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特許異議申立

2022-700157

ピストンリングの組み合わせ

審判番号
2022-700157
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2019-113950
登録番号
6924797
請求日
2022年02月24日
審決日
2023年06月21日
公報発行日
2023年11月24日
結論
請求成立(取消)
当事者
  • 【権利者】TPR株式会社
  • 【権利者代理人】弁理士法人秀和特許事務所
  • 【異議申立人】松永 健太郎
審判長/審判官
  • 審判長 平田 信勝
  • 審判官 内田 博之
  • 審判官 平城 俊雅
分類
P1651.121-ZAA(F16J)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項特許法113条2号
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第4項、特許法第120条の5第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第6924797号発明「ピストンリングの組み合わせ」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第6924797号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-6〕について訂正することを認める。 特許第6924797号の請求項1~6に係る特許を取り消す。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第6924797号(以下、「本件特許」という。)の請求項1~6に係る特許についての出願は、令和1年6月19日に出願され、令和3年8月4日にその特許権の設定登録がされ、令和3年8月25日に特許掲載公報が発行された。その後、本件特許の請求項1~6に係る特許に対し、令和4年2月24日に特許異議申立人松永健太郎(以下、「異議申立人」という。)により特許異議の申立てがされた。 以後の経緯は、次のとおりである。 令和4年 5月 9日付け:取消理由通知 同年 7月 8日 :訂正請求書及び意見書の提出(特許権者) 同年 8月26日 :意見書の提出(異議申立人) 令和5年 1月 4日付け:取消理由通知(決定の予告) 同年 3月 8日 :訂正請求書及び意見書の提出(特許権者) なお、令和5年3月8日付けで訂正請求(以下、「本件訂正請求」という。)がなされたことにより、令和4年7月8日付けの訂正請求は、特許法第120条の5第7項の規定により取り下げられたものとみなす。 第2 訂正の適否 (1)訂正の内容 本件訂正請求による訂正の内容は、以下のア~エのとおりである。(下線は訂正箇所を示す。) ア 訂正事項1 (ア)訂正事項1-1 特許請求の範囲の請求項1に「内燃機関のピストンに装着されるトップリングとセカンドリングとオイルリングとを含むピストンリングの組合せ」と記載されているのを、「内燃機関のピストンに装着され、トップリング溝に装着されるトップリングと、セカンドリング溝に装着されるセカンドリングと、前記セカンドリング溝との間にサードランドを形成するオイルリング溝に装着されるオイルリングと、を含むピストンリングの組合せ」に訂正する。 請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項2~6も同様に訂正する。 (イ)訂正事項1-2 特許請求の範囲の請求項1に「前記第2外周端面と前記第2下面との間に段差状の切欠が形成されるように該第2外周端面と該第2下面とを接続するアンダーカット面」と記載されているのを、 「前記内燃機関のシリンダと前記サードランドとの間に形成されるピストン隙間のオイルをバッファする空間を形成する段差状の切欠が前記第2外周端面と前記第2下面との間に形成されるように該第2外周端面と該第2下面とを接続するアンダーカット面」に訂正する。 請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項2~6も同様に訂正する。 (ウ)訂正事項1-3 特許請求の範囲の請求項1に「前記一対の摺動部の少なくとも一方における前記第3外周端面は、前記オイルリングが前記ピストンに装着された場合における前記クランク室側である下側の縁が、前記オイルリングが前記ピストンに装着された場合における前記燃焼室側である上側の縁よりも径方向外側に位置し、且つ、前記第3頂部が第3外周端面において前記摺動部の軸方向の中央位置よりも下側に位置するように形成されている」と記載されているのを、 「前記一対の摺動部の少なくとも一方における前記第3外周端面は、前記シリンダと前記サードランドとの間に形成される前記ピストン隙間へのオイル上がりを抑制するために、前記内燃機関のシリンダと前記第3外周端面との隙間が、前記第3頂部を境として前記クランク室側において前記サードランド側よりも小さくなるように、前記オイルリングが前記ピストンに装着された場合における前記クランク室側である下側の縁が、前記オイルリングが前記ピストンに装着された場合における前記燃焼室側である上側の縁よりも径方向外側に位置し、且つ、前記第3頂部が第3外周端面において前記摺動部の軸方向の中央位置よりも下側に位置するように形成されている」に訂正する。 請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項2~6も同様に訂正する。 イ 訂正事項2 特許請求の範囲の請求項4に「前記セカンドリングのねじれ角度は、前記セカンドリングをピストンに装着し、且つ、前記ピストンをシリンダに装着した状態で、-20′~20′の範囲内である、」と記載されているのを、 「前記ピストンの軸と直交する平面に対する第2上面の傾斜角度を前記セカンドリングのねじれ角度とし、前記第2上面が径方向外側に向かって燃焼室側に傾斜する場合にねじれ角度を正の値とし、前記第2上面が径方向外側に向かってクランク室側に傾斜する場合にねじれ角度を負の値としたとき、 前記セカンドリングのねじれ角度は、前記セカンドリングをピストンに装着し、且つ、前記ピストンをシリンダに装着した状態で、-20′~20′の範囲内である、」に訂正する。 請求項4の記載を直接的に引用する請求項5~6も同様に訂正する。 ウ 訂正事項3 明細書の段落【0062】に「実験では、後述する実施例と比較例1~3の夫々について、可視化試験機の内燃機関構造を運転させ、オイル消費量と、オイルがトップリングからオイルリングまで到達するまでの時間と、を測定した。」と記載されているのを、 「実験では、後述する実施例と比較例1~3の夫々について、可視化試験機の内燃機関構造を運転させ、オイル消費量と、オイルがオイルリングからトップリングまで到達するまでの時間と、を測定した。」に訂正する。 エ 訂正事項4 明細書の段落【0067】に「図10は、実施例及び比較例1~3における、オイルがトップリングからオイルリングまで到達するまでの時間を示すグラフである。グラフ中、縦軸は到達時間の比を示している。」と記載されているのを、 「図10は、実施例及び比較例1~3における、オイルがオイルリングからトップリングまで到達するまでの時間を示すグラフである。グラフ中、縦軸は到達時間の比を示している。」に訂正する。 そして、訂正前の請求項1~6は、請求項2~6がそれぞれ請求項1を直接または間接的に引用するものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。したがって、訂正前の請求項1~6に対応する訂正後の請求項1~6は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 また、訂正事項3及び4に係る訂正は、請求項1~6に関係する明細書についての訂正であるから、一群の請求項ごとにされたものである。 したがって、本件訂正請求は、一群の請求項1~6に対して請求されたものである。 (2)訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 ア 訂正事項1 (ア)訂正事項1-1 訂正事項1-1は、トップリング、セカンドリング、及びオイルリングが内燃機関のピストンの対応するそれぞれの溝に装着されることを特定するとともに、セカンドリング溝とオイルリング溝との間にサードランドが形成されていることを特定するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 次に、訂正事項1-1は、明細書の【0025】の「ピストン外周面10aには、ピストン10の軸方向に所定の間隔を空けて上側(燃焼室側)から順にトップリング溝101、セカンドリング溝102、オイルリング溝103が形成されている。ピストン外周面10aは、トップリング溝101、セカンドリング溝102、オイルリング溝103によって区画される。ピストン外周面10aにおいて、トップリング溝101よりも上方の領域をトップランドL1と称し、トップリング溝101とセカンドリング溝102の間の領域をセカンドランドL2と称し、セカンドリング溝102とオイルリング溝103の間の領域をサードランドL3と称する。図2に示すように、トップリング溝101、セカンドリング溝102、オイルリング溝103には、夫々、トップリング1、セカンドリング2、オイルリング3が装着される。」との記載、及び【図2】の記載より導き出せるものであり、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。 また、訂正事項1-1は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (イ)訂正事項1-2 訂正事項1-2は、アンダーカット面について、「前記内燃機関のシリンダと前記サードランドとの間に形成されるピストン隙間のオイルをバッファする」ための「空間を形成する」ものであることを特定するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 次に、訂正事項1-2は、明細書の【0038】の「アンダーカット面S212は、第2外周端面S211と第2下面22との間に段差状の切欠であるアンダーカット25が形成されるように、第2外周端面S211の下縁E22と第2下面22の外周縁E202とを接続する。これにより、セカンドリング2は、外周側の下部が切り欠かれたアンダーカット形状を有している。そのため、内燃機関100において、第2外周面23の下部とシリンダ20との間に、アンダーカット25による空間が形成される。この空間がオイル溜まりとなり、ピストン10の下降時においてセカンドリング2がピストン隙間PC1内のオイルを掻き落とす際に、オイルがバッファされ、油圧の上昇が抑制される。」との記載、及び【図2】、【図4】の記載より導き出せるものであり、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。 また、訂正事項1-2は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (ウ)訂正事項1-3 訂正事項1-3は、一対の摺動部の少なくとも一方における第3外周端面について、内燃機関のシリンダとの間に形成される隙間が第3頂部のクランク室側とサードランド側(燃焼室側)とで異なるとして、形状を特定するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 次に、訂正事項1-3は、明細書の【0054】の「このようなオイルリング3によると、使用状態において、シリンダ内壁20aと第3外周端面S41との隙間を、第3頂部P4を境としてクランク室40側において燃焼室30側よりも小さくすることができる。これにより、ピストン10の下降時においては、オイルを好適に掻き落とすことができ、ピストン10の上昇時においては、くさび効果により第3外周端面S41がオイルに乗り上げるため、オイルの掻き上げを防止することができる。そのため、ピストン隙間PC1内のオイルがクランク室40側の隙間を通り抜けてクランク室40側からサードランドL3に流出し難くなる。即ち、オイル上がりの抑制において優れた効果を発揮する」との記載、及び【図7】~【図8】の記載より導き出せるものであり、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。 また、訂正事項1-3は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 イ 訂正事項2 訂正事項2は、セカンドリングのねじれ角度の定義を明らかにするものであり、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 次に訂正事項2は、明細書の【0059】の「ここで、ねじれ角は、例えば、水平面(ピストンの軸と直交する平面)に対する第2上面21の傾斜角度として定義することができ、第2上面21が径方向外側に向かって上方(燃焼室側)傾斜する場合に正の値とし、リング上面が径方向外側に向かって下方(クランク室側)傾斜する場合に負の値とすることができる。」との記載から導き出せるものであり、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。 また、訂正事項2は、セカンドリングのねじれ角度の定義を明らかにするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 ウ 訂正事項3及び4 明細書の段落【0061】の「可視化試験機を用いたオイル吸い上げ実験を行った」との記載及び【図15】~【図18】のオイルの挙動を示す矢印の方向等から、段落【0061】~【0073】記載された事項は、オイルが、下側のオイルリングから、上側のトップリングに向けて吸い上げられる、オイル吸い上げ実験が前提となっていると解される。 これに対し、訂正前の明細書の段落【0062】及び【0069】には、オイルが特定の対象に到達するまでの時間及び【図10】の「オイル到達時間」に関して、「オイルがトップリングからオイルリングまで到達するまでの時間」との記載があり、オイル吸い上げ実験と矛盾する事項が記載されている。 したがって、訂正事項3及び4は、段落【0062】及び【0069】の記載について、下側のオイルリングから、上側のトップリングまでに到達するまでの時間に訂正することで、上記の矛盾を解消する訂正であるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 また、オイル吸い上げ実験における、「比較例1では、ピストンスカートからオイルリングまで上昇してきたオイルの一部がオイルリングによって掻き落されるものの、比較的多量のオイルがサードランドまで上昇する。