特許異議申立
2024-700512
電気掃除機
- 審判番号
- 2024-700512
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2021-149793
- 登録番号
- 7393804
- 請求日
- 2024年05月31日
- 審決日
- 2025年11月28日
- 公報発行日
- 2026年05月29日
- 結論
- 請求成立(取消)
- 当事者
- 【権利者】アイリスオーヤマ株式会社
- 【権利者代理人】▲崎▼山 博教
- 【異議申立人】▲徳▼田 久子
- 審判長/審判官
- 審判長 川口 真一
- 審判官 窪田 治彦
- 審判官 関口 哲生
- 分類
- P1652.113-ZAA(A47L) / P1652.121-ZAA(A47L)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7393804号発明「電気掃除機」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7393804号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~10〕について訂正することを認める。
特許第7393804号の請求項1、4~10に係る特許を取り消す。
理由
理 由
第1 手続の経緯の概略
1 特許第7393804号の請求項1~10に係る特許(以下「本件特許」という。)についての手続の概略は、概ね、次のとおりである。
令和 3年 9月14日 出願
令和 5年11月29日 特許権の設定登録
令和 5年12月 7日 特許掲載公報
令和 6年 5月31日 特許異議申立人▲徳▼田久子による請求項
1、4~10に係る特許に対する特許異議の
申立て
令和 6年 8月30日付け 取消理由通知書
令和 6年10月31日 特許権者による意見書及び訂正請求書の提
出
令和 7年 1月15日付け 通知書(訂正請求があった旨の通知)
令和 7年 2月21日 特許異議申立人による意見書の提出
令和 7年 3月14日付け 訂正拒絶理由通知書
令和 7年 5月26日付け 取消理由通知書(決定の予告)
令和 7年 7月25日 特許権者による意見書及び訂正請求書の提
出
令和 7年 9月 3日付け 通知書(訂正請求があった旨の通知)
令和 7年10月 6日 特許異議申立人による意見書の提出
2 以下、令和7年7月25日付け訂正請求書を「本件訂正請求書」といい、本件訂正請求書に係る訂正を「本件訂正」という。先の令和6年10月31日にされた訂正の請求は、特許法120条の5第7項の規定により取下げられたものとみなす。
なお、令和7年3月14日付け訂正拒絶理由通知に対して、指定期間内に特許権者から応答はなかった。
第2 本件訂正の適否
1 本件訂正の内容
本件訂正の請求は、特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~10について訂正を求めるものであって、本件訂正請求書及び訂正特許請求の範囲の記載を総合すると、訂正内容は次のとおりであると認める(下線は訂正箇所を示す。)。
(1) 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に、
「電動送風機を有する掃除機本体と、
前記掃除機本体に着脱可能な集塵装置と、を備え、
前記集塵装置は、
流入口、及び軸線方向一方側に設けられた開口部を備えた外筒と、
前記外筒の内部に配される構造体と、
前記外筒、及び前記構造体の間に形成される集塵空間と、を有し、
前記構造体は、
前記軸線方向一方側から他方側に向かうにつれて外形が小さくなるように形成されたテーパー部を有し、
前記構造体は、
前記テーパー部を、前記集塵空間から排気するための集塵空間排気部として備えた内筒と、
前記内筒から前記軸線方向他方側に延びる延出部と、を有し、
前記集塵装置は、前記内筒と前記外筒との間において、前記軸線方向の一方側から他方側に向かうに連れて、気流の旋回方向上流側の位置から前記流入口に向けて近づくよう延びる第一ガイド部を備えること、を特徴とする電気掃除機。」
と記載されているのを、
「電動送風機を有する掃除機本体と、
前記掃除機本体において電動送風機収容部の下方側の位置に着脱可能な集塵装置と、を備え、
前記集塵装置は、
周部に設けられた流入口、軸線方向一方側に設けられた開口部、及び軸線方向他方側に設けられた外筒底部を備えた有底筒状の外筒と、
前記外筒の内部に配される構造体と、
前記外筒に前記構造体を挿入し前記外筒、及び前記構造体の間に形成される集塵空間と、を有し、
前記構造体は、
前記軸線方向一方側から他方側に向かうにつれて外形が小さくなるように形成されたテーパー部を有し、
前記構造体は、
前記テーパー部を、前記集塵空間から排気するための集塵空間排気部として備えた内筒と、
前記内筒から前記軸線方向他方側に延びる筒形状の延出部と、を有し、
前記集塵装置は、前記内筒と前記外筒との間において、前記軸線方向の一方側から他方側に向かうに連れて、気流の旋回方向上流側の位置から前記流入口に向けて近づくよう延びる第一ガイド部を備えており、
前記集塵装置は、前記流入口から前記集塵空間に流入する気流を案内する第二ガイド部を有し、
前記第二ガイド部は、前記内筒と外筒との間において、前記軸線方向と交差する方向に延びるように前記第一ガイド部に連結して設けられており、
前記第一ガイド部と第二ガイド部とは、前記テーパー部の外周部にリブ状に設けられており、
前記テーパー部は、前記軸線方向の一方側における大径部の外径部が、前記外筒の内径と略一致するように形成されており、
前記テーパー部の大径部の外周面に周溝が設けられ、当該周溝に気密部材が装着されることで、前記テーパー部と前記外筒の内周面との間が封止されること、を特徴とする電気掃除機。」
に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項5、6、8~10も同様に訂正する)。
(2) 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2に、
「前記外筒は、前記軸線方向他方側に底をなす外筒底部を有するものであり、
前記延出部は、前記軸線方向の他方側の端部が、前記集塵空間の内部において前記外筒底部から離間していること、を特徴とする請求項1に記載の電気掃除機。」
と記載されているのを、
「電動送風機を有する掃除機本体と、
前記掃除機本体に着脱可能な集塵装置と、を備え、
前記集塵装置は、
流入口、及び軸線方向一方側に設けられた開口部を備えた外筒と、
前記外筒の内部に配される構造体と、
前記外筒、及び前記構造体の間に形成される集塵空間と、を有し、
前記構造体は、
前記軸線方向一方側から他方側に向かうにつれて外形が小さくなるように形成されたテーパー部を有し、
前記構造体は、
前記テーパー部を、前記集塵空間から排気するための集塵空間排気部として備えた内筒と、
前記内筒から前記軸線方向他方側に延びる延出部と、を有し、
前記集塵装置は、前記内筒と前記外筒との間において、前記軸線方向の一方側から他方側に向かうに連れて、気流の旋回方向上流側の位置から前記流入口に向けて近づくよう延びる第一ガイド部を備えており、
前記外筒は、前記軸線方向他方側に底をなす外筒底部を有するものであり、
前記延出部は、前記軸線方向の他方側の端部が、前記集塵空間の内部において前記外筒底部から離間していること、を特徴とする電気掃除機。」
に訂正する(請求項2の記載を引用する請求項4~10も同様に訂正する)。
(3) 訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3に、
「前記内筒は、前記軸線方向の他方側の端部が閉塞されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の電気掃除機。」
と記載されているのを、
「電動送風機を有する掃除機本体と、
前記掃除機本体に着脱可能な集塵装置と、を備え、
前記集塵装置は、
流入口、及び軸線方向一方側に設けられた開口部を備えた外筒と、
前記外筒の内部に配される構造体と、
前記外筒、及び前記構造体の間に形成される集塵空間と、を有し、
前記構造体は、
前記軸線方向一方側から他方側に向かうにつれて外形が小さくなるように形成されたテーパー部を有し、
前記構造体は、
前記テーパー部を、前記集塵空間から排気するための集塵空間排気部として備えた内筒と、
前記内筒から前記軸線方向他方側に延びる延出部と、を有し、
前記集塵装置は、前記内筒と前記外筒との間において、前記軸線方向の一方側から他方側に向かうに連れて、気流の旋回方向上流側の位置から前記流入口に向けて近づくよう延びる第一ガイド部を備えており、
前記内筒は、前記軸線方向の他方側の端部が閉塞されていることを特徴とする電気掃除機。」
に訂正する(請求項3の記載を引用する請求項4~10も同様に訂正する)。
(4) 訂正事項4
特許請求の範囲の請求項4に、
「前記集塵装置は、前記流入口から前記集塵空間に流入する気流を案内する第二ガイド部を有し、
前記第二ガイド部は、前記内筒と外筒との間において、前記軸線方向と交差する方向に延びるように設けられていること、を特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の電気掃除機。」
と記載されているのを、
「前記集塵装置は、前記流入口から前記集塵空間に流入する気流を案内する第二ガイド部を有し、
前記第二ガイド部は、前記内筒と外筒との間において、前記軸線方向と交差する方向に延びるように設けられていること、を特徴とする 請求項2又は3に記載の電気掃除機。」
に訂正する(請求項4の記載を引用する請求項5、6、8~10も同様に訂正する)。
(5) 訂正事項5
特許請求の範囲の請求項7に、
「前記集塵装置は、前記流入口よりも前記軸線方向の一方側において、前記構造体と前記外筒との間を封止する封止部を有すること、を特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の電気掃除機。」
と記載されているのを、
「前記集塵装置は、前記流入口よりも前記軸線方向の一方側において、前記構造体と前記外筒との間を封止する封止部を有すること、を特徴とする請求項2又は3に記載の電気掃除機。」
に訂正する(請求項7の記載を引用する請求項8、9も同様に訂正する)。
(6) 本件訂正(訂正事項1~5)は、訂正前の請求項〔1~10〕という一群の請求項ごとに請求されたものである。
2 本件訂正の適否について
(1) 訂正事項1について
ア 訂正の目的
訂正事項1は、本件訂正前の請求項1について、
(ア) 「集塵装置」が「前記掃除機本体において電動送風機収容部の下方側の位置に着脱可能」であること、
(イ) 「流入口」が「周部に設けられた」ものであること、
(ウ) 「外筒」が「軸線方向他方側に設けられた外筒底部を備えた有底筒状」であること、
(エ) 「集塵空間」が「前記外筒に前記構造体を挿入し前記外筒、及び前記構造体の間に形成される」こと、
(オ) 「延出部」が「筒形状」であること、
(カ) 「集塵装置」が「前記流入口から前記集塵空間に流入する気流を案内する第二ガイド部を有し」、「前記第二ガイド部は、前記内筒と外筒との間において、前記軸線方向と交差する方向に延びるように前記第一ガイド部に連結して設けられており」、「前記第一ガイド部と第二ガイド部とは、前記テーパー部の外周部にリブ状に設けられて」いること、
(キ) 「テーパー部」が「前記軸線方向の一方側における大径部の外径部が、前記外筒の内径と略一致するように形成されており」、「前記テーパー部の大径部の外周面に周溝が設けられ、当該周溝に気密部材が装着されることで、前記テーパー部と前記外筒の内周面との間が封止される」こと
を特定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項1は、発明を特定する事項をより具体的に限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件特許明細書等」という。)には、以下の点が記載されている(下線は、当審にて付与した。)。
(前記ア(ア)について)
・「集塵部50は、掃除機本体10において電動送風機収容部34の下方側の位置に着脱可能とされている。」(【0021】)
(前記ア(イ)、(ウ)について)
・「外筒52は、軸線方向一方側(図示例では上方側)に開口部52aを有し、軸線方向他方側(図示例では下方側)に外筒底部52cを有する有底筒状のものとされている。…また、外筒52は、周部に集塵部流入口52b(流入口)を有する。」(【0022】)
(前記ア(エ)について)
・「図4等に示すように、集塵部50は、外筒52(ダストカップ)、及び構造体54を有し、これらの間に集塵空間56が形成されたものである。」(【0021】)
・「図4や図6に示すように、構造体54は、外筒52の内部に配される部材である。構造体54は、外筒52との間に空気が流入する集塵空間56を構成する部材である。」(【0024】)
・「第一ガイド部74は、テーパー部70や延出部72を外筒底部52c側に向けた姿勢として構造体54を外筒52に挿入した状態において、外筒52と第一内筒60との間に配される。」(【0032】)
(前記ア(オ)について)
・「これにより、延出部72は、上端側が閉塞部70aによって閉塞され、下端側において開口した筒状の形状とされている。…延出部72は、筒形状である。延出部72は、上端から下端に亘って同一の外形寸法を有する筒形状であるか、上端から下端に向けて外形が小さくなるテーパー状の筒形状であることが好ましい。」(【0029】)
(前記ア(カ)について)
・「前記集塵装置は、前記流入口から前記集塵空間に流入する気流を案内する第二ガイド部を有し、
前記第二ガイド部は、前記内筒と外筒との間において、前記軸線方向と交差する方向に延びるように設けられていること、を特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の電気掃除機。」(【請求項4】)
・「図4や図7、図8等に示すように、第一内筒60は、テーパー部70、好ましくは延出部72を備えている。また、第一内筒60は、テーパー部70の外周部に第一ガイド部74、及び第二ガイド部76を備え、必須の構成ではないがテーパー部70の内周部に第三ガイド部78を備えたものとされている。」(【0025】)
・「図7や図8に示すように、第一ガイド部74は、テーパー部70の外周側に設けられたリブ状の部分であり、外筒52の内周面に当接している。」(【0032】)
・「第二ガイド部76は、第一ガイド部74と同様に、テーパー部70の外周側に設けられたリブ状の部分である。第二ガイド部76は、集塵部流入口52bから集塵空間56に流入する気流を案内するためのガイド部材として機能するリブである。第二ガイド部76は、外筒52と第一内筒60との間において、軸線方向と交差し、旋回方向に沿って延びるように形成されている。第二ガイド部76は、上述した第一ガイド部74の終端部と連結されている。」(【0033】)
・「(6)本実施形態における上述の(2)~(5)いずれかの電気掃除機1は、集塵部50が、集塵部流入口52bから集塵空間56に流入する気流を案内する第二ガイド部76を有し、第二ガイド部76が、第一内筒60と外筒52との間において、軸線方向と交差する方向に延びるように設けられていることを特徴とするものである。」(【0059】)
・「(16)本実施形態の電気掃除機1は、第一ガイド部74と第二ガイド部76とが連結していることを特徴とするものである。」(【0082】)
(前記ア(キ)について)
・「図4に示すように、テーパー部70は、軸線方向一方側における大径部70bの外径が、外筒52の内径と略一致するように形成されている。また、大径部70bの外周面には周方向に延びる周溝70cが設けられている。テーパー部70は、周溝70cに装着されたOリング等からなる気密部材(第一気密部材70d)により、外筒52の内周面との間に形成される隙間を封止する第一封止部73を形成できる。」(【0027】)
以上のような本件特許明細書等の記載からすると、本件特許明細書等には、前記ア(ア)~(キ)の点が記載されていると認められる。
そうすると、訂正事項1に係る本件訂正は、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであって、新規事項を追加するものではない。
エ 特許出願の際に独立して特許を受けることができること
本件においては、本件訂正前の請求項1、5、6、8~10について特許異議の申立てがされているので、本件訂正前の請求項1に係る訂正事項1に関して、独立特許要件は課されない。
(2) 訂正事項2について
ア 訂正の目的
訂正事項2は、本件訂正前の請求項2について、請求項1を引用するものから独立形式に改めるものであるから、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項2は、請求項1を引用するものから独立形式に改めるものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項2は、請求項1を引用するものから独立形式に改めるものであるから、訂正事項2に係る本件訂正は、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであって、新規事項を追加するものではない。
エ 特許出願の際に独立して特許を受けることができること
訂正事項2は、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものであるから、本件訂正前の請求項2に係る訂正事項2に関して、独立特許要件は課されない。
(3) 訂正事項3について
ア 訂正の目的
訂正事項3は、本件訂正前の請求項3について、請求項1又は請求項2を引用するものから、請求項2を引用しないものとして引用する請求項を削減するとともに、請求項1を引用するものから独立形式に改めるものであるから、特許請求の範囲の減縮及び他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項3は、引用する請求項を削減するとともに、独立形式に改めるものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項3は、引用する請求項を削減するとともに、独立形式に改めるものであるから、訂正事項3に係る本件訂正は、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであって、新規事項を追加するものではない。
エ 特許出願の際に独立して特許を受けることができること
(ア) 訂正事項3は、特許請求の範囲の減縮も目的とするものであり、本件訂正前の請求項3は特許異議の申立てがされていない請求項であるから、本件訂正後の請求項3に係る発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものでなくてはならない(特許法120条の5第9項において準用する同法126条7項)。
(イ) そこで、本件訂正後の請求項3に係る発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かについて検討する。
まず、後記のとおり、甲第4号証~甲第7号証(第4・3)には、内筒における軸線方向の他方側の端部が閉塞されている点について記載がないから(第5・1~4)、本件訂正後の請求項3に係る発明は、甲第4号証~甲第7号証に記載された発明に該当するとは認められない。
そして、甲第4号証~甲第7号証に発明において、内筒における軸線方向の他方側の端部を閉塞することは、当業者が容易に想到することができたものとは認められないから、本件訂正後の請求項3に係る発明は、甲第4号証~甲第7号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとは認められない。
その他、本件訂正後の請求項3に係る発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものではないとする理由は特段認められない。
そうすると、本件訂正後の請求項3に係る発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであると認められる。
(4) 訂正事項4について
ア 訂正の目的
訂正事項4は、本件訂正前の請求項4について、請求項1~3を引用するものから、請求項1を引用しないものとして引用する請求項を削減するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項4は、引用する請求項を削減するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項4は、引用する請求項を削減するものであるから、訂正事項4に係る本件訂正は、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであって、新規事項を追加するものではない。
エ 特許出願の際に独立して特許を受けることができること
本件においては、本件訂正前の請求項4~6、8~10について特許異議の申立てがされているので、本件訂正前の請求項4に係る訂正事項4に関して、独立特許要件は課されない。
(5) 訂正事項5について
ア 訂正の目的
訂正事項5は、本件訂正前の請求項7について、請求項1~6を引用するものから、請求項1、4~6を引用しないものとして引用する請求項を削減するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項5は、引用する請求項を削減するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項5は、引用する請求項を削減するものであるから、訂正事項5に係る本件訂正は、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであって、新規事項を追加するものではない。
エ 特許出願の際に独立して特許を受けることができること
本件においては、本件訂正前の請求項7~9について特許異議の申立てがされているので、本件訂正前の請求項7に係る訂正事項5に関して、独立特許要件は課されない。
(6) まとめ
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号及び4号に掲げる事項を目的とするものであって、同条4項、同条9項において準用する同法126条4~7項の規定に適合するので、訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~10〕について訂正することを認める。
第3 本件発明
前記第2のとおり、本件訂正は認められたから、本件特許の特許請求の範囲は、次のとおりである。
そして、請求項1、4~10に係る発明は、特許請求の範囲の請求項1~10に記載された事項により特定されるとおりのものである。以下、請求項1、4~10に係る発明を請求項の番号に従って「本件発明1」などという。
「【請求項1】
電動送風機を有する掃除機本体と、
前記掃除機本体において電動送風機収容部の下方側の位置に着脱可能な集塵装置と、を備え、
前記集塵装置は、
周部に設けられた流入口、軸線方向一方側に設けられた開口部、及び軸線方向他方側に設けられた外筒底部を備えた有底筒状の外筒と、
前記外筒の内部に配される構造体と、
前記外筒に前記構造体を挿入し前記外筒、及び前記構造体の間に形成される集塵空間と、を有し、
前記構造体は、
前記軸線方向一方側から他方側に向かうにつれて外形が小さくなるように形成されたテーパー部を有し、
前記構造体は、
前記テーパー部を、前記集塵空間から排気するための集塵空間排気部として備えた内筒と、
前記内筒から前記軸線方向他方側に延びる筒形状の延出部と、を有し、
