特許拒絶査定不服審判
2023-009606
洗濯機
- 審判番号
- 2023-009606
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2022-166326
- 請求日
- 2023年06月09日
- 審決日
- 2025年02月17日
- 公報発行日
- 2025年05月30日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】アイリスオーヤマ株式会社
- 【請求人代理人】原田 淳司
- 審判長/審判官
- 審判長 北村 英隆
- 審判官 関口 哲生
- 審判官 長馬 望
- 分類
- P18 .113-WZ (D06F) / P18 .121-WZ (D06F) / P18 .16 -WZ (D06F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条1項3号特許法29条2項特許法29条の2
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第29条の2
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2022-166326「洗濯機」拒絶査定不服審判事件〔令和5年7月10日出願公開、特開2023-98601〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和3年12月28日に出願された特願2021-214251号(以下「原出願」という。)の一部を、令和4年10月17日に新たな特許出願としたものであって、手続の経緯は概ね以下のとおりである。
令和4年11月29日付け 拒絶理由通知書
令和5年 1月 4日 意見書、手続補正書の提出
令和5年 3月 7日付け 拒絶査定
令和5年 6月 9日 審判請求書、手続補正書の提出
令和6年 5月 1日付け 拒絶理由通知書
令和6年 6月21日 意見書、手続補正書の提出
第2 本願発明
本願の特許請求の範囲の請求項1~9に係る発明は、令和6年6月21日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~9に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、その請求項2に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。
「【請求項2】
洗濯槽と、
前記洗濯槽に給水する給水路と、
前記洗濯槽に液剤を投入する液剤自動投入ユニットと、
前記洗濯槽に洗剤を投入する洗剤投入ユニットと
を備える洗濯機において、
前記給水路内を流れる水は、前記液剤自動投入ユニットを通過した後に前記洗剤投入ユニットを通って前記洗濯槽に流れ、
前記液剤自動投入ユニットは、前記洗濯槽に投入する液剤を貯留する液剤タンクを有するとともに、前記液剤タンクの後側に液剤自動投入手段を有し、
前記液剤自動投入ユニットの下側に前記洗剤投入ユニットが存在するよう、前記液剤自動投入ユニットは前記洗剤投入ユニットと上下方向に一部又は全部が重なる状態で配され、
前記液剤自動投入ユニットは、前記液剤タンクから吐出された液剤を水とともに当該液剤自動投入ユニットから流出させるための下流側水路形成部を左右方向に延びるように前記液剤タンクの後側に有し、
前記下流側水路形成部は、上流側から下流側に向かうにしたがって、底部分が下方に下がるように傾斜し、
前記液剤タンク内には、フィルタが配される、
洗濯機。」
第3 拒絶の理由
令和6年5月1日付けで当審が通知した拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)のうち、理由1~3は、次の理由を含むものである。
理由1(新規性) この出願の請求項2に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された以下の引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
理由2(進歩性) この出願の請求項2に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された以下の引用文献1に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
理由3(拡大先願) 本件出願の請求項2に係る発明は、その出願の日前の他の特許出願であって、その出願後に特許掲載公報の発行された以下の引用文献等3の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、本件出願の発明者がその出願前の他の特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、また本件出願の時において、その出願人が上記他の特許出願の出願人と同一でもないので、特許法第29条の2の規定により、特許を受けることができない。
(引用文献等一覧)
1.特開2021-23506号公報
2.特開2021-69734号公報
3.特願2021-140177号(特許第7209311号公報)
第4 引用文献等の記載並びに引用発明及び先願発明
1 引用文献1の記載及び引用発明
(1)当審拒絶理由で引用された引用文献1には、図面とともに、次の記載がある。(下線は、当審で付加した。以下、同様である。)
ア 「【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばドラム式の洗濯機においては、一般に、本体の上部前部に引出し式の洗剤等収容ケースが設けられ、ユーザが洗濯開始前に洗剤等収容ケースに必要量の洗剤や柔軟仕上剤を収容させておくことにより、洗濯運転時にそれらが給水と共に水槽内に供給される。近年、ユーザの利便性向上の要望に応えるため、手動用の洗剤等収容ケースに加えて、洗剤や柔軟仕上剤などの洗濯処理剤をタンク内に予め複数回分貯留しておき、洗濯運転中に、ポンプの駆動により必要量をタンクから自動的に水槽内へ投入する自動投入装置を設けることが考えられている(例えば特許文献1参照)。」
イ 「【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した自動投入装置にあっては、洗濯処理剤を貯留するタンクは、タンク収容部に着脱可能に設けられ、洗濯処理剤の補充時等には取外すことができる。そして、タンク収容部への装着状態では、タンクの底部に設けられた洗濯処理剤の出口部が、ポンプの吸入口に接続される。このとき、タンクの出口部には、逆止弁が設けられ、タンクの装着状態では弁が開放し、取外し時には弁が閉じて洗濯処理剤が漏れないように構成されている。
【0005】
しかしながら、上記構成では、長期間に使用に伴い、洗濯処理剤が逆止弁に付着して固着が生じた場合や、逆止弁に異物が挟まった場合などに、逆止弁の機能が阻害されてしまう。そのため、タンクを取外した際に、タンク内に残っていた洗濯処理剤が外部に漏れてしまう虞がある。
そこで、洗濯処理剤の自動投入装置を備えるものにあって、洗濯処理剤を収容するタンクを取出した際の洗濯処理剤の外部への漏れの防止効果に優れる洗濯機を提供する。」
ウ 「【0008】