そして、セカンドリングで掻き落されずにセカンドランドまで上昇したオイルのうち、トップリングでも掻き落し切れずにトップランドに至ったオイルが燃焼室側へ流出し、オイル上がりとなる。」(段落【0072】参照)等の記載から、オイルが特定の対象に到達するまでの時間及び【図10】の「オイル到達時間」の測定対象は、オイルが、サードランドの下端を構成する「オイルリング」から、トップランドの下端を構成する「トップリング」まで到達するまでの時間であると解されるから、訂正事項3及び4は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。また、訂正事項3及び4は、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (3)小括 以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 したがって、明細書及び特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~6〕について訂正することを認める。 第3 訂正後の本件発明 本件訂正請求により訂正された請求項1~6に係る発明(以下、「本件発明1」~「本件発明6」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1~6に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。 「【請求項1】 内燃機関のピストンに装着され、トップリング溝に装着されるトップリングと、セカンドリング溝に装着されるセカンドリングと、前記セカンドリング溝との間にサードランドを形成するオイルリング溝に装着されるオイルリングと、を含むピストンリングの組合せであって、 前記トップリングは、該トップリングの外周端部に設けられると共に該トップリングにおいて最大径となる第1頂部を含んで径方向外側に凸状となるように湾曲した第1外周端面を有し、 前記セカンドリングは、該セカンドリングが前記ピストンに装着された場合に燃焼室側に位置する第2上面と、該セカンドリングが前記ピストンに装着された場合にクランク室側に位置する第2下面と、該セカンドリングの外周端部に設けられた第2外周端面と、該セカンドリングの内周端部に設けられた第2内周端面と、前記内燃機関のシリンダと前記サードランドとの間に形成されるピストン隙間のオイルをバッファする空間を形成する段差状の切欠が前記第2外周端面と前記第2下面との間に形成されるように該第2外周端面と該第2下面とを接続するアンダーカット面と、を有し、 前記セカンドリングには、 前記第2内周端面を含むように延びる第2仮想内周面と前記第2下面を含むように延びる第2仮想下面とが交わることで形成される仮想下角部における、該第2仮想内周面と該第2仮想下面との交差部分を含む所定部位が該セカンドリングに含まれないように、前記第2内周端面と前記第2下面とを接続するインナーカット面と、 前記第2外周端面を含むように延びる第2仮想外周面と前記第2上面を含むように延びる第2仮想上面とが交わることで形成される仮想上角部における、該第2仮想外周面と該第2仮想上面との交差部分を含む所定部位が該セカンドリングに含まれないように、前記第2外周端面と前記第2上面とを接続するアウターカット面とのうち、少なくとも一方が形成され、 前記オイルリングは、該オイルリングの軸回りに環状に形成され、該オイルリングの軸方向に並んで設けられた一対の摺動部を有し、 前記一対の摺動部の夫々は、該摺動部の外周端部に設けられると共に該摺動部において最大径となる第3頂部を含んで径方向外側に凸状となるように湾曲した第3外周端面を有し、 前記一対の摺動部の少なくとも一方における前記第3外周端面は、前記シリンダと前記サードランドとの間に形成される前記ピストン隙間へのオイル上がりを抑制するために、前記内燃機関のシリンダと前記第3外周端面との隙間が、前記第3頂部を境として前記クランク室側において前記サードランド側よりも小さくなるように、前記オイルリングが前記ピストンに装着された場合における前記クランク室側である下側の縁が、前記オイルリングが前記ピストンに装着された場合における前記燃焼室側である上側の縁よりも径方向外側に位置し、且つ、前記第3頂部が第3外周端面において前記摺動部の軸方向の中央位置よりも下側に位置するように形成されている、 ピストンリングの組み合わせ。 【請求項2】 前記オイルリングは、該オイルリングの軸回りに環状に形成され、互いに独立して該オイルリングの軸方向に並んで設けられた一対のセグメントと、前記一対のセグメントを径方向外側に付勢するエキスパンダと、を有し、 前記一対の摺動部は、前記一対のセグメントとして形成されている、 請求項1に記載のピストンリングの組み合わせ。 【請求項3】 前記オイルリングは、該オイルリングの軸回りに環状に形成されたオイルリング本体と、前記オイルリング本体を径方向外側へ付勢するエキスパンダと、を有し、 前記オイルリング本体には、径方向外側に突出する一対のレールが前記オイルリングの軸方向に並んで形成され、 前記一対の摺動部は、前記一対のレールとして形成されている、 請求項1に記載のピストンリングの組み合わせ。 【請求項4】 前記ピストンの軸と直交する平面に対する第2上面の傾斜角度を前記セカンドリングのねじれ角度とし、前記第2上面が径方向外側に向かって燃焼室側に傾斜する場合にねじれ角度を正の値とし、前記第2上面が径方向外側に向かってクランク室側に傾斜する場合にねじれ角度を負の値としたとき、 前記セカンドリングのねじれ角度は、前記セカンドリングをピストンに装着し、且つ、前記ピストンをシリンダに装着した状態で、-20′~20′の範囲内である、 請求項1から3の何れか一項に記載のピストンリングの組み合わせ。 【請求項5】 前記第3外周端面は、前記第3頂部と該第3外周端面の上側の縁との間に、径方向外側に凸状に湾曲すると共に上側に向けて徐々に縮径した湾曲面を有する、 請求項1から4の何れか一項に記載のピストンリングの組み合わせ。 【請求項6】 前記第3外周端面は、前記第3頂部と該第3外周端面における上側の縁との間に、上側に向けて徐々に縮径したテーパ面を有する、 請求項1から4の何れか一項に記載のピストンリングの組み合わせ。」 第4 取消理由の概要 令和4年7月8日付け訂正請求により訂正された請求項1~6に係る特許に対して、当審が令和5年1月4日付けで特許権者に通知した取消理由(決定の予告)の要旨は、次のとおりである。 (1)請求項1~6に係る発明は、引用文献1~6の記載に基いて、当業者が容易に想到することができたものである。よって、請求項1~6に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。 引用文献1:国際公開第2015/132112号(異議申立人の提出した甲第1号証) 引用文献2:実願昭62-33224号(実開昭63-141357号)のマイクロフィルム(異議申立人の提出した甲第3号証) 引用文献3:実願昭61-101215号(実開昭63-6270号)のマイクロフィルム(異議申立人の提出した甲第4号証) 引用文献4:特開2018-9705号公報(異議申立人の提出した甲第8号証) 引用文献5:特開2017-116015号公報(異議申立人の提出した甲第7号証) 引用文献6:特開2003-113940号公報(異議申立人の提出した甲第2号証) 第5 当審の判断 1 引用文献1について (1)引用文献1の記載事項 引用文献1には、次の事項が記載されている。(当審訳は、異議申立人の提出した訳文を元にした。下線は当審で付した。以下同様。) ア「[0002] Internal combustion engine manufacturers are constantly seeking to improve the longevity and reliability of their engines. One method of improving an engine's longevity is to include oil control rings on the pistons of the internal combustion engine. Oil control rings perform the dual functions of minimizing oil consumption while simultaneously ensuring sufficient lubrication between the piston and the cylinder wall. Oil control rings are commonly designed to form a compromise between these two functions. In order to minimize oil consumption, the oil control rings ideally scrape off as much oil as possible from the cylinder wall during the down-stroke of the piston in the direction of the oil chamber. In order to ensure sufficient lubrication to minimize friction and wear, the oil control rings ideally maintain a minimal oil film between the oil control ring and the cylinder wall.」 当審訳「[0002]内燃機関メーカーは、エンジンの寿命と信頼性の向上を常に追求している。エンジンの寿命を延ばす1つの方法は、内燃機関のピストンにオイルコントロールリングを含めることである。オイルコントロールリングは、オイル消費を最小限に抑えると同時に、ピストンとシリンダー壁の間の十分な潤滑を確保するという2つの機能を実行する。オイルコントロールリングは通常、これら2つの機能の妥協点を形成するように設計される。 オイル消費を最小限に抑えるために、オイルコントロールリングは、理想的には、オイルチャンバーの方向へのピストンのダウンストローク中にシリンダー壁からできるだけ多くのオイルをこすり落とす。摩擦と摩耗を最小限に抑えるのに十分な潤滑を確保するために、オイルコントロールリングは、理想的には、オイルコントロールリングとシリンダー壁の間の最小限の油膜を維持する。」 イ「[0023] Turning now to FIGS. 1 and 2, an exemplary piston assembly 100 is illustrated. Piston assembly 100 may include a piston head 102 including an upper compression ring 104 positioned within an upper compression ring groove 106 and a lower compression ring 108 positioned within a lower compression ring groove 110. The piston head 102 further includes an oil control ring assembly 112 positioned within an oil control ring groove 114. The compression rings 104, 108 and the oil control ring assembly 110 seal against cylinder bore surfaces during reciprocal motion of the piston assembly 100 within the cylinder bore. The piston head 102 moves in a first direction 116 during the upstroke phase of the piston assembly 100 and a second direction 118 during the downstroke phase of the piston assembly 100. [0024] The oil control ring assembly 112 may include an upper lamella 120 and a lower lamella 122. The upper and lower lamellas 120, 122 may be positioned within the oil control ring groove 114 such that they are parallel to each other and orthogonal to the axial axis of the piston. An expander ring 124 is positioned between and in communication with the lamellas 120, 122 to bias them outward toward the cylinder wall (not shown) once installed. The expander ring 124 may be a solid member including a plurality of circumferentially spaced U-shaped segments 126. Each of these segments may include a horizontally extending tap 128. In one exemplary approach the expander ring 124 is configured to only contact the upper and lower lamellas 120, 122 once the oil control ring assembly 112 has been installed on the piston head 102.」 当審訳「[0023]ここで、図1および図2を参照すると、例示的なピストンアセンブリ100が示されている。