特許異議申立
2024-700304
回転軸密閉装置及びこれを用いる半導体基板処理装置
- 審判番号
- 2024-700304
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2021-543223
- 登録番号
- 7357390
- 請求日
- 2024年04月02日
- 審決日
- 2024年08月07日
- 公報発行日
- 2024年09月27日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】シーリンク株式会社
- 【権利者代理人】河野 英仁
- 【権利者代理人】河野 登夫
- 【異議申立人】金 錫遠
- 審判長/審判官
- 審判長 小川 恭司
- 審判官 中屋 裕一郎
- 審判官 尾崎 和寛
- 分類
- P1651.121-Y (F16J)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7357390号発明「回転軸密閉装置及びこれを用いる半導体基板処理装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7357390号の請求項1ないし13に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7357390号の請求項1~13に係る特許(以下「本件特許」という。)についての出願は、2021(令和3年)6月10日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理 2020年6月19日、韓国(KR))を国際出願日とする出願であって、令和5年9月28日にその特許権の設定登録がされ、令和5年10月6日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許に対し、令和6年4月2日に特許異議申立人 金 錫遠(以下「申立人」という。)により、特許異議の申立てがされたものである。
第2 本件発明
特許第7357390号の請求項1~13に係る特許に係る発明(以下、「本件発明1」~「本件発明13」といい、総称して「本件発明」という。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1~13に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
【請求項1】
半導体基板を収容する半導体積載ユニットを回転させて前記半導体基板を処理する半導体基板処理装置に装着される回転軸密閉装置であって、
前記半導体基板処理装置に装着される中空のハウジングと、
前記ハウジング内に収容され、前記半導体積載ユニットに接続されて前記半導体積載ユニットに回転力を伝達する回転軸と、
前記回転軸を前記ハウジング内に回転自在に支持するベアリングと、
前記ハウジングと前記回転軸との間の間隙を密封するように前記ハウジング内に配置される複数のシールを備えるシーリング部と、
前記回転軸の一端に装着されて前記回転軸に回転力を伝達する動力伝達部とを含んでおり、
前記シーリング部は、
前記回転軸と接して前記回転軸に沿って並設されており、前記半導体基板処理装置の真空を保持するための複数の真空シールと、
前記回転軸と接して前記回転軸に沿って並設されており、前記回転軸を支持して振動を抑制する複数の弾性シールとを含み、
前記複数の真空シールと前記複数の弾性シールはプラスチック材質で形成され、前記複数の弾性シールは前記複数の真空シールよりも弾性力が大きく、
前記複数の前記真空シール及び前記複数の前記弾性シールが前記回転軸の軸長方向に連設している回転軸密閉装置。
【請求項2】
前記シーリング部は、前記半導体基板処理装置と結合する前記ハウジングのフランジ部により近づくように前記ベアリングよりも上部に配置され、
前記動力伝達部は、前記ベアリングの下部に配置される、請求項1に記載の回転軸密閉装置。
【請求項3】
前記真空シールは、環状のシーリングの内周緑に湾曲したリップが形成されたリップシールであり、
前記弾性シールは、シールボディの内部に弾性部材が挿入される、請求項1に記載の回転軸密閉装置。
【請求項4】
前記真空シール及び前記弾性シールの前記ハウジング内で前記ハウジングとの相対回転を防止するように、前記真空シール及び前記弾性シールの前記ハウジングに向かう外周面には環状の回転防止部材が設けられる、請求項1に記載の回転軸密閉装置。
【請求項5】
前記真空シールは、前記半導体基板処理装置と結合する前記ハウジングのフランジ部に前記弾性シールよりも近く配置され、
前記弾性シールは、前記ベアリングに前記真空シールよりも近く配置される、請求項1に記載の回転軸密閉装置。
【請求項6】
前記シーリング部は、前記半導体基板処理装置の内部が加圧された場合、前記半導体基板処理装置から異物が内部に流入することを防止するための圧力シールをさらに含む、請求項1に記載の回転軸密閉装置。
【請求項7】
前記シーリング部の上部には、前記半導体基板処理装置からの異物が前記ハウジング内に流入することを防止するためのラビリンスシールが設けられる、請求項1に記載の回転軸密閉装置。
【請求項8】
前記ハウジングは、前記シーリング部を冷却させるように前記シーリング部の周縁に設けられる冷却水ジャケットを含む、請求項1に記載の回転軸密閉装置。
【請求項9】
前記ハウジングは、
前記半導体基板処理装置からの異物が前記ハウジング内に流入することを防止するよう、前記ハウジング内に設けられたパージガス流入路と、
前記パージガス流入路を介して外部からパージガスを流入させるよう、前記ハウジングの側面に設けられたパージガス流入ポートと、
を含む、請求項1に記載の回転軸密閉装置。
【請求項10】
前記シーリング部の上部には、前記半導体基板処理装置からの異物が前記ハウジング内に流入することを防止するためのラビリンスシールが設けられ、
前記パージガス流入路を介して移動した前記パージガスは、前記ラビリンスシールを介して前記半導体基板処理装置に供給される、請求項9に記載の回転軸密閉装置。
【請求項11】
半導体基板を処理する半導体基板処理装置であって、
内部に複数の半導体基板を収容する工程チューブと、
前記工程チューブ内に昇降可能に配置される半導体積載ユニットと、
前記工程チューブの内側に設けられて工程ガスを注入するためのノズルユニットと、
前記半導体積載ユニットと接続して前記工程チューブの下部を密閉するシーリングキャップと、
前記半導体積載ユニットを回転させ、密閉機能を行う回転軸密閉装置と、
を含み、
前記回転軸密閉装置は、
前記シーリングキャップに装着される中空のハウジングと、
前記ハウジング内に収容され、前記半導体積載ユニットに接続されて前記半導体積載ユニットに回転力を伝達する回転軸と、
前記回転軸を前記ハウジング内に回転自在に支持するベアリングと、
前記ハウジングと前記回転軸との間の間隙を密封する複数のシールを備えるシーリング部と、
前記回転軸の一端に装着されて前記回転軸に回転力を伝達する動力伝達部とを含んでおり、
前記シーリング部は、
前記回転軸と接して前記回転軸に沿って並設されており、前記半導体基板処理装置の真空を保持するための複数の真空シールと、
前記回転軸と接して前記回転軸に沿って並設されており、前記回転軸を支持して振動を抑制する複数の弾性シールとを含み、
前記複数の真空シールと前記複数の弾性シールはプラスチック材質で形成され、前記複数の弾性シールは前記複数の真空シールよりも弾性力が大きく、
前記複数の前記真空シール及び前記複数の前記弾性シールが前記回転軸の軸長方向に連設している半導体基板処理装置。
【請求項12】
前記シーリング部は、前記シーリングキャップに結合される前記ハウジングのフランジ部により近づくように前記ベアリングよりも上部に配置され、
前記動力伝達部は、前記ベアリングの下部に配置される、請求項11に記載の半導体基板処理装置。
【請求項13】
前記真空シールは、環状のシーリングの内周緑に湾曲したリップが形成されたリップシールであり、
前記弾性シールは、シールボディの内部に弾性部材が挿入される、請求項11に記載の半導体基板処理装置。
第3 特許異議申立理由の概要
申立人が主張する特許異議の申立ての理由は、概略、以下のとおりである。
本件発明1~5、7~13は、甲第1号証記載の発明、甲第2号記載の発明、周知技術1(甲第3及び4号証)、周知技術2(甲第5~7号証)、周知技術3(甲第8~11号証)、及び周知技術4(甲第11号証)に基いて当業者が容易に発明することができたものであり、本件発明6は、甲第1号証記載の発明、甲第2号記載の発明、周知技術1~4、及び周知技術5(甲第5及び7号証)に基いて当業者が容易に発明することができたものであり、本件特許の請求項1~13に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきでものある。
(証拠方法)
甲第1号証:特開平10-321532号公報
甲第2号証:韓国公開特許第10-2004-0089287号公報
甲第3号証:国際公開第2019/177329号
甲第3-1号証:特表2021-516314号公報
甲第4号証:米国特許第6164660号明細書
甲第5号証:特開2006-46449号公報
甲第6号証:再公表特許第2014/030742号
甲第7号証:特開2021-81062号公報
甲第8号証:特開2003-113946号公報
甲第9号証:特許第4047024号公報
甲第10号証:特開2004-36897号公報
甲第11号証:実願平1-16284(実開平2-107872号)のマイクロフィルム