以下、ドラム式の洗濯機に適用した一実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係る洗濯機としてのドラム式洗濯機の外観を示している。ここで、ドラム式洗濯機の外箱を構成する本体1は、ほぼ矩形箱状をなし、本体1の前面部には、ほぼ中央部に位置して、衣類が出し入れされる円形状の出入口2が設けられていると共に、その出入口2を開閉するため扉3が開閉可能に取付けられている。
【0009】
本体1の上面部の前部右部には、電源スイッチ4や操作パネル5が設けられている。図示はしないが、この操作パネル5には、スタートキーやユーザが洗濯運転コースの設定等を行うための各種操作キーが設けられている。このとき、ユーザは、洗濯運転を実行させるにあたって、後述する自動投入装置17により自動で洗濯処理剤即ち洗剤及び柔軟仕上剤を投入するか、或いは、手動供給機構19を用いて手動で1回分の洗剤や柔軟仕上剤を投入するかを、操作パネル5上で選択操作できる。この操作パネル5には、表示部6が設けられており、図示はしないが、実行されるべき洗濯運転の洗濯コースや洗濯運転時間等の必要な表示が行われる。また、表示部6には、後述するタンク31、32内の洗剤、柔軟仕上剤の量が残り少ない旨の文字表示による報知も行われる。
【0010】
図示はしないが、本体1内には、前面が開口したほぼ円筒状をなし前記出入口2に連通し洗濯水が溜められる水槽が、弾性支持機構を介して弾性的に支持されて設けられている。前記水槽内には、衣類が収容される収容槽としてのドラムが設けられる。このドラムは、前記水槽よりもやや径小な円筒状をなし、その背面側中心部が、ドラムモータ等からなる駆動機構に接続されて回転駆動される。また、本体1内には、水槽の左上部に位置して該水槽内への給水を行うための給水機構8が設けられている。この給水機構8については後述する。水槽の底部には排水口が設けられており、その排水口に、排水弁を介して排水管が接続されている。」
エ 「【0012】
ここで、前記給水機構8、自動投入装置17、手動投入機構19について述べる。図2、図3にも示すように、給水機構8は、本体1内の左側上部の後部に設けられた給水弁ユニット12、本体1内の左側上部の前部に設けられた注水ケース13、給水弁ユニット12から注水ケース13につながる自動用給水経路14及び手動用給水経路15、注水ケース13から水槽内に給水を行うための給水ホース16等を備えている。
【0013】
そして、本体1内の左側上部には、前記給水機構8と共に、洗濯処理剤としての液体洗剤及び柔軟仕上剤を、注水ケース13を通して水槽内に自動で投入するための自動投入装置17が設けられている。更に、本実施形態では、ユーザが予め1回分の洗濯処理剤としての洗剤(液体、粉末)及び柔軟仕上剤を、手動用収容部としての収容ケース18に投入しておくと、それら洗剤や柔軟仕上剤を給水と共に水槽内に供給する手動投入機構19が組込まれている。」
オ 「【0014】
前記給水弁ユニット12は、図2及び図3に示すように、フレーム12aに、電磁的に開閉動作する複数個の給水弁を備えている。本実施形態では、フレーム12aの上段に位置して、自動用給水弁21と手動洗剤用給水弁22とが左右に設けられている(図3参照)と共に、下段に位置して、手動柔軟剤用給水弁20(図2参照)が設けられている。また、図1にも示すように、給水弁ユニット12の上部には、接続管23が本体1の上面に露出するように設けられ、この接続管23に、給水源としての水道の蛇口が接続される。詳しく図示はしないが、接続管23は、下方で3つに分岐して各給水弁20~22の入口部に夫々接続されている。
【0015】
また、前記自動用給水弁21の出口部が、自動用給水経路14の入口部に接続されている。手動洗剤用給水弁22の出口部が、手動用給水経路15のうちの洗剤用流路の入口部に接続され、手動柔軟剤用給水弁20の出口部が、手動用給水経路15のうちの柔軟剤用流路の入口部に接続されている。これら自動用給水経路14及び手動用給水経路15については後述する。尚、図3に示すように、給水弁ユニット12の右側には、風呂の残り湯等を汲み上げるための風呂水ポンプ24が組込まれている。
【0016】
前記注水ケース13は、図2、図3に示すように、プラスチックから上面が開口した矩形箱状に構成され、本体1内の上部前面側の左端部に配置されている。注水ケース13の上面開口部には、手動用給水経路15を構成する流路形成部材25が配置されている。尚、図3には示されていないが、流路形成部材25の上面は蓋部材で覆われる。前記注水ケース13の底部は、後方に向けて緩やかに下降傾斜しており、その後端部下部には、前記給水ホース16の先端部が接続され、給水ホース16の後端部が、図示しない水槽の給水口に接続されている。この注水ケース13の前面には、前記収容ケース18が出し入れされる開口部が設けられ、その開口部が、本体1内の前面左上部の開口部に臨んでいる。」
カ 「【0017】
前記収容ケース18は、図3に示すように、プラスチックから構成され、共に上面が開放し前後にやや長い薄型容器状をなす手動用洗剤収容部18aと、手動用柔軟剤収容部18bとを、左右に並んで一体的に有している。手動用洗剤収容部18aには、例えば1回分の洗剤、この場合液体洗剤又は粉末洗剤が収容され、手動用柔軟剤収容部18bには、ソフターと称される1回分の柔軟仕上剤が必要に応じて収容される。尚、詳しく図示はしないが、手動用洗剤収容部18aは後端部が開放されて洗剤の排出部とされている。また、手動用柔軟剤収容部18bは、いわゆるサイフォン式の排出部を有している。
【0018】
前記収容ケース18は、注水ケース13内に前面側から出し入れ可能に設けられたいわゆる引出式とされている。このとき、図1に示すように、収容ケース18の前端部には、手掛け部26aを有する前扉26が連結されている。収容ケース18は、前扉26が本体1内の前面左上部の開口部を閉塞する収納位置(図1参照)と、その収納位置から前方に引き出された引出し位置(図3参照)との間で出し入れ可能とされている。前記収容ケース18は、その収納位置では、注水ケース13内の上部に配置されるようになっている。」
キ 「【0019】
前記手動用給水経路15は、図3に示すように、前記給水弁ユニット12の前部から一旦右側に延び、後述する自動投入装置17のタンク収容部分の右側部を迂回するように前方に延び、その後左側に折れ曲がって注水ケース13の上部に至るように設けられている。上記したように、この手動用給水経路15は、プラスチック製の流路形成部材25の上面がリブによって仕切られることにより、洗剤用流路27と柔軟剤用流路28との2つの流路を有して構成される。
【0020】
そのうち洗剤用流路27は、入口部27aが前記手動洗剤用給水弁22の出口部に接続され、注水ケース13の上部の左側部位即ち収容ケース18の手動用洗剤収容部18aの上方まで延び、左右部において前後に並んで設けられた複数の小径の散水孔27bを有している。また、柔軟剤用流路28は、入口部28aが手動柔軟剤用給水弁20の出口部に接続され、注水ケース13の上部の右側部位即ち収容ケース18の手動用柔軟剤収容部18bの上方まで延び、前後に並んでやや大きい3個の注水穴28bを有している。
【0021】
以上の構成により、手動供給機構19が構成される。この手動供給機構19にあっては、手動洗剤用給水弁22が開放されると、接続管23から供給された水道水が手動用給水経路15の洗剤用流路27を通り、散水孔27bから収容ケース18の手動用洗剤収容部18aにシャワー状に注水される。手動用洗剤収容部18aに供給された水は、収容されている洗剤を溶かしながら、注水ケース13底部に流れ、給水ホース16を通って水槽内に供給される。
