特許拒絶査定不服審判
2023-007056
管理システム、管理方法および管理プログラム
- 審判番号
- 2023-007056
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2022-140718
- 請求日
- 2023年04月28日
- 審決日
- 2023年10月16日
- 公報発行日
- 2024年01月26日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社富士通エフサス
- 【請求人代理人】弁理士法人酒井国際特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 渡邊 聡
- 審判官 後藤 亮治
- 審判官 相崎 裕恒
- 分類
- P18 .56 -Z (G06Q) / P18 .571-Z (G06Q) / P18 .572-Z (G06Q) / P18 .573-Z (G06Q) / P18 .574-Z (G06Q) / P18 .121-Z (G06Q)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第5項第4号、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第1項第4号、特許法第17条の2第5項第1号、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第5項第3号、特許法第17条の2第5項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2022-140718「管理システム、管理方法および管理プログラム」拒絶査定不服審判事件〔令和 4年10月27日出願公開、特開2022-164921〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、平成30年3月26日の特許出願である特願2018-57606号の一部を令和3年6月14日に新たな特許出願とした特願2021-98519号の一部を、令和4年9月5日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和 4年 9月26日 拒絶理由通知書(起案日)
令和 4年11月16日 意見書、手続補正書の提出
令和 5年 2月 6日 拒絶査定(起案日)
令和 5年 4月28日 審判請求書、手続補正書の提出
第2 令和5年4月28日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和5年4月28日にされた手続補正を却下する。
[理由]
1 令和5年4月28日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)について
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所である。)
「 情報処理端末におけるログインおよびログオフを検知する第1の検知部と、
前記情報処理端末における入力部を介した操作入力を検知する第2の検知部と、
前記第1の検知部および前記第2の検知部による検知内容を基にして算出された労働時間から申告時間を減算した第1労働時間と、前記申告時間から定時労働時間を減算した第2労働時間とを表示する際の複数の表示パターンのうち、選択された表示パターンによって、前記労働時間を表示部に表示させる表示制御部と、
を備えることを特徴とする管理システム。」
(2)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の、令和4年11月16日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。
「 情報処理端末におけるログインおよびログオフを検知する第1の検知部と、
前記情報処理端末における入力部を介した操作入力を検知する第2の検知部と、
前記第1の検知部および前記第2の検知部による検知内容を基にして算出された労働時間であって、ユーザの労働時間全体のうち所定の業務に費やされた前記労働時間を表示する際の複数の表示パターンのうち、選択された表示パターンによって、前記労働時間を表示部に表示させる表示制御部と、
を備えることを特徴とする管理システム。」
(3)補正事項
本件補正は、請求項1について次の補正事項を含むものである。
補正事項
算出及び表示される労働時間について、本件補正前の「労働時間であって、ユーザの労働時間全体のうち所定の業務に費やされた前記労働時間」を、本件補正後の「労働時間から申告時間を減算した第1労働時間と、前記申告時間から定時労働時間を減算した第2労働時間と」とする補正
2 補正の適否
本件補正は、特許法第17条の2第1項第4号に掲げる、審判の請求と同時にする補正であるから、同法第17条の2第3項(新規事項の追加)及び同法第17条の2第4項(シフト補正)に規定する要件を満たさなければならないほか、特許請求の範囲についてする補正は、同法17条の2第5項の規定により同条同項第1号~4号に掲げる事項を目的とするものに限られる。
上記補正事項について、同法17条の2第5項第1号~4号に掲げる事項を目的とするものであるか否かについて、以下に検討する。
(1)特許法第17条の2第5項第1号(請求項の削除)について
上記補正事項により、いずれの請求項も削除されない。よって、上記補正事項は、請求項の削除を目的とするものではない。
(2)特許法第17条の2第5項第2号(特許請求の範囲の減縮)について