前記集塵装置は、前記内筒と前記外筒との間において、前記軸線方向の一方側から他方側に向かうに連れて、気流の旋回方向上流側の位置から前記流入口に向けて近づくよう延びる第一ガイド部を備えており、
前記集塵装置は、前記流入口から前記集塵空間に流入する気流を案内する第二ガイド部を有し、
前記第二ガイド部は、前記内筒と外筒との間において、前記軸線方向と交差する方向に延びるように前記第一ガイド部に連結して設けられており、
前記第一ガイド部と第二ガイド部とは、前記テーパー部の外周部にリブ状に設けられており、
前記テーパー部は、前記軸線方向の一方側における大径部の外径部が、前記外筒の内径と略一致するように形成されており、
前記テーパー部の大径部の外周面に周溝が設けられ、当該周溝に気密部材が装着されることで、前記テーパー部と前記外筒の内周面との間が封止されること、を特徴とする電気掃除機。
【請求項2】
電動送風機を有する掃除機本体と、
前記掃除機本体に着脱可能な集塵装置と、を備え、
前記集塵装置は、
流入口、及び軸線方向一方側に設けられた開口部を備えた外筒と、
前記外筒の内部に配される構造体と、
前記外筒、及び前記構造体の間に形成される集塵空間と、を有し、
前記構造体は、
前記軸線方向一方側から他方側に向かうにつれて外形が小さくなるように形成されたテーパー部を有し、
前記構造体は、
前記テーパー部を、前記集塵空間から排気するための集塵空間排気部として備えた内筒と、
前記内筒から前記軸線方向他方側に延びる延出部と、を有し、
前記集塵装置は、前記内筒と前記外筒との間において、前記軸線方向の一方側から他方側に向かうに連れて、気流の旋回方向上流側の位置から前記流入口に向けて近づくよう延びる第一ガイド部を備えており、
前記外筒は、前記軸線方向他方側に底をなす外筒底部を有するものであり、
前記延出部は、前記軸線方向の他方側の端部が、前記集塵空間の内部において前記外筒底部から離間していること、を特徴とする電気掃除機。
【請求項3】
電動送風機を有する掃除機本体と、
前記掃除機本体に着脱可能な集塵装置と、を備え、
前記集塵装置は、
流入口、及び軸線方向一方側に設けられた開口部を備えた外筒と、
前記外筒の内部に配される構造体と、
前記外筒、及び前記構造体の間に形成される集塵空間と、を有し、
前記構造体は、
前記軸線方向一方側から他方側に向かうにつれて外形が小さくなるように形成されたテーパー部を有し、
前記構造体は、
前記テーパー部を、前記集塵空間から排気するための集塵空間排気部として備えた内筒と、
前記内筒から前記軸線方向他方側に延びる延出部と、を有し、
前記集塵装置は、前記内筒と前記外筒との間において、前記軸線方向の一方側から他方側に向かうに連れて、気流の旋回方向上流側の位置から前記流入口に向けて近づくよう延びる第一ガイド部を備えており、
前記内筒は、前記軸線方向の他方側の端部が閉塞されていることを特徴とする電気掃除機。
【請求項4】
前記集塵装置は、前記流入口から前記集塵空間に流入する気流を案内する第二ガイド部を有し、
前記第二ガイド部は、前記内筒と外筒との間において、前記軸線方向と交差する方向に延びるように設けられていること、を特徴とする請求項2又は3に記載の電気掃除機。
【請求項5】
前記構造体は、
前記軸線方向の一方側に配される一側筒部を含み、
前記内筒が前記一側筒部に接続されていること、を特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の電気掃除機。
【請求項6】
前記構造体は、
前記軸線方向の一方側に配される一側筒部を含み、
前記集塵空間の外部に空気を流出させるための気流流出部を有し、前記内筒の内部において前記軸線方向に延びるように配される接続体を有し、
前記内筒と前記接続体とが接続されていること、を特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の電気掃除機。
【請求項7】
前記集塵装置は、前記流入口よりも前記軸線方向の一方側において、前記構造体と前記外筒との間を封止する封止部を有すること、を特徴とする請求項2又は3に記載の電気掃除機。
【請求項8】
前記テーパー部は、メッシュ部材が配されていること、を特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の電気掃除機。
【請求項9】
前記メッシュ部材は、樹脂材料、金属材料又はこれらの組み合わせによって構成されていることを特徴とする、請求項8に記載の電気掃除機。
【請求項10】
前記気流流出部は、金属材料、樹脂材料又はこれらの組み合わせで構成される壁部に、複数の孔が形成されたものであること、を特徴とする請求項6に記載の電気掃除機。」
第4 取消理由
本件発明1、4~10に係る特許に対し通知した取消理由(決定の予告)は、概ね、次のとおりである。
1 本件発明1、4~10は、甲4に記載された発明、甲1、5に記載された事項及び周知の技術に基いて、又は甲5に記載された発明、甲1に記載された事項及び周知の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明1、4~10に係る特許は特許法29条2項の規定に違反してされたものであり、同法113条2号に該当し、取り消されるべきものである。
2 本件発明1、4、5、7、8は、甲6、7に記載された発明であり、特許法29条1項3号に該当するから、請求項1、4、5、7、8に係る特許は、特許法29条1項の規定に違反してされたものであり、同法113条2号に該当し、取り消されるべきものである。
また、本件発明1、4、5、7、8は、甲6に記載された発明に基いて、又は甲7に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、本件発明9は、甲6に記載された発明及び周知の技術に基いて、又は甲7に記載された発明及び周知の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1、4、5、7~9に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものであり、同法113条2号に該当し、取り消されるべきものである。
3 証拠方法
特許異議申立人が提出した証拠方法は以下のとおりである。なお、以下、証拠番号に従い、「甲1」などという。
甲1:中国実用新案第202355352号明細書
甲2:特開2017-129111号公報
甲3:中国特許出願公開第111358335号明細書
甲4:中国実用新案第202477550号明細書
甲5:特開2021-106861号公報
甲6:特開2002-209814号公報
甲7:特開2004-8576号公報
第5 取消理由について
1 甲4に基づく検討
(1) 甲4に記載された発明
ア 甲4には、以下の事項が記載されている(下線は当審にて付与した。以下同様。)。
なお、訳は特許異議申立人提出の訳文による。
・「
[図:0001435155000001.jpg]
」
(1.機械式分離装置と、前記機械式分離装置の下流に設置された少なくとも1つのサイクロン式分離装置とを備え、前記機披式分離装置は底端が密閉されるとともに内部空間を有する分離集塵バケットを備え、前記分離集塵バケットに塵埃入口及び第1排気口が開設された真空掃除機において、前記分離集塵バケットの前記内部空間内に貫通孔を有する仕切り板が設置され、前記仕切り板は前記内部空間を上チャンバと下チャンバに仕切り、前記仕切り板と前記分離集塵バケットの前記底端とは前記下チャンバを形成し、前記上チャンバと前記下チャンバとは前記貫通孔を介して連通し、前記塵埃入口は前記分離集塵バケットにおける前記仕切り板の上方に位置する周方向側壁に開設され、前記下チャンバ内に複数のバッフル板が設置されたことを特徴とする真空掃除機。
2.前記分離集塵バケットは両端が開放されるとともに内部空間を有するバケット本体を備え、前記バケット本体の底部に1つの底蓋が取り外し可能に接続するように設置され、前記仕切り板と前記底蓋の間に前記下チャンバが形成されたことを特徴とする請求項1に記載の真空掃除機。)
・「
[図:0001435155000002.jpg]
」
(8.前記メッシュフィルタの外側壁に第1ガイドリブが固定接続するように設置され、前記第1ガイドリブは前記メッシュフィルタの軸方向に沿って延伸し且つ前記メッシュフィルタの周方向に沿って折れ曲がり、前記第1ガイドリブは前記分離集塵バケットの内壁に密着するように設置され、前記塵埃入口は前記第1ガイドリブの内側に対向して設置され、前記メッシュフィルタの外側壁にさらに第2ガイドリブが固定接続するように設置され、前記第2ガイドリブは前記第1ガイドリブの外側に傾斜して設置され、前記第2ガイドリブの傾斜方向は前記塵埃入口から前記分離集塵バケットの前記内部空間に進入した塵埃含有気流の旋回方向と一致することを特徴とする請求項7に記載の真空掃除機。
9.前記メッシュフィルタの軸方向に対する前記第2ガイドリブの傾斜角度が45゜~60゜であることを特徴とする請求項8に記載の真空掃除機。)
・「
[図:0001435155000003.jpg]
[図:0001435155000004.jpg]
」
([0022] 図1~3に示すように、真空掃除機は機械式分離装置1を備える。当該機械式分離装置1は、底端が密閉されるとともに内部空間を有する分離集塵バケット11を備える。分離集塵バケット11の周方向側壁には、バケット内部空間と連通する塵埃入口12が開設されている。分離集塵バケット11の頂端には、第1排気口110が開設されている。塵埃含有気流は、塵埃入口12から分離集塵バケット11の内部空間に進入して、サイクロン分離された後に第1排気口110から流出する。分離集塵バケット11は、両端が開放されるとともに内部空間を有するバケット本体と、その底部に取り外し可能に接続された底蓋16とを備える。底蓋16は、上記バケット本体に密封接続されている。分離集塵バケット11の内部空間には、仕切り板13が設置されている。仕切り板13は塵埃入口12の下方に位置している。仕切り板13は、当該分離集塵バケット11の内部空間を、上チャンバと下チャンバの2つの部分に仕切っている。そのうち、分離集塵バケット11の底端と仕切り板13の間に形成された部分が、下チャンバである。即ち、底蓋16と仕切り板13の間の部分が、下チャンバである。つまり、当該下チャンバは当該機械式分離装置1の集塵室である。仕切り板13の上表面は、下に向かって広がるテーパ面である。仕切り板13には、複数の貫通孔14が開設されている。上チャンバと下チャンバとは、貫通孔14を介して連通している。ここで、貫通孔14は2つある。この2つの貫通孔14は、仕切り板13と分離集塵バケット11の内壁とが接触する箇所に位置している。下チャンバには、複数のバッフル板15がさらに設置されている。この複数のバッフル板15は、分離集塵バケット11の周方向側壁に設置されてもよいし、底蓋16の上表面に設置されてもよい。これにより、塵埃含有気流は、塵埃入口12を通って分離集塵バケット11の内部空間に進入した後、先ず分離集塵バケット11の上部で旋回し、そして、仕切り板13の場所まで旋回すると、1つの貫通孔14がある場所から下チャンバに流入する。塵埃含有気流は、下チャンバに進入すると、下チャンバ内で下に向かって旋回し続け、そして、バッフル板15に衝突すると、すぐに失速する。塵埃含有気流中の塵埃は、激しい衝突によって失速させられてすぐに落ち始め、下チャンバの底部まで落下する。仕切り板13は、分離集塵バケット11の第1排気口110が有する中心吸引力を遮断する。そのため、塵埃含有気流は、仕切り板13の下方に位置する下チャンバに進入した後、中心吸引動力を喪失する。そして、当該塵埃含有気流は、バッフル板15と衝突することで、旋回又は揺動の運動エネルギーも喪失し、その結果、下チャンバ内はすぐに静かになる。気流中の塵埃も、衝突による失速及び自身の重力等の原因で、すぐに下チャンバの底部に落下するとともに、再び動かされ易くなくなる。このようにして、塵埃含有気流は当該機械式分離装置1内で機械式の分離が行われ、質量が相対的に大きい塵埃が分離され、且つ分離された塵埃は当該下チャンバ内で制御される。下チャンバ内の空間が限られているため、下チャンバに進入した気流は、逆方向に、即ち、上に向かって流動して、機械式分離が行われた後の塵埃含有気流は、もう1つの貫通孔14から吸引されて分離集塵バケット11の上チャンバに戻る。)
・「
[図:0001435155000005.jpg]
」
([0023] 図1~3に示すように、本実施例では、分離集塵バケット11の内部空間における第1排気口110の上流に、メッシュフィルタ17が設置されている。当該メッシュフィルタ17は円柱形を呈し、且つ当該メッシュフィルタ17は分離集塵バケット11と同軸に設置されている。塵埃含有気流は、分離集塵バケット11の内部空間において機械的に分離された後にメッシュフィルタ17を通過して濾過されて第1排気口110において機械式分離装置1から流出する。メッシュフィルタ17の外側壁には、第1ガイドリブ18が固定接続するように設置されている。第1ガイドリブ18はメッシュフィルタ17の軸方向に沿って延伸し且つメッシュフィルタ17の周方向に沿って折れ曲がり、当該第1ガイドリブ18は分離集塵バケット11の内壁に密着するように設置され、且つ塵埃入口12は第1ガイドリブ18の内側に対向して設置されている。即ち、塵埃入口12は第1ガイドリブ18が折れ曲がって形成された辺部の内側に設置されることとなり、これにより、分離集塵バケット11の内部空間は、塵埃入口12において隔てられることになる。塵埃含有気流は、塵埃入口12から分離集塵バケット11の内部空間に進入するときには、塞がれていない一端のみから進入することが可能であり、進入後にさらに分離集塵バケット11において一方向に旋回することにより、塵埃含有気流が分離集塵バケット11に進入した後にその内部空間においてあちこちに分散することを回避している。メッシュフィルタ17の外側壁にはさらに第2ガイドリブ19が固定接続するように設置されている。当該第2ガイドリブ19は、第1ガイドリブ18の外側に傾斜して設置されている。第2ガイドリブ19の傾斜方向は、塵埃入口12から分離集塵バケット11の内部空間に進入した塵埃含有気流の旋回方向と一致しており、メッシュフィルタ17の軸方向に対する第2ガイドリブ19の傾斜角度は45°~60゜である。このように設置することで、塵埃含有気流は分離集塵バケット11の内部空間において一方向に旋回する。そして、当該気流は、第2ガイドリブ19の位置まで旋回したときに、第2ガイドリブ19の傾斜方向に沿って徐々に下に向かって進み、これにより、速やかに仕切り板13の上表面に到達し且つ貫通孔14から下チャンバに進入して、機械式分離装置1の塵埃分離効率を向上させる。)
・「
[図:0001435155000006.jpg]
」
([0024] 図1~3に示すように、本実施例では、当該真空掃除機は機械式分離装置1の下流に位置するサイクロン式分離装置2をさらに備える。当該サイクロン式分離装置2は、1つ又は複数の並列に設置されたサイクロンバケット21を備える。サイクロンバケット21は、分離集塵バケット11と気流が連通してするように設置されている。ここでは、5つ設置されている。この5つのサイクロンバケット21の軸心線は、互いに平行である。サイクロンバケット21の上流と第1排気口110の下流の間には、分離集塵バケット11及びサイクロンバケット21と気流が連通する吸気分配器22がさらに設置されている。当該吸気分配器は、第1排気口110からサイクロン式分離装置2内に向かって流れる塵埃含有気流を、複数個に分けることができ、その個数はサイクロンバケット21の個数と同一である。サイクロン式分離装置2の底部には、下チャンバと連通可能な1つのコアバケット23がさらに設置されている。コアバケット23の上端部及び下端部は、それぞれサイクロン式分離装置1の底部及び分離集塵バケット11の底部と密封接続するように設置されている。これにより、塵埃含有気流がサイクロンバケット21内でサイクロン分離された後に、塵埃は当該コアバケット23を通って底部に落下する。つまり、コアバケット23の底部はサイクロン式分離装置2の集塵室である。)
・「
[図:0001435155000007.jpg]
[図:0001435155000008.jpg]
」
([0026] 塵埃含有気流は、塵埃入口12から分離集塵バケット11の内部空間に進入して分離集塵バケット11の内部空間において特定の方向に旋回し、そして、第2ガイドリブ19のガイドの下、速やかに下に向かって仕切り板13の上表面まで進む。当該塵埃含有気流は、仕切り板13の上表面に沿って旋回して1つの貫通孔14から下チャンバに進入する。設計時に仕切り板13と塵埃入口12の距離を比較的小さくしているので、分離集塵バケット11の内部空間に進入した塵埃含有気流は速やかに仕切り板13に到達できる。これにより、速やかに貫通孔14を通って下チャンバに進入して、気流が上チャンバ内で旋回し続けることを回避する。これにより、当該気流が中心吸引力によってサイクロン式分離装置に吸引されてその負担が加重され、最終的に掃除機全体の吸引力が不足して掃除機の吸塵効果に影響を与えることを回避する。従って、塵埃含有気流は上チャンバ内でしばしば塵埃と空気の分離が全く行われずに下チャンバ内に進入し、塵埃含有気流は下チャンバ内に進入しで慣性によって下に向かって進む。そして、当該気流がバッフル板15に到着したときにバッフル板15と激しく衝突し、塵埃含有気流における塵埃は激しい衝突中に速やかに失速して落下し、下チャンバの底部に落ちる。一方、気流についても、仕切り板13が分離集塵バケットの上チャンバ中心の中心吸引力を遮断したため、当該気流はバッフル板15と激しく衝突した後に慣性旋回力を失い、そのため、下チャンバ内で再び旋回することなく下チャンバ内で相対的に静かな流動状態を保持し、このため、下チャンバ底部の塵埃を旋回させることなく、塵埃は落下した後に静かに下チャンバの底部にとどまる。下チャンバの空間が限られているため、上記気流も徐々にもう1つの貫通孔14から上チャンバに進入する。下チャンバに持ち込まれた塵埃のうちの少量が上チャンバに戻った場合には、メッシュフィルタ17によって濾過された後、さらに第1排気口110から吸気分配器22を経由して複数の気流に分けられ、サイクロン式分離装置2の複数のサイクロンバケット21に向かって流れて、再びサイクロン分離が行われる。分離後の塵埃はコアバケット23の底部に落ち、サイクロンバケット21を経由してサイクロン分離された清潔空気はサイクロンバケット21の頂部に合流して掃除機のトップキャップに開設された排気口から排出される。)
・「
[図:0001435155000009.jpg]
」(図1)
・「
[図:0001435155000010.jpg]
」(図2)
・「
[図:0001435155000011.jpg]
」(図3)
イ 甲4の図1~3において、次の点が見て取れる。
・底部に接続された底蓋16を備えた分離集塵バケット11が、有底筒状を呈している点
・サイクロン式分離装置2の下側の部分(図1において、図番17~19、22が付されている部分)が、分離集塵バケット11の内部に配される点
・サイクロン式分離装置2の下側の部分におけるメッシュフィルタ17が、上側から下側に向かうにつれて外形が小さくなるように形成された部分を有し、内部空間と上チャンバとを連通する小孔を有する点
また、図2、3において、コアバケット23が筒形状を呈している点が見て取れる。
そして、図1、2において、次の点が見て取れる。
・第2ガイドリブ19が、メッシュフィルタ17と分離集塵バケット11との間において、上側から下側に向かうに連れて、気流の旋回方向上流側の位置から塵埃入口12に向けて近づくように延びている点
・第1ガイドリブ18が、メッシュフィルタ17と分離集塵バケット11との間において、メッシュフィルタ17の軸方向に延伸し周方向に沿って折れ曲がるように第2ガイドリブ19に連結して設けられている点
さらに、図1~3において、メッシュフィルタ17における、当該上側から下側に向かうにつれて外形が小さくなるように形成された部分の上側に大径の部分があり、この大径の部分の外径が分離集塵バケット11の内径と略一致するように形成されている点が見て取れる。
そうすると、甲4に記載された事項から、甲4には次の発明(以下「甲4-1発明」という。)が記載されているものと認められる。
(甲4-1発明)
「機械式分離装置1と、サイクロン式分離装置2と、を備え、
前記機械式分離装置1は、周方向側壁に開設された塵埃入口12、頂端に開設された第1排気口110及び底部に接続された底蓋16を備えた有底筒状の分離集塵バケット11と、を有し、
前記分離集塵バケット11の内部に、サイクロン式分離装置2の下側の部分及びコアバケット23と、が配され、
前記分離集塵バケット11と、前記サイクロン式分離装置2の下側の部分及びコアバケット23との間に形成される上チャンバ及び下チャンバと、を有し、
前記サイクロン式分離装置2の下側の部分におけるメッシュフィルタ17は、上側から下側に向かうにつれて外形が小さくなるように形成された部分を有し、前記メッシュフィルタ17の内部空間と前記上チャンバとを連通する小孔が設けられ、
前記コアバケット23は、筒形状であり、前記メッシュフィルタ17から下側に延びており、
前記メッシュフィルタ17と前記分離集塵バケット11との間において、上側から下側に向かうに連れて、気流の旋回方向上流側の位置から前記塵埃入口12に向けて近づくように延びる第2ガイドリブ19を備えており、
前記塵埃入口12から前記上チャンバに流入する気流を案内する第1ガイドリブ18を有し、
前記第1ガイドリブ18は、前記メッシュフィルタ17と分離集塵バケット11との間において、前記メッシュフィルタ17の軸方向に延伸し周方向に沿って折れ曲がるように前記第2ガイドリブ19に連結して設けられており、
前記第2ガイドリブ19と第1ガイドリブ18とは、前記メッシュフィルタ17の外側壁に設置されており、
前記サイクロン式分離装置2の下側の部分は、前記メッシュフィルタ17の上側から下側に向かうにつれて外形が小さくなるように形成された部分の上側の大径の部分の外径が、前記分離集塵バケット11の内径と略一致するように形成されている、真空掃除機」
ウ 甲4には、コアバケット23の上端部及び下端部は、それぞれサイクロン式分離装置2の底部及び分離集塵バケット11の底部と密封接続するように設置され、これにより、塵埃含有気流がサイクロンバケット21内でサイクロン分離された後に、塵埃は当該コアバケット23を通って底部に落下し、コアバケット23の底部がサイクロン式分離装置2の集塵室となっている点([0024])、下チャンバから上チャンバに戻った気流は、メッシュフィルタ17によって濾過され、サイクロンバケット21を経由してサイクロン分離され、分離後の塵埃はコアバケット23の底部に落ち、気流は掃除機のトップキャップに開設された排気口から排出される点が記載されている([0026])。
また、図1~3において、サイクロン式分離装置2の下側の部分のサイクロンバケット21(図3において、上方の部分が直線状で、下方の部分が上側から下側に向かうにつれて外形が小さくなるように形成された部材)が、メッシュフィルタ17の内部において、メッシュフィルタ17の軸線方向に延びるように配されている点が見て取れる。
そうすると、甲4に記載された事項から、甲4には次の発明(以下「甲4-2発明」という。)が記載されているものと認められる。
(甲4-2発明)
「機械式分離装置1と、サイクロン式分離装置2と、を備え、
前記機械式分離装置1は、塵埃入口12、及び頂端に開設された第1排気口110を備えた分離集塵バケット11と、を有し、
前記分離集塵バケット11の内部に、サイクロン式分離装置2の下側の部分及びコアバケット23と、が配され、
前記分離集塵バケット11と、前記サイクロン式分離装置2の下側の部分及びコアバケット23との間に形成される上チャンバ及び下チャンバと、を有し、
前記サイクロン式分離装置2の下側の部分におけるメッシュフィルタ17は、上側から下側に向かうにつれて外形が小さくなるように形成された部分を有し、前記メッシュフィルタ17の内部空間と前記上チャンバとを連通する小孔が設けられ、
