2022-700040
デバイス用硬化性接着シート
- 審判番号
- 2022-700040
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2021-502911外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 登録番号
- 6905160
- 請求日
- 2022年01月18日
- 審決日
- 2022年07月27日
- 公報発行日
- 2022年08月26日
- 結論
- 維持
- 分類
- P1652.113-Y (C09J) / P1652.121-Y (C09J)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 14項目
第1 手続の経緯
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特許第6905160号の請求項1~9に係る特許についての出願は、2020年(令和2年)9月29日(優先権主張 令和2年3月13日)を国際出願日とする出願であって、令和3年6月28日にその特許権の設定登録がされ、同年7月21日に特許掲載公報が発行された。その後、その請求項1~4、6~9に係る特許に対し、令和4年1月18日に特許異議申立人 塚本晃(以下、「特許異議申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、当審は、同年4月19日付けで取消理由を通知し、特許権者は、その指定期間内である同年6月17日に意見書の提出を行った。
第2 本件発明
特許第6905160号の請求項1~4、6~9に係る発明(以下、「本件特許発明1」等といい、まとめて「本件特許発明」ともいう。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1~4、6~9に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。
「【請求項1】下記(A)成分及び(B)成分を含有する接着剤層を有するデバイス用硬化性接着シート。(A)成分:ビニル基を有するポリフェニレンエーテル樹脂(B)成分:下記式で表される化合物続きを表示(全21行)【化1】[図:0001387517000001.jpg](式中、Rは、炭素数5~15の飽和炭化水素基を表す。)【請求項2】前記(B)成分の分子量が、1,000以下である、請求項1に記載のデバイス用硬化性接着シート。【請求項3】前記接着剤層が、オレフィン系樹脂をバインダー樹脂として含有するものである、請求項1又は2に記載のデバイス用硬化性接着シート。【請求項4】前記接着剤層が、反応性官能基を有する樹脂をバインダー樹脂として含有するものである、請求項1~3のいずれかに記載のデバイス用硬化性接着シート。【請求項6】前記接着剤層が、環状エーテル基を有する化合物を含有する層、又は、環状エーテル基を有する化合物を含有しない層であって、環状エーテル基を有する化合物の含有量が接着剤層中5質量%未満である、請求項1~5のいずれかに記載のデバイス用硬化性接着シート。【請求項7】前記接着剤層が、25℃において液体の化合物を含有する層であって、25℃において液体の化合物の含有量が、接着剤層中5質量%以上である、請求項1~6のいずれかに記載のデバイス用硬化性接着シート。【請求項8】25℃において液体の化合物の少なくとも1種が、末端に二重結合を有する炭化水素基を2以上有する化合物である、請求項7に記載のデバイス用硬化性接着シート。【請求項9】末端に二重結合を有する炭化水素基を2以上有し、かつ、25℃において液体の化合物の含有量が、25℃において液体の化合物の全量中90質量%以上である、請求項8に記載のデバイス用硬化性接着シート。」
第3 取消理由通知に記載した取消理由について
本件特許の請求項1~4、6~9に係る特許に対して、当審が令和4年4月19日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
理由(進歩性)本件特許の請求項1~4、6~9に係る発明は、本件特許優先日前に日本国内又は外国において、頒布された下記第4 1の甲第2号証又は甲第3号証、並びに、甲第1号証、甲第9号証及び甲第11号証に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、上記の請求項に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
第4 当審の判断
1 甲号証について
<https://web.archive.Org/web/20191106182201/http:/www.shikoku.co.jp/products/chemical/fine-chemical/allyl.php>)
2 甲号証の記載について
(1)甲第1号証(以下、「甲1」という。)
1a
「[図:0001387517000002.jpg][図:0001387517000003.jpg]」(第1~2ページ)
(2)甲第2号証(以下、「甲2」という。)
2a「[請求項1]
成分(A)として主鎖の末端のヒドロキシル基がエチレン性不飽和化合物で変性されたポリフェニレンエーテルと、成分(B)としてヒドロキシル基もしくはカルボキシル基を有するオレフィン樹脂と、成分(C)としてトリアリルイソシアヌレートおよびトリアリルシアヌレートの少なくとも1種と、成分(D)として有機過酸化物とを含有することを特徴とする樹脂組成物。
・・・
[請求項5]
請求項1~4のいずれかに記載の樹脂組成物と、基材とで構成されていることを特徴とするプリプレグ。
[請求項6]
請求項5に記載のプリプレグの表面に導電性金属箔を備えることを特徴とする金属張積層板。
[請求項7]
前記プリプレグ中の樹脂組成物は、前記成分(A)と前記成分(B)と前記成分(C)と前記成分(D)との架橋物を含有することを特徴とする請求項6に記載の金属張積層板。
[請求項8]
複数の絶縁層と該絶縁層間に配置された導体層とを具備し、前記絶縁層が、請求項1~4のいずれかに記載の樹脂組成物と基材とで構成されていることを特徴とする配線基板。」
2b「[0015]
本開示の樹脂組成物に用いられる成分(B)は低誘電率・低誘電正接成分として作用し、低分子量であるために、成分(B)は成分(A)と成分(C)との混合物に混和する。混和した際にトリアリルイソシアヌレートもしくはトリアリルシアヌレートのカルボニル基と、オレフィン樹脂の変性基であるヒドロキシル基もしくはカルボキシル基とが水素結合し、未反応の成分(C)の置換基、および成分(A)と成分(C)との架橋物中の未架橋部の置換基が、高周波環境下において運動することを抑制するため、成分(B)の材料としての優れた高周波特性と相まって、優れた高周波特性が発揮される。成分(B)としては、例えばシクロオレフィンコポリマー、ポリメチルペンテンなどがあげられる。
[0016]
成分(B)の含有量は特に限定されず、成分(A)と、成分(B)と、後述の成分(C)と、後述の成分(D)との合計量を100質量%としたときに、成分(B)は2.0~20.0質量%含有することができる。成分(B)がこのような割合で含まれることによって、誘電率、誘電正接を低減できる。成分(B)は、2.0~10.0質量%の割合で含むことができる。
