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商標取消審判

2025-300576

アイプラス、プラス

審判番号
2025-300576
法域
商標
審判種別
取消審判(商標取消の審決)
出願番号
商願2010-068048
登録番号
5402518
請求日
2025年07月11日
審決日
2026年06月15日
公報発行日
2026年09月25日
結論
請求成立(取消)
当事者
  • 【請求人】株式会社 電通総研
  • 【請求人代理人】長谷川 芳樹
  • 【請求人代理人】黒川 朋也
  • 【請求人代理人】水谷 綾乃
  • 【被請求人】株式会社松井製作所
  • 【被請求人代理人】協明国際弁理士法人
審判長/審判官
  • 審判長 山田 啓之
  • 審判官 小林 裕子
  • 審判官 石塚 文子
分類
T132 .1 -Z (X09)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法50条
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第50条、商標法第2条第3項第8号、商標法第50条第2項、商標法第50条第1項、商標法第2条第3項、商標法第2条第3項第1号、商標法第2条第3項第2号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

上記当事者間の登録第5402518号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 登録第5402518号商標の指定商品中、第9類「電子応用機械器具(「ガイガー計数器・高周波ミシン・サイクロトロン・産業用X線機械器具・産業用ベータートロン・磁気探鉱機・磁気探知機・地震探鉱機械器具・水中聴音機械器具・超音波応用測深器・超音波応用探傷器・超音波応用探知機・電子応用扉自動開閉装置・電子顕微鏡」を除く。),コンピュータ及びコンピュータソフトウエア,電子計算機用プログラム」についての商標登録を取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。