前記コアバケット23は、前記メッシュフィルタ17から下側に延びており、
前記メッシュフィルタ17と前記分離集塵バケット11との間において、上側から下側に向かうに連れて、気流の旋回方向上流側の位置から前記塵埃入口12に向けて近づくように延びる第2ガイドリブ19を備えており、
前記分離集塵バケット11は、底部に接続された底蓋16を有するものであり、
前記コアバケット23の下端部は、前記分離集塵バケット11の底部と密封接続するように設置されており、
前記メッシュフィルタ17によって濾過された気流が経由し、分離後の塵埃はコアバケット23の底部に落ち、掃除機のトップキャップに開設された排気口から排出されるように構成され、前記メッシュフィルタ17の内部において前記メッシュフィルタ17の軸線方向に延びるように配されているサイクロンバケット21を有し、
前記塵埃入口12から前記上チャンバに流入する気流を案内する第1ガイドリブ18を有し、
前記第1ガイドリブ18は、前記メッシュフィルタ17と分離集塵バケット11との間において、前記メッシュフィルタ17の軸方向に延伸し周方向に沿って折れ曲がるように設けられている、真空掃除機。」
(2) 対比及び判断
ア 本件発明1について
(ア) 本件発明1と甲4-1発明とを、その有する機能に照らして対比する。
a 甲4-1発明の「機械式分離装置1」と「サイクロン式分離装置2」は、本件発明1の「集塵装置」に相当する。
b 甲4-1発明の「周方向側壁に開設された塵埃入口12」、「頂端に開設された第1排気口110」、「底部に接続された底蓋16」、「有底筒状の分離集塵バケット11」は、それぞれ、本件発明1の「周部に設けられた流入口」、「軸線方向一方側に設けられた開口部」、「軸線方向他方側に設けられた外筒底部」、「有底筒状の外筒」に相当する。
また、甲4-1発明の「サイクロン式分離装置2の下側の部分」及び「コアバケット23」は、「分離集塵バケット11の内部」に配されるものであるから、本件発明1の「前記外筒の内部に配される構造体」に相当し、甲4-1発明の「サイクロン式分離装置2の下側の部分」及び「コアバケット23」は、「分離集塵バケット11の内部」に配されることにより、「前記サイクロン式分離装置2の下側の部分及びコアバケット23との間」に「上チャンバ及び下チャンバ」が形成されることから、甲4-1発明の「上チャンバ及び下チャンバ」は、その位置に照らして、本件発明1の「前記外筒に前記構造体を挿入し前記外筒及び前記構造体の間に形成される集塵空間」に相当する。
c 甲4-1発明の「サイクロン式分離装置2の下側の部分」(構造体)における「メッシュフィルタ17」の「上側から下側に向かうにつれて外形が小さくなるように形成された部分」は、本件発明1の「前記軸線方向一方側から他方側に向かうにつれて外形が小さくなるように形成されたテーパー部」に相当する。
d 甲4-1発明の「メッシュフィルタ17」の「上側から下側に向かうにつれて外形が小さくなるように形成された部分」(テーパー部)は、「メッシュフィルタ17の内部空間と前記上チャンバとを連通する小孔が設けられ」ていることから、その機能に照らして、本件発明1の「前記集塵空間から排気するための集塵空間排気部」に相当し、甲4-1発明の「メッシュフィルタ17」は、本件発明1の「前記テーパー部を、前記集塵空間から排気するための集塵空間排気部として備えた内筒」に相当する。
また、甲4-1発明の「コアバケット23」は、「筒形状であり」、「メッシュフィルタ17」(内筒)から下側に延びていることから、本件発明1の「前記内筒から前記軸線方向他方側に延びる筒形状の延出部」に相当する。
e 甲4-1発明の「第2ガイドリブ19」は、「前記メッシュフィルタ17と前記分離集塵バケット11との間において、上側から下側に向かうに連れて、気流の旋回方向上流側の位置から前記塵埃入口12に向けて近づくように延びる」ものであるから、本件発明1の「前記内筒と前記外筒との間において、前記軸線方向の一方側から他方側に向かうに連れて、気流の旋回方向上流側の位置から前記流入口に向けて近づくよう延びる第一ガイド部」に相当する。
また、甲4-1発明の「第1ガイドリブ18」は、「前記塵埃入口12から前記上チャンバに流入する気流を案内する」ものであるから、本件発明1の「前記流入口から前記集塵空間に流入する気流を案内する第二ガイド部」に相当する。
そして、甲4-1発明の「第1ガイドリブ18」は、「前記メッシュフィルタ17と分離集塵バケット11との間において、前記メッシュフィルタ17の軸方向に延伸し周方向に沿って折れ曲がるように前記第2ガイドリブ19に連結して設けられて」いることから、本件発明1の「第二ガイド部」と同様に、「前記内筒と外筒との間において、前記軸線方向と交差する方向に延びるように前記第一ガイド部に連結して設けられて」いるものである。
さらに、甲4-1発明の「第2ガイドリブ19」、「第1ガイドリブ18」は、本件発明1の「第一ガイド部」と「第二ガイド部」と同様に、「リブ状に設けられ」たものである。
f 甲4-1発明の「真空掃除機」は、本件発明1の「電気掃除機」に相当する。
g そうすると、本件発明1と甲4-1発明とは、以下の点で一致し、相違する。なお、一致点、相違点の番号は、便宜上、証拠番号、請求項の番号に従って付与した(例:一致点「証拠番号」-「請求項番号」、以下同様。)。
(一致点4-1)
集塵装置、を備え、
前記集塵装置は、
周部に設けられた流入口、軸線方向一方側に設けられた開口部、及び軸線方向他方側に設けられた外筒底部を備えた有底筒状の外筒と、
前記外筒の内部に配される構造体と、
前記外筒に前記構造体を挿入し前記外筒、及び前記構造体の間に形成される集塵空間と、を有し、
前記構造体は、
前記軸線方向一方側から他方側に向かうにつれて外形が小さくなるように形成されたテーパー部を有し、
前記構造体は、
前記テーパー部を、前記集塵空間から排気するための集塵空間排気部として備えた内筒と、
前記内筒から前記軸線方向他方側に延びる筒形状の延出部と、を有し、
前記集塵装置は、前記内筒と前記外筒との間において、前記軸線方向の一方側から他方側に向かうに連れて、気流の旋回方向上流側の位置から前記流入口に向けて近づくよう延びる第一ガイド部を備えており、
前記集塵装置は、前記流入口から前記集塵空間に流入する気流を案内する第二ガイド部を有し、
前記第二ガイド部は、前記内筒と外筒との間において、前記軸線方向と交差する方向に延びるように前記第一ガイド部に連結して設けられており、
前記第一ガイド部と第二ガイド部とは、リブ状に設けられている、電気掃除機。」
(相違点4-1-1)
本件発明1は、「電動送風機を有する掃除機本体」を備えているのに対して、甲4-1発明は、当該構成を備えているか不明である点。
(相違点4-1-2)
本件発明1は、集塵装置が「掃除機本体において電動送風機収容部の下方側の位置に着脱可能な」ものであるのに対し、甲4-1発明は、当該構成を備えているか不明である点。
(相違点4-1-3)
本件発明1は、第一ガイド部と第二ガイド部が、「前記テーパー部の外周部」にリブ状に設けられているのに対し、甲4-1発明は、第2ガイドリブ19と第1ガイドリブ18が、「前記メッシュフィルタ17の外側壁」に設置されている点。
(相違点4-1-4)
本件発明1は、「前記テーパー部は、前記軸線方向の一方側における大径部の外径部が、前記外筒の内径と略一致するように形成されており」、「前記テーパー部の大径部の外周面に周溝が設けられ、当該周溝に気密部材が装着されることで、前記テーパー部と前記外筒の内周面との間が封止される」のに対し、甲4-1発明は、当該構成を備えているか不明である点。
(イ) まず、相違点4-1-1及び4-1-2について検討する。
甲4に明記はないものの、甲4-1発明に係る「真空掃除機」が、電動送風機を有する掃除機本体を備えることは当然であるが、掃除機本体における電動送風機が収納される部分と、機械式分離装置1、サイクロン式分離装置2の位置関係は不明である。
この点、甲4の図1~3において見て取れる、サイクロン式分離装置2の上側端部の構造からすると、機械式分離装置1、サイクロン式分離装置2は、掃除機本体における電動送風機が収納される部分の下方側に配されるものとは解されず、そのような配置にするためには相当程度の構造変更が伴うものと認められる。
掃除機本体における電動送風機を収容する部分の下方側になるような集塵装置の配置が従前から知られているとしても、甲4-1発明において、掃除機本体における電動送風機を収容する部分の下方側に、機械式分離装置1、サイクロン式分離装置2を配することの動機付けは特段認められない。
そうすると、甲4-1発明において、相違点4-1-1及び4-1-2に係る構成とすることは、当業者が容易に想到することができたものとは認められない。
よって、その余の点を検討するまでもなく、本件発明1は、甲4-1発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとは認められない。
イ 本件発明4について
(ア) 本件発明4と甲4-2発明とを、その有する機能に照らして対比する。
a 甲4-2発明の「機械式分離装置1」と「サイクロン式分離装置2」は、本件発明4の「集塵装置」に相当する。
b 甲4-2発明の「塵埃入口12」、「頂端に開設された第1排気口110」、「分離集塵バケット11」は、それぞれ、本件発明4の「流入口」、「軸線方向一方側に設けられた開口部」、「外筒」に相当する。
また、甲4-2発明の「サイクロン式分離装置2の下側の部分」及び「コアバケット23」は、「分離集塵バケット11の内部」に配されるものであるから、本件発明4の「前記外筒の内部に配される構造体」に相当し、甲4-2発明の「上チャンバ」及び「下チャンバ」は、その位置に照らして、本件発明4の「前記外筒、及び前記構造体の間に形成される集塵空間」に相当する。
c 甲4-2発明の「サイクロン式分離装置2の下側の部分」(構造体)における「メッシュフィルタ17」の「上側から下側に向かうにつれて外形が小さくなるように形成された部分」は、本件発明4の「前記軸線方向一方側から他方側に向かうにつれて外形が小さくなるように形成されたテーパー部」に相当する。
d 甲4-2発明の「メッシュフィルタ17」の「上側から下側に向かうにつれて外形が小さくなるように形成された部分」(テーパー部)は、「メッシュフィルタ17の内部空間と前記上チャンバとを連通する小孔が設けられ」ていることから、その機能に照らして、本件発明4の「前記集塵空間から排気するための集塵空間排気部」に相当し、甲4-2発明の「メッシュフィルタ17」は、本件発明4の「前記テーパー部を、前記集塵空間から排気するための集塵空間排気部として備えた内筒」に相当する。
また、甲4-2発明の「コアバケット23」は、「メッシュフィルタ17」(内筒)から下側に延びていることから、本件発明4の「前記内筒から前記軸線方向他方側に延びる延出部」に相当する。
e 甲4-2発明の「第2ガイドリブ19」は、「前記メッシュフィルタ17と前記分離集塵バケット11との間において、上側から下側に向かうに連れて、気流の旋回方向上流側の位置から前記塵埃入口12に向けて近づくように延びる」ものであるから、本件発明4の「前記内筒と前記外筒との間において、前記軸線方向の一方側から他方側に向かうに連れて、気流の旋回方向上流側の位置から前記流入口に向けて近づくよう延びる第一ガイド部」に相当する。
f 甲4-2発明の「底部に接続された底蓋16」は、本件発明4の「前記軸線方向他方側に底をなす外筒底部」に相当する。
g 甲4-2発明の「第1ガイドリブ18」は、「前記塵埃入口12から前記上チャンバに流入する気流を案内する」ものであるから、本件発明4の「前記流入口から前記集塵空間に流入する気流を案内する第二ガイド部」に相当する。
そして、甲4-2発明の「第1ガイドリブ18」は、「前記メッシュフィルタ17と分離集塵バケット11との間において、前記メッシュフィルタ17の軸方向に延伸し周方向に沿って折れ曲がるように設けられて」いることから、本件発明4の「第二ガイド部」と同様に、「前記内筒と外筒との間において、前記軸線方向と交差する方向に延びるように設けられて」いるものである。
h 甲4-2発明の「真空掃除機」は、本件発明4の「電気掃除機」に相当する。
i そうすると、本件発明4と甲4-2発明とは、以下の点で一致し、相違する。
(一致点4-4)
集塵装置、を備え、
前記集塵装置は、
流入口、及び軸線方向一方側に設けられた開口部を備えた外筒と、
前記外筒の内部に配される構造体と、
前記外筒、及び前記構造体の間に形成される集塵空間と、を有し、
前記構造体は、
前記軸線方向一方側から他方側に向かうにつれて外形が小さくなるように形成されたテーパー部を有し、
前記構造体は、
前記テーパー部を、前記集塵空間から排気するための集塵空間排気部として備えた内筒と、
前記内筒から前記軸線方向他方側に延びる延出部と、を有し、
前記集塵装置は、前記内筒と前記外筒との間において、前記軸線方向の一方側から他方側に向かうに連れて、気流の旋回方向上流側の位置から前記流入口に向けて近づくよう延びる第一ガイド部を備えており、
前記外筒は、前記軸線他方側に底をなす外筒底部を有するものであり、
前記集塵装置は、前記流入口から前記集塵空間に流入する気流を案内する第二ガイド部を有し、
前記第二ガイド部は、前記内筒と外筒との間において、前記軸線方向と交差する方向に延びるように設けられている、電気掃除機。」
(相違点4-4-1)
本件発明4は、「電動送風機を有する掃除機本体」を備えているのに対して、甲4-2発明は、当該構成を備えているか不明である点。
(相違点4-4-2)
本件発明4は、集塵装置が「掃除機本体に着脱可能な」ものであるのに対し、甲4-2発明は、当該構成を備えているか不明である点。
(相違点4-4-3)
本件発明4は、外筒が、軸線他方側に底をなす外筒底部を有するものであり、延出部が、「前記軸線方向の他方側の端部が、前記集塵空間の内部において前記外筒底部から離間している」構成(請求項2)を有する、又は内筒が、「前記軸線方向の他方側の端部が閉塞されている」構成(請求項3)を有するのに対し、甲4-2発明は、コアバケット23の下端部が、「前記分離集塵バケット11の底部と密封接続するように設置されて」おり、「前記メッシュフィルタ17によって濾過された気流が経由し、分離後の塵埃はコアバケット23の底部に落ち、掃除機のトップキャップに開設された排気口から排出されるように構成され、前記メッシュフィルタ17の内部において前記メッシュフィルタ17の軸線方向に延びるように配されているサイクロンバケット21」を有している点。
(イ) 事案に鑑み、まず、相違点4-4-3について検討する。
甲4には、コアバケット23の上端部及び下端部が、それぞれサイクロン式分離装置2の底部及び分離集塵バケット11の底部と密封接続するように設置され、これにより、塵埃含有気流がサイクロンバケット21内でサイクロン分離された後に、塵埃は当該コアバケット23を通って底部に落下し、コアバケット23の底部がサイクロン式分離装置2の集塵室となっている点([0024])、下チャンバから上チャンバに戻った気流は、メッシュフィルタ17によって濾過され、サイクロンバケット21を経由してサイクロン分離され、分離後の塵埃はコアバケット23の底部に落ち、気流は掃除機のトップキャップに開設された排気口から排出される点が記載されている([0026])。このような、サイクロンバケット21、コアバケット23を備えた甲4-2発明において、コアバケット23の下端部を、分離集塵バケット11の底部から離間させること、又はメッシュフィルタ17の下側の端部を閉塞することの動機付けは特段認められない。
そうすると、甲4-2発明において、相違点4-4-3に係る構成とすることは、当業者が容易に想到することができたものとは認められない。
よって、その余の点を検討するまでもなく、本件発明4は、甲4-2発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとは認められない。
ウ 本件発明5、6について
本件発明5は、本件発明1~4を特定するための事項をすべて含むものであるから、その余の事項を検討するまでもなく、本件発明5、6は、本件発明1、4と同様の理由により(前記ア、イ)、甲4-1発明及び甲4-2発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとは認められない。
エ 本件発明7について
本件発明7は、本件発明2、3を特定するための事項を全て含むものであるから、その余の事項を検討するまでもなく、本件発明7は、本件発明4と同様の理由により(前記イ)、甲4-2発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとは認められない。
オ 本件発明8について
本件発明8は、本件発明1~7を特定するための事項を全て含むものであるから、その余の事項を検討するまでもなく、本件発明8は、本件発明1、4~7と同様の理由により(前記ア~エ)、甲4-1発明及び甲4-2発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとは認められない。
カ 本件発明9について
本件発明9は、本件発明8を特定するための事項を全て含むものであるから、その余の事項を検討するまでもなく、本件発明9は、本件発明8と同様の理由により(前記オ)、甲4-1発明及び甲4-2発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとは認められない。
キ 本件発明10について
本件発明10は、本件発明6を特定するための事項を全て含むものであるから、その余の事項を検討するまでもなく、本件発明9は、本件発明6と同様の理由により(前記ウ)、甲4-1発明及び甲4-2発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとは認められない。
2 甲5に基づく検討
(1) 甲5に記載された発明
ア 甲5には、以下の事項が記載されている。
・「【請求項1】
電動送風機を有する掃除機本体と、
前記掃除機本体に着脱可能に設けられ、前記電動送風機の駆動により吸引された塵埃を集塵する集塵装置とを備え、
前記集塵装置は、
塵埃を分離する遠心分離部と、
前記遠心分離部よりも下流側に設けられ、塵埃を捕集するフィルタと、
前記遠心分離部の排気口と離間した状態で、前記フィルタを上流側から支持するフィルタ支持部と、
を有することを特徴とする、電気掃除機。」
・「【0005】
そこで、本発明は、吸引能力の低下を効果的に抑制可能な集塵装置を備えた電気掃除機の提供を目的とした。」
・「【0011】
≪電気掃除機1の全体構成について≫
図1~図3に示すように、電気掃除機1は、スティック状(縦型)の外観を有する掃除機である。電気掃除機1は、例えば、充電式のものや、電源コードを介して外部電源から電力を得るものとすることができる。図1に示すように、電気掃除機1は、掃除機本体10、集塵部20(集塵装置)、管部30(管部)、及び吸込具40を備えている。
【0012】
掃除機本体10は、電気掃除機1の本体をなし、吸引力を発揮して集塵する機能を発揮する部分である。具体的には、図2に示すように、掃除機本体10は、筐体をなす本体ケース12の内部に、空気を吸引して気流を発生させるための電動送風機14やその他の電子部品を駆動する駆動回路、その他の部品等を備えている。」
・「【0018】
≪集塵部20の構成について≫
以下、集塵部20について、図3~図6を参照しつつ詳細に説明する。集塵部20は、掃除機本体10に対して着脱可能に設けられている。集塵部20は、集塵容器50と、遠心分離部100と、フィルタ70(図5では省略)と、フィルタ支持部80と、カバー部90とを備えている。集塵部20は、いわゆるサイクロン式の集塵装置とされている。すなわち、集塵部20は、集塵容器50に設けられた流入口(第一流入口68)から空気を導入し、集塵容器50内で旋回気流を形成した後、空気を排出させる過程において集塵できるものとされている。また、集塵部20は、いわゆる単段分離方式のものや、三段以上の複数段の分離方式を採用できるが、本実施形態ではいわゆる二段遠心分離方式を採用したものとされている。そのため、集塵部20は、二段階分の遠心分離を行うことにより、小さい塵埃と大きい塵埃とに遠心分離して集塵できる。
【0019】
集塵容器50は、外側容器52、内側容器54、底部58、及び蓋部106を備えた容器である。集塵容器50は、外側容器52の内側に内側容器54を配置すると共に、外側容器52の軸線方向一方側(底側)に底部58を取り付けて閉塞し、外側容器52の軸線方向他方側(上端側)に蓋部106を取り付けたものである。
【0020】
外側容器52は、円筒形の容器である。外側容器52は、その軸線方向中間部にある区画壁60(傘状部)を介して、軸線方向一方側(底側)の集塵室62と、他方側(上端側)の遠心分離室64とに分かれている。区画壁60は、遠心分離室64内に形成される旋回気流によって、集塵室62内の塵埃が舞い上がるのを抑制することができる。」
・「【0022】
図3及び図4に示すように、外側容器52は、外周部に第一流入口68を有する。第一流入口68は、外側容器52の軸線方向中間部(区画壁60よりも遠心分離室64側)において開口している。そのため、第一流入口68は、遠心分離室64に対して連通している。第一流入口68は、外側容器52の外面から筒状に延びる流入部68aにおいて矩形に開口している。この流入部68aは、周方向の端部から中央側に向けて傾斜するよう延びている。また、第一流入口68は、後述する遠心分離部100の遠心分離外筒102が備えている外周ガイドリブ116に対応する位置に設けられ、外周ガイドリブ116は、流入部68aとともに風路の一部を構成するよう、外側容器52の内周面に当接するよう延びている。これにより、外側容器52は、第一流入口68を介して、遠心分離室64の内部に、外側容器52の内周面に沿って空気を流入可能なものとされ、空気が一方向に流れ易いよう外周ガイドリブ116によって方向を規定している。
【0023】
内側容器54は、外側容器52の内側に配される容器である。内側容器54は、区画壁60よりも下方にある集塵室62内に配置されている。内側容器54は、外側容器52と軸心位置が略一致するように配置されている。内側容器54は、集塵室62の内部空間を外側集塵室72と、内側集塵室74とに分けている。内側容器54は、軸線方向一端側(底側)において開放されている。また、内側容器54は、軸線方向他端側(上端側)において区画壁60に設けられた内側開口66aと連通している。」
・「【0027】
遠心分離部100は、塵埃を遠心分離する部分である。遠心分離部100は、遠心分離外筒102、遠心分離内筒104、蓋部106、及び支持部108を備えている。
【0028】
遠心分離外筒102は、遠心分離内筒104を収容可能な筒体である。遠心分離外筒102は、小孔114、外周ガイドリブ116(図3参照)、及び位置決め突起118を周面に備えている。遠心分離外筒102は、集塵容器50の外側容器52との間に第一遠心分離室110を形成すると共に、内側に第二遠心分離室112を形成する部材である。
【0029】
第一遠心分離室110は、上述した集塵容器50の外側容器52に設けられた第一流入口68を介して外側から空気流導入可能とされている。第一遠心分離室110は、遠心分離外筒102と、集塵容器50の外側容器52との間に形成された環状の空間である。第一遠心分離室110は、第一流入口68から遠心分離外筒102の接線方向に空気を流入させることで、旋回気流を発生させることができる。これにより、導入された空気中に含まれている比較的大きな塵埃を遠心分離すること(第一遠心分離)ができる。第一遠心分離によって空気中から分離された比較的大きな塵埃は、第一遠心分離室110の底をなす区画壁60に向けて落下する。区画壁60に落下してきた塵埃は、区画壁60に設けられた外側開口66bを介し、区画壁60の下方に設けられた外側集塵室72に落下して回収される。
【0030】
