商標取消審判
2025-300421
ディスクロック、ディスク
- 審判番号
- 2025-300421
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- 商願2021-005383
- 登録番号
- 6469726
- 請求日
- 2025年05月16日
- 審決日
- 2026年03月30日
- 公報発行日
- 2026年09月25日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】シェレックス ファスニング ソリューションズ エルエルシー
- 【請求人代理人】飯田 伸行
- 【請求人代理人】飯田 和彦
- 【被請求人】株式会社マツトモ
- 【被請求人代理人】丸山 英一
- 【被請求人代理人】丸山 重輝
- 【被請求人代理人】丸山 智貴
- 審判長/審判官
- 審判長 小林 正和
- 審判官 山田 啓之
- 審判官 渡邉 あおい
- 分類
- T131 .1 -Y (W06)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法50条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第50条第2項、商標法第50条第1項、商標法第2条第3項、商標法第2条第3項第2号、商標法第50条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第6469726号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第6469726号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、令和3年1月19日に登録出願、第6類「ボルト,ナット,ワッシャ―,金属製金具」を指定商品として、同年11月11日に設定登録されたものである。
そして、本件審判の請求の登録の日は、令和7年6月3日であり、商標法第50条第2項に規定する「その審判の請求の登録前3年以内」とは、令和4年(2022年)6月3日から同7年(2025年)6月2日までの期間(以下「要証期間」という。)である。
第2 請求人の主張
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により、その登録を取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)被請求人が主張する使用が、提出証拠との関係で、商標法第2条第3項各号に規定されるいずれの使用がなされたかが特定されておらず、被請求人の具体的主張が明らかでない。
(2)乙第1号証として提出された請求明細書(控)には本件商標は記載されていない。
請求明細書(控)(写し)の「商品名」の欄には、「SUS DISC-LOCKワッシャーM12」「三価 DISC-LOCKワッシャーM24」等という項目が記載されている。これらは本件商標ではなく、商品(ワッシャー)の記載である。
請求明細書(控)(乙1)の左部には日付欄が設けられ、日付が記載されている。しかし、それらの日付が納品日であることを示す記載は存しない。請求明細書に記載される可能性のある日付としては通常、注文日、受付日、出荷日、納品日、支払日など様々なものがある。乙第1号証の請求明細書(控)の日付欄においても、日付は、掛売上、振込など複数の項目に対応して記載されている。日付欄の日付には複数の可能性があり、これが納品日であるとは断じ得ず、例えば「備考」の「~様ご注文分」の記載との関係でみれば、そこでの日付は商品の注文日と言い得る。いずれにしても、乙第1号証は、商品が「株式会社三笠・鋲螺」へ納品されたことを立証するものでないことは明らかである。
(3)乙第3号証の現品票(SUS製)及び乙第4号証の現品票(三価クロメート製)の表面には、本件商標の図形部分の構成に近い構成の図形と、その下方に、本件商標の文字部分とフォント及び配置場所が若干異なる「DISC-LOCK」の文字とが記載されている。しかし、これらの現品票には、被請求人の名称・住所や日付が記載されていない。乙第3号証及び乙第4号証は、いつ誰がどこで何について用いたものかを立証するものではない。
(4)乙第5号証(確認書)について
乙第5号証の確認書は、内容に疑義及び不明な点がある。
