特許拒絶査定不服審判
2022-014260
遊技機
- 審判番号
- 2022-014260
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2018-075623外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年09月09日
- 審決日
- 2023年07月18日
- 公報発行日
- 2023年10月27日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社サンセイアールアンドディ
- 【請求人代理人】弁理士法人上野特許事務所
- 分類
- P18 .121-WZ (A63F) / P18 .161-WZ (A63F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第29条の2
- データ出所
- 審決公報(XML)
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特願2018- 75623「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年10月24日出願公開、特開2019-180855〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本件に係る出願(以下「本願」という。)は、平成30年4月10日の出願であって、令和3年4月9日に手続補正書が提出され、令和4年3月2日付けで拒絶の理由が通知され、同年4月26日に意見書が提出され、同年6月10日付け(謄本送達日:同年同月21日)で拒絶査定がなされ、これに対し、同年9月9日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正書が提出され、これに対し、当審において、令和5年2月15日付けで拒絶の理由(以下「当審拒絶理由」という。)が通知され、同年同月27日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。
第2 本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和5年2月27日に提出された手続補正書による補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。なお、符号A等は、分説するため当審で付した。以下、分説された本願発明特定事項を、符号に基づき「本願発明特定事項A」等という。
「A 表示領域を有する表示手段と、
B 当否判定結果が当たりとなったときに、常態において閉鎖されている入賞領域が所定の閉鎖条件成立まで開放されることを一回とする単位遊技が複数回実行される当たり遊技を実行する当たり遊技実行手段と、
C 前記当たり遊技にて前記単位遊技が実行されることで開放された前記入賞領域に遊技球が入賞することで遊技者が得られる賞球に応じた利益数値を前記表示領域に表示する表示制御手段と、
を備え、
D 前記表示制御手段は、前記当たり遊技にて実行される複数回の前記単位遊技のうちの最後の前記単位遊技である最終単位遊技が終了し当該当たり遊技では前記入賞領域がそれ以降開放される可能性がなくなった時点にて、遊技者が得られることが確定したトータルの賞球数に応じた確定値に前記利益数値が未だ到達していない場合には、前記最終単位遊技の終了後も当該確定値に到達するまで変化速度が維持されたまま前記利益数値が変化する
E ことを特徴とする遊技機。」
第3 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由は、概略、次のとおりである。
1.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用例に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
2.(拡大先願)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願の日前の特許出願であって、その出願後に特許掲載公報の発行又は出願公開がされた下記の特許出願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、この出願の発明者がその出願前の特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、またこの出願の時において、その出願人が上記特許出願の出願人と同一でもないので、特許法第29条の2の規定により、特許を受けることができない。
記(引用文献等については引用文献等一覧参照)
●理由1(進歩性)について
・請求項 1
・引用文献等 引用例1
●理由2(拡大先願)について
・請求項 1
・引用文献等 先願2
<引用文献等一覧>
引用例1.特開2015-192757号公報
先願2.特願2017-109861号(特開2018-201809号)
第4 進歩性について
1 引用例1
当審拒絶理由において引用例1として引用され、本願の出願前に日本国内又は外国において、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2015-192757号公報(平成27年11月5日公開)には、遊技機(発明の名称)に関し、次の事項が記載されている。なお、下線は当審で付した。
(1)「【0017】
図1は、本実施形態の遊技機100の斜視図であり、扉が開放された状態を示している。図示のように、遊技機100は、略矩形状に組まれた四辺によって囲繞空間が形成される外枠102と、この外枠102にヒンジ機構によって開閉自在に取り付けられた中枠104と、この中枠104に、ヒンジ機構によって開閉自在に取り付けられた前枠106と、を備えている。
【0018】
中枠104は、外枠102と同様に、略矩形状に組まれた四辺によって囲繞空間が形成されており、この囲繞空間に遊技盤108が保持されている。また、前枠106には、ガラス製または樹脂製の透過板110が保持されている。そして、これら中枠104および前枠106を外枠102に対して閉じると、遊技盤108と透過板110とが所定の間隔を維持して略平行に対面するとともに、遊技機100の正面側から、透過板110を介して遊技盤108が視認可能となる。
……
【0029】
そして、遊技盤108には、遊技の進行中等に演出を行う演出装置として、液晶表示装置からなる演出表示装置200、可動装置からなる演出役物装置202、さまざまな点灯態様や発光色に制御されるランプからなる演出照明装置204、スピーカからなる音声出力装置206、遊技者の操作を受け付ける演出操作装置208が設けられている。
【0030】
演出表示装置200は、画像を表示する画像表示部からなる演出表示部200aを備えており、この演出表示部200aを、遊技盤108の略中央部分において、遊技機100の正面側から視認可能に配置している。この演出表示部200aには、図示のように演出図柄210a、210b、210cが変動表示される等、種々の演出が実行されることとなる。」
(2)「【0053】
具体的には、副制御基板330では、サブCPU330a、サブROM330b、サブRAM330cが協働して、サブメイン、画像制御部、役物制御部、照明制御部、音声制御部として機能する。サブメインは、各種入力コマンドに応じて、実行する演出の内容を決定したり、演出の実行を管理、統括したりする。画像制御部は、上記演出表示部200aに画像を表示させる画像表示制御を行う。サブROM330bには、演出表示部200aに表示される図柄や背景、字幕等の画像データが多数格納されており、画像制御部が、画像データをサブROM330bから不図示のVRAMに読み出して、演出表示部200aの画像表示を制御する。」
(3)「【0060】
遊技者が操作ハンドル112を操作して遊技領域116に遊技球を発射させるとともに、遊技領域116を流下する遊技球が第1始動口120または第2始動口122に入球すると、遊技者に遊技利益を付与するか否かの抽選(以下、「大役抽選」という)が行われる。この大役抽選において、大当たりに当選すると、大入賞口が開放されるとともに当該大入賞口への遊技球の入球が可能となる大役遊技が実行され、また、当該大役遊技の終了後の遊技状態が、上記のいずれかの遊技状態に設定される。以下では、大役抽選方法について説明する。」
(4)「【0444】
図51は、高確率遊技状態に設定されている場合の演出の一例を説明する図である。高確率遊技状態においては、図51(a)に示すように、演出表示部200aの中央に、背景画像としてキャラクタ画像220が表示される。……
【0445】
さらに、演出表示部200aの下部には、合計払出数表示部224が設けられており、遊技者が獲得した賞球数、より詳細には、大入賞口に遊技球が入球して払い出された賞球数を積算した合計払出数が表示される。なお、上記したように、本実施形態では、高確率遊技状態に設定されている場合、遊技者が第2遊技領域116bに向けて遊技球を発射させると、小当たり遊技が頻繁に実行され、この小当たり遊技によって獲得賞球数が徐々に増加していく。この合計払出数表示部224には、低確率遊技状態から高確率遊技状態への変更契機となる大役遊技の開始時から、遊技状態が最終的に低確率遊技状態に変更されるまでの間、大役遊技および小当たり遊技中に大入賞口に遊技球が入球して払い出された合計払出数が表示される。」
(5)「【0517】