小孔114は、遠心分離外筒102の周面に多数設けられている。小孔114は、遠心分離外筒102の外側に形成された第一遠心分離室110と、内側に形成された第二遠心分離室112とに亘って連通している。そのため、遠心分離部100は、第一遠心分離室110において大きな塵埃が回収された空気を、小孔114を介して第二遠心分離室112に導入することができる。
【0031】
外周ガイドリブ116は、遠心分離外筒102の周面であって、上述した集塵容器50の外側容器52に設けられた第一流入口68に対応する位置に設けられている。外周ガイドリブ116は、第一流入口68から第一遠心分離室110の内側に流入した空気が、遠心分離外筒102の外周面や外側容器52の内周面に沿って、軸心周り方向の所定方向に流れるように誘導するものである。」
・「【0033】
遠心分離内筒104は、遠心分離外筒102の内側に形成される第二遠心分離室112内に配置される。遠心分離内筒104は、複数(本例では5本)設けられている。遠心分離内筒104は、第二遠心分離室112内において、軸心周り方向(周方向)に略均等に配置されている。また、複数(本実施形態では5本)の遠心分離内筒104が、環状に形成された上壁部120により、上端側にて一体化されている。遠心分離内筒104は、それぞれ上壁部120の内周面に対し、上端部が外接するように配置されている。
【0034】
遠心分離内筒104は、上端側から中間部までは略均一の外径(開口径)とされると共に、中間部から下端側までテーパー状に縮径した遠心分離縮径部122を有するものとされている。遠心分離内筒104は、第二遠心分離室112内において、軸線方向が上下方向に向く姿勢とされて配置されている。遠心分離内筒104は、上端側に第二流入口124を有する。第二流入口124は、環状に形成された上壁部120の内周面近傍に開口している。これにより、第二流入口124は、上壁部120の内周面の湾曲に沿って、遠心分離内筒104の内側に空気流を導入可能とされている。第二流入口124を介して遠心分離内筒104に気流が入ると、下方(遠心分離縮径部122に向かう方向)に進む旋回気流が形成される。これにより、遠心分離内筒104内に導入された空気に含まれている比較的小さな塵埃が遠心分離(第二遠心分離)される。第二遠心分離により分離された塵埃は、各遠心分離内筒104の下端側から集塵容器50に向けて排出される。第二遠心分離室112は、集塵容器50内に形成された内側集塵室74に連通している。そのため、各遠心分離内筒104から排出された塵埃は、内側集塵室74に向けて落下して溜まる。また、遠心分離内筒104に導入された空気は、第二遠心分離に伴って塵埃が除去された後、遠心分離内筒104の下方側から上方側に向かう上昇気流となって、上方(下流側)に向けて排出される。」
・「【0051】
図5,7等に示すように、第四シール部S4は、集塵容器50(外側容器52)の内壁と、遠心分離部100を構成する遠心分離内筒104の上壁部120との間を第四シール部材125によってシールした部分である。第四シール部材125の一端は、上壁部120のうち、遠心分離外筒102の周面よりも径方向外側に張り出したフランジ部120aにおいて、側方に開放しつつ全周に亘って形成された溝120bに対して挿入されている。また、第四シール部S4においては、蓋部106を構成する蓋板部130の外周側において立設された立設部136が上壁部120のフランジ部120aよりも下方に突出し、第四シール部材125に当接している。また、立設部136よりも径方向外側に向けて突出し、第四シール部材125の他端は、集塵容器50を構成する外側容器52に形成された段差部分において支持されている。第四シール部S4は、このような構造とすることにより、蓋部106の近傍における気密性を確保している。すなわち、第四シール部S4は、フランジ部120aと立設部136の間の気密性、外側容器52と遠心分離外筒102の間の気密性、外側容器52と立設部136の間の気密性を確保している。なお、第四シール部S4において、第四シール部材125は、外側容器52の上端において支持されていても良い。
【0053】
また、図2や図4に示すように、集塵部20の底部58には、ロック部84より底部側に凹部20bが設けられている。図2に示すように、凹部20bは、管接続部22において、集塵部20の背面が接触する部分の下端側に設けられた凸部10aに係止できる構成とされている。さらに、集塵部20には、凹部20bと径方向において反対側であって、底部58と反対側にロック部20cが設けられている。ロック部20cは、上方に向けて突出したものである。ロック部20cは、掃除機本体10の正面側において下方に向いて開放するように設けられた凹部10bに嵌め込むことにより、集塵部20を掃除機本体10側に固定可能とされている。集塵部20は、カバー部90の天面側に傾斜面20aを有する。傾斜面20aは、掃除機本体10において電動送風機14が収容されている部分の底面の傾斜と略合致している。集塵部20を掃除機本体10に装着する場合には、凹部20bに係止された凸部10aを支点として、第一流入口68が管接続部22の集塵部側開口と接続されるまで近づくよう回動させれば、ロック部20cが凹部10bに嵌め込まれる。したがって、このように傾斜構造となっていることで、電気掃除機1は、集塵部20を電動送風機14の下方に装着する作業がしやすい。」
・「【0074】
(1-1)本実施形態の電気掃除機1は、電動送風機14を有する掃除機本体10と、掃除機本体10に着脱可能に設けられ、電動送風機14の駆動により吸引された塵埃を集塵する集塵部20とを備え、集塵部20は、塵埃を分離する遠心分離部100と、遠心分離部100よりも下流側に設けられ、塵埃を捕集するフィルタ70と、遠心分離部100の排気口と離間した状態で、フィルタ70を上流側から支持するフィルタ支持部80と、を有することを特徴とする、ものである。」
・「【0182】
≪集塵部の変形例≫
図41に示すように、第四シール部材125と同様に、変形例における第四シール部125Aは、集塵容器50(外側容器52)の内壁と、遠心分離部100を構成する遠心分離内筒104の上壁部120との間を環状のシール部材でシールする。そして、第四シール部材125Aは、端部が下方に延びるL字形状の上壁部120Aと外側容器52と遠心分離外筒102Aとの間に配される。遠心分離外筒102の形状を、径方向に突出するフランジ部102a,102bを有する遠心分離外筒102Aに変更することに伴い、第四シール部材125を第四シール部材125Aに変更している。具体的には、S字形状の第四シール部材125をL字形状の第四シール部材125Aに変更している。なお、フランジ部102bは、外側容器52の下側段差部分にて支持される。」
・「【図4】
[図:0001435155000012.jpg]
【図5】
[図:0001435155000013.jpg]
【図6】
[図:0001435155000014.jpg]
【図7】
[図:0001435155000015.jpg]
」
イ 甲5の図4~6において、次の点が見て取れる。
・底側に底部58を取り付けて閉塞された外側容器52が、有底筒状を呈している点
・集塵部20の外側容器52には、上端側に開口を備えている点
また、図4、5において、次の点が見て取れる。
・遠心分離外筒102は、上端側から底側に向かうにつれて外形が小さくなるように形成された部分を有する点
・内側容器54は、筒形状であり、遠心分離外筒102から底側に延びている点
そして、図4、5、7において、遠心分離外筒102は、当該上端側から底側に向かうにつれて外形が小さくなるように形成された部分の上端側に大径の部分があり、この大径の部分の外径が外側容器52の内径と略一致するように形成されている点が見て取れる。
そうすると、甲5に記載された事項から、甲5には次の発明(以下「甲5-1発明」という。)が記載されているものと認められる。
(甲5-1発明)
「電動送風機14を有する掃除機本体10と、
前記掃除機本体10において電動送風機14が収容されている部分の下方に着脱可能な集塵部20と、を備え、
前記集塵部20は、
外周部に設けられた第一流入口68、上端側に設けられた開口、及び底側に設けられた底部58を備えた有底筒状の外側容器52と、
前記外側容器52の内部に配される内側容器54及び遠心分離部100と、
前記外側容器52と前記内側容器54及び前記遠心分離部100との間に形成される集塵室62及び第一遠心分離室110と、を有し、
前記遠心分離部100の遠心分離外筒102は、
上端側から底側に向かうにつれて外形が小さくなるように形成された部分を有し、外側に形成された前記第一遠心分離室110と、内側に形成された第二遠心分離室112とに亘って連通する小孔114が設けられ、
前記内側容器54は、筒形状であり、前記遠心分離外筒102から底側に延びており、
前記集塵部20は、前記第一流入口68から前記第一遠心分離室110に流入する気流を案内する外周ガイドリブ116を有し、
前記外周ガイドリブ116は、前記遠心分離外筒102と前記外側容器52との間において、気流が軸心周り方向の所定方向に流れるように誘導するように設けられており、
前記外周ガイドリブ116は、前記遠心分離外筒102の周面に設けられており、
前記遠心分離外筒102の上端側から底側に向かうにつれて外形が小さくなるように形成された部分の上端側における大径の部分の外径が、前記外側容器52の内径と略一致するように形成されており、
前記集塵部20は、前記第一流入口68よりも上端側において、前記遠心分離部100と前記外側容器52との間を封止する第四シール部S4を有する、電気掃除機1。」
ウ 甲5に記載された事項から、甲5には次の発明(以下「甲5-2発明」という。)が記載されているものと認められる。
(甲5-2発明)
「電動送風機14を有する掃除機本体10と、
前記掃除機本体10に着脱可能な集塵部20と、を備え、
前記集塵部20は、
第一流入口68、及び上端側に設けられた開口を備えた外側容器52と、
前記外側容器52の内部に配される内側容器54及び遠心分離部100と、
前記外側容器52と前記内側容器54及び前記遠心分離部100との間に形成される集塵室62及び第一遠心分離室110と、を有し、
前記遠心分離部100の遠心分離外筒102は、
上端側から底側に向かうにつれて外形が小さくなるように形成された部分を有し、外側に形成された前記第一遠心分離室110と、内側に形成された第二遠心分離室112とに亘って連通する小孔114が設けられ、
前記内側容器54は、前記遠心分離外筒102から底側に延びており、
前記集塵部20は、前記第一流入口68から前記第一遠心分離室110に流入する気流を案内する外周ガイドリブ116を有し、
前記外周ガイドリブ116は、前記遠心分離外筒102と外側容器52との間において、気流が軸心周り方向の所定方向に流れるように誘導するように設けられており、
前記外側容器52は、底側に設けられた底部58を有するものであり、
前記内側容器54は、上端側が前記遠心分離外筒102に接続され、下端部が、前記底部58の内面に設けられた第二シール部材88に密接し、気密に閉塞され、
前記遠心分離外筒102の内側に形成される第二遠心分離室112内に配置され、気流が入ると、下方に進む旋回気流を形成し第二遠心分離し、分離された塵埃は前記遠心分離外筒102の内側集塵室74に落下し、気流は上昇気流となって上方に向けて排出され、前記遠心分離外筒102の内部において上端側から底側に延びるように配される遠心分離内筒104を有する、電気掃除機1。」
エ 甲5の図5において、遠心分離外筒102が上壁部120に接続されている点が見て取れる。
そうすると、甲5に記載された事項から、甲5には次の発明(以下「甲5-3発明」という。)が記載されているものと認められる。
(甲5-3発明)
「前記遠心分離部100は、
上端側に配される上壁部120を含み、
前記遠心分離外筒102が前記上壁部120に接続されている、甲5-1発明に係る電気掃除機1。」
オ 甲5には、遠心分離内筒104は、遠心分離外筒102の内側に形成される第二遠心分離室112内に配置され、気流が入ると、下方に進む旋回気流を形成し第二遠心分離し、分離された塵埃は内側集塵室74に落下し、気流は上昇気流となって上方に向けて排出される点が記載されている(【0033】、【0034】)。
また、甲5の図4、5において、遠心分離内筒104が、遠心分離外筒102の内部において、上端側から底側に延びるように配されている点が見て取れる。
そうすると、甲5に記載された事項から、甲5には次の発明(以下「甲5-4発明」という。)が記載されているものと認められる。
(甲5-4発明)
「前記遠心分離部100は、
上端側に配される上壁部120を含み、
前記遠心分離外筒102の内側に形成される第二遠心分離室112内に配置され、気流が入ると、下方に進む旋回気流を形成し第二遠心分離し、分離された塵埃は内側集塵室74に落下し、気流は上昇気流となって上方に向けて排出され、前記遠心分離外筒102の内部において上端側から底側に延びるように配される遠心分離内筒104を有する、甲5-1発明に係る電気掃除機1。」
(2) 対比及び判断
ア 本件発明1について
(ア) 本件発明1と甲5-1発明とを、その有する機能に照らして対比する。
a 甲5-1発明の「電動送風機14」、「掃除機本体10」は、それぞれ、本件発明1の「電動送風機」、「掃除機本体」に相当する。
b 甲5-1発明の「前記掃除機本体10において電動送風機14が収容されている部分の下方に着脱可能な集塵部20」は、本件発明1の「前記掃除機本体において電動送風機収容部の下方側の位置に着脱可能な集塵装置」に相当する。
c 甲5-1発明の「外周部に設けられた第一流入口68」、「上端側に設けられた開口」、「底側に設けられた底部58」、「有底筒状の外側容器52」は、それぞれ、本件発明1の「周部に設けられた流入口」、「軸線方向一方側に設けられた開口部」、「軸線方向他方側に設けられた外筒底部」、「有底筒状の外筒」に相当する。
また、甲5-1発明の「内側容器54」及び「遠心分離部100」は、「前記外側容器52の内部」に配されるものであるから、本件発明1の「前記外筒の内部に配される構造体」に相当し、甲5-1発明の「内側容器54」及び「遠心分離部100」は、「前記外側容器52の内部」に配されることにより、「前記外側容器52と前記内側容器54及び前記遠心分離部100との間」に「集塵室62及び第一遠心分離室110」が形成されることから、甲5-1発明の「集塵室62」及び「第一遠心分離室110」は、その位置に照らして、本件発明1の「前記外筒に前記構造体を挿入し前記外筒、及び前記構造体の間に形成される集塵空間」に相当する。
d 甲5-1発明の「遠心分離部100」(構造体)の「遠心分離外筒102」の「上端側から底側に向かうにつれて外形が小さくなるように形成された部分」は、本件発明1の「前記軸線方向一方側から他方側に向かうにつれて外形が小さくなるように形成されたテーパー部」に相当する。
e 甲5-1発明の「遠心分離外筒102」の「上端側から底側に向かうにつれて外形が小さくなるように形成された部分」(テーパー部)は、「外側に形成された前記第一遠心分離室110と、内側に形成された第二遠心分離室112とに亘って連通する小孔114が設けられ」ていることから、その機能に照らして、本件発明1の「前記集塵空間から排気するための集塵空間排気部」に相当し、甲5-1発明の「遠心分離外筒102」は、本件発明1の「前記テーパー部を、前記集塵空間から排気するための集塵空間排気部として備えた内筒」に相当する。
また、甲5-1発明の「内側容器54」は、「筒形状であり」、「遠心分離外筒102」(内筒)から底側に延びていることから、本件発明1の「前記内筒から前記軸線方向他方側に延びる筒形状の延出部」に相当する。
f 甲5-1発明の「外周ガイドリブ116」は、「前記第一流入口68から前記第一遠心分離室110に流入する気流を案内する」ものであるから、本件発明1の「前記流入口から前記集塵空間に流入する気流を案内する第二ガイド部」に相当する。
また、甲5-1発明の「外周ガイドリブ116」は、「前記遠心分離外筒102と外側容器52との間において、気流が軸心周り方向の所定方向に流れるように誘導するように設けられて」いることから、本件発明1の「第二ガイド部」と、「前記内筒と外筒との間において、前記軸線方向と交差する方向に延びるように」「設けられて」いる点で共通する。
そして、甲5-1発明の「外周ガイドリブ116」は、本件発明1の「第二ガイド部」と同様に、「リブ状に設けられ」たものである。
g 甲5-1発明の「電気掃除機1」は、本件発明1の「電気掃除機」に相当する。
h そうすると、本件発明1と甲5-1発明とは、以下の点で一致し、相違する。
(一致点5-1)
「電動送風機を有する掃除機本体と、
前記掃除機本体において電動送風機収容部の下方側の位置に着脱可能な集塵装置と、を備え、
前記集塵装置は、
周部に設けられた流入口、軸線方向一方側に設けられた開口部、及び軸線方向他方側に設けられた外筒底部を備えた有底筒状の外筒と、
前記外筒の内部に配される構造体と、
前記外筒に前記構造体を挿入し前記外筒、及び前記構造体の間に形成される集塵空間と、を有し、
前記構造体は、
前記軸線方向一方側から他方側に向かうにつれて外形が小さくなるように形成されたテーパー部を有し、
前記構造体は、
前記テーパー部を、前記集塵空間から排気するための集塵空間排気部として備えた内筒と、
前記内筒から前記軸線方向他方側に延びる筒形状の延出部と、を有し、
前記集塵装置は、前記流入口から前記集塵空間に流入する気流を案内する第二ガイド部を有し、
前記第二ガイド部は、前記内筒と外筒との間において、前記軸線方向と交差する方向に延びるように設けられており、
第二ガイド部は、リブ状に設けられている、電気掃除機。」
(相違点5-1-1)
本件発明1は、集塵装置が、「前記内筒と前記外筒との間において、前記軸線方向の一方側から他方側に向かうに連れて、気流の旋回方向上流側の位置から前記流入口に向けて近づくよう延びる第一ガイド部を備え」、第二ガイド部が、前記内筒と前記外筒との間において、前記軸線方向と交差する方向に延びるように「前記第一ガイド部に連結して」設けられており、「前記第一ガイド部」と第二ガイド部とが、「前記テーパー部の外周部」にリブ状に設けられているのに対して、甲5-1発明は、当該構成を備えていない点。
(相違点5-1-2)
本件発明1は、「前記テーパー部は、前記軸線方向の一方側における大径部の外径部が、前記外筒の内径と略一致するように形成されており」、「前記テーパー部の大径部の外周面に周溝が設けられ、当該周溝に気密部材が装着されることで、前記テーパー部と前記外筒の内周面との間が封止される」のに対して、甲5-1発明は、「前記遠心分離外筒102の上端側から底側に向かうにつれて外形が小さくなるように形成された部分の上端側における大径の部分の外径が、前記外側容器52の内径と略一致するように形成されており」、「前記集塵部20は、前記第一流入口68よりも上端側において、前記遠心分離部100と前記外側容器52との間を封止する第四シール部S4を有する」点。
(イ) 相違点について検討する。
a 相違点5-1-1について
前記のとおり、甲4-1発明、甲4-2発明は、本件発明1の「リブ状」の「第一ガイド部」に相当する手段を有している。
また、甲1には第2ガイドリブ33を設ける点([0016])、甲6には傾斜案内部20Bを設ける点(【0010】、【0012】、図6)、甲7には傾斜案内部24Bを設ける点(【0023】、【0026】、図7)が記載されている。
このように、集塵装置の内筒と外筒との間において、軸線方向の一方側から他方側に向かうに連れて、気流の旋回方向上流側の位置から流入口に向けて近づくよう延びるリブ状のガイド部を設けることは、周知の技術である。
そうすると、甲5-1発明において、「遠心分離外筒102」と「外側容器52」との間において、上端側から底側に向かうに連れて、気流の旋回方向上流側の位置から第一流入口68に向けて近づくよう延びるリブ状のガイド部を設けることは、当業者にとって格別困難なことではない。その場合、「外周ガイドリブ116」を当該ガイド部に連結することは、発明の具体化における設計的事項である。
また、甲5-1発明は、「前記外周ガイドリブ116は、前記遠心分離外筒102の周面に設けられて」いるところ、甲5の図4、5によれば、外周ガイドリブ116は、上端側から底側に向かうにつれて外形が小さくなるように形成された部分を含む遠心分離外筒102の周面に設けられているから、本件発明1と同様に、「テーパー部の外周部」に設けられているといえる。甲5-1発明において、「上端側から底側に向かうにつれて外形が小さくなるように形成された部分」を、上端側から底側の間にどの程度の長さにわたって設けるかは、当業者が適宜に決定し得る事項であるから、当該上端側から底側に向かうにつれて外形が小さくなるように形成された部分の範囲内の周面において、外周ガイドリブ116を有する配置関係とすることも、当業者が適宜になし得たことである。上端側から底側に向かうに連れて、気流の旋回方向上流側の位置から第一流入口68に向けて近づくよう延びるリブ状のガイド部についても、同様である。
よって、甲5-1発明において、周知の技術を適用し、相違点5-1-1の構成とすることは、当業者が容易に想到することができたものある。
b 相違点5-1-2について
甲5によれば、甲5-1発明の「第四シール部S4」は、集塵容器50(外側容器52)の内壁と、遠心分離部100を構成する遠心分離内筒104の上壁部120との間を第四シール部材125によってシールした部分で、上壁部120のフランジ部120aと蓋部106の立設部136の間の気密性、外側容器52と遠心分離外筒102の間の気密性、外側容器52と立設部136の間の気密性を確保している(【0051】)。
そして、甲5に「第四シール部S4」の変形例として第四シール部材125Aを用いた例が記載されているように(【0182】、【0183】)、外側容器52と遠心分離外筒102の間の気密性を確保する上で、「第四シール部S4」の形態は適宜のものを採用し得ることは明らかである。
そして、甲2(円筒部71の内周面と接続外筒部59の外周面との間に配設されたパッキン82(【0046】、図3))に記載されているように、周溝に気密部材を装着することで、封止するといった手段は、周知の技術であるから、甲5-1発明における、「遠心分離外筒102の上端側から底側に向かうにつれて外形が小さくなるように形成された部分の上端側における大径の部分」の外周面に周溝を設け、当該周溝に気密部材を装着することで、外側容器52と遠心分離外筒102の間の気密性を確保することは、当業者にとって格別困難なことではない。
ところで、本件発明1の「テーパー部の大径部」は、「外周面に周溝が設けられ、当該周溝に気密部材が装着される」ものであるから、気密部材を装着し得る大きさの周溝が設けられる程度に、軸方向一方側から他方側にわたる寸法を有していることは明らかで、かつ「外径部が外筒の内径と略一致する」ものであるから、軸線方向一方側から他方側に向かうにつれて外形が小さくなるように、すなわち、テーパー状に形成されたものとは解されない(本件特許明細書にも、テーパー部の大径部が、軸線方向一方側から他方側に向かうにつれて外形が小さくなるように形成されているかについて特段記載はなく(【0027】)、本件特許の図4、6、7に示された大径部70bはテーパー状には形成されていない。)。本件発明1は「テーパー部」のうち、「大径部の外径部」が、外筒の内径と略一致するように形成されているものの、テーパー状に形成された部分における軸線方向一方側の端部の外径が、外筒の内径と略一致するように形成されていることまで特定されているものではなく、テーパー状に形成された部分における軸線方向一方側の端部が外筒から離れた内側にあるものを排除していないものと認められる(本件特許の図4、6、7において、テーパー部70における軸線方向一方側の端部が外筒52から離れた内側にある。)。