[0017]
本開示の樹脂組成物に用いられる成分(C)は架橋剤として作用し、トリアリルイソシアヌレートおよびトリアリルシアヌレートのうちの一方を用いてもよく、両方を用いてもよい。トリアリルイソシアヌレートおよびトリアリルシアヌレートから選択される少なくとも1種を用いることによって、優れた高周波特性および耐熱性が発揮される。」
2c「[0037]
次に、本開示の金属張積層板について説明する。本開示の金属張積層板は、本開示のプリプレグの表面に導電性金属箔を備えている。例えば、本開示の金属張積層板は、本開示のプリプレグと導電性金属箔とを重ね合わせ加熱加圧成形して得られる。導電性金属箔と
しては特に限定されず、例えば、電解銅箔、圧延銅箔などの銅箔、アルミニウム箔、これらの金属箔を重ね合わせた複合箔などが挙げられる。これらの導電性金属箔の中でも、銅箔が好ましい。導電性金属箔の厚みは特に限定されず、5~105μm程度のものを使用できる。本開示の金属張積層板は、本開示のプリプレグと導電性金属箔とをそれぞれ所望の枚数重ね合わせ、加熱加圧成形しても得られる。本開示の金属張積層板は、例えばプリント基板などに用いられる。
[0038]
次に、本開示の配線基板について説明する。本開示の配線基板は、複数の絶縁層と該絶縁層間に配置された導体層とを具備しており、絶縁層が本開示の樹脂組成物と基材とで形成されている。
[0039]
本開示の配線基板は、例えば、本開示の金属張積層板に回路およびスルーホールが形成された内層板とプリプレグとを重ね合わせ、プリプレグの表面に導電性金属箔を積層させた後、加熱加圧成形して得られる。さらに、表面の導電性金属箔に回路およびスルーホールを形成して、多層プリント配線基板としてもよい。
[0040]
本開示の樹脂組成物によれば、誘電正接を低下させることができる。このような樹脂組成物を用いることによって、誘電正接の低いプリプレグおよび金属張積層板、ならびに優れた高周波特性を有する配線基板を得ることができる。
実施例
[0041]
以下、実施例を挙げて本開示の樹脂組成物を具体的に説明するが、本開示の樹脂組成物はこれらの実施例に限定されるものではない。
[0042]
試料で使用した成分は、下記のとおりである。
[0043]
[0044]
(試料1~8)
表1に示す成分を表1に示す割合で混合し、さらに難燃剤として「SAYTEX8010」(アルベマール浅野(株)製)を、成分(A)と成分(B)と成分(C)と成分(D)との合計量100質量部に対して30質量部添加し、室温(25℃)で撹拌して樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物をトルエンに溶解させて樹脂ワニスを得た。樹脂組成物とトルエンとの質量比は50:50である。
[0045]
得られた樹脂ワニスをバーコーターを用いてPETフィルム(キャリアフィルム)上に成形し、この後に110℃で4分乾燥し、樹脂フィルムを得た。
[0046]
得られた樹脂フィルムをラミネーターによる積層およびキャリアフィルムの剥離を繰り返して樹脂板を作製した。
[0047]
次に、得られた樹脂板の両面を18μmの厚みを有する銅箔で挟み、4MPaの加圧下
で200分間加熱し(200℃)、1mmの厚みを有する銅張積層板を得た。
[0048]
得られた銅張積層板の銅箔を剥離して、樹脂板の10GHzにおける誘電率および誘電正接をインピーダンスアナライザー法にて測定した。結果を表1に示す。
[0049]
[表1]
[図:0001387517000004.jpg]
[0050]
この表1から、試料1~6に示す樹脂組成物は誘電率および誘電正接が低いことがわかる。一方、ヒドロキシル基もしくはカルボキシル基を有するオレフィン樹脂を用いなかった試料7、8は、いずれも誘電率および誘電正接が高いことがわかる。」
(3)甲第3号証(以下、「甲3」という。)
3a「【請求項1】
エチレン-プロピレン-ジエン共重合体(A)と、
末端変性ポリフェニレンエーテル化合物(B)と、を含み、
オレフィンユニットとスチレンユニットとを含む共重合体であるエラストマー(C)と、重合性不飽和結合を有する表面処理剤で表面処理された無機充填材(D)と、のうち少なくともいずれか一方を更に含む、
熱硬化性樹脂組成物。
・・・
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の熱硬化性樹脂組成物の乾燥物又は半硬化物を含む、
樹脂シート。
【請求項9】
金属箔と、
前記金属箔に重なる樹脂層と、を備え、
前記樹脂層は、請求項1から7のいずれか一項に記載の熱硬化性樹脂組成物の乾燥物又は半硬化物を含む、
樹脂付き金属箔。」
3b「【0006】
本開示の目的は、その硬化物が、低い誘電率及び低い誘電正接を有しながら、耐燃性に優れる熱硬化性樹脂組成物と、この熱硬化性樹脂組成物の乾燥物又は半硬化物を含む樹脂シートと、この熱硬化性樹脂組成物の半硬化物を含む樹脂層を備える樹脂付き金属箔と、この熱硬化性樹脂組成物の硬化物を含む絶縁層を備える金属張積層板と、この熱硬化性樹脂組成物の硬化物を含む絶縁層を備えるプリント配線板とを提供することにある。」
3c「【0072】
(v)重合性不飽和基を含む有機化合物
上述の通り、前記熱硬化性樹脂組成物は重合性不飽和基を有する有機化合物(E)を含むことが好ましい。この場合、前記熱硬化性樹脂組成物の硬化物の耐熱性及び耐燃性の低下を抑制することができる。
【0073】
有機化合物(E)が含む重合性不飽和基は、例えばビニル基、アリル基、メタクリル基、スチリル基、メタ(アクリル)基、及びマレイミド基からなる群から選択される少なくとも一種の基を含む。前記熱硬化性樹脂組成物が有機化合物(E)を含有すると、有機化合物(E)に含まれる成分の選択によって、前記熱硬化性樹脂組成物及び硬化物の物性を制御できる。例えば有機化合物(E)が重合性不飽和基を一つ有する単官能化合物を含有すると、単官能化合物は前記熱硬化性樹脂組成物の溶融粘度を低減して成形性を向上できる。また、有機化合物(E)が重合性不飽和基を複数有する多官能化合物を含有すると、多官能化合物は、硬化物の架橋密度を増大させることができる。それにより、多官能化合物は、硬化物の靭性向上、ガラス転移点向上及びそれに伴う耐熱性向上、線膨張係数の低減、並びに密着性向上に、寄与できる。有機化合物(E)は、多官能化合物として、ジビニルベンゼン、トリビニルシクロヘキサン、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)、ジシクロペンタジエンジメタノールジメタクリレート、及びノナンジオールジメタクリレートからなる群から選択される一種以上を含むことが好ましい。この場合、前記熱硬化性樹脂組成物の硬化物の耐燃性を向上させることができる。また有機化合物(E)は、多官能化合物として、4,4´-ジフェニルメタンビスマレイミド、m-フェニレンビスマレイミド、ビスフェノールAジフェニルエーテルビスマレイミド、3,3´-ジメチル-5,5´-ジエチル-4,4´-ジフェニルメタンビスマレイミド、4-メチル-1,3-フェニレンビスマレイミドおよび1,6-ビスマレイミド-(2,2,4-トリメチル)ヘキサンからなる群から選択される一種以上のビスマレイミドを含んでいてもよい。有機化合物(E)は、市販されているビスマレイミドとして、DESIGNER MOLECULES社製の商品名BMI-689又はBMI-3000を含むことも好ましい。この場合、前記熱硬化性樹脂組成物の硬化物の耐燃性を向上させることができる。