図64は、特別図柄Bが決定された場合の報知残り回数と実残り回数との遷移の一例を説明する図である。上記したように、本実施形態では、大役抽選により大当たりに当選するとともに、大当たり図柄として特別図柄Bが決定されると、7回のラウンド遊技で構成される大役遊技(以下「7R大役遊技」と呼ぶ)が実行される。この7R大役遊技は、1、2回目のラウンド遊技において第2大入賞口128が開放され、3~7回目のラウンド遊技において第1大入賞口126が開放される。そして、2回目のラウンド遊技中に第2遊技領域116bに向けて遊技球を発射させることで、遊技球を確実に特定領域140bに進入させることができる。したがって、高確率遊技状態に設定されているときに特別図柄Bが決定されると、7R大役遊技にて多量の賞球を獲得することが可能となり、しかも、7R大役遊技の終了後に高確率遊技状態に再設定され、かつ、実残り回数が100回に復帰する。……」
(6)「【0526】
また、上記のように、遊技状態が高確率遊技状態に設定されてから低確率遊技状態に変更されるまでの間は、小当たり遊技や大役遊技中に大入賞口に遊技球が入球して払い出された賞球の合計数である合計払出数が合計払出数表示部224に表示される。演出表示部200aにおいては、大入賞口に遊技球が入球するたびに、合計払出数表示部224に表示される合計払出数(以下、「表示合計払出数」と呼ぶ)が更新されるが、賞球が払い出されている印象、つまり、遊技の進行に伴って所有球数が増加しているといった印象をより高めるべく、本実施形態では、表示合計払出数を次のように更新表示する。
【0527】
図67は、表示合計払出数の更新表示パターンを説明する図である。ここでは、理解を容易にするために、合計払出数表示部224に表示合計払出数が表示される期間を特定期間とし、大入賞口への遊技球の1個の入球に対して、10個の遊技球が賞球として払い出されることとして説明する。例えば、図67に示すように、合計払出数表示部224に、表示合計払出数として「2000」が表示されているとする。この状態で小当たり遊技または大役遊技が実行され、大入賞口に遊技球が1個入球し、10個の賞球が払い出されるとする。
【0528】
副制御基板330では、遊技状態が高確率遊技状態に設定されてから最終的に低確率遊技状態に変更されるまでの特定期間中に払い出された、もしくは払い出される賞球の合計払出数を管理している。そして、大入賞口に遊技球が入球すると、当該入球に対して払い出される賞球を含む、特定期間中に払い出された、もしくは払い出される賞球の合計払出数を、最終合計払出数として算出、特定する。したがって、図67の例では、大入賞口に遊技球が入球したときに特定される最終合計払出数は「2010」となる。
【0529】
副制御基板330では、合計払出数表示部224に表示中の表示合計払出数と、特定された最終合計払出数との間に差分が生じている場合に、合計払出数表示部224に表示する表示合計払出数を、現在の表示合計払出数よりも最終合計払出数に所定値(本実施形態では「1」)だけ近い値(以下、「更新合計払出数」と呼ぶ)に更新表示する更新表示処理を行う。具体的には、表示合計払出数が「2000」のときに、最終合計払出数が「2010」に特定された場合、更新合計払出数は、現在の表示合計払出数の「2000」よりも、最終合計払出数の「2010」に「1」近い値である「2001」となる。
【0530】
したがって、更新表示処理により、合計払出数表示部224の表示合計払出数は「2001」に更新表示される。こうして表示合計払出数が更新表示されると、再度、合計払出数表示部224に表示中の表示合計払出数と、最終合計払出数との間に差分が生じているかを確認する。その結果、表示合計払出数と最終合計払出数との間に差分が生じていることから、再び更新表示処理が行われる。このときの更新表示処理では、表示合計払出数が「2001」であり、最終合計払出数が「2010」であることから、更新合計払出数は、現在の表示合計払出数の「2001」よりも、最終合計払出数の「2010」に「1」近い値である「2002」となる。
【0531】
このように、更新表示処理によって、合計払出数表示部224の表示合計払出数は、「1」ずつ最終合計払出数に近づくように更新表示される。この更新表示処理は、表示合計払出数が最終合計払出数と一致するまで繰り返し行われることとなる。
……
【0536】
また、多量の遊技球が、極めて短時間のうちに大入賞口に一気に入球した結果、表示合計払出数の更新表示中に、最終合計払出数が変更されることもある。例えば、最終合計払出数が「2010」に特定された後、表示合計払出数が「2009」まで更新表示されたところで、大入賞口に2つの遊技球が入球したとする。この場合、最終合計払出数は「2030」に変更されるが、更新表示が終了するまでの所要時間を一定に保つべく、表示合計払出数を「2009」から「2030」に一気に更新表示するといった処理も可能である。しかしながら、本実施形態では、表示合計払出数が更新合計払出数に更新表示されるまでの所要時間、つまり、表示合計払出数が「1」更新されるのに要する時間を、表示合計払出数と最終合計払出数との差分数に拘わらず一定としている。
【0537】
図68は、本実施形態の更新表示処理を説明する図である。なお、図68に示す数字は、表示合計払出数および最終合計払出数の下二桁の値を示している。表示合計払出数が更新表示されていない状態では、表示合計払出数と最終合計払出数とが一致しており、この状態で大入賞口に遊技球が入球すると、新たな大入賞口への遊技球の入球に起因して払い出される賞球数を含む、特定期間中に払い出された、もしくは、払い出される合計払出数が最終合計払出数として特定される。例えば、図68(a)に示すように、大入賞口に遊技球が入球する前の表示合計払出数(最終合計払出数)の下二桁の値が「00」であった場合には、「10」を加算した値が最終合計払出数として特定される。こうして最終合計払出数が特定されると、表示合計払出数と最終合計払出数との間に差分が生じることとなり、表示合計払出数が「1」ずつ最終合計払出数に近づくように更新表示される。
【0538】
そして、例えば、図68(b)に示すように、表示合計払出数の更新表示処理が3回繰り返され、下二桁の値が「03」となったところで、さらに、大入賞口に遊技球が入球したとする。この場合、最終合計払出数は、大入賞口に遊技球が入球したときに特定されていた最終合計払出数に「10」を加算した値に再特定されることとなり、最終合計払出数の下二桁の値は「20」となる。また、例えば、その後、下二桁の値が「09」となったところで、さらに、大入賞口に遊技球が入球した場合には、最終合計払出数の下二桁の値は「30」となる。
【0539】
このように、表示合計払出数の更新表示処理中であるか否かに拘わらず、最終合計払出数の特定がなされることから、更新表示処理中に大入賞口に遊技球が入球した場合には、表示合計払出数と最終合計払出数との差分が大きくなる。一方で、表示合計払出数の更新表示処理の実行間隔、すなわち、表示合計払出数が更新合計払出数に更新表示されるまでの所要時間は、表示合計払出数と最終合計払出数との差分に拘わらず一定である。つまり、極めて短時間のうちに立て続けに大入賞口に複数の遊技球が入球した場合にも、更新表示の所要時間が短縮されることはなく、遊技者に払い出される賞球数に応じた更新表示時間が累積されることとなる。これにより、表示合計払出数が更新されていない時間を短縮することが可能となり、遊技者の損失感やストレスをより一層低減することができる。
【0540】
ただし、上記のように、単に表示合計払出数の更新表示時間を累積し続けると、遊技の状況や演出の切り替わりを跨いで、表示合計払出数の更新表示が継続する場合がある。このように、遊技の状況や演出が切り替わっているにも拘わらず、表示合計払出数の更新表示が継続的になされると、遊技者に違和感を与え、演出効果が低下するおそれがある。そこで、本実施形態では、表示合計払出数の更新表示を停止する停止条件が予め設けられており、停止条件が成立すると、最終合計払出数を合計払出数表示部224に表示させて、更新表示処理を終了する。
【0541】
ここで、停止条件としては、大役遊技の開始もしくは終了や、遊技者による演出操作装置208の操作検出が挙げられる。例えば、小当たり遊技中の大入賞口への遊技球の入球に起因する表示合計払出数の更新表示が終了する前に、7R大役遊技が開始される場合や、7R大役遊技中の大入賞口への遊技球の入球に起因する表示合計払出数の更新表示が終了する前に、小当たり遊技が開始される場合には、演出の内容が大きく切り替わる。また、例えば、遊技者が演出操作装置208を操作した際に、所定の演出が実行されることとした場合には、表示合計払出数の更新表示中に、演出の内容が切り替わる。このように、演出の内容が切り替わる際には、停止条件が成立したとして、特定されている最終合計払出数を表示させて更新表示を終了することにより、遊技者に違和感や誤解を与えるおそれを払拭することができる。」
(7)「【図51】
[図:0001402419000001.jpg]
」
(8)「【図68】
[図:0001402419000002.jpg]
」
(9)引用発明
上記(1)~(8)から、引用例1には、実施形態として以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。なお、引用箇所の段落番号等を併記し、また、分説された引用発明の発明特定事項に本願発明特定事項A等に概ね対応させた1a等を含む符号を付した(以下、符号に基づき、分説された引用発明の発明特定事項を「引用発明特定事項1a」等という。)。