(以下、甲第1号証~甲第11号証をそれぞれ「甲1」~「甲11」という。)
第4 甲各号証の記載
1 甲1
(1)甲1には、次の記載がある(下線は、当審が付したもの。)。
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、真空雰囲気下で成膜ガスを用いて被処理体を成膜処理するための反応容器内に、軸穴を通じて駆動軸を貫通してなる処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体ウエハ(以下「ウエハ」という)をバッチで熱処理する装置として縦型熱処理装置が知られている。熱処理の中には減圧CVDと呼ばれる成膜処理や、酸化処理、不純物の拡散処理などがあり、減圧CVDを行う炉と酸化、拡散を行う炉とでは処理温度、処理圧力更にはガスの供給の仕方も異なるなどの理由から装置構造が多少異なる。いずれの装置も縦型の反応容器内にウエハを棚状に保持したウエハボートを通常下方側から搬入し、ウエハボートを支持している蓋体により反応管の下端開口部を気密に塞ぐように構成されている。」
「【0004】ここで減圧CVD炉を例にとって、回転軸が蓋体を貫通して反応容器内に導入されるのに必要な導入機構について図3を参照しながら説明する。この図は二重管である反応管10の下部に設けられたマニホールド11の下端開口部が蓋体12により閉じられた状態を示しており、回転軸13は、蓋体12の下方側に設けられた金属製の筒状部14内を貫通し、その上端にはターンテーブル15が、また下端には図示しないモータで駆動されるプーリ16が夫々取り付けられている。筒状部14と回転軸13との間には軸受け部17が設けられ、その上には反応容器(この例では反応容器は反応管10及びマニホールド11により構成される)内と外部とを気密にシールするための磁気シール部18が設けられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら処理雰囲気の真空度が高くなると例えば10-7Torr程度にもなると、回転機構内の不純物や磁性流体からの蒸発物が処理雰囲気に流入するようになる。一方半導体デバイスの回路パターンの微細化が進んでいることから、ウエハに対する汚染の限度が相当厳しくなっており、こうした不純物も素子の特性に影響を及ぼすようになってくる。更にまた成膜ガスが回転機構内に侵入すると冷たい部分に接触して反応副生成物が生成され、これが磁性流体に付着し、回転が鈍くなるおそれがある。
【0006】一方本発明者はマニホールド11の耐食化を図ることなどの工夫によりCVDを行う炉と、酸化、拡散を行う炉との共通化を検討しているが、そうなるとウェット酸化を行うときに回転機構内に水分が侵入し、この水分が減圧CVD時に処理領域内に放出され、特に絶縁膜を形成する場合に膜の絶縁性を低下させる。更には酸化処理時に用いられる塩化水素ガスが回転機構内に侵入すると金属部分が腐食し、また磁気シール部の磁性流体が劣化し、シール機能を損うおそれもある。特に水分が内部で結露している場合には腐食性が極めて大きいので、各部の劣化が激しくなる。
【0007】本発明はこのような事情の下になされたものでありその目的は、真空雰囲気下で成膜処理を行う反応容器内に駆動軸が貫通され、その貫通部分をシールするにあたり、シール部からの脱ガスや金属部分からの不純物の反応容器内への流出を抑えることにある。また他の目的は、真空雰囲気下での成膜処理と常圧雰囲気下での腐食性ガスを用いた処理との両方を行うことができる装置において、駆動軸の貫通部分から脱ガスなどが反応容器内へ流出することを防止でき、また貫通部分内の腐食やシール部材の劣化を抑えることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、真空雰囲気下で成膜ガスを用いて被処理体を成膜処理するための反応容器内に、軸穴を通じて駆動軸を貫通してなる処理装置において、前記軸穴に設けられた軸受部と、この軸受部よりも反応容器側に設けられ、軸穴の内壁と駆動軸とのあいだをシールするシール部と、このシール部よりも反応容器側の軸穴の内壁に接続された排気路と、この排気路を介して当該軸穴を真空排気するための真空排気手段と、を備えたことを特徴とする。この場合シール部よりも反応容器側の軸穴にガスを供給するためのガス供給部を設け、ここから軸穴にガスを供給しながら当該軸穴を真空排気することが好ましい。」
「【0010】
【発明の実施の形態】図1は本発明の実施の形態に係る縦型熱処理装置の全体構成を示す図である。図中2は石英で作られた内管2a及び外管2bよりなる二重構造の反応管であり、この反応管2の周囲には加熱炉21が設けられている。この反応管2の下部側には、金属製の筒状のマニホールド22がOリング22aを介して気密に接合して設けられている。マニホールド22の下端開口部からは、多数のウエハWを棚状に保持したウエハボート23が搬入され、当該開口部は蓋体3により閉じられる。このとき蓋体3とマニホールド22との封止部分はOリング3aにより気密状態が保たれる。
【0011】前記蓋体3は昇降機構であるボートエレベータ31の上に設けられ、その中央部には回転軸4が垂直に貫通して設けられている。この回転軸4の下端にはプーリ41が取り付けられ、このプーリ41は、ベルト42を介してモータ43により回転されるようになっている。回転軸4の上端にはターンテーブル24が取り付けられ、このターンテーブル24の上には保温筒25を介して前記ウエハボート23が載置されている。
【0012】この実施の形態に係る縦型熱処理装置は、減圧CVDと酸化、拡散処理とを行うことができるように構成されており、つまり減圧CVD炉と酸化、拡散炉とを共用している。このためにマニホールド22は、特殊な耐食構造となっており、また減圧CVD時に用いられる第1のガス供給管26及び第1の排気管27と、酸化、拡散時に用いられる第2のガス供給管28及び第2の排気管29とがマニホールド22に接続されている。この例では反応管2とマニホールド22とにより反応容器が構成される。
【0013】次に回転軸4の貫通部分について図2を参照しながら説明する。
【0014】蓋体3の中央部に孔部32が穿設され、この孔部32を囲む位置にて蓋体3の下面側がリング状に突出し、その突出端がフランジ部33として形成されている。このフランジ部33の下面側には例えばステンレス製のケーシング5がOリング5aを介して気密に接続されると共に、内周面には例えばステンレス製の筒状部30が嵌合されている。ケーシング5とフランジ部33との接合部分にはリング状に排気溝51が形成されており、この溝51を排気路52を介して排気することによって、Oリング5aから発生したガスが処理雰囲気内に流入することを防止している。
【0015】前記フランジ部33の上側にはリング体34が係合して設けられ、このリング体34とケーシング5の上部のフランジ部とが図示しないボルト等により前記フランジ部33を挟んで固定されている。なお前記排気溝51よりも内方側におけるケーシング5とフランジ部33との接合面は鏡面仕上げとされ、高い気密性が確保されるようになっている。
【0016】前記蓋体3の孔部32、筒状部30の内部空間及びケーシング5の内部空間は、回転軸4が貫通される軸穴6に相当するものであり、この軸穴6の上部側は、減圧CVD処理時は差動排気室61をなすものである。この差動排気室61の上部付近及び下部付近の位置において、回転軸4にはラビリンス空間を形成するための鍔部44、45が夫々設けられている。
【0017】前記軸穴6における差動排気室61の下方側にはシール部である磁気シール部7が設けられている。この磁気シール部7は、回転軸4を囲む、縦断面がコ字形の複数の磁路部材を上下方向に配列し、各磁路部材の一端部と回転軸4との間に磁性流体を磁気により閉じ込めて、軸穴6の反応容器側と外部との間を気密にシールするものである。この磁気シール部7の支持部71内には冷却水路72が設けられ、冷却水を通流することにより磁性流体の温度上昇を抑えている。前記軸穴6における磁気シール部7の下方側には軸受け部73、74が設けられている。
【0018】前記差動排気室61の下部側の鍔部45よりも上方位置には排気路81が接続されており、この排気路81はバルブV1を介して真空排気手段である真空ポンプP1に接続されている。この真空ポンプP1としては反応容器内を真空排気する真空ポンプを共用することができる。またこの排気路81は途中から分岐されてバルブV2を介して簡易ポンプ(排気ポンプ)P2に接続されている。
【0019】また前記差動排気室61の鍔部45よりも下方位置には、ガス供給路82が接続されており、このガス供給路82には不活性ガス例えば窒素ガスの供給源(図示せず)が接続されている。」
「【0021】次に上述の実施の作用について述べる。先ず被処理体である多数のウエハWが棚状に保持されたウエハボート23を、ボートエレベータ31の上昇により反応容器の下端開口部(マニホールド22の下端開口部)から反応容器内に搬入し、当該開口部を蓋体3により気密に閉じる。ここで減圧CVDを行う場合には、成膜ガスを第1のガス供給管26から内管2a内に供給しながら、内管2aと外管2bとの間を介して排気管27から真空排気し、反応容器内を例えば10-7Torrのオーダの真空度に保つと共に、加熱炉21により所定温度の熱処理雰囲気にする。
【0022】一方モータ43の駆動により回転軸4を回転させることによりウエハボート23を回転させ、また前記バルブV1を開き、バルブV2を閉じることにより回転軸4が貫通されている軸穴6内を排気路81を介して例えば10-7Torrのオーダまで真空排気すると共に、ガス供給路82から軸穴6内に例えば窒素ガスを供給する。高真空下では磁気シール部7の磁性流体からガスが発生し、更に軸穴6の内壁などから不純物が放出されるが、これらは排気路81を介して排出される。