【0022】
また、この手動供給機構19にあっては、手動柔軟剤用給水弁20が開放されると、接続管23から供給された水道水が手動用給水経路15の柔軟剤用流路28を通り、注水穴28bから収容ケース18の手動用柔軟剤収容部18bに注水される。手動用柔軟剤収容部18bに供給された水は、収容されている柔軟仕上剤を溶かしながら、注水ケース13から給水ホース16を通って水槽内に供給される。」
ク 「【0023】
ここで、前記自動投入装置17について述べる。自動投入装置17は、図2、図3等に示すように、前記注水ケース13の後側に設けられたタンク収容部としてのタンクケース29と、その後部に設けられたポンプ30とを備えている。タンクケース29は、上面が開放し前後にやや長いほぼ矩形箱状をなし、図1に示すように、タンクケース29内には、共に前後方向に細長い矩形箱状をなす洗剤タンク31と柔軟仕上剤タンク32とが、左右に並んで上方への取出し可能、即ち着脱可能に設けられている。
【0024】
この場合、洗剤タンク31内には、複数回分の洗濯に使用可能な液体洗剤が収容され、柔軟仕上剤タンク32内には、複数回分の洗濯に使用可能な柔軟仕上剤が収容される。図1に示すように、本体1の上面には、タンクケース29の上面に対応した出し入れ口33が設けられると共に、その出し入れ口33を開閉する蓋34が設けられている。ユーザは、蓋34を開放させて、洗剤タンク31、柔軟仕上剤タンク32を上方に取出すことにより、洗剤、柔軟仕上剤の補充作業を行うことができる。これら洗剤タンク31及び柔軟仕上剤タンク32の詳細な構成については後述する。
【0025】
前記ポンプ30は、図3にしめすように、左右2つの吸込口30a、30bを前向きに有すると共に、左右2つの吐出口(図示せず)を下向きに有しており、モータを駆動源として構成されている。このポンプ30は、モータの回転方向(通電方向)の切替により、液体を吸い込む吸込口30a、30b及び吐出する吐出口を切替える構成とされている。このポンプ30の2個の吐出口は、後述する自動用給水経路14の途中の吐出部の上部に配置されている。
【0026】
このとき、ポンプ30の一方即ち左側の吸込口30aが洗剤タンク31側に接続され、モータの一方向の回転により洗剤タンク31内の洗剤を汲み上げて一方即ち左側の吐出口から吐出するように構成されている。ポンプ30の他方即ち右側の吸込口30bが柔軟仕上剤タンク32側に接続され、モータの他方向の回転により柔軟仕上剤タンク32内の柔軟仕上剤を汲み上げ、他方即ち右側の吐出口から吐出するように構成されている。ポンプ30の駆動時間によって、洗剤や柔軟仕上剤の吐出量、即ち自動用給水経路14の途中の吐出部への供給量が制御される。ポンプ30の吸込口30a、30bとタンク31、32との接続構造についても後述する。
【0027】
前記自動用給水経路14は、図2等に示すように、第1の継手部材35と、第2の継手部材36と、それらを接続する連結ホース37とを備えている。そのうち第1の継手部材35は、前記給水弁ユニット12と前記タンクケース29との間の下部に位置して設けられ、左右にやや横長で上下に薄型の矩形箱状をなすケース部35aと、入口管35bと、出口管部35cとを有して構成されている。
【0028】
このとき、図示はしないが、ケース部35aの上面に前記ポンプ30の吐出口が接続され、洗濯処理剤が落下するケース部35a内が吐出部とされており、この部分が、洗濯処理剤と水とが混合される混合空間38とされている。前記入口管35bは、ケース部35aの上面右側の後端部から上方に延びて構成され、その上端部である自動用給水経路14の入口端部が、前記自動用給水弁21の出口部に接続されている。また、前記出口管部35cは、ケース部35aの前面左端部から前方に突出するように設けられている。
【0029】
これにて、ポンプ30による洗濯処理剤の吐出部であるケース部35aの混合空間38が、前記入口管35bの上端の入口端部よりも低い位置に配置されている。また、本実施形態では、入口管35bよりも出口管部35cの方が、流路径が大きく構成されている。尚、詳しく図示はしていないが、ケース部35aの内底部は、左側前部の出口管部35c部分に向けて緩やかに下降傾斜しており、混合空間38内の液体は全て出口管部35cから排出されるようになっている。」
ケ 「【0030】
前記第2の継手部材36は、上面から見てL字状に構成され、一端が前記注水ケース13の周壁部である左側壁部の下部に設けられた接続孔に接続され、自動用給水経路14の出口端部を構成する。図示はしないが、前記接続孔は、前記収容ケース18よりも下方に位置している。第2の継手部材36の他端側は、注水ケース13の側壁に沿って後方向きに配置され、図2に示すように、前記第1の継手部材35の出口管部35cと、第2の継手部材36の他端側との間が前記連結ホース37で接続されている。尚、前記第2の継手部材36は、前記出口管部35cよりもやや低い位置に設けられ、連結ホース37は前方に向けて緩やかに下降傾斜している。
【0031】
これにより、自動用給水経路14においては、前記自動用給水弁21が開放されると、接続管23から供給された水道水が、第1の継手部材35の入口管35bから、ケース部35a即ち混合空間38内に流入し、吐出部に洗剤或いは柔軟仕上剤が供給されている場合にはそれらと混合される。混合された洗濯水は、出口管部35cから排出され、連結ホース37を通り、第2の継手部材36を通して接続孔13aから注水ケース13内の下部に流入する。そして、収容ケース18の下方を後方へ流れ、給水ホース16を通って水槽内に供給される。
【0032】
これにて、自動投入装置17は、ポンプ30の駆動により、洗剤タンク31内に収容されていた洗剤を、所要量だけ吐出部に供給することができ、また、柔軟仕上剤タンク32内に収容されていた柔軟仕上剤を、所要量だけ吐出部に供給することができる。ポンプ30の駆動によって吐出部に洗剤或いは柔軟仕上剤が供給されている状態で、前記自動用給水弁21がオンされて自動用給水経路14に給水がなされると、その水は吐出部において洗剤或いは柔軟仕上剤と混合され、それら洗剤或いは柔軟仕上剤を溶かしながら洗濯水となって流れ、注水ケース13を通って水槽内に供給される。」
コ 「【0035】
図4~図6に示すように、前記洗剤タンク31の周壁部である後面側の下半部は、後方に凸となる膨出部31bが設けられ、この膨出部31bの上部寄り部分に、接続口41が設けられている。前記タンクケース29に対する洗剤タンク31の装着状態では、接続口41に、前記ポンプ30の吸込み口30aの先端が、相対的に差込まれて接続されるようになっている。従って、接続口41は、洗剤タンク31の底部よりも上方の周壁部に位置して設けられている。またこのとき、図6に示すように、接続口41は、後述する報知液位Lよりも高い位置に設けられている。尚、図5、図6に示すように、洗剤タンク31内には、洗剤中に含まれていたごみ等がポンプ30により吸込まれることを防止するために、網状のフィルタ部材53が設けられている。」
サ 「【0044】
