商標取消審判
2022-300932
アンブラコ
- 審判番号
- 2022-300932
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- 商願2018-136466
- 登録番号
- 6162919
- 請求日
- 2022年10月19日
- 審決日
- 2024年05月21日
- 公報発行日
- 2025年10月31日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ディーパック ファスナーズ(シャノン)リミテッド
- 【請求人代理人】尾関 孝彰
- 【請求人代理人】松阪 絵里佳
- 【被請求人】檜垣 俊行
- 【被請求人代理人】山田 威一郎
- 審判長/審判官
- 審判長 山田 啓之
- 審判官 大山 健
- 審判官 鈴木 雅也
- 分類
- T131 .1 -Y (W06)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法50条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第2条第3項第2号、商標法第50条第1項、商標法第50条第2項、商標法第50条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第6162919号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第6162919号商標(以下「本件商標」という。)は、「UNBRAKO」の文字を標準文字で書してなり、平成30年10月20日に登録出願、第6類「金属製金具」を指定商品として、令和元年7月19日に設定登録されたものである。
そして、本件審判請求の登録日は、令和4年11月4日であり、商標法第50条第2項に規定する「その審判の請求の登録前3年以内」とは、令和元年(2019年)11月4日ないし同4年(2022年)11月3日である(以下「要証期間」という。)。
第2 請求人の主張
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べた。また、証拠方法として甲第1号証ないし甲第11号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから商標法第50条第1項の規定によりその登録は取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
乙第2号証に示されるUnbrakoブランドの製品である「ボルト」(以下「乙2ボルト」という。)は、請求人が2020年3月31日頃に製造したものである(甲3、乙3)。乙2ボルトは、請求人から、日本におけるUnbrakoブランド製品の独占的輸入・販売元であるPCCディストリビューション・ジャパン株式会社(旧社名:エス・ピー・エスアンブラコ株式会社、旧社名の通称表記:SPSアンブラコ株式会社)に、2020年8月26日頃に輸出され(甲4)、その後、PCCディストリビューション・ジャパン株式会社から中島工機株式会社に卸売された(甲9、甲10)。乙2ボルトのパッケージに示されるオレンジ色の背景に白抜き文字の「Unbrako○R」(○Rは、「R」の文字を丸囲みしたもの。以下同様。)ロゴ(以下「乙2ロゴ」という。)は、請求人が付したものであり、中島工機株式会社によって変更されていない。
乙第3号証には、「メーカー アンブラコ」と記載されている。当該記載は、乙2ボルトの製造者(メーカー)が請求人(アンブラコ)であることを示す。したがって、乙第2号証に係る取引において、乙2ロゴは、出所が請求人であることを示す。なお、中島工機株式会社は、PCCディストリビューション・ジャパン株式会社の代理店と位置付けられている(甲9、甲10)。
乙2ボルトのパッケージには、パーツ番号(PART NO.)として「1118936」が記載され、保証番号(CERTIFICATE NO.)として「75362M1639」が記載されているところ、上記バーツ番号も請求人が付したものである。上記パーツ番号は、甲第3号証のUNBRAKO部品番号(UNBRAKO PART NUMBER)、甲第4号証の製品番号(PRODUCT CODE)と合致する。
また、上記保証番号によって、製品品質を保証しているのも請求人である。上記保証番号は、甲第3号証の保証書に記載された保証番号(Certificate Number)及びロット番号(LOT NUMBER)と合致する。
さらに、ブランド名UNBRAKO/Unbrako/アンブラコ、特に乙2ロゴを広告し、当該ブランドに自己の信用を化体させてきたのも請求人又は請求人が属するUnbrako企業グループである(甲5、甲7、甲8)。
