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特許異議申立

2022-700254

プログラマブルロジックコントローラおよびメインユニット

審判番号
2022-700254
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2020-201712
登録番号
6948450
請求日
2022年03月25日
審決日
2023年03月09日
公報発行日
2023年06月30日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】株式会社キーエンス
  • 【権利者代理人】弁理士法人第一国際特許事務所
  • 【権利者代理人】弁理士法人大塚国際特許事務所
  • 【権利者代理人】大塚 康徳
  • 【権利者代理人】大塚 康弘
  • 【権利者代理人】高柳 司郎
  • 【権利者代理人】木村 秀二
  • 【権利者代理人】坂本 隆志
  • 【異議申立人】弁理士法人 大手門国際特許事務所
審判長/審判官
  • 審判長 見目 省二
  • 審判官 中里 翔平
  • 審判官 田々井 正吾
分類
P1651.121-YAA(G05B)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法120条の8第1項特許法135条
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第4項、特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第120条の8第1項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第6948450号発明「プログラマブルロジックコントローラおよびメインユニット」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第6948450号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~21〕、22について訂正することを認める。 特許第6948450号の請求項1~17、19~22に係る特許を維持する。 特許第6948450号の請求項18に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第6948450号の請求項1~22に係る特許についての出願は、平成30年10月23日に出願した特願2018-199199の一部を、令和2年8月7日に新たな特許出願とした特願2020-134823について、さらにその一部を同年12月4日に新たな特許出願としたものであって、令和3年9月22日にその特許権の設定登録がされ、同年10月13日に特許掲載公報が発行された。 その後、その特許について、令和4年3月25日に特許異議申立人特許業務法人大手門国際特許事務所(以下「申立人」という。)による特許異議の申立てがされ、当審は同年7月27日付けで取消理由を通知したのに対して、特許権者は当審との電子メールでの応対(初回応対日同年9月16日の応対記録を参照。)の後、指定期間内である同年9月30日に意見書の提出及び訂正の請求(以下「本件訂正請求」という。)を行った。 そして、当審は、申立人に対して同年11月16日付けで本件訂正請求があった旨の通知をし、申立人は同年12月20日に意見書を提出した。 第2 本件訂正請求について 1 一群の請求項1~21の訂正(下線部は、訂正箇所に付した。) (1)訂正事項の内容 ア 訂正事項1 訂正前の請求項1に記載したaの事項を、bの事項に訂正する。(訂正後の請求項1を引用する請求項2~17、19~21も同様に訂正する。) a 訂正前 「ログ設定情報を受け付けるインタフェースと、ラダープログラムを繰り返し実行するプログラム実行部と、前記プログラム実行部により参照される記憶領域である複数のデバイスを有するデバイス記憶部と、前記ログ設定情報で指定される収集周期ごとに、前記デバイス記憶部に記憶されている複数のデバイス値を収集時刻に関する情報と対応付けて記録する記録部とを有し、前記ログ設定情報で指定される条件が満たされると前記記録部から前記複数のデバイス値および対応付けられた収集時刻に関する情報を読み出してログデータとして出力するプログラマブルロジックコントローラに接続され、 前記プログラマブルロジックコントローラにより出力されるログデータを用いて、前記複数のデバイス値を表示する外部設定機器であって、 前記収集周期としてラダープログラムの1スキャンを指定し、前記条件として特定のデバイスおよび当該特定のデバイスの状態変化によって定まるタイミングを指定する前記ログ設定情報を、前記プログラマブルロジックコントローラに対して送信する送信部と、 前記ラダープログラムおよび前記ログデータを記憶するメモリと、 前記メモリに記憶されたラダープログラムを表示するとともに、前記メモリに記憶されたログデータから前記収集時刻に関する情報に基づき複数のデバイス値を取得して、特定時刻におけるデバイス値として当該ラダープログラム上に表示するログ表示部と、 を備え、 前記ログ表示部は、第1ボタンを介した表示更新指示を受け付けると、時間経過に応じて前記特定時刻を進めて行くとともに、当該特定時刻と前記収集時刻に基づき前記ラダープログラム上に表示されるデバイス値であって前記特定時刻に対応するデバイス値を繰り返し更新することを特徴とする外部設定機器。」 b 訂正後 「ログ設定情報を受け付けるインタフェースと、ラダープログラムを繰り返し実行するプログラム実行部と、前記プログラム実行部により参照される記憶領域である複数のデバイスを有するデバイス記憶部と、前記ログ設定情報で指定される収集周期ごとに、前記デバイス記憶部に記憶されている複数のデバイス値を収集時刻に関する情報と対応付けて記録する記録部とを有し、前記ログ設定情報で指定される条件が満たされると、前記記録部から前記ログ設定情報で指定される所定期間分の前記複数のデバイス値および対応付けられた収集時刻に関する情報を読み出してログデータとして出力するプログラマブルロジックコントローラに接続され、 前記プログラマブルロジックコントローラにより出力されるログデータを用いて、前記複数のデバイス値を表示する外部設定機器であって、 前記収集周期としてラダープログラムの1スキャンを指定し、前記条件として特定のデバイスおよび当該特定のデバイスの状態変化によって定まるタイミングを指定し、前記所定期間として当該タイミングを基準とする収集時間を指定する前記ログ設定情報を、前記プログラマブルロジックコントローラに対して送信する送信部と、 前記ラダープログラムおよび前記ログデータを記憶するメモリと、 前記メモリに記憶されたラダープログラムを表示するとともに、前記メモリに記憶されたログデータから前記収集時刻に関する情報に基づき複数のデバイス値を取得して、特定時刻におけるデバイス値として当該ラダープログラム上に表示するログ表示部と、 を備え、 前記ログ表示部は、第1ボタンを介した表示更新指示を受け付けると、時間経過に応じて前記特定時刻を進めて行くとともに、当該特定時刻と前記収集時刻に基づき前記ラダープログラム上に表示されるデバイス値であって前記特定時刻に対応するデバイス値を繰り返し更新することを特徴とする外部設定機器。」 イ 訂正事項2 訂正前の請求項18を削除する。 ウ 訂正事項3 訂正前の請求項19に「前記対象期間は、前記タイミングよりも前の所定期間を含むことを特徴とする請求項18に記載の外部設定機器。」と記載されているのを、「前記所定期間は、前記タイミングよりも前の所定期間を含むことを特徴とする請求項1に記載の外部設定機器。」と訂正する。(訂正後の請求項19を引用する請求項20~21も同様に訂正する。) エ 訂正事項4 訂正前の請求項20に「請求項1から19のいずれか一項に記載の外部設定機器。」と記載されているのを、「請求項1から17または請求項19のいずれか一項に記載の外部設定機器。」と訂正する。(訂正後の請求項20を引用する請求項21も同様に訂正する。) オ 訂正事項5 訂正前の請求項21に「請求項1から20のいずれか一項に記載の外部設定機器。」と記載されているのを、「請求項1から17、請求項19、または請求項20のいずれか一項に記載の外部設定機器。」と訂正する。 カ 一群の請求項 訂正前の請求項2~21は、それぞれ、請求項1を直接的又は間接的に引用しているものであって、本件訂正請求によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。したがって、訂正前の請求項1~21に対応する訂正後の請求項1~21は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 (2)訂正要件 ア 訂正事項1 (ア)訂正の目的の適否 訂正事項1における訂正前の「前記ログ設定情報で指定される条件が満たされると、前記記録部から前記ログ設定情報で指定される所定期間分の前記複数のデバイス値および対応付けられた収集時刻に関する情報を読み出してログデータとして出力するプログラマブルロジックコントローラに接続され、」を「前記ログ設定情報で指定される条件が満たされると、前記記録部から前記ログ設定情報で指定される所定期間分の前記複数のデバイス値および対応付けられた収集時刻に関する情報を読み出してログデータとして出力するプログラマブルロジックコントローラに接続され、」と訂正することは、記録部から読み出す「前記複数のデバイス値および対応付けられた収集時刻に関する情報」が「前記ログ設定情報で指定される所定期間分の」ものであることを限定するものである。 そして、訂正前の「前記条件として特定のデバイスおよび当該特定のデバイスの状態変化によって定まるタイミングを指定する前記ログ設定情報を、」を「前記条件として特定のデバイスおよび当該特定のデバイスの状態変化によって定まるタイミングを指定し、前記所定期間として当該タイミングを基準とする収集時間を指定する前記ログ設定情報を、」と訂正することは、「前記ログ設定情報」が、「前記所定期間として当該タイミングを基準とする収集時間を指定する」ものであることを限定するものである。 したがって、訂正事項1の目的は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮に該当する。 (イ)特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項1は、上記(ア)のとおり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるところ、カテゴリーや対象、目的の変更を伴うものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。 (ウ)新規事項の有無 本件明細書に、ログ設定情報を設定するログ設定部51がログデータの収集期間を受け付けてもよいこと(段落【0139】)、保存トリガーがオンになったタイミングよりも前の収集時間と保存トリガーがオンになったタイミングよりも後の収集時間とにおいてログデータを収集すること(段落【0140】)、テキストボックスが収集時間の入力を受け付けること(段落【0140】)、及び保存部は、保存トリガーであるリレーデバイスがオンになると、収集時間として指定された20秒のログデータを作成すること(段落【0141】)が記載されており、本件明細書にデバイス値を記録する収集時間が、保存トリガーがオンになったタイミングを基準とする所定期間であり、この所定期間をログ設定情報で指定するという訂正事項1の内容が記載されているから、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲、又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。 イ 訂正事項2 訂正事項2は、訂正前の請求項18を削除するものであって、その目的は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮に該当する。そして、請求項を削除するのみであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当せず、願書に添付した明細書、特許請求の範囲、又は図面に記載した事項の範囲内のものであることが明らかであるから、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項、及び第6項の規定に適合するものである。 ウ 訂正事項3 (ア)訂正の目的の適否 訂正事項3は、訂正後の請求項19について、訂正前に引用していた請求項18が削除されたことに伴い請求項1を引用するようにするとともに、「前記対象期間」との用語(「対象期間」は、訂正前の請求項18に記載されている。)を、引用する請求項1に合わせて「前記所定期間」としたものであるから、訂正事項3の目的は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明に該当する。 (イ)特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正前の請求項19は請求項18を引用していたのに対し、訂正後の請求項19は請求項1を引用するものとなっており、形式的には、訂正前の請求項18の内容を含まない。しかしながら、訂正後の請求項1は、訂正前の請求項18のプログラマブルロジックコントローラが出力するログデータの内容、及びログ設定情報の内容をいずれも含むものであって、訂正前の請求項18の特定事項を実質的に含むものである。また、「前記対象期間」との用語を、「前記所定期間」とする訂正は、引用する請求項の変更に伴い、表現を訂正後の請求項1と整合させたものである。そうすると、訂正後の請求項19は依然として訂正前の請求項18の内容を含むものであり、また、他にカテゴリーや対象、目的の変更も認められない。 したがって、訂正事項3は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。 エ 訂正事項4 訂正事項4は、訂正前の請求項20について、引用する請求項が請求項1から19のいずれか1項であったのを、請求項18の削除に伴い、請求項1から17または請求項19のいずれか1項に訂正をするものであって、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。そして、引用する請求項を限定するのみであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当せず、願書に添付した明細書、特許請求の範囲、又は図面に記載した事項の範囲内のものであることが明らかであるから、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項、及び第6項の規定に適合するものである。 オ 訂正事項5 訂正事項5は、訂正前の請求項21について、引用する請求項が請求項1から20のいずれか1項であったのを、請求項18の削除に伴い、請求項1から17、請求項19、または請求項20のいずれか1項に訂正をするものであって、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。そして、引用する請求項を限定するのみであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当せず、願書に添付した明細書、特許請求の範囲、又は図面に記載した事項の範囲内のものであることが明らかであるから、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項、及び第6項の規定に適合するものである。 2 請求項22の訂正(下線部は、訂正箇所に付した。) 請求項22の訂正事項は、訂正事項6のみである。 (1)訂正事項6の内容 訂正前の請求項22に記載した以下のaの事項を、bの事項に訂正する。 a 訂正前 「ログ設定情報を受け付けるインタフェースと、ラダープログラムを繰り返し実行するプログラム実行部と、前記プログラム実行部により参照される記憶領域である複数のデバイスを有するデバイス記憶部と、前記ログ設定情報で指定される収集周期ごとに、前記デバイス記憶部に記憶されている複数のデバイス値を収集時刻に関する情報と対応付けて記録する記録部とを有し、前記ログ設定情報で指定される条件が満たされると前記記録部から前記複数のデバイス値および対応付けられた収集時刻に関する情報を読み出してログデータとして出力するプログラマブルロジックコントローラに接続され、 前記プログラマブルロジックコントローラにより出力されるログデータを用いて、前記複数のデバイス値を表示するコンピュータにおいて実行されるプログラムであって、 前記収集周期としてラダープログラムの1スキャンを指定し、前記条件として特定のデバイスおよび当該特定のデバイスの状態変化によって定まるタイミングを指定する前記ログ設定情報を、前記プログラマブルロジックコントローラに対して送信する送信工程と、 前記コンピュータのメモリに記憶されたラダープログラムを表示するとともに、前記メモリに記憶されたログデータから前記収集時刻に関する情報に基づき複数のデバイス値を取得して、特定時刻におけるデバイス値として当該ラダープログラム上に表示するログ表示工程とを前記コンピュータに実行させ、 前記ログ表示工程は、 第1ボタンを介した表示更新指示を受け付けると、時間経過に応じて前記特定時刻を進めて行くとともに、当該特定時刻と前記収集時刻に基づき前記ラダープログラム上に表示されるデバイス値であって前記特定時刻に対応するデバイス値を繰り返し更新することを含むことを特徴とするプログラム。」 b 訂正後 「ログ設定情報を受け付けるインタフェースと、ラダープログラムを繰り返し実行するプログラム実行部と、前記プログラム実行部により参照される記憶領域である複数のデバイスを有するデバイス記憶部と、前記ログ設定情報で指定される収集周期ごとに、前記デバイス記憶部に記憶されている複数のデバイス値を収集時刻に関する情報と対応付けて記録する記録部とを有し、前記ログ設定情報で指定される条件が満たされると、前記記録部から前記ログ設定情報で指定される所定期間分の前記複数のデバイス値および対応付けられた収集時刻に関する情報を読み出してログデータとして出力するプログラマブルロジックコントローラに接続され、 前記プログラマブルロジックコントローラにより出力されるログデータを用いて、前記複数のデバイス値を表示するコンピュータにおいて実行されるプログラムであって、 前記収集周期としてラダープログラムの1スキャンを指定し、前記条件として特定のデバイスおよび当該特定のデバイスの状態変化によって定まるタイミングを指定し、前記所定期間として当該タイミングを基準とする収集時間を指定する前記ログ設定情報を、前記プログラマブルロジックコントローラに対して送信する送信工程と、 前記コンピュータのメモリに記憶されたラダープログラムを表示するとともに、前記メモリに記憶されたログデータから前記収集時刻に関する情報に基づき複数のデバイス値を取得して、特定時刻におけるデバイス値として当該ラダープログラム上に表示するログ表示工程とを前記コンピュータに実行させ、 前記ログ表示工程は、 第1ボタンを介した表示更新指示を受け付けると、時間経過に応じて前記特定時刻を進めて行くとともに、当該特定時刻と前記収集時刻に基づき前記ラダープログラム上に表示されるデバイス値であって前記特定時刻に対応するデバイス値を繰り返し更新することを含むことを特徴とするプログラム。」 (2)訂正事項6の訂正要件 訂正事項6は、上記1(1)ア(訂正事項1)と訂正の内容が実質的に同じであるから、訂正事項6の目的は、上記1(2)ア(ア)(訂正事項1)と同じく特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮に該当する。 そして、訂正事項6は上記1(2)ア(イ)~(ウ)(訂正事項1)と同じ理由により、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項、及び第6項に適合するものである。 3 小括 以上のとおりであるから、本件訂正請求は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~21〕、22について訂正することを認める。 第3 訂正後の本件発明 本件訂正請求による訂正後の請求項1~17、19~22に係る発明(以下、請求項1に係る発明を「本件発明」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1~17、19~22に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。 「【請求項1】 ログ設定情報を受け付けるインタフェースと、ラダープログラムを繰り返し実行するプログラム実行部と、前記プログラム実行部により参照される記憶領域である複数のデバイスを有するデバイス記憶部と、前記ログ設定情報で指定される収集周期ごとに、前記デバイス記憶部に記憶されている複数のデバイス値を収集時刻に関する情報と対応付けて記録する記録部とを有し、前記ログ設定情報で指定される条件が満たされると、前記記録部から前記ログ設定情報で指定される所定期間分の前記複数のデバイス値および対応付けられた収集時刻に関する情報を読み出してログデータとして出力するプログラマブルロジックコントローラに接続され、 前記プログラマブルロジックコントローラにより出力されるログデータを用いて、前記複数のデバイス値を表示する外部設定機器であって、 前記収集周期としてラダープログラムの1スキャンを指定し、前記条件として特定のデバイスおよび当該特定のデバイスの状態変化によって定まるタイミングを指定し、前記所定期間として当該タイミングを基準とする収集時間を指定する前記ログ設定情報を、前記プログラマブルロジックコントローラに対して送信する送信部と、 前記ラダープログラムおよび前記ログデータを記憶するメモリと、 前記メモリに記憶されたラダープログラムを表示するとともに、前記メモリに記憶されたログデータから前記収集時刻に関する情報に基づき複数のデバイス値を取得して、特定時刻におけるデバイス値として当該ラダープログラム上に表示するログ表示部と、 を備え、 前記ログ表示部は、第1ボタンを介した表示更新指示を受け付けると、時間経過に応じて前記特定時刻を進めて行くとともに、当該特定時刻と前記収集時刻に基づき前記ラダープログラム上に表示されるデバイス値であって前記特定時刻に対応するデバイス値を繰り返し更新することを特徴とする外部設定機器。 