【0023】また成膜ガスが蓋体3の孔部32から軸穴内に入り込んで冷えた部分即ち軸穴6の内壁、回転軸6及び磁性流体などに接触すると、そこで副生成物が生成されるが、軸穴6内に窒素ガスが吹き込まれるので副生成物が吹き飛ばされる。特に磁気シール部7と回転軸4の鍔部45との間に窒素ガスが吹き込まれるので磁性流体への副生成物の付着を防止することができ、回転軸4の回転が鈍くなるといったことがなくなる。」
「【0025】次いでウエハに対して酸化処理を行う場合について述べる。この場合は第2のガス供給管28から内管2aと外管2bとの間に腐食性ガス例えばHClガス及びH2Oガスを供給しながら第2の排気管29から排気し、反応容器内を常圧に維持すると共に、加熱炉21により熱処理雰囲気を例えば1000℃に加熱し、ウエハW表面部の例えばポリシリコン膜あるいは窒化シリコン膜などを酸化してSiO2膜を形成する。
【0026】一方軸穴6内の雰囲気については、ガス供給路82からパージ用ガスである窒素ガスを軸穴6内に例えば毎分0.02リットルの流量で供給してパージする。このため反応容器内の処理ガスはパージ用ガスにより軸穴6内への侵入が抑えられ、HClガスによる軸穴6の内壁等の腐食や磁性流体の劣化を防止することができる。また軸穴6内における水分の結露も防止されるので、減圧CVDを行うときに軸穴6内から熱処理雰囲気中に水分が飛散するおそれもなくなる。
【0027】この場合バルブV1、V2を閉じておいて軸穴6内の排気を行わなくてもよいが、バルブV2を開いて排気ポンプP2で排気(弱い排気)を行い、パージ用ガスが反応容器内に流出することを抑えるようにしてもよい。パージ用ガスとしては不活性ガスに限定されるものではなく、例えばO3(オゾン)ガスを用いて酸化処理を行う場合には、O2ガスを用いてもよく、この場合O2ガスはオゾンガスと同種のものなので反応容器内に流出しても悪影響が少ないと考えられる。
【0028】またパージ用ガスの軸穴6への供給は、減圧CVDを行った後反応容器内を例えばHClガスによりクリーニングするときに行うことも有効であり、HClガスの軸穴6への侵入を防止することができる。
【0029】上述の実施の形態によれば減圧CVDを行うときに磁性流体からの脱ガスなどが熱処理雰囲気に流出することを防止することができ、また減圧CVD炉及び酸化炉(拡散炉)を兼用する縦型熱処理装置を構成するにあたって、酸化処理時における軸穴6内へのHClガスやH2Oの侵入を抑え、磁性流体の劣化や軸穴6内の金属部分の腐食を防止することができる。」
「
[図:0001414208000001.jpg]
」
(2)上記記載から、甲1には次の技術的事項が記載されていると認められる。
ア 甲1の図1には“縦型熱処理装置”が記載されており(段落【0010】)、この縦型熱処理装置は“半導体ウエハを熱処理する縦型熱処理装置”(段落【0002】)である。また、この縦型熱処理装置は、“多数の半導体ウエハWを棚状に保持するウエハボート23”を有しており(段落【0010】)、この“ウエハボート23を回転させて”半導体ウエハを熱処理するものである(段落【0021】及び【0022】)。
イ 図2は、図1の縦型熱処理装置における回転軸の貫通部分を示す断面図であり、この図2から、縦型熱処理装置に装着される“回転軸4を回転支持する構造”(以下、「回転軸支持構造」)が看て取れる。また、図2から、この回転軸支持構造が、ケーシング5、回転軸4、軸受け部73、74、プーリ41、磁気シール部7を備えている点が見てとれる。
ウ 縦型熱処理装置は、“反応管2とマニホールド22とから構成される反応容器”(段落【0012】)の“下端の開口を気密状態にして閉じる蓋体3”(段落【0010】)を有しており、ケーシング5はこの“蓋体3に固定”されるものである(段落【0014】及び【0015】)。また、「ケーシング5の内部空間は、回転軸4が貫通される軸穴6に相当するものであり」(段落【0016】)との記載及び図2から、ケーシング5は、“中空”の形状を有するといえる。
エ 図2から、回転軸4が“ケーシング5に収容される”点が看て取れる。また、この回転軸4の“上端にはターンテーブル24が取り付けられ、このターンテーブル24の上には保温筒25を介して前記ウエハボート23が載置され”(段落【0011】)ており、この回転軸4がウエハボート23を回転させる。
オ ケーシング5の軸穴6に設けられる軸受け部73、74は、図2からみて、“回転軸4をケーシング5内に回転自在に支持する”ものといえる。
カ プーリ41は、“回転軸4の下端に取り付けられ”ている(段落【0011】)。そして、このプーリ41が、“回転軸4に回転力を伝達する”ものであることは、当業者には自明である。
キ 段落【0017】の「この磁気シール部7は、回転軸4を囲む、縦断面がコ字形の複数の磁路部材を上下方向に配列し、各磁路部材の一端部と回転軸4との間に磁性流体を磁気により閉じ込めて、軸穴6の反応容器側と外部との間を気密にシールするものである。」との記載及び図2から、磁気シール部7は、“ケーシング5と回転軸4の間を気密にシールする”ものといえる。
また、当該段落【0017】の記載及び図2から、この磁気シール部7は、“ケーシング5の軸穴6内に回転軸4に沿って上下方向に配列された複数の磁性部材を有する”といえる。
そして、当該段落【0017】の記載から、磁気シール部7は、“複数の磁路部材の一端部と回転軸4との間に磁性流体を磁気により閉じ込め”るものであり、これにより“軸穴6の反応容器側と外部との間を気密にシールする”ものといえる。そして、この軸穴6は“真空排気される”ものである(段落【0022】)。
ク 軸穴6には、“真空排気手段が接続されている”(段落【0018】)。
以上を総合すると、甲1には、回転軸支持構造に係る次の発明(以下、「甲1発明1」という。)が記載されていると認められる。
[甲1発明1]
多数の半導体ウエハWを棚状に保持するウエハボート23を回転させて半導体ウエハWを熱処理する縦型熱処理装置に装着される回転軸支持構造であって、
縦型熱処理装置の反応容器の下端の開口部を気密状態にして閉じる蓋体3に固定される中空のケーシング5と、
ケーシング5に収容される回転軸4であって、その上端にはターンテーブル24が取り付けられ、このターンテーブル24の上には保温筒25を介してウエハボート23が載置されており、ウエハボート23を回転させる回転軸4と、
回転軸4をケーシング5内に回転自在に支持する軸受け部73、74と、
ケーシング5と回転軸4の間を気密にシールするように、ケーシング5の軸穴6内に回転軸4に沿って上下方向に配列された複数の磁路部材を有する磁気シール部7と、
回転軸4の下端に取り付けられ回転軸4に回転力を伝達するプーリ41と、を備え、
磁気シール部7は、
複数の磁路部材の一端部と回転軸4との間に磁性流体を磁気により閉じ込め、真空排気される軸穴6の反応容器側と外部との間を気密にシールするものであり、
軸穴6に真空排気手段が接続されている、
回転軸支持構造。
(3)甲1にはさらに、“半導体ウエハWを熱処理する縦型熱処理装置”に関して、次の技術的事項が記載されていると認められる。
ケ “反応容器”は“反応管2とマニホールド22とから構成され”ている(段落【0012】)。図1から、その反応容器の“内部に複数の半導体ウエハWが収容される”点が看て取れる。
コ 段落【0021】には「先ず被処理体である多数のウエハWが棚状に保持されたウエハボート23を、ボートエレベータ31の上昇により反応容器の下端開口部(マニホールド22の下端開口部)から反応容器内に搬入し」との記載がある。そして、ウエハボート23を反応容器から搬出する際に、ボートエレベータ31を下降させてウエハボート23を搬出することは、当業者には自明である。したがって、ウエハボート23は、“反応容器内をエレベータにより昇降可能とされ”ているといえる。
また、半導体ウエハWを熱処理する際、ウエハボート23は“反応容器内に配置される”(図1)。
サ 反応容器内にガスを供給する第1のガス供給管26及び第2のガス供給管28は“反応容器を構成するマニホールド22に接続され”ている(段落【0012】)。
シ 縦型熱処理装置は、“蓋体3”を備えている。この蓋体3は、“反応容器の下端の開口を気密状態にして閉じる蓋体3”であるといえる(上記ウ参照)。
ス 縦型熱処理装置はさらに、“ウエハボート23を回転させる回転軸4”と、“回転軸4を回転支持する回転軸支持構造”を備えており、この回転軸支持構造について、上記イ~クの技術的事項が甲1には記載されている。
以上を総合すると、甲1には、回転軸支持構造に係る次の発明(以下、「甲1発明2」という。)が記載されていると認められる。
[甲1発明2]
半導体ウエハWを熱処理する縦型熱処理装置であって、
内部に複数の半導体ウエハWを収容する反応管2とマニホールド22とから構成される反応容器と、
反応容器内をエレベータにより昇降可能とされ、反応容器内に配置されるウエハボート23と、
反応容器を構成するマニホールド22に接続され、反応容器内にガスを供給する第1のガス供給管26及び第2のガス供給管28と、
反応容器の下端の開口部を気密状態にして閉じる蓋体3と、
ウエハボート23を回転させる回転軸4を有し、この回転軸4を回転支持する回転軸支持構造と、
を含み、
回転軸支持構造は、
蓋体3に固定される中空のケーシング5と、