本実施形態では、ユーザは、洗濯運転を実行させるにあたって、自動投入装置17により自動で洗剤及び柔軟仕上剤を投入するか、或いは、手動投入機構19の収容ケース18を用いて手動で1回分の洗剤や柔軟仕上剤を投入するかを、操作パネル5上で選択操作する。制御装置は、洗剤及び柔軟仕上剤の自動投入が選択されている場合には、洗い行程の給水開始前に、自動投入装置17により所要量の洗剤を吐出部に供給し、その後、自動用給水弁21をオンして給水を実行する。また、最終のためすすぎ行程の前に、自動投入装置17により所要量の柔軟仕上剤を供給部に供給しておき、その後、自動用給水弁21開放して給水を行う。尚、給水は、ドラム内の布量検知の結果に基づいて、水槽内の水位が布量に応じたものとなるように行われる。
【0045】
次に、上記構成の洗濯機の作用・効果について述べる。上記自動投入装置17を使用する準備として、ユーザは、洗剤タンク31内に洗剤を収容させておくと共に、柔軟仕上剤タンク32に柔軟仕上剤を収容させておく。洗濯機において洗濯運転を実行させるにあたっては、ユーザは、電源スイッチ4を操作して電源をオンし、ドラム内に衣類を収容する。また、操作パネル5により運転コースを選択する。これと共に、洗剤及び柔軟仕上剤の自動投入及び手動投入のいずれかを選択することができる。制御装置は、洗濯運転がスタートされると、洗濯機の各機構を制御し、周知の洗い、すすぎ、脱水の各行程からなる洗濯運転を自動で実行する。
【0046】
このとき、洗剤の自動投入が選択されている場合には、洗い行程の給水開始前に、自動投入装置17のポンプ30を制御することにより、吸込口30aから洗剤タンク31内の洗剤が吸込まれる。このとき、ポンプ30の吸込口30aが、洗剤タンク31の接続口41に接続つまり挿入されていることにより、押込みピン46bが押込まれて逆止弁46が開放しており、洗剤タンク31の底部において、吸上げ管42の垂下管部44の下端から洗剤が吸上げられ、水平管部43を通って吸込まれる。所定時間のポンプ30の駆動により、自動用給水経路14の途中の吐出部即ち混合空間38に所要量の洗剤が供給される。
【0047】
その後、自動用給水弁21が開放されると、給水源からの水が自動用給水経路14に供給される。このとき、第1の継手部材35の入口管35bから、ケース部35aの混合空間38内に流入し、吐出部に供給されている洗剤と混合される。混合された洗濯水は、出口管部35cから連結ホース37を通り、第2の継手部材36を通して接続孔13aから注水ケース13内の下部に流入する。そして、収容ケース18の下方を後方へ流れ、給水ホース16を通って水槽内に供給される。これにて、洗剤を水に溶かした洗濯水が、水槽に自動で給水され、洗い行程が実行される。
【0048】
この後、行程が進み、最後のためすすぎ行程の給水の前になると、自動投入が選択されている場合には、自動投入装置17のポンプ30が逆方向に駆動され、今度は吸込口30bから柔軟剤タンク32内の柔軟仕上剤が、同様に吸上げ管42を通して吸込まれる。所定時間のポンプ30の駆動により、自動用給水経路14の途中の吐出部即ち混合空間38に所要量の柔軟仕上剤が供給される。この後、自動用給水弁21が開放され、自動用給水経路14を流れる水が、混合空間38部分で柔軟仕上剤を溶かしながら流れ、柔軟仕上剤を含んだ洗濯水が、注水ケース13を通って水槽内に給水され、最後のためすすぎ行程が実行される。この後、脱水行程等が実行される。」
シ 「【0058】
更に、上記実施形態では、水平管部43を水平に延びる形態で設けたが、水平管部とは水平方向の管という意味であって、水平方向に対して斜めに延びていても良い。自動投入装置の全体的な構成としても、上記した実施形態に限定されるものではなく、例えば洗剤の移送に用いるポンプとしてピストンポンプを採用したものであっても良く、また電磁弁の開閉によって洗剤を供給するもの等でも良い。自動用給水経路の構成としても様々な変形が可能である。その他、上記実施形態では、乾燥機能付きのドラム式洗濯機に適用するようにしたが、いわゆる縦軸型の洗濯機に適用することもでき、乾燥機能を備えていない洗濯機であっても良い。」
ス 「【図1】
[図:0001421808000001.jpg]
【図2】
[図:0001421808000002.jpg]
【図3】 【図5】
[図:0001421808000003.jpg]
」
セ 上記エの段落0012及び図1~3の記載から、自動用給水経路14、手動用給水経路15、注水ケース13及び給水ホース16が水槽に給水する給水路を形成していること、すなわち、洗濯機が、水槽に給水する給水路を有することは明らかである。
ソ 上記オ、カ及びケ並びに図1~3の記載から、自動投入装置17を通過した水は、手動供給機構19の注水ケース13を通って水槽内に供給されるものであるから、水は、自動投入装置17を通過した後に手動供給機構19を通って水槽に流れるといえる。
タ 上記クの段落0023の記載から、自動投入装置17は、「タンク収容部としてのタンクケース29と、その後部に設けられたポンプ30とを備え」たものであることがわかる。
そして、上記クの段落0027~0028及び図2~3の記載から、第1の継手部材35はタンクケース29の後部に左右方向に延びたものであること、すなわち、第1の継手部材35は、タンクケースに収容される洗剤タンク31又は柔軟仕上剤タンク32の後部に左右方向に延びたものであることは、明らかである。
チ 上記クの段落0027~0029の記載から、第1の継手部材35は、洗濯処理剤と水とを混合して排出するものであるから、洗濯処理剤を水とともに流出させるものであるといえ、また、第1の継手部材35のケース部35aの内底部は、出口管部35c部分に向けて緩やかに下降傾斜し、内部の液体を全て排出するようになっていることから、第1の継手部材35は、上流側から下流側に向かうにしたがって、ケース部35aの内底部が下降傾斜したものであるといえる。
(2)引用文献1の前記ア~チの内容を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「水槽と、
前記水槽に給水する給水路と、
前記水槽に洗濯処理剤を投入する自動投入装置17と、
前記水槽に洗剤を投入する手動供給機構19と
を備える洗濯機において、
前記給水路内を流れる水は、前記自動投入装置17を通過した後に前記手動供給機構19を通って前記水槽に流れ、
前記自動投入装置17は、前記水槽に投入する洗濯処理剤を貯留する洗剤タンク31又は柔軟仕上剤タンク32を有するとともに、前記洗剤タンク31又は柔軟仕上剤タンク32の後部にポンプ30を有し、
前記自動投入装置17は、前記洗剤タンク31又は柔軟仕上剤タンク32から吐出された洗濯処理剤を水とともに当該自動投入装置17から流出させるための第1の継手部材35を左右方向に延びるように前記洗剤タンク31及び柔軟仕上剤タンク32の後部に有し、
前記第1の継手部材35は、上流側から下流側に向かうにしたがって、ケース部35aの内底部が下降傾斜し、
前記洗剤タンク31内には、フィルタ部材53が配される、
洗濯機。」
2 引用文献等3の記載及び先願発明
(1)当審拒絶理由で引用された引用文献等3の明細書には、図面とともに、次の記載がある。(下線は、当審で付加した。以下、同様である。)
ア 「【技術分野】
【0001】
本開示は、洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には液剤自動投入装置を搭載する洗濯機が開示されている。
【0003】
特許文献1に記載された洗濯機は、2つのタンク、即ち、洗剤タンク及び柔軟剤タンクが装着される収容ケースを含む液剤自動投入装置を備える。」