【請求項2】 前記ログ表示部は、前記特定時刻に対して収集時刻が近いデバイス値を前記ラダープログラム上に表示することを特徴とする請求項1に記載の外部設定機器。 【請求項3】 前記ログ表示部は、さらに、第2ボタンを介した表示更新指示を受け付けると、前記ラダープログラム上に表示されるデバイス値を、前記特定時刻に対応する収集時刻の一ステップ次の収集時刻に収集されたデバイス値に更新することを特徴とする請求項1または2に記載の外部設定機器。 【請求項4】 前記ログ表示部は、前記ラダープログラム上に表示されるデバイス値の収集時刻を表示することを特徴とする請求項3に記載の外部設定機器。 【請求項5】 前記ログ表示部は、前記ラダープログラムを表示するプログラム表示領域の下方に前記第1ボタンと前記第2ボタンを並べて表示することを特徴とする請求項3または4に記載の外部設定機器。 【請求項6】 前記ログ表示部は、前記ラダープログラム上に表示されるデバイス値を繰り返し更新する際に、時系列からなる複数の前記収集時刻のうち一部の収集時刻のデバイス値を前記ラダープログラム上に表示することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の外部設定機器。 【請求項7】 前記ログ表示部は、さらに、第3ボタンを介した表示更新指示を受け付けると、前記ラダープログラム上に表示されるデバイス値を、前記特定時刻に対応する収集時刻の一ステップ前の収集時刻に収集されたデバイス値に更新することを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の外部設定機器。 【請求項8】 前記ログ表示部は、前記特定時刻に対応する収集時刻を表示するとともに、前記第1ボタンを介した表示更新指示を受け付けると、当該表示更新指示を受け付けた後の時間経過に応じて当該特定時刻に対応する収集時刻の表示を繰り返し更新することを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の外部設定機器。 【請求項9】 前記ログ表示部は、前記特定時刻に対応するスキャン回数を表示するとともに、前記第1ボタンを介した表示更新指示を受け付けると、当該表示更新指示を受け付けた後の時間経過に応じて当該特定時刻に対応するスキャン回数の表示を繰り返し更新することを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の外部設定機器。 【請求項10】 前記ログ表示部は、ユーザによる時刻指定指示を受け付け可能であって、前記特定時刻に応じて移動する第1時刻指定カーソルを表示することを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の外部設定機器。 【請求項11】 前記ログ表示部は、前記第1時刻指定カーソルのドラッグ操作を受け付けたとき、当該ドラッグ操作のドラッグ量に応じて前記特定時刻を調整することを特徴とする請求項10に記載の外部設定機器。 【請求項12】 前記ログ表示部は、前記第1ボタンを介した表示更新指示により前記特定時刻を所定の更新速度で更新している場合に前記第1時刻指定カーソルのドラッグ操作を受け付けたとき、当該特定時刻の更新を停止することで、当該特定時刻に対応するデバイス値の表示の更新を停止させることを特徴とする請求項11に記載の外部設定機器。 【請求項13】 前記ログ表示部は、さらに、前記メモリに記憶されたログデータから前記収集時刻に関する情報に基づき取得したデバイス値の時系列波形を表示する波形表示部を有し、 前記波形表示部は、前記第1ボタンを介した表示更新指示を受け付けると、当該表示更新指示を受けた後の時間経過に応じて当該デバイス値の時系列波形の表示範囲を時間軸方向に沿って移動させることを特徴とする請求項10から12のいずれか一項に記載の外部設定機器。 【請求項14】 前記波形表示部は、前記デバイス値の時系列波形において時刻を指定するための第2時刻指定カーソルを当該時系列波形に重ねて表示し、 前記第2時刻指定カーソルにより指定される時刻と前記特定時刻に対応する収集時刻とが同じになるよう構成されていることを特徴とする請求項13に記載の外部設定機器。 【請求項15】 前記波形表示部は、ユーザによる時刻指定指示を受け付け可能であって、前記特定時刻に応じて移動する前記第1時刻指定カーソルを表示し、 前記第2時刻指定カーソルのドラッグ操作を受け付けたとき、当該ドラッグ操作のドラッグ量に応じて前記第1時刻指定カーソルを移動させることを特徴とする請求項14に記載の外部設定機器。 【請求項16】 前記記録部は、前記デバイス記憶部に記憶されている複数のデバイス値を収集時刻に関する情報と対応付けて1つのレコードとして記録し、 前記ログ表示部は、前記レコードにおける収集時刻であって前記特定時刻に近い収集時刻に関する情報と対応付けられているデバイス値が前記ラダープログラム上に表示されるように表示を繰り返し更新することを特徴とする請求項1から15のいずれか一項に記載の外部設定機器。 【請求項17】 前記ログ表示部は、時間を計時する内部時計を有し、 前記内部時計にしたがって前記特定時刻を進めて行くことを特徴とする請求項1から16のいずれか一項に記載の外部設定機器。 【請求項18】 (削除) 【請求項19】 前記所定期間は、前記タイミングよりも前の所定期間を含むことを特徴とする請求項1に記載の外部設定機器。 【請求項20】 前記外部設定機器は、 ユーザ操作に基づいて、前記条件として特定のデバイスおよび当該特定のデバイスの状態変化によって定まるタイミングが指定された前記ログ設定情報を作成するログ設定部を備え、 前記送信部は、前記収集周期としてラダープログラムの1スキャンの指定が含まれ、前記ログ設定部により作成された前記ログ設定情報を、前記プログラマブルロジックコントローラに対して送信することを特徴とする請求項1から17または請求項19のいずれか一項に記載の外部設定機器。 【請求項21】 前記外部設定機器は、 ユーザ操作に基づきラダープログラムを作成するプログラム作成部を備え、 前記送信部は、前記プログラム作成部により作成したラダープログラムとともに、前記ログ設定情報を前記プログラマブルロジックコントローラに対して送信することを特徴とする請求項1から17、請求項19、または請求項20のいずれか一項に記載の外部設定機器。 【請求項22】 ログ設定情報を受け付けるインタフェースと、ラダープログラムを繰り返し実行するプログラム実行部と、前記プログラム実行部により参照される記憶領域である複数のデバイスを有するデバイス記憶部と、前記ログ設定情報で指定される収集周期ごとに、前記デバイス記憶部に記憶されている複数のデバイス値を収集時刻に関する情報と対応付けて記録する記録部とを有し、前記ログ設定情報で指定される条件が満たされると、前記記録部から前記ログ設定情報で指定される所定期間分の前記複数のデバイス値および対応付けられた収集時刻に関する情報を読み出してログデータとして出力するプログラマブルロジックコントローラに接続され、 前記プログラマブルロジックコントローラにより出力されるログデータを用いて、前記複数のデバイス値を表示するコンピュータにおいて実行されるプログラムであって、 前記収集周期としてラダープログラムの1スキャンを指定し、前記条件として特定のデバイスおよび当該特定のデバイスの状態変化によって定まるタイミングを指定し、前記所定期間として当該タイミングを基準とする収集時間を指定する前記ログ設定情報を、前記プログラマブルロジックコントローラに対して送信する送信工程と、 前記コンピュータのメモリに記憶されたラダープログラムを表示するとともに、前記メモリに記憶されたログデータから前記収集時刻に関する情報に基づき複数のデバイス値を取得して、特定時刻におけるデバイス値として当該ラダープログラム上に表示するログ表示工程とを前記コンピュータに実行させ、 前記ログ表示工程は、 第1ボタンを介した表示更新指示を受け付けると、時間経過に応じて前記特定時刻を進めて行くとともに、当該特定時刻と前記収集時刻に基づき前記ラダープログラム上に表示されるデバイス値であって前記特定時刻に対応するデバイス値を繰り返し更新することを含むことを特徴とするプログラム。」 第4 各甲号証の記載、及び周知技術 特許異議申立人が特許異議申立書に添付した甲号証 甲第1号証:国際公開第2014/167726号 甲第2号証:特開2010-176545号公報 甲第3号証:国際公開第2015/189969号 甲第4号証:特開2018-67220号公報 甲第5号証:特開2003-76405号公報 甲第6号証:特開平5-79951号公報 (以下、甲第○号証を「甲○」という。) 1 甲1 (1)甲1の記載事項 ア 発明の詳細な説明 「技術分野 [0001] この発明は、プログラマブルコントローラの周辺装置およびデバッグ支援プログラムに関するものである。 ・・・ 発明が解決しようとする課題 ・・・ [0005] この発明は上記に鑑みてなされたもので、トレンドグラフを用いて任意の時刻でのプログラムの動作状態を把握しやすくすることができるプログラマブルコントローラの周辺装置およびデバッグ支援プログラムを得ることを目的とする。 ・・・ [0010] 実施の形態1. 以下では、プログラマブルコントローラでサンプリングした情報を周辺装置で表示させる場合について説明するが、最初にプログラマブルコントローラについて説明する。プログラマブルコントローラは、内部にデバイスデータを有しており、ユーザによって作成されたユーザプログラム(シーケンスプログラム)にしたがって、そのデバイスデータをリード/ライトすることによって、たとえばプログラマブルコントローラに接続されたリレー、スイッチ、センサなどの入力装置の状態取得と、アクチュエータ、バルブなどの出力装置の制御を行う装置である。また、以下の実施の形態で使用されるプログラマブルコントローラには、所定のタイミングで予め設定した演算処理情報であるデバイスデータまたは全てのデバイスデータを、設定した期間収集した履歴情報であるトレースデータをメモリに保存するサンプリング機能が設けられているものとする。