風孔244から排出する」という事項と本件発明1の「上記電動送風機により、吸引された空気を加熱し、加熱された空気を上記外部排出口から上記掃除対象物へ吹き付ける」という事項とは、「上記電動送風機により、吸引された空気を上記外部排出口から外部に排出する」という点で共通する。 甲5発明の「殺菌装置2000」は本件発明1の「電気掃除機」に相当し、以下同様に、「掃除対象物との間に空間を隔てて対向するフィルター部240の底面」は「掃除対象物との間に空間を隔てて対向する底面」に、「殺菌装置本体の下部の後側部分の曲面」は「掃除機本体の下部の下部基体の後側部分の錐面」に相当する。 甲5発明の「上記取っ手40は、上側が閉じた略コ字状に設けられている」」という事項と本件発明1の「上記ハンドルは、上記掃除機本体の頂部から上記集塵装置と反対方向へ向かってL字状に屈曲して設けられている」という事項とは、「上記ハンドルは、所定の形状に設けられている」という点で共通する。 したがって、本件発明と甲5発明とは、次の点で一致し、相違するものと認められる。 (一致点) 「 ハンドルと、 掃除対象物に対向する底面に設けた吸込口と、 上記吸込口を介して空気を内部に吸引する電動送風機と、 上記吸込口から吸引された空気に含まれる塵埃を分離する集塵装置と、 上記集塵装置にて分離された後の空気を外部に排出する外部排出口と、を備え、 上記電動送風機により、吸引された空気を上記外部排出口から外部に排出する電気掃除機であって、 上記外部排出口は、上記吸込口が掃除対象物に近接対向した状態で、上記掃除対象物との間に空間を隔てて対向する底面に配置され、 上記外部排出口が配置される上記底面は、掃除機本体の下部の下部基体の後側部分の錐面であり、 上記空間は、上記掃除対象物と上記錐面との間に形成され、 上記掃除対象物を掃除する際に、上記吸込口から空気を吸引しながら、上記外部排出口から上記掃除対象物へ向かって空気を排出し、 上記吸込口から上記外部排出口に向かう方向を後方向とした場合、前から上記吸込口、上記外部排出口、上記ハンドルの後端部の順に存在し、 上記ハンドルは、所定の形状に設けられている電気掃除機。」 (相違点5-1) 電動送風機により、吸引された空気を外部に排出する点に関し、本件発明1は、上記電動送風機により、吸引された空気を「加熱し、加熱された空気を」上記外部排出口から「上記掃除対象物へ吹き付ける」ものであり、上記掃除対象物を掃除する際に、上記吸込口から空気を吸引しながら、上記外部排出口から「上記掃除対象物へ向かって」空気を排出するものであるのに対し、甲5発明は、ファン29及びモーター290により、吸引された空気を加熱するか定かではなく、加熱された空気を通風孔244から掃除対象物へ吹き付けるものではなく、通風孔244から掃除対象物へ向かって空気を排出するものかも明らかでない点。 (相違点5-2) ハンドルの所定の形状に関し、本件発明1では、「上記掃除機本体の頂部から上記集塵装置と反対方向へ向かってL字状に屈曲して」いるのに対し、甲5発明では、上側が閉じた略C字状である点。 (3) 判断 ア 前記(2)のとおり、本件発明1は、前記相違点5-1、5-2の点で甲5発明と相違し、この点は実質的なものであるから、本件発明1は、甲5発明ではない。本件発明1を引用する本件発明2も、同様の理由により甲5発明ではない。 よって、本件発明は、甲5に記載された発明であるとは認められない。 イ 次に、相違点5-1について検討する。 (ア) 甲5によれば(前記(1))、甲5発明は、打撃部260の打撃によって掃除対象物を打って、掃除対象物の表面についている微細なほこり及び害虫を打ち落とし、紫外線放射部250の紫外線ランプで殺菌し、ファン29及びモーター290の動作により発生する吸引力でほこりを除去するものであるところ(【0044】、【0057】)、甲5には、紫外線放射部250の紫外線ランプで殺菌することに代えて、加熱された空気を通風孔244から掃除対象物に吹き付けることについて記載、示唆はない。通風孔244から排出される空気がモーター290により加熱されるとしても、紫外線放射部250を備えることが前提のものであるから、これに代える理由は特段認められない。 ところで、甲2発明は熱風を吹き付けるものであるが、夜具の乾燥を目的としたものであるから(甲2[58](【0058】))、甲5発明の殺菌するための手段として甲2発明の構成を採用する理由は特段なく、甲5発明において、さらに甲2発明の構成を採用する理由も特段ない。 既に述べたとおり(前記第5・3(4)イ(ア))、甲2発明において、底面空気排出口54を、真空掃除機本体の下部を構成するような部材の後側部分の錐面に配置することの動機付けは特段認められない上、阻害要因が認められるから、仮に、甲5発明の通風孔244に、甲2発明の底面空気排出口54に係る事項を適用するとしても、その場合に、通風孔244を、殺菌装置本体の下部の後側部分である第2フィルター部240の曲面に配置するものとは認められない。 甲3~4についてみても、甲3~4の排気に係る構造の目的は異なるものである(前記2(1)、前記3(1))。 甲6~7をみても同様で、甲4、6~7に本件発明の外部排出口に類する構造が記載され、周知の技術であるとしても、甲5発明において、ファン29及びモーター290により、吸引された空気を加熱し、加熱された空気を通風孔244から洗浄対象物へ吹き付けること、通風孔244から掃除対象物へ向かって空気を排出することについて、動機付けられるものとは認められない。 そうすると、甲5発明において、前記相違点5-1に係る構成とすることは、当業者が容易に想到できたものとは認められない。 (イ) 以上のとおりであるから、その余の事項を検討するまでもなく、本件発明1は、甲5発明及び甲2~4、6~7に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとは認められない。 本件発明1を引用する本件発明2も、同様の理由により、甲5発明及び甲2~4、6~7に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとは認められない。 5 明確性について 異議申立ての具体的な理由は、請求項1の「上記外部排出口は、上記吸込口が掃除対象物に近接対向した状態で、上記掃除対象物との間に空間を隔てて対向する底面に配置され」との記載における「空間」は、図20に示す、仕切壁、リブ等により形成される密閉状の空間であるのか、図5に示す密閉していない空間であるのか、密閉状の空間及び密閉されていない空間の両方を含む空間であるのかが不明瞭であるから、請求項1、2に係る発明は明確でないというものである。 この点について検討すると、本件訂正後の請求項1には、「上記外部排出口が配置される上記底面は、掃除機本体の下部の下部基体の後側部分の錐面であり、上記空間は、上記掃除対象物と上記錐面との間に形成され」と記載されており、上記「空間」が、掃除対象物と、掃除機本体の下部の下部基体の後側部分の錐面との間に形成された空間であることは明らかである。また、請求項1、2におけるその他の記載においても、特許を受けようとする発明が明確である。 したがって、請求項1、2に係る発明は明確である。 第7 むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議の申立ての理由によっては、本件の請求項1、2に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件の請求項1、2に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2022-700059

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