特許拒絶査定不服審判
2022-017546
ディスペンサ、および生理用品提供装置
- 審判番号
- 2022-017546
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2022-038384外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年11月01日
- 審決日
- 2024年01月22日
- 公報発行日
- 2024年04月26日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】オイテル株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
- 分類
- P18 .121-Z (G06Q) / P18 .16 -Z (G06Q) / P18 .56 -Z (G06Q)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第29条の2、特許法第17条の2第6項、特許法第17条の2第5項第2号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2022- 38384「ディスペンサ、および生理用品提供装置」拒絶査定不服審判事件〔令和 4年12月22日出願公開、特開2022-189715〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和4年3月11日の出願であって、同年6月1日付けで拒絶理由通知をされ、同年7月22日に意見書が提出されるとともに、特許請求の範囲について補正する手続補正書が提出されたが、同年9月9日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。)がされ、これに対して、同年11月1日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に、明細書及び特許請求の範囲について補正する手続補正書が提出されたものである。
第2 令和4年11月1日の手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和4年11月1日の手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
1 本件補正について
(1)本件補正後の特許請求の範囲の請求項1
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された(下線部は補正箇所である)。
「【請求項1】
生理用品をユーザに提供するためのディスペンサであって、
前記生理用品を収納する収納部と、
前記ユーザのユーザ情報を非接触で読み取る読取部と、
前記読取部によって読み取られた前記ユーザ情報に基づいて、前記収納部に収納されている生理用品の排出要求を生成する生成部と、
前記生成部によって生成された排出要求を、管理サーバに送信するとともに、前記排出要求に対する判定結果を、前記管理サーバから受信する第1の通信部と、
前記判定結果が、排出許可を示す場合、前記収納部に収納されている生理用品を排出させる排出機構と
を備え、
前記管理サーバでは、前記ユーザの過去の判定結果に基づいて、前記ユーザに生理用品の提供がなされた直近の時刻から、生理期間中における生理用品の交換頻度に基づいて決
定される所定時間以上経過している場合、排出許可とされ、経過していない場合、排出不許可とされる、ディスペンサ。」
(2)本件補正前の特許請求の範囲の請求項1
本件補正前の、特許請求の範囲の請求項1の記載は、以下のとおりである。
「【請求項1】
生理用品をユーザに提供するためのディスペンサであって、
前記生理用品を収納する収納部と、
前記ユーザのユーザ情報を読み取る読取部と、
前記読取部によって読み取られた前記ユーザ情報に基づいて、前記収納部に収納されている生理用品の排出要求を生成する生成部と、
前記生成部によって生成された排出要求を、管理サーバに送信するとともに、前記排出要求に対する判定結果を、前記管理サーバから受信する第1の通信部と、
前記判定結果が、排出許可を示す場合、前記収納部に収納されている生理用品を排出させる排出機構と
を備え、
前記管理サーバでは、前記ユーザの過去の判定結果に基づいて、前記ユーザに生理用品の提供がなされた直近の時刻から、生理期間中における生理用品の交換頻度に基づいて決定される所定時間以上経過している場合、排出許可とされ、経過していない場合、排出不許可とされる、ディスペンサ。」
2 補正の適否
本件補正は、本件補正前の請求項1の「ユーザ情報を読み取る読取部」について、「非接触で」との限定を付加するものであって、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載された発明とは、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が異なるものではないから、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本件補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか否か)について、以下に検討する。
(1)本件補正発明
本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。
(2)引用文献等の記載事項等
ア 引用文献1について
(ア)記載事項
原査定で引用された中国実用新案第205028341号明細書(以下「引用文献1」という。)には、図面とともに、以下の事項が記載されている(訳文は当審による。下線は当審が付与。以下同様。)。
「