【0074】
前記熱硬化性樹脂組成物が有機化合物(E)を含有する場合の有機化合物(E)の量は、共重合体(A)と化合物(B)の合計100質量部に対して5質量部以上50質量部以下が好ましい。有機化合物(E)の量が5質量部以上であることにより、前記熱硬化性樹脂組成物の硬化物の耐熱性を向上させることができる。有機化合物(E)の量が50質量部以下であることにより、前記熱硬化性樹脂組成物の硬化物の、誘電率及び誘電正接を低くできると共に、タックの発生を抑制することができる。
・・・
【0086】
2-2.樹脂シート
本実施形態に係る樹脂シートは、前記熱硬化性樹脂組成物の乾燥物又は半硬化物を含む。樹脂シートは、積層板及びプリント配線板作製のための材料に適用できる。すなわち、樹脂シートを用い、樹脂シートの硬化物を含む絶縁層(すなわち、前記熱硬化性樹脂組成物の硬化物を含む絶縁層)を備える積層板、及び樹脂シートの硬化物を含む絶縁層(すなわち、前記熱硬化性樹脂組成物の硬化物を含む絶縁層)を備えるプリント配線板を、作製できる。
【0087】
樹脂シートを製造するためには、例えば前記熱硬化性樹脂組成物を塗布法等によりシート状に成形してから、加熱することで乾燥させ又は半硬化させる。これにより、前記熱硬化性樹脂組成物の乾燥物又は半硬化物を含む樹脂シートが得られる。加熱時の温度は前記熱硬化性樹脂組成物に含まれる溶剤を乾燥させ、樹脂成分を半硬化させることが可能な温度であれば良く、例えば100℃以上160℃以下、加熱の時間は例えば5分以上10分以下である。
【0088】
樹脂シートを加熱して硬化させることで、前記熱硬化性樹脂組成物の硬化物を含む絶縁層を作製できる。加熱時の温度は例えば160℃以上200℃以下、好ましくは180℃以上200℃以下であり、加熱の時間は例えば30分以上120分以下、好ましくは60分以上120分以下である。また、本開示の樹脂シートは、複数の層を張り付けるためのボンディングシートとして使用することも可能である。具体的には、まず、支持フィルムに前記熱硬化性樹脂組成物を塗布してシート状に成形し、これを乾燥または半硬化させることによって樹脂シートを形成する。次に、当該樹脂シートを基板等に張り付けてから支持フィルムを剥がす。次に、前記基板上に形成された乾燥物または半硬化物上に、別途の基板等を張り付ける。これにより、樹脂シートに含まれる前記熱硬化性樹脂組成物の乾燥物または半硬化物によって、複数の基板を貼り付けることができる。」
3d「【0131】
以下、本発明を実施例によって具体的に説明する。なお、本発明は、この実施例のみには制限されない。
【0132】
1.樹脂シートの作製
表1及び表2中の「組成」の欄に示す成分を、トルエンに溶解させることで、固形分濃度25質量%の実施例1~21、及び比較例1~3の熱硬化性樹脂組成物を得た。
【0133】
コンマコーター及びこれに接続された乾燥機を用いて、厚み38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に熱硬化性樹脂組成物を塗布してから、熱硬化性樹脂組成物を110℃で5分間加熱することで、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に厚み25μmの樹脂シートを作製した。これにより、実施例1~21及び比較例1~3の樹脂シートを作製した。
・重合性不飽和基を有する有機化合物1:トリアリルイソシアヌレート、三菱ケミカル株式会社製、品番TAIC。
・重合性不飽和基を有する有機化合物2:トリアリルトリメリテート、富士フィルム和光純薬株式会社製、品番TRIAM-705。
・重合性不飽和基を有する有機化合物3:ジビニルベンゼン。
・重合性不飽和基を有する有機化合物4:トリビニルシクロヘキサン。
・重合性不飽和基を有する有機化合物5:トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート、新中村化学製、品番DCP。
・重合性不飽和基を有する有機化合物6:ビスマレイミド、DESIGNER MOLECULES製、品番BMI-689。
・熱ラジカル重合開始剤:日油株式会社製、品名パーブチルP。
【0134】
2.評価
(I)Bステージフィルム性
実施例1~21及び比較例1~3の樹脂シートを対象にして、JIS K5600-5-1(耐屈曲性(円筒形マンドレル))に基づき、屈曲性試験を行った。その結果を、以下の基準で評価した。その結果を表1及び表2に示す。
A:クラック生じなかった。
B:φ10mmでクラックが生じた。
C:φ20mmでクラックが生じた。
-:未評価
(II)耐燃性
実施例1~21及び比較例1、2の樹脂シートからテストピースを作製し、UL94垂直法の規格に準拠する難燃性試験を行った。難燃性試験の結果、V-0の燃焼性クラスを満たすものを「A」、V-0の燃焼性クラスを満たさないものを「B」と評価した。その結果を表1及び表2に示す。
(III)熱膨張率
実施例1~21及び比較例1、2の樹脂シートを対象にして、熱機械分析装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製「TMA/SS6100」)を用いて、引っ張り測定を行った。熱機械分析装置の測定条件は、チャック間長を15mm、荷重を10g、350℃までの昇温速度を10℃/minとした。各樹脂シートの引っ張り測定の測定結果を示すTMA曲線から、各樹脂シートの常温からガラス転移温度未満の温度までの熱膨張係数を求めた。その結果を表1及び表2に示す。
(IV)誘電特性(比誘電率及び誘電正接)
厚み18μmの二つの銅箔を、その光沢面同士が対向するように配置し、二つの銅箔の間に樹脂シートを配置した。これらを200℃、2MPaの条件で1時間加熱プレスすることで、サンプルを作製した。このサンプルにエッチング処理を施すことで両面の銅箔を除去することで、実施例1~21及び比較例1,2の樹脂シートの硬化物からなる試験片を作製した。この試験片の、試験周波数10GHzの場合での比誘電率及び誘電正接を、IPC TM-650 2.5.5.5に基づいて測定した。
(V)はんだ耐熱性
厚み12μmの銅箔と厚み3μmのポリアミドイミド製の絶縁層とを備える基材を二つ用意した。二つの基材を絶縁層同士が対向するように配置し、更に絶縁層の間に樹脂シートを配置した。これらを200℃、2MPaの条件で1時間加熱プレスすることで、実施例1~21及び比較例1,2のサンプルを作製した。このサンプルから、JIS C6471に基づき試験片を作製した。この試験片を260℃、288℃、及び300℃のはんだ浴に3分間浮かべてから引き上げた後、試験片の外観を観察した。その結果、はんだ浴の温度が260℃、288℃、300℃のいずれの場合でも膨れ、はがれ等の異常が認められない場合を「A」、はんだ浴の温度が260℃では異常が認められないが288℃では以上が認められた場合を「B」、はんだ浴の温度が260℃、288℃、300℃のいずれの場合でも異常が認められた場合を「C」と、評価した。