「1a 中枠104を備えており(【0017】)、中枠104は、略矩形状に組まれた四辺によって囲繞空間が形成されており、この囲繞空間に遊技盤108が保持されていて(【0018】)、遊技盤108には、遊技の進行中等に演出を行う演出装置として、液晶表示装置からなる演出表示装置200が設けられていて(【0029】)、演出表示装置200は、画像を表示する画像表示部からなる演出表示部200aを備えており(【0030】)、演出表示部200aの下部には、合計払出数表示部224が設けられており(【0445】)、
1b 大役抽選において、大当たりに当選すると、大入賞口が開放されるとともに当該大入賞口への遊技球の入球が可能となる大役遊技が実行され(【0060】)、
大役抽選により大当たりに当選するとともに、大当たり図柄として特別図柄Bが決定されると、7回のラウンド遊技で構成される大役遊技(7R大役遊技)が実行され、この7R大役遊技は、1、2回目のラウンド遊技において第2大入賞口128が開放され、3~7回目のラウンド遊技において第1大入賞口126が開放され(【0517】)、
1c1 副制御基板330では、サブCPU330a、サブROM330b、サブRAM330cが協働して、サブメイン、画像制御部として機能し、サブメインは、各種入力コマンドに応じて、実行する演出の内容を決定したり、演出の実行を管理、統括したりし、画像制御部は、演出表示部200aに画像を表示させる画像表示制御を行い(【0053】)、
高確率遊技状態においては(【0444】)、合計払出数表示部224に、遊技者が獲得した賞球数、より詳細には、大入賞口に遊技球が入球して払い出された賞球数を積算した合計払出数が表示され(【0445】)、
1c2,d1 副制御基板330では、遊技状態が高確率遊技状態に設定されてから最終的に低確率遊技状態に変更されるまでの特定期間中に払い出された、もしくは払い出される賞球の合計払出数を管理していて、そして、大入賞口に遊技球が入球すると、当該入球に対して払い出される賞球を含む、特定期間中に払い出された、もしくは払い出される賞球の合計払出数を、最終合計払出数として算出、特定し(【0528】)、
副制御基板330では、合計払出数表示部224に表示中の表示合計払出数と、特定された最終合計払出数との間に差分が生じている場合に、合計払出数表示部224に表示する表示合計払出数を、現在の表示合計払出数よりも最終合計払出数に所定値(「1」)だけ近い値(更新合計払出数)に更新表示する更新表示処理を行い(【0529】)、
こうして表示合計払出数が更新表示されると、再度、合計払出数表示部224に表示中の表示合計払出数と、最終合計払出数との間に差分が生じているかを確認し、その結果、表示合計払出数と最終合計払出数との間に差分が生じていることから、再び更新表示処理が行われ(【0530】)、
このように、更新表示処理によって、合計払出数表示部224の表示合計払出数は、「1」ずつ最終合計払出数に近づくように更新表示され、この更新表示処理は、表示合計払出数が最終合計払出数と一致するまで繰り返し行われることとなり(【0531】)、
1d2 また、多量の遊技球が、極めて短時間のうちに大入賞口に一気に入球した結果、表示合計払出数の更新表示中に、最終合計払出数が変更されることもあり、この場合、表示合計払出数が更新合計払出数に更新表示されるまでの所要時間、つまり、表示合計払出数が「1」更新されるのに要する時間を、表示合計払出数と最終合計払出数との差分数に拘わらず一定としていて(【0536】)、
このように、表示合計払出数の更新表示処理中であるか否かに拘わらず、最終合計払出数の特定がなされることから、更新表示処理中に大入賞口に遊技球が入球した場合には、表示合計払出数と最終合計払出数との差分が大きくなり、一方で、表示合計払出数の更新表示処理の実行間隔、すなわち、表示合計払出数が更新合計払出数に更新表示されるまでの所要時間は、表示合計払出数と最終合計払出数との差分に拘わらず一定であり、つまり、極めて短時間のうちに立て続けに大入賞口に複数の遊技球が入球した場合にも、更新表示の所要時間が短縮されることはなく、遊技者に払い出される賞球数に応じた更新表示時間が累積されることとなり、これにより、表示合計払出数が更新されていない時間を短縮することが可能となり、遊技者の損失感やストレスをより一層低減することができ(【0539】)、
1d3 ただし、単に表示合計払出数の更新表示時間を累積し続けると、遊技の状況や演出の切り替わりを跨いで、表示合計払出数の更新表示が継続する場合があり、このように、遊技の状況や演出が切り替わっているにも拘わらず、表示合計払出数の更新表示が継続的になされると、遊技者に違和感を与え、演出効果が低下するおそれがあり、そこで、表示合計払出数の更新表示を停止する停止条件が予め設けられており、停止条件が成立すると、最終合計払出数を合計払出数表示部224に表示させて、更新表示処理を終了し(【0540】)、
ここで、停止条件としては、大役遊技の開始もしくは終了や、遊技者による演出操作装置208の操作検出が挙げられ、このように、演出の内容が切り替わる際には、停止条件が成立したとして、特定されている最終合計払出数を表示させて更新表示を終了することにより、遊技者に違和感や誤解を与えるおそれを払拭することができる(【0541】)
1e 遊技機100(【0017】)。」
2 対比
本願発明と引用発明とを対比する。
(1)本願発明特定事項Aについて
引用発明特定事項1aにおける「合計払出数表示部224」、「演出表示装置200」は、それぞれ、本願発明特定事項Aにおける「表示領域」、「表示手段」に相当する。
よって、引用発明は、本願発明特定事項Aに相当する構成を含む。
(2)本願発明特定事項Bについて
引用発明特定事項1bにおける「大役抽選において、大当たりに当選する」ときは、本願発明特定事項Bにおける「当否判定結果が当たりとなったとき」に相当する。
また、引用発明特定事項1bによれば、「大役抽選において、大当たりに当選すると、大入賞口が開放されるとともに当該大入賞口への遊技球の入球が可能となる」ことから、引用発明特定事項1bにおける「大入賞口」は、本願発明特定事項Bにおける「常態において閉鎖されている入賞領域」に相当する。
また、引用発明特定事項1bによれば、「7回のラウンド遊技で構成される大役遊技(7R大役遊技)」において「1、2回目のラウンド遊技において第2大入賞口128が開放され、3~7回目のラウンド遊技において第1大入賞口126が開放され」ることから、引用発明特定事項1bにおける「ラウンド遊技」は、本願発明特定事項Bにおける「常態において閉鎖されている入賞領域が所定の閉鎖条件成立まで開放されることを一回とする単位遊技」に相当し、引用発明特定事項1bにおける「7回のラウンド遊技で構成される大役遊技(7R大役遊技)」は、本願発明特定事項Bにおける「常態において閉鎖されている入賞領域が所定の閉鎖条件成立まで開放されることを一回とする単位遊技が複数回実行される当たり遊技」に相当する。
また、引用発明が、発明特定事項1bにおける「当たり遊技」を実行する「当たり遊技実行手段」に相当する構成を備えることは、技術常識から明らかである。
よって、引用発明は、本願発明特定事項Bに相当する構成を含む。
(3)本願発明特定事項Cについて
引用発明特定事項1bによれば、「大役抽選において、大当たりに当選すると、大入賞口が開放されるとともに当該大入賞口への遊技球の入球が可能となる大役遊技が実行され」、また、引用発明特定事項1c2,d1によれば、「最終合計払出数」は「大入賞口に遊技球が入球すると、当該入球に対して払い出される賞球を含む、特定期間中に払い出された、もしくは払い出される賞球の合計払出数」であり、「表示合計払出数」は「最終合計払出数と一致するまで」「「1」ずつ」「更新表示され」ることが「繰り返し行われる」ものであるから、引用発明特定事項1c2,d1における「表示合計払出数」は、本願発明特定事項Cにおける「前記当たり遊技にて前記単位遊技が実行されることで開放された前記入賞領域に遊技球が入賞することで遊技者が得られる賞球に応じた利益数値」に相当する。
また、引用発明特定事項1c2,d1によれば、「表示合計払出数」は「合計払出数表示部224に表示」され、引用発明特定事項1aによれば、「合計払出数表示部224」は「演出表示部200aの下部に」「設けられて」いるところ、引用発明特定事項1c1によれば、「副制御基板330」は、「演出表示部200aに画像を表示させる画像表示制御を行」う「画像制御部として機能」するから、引用発明特定事項1c1及び1c2,d1における「副制御基板330」は、本願発明特定事項Cにおける「前記当たり遊技中に遊技球が入賞領域に入賞することで遊技者が得られる賞球に応じた利益数値を前記表示領域に表示する表示制御手段」に相当する。
よって、引用発明は、本願発明特定事項Cに相当する構成を含む。
(4)本願発明特定事項Dについて
引用発明特定事項1c2,d1によれば、「最終合計払出数」は「大入賞口に遊技球が入球すると、当該入球に対して払い出される賞球を含む、特定期間中に払い出された、もしくは払い出される賞球の合計払出数」であるから、引用発明特定事項1c2,d1における「最終合計払出数」は、本願発明特定事項Dにおける「遊技者が得られることが確定したトータルの賞球数に応じた確定値」に相当する。