デバイスデータを収集する所定のタイミングとして、たとえば命令の実行、エラー発生時、周辺装置からの指令または設定した条件が真となったタイミングなどを挙げることができる。 [0011] 図1は、実施の形態1によるプログラマブルコントローラの周辺装置の機能構成の一例を模式的に示すブロック図である。プログラマブルコントローラの周辺装置20は、通信部21と、編集手段である入力部22と、表示手段である表示部23と、プログラム格納手段であるプログラム格納部24と、履歴情報格納手段であるトレースデータ格納部25と、プログラム表示処理手段である回路モニタ表示処理部26と、トレンドグラフ表示処理手段であるトレンドグラフ表示処理部27と、カーソル情報取得手段であるカーソル情報取得部28と、これらの各処理部を制御する制御部29と、を備える。 [0012] 通信部21は、図示しないプログラマブルコントローラとの間で通信を行う。入力部22は、キーボードまたはポインティングデバイスなどのユーザとの間の入力インタフェースである。入力部22を介して、プログラマブルコントローラで実行させるユーザプログラムが作成されたり、そのユーザプログラムのデバッグ処理が行われたり、後述するトレンドグラフに表示されるカーソルを移動させる指示が入力されたりする。表示部23は、液晶表示装置などのユーザに対して情報を表示する装置である。 [0013] プログラム格納部24は、プログラマブルコントローラで実行されるユーザプログラムが格納される。このユーザプログラムは、たとえば入力部22を介してユーザによって作成され、その後通信部21を介してプログラマブルコントローラへと導入される。 [0014] トレースデータ格納部25は、プログラマブルコントローラでサンプリングされたトレースデータを格納する。このトレースデータは、実行したユーザプログラムに対応付けて格納されてもよい。図2は、トレースデータの一例を示す図である。トレースデータは、サンプリングの単位時間に相当するインデックスごとに、収集時刻と、プログラマブルコントローラのデバイスデータ記憶部に記憶されるデバイスデータの値と、を記憶したものである。デバイスデータは、プログラマブルコントローラに接続される入力装置から取得した値、またはプログラマブルコントローラに接続される出力装置へ出力する値を示す演算処理情報である。ここでは、「X」は入力信号を示すビットデータであり、「Y」は出力信号を示すビットデータであり、「D」は数値を示すワードデータである。なお、このトレースデータは、プログラマブルコントローラで収集されたものを通信部21を介して格納されるものに限定されるものではない。たとえば、プログラマブルコントローラの各時間におけるデバイスデータを通信部21を介して周辺装置20で収集し、所定の期間収集したデバイスデータをトレースデータとしてトレースデータ格納部25に格納するようにしてもよい。 [0015] 回路モニタ表示処理部26は、ユーザによってたとえばユーザプログラムの異常発生時の原因究明処理モードの実行が指示されると、プログラム格納部24中のユーザによって選択されたユーザプログラムを表示部23の回路モニタ表示領域に表示させる処理を行う。一般的にプログラマブルコントローラで使用されるユーザプログラムはシーケンスプログラムである。このシーケンスプログラムは、リレー制御回路の考えを基本とした、リレーシンボリック語によってプログラムが記述されている。このように、シーケンスプログラムは回路図形式で記述されるので、シーケンスプログラムを表示したものは回路とも呼ばれる。そのため、以下の実施の形態では、ユーザプログラムを表示する領域を回路モニタ表示領域としている。 [0016] トレンドグラフ表示処理部27は、ユーザによって原因究明処理モードの実行が指示されると、トレースデータ格納部25中のユーザによって選択されたプログラムに対応するトレースデータをトレンドグラフ化して、表示部23のトレンドグラフ表示領域に表示させる処理を行う。トレンドグラフ表示領域は、表示部23中で回路モニタ表示領域とは別個の領域として設けられる。 [0017] 図3は、実施の形態1による表示画面の一例を示す図である。この図3(a)では、表示画面100中の上半分に、ユーザプログラムを表示する回路モニタ表示領域110が設けられ、下半分にトレンドグラフを表示するトレンドグラフ表示領域120が設けられている。シーケンスプログラムは、多数の行(たとえば何百行、何千行)の命令によって構成されるのが普通であるため、回路モニタ表示領域110に全てのユーザプログラムを表示することができない。そのため、回路モニタ表示領域110にスクロールバー115を設けて、全てのユーザプログラムをスクロールしながら閲覧可能な構成としている。また、トレンドグラフ表示領域120も同様にスクロールバー125を有している。トレンドグラフ表示領域120には、トレンドグラフの時間を指定するカーソル121がトレンドグラフに重ねて表示されている。ここで、カーソル121とは、トレンドグラフ上を時間軸(に相当する)方向に沿って稼働可能な垂直線を指し、回路モニタ上に表示するデバイスデータの、トレースデータ上の位置(インデックス)を指示するために使用するものである。図3では、カーソル121は点線で表示されているが、実線または破線などの直線で表示されてもよいし、これらを点滅表示させてもよい。回路モニタ表示領域110とトレンドグラフ表示領域120は、それぞれ1つのウインドウによって構成することができる。 [0018] また、図3(b)に示されるように、トレンドグラフ表示領域120で、カーソル121と各グラフとの接点の値を表示させるようにしてもよい。この場合のカーソルと各グラフとの接点の値は、後述するカーソル情報取得部28から取得したカーソル121の位置と各デバイスデータの値を用いることができる。このような表示画面とすることで、トレンドグラフ表示領域120でのカーソル121が指す位置の状態をさらに容易に把握することが可能になる。 [0019] なお、図3の例では、回路モニタ表示が1つだけになっているが、画面分割して複数のプログラムの任意の回路部分を同時に表示してもよいし、1つの画面上で別のプログラムに切替えて表示させてもよい。また、回路モニタを表示する画面(ウインドウ)とトレンドグラフを表示する画面(ウインドウ)とを別個に設けるようにしてもよい。図4は、実施の形態1による表示画面の一例を示す図である。この場合にもトレンドグラフ表示画面のトレンドグラフ上のカーソル121の移動と連動して、回路モニタ表示画面で回路モニタ表示上のデバイスの値を表示するようにしてもよい。 [0020] カーソル情報取得部28は、トレンドグラフ表示領域120に設けられるカーソル121の位置を取得する。具体的には、トレンドグラフ上でのカーソル121の位置(インデックス)を取得し、そのインデックスに対応するデバイスデータをトレースデータ格納部 25から取得する。そして、取得したデバイスデータをカーソル指定情報として回路モニタ表示処理部26に渡す。 [0021] この実施の形態1では、トレンドグラフ表示領域120のトレンドグラフと、回路モニタ表示領域110のユーザプログラムとを連動させるようにするために、上記のカーソル情報取得部28を設け、さらにカーソル情報取得部28で取得したカーソル指定情報を、回路モニタ表示処理部26で回路モニタ表示領域110上に表示させるようにしている。 [0022] 具体的には、回路モニタ表示処理部26は、トレンドグラフ表示領域120のカーソル121の位置における各デバイスデータの値を、回路モニタ表示領域110のユーザプログラムの対応箇所に重ねてまたは対応箇所の近傍に表示する機能を有する。たとえば、カーソル情報取得部28から取得したカーソル指定情報に基づいて、オン状態にあるビットデバイスを強調表示し、またワードデータの値をワードデバイスの位置の近傍に表示する。 [0023] 図5は、実施の形態1によるユーザプログラムとトレンドグラフの表示状態の一例を示す図である。図5(a)のトレンドグラフ表示領域120では、時刻Tnの位置にカーソル121があり、このときに導通状態にあるビットデバイス(X11,Y0)が回路モニタ表示領域110では黒塗りで示され、このときのワードデバイス(D0)の値(図の例では、「123」)がそのワードデバイスの近傍に表示されるようになっている。 [0024] 一方、図5(b)のトレンドグラフでは、時刻Tn+1の位置にカーソル121があり、このときに導通状態にあるビットデバイスが回路モニタ表示領域110では黒塗りで示され、このときのワードデバイス(D0)の値(図の例では、「653」)がそのワードデバイスの近傍に表示されるようになっている。ただし、この例は、導通状態にあるビットデバイスがない(非導通状態のビットデバイスのみである)ため、回路モニタ表示領域110で黒塗で示されているデバイスは存在しない。 [0025] つぎに、このような構成のプログラマブルコントローラの周辺装置20のデバッグ支援方法について説明する。図6は、実施の形態1による周辺装置のデバッグ支援方法の手順の一例を示すフローチャートである。なお、ここでは、周辺装置20のトレースデータ格納部25にはすでにトレースデータが格納されているものとする。 [0026] まず、ユーザによって入力部22を介して解析したいユーザプログラムが選択されると、回路モニタ表示処理部26は、プログラム格納部24から選択されたユーザプログラムを読み込む。そして、表示部23の回路モニタ表示領域110にユーザプログラムを表示する(ステップS11)。 [0027] また、トレンドグラフ表示処理部27は、選択されたトレースデータをトレースデータ格納部25から読み込む。そして、表示部23のトレンドグラフ表示領域120にトレースデータをグラフ化したトレンドグラフとカーソル121とを表示する(ステップS12)。トレンドグラフにおいて、横軸は経過時間を示している。そのため、カーソル121は、時間軸方向に沿って移動可能な構成となる。 [0028] その後、トレンドグラフ表示領域120のカーソル121がユーザによって入力部22を介して移動される。このときカーソル情報取得部28は、移動されるカーソル121のトレンドグラフ上での位置を取得する(ステップS13)。この例では、トレンドグラフ上の位置は、トレースデータにおけるインデックスである。また、カーソル情報取得部28は、トレンドグラフ上の位置におけるデバイスデータをトレースデータ格納部25中のトレースデータから取得し(ステップS14)、取得したデバイスデータを回路モニタ表示処理部26に渡す。 [0029] 回路モニタ表示処理部26は、取得したデバイスデータに合わせて、回路モニタ表示領域110のユーザプログラム中のデバイスの値の表示を変更する(ステップS15)。これは、回路モニタ表示処理部26は、たとえばデバイスデータがオン状態を示す場合には、対応するデバイスの表示を強調表示させたり、色を変えて表示させたりすることによって行われる。