そうすると、甲5-1発明における、当該「大径の部分」は、その位置、機能に照らして、本件発明1の「テーパー部の大径部」に相当する部位といえるから、当該「大径の部分」の外周面に周溝を設け、当該周溝に気密部材を装着した構成は、相違点5-1-2に係る構成と同じものである。
また、仮に、本件発明1の相違点5-1-2に係る構成が、テーパー状に形成された部分における軸線方向一方側の端部が外筒から離れていないことを意味するとしても、甲5-1発明における、「前記遠心分離外筒102の上端側から底側に向かうにつれて外形が小さくなるように形成された部分」(テーパー状に形成された部分)の上端が外側容器52から離れていないような当該「大径の部分」にすることも、第一遠心分離室110の容積等に応じて、当業者が適宜になし得たことである。
よって、甲5-1発明において、周知の技術を適用し、相違点5-1-2の構成とすることは、当業者が容易に想到することができたものある。
c 本件発明1の奏する効果をみても、甲5-1発明及び周知の技術から当業者が予測の範囲内のものであって、格別ではない。
d 特許権者は、概ね、以下のように主張している(令和7年7月25日付け意見書5.5.2)。
・本件発明1では、外筒が「有底筒状」であるのに対し、甲5では、外側容器52が「区画壁60(傘状部)」を含む複雑な形状となっており、区画壁60の下方が集塵室となっている。
・甲5では、外筒の内径に対しテーパー部が小さく、大径部が外筒の内周から離れた内側にあり、本件発明1と相違している。
・本件発明1では、「前記集塵装置は、前記内筒と前記外筒との間において、前記軸線方向の一方側から他方側に向かうに連れて、気流の旋回方向上流側の位置から前記流入口に向けて近づくよう延びる第一ガイド部を備えている」構成を有しているのに対し、甲5には、第一ガイド部に相当する構成が記載されていない。
・本件発明1では、「前記テーパー部の大径部の外周面に周溝が設けられ、当該周溝に気密部材が装着されることで、前記テーパー部と前記外筒の内周面との間が封止される」構成を有しているのに対し、甲5では、第四シール部材125が、テーパー部と外筒(集塵容器)との間に設けられているものではない。
しかしながら、本件発明1では、「外筒」が「周部に設けられた流入口、軸線方向一方側に設けられた開口部、及び軸線方向他方側に設けられた外筒底部を備えた有底筒状」であると特定されているものの、その他の構成を含むことを排除するものではない。
また、本件発明1は、「テーパー部」のうち、テーパー状に形成された部分における軸線方向一方側の端部の外径が、外筒の内径と略一致するように形成されていることまで特定されているものではなく、テーパー状に形成された部分における軸線方向一方側の端部が外筒から離れた内側にあるものを排除していない。甲5-1発明の「遠心分離外筒102の上端側から底側に向かうにつれて外形が小さくなるように形成された部分」及びその「上端側における大径の部分」の構成が、この点で、格別相違するものではない。
そして、本件発明1の「第一ガイド部」に相当するものは周知の技術であって、甲5-1発明において周知の技術を適用し、本件発明1の「第一ガイド部」を設けることは、当業者が容易になし得たことである。
さらに、甲5-1発明において、外側容器52と遠心分離外筒102の間の気密性を確保する上で、「第四シール部S4」の形態は適宜のものを採用し得ることは明らかで、周溝に気密部材を装着することで封止するといった手段は、甲2に記載されているように周知の技術であるから、甲5-1発明における当該「大径の部分」の外周面に周溝を設け、当該周溝に気密部材を装着することで、外側容器52と遠心分離外筒102の間の気密性を確保することは、当業者にとって格別困難なことではない。
よって、特許権者の主張は採用することができない。
(ウ) 以上のとおり、本件発明1は、甲5-1発明及び周知の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
イ 本件発明4について
(ア) 本件発明4と甲5-2発明とを、その有する機能に照らして対比する。
a 甲5-2発明の「電動送風機14」、「掃除機本体10」は、それぞれ、本件発明4の「電動送風機」、「掃除機本体」に相当する。
b 甲5-2発明の「前記掃除機本体10に着脱可能な集塵部20」は、本件発明4の「前記掃除機本体において着脱可能な集塵装置」に相当する。
c 甲5-2発明の「第一流入口68」、「上端側に設けられた開口」、「外側容器52」は、それぞれ、本件発明4の「流入口」、「軸線方向一方側に設けられた開口部」、「外筒」に相当する。
また、甲5-2発明の「内側容器54」及び「遠心分離部100」は、「前記外側容器52の内部」に配されるものであるから、本件発明4の「前記外筒の内部に配される構造体」に相当し、甲5-2発明の「集塵室62」及び「第一遠心分離室110」は、その位置に照らして、本件発明4の「集塵空間」に相当する。
d 甲5-2発明の「遠心分離部100」の「遠心分離外筒102」の「上端側から底側に向かうにつれて外形が小さくなるように形成された部分」は、本件発明4の「前記軸線方向一方側から他方側に向かうにつれて外形が小さくなるように形成されたテーパー部」に相当する。
e 甲5-2発明の「遠心分離外筒102」の「上端側から底側に向かうにつれて外形が小さくなるように形成された部分」は、「外側に形成された前記第一遠心分離室110と、内側に形成された第二遠心分離室112とに亘って連通する小孔114が設けられ」ていることから、その機能に照らして、本件発明4の「前記集塵空間から排気するための集塵空間排気部」に相当し、甲5-2発明の「遠心分離外筒102」は、本件発明4の「前記テーパー部を、前記集塵空間から排気するための集塵空間排気部として備えた内筒」に相当する。
また、甲5-2発明の「内側容器54」は、「遠心分離外筒102」(内筒)から底側に延びていることから、本件発明4の「前記内筒から前記軸線方向他方側に延びる延出部」に相当する。
f 甲5-2発明の「外周ガイドリブ116」は、「前記第一流入口68から前記第一遠心分離室110に流入する気流を案内する」ものであるから、本件発明4の「前記流入口から前記集塵空間に流入する気流を案内する第二ガイド部」に相当する。
そして、甲5-2発明の「外周ガイドリブ116」は、「前記遠心分離外筒102と外側容器52との間において、気流が軸心周り方向の所定方向に流れるように誘導するように設けられて」いることから、本件発明4の「第二ガイド部」と同様に、「前記内筒と外筒との間において、前記軸線方向と交差する方向に延びるように設けられている」ものである。
g 甲5-2発明の「外側容器52」の「底側に設けられた底部58」は、本件発明4の「外筒」の「前記軸線方向他方側に底をなす外筒底部」に相当する。
h 甲5-2発明の「電気掃除機1」は、本件発明4の「電気掃除機」に相当する。
i そうすると、本件発明4と甲5-2発明とは、以下の点で一致し、相違する。
(一致点5-4)
「電動送風機を有する掃除機本体と、
前記掃除機本体に着脱可能な集塵装置と、を備え、
前記集塵装置は、
流入口、及び軸線方向一方側に設けられた開口部を備えた外筒と、
前記外筒の内部に配される構造体と、
前記外筒、及び前記構造体の間に形成される集塵空間と、を有し、
前記構造体は、
前記軸線方向一方側から他方側に向かうにつれて外形が小さくなるように形成されたテーパー部を有し、
前記構造体は、
前記テーパー部を、前記集塵空間から排気するための集塵空間排気部として備えた内筒と、
前記内筒から前記軸線方向他方側に延びる延出部と、を有し、
前記外筒は、前記軸線方向他方側に底をなす外筒底部を有するものであり、
前記集塵装置は、前記流入口から前記集塵空間に流入する気流を案内する第二ガイド部を有し、
前記第二ガイド部は、前記内筒と外筒との間において、前記軸線方向と交差する方向に延びるように設けられている、電気掃除機。」
(相違点5-4-1)
本件発明4は、集塵装置が、「前記内筒と前記外筒との間において、前記軸線方向の一方側から他方側に向かうに連れて、気流の旋回方向上流側の位置から前記流入口に向けて近づくよう延びる第一ガイド部を備え」るのに対し、甲5-2発明は、当該構成を備えていない点。
(相違点5-4-2)
本件発明4は、外筒が、軸線他方側に底をなす外筒底部を有するものであり、延出部が、「前記軸線方向の他方側の端部が、前記集塵空間の内部において前記外筒底部から離間している」構成(請求項2)を有する、又は内筒が、「前記軸線方向の他方側の端部が閉塞されている」構成(請求項3)を有するのに対し、甲5-2発明は、内側容器54の下端部が、「前記底部58の内面に設けられた第二シール部材88に密接し、気密に閉塞され」ており、「前記遠心分離外筒102の内側に形成される第二遠心分離室112内に配置され、気流が入ると、下方に進む旋回気流を形成し第二遠心分離し、分離された塵埃は前記遠心分離外筒102の内側集塵室74に落下し、気流は上昇気流となって上方に向けて排出され、前記遠心分離外筒102の内部において上端側から底側に延びるように配される遠心分離内筒104」を有している点。
(イ) 事案に鑑み、まず、相違点5-4-2について検討する。
甲5-2発明は、内側容器54が、「上端側が前記遠心分離外筒102に接続され、下端部が、前記底部58の内面に設けられた第二シール部材88に密接し、気密に閉塞され」、遠心分離内筒104が、「前記遠心分離外筒102の内側に形成される第二遠心分離室112内に配置され、気流が入ると、下方に進む旋回気流を形成し第二遠心分離し、分離された塵埃は前記遠心分離外筒102の内側集塵室74に落下し、気流は上昇気流となって上方に向けて排出され」るものである。このような機能を発揮する、遠心分離外筒102、内側容器54、遠心分離内筒104を備えた甲5-2発明において、内側容器54の下端部を、外側容器52の底部から離間させること、又は遠心分離外筒102の下側の端部を閉塞することの動機付けは特段認められない。
そうすると、甲5-2発明において、相違点5-4-2に係る構成とすることは、当業者が容易に想到することができたものとは認められない。
よって、その余の点を検討するまでもなく、本件発明4は、甲5-2発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとは認められない。
ウ 本件発明5について
本件発明5と甲5-3発明とを、その有する機能に照らして対比すると、甲5-3発明の「上端側に配される上壁部120」は、本件発明5の「前記軸線方向の一方側に配される一側筒部」に相当し、甲5-3発明は、「前記遠心分離外筒102が前記上壁部120に接続されている」から、本件発明5と同様に、「前記内筒が前記一側筒部に接続されている」ものである。
そうすると、両者は、前記一致点5-1に加え、次の点で一致し、前記相違点5-1-1、5-1-2のほかに相違するところはない。
(一致点5-5)
「前記構造体は、
前記軸線方向の一方側に配される一側筒部を含み、
前記内筒が前記一側筒部に接続されている、電気掃除機。」
そして、前記相違点5-1-1、5-1-2については、既に述べたとおりである(前記ア)。
本件発明5が奏する効果をみても、甲5-3発明及び周知の技術から当業者が予測の範囲内のものであって、格別ではない。
よって、本件発明5は、甲5-3発明及び周知の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
エ 本件発明6について
(ア) 本件発明6と甲5-4発明とを、その有する機能に照らして対比すると、甲5-4発明の「上端側に配される上壁部120」は、本件発明6の「前記軸線方向の一方側に配される一側筒部」に相当する。
また、甲5-4発明における「前記遠心分離外筒102の内部において上端側から底側に延びるように配される遠心分離内筒104」は、本件発明6の「前記内筒の内部において前記軸線方向に延びるように配される接続体」に相当し、「前記遠心分離外筒102の内側に形成される第二遠心分離室112内に配置され、気流が入ると、下方に進む旋回気流を形成し第二遠心分離し」、「気流は上昇気流となって上方に向けて排出され」るものであるから、本件発明6の「気流流出部」の「前記集塵空間の外部に空気を流出させる」機能を有するといえる。
そうすると、両者は、前記一致点5-1、前記相違点5-1-1、5-1-2に加え、以下の点で一致し、相違する。
(一致点5-6)
「前記構造体は、
前記軸線方向の一方側に配される一側筒部を含み、
前記集塵空間の外部に空気を流出させるための気流流出部を有し、前記内筒の内部において前記軸線方向に延びるように配される接続体を有している、電気掃除機。」
(相違点5-6)
本件発明6は、「前記内筒と前記接続体とが接続されている」のに対して、甲5-4発明は、当該構成を備えているか不明である点。
(イ) そこで、相違点について検討するに、前記相違点5-1-1、5-1-2については、既に述べたとおりである(前記ア)。
次に、相違点5-6についてみるに、甲5の図4、5において、「遠心分離内筒104」の下端が「遠心分離外筒102」に接続されていることが窺える上、甲1の図2に開示のような構造を参考に、「遠心分離内筒104」と「遠心分離外筒102」とを接続することは、当業者が適宜になし得たことである。
そして、本件発明6が奏する効果をみても、甲5-4発明及び周知の技術から当業者が予測の範囲内のものであって、格別ではない。
よって、本件発明6は、甲5-4発明、甲1に記載された事項及び周知の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
オ 本件発明7について
本件発明7は、本件発明2、3を特定するための事項を全て含むものであるから、その余の事項を検討するまでもなく、本件発明7は、本件発明4と同様の理由により(前記イ)、甲5-2発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとは認められない。
カ 本件発明8について
本件発明8と甲5-1発明、甲5-3発明、甲5-4発明とを、その有する機能に照らして対比すると、甲5-1発明、甲5-3発明、甲5-4発明の「外側に形成された前記第一遠心分離室110と、内側に形成された第二遠心分離室112とに亘って連通する小孔114が設けられ」る点は、本件発明8の「メッシュ部材が配されている」点に相当する。
そうすると、本件発明8と甲5-1発明、甲5-3発明、甲5-4発明とは、前記一致点5-1、5-5、5-6に加え、次の点で一致し、前記相違点5-1-1、5-1-2、5-6のほかに相違するところはない。
(一致点5-8)
「前記テーパー部は、メッシュ部材が配されている、電気掃除機。」
そして、前記相違点5-1-1、5-1-2、5-6については、既に述べたとおりである(前記ア、エ)。
本件発明8が奏する効果をみても、甲5-1発明、甲5-3発明、甲5-4発明、甲1に記載された事項及び周知の技術から当業者が予測の範囲内のものであって、格別ではない。
よって、本件発明8は、甲5-1発明、甲5-3発明、甲5-4発明、甲1に記載された事項及び周知の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
キ 本件発明9について
(ア) 本件発明9と甲5-1発明、甲5-3発明、甲5-4発明とを、その有する機能に照らして対比すると、本件発明9と甲5-1発明、甲5-3発明、甲5-4発明とは、前記一致点5-1、5-5、5-6、5-8で一致し、前記相違点5-1-1、5-1-2、5-6に加え、以下の点で相違する。
(相違点5-9)
本件発明9は、メッシュ部材が、「樹脂材料、金属材料又はこれらの組み合わせによって構成されている」のに対し、甲5-1発明、甲5-3発明、甲5-4発明において、当該構成を備えているか不明である点。
(イ) そこで、相違点についてみるに、前記相違点5-1-1、5-1-2、5-6については、既に述べたとおりである(前記ア、エ)。
次に、相違点5-9についてみるに、掃除機のフィルタを樹脂材料によって構成することは例示するまでもなく広く行われており、金属材料によって構成することも、甲3(【請求項3】)に記載のように周知の技術である。
そして、甲5-1発明、甲5-3発明、甲5-4発明において、「遠心分離外筒102」の材質は、当業者が適宜に決定できる設計的事項である。
本件発明9が奏する効果をみても、甲5-1発明、甲5-3発明、甲5-4発明、甲1に記載された事項及び周知の技術から当業者が予測の範囲内のものであって、格別ではない。
よって、本件発明9は、甲5-1発明、甲5-3発明、甲5-4発明、甲1に記載された事項及び周知の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
ク 本件発明10について
(ア) 本件発明10と甲5-4発明とを、その有する機能に照らして対比する。
甲5-4発明における「遠心分離内筒104」は、本件発明10の「気流流出部」の機能を有し、「気流が入ると、下方に進む旋回気流を形成し第二遠心分離し、分離された塵埃は内側集塵室74に落下し、気流は上昇気流となって上方に向けて排出され」るものであるところ、甲5には、複数(5本)設けることが記載され(【0033】)、全体としてみれば、気流が入るための複数の孔が形成されているといえる。
また、一の「遠心分離内筒104」に着目しても、分離した塵埃を「内側集塵室74」に落下させるための孔があるといえることから、複数の孔が形成されているといえる。
そうすると、両者は、前記一致点5-1、5-6で一致し、前記相違点5-1-1、5-1-2、5-6に加え、以下の点で相違する。
(相違点5-10)
本件発明10は、気流流出部が、「金属材料、樹脂材料又はこれらの組み合わせで構成される壁部」に、複数の孔が形成されたものであるのに対して、甲5-4発明は、当該構成を備えているか不明である点。
(イ) そこで、相違点について検討するに、前記相違点5-1-1、5-1-2、5-6については、既に述べたとおりである(前記ア、エ)。
次に、相違点5-10についてみるに、掃除機の部品を樹脂材料によって構成することは例示するまでもなく広く行われており、金属材料によって構成することも、甲3(【請求項3】)に記載のように周知の技術である。
そして、甲5-4発明において、「遠心分離内筒104」の材質は、当業者が適宜に決定できる設計的事項である。
本件発明10が奏する効果をみても、甲5-4発明、甲1に記載された事項及び周知の技術から当業者が予測の範囲内のものであって、格別ではない。
よって、本件発明10は、甲5-4発明、甲1に記載された事項及び周知の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
3 甲6に基づく検討
(1) 甲6に記載された発明
ア 甲6には、以下の事項が記載されている。
・「【請求項1】 送風機を設けた掃除機本体と、先端に吸込口を有する吸引管と、前記掃除機本体及び/又は吸引管に設けられる集塵容器取付部と、この集塵容器取付部に着脱自在に取り付けられる略有底筒状の集塵容器と、前記吸込口から集塵容器取付部にかけて形成されて前記集塵容器と連通可能に形成された第一の通風路と、前記集塵容器取付部から送風機にかけて形成されて前記集塵容器と連通する第二の通風路とを有するサイクロン式掃除機において、前記集塵容器内に渦気流を発生させる渦流発生部材を集塵容器の開口部に設けると共に、この渦流発生部材が、短筒状又は截頭短錐状の基部と、この基部の側面に設けられた導風部と、前記基部の端部に設けられた第一の通風口と、前記基部の側面に設けられた第二の通風口とを有し、前記第一及び第二の通風口にそれぞれフィルタを設けたことを特徴とするサイクロン式掃除機。」
・「【0009】
【発明の実施形態】以下、本発明の実施形態について、図1乃至図8に基づいて説明する。なお、本実施形態においては、図1乃至図4の姿勢を基準として、前後及び上下を規定する。図1乃至図4において、1は掃除機本体である。この掃除機本体1内の下方には、電動機2と、この電動機2の回転軸に取り付けられたファン3が設けられており、これら電動機2及びファン3とで送風機4が構成されている。また、前記掃除機本体1内の上方には、蓄電池5が設けられている。更に、前記掃除機本体1の背面側には、内部に吸引管6を設けた突出部7が一体的に設けられている。前記吸引管6の下端には、吸込口8aを設けた吸込部8が着脱自在に取り付けられていると共に、吸引管6の上端は前記突出部7の正面側の上部に形成された連通孔9で開口しており、これら吸込口8aから吸引管6を経て連通孔9に至る第一の通風路たる通風路10が形成されている。また、前記突出部7の下部には、係合部11が形成されている。更に、前記掃除機本体1の下部には、第二の通風路たる吸気孔12が形成されており、この吸気孔12の周りには、短円筒状に形成されたガイド部13が設けられている。そして、前記掃除機本体1の下部及び突出部7の正面側に、集塵容器取付部14が形成されており、この集塵容器取付部14に略有底筒状の集塵容器15が着脱自在に取り付けられている。なお、前記ガイド部13はゴム等で形成されており、集塵容器15の開口部16の内面に当接して集塵容器15を保持すると共に、その開口部16と掃除機本体1の間の隙間をシールする。
【0010】前記集塵容器15の開口部16近傍の側面には、前記連通孔9と連通する連通孔17が形成されている。また、前記集塵容器15の開口部16には、渦流発生部材18が取り付けられている。この渦流発生部材18は、前記集塵容器15の開口部16の内周面に形成された複数のリブ16Aに載置するフランジ部19Aと、このフランジ部19Aに一体形成された略截頭短円錐状の基部19と、この基部19の側面に形成された導風部20と、前記フランジ部19Aと前記導風部20の底部20Aとの間に連設された傾斜案内部20Bと、前記基部19の下端に形成された第一の通風口21と、前記基部19の側面に設けられた第二の通風口22と、これら第一及び第二の通風口21,22にそれぞれ設けられたフィルタ23,24と、前記第一の通風口21の外周に設けられた略円筒状のスカート部25とで構成されている。そして、前記渦流発生部材18は、その導風部20が前記連通孔17に臨んだ状態で集塵容器15の開口部16に対して取り付けられる。また、前記渦流発生部材18の上部には、袋状のフィルタ26が設けられたフィルタ部材27が設けられている。このフィルタ部材27の枠28は軟質樹脂で形成されており、前記集塵容器15の開口部16に対して密接可能に構成されている。また、前記集塵容器15の下部にはフック29が取り付けられており、前記集塵容器15の開口部16を前記ガイド部13に嵌め込み、前記フック29を前記係合部11に係合させることで、集塵容器15が集塵容器取付部14に着脱自在に取り付けられる。なお、30は掃除機本体1に対して着脱自在な把持部である。
【0011】次に、本実施形態の作用について説明する。まず、集塵容器15の開口部16に渦流発生部材18を取り付けると共に、この渦流発生部材18の上方からフィルタ部材27を取り付ける。このフィルタ部材27を集塵容器15の開口部16に取り付けることで、前記渦流発生部材18は集塵容器15に押し付けられて、ぐらつかずに保持される。そして、これら渦流発生部材18及びフィルタ部材27を取り付けた集塵容器15の開口部16を下方から前記ガイド部13にはめ込むと共に、前記集塵容器15の底部に設けられたフック29を突出部7の正面側に設けられた係合部11に正面側から係合させることで、集塵容器15は集塵容器取付部14に対して固定される。