【0135】
【表1】
[図:0001387517000005.jpg]
【0136】
【表2】
[図:0001387517000006.jpg]
【0137】
実施例1から21の熱硬化性樹脂組成物はフィルムを形成することができたが、共重合体(A)を含まない比較例1からは、フィルムを形成することができなかった。
【0138】
化合物(B)を含む実施例1~21の熱硬化性樹脂組成物と比べて、化合物(B)を含まない比較例2では、硬化物の熱膨張率が増大し、はんだ耐熱性が低下した。
【0139】
化合物(B)に対する共重合体(A)の量が、50質量部未満である実施例14は、50質量部以上である実施例1と比べて、Bステージフィルム性のクラックの評価が低下している。また100質量部を大きく超える実施例15は、耐燃性が低下した。
【0140】
共重合体(A)と化合物(B)の総量100質量部に対するエラストマー(C)の量が、50質量部を大きく超える実施例19は、50質量部を大きく超えない他の実施例と比べて、はんだ耐熱性及び耐燃性が低下している。
【0141】
共重合体(A)と化合物(B)の総量100質量部に対する無機充填材(D)の量が、30質量部以上である実施例1から15と比べて、30質量部未満である実施例16は、硬化物のはんだ耐熱性が若干低下した。無機充填剤(D)が含まれない実施例18は、硬化物のはんだ耐熱性がさらに低下した。無機充填剤(D)の量が500質量部を超えた実施例17は、Bステージフィルム性(クラック)の評価が低下した。
【0142】
有機化合物(E)が含まれない実施例20は、共重合体(A)と化合物(B)の総量100質量部に対する有機化合物(E)の量が10質量部以上である実施例1から14、16から18よりも、耐燃性が低下した。」
(4)甲第9号証(以下、「甲9」という。)
9a「【請求項1】
(A)末端にスチレン基を有しフェニレンエーテル骨格を有する熱硬化性樹脂、
(B)水添されたスチレン系熱可塑性エラストマー、および、
(C)ポリテトラフルオロエチレンフィラー
を含有し、前記成分(A)~成分(C)の合計質量に対して、前記成分(C)を40質量%以上80質量%以下含有することを特徴とする樹脂組成物。
・・・
【請求項5】
請求項1~4のいずれかに記載の樹脂組成物より形成される絶縁フィルム。
・・・
【請求項11】
主面上に配線パターンが形成される配線付樹脂基板として、請求項5に記載の絶縁フィルムの硬化物を用いたフレキシブル配線板。」
9b「【0007】
高周波での電気特性についての要求はますますきびしくなっており、周波数1~10GHzの領域での誘電率は2.30未満であることが求められ、周波数1~10GHzの領域での誘電正接(tanδ)を0.0015未満であることが求められる。」
9c「【0066】
誘電率(ε)、誘電正接(tanδ):絶縁フィルムを200℃で加熱硬化させ、支持体から剥離した後、該接着性フィルムから試験片(40±0.5mm×100±2mm)を切り出し、厚みを測定した。試験片を長さ100mm、直径2mm以下の筒状に丸めて、空洞共振器摂動法(10GHz)にて、誘電率(ε)および誘電正接(tanδ)を測定した。誘電率(ε)が2.25未満の場合を◎、2.25以上、2.30未満の場合を○、2.30以上の場合を×とした。誘電正接(tanδ)が0.0010未満の場合を◎、0.0010以上、0.0015未満の場合を○、0.0015以上の場合を×とした。
ピール強度:絶縁フィルムの両面に、粗化面を内側にした銅箔(CF-T9FZSV、福田金属箔粉工業株式会社製、厚さ18μm)を貼り合わせ、プレス機で熱圧着させた(200℃、60min、10kgf)。この試験片を10mm幅でカットし、オートグラフで引きはがして、JIS K6854-2に準拠してピール強度(180度ピール)を測定した。6N/10mm以上の場合を◎、6N/10mm未満 4N/10mm以上の場合を○、4N/10mm未満の場合を×とした。」
(5)甲第11号証(以下、「甲11」という。)
11a「[請求項1]
エチレン-プロピレン-ジエン共重合体(A)と、
重合性不飽和結合を有する表面処理剤で表面処理された無機充填材(B)と、
を含有する、
熱硬化性組成物。
・・・
[請求項6]
金属箔と、前記金属箔に重なる樹脂層とを備え、
前記樹脂層は、請求項1から4のいずれか一項に記載の熱硬化性組成物の乾燥物又は半硬化物を含む、
樹脂付き金属箔。」
11b「[0002]
情報伝達の高速化は継続して進展を続けている。それに伴い、高速信号を処理できるプリント配線板を得るために、プリント配線板の絶縁層の低誘電率化及び低誘電正接化が求められている。」
3 甲号証に記載された発明
(1)甲2に記載された発明
甲2の[0041]~[0049]には「SA9000:メタクリル変性ポリフェニレンエーテル、COC:マレイン化変性シクロオレフィンコポリマー、TAIC:トリアリルイソシアヌレート、パーヘキシン25B:2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキサイド)ヘキシン-3、シリカ粒子:SFP-130MC、SAYTEX8010からなる試料から得られた樹脂ワニスをバーコーターを用いてPETフィルム(キャリアフィルム)上に成形し、この後に110℃で4分乾燥し、得た樹脂フィルムであって、該樹脂フィルムは、これをラミネーターによる積層およびキャリアフィルムの剥離を繰り返して、作製した樹脂板を両面を18μmの厚みを有する銅箔で挟み、4MPaの加圧下で200分間加熱し(200℃)、1mmの厚みを有する銅張積層板を得るためのものである、樹脂フィルム。」の発明(以下、「甲2発明」という。)が記載されているといえる(摘記2c参照)。
(2)甲3に記載された発明
甲3の【表1】及び【表2】の実施例1、2、7~10、12~19、21及び請求項9に着目すると、「エチレン-プロピレン-ジエン共重合体、末端変性ポリフェニレンエーテル化合物:OPE-2St、エラストマー、無機充填材、重合性不飽和基を有する有機化合物1:トリアリルイソシアヌレート、難燃剤からなる熱硬化性樹脂組成物から作製され、その表面に金属箔を設けてプリント配線基板を製造するための樹脂シート。」の発明(以下、「甲3発明」という。)が記載されているといえる(摘記3a、3d参照)。
4 対比・判断
(1)甲2発明を主たる引用発明とする場合
ア 本件特許発明1
(ア)甲2発明との対比
甲2発明の「SA9000:メタクリル変性ポリフェニレンエーテル」は、メタクリル変性であるから、ビニル基を有しており、本件特許発明1の「(A)成分:ビニル基を有するポリフェニレンエーテル樹脂」に相当する。
また、甲2発明の「フィルム」は、一般的に「薄皮。薄膜」を意味するものであって(広辞苑第七版)、同様に一般的に「薄板や紙などの1枚。」の意味である「シート」(広辞苑第七版)と相違するものではないから、本件特許発明1の「シート」に相当する。
そうすると、本件特許発明1と甲2発明は、「下記(A)成分を含有するシート。
(A)成分:ビニル基を有するポリフェニレンエーテル樹脂。」である点で、一致し、以下の点で相違する。
<相違点2-1>