上記補正事項によれば、算出及び表示される「労働時間」に関し、本件補正前は、「ユーザの労働時間全体のうち所定の業務に費やされた」との特定事項を含むものであったものが、本件補正後は、かかる特定事項を含まないものとなっており、上記補正事項は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものではない。
(3)特許法第17条の2第5項第3号(誤記の訂正)について
本件補正前の特許請求の範囲の請求項1の記載に誤記はないから、上記補正事項は、誤記の訂正を目的とするものではない。
(4)特許法第17条の2第5項第4号(明りようでない記載の釈明)について
本件補正前の特許請求の範囲の請求項1の記載に関し、明確性要件違反の拒絶の理由は通知されていない。
また、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1の記載は明確であり、上記補正事項は、特許法第17条の2第5項第4号に掲げる「明りようでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る。)」を目的とするものではない。
3 本件補正の目的についてのむすび
以上のとおり、上記補正事項は、特許法第17条の2第5項各号に掲げるいずれの事項を目的とするものにも該当せず、当該補正事項を含む本件補正は、同条同項の規定に違反しているものであるから、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1~4に係る発明は、令和4年11月16日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~4に記載された事項により特定される発明であり、そのうち請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。
「 情報処理端末におけるログインおよびログオフを検知する第1の検知部と、
前記情報処理端末における入力部を介した操作入力を検知する第2の検知部と、
前記第1の検知部および前記第2の検知部による検知内容を基にして算出された労働時間であって、ユーザの労働時間全体のうち所定の業務に費やされた前記労働時間を表示する際の複数の表示パターンのうち、選択された表示パターンによって、前記労働時間を表示部に表示させる表示制御部と、
を備えることを特徴とする管理システム。」
2 原査定の拒絶理由の概要
原査定(令和5年2月6日付け拒絶査定)の拒絶理由の概要は以下のとおりである。
この出願の請求項1~4に係る発明は、以下の引用文献1に記載された発明及び引用文献2に例示される周知技術に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
<引用文献等一覧>
引用文献1.特開2007-188201号公報
引用文献2.特開2017-68379号公報
3 引用文献と引用発明
(1)引用文献1について
ア 引用文献1の記載事項
原査定の拒絶理由に引用された上記引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。
「【0008】
しかしながら、上記特許文献1、2はともに作業時間を自己申告する方法を用いており、この方法を在宅勤務労働者に適用した場合、正しい作業時間が申告されているか管理者が確認することができない。例えば、実際に作業を開始する前に作業開始の申告を行ったり、作業時間中に私的な作業を行うことが可能となってしまう。また、OSのイベントログによる確認方法でも、作業を行う前にOSの起動だけを行ったり、OS起動後に正しい作業を行わずに私的な作業を行うことが可能となってしまう。以上のことから、労働者の勤怠管理を正しく行うためには、作業時間中の作業内容を確認する手段が必要となってくる。
【0009】
本発明は、勤怠管理において、労働者のアプリケーション操作状況を記録することで作業時間中の作業内容を確認し、勤怠管理を正しく行えるようにすることを目的とする。」
「【0013】
本発明によれば、アプリケーションの操作状況を記録することで、労働者の作業内容を監視することができ、管理者の目が届かない状況であってもより正確な勤怠管理を行えるようになる。」
「【0015】
図1は、本発明の一実施形態の勤怠管理システムの概略構成を示すブロック図である。この勤怠管理システムは、複数の作業用端末1(1a、1b、…、1n)と、管理者の使用する管理者用端末3とから構成される。これらの端末は、インターネット2により接続されている。管理者用端末3は、勤怠情報の管理を行うための勤怠管理プログラム4、勤怠情報を表示するための表示部9、労働者の勤怠情報を記録するための勤怠管理データベース(DB)10、及び労働者情報を管理するための労働者管理DB11を備えている。
【0016】
次に、勤怠管理プログラム4の内部について説明する。管理者用端末3で勤怠管理プログラム4を実行することにより、受信部5、DB更新部6、業務内容登録部7、及び画面出力部8が実現される。受信部5は、作業用端末1から送信されたアプリケーション操作状況ログを受信する。この際に、労働者管理DB11の情報を使用して労働者の認証も行う。DB更新部6は、受信部5で受信したアプリケーション操作状況ログを解析して、勤怠管理DB10の勤怠情報を更新する。またDB更新部6は、労働者の情報が変更された際に、労働者管理DB11の労働者情報の更新も行う。業務内容登録部7は、作業用端末1からアクセスされた際に業務内容の登録を行うための画面を表示し、入力された業務内容をDB更新部6により勤怠管理DB10に記録する。表示部9は、管理者の要求に応じて勤怠情報を表示する手段である。