また、デバイスデータが数値を示すワードデータである場合には、対応するデバイスの近傍にその数値を表示する。 [0030] その後、たとえばユーザからの入力部22を介した指示によって、表示処理が終了したかを判定する(ステップS16)。表示処理が終了でない場合(ステップS16でNoの場合)には、ステップS13へと処理が戻る。また、表示処理が終了の場合(ステップS16でYesの場合)には、処理が終了する。 [0031] なお、上記した説明では、カーソル121はユーザによって移動される場合を例示したが、これに限定されるものではない。たとえばカーソル121を自動的に時系列にしたがって動かしつつ、回路モニタ表示上のデバイスの値を次々と変更させながら表示させるようにしてもよい。 [0032] この実施の形態1では、プログラマブルコントローラで異常が発生した前後のユーザプログラムの演算処理情報を、ユーザプログラムの表示上に重ねて表示することが可能になるので、異常発生時のユーザプログラムの動作状態の把握が容易となる。その結果、ユーザプログラムの異常箇所の特定が行いやすくなり、ユーザプログラムのデバッグ作業を効率的に行うことができるという効果を有する。 [0033] 実施の形態2. 実施の形態1では、プログラマブルコントローラでユーザプログラムを実行させた結果であるトレースデータを用いて、トレンドグラフをユーザプログラムとともにそれぞれ別画面で表示させ、トレンドグラフ上のカーソルの位置にしたがってユーザプログラムのデバイスの値の変遷を見られる場合を示した。実施の形態2では、トレンドグラフ上の任意の時刻を指定し、指定した時刻のデバイスデータをプログラマブルコントローラに設定して、ユーザプログラムを再実行させ、その結果を最初のトレンドグラフと比較する場合について説明する。 ・・・ [0041] 以上の処理によって、たとえば図9(a)に示されるような表示画面100が得られる。ここで、ユーザは、表示画面100を確認し、たとえばユーザプログラムどおりに動作していない箇所を見つけたものとする。そして、そのことを再確認するために、ユーザは、たとえば時刻Tnからユーザプログラムの実行を再現したいと考えたものとする。そのためにその位置(再現開始点)にカーソル121を合わせ、入力部22を介してそのカーソル位置から再度プログラマブルコントローラ10に処理を実行させる指示を与える(ステップS33)。」 イ 図面 「[図1] [図:0001398244000001.jpg] [図2] [図:0001398244000002.jpg] [図3] [図:0001398244000003.jpg] [図:0001398244000004.jpg] [図4] [図:0001398244000005.jpg] [図5] [図:0001398244000006.jpg] [図:0001398244000007.jpg] [図6] [図:0001398244000008.jpg] 」 (2)甲1の記載事項の整理 ア 段落[0010]、[0012]、[0014]の記載からみて、甲1記載のプログラマブルコントローラは、周辺装置20(通信部21)との間で通信を行い、ユーザプログラムを実行し、ユーザプログラムにしたがってリード/ライトする複数のデバイスデータをデバイスデータ記憶部に記憶する。 イ 段落[0014]の記載からみて、甲1記載のプログラマブルコントローラは、サンプリングの単位時間に相当するインデックスごとに、収集時刻とデバイスデータの値を記憶したものであるトレースデータをサンプリングしているから、サンプリングの単位時間ごとに、前記複数のデバイスデータの値と収集時刻を記憶しているものである。 ウ 段落[0010]の「所定のタイミングで予め設定した演算処理情報であるデバイスデータまたは全てのデバイスデータを、設定した期間収集した履歴情報であるトレースデータをメモリに保存する」との記載、及び段落[0014]の周辺装置20のトレースデータ格納部25がトレースデータを格納することの記載から、甲1記載のプログラマブルコントローラは、所定のタイミングに設定した期間で収集した複数のデバイスデータの値と収集時刻のトレースデータを、接続された周辺装置20に送信するものである。 エ 図3(a)~(b)の図示内容、及びこれに関する段落[0017]の記載からみて、甲1記載の周辺装置20は、プログラマブルコントローラにより送信するトレースデータを用いて、複数のデバイスデータの値を表示するものである。 オ 段落[0011]の記載からみて、甲1記載の周辺装置20は、通信部21を有する。 カ 段落[0011]、[0013]~[0014]の記載からみて、ユーザプログラムおよびトレースデータをそれぞれ格納するプログラム格納部24及びトレースデータ格納部25を有する。 キ 段落[0016]~[0017]のトレンドグラフ表示処理部27、及び図3(a)~(b)に関する記載、図3(a)~(b)の図示内容、並びに段落[0014]のトレースデータが収集時刻を含むことの記載からみて、甲1記載の周辺装置20のトレンドグラフ表示処理部27は、ユーザプログラムを表示するとともに、トレースデータから収集時刻に関する情報に基づきデバイスデータの値を取得して、トレンドグラフの指定した時間におけるデバイスデータの値として当該ユーザプログラム上に表示するものである。 また、上記カのとおり、ユーザプログラムはプログラム格納部24に格納され、トレースデータはトレースデータ格納部25に格納される。 ク 段落[0025]~[0031]、図6の記載からみて、甲1記載の周辺装置20のトレンドグラフ表示処理部27は、入力部22により、あるいは自動的に移動したカーソル121の位置を取得すると、時間経過に応じて前記トレンドグラフの時間を進めて行くとともに、トレンドグラフの時間と収集時刻に基づき回路モニタ表示領域110のユーザプログラムの対応箇所に表示するデバイスデータの値であってトレンドグラフの時間に対応するデバイスデータの値を次々と変更しながら表示するものである。 (3)甲1発明 上記(1)~(2)より、甲1には、特に実施の形態1(段落0010~0032、図1~6)に基づけば、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されているものと認められる。 「周辺装置20との間で通信を行い、ユーザプログラムを実行し、ユーザプログラムにしたがってリード/ライトする複数のデバイスデータをデバイスデータ記憶部に記憶し、サンプリングの単位時間ごとに、前記複数のデバイスデータの値と収集時刻を記憶し、所定のタイミングに設定した期間で収集した前記複数のデバイスデータの値と前記収集時刻のトレースデータを周辺装置20に送信するプログラマブルコントローラに接続され、 前記プログラマブルコントローラにより送信するトレースデータを用いて、前記複数のデバイスデータの値を表示する周辺装置20であって、 プログラマブルコントローラとの間で通信を行う通信部21と、 前記ユーザプログラムおよび前記トレースデータをそれぞれ格納するプログラム格納部24及びトレースデータ格納部25と、 前記プログラム格納部24に格納されたユーザプログラムを表示するとともに、前記トレースデータ格納部25に格納されたトレースデータから前記収集時刻に関する情報に基づきデバイスデータの値を取得して、トレンドグラフの指定した時間におけるデバイスデータの値として当該ユーザプログラム上に表示するトレンドグラフ表示処理部27と、 を備え、 前記トレンドグラフ表示処理部27は、自動的に移動したカーソル121の位置を取得すると、時間経過に応じて前記トレンドグラフの時間を進めて行くとともに、当該トレンドグラフの時間と前記収集時刻に基づき回路モニタ表示領域110のユーザプログラムの対応箇所に表示するデバイスデータの値であって前記トレンドグラフの時間に対応するデバイスデータの値を次々と変更しながら表示することを特徴とする周辺装置20。」 2 甲2 (1)甲2の記載事項 「【技術分野】 【0001】 この発明は、被制御機器に関するデータをロギングするプログラマブルコントローラ(以下単に「PLC」と称する)およびデータ収集装置に関し、特に、外部記憶媒体に記録されたロギングに関する設定パラメータによってロギングを実行するPLCおよびデータ収集装置に関するものである。 【背景技術】 【0002】 一般に、産業用機械などの被制御機器を制御するプログラマブルコントローラ(以下単に「PLC」と称する)は、被制御機器に関するデバイスデータを一時的に格納するデバイスメモリを有しており、ユーザプログラムであるシーケンスプログラムに従って、デバイスデータをリード/ライトすることによって被制御装置を制御する。また、PLCには、被制御装置において希に発生するトラブルなどを検知するために、ロギング対象であるデバイスデータの諸条件であるロギング設定パラメータが予め設定され、PLCは、このロギング設定パラメータに基づいて被制御装置の動作状態やPLC自体の動作状態を取得可能なように構成されている。 【0003】 ただし、ロギング設定パラメータをPLCに格納するには、ロギング設定パラメータを設定するためのソフトがインストールされたパーソナルコンピュータ等のプログラミングツールを、PLCにオンライン接続する手間がかかるという問題があった。」 (2)甲2記載の技術的事項 上記(1)より甲2には、次の技術的事項(以下「甲2記載の技術的事項」という。)が記載されている。 「プログラマブルコントローラにおけるロギング設定パラメータを、パーソナルコンピュータで設定して、パーソナルコンピュータにオンライン接続されたプログラマブルコントローラに格納すること。」 3 甲3 (1)甲3の記載事項 ア 発明の詳細な説明 「[0015] ・・・ パーソナルコンピュータ40およびサーバパーソナルコンピュータ30は、Ethernet(登録商標)などのケーブル60を介してロギング装置100に接続されている。・・・ ・・・ [0017] 制御データ転送部16は、既定の一定周期または制御プログラムの動作周期で、ロギング装置100が備える共有メモリ105に制御データ格納部15の制御データ14の値を転送し、制御データ14を共有メモリ105に格納したことをロギング装置100に通知する。すなわち、ロギング装置100は、既定の一定の間隔または制御プログラムの動作間隔で制御データ14を取得する。制御データ転送部16は、制御データ14が発生した時系列順に該制御データ14を転送する。通信部17は、外部機器との間で通信を行う。 [0018] パーソナルコンピュータ40は、ソフトウェアにより実現されるロギング設定ツール41と、通信部42とを有する。ロギング設定ツール41は、ロギング用の設定データを作成し、該設定データをロギング装置100に設定する機能を有する。設定データは、ロギング装置100が制御装置10から収集するデータの数および種類、データを収集する周期、ロギング実行条件、データを結合する設定の選択、データ補間方法、時刻同期タイミングなどの設定内容に関するデータである。