特許異議申立
2022-700996
積層鉄心の製造装置及び製造方法
- 審判番号
- 2022-700996
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2021-027390
- 登録番号
- 7052109
- 請求日
- 2022年10月07日
- 審決日
- 2023年10月13日
- 公報発行日
- 2024年03月29日
- 結論
- 請求成立(取消)
- 当事者
- 【権利者】黒田精工株式会社
- 【権利者代理人】弁理士法人大島特許事務所
- 【異議申立人】松永 健太郎
- 審判長/審判官
- 審判長 柿崎 拓
- 審判官 窪田 治彦
- 審判官 長馬 望
- 分類
- P1652.121-ZDA(H02K)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条、特許法第120条の5第5項、特許法第120条の5第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7052109号発明「積層鉄心の製造装置及び製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7052109号の明細書、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔10~12〕について訂正することを認める。
特許第7052109号の請求項1~6、8、9に係る特許を取り消す。
同請求項10~12に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯の概略
特許第7052109号の請求項1~12に係る特許(以下「本件特許」という。)についての手続の経緯は、概ね、次のとおりである。
平成29年 1月 9日 原出願(特願2018-560311号
)
令和 3年 2月24日 出願
令和 4年 4月 1日 特許権の設定登録
令和 4年 4月11日 特許掲載公報
令和 4年10月 7日 特許異議申立人松永健太郎による請求項
1~6、8~12に係る特許に対する特許
異議申立て
令和 4年12月28日付け 取消理由通知書
令和 5年 3月 6日 特許権者による意見書及び訂正請求書の
提出
令和 5年 4月11日 特許権者による手続補正書(方式)の提
出
令和 5年 7月 7日付け 取消理由通知書(決定の予告)
以下、令和5年4月11日付け手続補正書により補正された令和5年3月6日付け訂正請求書に係る訂正を「本件訂正」という。なお、特許異議申立人に対し特許法120条の5第5項の規定に基づく書面を送付し、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、特許異議申立人から応答はなかった。また、特許権者に対し、令和5年7月7日付け取消理由通知書(決定の予告)を送付し、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、特許権者から応答はなかった。
第2 本件訂正の適否
1 本件訂正の内容
本件訂正の請求は、特許第7052109号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項10~12について訂正することを求めるものであって、その訂正の内容は次のとおりである(下線は訂正箇所を示す。)。
(訂正事項1)
特許請求の範囲の請求項10において、
「上側ホルダと下側ホルダとを有するプレス装置を用いて帯状薄鋼板から所定の形状に打抜き形成された鉄心薄板を積層接着してなる積層鉄心の製造方法であって、
前記下側ホルダに設けられた左右のガイド部材によって前記帯状薄鋼板の上方への移動を制限し、上側ホルダが上昇した状態において、前記下側ホルダに上下可能に設けられ且つリフタ用ばねによって上方に向けて付勢されたリフタにより前記帯状薄鋼板を、前記下側ホルダに設けられたダイプレートの上面より離れたリフトアップ状態で、且つ前記帯状薄鋼板の間欠移送方向に沿った移送を案内した状態で、前記帯状薄鋼板を間欠移送する移送工程と、
前記上側ホルダ及び前記下側ホルダの少なくとも何れか一方に設けられた接着剤塗布装置によって前記帯状薄鋼板の接着剤塗布面に接着剤を塗布する塗布工程と、
前記上側ホルダに設けられたパイロットピンを、前記移送工程の完了後の前記上側ホルダの降下途中に、前記帯状薄鋼板に形成されたパイロット孔に挿入するパイロット挿入工程と、
前記上側ホルダに上下方向に変位可能に設けられて前記ダイプレートの上面と対向する下面を有し、ストリッパ用ばねによって前記下側ホルダに向けて付勢されたストリッパプレートによって、前記パイロット挿入工程の完了後の前記上側ホルダの降下途中に、前記帯状薄鋼板を前記リフタの降下移動を伴って前記下側ホルダに設けられた前記ダイプレートの上面に押し付ける押付工程とを有し、
前記塗布工程は、前記パイロットピンが前記パイロット孔に挿入され、且つ前記リフタの降下移動を伴って前記ストリッパプレートによって前記帯状薄鋼板が前記ダイプレートの上面に押し付けられる時に或いは押し付けられた状態で接着剤の塗布を行い、接着剤の塗布完了後の前記上側ホルダの上昇により、前記リフタの上昇移動を伴って当該リフタが前記帯状薄鋼板の下面に当接し且つ前記ストリッパプレートが前記帯状薄鋼板の上面に当接した状態で前記帯状薄鋼板を前記リフトアップ状態に戻す積層鉄心の製造方法。」
と記載されているのを、
「上側ホルダと下側ホルダとを有するプレス装置を用いて帯状薄鋼板から所定の形状に打抜き形成された鉄心薄板を積層接着してなる積層鉄心の製造方法であって、
前記下側ホルダに設けられた左右のガイド部材によって前記帯状薄鋼板の上方への移動を制限し、上側ホルダが上昇した状態において、前記下側ホルダに上下可能に設けられ且つリフタ用ばねによって上方に向けて付勢されたリフタにより前記帯状薄鋼板を、前記下側ホルダに設けられたダイプレートの上面より離れたリフトアップ状態で、且つ前記帯状薄鋼板の間欠移送方向に沿った移送を案内した状態で、前記帯状薄鋼板を間欠移送する移送工程と、
前記上側ホルダ及び前記下側ホルダの少なくとも何れか一方に設けられた接着剤塗布装置によって前記帯状薄鋼板の接着剤塗布面に接着剤を塗布する塗布工程と、
前記上側ホルダに設けられたパイロットピンを、前記移送工程の完了後の前記上側ホルダの降下途中に、前記帯状薄鋼板に形成されたパイロット孔に挿入するパイロット挿入工程と、
前記上側ホルダに上下方向に変位可能に設けられて前記ダイプレートの上面と対向する下面を有し、ストリッパ用ばねによって前記下側ホルダに向けて付勢されたストリッパプレートによって、前記パイロット挿入工程の完了後の前記上側ホルダの降下途中に、前記帯状薄鋼板を前記リフタの降下移動を伴って前記下側ホルダに設けられた前記ダイプレートの上面に押し付ける押付工程とを有し、
前記塗布工程は、前記パイロットピンが前記パイロット孔に挿入され、且つ前記リフタの降下移動を伴って前記ストリッパプレートによって前記帯状薄鋼板が前記ダイプレートの上面に押し付けられる時に或いは押し付けられた状態で接着剤の塗布を行い、接着剤の塗布完了後の前記上側ホルダの上昇により、前記リフタの上昇移動を伴って当該リフタが前記帯状薄鋼板の下面に当接し且つ前記ストリッパプレートが前記帯状薄鋼板の上面に当接した状態で前記帯状薄鋼板を前記リフトアップ状態に戻し、
前記移送工程において、前記ガイド部材が、前記ダイプレートの上面に上方から第1の所定間隔をおいて対向する下面と、前記ダイプレートの上面に上方から第1の所定間隔より小さい第2の所定間隔をおいて対向する下向きのストッパ面と有し、前記下面が、前記帯状薄鋼板の上方への移動を制限し、前記各リフタの上面が、前記ストッパ面に当接する、積層鉄心の製造方法。」