シートが、本件特許発明1は、接着剤層を有するデバイス用硬化性接着シートであるのに対し、甲2発明は、そのような特定がない点。
<相違点2-2>
シートが、本件特許発明1では、(B)成分:下記式で表される化合物
【化1】
[図:0001387517000007.jpg]
を含有するのに対し、甲2発明は、樹脂フィルムがTAIC:トリアリルイソシアヌレートを含有する点。
(イ)相違点についての検討
事案に鑑み、まず、<相違点2-2>について検討する。
甲2には、甲2発明に含まれるTAICは架橋剤として作用し、耐熱性を発揮することが、記載されている(摘記2b参照)。このような記載に接した当業者は、TAICを、例えば、TAIC以外の架橋剤であって、TAICよりも高い耐熱性を発揮することができる架橋剤や、あるいは、耐熱性についてはTAICと同等の効果を発揮しつつ、耐熱性以外にも追加の効果を発揮するような架橋剤に変更することを動機づけられる可能性があるといえる。そこで以下検討する。
まず、甲2には、TAICよりも高い耐熱性を発揮することができる架橋剤の例示が一切ないし、L-DIACがそのような架橋剤であるという技術常識もないから、仮に、TAICを、TAICよりも高い耐熱性を発揮することができる架橋剤に変更することを着想し得たとしても、L-DIACを選択することができたとはいえない。
次に、甲9にはフレキシブル配線板に使用する樹脂組成物は非常に低い誘電正接が求められていることが記載されており(摘記9a、9b参照)、甲11には熱硬化性組成物の硬化物を含むプリント配線板の絶縁層の低誘電正接化が求められていることが記載されているように、誘電正接は、低ければ低いほどよいものであるから(摘記11a、11b参照)、甲2発明のような、樹脂板として、銅張積層板のような金属張積層板をプリント基板などに用いる樹脂フィルムにも低誘電正接化が求められているといえる。
そして、甲1には、L-DAIC
[図:0001387517000008.jpg]
は、架橋剤であり、L-DAICを含む硬化物が、TAICを含む硬化物より、低誘電正接を示すことが、記載されている(摘記1a参照)。
一方、甲2発明は、特定の樹脂組成物(「SA9000:メタクリル変性ポリフェニレンエーテル、COC:マレイン化変性シクロオレフィンコポリマー、TAIC:トリアリルイソシアヌレート、パーヘキシン25B:2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキサイド)ヘキシン-3、シリカ粒子:SFP-130MC、SAYTEX8010からなる試料から得られた樹脂ワニスをバーコーターを用いてPETフィルム(キャリアフィルム)上に成形し、この後に110℃で4分乾燥し、得た樹脂」)を用いることによって、誘電正接を低下させることができ、優れた高周波特性を有する配線基板を得ることができるものである(摘記2b参照)。
そして、特許権者が上記意見書に添付した乙第1号証には、TAICを用いた硬化物のガラス転移点(Tg)が200℃超であるのに対して、L-DAICを用いた硬化物のガラス転移点(Tg)は119℃であることが示されており(下記参照)、甲3の【0073】に記載されるように、樹脂組成物(硬化物)のガラス転移点(Tg)が上昇すれば耐熱性が向上することを意味する(摘記3c参照)。
[図:0001387517000009.jpg]
ここで、乙第1号証は、令和2年1月24日に一般社団法人日本接着学会主催の「自動運転・高周波を支える材料技術に関する講習会」(以下、「令和2年1月24日の講習会」ともいう)において、熊野岳(四国化成工業株式会社)による「グリコールウリル、イソシアヌル酸誘導体の特徴と改質剤への応用例」との題目での発表資料であって、
[図:0001387517000010.jpg]
乙第1-1号証は、令和2年1月24日の講習会のプログラムが記載されており、同日の12:50~13:35に、乙第1号証の作成者である熊野岳(四国化成工業株式会社)が「グリコールウリル、イソシアヌル酸誘導体の特徴と改質剤への応用事例」の題目で発表する旨が記載されており、乙第1号証が前記講習会の発表資料である旨を裏付けている。
[図:0001387517000011.jpg]
乙第1-2号証は、乙第1-1号証に示された、令和2年1月24日の講習会における講演要旨集としての文献であって、20~23頁に、熊野岳(四国化成工業株式会社)が前記講習会で発表する題目「グリコールウリル、イソシアヌル酸誘導体の特徴と改質剤への応用事例」に関して記載されており、当該記載内容が、乙第1号証の概要であり内容が共通していることから、乙第1号証が前記講演会の発表資料である旨を裏付けており、乙第1号証に示された、TAICを用いた硬化物のガラス転移点(Tg)が200℃超であるのに対して、L-DAICを用いた硬化物のガラス転移点(Tg)は119℃であることは、本願優先日に知られた事項であるといえる。
そうすると、確かに、L-DAICは架橋剤であるが、L-DAICを含む硬化物のガラス転移点(Tg)低く、耐熱性を損なう可能性あるといえるから、成分(B)であるヒドロキシル基もしくはカルボキシル基を有するオレフィン樹脂であるCOC:マレイン化変性シクロオレフィンコポリマーにより誘電正接化が達成されている甲2発明において、耐熱性を発揮するためのTAICに代えて、低誘電正接のために、硬化物のガラス転移点(Tg)が低くなり、耐熱性を損なう可能性のあるL-DAICを採用する動機付けがあるとはいえない。
(ウ)小括
以上のとおり、本件特許発明1は、<相違点2-1>について検討するまでもなく、甲2発明、並びに、甲1、甲3、甲9及び甲11に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることはできない。
イ 本件特許発明2~4、6~9について
本件特許発明2~4、6~9は、本件特許発明1を直接的又は間接的に引用してさらに限定するものであり、上記本件特許発明1と甲2発明との<相違点2-2>と同じ相違点を有するものであって、<相違点2-2>については上記ア(イ)及び(ウ)で検討したとおりであるから、本件特許発明2~4、6~9は、甲2発明、並びに、甲1、甲3、甲9及び甲11に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることはできない。
(2)甲3発明を主たる引用発明とする場合
ア 本件特許発明1
(ア)甲3発明との対比
甲3発明の「末端変性ポリフェニレンエーテル化合物:OPE-2St」は、本件特許明細書【0166】の記載からみて、ビニルベンジル変性ポリフェニレンエーテルであるから、本件特許発明1の「(A)成分:ビニル基を有するポリフェニレンエーテル樹脂」に相当する。
甲3発明の「熱硬化性樹脂組成物から作製された樹脂シート」は、本件特許発明1の「デバイス用硬化性接着シート」と、熱硬化性シートである限りにおいて一致する。
そうすると、本件特許発明1と甲3発明は、「下記(A)成分を含有する熱硬化性シート。
(A)成分:ビニル基を有するポリフェニレンエーテル樹脂。」である点で、一致し、以下の点で相違する。
<相違点3-1>
熱硬化性シートの用途が、本件特許発明1ではデバイス用硬化性接着シートであるとの特定がされているのに対し、甲3発明は、その表面に金属箔を設けてプリント配線基板を製造するためのものであって、そのような特定がない点。