甲第6号証は、Unbrako企業グループに属するDeepak Fasteners Limited社が、甲第5号証に示すUnbrako企業グループのホームページのドメイン名である「unbrako.com」を保有することを示す。
甲第7号証は、乙2ロゴがUnbrako企業グループの世界的なハウスマークであること、並びに請求人(Deepak Fasteners(Shannon)limited)、及びドメイン名「unbrako.com」の保有名義人であるDeepak Fasteners Limited社が同一企業グループ(Unbrako企業グループ)に属することを示す。
甲第8号証は、Unbrako企業グループのハウスマークとしての、乙2ロゴの使用例を示す。
以上のとおり、被請求人が使用したと主張する本件商標、すなわち、乙2ロゴは請求人が付したものであるとともに、出所及び品質保証の主体として請求人を特定し、広告の主体として請求人又は請求人が属するUnbrako企業グループを特定する。
したがって、乙2ロゴの使用の主体は、中島工機株式会社及び被請求人ではなく、請求人と評価される(甲11)。
よって、被請求人は、要証期間に本件商標を使用していない。
第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第3号証を提出した。
1 はじめに
被請求人は、中島工機株式会社に対し、本件商標に係る通常使用権を許諾しているところ、中島工機株式会社は、本件商標「UNBRAKO」を「金属製金具」について、要証期間に使用している。以下に理由を詳述する。
2 通常使用権の許諾
被請求人は、令和元年8月1日付けで、中島工機株式会社との間で、本件商標に係る通常使用権許諾契約を締結し、中島工機株式会社に対し、以下の内容の通常使用権を許諾した(乙1)。
商標:UNBRAKO
商品:金属製金具
地域:日本全国
期間:本件商標の商標権の存続期間が満了するまで
3 中島工機株式会社による本件商標の使用
(1)本件商標の使用態様
中島工機株式会社は、本件商標と社会通念上同一の商標を付した外箱に、「金属製金具」の一種である「ボルト」を包装して販売している。
乙第2号証(写真撮影報告書)の別紙の写真は、中島工機株式会社が「UNBRAKO」ブランドの「ボルト」を販売する際に使用している外箱(包装)の画像であるが、この外箱には、「Unbrako」の欧文字が付されている。
なお、本件商標は、全ての文字を大文字で書してなるのに対し、上記「Unbrako」の欧文字は、「U」以外の文字が小文字で表されているが、このような大文字、小文字の差異があったとしても、本件商標と社会通念上同一の商標に当たることは明らかである。
(2)商品の販売時期
中島工機株式会社は、上述した外箱に包装した「ボルト」を、要証期間に販売した。
乙第3号証は、中島工機株式会社が当該「ボルト」を、取引先に販売した際の「物品受領書/現品票」であり、中島工機株式会社が令和3年(2021年)6月9日に、「ボルト」100個を取引先である株式会社小野に納品(譲渡)したことが分かる。
4 むすび
以上のとおり、本件商標の通常使用権者である中島工機株式会社は、本件商標と社会通念上同一の商標を付した外箱に包装された「金属製金具」を、要証期間に第三者に譲渡した事実が、被請求人が提出の証拠によって立証されている。
第4 当審の判断
1 被請求人提出の乙各号証及び同人の主張によれば、以下のとおりである。
(1)「ボルト」の外箱の画像(乙2)
乙第2号証は、中島工機株式会社(以下「中島工機社」という。)が販売している「UNBRAKO」ブランドの「ボルト」を販売する際に使用している外箱を、令和4年12月21日に同社の取締役が撮影した写真を掲載した写真撮影報告書とされるものであり、その2葉目上部には、左上に「Unbrako○R」の表示があるとともに、下部にラベルが貼り付けられた黒色の外箱(以下「包装箱」という。)の正面を撮影した画像が掲載されており、同ラベルには、「PART NO.1118936」、「QUANTITY 100」、「SOCKET HEAD CAP」、「8-32 UNC x 3/4」、「1960 Series」などの記載がある。
また、2葉目下部の画像から、包装箱の上面にも「Unbrako○R」の表示があり、3葉目上部の画像から、包装箱の下面にも「SOCKET HEAD CAP」、「1118936」、「8-32 UNC x 3/4」、「1960 Series」、「SHANNON,IRELAND」の記載、及びボルトと思われる図面などが記載されたラベルが貼り付けられていることが確認できる。
さらに、3葉目下部の画像及び4葉目上部の画像は、包装箱を開封して撮影されたものであり、包装箱の中に多数の黒色のボルトが収納されていることが看取できる。
(2)物品受領書/現品票(乙3)