[図:0001408517000001.jpg]
[図:0001408517000002.jpg]
」
(訳文:
[0026] 本実用新案は、図1、図2に示すとおり、複数のポケットティッシュ配布機9、サーバ14、スマートモバイルデバイス15を含み、ポケットティッシュ配布機9が筐体1、ポケットティッシュ排出ウィンドウ2、二次元コード表示部3、二次元コードスキャンウィンドウ4、ポケットティッシュ収容室10、ポケットティッシュ搬送装置11、制御システム12、通信モジュール13を含み、
[0027] 前記ポケットティッシュ排出ウィンドウ2、二次元コード表示部3、二次元コードスキャンウィンドウ4が前記筐体1の外面に設置され、前記ポケットティッシュ収容室10、ポケットティッシュ搬送装置11、制御システム12が前記筐体1の内部に設置され、前記二次元コード表示部3がポケットティッシュ配布Appのダウンロード用二次元コードアドレスを表示することに用いられ、
[0028] 前記二次元コードスキャンウィンドウ4が制御システム12に接続され、制御システム12がポケットティッシュ搬送装置11に接続され、制御システム12が二次元コードスキャンウィンドウ4から二次元コード情報を取得し、且つ前記ポケットティッシュ搬送装置11を制御してポケットティッシュをポケットティッシュ排出ウィンドウ2に排出し、前記制御システム12が前記通信モジュール13を介して前記サーバ14に接続され、
[0029] スマートモバイルデバイス15における二次元コードスキャンソフトウェアで前記二次元コードアドレスをスキャンすると、インターネットを介して前記ポケットティッシュ配布Appがダウンロードされてインストールされ、ユーザーは、前記ポケットティッシュ配布Appを介して前記サーバ14に登録することができ、ユーザーが前記ポケットティッシュ配布Appにログインすると、前記ポケットティッシュ配布Appがスマートモバイルデバイス15の画面に二次元コードを表示し、二次元コードスキャンウィンドウ4が当該二次元コードをスキャンすると、スキャンした二次元コード情報を制御システム12に送信し、制御システム12がそれからユーザーのID情報を取得し、且つ当該ユーザーのID情報を用いて前記サーバ14によりユーザーの個人情報の正当性を検証した後に、ポケットティッシュ搬送装置11を制御してポケットティッシュをポケットティッシュ排出ウィンドウ2に排出することを特徴とする、セルフサービス式ポケットティッシュ配布システムを提示する。)
「
[図:0001408517000003.jpg]
・・・
[図:0001408517000004.jpg]
」
(訳文:
[0044] 男性用、女性用ポケットティッシュはニーズが異なるため、より好ましいサービスを顧客に提供できるようにするために、ポケットティッシュを分類して、男性と女性に別のポケットティッシュを提供することができ、ユーザーにとって使用しやすくするために、ポケットティッシュ配布機がポケットティッシュのタイプの選択機器をさらに含んでもよく、ユーザーは、当該ポケットティッシュのタイプの選択機器で必要なポケットティッシュのタイプを設定することができる。
・・・
[0046] 前記女性用ポケットティッシュは一枚のナプキンを含む。)
図1
[図:0001408517000005.jpg]
(イ)認定事項
a [0029]の記載によれば、二次元コードスキャンウィンドウ4は、スマートモバイルデバイス15に表示される二次元コードをスキャンし、二次元コード情報を得ることが認められ、制御システム12は、二次元コードスキャンウィンドウ4によって得られた二次元コード情報からユーザーのID情報を取得することが認められる。
b [0028]の記載によれば、通信モジュール13は、サーバ14と通信するものであり、[0029]も参照すると、通信モジュール13は、制御システム12によって抽出したユーザーのID情報を、サーバ14に送信するとともに、ユーザーの正当性の検証結果を、サーバ14から受信することが認められ、ポケットティッシュ排出ウィンドウ2は、前記検証結果がユーザーの正当性を示す場合、ポケットティッシュ収容室10に収容されたポケットティッシュを排出することが認められる。
(ウ)引用発明
上記(ア)、(イ)を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「ポケットティッシュをユーザーに配布するためのポケットティッシュ配布機9であって
ポケットティッシュを収容するポケットティッシュ収容室10と、
スマートモバイルデバイス15に表示される二次元コードをスキャンし、二次元コード情報を得る二次元コードスキャンウィンドウ4と、
二次元コードスキャンウィンドウ4によって得られた二次元コード情報からユーザーのID情報を取得する制御システム12と、
制御システム12によって抽出したユーザーのID情報を、サーバ14に送信するとともに、ユーザーの正当性の検証結果を、サーバ14から受信する通信モジュール13と、
前記検証結果がユーザーの正当性を示す場合、ポケットティッシュ収容室10に収容されたポケットティッシュを排出するポケットティッシュ排出ウィンドウ2と
を含む、ポケットティッシュ配布機9。」
イ 引用文献4について
原査定で引用された特開2011-96214号公報(以下「引用文献4」という。)には、以下の事項が記載されている。
「【0042】
フィードバック情報を入力する必要があると判断すると、フィードバックモジュール122は、表示装置116によりフィードバックアンケートを表示する。入力装置113は、フィードバックアンケートのフィードバックデータを入力するために用いる。フィードバックモジュール122がフィードバックデータを受信した後、ユーザデータベース150の中に保存し、フィードバック情報を入力する必要がないと判断して推薦モジュール130を起動する。推薦モジュール130は、上述の識別情報に基づき、複数の試供品のなかから少なくとも1つを配布用試供品に決定し、制御装置117は、推薦モジュール130が決定した配布用試供品を保管装置112から取出し口111へ送る。」