<相違点3-2>
硬化性シートが、本件特許発明1では、(B)成分:下記式で表される化合物
【化1】
[図:0001387517000012.jpg]
を含有するのに対し、甲3発明ではトリアリルイソシアヌレートを含有する点。
(イ)相違点についての検討
事案に鑑み、まず、<相違点3-2>について検討する。
上記(1)ア(イ)のとおり、甲9及び甲11の記載からみて、甲3発明においても低誘電正接化が求められているといえ、そして、甲1には、L-DAIC
[図:0001387517000013.jpg]
は、架橋剤であり、L-DAICを含む硬化物が、TAICを含む硬化物より、低誘電正接を示すことが、記載されている(摘記1a参照)。
一方、甲3発明の課題は耐燃性に優れる熱硬化性樹脂組成物の硬化物を含む絶縁層を備えるプリント配線板を提供することであり(摘記3b参照)、甲3発明のトリアリルイソシアヌレートは耐熱性向上のために用いられている(摘記3c参照)、
そして、上記(1)ア(イ)のとおり、乙第1号証に示された、TAICを用いた硬化物のガラス転移点(Tg)が200℃超であるのに対して、L-DAICを用いた硬化物のガラス転移点(Tg)は119℃であることは、本願優先日に知られた事項であるといえ、樹脂組成物(硬化物)のガラス転移点(Tg)が上昇すれば耐熱性が向上することを意味するから、確かに、L-DAICは架橋剤であり、TAICに作用と同じように耐熱性を発揮するかもしれないとしても、L-DAICを含む硬化物のガラス転移点(Tg)低く、耐熱性を損なう可能性あるといえるから、耐燃性に優れる熱硬化性樹脂組成物の硬化物を含む絶縁層を備えるプリント配線板を提供するという課題を解決するための甲3発明において、耐熱性を発揮するためのTAICに代えて、低誘電正接のために、硬化物のガラス転移点(Tg)が低くなり、耐熱性を損なう可能性のあるL-DAICを採用する動機付けがあるとはいえない。
(ウ)小括
以上のとおり、本件特許発明1は、<相違点3-1>について検討するまでもなく、甲3発明、並びに、甲1、甲2、甲9及び甲11に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることはできない。
イ 本件特許発明2~4、6~9について
本件特許発明2~4、6~9は、本件特許発明1を直接的又は間接的に引用してさらに限定するものであり、上記本件特許発明1と甲2発明との<相違点3-2>と同じ相違点を有するものであって、<相違点2-2>については上記ア(イ)及び(ウ)で検討したとおりであるから、本件特許発明2~4、6~9は、甲3発明、並びに、甲1、甲2、甲9及び甲11に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることはできない。
第5 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
特許異議申立人の申立理由は次のとおりである。
理由1-1(新規性)本件特許発明1~3、6~9は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された甲第1号証に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、上記の請求項に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。
理由1-2(進歩性)本件特許発明1~3、6~9は、本件特許優先日前に日本国内又は外国において、頒布された甲第1号証、甲第4号証乃至甲第8号証に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、上記の請求項に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
理由2(進歩性)本件特許発明1~4、6~9は、本件特許優先日前に日本国内又は外国において、頒布された甲第2号証、甲第1号証、甲第9号証乃至甲第12号証に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、上記の請求項に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
理由3(進歩性)本件特許発明1~3、6~9は、本件特許優先日前に日本国内又は外国において、頒布された甲第3号証、甲第1号証、甲第9号証乃至甲第12号証に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、上記の請求項に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
これらの申立理由のうち、理由2及び理由3は、取消理由通知において実質的に採用されている。
理由1-1(新規性)及び理由1-2(進歩性)について
1 甲号証について
<https://web.archive.Org/web/20191106182201/http:/www.shikoku.co.jp/products/chemical/fine-chemical/allyl.php>)
2 甲号証の記載について
(1)甲第1号証
甲1号証の記載事項は上記第4 2(1)のとおりである。
(2)甲第4号証(以下、「甲4」という。)
4a「【請求項1】
一般式(1)で表されるビニル化合物と重量平均分子量が10000以上の高分子量体を必須成分として含有する硬化性樹脂組成物。
【化1】
[図:0001387517000014.jpg]
【化2】
[図:0001387517000015.jpg]
【化3】
[図:0001387517000016.jpg]
(式中、R1,R2,R3,R4,R5,R6,R7は、同一または異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基またはフェニル基である。-(O-X-O)-は、一般式(2)または一般式(3)で定義される1種類の構造、または2種類以上の構造からなる。R8,R9,R10,R14,R15,R16,R17,R22,R23は、同一または異なってもよく、ハロゲン原子または炭素数6以下のアルキル基またはフェニル基である。R11,R12,R13,R18,R19,R20,R21は、同一または異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子または炭素数6以下のアルキル基またはフェニル基である。Aは、炭素数20以下の直鎖状あるいは、分岐状あるいは、環状炭化水素である。-(Y-O)-は、一般式(4)で定義される1種類の構造、または一般式(4)で定義される2種類以上の構造がランダムに配列したものである。R24,R25は、同一または異なってもよく、ハロゲン原子または炭素数6以下のアルキル基またはフェニル基である。R26,R27は、同一または異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子または炭素数6以下のアルキル基またはフェニル基である。Zは、炭素数1以上の有機基であり、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ハロゲン原子を含むこともある。a,bは、少なくともいずれか一方が0でない、0~30の整数を示す。c,dは、0または1の整数を示す。)