イ 「【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の洗濯機において、液剤の自動投入に関する構成の機能向上といった点で未だ改善の余地がある。
【0006】
したがって、本開示の目的は、上記課題を解決することにあって、液剤の自動投入に関する構成の機能向上を実現した洗濯機を提供することにある。」
ウ 「【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様の洗濯機は、筐体内に弾性支持された外槽と、外槽に供給される液剤を収容する第1タンクと、外槽に供給される液剤を収容し、第1タンクに並んで配置される第2タンクと、第1タンクに形成された第1接続部に接続される第1自動液剤投入装置と、第2タンクに形成された第2接続部に接続される第2自動液剤投入装置と、を備え、第2タンクの深さは、外槽の外周に沿って、第1タンクの深さより大きく、第2接続部の深さは、第1接続部の深さより大きい。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、液剤の自動投入に関する構成の機能向上を実現した洗濯機を提供することができる。」
エ 「【0011】
[全体構成]
図1は、本開示に係る実施形態の洗濯機1を示す模式断面図である。図2は洗濯機1の模式正面図である。本実施形態の洗濯機1は、液剤の自動投入機能を有する洗濯乾燥機である。本明細書にて、液剤とは、衣類等の洗濯物15を洗浄するために用いられる液剤であり、洗剤、柔軟剤、中性洗剤等を含む。
【0012】
図1に示すよう、洗濯機1は、筐体2と、外槽3と、内槽4と、駆動部5と、自動投入ユニット6と、接続流路8と、給水口10と、排水弁11と、制御部(図示せず)と、を備える。」
オ 「【0018】
<自動投入ユニット>
自動投入ユニット6は、所定量の液剤を、液剤を貯蔵するタンクから、外槽3に自動で投入するためのユニットである。自動投入ユニット6は、液剤を手動で投入しない場合に、洗い工程やすすぎ工程等の際に、例えば、洗濯物15の量や種類に応じて、適切な種類の液剤を適切な量において、外槽3に投入する。自動投入ユニット6は、液剤を外槽3に供給するために、接続流路8を介して外槽3に接続される。
【0019】
自動投入ユニット6は、ケース61と、タンク62A、62B、62C(タンク62B、62C図示せず)と、液剤投入装置63A、63B、63C(液剤投入装置63B、63C図示せず)と、液剤吐出流路64と、手動投入部65と、給水電磁弁66を備える。
【0020】
図2に示すように自動投入ユニット6は、筐体2の内部において、外槽3の斜め上方に設けられる。ケース61の底面55は、外槽3の筒部34の外周に沿った形状を有する。底面55は、外側K1に向かって下方に傾斜される。さらに、図1に示すように、底面55は、後側M2に向かって下方に傾斜される。自動投入ユニット6の上部は、筐体2の上面に設けられた開閉可能なカバー60に面する。
【0021】
<接続流路>
接続流路8は、自動投入ユニット6から外槽3へ液剤を流すための流路である。接続流路8は、自動投入ユニット6の液剤出口81から外槽3の開口33まで下方に延びる。
【0022】
<給水口>
給水口10は、自動投入ユニット6を介して外槽3に水を供給するホースを接続するための接続口である。給水口10は、筐体2の上部に設けられる。」
カ 「【0029】
<タンク>
ケース61には、3つのタンク62A、62B、62Cが幅方向Kに並んで配置された状態で収容される。タンク62A、62B、62Cは、洗い工程及びすすぎ工程で使用する液剤を貯蔵する容器である。タンク62A、62B、62Cは、略直方体の形状を有し、略直方体の長手方向は前後方向Mと平行である。
【0030】
タンク62A、62B、62Cは、ケース61から取り外し可能である。ケース61から手動投入部65を取り出した状態においては、ケース61の前側M1に空いたスペースが形成される。そのため、タンク62A、62B、62Cを前側M1に引いて液剤投入装置63A、63B、63C(図6)から取り外し、上方に取り出すことができる。
【0031】
<液剤投入装置>
図6に示すように、液剤投入装置63A、63B、63Cは、タンク62A、62B、62Cから既定量の液剤を吸い出して、液剤吐出流路64に吐出する装置である。液剤投入装置63A、63B、63Cは、ケース61の背面57を介して、それぞれのタンク62A、62B、62Cに接続される。タンク62Aには液剤投入装置63Aが接続され、タンク62Bには液剤投入装置63Bが接続され、タンク62Cには液剤投入装置63Cが接続される。液剤投入装置63A、63B、63Cは、幅方向Kに並んで配置される。」
キ 「【0033】
<液剤吐出流路>
図6に示すように、液剤吐出流路64は、液剤及び水を、ケース61を介して外槽3に供給する流路部材である。液剤吐出流路64は、ケース61の背面57に設けられ、3つの液剤投入装置63A、63B、63Cに接続される。液剤吐出流路64は、外側K1に向かって下方に傾斜して延びる。液剤吐出流路64を流れる流体は、液剤吐出流路64の傾斜に応じて一方向に流れる。」
ク 「【0035】
<給水電磁弁>
図4及び図5に示すように、給水電磁弁66は、3つの電磁弁によって構成され、それぞれの弁の開閉によって、給水先となる供給流路67(図5)の経路を変更する。水は、ケース61を介して外槽3に流入する。」
ケ 「【0038】
ケース61の背面57には、タンク接続口77A、77B、77Cと、第1ケース接続口78と、第2ケース接続口79と、液剤出口81とが形成される。
【0039】
タンク接続口77A、77B、77Cは、ケース61に収容されたタンク62A、62B、62Cと、ケース61の外部に配置された液剤投入装置63A、63B、63Cとの接続のために設けられた開口である。
【0040】
また、第1ケース接続口78は、供給流路67から流れる水を液剤吐出流路64に流入させる開口である。第2ケース接続口79は、液剤吐出流路64からの水と、自動投入される液剤をケース61に流入させる開口である。液剤出口81は、第2ケース接続口79ケース61に流入した流体と、手動投入部65からの流体を、接続流路8を通じて外槽3に向かって排出する開口である。第1ケース接続口78は、第2ケース接続口79より高い位置に設けられる。」
コ 「【0044】
3つのタンク62A、62B、62Cには、異なるまたは同一の液剤が収容されてもよい。液剤の種類及びタンク62A、62B、62Cの容積を考慮して、液剤の使用頻度が低いものから順に、タンク62A、62B、62Cに収容されてもよい。例えば、タンク62Aには中性洗剤が貯蔵され、タンク62Bには柔軟剤が貯蔵され、タンク62Cには洗剤が貯蔵される。」
サ 「【0050】
図9及び図10に示すように、タンク62の接続部76の深さの変化に応じて、液剤投入装置63A、63B、63Cは、外側K1に向かって低くなる。液剤投入装置63の後述する液剤流入口91が、タンク62の短手方向を含む面に形成された接続部76に対向するように、液剤投入装置63A、63B、63Cは配置される。本実施形態では、液剤投入装置63A、63B、63Cは階段状に配置され、階段状における液剤投入装置63と、タンク62及び接続部76とは、深さ方向に等しいピッチを有する。このような構造によって、3つのタンク62において、接続部76から液剤投入装置63まで液剤が流れる距離を等しくすることが可能になる。そのため、接続部76と液剤投入装置63との間の経路において、後述のポンプ機構73を駆動させた際に生じる圧力損失のばらつきを小さくすることができる。したがって、液剤投入装置63による液剤の供給量のばらつきを抑制することができる。」