この確認書には、「添付2」として写真が添付されており、確認書本文の項番「2」において、「上記納品された商品名DISC-LOCKとしたワッシャーには、寸法の相違によって左下欄の数値は相違するが、写真(添付2参照)に示されている現品票が、小分けされた包装袋の中に封入されて納品されたことに間違いない」と記載されている。この記載及び写真からは、「添付2」はこの確認書が対象とするワッシャー(実際に納品されたワッシャー)を撮影した写真であるとの趣旨と解されるが、「添付1」の請求明細書(控)に記載されている複数の項目のうちのどのワッシャーの納品時の状態を撮影したものなのか判然としない。さらに、「添付2」の写真はいつ誰によりどこで撮影されたものかについても、何ら明らかでない。
次に、この確認書には「業務部 仕入課 ○○○○」の記載と押印がなされている。仮にこの人物が株式会社三笠・鋲螺の従業員であるとしても、一従業員の確認書をもって、商標法第50条第2項本文に規定される使用を証明するための客観的な証拠に代えることができないことは論を待たない。もとより確認書のみで登録商標の所定の使用を認める過去の例もなく、仮に供述内容を客観的な証拠と同様に評価できる場合があるとしても、少なくとも、他の客観的な証拠を基礎として代表取締役等の取引先代表者が明確な供述を行い、これに署名して法人代表者印を押印した複数の取引先の陳述書を要するというべきである。
(5)付記
乙第3号証及び乙第4号証の現品票には、表面右下に、特許出願中であること(PATENT PENDING)を示す「PAT.PEND」の英文字が記載されている。そして、この現品票裏面には、「使用法」「取付法」「取外し法」としてワッシャーの説明文が記載されている。しかしながら、被請求人は、そこで示される構造のワッシャーに係る発明につき特許出願も特許も有していない。
乙第3号証及び乙第4号証の現品票裏面の「使用法」の図は、米国特許第5,080,545号(甲2)の特許発明の図に示される構成を表すものである。
乙第3号証及び乙第4号証の表面上部には、大きく表された「DISC-LOCK」の文字と、その右上に、この文字自体が登録商標であることを示すシンボルマークが付されている。「DISC-LOCK」の文字は、商品「ワッシャー」を対象とした商標として1974年7月28日に米国において最初に使用され登録され、米国法人Disc-Lock,LLCが米国登録商標を保有している(米国商標登録第6,107,179号)。
このように、乙第3号証及び乙第4号証は、そもそも被請求人が自己の商品につき使用するものとするには不自然かつ不可解な点が少なくない。
なお、Disc-Lock,LLCは2016年に請求人が買収している。
第3 被請求人の答弁
1 被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次の2のように述べ、証拠方法として乙第1号証から乙第5号証を提出した。
2 商標権者は、乙第1号証として提出する請求明細書(控)より明らかなように、ワッシャーを日本国内の会社に販売をしていた。
乙第1号証の左部の日付欄は、「株式会社三笠・鋲螺」への納品日である。
乙第1号証の商品名欄の「SUS」はSUS製を示し、「三価」は三価クロメート製を示す。
ところで、本件商標は、上段に図形、下段に「DISC-LOCK」の文字を配してなるところ、請求明細書(控)(乙1)には、「DISC-LOCK」の文字が記載され、図形部分は示されていない。
しかしながら、商標権者は、商品購入者への商品納品に際して、商品の包装袋の中に乙第3号証や、乙第4号証のような現品票を入れている。
現品票の表面には、登録商標が印刷されており、ワッシャーの商品名として使用していることが確認できる。
なお、乙第3号証と乙第4号証とは素材の違い(SUS製又は三価クロメート製)で各々が使用されている。また、左下の空欄には、商品の寸法が印字される。
これら乙第1号証、乙第3号証及び乙第4号証より、商標権者は、要証期間内に、日本国内において、不使用取消審判の対象となっているワッシャーについて、本件商標を使用していることは明らかである。
さらに、上記の点を補足するため、本件商標が使用されたワッシャーを購入した「株式会社三笠・鋲螺」からの確認書を提出する(乙5)。
確認書によれば、商標権者から商品名DISC-LOCKとしたワッシャー(SUS製、三価(クロメート)製)を購入し、商標権者より納品されたことが間違いない事実、該納品された商品名DISC-LOCKとしたワッシャーには、小分けされた包装袋の中に本件商標が印刷された現品票が封入されて納品されたことに間違いない事実が確認できる。
第4 当審の判断
1 被請求人の提出に係る証拠によれば、次の事実が認められる。