に訂正する(請求項10を引用する請求項11、12も同様に訂正する。)。
2 本件訂正の適否について
(1) 訂正の目的
訂正事項1は、「移送工程」に関し、「前記移送工程において、前記ガイド部材が、前記ダイプレートの上面に上方から第1の所定間隔をおいて対向する下面と、前記ダイプレートの上面に上方から第1の所定間隔より小さい第2の所定間隔をおいて対向する下向きのストッパ面と有し、前記下面が、前記帯状薄鋼板の上方への移動を制限し、前記各リフタの上面が、前記ストッパ面に当接する、」と訂正するものであるが、これは、「ガイド部材」について、特定の構造を有すること、その機能を特定することによって、「移送工程」をより具体的に特定するものである。
よって、訂正事項1は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(2) 新規事項の追加の有無
本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件明細書等」という。)には、以下の事項が記載されている。
・「【請求項7】
前記ガイド部材は、前記ダイプレートの上面に上方から第1の所定間隔をおいて対向し、前記帯状薄鋼板の上方への移動を制限する下面と、前記ダイプレートの上面に上方から第1の所定間隔より小さい第2の所定間隔をおいて対向し前記各リフタの上面が当接する下向きのストッパ面とを有する請求項5に記載の積層鉄心の製造装置。」
・「【0100】
左右のガイド部材100は、図16に示されているように、ダイプレート40の上面47に上方から所定間隔Tをおいて対向する水平壁による下面102及びフープ材Fの左右の端面に所定間隙をおいて対向する縦壁による側面103とを有し、互いに対向する側が鉤形の横断面形状になっている。ガイド部材100の下面102及び側面103とダイプレート40の上面47とは互いに協働してフープ材Fの順送り方向に延在する矩形横断面形状の内側開口の左右の案内溝104を画定している。」
・「【0101】
フープ材Fの左右の側縁部が各々左右の案内溝104に入り込むことにより、各ガイド部材100は、側面103によってフープ材Fの左右方向の移動を制限すると共に下面102によってフープ材Fの上方への移動を制限してフープ材Fの間欠移送を案内する。」
・「【0103】
上述の所定間隔Tは、後述するリフタピン110によるフープ材Fのリフトアップ量Lとフープ材Fの板厚との合計値より大きい。この設定により、フープ材Fがリフタピン110によってリフトアップされた状態でも、フープ材Fがガイド部材100の下面102に当接することがない。このことにより、フープ材Fの間欠移送時にフープ材Fの上面がガイド部材100の下面102に摺接することがなく、ガイド部材100がフープ材Fの間欠移送時の摩擦抵抗を増大することがない。」
「【0106】
各リフタピン110の上端面の略半分はフープ材Fの下面に当接し、残りの半分はガイド部材100に形成されたストッパ面106に当接可能になっている。これにより、各リフタピン110は、図8A、図8B及び図16に示されているように、フープ材Fがストリッパ28によって押し下げられていない時には、リフタ用ばね114によるばね付勢によって上端面がストッパ面106に当接する上昇位置に位置し、フープ材Fをダイプレート40の上面47より浮上(リフトアップ)させる。各リフタピン110は、フープ材Fがストリッパ28によって押し下げられた時には、図11A、図11B及び図18に示されているようにフープ材Fによって各リフタ用ばね114のばね力に抗して降下し、全体が各リフタピン孔112内に沈下する。」
・「【0107】
リフタピン110によるフープ材Fのリフトアップ量Lは、図16に示されているように、リフタピン110の上面がガイド部材100の下向きのストッパ面106に当接することにより決まり、当該リフトアップ量Lはフープ材Fの下面に転写される接着剤の塗布厚さ(最大厚さ)より大きい値に設定されている。」
・「【0120】
上側ホルダ12の上昇が更に進むと、図15A及び図15Bに示されているように、パイロットピン84がパイロット孔Pから上方に抜け出し、その後、上側ホルダ12が図8A及び図8Bに示されている上死点位置に戻る。パイロットピン84がパイロット孔Pから抜け出した時点でフープ材Fの間欠移送が開始される。この間欠移送は、フープ材Fがリフタピン110によりリフトアップされて下面がリフトアップ量L(図16参照)だけダイプレート40の上面47から離れた状態で行われるから、フープ材Fの下面の塗布点Eに転写された接着剤がダイプレート40の上面47によって擦られることがない。」
・「【図16】
[図:0001407803000001.jpg]
」
このように、本件明細書等には、ガイド部材が、ダイプレートの上面に上方から第1の所定間隔をおいて対向する下面と、ダイプレートの上面に上方から第1の所定間隔より小さい第2の所定間隔をおいて対向する下向きのストッパ面とを有し、移送工程において、ガイド部材の下面が、帯状薄鋼板の上方への移動を制限し、各リフタの上面が、ストッパ面に当接する点が記載されていると認められる。
そうすると、訂正事項1に係る本件訂正は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであって、新規事項を追加するものではない。
(3) 訂正事項1に係る本件訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張、又は変更するものではない。
(4) 訂正前の請求項10~12は、請求項11及び12が、訂正の請求の対象である請求項10の記載を引用する関係にあるから、訂正事項1に係る本件訂正は、訂正前の請求項〔10~12〕という一群の請求項ごとに請求されたものである。
(5) まとめ
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる事項を目的とするものであって、同条4項、同条9項において準用する同法126条5項及び6項の規定に適合するので、訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔10~12〕について訂正することを認める。
第3 本件発明
前記第2のとおり本件訂正は認められるから、本件特許の特許請求の範囲は、次のとおりである。
そして、請求項1~6、8~12に係る発明は、特許請求の範囲の請求項1~6、8~12に記載された事項により特定されるとおりである。以下、請求項1~6、8~12に係る発明を請求項の番号に従って「本件発明1」などという。
「【請求項1】
帯状薄鋼板から所定の形状に打抜き形成された鉄心薄板を積層接着してなる積層鉄心の製造装置であって、
上側ホルダ及び下側ホルダと、
前記上側ホルダ及び前記下側ホルダの少なくとも何れか一方に設けられ、間欠移送される前記帯状薄鋼板の前記鉄心薄板に対応する部位の接着剤塗布面に接着剤を塗布する接着剤塗布装置と、
前記下側ホルダに設けられて前記帯状薄鋼板の間欠移送方向に沿って当該帯状薄鋼板の移送を案内すると共に前記帯状薄鋼板の上方への移動を制限する左右のガイド部材と、
前記上側ホルダに設けられ、前記接着剤塗布装置による接着剤塗布位置における前記帯状薄鋼板の位置決めを行うべく前記帯状薄鋼板に形成されたパイロット孔に嵌挿されるパイロットピンと、
前記下側ホルダに設けられたダイプレートと、
前記上側ホルダに上下方向に変位可能に設けられて前記ダイプレートの上面と対向する下面を有し、前記接着剤塗布装置による接着剤塗布位置にある前記帯状薄鋼板を前記ダイプレートの上面に押し付けるストリッパプレートとを有する積層鉄心の製造装置。