シ 「【0053】
図11A及び図11Bに示すように、液剤投入装置63は、前後方向Mに沿ってタンク62の背面90に着脱可能に接続される。言い換えれば、タンク62と、タンク62に接続された液剤投入装置63は、それぞれ前後方向Mに沿って配置される。
【0054】
図11Aに示すように、液剤投入装置63は、動力部71と、減速機構72と、ポンプ機構73とを備える。動力部71は、回転軸V1の周りで回転する電子部品である。減速機構72は、動力部71の周囲に配置されており、動力部71より小さい回転速度で回転する出力軸V2(図12A)を備える機構である。出力軸V2は、回転軸V1と平行である。ポンプ機構73は、出力軸V2に接続され、タンク62からの液剤を吸い上げて吐出する容積型ポンプである。動力部71の回転軸V1が回転すると、減速機構72の出力軸V2が回転し、ポンプ機構73における後述するピストン83が上下運動する。」
ス 「【0057】
動力部71及び減速機構72についてより詳細に説明する。図12Aに示すように、動力部71は、コイル71Aと、マグネット71Bと、コネクタ端子71Cとを有する。コネクタ端子71C管に電圧を印加すると、コイル71A内に電流が流れる。電流によって、コイル71Aは、周囲に磁界を生じる。マグネット71Bは、コイル71Aが生じる磁界を受けて、トルクが発生し、回転軸V1の周りで回転する。マグネット71Bの回転は、減速機構72に伝達される。
【0058】
減速機構72は、複数の減速ギア102によって構成される。1つの減速ギア102がマグネット71Bに係合しているため、マグネット71Bの回転は、減速ギア102を介して、出力軸V2に伝達される。一方で、出力軸V2の回転は、偏心カム89を介して、上下運動に変換され、ポンプ機構73に伝達される。
【0059】
減速機構72を設けることによって、汎用の動力部71を液剤投入装置63に適用することができ、自動投入ユニット6のコストを抑えることができる。
【0060】
また、動力部71と減速機構72とは、併せてモータ70と称してもよい。
【0061】
ポンプ機構73についてより詳細に説明する。図12Aに示すように、ポンプ機構73は、ピストン83と、シリンダ84と、入口流路85と、出口流路86とを有する。ピストン83は、減速機構72の出力軸V2に接続され、出力軸V2の回転に伴って上下方向に往復運動する部材である。シリンダ84は、ピストン83を収容し、液剤が吸い上げられる空間を形成する部材である。入口流路85は、液剤流入口91を通じて、タンク62から液剤を吸い上げるため、タンク62とシリンダ84の下端とを接続する流路である。液剤流入口91はタンク62の接続部76に挿入される。出口流路86は、シリンダ84内の液剤を液剤吐出流路64に排出するため、シリンダ84の下端と液剤吐出流路64とを接続する流路である。」
セ 「【0069】
ここで、水の流れについて、より詳細に説明する。水は、給水電磁弁66から、矢印X1~X3に示す経路に供給される。経路は、給水電磁弁66から、供給流路67及びケース61を介して、外槽3に到達する。
【0070】
図13Aに示すように、洗い工程において、洗剤の自動または手動投入を実行するために、給水電磁弁66の第1電磁弁(図示せず)が開放される。この状態において、水は、給水電磁弁66から、供給流路67において矢印X1及び矢印X2で示す経路に分岐して流れる。
【0071】
矢印X1に沿って流れる水は、タンク62の背面90の上方に形成される開口94からケース61に流入する。矢印X2に沿って流れる水は、手動投入部65付近に形成される開口95を通過して、手動投入部65に形成される水投入開口96から、手動投入された洗剤とともに、ケース61に向かって下方に流れる。
【0072】
図13Bに示すように、矢印X1に沿ってケース61に流入した水は、矢印X11及び矢印X12で示す2つの経路にさらに分岐する。矢印X11に沿って流れる水は、ケース61から第1ケース接続口78を介して液剤吐出流路64(図示せず)に流入する。水は、傾斜された液剤吐出流路64を重力に沿って流れて、第2ケース接続口79からケース61の投入流路82に流入する。矢印X12に沿って流れる水は、3つの液剤投入装置63の先端の下を順に通過するように、ケース61の内底面に沿って流れる。この流れによって、タンク62の脱着動作により、漏れ出てケース61の内底面に付着した液剤を洗い落とすことができる。矢印X12に沿って流れる水は、矢印X11に沿って流れる水と投入流路82にて合流する。矢印X2に沿ってケース61に流入した水は、接続流路8に向かって、投入流路82を流れる。矢印X2に沿って流れる水は、矢印X11、X12に沿って流れる水と投入流路82にて合流する。
【0073】
図13Cに示すように、投入流路82を流れる水は、液剤出口81から接続流路8(図13B)を通じて外槽3に流入する。
【0074】
また、図13Aに戻って、すすぎ工程において柔軟剤の手動投入を実行するために、給水電磁弁66の第2電磁弁(図示せず)が開放される。この状態において、水は、供給流路67において矢印X3で示す経路を流れる。矢印X3に沿って流れる水は、手動投入部65付近に形成される開口97を通過して、手動投入部65から、手動投入された柔軟剤とともにケース61に流入する。
【0075】
図13Bに示すように、矢印X3に沿ってケース61に流入した水は、ケース61に内底面B4を沿って、投入流路82に向かって流れる。内底面B4は、タンク62の直下に形成される内底面B1~B3の前側に形成され、内底面B1から内底面B3に向かう方向に沿って下方に傾斜される。傾斜によって、水は内底面B4を重力に沿って流れる。その後、水は、図13Cに示すように、液剤出口81から接続流路8(図13B)を通じて外槽3に流入する。」
ソ 「【0077】
図13Cに示すように、洗剤S1は、傾斜された液剤吐出流路64を重力に沿って流れる。洗剤S1は、液剤吐出流路64において、矢印X11に沿って流れる水と合流してもよい。洗剤S1は、第2ケース接続口79からケース61の投入流路82に流入し、投入流路82の傾斜によって液剤出口81に導かれ、接続流路8を介して外槽3に流入する。
【0078】
また、選択された運転コース、および/またはユーザの選択操作に基づいて、外槽3に投入される液剤が決定される。運転コースとしておしゃれ着洗いが選択されると、中性洗剤が外槽3に投入されてもよい。この場合、洗剤S1が収容されるタンク62Cの液剤投入装置63Cの代わりに、中性洗剤が収容されるタンク62Aの液剤投入装置63Aが駆動される。
【0079】
すすぎ工程における制御部の動作によって、柔軟剤S2が収容されるタンク62Bの液剤投入装置63Bが駆動される。」
タ 「【0084】
[効果1]
実施の形態1に係る洗濯機1によれば、以下の効果を奏することができる。
【0085】