そして、上記(3)のとおり、引用発明における「表示合計払出数」が本願発明における「前記当たり遊技にて前記単位遊技が実行されることで開放された前記入賞領域に遊技球が入賞することで遊技者が得られる賞球に応じた利益数値」に相当することを踏まえれば、引用発明特定事項1c2,d1における「合計払出数表示部224に表示中の表示合計払出数と、特定された最終合計払出数との間に差分が生じている場合」は、本願発明特定事項Dにおける「遊技者が得られることが確定したトータルの賞球数に応じた確定値に前記利益数値が未だ到達していない場合」に相当する。
また、引用発明特定事項1c2,d1によれば、引用発明は「合計払出数表示部224に表示中の表示合計払出数と、特定された最終合計払出数との間に差分が生じている場合に、合計払出数表示部224に表示する表示合計払出数を、現在の表示合計払出数よりも最終合計払出数に所定値(「1」)だけ近い値(更新合計払出数)に更新表示する更新表示処理を行」うものであり、引用発明特定事項1d2によれば、引用発明は「表示合計払出数の更新表示中に、」「表示合計払出数が更新合計払出数に更新表示されるまでの所要時間、つまり、表示合計払出数が「1」更新されるのに要する時間を、表示合計払出数と最終合計払出数との差分数に拘わらず一定としてい」るものであるから、引用発明は、「遊技者が得られることが確定したトータルの賞球数に応じた確定値に前記利益数値が未だ到達していない場合には、」「当該確定値に到達するまで変化速度が維持されたまま前記利益数値が変化する」ものである。
よって、引用発明は、本願発明と、「前記表示制御手段」が、「遊技者が得られることが確定したトータルの賞球数に応じた確定値に前記利益数値が未だ到達していない場合には、」「当該確定値に到達するまで変化速度が維持されたまま前記利益数値」を「変化」させる点で共通する。
(5)本願発明特定事項Eについて
引用発明特定事項1eにおける「遊技機100」は、本願発明特定事項Eにおける「遊技機」に相当する。
よって、引用発明は、本願発明特定事項Eに相当する構成を含む。
(6)一致点・相違点
上記(1)~(5)からみて、本願発明と引用発明とは、
「A 表示領域を有する表示手段と、
B 当否判定結果が当たりとなったときに、常態において閉鎖されている入賞領域が所定の閉鎖条件成立まで開放されることを一回とする単位遊技が複数回実行される当たり遊技を実行する当たり遊技実行手段と、
C 前記当たり遊技にて前記単位遊技が実行されることで開放された前記入賞領域に遊技球が入賞することで遊技者が得られる賞球に応じた利益数値を前記表示領域に表示する表示制御手段と、
を備え、
D’ 前記表示制御手段は、遊技者が得られることが確定したトータルの賞球数に応じた確定値に前記利益数値が未だ到達していない場合には、当該確定値に到達するまで変化速度が維持されたまま前記利益数値が変化する
E 遊技機。」
である点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点1(本願発明特定事項D)>
「遊技者が得られることが確定したトータルの賞球数に応じた確定値に前記利益数値が未だ到達していない場合には、」「当該確定値に到達するまで変化速度が維持されたまま前記利益数値が変化する」点について、本願発明では、「前記当たり遊技にて実行される複数回の前記単位遊技のうちの最後の前記単位遊技である最終単位遊技が終了し当該当たり遊技では前記入賞領域がそれ以降開放される可能性がなくなった時点にて、」確定値に利益数値が未だ到達していない場合には、「前記最終単位遊技の終了後も」行われるのに対し、
引用発明では、大役遊技の終了等の演出内容が切り替わる際には、表示合計払出数の更新表示を終了するので、「前記最終単位遊技の終了後」には行われない点。
3 判断
(1)相違点1について
上記相違点1について検討する。
引用発明特定事項1d3によれば、引用発明では、表示合計払出数の更新表示を停止する停止条件(大役遊技の終了を含む)を予め設定し、当該停止条件が成立すると最終合計払出数を合計払出数表示部に表示させた上で更新表示処理を終了させるようにしている。これにより、遊技の状況が切り替わっているにも拘わらず、表示合計払出数の更新表示が継続的になされてしまうことで遊技者に違和感を与えるのを防止するという効果(以下「前者の効果」という。)を奏する。
しかしながら、引用発明特定事項1d2によれば、引用発明では、表示合計払出数が更新合計払出数に更新表示されるまでの所要時間を、表示合計払出数と最終合計払出数との差分に拘わらず一定とすることにより、表示合計払出数が更新されていない時間を短縮することが可能となり、遊技者の損失感やストレスをより一層低減するという効果を奏する。そうすると、引用発明において、かかる表示合計払出数の更新表示を停止する停止条件を予め設定しなければ、大役遊技後に引き続き当該遊技機における遊技に興じる遊技者は、当該大役遊技の終了を跨いで当該大役遊技に係る表示合計払出数の更新表示がされ、また、表示合計払出数が更新合計払出数に更新表示されるまでの所要時間が一定となることで、表示合計払出数が更新されない時間を短縮し、遊技者の損失感やストレスを低減する効果(以下「後者の効果」という。)が得られる。
そうすると、引用発明において、前者の効果を重視して表示合計払出数の更新表示を大役遊技の終了を停止条件として停止することとするか、後者の効果を重視してかかる停止条件を設定しないようにするかは、遊技機100の仕様として当業者が適宜決定し得たことであるから、引用発明において、後者の効果を重視して大役遊技の終了を停止条件として設定しないようにすることは、当業者が容易に想到することができたことであり、その場合、引用発明の7回のラウンド遊技で構成される大役遊技であれば7回目のラウンド遊技が終了した時点(本願発明における「前記当たり遊技にて実行される複数回の前記単位遊技のうちの最後の前記単位遊技である最終単位遊技が終了し当該当たり遊技では前記入賞領域がそれ以降開放される可能性がなくなった時点」に相当する。)にて確定値に利益数値が未だ到達していない場合に7回目のラウンド遊技(本願発明の「前記最終単位遊技」に相当)の終了後も「変化速度が維持されたまま利益数値が変化する」こととなる。
(2)本願発明の効果について
本願発明の奏する効果は、引用発明の奏する効果から、予測することができた程度のものである。
(3)請求人の主張について
ア 請求人の主張
請求人は、令和5年2月27日に提出した意見書の「3-1)引用文献1の存在を根拠とする進歩性の拒絶理由について」において、以下のとおり主張する。
「今般の拒絶理由通知におきましては、本願発明に標記拒絶理由があると判断する根拠として、
「(4)判断
上記相違点1について検討する。
引用発明において、表示合計払出数の更新表示を停止する停止条件(大役遊技の終了を含む)を予め設定し、当該停止条件が成立すると最終合計払出数を合計払出数表示部に表示させた上で更新表示処理を終了させるようにしているのは、遊技の状況が切り替わっているにも拘わらず、表示合計払出数の更新表示が継続的になされてしまうことで遊技者に違和感を与えるのを防止するためであるところ(発明特定事項1d3)、引用発明において、かかる表示合計払出数の更新表示を停止する停止条件を予め設定しなければ、大役遊技後に引き続き当該遊技機における遊技に興じる遊技者は、当該大役遊技の終了を跨いで当該大役遊技に係る表示合計払出数の更新表示がされることで、表示合計払出数が更新されない時間を短縮し、遊技者の損失感やストレスを低減する効果が得られるから(発明特定事項1d2)、引用発明において、前者の効果を重視して表示合計払出数の更新表示を停止する停止条件を予め設定するか、後者の効果を重視してかかる停止条件を設定しないようにするかは、当業者が適宜選択し得たことである。」(下線は出願人が付した。なお、以下の記載における下線も出願人が付したものである。)
と記載されております。
しかしながら、当該判断(特に下線部)は、以下の通り、引用文献1の記載に基づけば妥当性を欠くものであると思料いたします。
拒絶理由通知記載の発明特定事項1d2の根拠とされた引用文献1の段落0539には、
「このように、表示合計払出数の更新表示処理中であるか否かに拘わらず、最終合計払出数の特定がなされることから、更新表示処理中に大入賞口に遊技球が入球した場合には、表示合計払出数と最終合計払出数との差分が大きくなる。一方で、表示合計払出数の更新表示処理の実行間隔、すなわち、表示合計払出数が更新合計払出数に更新表示されるまでの所要時間は、表示合計払出数と最終合計払出数との差分に拘わらず一定である。つまり、極めて短時間のうちに立て続けに大入賞口に複数の遊技球が入球した場合にも、更新表示の所要時間が短縮されることはなく、遊技者に払い出される賞球数に応じた更新表示時間が累積されることとなる。これにより、表示合計払出数が更新されていない時間を短縮することが可能となり、遊技者の損失感やストレスをより一層低減することができる。」と記載されております。
ここで、「大入賞口に遊技球が入球」すること(「極めて短時間のうちに立て続けに大入賞口に複数の遊技球が入球」すること)は、大役遊技のラウンド遊技にて起こりうるものであり、大役遊技を構成する最後のラウンド遊技(7R大役遊技であれば7回目のラウンド遊技)が終了した後は、大入賞口が開放されることはないのでありますから、「大入賞口に遊技球が入球」することは起こりません(なお、本願発明も、「最後の前記単位遊技である最終単位遊技が終了し当該当たり遊技では前記入賞領域がそれ以降開放される可能性がなくな」ることを特定している)。つまり、上記段落0539の記載は、大役遊技が終了する(大役遊技を構成する最後のラウンド遊技が終了する)前の大役遊技中(大入賞口に遊技球が入球しうる状態)についてのことを述べていると当然に解釈されるものであります(拒絶理由通知では、発明特定事項1d2について、「かかる表示合計払出数の更新表示を停止する停止条件を予め設定しなければ、大役遊技後に引き続き当該遊技機における遊技に興じる遊技者は、当該大役遊技の終了を跨いで当該大役遊技に係る表示合計払出数の更新表示がされることで、表示合計払出数が更新されない時間を短縮し、遊技者の損失感やストレスを低減する効果が得られるから(発明特定事項1d2)・・・」と判断されていますが、上記の通り、段落0539の記載は「大役遊技中」についてのものであって「大役遊技後」についてのものではありませんので、上記判断は妥当性を欠きます)。