乙第3号証は、伝票発行日が2021年6月9日である、中島工機社が株式会社小野に宛てて発行した物品受領書/現品票であり、「受領印欄」に、株式会社小野が同日に受領した旨を示す受領印が押印されている。
また、物品受領書/現品票(乙3)には、「メーカー」「商品」「数量」「単位」を項目とする表内に、「アンブラコ」、「CS#8NCX3/4」及び「CAP NC #8-32 x 3/4」、「100」「P」の記載がある。
(3)商標権使用許諾契約書(乙1)
乙第1号証は、令和元年8月1日に、商標権者と中島工機社との間で締結された商標使用許諾契約書であり、商標権者が中島工機社に、本件商標について、商品「金属製金具」、地域「日本全国」、期間「本件商標権の存続期間が満了するまで」の範囲で、通常使用権を許諾したことが確認できる。
(4)上記(1)ないし(3)から、以下の事実を認めることができる。
中島工機社は、2021年6月9日に、株式会社小野に、アンブラコ製の商品100個を納入しているところ、その商品欄には「CAP NC #8-32 x 3/4」と記載されており(乙3)、当該記載は「Unbrako」ブランドのボルトに係る包装箱(乙1)に記載された「8-32 x 3/4」と共通することからすれば、乙第3号証に係る商品は乙第2号証に示された「Unbrako」ブランドのボルトであるといえる。
そうすると、中島工機社は、上記納入に際して、ボルト100個(以下「ボルト」を「使用商品」という。)を、「Unbrako○R」の文字(以下「使用商標」という。)を付した包装箱に収納して、株式会社小野に譲渡又は引き渡したことを認めることができる。
2 上記1によれば、以下のとおり判断できる。
(1)使用商標及び使用商品について
使用商標(「Unbrako○R」)は、その構成などから、「Unbrako」の文字が独立して自他商品識別標識としての機能を果たすものといえる。
そして、使用商標の「Unbrako」の文字と、本件商標の「UNBRAKO」の文字とは、大文字と小文字の差異はあるものの、つづりを共通にするから、使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標である。
また、使用商品(「ボルト」)は、「金属製金具」の範ちゅうに属する商品である。
(2)使用行為、使用時期、使用者について
中島工機社は、本件商標について商標権者から使用許諾を得た通常使用権者であるところ(乙1)、中島工機社は、要証期間である2021年6月9日に、株式会社小野に、アンブラコ製の使用商品(ボルト)100個を納入し(乙3)、その納入に際して、使用商標(Unbrako)を付した包装箱(黒色の外箱(乙2))に使用商品を収納して譲渡又は引き渡したというものであるから、通常使用権者が要証期間に、商標法第2条第3項第2号に規定する使用行為を行ったと認めることができる。
なお、請求人は、令和5年2月22日付け弁駁書において、乙第2号証に示されるUnbrakoブランド製品(ボルト)は、請求人が2020年3月31日頃に製造し、乙第2号証に示される商標(Unbrako)は請求人が付したものであり、ブランド名(UNBRAKO/Unbrako/アンブラコ)を広告し、当該ブランドに自己の信用を化体させてきたのも請求人又は請求人が属するUnbrako企業グループであるから、乙第2号証に示される商標の使用の主体は、中島工機社及び被請求人ではなく、請求人であると主張している。
しかしながら、請求人が使用商品(ボルト)を製造したこと及び乙第2号証に示される商標は請求人が付したこと、並びに請求人又は請求人が属するUnbrako企業グループがブランド名(UNBRAKO/Unbrako/アンブラコ)を広告したことは、いずれも、通常使用権者(中島工機社)が、本件商標について、要証期間に、商標法第2条第3項第2号にいう使用行為を行ったことを認めない理由とはならないから、請求人のかかる主張は採用できない。
(3)小括
上記(1)及び(2)からすれば、通常使用権者が、要証期間に、日本国内において本件審判の請求に係る指定商品(第6類「金属製金具」)の範ちゅうに属する「ボルト」の包装箱に、本件商標と社会通念上同一と認められる使用商標を付して譲渡又は引き渡した(商標法第2条第3項第2号に該当。)と認めることができる。
3 まとめ
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、通常使用権者が、その審判請求に係る指定商品について本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)の使用をしていたことを証明したといわなければならない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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