ケーシング5に収容される回転軸4であって、その上端にはターンテーブル24が取り付けられ、このターンテーブル24の上には保温筒25を介してウエハボート23が載置されており、ウエハボート23を回転させる回転軸4と、
回転軸4をケーシング5内に回転自在に支持する軸受け部73、74と、
ケーシング5と回転軸4の間を気密にシールするように、ケーシング5の軸穴6内に回転軸4に沿って上下方向に配列された複数の磁路部材を有する磁気シール部7と、
回転軸4の下端に取り付けられ回転軸4に回転力を伝達するプーリ41と、を備え、
磁気シール部7は、
複数の磁路部材の一端部と回転軸4との間に磁性流体を磁気により閉じ込め、真空排気される軸穴6の反応容器側と外部との間を気密にシールするものであり、
軸穴6に真空排気手段が接続されている、
縦型熱処理装置。
2 甲2
(1)甲2には、次の記載がある(和文は、申立人が提出した甲2の抄訳を摘記したものであり、和文の下線は当審が付したもの。甲2には段落番号はないが、申立人が提出した甲2の抄訳において付した段落番号も一緒にそのまま摘記した。)。
ア 「
[図:0001414208000002.jpg]
」
[図:0001414208000003.jpg]
イ 「
[図:0001414208000004.jpg]
」
[図:0001414208000005.jpg]
ウ 「
[図:0001414208000006.jpg]
」
[図:0001414208000007.jpg]
エ 「
[図:0001414208000008.jpg]
」
[図:0001414208000009.jpg]
オ 「
[図:0001414208000010.jpg]
」
[図:0001414208000011.jpg]
「
[図:0001414208000012.jpg]
」
(2)上記記載から、甲2には次の技術的事項が記載されていると認められる。
ア 図3から、回転軸100の回転支持構造は、回転軸100をスリーブ7に挿入し、スリーブ7をベアリング14によってハウジング部200に回転支持している点が看て取れる。
また、図3及び図4から、この回転軸100の回転支持構造が、ハウジング部200とスリーブ7との間を密閉するように、ハウジング部200内に配置される第1密閉部材5及び第2密閉部材11を備える点が看て取れる。
イ 上記(1)エ(抄訳段落【73】)の記載、図3及び図4から、第1密閉部材5は、“スリーブ7と接する”といえる。また、上記(1)オ(抄訳段落【77】)の「また、前記第1密閉部材(5)と第2密閉部材(11)は必要に応じて位置を替えて介在させることができるし、その設置数も一つ以上のいくつかに変更して設置することができる」との記載にかんがみれば、甲2には、第1密閉部材を“複数”設ける点も記載されているといえ、第1密閉部材5を複数設けるのであれば、自ずと、複数の第1密閉部材5を“回転軸100の軸心方向に沿って併設”することとなる。
ウ 第2密閉部材11についても、上記イと同様のことがいえる。
エ 上記(1)エ(抄訳段落【73】)、図3及び図4から、第1密閉部材5と第2密閉部材11は、“それらの間にベースリング10が介在され、互いに間隔をおいて配置されている”といえる
以上を総合すると、甲2には、次の技術的事項が記載されていると認められる。
[甲2記載の技術的事項]
回転軸100をスリーブ7に挿入し、スリーブ7をベアリング14によってハウジング部200に回転支持する回転軸100の回転支持構造であって、
ハウジング部200とスリーブ7との間を密閉するように、ハウジング部200内に配置される複数の第1密閉部材5及び複数の第2密閉部材11を備え、
複数の第1密閉部材5はスリーブ7と接して回転軸100の軸心方向に沿って併設され、
複数の第2密閉部材11はスリーブ7と接して回転軸10の軸心方向に沿って併設され、
第1密閉部材5と第密閉部材11は、それらの間にベースリング10が介在され、互いに間隔をおいて配置されている、
回転軸100の支持構造。
(3)甲2において、第1密閉部材5の弾性力と第2密閉部材11の弾性力との比較に関する直接的な記載はない。
申立人は、令和6年4月2日に提出した特許異議申立書(以下、「申立書」という。)の第46頁第7~13行において、『また、上記(サ)の記載事項にもあるように、甲第2号証の第1密閉部材5は、環状の支持体52の内周縁に片側に湾曲された環状羽部54が形成された形状をしており、また、第2密閉部材11は、断面が概略「D」形の円形リングであり、下側の水平面の外面にはスリーブ7の外周縁と接地されるシールリング面110が形成されており、内側には変形を防止するために断面が「C」形状の保形物112が挿入されているものであることから、その形状からみて、第2密閉部材11は第1密閉部材5よりも大きい弾性力を有していることは自明である。』と主張する。
しかし、第1密閉部材5と第2密閉部材11の弾性力は、それらの形状及び構造のみならず、それらの材質及にも依存するため、上記(1)エ(抄訳段落【73】、【74】;申立人が申立書において「(サ)の記載事項」とする部分に同じ。)、図3、及び図4に記載されている第1密閉部材5と第2密閉部材11の形状及び構造のみをもって、それらの弾性力の大小を比較することはできない。そして、甲2の上記(1)ウ(抄訳段落【69】)には、第1密閉部材5と第2密閉部材11の材質に関する記載があるものの、第1密閉部材5と第2密閉部材11のそれぞれについて材質を限定する記載にはなっていない。よって、上記(1)ウ(抄訳段落【69】)を踏まえてもなお、第1密閉部材5と第2密閉部材11の弾性力の大小を比較することはできない。
したがって、甲2には、第2密閉部材11が第1密閉部材5よりも弾性力が大きい点は記載されていないし、甲2の記載事項から、第2密閉部材11が第1密閉部材5よりも弾性力が大きい点が自明であるとも認められない。
3 甲3
甲3は、「回転軸密閉装置において、同一種類の複数シールを回転軸に沿って併設するもの」(周知技術1)を示すために提示されたものであり、ここでは、その摘記を省略する。
4 甲4
甲4は、「回転軸密閉装置において、同一種類の複数シールを回転軸に沿って併設するもの」(周知技術1)を示すために提示されたものであり、ここでは、その摘記を省略する。
5 甲5
甲5には、次の記載がある(下線は、当審が付したもの。)。
「【0023】
ゴム状弾性体6は、金属環5における外周筒部5aの外周面に被着された外周被着部(外周シール部)6aと、外周筒部5aの内周面に被着された内周被着部6bと、フランジ部5bの機外側端面に被着された端面被着部6cと、フランジ部5bの内周端部に被着されたリップ部6dとを一体に有しており、リップ部6dに、機内側Aを向いたシールリップ(主リップ)6eと、機外側Bを向いたダストリップ6fとが一体に成形されている。シールリップ6eには、シール面圧調整用のガータスプリング7が取り付けられている。尚、本発明では、シールリップ6eが向いている方向を密封装置1の前方と称している。」
「【0027】
また、オイルシール3のシールリップ6eは、スリーブ12の内周筒部12aの外周面に衝動自在に密接している。」
「【0036】
第三実施例・・・
図3は、本発明の第三実施例に係る密封装置1の半裁断面を示しており、当該実施例では、シールリップ6eが回転軸3の周面に直接密接するように構成されている。」
「
[図:0001414208000013.jpg]
」
6 甲6
甲6には、次の記載がある(下線は、当審が付したもの。)。
「【0019】
樹脂シール部材120は、円環部121と、円環部121から回転軸200の径方向の内側に延びる樹脂リップ部122とを備えている。樹脂リップ部122は、先端部(先端面)である摺動部(摺動面)122aで回転軸200の外周面に摺動する。また、樹脂シール部材120は、ゴムシール部材110よりも回転軸200の軸線方向において大気側(A)に設けられている。」
「【0044】
スリーブ250は、回転軸200をハウジング300の軸孔310に組み込みやすくするため、及び回転軸200の外周面を保護するために設けられる。回転軸200が回転することによって、スリーブ250は、ゴムリップ部112の摺動部112a及び樹脂リップ部122の摺動部122aと摺動しながら回転する。すなわち、本発明は、ゴムリップ部112の摺動部112a及び樹脂リップ部122の摺動部122aが回転軸200の外周面に直接摺動する構成に限られるものではなく、回転軸200と一体となって回転するスリーブ250の外周面に摺動する構成であってもよい。」
「
[図:0001414208000014.jpg]
」
7 甲7
甲7には、次の記載がある(下線は、当審が付したもの。)。
「【0013】
第1実施形態
図1に示すように、第1実施形態に係る密封構造は、ハウジング2、回転軸4、密封装置6およびファン20を有する。」
「【0018】
密封装置6の弾性環7は、シールリップ9とダストリップ10を有する。シールリップ9は被封止液体側空間Lにある被封止液体14を封止する。ダストリップ10は大気側空間Aから被封止液体側空間Lへの異物(例えば水およびダスト)の侵入を阻害する。シールリップ9とダストリップ10は回転軸4の外周面に接触する。不可欠ではないが、密封装置6には、ガータースプリング12が設けられており、ガータースプリング12の緊縛力を受けてシールリップ9は回転軸4に押し付けられている。」
「【0044】
第2実施形態
図8を参照しながら、本発明に係る第2実施形態を説明する。図8において、すでに説明した構成要素を示すために同一の符号が使用され、それらの構成要素については詳細には説明しない。
【0045】