「【0046】
制御装置117が保管装置112の中に保管した配布用試供品を取出し口111へ送るとき、推薦モジュール130は、ユーザ識別データに対応して取得試供品データ及びその時間をユーザデータベース150の中に記録する。識別モジュール140が識別情報とユーザ識別データとが合致すると判断し、さらに、前回取得した試供品の時間から現在までの時間が所定時間を超えているか否かを判断し、所定時間を超えていると判断したときに推薦モジュール130を起動することにより、ユーザが機器本体110から試供品を繰り返して何度も取出すことを防ぐことができる。上述の所定時間は、システム設計者が自ら決めることができ、当業者であれば分かるように、実際の必要に応じて所定時間の長さを自由に決めることができる。」
ウ 引用文献5について
原査定で引用された特開2005-108128号公報(以下「引用文献5」という。)には、以下の事項が記載されている。
「【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、本発明は、サンプル配布及び情報収集に際する人件費を抑制でき、またサンプルを受け取った利用者に余計な負担をかけることなく、サンプルに対する利用者の趣向などの情報を収集することができ、更にサンプルの2個取りを防止することもできるサンプル配布システムを提供する。」
「【0048】
この2個取り防止手段15の機能としては、例えば以下の3通りの方法が考えられる。
【0049】
1つ目の方法は、例えば、ガムが5種類あった場合に、ミント味のサンプルを取得した後に、続けてオレンジ味のサンプルを取得することができないように、1個のサンプルを取得してから一定時間が経過しなければ同じ商品のサンプルを取得できないようにする機能。」
エ 引用文献等6について
(ア)記載事項
原査定で引用された、特願2019-230836号(特開2021-99636号)(以下「引用文献等6」という。)で示される出願(以下「先願」という。)の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「当初明細書等」という。)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。
「【請求項10】
吸収性物品を提供する複数の提供装置の各々と通信可能な通信部と、
前記複数の提供装置のいずれか一つから、利用者を識別する利用者情報を受信した場合、前記利用者情報を送信した前記提供装置に対して、前記利用者情報に基づく前記吸収性物品を提供するかを判定し、該判定した判定結果に応じて、前記利用者情報を送信した前記提供装置に少なくとも前記吸収性物品を1つ排出させる制御部と、
を備える、
管理装置。
【請求項11】
請求項10に記載の管理装置であって、
複数の前記利用者情報と、前記複数の提供装置の各々が前記吸収性物品を提供した提供時刻と、を対応付けた利用状況を示す利用者情報データを記録する記録部と、
計時機能を有する計時部と、
を備え、
前記制御部は、
前記利用者情報を受信した時刻と、前記利用者情報データと、に基づいて、前記利用者が前記複数の提供装置のいずれか1つから前記吸収性物品の提供を受けてから所定時間経過しているかを判定し、
前記所定時間経過していると判定した場合、前記利用者情報を送信した前記提供装置に対して、少なくとも前記吸収性物品を1つ排出させる一方、
前記所定時間経過していないと判定した場合、前記利用者情報を送信した前記提供装置に対して、前記所定時間経過していないことを示す情報を出力させる、
管理装置。」
「【0048】
図1に示す提供システム1は、利用者U1が外出時に吸収性物品を所持しておらず、吸収性物品を必要とする状況下において、吸収性物品を提供するシステムである。ここで、吸収性物品としては、生理用ナプキン、パンティーライナー、タンポン、使い捨ておむつ、尿取りパッド、失禁パッドおよびペット用のおむつ等が挙げられる。さらに、吸収性物品は、互いに異なる種類が含まれる。例えば、生理用ナプキンには、厚さ、長さ、および吸収量の各々が異なる複数種類が含まれる。」
「【0050】
図1に示す提供システム1は、吸収性物品を提供する提供装置10と、利用者U1が利用する端末装置20と、ネットワークを介して提供装置10または端末装置20と双方向に通信可能な管理装置30と、ネットワークを介して提供装置10および管理装置30と双方向に通信可能な店舗装置40と、を備える。」
「【0057】
続いて、利用者U1は、端末装置20の表示モニタが表示する利用者情報を、提供装置10に設けられたコードリーダに読み取らせる(ステップS6)。この場合、提供装置10は、利用者U1が提示した端末装置20の表示モニタで表示される利用者情報の読み取りを行う。
【0058】
その後、提供装置10は、利用者情報を管理装置30へ送信する(ステップS7)。この場合、提供装置10は、提供装置10の装置情報と、利用者情報と合わせて管理装置30へ送信してもよい。ここで、装置情報には、提供装置10を識別する装置識別情報(装置IDや装置IPアドレス)と、提供装置10が利用者情報を読み取った時刻情報と、を少なくとも含む。さらに、装置情報に、提供装置10の設置場所を示す設置場所情報と、提供装置10に収容された吸収性物品の種別を示す種別情報と、を含めてもよい。」
「【0071】
〔2-1:提供装置の機能構成〕
次に、図2を用いて、提供装置10の詳細な構成について説明する。提供装置10は、通信部101と、読取部102と、収容部103と、排出部104と、第1の検出部105と、第2の検出部106と、警報部107と、出力部108と、記録部109と、制御部110と、を備える。