ピストンアセンブリ100は、上部圧縮リング溝106内に配置された上部圧縮リング104と、下部圧縮リング溝110内に配置された下部圧縮リング108とを含むピストンヘッド102を含むことができる。 ピストンヘッド102は、オイルコントロールリング溝114内に配置されたオイルコントロールリングアセンブリ112をさらに含む。圧縮リング104、108およびオイルコントロールリングアセンブリ110は、シリンダボア内でのピストンアセンブリ100の往復運動中に、シリンダボア表面に対してシールする。ピストンヘッド102は、ピストンアセンブリ100のアップストロークフェーズ中に第1の方向116に移動し、ピストンアセンブリ100のダウンストロークフェーズ中に第2の方向118に移動する。 [0024]オイルコントロールリングアセンブリ112は、上部層板120および下部層板122を含み得る。上部および下部層板120、122は、それらが互いに平行であり、ピストンの軸線に直交するように、油制御リング溝114内に配置され得る。エキスパンダーリング124は、層板120、122の間に配置され、層板120、122と連絡して、取り付けられた後、層板120、122をシリンダー壁(図示せず)に向かって外側にバイアスする。エキスパンダーリング124は、間隔を空けた複数のU字型セグメント126を円周方向に含む中実部材であり得る。これらのセグメントのそれぞれは、水平方向に延びるタップ128を含み得る。1つの例示的なアプローチでは、エキスパンダーリング124は、オイルコントロールリングアセンブリ112がピストンヘッド102に取り付けられた後、上部および下部層板120、122にのみ接触するように構成される。」 ウ「[0026] Turning now to FIGS. 3 through 7 exemplary cross-sectional views are provided of a portion of the piston assembly 100 installed within a cylinder wall 130. It should be understood that the features of Figures 3 through 7 may be exaggerated to illustrate relationships and are not drawn to scale. The expander ring 124 biases the upper lamella 120 and the lower lamella 122 into contact with the cylinder wall 130. The upper lamella 120 includes a first outer radial surface 132 having a first outer radial surface width 134. The lower lamella 122 includes a second outer radial surface 136 having a second outer radial surface width 138. The expander ring 124 generates an expander radial outward force 140 on the upper and lower lamellas 120, 122 such that the first outer radial surface 132 and the second outer radial surface 136 are pressed into contact with the cylinder wall 130. In the presented exemplary approach the first and second outer radial surfaces 132, 136 are configured such that the expander ring 124 may produce a reduced expander radial outward force 140. In one non-limiting example the expander radial outward force 140 is less than 27 Newtons. The reduced spring rate of the expander ring 124 may improve response of the lamellas 120, 122 as described further below. [0027] In one exemplary illustration, the first outer radial surface 132 includes a first contact section 142 and a first tapered section 144. The second outer radial surface 136 includes a second contact section 146 and a second tapered section 148. In an exemplary illustration, the first and second contact section 142, 146 may be flattened contact surfaces. Flattened contact surfaces may be utilized in order to insure contact with the cylinder wall 130 around the entire circumference of the lamellas 120, 122. The flattened contact surfaces accommodate variances in manufacturing tolerances during production of the lamellas 120, 122. The first and second contact sections 142, 146 may be less than 25% of their respective outer radial surface widths 134, 138. In another exemplary approach, the first and second contact sections 142, 146 may be between 10% and 15% of their respective outer radial surface widths 134, 138. In still another, the first and second contact sections 142, 146 may be minimized to a point where manufacturing tolerances allow. [0028] The first outer radial surface 132 may further include a first radius section 150 positioned adjacent the first contact section 142 and a second radius section 152 positioned adjacent the first tapered section 144. Similarly, the second outer radial surface 136 may include a third radius section 154 positioned adjacent the second contact section 146 and a fourth radius section 156 adjacent the second tapered section .148. In one exemplary non-limiting example, the first radius section 150 has a smaller radius than the second radius section 152 and the third radius section 154 has a smaller radius than the fourth radius section 156. In another, non-limiting exemplary approach the first and third radius sections 150, 154 have a radius of approximately 80 microns and the second and fourth radius sections 152, 156 have a radius of approximately 160 microns. [0029] Turning now to FIGS. 4 and 5, an exemplary oil control ring assembly 112 has been configured to optimize oil 158 flow past the first and second lamellas 120, 122 when the piston assembly 100 moves in the first direction 116 (upstroke - Figure 4) and optimize the scraping of oil 158 when the piston assembly moves in the second direction 118 (downstroke - Figure 5). In one exemplary approach, oil flow in the first direction 116 is optimized by configuring the first tapered section 144 such that it generates a first radially inward force 160 when contacting oil 158 as the piston assembly moves in the first direction 116. The first radially inward force 160 may be equal to or greater than the expander radial outward force 140 such that the first lamella 120 moves inward to allow oil 158 to flow past its outer radial surface 132. The first tapered section 144 is at an angle 162 relative to the cylinder wall 130. In one exemplary illustration, the angle 162 is less than 10 degrees. In another example, the angle 162 is approximately 8 degrees. The angle 162 of the first tapered section 144 in combination with reduced first contact section 142 area may allow the generation of a sufficient radially inward force 160 to overcome the expander radial outward force 140. The oil 158 accumulates in the area between the first tapered section 144 and the cylinder wall 130. As the piston assembly moves in the first direction 116, the oil 158 accumulates and generates a force on the upper lamella 120. The profile of the first tapered section 144 turns this force into the first radially inward force 160 which urges the upper lamella 120 inwardly. [0030] The second tapered section 148 of the second lamella 122 may also be configured such that it generates a third radial inward force 164 when contacting oil 158 as the piston assembly moves in the first direction 116. The third radially inward force 164 may be equal to or greater than the expander radial outward force 140 such that the second lamella 122 moves inward to allow oil 158 to flow past its outer radial surface 136. The second tapered section 148 is at an angle 162 relative to the cylinder wall 130. On one exemplary approach, the angle 162 is less than 10 degrees. On another exemplary approach, the angle 162 is approximately 8 degrees. The angle 162 of the second tapered section 148 in combination with reduced second contact section 146 area may allow the generation of a sufficient radially inward force 164 to