図8に示すように、第2実施形態に係る密封構造は、ハウジング2、回転軸4、密封装置6およびファン(液体吹き付け装置)40を有する。」
「【0049】
この実施形態では、ハブ41は軸線方向に長く、スリーブと呼ぶこともできる。密封装置6のシールリップ9とダストリップ10は、ハブ41の外周面に摺動可能に接触する。」
「
[図:0001414208000015.jpg]
」
8 甲8
甲8には、次の記載がある(下線は、当審が付したもの。)。
「【0013】即ち、回転軸1に摺接して密封するシール材は、後述する特殊な溝を備えた第1シールエレメント3と、第1シールエレメント3よりも背面気体側Aに配設される溝のないプレーンタイプの第2シールエレメント4から、成り、油室B方向にリップ部18,19を備えた2段仕様のダブルリップ構造を形成している。また、略L字型断面の第1シールエレメント3と第2シールエレメント4の摺接面5,15となる一辺(リップ部18,19)に直角で背面気体側Aの他辺の固定部16,17は、その両面を他の上記部材により面で保持(挟持)されている。
【0014】第1・第2シールエレメント3,4の材質はPTFE、ガスケット10はフッ素ゴム、アウターケース7と第1・第2インナーケース8,9とワッシャ11は合金や鋼等により製作され、特に放熱作用が高いアルミ合金が好ましい。そして、これら複数の金属製構成部品のうちの少なくとも一つの部品をアルミ合金製とすればよい。
【0015】背面気体側Aに配置した第2シールエレメント4は、例えば、スーパーチャージャーの背面気体側Aの圧力変動(0.3~-0.1MPaの加圧・負圧)による第1シールエレメント3への負荷変動・変形を緩和、防止できるものである。即ち、スーパーチャージャー等の過給器用の軸シール装置は、シールの背面側(背面気体側A)が真空や加圧状態となる場合があるが、第2シールエレメント4が緩衝材として機能することで、主として密封作用を有する第1シールエレメント3はこの影響を受けることがなく安定してその効果を奏する。
【0016】さらに、図2に示すように、第2シールエレメント4の厚さtは、第1シールエレメント3の厚さTより薄く、かつ、第2シールエレメント4の回転軸1との摺接幅Vは、第1シールエレメント3の摺接幅Wより狭くなるよう設定している。これは、第2シールエレメント4の厚さt、摺接幅Vを小さくすることで、第2シールエレメント4の摺接面15の摩耗を低減させるよう設定しており、また、第2シールエレメント4の軸緊迫力を第1シールエレメント3より低くすることが可能であり、背面気体側Aから油室B側(第1シールエレメント3と第2シールエレメント4との間の空室部20側)への微量な気体(空気)漏れを許容するため、漏れ気体により第1シールエレメント3を冷却(空冷)し、第1シールエレメント3の寿命を延ばすことが可能となる。」
「【0019】具体的に説明すると、第1シールエレメント3の厚さTを0.4~0.9mmの範囲で設定し、第2シールエレメント4の厚さtを0.25~0.55mmの範囲で設定し、かつ、第1シールエレメント3の摺接幅Wと第2シールエレメント4の摺接幅Vとの差0.85~1.25mmに設定する。第1シールエレメント3の厚さTを0.4mmより小さくすると、下記で述べるスクリュー溝6の形成が不可能となり、厚さTを0.9mmより大きくすると、回転軸1への押しつけ力が大きくなり発熱・摩耗の原因となる。さらに、第2シールエレメント4の厚さtを0.25mmより小さくすると、第2シールエレメント4の剛性が低くなり背面気体側Aの圧力変動を吸収することができず、厚さtを0.55mmより大きくすると、回転軸1への押しつけ力が大きくなり発熱・摩耗の原因となる。」
「
[図:0001414208000016.jpg]
」
9 甲9
甲9には、次の記載がある(下線は、当審が付したもの。)。
「【0009】
ここで、前記複数の段階(以下、単に「多段」ともいう)に設けられた、ストップリングおよびライナからなる組は、ばね定数の小さいストップリングが接液側に、ばね定数の大きいストップリングが大気側に装着されることで低圧負荷時と高圧負荷時とでのリップの押し代を異ならせるようになっていることは好ましい。このような構成であれば、上記の作用がより効果的に行われる。即ち、低圧負荷時、接液側のばね定数の小さいストップリングはライナに摺接するリップの押し代が大であり、確実なシールを行うことができる。一方、大気側のばね定数の大きいストップリングは、ライナに摺接するリップの押し代が小さく摺動熱の発生が小さくなる。」
「【0013】
ここで、接液側のストップリング4と大気側のストップリング8とは、共に補強のための芯金15が設けられているが形状を異にしている。すなわち、接液側のストップリング4としては、硬度が低くリップ24が肉薄でばね定数の小さいものが装着され、大気側のストップリング8としては、硬度が高くリップ28が肉厚でばね定数の大きいものが装着されている。
シャフトスリーブ9の外周上の各ストップリング4、8の間には、シム5が設けられ、ストップリング4、8の押し代(ライナ7へのリップ24、28の押付量)が接液側のストップリング4では大きく、大気側のストップリング8では小さくなるように調整されている。」
「
[図:0001414208000017.jpg]
」
10 甲10
甲10には、次の記載がある(下線は、当審が付したもの。)。
「【請求項1】
真空チャンバーと大気中とに跨るように配置され、内部に回転軸を挿通支持した中空支持部材と、前記回転軸と前記中空支持部材との間に設けられる真空シール機構と、前記真空シール機構と大気との間で前記回転軸を前記中空支持部材の中で回転可能に受ける軸受と、を備え、前記真空シール機構は、大気に向かって開く端を有する環状溝で形成されたシール部と、前記環状溝内に内装され前記回転軸に対して接圧するばね部と、を有することを特徴とする真空チャンバーに用いる回転軸のシール機構。」
「【請求項3】
前記真空シール機構と前記真空チャンバーとの間で前記回転軸と前記中空支持部材との間に配置されるダストシールを備え、前記ダストシールは、大気に向かって開く端を有する環状溝で形成されたシール部と、環状溝内に内装され回転軸に対して接圧するばね部と、を有し、前記ダストシールのばね部の接圧が前記真空シール機構のばね部の接圧より小さいことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の真空チャンバーに用いる回転軸のシール機構。」
「【0039】
ダストシール24は、図2に示すように、全体がリング状に成形され、断面が略U字状を呈しており、高分子ポリエチレンを主成分とするシール部24a内にステンレスばね24bが内装され、外力に対して外側へ反力が作用するようになっている(図2(a)参照)。」
「【0041】
空気流防止シール26は、図3に示すように、全体がリング状に成形され、断面が略円形状を呈しており、高分子ポリエチレンを主成分とするシール部26a内に螺旋状に巻回されたステンレスばね26bが内装され、ダストシール24,25より外力に対する外側への反力を強くし、回転軸32に対する接圧(シール圧力)が高くなるように設定されている(図3(a)参照)。」
「【符号の説明】
【0051】
・・・(略)・・・
24 ダストシール
26 空気流防止シール(真空シール機構)
・・・(略)・・・」
「
[図:0001414208000018.jpg]
」
11 甲11
甲11には、次の記載がある(下線は、当審が付したもの。)。
(1)「次に、この考案を第1図に基づいて説明する。
図において、1は密封装置で、この密封装置1はハウジング2内の密封流体側3に面する第一シール手段4と、大気側5に面する第二シール手段6とから構成されている。第一シール手段4はハウジング2の内周面に嵌合した断面コ字形の金属リング7と、金属リング7の内周面の溝7a内に装着したゴム等の0リング8及び樹脂リング9とから構成されている。この樹脂リング9の内周面9aは金属リング7の内周面7bよりも内径方向に突出した位置にあって、図示しない回転軸(又は可動軸)の外周面に接触する。なお、この樹脂リング9は径方向及び開示しない回転軸の軸方向に沿って一定量スライドできる自由度をもつ。10は金属リング7の大気側5の側面に形成した環状突起である。
前記第二シール手段6は、ゴム等により成形した環状のシール部材11と、このシール部材11と一体に成形された金属製の補強環12と、シール部材11の大気側5の側面に装着した樹脂製のバックアップリング13とから構成されている。」(第3頁第18行~第4頁第18行)
(2)「15はシール部材11の密封流体側3の側面に形成した環状段部で、この環状段部15内に金属リング7の環状突起10を嵌合することにより、第一シール手段4と第二シール手段6とが一体的に結合されている。
次に、この考案の作用を説明する。
まず、密封装置1を構成する第一シール手段4と第二シール手段6とが一体的に結合されているから、ハウジング2内への装着は一回の動作で完了する。しかも、二つのシール手段同士に隙間ができる等の装着不良もない。
第一シール手段4の樹脂リング9の内周面9aは図示しない回転軸に接触し、第二シール手段6のリップ部11bも同様に回転軸に密封接触する。樹脂リング9は回転軸の径方向への振動に対して0リング8の弾性力によって対応し、リップ部11bはくさび形状及びバネ14の付勢力によって接触圧力を維持することによって密封流体側3の流体を密封している。即ち、三箇所でのシール作用が行なわれている。」(第5頁第7行~第6頁第6行)
「
[図:0001414208000019.jpg]
」
第5 当審の判断
1 本件発明1について
(1)対比