【請求項2】
前記ストリッパプレートを前記下側ホルダに向けて付勢するストリッパ用ばねを更に有し、
前記ストリッパプレートは前記ストリッパ用ばねのばね力によって前記帯状薄鋼板を前記ダイプレートの上面に押し付けるように構成されている請求項1に記載の積層鉄心の製造装置。
【請求項3】
前記パイロットピンはストレート軸部を含み、前記ストレート軸部は、前記ストリッパプレートが前記ストリッパ用ばねによる付勢によって前記上側ホルダに対する最降下位置にある状態において、当該ストリッパプレートの下面より下方に突出した位置にある請求項2に記載の積層鉄心の製造装置。
【請求項4】
前記下側ホルダに上下方向に変位可能に設けられ、前記帯状薄鋼板の下面に当接して前記帯状薄鋼板を前記ダイプレートの上面より離間させるための複数のリフタを更に有する請求項1~3の何れか一項に記載の積層鉄心の製造装置。
【請求項5】
前記ストリッパプレートの上昇時に当該ストリッパプレートが前記帯状薄鋼板の上面に当接し且つ前記各リフタが前記帯状薄鋼板の下面に当接した状態で前記帯状薄鋼板を前記ダイプレートの上面より離間させるべく前記各リフタを上方に向けて付勢する複数のリフタ用ばねを更に有する請求項4に記載の積層鉄心の製造装置。
【請求項6】
前記各リフタは前記ガイド部材を兼ねている請求項4又は5に記載の積層鉄心の製造装置。
【請求項7】
前記ガイド部材は、前記ダイプレートの上面に上方から第1の所定間隔をおいて対向し、前記帯状薄鋼板の上方への移動を制限する下面と、前記ダイプレートの上面に上方から第1の所定間隔より小さい第2の所定間隔をおいて対向し前記各リフタの上面が当接する下向きのストッパ面とを有する請求項5に記載の積層鉄心の製造装置。
【請求項8】
前記接着剤塗布装置は、前記接着剤塗布面の複数の所定位置の各々に接着剤を転写するために、前記接着剤塗布面に向けて前記接着剤を吐出する複数の吐出孔を含む転写式のものである請求項1~7の何れか一項に記載の積層鉄心の製造装置。
【請求項9】
前記接着剤塗布装置は、
前記各吐出孔に対して前記接着剤を、所定圧力をもって供給する接着剤供給装置と、
前記各吐出孔が前記接着剤塗布面に対して前記接着剤を転写可能な転写位置と当該転写位置より退避して前記接着剤を転写不能な非転写位置との間に移動させる進退駆動装置とを有する請求項8に記載の積層鉄心の製造装置。
【請求項10】
上側ホルダと下側ホルダとを有するプレス装置を用いて帯状薄鋼板から所定の形状に打抜き形成された鉄心薄板を積層接着してなる積層鉄心の製造方法であって、
前記下側ホルダに設けられた左右のガイド部材によって前記帯状薄鋼板の上方への移動を制限し、上側ホルダが上昇した状態において、前記下側ホルダに上下可能に設けられ且つリフタ用ばねによって上方に向けて付勢されたリフタにより前記帯状薄鋼板を、前記下側ホルダに設けられたダイプレートの上面より離れたリフトアップ状態で、且つ前記帯状薄鋼板の間欠移送方向に沿った移送を案内した状態で、前記帯状薄鋼板を間欠移送する移送工程と、
前記上側ホルダ及び前記下側ホルダの少なくとも何れか一方に設けられた接着剤塗布装置によって前記帯状薄鋼板の接着剤塗布面に接着剤を塗布する塗布工程と、
前記上側ホルダに設けられたパイロットピンを、前記移送工程の完了後の前記上側ホルダの降下途中に、前記帯状薄鋼板に形成されたパイロット孔に挿入するパイロット挿入工程と、
前記上側ホルダに上下方向に変位可能に設けられて前記ダイプレートの上面と対向する下面を有し、ストリッパ用ばねによって前記下側ホルダに向けて付勢されたストリッパプレートによって、前記パイロット挿入工程の完了後の前記上側ホルダの降下途中に、前記帯状薄鋼板を前記リフタの降下移動を伴って前記下側ホルダに設けられた前記ダイプレートの上面に押し付ける押付工程とを有し、
前記塗布工程は、前記パイロットピンが前記パイロット孔に挿入され、且つ前記リフタの降下移動を伴って前記ストリッパプレートによって前記帯状薄鋼板が前記ダイプレートの上面に押し付けられる時に或いは押し付けられた状態で接着剤の塗布を行い、接着剤の塗布完了後の前記上側ホルダの上昇により、前記リフタの上昇移動を伴って当該リフタが前記帯状薄鋼板の下面に当接し且つ前記ストリッパプレートが前記帯状薄鋼板の上面に当接した状態で前記帯状薄鋼板を前記リフトアップ状態に戻し、
前記移送工程において、前記ガイド部材が、前記ダイプレートの上面に上方から第1の所定間隔をおいて対向する下面と、前記ダイプレートの上面に上方から第1の所定間隔より小さい第2の所定間隔をおいて対向する下向きのストッパ面と有し、前記下面が、前記帯状薄鋼板の上方への移動を制限し、前記各リフタの上面が、前記ストッパ面に当接する、積層鉄心の製造方法。
【請求項11】
前記塗布工程は、複数の吐出孔の各々より接着剤を前記接着剤塗布面に向けて吐出し、前記接着剤塗布面の複数の所定位置に設定された塗布点の各々に前記接着剤を転写する工程を含む請求項10に記載の積層鉄心の製造方法。
【請求項12】
前記鉄心薄板は複数のティース部を含み、前記ティース部に前記塗布点を少なくとも一つ有する請求項11に記載の積層鉄心の製造方法。」
なお、請求項10の「ストッパ面と有し」との記載は、正しくは「ストッパ面とを有し」であると認める。
第4 取消理由の概要
1 本件訂正後の請求項1~6、8、9に係る特許に対し令和5年7月7日付け取消理由通知書(決定の予告)で通知した取消理由は、概ね、次のとおりである。
本件発明1~6、8、9は、甲第1号証(後記3)に記載された発明及び甲第2号証~甲第10号証(後記3)に記載された事項に基いて、請求項1~6、8、9に係る特許の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明1~6、8、9に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものである。
2 本件訂正前の請求項10~12に係る特許に対し令和4年12月28日付け取消理由通知書で通知した取消理由は、概ね、次のとおりである。
本件発明10~12は、甲第1号証(後記3)に記載された発明及び甲第2号証~甲第10号証(後記3)に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明10~12に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものである。
3 証拠方法
取消理由通知及び取消理由通知(決定の予告)にて引用した、特許異議申立人提出の証拠方法は以下のとおりである。証拠番号に従い、「甲1」などという。
甲1:韓国登録特許第10-1729289号公報
甲2:特開2003-94130号公報
甲3:特開2009-297758号公報
甲4:特開2015-166095号公報
甲5:実公昭60-25313号公報
甲6:特開2009-72794号公報
甲7:特開2002-66650号公報
甲8:特開2007-160358号公報
甲9:特開2006-334648号公報
甲10:特開2015-76970号公報
第5 取消理由について
1 甲1に記載された発明
(1) 甲1には、以下の事項が記載されている(下線は当審にて付与した。)。なお、日本語訳は甲1添付の翻訳文による。
・「
[図:0001407803000002.jpg]
」
([0001] 本発明は、積層コア製造装置に関する。より詳細には、1つのプログレッシブ金型装置内で移動するストリップに接着剤を塗布し、接着積層方式でコアシートを積層する接着式積層コア製造装置に関する。)
・「
[図:0001407803000003.jpg]
」
([0022] 図1は、本発明による積層コア製造装置の断面図であり、図2は、本発明の実施例によるコアシートに接着剤が塗布された状態を示した図である。