【0072】
通信部101は、ネットワークNと有線または無線で接続され、提供装置10との間で情報の送受信を行う。通信部101は、通信用の回路や通信モジュールおよびアンテナ等によって実現される。なお、実施形態では、通信部101が第1の通信部として機能する。
【0073】
読取部102は、端末装置20の表示モニタに表示される利用者情報を読み取り、この読み取った利用者情報を制御部110へ出力する。読取部102は、2次元コードリーダ、例えばQRリーダやCCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等のイメージセンサと光学系とによって構成されたカメラモジュールを用いて実現される。なお、読取部102は、端末装置20の機能に応じて適宜変更することができ、例えば端末装置20が利用者情報を無線通信によって端末装置20へ送信する場合、Bluetooth(登録商標)やWi-Fi(Wireless Fidelity)(登録商標)等の通信モジュールを用いて実現してもよい。
【0074】
収容部103は、1つ以上の吸収性物品を収容する。収容部103は、吸収性物品を収容する筒部を有する。なお、収容部103は、提供装置10と別体であってもよく、例えばカートリッジのように提供装置10と分離可能なものであって、提供装置10の所定箇所に対して挿脱自在なものであってもよい。
【0075】
排出部104は、制御部110の制御のもと、収容部103に収容された吸収性物品を外部へ排出する。例えば、排出部104は、収容部103における筒部の底部を開閉可能な扉と、この扉の開閉動作や、この扉が開放されたとき、収容部103の筒部に収容された吸収性物品を所定数取出し可能とするための機構(例えば吸収性物品を排出する排出口へ吸収性物品をガイドするガイド機構)の動作のためのモータ等の駆動部と、を用いて実現される。」
「【0082】
制御部110は、取得部111と、提供制御部112と、判定部113と、出力制御部114と、警報制御部115と、送信制御部116と、を有する。
【0083】
取得部111は、読取部102が読み取った利用者情報を取得する。具体的には、取得部111は、読取部102が読み取った2次元コード、例えばQRコード(登録商標)に含まれる利用者情報を取得する。
【0084】
提供制御部112は、通信部101が管理装置30から許可情報を受信した場合、排出部104に、収容部103が収容する吸収性物品を排出させる。」
「【0097】
送信制御部342は、判定部341の判定結果を送信する。具体的には、送信制御部342は、判定部341が利用者情報に応じて判定した判定結果に応じて、利用者情報を送信した提供装置10に対して、吸収性物品の提供を許可する許可情報を通信部31に送信させる。具体的には、送信制御部342は、判定部341の判定結果により吸収性物品の提供が可能である場合、吸収性物品の提供を許可する許可情報を通信部31に送信させる。また、送信制御部342は、判定部341によって所定時間経過していないと判定された場合、利用者情報を送信した提供装置10に対して、吸収性物品の提供を禁止する禁止情報を通信部31に送信させる。また、送信制御部342は、判定部341によって所定回数内でないと判定された場合、利用者情報を送信した提供装置10に対して、所定期間内において吸収性物品の提供が所定回数に到達したことを示す到達情報を通信部31に送信させる。」
「【0099】
〔3.提供装置の処理手順〕
次に、提供装置10が実行する提供方法の処理について説明する。図5は、提供装置10が実行する提供方法の処理を示すフローチャートである。
【0100】
図5に示すように、まず、読取部102が端末装置20の表示モニタで表示される情報から利用者情報を読み取った場合(ステップS101:Yes)、取得部111は、読取部102が読み取った利用者情報を取得する(ステップS102)。
【0101】
続いて、送信制御部116は、取得部111が取得した利用者情報を通信部101に送信させる(ステップS103)。
【0102】
その後、通信部101が管理装置30から許可情報を受信した場合(ステップS104:Yes)、提供制御部112は、収容部103に吸収性物品を排出させる(ステップS105)。」
「【0109】
〔4.管理装置の処理手順〕
次に、管理装置30が実行する管理方法の処理について説明する。図6は、管理装置30が実行する管理方法の処理の概要を示すフローチャートである。
【0110】
図6に示すように、まず、通信部31が提供装置10から利用者情報を受信した場合(ステップS201:Yes)、管理装置30は、後述するステップS202へ移行する。これに対して、通信部31が提供装置10から利用者情報を受信していない場合(ステップS201:No)、管理装置30は、後述するステップS206へ移行する。
【0111】
ステップS202において、判定部341は、通信部31が受信した利用者情報と利用者情報データベース331が記録する利用者履歴に基づいて、通信部31が受信した利用者情報に含まれる利用者U1に吸収性物品を提供してから所定時間経過しているか否かを判定する。判定部341によって通信部31が受信した利用者情報に含まれる利用者U1に吸収性物品を提供してから所定時間経過していると判定された場合(ステップS202
:Yes)、管理装置30は、後述するステップS203へ移行する。これに対して、判定部341によって通信部31が受信した利用者情報に含まれる利用者U1に吸収性物品を提供してから所定時間経過していないと判定された場合(ステップS202:No)、管理装置30は、後述するステップS205へ移行する。
【0112】