(1)商標権者は、2024年(令和6年)9月20日、同年10月20日、同年11月20日及び2025年(令和7年)2月20日に、株式会社三笠・鋲螺に対して、2024年(令和6年)8月23日から2025年(令和7年)2月20日までの間に納品した「DISC-LOCK」と称する「ワッシャー」(以下「使用商品」という。)についての代金を請求した(乙1、乙2)。
(2)株式会社三笠・鋲螺の従業員は、使用商品を商標権者から納品されたこと、また、使用商品は、現品票が小分けにされた包装袋に封入されて納品されたことを確認している(乙5)。
(3)現品票には、別掲2又は3のとおりの構成からなる商標(以下、これらを併せて「使用商標」という。)が表示されている(乙3、乙4)。
2 前記1において認定した事実によれば、以下のとおり判断できる。
(1)使用商品について
使用商品は、「ワッシャー」であるから、本件商標の指定商品中に含まれるものである。
(2)使用商標について
ア 本件商標は、別掲1のとおり、リング状の物体を擬人化したような図形を上段に配し、「DISC-LOCK」の文字を下段に配した構成からなるものである。
他方、使用商標は、別掲2及び3のとおり、本件商標の図形部分と同一視される図形を上段に配し、本件商標の文字部分と同様の「DISC-LOCK」の文字及び登録商標であることを表すマークを下段に配した構成からなるものである。
そうすると、本件商標と使用商標とは、図形部分において同一視され、文字部分において構成文字を共通にするものであり、登録商標であることを表すマークの有無についてのみ異なるものである。
してみると、使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標と認められる。
イ そして、使用商標は、現品票に表示されているところ、現品票は使用商品とともに小分けにされた包装袋に封入されていたものである。
そうすると、使用商標は、使用商品又はその包装に付されていたものと評価することができる。
(3)使用時期について
商標権者は、株式会社三笠・鋲螺に対して、令和6年8月23日から同7年2月20日までの間に使用商品を納品、すなわち引き渡したといえる。
そして、当該期間は、要証期間内である。
(4)小括
以上によれば、商標権者は、要証期間内である令和6年8月23日から同7年2月20日までの間に、本件商標の指定商品中の「ワッシャー」又はその包装に本件商標と社会通念上同一と認められる使用商標を付したものを引き渡したということができる。
そして、この行為は、商標法第2条第3項第2号に規定する「商品又は商品の包装に標章を付したものを引き渡す行為」に該当する。
3 請求人の主張について
(1)請求人は、請求明細書(控)(乙1)の左部の日付欄の日付は、納品日であることを示す記載は存せず、注文日と言い得ると主張する。
請求人の当該主張に基づけば、前記1(1)において、使用商品が令和6年8月23日から同7年2月20日までの間に納品されたと認定した事実は、使用商品が当該期間に納品されたのではなく、注文されたということになる。
しかしながら、仮に、使用商品が当該期間に注文されたとしても、令和6年9月20日、同年10月20日、同年11月20日及び同7年2月20日に使用商品に関する代金の請求がされたことからすると、当該注文の日から代金の請求の日までの間に使用商品は納品されたものと推認することができる。
そうすると、仮に、請求人が主張するとおり、令和6年8月23日から同7年2月20日までの期間が注文日であるとしても、使用商品の代金を請求した日はいずれも要証期間内であり、注文日から代金請求日までの間に引き渡された使用商品は、結局、要証期間内に引き渡されたものといえる。
(2)請求人は、一従業員の確認書をもって、使用を証明するための客観的な証拠に代えることはできない旨主張する。
しかしながら、一従業員の確認書であっても、その内容に不自然な点は認められず、また、その内容に反するような事実を認定できる証拠の提出もない。
そうすると、たとえ一従業員の確認書であっても、前述のとおり、判断するのが相当である。
(3)請求人は、現品票における特許出願中の表示や米国商標登録などについて、るる主張する。
しかしながら、請求人の当該主張は、前述の判断を左右するものではない。
4 まとめ
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者が、本件商標の指定商品中「ワッシャー」について、本件商標と社会通念上同一の使用商標の使用をしていたことを証明したということができる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2025-300421