[0023] 図1を参照すると、本発明の実施例による積層コア製造装置は、順次移動するストリップ(strip)(1)上に連続作業を行うプレス加工方式で、金型装置(10)が使用され得る。
[0024] 金型装置(10)は、好ましくはプログレッシブ(progressive)金型装置であり、上金型(11)と下金型(12)とからなる。上金型(11)は、下金型(12)の上側に配置され、下金型に向かって昇降方向(v)に運動するようになる。上金型(11)の運動は、上金型(11)がプレスに装着され、プレスが駆動されることによって行われる。下金型(12)の上部では、ストリップが進行方向(f)に沿って順次1ピッチ(pitch)ずつ移動することになる。)
…
[0026] また、上金型(11)には、パンチホルダ(30)とパンチプレート(20)との間で前記パンチを支えるパンチバッキングプレート(35)と、パンチが正確な位置に移動するように案内し、打ち抜き時に挟まれるストリップ(1)を取り外すためのストリッパプレート(40)が備えられてもよい。
[0027] 下金型(12)は、プレス機に装着され、下金型(12)の全体的な重心を取るダイホルダ(50)と、前記ダイホルダ(50)の上部に安着するダイプレート(60)と、ダイホルダ(50)とダイプレート(60)との間に位置し、ダイプレート(60)に加えられる圧力を受けるダイバッキングプレート(55)とを含んでもよい。
[0028] また、下金型(12)内には、ブランキングパンチ(25)と対応した位置で中空が形成された円筒状のブランキングダイ(70)が装着される。ブランキングダイ(70)は、ブランキングパンチ(25)によって打ち抜かれてストリップ(1)から分離されたコアシートが接着されて積層される積層部(71)と、設定された厚さに積層された積層コア(2)を外部に排出するスクイズリング(72)とで構成されてもよい。
[0029] 一方、本発明による金型装置(10)の上金型(11)と下金型(12)には、接着剤塗布装置(100)が装着されてもよく、接着剤塗布装置(100)は、上金型(11)に装着される第1接着剤塗布装置(100a、100b、100c)と、下金型(12)に装着される第2接着剤塗布装置(100d)とに区分することができる。)
・「
[図:0001407803000004.jpg]
」
([0034] ボンディング工程では、ストリップ(1)に接着剤が塗布される。前記接着剤は、第1液(4)と第2液(5)の成分に分離され、接着時にこれを混合して使用する2液型接着剤が適用され得る。好ましくは、前記接着剤はエポキシ接着剤であり、このとき第1液(4)が主剤とされ、第2液(5)が硬化剤とされてもよく、これとは逆に第1液(4)が硬化剤とされ、第2液(5)が主剤とされてもよいことは勿論である。
[0035] この場合、図2に示したように、第1液(4)は第1接着剤塗布装置(100a、100b、100c)によってストリップ(1)の上面に塗布され、第2液(5)は第2接着剤塗布装置(100d)によってストリップ(1)の下面に塗布され得る。このとき、第1液(4)及び第2液(5)が塗布される塗布地点(spot)はコアシート(3)が形成されるストリップ(1)の上面と下面で互いに同じ地点に位置することになり、1つ以上の複数で形成され得る。
…
[0038] ブランキング工程によって生成されたコアシート(3)は、積層工程を通じて最終的に積層コア(2)を形成することになる。具体的には、ストリップ(1)から分離されたコアシート(3)は、ブランキングダイ(70)の上部に設けられた積層ダイ(71)に挿入され、積層ダイ(71)内で積層されているコアシート群(6)上に圧着される。このとき、コアシート(3)の下面の第2液(5)とコアシート群(6)の上面の第1液(4)とが互いに混合されて硬化されることにより接着が行われる。このような方式で設定された厚さに接着積層された積層コア(2)は、スクイズリング(72)の内部に順次押し込まれて外部に排出される。)
・「
[図:0001407803000005.jpg]
[図:0001407803000006.jpg]
」
([0040] 図3を参照すると、本発明による接着剤塗布装置(100)は、接着剤供給部(101)と、前記接着剤供給部(101)から供給される接着剤をストリップ(1)の上下面に接着剤を吐出する接着剤吐出部(102)と、前記接着剤吐出部(120)を昇降させ、接着剤塗布の実行及び中止を制御するカム駆動部(103)とを含んで構成される。
[0041] 接着剤供給部(101)は、それぞれの貯蔵タンク(図示せず)内に保管された接着剤、すなわち第1液(4)又は第2液(5)を圧縮空気などの周知の方法で加圧する加圧装置(110)からなり、加圧された接着剤は、その圧力によって定められた供給速度で接着剤供給チューブ(111)を通じて接着剤吐出部(102)に送られる。この場合、加圧装置(110)は、加圧時間及び強さなどの調節を通じてパンチが下降してストリップ(1)を打ち抜く瞬間、一定量の接着剤を接着剤吐出部(102)に供給できるように設定され得る。
…
[0043] カム駆動部(103)は、水平方向(h)に進退運動して接着剤吐出部(102)を垂直方向に昇降させるカム部材(160)と、カム部材(160)に動力を提供してカム部材(160)の進退運動を制御する駆動装置(170)とで構成される。駆動装置(170)は、流体シリンダ、ソレノイド装置などの周知のアクチュエータ(actuator)を利用することができる。
[0044] 一方、駆動装置(170)と電気的に接続されたコントロールボックス(180)は、パンチング回数に関するカウント情報が提供され、それによってカム部材(160)の進退運動を制御することにより、予め設計された厚さの積層コアを製造することができる。このとき、コントロールボックス(180)は、接着剤の供給を一定時間中断させるために加圧装置(110)も共に制御することができる。
[0045] 例えば、50個のコアシートを積層した積層コアを製造しようとする場合、コントロールボックス(180)の制御によって1番目、51番目、101番目のパンチング打ち抜き時、第2接着剤塗布装置(100d)のカム部材(160)を進退させて接着剤吐出部(102)を下降させることにより、ストリップ(1)の下面に第2液(5)が塗布されないようにすることができる。これと共に、50番目、100番目のパンチング打ち抜きの直前に第1接着剤塗布装置(100a、100b、100c)のカム部材(160)を進退させて接着剤吐出部(102)を上昇させることにより、ストリップ(1)の上面に第1液(4)が塗布されないようにすることができる。これによって、50番目と51番目、100番目と101番目のコアシート(3)との間では接着が行われなくなり、所望の厚さの積層コア(2)を得ることができるようになる。)
・「
[図:0001407803000007.jpg]
」
([0048] 吐出部本体(120)の内部には上部から下部に繋がる貫通孔(122)が形成され、貫通孔(122)には吐出ピン(150)が挿入される。貫通孔(122)の位置は、コアシートが形成されるストリップ(1)の上下面に第1液(4)又は第2液(5)が塗布されるべき地点と対応するものであり、1つ以上の複数で形成されてもよいことは勿論である。貫通孔(122)の中段には、直径が縮小する軸径部(123)が設けられ、軸径部(123)の上部及び下部において第1段差部(124)と第2段差部(125)がそれぞれ形成される。