・・・
【請求項6】
請求項1~5のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物をフィルム状に加工した硬化性フィルム。」
4b「【0001】
本発明は、硬化性フィルムにした際にべたつき(タック性)がなく作業性が良好で、低誘電特性、耐熱性に優れる硬化性樹脂組成物に関するものであり、該樹脂組成物を用いた硬化性フィルム、該硬化性フィルムを硬化させたフィルムに関する。本発明の硬化性フィルムやフィルムは、高周波用途などの電気絶縁材料として好適に使用される。」
・・・
【0004】
本発明は、硬化性フィルムにした際にタック性が無く、低誘電率、低誘電正接で、耐熱性に優れた硬化物を与える硬化性樹脂組成物、およびこれを用いた硬化性フィルム、およびこれを硬化してなるフィルムを提供することを目的とする。」
(3)甲第5号証(以下、「甲5」という。)
5a「【請求項1】
85~99.9重量部の熱硬化性化合物に分子量1000以下の多官能架橋助剤を0.1~15重量部添加した架橋樹脂成分と、高分子量成分10~50重量部と、無機フィラー40~400重量部とを含む樹脂組成物で構成され、前記高分子量成分の伸び率が700%以上であることを特徴とする電子部品用絶縁材料。
【請求項2】
前記樹脂組成物の硬化物の架橋密度が2.0mol/L以上であることを特徴とする請求項1記載の電子部品用絶縁材料。
【請求項3】
前記熱硬化性化合物が熱硬化性ポリフェニレンエーテル化合物であり、前記高分子量成分が水素添加されたスチレン系エラストマーであり、前記無機フィラーが球状酸化ケイ素フィラーであることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子部品用絶縁材料。
・・・
【請求項17】
請求項1~12のいずれか一項に記載の電子部品用絶縁材料を含むことを特徴とする電子部品用接着フィルム。
【請求項18】
請求項1~12のいずれか一項に記載の電子部品用絶縁材料を、クロス又は不織布に含浸した構成であることを特徴とするプリプレグ。
・・・
【請求項22】
請求項18~20のいずれか一項に記載のプリプレグを硬化させた硬化物の片面又は両面に導体配線を設けたことを特徴とするプリント基板。」
5b「【0148】
(実施例1~4)
実施例1~4は、高分子量成分として伸び率が700%のエラストマーを30重量部含む樹脂組成物について、トリアリルイソシアヌレートを架橋助剤として添加した例である。
【0149】
表1は、実施例1~4並びに比較例1及び2の組成及び評価結果を示したものである。
【0150】
表中、ε’(10GHz)、tanδ(10GHz)、Tg及びα1はそれぞれ、比誘電率、誘電正接、ガラス転移温度及び熱膨張係数(熱膨張率ともいう。)を表す。
【0151】
架橋助剤を加えることで、架橋助剤を添加しなかった比較例1と比較して、硬化物の熱膨張率を大幅に低減することに成功した。また、このときの貯蔵弾性率変化から、200℃付近に架橋助剤の添加によるピークを確認した。また、平衡弾性率から算出した架橋密度nは2.0mol/L以上である。
【0152】
【表1】
[図:0001387517000017.jpg]
」
(4)甲第6号証(以下、「甲6」という。)
6a「【請求項10】
厚さが10~300μmである基材フィルム上に、化学構造中に水酸基を有し、2,6-ジメチルフェニレンエーテルを繰り返し単位として有するポリフェニレンエーテル系ポリマー(I)と、
複数のイソシアナート基を構造中に有するイソシアナート化合物(II)と、
水素添加したスチレン系エラストマー(III)の(I)-(III)、又は
上記(I)と(II)の反応生成物(IV)と(III)の(III)-(IV)を必須成分として含有する熱可塑性樹脂組成物の10μmから100μmの厚さの接着層を積層したことを特徴とする接着フィルム。」
6b「【0001】
本発明は、低誘電率、低誘電正接であり、基材フィルム、導体配線との接着性に優れた熱可塑性樹脂組成物および接着フィルムとそれを用いたフレキシブルフラットケーブル等の配線フィルムに関する。」
(5)甲第7号証(以下、「甲7」という。)
7a「[請求項1]
光学的異方性の溶融相を形成し得る熱可塑性ポリマーからなる液晶ポリマーフィルム(以下、熱可塑性液晶ポリマーフィルムと称する)と、
ポリフェニレンエーテル系樹脂を含む接着層と、
を少なくとも備える回路基板であって、
前記熱可塑性液晶ポリマーフィルムは、絶縁基板、回路層材料、およびカバーレイからなる群から選択される少なくとも一つの回路基板材料として、回路基板を構成する他の回路基板材料に対して前記接着層を介して積層され、
前記接着層のガラス転移温度が200~300℃である回路基板。」
7b「[0016]
本発明の目的は、高い耐熱性を有する熱可塑性液晶ポリマーフィルムを用いた場合であっても、この熱可塑性液晶ポリマーフィルムを、ポリフェニレンエーテル系樹脂を含む接着層と組み合わせることによって、低温成形により形成可能である回路基板を提供すること、およびこのような回路基板を低コストで効率よく製造できる方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
[0017]
本発明の発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討し、(1)回路基板において、高周波での誘電特性に優れる光学的異方性の溶融相を形成し得る液晶ポリマーフィルム(以下、熱可塑性液晶ポリマーフィルムと称する場合がある)を用いれば、回路基板の電気特性(例えば、誘電率、誘電正接)を向上できることに着目し、研究を進めた結果、(2)導電配線パターンなどの導電部分を熱可塑性液晶ポリマーフィルムに密着させた回路層や、熱可塑性液晶ポリマーフィルムからなるカバーレイを用いると、得られた回路基板は、耐熱性に優れるだけでなく、熱可塑性液晶ポリマーフィルムの優れた誘電特性を利用して高周波での伝送損失を低減することができることを見出した。」
(6)甲第8号証(以下、「甲8」という。)
8a「【請求項1】
(A)重量平均分子量1000以上であって、25℃のクロロホルム中で測定して0.03~0.12dl/gの固有粘度を有し、かつ、分子末端炭素-炭素不飽和二重結合を有する置換基により末端変性された変性ポリフェニレンエーテル化合物と、
(B)数平均分子量10000未満であって、分子中のスチレン含有量が50質量%以下、ブタジエン含有量が50質量%以上である架橋性スチレンブタジエンコポリマーと、
(C)重量平均分子量10,000以上のスチレン系熱可塑性エラストマーと、
(D)硬化促進剤と、
(E)無機充填材と、
(F)難燃剤とを含有し、
前記(A)成分:[前記(B)成分+前記(C)成分]の配合比が90:10~10:90であることを特徴とする熱硬化性樹脂組成物。
・・・
【請求項12】
請求項1~7のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物からなる樹脂層とフィルム支持基材とを有する、樹脂フィルム。