【0012】前記送風機4を駆動すると、集塵容器15内の空気は、前記渦流発生部材18に形成された第一及び第二の通風口21,22からフィルタ部材27、吸気口12を経て送風機4に至る。そして、塵埃を含んだ空気が前記吸込口8aから吸引され、通風路10を経て連通孔17から集塵容器15に至る。なお、前記フィルタ部材27の枠28は軟質樹脂で構成されており、集塵容器15の開口部16と隙間なく密接するので、開口部16とフィルタ部材27の間から集塵容器15内に空気が入り込むことがない。連通孔17から集塵容器15内に入り込んだ空気は、渦流発生部材18の基部19側面に形成された導風部20に導かれて、集塵容器15の内周面に沿って渦流となる。この渦流は、集塵容器15内を1周したときに、前記傾斜案内部20Bによって下方に導かれることになり、これによって、渦流は螺旋状に下降することになる。この際、この渦流に含まれる塵埃は、遠心力によって集塵容器15の内周面に押し付けられることになる。そして、前記渦流が集塵容器15の底部に至ると、集塵容器15の内周面側で下降していた渦流は集塵容器15の中央付近で上昇に転じる。このとき、前述したように、渦流に含まれていた塵埃は遠心力によって集塵容器15の内周面に押し付けられているので、渦流が集塵容器15の内周面側から中央付近に流れたとしても、比較的重い塵埃はそのまま集塵容器15の内周面付近に留まることになり、渦流から分離される。
【0013】一方、綿埃等の比較的軽い塵埃や細かい塵埃などは、渦流に混じって集塵容器15の中央付近まで移動し、渦流の上昇に伴って集塵容器15内を上昇することになる。そして、この上昇した渦流の多くは、上方の渦流発生部材18の下部に形成されている第一の通風口21を通過すると共に、一部は渦流発生部材18の側面に形成されている第二の通風口22を通過することになる。この際、渦流に含まれる比較的軽い塵埃や細かい塵埃は、前記第一及び第二の通風口21,22に取り付けられているフィルタ23,24によって捕集され、更にこのフィルタ23,24を通過した、より細かい塵埃は、渦流発生部材18の上方に設けられたフィルタ部材27のフィルタ26によって捕集される。なお、前述したとおり、渦流の多くは第一の通風口21を通過することになり、このため、フィルタ24よりもフィルタ23の方がより多く塵埃を捕集することになるので、特に綿埃等によってフィルタ23が塞がれてしまうことが起こりがちであるが、渦流発生部材18の側面に第二の通風口22が形成されていることで、フィルタ23が塞がれてしまうことがあっても、渦流が第二の通風口22を通過することで一定の流量は確保される。また、第一の通風口22の外周には短円筒状のスカート部25が形成されているため、捕集された塵埃でフィルタ23が塞がれ、上昇した渦流がフィルタ23に捕集された塵埃に当たった後に第二の通風口22に流れたとしても、捕集された塵埃が渦流に乗って移動することがスカート部25によって抑制されるので、フィルタ24が塵埃で塞がれてしまうことが抑制されることになる。」
・「【図3】
[図:0001435155000016.jpg]
【図4】
[図:0001435155000017.jpg]
【図5】
[図:0001435155000018.jpg]
【図6】
[図:0001435155000019.jpg]
【図7】
[図:0001435155000020.jpg]
【図8】
[図:0001435155000021.jpg]
」
イ 甲6の図面において、次の点が見て取れる。
・掃除機本体1において送風機4が収容されている部分の下方に形成された集塵容器取付部14に、集塵容器15が備えられている点(図3、4)
・下方に底部を備える集塵容器15が、有底筒状を呈している点(図3、4)
・集塵容器15と渦流発生部材18の間に空間が形成されている点(図3~5)
・スカート部25が、筒形状で、基部19から下方に延びる点(図3、4、6~8)
・渦流発生部材18が、渦流発生部材18の基部19と集塵容器15との間において、基部19の側面に形成された導風部20と、渦流発生部材18のフランジ部19Aと導風部20の底部20Aとの間に連設された傾斜案内部20Bを備える点(図3~5)
・導風部20の底部20Aが、上下方向と交差する方向に延びるように傾斜案内部20Bに連結して設けられている点、底部20A、傾斜案内部20Bが基部19の側面にリブ状に設けられている点(図6、8)
・渦流発生部材18のフランジ部19Aの外径が、集塵容器15の内径と略一致するように形成されている点(図3、4)
そうすると、甲6に記載された事項から、甲6には次の発明(以下「甲6-1発明」という。)が記載されているものと認められる。
(甲6-1発明)
「電動機2及びファン3とで構成された送風機4を有する掃除機本体1と、
前記掃除機本体1において送風機4が収容されている部分の下方に形成された集塵容器取付部14に着脱自在な集塵容器15と、を備え、
前記集塵容器15は、
側面に設けられた連通孔17、上方に設けられた開口部16、及び下方の底部を備えた有底筒状であり、
前記集塵容器15の前記開口部16に渦流発生部材18が取り付けられ、
前記集塵容器15、及び前記渦流発生部材18の間に空間が形成され、
前記渦流発生部材18は、
フランジ部19Aと、
前記フランジ部19Aに一体形成された略截頭短円錐状の基部19と、
前記基部19の側面に形成された導風部20と、
前記基部19の側面に設けられ、前記集塵容器15の内周面に沿った渦流が通過する第二の通風口22と、
前記基部19から下方に延びる筒形状のスカート部25と、を有し、
前記渦流発生部材18は、前記渦流発生部材18と前記集塵容器15との間において、前記フランジ部19Aと前記導風部20の底部20Aとの間に連設された傾斜案内部20Bを備えており、
前記連通孔17から前記集塵容器15に入り込んだ空気は、前記導風部20に導かれて、前記集塵容器15の内周面に沿って渦流となり、
前記導風部20の前記底部20Aが、前記基部19と前記集塵容器15との間において、上下方向と交差する方向に延びるように傾斜案内部20Bに連結して設けられており、
前記傾斜案内部20Bと底部20Aとは、前記基部19の側面にリブ状に設けられており、
前記フランジ部19Aの外径が、前記集塵容器15の内径と略一致するように形成されている、サイクロン式掃除機。」
ウ 甲6の図3、4において、スカート部25は、下方の端部が、集塵容器15と渦流発生部材18の間に形成された空間の内部において、集塵容器15の底部から離間している点が見て取れる。
そうすると、甲6に記載された事項から、甲6には次の発明(以下「甲6-2発明」という。)が記載されているものと認められる。
(甲6-2発明)
「電動機2及びファン3とで構成された送風機4を有する掃除機本体1と、
前記掃除機本体1に形成された集塵容器取付部14に着脱自在な集塵容器15と、を備え、
前記集塵容器15は、
連通孔17、及び上方に設けられた開口部16を備え、
前記集塵容器15の前記開口部16に渦流発生部材18が取り付けられ、
前記集塵容器15、及び前記渦流発生部材18の間に空間が形成され、
前記渦流発生部材18は、
フランジ部19Aと、
前記フランジ部19Aに一体形成された略截頭短円錐状の基部19と、
前記基部19の側面に形成された導風部20と、
前記基部19の側面に設けられ、前記集塵容器15の内周面に沿った渦流が通過する第二の通風口22と、
前記基部19から下方に延びる筒形状のスカート部25と、を有し、
前記渦流発生部材18は、前記渦流発生部材18と前記集塵容器15との間において、前記フランジ部19Aと前記導風部20の底部20Aとの間に連設された傾斜案内部20Bを備えており、
前記集塵容器15は、下方の底部を有するものであり、
前記スカート部25は、下方の端部が、前記空間の内部において前記集塵容器15の底部から離間しており、
前記連通孔17から前記集塵容器15に入り込んだ空気は、前記導風部20に導かれて、前記集塵容器15の内周面に沿って渦流となり、
前記導風部20の前記底部20Aが上下方向と交差する方向に延びるように設けられている、サイクロン式掃除機。」
エ 甲6に記載された事項から、甲6には次の発明(以下「甲6-3発明」という。)が記載されているものと認められる。
(甲6-3発明)
「前記渦流発生部材18の上部において前記開口部16にフィルタ部材27が取り付けられている、甲6-1発明又は甲6-2発明に係るサイクロン式掃除機。」
オ 甲6に記載された事項から、甲6には次の発明(以下「甲6-4発明」という。)が記載されているものと認められる。
(甲6-4発明)
「前記渦流発生部材18の上部において前記開口部16にフィルタ部材27が取り付けられており、
前記フィルタ部材27の枠28は軟質樹脂で形成されており、前記集塵容器15の前記開口部16に対して密接可能に構成されている、甲6-2発明に係るサイクロン式掃除機。」
カ 甲6に記載された事項から、甲6には次の発明(以下「甲6-5発明」という。)が記載されているものと認められる。
(甲6-5発明)
「前記基部19の前記第二の通風口22にフィルタ24が設けられている、甲6-1発明~甲6-4発明に係るサイクロン式掃除機。」
(2) 対比及び判断
ア 本件発明1について
(ア) 本件発明1と甲6-1発明とを、その有する機能に照らして対比する。
a 甲6-1発明の「電動機2及びファン3とで構成された送風機4」、「掃除機本体1」は、それぞれ、本件発明1の「電動送風機」、「掃除機本体」に相当する。
b 甲6-1発明の「集塵容器15」及び「渦流発生部材18」は、本件発明1の「集塵装置」に相当し、甲6-1発明の「集塵容器15」は、「前記掃除機本体1において送風機4が収容されている部分の下方に形成された集塵容器取付部14に着脱自在」であるから、甲6-1発明は、本件発明1と同様に、「前記掃除機本体において電動送風機収容部の下方側の位置に着脱可能な集塵装置」を備えるものである。
c 甲6-1発明の「側面に設けられた連通孔17」、「上方に設けられた開口部16」、「下方の底部」、「有底筒状」である「集塵容器15」は、それぞれ、本件発明1の「周部に設けられた流入口」、「軸線方向一方側に設けられた開口部」、「軸線方向他方側に設けられた外筒底部」、「有底筒状の外筒」に相当する。
また、甲6-1発明の「渦流発生部材18」は、「前記集塵容器15の前記開口部16」に取り付けられるものであるから、本件発明1の「前記外筒の内部に配される構造体」に相当し、甲6-1発明の「渦流発生部材18」は、「前記集塵容器15の前記開口部16」に取り付けられることにより、「前記集塵容器15、及び前記渦流発生部材18の間に空間が形成され」ることから、甲6-1発明の「前記集塵容器15、及び前記渦流発生部材18の間」に形成された「空間」は、その位置に照らして、本件発明1の「前記外筒に前記構造体を挿入し前記外筒、及び前記構造体の間に形成される集塵空間」に相当する。
d 甲6-1発明の「渦流発生部材18」の「略截頭短円錐状の基部19」は、本件発明1の「前記軸線方向一方側から他方側に向かうにつれて外形が小さくなるように形成されたテーパー部」に相当する。
e 甲6-1発明の「第二の通風口22」は、「前記集塵容器15の内周面に沿った渦流が通過する」ものであるから、「第二の通風口22」が設けられた「基部19」は、本件発明1の「前記集塵空間から排気するための集塵空間排気部」に相当するとともに、本件発明1の「前記集塵空間から排気するための集塵空間排気部として備えた内筒」に相当する。
また、甲6-1発明の「スカート部25」は、「筒形状」であり、「前記基部19」(内筒)から下方に延びることから、本件発明1の「前記内筒から前記軸線方向他方側に延びる筒形状の延出部」に相当する。
f 甲6-1発明の「傾斜案内部20B」は、「前記フランジ部19Aと前記導風部20の底部20Aとの間に連設され」、上方側から下方側に向かうに連れて、渦流の旋回方向上流側の位置から連通孔17に向けて近づくよう延びるといえるから、本件発明1の「前記内筒と前記外筒との間において、前記軸線方向の一方側から他方側に向かうに連れて、気流の旋回方向上流側の位置から前記流入口に向けて近づくよう延びる第一ガイド部」に相当する。
また、甲6-1発明は「前記連通孔17から前記集塵容器15に入り込んだ空気は、前記導風部20に導かれて、前記集塵容器15の内周面に沿って渦流とな」るものであるところ、「導風部20の底部20A」は、「導風部20」のこうした機能の一端を担っているから、本件発明1の「前記流入口から前記集塵空間に流入する気流を案内する第二ガイド部」に相当する。
そして、甲6-1発明の「底部20A」は、「前記内筒と外筒との間において、上下方向と交差する方向に延びるように傾斜案内部20Bに連結して」いることから、本件発明1の「第二ガイド部」と同様に、「前記内筒と外筒との間において、前記軸線方向と交差する方向に延びるように前記第一ガイド部に連結して設けられて」いるものである。
さらに、甲6-1発明の「傾斜案内部20B」、「底部20A」は、「前記基部19の側面にリブ状に設けられて」いることから、本件発明1の「第一ガイド部」、「第二ガイド部」と同様に、「前記テーパー部の外周部にリブ状に設けられて」いるものである。
g 甲6-1発明の「サイクロン式掃除機」は、本件発明1の「電気掃除機」に相当する。
h そうすると、本件発明1と甲6-1発明とは、以下の点で一致し、相違する。
(一致点6-1)
「電動送風機を有する掃除機本体と、
前記掃除機本体において電動送風機収容部の下方側の位置に着脱可能な集塵装置と、を備え、
前記集塵装置は、
周部に設けられた流入口、軸線方向一方側に設けられた開口部、及び軸線方向他方側に設けられた外筒底部を備えた有底筒状の外筒と、
前記外筒の内部に配される構造体と、
前記外筒に前記構造体を挿入し前記外筒、及び前記構造体の間に形成される集塵空間と、を有し、
前記構造体は、
前記軸線方向一方側から他方側に向かうにつれて外形が小さくなるように形成されたテーパー部を有し、
前記構造体は、
前記テーパー部を、前記集塵空間から排気するための集塵空間排気部として備えた内筒と、
前記内筒から前記軸線方向他方側に延びる筒形状の延出部と、を有し、
前記集塵装置は、前記内筒と前記外筒との間において、前記軸線方向の一方側から他方側に向かうに連れて、気流の旋回方向上流側の位置から前記流入口に向けて近づくよう延びる第一ガイド部を備えており、
前記集塵装置は、前記流入口から前記集塵空間に流入する気流を案内する第二ガイド部を有し、
前記第二ガイド部は、前記内筒と外筒との間において、前記軸線方向と交差する方向に延びるように前記第一ガイド部に連結して設けられており、
前記第一ガイド部と第二ガイド部とは、前記テーパー部の外周部にリブ状に設けられている、電気掃除機。」
(相違点6-1)
本件発明1は、「前記テーパー部は、前記軸線方向の一方側における大径部の外径部が、前記外筒の内径と略一致するように形成されており」、「前記テーパー部の大径部の外周面に周溝が設けられ、当該周溝に気密部材が装着されることで、前記テーパー部と前記外筒の内周面との間が封止される」のに対し、甲6-1発明は、当該構成を備えていない点。
(イ)a このように、甲6-1発明は、本件発明1と相違するところがあり、この点は実質的なものであるから、本件発明1は、甲6に記載された発明とは認められない。
b 次に、相違点6-1について検討する。
甲6-1発明は「前記フランジ部19Aの外径が、前記集塵容器15の内径と略一致するように形成されて」おり、甲6には、「前記渦流発生部材18の上部にフィルタ部材27が設けられ、前記フィルタ部材27の枠28は軟質樹脂で形成されており、前記集塵容器15の前記開口部16に対して密接可能に構成されている」(甲6-3発明、甲6-4発明)点が記載されており、これにより、渦流発生部材18と集塵容器15との間が封止されているものと認められるが、渦流発生部材18と集塵容器15との間の封止の形態は、当業者が適宜のものを採用し得ることは明らかである。
そして、周溝に気密部材を装着することで、封止するといった手段は、周知の技術であるから(前記2(2)ア(イ)b)、甲6-1発明における「フランジ部19A」の外周面に周溝を設け、当該周溝に気密部材を装着することで、渦流発生部材18と集塵容器15との間の気密性を確保することは、当業者にとって格別困難なことではない。
ところで、本件発明1の「テーパー部の大径部」は、軸線方向一方側から他方側に向かうにつれて外形が小さくなるように、すなわち、テーパー状に形成されたものとは解されず、「テーパー部」のうち、テーパー状に形成された部分における軸線方向一方側の端部が外筒から離れた内側にあるものを排除していないものと認められる(前記2(2)ア(イ)b)。
そうすると、甲6-1発明における、「フランジ部19A」は、その位置、機能に照らして、本件発明1の「テーパー部の大径部」に相当する部位といえるから、「フランジ部19A」の外周面に周溝を設け、当該周溝に気密部材を装着した構成は、相違点6-1に係る構成と同じものである。
また、仮に、本件発明1の相違点6-1に係る構成が、テーパー状に形成された部分における軸線方向一方側の端部が外筒から離れていないことを意味するとしても、甲6-1発明における、「基部19」(テーパー状に形成された部分)の上端が集塵容器15から離れていないような「フランジ部19A」にすることも、集塵容器15内の容積等に応じて、当業者が適宜になし得たことである。
よって、甲6-1発明において、周知の技術を適用し、相違点6-1の構成とすることは、当業者が容易に想到することができたものある。
c 本件発明1の奏する効果をみても、甲6-1発明及び周知の技術から当業者が予測の範囲内のものであって、格別ではない。
d 特許権者は、概ね、以下のように主張している(令和7年7月25日付け意見書5.5.3)。
・本件発明1では、「前記テーパー部の大径部の外周面に周溝が設けられ、当該周溝に気密部材が装着されることで、前記テーパー部と前記外筒の内周面との間が封止される」構成を有しているのに対し、甲6には、渦流発生部材18の基部19と集塵容器15との間の、このような周溝と気密部材による封止構造は記載されていない。
・本件発明1では、「前記第二ガイド部は、前記内筒と外筒との間において、前記軸線方向と交差する方向に延びるように前記第一ガイド部に連結して設けられており」、「前記第一ガイド部と第二ガイド部とは、前記テーパー部の外周部にリブ状に設けられて」いる構成を有しているのに対し、甲6には、導風部20と傾斜案内部20Bの連結関係やリブ状の構成は具体的に記載されていない。
・本件発明1では、延出部が「筒形状」であるのに対し、甲6では、スカート部25の具体的形状は筒形状に限定されていない。
・本件発明1では、「前記テーパー部は、前記軸線方向の一方側における大径部の外径部が、前記外筒の内径と略一致するように形成されて」いる構成を有しているのに対し、甲6では、外筒の内径に対してテーパー部が非常に小さく、大径部が外筒の内周から離れた内側にある。
しかしながら、甲6-1発明において、渦流発生部材18と集塵容器15との間の封止の形態は、当業者が適宜のものを採用し得ることは明らかで、周溝に気密部材を装着することで封止するといった手段は、周知の技術であるから、甲6-1発明における「フランジ部19A」の外周面に周溝を設け、当該周溝に気密部材を装着することで、外側容器52と遠心分離外筒102の間の気密性を確保することは、当業者にとって格別困難なことではない。その場合、「フランジ部19A」は、本件発明1の「テーパー部の大径部」に相当する部位といえ、相違点6-1に係る構成と同じものである。
また、甲6の図面において、スカート部25が、筒形状で、基部19から下方に延びる点(図3、4、6~8)、導風部20の底部20Aが、上下方向と交差する方向に延びるように傾斜案内部20Bに連結して設けられている点、底部20A、傾斜案内部20Bが基部19の側面にリブ状に設けられている点(図6、8)
が見て取れる。
そして、本件発明1は、「テーパー部」のうち、テーパー状に形成された部分における軸線方向一方側の端部の外径が、外筒の内径と略一致するように形成されていることまで特定されているものではなく、テーパー状に形成された部分における軸線方向一方側の端部が外筒から離れた内側にあるものを排除していない。甲6-1発明の「フランジ部19A」及び「基部19」の構成が、この点で、格別相違するものではない。
よって、特許権者の主張は採用することができない。
(ウ) 以上のとおり、本件発明1は、甲6-1発明及び周知の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
イ 本件発明4について
(ア) 本件発明4と甲6-2発明とを、その有する機能に照らして対比する。
a 甲6-2発明の「電動機2及びファン3とで構成された送風機4」、「掃除機本体1」は、それぞれ、本件発明4の「電動送風機」、「掃除機本体」に相当する。
b 甲6-2発明の「集塵容器15」及び「渦流発生部材18」は、本件発明4の「集塵装置」に相当し、甲6-2発明の「集塵容器15」は、「前記掃除機本体1に集塵容器取付部14に着脱自在」であるから、甲6-2発明は、本件発明4と同様に、「前記掃除機本体に着脱可能な集塵装置」を備えるものである。
c 甲6-2発明の「連通孔17」、「上方に設けられた開口部16」、「集塵容器15」は、それぞれ、本件発明4の「流入口」、「軸線方向一方側に設けられた開口部」、「外筒」に相当する。
また、甲6-2発明の「渦流発生部材18」は、「前記集塵容器15の前記開口部16」に取り付けられるものであるから、本件発明2の「前記外筒の内部に配される構造体」に相当し、甲6-2発明の「前記集塵容器15、及び前記渦流発生部材18の間」に形成された「空間」は、その位置に照らして、本件発明4の「前記外筒、及び前記構造体の間に形成される集塵空間」に相当する。
d 甲6-2発明の「渦流発生部材18」の「略截頭短円錐状の基部19」は、本件発明4の「前記軸線方向一方側から他方側に向かうにつれて外形が小さくなるように形成されたテーパー部」に相当する。
e 甲6-2発明の「第二の通風口22」は、「前記集塵容器15の内周面に沿った渦流が通過する」ものであるから、「第二の通風口22」が設けられた「基部19」は、本件発明2の「前記集塵空間から排気するための集塵空間排気部」に相当するとともに、本件発明2の「前記集塵空間から排気するための集塵空間排気部として備えた内筒」に相当する。
また、甲6-2発明の「スカート部25」は、「前記基部19」(内筒)から下方に延びることから、本件発明2の「前記内筒から前記軸線方向他方側に延びる延出部」に相当する。
f 甲6-2発明の「傾斜案内部20B」は、「前記フランジ部19Aと前記導風部20の底部20Aとの間に連設され」、上方側から下方側に向かうに連れて、渦流の旋回方向上流側の位置から連通孔17に向けて近づくよう延びるといえるから、本件発明4の「前記内筒と前記外筒との間において、前記軸線方向の一方側から他方側に向かうに連れて、気流の旋回方向上流側の位置から前記流入口に向けて近づくよう延びる第一ガイド部」に相当する。
g 甲6-2発明の「集塵容器15」の「下方の底部」は、本件発明4の「外筒」の「前記軸線方向他方側に底をなす外筒底部」に相当し、甲6-2発明は、「前記スカート部25は、下方の端部が、前記空間の内部において前記集塵容器15の底部から離間して」いることから、本件発明4と同様に、「前記延出部は、前記軸線方向の他方側の端部が、前記集塵空間の内部において前記外筒底部から離間している」ものである。
h 甲6-2発明の「サイクロン式掃除機」は、本件発明4の「電気掃除機」に相当する。
i 甲6-2発明は「前記連通孔17から前記集塵容器15に入り込んだ空気は、前記導風部20に導かれて、前記集塵容器15の内周面に沿って渦流とな」るものであるところ、「導風部20の底部20A」は、「導風部20」のこうした機能の一端を担っているから、本件発明4の「前記流入口から前記集塵空間に流入する気流を案内する第二ガイド部」に相当する。
そして、甲6-2発明の「底部20A」は、「前記渦流発生部材18と前記集塵容器15との間において」、「傾斜案内部20B」に連設し、「上下方向と交差する方向に延びるように設けられている」ことから、本件発明4の「第二ガイド部」と同様に、「前記内筒と外筒との間において、前記軸線方向と交差する方向に延びるように設けられている」ものである。
j そうすると、本件発明4と甲6-2発明とは、以下の点で一致する。
(一致点6-4)
「電動送風機を有する掃除機本体と、
前記掃除機本体に着脱可能な集塵装置と、を備え、
前記集塵装置は、
流入口、及び軸線方向一方側に設けられた開口部を備えた外筒と、
前記外筒の内部に配される構造体と、
前記外筒、及び前記構造体の間に形成される集塵空間と、を有し、
前記構造体は、