overcome the expander radial outward force 140. In one exemplary approach, each of the first radially inward force 160 and the third radially inward force 164 are each independently capable of overcoming the expander radial outward force 140. In another non-limiting example, the first radially inward force 160 and the third radially inward force 164 combine to overcome the expander radial outward force 140. [0031] As shown in Figure 5, the first outer radial surface 132 and the first tapered section 144 may be optimized such that when the piston moves in the second direction 188 the first lamella 120 acts to scrape oil 158 from the cylinder wall 130. The oil flow in the second direction 116 is minimized by configuring the first tapered section 144 such that it generates a second radially inward force 166 when contacting oil 158 as the piston assembly moves in the second direction 118. The second radially inward force 166 may be minimal and may be less than the expander radial outward force 140. The expander radial outward force 140 will maintain contact between the first contact surface 142 and the cylinder wall 130 such that the oil 158 is scraped downward toward the oil reservoir (not shown). The second outer radial surface 136 and the second tapered section 148 may also be optimized such that when the piston moves in the second direction 188 the second lamella 122 acts to scrape oil 158 from the cylinder wall 130. The oil flow in the second direction 116 is minimized by configuring the second tapered section 148 such that it generates a fourth radially inward force 168 when contacting oil 158 as the piston assembly moves in the second direction 118. The fourth radially inward force 168 is similarly minimized such that the second contact surface 146 remains in contact with the cylinder wall 130 such that the oil 158 is scraped downward toward the oil reservoir (not shown).」 当審訳「[0026]ここで、図3から図7を参照すると、シリンダー壁130内に設置されたピストンアセンブリ100の一部の例示的な断面図が示されている。図3から図7の特徴は、関係を説明するために誇張されている可能性があり、縮尺通りに描かれていないことを理解されたい。エキスパンダーリング124は、上部層板120および下部層板122をシリンダー壁130と接触するようにバイアスする。上部層板120は、第1の外側ラジアル面幅134を有する第1の外側ラジアル面132を含む。下部層板122は、第2の外側ラジアル面幅138を有する第2の外側ラジアル面136を含む。エキスパンダーリング124は、第1の外側ラジアル面132および第2の外側ラジアル面136がシリンダー壁130と接触するように押されるように、上部および下部層板120、122にエキスパンダーの半径方向外向き力140を生成する。提示された例示的なアプローチでは、第1および第2の外側ラジアル面132、136は、エキスパンダーリング124が減少したエキスパンダーの半径方向外向き力140を生成し得るように構成される。1つの非限定的な例では、エキスパンダーの半径方向の外向きの力140は、27ニュートン未満である。エキスパンダーリング124の減少したばね定数は、以下でさらに説明されるように、層板120、122の応答を改善し得る。 [0027]例示的な一例では、第1の外側ラジアル面132は、第1の接触部142および第1のテーパ部144を含む。第2の外側ラジアル面136は、第2の接触部146および第2のテーパ部148を含む。例示的な図では、第1および第2の接触部142、446は、平坦化された接触面であり得る。層板120、122の全周の周りのシリンダー壁130との接触を確実にするために、平坦化された接触面を利用することができる。 平坦化された接触面は、層板120、122の製造中の製造公差の変動に対応する。第1および第2の接触部142、146は、それらのそれぞれの外側ラジアル面幅134、138の25%未満であり得る。別の例示的なアプローチでは、第1および第2の接触部142、146は、それらのそれぞれの外側ラジアル面幅 134、138の10%から15%の間であり得る。さらに別の例では、第1および第2の接触部142、146は、製造公差が許す点まで最小化され得る。 [0028]第1の外側ラジアル面132は、第1の接触部142に隣接して配置された第1の円弧面150と、第1のテーパ部144に隣接して配置された第2の円弧面152とをさらに含み得る。同様に、第2の外側ラジアル面136は、第2の接触部146に隣接して配置された第3の円弧面154と、第2のテーパ部148に隣接する第4の円弧面156とを含み得る。1つの例示的な非限定的な例では、第1の円弧面150は、第2の円弧面152よりも小さい半径を有し、第3の円弧面154は、第4の円弧面156よりも小さい半径を有する。別の非限定的な例示的なアプローチでは、第1および第3の円弧面150、154は約80ミクロンの半径を有し、第2および第4の円弧面152、156は約160ミクロンの半径を有する。 [0029]ここで、図4および図5を参照すると、例示的なオイルコントロールリングアセンブリ112は、ピストンアセンブリ100が第1の方向116に移動するとき(アップストローク-図4)に第1および第2の層板120、122を通過するオイル158の流れを最適化し、ピストンアセンブリが第2の方向118に移動するとき(ダウンストローク-図5)にオイル158のこすり落とすのを最適化するように構成される。1つの例示的なアプローチでは、第1の方向116の油の流れは、ピストンアセンブリが第1の方向116に移動しオイル158に接触するときに第1の半径方向内向きの力160を生成するように第1のテーパ部144を構成することによって最適化される。第1の半径方向内向きの力160は、第1の層板120が内向きに移動してオイル158がその外側ラジアル面132を通過することを可能にするように、エキスパンダーの半径方向外向きの力140以上であり得る。第1のテーパ部144は、シリンダー壁130に対して角度162にある。例示的な一例では、角度162は10度未満である。別の例では、角度162は約8度である。減少した第1の接触部142の領域と組み合わせた第1のテーパ部144の角度162は、エキスパンダーの半径方向外向きの力140に打ち勝つのに十分な半径方向内向きの力160を生成を可能にする。オイル158は、第1のテーパ部144とシリンダー壁130との間の領域に蓄積する。ピストンアセンブリが第1の方向116に移動すると、オイル158が蓄積し、上部層板120に力を発生させる。第1のテーパ部144のプロファイルは、この力を第1の半径方向内向きの力160に変え、これが上部層板120を内向きに押しやる。 [0030]第2の層板122の第2のテーパ部148はまた、ピストンアセンブリが第1の方向116に移動しオイル158に接触するときに第3の半径方向内向きの力164を生成するように構成され得る。第3の半径方向内向きの力164は、第2の層板122が内向きに移動してオイル158がその外側ラジアル面136を通過することを可能にするように、エキスパンダーの半径方向外向きの力140以上であり得る。第2のテーパ部148は、シリンダー壁130に対して角度162にある。1つの例示的なアプローチでは、角度162は10度未満である。別の例示的なアプローチでは、角度162は約8度である。減少した第2の接触部146の領域と組み合わせた第2のテーパ部148の角度162は、エキスパンダーの半径方向外向きの力140に打ち勝つのに十分な半径方向内向きの力164の生成を可能にする。1つの例示的なアプローチでは、第1の半径方向内向きの力160および第3の半径方向内向きの力164は、それぞれ独立して、エキスパンダーの半径方向外向きの力140を打ち勝つことができる。別の非限定的な例では、第1の半径方向内向きの力160および第3の半径方向内向きの力164が組み合わさって、エキスパンダーの半径方向外向きの力140に打ち勝つ。 [0031]図5に示されるように、第1の外側ラジアル面132および第1のテーパ部144は、ピストンが第2の方向188(当審注:「118」の誤記と認める。)に移動するとき、第1の層板120がシリンダー壁130からオイル158をこすり落とすように作用するよう最適化され得る。第2(当審注:第1の誤記と認める。)の方向116への油の流れは、ピストンアセンブリが第2の方向118に移動しオイル158に接触するときに第2の半径方向内向きの力166を生成するように第1のテーパ部144を構成することによって最小化される。 第2の半径方向内向きの力166は最小であり、エキスパンダーの半径方向外向きの力140よりも小さくてもよい。エキスパンダーの半径方向外向きの力140は、第1の接触面142とシリンダー壁130との間の接触を維持し、その結果、オイル158は、油槽(図示せず)に向かって下向きにこすり落とされる。第2の外側ラジアル面136および第2のテーパ部148はまた、ピストンが第2の方向188(当審注:118の誤記と認める。)に移動するとき、第2の層板122がシリンダー壁130からオイル158をこすり落とすように作用するように最適化され得る。第2(当審注:「第1」の誤記と認める。)の方向116への油の流れは、ピストンアセンブリが第2の方向118に移動しオイル158に接触するときに第4の半径方向内向きの力168を生成するように第2のテーパ部148を構成することによって最小化される。第4の半径方向内向きの力168も同様に最小化され、第2の接触面146がシリンダー壁130と接触したままであり、その結果、オイル158が油槽(図示せず)に向かって下向きにこすり落とされる。」 エ「[0033] Turning now to FIGS. 8 and 9, another exemplary piston assembly and oil control rail assembly are described. Piston assembly 800 may generally include a piston body 802 and two upper piston rings 804, 806 disposed in respective ring grooves thereof. The piston body 802 may include a further ring groove receiving an oil control rail assembly 808.(以下省略)」 当審訳「[0033]ここで、図8および9を参照すると、別の例示的なピストンアセンブリおよびオイルコントロールレールアセンブリが説明されている。ピストンアセンブリ800は、一般に、ピストン本体802と、それぞれリング溝に配置された2つの上部ピストンリング804、806とを含むことができる。ピストン本体802は、オイルコントロールレールアセンブリ808を受け入れるさらなるリング溝を含み得る。(以下省略)」 オ「[0044]Accordingly, it is to be understood that the above description is intended to be illustrative and not restrictive. Many embodiments and applications other than the examples provided would be upon reading the above description.(以下省略)」 当審訳「[0044]したがって、上記の説明は例示を意図したものであり、限定的なものではないことを理解されたい。提供される実施例以外の多くの実施形態および用途は、上記の説明を読んだ上で得られるであろう。