一方、拒絶理由通知記載の発明特定事項1d3の根拠とされた引用文献1の段落0541には、
「ここで、停止条件としては、大役遊技の開始もしくは終了や、遊技者による演出操作装置208の操作検出が挙げられる。例えば、小当たり遊技中の大入賞口への遊技球の入球に起因する表示合計払出数の更新表示が終了する前に、7R大役遊技が開始される場合や、7R大役遊技中の大入賞口への遊技球の入球に起因する表示合計払出数の更新表示が終了する前に、小当たり遊技が開始される場合には、演出の内容が大きく切り替わる。また、例えば、遊技者が演出操作装置208を操作した際に、所定の演出が実行されることとした場合には、表示合計払出数の更新表示中に、演出の内容が切り替わる。このように、演出の内容が切り替わる際には、停止条件が成立したとして、特定されている最終合計払出数を表示させて更新表示を終了することにより、遊技者に違和感や誤解を与えるおそれを払拭することができる。」
と記載されております。
拒絶理由通知では、「表示合計払出数の更新表示を停止する停止条件(大役遊技の終了を含む)」とされ、上記段落の記載における「大役遊技の終了」を停止条件として設定することが取り上げられているところ、「大役遊技の終了」はその名の通り、大役遊技が終了した時点のことをいうものであり、大役遊技中のことをいうものであるとは認められません。
以上の通り、引用文献1の段落0539(発明特定事項1d2)の記載は、「大役遊技中」(ラウンド遊技中)における更新表示処理に関するものであり、段落0541(発明特定事項1d3)の記載は大役遊技終了時等「大役遊技中」以外に停止条件を設定するというものであります。よって、今般の拒絶理由通知における「前者の効果を重視して表示合計払出数の更新表示を停止する停止条件を予め設定するか、後者の効果を重視してかかる停止条件を設定しないようにするかは、当業者が適宜選択し得たこと」とする論理のように、段落0539の記載と段落0541の記載を、一方を選択した場合には他方を選択しない(どちらか一方を重視する)という相反関係(トレードオフの関係)にあると解釈することは合理性を欠きます。
事実、引用文献1の段落0540(段落0539と段落0541とを「繋ぐ」段落)には、「ただし、上記のように、単に表示合計払出数の更新表示時間を累積し続けると、遊技の状況や演出の切り替わりを跨いで、表示合計払出数の更新表示が継続する場合がある。このように、遊技の状況や演出が切り替わっているにも拘わらず、表示合計払出数の更新表示が継続的になされると、遊技者に違和感を与え、演出効果が低下するおそれがある。そこで、本実施形態では、表示合計払出数の更新表示を停止する停止条件が予め設けられており、停止条件が成立すると、最終合計払出数を合計払出数表示部224に表示させて、更新表示処理を終了する。」と記載されており、「遊技の状況や演出の切り替わりを跨いで、表示合計払出数の更新表示が継続する」ことを問題視されていると認められるところ、ここでいう「遊技の状況や演出の切り替わり」とは、その後の段落0541の記載に基づけば、大役遊技中に生じるような事象を想定してはいないことは明らかです。つまり、大役遊技中は、「遊技の状況や演出の切り替わり」が生じないから更新表示を継続する(段落0539)一方、大役遊技中以外の状態で「遊技の状況や演出の切り替わり」が生じた際に更新表示を停止する(段落0541)ようにすることが記載されているといえます。
以上の通り、引用文献1に記載される引用発明は、端的に言えば、
・大役遊技中は更新表示を継続し、
・大役遊技終了時等「遊技の状況や演出の切り替わり」が発生する際に停止条件が成立して更新表示が停止される、
ものであると認められます。
このように、引用発明は、大役遊技終了時等「遊技の状況や演出の切り替わり」が発生する際に停止条件が成立して更新表示が停止されるのでありますから、本願発明のように「前記表示制御手段は、前記当たり遊技にて実行される複数回の前記単位遊技のうちの最後の前記単位遊技である最終単位遊技が終了し当該当たり遊技では前記入賞領域がそれ以降開放される可能性がなくなった時点にて、遊技者が得られることが確定したトータルの賞球数に応じた確定値に前記利益数値が未だ到達していない場合には、前記最終単位遊技の終了後も当該確定値に到達するまで変化速度が維持されたまま前記利益数値が変化する」ものであるとはいえません(「遊技の状況や演出の切り替わり」が生じた際に更新が停止されるのであるから、「確定値に到達するまで」「変化速度が維持されたまま」更新が継続するものであるとはいえない)。
また、当該相違点にかかる構成を示唆するような記載は引用文献1に存在しませんから、本願発明は引用発明から容易想到であるとはいえません。」
イ 判断
請求人は、先の当審拒絶理由における相違点1の判断は、引用文献1の記載に基づけば妥当性を欠くと主張しているところ、引用文献1の段落0539の記載における「大入賞口に遊技球が入球」することに関し、大役遊技を構成する最後のラウンド遊技(7R大役遊技であれば7回目のラウンド遊技)が終了した後は、「大入賞口に遊技球が入球」することは起こり得ないから、上記段落0539の記載は、大役遊技中についてのことを述べていると当然に解釈され、当審拒絶理由通知において発明特定事項1d2について、「かかる表示合計払出数の更新表示を停止する停止条件を予め設定しなければ、大役遊技後に引き続き当該遊技機における遊技に興じる遊技者は、当該大役遊技の終了を跨いで当該大役遊技に係る表示合計払出数の更新表示がされることで、表示合計払出数が更新されない時間を短縮し、遊技者の損失感やストレスを低減する効果が得られるから(発明特定事項1d2)・・・」との判断は妥当性を欠くという旨主張しているが、「大入賞口に遊技球が入球」することが「大役遊技中」に生じるものであることは請求人が主張するとおりであるのに加え、それに起因する「表示合計払出数の更新表示」が「大役遊技後」にも引き続き行われる得ることも当然であり、かかる「表示合計払出数の更新表示」が「大役遊技の終了を跨」ぐ場合において、「当該大役遊技に係る表示合計払出数の更新表示がされることで、表示合計払出数が更新されない時間を短縮し、遊技者の損失感やストレスを低減する効果が得られる」と当審拒絶理由通知で説示しているのであるから、かかる説示が妥当性を欠くものとはいえない。
また、請求人は、引用文献1の段落0541の記載を根拠に当審拒絶理由通知において「表示合計払出数の更新表示を停止する停止条件(大役遊技の終了を含む)」と説示した点について、「大役遊技の終了」はその名の通り、大役遊技が終了した時点のことをいうものであり、大役遊技中のことをいうものであるとは認められないという旨主張しているが、同段落には「停止条件としては、大役遊技の開始もしくは終了・・・が挙げられる」と明記されており、この記載に基づいて上記のように説示したものであるから、この説示が妥当性を欠くものとはいえないことは明らかである。
さらに、請求人は、引用文献1の段落0539の記載は、「大役遊技中」(ラウンド遊技中)における更新表示処理に関するものであり、段落0541の記載は大役遊技終了時等「大役遊技中」以外に停止条件を設定するというものであるから、当審拒絶理由通知における「前者の効果を重視して表示合計払出数の更新表示を停止する停止条件を予め設定するか、後者の効果を重視してかかる停止条件を設定しないようにするかは、当業者が適宜選択し得たこと」とする論理のように、段落0539の記載と段落0541の記載を、一方を選択した場合には他方を選択しないという相反関係にあると解釈することは合理性を欠くという旨主張しているが、段落0539の記載と段落0541の記載が一方を選択した場合には他方を選択しないという相反関係にあるかどうかはともかく、「表示合計払出数の更新表示を停止する停止条件を予め設定するか」否かを決定するにあたり、勘案すべき事項として段落0539に記載の「表示合計払出数が更新されない時間を短縮し、遊技者の損失感やストレスを低減する効果」と段落0541に記載の「特定されている最終合計払出数を表示させて更新表示を終了することにより、遊技者に違和感や誤解を与えるおそれを払拭する」効果を挙げて説示しているのであるから、かかる説示が妥当性を欠くものとはいえない。
そして、上記(1)で検討したとおり、請求人が主張するように、引用発明が「大役遊技中は更新表示を継続し、大役遊技終了時等「遊技の状況や演出の切り替わり」が発生する際に停止条件が成立して更新表示が停止されるものである点で本願発明と相違していることを前提に、かかる停止条件を予め設定しないようにすることで、本願発明のように「前記表示制御手段は、前記当たり遊技にて実行される複数回の前記単位遊技のうちの最後の前記単位遊技である最終単位遊技が終了し当該当たり遊技では前記入賞領域がそれ以降開放される可能性がなくなった時点にて、遊技者が得られることが確定したトータルの賞球数に応じた確定値に前記利益数値が未だ到達していない場合には、前記最終単位遊技の終了後も当該確定値に到達するまで変化速度が維持されたまま前記利益数値が変化する」ものとすることは当業者が容易に想到し得たものと判断しているのであり、特に不合理な点は見当たらない。