前記軸線方向一方側から他方側に向かうにつれて外形が小さくなるように形成されたテーパー部を有し、
前記構造体は、
前記テーパー部を、前記集塵空間から排気するための集塵空間排気部として備えた内筒と、
前記内筒から前記軸線方向他方側に延びる延出部と、を有し、
前記集塵装置は、前記内筒と前記外筒との間において、前記軸線方向の一方側から他方側に向かうに連れて、気流の旋回方向上流側の位置から前記流入口に向けて近づくよう延びる第一ガイド部を備えており、
前記外筒は、前記軸線方向他方側に底をなす外筒底部を有するものであり、
前記延出部は、前記軸線方向の他方側の端部が、前記集塵空間の内部において前記外筒底部から離間しており、
前記集塵装置は、前記流入口から前記集塵空間に流入する気流を案内する第二ガイド部を有し、
前記第二ガイド部は、前記内筒と外筒との間において、前記軸線方向と交差する方向に延びるように設けられている、電気掃除機。」
(イ) 本件発明4は、請求項2又は請求項3に記載された事項のうち一方を備えていれば足りることから、本件発明4と甲6-2発明とは、格別相違するところはない。
よって、本件発明4のうち請求項2に記載された事項を備えるものは、甲6に記載された発明である。
仮に、相違するところがあるとしても、甲6-2発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
ウ 本件発明5について
本件発明5と甲6-3発明とを、その有する機能に照らして対比すると、甲6-3発明の「前記渦流発生部材18の上部において前記開口部16」に取り付けられる「フィルタ部材27」は、本件発明5の「前記軸線方向の一方側に配される一側筒部」に相当し、「フィルタ部材27」は、「前記渦流発生部材18の上部において前記開口部16」に取り付けられることにより、「基部19」と接続されるから、甲6-3発明は、本件発明5と同様に、「前記内筒が前記一側筒部に接続されている」ものである。
そうすると、本件発明5と甲6-3発明とは、前記一致点6-1、一致点6-4に加え、次の点で一致し、前記相違点6-1のほかに相違するところはない。
(一致点6-5)
「前記構造体は、
前記軸線方向の一方側に配される一側筒部を含み、
前記内筒が前記一側筒部に接続されている、電気掃除機。」
そして、前記相違点6-1については、既に述べたとおりである(前記ア)。
よって、本件発明5は、甲6に記載された発明である、又は甲6-3発明若しくは甲6-3発明及び周知の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
エ 本件発明7について
(ア) 本件発明7と甲6-4発明とを、本件発明4と甲6-2発明との関係を参考に、その有する機能に照らして対比すると、両者は、前記イ(ア)a~hと同様の相当関係を有する。
また、甲6-4発明において、「前記連通孔17から前記集塵容器15に入り込んだ空気は、前記導風部20に導かれて、前記集塵容器15の内周面に沿って渦流となり」、「前記渦流発生部材18の上部において前記開口部16にフィルタ部材27が取り付けられて」いることから、「前記フィルタ部材27の枠28」は、連通孔17(流入口)より上方の位置となる。
そして、「前記フィルタ部材27の枠28」は、「軟質樹脂で形成されており、前記集塵容器15の前記開口部16に対して密接可能に構成されている」ことにより、渦流発生部材18と集塵容器15との間を封止しているものと認められるから、本件発明7の「前記流入口よりも前記軸線方向の一方側において、前記構造体と前記外筒との間を封止する封止部」に相当する。
そうすると、本件発明7と甲6-4発明とは、以下の点で一致する。
(一致点6-7)
「電動送風機を有する掃除機本体と、
前記掃除機本体に着脱可能な集塵装置と、を備え、
前記集塵装置は、
流入口、及び軸線方向一方側に設けられた開口部を備えた外筒と、
前記外筒の内部に配される構造体と、
前記外筒、及び前記構造体の間に形成される集塵空間と、を有し、
前記構造体は、
前記軸線方向一方側から他方側に向かうにつれて外形が小さくなるように形成されたテーパー部を有し、
前記構造体は、
前記テーパー部を、前記集塵空間から排気するための集塵空間排気部として備えた内筒と、
前記内筒から前記軸線方向他方側に延びる延出部と、を有し、
前記集塵装置は、前記内筒と前記外筒との間において、前記軸線方向の一方側から他方側に向かうに連れて、気流の旋回方向上流側の位置から前記流入口に向けて近づくよう延びる第一ガイド部を備えており、
前記外筒は、前記軸線方向他方側に底をなす外筒底部を有するものであり、
前記延出部は、前記軸線方向の他方側の端部が、前記集塵空間の内部において前記外筒底部から離間しており、
前記集塵装置は、前記流入口よりも前記軸線方向の一方側において、前記構造体と前記外筒との間を封止する封止部を有する、電気掃除機。」
(イ) 本件発明7は、請求項2又は請求項3に記載された事項のうち一方を備えていれば足りることから、本件発明7と甲6-4発明とは、格別相違するところはない。
よって、本件発明7のうち請求項2に記載された事項を備えるものは、甲6に記載された発明である。
仮に、相違するところがあるとしても、甲6-4発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
オ 本件発明8について
本件発明8と甲6-5発明とを、その有する機能に照らして対比すると、甲6-5発明の「フィルタ24」は、本件発明8の「メッシュ部材」に相当する。
そうすると、本件発明8と甲6-5発明とは、前記一致点6-1、6-4、6-5、6-7に加え、次の点で一致し、前記相違点6-1のほかに相違するところはない。
(一致点6-8)
「前記集塵装置は、前記流入口よりも前記軸線方向の一方側において、前記構造体と前記外筒との間を封止する封止部を有する、電気掃除機。」
そして、前記相違点6-1については、既に述べたとおりである(前記ア)。
よって、本件発明8は、甲6に記載された発明である、又は甲6-5発明若しくは甲6-5発明及び周知の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
カ 本件発明9について
(ア) 本件発明9と甲6-5発明とを、その有する機能に照らして対比すると、本件発明9と甲6-5発明とは、前記一致点6-1、6-4、6-5、6-7、6-8で一致し、前記相違点6-1に加え、次の点で相違する。
(相違点6-9)
本件発明9は、メッシュ部材が、「樹脂材料、金属材料又はこれらの組み合わせによって構成されている」のに対し、甲6-5発明において、当該構成を備えているか不明である点。
(イ) そこで、相違点についてみるに、前記相違点6-1については、既に述べたとおりである(前記ア)。
次に、相違点6-9についてみるに、掃除機のフィルタを樹脂材料によって構成することは例示するまでもなく広く行われており、金属材料によって構成することも、甲3(【請求項3】)に記載のように周知の技術である。
そして、甲6-5発明において、「フィルタ24」の材質は、当業者が適宜に決定できる設計的事項である。
本件発明9の奏する効果をみても、甲6-5発明及び周知の技術から当業者が予測の範囲内のものであって、格別ではない。
よって、本件発明9は、甲6-5発明及び周知の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
2 甲7に基づく検討
(1) 甲7に記載された発明
ア 甲7には、以下の事項が記載されている。
・「【請求項1】
電動送風機を有する掃除機本体と、この掃除機本体に対して着脱自在に取り付けられる集塵部よりなるサイクロン式電気掃除機において、前記集塵部を、有底で略円筒形状のサイクロン部と、このサイクロン部に塵埃を含む気流を導入する導入部とで構成し、この導入部を取付ける取付部を前記サイクロン部と一体に形成し、この取付部に前記導入部を着脱自在とすると共に、前記集塵部に渦流発生手段を設け、前記導入部に吸込口体を着脱自在に取り付けたことを特徴とするサイクロン式電気掃除機。」
・「【0020】
図1~図3において、1は掃除機本体である。この掃除機本体1内には、電動機2と、この電動機2の回転軸に取り付けられたファン3が設けられており、これら電動機2とファン3で電動送風機4が構成されている。また、前記掃除機本体1の下部には、略短円筒状で且つ下端5Aが平坦に形成されたガイド部5が設けられており、このガイド部5に、下方が開放した吸気孔6が形成されていると共に、この吸気孔6によって、前記ガイド部5の下方と電動送風機4とが連通している。また、前記ガイド部5には、吸気孔6を覆うように保護枠7が形成されている。また、前記ガイド部5の正面側には可動フック8が設けられている。更に、前記ガイド部5の後方には下方に突出した凸部9が形成されていると共に、この凸部9の側面に、後方に突出した固定フック10が形成されている。このように、掃除機本体1は単純な構造に構成されている。
【0021】
前記掃除機本体1の下方には、樹脂製の集塵部11が着脱自在に取り付けられている。この集塵部11には、その一端たる上部に前記ガイド部5が挿入される開口部たる第一開口部12と、凸部9が挿入される第二開口部13が形成されている。そして、前記第一開口部12の下方には、有底で且つ下方がやや細くなった略円筒状のサイクロン部14が形成されていると共に、前記第二開口部13の下方には、前記サイクロン部14の軸方向と略平行で且つ内面が短円筒状の取付部14Bが形成されており、この取付部14Bの下方に、円筒状の導入部15が着脱自在に取り付けられている。なお、前記取付部14Bの下方内面には雌ネジ部14Cが形成されており、この雌ネジ部14Cに対して導入部15の上部に形成された雄ネジ部15Aを螺合させることによって、取付部14Bに導入部15が取り付けられている。また、前記取付部14Bと第二開口部13の間には導入壁16が形成されることで、取付部14Bの上端が閉塞されていると共に、サイクロン部14の上部と導入部15の上端近傍の間の側壁に導入口17が形成されている。これによって、導入部15の下端から導入部15、取付部14B及び導入口17を経てサイクロン部14に至る経路が構成されている。なお、前記導入壁16は、導入部15を上昇してきた気流の方向を導入部15及び取付部14Bの軸直方向にスムーズに曲げて導入口17からサイクロン部14に導入するために、滑らかな曲面状に形成されている。」
・「【0023】
更に、前記第一開口部12には、渦流発生手段たる渦流発生部材21が着脱自在に取り付けられている。この渦流発生部材21は、前記第一開口部12とサイクロン部14の間の段部14Aに載置するフランジ部22と、このフランジ部22と一体に形成された短円筒状の基部23と、この基部23の側面に形成された導風部24と、前記フランジ部22と前記導風部24の底部24Aとの間に連設された傾斜案内部24Bと、前記基部23の下端に形成された第一通風口25と、前記基部23の側面に設けられた第二通風口26と、これら第一及び第二通風口25,26にそれぞれ設けられたフィルタ27,28と、前記第一通風口25の外周に設けられた略短円筒状のスカート部29とで構成されている。そして、前記渦流発生部材21は、その導風部24が前記導入口17に臨んだ状態で第一開口部12に対して取り付けられる。また、前記渦流発生部材21の上部には、袋状のフィルタ30が設けられたフィルタ部材31が設けられている。このフィルタ部材31の枠32は軟質樹脂又はゴムで形成されており、この枠32の外周に形成されたシール部33が前記第一開口部12の内周に対して密接可能に構成されている。また、前記枠32の上部にはリップ部34が形成されており、渦流発生部材21及びフィルタ部材31が取り付けられた集塵部11を掃除機本体1に取り付けた際に、前記リップ部34が前記吸気孔6を囲むようにガイド部5の下端5Aと密接可能に構成されている。」
・「【0025】
次に、本実施形態の作用について説明する。まず使用者は、導入部15を下方から保持環11Aに通し、集塵部11の取付部14Bに形成された雌ネジ部14Cに導入部15の雄ネジ部15Aを螺合させることで、導入部15を取付部14Bに取り付ける。このとき、導入部15のテーパ部15Bがサイクロン部14の後部の下方側面に形成された保持環11Aに当接するので、前記導入部15は、その上部及び下部において保持されることになり、これによってサイクロン部14に対する導入部15の取付強度が高められることになる。そして、集塵部11の第一開口部12に渦流発生部材21及びフィルタ部材31を取り付ける。このとき、フィルタ部材31のシール部33が第一開口部12の内壁に密接する。そして、集塵部11の第二受部19を固定フック10と係合させた後、第一受部18を可動フック8と係合させることで、集塵部11が掃除機本体1に対して取り付けられる。このとき、前記ガイド部5が第一開口部12に挿入されると共に、凸部9が第二開口部13に挿入されることで、集塵部11が掃除機本体1に対して位置決めされる。そして、前記フィルタ部材31のリップ部34が、前記吸気孔6を囲むようにガイド部5の下端5Aと密接する。これによって、サイクロン部14内から吸気孔6に至る経路がシールされる。更に、前記導入部15の下端にノズル20を取り付ける。」
・「【0026】
そして、電源コード38を引掛部36,37から外し、図示しないコンセントに差し込んでスイッチ操作部39を操作すると、電動送風機4が駆動される。そして、この電動送風機4の駆動によって、塵埃を含んだ気流がノズル20から吸い込まれる。この気流は、ノズル20から吸い込まれて導入部15及び取付部14Bを上昇し、この取付部14Bの上端で導入壁16に沿って向きを変えると共に、導入口17からサイクロン部14に導入される。このとき、導入部15の下端から導入部15、取付部14B及び導入口17を経てサイクロン部14に至る経路が、少ない部材によって構成されているため、気流がこの区間で漏れてしまう虞を少なくできる。そして、サイクロン部14に導入された気流は、前記渦流発生部材21の基部23側面に形成された導風部24に導かれてサイクロン部14の内周面に沿って渦流となる。この渦流は、サイクロン部14を1周したときに、前記傾斜案内部24Bによって下方に導かれることになり、これによって、渦流は螺旋状に下降することになる。この際、この渦流に含まれる塵埃は、遠心力によってサイクロン部14の内周面に押し付けられることになる。そして、前記渦流がサイクロン部14の底部に至ると、サイクロン部14の内周面側で下降していた渦流はサイクロン部14の中央付近で上昇に転じる。このとき、前述したように、渦流に含まれていた塵埃は遠心力によってサイクロン部14の内周面に押し付けられているので、渦流がサイクロン部14の内周面側から中央付近に流れたとしても、比較的粗い塵埃はそのままサイクロン部14の内周面付近に留まることになり、渦流から分離される。
【0027】
一方、比較的細かい塵埃は、渦流に混じってサイクロン部14の中央付近まで移動し、渦流の上昇に伴ってサイクロン部14内を上昇することになる。そして、この上昇した渦流の多くは、上方の渦流発生部材21の下部に形成されている第一通風口25を通過すると共に、一部は渦流発生部材21の側面に形成されている第二通風口26を通過することになる。この際、渦流に含まれている比較的細かい塵埃は、前記第一及び第二通風口25,26に取り付けられているフィルタ27,28によって捕集され、更にこのフィルタ27,28を通過した、より細かい塵埃は、渦流発生部材21の上方に設けられたフィルタ部材31のフィルタ30によって捕集される。なお、前述したとおり、渦流の多くは第一通風口25を通過することになり、このため、フィルタ28よりもフィルタ27の方がより多く塵埃を捕集することになるので、特に綿埃等によってフィルタ27が塞がれてしまうことが起こりがちであるが、渦流発生部材21の側面に第二通風口26が形成されていることで、フィルタ27が塞がれてしまうことがあっても、渦流が第二通風口26を通過することで一定の流量は確保される。また、第一通風口25の外周には短円筒状のスカート部29が形成されているため、捕集された塵埃でフィルタ27が塞がれ、上昇した渦流がフィルタ27に当たった後に第二通風口26に流れたとしても、フィルタ27に当たった渦流はスカート部29を越えなければならず、従って捕集された塵埃が渦流に乗って移動することがスカート部29によって抑制されるので、フィルタ28が塵埃で塞がれてしまうことが抑制されることになる。そして、渦流発生部材21のフィルタ27,28及びフィルタ部材31のフィルタ30を通過した気流は、前記吸気孔6から電動送風機4に至り、更に掃除機本体1外に抜ける。」
・「【図3】
[図:0001435155000022.jpg]
【図5】
[図:0001435155000023.jpg]
【図7】
[図:0001435155000024.jpg]
【図8】
[図:0001435155000025.jpg]
」
イ 甲7の図面において、次の点が見て取れる。
・掃除機本体1において電動送風機4が収容されている部分の下方に、集塵部11が備えられている点(図3)
・下方に底部を備えるサイクロン部14が、有底筒状を呈している点(図2~5)
・サイクロン部14と渦流発生部材21の間に空間が形成されている点(図3、5)
・基部23が、上方側から下方側に向かうにつれて外形が小さくなるように形成されている点、スカート部29が、筒形状で、基部23から下方に延びる点(図3、5、7、8)
・渦流発生部材21が、渦流発生部材21の基部23とサイクロン部14との間において、基部23の側面に形成された導風部24と、渦流発生部材21のフランジ部22と導風部24の底部24Aとの間に連設された傾斜案内部24Bを備える点(図3、5、7、8)
・導風部24の底部24Aが、上下方向と交差する方向に延びるように傾斜案内部24Bに連結して設けられている点、底部24A、傾斜案内部24Bが基部23の側面にリブ状に設けられている点(図7、8)
・渦流発生部材21のフランジ部22の外径が、サイクロン部14の内径と略一致するように形成されている点(図3、5)
そうすると、甲7に記載された事項から、甲7には次の発明(以下「甲7-1発明」という。)が記載されているものと認められる。
(甲7-1発明)
「電動送風機4を有する掃除機本体1と、
前記掃除機本体1において電動送風機4が収容されている部分の下方に着脱自在な集塵部11と、を備え、
前記集塵部11は、
側壁に設けられた導入口17、上方に設けられた第一開口部12、及び下方の底部を備えた有底筒状のサイクロン部14を有し、
前記サイクロン部14の前記第一開口部12に渦流発生部材21が取り付けられ、
前記サイクロン部14、及び前記渦流発生部材21の間に空間が形成され、
前記渦流発生部材21は、
フランジ部22と、
前記フランジ部22に、上方側から下方側に向かうにつれて外形が小さくなるように一体形成された基部23と、
前記基部23の側面に形成された導風部24と、
前記基部23の側面に設けられ、前記サイクロン部14の内周面に沿った渦流が通過する第二通風口26と、
前記基部23から下方に延びる筒形状のスカート部29と、を有し、
前記渦流発生部材21は、前記渦流発生部材21と前記サイクロン部14との間において、前記フランジ部22と前記導風部24の底部24Aとの間に連設された傾斜案内部24Bを備えており、
前記導入口17から前記サイクロン部14に入り込んだ空気は、前記導風部24に導かれて、前記サイクロン部14の内周面に沿って渦流となり、
前記導風部24の前記底部24Aが、前記基部23と前記サイクロン部14との間において、前記導風部24の前記底部24Aが上下方向と交差する方向に延びるように傾斜案内部24Bに連結して設けられており、
前記傾斜案内部24Bと底部24Aとは、前記基部23の側面にリブ状に設けられており、
前記フランジ部22の外径が、前記サイクロン部14の内径と略一致するように形成されている、
る、サイクロン式電気掃除機。」
ウ 甲7の図3、5において、スカート部29は、下方の端部が、サイクロン部14と渦流発生部材21の間に形成された空間の内部において、サイクロン部14の底部から離間している点が見て取れる。
そうすると、甲7に記載された事項から、甲7には次の発明(以下「甲7-2発明」という。)が記載されているものと認められる。
(甲7-2発明)
「電動送風機4を有する掃除機本体1と、
前記掃除機本体1に着脱自在な集塵容器11と、を備え、
前記集塵容器11は、
導入口17、及び上方に設けられた第一開口部12を備えたサイクロン部14を有し、
前記サイクロン部14の前記第一開口部12に渦流発生部材21が取り付けられ、
前記サイクロン部14、及び前記渦流発生部材21の間に空間が形成され、
前記渦流発生部材21は、
フランジ部22と、
前記フランジ部22に、上方側から下方側に向かうにつれて外形が小さくなるように一体形成された基部23と、
前記基部23の側面に形成された導風部24と、
前記基部23の側面に設けられ、前記サイクロン部14の内周面に沿った渦流が通過する第二の通風口26と、
前記基部23から下方に延びるスカート部29と、を有し、
前記渦流発生部材21は、前記渦流発生部材21と前記サイクロン部14との間において、前記フランジ部22と前記導風部24の底部24Aとの間に連設された傾斜案内部24Bを備えており、
前記サイクロン部14は、下方の底部を有するものであり、
前記スカート部29は、下方の端部が、前記空間の内部において前記サイクロン部14の底部から離間しており、
前記導入口17から前記サイクロン部14に入り込んだ空気は、前記導風部24に導かれて、前記サイクロン部14の内周面に沿って渦流となり、
前記導風部24の前記底部24Aが上下方向と交差する方向に延びるように設けられている、サイクロン式掃除機。」
エ 甲7に記載された事項から、甲7には次の発明(以下「甲7-3発明」という。)が記載されているものと認められる。
(甲7-3発明)
「前記渦流発生部材21の上部にフィルタ部材31が設けられている、甲7-1発明又は甲7-2発明に係るサイクロン式電気掃除機。」
オ 甲7に記載された事項から、甲7には次の発明(以下「甲7-4発明」という。)が記載されているものと認められる。
(甲7-4発明)
「前記渦流発生部材21の上部において前記第一開口部12にフィルタ部材31が取り付けられており、
前記フィルタ部材31の枠32の外周にシール部33が、前記サイクロン部14の第一開口部12の内周に対して密接可能に構成されている、甲7-2発明に係るサイクロン式電気掃除機。」
カ 甲7に記載された事項から、甲7には次の発明(以下「甲7-5発明」という。)が記載されているものと認められる。
(甲7-5発明)
「前記基部23の前記第二通風口26にフィルタ28が設けられている、甲7-1発明~甲7-4発明に係るサイクロン式掃除機。」
(2) 対比及び判断
ア 本件発明1について
(ア) 本件発明1と甲7-1発明とを、その有する機能に照らして対比する。
a 甲7-1発明の「電動送風機4」、「掃除機本体1」は、それぞれ、本件発明1の「電動送風機」、「掃除機本体」に相当する。
b 甲7-1発明の「集塵部11」は、本件発明1の「集塵装置」に相当し、甲7-1発明の「集塵部11」は、「前記掃除機本体1において電動送風機4が収容されている部分の下方に着脱自在」であるから、甲7-1発明は、本件発明1と同様に、「前記掃除機本体において電動送風機収容部の下方側の位置に着脱可能な集塵装置」を備えるものである。
c 甲7-1発明の「側壁に設けられた導入口17」、「上方に設けられた第一開口部12」、「下方の底部」、「有底筒状」である「サイクロン部14」は、それぞれ、本件発明1の「周部に設けられた流入口」、「軸線方向一方側に設けられた開口部」、「軸線方向他方側に設けられた外筒底部」、「有底筒状の外筒」に相当する。
また、甲7-1発明の「渦流発生部材21」は、「前記サイクロン部14の前記第一開口部12」に取り付けられるものであるから、本件発明1の「前記外筒の内部に配される構造体」に相当し、甲7-1発明の「前記サイクロン部14、及び前記渦流発生部材21の間」に形成された「空間」は、その位置に照らして、本件発明1の「前記外筒に前記構造体を挿入し前記外筒、及び前記構造体の間に形成される集塵空間」に相当する。