ステップS203において、判定部341は、通信部31が受信した利用者情報と利用者情報データベース331が記録する利用者履歴に基づいて、通信部31が受信した利用者情報に含まれる利用者U1に対して1ヶ月当たりに提供可能な吸収性物品が所定回数内であるか否かを判定する。判定部341によって通信部31が受信した利用者情報に含まれる利用者U1に対して、1ヶ月当たりに提供可能な吸収性物品が所定回数内であると判定された場合(ステップS203:Yes)、管理装置30は、後述するステップS204へ移行する。これに対して、判定部341によって通信部31が受信した利用者情報に含まれる利用者U1に対して1ヶ月当たりに提供可能な吸収性物品が所定回数内でないと判定された場合(ステップS203:No)、管理装置30は、後述するステップS206へ移行する。
【0113】
ステップS204において、送信制御部342は、利用者情報を送信した提供装置10に対して、提供装置10に吸収性物品の提供を許可する許可情報を通信部31に送信させる。ステップS204の後、管理装置30は、本処理を終了する。
【0114】
ステップS205において、送信制御部342は、利用者情報を送信した提供装置10に対して、吸収性物品の提供を禁止する禁止情報を通信部31に送信させる。ステップS205の後、管理装置30は、本処理を終了する。
【0115】
ステップS206において、送信制御部342は、利用者情報を送信した提供装置10に対して、所定期間内における吸収性物品の提供が所定回数に到達したことを示す到達情報を通信部31に送信させる。ステップS206の後、管理装置30は、本処理を終了する。」
図1
[図:0001408517000006.jpg]
図2
[図:0001408517000007.jpg]
図6
[図:0001408517000008.jpg]
(イ)認定事項
a 【0050】の記載によれば、提供装置10は、吸収性物品を利用者U1に提供するものであると認められる。
b 【0073】の記載及び上記aによれば、読取部102は、利用者U1の利用者情報をカメラモジュールで読み取るものであると認められる。
c 【0058】には、提供装置10は、利用者情報と提供装置10の装置情報とを合わせて管理装置30に送信することが記載されている。当該記載からは、提供装置10のどの構成で利用者情報と提供装置10の装置情報とを合わせるのか必ずしも明らかでないが、【0082】、【0100】、【0101】も参照すると、制御部110の取得部111が、読み取り部102が読み取った利用者情報を、制御部110の送信制御部116が通信部101に送信させることから、制御部110が、利用者情報と提供装置10の装置情報とを合わせていると理解できる。以上から、制御部110は、読取部102が読み取った利用者情報と提供装置10の装置情報を合わせた情報を生成すること、及び、通信部101は、制御部110によって生成された利用者情報と提供装置10の装置情報を合わせた情報を、管理装置30に送信することが認められる。
d 【0097】の記載によれば、管理装置30は、利用者情報に応じて判定した判定結果に応じた情報を、利用者情報を送信した提供装置10に対して送信することが認められ、提供装置10で、上記判定結果に応じた情報を受信するのは通信部101であるのは明らかであるから、通信部101は、利用者情報に応じて判定した判定結果に応じた情報を、管理装置30から受信することが認められる。
e 【0075】、【0084】、【0102】の記載及び上記dによれば、排出部104は、前記判定結果に基づく情報が許可情報である場合、収容部103に収容された吸収性物品を排出することが認められる。
f 【0097】、【0111】~【0115】の記載によれば、上記dも参照すると、管理装置30では、利用者履歴に基づいて、利用者情報に含まれる利用者U1に吸収性物品を提供してから所定時間経過しているか否かを判定して、所定時間経過してないと判定した場合は、前記判定結果に基づく情報を禁止情報とし、所定時間経過していると判定した場合は、所定期間内において吸収性物品の提供が所定回数内であるか否かを判定して、所定回数内と判定した場合は、前記判定結果に基づく情報を許可情報とし、所定回数内でないと判定した場合は、前記判定結果に基づく情報を所定回数に到達したことを示す到達情報とすること(以下「管理装置30技術事項」という。)が認められる。これに対して、請求項11には、所定期間内における吸収性物品の提供回数を判定しない場合の処理が開示されており、管理装置30技術事項を、当該場合の処理に対応させると、管理装置30では、利用者履歴に基づいて、利用者情報に含まれる利用者U1に吸収性物品を提供してから所定時間経過しているか否かを判定し、所定時間経過していると判定した場合は、前記判定結果に基づく情報が許可情報を許可情報とし、所定時間経過してないと判定した場合は、前記判定結果に基づく情報が許可情報を禁止情報とすることとなるのは明らかである。
(ウ)先願発明
上記(ア)(特に【0074】)及び(イ)を総合すると、先願の当初明細書等には、次の発明(以下「先願発明」という。)が記載されていると認められる。
「吸収性物品を利用者U1に提供する提供装置10であって、
吸収性物品を収容する収容部103と、
利用者U1の利用者情報をカメラモジュールで読み取る読取部102と、
読取部102が読み取った利用者情報と提供装置10の装置情報を合わせた情報を生成する制御部110と、
制御部110によって生成された利用者情報と提供装置10の装置情報を合わせた情報を、管理装置30に送信するとともに、利用者情報に応じて判定した判定結果に基づく情報を管理装置30から受信する通信部101と、
前記判定結果に基づく情報が許可情報である場合、収容部103に収容された吸収性物品を排出する排出部104と
を備え、