したがって、請求人の上記主張は、採用することができない。
4 まとめ
以上のとおり、本願発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
第5 拡大先願について
1 先願2
本願の出願の日前の特許出願であって、その出願後に特許掲載公報の発行又は出願公開がされた先願2の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「先願明細書等」という。)には、弾球遊技機(発明の名称)に関し、次の事項が記載されている。なお、下線は当審で付した。
(1)「【0011】
図1は、ぱちんこ遊技機の前面側における基本的な構造を示す。ぱちんこ遊技機100は、主に遊技機枠と遊技盤で構成される。……
……
【0013】
遊技盤80は、レール82により区画された遊技領域81上に、第1始動口11、第2始動口12、大入賞口20、第1作動口31、第2作動口32、一般入賞口33、アウト口34、演出表示装置60、センター飾り64を含む。……」
(2)「【0045】
図2は、ぱちんこ遊技機の背面側における基本的な構造を示す。電源スイッチ150は、ぱちんこ遊技機100の電源をオンオフするスイッチである。メイン基板200は、ぱちんこ遊技機100の全体動作を制御し、とくに第1始動口11、第2始動口12へ入賞したときの抽選等、遊技動作全般を処理する。サブ基板300は、液晶ユニット151を備え、演出表示装置60における表示内容を制御し、特にメイン基板200による判定結果に応じて演出的な表示内容を変動させる。……
……
【0047】
ぱちんこ遊技機100は、遊技機外部から供給される交流電源(AC24V等)に基づいて遊技機内で使用する電源を生成する電源基板158と、遊技の基本動作や遊技の進行を制御する主制御装置としてのメイン基板200と、賞球払出しを制御する枠制御装置としての払出制御基板155と、遊技領域への遊技球の発射を制御する発射制御基板157と、演出的な動作や処理を制御する副制御装置としてのサブ基板300とに機能を分担させた形態で構成される。」
(3)「【0051】
<メイン基板200>
図4は、メイン基板200の機能構成を示すブロック図である。メイン基板200は、入球判定手段201、乱数生成手段202、第1抽選手段211、第2抽選手段212、事前判定手段235、普図抽選手段213、保留制御手段240、メイン表示制御手段250、特別遊技制御手段260、小当り遊技制御手段265、特定遊技制御手段270、開閉制御手段275、特図調整手段276、メイン初期処理実行手段280、メイン電断処理実行手段282、メインエラー検出手段284、コマンド通信手段205を備える。
……
【0091】
<特別遊技制御手段260>
特別遊技制御手段260は、第1抽選手段211による第1当否抽選が特別遊技への移行を示す結果となった場合、第1特別図柄51が所定の大当り態様で停止されたときに特別遊技作動条件が成立したと判定し、大入賞口20を開放させることにより特別遊技を実行する。同様に、特別遊技制御手段260は、第2抽選手段212による第2当否抽選が特別遊技への移行を示す結果となった場合、第2特別図柄52が所定の大当り態様で停止されたときに特別遊技作動条件が成立したと判定し、大入賞口20を開放させることにより特別遊技を実行する。
【0092】
特別遊技は、大入賞口20の開閉動作を複数回数連続して継続する遊技であり、複数回の単位遊技で構成される。特別遊技には、単位遊技を16回繰り返す16R大当りと、単位遊技を4回繰り返す4R大当りと、16R大当りおよび4R大当りより開放時間が短い単位遊技を2回だけ繰り返す2R大当りがある。16R大当りは第2当否抽選での大当りであり、4R大当りは第1当否抽選での大当りである。16R大当りおよび4R大当りにおいては、1回の単位遊技において大入賞口20を原則として約30秒間開放させる。2R大当りにおいては、1回の単位遊技において大入賞口20を約0.2秒間だけ開放させる。特別遊技制御手段260は、単位遊技の設定ラウンド数を消化したときに特別遊技を終了させる。なお、2R大当りとなった場合においても、所定の条件を満たした場合には、16R大当りおよび4R大当りと同様の開放態様で大入賞口20を開放させてもよい。」
(4)「【0100】
図9は、サブ基板の構成を示すブロック図である。サブ基板300は、図柄態様決定手段301、パターン記憶手段302、演出決定手段303、演出制御手段304、計時手段307、演出設定手段308、サブ初期処理実行手段360、サブ電断処理実行手段362、サブエラー検出手段364、コマンド受信手段370、サブ側事前判定手段371を備える。」
(5)「【0288】
<4.獲得出玉表示>
図37は、演出表示装置60の構成例を模式的に示す。演出表示装置60は、第1演出表示装置60a、第2演出表示装置60b、第3演出表示装置60cの3つの領域を含む。……第2演出表示装置60bは、通常遊技においては特定遊技状態(例えば確変)の終期までの図柄変動回数のカウント表示がなされ、特別遊技においては大入賞口20への入球に対応する賞球数が累積賞球数に加算される過程が表示される。第2演出表示装置60bは、確変状態における図柄変動回数のカウント表示と特別遊技における累積賞球数の表示とで兼用されるため、特別遊技と通常遊技の切り替え時にその表示内容も切り替えることを要する。よって、特別遊技における累積賞球数のカウント表示は、通常遊技に戻るタイミングまでに完了している必要がある。……
……
【0289】
演出決定手段303は、特別遊技中の演出においては、大入賞口20への入球のたびに対応する賞球数を累積して払出見込用の累積賞球数として記憶する。払出見込用の累積賞球数は、大入賞口20への入賞に対して実際に上球皿105や下球皿106へ払出が完了したかどうかを問わず、計算上求められる払出予定の賞球を含めたその特別遊技における累積賞球数である。例えば、その特別遊技または単位遊技における入賞数に、大入賞口20の1入賞あたりの規定賞球数を掛けた数である。
【0290】
ここで、演出決定手段303は、払出見込用の累積賞球数とは別に第2演出表示装置60bにカウント表示させる値として賞球数を累積したカウント表示用の累積賞球数を記憶する。払出見込用の累積賞球数は、計算で求められる値であるため、大入賞口20へ入賞があるたびにその入賞に対する賞球数が一度に加算される。もしこの値を第2演出表示装置60bに表示すると、賞球数の加算は一瞬で完了してしまうため、必ずしも第2演出表示装置60bを凝視しているわけではない遊技者にとって賞球数の増加を実感しづらいことが考えられる。そこで、特別遊技中における賞球数の増加をより遊技者に実感させやすくするために、払出見込用の累積賞球数とは別にカウント表示用の累積賞球数を計数し、1~2球ずつ時間をかけて賞球数が増加しているようにカウントアップする。カウント表示用の累積賞球数は、賞球数の増加を複数回に分けて加算することにより、ある程度の時間をかけて賞球数が増加していくように遊技者に見せることができる。演出決定手段303は、大入賞口20への入球のたびに表示用の累積賞球数に賞球数を複数回に分けて加算するカウントアップの過程を第2演出表示装置60bに表示させる。
……
【0292】
一方、カウント表示用の累積賞球数は、あえて時間をかけて賞球数を加算する方式であるため、立て続けに連続入賞した場合は、加算途中の賞球数、すなわち未加算の賞球数が累積し、カウントアップの遅延も大幅に累積することも考えられる。その結果、特別遊技が終了して終了デモ表示が終わる段階に至っても加算が完了しないことも想定される。そこで、演出決定手段303および演出制御手段304は、特別遊技の終了時点までに加算するカウントアップ表示が完了しない場合は特別遊技の終了演出において最終的な払出見込用の累積賞球数の表示に切り替える。その場合、その払出見込用の累積賞球数が所定の基準値を超えていれば、たとえ端数であってもその払出見込用の累積賞球数を強調表示する。第2演出表示装置60bでは、確変状態へ移行するタイミングで、累積賞球数の表示から図柄変動回数のカウント表示へ切り替わる。」
(6)「【0293】
変形例として、演出決定手段303および演出制御手段304は、払出見込用の累積賞球数とカウント表示用の累積賞球数との差が所定値を超えた場合、表示するカウントアップの速度を速くしてもよい。例えば、通常時は1~2球ずつカウントアップ表示するところ、所定値を超えた場合は3~4球ずつ、あるいは5~6球ずつのカウントアップに速度を上げる仕様でもよい。これにより、通常遊技へ移行するまでにカウントアップ表示を適切に完了させることもできる。逆に、カウントアップの時間が早くなりすぎないようにするために、演出決定手段303および演出制御手段304は、カウント表示用の累積賞球数が払出見込用の累積賞球数に近づくにつれて表示するカウントアップの速度を遅くしてもよい。
……
【0296】
別の変形例として、特別遊技の終了後に、確変へ移行した後までカウント表示用の累積賞球数を第2演出表示装置60bに表示し続ける仕様またはそのような表示をし続ける場合がある仕様としてもよい。」
(7)「【図37】
[図:0001402419000003.jpg]
」
(8)先願発明