したがって、パーソナルコンピュータ40は、ロギング用設定データ作成・設定装置として機能する。通信部42は、外部機器との間で通信を行う。」 (2)甲3記載の技術的事項 上記(1)より、甲3には次の技術的事項(以下「甲3記載の技術的事項」という。)が記載されている。 「ロギング装置100に接続されたパーソナルコンピュータ40は、ロギング装置100が制御装置10から収集するデータの数および種類、データを収集する周期、ロギング実行条件、データを結合する設定の選択、データ補間方法、時刻同期タイミングなどの設定内容に関するデータであるロギング用の設定データを作成し、該設定データをロギング装置100に設定する機能を有し、ロギング用設定データ作成・設定装置として機能すること。」 4 甲4 (1)甲4の記載事項 ア 発明の詳細な説明 「【0026】 ここで、確認モード表示画面80(図5)について説明を追加する。「戻る」ボタン83が操作されると、プロセッサ21は、データファイルに基づいて、ラダー図表示領域81に表示するスキャン結果を現在表示しているスキャン結果の1スキャン前のスキャン結果に切替える。「次へ」ボタン84が操作されると、プロセッサ21は、データファイルに基づいて、ラダー図表示領域81に表示するスキャン結果を現在表示しているスキャン結果の1スキャン後のスキャン結果に切替える。「信号確認終了」ボタン85が操作されると、プロセッサ21は表示画面を確認モード表示画面80からモニターモード表示画面60(図5参照)に切替える。尚、「トレース信号入力」ボタン86を操作して、表示させたいデータファイルを選択し直すことにより、設計者は表示させるデータファイルを変更することができる。」 イ 図面 「【図5】 [図:0001398244000009.jpg] 」 (2)甲4記載の技術的事項 上記(1)の記載事項からみて、甲4には次の技術的事項(以下「甲4記載の技術的事項」という。)が記載されている。 「ラダー図表示領域81に表示するスキャン結果を、「戻る」ボタン83が操作されると、現在表示しているスキャン結果の1スキャン前のスキャン結果に切替え、「次へ」ボタン84が操作されると、現在表示しているスキャン結果の1スキャン後のスキャン結果に切替えること。」 5 甲5 (1)甲5の記載事項 ア 発明の詳細な説明 「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、プログラマブルロジックコントローラなどの産業用制御装置を動作させるために制御システムに応じてユーザによって開発される制御手順プログラムの実行結果を集積して記録保存できる制御用表示装置、制御システム、制御プログラムおよびそれを記録した記録媒体に関するものである。 ・・・ 【0014】本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、シーケンス制御プログラムの実行履歴を記録することによって、過去の操作を容易に再現することができる制御用表示装置、制御システム、制御プログラムおよびそれを記録した記録媒体を提供することを目的としている。 ・・・ 【0053】検索のために、第1実行履歴再現手段としてのデータベース管理部31は、例えば、図5および図6に示すような検索画面51をユーザに提供する。この検索画面51は、再生キー51a、停止キー51b、早送りキー51c、早戻しキー51d、一時停止キー51e、日時を設定する日時設定部51fおよび後述するキーを指定するキー指定部51gを有している。 【0054】データベース管理部31は、再生キー51aの操作により、表示器2(表示制御システムプログラム)、作画エディタ16aまたはラダーエディタ16bが検索データを動画的に表示するように、連続的にデータの検索を行う。この検索において早送りキー51cまたは早戻しキー51dが操作されると、検索速度が高くなり、検索画面が順方向または逆方向に高速で表示される一方、一時停止キー51eの操作により検索が一時停止し、このとき、ユーザ画面が静止状態で表示される。また、早送りキー51cまたは早戻しキー51dのみの操作では、高速度で検索位置が変化するが、ユーザ画面は表示(再生)されない。このとき、日時設定部51fには、検索位置の移動時に認識された日時が表示されていく。さらに、停止キー51bの操作により、検索が停止する。」 イ 図面 「【図5】 [図:0001398244000010.jpg] 【図6】 [図:0001398244000011.jpg] 」 (2)甲5記載の技術的事項 上記(1)の記載事項からみて、甲5には次の技術的事項(以下「甲5記載の技術的事項」という。)が記載されている。 「プログラマブルロジックコントローラを動作させるシーケンスプログラムの実行履歴を記録して再現する画面の表示を、ボタンで操作すること。」 6 甲6 (1)甲6の記載事項 「【0089】処理1104においては時刻tにおける表示すべきプロセスデータがワークステーション103内にバッファリングされているデータで十分か判断し十分な場合はそれらを表示する。ただし十分な場合とは、時刻tにおけるプロセスデータがバッファリングされているか、または時刻tにおけるデータはないがその前後のデータがバッファリングされている場合である。前後のデータのみバッファリングされているときは、もっともtに近いデータで代用するか前後のデータを線形に補間することでデータを作成する。十分でない場合には処理1105において、ワークステーション103は、表示速度、方向を基にデ-タベ-ス104から表示データとして読み込むデータの範囲を決定し、処理1106で、表示するプロセスデータの種類と読み込むデータの範囲をLANを通じてデータベース104に送り、デ-タベ-ス104から要求されたプロセスデータがワークステーション103に送られる。・・・」 (2)上記(1)の記載事項からみて、甲6には次の技術的事項(以下「甲6記載の技術的事項」という。)が記載されている。 「特定時刻においてデータが存在しない場合に、最も特定時刻に近いデータで代用すること。」 7 周知技術1 上記2(2)の甲2記載の技術的事項、3(2)の甲3記載の技術的事項により、「外部設定機器で設定したログ設定情報を、プログラマブルロジックコントローラが受け付けること」は周知技術(以下「周知技術1」という。)である。 8 周知技術2 上記4(2)の甲4記載の技術的事項、5(2)の甲5記載の技術的事項により、「ログ表示部の表示更新指示を、ボタンを介して受け付けること」は周知技術(以下「周知技術2」という。)である。 第5 当審で通知した取消理由について 1 取消理由の概要 訂正前の請求項1~22に係る特許に対して、当審が令和4年7月27日付けで特許権者に通知した取消理由の概要は、次のとおりである。 本件訂正請求による訂正前の請求項1~22に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明である甲1~甲6に記載された発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。 2 理由の要旨 (1)理由1 本件発明は、甲1発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (2)理由2 本件発明は、甲1発明、及び甲2~甲5に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (3)理由3 本件請求項2~21に係る発明は、甲1発明、及び甲2~甲6に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (4)理由4 本件請求項22に係る発明は、甲1発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (5)理由5 本件請求項22に係る発明は、甲1発明、及び甲2~甲5に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第6 当審の判断 1 理由1 理由1について検討する。 (1)本件発明と甲1発明の対比 ア 甲1発明の「ユーザプログラム」は本件発明の「ラダープログラム」に、同様に「デバイスデータ」は「デバイス」に、「デバイスデータ記憶部」は「複数のデバイスデータ」を記憶することから「複数のデバイスを有するデバイス記憶部」に、「サンプリングの単位時間」は「収集周期」に、「デバイスデータの値」は「デバイス値」に、「トレースデータ」は「ログデータ」に、「プログラマブルコントローラ」は「プログラマブルロジックコントローラ」にそれぞれ相当する。 イ 甲1発明のプログラマブルコントローラは「周辺装置20との間で通信」を行うことからインタフェースを有するといえる。したがって、甲1発明のプログラマブルコントローラが「周辺装置20との間で通信」を行うことは、本件発明のプログラマブルロジックコントローラが「ログ設定情報を受け付けるインタフェース」を有することに対して、ログ設定情報を受け付けるか否かは不明であるものの、「通信される情報を受け付けるインタフェース」を有する点においては一致することが明らかである。 ウ 甲1発明において、プログラマブルコントローラは「ユーザプログラムを実行」することからプログラム実行部を有するといえる。したがって、甲1発明のプログラマブルコントローラにおいて「ユーザプログラムを実行」することは、本件発明のプログラマブルロジックコントローラにおいて「ラダープログラムを繰り返し実行するプログラム実行部」を有することに相当する。 エ 甲1発明において、プログラマブルコントローラは「ユーザプログラムにしたがってリード/ライトする複数のデバイスデータをデバイスデータ記憶部に記憶」するところ、「リード/ライトする」という動作は記憶部の参照を伴うものである。したがって、甲1発明のプログラマブルコントローラにおいて「ユーザプログラムにしたがってリード/ライトする複数のデバイスデータをデバイスデータ記憶部に記憶」することは、本件発明のプログラマブルロジックコントローラにおいて「前記プログラム実行部により参照される記憶領域である複数のデバイスを有するデバイス記憶部」を有することに相当する。 オ 甲1発明のプログラマブルコントローラにおいて「サンプリングの単位時間ごとに、前記デバイスデータの値と収集時刻を記憶」することは、本件発明の「収集周期ごとに、前記デバイス記憶部に記憶されている複数のデバイス値を収集時刻に関する情報と対応付けて記録する記録部」を有することに相当する。 カ 甲1発明のプログラマブルコントローラにおいて「所定のタイミングに設定した期間で収集した前記デバイスデータの値と前記収集時刻のトレースデータを周辺装置20に送信する」ことは、所定のタイミングという条件が満たされたときに設定した期間という所定期間分のデバイスデータの値と収集時刻のトレースデータを読み出して周辺装置20に送信し、プログラムの動作状態を把握するデータ(ログデータ)として用いるのであるから、本件発明の「条件が満たされると、前記記録部から所定期間分の前記複数のデバイス値および対応付けられた収集時刻に関する情報を読み出してログデータとして出力する」ことに相当する。 