管理装置30では、利用者履歴に基づいて、利用者情報に含まれる利用者U1に吸収性物品を提供してから所定時間経過しているか否かを判定して、所定時間経過していると判定した場合は、前記判定結果に基づく情報を許可情報とし、所定時間経過してないと判定した場合は、前記判定結果に基づく情報を禁止情報とする、提供装置10。」
(3) 当審の判断
ア 引用発明を主引用発明とした場合(進歩性)
(ア)対比
a 本件補正発明と引用発明とを対比すると、後者の「ユーザー」は、前者の「ユーザ」に相当し、以下同様に、「配布する」ことは「提供する」ことに、「ポケットティッシュ配布機9」は「ディスペンサ」に、「収容する」ことは「収納する」ことに、「ポケットティッシュ収容室10」は「収納部」に、「二次元コード情報」は「ユーザ情報」に、「二次元コードスキャンウィンドウ4」は「読取部」に、「サーバ14」は「管理サーバ」に、「取得する」ことは「生成する」ことに、「通信モジュール13」は「第1の通信部」に、「含む」ことは「備え」ることに、それぞれ相当する。
b 上記aを踏まえると、後者の「二次元コードをスキャンし、二次元コード情報を得る」ことは、前者の「前記ユーザのユーザ情報を非接触で読み取る」ことに相当するから、後者の「二次元コードをスキャンし、二次元コード情報を得る二次元コードスキャンウィンドウ4」は、前者の「前記ユーザのユーザ情報を非接触で読み取る読取部」に相当する。
c 後者の「ポケットティッシュ」は、前者の「生理用品」と、「衛生用品」という点で共通するから、上記アも踏まえると、後者の「ポケットティッシュをユーザーに配布するためのポケットティッシュ配布機9」は、前者の「生理用品をユーザに提供するためのディスペンサ」と、「衛生用品をユーザに提供するためのディスペンサ」という点で共通し、後者の「ポケットティッシュを収容するポケットティッシュ収容室10」は、前者の「前記生理用品を収納する収納部」と、「前記衛生用品を収納する収納部」という点で共通する。
d 後者の「ユーザーのID情報」は、サーバ14に送信されて、ポケットティッシュ収容室10に収容されたポケットティッシュをユーザーに配布するか否かの判定に利用されるから、上記cも踏まえると、前者の「前記収納部に収納されている生理用品の排出要求」と、「前記収納部に収納されている衛生用品の排出要求」という点で共通し、後者の「制御システム12」は、前者の「生成部」に相当する。
したがって、上記aも踏まえると、後者の「二次元コードスキャンウィンドウ4によって得られた二次元コード情報からユーザーのID情報を取得する制御システム12」は、前者の「前記読取部によって読み取られた前記ユーザ情報に基づいて、前記収納部に収納されている生理用品の排出要求を生成する生成部」と、「前記読取部によって読み取られた前記ユーザ情報に基づいて、前記収納部に収納されている衛生用品の排出要求を生成する生成部」という点で共通する。
そして、後者の「ユーザーの正当性の検証結果」は、前者の「前記排出要求に対する判定結果」に相当するから、後者の「制御システム12によって抽出したユーザーのID情報を、サーバ14に送信するとともに、ユーザーの正当性の検証結果を、サーバ14から受信する通信モジュール13」は、前者の「前記生成部によって生成された排出要求を、管理サーバに送信するとともに、前記排出要求に対する判定結果を、前記管理サーバから受信する第1の通信部」に相当し、後者の「前記検証結果がユーザーの正当性を示す場合、ポケットティッシュ収容室10に収容されたポケットティッシュを排出するポケットティッシュ排出ウィンドウ2」は、前者の「前記判定結果が、排出許可を示す場合、前記収納部に収納されている生理用品を排出させる排出機構」と、「前記判定結果が、排出許可を示す場合、前記収納部に収納されている衛生用品を排出させる排出機構」という点で共通する。
そうすると、本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は、以下のとおりである。
<一致点1>
「衛生用品をユーザに提供するためのディスペンサであって、
前記衛生用品を収納する収納部と、
前記ユーザのユーザ情報を非接触で読み取る読取部と、
前記読取部によって読み取られた前記ユーザ情報に基づいて、前記収納部に収納されている衛生用品の排出要求を生成する生成部と、
前記生成部によって生成された排出要求を、管理サーバに送信するとともに、前記排出要求に対する判定結果を、前記管理サーバから受信する第1の通信部と、
前記判定結果が、排出許可を示す場合、前記収納部に収納されている衛生用品を排出させる排出機構と
を備える、ディスペンサ。」
<相違点1>
本件補正発明では、衛生用品が「生理用品」であり、「前記管理サーバでは、前記ユーザの過去の判定結果に基づいて、前記ユーザに生理用品の提供がなされた直近の時刻から、生理期間中における生理用品の交換頻度に基づいて決定される所定時間以上経過している場合、排出許可とされ、経過していない場合、排出不許可とされる」のに対し、引用発明では、衛生用品が「ポケットティッシュ」であり、排出許可を出す条件について、そのような特定はない点。
(イ)相違点についての判断
引用文献1には、ポケットティッシュをナプキンとすること(例えば、[0046]参照。)が記載されているから、引用発明において、ポケットティッシュをナプキンとすることは、適宜なし得る設計的事項にすぎない。
また、試供品等、無料で製品を提供する際に、特定の者に無制限に製品を提供しないようにすることは、本願出願に周知の課題(例えば、引用文献4の【0046】、引用文献5の【0010】等参照。)であり、当該周知の課題を解決するために、無料で製品を提供する装置において、特定の者に対して、製品を提供した時から所定時間経過しないと、新たに該製品を提供しないようにすることは、本願出願前の周知技術(例えば、引用文献4の【0042】、【0046】、引用文献5の【0048】、【0049】等参照。)であるところ、引用発明においても、上記周知の課題を内在することは明らかであるから、上記周知技術を適用する動機付けがあると認められる。