(以下省略)」 カ FIG.1 [図:0001403614000001.jpg] キ FIG.2 [図:0001403614000002.jpg] ク FIG.3 [図:0001403614000003.jpg] ケ FIG.4 [図:0001403614000004.jpg] コ FIG.5 [図:0001403614000005.jpg] サ FIG.8 [図:0001403614000006.jpg] (2)引用文献1の認定事項 ア 引用文献1の段落[0002]、[0023]、FIG.1~FIG.2の記載から、内燃機関のピストンヘッド102に装着され、上部圧縮リング溝106に装着される上部圧縮リング104と、下部圧縮リング溝110に装着される下部圧縮リング108と、前記下部圧縮リング溝110との間にピストンヘッド外周面が形成されているオイルコントロールリング溝114に装着されるオイルコントロールリングアセンブリ112が記載されていると認められ、上部圧縮リング104と下部圧縮リング108とオイルコントロールリングアセンブリ112はピストンリングの一部であると認められるため、内燃機関のピストンヘッド102に装着される上部圧縮リング104と下部圧縮リング108とオイルコントロールリングアセンブリ112とを含むピストンリングの組合せが記載されていると認められる。 イ 引用文献1のFIG.8の記載から、上部ピストンリング804は、上部ピストンリング804の外周端部に設けられると共に上部ピストンリング804において最大径となる頂部を含んで径方向外側に凸状となるように湾曲した外周端面を有することが看取できる。そして、引用文献1のFIG.1~FIG.2に記載された上部圧縮リング104と、FIG.8に記載された上側の上部ピストンリング804とは、ピストンの上部圧縮リング溝内に配置される構成として共通するものであるとともに、引用文献1において上部圧縮リングは、オイルコントロールリングと異なり、改良ないし変更を加えられる対象として記載されていないことから、上部圧縮リング104については、上側の上部ピストンリング804と同様に、外周端部に設けられると共に最大径となる頂部を含んで径方向外側に凸状となるように湾曲した外周端面を有するものと認める。 ウ 引用文献1のFIG.8の記載から、下側の上部ピストンリング806は、ピストン本体802に装着された場合に燃焼室側に位置する上面と、ピストン本体802に装着された場合にクランク室側に位置する下面と、外周端部に設けられた外周端面と、内周端部に設けられた内周端面と、を有することが看取できる。そして、引用文献1のFIG.1~FIG.2に記載された下部圧縮リング108と、FIG.8に記載された下側の上部ピストンリング806とは、ピストンの下部圧縮リング溝内に配置される構成として共通するものであるとともに、引用文献1において下部圧縮リングは、オイルコントロールリングと異なり、改良ないし変更を加えられる対象として記載されていないことから、下部圧縮リング108については、下側の上部ピストンリング806と同様に、ピストン本体に装着された場合に燃焼室側に位置する上面と、ピストン本体に装着された場合にクランク室側に位置する下面と、外周端部に設けられた外周端面と、内周端部に設けられた内周端面とを有するものと認める。 エ 引用文献1のFIG.2~FIG.3の記載から、オイルコントロールリングアセンブリ112は、オイルコントロールリングアセンブリ112の軸回りに環状に形成され、オイルコントロールリングアセンブリ112の軸方向に並んで設けられた一対の上部層板120及び下部層板122を有することが看取できる。 オ 引用文献1の段落[0026]~[0028]及びFIG.4の記載から、上部層板120は、上部層板120の外周端部に設けられると共に上部層板120において最大径となる頂部である第1の接触部142を含んで径方向外側に凸状となるように湾曲した、第1の接触部142と、第1のテーパ部144と、第1のテーパ部144の下側の第1の円弧面150と、第1のテーパ部144の上側の第2の円弧面152とを備えた第1の外側ラジアル面132を有すると認められ、下部層板122は、下部層板122の外周端部に設けられると共に下部層板122において最大径となる頂部である第2の接触部146を含んで径方向外側に凸状となるように湾曲した、第2のテーパ部148と第2の接触部146と、第2のテーパ部148の下側の第3の円弧面154と、第2のテーパ部148の上側の第4の円弧面156とを備えた第2の外側ラジアル面136を有すると認められる。 カ 引用文献1の段落[0026]~[0028]及びFIG.4の記載から、引用文献1の、上部層板120における、第1の接触部142と、第1のテーパ部144と、第1のテーパ部144の下側の第1の円弧面150と、第1のテーパ部144の上側の第2の円弧面152とを備えた第1の外側ラジアル面132は、内燃機関のシリンダー壁130と前記第1の外側ラジアル面132との隙間が、頂部である第1の接触部142を境としてクランク室側である下側において下部圧縮リング溝110とオイルコントロールリング溝114との間のピストンヘッド外周面側よりも小さくなるように、オイルコントロールリングアセンブリ112がピストンヘッド102に装着された場合におけるクランク室側である下側の縁が、オイルコントロールリングアセンブリ112がピストンに装着された場合における燃焼室側である上側の縁よりも径方向外側に位置していると認められ、下部層板122における、第2のテーパ部148と第2の接触部146と、第2のテーパ部148の下側の第3の円弧面154と、第2のテーパ部148の上側の第4の円弧面156とを備えた第2の外側ラジアル面136は、前記内燃機関のシリンダー壁130と前記第1の外側ラジアル面132との隙間が、頂部である第2の接触部146を境としてクランク室側である下側において前記下部圧縮リング溝110と前記オイルコントロールリング溝114との間のピストンヘッド外周面側よりも小さくなるように、オイルコントロールリングアセンブリ112がピストンヘッド102に装着された場合におけるクランク室側である下側の縁が、オイルコントロールリングアセンブリ112がピストンヘッド102に装着された場合における燃焼室側である上側の縁よりも径方向外側に位置していると認められる。 キ 引用文献1の段落[0029]~[0031]並びにFIG.4及び上記認定事項カから、上部層板120及び下部層板122は、内燃機関のシリンダー壁130と第1の外側ラジアル面132及び第2の外側ラジアル面136との隙間が、頂部を境としてクランク室側である下側において下部圧縮リング溝110とオイルコントロールリング溝114との間のピストンヘッド外周面側よりも小さくなるように形成されていることで、上部層板120及び下部層板122が上向きに移動するとき、上部層板120及び下部層板122とシリンダー壁130との間をオイル158が通過し、上部層板120及び下部層板122が下向きに移動するとき、上部層板120及び下部層板122がシリンダー壁130からオイル158をこすり落とすと認められる。 ク 引用文献1のFIG.4の記載から、上部層板120の第1の外側ラジアル面132は、頂部である第1の接触部142が第1の外側ラジアル面132において上部層板120の軸方向の中央位置よりも下側に位置するように形成されていることが看取でき、下部層板122の第2の外側ラジアル面136は、頂部である第2の接触部146が第2の外側ラジアル面136において下部層板122の軸方向の中央位置よりも下側に位置するように形成されていることが看取できる。 (3)引用発明 上記(1)の記載事項及び(2)の認定事項からみて、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 【引用発明】 「内燃機関のピストンヘッド102に装着され、上部圧縮リング溝106に装着される上部圧縮リング104と、下部圧縮リング溝110に装着される下部圧縮リング108と、前記下部圧縮リング溝110との間にピストンヘッド外周面が形成されているオイルコントロールリング溝114に装着されるオイルコントロールリングアセンブリ112と、を含むピストンリングの組合せであって、 上部圧縮リング104は、上部圧縮リング104の外周端部に設けられると共に上部圧縮リング104において最大径となる頂部を含んで径方向外側に凸状となるように湾曲した外周端面を有し、 下部圧縮リング108は、下部圧縮リング108がピストンヘッド102に装着された場合に燃焼室側に位置する上面と、下部圧縮リング108がピストンヘッド102に装着された場合にクランク室側に位置する下面と、下部圧縮リング108の外周端部に設けられた外周端面と、下部圧縮リング108の内周端部に設けられた内周端面と、を有し、 オイルコントロールリングアセンブリ112は、オイルコントロールリングアセンブリ112の軸回りに環状に形成され、オイルコントロールリングアセンブリ112の軸方向に並んで設けられた一対の上部層板120及び下部層板122と、上部層板120及び下部層板122をシリンダー壁130と接触するようにバイアスするエキスパンダーリング124とを有し、 上部層板120は、上部層板120の外周端部に設けられると共に上部層板120において最大径となる上部層板120の頂部である第1の接触部142を含んで径方向外側に凸状となるように湾曲した、第1の接触部142と、第1のテーパ部144と、第1のテーパ部144の下側の第1の円弧面150と、第1のテーパ部144の上側の第2の円弧面152とを備えた第1の外側ラジアル面132を有し、下部層板122は、下部層板122の外周端部に設けられると共に下部層板122において最大径となる下部層板122の頂部である第2の接触部146を含んで径方向外側に凸状となるように湾曲した、第2の接触部146と、第2のテーパ部148と、第2のテーパ部148の下側の第3の円弧面154と、第2のテーパ部148の上側の第4の円弧面156とを備えた第2の外側ラジアル面136を有し、 上部層板120及び下部層板122が上向きに移動するとき、上部層板120及び下部層板122とシリンダー壁130との間をオイル158が通過し、上部層板120及び下部層板122が下向きに移動するとき、上部層板120及び下部層板122がシリンダー壁130からオイル158をこすり落とすように、 上部層板120における第1の外側ラジアル面132は、前記内燃機関のシリンダー壁130と前記第1の外側ラジアル面132との隙間が、上部層板120の頂部である第1の接触部142を境としてクランク室側である下側において前記下部圧縮リング溝110と前記オイルコントロールリング溝114との間のピストンヘッド外周面側よりも小さくなるように、オイルコントロールリングアセンブリ112がピストンヘッド102に装着された場合におけるクランク室側である下側の縁が、オイルコントロールリングアセンブリ112がピストンヘッド102に装着された場合における燃焼室側である上側の縁よりも径方向外側に位置し、且つ、上部層板120の頂部である第1の接触部142が第1の外側ラジアル面132において上部層板120の軸方向の中央位置よりも下側に位置するように形成されており、 下部層板122における第2の外側ラジアル面136は、前記内燃機関のシリンダー壁130と前記第2の外側ラジアル面136との隙間が、下部層板122の頂部である第2の接触部146を境としてクランク室側である下側において前記下部圧縮リング溝110と前記オイルコントロールリング溝114との間のピストンヘッド外周面側よりも小さくなるように、オイルコントロールリングアセンブリ112がピストンヘッド102に装着された場合におけるクランク室側である下側の縁が、オイルコントロールリングアセンブリ112がピストンヘッド102に装着された場合における燃焼室側である上側の縁よりも径方向外側に位置し、且つ、下部層板122の頂部である第2の接触部146が第2の外側ラジアル面136において下部層板122の軸方向の中央位置よりも下側に位置するように形成されている、 ピストンリングの組み合わせ。」 2 引用文献3 (1)引用文献3の記載事項 引用文献3には、次の事項が記載されている。 ア 「〔産業上の利用分野〕 本考案は内燃機関用のピストンリングに関し、特にトップリングとオイルリングの間に配置されるセカンドリングの改良にかかるものである。 〔従来の技術〕 セカンドリングは、トップリングの補助的な作用、すなわち燃焼室に発生する高圧燃焼ガスがクランクケースに吹き抜け(ブローバイ)ない様に密封保持する役割と、オイルリングの補助的な作用、すなわちシリンダーライナーに塗着しているオイルを適度にかき落す役割との二つの作用を行っていると考えられる。」(1頁13行~2頁4行) イ 「前述の如く、中断アンダーカット・テーパフェース形のピストンリングにおいて、該ピストンリングの内周下縁部及び外周上縁部のいずれか一方あるいは両方の全周に切欠部が形成されているため、その形状から、アンダーカット形の断面形状を有する部分のツイスト量をある程度逆に押さえることが可能となり、従ってピストンリング全体としてのツイスト量のバラツキを低減させることが可能となる。それゆえ、シール性能の安定性が得られ、オイル消費量の低減が図れる。」(4頁7~16行) ウ 「〔実施例〕 第1図、第2図に示すように本考案ピストンリング(10)は、合い口(20)近傍部分を残してその外周面(11)の下方にアンダーカット(12)が形成されており、シリンダーライナーに接触する外周面(11)は、軸方向下広がりのテーパー形状となっている。そして、ピストンリング(10)の内周下縁部の全周に切欠部(13)が形成されている。この切欠部(13)によりピストンリング全体としてのツイスト角のバラツキを低減させている。 ピストンリング全周の各点における軸線方向に対するツイスト角の測定について以下に示す。測定位置については、第5図に示すようにピストンリング(10)の合い口(20)近傍A点、合い口より中心角度で90°ずつB点、C点、D点、E点とした。本考案ピストンリング(10)は第2図に示すもので、切欠部(13)の切欠量はアンダーカット(12)の量とほぼ同等した。このピストンリング(10)をピストンリング溝に装着した状態となるように合い口を閉じて定盤に置き、ピストンリング全周の各点(A点~E点)について、ツイスト角を測定した。」(4頁17行~5頁17行) エ 「また従来の中断アンダーカット・テーパーフェース形状のピストンリングについても本考案と同様にツイスト角を測定した。本考案及び従来のピストンリングはいずれも外径が73mmであった。測定結果は、第6図に示す通りであり、本考案ピストンリングは、従来のものに比較して、その全周におけるツイスト角のバラツキがほとんどなく、ピストンリング溝に対する上下面のシール機能が優れていると言える。」(5頁18行~6頁6行) オ 「測定結果(全気筒の平均)は第7図に示すように本考案ピストンリングを使用した場合、従来ピストンリングを使用した時に比較してオイル消費量が少なく、従ってシール性能が優れていると言える。」(7頁1~5行) カ 「本考案ピストンリング(10)は、第2図について説明したが、第3図に示すようにピストンリング外周上縁部の全周に切欠部(13)を形成しても、同様な効果が得られる。また、第4図に示すようにピストンリングの内周下縁部及び外周上縁部の両方の全周に切欠部(13)を形成しても良い。」