キ 甲1発明の「周辺機器20」は本件発明の「外部設定機器」に相当する。 ク 甲1発明の「通信部21」は本件発明の「送信部」に相当し、甲1発明の「プログラマブルコントローラとの間で通信を行う通信部21」と、本件発明の「前記収集周期としてラダープログラムの1スキャンを指定し、前記条件として特定のデバイスおよび当該特定のデバイスの状態変化によって定まるタイミングを指定し、前記所定期間として当該タイミングを基準とする収集時間を指定する前記ログ設定情報を、前記プログラマブルロジックコントローラに対して送信する送信部」を対比すると、「通信される情報をプログラマブルロジックコントローラに対して送信する送信部」という点に限り一致する。 ケ 甲1発明の「前記ユーザプログラムおよび前記トレースデータをそれぞれ格納するプログラム格納部24及びトレースデータ格納部25」は、本件発明の「前記ラダープログラムおよび前記ログデータを記憶するメモリ」に相当する。 コ 甲1発明の「トレンドグラフ表示処理部27」は本件発明の「ログ表示部」に、同様に「トレンドグラフの時間」は「特定時刻」に相当する。 カ 甲1発明の「入力部22により、あるいは自動的に移動したカーソル121の位置を取得する」ことと、本件発明の「第1ボタンを介した表示更新指示を受け付ける」ことを対比すると、「表示更新指示を受け付ける」という点では一致する。 キ 甲1発明の「当該トレンドグラフの時間と前記収集時刻に基づき回路モニタ表示領域110のユーザプログラムの対応箇所に表示するデバイスデータの値」は、本件発明の「当該特定時刻と前記収集時刻に基づき前記ラダープログラム上に表示されるデバイス値」に相当し、甲1発明の「前記トレンドグラフの時間に対応するデバイスデータの値を次々と変更しながら表示する」ことは、本件発明の「前記特定時刻に対応するデバイス値を繰り返し更新する」ことに相当する。 (2)本件発明と甲1発明の一致点及び相違点 したがって、本件発明と甲1発明は以下の点で一致し、相違する。 ア 一致点 通信される情報を受け付けるインタフェースと、ラダープログラムを繰り返し実行するプログラム実行部と、前記プログラム実行部により参照される記憶領域である複数のデバイスを有するデバイス記憶部と、収集周期ごとに、前記デバイス記憶部に記憶されている複数のデバイス値を収集時刻に関する情報と対応付けて記録する記録部とを有し、条件が満たされると、前記記録部から所定期間分の前記複数のデバイス値および対応付けられた収集時刻に関する情報を読み出してログデータとして出力するプログラマブルロジックコントローラに接続され、 前記プログラマブルロジックコントローラにより出力されるログデータを用いて、前記複数のデバイス値を表示する外部設定機器であって、 通信される情報を、前記プログラマブルロジックコントローラに対して送信する送信部と、 前記ラダープログラムおよび前記ログデータを記憶するメモリと、 前記メモリに記憶されたラダープログラムを表示するとともに、前記メモリに記憶されたログデータから前記収集時刻に関する情報に基づき複数のデバイス値を取得して、特定時刻におけるデバイス値として当該ラダープログラム上に表示するログ表示部と、 を備え、 前記ログ表示部は、表示更新指示を受け付けると、時間経過に応じて前記特定時刻を進めて行くとともに、当該特定時刻と前記収集時刻に基づき前記ラダープログラム上に表示されるデバイス値であって前記特定時刻に対応するデバイス値を繰り返し更新する外部設定機器。 イ 相違点 (ア)相違点1 本件発明における「ログ設定情報」について、「送信部」が「プログラマブルロジックコントローラ」に対して送信して、プログラマブルロジックコントローラの「インタフェース」が「受け付ける」ものであるのに対して、甲1発明においては、プログラマブルロジックコントローラが上記ログ設定情報である「収集周期」(サンプリングの単位時間)、「条件」(所定のタイミング、設定した期間)、及び「所定期間」の情報を扱ってはいるものの、これらの情報について、送信部としての「通信部21」が「プログラマブルロジックコントローラ」に対して送信して、プログラマブルコントローラ(のインタフェース)が受け付けるものであるか否かが不明である点。 (イ)相違点2 本件発明のログ設定情報が「収集周期としてラダープログラムの1スキャンを指定し、条件として特定のデバイスおよび当該特定のデバイスの状態変化によって定まるタイミングを指定し、所定期間として当該タイミングを基準とする収集時間を指定する」のに対して、甲1発明のログ設定に関する「収集周期」、「条件」、及び「所定期間」の情報が、本件発明のログ設定情報のような内容であるか否かが不明である点。 (ウ)相違点3 本件発明のログ表示部は、「表示更新指示」を、「第1ボタン」を介して受け付けるのに対して、甲1発明においては、表示更新指示にあたる「カーソル121の移動」を、「入力部22により、あるいは自動的」に行う点。 (3)相違点の検討 事案に鑑み、相違点2から検討する。 ア 上記相違点2のうち、ログ設定情報が「収集周期としてラダープログラムの1スキャンを指定」する点(以下「相違点2-1」という。)については、甲1の段落[0014]の「このトレースデータは、実行したユーザプログラムに対応付けて格納されてもよい。」との記載から、収集周期をラダープログラムの1スキャンで区切ることが示唆されているといえる。したがって、相違点2-1は、甲1発明に基づいて、当業者が容易に想到し得たものといえる。 イ これに対して、上記相違点2のうち、「条件として特定のデバイスおよび当該特定のデバイスの状態変化によって定まるタイミングを指定し、所定期間として当該タイミングを基準とする収集時間を指定する」点(以下「相違点2-2」という。)については、甲1には記載も示唆もされていない。 すなわち、甲1の段落[0010]には、「また、以下の実施の形態で使用されるプログラマブルコントローラには、所定のタイミングで予め設定した演算処理情報であるデバイスデータまたは全てのデバイスデータを、設定した期間収集した履歴情報であるトレースデータをメモリに保存するサンプリング機能が設けられているものとする。デバイスデータを収集する所定のタイミングとして、たとえば命令の実行、エラー発生時、周辺装置からの指令または設定した条件が真となったタイミングなどを挙げることができる。」と記載され、命令の実行、エラー発生時、周辺装置からの指令または設定した条件が真となったタイミングなどが、デバイスデータを設定した期間収集した履歴情報であるトレースデータをメモリに保存する所定のタイミングとして例示されている。 また、段落[0014]には、「トレースデータは、サンプリングの単位時間に相当するインデックスごとに、収集時刻と、プログラマブルコントローラのデバイスデータ記憶部に記憶されるデバイスデータの値と、を記憶したものである。・・・たとえば、プログラマブルコントローラの各時間におけるデバイスデータを通信部21を介して周辺装置20で収集し、所定の期間収集したデバイスデータをトレースデータとしてトレースデータ格納部25に格納するようにしてもよい。」と、トレースデータがサンプリングの単位時間に相当するインデックスごとに記憶され、所定の期間収集したものであることが記載されている。 ここで、上記相違点2-2における「デバイスの状態変化」は、甲1発明においては、甲1の図2~6に図示されたX10、X11、Y0、D0のデバイスデータの値が変化する(例えばX10のビットデータのON⇔OFF)事象に該当すると認められるが、甲1の上記段落[0010]、段落[0014]、及び他の箇所をみても、このデバイスデータの値の変化のタイミングを基準とする所定期間のトレースデータを格納することについて記載されていない。 甲1の上記段落[0010]においては、デバイスデータを収集する「所定のタイミング」となる事象に関し、命令の実行、エラー発生時、周辺装置からの指令または設定した条件が真となったタイミングが例示されており、これらの例示された事象がデバイスデータの値の変化を惹起する可能性はあるものの、甲1にはデバイスデータを収集する「所定のタイミング」としてデバイスデータの値の変化(デバイスの状態変化)を直接用いることは記載も示唆もされていない。 さらに、「所定期間」に関し、甲1の上記段落[0010]における「設定した期間」、及び段落[0014]における「所定の期間」について、上記デバイスデータの値の変化のタイミングを基準として指定されることの記載はなく、このタイミングとの関連が存在することを示唆する内容も見出すことができない。 したがって、相違点2-2について、当業者が容易に想到し得たものということはできない。 ウ なお、主引用発明である甲1発明は、第4の1(3)に記載のとおり、甲1の特に実施の形態1に基づいて認定した。 他方、申立ての理由で言及されている実施の形態2(段落[0033]~[0053]、図7~10)は、本件発明の「所定期間」に対応する事項について直接的な記載がない。 この「所定期間」に対応する事項について、実施の形態1の記載内容が適用できるとしても、実施の形態2は、段落[0033]に記載のとおり、トレンドグラフ上の任意の時刻を指定し、指定した時刻のデバイスデータをプログラマブルコントローラに設定して、ユーザプログラムを再実行させ、その結果を最初のトレンドグラフと比較するものであって、段落[0038]に記載のとおり、上記時刻はユーザが入力部22を介して設定するものである。そして、段落[0041]には「ユーザは、表示画面100を確認し、たとえばユーザプログラムどおりに動作していない箇所を見つけたものとする。そして、そのことを再確認するために、ユーザは、たとえば時刻Tnからユーザプログラムの実行を再現したいと考えたものとする。」と記載されており、上記相違点2の特定のデバイスの状態変化に相当する上記デバイスデータの値の変化のタイミングは、ユーザの方でプログラムどおりに動作していない箇所として見つけるものである。 そうすると、実施の形態2の記載内容から、ログ設定情報の方で「前記条件として特定のデバイスおよび当該特定のデバイスの状態変化によって定まるタイミングを指定」する上記相違点2に至るには阻害要因があるといえ、本件発明に想到することが容易とはいえないことも明らかである。 (4)理由1の小括 したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明は、甲1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 2 理由2 上記甲2~甲5記載の技術的事項(上記第4の2~5のそれぞれの(2))、あるいは周知技術1~2(上記第4の7~8)のいずれも、相違点2(上記1(2)イ(イ))に相当するもの、あるいは相違点2を示唆するものではなく、甲1発明に甲2~甲5記載の技術的事項、あるいは周知技術1~2を適用して、本件発明に至ることが容易であるとはいえない。