そして、引用発明に上記周知技術を適用するに際して、上記所定時間を製品に応じて設定することは、当業者であれば当然考慮することであるから、引用発明が提供する製品をナプキンとした場合に、上記設定時間を生理期間中における生理用品の交換頻度に基づいて設定する程度のことは、当業者が適宜なし得たことである。
よって、引用発明において、相違点1に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
(ウ)小括
以上によれば、本件補正発明は、引用発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
よって、本件補正発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものではない。
イ 先願発明を主引用発明とした場合(拡大先願)
(ア)対比
a 本件補正発明1と先願発明とを対比すると、後者の「利用者U1」は、前者の「ユーザ」に相当し、以下同様に、「提供装置10」は「ディスペンサ」に、「収容する」ことは「収納する」ことに、「収容部103」は「収納部」に、「利用者情報」は「ユーザ情報」に、「読取部102」は「読取部」に、「管理装置30」は「管理サーバ」に、「通信部101」は「第1の通信部」に、「排出部104」は「排出機構」に、「利用者履歴」は「前記ユーザの過去の判定結果」に、それぞれ相当する。
b 上記aを踏まえると、後者の「利用情報をカメラモジュールで読み取る」ことは、前者の「ユーザ情報を非接触で読み取る」に相当するから、後者の「利用者U1の利用者情報をカメラモジュールで読み取る読取部102」は、前者の「前記ユーザのユーザ情報を非接触で読み取る読取部」に相当する。
c 後者の「吸収性物品」は、前者の「生理用品」と、「物品」という点で共通するから、上記aも踏まえると、後者の「吸収性物品を利用者U1に提供する提供装置10」は、前者の「生理用品をユーザに提供するためのディスペンサ」と、「物品をユーザに提供するためのディスペンサ」という点で共通し、後者の「吸収性物品を収容する収容部103」は、前者の「前記生理用品を収納する収納部」と、「前記物品を収納する収納部」という点で共通する。
d 後者の「利用者情報と提供装置10の装置情報を合わせた情報」は、管理装置30に送信されて、収容部103に収容された吸収性物品を提供するか否かの判定に使用されるから、上記ウも踏まえると、前者の「前記収納部に収納されている生理用品の排出要求」と、「前記収納部に収納されている物品の排出要求」という点で共通し、後者の「制御部110」は、前者の「生成部」に相当する。
したがって、後者の「読取部102が読み取った利用者情報と提供装置10の装置情報を合わせた情報を生成する制御部110」は、前者の「前記読取部によって読み取られた前記ユーザ情報に基づいて、前記収納部に収納されている生理用品の排出要求を生成する生成部」と、「前記読取部によって読み取られた前記ユーザ情報に基づいて、前記収納部に収納されている物品の排出要求を生成する生成部」という点で共通する。
そして、上記アも踏まえると、後者の「利用者情報に応じて判定した判定結果に基づく情報」は、前者の「前記排出要求に対する判定結果」に相当するから、後者の「制御部110によって生成された利用者情報と提供装置10の装置情報を合わせた情報を、管理装置30に送信するとともに、利用者情報に応じて判定した判定結果に基づく情報を管理装置30から受信する通信部101」は、前者の「前記生成部によって生成された排出要求を、管理サーバに送信するとともに、前記排出要求に対する判定結果を、前記管理サーバから受信する第1の通信部」に相当し、後者の「前記判定結果に基づく情報が許可情報である場合、収容部103に収容された吸収性物品を排出する排出部104」は、前者の「前記判定結果が、排出許可を示す場合、前記収納部に収納されている生理用品を排出させる排出機構」と、「前記判定結果が、排出許可を示す場合、前記収納部に収納されている物品を排出させる排出機構」という点で共通する。
e 上記a、c及びdを踏まえると、後者の「利用者情報に含まれる利用者U1に吸収性物品を提供してから」は、前者の「前記ユーザに生理用品の提供がなされた直近の時刻から」と、「前記ユーザに物品の提供がなされた直近の時刻から」という点で共通し、後者の「所定時間」は、前者の「生理期間中における生理用品の交換頻度に基づいて決定される所定時間」と、「所定時間」という点で共通し、後者の「前記判定結果に基づく情報を許可情報と」することは、前者の「排出許可とされ」ることに相当し、後者の「前記判定結果に基づく情報を禁止情報とする」ことは、前者の「排出不許可とされる」ことに相当するから、
後者の「管理装置30では、利用者履歴に基づいて、利用者情報に含まれる利用者U1に吸収性物品を提供してから所定時間経過しているか否かを判定して、所定時間経過していると判定した場合は、前記判定結果に基づく情報を許可情報とし、所定時間経過してないと判定した場合は、前記判定結果に基づく情報を禁止情報とする」ことは、前者の「前記管理サーバでは、前記ユーザの過去の判定結果に基づいて、前記ユーザに生理用品の提供がなされた直近の時刻から、生理期間中における生理用品の交換頻度に基づいて決定される所定時間以上経過している場合、排出許可とされ、経過していない場合、排出不許可とされる」と、「前記管理サーバでは、前記ユーザの過去の判定結果に基づいて、前記ユーザに物品の提供がなされた直近の時刻から、所定時間以上経過している場合、排出許可とされ、経過していない場合、排出不許可とされる」という点で共通する。
そうすると、本件補正発明と先願発明との一致点及び相違点は、以下のとおりである。
<一致点2>