(7頁6~11行) キ 第2図 [図:0001403614000007.jpg] ク 第3図 [図:0001403614000008.jpg] ケ 第4図 [図:0001403614000009.jpg] コ 第6図 [図:0001403614000010.jpg] サ 第7図 [図:0001403614000011.jpg] (2)引用文献3の認定事項 上記(1)キ~ケの第2~4図から、セカンドリングにおいて、外周面11と下面との間のアンダーカット12は段差状であることと、内周下縁部や外周上縁部の切欠部13はテーパ状であることが見て取れる。 また、第6図の「本考案ピストンリング」のグラフから、セカンドリングのツイスト角は、0分から10分の範囲内であることが見て取れる。 (3)引用文献3に記載された技術的事項 上記(1)の記載事項及びから、引用文献3には次の事項(以下、「引用文献3に記載された技術的事項)という。)が記載されていると認められる。 「内燃機関用のピストンリングの、トップリングとオイルリングの間に配置されるセカンドリングであって、セカンドリングの外周面11とセカンドリングの下面との間に段差状のアンダーカット12を有し、内周下縁部の全周と、外周上縁部の全周の一方又は両方に、テーパ状の切欠部13を形成し、セカンドリングのツイスト角は、0分から10分の範囲内である、セカンドリング。」 3 引用文献4 (1)引用文献4の記載事項 引用文献4には、次の事項が記載されている。 ア「【0018】 《発明の実施形態1》 図1に、実施形態1に係るオイルリング100の横断面図を示す。図1の横断面図は、オイルリング100をその周方向に直交する平面で切断した断面図である。(以下省略)」 イ「【0021】 オイルリング100は、シリンダ内周面91と摺動する一対のサイドレール20,20と、サイドレール20,20を少なくとも半径方向外側へ付勢するスペーサエキスパンダ30とを備えている。オイルリング100は、いわゆる3ピース型のオイルリングである。尚、2つのサイドレール20,20を区別する場合には、燃焼室S1側のサイドレール20を第1サイドレール20Aと称し、クランク室S2側のサイドレール20を第2サイドレール20Bと称する。サイドレール20は、リング本体の一例である。スペーサエキスパンダ30は、エキスパンダの一例である。」 ウ「【0064】 《実施形態3》 続いて、実施形態3に係るオイルリング300について説明する。図11に、実施形態3に係るオイルリング300の横断面図を示す。図11の横断面図は、オイルリング300をその周方向に直交する平面で切断した断面図である。 【0065】 オイルリング300は、リング本体320と、コイルエキスパンダ330とを有する、いわゆる2ピース型のオイルリングである。コイルエキスパンダ330は、エキスパンダの一例である。 【0066】 リング本体320は、X軸回りの円環状に形成されている。リング本体320は、合口を有し、即ち、円環の一部が切断された形状をしている。リング本体320の外周には、軸方向に並んだ2つの円環状の摺動部324,324が設けられている。2つの摺動部324は、円筒状のウェブ328によって連結されている。ウェブ328には、半径方向に貫通形成された複数のオイル戻し孔328aが周方向に並んで設けられている。尚、2つの摺動部324,324を区別する場合には、燃焼室S1側の摺動部324を第1摺動部324Aと称し、クランク室S2側の摺動部324を第2摺動部324Bと称する。 【0067】 摺動部324の外周面には、シリンダ内周面91と摺動する摺動面325が設けられている。摺動面325は、半径方向外側へ凸状な湾曲面となっている。リング本体320の、周方向に直交する平面で切断した断面形状は、全周に亘って一様となっている。 【0068】 コイルエキスパンダ330は、リング本体320を半径方向外側へ付勢する。コイルエキスパンダ330は、X軸回りの円環状に形成されている。コイルエキスパンダ330は、螺旋状のバネを円環状に形成したものであり、半径方向内側及び外側へ弾性変形可能となっている。 【0069】 コイルエキスパンダ330は、リング本体320の内側に配置され、リング本体320の内周縁と接触している。 【0070】 オイルリング300は、リング本体320及びコイルエキスパンダ330が半径方向内側に圧縮された状態で、リング溝82内に収容される。これにより、リング本体320は、合口が略閉じた状態となる。また、コイルエキスパンダ330は、リング本体320を半径方向外側へ押圧している。その結果、リング本体320は、シリンダ内周面91に接触する。 【0071】 このように構成されたオイルリング300は、ピストン80の移動時にシリンダ内周面91と摺動する。その際、オイルリング300は、シリンダ内周面91に適切な厚みの油膜を形成すると共に、不要な油を掻き落として回収する。 【0072】 リング本体320の摺動面325は、前記サイドレール20と同様の第1湾曲面26及び第2湾曲面27を有している。詳しくは、第1摺動部324Aは、燃焼室S1側に第1湾曲面26が設けられ、クランク室S2側に第2湾曲面27が設けられている。一方、第2摺動部324Bは、クランク室S2側に第1湾曲面26が設けられ、燃焼室S1側に第2湾曲面27が設けられている。 【0073】 このように構成されたオイルリング300は、オイルリング100と同様の作用効果を奏する。詳しくは、ピストン80の上昇時には、第1摺動部324Aが第1湾曲面26を進行方向前側にしてシリンダ内周面91に対して摺動する。そのため、ピストン80の上昇時には第1摺動部324Aによって適切な厚みの油膜が形成されると共に、燃焼室S1への油の掻き上げ量が低減される。尚、ピストン80の上昇時には第1摺動部324Aの後方において第2摺動部324Bがシリンダ内周面91を摺動する。第2摺動部324Bは、第2湾曲面27を進行方向前側としているので、シリンダ内周面91に付着した油を掻き上げ易い。しかしながら、第2摺動部324Bは、第1摺動部324Aよりもクランク室S2側に位置するので、第2摺動部324Bにより掻き上げられた油が第1摺動部324Aよりも燃焼室S1側へ移動することはない。また、第2摺動部324Bが掻き上げた油は、オイル戻し孔328aを介して排出される。さらに、第2摺動部324Bが油を掻き上げたとしても、その油はピストン80が下降するときに第1摺動部324Aにより掻き落とされる。」 エ【図1】 [図:0001403614000012.jpg] オ【図11】 [図:0001403614000013.jpg] (2)引用文献4の認定事項 【図11】から、2つの摺動部324、324が、一対のレールとして形成されている構成が見て取れる。 (3)引用文献4に記載された技術的事項 上記(1)の記載事項及び上記(2)の認定事項から、引用文献4には次の事項(以下、「引用文献4に記載された技術的事項)という。)が記載されていると認められる。 「オイルリング300は、X軸回りの円環状に形成されたリング本体320と、リング本体320を半径方向外側へ付勢するコイルエキスパンダ330と、を有し、 リング本体320には、リング本体320の外周に、外周面が半径方向外側へ凸状な湾曲面となっている摺動部324であって、軸方向に並んだ2つの円環状の摺動部324,324が一対のレールとして形成され、摺動部324の外周面に設けられた摺動面325は、半径方向外側へ凸状な湾曲面となっている。」 4 本件発明1について (1)対比 本件発明1と引用発明とを対比する。 後者の「内燃機関のピストンヘッド102」は、前者の「内燃機関のピストン」に相当し、 後者の「上部圧縮リング溝106に装着される上部圧縮リング104」は、前者の「トップリング溝に装着されるトップリング」に相当し、 後者の「下部圧縮リング溝110に装着される下部圧縮リング108」は、前者の「セカンドリング溝に装着されるセカンドリング」に相当し、 後者の「前記下部圧縮リング溝110との間にピストンヘッド外周面が形成されているオイルコントロールリング溝114に装着されるオイルコントロールリングアセンブリ112」は、前者の「前記セカンドリング溝との間にサードランドを形成するオイルリング溝に装着されるオイルリング」に相当し、 後者の上記の構成要素を含む「ピストンリングの組合せ」は、前者の「ピストンリングの組合せ」に相当する。 後者の「上部圧縮リング104の外周端部に設けられると共に上部圧縮リング104において最大径となる頂部を含んで径方向外側に凸状となるように湾曲した外周端面」は、前者の「該トップリングの外周端部に設けられると共に該トップリングにおいて最大径となる第1頂部を含んで径方向外側に凸状となるように湾曲した第1外周端面」に相当する。 後者の「下部圧縮リング108がピストンヘッド102に装着された場合に燃焼室側に位置する上面」は、前者の「該セカンドリングが前記ピストンに装着された場合に燃焼室側に位置する第2上面」に相当し、後者の「下部圧縮リング108がピストンヘッド102に装着された場合にクランク室側に位置する下面」は、前者の「該セカンドリングが前記ピストンに装着された場合にクランク室側に位置する第2下面」に相当し、後者の「下部圧縮リング108の外周端部に設けられた外周端面」は、前者の「該セカンドリングの外周端部に設けられた第2外周端面」に相当し、後者の「下部圧縮リング108の内周端部に設けられた内周端面」は、前者の「該セカンドリングの内周端部に設けられた第2内周端面」に相当する。 後者の「オイルコントロールリングアセンブリ112は、オイルコントロールリングアセンブリ112の軸回りに環状に形成され」ることは、前者の「前記オイルリングは、該オイルリングの軸回りに環状に形成され」ることに相当し、後者の「オイルコントロールリングアセンブリ112の軸方向に並んで設けられた一対の上部層板120及び下部層板122」を有することは、前者の「該オイルリングの軸方向に並んで設けられた一対の摺動部を有」することに相当する。 後者の「上部層板120の外周端部に設けられると共に上部層板120において最大径となる上部層板120の頂部である第1の接触部142を含んで径方向外側に凸状となるように湾曲した、第1の接触部142と、第1のテーパ部144と、第1のテーパ部144の下側の第1の円弧面150と、第1のテーパ部144の上側の第2の円弧面152とを備えた第1の外側ラジアル面132」及び「下部層板122の外周端部に設けられると共に下部層板122において最大径となる下部層板122の頂部である第2の接触部146を含んで径方向外側に凸状となるように湾曲した、第2の接触部146と、第2のテーパ部148と、第2のテーパ部148の下側の第3の円弧面154と、第2のテーパ部148の上側の第4の円弧面156とを備えた第2の外側ラジアル面136」の夫々は、前者の「該摺動部の外周端部に設けられると共に該摺動部において最大径となる第3頂部を含んで径方向外側に凸状となるように湾曲した第3外周端面」に相当し、後者の「上部層板120は、上部層板120の外周端部に設けられると共に上部層板120において最大径となる上部層板120の頂部である第1の接触部142を含んで径方向外側に凸状となるように湾曲した、第1の接触部142と、第1のテーパ部144と、第1のテーパ部144の下側の第1の円弧面150と、第1のテーパ部144の上側の第2の円弧面152とを備えた第1の外側ラジアル面132を有し、下部層板122は、下部層板122の外周端部に設けられると共に下部層板122において最大径となる下部層板122の頂部である第2の接触部146を含んで径方向外側に凸状となるように湾曲した、第2の接触部146と、第2のテーパ部148と、第2のテーパ部148の下側の第3の円弧面154と、第2のテーパ部148の上側の第4の円弧面156とを備えた第2の外側ラジアル面136を有」することは、前者の「前記一対の摺動部の夫々は、該摺動部の外周端部に設けられると共に該摺動部において最大径となる第3頂部を含んで径方向外側に凸状となるように湾曲した第3外周端面を有」することに相当する。 後者の「上部層板120及び下部層板122が上向きに移動するとき、上部層板120及び下部層板122とシリンダー壁130との間をオイル158が通過し、上部層板120及び下部層板122が下向きに移動するとき、上部層板120及び下部層板122がシリンダー壁130からオイル158をこすり落とす」ことは、上部層板120及び下部層板122の上下移動に伴い上部層板120及び下部層板122とシリンダー壁130との間におけるオイル158の下から上への通過を抑制することで、下部圧縮リング溝110とオイルコントロールリング溝114との間のピストンヘッド外周面側オイル158が上がること抑制するといえるから、前者の「前記シリンダと前記サードランドとの間に形成される前記ピストン隙間へのオイル上がりを抑制する」ことに相当する。 後者の「上部層板120における第1の外側ラジアル面132」の「オイルコントロールリングアセンブリ112がピストンヘッド102に装着された場合におけるクランク室側である下側の縁」は、前者の「第3外周端面」の「前記オイルリングが前記ピストンに装着された場合における前記クランク室側である下側の縁」に相当し、後者の「上部層板120における第1の外側ラジアル面132」の「オイルコントロールリングアセンブリ112がピストンヘッド102に装着された場合における燃焼室側である上側の縁」は、前者の「第3外周端面」の「前記オイルリングが前記ピストンに装着された場合における前記燃焼室側である上側の縁」に相当する。 そして、後者の「上部層板120における第1の外側ラジアル面132は、前記内燃機関のシリンダー壁130と前記第1の外側ラジアル面132との隙間が、上部層板120の頂部である第1の接触部142を境としてクランク室側である下側において前記下部圧縮リング溝110と前記オイルコントロールリング溝114との間のピストンヘッド外周面側よりも小さくなるように、オイルコントロールリングアセンブリ112がピストンヘッド102に装着された場合におけるクランク室側である下側の縁が、オイルコントロールリングアセンブリ112がピストンヘッド102に装着された場合における燃焼室側である上側の縁よりも径方向外側に位置し」ていることは、前者の「前記第3外周端面は、」「前記内燃機関のシリンダと前記第3外周端面との隙間が、前記第3頂部を境として前記クランク室側において前記サードランド側よりも小さくなるように、前記オイルリングが前記ピストンに装着された場合における前記クランク室側である下側の縁が、前記オイルリングが前記ピストンに装着された場合における前記燃焼室側である上側の縁よりも径方向外側に位置し」ていることに相当する。 