本件発明1と甲1発明1とを対比する。
ア 甲1発明1の「半導体ウエハW」は、本件発明1の「半導体基板」に相当する。甲1発明1の「多数の半導体ウエハWを棚状に保持する」ことは、本件発明1の「半導体基板を収容する」ことに相当し、甲1発明1の「ウエハボート23」は、本件発明1の「半導体積載ユニット」に相当する。
甲1発明1の「半導体ウエハW」を「熱処理する」ことは、本件発明1の「前記半導体基板」を「処理する」ことに相当し、甲1発明1の「縦型熱処理装置」は、本件発明1の「半導体基板処理装置」に相当する。
イ 甲1発明1の「ケーシング5」は、本件発明1の「ハウジング」に相当し、甲1発明1の「ケーシング5」が「縦型熱処理装置の反応容器の下端の開口部を気密状態にして閉じる蓋体3に固定される」ことは、本件発明1の「ハウジング」が「前記半導体基板処理装置に装着される」ことに相当する。
ウ 甲1発明1の「回転軸4」は、本件発明1の「回転軸」に相当する。甲1発明1の「回転軸4」に関し、「その上端にはターンテーブル24が取り付けられ、このターンテーブル24の上には保温筒25を介してウエハボート23が載置されて」いることは、本件発明1の「回転軸」が「前記半導体積載ユニットに接続され」ることに相当し、甲1発明1の「回転軸4」が「ウエハボート23を回転させる」ことは、本件発明1の「回転軸」が「前記半導体積載ユニットに回転力を伝達する」ことに相当する。
エ 甲1発明1の「軸受け部73、74」は、本件発明1の「ベアリング」に相当する。
オ 甲1発明1の「磁気シール部7」は、本件発明1の「シーリング部」との対比において、「シール部」である限りにおいて一致する。甲1発明1の「ケーシング5と回転軸4の間を気密にシールする」ことは、本件発明1の「前記ハウジングと前記回転軸との間の間隙を密封する」ことに相当する。
そして、甲1発明1の「磁気シール部7」が有する「複数の磁路部材」は、本件発明1の「シーリング部」が備える「複数のシール」に相当し、甲1発明1の「複数の磁路部材」が「ケーシング5の軸穴6内に回転軸4に沿って上下方向に配列され」ることは、本件発明1の「複数のシール」が「前記ハウジング内に配置される」ことに相当する。
カ 甲1発明1の「プーリ41」は、本件発明1の「動力伝達部」に相当し、甲1発明1の「プーリ41」が「回転軸4の下端に取り付けられ」ることは、本件発明1の「動力伝達部」が「前記回転軸の一端に装着され」ることに相当する。
キ 上記オのとおり、甲1発明1の「複数の磁路部材」は、本件発明1の「複数のシール」に相当するが、甲1発明1の「複数の磁路部材」は「真空排気される軸穴6の反応容器側と外部との間を気密にシールするもの」であるから、本件発明1の「複数のシール」に相当すると同時に、本件発明1の「複数の真空シール」にも相当する。
甲1発明1において、複数の磁路部材がその「一端部と回転軸4との間に磁性流体を磁気により閉じ込め」ることとなるが、磁路部材が「磁性流体を閉じ込め」ることで、“閉じ込められた磁性流体が回転軸4に接する”こととなり、これが本件発明1の「前記回転軸と接」することに相当する。
また、甲1発明1の「複数の磁路部材」が「回転軸4に沿って上下方向に配列され」ることが、本件発明1の「複数の真空シール」が「前記回転軸に沿って並設され」ることに相当する。
そして、甲1発明1の「複数の磁路部材」は、その「一端部と回転軸4との間に磁性流体を磁気により閉じ込め、真空排気される軸穴6の反応容器側と外部との間を気密にシールするもの」であり、「複数の磁路部材」が「真空排気される軸穴6の反応容器側と外部との間を気密にシールする」ことが、本件発明1の「複数の真空シール」が「前記半導体基板処理装置の真空を保持する」ことに相当する。
ク 甲1発明1の「回転軸支持構造」は、「磁気シール部7」を備え、この「磁気シール部7」が「ケーシング5と回転軸4の間を気密にシールする」。甲1発明の「回転軸支持機構」は回転軸4を気密にシールする「磁気シール部7」を備えているのだから、甲1発明の「回転軸支持構造」は、本件発明1の「回転軸密閉装置」に相当する。
以上を総合すると、甲1発明1と本件発明1とは以下の一致点で一致し、また以下の相違点で相違する。
[一致点]
半導体基板を収容する半導体積載ユニットを回転させて前記半導体基板を処理する半導体基板処理装置に装着される回転軸密閉装置であって、
前記半導体基板処理装置に装着される中空のハウジングと、
前記ハウジング内に収容され、前記半導体積載ユニットに接続されて前記半導体積載ユニットに回転力を伝達する回転軸と、
前記回転軸を前記ハウジング内に回転自在に支持するベアリングと、
前記ハウジングと前記回転軸との間の間隙を密封するように前記ハウジング内に配置される複数のシールを備えるシール部と、
前記回転軸の一端に装着されて前記回転軸に回転力を伝達する動力伝達部とを含んでおり、
前記シール部は、
前記回転軸と接して前記回転軸に沿って並設されており、前記半導体基板処理装置の真空を保持するための複数の真空シールを含む、回転軸密閉装置。
[相違点1]
「シール部」に関し、本件発明1は、シーリング部が複数の真空シールと、「前記回転軸と接して前記回転軸に沿って並設されており、前記回転軸を支持して振動を抑制する複数の弾性シールとを含」むのに対して、甲1発明1は、磁気シール部7が複数の磁路部材(複数の真空シール)以外のシールを有していない点。
[相違点2]
本件発明1は、「前記複数の真空シールと前記複数の弾性シールはプラスチック材質で形成され、前記複数の弾性シールは前記複数の真空シールよりも弾性力が大きく」されているのに対して、甲1発明1の「磁気シール部7」は「複数の磁路部材を有し、各磁路部材の一端部と回転軸4との間に磁性流体を磁気により閉じ込め」たものであり、また、弾性シールを有していないため、弾性シールの材質の特定や、磁気シール部7と弾性シールとの弾性力の比較はできない点。
[相違点3]
本件発明1は、「前記複数の前記真空シール及び前記複数の前記弾性シールが前記回転軸の軸長方向に連設している」のに対して、甲1発明1では、「磁気シール部7は、」「回転軸4に沿って上下方向に配列された複数の磁路部材を有」するものの、弾性シールを有しておらず、また、複数の磁路部材(複数の真空シール)及び複数の弾性シールが前記回転軸の軸長方向に連設しているものでもない点。
(2)判断
上記相違点1~3は、いずれも「シール部」に関するものであって密接に関連しているため、まとめて1つの相違点とも捉えられるが、検討対象を明確にするため相違点1~3に分けて検討する。
ア 相違点1について
(ア)相違点1に関連し、申立人は、『してみると、甲1発明1において、甲1発明1の磁気シール部7からなるシーリング部に替えて、甲2発明1の、スリーブ7と接地する湾曲された環状羽部54を有する第1密閉部材5と、スリーブ7と接地するシーリング面110を有する第2密閉部材11とを採用し、それぞれシーリング部の「真空シール」と、「弾性シール」として、回転軸と直接接するようにして回転軸に沿って複数併設させること』で本件発明1のように構成することは『当業者ならば甲2発明1、周知技術1及び周知技術2に基づいて容易になし得るものといえる』と申立書において主張している(申立書第45頁第18~24行)。
(イ)甲2記載の回転軸100の支持構造は、「ハウジング部200とスリーブ7との間を密閉するようにハウジング部200内に配置される複数の第1密閉部材5及び複数の第2密閉部材11を備え、
複数の第1密閉部材5はスリーブ7と接して回転軸100の軸心方向に沿って併設され、
複数の第2密閉部材11はスリーブ7と接して回転軸10の軸心方向に沿って併設され」る、という構成を備えている。
しかし、甲1発明1は、反応容器内と外部を磁気シール部で気密にシールすること(甲1の段落【0004】)を前提とし、磁気シールを用いる際の「磁性流体からの蒸発物が処理雰囲気に流入する」という課題(甲1の段落【0005】)及び「成膜ガスが回転機構内に侵入すると冷たい部分に接触して反応副生成物が生成され、これが磁性流体に付着し、回転が鈍くなるおそれがある」という課題(甲1の段落【0005】)を解決するためになされた発明であり、「軸穴6に真空排気手段が接続されている」という構成により、上記課題を既に解決している発明である。そして、真空排気される軸穴6の反応容器側と外部との間のシールは「磁気シール部7」により既に実現されており、甲1には、「磁気シール部7」の更なる改良の必要性に関する記載も、それを示唆する記載もない。したがって、甲1発明1において、「磁気シール部7」にさらに甲2記載の「複数の第2密封部材11」を付加する動機付けや、甲1発明1において、「磁気シール部7」に替えて甲2記載の「複数の第1密閉部材5」及び「複数の第2密閉部材11」を適用する動機付けがあるとは認められない。
(ウ)また、本件発明1は、「回転軸密閉装置の回転軸の振動を最小化し、半導体基板処理装置からのパーティクルのような異物が前記回転軸密閉装置内に流入することを防止」するものであり(本件特許明細書段落【0007】)そのために、「前記回転軸を支持して振動を抑制する複数の弾性シール」を有するものである。それに対して、甲1には、回転軸支持構造の振動の最小化や防振に関する記載も示唆もない。甲2にも、「複数の第2密閉部材11」が振動を抑制するとの記載も示唆もないが、仮に、甲2記載の回転軸100の支持構造の「複数の第2密閉部材11」が振動を抑制する機能を有するとしても、甲1には、回転軸支持構造の振動の最小化や防振に関する記載も示唆もないため、甲2記載の「複数の第2密閉部材11」を甲1発明1の「磁気シール部7」に付加する動機付け、あるいは、甲2記載の「複数の第1密閉部材5」及び「複数の第2密閉部材11」を甲1発明1の「磁気シール部7」に替えて適用する動機付けがあるとは認められない。