また、甲6記載の技術的事項(上記第4の6(2))を含めてみても同様である。 3 理由3 請求項2~17、19~21は、いずれも請求項1を引用する引用形式請求項であって、請求項2~17、19~21に係る発明は、それぞれ、本件発明に対してさらに発明特定事項を追加したものであるから、本件発明と同様に、甲1発明に甲2~甲6記載の技術的事項、あるいは周知技術1~2を適用することで、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 4 理由4 請求項22は、本件発明と同じく「前記収集周期としてラダープログラムの1スキャンを指定し、前記条件として特定のデバイスおよび当該特定のデバイスの状態変化によって定まるタイミングを指定し、前記所定期間として当該タイミングを基準とする収集時間を指定する前記ログ設定情報」の発明特定事項を含み、甲1発明とは相違点2(上記1(2)イ(イ))において相違するから、本件発明と同様に、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 5 理由5について 上記4に記載したように、請求項22に係る発明と甲1発明とは相違点2(上記1(2)イ(イ))において相違し、また、上記2に記載したように、上記甲2~甲5記載の技術的事項、あるいは周知技術1~2のいずれも、相違点2に相当するもの、あるいは相違点2を示唆するものではないから、本件発明と同様に、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 6 小括 よって、当審で通知した取消理由により、本件請求項1~17、19~22に係る特許を取り消すことはできない。 第7 取消理由において採用しなかった特許異議申立理由について 1 取消理由において採用しなかった特許異議申立理由の概要 申立人は、特許異議申立書において、本件発明及び請求項4、6、10、11、13~15、19、20、22に係る発明は、甲1に記載された発明であるから新規性を欠如し、特許法第29条第1項第3号に該当する旨の主張をする。(特許異議申立書3(4)ウ(イ):第51~56ページ他) 2 上記1の理由についての判断 第6で検討したとおり、本件発明と甲1発明は、相違点1~3が存在するから、本件発明は甲1に記載された発明であるとはいえない。また、請求項4、6、10、11、13~15、19、20、22に係る発明についても、同様に相違点が存在するから、甲1に記載された発明ではない。 3 小括 よって、本件発明及び請求項4、6、10、11、13~15、19、20、22に係る発明は、特許異議申立書の新規性に係る理由によっては取り消すことができない。 第8 申立人の主張の検討 申立人が令和4年12月20日提出の意見書で主張する内容について、以下検討する。 1 訂正要件について 申立人は、訂正事項1のうち「前記記録部から前記ログ設定情報で指定される所定期間分の前記複数のデバイス値」に係る訂正事項は、以下の(1)~(3)を根拠として、願書に添付した明細書、特許請求の範囲または図面に記載されておらず、新規事項の追加に該当する旨を主張する。 (1)請求項1に記載の「ログ設定情報」は願書に添付した明細書における発明の詳細な説明には記載されていない。 そして、仮に、当該「ログ設定情報」が、発明の詳細な説明における「ログ設定データ72」に相当するとしても、 (2)段落【0119】には、保存対象となる情報がログ設定データ72により定義されることが記載されており、「所定期間」そのものが、ログ設定データ72に定義されていると認められる記載はない。 (3)段落【0107】には、「なお、収集部92aは、ログ設定データ72により指定された収集周期(例:スキャン周期)ごとにデバイス値と時刻情報とを取得してリングバッファ91aに格納する。」との記載があるものの、「収集周期」または「スキャン周期」は時間間隔を表わすのに対し、本件発明における「所定時間」は時間期間を表わす点で、全く異なる概念である。 申立人の上記主張について検討すると、上記(1)に関し、発明の詳細な説明における「ログ設定データ72」は、請求項1に記載の「ログ設定情報」に相当することは、段落【0087】等の記載から明らかである。 そして、上記(2)及び(3)に関し、申立人の主張するとおり、段落【0119】、及び【0107】に、ログ設定情報で「所定期間」を指定することが記載されていないとしても、上記第2の1(2)ア(ウ)で検討したとおり、段落【0139】~【0141】には、ログ設定情報で「所定期間」を指定する旨が記載されている。 したがって、訂正事項1が新規事項を含み訂正要件を満たさないとの申立人の上記主張は採用できない。 2 特許権者による令和4年9月30日提出の意見書に対する反論 (1)甲1が、ログ設定情報で指定される「特定のデバイスおよび当該特定のデバイスの状態変化によって定まるタイミング」を用いていること ア 申立人の主張 申立人は、甲1の段落[0002]、[0010]、[0042]、[0044]、[0049]~[0051]、[0053]の記載(主に実施の形態2に関する記載)を根拠として、甲1が、「ログ設定情報で指定される「特定のデバイスおよび当該特定のデバイスの状態変化によって定まるタイミング」を用いていることは明らかである」旨を主張する。 イ 主張の検討 これに対して、上記第6の1(3)ウで説示したとおり、甲1の実施の形態2(段落[0033]~[0053]、図7~10)の記載内容から、ログ設定情報の方で「前記条件として特定のデバイスおよび当該特定のデバイスの状態変化によって定まるタイミングを指定」することに至るには阻害要因があり、本件発明に想到することが容易とはいえないことも明らかである。 なお、甲1の実施の形態2以外の記載を根拠とすると、上記第6の1(3)イで説示したとおり、本件発明の「前記条件として特定のデバイスおよび当該特定のデバイスの状態変化によって定まるタイミングを指定し、前記所定期間として当該タイミングを基準とする収集時間を指定する」事項における「デバイスの状態変化」は、甲1発明においては、甲1の図2~6に図示されたX10、X11、Y0、D0のデータが変化する事象が該当することが認められる。 したがって、甲1発明においても、デバイスの状態変化は生じているのであるから、デバイスの状態変化によって定まるタイミングが存在することは明らかであり、何らかの原因で生じたデバイスの状態変化によって定まるタイミングを用いることも可能である。しかしながら、既に検討したとおり、甲1には、このタイミングを基準とする収集時間を所定期間として指定することについて記載も示唆もないから、上記タイミングが存在したとしても、「前記条件として特定のデバイスおよび当該特定のデバイスの状態変化によって定まるタイミングを指定」するとの事項について、当業者が容易に想到し得たものということができない。 (2)特定のデバイスの状態変化によって定まるタイミングを基準とする所定期間分の複数のデバイス値および対応付けられた収集時刻に関する情報をログデータとして出力する点が、甲1に開示されていること ア 申立人の主張 申立人は、甲1の段落[0002]、[0014]、[0044]の記載を根拠として、特定のデバイスの状態変化によって定まるタイミングを基準とする所定期間分の複数のデバイス値および対応付けられた収集時刻に関する情報をログデータとして出力する点が、甲1に開示されている旨主張している。 イ 主張の検討 上記第1の6(3)イで説示したとおり、甲1には「特定のデバイスの状態変化によって定まるタイミングを基準とする所定期間分の複数のデバイス値および対応付けられた収集時刻に関する情報をログデータとして出力する」ことまでは記載も示唆もされていない。 したがって、請求人の上記アの主張は採用することができない。 (3)「時間経過に応じて進む特定時刻と、収集時刻とに基づき」ラダープログラム上に表示されるデバイス値を繰り返し更新する点が、甲1に開示されていること この主張については、上記第6において判断を省略した相違点3(上記第6の1(2)イ(ウ))に関するものであり、これについて検討をするまでもなく、取消理由によっては取り消すことができない。 (4)甲3記載の事項を甲1発明に適用する阻害要因がないこと ア 申立人の主張 申立人は、甲3記載の事項を甲1発明に適用することに阻害要因はない旨の主張をする。 イ 主張の検討 甲3には、上記第4の3(2)の甲3記載の技術的事項である「パーソナルコンピュータ40は、ロギング装置100が制御装置10から収集するデータの数および種類、データを収集する周期、ロギング実行条件、データを結合する設定の選択、データ補間方法、時刻同期タイミングなどの設定内容に関するデータであるロギング用の設定データを作成し、該設定データをロギング装置100に設定する機能を有すること」について、記載されている。また、甲3の段落[0017]には、「ロギング装置100は、既定の一定の間隔または制御プログラムの動作間隔で制御データ14を取得する」ことについても記載されている。 しかしながら、甲3には、相違点2(上記第6の1(2)イ(イ))におけるログ設定情報が「本件発明のログ設定情報が「前記条件として特定のデバイスおよび当該特定のデバイスの状態変化によって定まるタイミングを指定し、前記所定期間として当該タイミングを基準とする収集時間を指定する」ことについて記載も示唆もないから、甲1発明に適用することの阻害要因の有無にかかわらず、甲1発明に適用しても本件発明に至らない。 3 小括 したがって、申立人の主張は、いずれも採用することができない。 第9 むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1~17、19~22に係る特許を取り消すことはできない。 さらに、他に、本件請求項1~17、19~22に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 また、請求項18は、上記のとおり、本件訂正請求による訂正で削除された。これにより、本件特許異議の申立てについて、請求項18に係る特許に対する申立ては対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。 よって、結論のとおり決定する。

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2022-700254

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    共通の審決分類: 121・G05B

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