[0049] 吐出部本体(120)の下部にはガイド溝(127)が形成されており、ガイド溝(127)は、接着剤供給チューブ(111)の一端が吐出部本体(120)の内部の吐出管(153)に挿入されるように通路を提供する。もちろん、このようなガイド溝(127)は、吐出部本体(120)の下部だけでなく、吐出部蓋(130)の上部においても形成されてもよく、吐出部本体(120)(41)の下部及び吐出部蓋(130)の上部において共に形成されてもよい。)
・「
[図:0001407803000008.jpg]
」
([0053] 吐出ピン(150)の内部には中空形状の吐出管(153)が設けられる。吐出管(153)には接着剤供給チューブ(111)が挿入され、加圧装置(110)の作動により供給された接着剤は吐出管(153)を通じて外部に吐出される。)
・「
[図:0001407803000009.jpg]
」
([0061] これによって、第1カム状態ではストリップ(1)と吐出ピン(150)とが互いに当接することにより接着剤の塗布が行われるのに対し、第2カム状態ではストリップ(1)と吐出ピン(150)との距離が離間して互いに接触しないことにより接着剤の塗布は行われないようになる。)
・「
[図:0001407803000010.jpg]
」
([0065] 図1及び図5を参照すると、本発明の第1実施例による積層コア製造装置において、第1接着剤塗布装置(100b)は、ピアシングパンチ(24)とブランキングパンチ(25)との間の上金型(11)内に装着され、第2接着剤塗布装置(100d)は、ブランキングダイ(70)とストリップ案内板(80)との間の下金型(12)内に装着される。)
・「
[図:0001407803000011.jpg]
」
([0074] 図5に示した第1カム状態において、プレス駆動により第1接着剤塗布装置(100b)は上金型(11)と共に下降するようになり、上金型(11)が最低点に位置する瞬間、第1接着剤塗布装置(100b)の吐出ピン(150b)は、ストリップ(1)の上面に当接するようになる。このとき、加圧装置(110)を通じて供給された第1液(4)が吐出管(153b)から吐出され、ストリップ(1)の上面に塗布される。
[0075] その後、カム部材(160b)が進退運動をして第2カム状態になると、圧縮された状態にあった支持スプリング(142b)は、蓄積された弾性力を利用して接着剤吐出部(102b)全体を引き上げるようになる。これにより、上金型(11)の最低点で第1接着剤塗布装置(100b)の吐出ピン(150b)とストリップ(1)とは一定の距離だけ離間され第1液(4)の塗布が行われなくなる。)
・「
[図:0001407803000012.jpg]
」
([0081] 図5に示した第1カム状態において、第2接着剤塗布装置(100d)の吐出ピン(150d)は、ストリップ(1)の下面と互いに当接した状態となる。そのようにして加圧装置(100)を通じて供給された第2液(5)がストリップ(1)の下面に塗布される。
[0082] その後、カム部材(160d)が進退運動をして第2カム状態になると、圧縮された状態であった支持スプリング(142d)は、蓄積された弾性力を用いて接着剤吐出部(102d)全体を引き下げるようになる。これにより、第2接着剤塗布装置(100d)の吐出ピン(150d)とストリップ(1)とは一定の距離だけ離隔され第2液(5)の塗布が行われなくなる。)
・「
[図:0001407803000013.jpg]
[図:0001407803000014.jpg]
[図:0001407803000015.jpg]
[図:0001407803000016.jpg]
[図:0001407803000017.jpg]
」
(2) 以上のような甲1の記載及び図面の記載からすると、甲1には次の発明(以下、それぞれ、「甲1-1発明」~「甲1-5発明」という。)が記載されているものと認められる。
(甲1-1発明)
「1ピッチずつ順次移動するストリップ1がブランキングパンチ25によって打ち抜かれてストリップ1から分離されたコアシート3を積層接着してなる積層コア2を製造する積層コア製造装置であって、
上金型11及び下金型12と、
上金型11及び下金型12にそれぞれ装着された接着剤塗布装置100であって、1ピッチずつ順次移動するストリップ1のうちコアシート3となる部分の領域に接着剤を塗布する接着剤塗布装置100と、
下金型12のダイプレート60に設けられてストリップ1の移動方向に沿ってストリップ1の移動を案内するように構成されており、ストリップ1の左右に配置された一対のストリップ案内板80と、
下金型12のダイホルダ50の上部に載置された、下金型12のダイプレート60と、
上金型11に設けられてダイプレート60の上面と対向する下面を有しており、パンチが正確な位置に移動するように案内し、打ち抜き時に挟まれるストリップ1を取り外すためのストリッパプレート40とを備える、積層コア製造装置。」
(甲1-2発明)
「前記接着剤塗布装置100は、吐出部本体120に複数の貫通孔122が設けられており、当該複数の貫通孔122に挿入された吐出ピン150がストリップ1の下面と当接した状態において、加圧装置110を通じて供給された接着剤が吐出管153を通じて吐出され、ストリップ1の下面に塗布される、甲1-1発明に係る積層コア製造装置。」
(甲1-3発明)
「接着剤供給チューブ111を通じて接着剤吐出部102に接着剤を加圧して供給する加圧装置110と、
水平方向hに進退運動して接着剤吐出部102を垂直方向に昇降させるカム部材160と、カム部材160に動力を提供してカム部材160の進退運動を制御する駆動装置170とで構成され、ストリップ1と吐出ピン150とが互いに当接することにより接着剤の塗布が行われる第1カム状態と、ストリップ1と吐出ピン150との距離が離間して互いに接触しないことにより接着剤の塗布は行われない第2カム状態との間で、カム部材160を進退運動させる、カム駆動部103とを有する、甲1-2発明に係る積層コア製造装置。」
(甲1-4発明)
「上金型11と下金型12とを有する金型装置10を用いて、1ピッチずつ順次移動するストリップ1から所定の形状に打ち抜かれたコアシート3を積層接着してなる積層コア2の製造方法であって、
ストリップ1の左右に位置するように下金型12のダイプレート60に設けられた一対のストリップ案内板80によって、ストリップ1の移動方向に沿ってストリップ1の移動を案内した状態で、ストリップ1を順次搬送する行程と、
上金型11及び下金型12にそれぞれ装着された接着剤塗布装置100によってストリップ1のうちコアシート3となる領域に接着剤を塗布するボンディング工程と、
上金型11に設けられてダイプレート60の上面と対向する下面を有するストリッパプレート40によって、パンチが正確な位置に移動するように案内する工程とを有する、積層コア2の製造方法。」
(甲1-5発明)
「ボンディング工程は、吐出部本体120に設けられた複数の貫通孔122に挿入された吐出ピン150がストリップ1の下面と当接した状態において、加圧装置1010を通じて供給された接着剤が吐出管153を通じて吐出され、ストリップ1の下面に塗布される工程を含む、甲1-4発明に係る積層コア2の製造方法。」
3 対比及び判断
(1) 本件発明1について
ア 本件発明1と甲1-1発明とを、その有する機能に照らして対比する。
(ア) 甲1-1発明の「ストリップ1」は、本件発明1の「帯状薄鋼板」に相当し、以下同様に、甲1-1発明の「コアシート3」、「積層コア2」、「積層コア製造装置」は、それぞれ、本件発明1の「鉄心薄板」、「積層鉄心」、「積層鉄心の製造装置」に相当する。
(イ) 甲1-1発明の「上金型11」、「下金型12」、「接着剤塗布装置100」は、それぞれ、本件発明1の「上側ホルダ」、「下側ホルダ」、「接着剤塗布装置」に相当する。