【0017】
図2は、労働者の各作業用端末1(図1の1a,1b,…,1n)の構成図である。作業用端末1は、勤怠情報の記録を行う勤怠状況記録プログラム23を備えている。作業用端末1で勤怠状況記録プログラム23を実行することにより、アプリケーション監視部24、操作状況ログ格納部25、送信部26、及び業務内容登録部27が実現される。アプリケーション21(21a、21b、…、21n)は、作業用端末1にインストールされて実行される一般のアプリケーションソフトを示している。入力装置22は、作業用端末1に接続されているキーボード及びマウスなどの入力装置を示している。
【0018】
アプリケーション監視部24は、起動中の複数のアプリケーション21及び入力装置22の操作状況を監視しており、アプリケーション21が操作されたり、入力装置22で各種の操作が行われた場合に、その情報を内部メモリに記憶する。ここで、管理者があらかじめ作業者に対して使用するアプリケーションを指定しておき、そのアプリケーションのみを監視対象に設定できるようにしてもよい。また、アプリケーション監視部24は、あらかじめ管理者により設定された更新間隔時間ごとに、内部メモリに記憶された監視情報をアプリケーション操作状況ログファイルとして操作状況格納部25に出力する。さらに、アプリケーション監視部24は、OS起動時・シャットダウン時にもアプリケーション操作状況ログファイルにログを出力する。送信部26は、一日の作業が終了した際に、その日のアプリケーション操作状況ログファイルを図1の勤怠管理プログラム4に送信する。業務内容登録部27は、図1の業務内容登録部7にアクセスし、業務内容登録画面を表示するとともに、作業者による業務内容の入力を受付け、それらの入力情報を管理者用端末3の業務内容登録部7に送信する。
【0019】
図3は、作業用端末1の送信部26によるアプリケーション操作状況ログの送信処理の概要を示すフローチャート図である。労働者(作業者)から送信要求があると、まずはステップ31にて認証を行う。認証には、図1の労働者管理DB11内にあらかじめ登録されているユーザー名及びパスワードを使用する。ステップ32にて認証の成否を判定し、失敗した場合は、ステップ35によりエラーメッセージを表示し、送信処理を終了する。認証に成功した場合、ステップ33にて当日のアプリケーション操作状況ログが存在するかを判定し、存在しない場合は、ステップ36にてエラーメッセージを表示し、送信処理を終了する。存在した場合は、ステップ34にてアプリケーション操作状況ログを図1の勤怠管理プログラム4に送信し、送信処理を終了する。管理者用端末3は、このようにして各作業用端末1から送信されるアプリケーション操作状況ログを受信部5で受信し、勤怠管理DB10に格納する。」
「【0023】
図5は、作業用端末1の業務内容登録部27による業務内容登録処理の概要を示すフローチャート図である。アプリケーション操作状況ログには、ログの更新時刻、操作されたアプリケーション名、及び編集されたファイル名などしか記録されておらず、何の業務を行うためにそのアプリケーションが操作されたのかが分からない。業務内容登録は、アプリケーション操作状況ログに記録された各アプリケーションとファイルに対し、それらが何の業務を行うために使用されたのか、ということを労働者が申告するための作業及び処理である。業務内容登録は、基本的にアプリケーション操作状況ログの送信が終了してから行う。より厳しく作業内容を管理したい場合など、管理者が作業者に対して、あらかじめ作業内容と、その作業に対して使用するアプリケーションを指定しておき、該当するログに対してのみ作業時間としてカウント(後述する勤怠情報の作業時間のカウント)できるようにしてもよい。さらに厳しく管理を行いたい場合は、編集するファイル名も管理者が指定しておき、指定されたアプリケーション名及びファイル名に該当するログのみをカウントできるようにしてもよい。そのような場合は、本処理は不要となる。
・・・
【0025】
管理者用端末3は、このようにして各作業用端末1から送信される業務内容の情報を受信部5で受信し、勤怠管理DB10に格納する。なお、当然だが、この業務内容とアプリケーション操作状況ログとは、労働者(作業者)のID及び日付により対応付けられているものである。
・・・
【0028】
ここで例えば、2005/6/1に機能仕様書の作成業務のために、ワープロソフトXXX AAAにより機能仕様書.docファイルの編集を行った場合、業務内容登録画面には、日付61が「2005/6/1」、アプリケーション名62が「XXX AAA」、ファイル名63が「機能仕様書.doc」となる行が表示され、作業者はその行の業務内容64に「機能仕様書作成」などと入力することになる。」
「【0033】
図9は、管理者用端末3における勤怠情報の表示処理の概要を示すフローチャート図である。まず、ステップ91で管理者により勤怠情報の表示対象として選択された労働者を受け付ける。これは、具体的には、労働者を特定するIDを入力したり、表示された労働者一覧から労働者を選択する処理である。次にステップ92で、管理者により選択された表示を行う日付を受け付ける。ここでは、必要に応じて、表示したい月を選択、表示したい週を選択できるようにし、まとめて勤怠情報を表示するようにしてもよい。次にステップ93で、棒グラフ、レポート表示など管理者により選択された表示方法を受け付ける。ステップ94において、先に受け付けた情報に該当する勤怠情報を、勤怠情報DB10から読み出して、図1の表示部9に出力する。