上記(1)~(7)から、先願2には、以下の発明(以下「先願発明」という。)が記載されている。なお、引用箇所の段落番号等を併記し、また、分説された先願発明の特定事項に本願発明特定事項A等に概ね対応させた2a等を含む符号を付した(以下、符号に基づき、分説された先願発明の特定事項を「先願発明特定事項2a」等という。)。
「2a 主に遊技機枠と遊技盤で構成され(【0011】)、遊技盤80は、大入賞口20、演出表示装置60を含み(【0013】)、演出表示装置60は、第1演出表示装置60a、第2演出表示装置60b、第3演出表示装置60cの3つの領域を含み(【0288】)、
2b,c1,d1 遊技の基本動作や遊技の進行を制御する主制御装置としてのメイン基板200と、演出的な動作や処理を制御する副制御装置としてのサブ基板300等に機能を分担させた形態で構成され(【0047】)、メイン基板200は、ぱちんこ遊技機100の全体動作を制御し、サブ基板300は、演出表示装置60における表示内容を制御し(【0045】)、メイン基板200は、第1抽選手段211、第2抽選手段212、特別遊技制御手段260を備え(【0051】)、特別遊技制御手段260は、第1抽選手段211による第1当否抽選が特別遊技への移行を示す結果となった場合、第1特別図柄51が所定の大当り態様で停止されたときに特別遊技作動条件が成立したと判定し、大入賞口20を開放させることにより特別遊技を実行し、同様に、特別遊技制御手段260は、第2抽選手段212による第2当否抽選が特別遊技への移行を示す結果となった場合、第2特別図柄52が所定の大当り態様で停止されたときに特別遊技作動条件が成立したと判定し、大入賞口20を開放させることにより特別遊技を実行し(【0091】)、特別遊技は、大入賞口20の開閉動作を複数回数連続して継続する遊技であり、複数回の単位遊技で構成され(【0092】)、サブ基板300は、演出決定手段303を備え(【0100】)、
2c2,d2 第2演出表示装置60bは、特別遊技においては大入賞口20への入球に対応する賞球数が累積賞球数に加算される過程が表示され(【0288】)、演出決定手段303は、特別遊技中の演出においては、大入賞口20への入球のたびに対応する賞球数を累積して払出見込用の累積賞球数として記憶し(【0289】)、演出決定手段303は、払出見込用の累積賞球数とは別に第2演出表示装置60bにカウント表示させる値として賞球数を累積したカウント表示用の累積賞球数を記憶し、特別遊技中における賞球数の増加をより遊技者に実感させやすくするために、払出見込用の累積賞球数とは別にカウント表示用の累積賞球数を計数し、1~2球ずつ時間をかけて賞球数が増加しているようにカウントアップし、カウント表示用の累積賞球数は、賞球数の増加を複数回に分けて加算することにより、ある程度の時間をかけて賞球数が増加していくように遊技者に見せることができ、演出決定手段303は、大入賞口20への入球のたびに表示用の累積賞球数に賞球数を複数回に分けて加算するカウントアップの過程を第2演出表示装置60bに表示させ(【0290】)、
2d3 特別遊技の終了後に、確変へ移行した後までカウント表示用の累積賞球数を第2演出表示装置60bに表示し続ける(【0296】)
2e ぱちんこ遊技機100(【0011】)。」
2 対比
本願発明と先願発明とを対比する。
(1)本願発明特定事項Aについて
先願発明特定事項2aにおける「第2演出表示装置60b」、「演出表示装置60」は、それぞれ、本願発明特定事項Aにおける「表示領域」、「表示手段」に相当する。
よって、先願発明は、本願発明特定事項Aに相当する構成を含む。
(2)本願発明特定事項Bについて
先願発明特定事項2b,c1,d1における「第1抽選手段211による第1当否抽選が特別遊技への移行を示す結果となった場合」及び「第2抽選手段212による第2当否抽選が特別遊技への移行を示す結果となった場合」、「単位遊技」、「複数回の単位遊技で構成され」る「特別遊技」は、それぞれ、本願発明特定事項Bにおける「当否判定結果が当たりとなったとき」、「単位遊技」、「単位遊技が複数回実行される当たり遊技」に相当する。
また、先願発明特定事項2b,c1,d1によれば、「特別遊技は、大入賞口20の開閉動作を複数回数連続して継続する遊技であり、複数回の単位遊技で構成され」るところ、「特別遊技制御手段260は、第1抽選手段211による第1当否抽選が特別遊技への移行を示す結果となった場合、第1特別図柄51が所定の大当り態様で停止されたときに特別遊技作動条件が成立したと判定し、大入賞口20を開放させることにより特別遊技を実行し、同様に、特別遊技制御手段260は、第2抽選手段212による第2当否抽選が特別遊技への移行を示す結果となった場合、第2特別図柄52が所定の大当り態様で停止されたときに特別遊技作動条件が成立したと判定し、大入賞口20を開放させることにより特別遊技を実行」するから、先願発明特定事項2b,c1,d1における「特別遊技制御手段260」は、本願発明特定事項Bにおける「当否判定結果が当たりとなったときに、常態において閉鎖されている入賞領域が所定の閉鎖条件成立まで開放されることを一回とする単位遊技が複数回実行される当たり遊技を実行する当たり遊技実行手段」に相当する。
よって、先願発明は、本願発明特定事項Bに相当する構成を含む。
(3)本願発明特定事項Cについて
先願発明特定事項2c2,d2によれば、「演出決定手段303」が「特別遊技中の演出においては、大入賞口20への入球のたびに対応する賞球数を累積して払出見込用の累積賞球数として記憶し」かつ「払出見込用の累積賞球数とは別に第2演出表示装置60bにカウント表示させる値として賞球数を累積したカウント表示用の累積賞球数を記憶」するから、先願発明特定事項2c2,d2における「カウント表示用の累積賞球数」は、本願発明特定事項Cにおける「前記当たり遊技にて前記単位遊技が実行されることで開放された前記入賞領域に遊技球が入賞することで遊技者が得られる賞球に応じた利益数値」に相当する。
また、先願発明特定事項2c2,d2によれば、「カウント表示用の累積賞球数」は「第2演出表示装置60b」(表示領域)に「表示され」るところ、先願発明特定事項2aによれば、「第2演出表示装置60b」は「演出表示装置60」に「含」まれ、先願発明特定事項2b,c1,d1によれば、「サブ基板300は、演出表示装置60における表示内容を制御」するから、先願発明特定事項2b,c1,d1における「サブ基板300」は、本願発明特定事項Cにおける「前記当たり遊技中に遊技球が入賞領域に入賞することで遊技者が得られる賞球に応じた利益数値を前記表示領域に表示する表示制御手段」に相当する。
よって、先願発明は、本願発明特定事項Cに相当する構成を含む。
(4)本願発明特定事項Dについて
先願発明特定事項2b,c1,d1における「演出決定手段303を備え」る「サブ基板300」は、上記(3)で述べたように、本願発明の「表示制御手段」に相当するから、先願発明特定事項2b,c1,d1における「演出決定手段303」も、本願発明の「表示制御手段」を構成する。
また、先願発明特定事項2b,c1,d1によれば、「特別遊技」は「大入賞口20の開閉動作を複数回数連続して継続する遊技であり、複数回の単位遊技で構成され」るから、先願発明特定事項2d3における「特別遊技の終了後」は、本願発明特定事項Dにおける「前記当たり遊技にて実行される複数回の前記単位遊技のうちの最後の前記単位遊技である最終単位遊技が終了し当該当たり遊技では前記入賞領域がそれ以降開放される可能性がなくなった時点」より後の「前記最終単位遊技の終了後」に相当する。
また、先願発明特定事項2c2,d2によれば、「払出見込用の累積賞球数」は、「演出決定手段303」が「特別遊技中の演出において」「大入賞口20への入球のたびに対応する賞球数を累積して」「記憶」するものであるから、先願発明特定事項2c2,d2における「払出見込用の累積賞球数」は、本願発明特定事項Dにおける「遊技者が得られることが確定したトータルの賞球数に応じた確定値」に相当する。
ここで、先願発明特定事項2d3によれば、「特別遊技の終了後に、確変へ移行した後までカウント表示用の累積賞球数を第2演出表示装置60bに表示し続ける」ところ、先願発明特定事項2c2,d2によれば、「特別遊技中における賞球数の増加をより遊技者に実感させやすくするために、払出見込用の累積賞球数(トータルの賞球数に応じた確定値)とは別にカウント表示用の累積賞球数を計数し、1~2球ずつ時間をかけて賞球数が増加しているようにカウントアップし、カウント表示用の累積賞球数(利益数値)は、賞球数の増加を複数回に分けて加算することにより、ある程度の時間をかけて賞球数が増加していくように遊技者に見せることができ」るから、先願発明は、本願発明特定事項Dにおける「前記当たり遊技にて実行される複数回の前記単位遊技のうちの最後の前記単位遊技である最終単位遊技が終了し当該当たり遊技では前記入賞領域がそれ以降開放される可能性がなくなった時点にて、遊技者が得られることが確定したトータルの賞球数に応じた確定値に前記利益数値が未だ到達していない場合には、前記最終単位遊技の終了後も当該確定値に到達するまで変化速度が維持されたまま前記利益数値が変化する」構成を有するといえる。
なお、先願発明が「前記最終単位遊技の終了後も」「変化速度が維持されたまま前記利益数値が変化する」構成を有すると認定したのは、先願明細書等には、実施例において「表示するカウントアップの速度」を速くすることや遅くすることは記載されておらず、また、上記1(6)に引用した先願明細書等の【0293】には、「変形例として……表示するカウントアップの速度を速くしてもよい。……逆に……表示するカウントアップの速度を遅くしてもよい。」という記載が存在することからみて、先願明細書等に記載の実施例における「表示するカウントアップの速度」は一定に維持されるものであると解するのが自然であることによる。