(ウ) 甲1-1発明の「ダイプレート60」は「下金型12」に設けられたものであるから、甲1-1発明の「ストリップ案内板80」は、本件発明1の「ガイド部材」に相当する。
(エ) 甲1-1発明の「ダイプレート60」、「ストリッパプレート40」は、それぞれ、本件発明1の「ダイプレート」、「ストリッパプレート」に相当する。
(オ) そうすると、本件発明1と甲1-1発明とは、以下の点で、一致し、相違する。
(一致点)
「帯状薄鋼板から所定の形状に打抜き形成された鉄心薄板を積層接着してなる積層鉄心の製造装置であって、
上側ホルダ及び下側ホルダと、
前記上側ホルダ及び前記下側ホルダの少なくとも何れか一方に設けられ、間欠移送される前記帯状薄鋼板の前記鉄心薄板に対応する部位の接着剤塗布面に接着剤を塗布する接着剤塗布装置と、
前記下側ホルダに設けられて前記帯状薄鋼板の間欠移送方向に沿って当該帯状薄鋼板の移送を案内する左右のガイド部材と、
前記下側ホルダに設けられたダイプレートと、
前記上側ホルダに設けられて前記ダイプレートの上面と対向する下面を有するストリッパプレートとを有する積層鉄心の製造装置。」
(相違点1)
「左右のガイド部材」に関し、本件発明1は、前記下側ホルダに設けられて前記帯状薄鋼板の間欠移送方向に沿って当該帯状薄鋼板の移送を案内すると共に「前記帯状薄鋼板の上方への移動を制限する」左右のガイド部材を備えているのに対して、甲1-1発明は、一対のストリップ案内板80が、下金型12のダイプレート60に設けられてストリップ1の移動方向に沿ってストリップ1の移動を案内するものの、ストリップ1の上方への移動を制限しているか不明である点。
(相違点2)
本件発明1は、「前記上側ホルダに設けられ、前記接着剤塗布装置による接着剤塗布位置における前記帯状薄鋼板の位置決めを行うべく前記帯状薄鋼板に形成されたパイロット孔に嵌挿されるパイロットピン」を備えているのに対して、甲1-1発明は、当該構成を備えているか不明である点。
(相違点3)
「ストリッパプレート」に関し、本件発明1は、ストリッパプレートが、上側ホルダに「上下方向に変位可能に」設けられて「前記接着剤塗布装置による接着剤塗布位置にある前記帯状薄鋼板を前記ダイプレートの上面に押し付ける」のに対し、甲1発明1は、ストリッパプレート40がそのように構成されているか不明である点。
イ 相違点について検討する。
(ア) 相違点1について
甲1の図5をみると、ストリップ案内板80の内側の上縁部分は、水平方向に突出した部分を有していることがわかり、このような構造を有している場合、ストリップ1が上方に移動しようとした際に、ストリップ1の側縁が水平方向に突出した部分の下面に当接し、それ以上、上に移動することができないことは明らかである。そうすると、甲1-1発明は相違点1に係る構成を有しているともいえる。
そして、帯状薄鋼板の上方への移動を制限する左右のガイド部材は、甲2(ガイド部材31(【0039】))、甲4(ガイドレール76(【0003】))、甲7(ガイドレール50(【0002】)、ストックガイドリフトピン24(【0012】))、甲8(ガイドリフターロール2(【0019】))に示されているように、周知の技術でもある。
そうすると、甲1-1発明において、相違点1に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到することができた事項である。
(イ) 相違点2について
甲1の図5をみると、ストリップ1の両側縁に複数の円が記載されており、ストリップ1にパイロット孔が設けられていることが窺える。
そして、パイロットピン及びパイロット孔により、帯状薄鋼板の位置決めを行うことは、甲3(【0033】)、甲4(【0032】)、甲5(1頁2欄6~19行、2頁4欄14~28行)、甲8(【0031】)、甲10(【0041】)に示されているように、周知の技術でもある。
そうすると、甲1-1発明において、相違点2に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到することができた事項である。
(ウ) 相違点3について
甲1-1発明は、パンチが正確な位置に移動するように案内し、打ち抜き時に挟まれるストリップ1を取り外すためのストリッパプレート40を備えるところ、接着剤の塗布位置にあるストリップ1をストリッパプレート40でダイプレート60の上面に押し付けることは、十分に窺える。
そして、ストリッパプレートが、上側ホルダに上下方向に変位可能に設けられて、加工工程に位置する帯状薄鋼板をダイプレートの上面に押し付けることは、甲2(【0032】、【0046】)、甲3(【0032】、図3)、甲4(【0026】、【0032】)、甲5(2頁4欄14~28行)、甲6(【0012】、【0018】)、甲7(【0011】、【0014】)、甲10(【0025】)に示されているように、周知の技術でもある。
そうすると、甲1-1発明において、相違点3に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到することができた事項である。
ウ よって、本件発明1は、甲1-1発明及び周知の技術(甲2~8、10)に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(2) 本件発明2について
ア 本件発明2と甲1-1発明とを、その有する機能に照らして対比すると、両者は、さらに以下の点で相違し、その余の点で一致する。
(相違点4)
本件発明2は、「前記ストリッパプレートを前記下側ホルダに向けて付勢するストリッパ用ばねを更に有し」、「前記ストリッパプレートは前記ストリッパ用ばねのばね力によって前記帯状薄鋼板を前記ダイプレートの上面に押し付けるように構成されている」のに対し、甲1-1発明において、当該構成を備えているか不明である点。
イ そこで、相違点について検討するに、相違点1~3については、すでに述べたとおりである(前記(1))。
次に、相違点4についてみるに、ストリッパ用ばねによってストリッパプレートを下側ホルダに向けて付勢し、ストリッパプレートがストリッパ用ばねのばね力によって帯状薄鋼板をダイプレートの上面に押し付けるように構成することは、甲2(【0032】、【0046】)、甲3(【0032】、図3)、甲4(【0026】、【0032】)、甲5(2頁4欄14~28行)、甲6(【0012】、【0018】)、甲7(【0011】、【0014】)、甲10(【0025】)に示されているように、周知の技術であるから、甲1-1発明において、相違点4に係る本件発明2の構成とすることは、当業者が容易に想到することができた事項である。
ウ よって、本件発明2は、甲1-1発明及び周知の技術(甲2~8、10)に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(3) 本件発明3について
ア 本件発明3と甲1-1発明とを、その有する機能に照らして対比すると、両者は、さらに以下の点で相違し、その余の点で一致する。
(相違点5)
本件発明3は、「前記パイロットピンはストレート軸部を含み、前記ストレート軸部は、前記ストリッパプレートが前記ストリッパ用ばねによる付勢によって前記上側ホルダに対する最降下位置にある状態において、当該ストリッパプレートの下面より下方に突出した位置にある」のに対し、甲1-1発明において、当該構成を備えているか不明である点。
イ そこで、相違点について検討するに、相違点1~4については、すでに述べたとおりである(前記(1)、(2))。