上述したように、本実施形態の洗濯機1は、外槽3と、少なくとも2つのタンク62と、少なくとも2つの液剤投入装置63(自動液剤投入装置)と、を備える。外槽3は、筐体2内に弾性支持される。少なくとも2つのタンク62は、外槽3に供給される液剤を収容し、幅方向K(第1方向)に沿って配置される。少なくとも2つの液剤投入装置63は、それぞれのタンク62に形成された接続部76に接続され、幅方向Kに沿って配置される。それぞれの液剤投入装置63は、動力部71と、動力部71と係合した減速機構72と、減速機構72の出力軸に接続されるポンプ機構73と、を有する。減速機構72の径方向R1は、幅方向Kと略直交する。
【0086】
このような構成によって、2つの液剤投入装置63を設けた構成において、液剤投入装置63の幅方向Kの寸法を抑えることが可能であるため、タンク62の間隔を小さくして配置することが可能になる。そのため、幅方向Kにおける自動投入ユニット6の省スペース化を実現できる。さらに、タンク62がそれぞれ個別の液剤投入装置63を有するため、タンク62が1つの液剤投入装置を共有する場合と比較して、タンク62と液剤投入装置63とを近づけた構成が可能になる。そのため、タンク62と液剤投入装置63との間の圧力損失を抑制し、液剤投入装置63による液剤投入の効率及び安定性を向上させることができる。したがって、自動投入ユニット6の機能を向上できる。」
チ 「【図1】 【図2】
[図:0001421808000004.jpg]
【図6】 【図7】
[図:0001421808000005.jpg]
【図9】 【図10】
[図:0001421808000006.jpg]
【図11A】 【図11B】
[図:0001421808000007.jpg]
【図12A】 【図13C】
[図:0001421808000008.jpg]
」
ツ 上記オ及びセ並びに図1及び13Cの記載から、給水口10から外槽3へと水を供給する給水路が、供給流路67、ケース61、液剤吐出流路64、ケース61の投入流路82及び液剤出口81につながる接続流路8により形成されていることは、明らかである。
テ 図6、9及び10の記載から、液剤吐出流路64が幅方向Kに延びるように設けられていることは明らかである。
ト 上記ス、セ及びソ並びに図9~12A、13Cの記載から、液剤吐出流路64は、タンク62から吸い上げた液剤が液剤投入装置63により吐出されるものであり、また、吐出された液剤を水とともに流出させるものであることは、明らかである。
ナ 図6及び10の記載から、液剤吐出流路64が、幅方向Kに延びるようにタンク62の後側M2に設けられることは明らかである。
(2)引用文献等3の前記ア~ナの記載を総合すると、引用文献等3には、次の発明(以下、「先願発明」という。)が記載されていると認められる。
「外槽3と、
前記外槽3に給水する給水路と、
前記外槽3に液剤を投入する、タンク62、液剤投入装置63及び液剤吐出流路64と、
前記外槽3に洗剤を投入する手動投入部65及びケース61と
を備える洗濯機において、
前記給水路内を流れる水は、前記タンク62、液剤投入装置63及び液剤吐出流路64の液剤吐出流路64を通過した後に前記手動投入部65及びケース61のケース61を通って前記外槽3に流れ、
前記タンク62、液剤投入装置63及び液剤吐出流路64は、前記外槽3に投入する液剤を貯留するタンク62を有するとともに、前記タンク62の後側に液剤投入装置63を有し、
前記タンク62の下側に前記手動投入部65及びケース61のケース61が存在するよう配され、
前記タンク62、液剤投入装置63及び液剤吐出流路64は、前記タンク62から吐出された液剤を水とともに流出させるための液剤吐出流路64を幅方向Kに延びるように前記タンク62の後側M2に有し、
前記液剤吐出流路64は、水が重力に沿って流れるように傾斜する、
洗濯機。」
第5 対比及び判断
1 理由1(新規性)、理由2(進歩性)について
(1)対比
以下、本願発明と引用発明とを対比する
ア 引用発明の「水槽」は、その作用、機能からみて、本願発明の「洗濯槽」に相当し、同様に、「洗濯処理剤」は「液剤」に、「自動投入装置17」は「液剤自動投入ユニット」に、「手動供給機構19」は「洗剤投入ユニット」に、それぞれ相当する。
また、引用発明の「洗剤タンク31又は柔軟仕上剤タンク32」又は「洗剤タンク31」は、本願発明の「液剤タンク」に相当し、同様に、「後部」は「後側」に、「ポンプ30」は「液剤自動投入手段」に、それぞれ相当する。
さらに、引用発明の「第1の継手部材35」は、洗濯処理剤を水とともに流出させるものであるから、本願発明の「下流側水路形成部」に相当する。
加えて、引用発明の「ケース部35aの内底部」は、本願発明の「底部分」に相当し、同様に、「下降傾斜」は「下方に下がるように傾斜」に、「フィルタ部材53」は「フィルタ」に、それぞれ相当する。
イ そうすると、本願発明と引用発明とは、以下の一致点で一致し、以下の相違点で一応相違する。
<一致点>
「洗濯槽と、
前記洗濯槽に給水する給水路と、
前記洗濯槽に液剤を投入する液剤自動投入ユニットと、
前記洗濯槽に洗剤を投入する洗剤投入ユニットと
を備える洗濯機において、
前記給水路内を流れる水は、前記液剤自動投入ユニットを通過した後に前記洗剤投入ユニットを通って前記洗濯槽に流れ、
前記液剤自動投入ユニットは、前記洗濯槽に投入する液剤を貯留する液剤タンクを有するとともに、前記液剤タンクの後側に液剤自動投入手段を有し、
前記液剤自動投入ユニットは、前記液剤タンクから吐出された液剤を水とともに当該液剤自動投入ユニットから流出させるための下流側水路形成部を左右方向に延びるように前記液剤タンクの後側に有し、
前記下流側水路形成部は、上流側から下流側に向かうにしたがって、底部分が下方に下がるように傾斜し、
前記液剤タンク内には、フィルタが配される、
洗濯機。」
<相違点1>
本願発明は、「前記液剤自動投入ユニットの下側に前記洗剤投入ユニットが存在するよう、前記液剤自動投入ユニットは前記洗剤投入ユニットと上下方向に一部又は全部が重なる状態で配される」のに対し、
引用発明は、自動投入手段17の下側に手動供給機構19が存在することが明記されていない点。
(2)判断
以下、上記相違点1について検討する。
引用文献1の段落0021~0022の記載(上記第4の1(1)キを参照)から、手動供給機構19を構成する要素に注水ケース13が含まれ、また、引用文献1の段落0023の記載(上記第4の1(1)クを参照)から自動投入装置17を構成する要素に、タンクケース29及びポンプ30が含まれると理解されるところ、引用文献1の図2~3の記載によれば、手動供給機構19を構成する注水ケース13の底部材の後方部分が、自動投入装置17のタンクケース29の下方に重なって配置されている構造が看取され、すなわち、自動投入手段17の下側に手動供給機構19が存在するように、自動投入手段17は下側の手動供給機構19と上下方向に一部が重なる状態で配される構造が示されているといえる。
なお、引用文献1の段落0023に「自動投入装置17は、図2、図3等に示すように、前記注水ケース13の後側に設けられたタンク収容部としてのタンクケース29と、その後部に設けられたポンプ30とを備えている。」と記載されているところ、部材同士に重なりがあるか否かに関係なく、単に部材の前端の前後関係で、「前側」、「後側」等と表現することも従来普通になされていることに鑑みると、上記看取される構造は、引用文献1の段落0023の上記記載と矛盾しない。
そうすると、相違点1は、実質的な相違点ではない。
また、仮に相違点1が実質的な相違点であったとしても、収容スペースに部材を収めるに際して、収容される部材のサイズや形状を勘案し、収容される部材同士の一部を重ねて配置することは、当業者が適宜設定し得た設計事項にすぎず、引用発明に基いて当業者であれば容易に想到し得たものである。