d 甲7-1発明の「上方側から下方側に向かうにつれて外形が小さくなるように一体形成された基部23」は、本件発明1の「前記軸線方向一方側から他方側に向かうにつれて外形が小さくなるように形成されたテーパー部」に相当する。
e 甲7-1発明の「第二通風口26」は、「前記サイクロン部14の内周面に沿った渦流が通過する」ものであるから、「第二通風口26」が設けられた「基部23」は、本件発明1の「前記集塵空間から排気するための集塵空間排気部として備えた内筒」に相当する。
また、甲7-1発明の「スカート部29」は、「筒形状」であり、「前記基部23」(内筒)から下方に延びることから、本件発明1の「前記内筒から前記軸線方向他方側に延びる筒形状の延出部」に相当する。
f 甲7-1発明の「傾斜案内部24B」は、「前記フランジ部22と前記導風部24の底部24Aとの間に連設され」、上方側から下方側に向かうに連れて、渦流の旋回方向上流側の位置から導入口17に向けて近づくよう延びるといえるから、本件発明1の「前記内筒と前記外筒との間において、前記軸線方向の一方側から他方側に向かうに連れて、気流の旋回方向上流側の位置から前記流入口に向けて近づくよう延びる第一ガイド部」に相当する。
また、甲7-1発明は「前記導入口17から前記サイクロン部14に入り込んだ空気は、前記導風部24に導かれて、前記サイクロン部14の内周面に沿って渦流とな」るものであるところ、「導風部24の底部24A」は、「導風部24」のこうした機能の一端を担っているから、本件発明1の「前記流入口から前記集塵空間に流入する気流を案内する第二ガイド部」に相当する。
そして、甲7-1発明の「底部24A」は、「前記内筒と外筒との間において、上下方向と交差する方向に延びるように傾斜案内部24Bに連結して」いることから、本件発明1の「第二ガイド部」と同様に、「前記内筒と外筒との間において、前記軸線方向と交差する方向に延びるように前記第一ガイド部に連結して設けられて」いるものである。
さらに、甲7-1発明の「傾斜案内部24B」、「底部24A」は、「前記基部23の側面にリブ状に設けられて」いることから、本件発明1の「第一ガイド部」、「第二ガイド部」と同様に、「前記テーパー部の外周部にリブ状に設けられて」いるものである。
g 甲7-1発明の「サイクロン式電気掃除機」は、本件発明1の「電気掃除機」に相当する。
h そうすると、本件発明1と甲7-1発明とは、以下の点で一致し、相違する。
(一致点7-1)
「電動送風機を有する掃除機本体と、
前記掃除機本体において電動送風機収容部の下方側の位置に着脱可能な集塵装置と、を備え、
前記集塵装置は、
周部に設けられた流入口、軸線方向一方側に設けられた開口部、及び軸線方向他方側に設けられた外筒底部を備えた有底筒状の外筒と、
前記外筒の内部に配される構造体と、
前記外筒に前記構造体を挿入し前記外筒、及び前記構造体の間に形成される集塵空間と、を有し、
前記構造体は、
前記軸線方向一方側から他方側に向かうにつれて外形が小さくなるように形成されたテーパー部を有し、
前記構造体は、
前記テーパー部を、前記集塵空間から排気するための集塵空間排気部として備えた内筒と、
前記内筒から前記軸線方向他方側に延びる筒形状の延出部と、を有し、
前記集塵装置は、前記内筒と前記外筒との間において、前記軸線方向の一方側から他方側に向かうに連れて、気流の旋回方向上流側の位置から前記流入口に向けて近づくよう延びる第一ガイド部を備えており、
前記集塵装置は、前記流入口から前記集塵空間に流入する気流を案内する第二ガイド部を有し、
前記第二ガイド部は、前記内筒と外筒との間において、前記軸線方向と交差する方向に延びるように前記第一ガイド部に連結して設けられており、
前記第一ガイド部と第二ガイド部とは、前記テーパー部の外周部にリブ状に設けられている、電気掃除機。」
(相違点7-1)
本件発明1は、「前記テーパー部は、前記軸線方向の一方側における大径部の外径部が、前記外筒の内径と略一致するように形成されており」、「前記テーパー部の大径部の外周面に周溝が設けられ、当該周溝に気密部材が装着されることで、前記テーパー部と前記外筒の内周面との間が封止される」のに対し、甲7-1発明は、当該構成を備えていない点。
(イ)a このように、甲7-1発明は、本件発明1と相違するところがあり、この点は実質的なものであるから、本件発明1は、甲7に記載された発明とは認められない。
b 次に、相違点7-1について検討する。
甲7-1発明は、「前記フランジ部22の外径が、前記サイクロン部14の内径と略一致するように形成されて」おり、甲7には、「前記渦流発生部材21の上部にフィルタ部材31が設けられ、前記フィルタ部材31の枠32の外周にシール部33が、前記サイクロン部14の第一開口部12の内周に対して密接可能に構成されている」(甲7-3発明、甲7-4発明)点が記載されており、これにより、渦流発生部材21とサイクロン部14との間が封止されているものと認められるが、渦流発生部材21とサイクロン部14との間の封止の形態は、当業者が適宜のものを採用し得ることは明らかである。
そして、周溝に気密部材を装着することで、封止するといった手段は、周知の技術であるから(前記2(2)ア(イ)b)、甲7-1発明における「フランジ部22」の外周面に周溝を設け、当該周溝に気密部材を装着することで、渦流発生部材21とサイクロン部14との間の気密性を確保することは、当業者にとって格別困難なことではない。
ところで、本件発明1の「テーパー部の大径部」は、軸線方向一方側から他方側に向かうにつれて外形が小さくなるように、すなわち、テーパー状に形成されたものとは解されず、「テーパー部」のうち、テーパー状に形成された部分における軸線方向一方側の端部が外筒から離れた内側にあるものを排除していないものと認められる(前記2(2)ア(イ)b)。
そうすると、甲7-1発明における、「フランジ部22」は、その位置、機能に照らして、本件発明1の「テーパー部の大径部」に相当する部位といえるから、「フランジ部22」の外周面に周溝を設け、当該周溝に気密部材を装着した構成は、相違点7-1に係る構成と同じものである。
また、仮に、本件発明1の相違点7-1に係る構成が、テーパー状に形成された部分における軸線方向一方側の端部が外筒から離れていないことを意味するとしても、甲7-1発明における、「基部23」(テーパー状に形成された部分)の上端がサイクロン部14から離れていないような「フランジ部22」にすることも、サイクロン部14内の容積等に応じて、当業者が適宜になし得たことである。
よって、甲7-1発明において、周知の技術を適用し、相違点7-1の構成とすることは、当業者が容易に想到することができたものある。
c 本件発明1の奏する効果をみても、甲7-1発明及び周知の技術から当業者が予測の範囲内のものであって、格別ではない。
d 特許権者は、概ね、以下のように主張している(令和7年7月25日付け意見書5.5.4)。
・本件発明1では、「前記テーパー部の大径部の外周面に周溝が設けられ、当該周溝に気密部材が装着されることで、前記テーパー部と前記外筒の内周面との間が封止される」構成を有しているのに対し、甲7には、渦流発生部材21の基部23とサイクロン部14との間の、このような周溝と気密部材による封止構造は記載されていない。
・本件発明1では、「前記第二ガイド部は、前記内筒と外筒との間において、前記軸線方向と交差する方向に延びるように前記第一ガイド部に連結して設けられており」、「前記第一ガイド部と第二ガイド部とは、前記テーパー部の外周部にリブ状に設けられて」いる構成を有しているのに対し、甲7には、導風部24と傾斜案内部24Bの連結関係やリブ状の構成は具体的に記載されていない。
・本件発明1では、延出部が「筒形状」であるのに対し、甲7では、スカート部29の具体的形状は筒形状に限定されていない。
・本件発明1では、集塵装置が「前記掃除機本体において電動送風機収容部の下方側の位置に着脱可能」に設けられているのに対し、甲7では、このような具体的配置関係は記載されていない。
しかしながら、甲7-1発明において、渦流発生部材21とサイクロン部14との間の封止の形態は、当業者が適宜のものを採用し得ることは明らかで、周溝に気密部材を装着することで封止するといった手段は、周知の技術であるから、甲7-1発明における「フランジ部22」の外周面に周溝を設け、当該周溝に気密部材を装着することで、渦流発生部材21とサイクロン部14との間の気密性を確保することは、当業者にとって格別困難なことではない。その場合、「フランジ部22」は、本件発明1の「テーパー部の大径部」に相当する部位といえ、相違点7-1に係る構成と同じものである。
また、甲7の図面において、スカート部29が、筒形状で、基部23から下方に延びる点(図3、5、7、8)、導風部24の底部24Aが、上下方向と交差する方向に延びるように傾斜案内部24Bに連結して設けられている点、底部24A、傾斜案内部24Bが基部23の側面にリブ状に設けられている点(図7、8)、掃除機本体1において電動送風機4が収容されている部分の下方に、集塵部11が備えられている点(図3)が見て取れる。
よって、特許権者の主張は採用することができない。
(ウ) 以上のとおり、本件発明1は、甲7-1発明及び周知の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
イ 本件発明4について
本件発明4と甲7-2発明とを、その有する機能に照らして対比する。
a 甲7-2発明の「電動送風機4」、「掃除機本体1」は、それぞれ、本件発明4の「電動送風機」、「掃除機本体」に相当する。
b 甲7-2発明の「集塵容器11」は、本件発明4の「集塵装置」に相当し、甲7-2発明の「集塵容器11」は、「前記掃除機本体1に着脱自在」であるから、甲7-2発明は、本件発明4と同様に、「前記掃除機本体に着脱可能な集塵装置」を備えるものである。
c 甲7-2発明の「導入口17」、「上方に設けられた第一開口部12」、「サイクロン部14」は、それぞれ、本件発明4の「流入口」、「軸線方向一方側に設けられた開口部」、「外筒」に相当する。
また、甲7-2発明の「渦流発生部材21」は、「前記サイクロン部14の前記第一開口部12」に取り付けられるものであるから、本件発明2の「前記外筒の内部に配される構造体」に相当し、甲7-2発明の「前記サイクロン部14、及び前記渦流発生部材21の間」に形成された「空間」は、その位置に照らして、本件発明4の「前記外筒、及び前記構造体の間に形成される集塵空間」に相当する。
d 甲7-2発明の「渦流発生部材21」の「上方側から下方側に向かうにつれて外形が小さくなるように一体形成された基部23」は、本件発明4の「前記軸線方向一方側から他方側に向かうにつれて外形が小さくなるように形成されたテーパー部」に相当する。
e 甲7-2発明の「第二の通風口26」は、「前記サイクロン部14の内周面に沿った渦流が通過する」ものであるから、「第二の通風口26」が設けられた「基部23」は、本件発明2の「前記集塵空間から排気するための集塵空間排気部」に相当するとともに、本件発明2の「前記集塵空間から排気するための集塵空間排気部として備えた内筒」に相当する。
また、甲7-2発明の「スカート部29」は、「前記基部19」(内筒)から下方に延びることから、本件発明2の「前記内筒から前記軸線方向他方側に延びる延出部」に相当する。
f 甲7-2発明の「傾斜案内部24B」は、「前記フランジ部22と前記導風部24の底部24Aとの間において連設され」、上方側から下方側に向かうに連れて、渦流の旋回方向上流側の位置から導入口17に向けて近づくよう延びるといえるから、本件発明4の「前記内筒と前記外筒との間において、前記軸線方向の一方側から他方側に向かうに連れて、気流の旋回方向上流側の位置から前記流入口に向けて近づくよう延びる第一ガイド部」に相当する。
g 甲7-2発明の「サイクロン部14」の「下方の底部」は、本件発明4の「外筒」の「前記軸線方向他方側に底をなす外筒底部」に相当し、甲7-2発明は、「前記スカート部29は、下方の端部が、前記空間の内部において前記サイクロン部14の底部から離間して」いることから、本件発明4と同様に、「前記延出部は、前記軸線方向の他方側の端部が、前記集塵空間の内部において前記外筒底部から離間している」ものである。
h 甲7-2発明の「サイクロン式掃除機」は、本件発明4の「電気掃除機」に相当する。
i 甲7-2発明は「前記導入口17から前記サイクロン部14に入り込んだ空気は、前記導風部24に導かれて、前記サイクロン部14の内周面に沿って渦流とな」るものであるところ、「導風部24の底部24A」は、「導風部24」のこうした機能の一端を担っているから、本件発明4の「前記流入口から前記集塵空間に流入する気流を案内する第二ガイド部」に相当する。
そして、甲7-2発明の「底部24A」は、「前記渦流発生部材21と前記サイクロン部14との間において」、「傾斜案内部20B」に連設し、「上下方向と交差する方向に延びるように設けられている」ことから、本件発明4の「第二ガイド部」と同様に、「前記内筒と外筒との間において、前記軸線方向と交差する方向に延びるように設けられている」ものである。
j そうすると、本件発明4と甲7-2発明とは、以下の点で一致する。
(一致点7-4)
「電動送風機を有する掃除機本体と、
前記掃除機本体に着脱可能な集塵装置と、を備え、
前記集塵装置は、
流入口、及び軸線方向一方側に設けられた開口部を備えた外筒と、
前記外筒の内部に配される構造体と、
前記外筒、及び前記構造体の間に形成される集塵空間と、を有し、
前記構造体は、
前記軸線方向一方側から他方側に向かうにつれて外形が小さくなるように形成されたテーパー部を有し、
前記構造体は、
前記テーパー部を、前記集塵空間から排気するための集塵空間排気部として備えた内筒と、
前記内筒から前記軸線方向他方側に延びる延出部と、を有し、
前記集塵装置は、前記内筒と前記外筒との間において、前記軸線方向の一方側から他方側に向かうに連れて、気流の旋回方向上流側の位置から前記流入口に向けて近づくよう延びる第一ガイド部を備えており、
前記外筒は、前記軸線方向他方側に底をなす外筒底部を有するものであり、
前記延出部は、前記軸線方向の他方側の端部が、前記集塵空間の内部において前記外筒底部から離間しており、
前記集塵装置は、前記流入口から前記集塵空間に流入する気流を案内する第二ガイド部を有し、
前記第二ガイド部は、前記内筒と外筒との間において、前記軸線方向と交差する方向に延びるように設けられている、電気掃除機。」
(イ) 本件発明4は、請求項2又は請求項3に記載された事項のうち一方を備えていれば足りることから、本件発明4と甲7-2発明とは、格別相違するところはない。
よって、本件発明4のうち請求項2に記載された事項を備えるものは、甲7に記載された発明である。
仮に、相違するところがあるとしても、甲7-2発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
ウ 本件発明5について
本件発明5と甲7-3発明とを、その有する機能に照らして対比すると、甲7-3発明の「前記渦流発生部材21の上部」に設けられている「フィルタ部材31」は、本件発明5の「前記軸線方向の一方側に配される一側筒部」に相当し、「フィルタ部材31」は、「前記渦流発生部材21の上部」に設けられることにより、「基部23」と接続されるから、甲7-3発明は、本件発明5と同様に、「前記内筒が前記一側筒部に接続されている」ものである。
そうすると、本件発明5と甲7-3発明とは、前記一致点7-1、一致点7-4に加え、次の点で一致し、前記相違点7-1のほかに相違するところはない。
(一致点7-5)
「前記構造体は、
前記軸線方向の一方側に配される一側筒部を含み、
前記内筒が前記一側筒部に接続されている、電気掃除機。」
そして、前記相違点7-1については、既に述べたとおりである(前記ア)。
よって、本件発明5は、甲7に記載された発明である、又は甲7-3発明若しくは甲7-3発明及び周知の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
エ 本件発明7について
(ア) 本件発明7と甲7-4発明とを、本件発明4と甲7-2発明との関係を参考に、その有する機能に照らして対比すると、両者は、前記イ(ア)a~hと同様の相当関係を有する。
また、甲7-4発明において、「前記導入口17から前記サイクロン部14に入り込んだ空気は、前記導風部24に導かれて、前記サイクロン部14の内周面に沿って渦流となり」、「前記渦流発生部材21の上部において前記第一開口部12にフィルタ部材31が取り付けられて」いることから、「前記フィルタ部材31の枠32」は、導入口17(流入口)より上方の位置となる。
そして、「前記フィルタ部材31の枠32の外周にシール部33」は、「前記サイクロン部14の第一開口部12の内周に対して密接可能に構成されている」ことにより、渦流発生部材21とサイクロン部14との間を封止しているものと認められるから、本件発明7の「前記流入口よりも前記軸線方向の一方側において、前記構造体と前記外筒との間を封止する封止部」に相当する。
そうすると、本件発明7と甲7-4発明とは、以下の点で一致する。
(一致点7-7)
「電動送風機を有する掃除機本体と、
前記掃除機本体に着脱可能な集塵装置と、を備え、
前記集塵装置は、
流入口、及び軸線方向一方側に設けられた開口部を備えた外筒と、
前記外筒の内部に配される構造体と、
前記外筒、及び前記構造体の間に形成される集塵空間と、を有し、
前記構造体は、
前記軸線方向一方側から他方側に向かうにつれて外形が小さくなるように形成されたテーパー部を有し、
前記構造体は、
前記テーパー部を、前記集塵空間から排気するための集塵空間排気部として備えた内筒と、
前記内筒から前記軸線方向他方側に延びる延出部と、を有し、
前記集塵装置は、前記内筒と前記外筒との間において、前記軸線方向の一方側から他方側に向かうに連れて、気流の旋回方向上流側の位置から前記流入口に向けて近づくよう延びる第一ガイド部を備えており、
前記外筒は、前記軸線方向他方側に底をなす外筒底部を有するものであり、
前記延出部は、前記軸線方向の他方側の端部が、前記集塵空間の内部において前記外筒底部から離間しており、
前記集塵装置は、前記流入口よりも前記軸線方向の一方側において、前記構造体と前記外筒との間を封止する封止部を有する、電気掃除機。」
(イ) 本件発明7は、請求項2又は請求項3に記載された事項のうち一方を備えていれば足りることから、本件発明7と甲7-4発明とは、格別相違するところはない。
よって、本件発明7のうち請求項2に記載された事項を備えるものは、甲7に記載された発明である。
仮に、相違するところがあるとしても、甲7-4発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
オ 本件発明8について
本件発明8と甲7-5発明とを、その有する機能に照らして対比すると、甲7-5発明の「フィルタ28」は、本件発明8の「メッシュ部材」に相当する。
そうすると、本件発明8と甲7-5発明とは、前記一致点7-1、7-4、7-5、7-7に加え、次の点で一致し、前記相違点7-1のほかに相違するところはない。
(一致点7-8)
「前記集塵装置は、前記流入口よりも前記軸線方向の一方側において、前記構造体と前記外筒との間を封止する封止部を有する、電気掃除機。」
そして、前記相違点7-1については、既に述べたとおりである(前記ア)。
よって、本件発明7は、甲7に記載された発明である、又は甲7-5発明若しくは甲7-5発明及び周知の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
カ 本件発明9について
(ア) 本件発明9と甲7-5発明とを、その有する機能に照らして対比すると、本件発明9と甲7-5発明とは、前記一致点7-1、7-4、7-5、7-7、7-8で一致し、前記相違点7-1に加え、次の点で相違する。
(相違点7-9)
本件発明9は、メッシュ部材が、「樹脂材料、金属材料又はこれらの組み合わせによって構成されている」のに対し、甲7-5発明において、当該構成を備えているか不明である点。
(イ) そこで、相違点についてみるに、前記相違点7-1については、既に述べたとおりである(前記ア)。
次に、相違点7-9についてみるに、掃除機のフィルタを樹脂材料によって構成することは例示するまでもなく広く行われており、金属材料によって構成することも、甲3(【請求項3】)に記載のように周知の技術である。
そして、甲7-5発明において、「フィルタ24」の材質は、当業者が適宜に決定できる設計的事項である。
本件発明9の奏する効果をみても、甲7-5発明及び周知の技術から当業者が予測の範囲内のものであって、格別ではない。
よって、本件発明9は、甲7-5発明及び周知の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第7 取消理由通知において採用しなかった特許異議の申立ての理由について
特許異議申立人は、本件発明1、4~6、8は、甲1に記載された発明である、又は本件発明1、4~6、8、10は、甲1に記載された発明に基いて、本件発明9は、甲1に記載された発明および甲2、3に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである、と主張している(特許異議申立書2~4、45~51頁)。
しかしながら、甲1の記載からは、少なくとも、濾過層31が筒形状であるか否か、内筒体3から下方に延出しているか否かなど、濾過層31の詳細が不明であるから、本件発明1、4~6、8は、甲1に記載された発明であるとは認められない。
そして、甲1の記載からは、少なくとも、甲1に記載された発明の濾過層31を筒形状とすること、内筒体3から下方に延出しているようにすることの動機付けは特段認められない。
よって、本件発明1、4~6、8は、甲1に記載された発明であるとは認められない。
また、本件発明1、4~6、8、10は、甲1に記載された発明に基いて、本件発明9は、甲1に記載された発明および甲2、3に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとは認められない。
第8 むすび
1 本件発明1、5、6、8~10は、甲5-1発明、甲5-3発明、甲5-4発明、甲1に記載された事項及び周知の技術(甲1~4、6、7)に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明1、5、6、8~10に係る特許は特許法29条2項の規定に違反してされたものであり、同法113条2号に該当し、取り消されるべきものである。
2 本件発明4、5、7、8は、甲6、7に記載された発明であり、特許法29条1項3号に該当するから、請求項4、5、7、8に係る特許は、特許法29条1項の規定に違反してされたものであり、同法113条2号に該当し、取り消されるべきものである。
また、本件発明1、4、5、7、8は、甲6-1発明~甲6-5発明及び周知の技術(甲2)に基いて、又は甲7-1発明~甲7-5発明及び周知の技術(甲2)に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、本件発明9は、甲6-5発明及び周知の技術(甲2、3)に基いて、又は甲7-5発明及び周知の技術(甲2、3)に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1、4、5、7~9に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものであり、同法113条2号に該当し、取り消されるべきものである。
3 よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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2024-700512