よって、先願発明は、本願発明特定事項Dに相当する構成を含む。
(5)本願発明特定事項Eについて
先願発明特定事項2eにおける「ぱちんこ遊技機100」は、本願発明特定事項Eにおける「遊技機」に相当する。
よって、先願発明は、本願発明特定事項Eに相当する構成を含む。
(6)一致点・相違点
上記(1)~(5)からみて、本願発明と先願発明とは、
「A 表示領域を有する表示手段と、
B 当否判定結果が当たりとなったときに、常態において閉鎖されている入賞領域が所定の閉鎖条件成立まで開放されることを一回とする単位遊技が複数回実行される当たり遊技を実行する当たり遊技実行手段と、
C 前記当たり遊技にて前記単位遊技が実行されることで開放された前記入賞領域に遊技球が入賞することで遊技者が得られる賞球に応じた利益数値を前記表示領域に表示する表示制御手段と、
を備え、
D 前記表示制御手段は、前記当たり遊技にて実行される複数回の前記単位遊技のうちの最後の前記単位遊技である最終単位遊技が終了し当該当たり遊技では前記入賞領域がそれ以降開放される可能性がなくなった時点にて、遊技者が得られることが確定したトータルの賞球数に応じた確定値に前記利益数値が未だ到達していない場合には、前記最終単位遊技の終了後も当該確定値に到達するまで変化速度が維持されたまま前記利益数値が変化する
E 遊技機。」
である点で一致し、相違点はない。
3 判断
(1)拡大先願について
上記2(6)のとおり、本願発明と先願発明とは全ての発明特定事項で一致し相違点がないから、本願発明は先願発明と同一であり、先願明細書等に記載された発明である。
また、本願の発明者が先願2の発明者と同一ではなく、本願の出願の時に本願の出願人と先願2の出願人とが同一でもない。
(2)請求人の主張について
ア 請求人の主張
請求人は、令和5年2月27日に提出した意見書の「3-2)先願2の存在を根拠とする拡大先願の拒絶理由について」において、以下のとおり主張する。
「今般の拒絶理由通知では、先願2の段落0296に記載される「特別遊技の終了後に、確変へ移行した後までカウント表示用の累積賞球数を第2演出表示装置60bに表示し続ける」ことが、今般の補正前の本願発明特定事項D(前記当たり遊技を構成する最後の前記単位遊技である最終単位遊技が終了した時点にて、遊技者が得られることが確定したトータルの賞球数に応じた確定値に前記利益数値が未だ到達していない場合には、前記最終単位遊技の終了後も当該確定値に到達するまで変化速度が維持されたまま前記利益数値が変化する)と一致すると判断されていると認められます。
しかしながら、当該判断は以下の点で妥当性を欠きます。
(イ)「特別遊技の終了後に、確変へ移行した後までカウント表示用の累積賞球数を第2演出表示装置60bに表示し続ける」が「カウントアップ」であるとする根拠はありません。確かに、先願2の段落0290には「払出見込用の累積賞球数とは別にカウント表示用の累積賞球数を計数し、1~2球ずつ時間をかけて賞球数が増加しているようにカウントアップする」とする記載はありますが、これはあくまで特別遊技中における記載に過ぎず、「特別遊技の終了後に、確変へ移行した後」においても同様に「カウントアップ」すると断定するに至る証拠はありません(「カウントアップ」の文言を用いていないのに、「カウントアップ」であると断定することはできないはずである)。
(ロ)仮に、「特別遊技の終了後に、確変へ移行した後までカウント表示用の累積賞球数を第2演出表示装置60bに表示し続ける」が「カウントアップ」であるとしても、当該「確変へ移行した後のカウントアップ」の変化速度が、「特別遊技終了前のカウントアップ」の変化速度と同じであるとする根拠はありません。つまり、本願発明の「確定値に到達するまで変化速度が維持されたまま前記利益数値が変化する」における「変化速度が維持され」ることが開示されているとする根拠はありません。
(ハ)仮に、「特別遊技の終了後に、確変へ移行した後までカウント表示用の累積賞球数を第2演出表示装置60bに表示し続ける」が「カウントアップ」であるとしても、当該「確変へ移行した後のカウントアップ」が、「払出見込用の累積賞球数」に到達するまでどのような状況になろうとも継続されるようにされている(カウントアップが途中で打ち切られることがない)ことの根拠となる記載はありません。つまり、本願発明の「確定値に到達するまで変化速度が維持されたまま前記利益数値が変化する」における「確定値に到達するまで」が開示されているとする根拠はありません。
また、「確定値に到達するまで」変化するとしても、それまで「変化速度が維持され」ることの根拠となる記載もありません。
(ニ)先願2には、特別遊技中のカウントアップに関し、
「演出決定手段303は、大入賞口20への入球のたびに表示用の累積賞球数に賞球数を複数回に分けて加算するカウントアップの過程を第2演出表示装置60bに表示させる。」(段落0290)
「カウント表示用の累積賞球数が2500球や5000球といった切りのよい数値に達した場合に、1~2秒間カウントアップを停止し、・・・」(段落0291)
「演出決定手段303および演出制御手段304は、払出見込用の累積賞球数とカウント表示用の累積賞球数との差が所定値を超えた場合、表示するカウントアップの速度を速くしてもよい。・・・逆に、カウントアップの時間が早くなりすぎないようにするために、演出決定手段303および演出制御手段304は、カウント表示用の累積賞球数が払出見込用の累積賞球数に近づくにつれて表示するカウントアップの速度を遅くしてもよい。」(段落0293)
とする記載が認められます。
上記の記載からすれば、特別遊技中のカウントアップが「変化速度が維持され」るものとは認められません。よって、「特別遊技の終了後に、確変へ移行した後までカウント表示用の累積賞球数を第2演出表示装置60bに表示し続ける」が「カウントアップ」であるとしても、当該「確変へ移行した後のカウントアップ」が「変化速度が維持され」るものとなるとはいえません(特別遊技状態中のカウントアップですら「変化速度が維持され」るものであると認められないのに、「確変へ移行した後のカウントアップ」が「変化速度が維持され」るものになるとはいえない)。
なお、「2.補正の概要」で述べた通り、今般行った発明特定事項Dについての補正は、その内容を実質的に変更するものではありませんので、上記の点は、今般の補正後の発明特定事項Dについても認められるべきものであります。
以上の通り、先願2の段落0296に記載される事項は、本願の発明特定事項Dと一致するとはいえませんから、先願発明と本願発明は同一であるとはいえません。」
イ 判断
上記2(4)で説示したとおり、先願発明特定事項2d3によれば、「特別遊技の終了後に、確変へ移行した後までカウント表示用の累積賞球数を第2演出表示装置60bに表示し続ける」ところ、先願発明特定事項2c2,d2によれば、「特別遊技中における賞球数の増加をより遊技者に実感させやすくするために、払出見込用の累積賞球数(トータルの賞球数に応じた確定値)とは別にカウント表示用の累積賞球数を計数し、1~2球ずつ時間をかけて賞球数が増加しているようにカウントアップし、カウント表示用の累積賞球数(利益数値)は、賞球数の増加を複数回に分けて加算することにより、ある程度の時間をかけて賞球数が増加していくように遊技者に見せることができ」ることからみて、先願発明では、「特別遊技の終了後に、確変へ移行した後までカウント表示用の累積賞球数を第2演出表示装置60bに表示し続けるときに、「カウントアップ」していると解するのが自然である。
また、上記2(4)で説示したとおり、先願明細書等には、実施例において「表示するカウントアップの速度」を速くすることや遅くすることは記載されておらず、また、先願明細書等の【0293】には、「変形例として……表示するカウントアップの速度を速くしてもよい。……逆に……表示するカウントアップの速度を遅くしてもよい。」との記載があることからみて、先願明細書等に記載の実施例における「表示するカウントアップの速度」は、一定に維持されるものと解するのが自然である。
また、先願発明の「演出決定手段303および演出制御手段304」は、先願明細書等の【0292】に記載された「特別遊技の終了時点までに加算するカウントアップ表示が完了しない場合は特別遊技の終了演出において最終的な払出見込用の累積賞球数の表示に切り替える」ものではないから、カウントアップが途中で打ち切られるものではないと解するのが自然である。
以上のとおり、先願発明は「前記最終単位遊技の終了後も当該確定値に到達するまで変化速度が維持されたまま前記利益数値が変化する」構成を有すると認定するのが妥当であることから、先願発明は本願発明特定事項Dに相当する構成を含むと判断するのが妥当である。
したがって、請求人の上記主張は、採用することができない。
4 まとめ
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができない。
第6 むすび
以上のとおり、本願発明は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができず、また、本願発明は特許法第29条の2の規定により特許を受けることができないから、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2022-014260