次に、相違点5についてみるに、パイロットピンがストレート軸部を含み、ストレート軸部は、ストリッパプレートがストリッパ用ばねによる付勢によって前記上側ホルダに対する最降下位置にある状態において、当該ストリッパプレートの下面より下方に突出した位置にある点は、甲4(図4)、甲5(2頁4欄4~7行、14~28行、第9図)に示されているように、周知の技術であるし、所定の加工工程に先立って位置決めするといった、パイロットピンの役割からして当然の構成ともいえる。
よって、甲1-1発明において、相違点5に係る本件発明3の構成とすることは、当業者が容易に想到することができた事項である。
ウ よって、本件発明3は、甲1-1発明及び周知の技術(甲2~8、10)に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(4) 本件発明4について
ア 本件発明4と甲1-1発明とを、その有する機能に照らして対比すると、両者は、さらに以下の点で相違し、その余の点で一致する。
(相違点6)
本件発明4は、「前記下側ホルダに上下方向に変位可能に設けられ、前記帯状薄鋼板の下面に当接して前記帯状薄鋼板を前記ダイプレートの上面より離間させるための複数のリフタを更に有する」のに対し、甲1-1発明において、当該構成を備えているか不明である点。
イ そこで、相違点について検討するに、相違点1~5については、すでに述べたとおりである(前記(1)~(3))。
次に、相違点6についてみるに、下側ホルダに上下方向に変位可能に設けられ、帯状薄鋼板の下面に当接して帯状薄鋼板をダイプレートの上面より離間させるためのリフタを備えることは、甲2(【0046】)、甲6(【0014】、【0018】)、甲7(【0003】、【0014】)に示されているように、周知の技術であるから、甲1-1発明において、相違点6に係る本件発明4の構成とすることは、当業者が容易に想到することができた事項である。
ウ よって、本件発明4は、甲1-1発明及び周知の技術(甲2~8、10)に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(5) 本件発明5について
ア 本件発明5と甲1-1発明とを、その有する機能に照らして対比すると、両者は、さらに以下の点で相違し、その余の点で一致する。
(相違点7)
本件発明5は、「前記ストリッパプレートの上昇時に当該ストリッパプレートが前記帯状薄鋼板の上面に当接し且つ前記各リフタが前記帯状薄鋼板の下面に当接した状態で前記帯状薄鋼板を前記ダイプレートの上面より離間させるべく前記各リフタを上方に向けて付勢する複数のリフタ用ばねを更に有する」のに対し、甲1-1発明において、当該構成を備えているか不明である点。
イ そこで、相違点について検討するに、相違点1~6については、すでに述べたとおりである(前記(1)~(4))。
次に、相違点7についてみるに、リフタを上方に向けて付勢する複数のリフタ用ばねを設けることは、甲2(【0046】)、甲6(【0014】、【0018】)、甲7(【0003】、【0014】)に示されているように、周知の技術であるから、甲1-1発明において、相違点7に係る本件発明5の構成とすることは、当業者が容易に想到できた事項である。
ウ よって、本件発明5は、甲1-1発明及び周知の技術(甲2~8、10)に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(6) 本件発明6について
ア 本件発明6と甲1-1発明とを、その有する機能に照らして対比すると、両者は、さらに以下の点で相違し、その余の点で一致する。
(相違点8)
本件発明6は、「前記各リフタは前記ガイド部材を兼ねている」のに対し、甲1-1発明において、当該構成を備えているか不明である点。
イ そこで、相違点について検討するに、相違点1~7については、すでに述べたとおりである(前記(1)~(5))。
次に、相違点8についてみるに、ガイド部材を兼ねているリフタは、甲7(【0014】)、甲8(【0019】)に示されているように、周知の技術であるから、甲1-1発明において、相違点8に係る本件発明6の構成とすることは、当業者が容易に想到することができた事項である。
ウ よって、本件発明6は、甲1-1発明及び周知の技術(甲2~8、10)に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(7) 本件発明8について
本件発明8と甲1-2発明とを、その有する機能に照らして対比すると、甲1-2発明の接着剤塗布装置100はその動作からして、転写式のものであるといえ、「吐出管153」は、本件発明8の「吐出孔」に相当するから、両者は、さらに相違するところはない。
そして、相違点1~8については、すでに述べたとおりである(前記(1)~(6))。
よって、本件発明8は、甲1-2発明及び周知の技術(甲2~8、10)に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(8) 本件発明9について
本件発明9と甲1-3発明とを、その有する機能に照らして対比すると、甲1-3発明の「加圧装置110」、「カム駆動部103」は、それぞれ、本件発明9の「接着剤供給装置」、「進退駆動装置」に相当するから、両者は、さらに相違するところはない。
そして、相違点1~8については、すでに述べたとおりである(前記(1)~(6))。
よって、本件発明8は、甲1-3発明及び周知の技術(甲2~8、10)に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(9) 本件発明10について
ア 本件発明10と甲1-4発明とを、その有する機能に照らして対比する。
(ア) 甲1-4発明の「上金型11」は、本件発明10の「上側ホルダ」に相当し、以下同様に、甲1-4発明の「下金型12」、「金型装置10」、「ストリップ1」、「コアシート3」、「積層コア2」、「積層コア2の製造方法」は、それぞれ、本件発明10の「下側ホルダ」、「プレス装置」、「帯状薄鋼板」、「鉄心薄板」、「積層鉄心」、「積層鉄心の製造方法」に相当する。
(イ) 甲1-4発明の「ダイプレート60」は「下金型12」に設けられたものであるから、甲1-4発明の「ストリップ案内板80」は、本件発明10の「ガイド部材」に相当し、甲1-4発明の「順次搬送する工程」は、本件発明10の「移送工程」に相当する。
(ウ) 甲1-4発明の「接着剤塗布装置100」、「ボンディング工程」は、それぞれ、本件発明10の「接着剤塗布装置」、「塗布工程」に相当する。
(エ) 甲1-4発明の「ダイプレート60」、「ストリッパプレート40」は、それぞれ、本件発明10の「ダイプレート」、「ストリッパプレート」に相当し、甲1-4発明は、「ストリッパプレート40によって、パンチが正確な位置に移動するように案内する」ところ、その際に、「ストリップ1」を「ダイプレート60」の上面に押し付けることは明らかであるから、甲1-4発明の「案内する工程」は、本件発明10の「押付工程」に相当する。
(オ) そうすると、本件発明10と甲1-4発明とは、以下の点で相違し 、その余の点で一致する。
(相違点11)
本件発明10は、移送工程に関し、「前記下側ホルダに設けられた左右のガイド部材によって前記帯状薄鋼板の上方への移動を制限し、上側ホルダが上昇した状態において、前記下側ホルダに上下可能に設けられ且つリフタ用ばねによって上方に向けて付勢されたリフタにより前記帯状薄鋼板を、前記下側ホルダに設けられたダイプレートの上面より離れたリフトアップ状態で、且つ前記帯状薄鋼板の間欠移送方向に沿った移送を案内した状態で、前記帯状薄鋼板を間欠移送する」とともに、「前記ガイド部材が、前記ダイプレートの上面に上方から第1の所定間隔をおいて対向する下面と、前記ダイプレートの上面に上方から第1の所定間隔より小さい第2の所定間隔をおいて対向する下向きのストッパ面と有し、前記下面が、前記帯状薄鋼板の上方への移動を制限し、前記各リフタの上面が、前記ストッパ面に当接する」のに対し、甲1-4発明は、一対のストリップ案内板80がストリップ1の上方への移動を制限しているか不明であり、リフタを用いたリフトアップ状態でストリップ1が搬送されるか不明であるとともに、一対のストリップ案内板80が本件発明10のような下面、ストッパ面を有していない点。