「物品をユーザに提供するためのディスペンサであって、
前記物品を収納する収納部と、
前記ユーザのユーザ情報を非接触で読み取る読取部と、
前記読取部によって読み取られた前記ユーザ情報に基づいて、前記収納部に収納されている物品の排出要求を生成する生成部と、
前記生成部によって生成された排出要求を、管理サーバに送信するとともに、前記排出要求に対する判定結果を、前記管理サーバから受信する第1の通信部と、
前記判定結果が、排出許可を示す場合、前記収納部に収納されている物品を排出させる排出機構と
を備え、
前記管理サーバでは、前記ユーザの過去の判定結果に基づいて、前記ユーザに物品の提供がなされた直近の時刻から、所定時間以上経過している場合、排出許可とされ、経過していない場合、排出不許可とされる、ディスペンサ。」
<相違点2>
本件補正発明では、物品が「生理用品」であり、所定時間が「生理期間中における生理用品の交換頻度に基づいて決定される」のに対し、先願発明では、物品が「吸収性物品」であり、所定時間についてそのような特定はない点。
(イ)相違点についての判断
先願発明の「吸収性物品」について、先願の当初明細書等の【0048】には、「吸収性物品としては、生理用ナプキン、パンティーライナー、タンポン、使い捨ておむつ、尿取りパッド、失禁パッドおよびペット用のおむつ等が挙げられる。」と記載されており、生理用ナプキンやタンポンは、本件補正発明の「生理用品」に相当するから、物品が「生理用品」であることは設計上の微差にすぎず、実質的な相違点ではない。
また、先願発明において、所定時間が長すぎれば、必要な人に吸収性物品を提供できなくなり、短すぎれば、特定の人に多くの吸収性物品を提供可能となって、所定時間を設ける意義がなくなることを勘案すると、上記所定時間を適切に設定するためには、ユーザのニーズを考慮する必要があることは明らかである。
そして、上記で説示したとおり、先願発明の「吸収性物品」は、本件補正発明の「生理用品」と実質的に相違しないものであり、上記所定時間を設定するに際して、生理期間中における交換頻度を考慮するのは当然であると認められるから、所定時間についても実質的な相違点とは認められない。
仮にそうでないとしても、所定時間が生理期間中における生理用品の交換頻度に基づいて決定されることは設計上の微差にすぎない。
(ウ)小括
以上によれば、本件補正発明は先願発明と実質的に同一であるから、特許法第29条の2の規定により、特許を受けることができない。
よって、本件補正発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものではない。
(4) まとめ
以上のとおりであるから、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記の通り却下されたので、本件補正前の本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記「第2 1(2)」に示したとおりのものと認められる。
2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由の概要は、以下の理由を含むものである。
[理由2](進歩性)
この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
[理由3](拡大先願)
この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願の日前の特許出願であって、その出願後に出願公開がされた下記の特許出願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、この出願の発明者がその出願前の特特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、またこの出願の時において、その出願人が上記特許出願の出願人と同一でもないので、特許法第29条の2の規定に違反してされたものである。
記
○理由2
・請求項 1~3、5、7~16、20、21
・引用文献 1、4、5
○理由3
・請求項 1~21
・引用文献等 6
・引用文献等一覧
1.中国実用新案第205028341号明細書
4.特開2011-96214号公報(周知技術を示す文献)
5.特開2005-108128号公報(周知技術を示す文献)
6.特願2019-230836号(特開2021-99636号)
3 引用文献の記載事項等
引用文献1の記載事項等は、上記「第2 2(2)ア」に示したとおりであり、引用文献等6の記載事項等は、上記「第2 2(2)エ」に示したとおりである。
4 当審の判断
本願発明は、本件補正発明から、「ユーザ情報を読み取る読取部」について、「非接触で」との限定を削除するものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、更に他の事項を付加したものである本件補正発明が、上記「第2 2(3)ア」で説示したとおり、引用発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、また、上記「第2 2(3)イ」で説示したとおり、先願発明と実質的に同一であるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、また、先願発明と実質的に同一である。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができず、また、先願発明と実質的に同一であるから、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明を検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2022-017546