また、後者の「上部層板120の頂部である第1の接触部142が第1の外側ラジアル面132において上部層板120の軸方向の中央位置よりも下側に位置するように形成されて」いることは、前者の「前記第3頂部が第3外周端面において前記摺動部の軸方向の中央位置よりも下側に位置するように形成されている」ことに相当する。 後者の「下部層板122における第2の外側ラジアル面136」の「オイルコントロールリングアセンブリ112がピストンヘッド102に装着された場合におけるクランク室側である下側の縁」は、前者の「第3外周端面」の「前記オイルリングが前記ピストンに装着された場合における前記クランク室側である下側の縁」に相当し、後者の「下部層板122における第2の外側ラジアル面136」の「オイルコントロールリングアセンブリ112がピストンヘッド102に装着された場合における燃焼室側である上側の縁」は、前者の「第3外周端面」の「前記オイルリングが前記ピストンに装着された場合における前記燃焼室側である上側の縁」に相当する。 そして、後者の「下部層板122における第2の外側ラジアル面136は、前記内燃機関のシリンダー壁130と前記第1の外側ラジアル面132との隙間が、下部層板122の頂部である第2の接触部146を境としてクランク室側である下側において前記下部圧縮リング溝110と前記オイルコントロールリング溝114との間のピストンヘッド外周面側よりも小さくなるように、オイルコントロールリングアセンブリ112がピストンヘッド102に装着された場合におけるクランク室側である下側の縁が、オイルコントロールリングアセンブリ112がピストンヘッド102に装着された場合における燃焼室側である上側の縁よりも径方向外側に位置し」ていることは、前者の「前記第3外周端面は、」「前記内燃機関のシリンダと前記第3外周端面との隙間が、前記第3頂部を境として前記クランク室側において前記サードランド側よりも小さくなるように、前記オイルリングが前記ピストンに装着された場合における前記クランク室側である下側の縁が、前記オイルリングが前記ピストンに装着された場合における前記燃焼室側である上側の縁よりも径方向外側に位置し」ていることに相当する。 また、後者の「下部層板122の頂部である第2の接触部146が第2の外側ラジアル面136において下部層板122の軸方向の中央位置よりも下側に位置するように形成されている」いることは、前者の「前記第3頂部が第3外周端面において前記摺動部の軸方向の中央位置よりも下側に位置するように形成されている」ことに相当する。 そして、後者の「上部層板120における第1の外側ラジアル面132は、前記内燃機関のシリンダー壁130と前記第1の外側ラジアル面132との隙間が、上部層板120の頂部である第1の接触部142を境としてクランク室側である下側において前記下部圧縮リング溝110と前記オイルコントロールリング溝114との間のピストンヘッド外周面側よりも小さくなるように、オイルコントロールリングアセンブリ112がピストンヘッド102に装着された場合におけるクランク室側である下側の縁が、オイルコントロールリングアセンブリ112がピストンヘッド102に装着された場合における燃焼室側である上側の縁よりも径方向外側に位置し、且つ、上部層板120の頂部である第1の接触部142が第1の外側ラジアル面132において上部層板120の軸方向の中央位置よりも下側に位置するように形成されており、 下部層板122における第2の外側ラジアル面136は、前記内燃機関のシリンダ壁130と前記第2の外側ラジアル面136との隙間が、下部層板122の前記頂部である第2の接触部146を境としてクランク室側である下側において前記下部圧縮リング溝110と前記オイルコントロールリング溝114との間のピストンヘッド外周面側よりも小さくなるように、オイルコントロールリングアセンブリ112がピストンヘッド102に装着された場合におけるクランク室側である下側の縁が、オイルコントロールリングアセンブリ112がピストンヘッド102に装着された場合における燃焼室側である上側の縁よりも径方向外側に位置し、且つ、下部層板122の頂部である第2の接触部146が第2の外側ラジアル面136において下部層板122の軸方向の中央位置よりも下側に位置するように形成されている」ことは、前者の「前記一対の摺動部の少なくとも一方における前記第3外周端面は、」「前記内燃機関のシリンダと前記第3外周端面との隙間が、前記第3頂部を境として前記クランク室側において前記サードランド側よりも小さくなるように、前記オイルリングが前記ピストンに装着された場合における前記クランク室側である下側の縁が、前記オイルリングが前記ピストンに装着された場合における前記燃焼室側である上側の縁よりも径方向外側に位置し、且つ、前記第3頂部が第3外周端面において前記摺動部の軸方向の中央位置よりも下側に位置するように形成されている」ことに相当する。 以上のとおりであるから、本件発明1と引用発明とは、次の一致点1で一致し、相違点1において相違する。 【一致点1】 「内燃機関のピストンに装着され、トップリング溝に装着されるトップリングと、セカンドリング溝に装着されるセカンドリングと、前記セカンドリング溝との間にサードランドを形成するオイルリング溝に装着されるオイルリングと、を含むピストンリングの組合せであって、 前記トップリングは、該トップリングの外周端部に設けられると共に該トップリングにおいて最大径となる第1頂部を含んで径方向外側に凸状となるように湾曲した第1外周端面を有し、 前記セカンドリングは、該セカンドリングが前記ピストンに装着された場合に燃焼室側に位置する第2上面と、該セカンドリングが前記ピストンに装着された場合にクランク室側に位置する第2下面と、該セカンドリングの外周端部に設けられた第2外周端面と、該セカンドリングの内周端部に設けられた第2内周端面と、を有し、 前記オイルリングは、該オイルリングの軸回りに環状に形成され、該オイルリングの軸方向に並んで設けられた一対の摺動部を有し、 前記一対の摺動部の夫々は、該摺動部の外周端部に設けられると共に該摺動部において最大径となる第3頂部を含んで径方向外側に凸状となるように湾曲した第3外周端面を有し、 前記一対の摺動部の少なくとも一方における前記第3外周端面は、前記シリンダと前記サードランドとの間に形成される前記ピストン隙間へのオイル上がりを抑制するために、前記内燃機関のシリンダと前記第3外周端面との隙間が、前記第3頂部を境として前記クランク室側において前記サードランド側よりも小さくなるように、前記オイルリングが前記ピストンに装着された場合における前記クランク室側である下側の縁が、前記オイルリングが前記ピストンに装着された場合における前記燃焼室側である上側の縁よりも径方向外側に位置し、且つ、前記第3頂部が第3外周端面において前記摺動部の軸方向の中央位置よりも下側に位置するように形成されている、 ピストンリングの組み合わせ。」 【相違点1】 本件発明1の「セカンドリング」は、「前記内燃機関のシリンダと前記サードランドとの間に形成されるピストン隙間のオイルをバッファする空間を形成する段差状の切欠が前記第2外周端面と前記第2下面との間に形成されるように該第2外周端面と該第2下面とを接続するアンダーカット面」「を有し、前記セカンドリングには、前記第2内周端面を含むように延びる第2仮想内周面と前記第2下面を含むように延びる第2仮想下面とが交わることで形成される仮想下角部における、該第2仮想内周面と該第2仮想下面との交差部分を含む所定部位が該セカンドリングに含まれないように、前記第2内周端面と前記第2下面とを接続するインナーカット面と、前記第2外周端面を含むように延びる第2仮想外周面と前記第2上面を含むように延びる第2仮想上面とが交わることで形成される仮想上角部における、該第2仮想外周面と該第2仮想上面との交差部分を含む所定部位が該セカンドリングに含まれないように、前記第2外周端面と前記第2上面とを接続するアウターカット面とのうち、少なくとも一方が形成され」ているのに対し、引用発明の「下部圧縮リング108」は、そのように構成されていない点。 (2)判断 上記相違点1について検討する。 引用文献3には、「内燃機関用のピストンリングの、トップリングとオイルリングの間に配置されるセカンドリングであって、セカンドリングの外周面11とセカンドリングの下面との間に段差状のアンダーカット12を有し、内周下縁部の全周と、外周上縁部の全周の一方又は両方に、テーパ状の切欠部13を形成し、セカンドリングのツイスト角は、0分から10分の範囲内である、セカンドリング。」(引用文献3に記載された事項、上記2(3)参照。)が記載されており、シール性能を向上させるとともに、オイル消費量の低減を図ることが記載されている(上記2(1)イ参照。)。 ここで、引用文献3に記載された事項の「内燃機関用のピストンリングの、トップリングとオイルリングの間に配置されるセカンドリング」は、相違点1に係る本件発明1の構成の「セカンドリング」に相当し、同様に、「セカンドリングの外周面11」、「セカンドリングの下面」は、「第2外周端面」、「第2下面」にそれぞれ相当するから、引用文献3に記載された事項の「セカンドリングの外周面11とセカンドリングの下面との間に段差状のアンダーカット12」は、相違点1に係る本件発明1の構成の「段差状の切欠が前記第2外周端面と前記第2下面との間に形成されるように該第2外周端面と該第2下面とを接続するアンダーカット面」に相当する。 また、引用文献3に記載された事項の「内周下縁部」は、相違点1に係る本件発明1の構成の「第2内周端面を含むように延びる第2仮想内周面と第2下面を含むように延びる第2仮想下面とが交わることで形成される仮想下角部における、該第2仮想内周面と該第2仮想下面との交差部分」に相当するから、引用文献3に記載された事項の「内周下縁部の全周」の「テーパ状の切欠部13」が形成されることは、相違点1に係る本件発明1の構成の「前記第2内周端面を含むように延びる第2仮想内周面と前記第2下面を含むように延びる第2仮想下面とが交わることで形成される仮想下角部における、該第2仮想内周面と該第2仮想下面との交差部分を含む所定部位が該セカンドリングに含まれないように、前記第2内周端面と前記第2下面とを接続するインナーカット面」が形成されることに相当する。 同様に、引用文献3に記載された事項の「外周上縁部」は、相違点1に係る本件発明1の構成の「第2外周端面を含むように延びる第2仮想外周面と第2上面を含むように延びる第2仮想上面とが交わることで形成される仮想上角部における、該第2仮想外周面と該第2仮想上面との交差部分」に相当するから、引用文献3に記載された事項の「外周上縁部の全周」の「テーパ状の切欠部13」が形成されることは、相違点1に係る本件発明1の構成の「前記第2外周端面を含むように延びる第2仮想外周面と前記第2上面を含むように延びる第2仮想上面とが交わることで形成される仮想上角部における、該第2仮想外周面と該第2仮想上面との交差部分を含む所定部位が該セカンドリングに含まれないように、前記第2外周端面と前記第2上面とを接続するアウターカット面」が形成されることに相当する。 引用文献3に記載された事項の内周下縁部と外周上縁部の「一方又は両方に、テーパ状の切欠部13を形成」することは、相違点1に係る本件発明1の構成の「インナーカット面」と「アウターカット面」の「少なくとも一方が形成され」ることに相当する。 そして、引用文献3に記載された事項の「セカンドリング」を、「オイルリング」とともに「内燃機関」に適用した際、後者の「セカンドリング」と「オイルリング」の間のピストンの外周は、相違点1に係る本件発明1の構成の「サードランド」に相当するところ、引用文献3に記載された事項の「セカンドリング」と「オイルリング」の間のピストンの外周と、シリンダーライナーとの間に隙間が形成され、この隙間は、相違点1に係る本件発明1の構成の「ピストン隙間」に相当するとともに、引用文献3に記載された事項において、内燃機関のシリンダーライナー内でピストンを下方に移動させた際に「セカンドリング」によって「オイルリング」側にかき落とされたオイルは、「アンダーカット12」内に一時的に貯まることとなるから、当該「アンダーカット12」は、相違点1に係る本件発明1の構成の「前記内燃機関のシリンダと前記サードランドとの間に形成されるピストン隙間のオイルをバッファする空間を形成する段差状の切欠」に相当するといえる。 したがって、引用文献3には、上記相違点1に係る本件発明1の構成が記載されているといえる。 そして、引用文献3に記載されているように、セカンドリングが「トップリングの補助的な作用、すなわち燃焼室に発生する高圧燃焼ガスがクランクケースに吹き抜け(ブローバイ)ないよう密封保持する役割と、オイルリングの補助的な作用、すなわちシリンダーライナーに塗着しているオイルを適度にかき落す役割との二つの作用」(上記2(1)ア〔従来の技術〕参照。)を行うものであることは、引用発明の下部圧縮リング108においても同様であるから、「シール性能の安定性が得られ、オイル消費量の低減が図れる」(上記2(1)イ参照。)ようにするために、引用発明の下部圧縮リング108に引用文献3に記載された技術的事項を適用する動機付けがあったというべきである。 してみれば、引用発明に、上記引用文献3に記載された技術的事項を適用し、上記相違点1に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 そして、本件発明1の奏する作用効果は、引用発明及び引用文献3に記載された技術的事項から当業者が予想できる程度のものに過ぎない。 よって、本件発明1は、引用発明及び引用文献3に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (3)特許権者の主張について 特許権者は令和5年3月8日付け意見書において、 本件特許の願書に添付された図面であって、トップリングを対称バレル形状としたときの、 セカンドリング及びオイルリングの種別に伴うオイルの消費量を示す 【図9】 [図:0001403614000014.jpg] を引用し、セカンドリングを非バランスカット形状としたときのオイル消費量と、セカンドリングをバランスカット形状としたときのオイル消費量の差が、オイルリングが対称バレル形状であるとき(比較例1と比較例2の差)より、オイルリングが偏心バレル形状であるとき(比較例3と実施例の差)が大きいから、本件発明1では、バランスカット形状のセカンドリングを単独評価した場合に予測される効果と偏心バレル形状のオイルリングを単独評価した場合に予測される効果を単純に足し合わせて予測される効果を上回る効果が得られており、当業者が予測できた範囲の効果を超える顕著なものである旨主張する。 しかしながら、本件特許の明細書には 「【0072】 ・・・比較例1では、ピストンスカートからオイルリングまで上昇してきたオイルの一部がオイルリングによって掻き落されるものの、比較的多量のオイルがサードランドまで上昇する。