(エ)さらに、仮に、甲1発明1の「磁気シール部7」に「複数の第2密閉部材11」を付加できたとしても、あるいは、甲1発明1の「磁気シール部7」を甲2記載の「複数の第1密閉部材5」及び「複数の第2密閉部材11」に置換することができたとしても、甲2記載の「複数の第1密閉部材5」と「複数の第2密閉部材11」は、「スリーブ7」と接するものであり、回転軸に接するものではない。
この点に関して、申立人は、『さらに、回転軸密封装置において、シーリング部が、回転軸に固定されたスリーブと接するように設けることも、回転軸と直接接するようにすることも従来周知であり』と主張し(申立書第45頁第12~14行:申立人はこれを「周知技術2」と称している。)、『シーリング部が、回転軸に固定されたスリーブと接するように設けるか、回転軸と直接接するように設けるかは設計事項に過ぎない』(申立書第45頁第16~17行)として、甲2記載の「複数の第1密閉部材5」と「複数の第2密閉部材11」を採用した上で、これらが回転軸と直接接するようにすることが容易であると主張している。
しかし、甲1発明1に甲2記載の技術的事項を適用し、「スリーブ7」と接するようなシーリング部を構成し、甲1発明1に甲2記載の技術的事項を適用することで初めて得られた「スリーブ7」と接するシーリング部に対して、さらに重畳的に周知技術2を適用することは、当業者が容易になし得るとは認められない。
また、申立人はこの周知技術2の証拠として、甲5~7を挙げている。しかし、甲2記載の「スリーブ7」は、「ベアリング14によってハウジング部200に回転支持」されるものであるが、甲5記載の「スリーブ12」、甲6記載の「スリーブ250」、甲7の「ハブ41」は、いずれもベアリング等によって回転支持されるスリーブでなく、甲2記載の「スリーブ7」とは構造及び機能が異なっている。そうすると、甲1発明1に甲2記載の技術的事項を適用して得られた「スリーブ7」と接するようなシーリング部に対して、スリーブとしての構造及び機能が異なる甲5~7に記載された周知技術2を適用することはできない。
(オ)以上のとおり、甲1発明1、甲2記載の技術的事項及び周知技術2から、本件発明1の相違点1に係る構成に想到することが、当業者にとって容易であるとはいえない。
なお、申立人が主張する周知技術1(甲3及び4)は『回転軸密閉において、同一種類の複数のシールを回転軸に沿って併設するもの』あり(申立書第45頁第8~11行)であり、この相違点1に係る結論に影響を与えるものではない。
イ 相違点2について
(ア)相違点2に関連して、申立人は、甲1発明1において、『してみると、甲1発明1において、甲1発明1の磁気シール部7からなるリールリングに替えて、甲2発明1の、プラスチック材質の第1密閉部材5と、プラスチック材質の第2密閉部材11とを採用し、第2密閉部材11の形状からみて第1密閉部材5よりも弾性力が大きいことは自明であり、弾性力の大きい第1密閉部材を振動に対応させ』、本件発明1のように構成することは、『当業者であれば甲2発明1及び周知技術3』に基づいて容易になし得るものといえると申立書において主張している(申立書第46頁第23~28行)。
(イ)まず、上記第2 2(3)のとおり、甲2には、第2密閉部材11が第1密閉部材5よりも弾性力が大きい点が記載されているとは認められないし、甲2の記載事項から、第2密閉部材11が第1密閉部材5よりも弾性力が大きい点が自明であるということもできない。
(ウ)そして、上記アの(イ)及び(ウ)のとおり、甲2記載の「複数の第2密閉部材11」を甲1発明1の「磁気シール部7」に付加する動機付け、あるいは、甲2記載の「複数の第1密閉部材5」及び「複数の第2密閉部材11」を甲1発明1の「磁気シール部7」に替えて適用する動機付けがあるとは認められない。
仮に、甲2記載の「複数の第2密閉部材11」を甲1発明1の「磁気シール部7」に付加したとすれば、磁気シール部7は磁性流体が回転軸に接し、弾性力がないため、結果的に、付加した「複数の第2密閉部材11」の磁気シール部7よりも弾性力が大きいという構成になる。しかし、本件発明1は、相違点2に係る構成により、「シーリング部が回転対象物に対して線接触をすることにより摩擦力を最小化でき、別途の潤滑油の供給が不要であるため、構造を極めて簡潔かつ単純にすることができる」(本件特許明細書段落【0031】)とともに、「前記回転軸密閉装置の回転軸の振動を最小化でき、前記半導体基板処理装置からのパーティクルのような異物が前記回転軸密閉装置の内部に流入することを防止することができる」(本件特許明細書【0032】)という、甲1発明1及び甲2記載の技術的事項から予測し得ない効果を奏するものであるから、本件発明1は当業者が容易に発明することができたものとはいえない。
また、仮に、甲2記載の「複数の第1密閉部材5」及び「複数の第2密閉部材11」を甲1発明1の「磁気シール部7」に替えて適用したとしても、上記(イ)のとおり、「第2密閉部材11が第1密閉部材5よりも弾性力が大きい」ことが甲2に記載されていないし、甲2の記載から自明であるともいえないから、本件発明1の「前記複数の弾性シールは前記複数の真空シールよりも弾性力が大き」いとう構成には想到し得ない。
(エ)申立人は、『回転軸密閉装置において、異なる種類のシールを有し、それぞれ弾性力を異ならせることは従来周知である』と主張する(申立書第46頁第14~15行;申立人はこの周知技術を「周知技術3」と称している。)
しかし、既に述べたとおり、甲2記載の「複数の第2密閉部材11」を甲1発明1の「磁気シール部7」に付加する動機付け、あるいは、甲2記載の「複数の第1密閉部材5」及び「複数の第2密閉部材11」を甲1発明1の「磁気シール部7」に替えて適用する動機付けがあるとは認められないが、仮に、甲1発明1において、甲2記載の技術的事項を付加ないし適用したとして、その付加ないし適用により初めて、“異なる種類のシール”を有するという構成が得られる。甲1発明1に甲2記載の技術的事項を付加ないし適用して初めて得られる“異なる種類のシール”に対して、さらに重畳的に異なる種類のシールについて「それぞれ弾性力を異ならせる」という周知技術3を適用することは、当業者が容易になし得るとは認められない。
また、周知技術3の異なる種類のシールについて「それぞれ弾性力を異ならせる」ことの技術的意義について申立人は言及していないが、仮に、「それぞれ弾性力を異ならせる」ことが振動を抑制するという効果を奏するものだとしても、甲1にも、甲2にも、回転軸支持構造の振動の最小化や防振に関する記載も示唆もないから、甲1発明1に甲2記載の技術的事項を適用したものに、周知技術3を適用する動機付けがあると認められない。
(オ)さらに、申立人は周知技術3の証拠として、甲8~甲11を挙げている。
甲8には、「第2シールエレメント4の厚さtは、第1シールエレメント3の厚さTより薄く」(段落【0016】)する点が記載されているが、第1シールエレメント3と第1シールエレメント4の材質がそれぞれ何かは特定していないし、第1シールエレメント3は、スクリュー溝6(段落【0019】)を有する点において、第2シールエレメント4と構造が異なる。よって、「第2シールエレメント4の厚さtは、第1シールエレメント3の厚さTより薄く」なっているからといって、第1シールメント3が第2シールエレメント4よりも弾性力が大きいということはできない。
甲9には、段落【0013】及び【0014】の記載から、大気側ストップリング8が、接液側のストップリング4よりも弾性力が大きされている点が記載されていると認められる。しかし、大気側ストップリング8も接液側ストップリング4も真空部分を密封するためのシールではない。すなわち、甲9には、異なる種類のシールのうち、真空シールではない方を真空シールよりも弾性力を大きくする点は記載されていない。
甲10には、段落【0041】の記載から、空気流防止シール26が、ダストシール24よりも弾性力が大きくされている点が記載されていると認められる。しかし、空気流防止シール26の方が「真空シール機構」である。よって、甲10には、異なる種類のシールのうち、真空シールではない方を真空シールよりも弾性力を大きくする点の記載はない。
甲11に記載された第一シール手段4と第二シール手段6とはいずれも真空部分を密封するためのシールではない。よって、甲11には、異なる種類のシールのうち、真空シールではない方を真空シールよりも弾性力を大きくする点の記載はない。
以上のとおり、甲8~11いずれにも、異なる種類のシールのうち、真空シールではない方を真空シールよりも弾性力を大きくする点の記載はない。
そうすると、甲1発明1に甲2記載の技術的事項を適用したものに、さらに周知技術3を適用したとしても、「前記複数の弾性シール」が「前記複数の真空シールよりも弾性力が大きく」されるという本件発明1の構成に想到することはできない。
(カ)以上のとおり、甲1発明1、甲2記載の技術的事項、及び周知技術3から、本件発明1の相違点2に係る構成に想到することが、当業者にとって容易であるとはいえない。
なお、申立人が主張する周知技術1(甲3及び4)は『回転軸密閉において、同一種類の複数のシールを回転軸に沿って併設するもの』あり(申立書第45頁第8~11行)であり、この相違点2に係る結論に影響を与えるものではない。
ウ 相違点3について
(ア)上記ア(イ)及び(ウ)で述べたとおり、甲1発明1において、「磁気シール部7」にさらに甲2記載の「複数の第2密封部材11」を付加する動機付けや、甲1発明1において、「磁気シール部7」に替えて甲2記載の「複数の第1密閉部材5」及び「複数の第2密閉部材11」を適用する動機付けがあるとは認められない。