(3)小括
以上によれば、本願発明は、引用発明であるか、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明できたものである。
2 理由3(拡大先願)について
(1)対比
以下、本願発明と先願発明とを対比する
ア 先願発明の「外槽3」は、その作用、機能からみて、本願発明の「洗濯槽」に相当し、同様に、「タンク62、液剤投入装置63及び液剤吐出流路64」は「液剤自動投入ユニット」に、「手動投入部65及びケース61」は「洗剤投入ユニット」に、「タンク62」は「液剤タンク」に、「液剤投入装置63」は「液剤自動投入手段」に、「液剤吐出流路64」は「下流側水路形成部」に、「幅方向K」は「左右方向」に、「後側M2」は「後側」に、それぞれ相当する。
そして、先願発明の「液剤吐出流路64」は「前記タンク62、液剤投入装置63及び液剤吐出流路64」からなる構成の一部であり、また、先願発明の「ケース61」は「手動投入部65及びケース61」からなる構成の一部であるから、先願発明の「前記給水路内を流れる水は、前記タンク62、液剤投入装置63及び液剤吐出流路64の液剤吐出流路64を通過した後に前記手動投入部65及びケース61のケース61を通って前記外槽3に流れ、」は、本願発明の「前記給水路内を流れる水は、前記液剤自動投入ユニットを通過した後に前記洗剤投入ユニットを通って前記洗濯槽に流れ、」に相当する。
また、先願発明の「液剤吐出流路64」は「前記タンク62、液剤投入装置63及び液剤吐出流路64」からなる構成の一部であり、「液剤吐出流路64」から液剤を水とともに流出させることは、「前記タンク62、液剤投入装置63及び液剤吐出流路64」からなる構成から液剤を水とともに流出させることであるともいえるから、先願発明の「前記タンク62、液剤投入装置63及び液剤吐出流路64は、前記タンク62から吐出された液剤を水とともに流出させるための液剤吐出流路64を前記幅方向Kに延びるように前記タンク62の後側M2に有し、」は、本願発明の「前記液剤自動投入ユニットは、前記液剤タンクから吐出された液剤を水とともに当該液剤自動投入ユニットから流出させるための下流側水路形成部を左右方向に延びるように前記液剤タンクの後側に有し、」に相当する。
さらに、「水が重力に沿って流れるように傾斜する」「液剤吐出流路64」において、「液剤吐出流路64」を流れる水は、「液剤吐出流路64」の底部分を流れることは明らかであり、また、「水が重力に沿って流れるように傾斜する」ものであれば、「上流側から下流側に向かうにしたがって下方に下がるように傾斜」するものであることは明らかであるから、先願発明の「前記液剤吐出流路64は、水が重力に沿って流れるように傾斜」は、本願発明の「前記下流側水路形成部は、上流側から下流側に向かうにしたがって、底部分が下方に下がるように傾斜」に相当する。
イ そうすると、本願発明と先願発明とは、以下の一致点で一致し、以下の相違点で一応相違する。
<一致点>
「洗濯槽と、
前記洗濯槽に給水する給水路と、
前記洗濯槽に液剤を投入する液剤自動投入ユニットと、
前記洗濯槽に洗剤を投入する洗剤投入ユニットと
を備える洗濯機において、
前記給水路内を流れる水は、前記液剤自動投入ユニットを通過した後に前記洗剤投入ユニットを通って前記洗濯槽に流れ、
前記液剤自動投入ユニットは、前記洗濯槽に投入する液剤を貯留する液剤タンクを有するとともに、前記液剤タンクの後側に液剤自動投入手段を有し、
前記液剤自動投入ユニットは、前記液剤タンクから吐出された液剤を水とともに当該液剤自動投入ユニットから流出させるための下流側水路形成部を左右方向に延びるように前記液剤タンクの後側に有し、
前記下流側水路形成部は、上流側から下流側に向かうにしたがって、底部分が下方に下がるように傾斜する、
洗濯機。」
<相違点2>
本願発明は、「前記液剤自動投入ユニットの下側に前記洗剤投入ユニットが存在するよう、前記液剤自動投入ユニットは前記洗剤投入ユニットと上下方向に一部又は全部が重なる状態で配される」のに対し、
先願発明は、前記タンク62、液剤投入装置63及び液剤吐出流路64の、タンク62の下側に手動投入部65及びケース61の、ケース61が存在するよう配される点。
<相違点3>
本願発明は、「前記液剤タンク内には、フィルタが配される」のに対し、先願発明は、タンク62内にフィルタを備えるか明らかでない点。
(2)判断
ア まず、上記相違点2について検討する。
先願明細書の段落0029~0030及び図3、6~8Bには、タンク62の下側にケース61が存在するように、タンク62はケース61と上下方向に重なる状態で配置される点が示されており、すなわち、タンク62、液剤投入装置63及び液剤吐出流路64(液剤自動投入ユニット)の下側に、手動投入部65及びケース61(洗剤投入ユニット)が存在するよう、タンク62、液剤投入装置63及び液剤吐出流路64(液剤自動投入ユニット)は手動投入部65及びケース61(洗剤投入ユニット)と上下方向に一部又は全部が重なる状態で配される構造が示されているといえる。
そうすると、相違点2は、実質的な相違点ではない。
イ 次に、相違点3について検討する。
先願発明は、タンク62に貯蔵される液剤が、液剤投入装置63により吐出されるように構成されたものであるところ、洗濯機が設置される環境において、液剤に異物等が混入することは普通に生じ得ることであり、そのような液剤に混入したごみ等が流れ出さないようにすることは、当業者において普通に考慮されるべきことである。
そして、洗濯機の液剤タンク内に異物侵入防止のためのフィルタを備えるように構成することは、例えば、引用文献1等に示される(上記第4の1(1)コを参照)ように、当業者にとって従来周知の技術にすぎないところ、本願発明が、「前記液剤タンク内にフィルタを備える」という事項で得られる、液剤タンク内のごみ等が液剤投入側に流れるのを防止できるといった効果は、前記従来周知の技術に示すようなフィルタ自体が本来奏する効果であって、新たなものとはいえない。また、上記事項は、本願発明の「給水路を簡素化でき、液剤と洗剤とを投入した水を洗濯槽に給水できる洗濯機を提供すること」(本願明細書の段落0004を参照)といった課題と直接関係するものでもない。
そうすると、先願発明において、タンク62内にフィルタを備えるように構成することは、単なる周知技術の付加であって、そのことによって新たな効果を奏するものでもないから、課題解決のための具体化手段における微差であり、上記相違点3は、実質的な相違点ではない。
(3)小括
以上のとおりであるから、本願発明と先願発明とは実質的に同一である。
第6 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、引用発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない、又は、本願発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
また、本願発明は先願発明と同一であるから、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができないものである。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2023-009606