そして、セカンドリングで掻き落されずにセカンドランドまで上昇したオイルのうち、トップリングでも掻き落し切れずにトップランドに至ったオイルが燃焼室側へ流出し、オイル上がりとなる。・・・比較例2では、比較例1と同様にオイルリングを対称バレル形状としているため、比較例1と概ね同量のオイルがサードランドまで上昇する。そのため、比較例2では、比較例1とは異なりセカンドリングをバランスカット形状としているものの、セカンドリング溝内に充満したオイルにより、そのシール性能が十分に発揮されず、結果として、トップランドに至るオイル量が比較例1よりも若干少ない程度となる。・・・」 と記載されており、比較例1及び2は、オイルリングによるオイルの掻き落としが正常に行われず、セカンドリングのシール性能が十分に発揮されていない状況にあり、比較例1と比較例2の対比によって、セカンドリング単独での本来の性能を評価できないことは明白である。 そして、上記「2 引用文献3」の第7図(上記2(1)サ参照。)の従来例と本考案の差から、引用文献3のセカンドリング(特許権者のいう「バランスカット形状」のセカンドリング)を採用することで、オイル消費量が概略半減することが期待できるので、引用発明のオイルコントロールリングアセンブリ112と、引用文献3に記載されたセカンドリングとを組み合わせ、それぞれが機能を発揮したときの作用効果は、当業者が予測できる範囲のものといえる。 したがって、特許権者の上記の主張は採用できない。 (4)結論 本件発明1は、引用発明及び引用文献3に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない発明である。 5 本件発明2について (1)対比 本件発明2と引用発明とを対比すると、 後者の「オイルコントロールリングアセンブリ112」は、前者の「オイルリング」に相当し、 後者の「オイルコントロールリングアセンブリ112の軸回りに環状に形成され」ることは、前者の「該オイルリングの軸回りに環状に形成され」ることに相当し、 後者の「オイルコントロールリングアセンブリ112の軸方向に並んで設けられた」ことは、前者の「該オイルリングの軸方向に並んで設けられた」ことに相当する。 後者の「一対の上部層板120及び下部層板122」は、相互に別部材であるから、前者の「互いに独立して設けられた一対のセグメント」に相当するとともに、後者の「一対の摺動部」にも相当する。 後者の「上部層板120及び下部層板122をシリンダー壁130と接触するようにバイアスするエキスパンダーリング124」は前者の「前記一対のセグメントを径方向外側に付勢するエキスパンダ」に相当する。 そうすると、本件発明2と引用発明とは、上記4(1)の一致点1で一致することに加えて、 「前記オイルリングは、該オイルリングの軸回りに環状に形成され、互いに独立して該オイルリングの軸方向に並んで設けられた一対のセグメントと、前記一対のセグメントを径方向外側に付勢するエキスパンダと、を有し、 前記一対の摺動部は、前記一対のセグメントとして形成されている」点で一致し、上記相違点1で相違する。 (2)判断 相違点1については、上記4(2)で検討したとおりであるから、本件発明2は、本件発明1と同様の理由で、引用発明及び引用文献3に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない発明である。 6 本件発明3について (1)対比 本件発明3と引用発明とを対比すると、本件発明3と引用発明とは、上記4(1)の一致点1で一致するとともに上記相違点1で相違し、さらに以下の相違点2で相違する。 [相違点2] 本件発明3の「オイルリング」は、「該オイルリングの軸回りに環状に形成されたオイルリング本体と、前記オイルリング本体を径方向外側へ付勢するエキスパンダと、を有し、前記オイルリング本体には、径方向外側に突出する一対のレールが前記オイルリングの軸方向に並んで形成され、前記一対の摺動部は、前記一対のレールとして形成されている」構成であるのに対し、引用発明の「オイルコントロールリングアセンブリ112」は、「オイルコントロールリングアセンブリ112の軸回りに環状に形成され、オイルコントロールリングアセンブリ112の軸方向に並んで設けられた一対の上部層板120及び下部層板122と、上部層板120及び下部層板122をシリンダー壁130と接触するようにバイアスするエキスパンダーリング124とを有」する構成である点。 (2)判断 相違点1については、上記4(2)で検討したとおりであり、引用発明に、上記引用文献3に記載された技術的事項を適用し、上記相違点1に係る本件発明3の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 次に、相違点2について検討する。 引用文献4に記載された技術的事項(上記3(3)参照。)において、「オイルリング300」は、相違点2に係る本件発明3の構成の「オイルリング」に相当し、以下同様に、 「X軸回りの円環状に形成された」ことは「オイルリングの軸回りに環状に形成された」ことに、 「リング本体320」は「オイルリング本体」に、 「リング本体320を半径方向外側へ付勢する」ことは「オイルリング本体を径方向外側へ付勢する」ことに、 「コイルエキスパンダ330」は「エキスパンダ」に相当する。 また、引用文献4に記載された技術的事項の「外周面が半径方向外側へ凸状な湾曲面となっている」ことは、相違点2に係る本件発明3の構成の「径方向外側に突出する」ことに相当し、引用文献4に記載された技術的事項の「軸方向に並んだ2つの円環状の摺動部324,324が一対のレールとして形成され」ることは、相違点2に係る本件発明3の構成の「一対のレールが前記オイルリングの軸方向に並んで形成され」ること及び「前記一対の摺動部は、前記一対のレールとして形成されている」ことに相当する。 したがって、引用文献4には、相違点2に係る本件発明3の構成が記載されているといえる。 そして、引用文献4において、3ピース型のオイルリング(【0018】~【0059】及び【図1】~【図9】の《発明の実施形態1》参照。)と2ピース型のオイルリング(【0064】~【0076】及び【図11】の《発明の実施形態3》参照。)が併記されており、また引用発明のオイルコントロールリングアセンブリ112も引用文献4に記載された技術的事項も、共に、内燃機関のピストンに装着されるオイルリングに関するものであることを考慮すると、引用発明の、3ピース型のオイルリングである「オイルコントロールリングアセンブリ112」に引用文献4に記載された技術的事項を適用して2ピース型のオイルリングとすることで、上記相違点2に係る本件発明3の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たと認められる。 また、本件発明3が奏する作用・効果は、引用発明及び引用文献3~4に記載された技術的事項から当業者が予測可能なものと認められる。 したがって、本件発明3は、引用発明及び引用文献3~4に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない発明である。 7 本件発明4について (1)対比 本件発明4と引用発明とを対比すると、本件発明4と引用発明とは、上記4(1)の一致点1で一致するとともに上記相違点1で相違し、さらに以下の相違点3で相違する。 [相違点3] 本件発明4の「セカンドリング」は「前記ピストンの軸と直交する平面に対する第2上面の傾斜角度を前記セカンドリングのねじれ角度とし、前記第2上面が径方向外側に向かって燃焼室側に傾斜する場合にねじれ角度を正の値とし、前記第2上面が径方向外側に向かってクランク室側に傾斜する場合にねじれ角度を負の値としたとき、前記セカンドリングのねじれ角度は、前記セカンドリングをピストンに装着し、且つ、前記ピストンをシリンダに装着した状態で、-20′~20′の範囲内である」構成であるのに対し、引用発明の「下部圧縮リング108」は、このような構成であると特定されていない点。 (2)判断 上記相違点1及び3について検討する。 引用文献3に記載された技術的事項においては、「セカンドリングの外周面11とセカンドリングの下面との間に段差状のアンダーカット12を有し、内周下縁部の全周と、外周上縁部の全周の一方又は両方に、テーパ状の切欠部13を形成」することで「セカンドリングのツイスト角は、0分から10分の範囲内である」ものとなると認められる。ここで「セカンドリングのツイスト角は、0分から10分の範囲内である」構成は、相違点3に係る本件発明4の構成に相当する。 そして、上記4(2)で検討したように、引用発明の「下部圧縮リング108」に、上記引用文献3に記載された技術的事項におけるセカンドリングの形状を適用し、上記相違点1に係る本件発明4の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことであるところ、引用発明に引用文献3に記載された技術的事項を適用した際、セカンドリングのツイスト角は0分から10分の範囲内となり、相違点3に係る本件発明4の構成となるといえる。 また、本件発明4が奏する作用・効果は、引用発明及び引用文献3に記載された技術的事項から当業者が予測可能なものと認められる。 したがって、本件発明4は、引用発明及び引用文献3に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない発明である。 8 本件発明5について (1)対比 本件発明5と引用発明とを対比する。 後者の「第2の円弧面152」のうちの「第1のテーパ部144」と「第1の外側ラジアル面132」の上端の間の円弧面は、上部層板120において最大径となる上部層板120の頂部と、第1の外側ラジアル面132の上端との間の湾曲面であって、径方向外側に凸状に湾曲すると共に上側に向けて徐々に縮径する湾曲面を構成するといえる。 また、後者の「第4の円弧面156」のうちの「第2のテーパ部148」と「「第2の外側ラジアル面136」の上端の間の円弧面も、下部層板122において最大径となる下部層板122の頂部と、第2の外側ラジアル面136の上端との間の湾曲面であって、径方向外側に凸状に湾曲すると共に上側に向けて徐々に縮径する湾曲面を構成するといえる。 そうすると、後者の「上部層板120の外周端部に設けられると共に上部層板120において最大径となる上部層板120の頂部である第1の接触部142を含んで径方向外側に凸状となるように湾曲した、第1の接触部142と、第1のテーパ部144と、第1のテーパ部144の下側の第1の円弧面150と、第1のテーパ部144の上側の第2の円弧面152とを備えた第1の外側ラジアル面132」及び「下部層板122の外周端部に設けられると共に下部層板122において最大径となる下部層板122の頂部である第2の接触部146を含んで径方向外側に凸状となるように湾曲した、第2の接触部146と、第2のテーパ部148と、第2のテーパ部148の下側の第3の円弧面154と、第2のテーパ部148の上側の第4の円弧面156とを備えた第2の外側ラジアル面136」の夫々は、前者の「前記第3外周端面は、前記第3頂部と該第3外周端面の上側の縁との間に、径方向外側に凸状に湾曲すると共に上側に向けて徐々に縮径した湾曲面を有する」構成であるといえる。 したがって、本件発明5と引用発明とは、上記4(1)の一致点1で一致することに加えて 「前記第3外周端面は、前記第3頂部と該第3外周端面の上側の縁との間に、径方向外側に凸状に湾曲すると共に上側に向けて徐々に縮径した湾曲面を有する」点で一致し、相違点1で相違する。 (2)判断 相違点1については、上記4(2)で検討したとおりであるから、本件発明5は、本件発明1と同様の理由で、引用発明及び引用文献3に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない発明である。 9 本件発明6について (1)対比 本件発明6と引用発明とを対比する。 後者の「第1のテーパ部144」は、「上部層板120において最大径となる上部層板120の頂部である第1の接触部142」と「第1の外側ラジアル面132」の上側の縁の間にあり、上側に向けて徐々に縮径したテーパ面であるといえる。 同様に、後者の「第2のテーパ部148」は、「下部層板122において最大径となる下部層板122の頂部である第2の接触部146」と「第2の外側ラジアル面136」の上側の縁の間にあり、上側に向けて徐々に縮径したテーパ面であるといえる。 そうすると、後者の「上部層板120の外周端部に設けられると共に上部層板120において最大径となる上部層板120の頂部を含んで径方向外側に凸状となるように湾曲した、第1の接触部142と、第1のテーパ部144と、第1のテーパ部144の下側の第1の円弧面150と、第1のテーパ部144の上側の第2の円弧面152とからなる第1の外側ラジアル面132」及び「下部層板122の外周端部に設けられると共に下部層板122において最大径となる下部層板122の頂部を含んで径方向外側に凸状となるように湾曲した、第2の接触部146と、第2のテーパ部148と、第2のテーパ部148の下側の第3の円弧面154と、第2のテーパ部148の上側の第4の円弧面156とからなる第2の外側ラジアル面136」の夫々は、前者の「前記第3外周端面は、前記第3頂部と該第3外周端面における上側の縁との間に、上側に向けて徐々に縮径したテーパ面を有する」構成であるといえる。 したがって、本件発明6と引用発明とは、上記4(1)の一致点1で一致することに加えて 「前記第3外周端面は、前記第3頂部と該第3外周端面における上側の縁との間に、上側に向けて徐々に縮径したテーパ面を有する」点で一致し、相違点1で相違する。 (2)判断 相違点1については、上記4(2)で検討したとおりであるから、本件発明6は、本件発明1と同様の理由で、引用発明及び引用文献3に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない発明である。 第6 むすび 以上のとおり、請求項1~6に係る発明は、引用文献1に記載された発明及び引用文献3~4に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであって、請求項1~6に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当するから、取り消されるべきものである。 よって、結論のとおり決定する。

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2022-700157

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