(イ)仮に、甲1発明1に甲2記載の技術的事項を適用したとしても、甲2記載の「第1密閉部材5と第2密閉部材11」は「それらの間にベースリング10が介在され、互いに間隔をおいて配置されている」ものであるから、本件発明1の複数の真空シール及び複数の弾性シールが回転軸の軸長方向に「連設している」という構成には想到し得ない。
この点に関し、申立人は、『回転軸密閉装置において、異なる種類のシールを連接し、リップ部で密封を行い樹脂リングで振動に対応するものは従来周知』であると主張する(申立書第47頁第8~10行:申立人はこれを「周知技術4」と称している。)。
上記(ア)で既に述べたとおり、甲1発明1に甲2記載の技術的事項を適用する動機付けは認められないが、仮に、甲1発明1に甲2記載の技術的事項を適用したとしても、その適用により初めて、“異なる種類のシール”を有するという構成が得られる。この甲1発明1に甲2記載の技術的事項を適用して初めて得られる“異なる種類のシール”に対して、さらに重畳的に「異なる種類のシールを連接する」という周知技術4を適用することは、当業者が容易になし得る事項であるとは認められない。
さらに、申立人は周知技術4の証拠として甲11を挙げているが、甲11に記載された第一シール手段4と第二シール手段6は真空部分を密封するためのシールでない点で、甲1発明1の「磁気シール部7」や甲2記載の「複数の第1密閉部材5」及び「複数の第2密閉部材11」と異なるし、甲11に記載された第一シール手段4と第二シール手段6のそれぞれが“複数のシール”によって構成されない点で、甲1発明1の「磁気シール部7」や甲2記載の「複数の第1密閉部材5」及び「複数の第2密閉部材11」と異なる。甲11に記載された第一シール手段4と第二シール手段6と甲1発明1及び甲2記載の技術的事項との違いにかんがみれば、甲1発明1に甲2記載の技術的事項を適用して得られたものに対して、周知技術4を適用することはできない。
(ウ)以上のとおり、甲1発明1、甲2記載の技術的事項、及び周知技術4から、本件発明1の相違点2に係る構成に想到することが、当業者にとって容易であるとはいえない。
なお、申立人が主張する周知技術1(甲3及び4)は『回転軸密閉において、同一種類の複数のシールを回転軸に沿って併設するもの』あり(申立書第45頁第8~11行)であり、この相違点3に係る結論に影響を与えるものではない。
エ 本件発明1のまとめ
以上のとおり、本件発明1は、甲1発明1、甲2記載の技術的事項、周知技術1(甲3及び4)、周知技術2(甲5~7)、周知技術3(甲8~11)、及び周知技術4(甲11)に基いて当業者が容易に発明することができたものではない。
2 本件発明2~10について
本件発明2~10は、本件発明1にさらに限定を付加したものである。また、申立人が主張する周知技術5(甲5及び7)を勘案しても本件発明1は当業者が容易に想到し得たものとはいえないため、本件発明2~10も、本件発明1と同様に周知技術5(甲5及び7)を勘案しても当業者が容易に想到し得たものとはいえない。
したがって、上記1から明らかなとおり、本件発明2~5、7~10は、甲1発明1、甲2記載の技術的事項、周知技術1(甲3及び4)、周知技術2(甲5~7)、周知技術3(甲8~11証)、及び周知技術4(甲11)に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでないし、本件発明6は、甲1発明1、甲2記載の技術的事項、周知技術1(甲3及び4)、周知技術2(甲5~7)、周知技術3(甲8~11)、周知技術4(甲11)及び周知技術5(甲5及び7)に基いて当業者が容易に発明することができたものでない。
3 本件発明11について
(1)対比
本件発明11と甲1発明2とを対比する。
ア 甲1発明2の「半導体ウエハW」は、本件発明11の「半導体基板」に相当し、甲1発明2の「半導体ウエハW」を「熱処理する」ことは、本件発明11の「前記半導体基板」を「処理する」ことに相当する。甲1発明2の「縦型熱処理装置」は、本件発明11の「半導体基板処理装置」に相当する。
イ 甲1発明2の「反応管2とマニホールド22とから構成される反応容器」ないし「反応容器」は、本件発明11の「工程チューブ」に相当する。
ウ 甲1発明2の「反応容器内をエレベータにより昇降可能とされ、反応容器内に配置される」ことは、本件発明11の「前記工程チューブ内に昇降可能に配置される」ことに相当し、甲1発明2の「ウエハボート23」は、本件発明11の「半導体積載ユニット」に相当する。
エ 甲1発明2の「反応容器を構成するマニホールド22に接続され」ることは、本件発明11の「前記工程チューブの内側に設けられ」ることとの対比において、「前記工程チューブに設けられ」る限りにおいて一致する。
甲1発明2の「反応容器内にガスを供給する」ことは、本件発明11の「工程ガスを注入する」ことに相当し、甲1発明2の「第1のガス供給管26及び第2のガス供給管28」は、本件発明11の「ノズルユニット」に相当する。
オ 甲1発明2の「反応容器の下端の開口部を気密状態にして閉じる」ことは、本件発明11の「前記工程チューブの下部を密閉する」ことに相当し、甲1発明2の「蓋体3」は、本件発明11の「シーリングキャップ」に相当する。
カ 甲1発明2の「ウエハボート23」は本件発明11の「半導体載置ユニット」に相当し、甲1発明2の回転軸4が「ウエハボート23を回転させる」ことは、本件発明11の「前記半導体積載ユニットを回転させ」ることに相当する。
甲1発明2の「回転軸支持構造」は「磁気シール部7」を備え、この「磁気シール部7」が「ケーシング5と回転軸4の間を気密にシールする」ことが、本件発明11の「密閉機能を行う」ことに相当し、甲1発明2の「磁気シール部7」を備えた「回転軸支持構造」が本件発明11の「回転軸密閉装置」に相当する。
キ 甲1発明2の「蓋体3に固定される」ことは、本件発明11の「前記シーリングキャップに装着される」ことに相当し、甲1発明2の「ケーシング5」は本件発明11の「ハウジング」に相当する。
ク 以上のほか、甲1発明2における「回転軸支持構造」に係る事項と、本件発明11の「回転軸密封装置」に係る発明特定事項との間には、上記1(1)ウ~キと同様の相当関係がある。
以上を総合すると、甲1発明2と本件発明11とは以下の一致点で一致し、上記1(1)であげた相違点1~3のほか、以下の相違点4及び5で相違する。
[一致点]
半導体基板を処理する半導体基板処理装置であって、
内部に複数の半導体基板を収容する工程チューブと、
前記工程チューブ内に昇降可能に配置される半導体積載ユニットと、
前記工程チューブに設けられて工程ガスを注入するためのノズルユニットと、
前記工程チューブの下部を密閉するシーリングキャップと、
前記半導体積載ユニットを回転させ、密閉機能を行う回転軸密閉装置と、
を含み、
前記回転軸密閉装置は、
前記シーリングキャップに装着される中空のハウジングと、
前記ハウジング内に収容され、前記半導体積載ユニットに接続されて前記半導体積載ユニットに回転力を伝達する回転軸と、
前記回転軸を前記ハウジング内に回転自在に支持するベアリングと、
前記ハウジングと前記回転軸との間の間隙を密封する複数のシールを備えるシール部と、
前記回転軸の一端に装着されて前記回転軸に回転力を伝達する動力伝達部とを含んでおり、
前記シール部は、
前記回転軸と接して前記回転軸に沿って並設されており、前記半導体基板処理装置の真空を保持するための複数の真空シールを含む、半導体基板処理装置。
[相違点4]
ノズルユニットが「前記工程チューブに設けられ」ることに関し、本件発明11は、ノズルユニットが「前記工程チューブの内側に設けられ」るのに対し、甲1発明2は、第1のガス供給管26及び第2のガス供給管28が「反応容器を構成するマニホールド22に接続され」るように設けられる点。
[相違点5]
本件発明11は、「シーリングキャップ」が「前記半導体積載ユニットと接続」するものであるのに対し、甲1発明2は、「蓋体3」がウエハボート23と接続するか、明らかでない点。
(2)判断
相違点1~3については、上記1(2)で述べた理由と同様に、甲1発明2、甲2記載の技術的事項、周知技術1~4に基いて、相違点1~3に係る本件発明11の構成に想到することは、当業者にとって容易であるとはいえない。
したがって、相違点4及び5について検討するまでもなく、本件発明11は、甲1発明2、甲2記載の技術的事項、周知技術1(甲3及び4)、周知技術2(甲5~7)、周知技術3(甲8~11)、及び周知技術4(甲11)に基いて当業者が容易に発明することができたものではない。
4 本件発明12及び13について
本件発明12及び13は、本件発明11にさらに限定を付加したものである。
したがって、上記3(2)から明らかなとおり、本件発明12~13は、甲1発明2、甲2記載の技術的事項、周知技術1(甲3及び4)、周知技術2(甲5~7)、周知技術3(甲8~11)、及び周知技術4(甲11)に基いて当業者が容易に発明することができたものでない。
第6 むすび
したがって、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、本件特許の請求項1ないし13に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件特許の請求項1ないし13に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2024-700304