(相違点12)
本件発明10は、「前記上側ホルダに設けられたパイロットピンを、前記移送工程の完了後の前記上側ホルダの降下途中に、前記帯状薄鋼板に形成されたパイロット孔に挿入するパイロット挿入工程」を有するの対し、甲1-4発明は、そのような工程を有しているか不明である点。
(相違点13)
本件発明10は、押付工程に関し、「前記上側ホルダに上下方向に変位可能に設けられて前記ダイプレートの上面と対向する下面を有し、ストリッパ用ばねによって前記下側ホルダに向けて付勢されたストリッパプレートによって、前記パイロット挿入工程の完了後の前記上側ホルダの降下途中に、前記帯状薄鋼板を前記リフタの降下移動を伴って前記下側ホルダに設けられた前記ダイプレートの上面に押し付ける」のに対し、甲1-4発明は、ストリッパプレート40がそのような押し付けを行っているか不明である点。
(相違点14)
本件発明10は、塗布工程に関し、「前記塗布工程は、前記パイロットピンが前記パイロット孔に挿入され、且つ前記リフタの降下移動を伴って前記ストリッパプレートによって前記帯状薄鋼板が前記ダイプレートの
上面に押し付けられる時に或いは押し付けられた状態で接着剤の塗布を行い、接着剤の塗布完了後の前記上側ホルダの上昇により、前記リフタの上昇移動を伴って当該リフタが前記帯状薄鋼板の下面に当接し且つ前記ストリッパプレートが前記帯状薄鋼板の上面に当接した状態で前記帯状薄鋼板を前記リフトアップ状態に戻す」のに対し、甲1-4発明は、そのように構成されているか不明である点。
イ 相違点について検討する。
(ア) 相違点11について
甲1の図5をみると、ストリップ案内板80の内側の上縁部分は、水平方向に突出した部分を有していることがわかるが、ストリップ案内板80は、ダイプレート60の上面に上方から第1の所定間隔をおいて対向する下面と、ダイプレート60の上面に上方から第1の所定間隔より小さい第2の所定間隔をおいて対向する下向きのストッパ面とを有するものではない。
そして、甲1-4発明において、ストリップ案内板80に関し、ダイプレート60の上面に上方から第1の所定間隔をおいて対向する下面と、ダイプレート60の上面に上方から第1の所定間隔より小さい第2の所定間隔をおいて対向する下向きのストッパ面とを有するものとすることについて、動機付けられるような理由は特段認められない。
ところで、帯状薄鋼板の上方への移動を制限する左右のガイド部材は、甲2(ガイド部材31(【0039】))、甲4(ガイドレール76(【0003】))、甲7(ガイドレール50(【0002】)、ストックガイドリフトピン(【0012】))、甲8(ガイドリフターロール2(【0019】))に示されているように、周知の技術であり、下側ホルダに上下方向に変位可能に設けられ、リフタ用ばねによって上方に向けて付勢されたリフタによって、帯状薄鋼板をダイプレートの上面より離間させて移送することは、甲2(【0046】)、甲6(【0014】、【0018】)、甲7(【0003】)に示されているように、周知の技術である。
しかしながら、いずれの証拠にも、ガイド部材が、ダイプレートの上面に上方から第1の所定間隔をおいて対向する下面と、ダイプレートの上面に上方から第1の所定間隔より小さい第2の所定間隔をおいて対向する下向きのストッパ面と有し、前記下面が、ストリップの上方への移動を制限し、各リフタの上面が、前記ストッパ面に当接する点に関して、記載も示唆もない。
この点は、その他の証拠(甲3、5、10)をみても同様である。
そうすると、甲1-4発明において、ストリップ案内板80に関し、ダイプレート60の上面に上方から第1の所定間隔をおいて対向する下面と、ダイプレート60の上面に上方から第1の所定間隔より小さい第2の所定間隔をおいて対向する下向きのストッパ面とを有し、前記下面が、ストリップ1の上方への移動を制限し、各リフタの上面が、前記ストッパ面に当接するものとすることについて、動機付けは特段認められない。
これに対し、本件発明10は、「前記ガイド部材が、前記ダイプレートの上面に上方から第1の所定間隔をおいて対向する下面と、前記ダイプレートの上面に上方から第1の所定間隔より小さい第2の所定間隔をおいて対向する下向きのストッパ面と有し、前記下面が、前記帯状薄鋼板の上方への移動を制限し、前記各リフタの上面が、前記ストッパ面に当接する」ことによって、「上述の所定間隔Tは、後述するリフタピン110によるフープ材Fのリフトアップ量Lとフープ材Fの板厚との合計値より大きい。この設定により、フープ材Fがリフタピン110によってリフトアップされた状態でも、フープ材Fがガイド部材100の下面102に当接することがない。このことにより、フープ材Fの間欠移送時にフープ材Fの上面がガイド部材100の下面102に摺接することがなく、ガイド部材100がフープ材Fの間欠移送時の摩擦抵抗を増大することがない。」(本件明細書等【0103】)、といった格別な効果を奏するものである。
そうすると、甲1-4発明において、相違点11に係る構成とすることは、当業者が容易に想到することができたものとは認められない。
(イ) 以上のとおりであるから、その余の事項を検討するまでもなく、本件発明10は、甲1-4発明及び甲2~8、10に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとは認められない。
(10) 本件発明11、12について
本件発明11、12は、本件発明10を特定するための事項を全て含むものである。
そして、甲1-5発明は、甲1-4発明を特定するための事項をすべて含み、さらに「ボンディング工程は、吐出部本体120に設けられた複数の貫通孔122に挿入された吐出ピン150がストリップ1の下面と当接した状態において、加圧装置1010を通じて供給された接着剤が吐出管153を通じて吐出され、ストリップ1の下面に塗布される工程を含む」との事項を含むものであるところ、このさらに含む事項は、少なくとも、前記相違点11(前記(9)ア)の構成とは関係のない事項である。
そして、前記相違点11については、すでに述べたとおりであり(前記(9)イ(ア))、甲9についてみても、ガイド部材が、ダイプレートの上面に上方から第1の所定間隔をおいて対向する下面と、ダイプレートの上面に上方から第1の所定間隔より小さい第2の所定間隔をおいて対向する下向きのストッパ面と有し、前記下面が、ストリップの上方への移動を制限し、各リフタの上面が、前記ストッパ面に当接する点に関して、記載も示唆もない。
そうすると、その余の事項を検討するまでもなく、本件発明11、12は、甲1-5発明及び甲2~10に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとは認められない。
第6 むすび
本件発明1~6、8、9は、甲1-1発明、甲1-2発明、甲1-3発明及び甲2~8、10に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明1~6、8、9に係る特許は特許法29条2項の規定に違反してされたものであり、同法113条2号に該当し、取り消されるべきものである。
また、本件発明10~12に係る特許は、前記取消理由(異議申立理由)により取り消すことはできない。他に請求項10~12に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2022-700996