・・・
【請求項14】
請求項1~7のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物からなる樹脂層を有し、その表面に回路としての導体パターンを有する、プリント配線板。」
8b「【0164】
[誘電特性(比誘電率(Dk)及び誘電正接(Df))]
10GHzにおけるそれぞれの評価基板(上記で得られた銅張積層板)の比誘電率及び誘電正接を、空洞共振器摂動法で測定した。具体的には、ネットワーク・アナライザ(アジレント・テクノロジー株式会社製のN5230A)を用い、10GHzにおける評価基板の比誘電率及び誘電正接を測定した。
・・・
【0166】
【表1】
[図:0001387517000018.jpg]
」
(7)甲第13号証(以下、「甲13」という。)
13a「【請求項1】
a)30重量%~85重量%の1,2-ビニル基を含み、10重量%~50重量%の範囲の量でスチレンが存在するスチレン-ブタジエンビニル樹脂、
b)数平均分子量が300~10000の範囲のビニルポリ(フェニレンエーテル)、
c)アニリン変性スチレン-無水マレイン酸コポリマー、
d)多官能性エポキシ樹脂、及び
e)難燃剤、
を含有する硬化性組成物であって、硬化条件で硬化後に前記硬化性組成物が少なくとも1つの相互侵入網目構造を形成する、硬化性組成物。」
13b「【0012】
ビニルPPO
様々な実施形態では、硬化性組成物はビニルポリ(フェニレンエーテル)(PPO)化合物を更に含有していてもよい。
【0013】
ビニルPPO化合物は、通常、300~25000の範囲の数平均分子量を有する。他の実施形態では、ビニルPPO化合物は800~10000の範囲の数平均分子量を有し、また更に別の実施形態では、1500~4000の範囲の数平均分子量を有する。
【0014】
ビニルPPO化合物は、硬化性組成物の総重量基準で通常1重量%~99重量%の範囲の量で硬化性組成物中に存在する。別の実施形態では、ビニルPPO化合物は、25重量%~75重量%の範囲の量で存在し、また更に別の実施形態では30重量%~60重量%の範囲の量で存在する。
【0015】
そのようなPPO樹脂の市販の例としては、SABICのNoryl(登録商標)SA9000樹脂及び三菱ガス化学株式会社のOPE-2Stが挙げられるが、これらに限定されない。」
13c「【0052】
SABICのSA9000(ビニルPPO、ビニルキャップされたポリフェニレンエーテルオリゴマー(Mnは約1600))」
3 甲1に記載された発明
甲1には「PPE NORYL SA9000-111、Allyl DerivativeとしてL-DAIC
[図:0001387517000019.jpg]
Phase Solv. SBS resin及びRadical Initiator PERBUTYL Pからなる組成物を120℃で0.5時間、150℃で0.5時間及び190℃で1.0時間の硬化条件で硬化した硬化物であって、その硬化物の誘電正接(Df)をCavity Resonance Method(空洞共振器法)で測定し、誘電正接がTAIC系よりも大幅に低い硬化物。」の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されているといえる(摘記1a参照)。
4 対比・判断
(1)本件特許発明1
ア 甲1発明との対比
本件特許発明1と甲1発明を対比する。
甲1発明の「PPE NORYL SA9000-111」は、ビニルPPO、ビニルキャップされたポリフェニレンエーテルオリゴマーであるから(摘記13a、13b、13c参照)、本件特許発明1の「(A)成分:ビニル基を有するポリフェニレンエーテル樹脂」に相当する。
甲1発明の「L-DAIC
[図:0001387517000020.jpg]
」は、本件特許明細書【0116】に「イソシアヌレート骨格を有するジアリル化合物(四国化成工業社製、商品名:L-DAIC)」という記載からみて、本件特許発明1の「(B)成分:下記式で表される化合物
【化1】
[図:0001387517000021.jpg]
(式中、Rは、炭素数5~15の飽和炭化水素基を表す。)」に相当する。
そうすると、本件特許発明1と甲1発明は、「下記(A)成分及び(B)成分を含有する組成物。
(A)成分:ビニル基を有するポリフェニレンエーテル樹脂
(B)成分:下記式で表される化合物
【化1】」である点で一致し、以下の点相違する。
[図:0001387517000022.jpg]
<相違点1>
組成物が、本件特許発明1は、接着剤層を有するデバイス用硬化性接着シートであるのに対し、甲1発明では、硬化物であり、そのような特定がない点。
イ 相違点についての検討
<相違点1>について
甲1には甲1発明の硬化物が接着剤層を有するデバイス用の接着シートとは記載されていないので、この点は実質的な相違点である。
そして、甲4には低誘電正接である硬化性樹脂組成物を電気絶縁材料として使用することが記載されており(摘記4b参照)、甲5には低誘電正接である硬化性樹脂組成物を電子部品用絶縁材料にすることが記載されており(摘記5a、5b参照)、甲6には低誘電正接である熱可塑性樹脂組成物をフレキシブルフラットケーブル等の配線フィルムに使用することが記載されており(摘記6a参照)、甲7には誘電正接を向上(低下)させた熱可塑性液晶を回路基板に使用することが記載されており(摘記7a、7b参照)、甲8には低誘電正接である熱硬化性樹脂組成物をプリント配線板に使用することが記載されている(摘記8a、8b参照)。
しかし、低誘電正接であれば、必ずしも、接着剤層を有するデバイス用の接着シートに用いるものであるとまではいえないから、甲1発明の硬化物を接着剤層を有するデバイス用の接着シートとすることは、当業者が容易に想到し得ることであるとはいえない。
ウ 小括
以上のとおり、本件特許発明1は甲1に記載された発明ではなく、甲1発明及び甲4~甲8に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることはできない。
(2)本件特許発明2~4、6~9について
本件特許発明2~4、6~9は、本件特許発明1を直接的又は間接的に引用してさらに限定するものであり、上記本件特許発明1と甲1発明との<相違点1>と同じ相違点を有するものであって、<相違点1>については上記(1)イで検討したとおりであるから、本件特許発明2~4、6~9は、甲1に記載された発明ではなく、甲1発明及び甲4~甲8に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることはできない。
第6 むすび
以上のとおりであるから、令和4年4月19日付けの取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1~4、6~9に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1~4、6~9に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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2022-700040