理由

理 由 第1 本件商標 本件登録第5402518号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成22年8月30日に登録出願、第9類「理化学機械器具,測定機械器具,配電用又は制御用の機械器具,制御器,制御盤,回転変流機,調相機,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,コンピュータ及びコンピュータソフトウエア,電子計算機用プログラム,電子出版物」を指定商品として、同23年4月1日に設定登録され、その商標権は現に有効に存在しているものである。 そして、本件審判の請求の登録の日は、令和7年7月29日であり、商標法第50条第2項に規定する「その審判の請求の登録前3年以内」とは、同4年(2022年)7月29日から同7年(2025年)7月28日までの期間(以下「要証期間」という。)である。 第2 請求人の主張 請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第5号証を提出した。 なお、以下、証拠の表示については、「甲第○号証」を「甲○」、「乙第○号証」を「乙○」のように、簡略して表記する場合があり、枝番号を全て示すときは枝番号の記載を省略する。 1 請求の理由 本件商標は、その指定商品中、第9類「電子応用機械器具(「ガイガー計数器・高周波ミシン・サイクロトロン・産業用X線機械器具・産業用ベータートロン・磁気探鉱機・磁気探知機・地震探鉱機械器具・水中聴音機械器具・超音波応用測深器・超音波応用探傷器・超音波応用探知機・電子応用扉自動開閉装置・電子顕微鏡」を除く。),コンピュータ及びコンピュータソフトウエア,電子計算機用プログラム」(以下「請求に係る商品」という。)について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから商標法第50条第1項の規定によりその登録は取り消されるべきものである。 2 答弁に対する弁駁 被請求人は、乙第1号証ないし乙第4号証を提出して、本件商標を「コンピュータソフトウエア」及び「コンピュータ」に使用していると主張している。しかしながら、被請求人が提出した資料はいずれも「コンピュータソフトウエア」及び「コンピュータ」についての使用を示すものではない。 (1)「コンピュータソフトウエア」についての使用 被請求人が提出した製品カタログ(乙1の1、乙1の2、乙2の1、乙2の2)において、本件商標及びそれを白黒反転させた商標(以下「使用商標」という。)が表示されているが、これらは「除湿乾燥機」、「金型冷却機」、「乾燥機」、「配合機」、「質量式配合装置(加算式)」といった装置の名称及びその装置の写真とともに表示されている。また、当該カタログ中には「セルフコントロール機能iplas搭載!」、「マツイでは、“i”つまり知能(=intelligence)を持った装置、iplasシリーズを開発いたしました。」といった「機能」及びそれを搭載した装置についての記載はみられるが、「コンピュータソフトウエア」についての説明はどこにも見当たらない。 被請求人のウェブサイト(乙3の1、乙3の2)では、「マツイが次世代に提案する、セルフコントロール機能搭載のiplasシリーズ」と記載されており、「除湿温風乾燥機 MJ6-i」、「水冷式金型冷却機インバータ制御 MCC5-i」、「インテリジェンス機能付き質量配合装置 JCW2-i」の紹介とともに本件商標が表示されている。また、乙3の2においては、「過乾燥の防止、黄変トラブルを防止するセルフコントロール機能『iplas』を搭載し、インバータ制御で熱風の湿度と温度を自在にコントロールする除湿乾燥機MJ6-i。」という、除湿乾燥機についての説明がある。 さらに、取扱説明書(乙4の2)では、「2章.装置の説明」(4頁)において、「本装置は、樹脂ペレットの乾燥装置です。」、「本装置には、風量を乾燥処理能力に追従させて、適値に増減させることで、電気エネルギー使用の適正化を行う機能(iplas)を有しています。」、「iplasとはマツイが開発したセルフコントロール機能を持つ知能化された商品の総称です。」との記載とともに使用商標が表示されている。 以上の事実からは、「iplas」は、除湿乾燥機や金型冷却機など被請求人が製造する各種装置に予め搭載されたセルフコントロール機能の名称であり、またそのような機能を有する装置を「iplas(シリーズ)」と称しており、本件商標は当該機能が予め搭載された装置について使用されていることが分かるものの、「コンピュータソフトウエア」についての使用の事実は示されていない。 なお、被請求人は、「本件商標が、コンピュータソフトウエアの名称として使用され、装置を購入した後も、ソフトウエアの更新・保守を要し、正に取引の対象(取引性がある)になっていることは明らかである」と主張する。しかし、被請求人が提出した証拠のいずれにもコンピュータソフトウエアの更新・保守に関する記載はない。また、仮に、被請求人が販売する装置にコンピュータソフトウエアが用いられていたとしても、それは当該装置の一部として機能するものにすぎず、コンピュータソフトウエア自体が商品として販売されているものではない。商標法第50条における「商品」は「市場において独立して商取引の対象として流通に供される物でなければならないと解すべきである」と過去に判示されているとおり(平成16年(行ケ)第337号:甲3)、被請求人が提供する製品にコンピュータソフトウエアが使用されていたとしても、それが独立して商取引の対象となっていなければ、請求に係る商品について本件商標が使用されているとはいえない。 (2)「コンピュータ」についての使用 被請求人は、本件商標「iplas」シリーズと称して販売されている型番「JCW2―i」、型番「MCC5-i」、型番「MJ5-i」、型番「MJ6-i」を挙げ、これら装置にはいずれもPLC(programmable logic controller)が搭載されているから、「配合機、冷却機、除湿乾燥機であるとともに、自律的にデータ処理・制御を実行するコンピュータともいえ」ると主張するが、これは失当である。PLCは、工場で使用される産業機械や、エレベーター、自動ドア、ボイラー、テーマパークの各種アトラクション(遊具)など、様々な機械の制御に用いられる制御装置であり(甲4)、これらの機械の動作に制御機能を発揮するものであって、PLCを内蔵した機械全体が「コンピュータ」と認識されるものではない。また、被請求人が提出した各証拠からは、被請求人自身がPLC自体を販売しているという事実は確認できない。 したがって、仮に被請求人が販売する装置にPLCが搭載され、PLCが自律的にデータ処理・制御を実行するコンピュータであるとしても、これは配合機、冷却機、除湿乾燥機といった最終製品に内蔵された装置・部品のひとつにすぎず、「コンピュータ」についての使用であるとはいえない。 (3)以上のとおり、被請求人が提出した証拠のいくつかには使用商標が表示されていることが確認できるものの、これらは配合機、冷却機、除湿乾燥機といった最終製品に関する機能の説明、又はその機能を搭載した装置の総称として使用されているにすぎず、「コンピュータソフトウエア」及び「コンピュータ」についての使用を示すものではない。 (4)したがって、被請求人が提出した乙1ないし乙4をもっては、本件商標が、請求に係る商品について使用されていることを証明する証拠とはなり得ないことが明らかである。 第3 被請求人の答弁 被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第4号証(枝番号を含む。)を提出した。 1 答弁書の主張 被請求人は、本件商標を指定商品について本件審判請求の登録前、3年以内に日本国内において使用している。以下、その事実を立証する。 (1)日本国内における商標権者による登録商標の使用であること 製品カタログでの使用(乙1、乙2)、商標権者のウェブサイトでの使用(乙3)、商品に付しての使用(乙4)に関する証拠によれば、被請求人である商標権者が、本件商標を日本国内において使用していることは明白である。 (2)請求に係る商品の使用であり、登録商標の使用であること ア コンピュータソフトウエアに付した使用 本件商標は、例えば乙1の1の6枚目の除湿乾燥機として掲載されている型番「MJ5-i」を紹介するページに、「セルフコントロール機能 i plas搭載!」とあるように、搭載されているコンピュータソフトウエアの識別標識として使用している。また型番「MJ5-i」のように「セルフコントロール機能」が搭載された装置を搭載されていない装置と識別できるように「i plasシリーズ」と称して使用している(乙3の1。ちなみに「i plas」が搭載されている商品の型番には全て「〇〇-i」とし、他商品と容易に識別できる型番としている。)。すなわち、需要者、取引者の観点からすれば、需要者、取引者は、被請求人が販売している種々装置から、セルフコントロール機能「i plas」というコンピュータソフトウエア搭載の有無を本件商標の表示の有無で、確認して商品選択を行っている。 また、上記で説明した型番「MJ5-i」の取扱説明書(乙4の2)の20頁、21頁、47頁、58頁、60頁の記載から明らかであるとおり、「セルフコントロール機能」のソフトウエア名称である本件商標「i plas」は、これを有効にする設定と、無効にする設定とが切り替えられるように構成されている。 さらに、この型番「MJ5-i」は、セルフコントロール機能「i plas」のソフトウエアが搭載された装置であるため、乙4の1の2枚目に示す液晶表示操作パネルの拡大写真から分かるように、本件商標の下横位置には「Ver.6.05」と表示される。これはコンピュータソフトウエアのバージョンを示している。この表示からも本件商標が、コンピュータソフトウエアの名称として使用され、装置を購入した後も、ソフトウエアの更新・保守を要し、正に取引の対象(取引性がある。)になっていることは明らかである。よって、かかる使用は本件商標の指定商品に対する使用といえる。 イ コンピュータに付した使用 本件商標「i plas」シリーズと称して販売されている型番「JCW2―i」、型番「MCC5-i」、型番「MJ5-i」、型番「MJ6-i」は、被請求人が販売する他の機種とは異なり、使用者がなにか操作しなくても、自律的に使用状況を判断して最適化を図るセルフコントロール機能「i plas」を持つ知能化された装置であり(例えば、取扱説明書(乙4の2)の4頁)、これら装置にはいずれもPLC(programmable logic controller)が搭載されている。よって、これらは、配合機、冷却機、除湿乾燥機であるとともに、自律的にデータ処理・制御を実行するコンピュータともいえ、かかる使用は本件商標の指定商品に対する使用といえる。 ウ 以上より、被請求人は、請求に係る商品に本件商標を使用している。 (3)要証期間の使用であること 乙1ないし乙4の証拠によれば、本件商標の使用は、要証期間の使用であることは明白である。 (4)商標法第2条第3項各号のいずれかの使用であること 乙1ないし乙3の証拠における使用は、商標法第2条第3項第8号にいう「商品に関する広告に標章を付して頒布する行為」に該当する。 また、乙4に示すとおり、被請求人は、請求に係る商品に標章を付して、商品に標章を付したものを譲渡する行為を行っている。かかる行為は、商標法第2条第3項第1号及び商標法第2条第3項第2号の商標の使用に該当する。 以上より、被請求人の行為は、商標法第2条第3項第8号等に係る使用に該当する。 (5)登録商標と使用商標について 使用商標はいずれも、社会通念上同一を含む本件商標の使用と認められる。 (6)まとめ よって、被請求人は、本件商標を指定商品について要証期間内に日本国内において使用していることは明白である。 2 合議体の暫定的見解及び弁駁に対する応答 合議体は、令和8年3月10日付けで審尋を通知し、相当の期間を指定して、合議体の暫定的見解及び請求人の弁駁に対する被請求人の意見を求めたが、応答はなかった。 第4 当審の判断 1 被請求人の提出した証拠及び同人の主張によれば、以下のとおりである。 (1)2021年及び2024年に作成された商標権者の製品カタログ及びウェブサイトにおいて、プラスチックや樹脂の成形に用いられる「除湿乾燥機」、「金型冷却器」、「質量式配合装置」等の装置の名称や写真とともに、使用商標が表示されている(乙1~乙3)。 (2)上記(1)の製品カタログにおける除湿乾燥機(MJ5-i、MJ6-i)の紹介ページに、「セルフコントロール機能iplas搭載!」、「マツイでは、“i”つまり知能(=intelligence)を持った装置、iplasシリーズを開発いたしました。」と記載されている(乙1の1、乙1の2、乙2の1、乙2の2)。 (3)除湿乾燥機(MJ5-i)の取扱説明書には、「本装置は、樹脂ペレットの乾燥装置です。」、「本装置には、風量を乾燥処理能力に追従させて、適値に増減させることで、電気エネルギー使用の適正化を行う機能(iplas)を有しています。」、「iplasとは マツイが開発したセルフコントロール機能を持つ知能化された商品の総称です。」と記載されている(乙4の2)。 (4)除湿乾燥機(MJ5-i)の液晶部分には、使用商標とともに「Ver.6.05」の文字が表示されており、これはコンピュータソフトウエアのバージョンを示している(乙4の1、被請求人の主張)。 2 使用商品について (1)上記1によれば、商標権者は、同人の製品カタログ、ウェブサイト等において、本件商標と社会通念上同一と認められる「iplas」の文字からなる商標(使用商標)を、プラスチックや樹脂の成形に用いられる「除湿乾燥機」、「金型冷却器」、「質量式配合装置」等の装置(使用商品)における「セルフコントロール機能」の名称として使用していることがうかがえる。 しかしながら、使用商品は、「コンピュータ」や「コンピュータソフトウエア」等の請求に係る商品ではない。 (2)被請求人の主張について ア 被請求人は、「セルフコントロール機能」について、搭載されているコンピュータソフトウエアの識別標識として使用商標を使用している旨主張する。 ところで、「商標法第50条における商品とは、市場において独立して商取引の対象として流通に供される物でなければならないと解すべき」である(甲3)。しかしながら、使用商品に搭載されている「コンピュータソフトウエア」それ自体が、市場において独立して商取引の対象として流通に供されていることは確認できない。 イ また、被請求人は、使用商品について「配合機、冷却機、除湿乾燥機であるとともに、自律的にデータ処理・制御を実行するコンピュータともいえ」ると主張する。 しかしながら、たとえ使用商品が自律的にデータ処理・制御を実行する装置であるとしても、商標権者の製品カタログ及びウェブサイトにおける記載からして、使用商品は「コンピュータ」として流通に供されているとはいえず、あくまでもプラスチックや樹脂の成形に用いられる「除湿乾燥機」、「金型冷却器」又は「質量式配合装置」等として流通に供されているというべきである。 そうすると、使用商品を「コンピュータ」であると評価することはできない。 (3)したがって、被請求人提出の証拠方法によっては、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、要証期間に日本国内において、請求に係る商品について、本件商標の使用をしていたものと認めることはできない。 3 まとめ 以上のとおり、被請求人が、要証期間内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが請求に係る商品のいずれかについて、本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)を使用していた事実を証明したとはいえず、また、当該使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしたともいえない。 したがって、本件商標の登録は、その指定商品中、請求に係る商品について、商標法第50条の規定により、取り消すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

審決本文(J-PlatPat)

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