【0034】
図10は、勤怠情報の表示例を示すテーブル図である。この表示例は、日付101、業務内容102、アプリケーション103、ファイル名104、及び作業時間105から構成される。日付101は、表示対象の労働者の勤怠情報の表示対象となる日付を表示している。業務内容102は、業務内容を示している。この項目に関しては、作業者により業務内容の登録(図5、図6参照)が行われていない場合は空白を表示する。アプリケーション103には、業務内容102の作業を行うために使用されたアプリケーション名を表示し、ファイル名104には、そのアプリケーションにより編集されたファイル名を表示する。作業時間105は、前記の作業にかかった作業時間を示している。管理者からの要求に応じて、上記の情報をグラフ、レポートなどの表示方法で表示する。
【0035】
なお、作業時間105は、当該労働者の当該日付のアプリケーション操作状況ログを解析することで算出する。具体的には、アプリケーション103のアプリケーションでファイル名104のファイルをアクティブに編集している時間を合算すればよい。この場合、アプリケーションがアクティブな時間を全て合算してもよいが、キー入力などの操作が何もなされずに長時間が過ぎる場合もあるので、そのような無操作の時間が所定時間以上続くときは作業時間としてカウントしないようにしてもよい。」
図1
[図:0001405706000001.jpg]
図2
[図:0001405706000002.jpg]
図6
[図:0001405706000003.jpg]
図8
[図:0001405706000004.jpg]
図10
[図:0001405706000005.jpg]
イ 引用文献1に記載された発明
上記アによると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
「 複数の作業用端末1と、管理者の使用する管理者用端末3とから構成される勤怠管理システム(【0015】)であって、
各作業用端末1は、勤怠状況記録プログラム23を実行することにより、アプリケーション監視部24、操作状況ログ格納部25、送信部26、及び業務内容登録部27が実現され、入力装置22は、作業用端末1に接続されているキーボード及びマウスなどの入力装置であり(【0017】)、
アプリケーション監視部24は、起動中の複数のアプリケーション21及び入力装置22の操作状況を監視しており、アプリケーション21が操作されたり、入力装置22で各種の操作が行われた場合に、その情報を内部メモリに記憶し、内部メモリに記憶された監視情報をアプリケーション操作状況ログファイルとして操作状況格納部25に出力し、さらに、OS起動時・シャットダウン時にもアプリケーション操作状況ログファイルにログを出力し(【0018】)、
送信部26は、一日の作業が終了した際に、その日のアプリケーション操作状況ログファイルを勤怠管理プログラム4に送信し(【0018】)、
業務内容登録部27は、作業者による業務内容の入力を受付け、それらの入力情報を管理者用端末3の業務内容登録部7に送信し(【0018】)、
管理者用端末3は、勤怠管理プログラム4を実行することにより、受信部5、DB更新部6、業務内容登録部7、及び画面出力部8が実現され、受信部5は、作業用端末1から送信されたアプリケーション操作状況ログを受信し、DB更新部6は、受信部5で受信したアプリケーション操作状況ログを解析して、勤怠管理DB10の勤怠情報を更新し、業務内容登録部7は、作業用端末1から入力された業務内容をDB更新部6により勤怠管理DB10に記録し、表示部9は、管理者の要求に応じて勤怠情報を表示し(【0016】)、
管理者用端末3は、管理者より表示対象として選択された労働者、表示を行う日付、棒グラフ、レポート表示などの表示方法を受け付け、先に受け付けた情報に該当する勤怠情報を勤怠情報DB10から読み出して、表示部9に出力し(【0033】)、
勤怠情報の表示例は、日付101、業務内容102、アプリケーション103、ファイル名104、及び作業時間105から構成され、アプリケーション103には、業務内容102の作業を行うために使用されたアプリケーション名を表示し、作業時間105は、前記の作業にかかった作業時間を示しており(【0034】)、
作業時間105は、当該労働者の当該日付のアプリケーション操作状況ログを解析することで算出する(【0035】)、
勤怠管理システム。」
4 対比
(1)本願発明と引用発明とを対比する。
ア.引用発明の「作業者」である「労働者」は、本願発明の「ユーザ」に相当し、以下同様に、「作業者端末1」は「情報処理端末」に、「入力装置22」は「入力部」に、「入力装置22で各種の操作が行われ」ることは、「操作入力」に相当する。
よって、引用発明の「作業者端末1に接続されている」「入力手段22で各種の操作が行われた場合に」、「監視情報をアプリケーション操作状況ログファイルとして」「出力」する「アプリケーション監視部24」は、本願発明の「情報処理端末における入力部を介した操作入力を検知する第2の検知部」に相当する。
イ.引用発明の「作業時間105」は、「アプリケーション監視部24」から「出力」される「アプリケーション操作状況ログを解析することで算出」されるものであって、「業務内容102」の「作業にかかった作業時間を示し」、「表示を行う日付」の「労働者」の「勤怠情報」に含まれるものである。また、引用発明の「表示を行う日付」の「労働者」の「勤怠情報」は、「表示を行う日付」の「労働者」の労働時間全体の情報を含んでいることは明らかである。
そして、引用発明の「業務内容102」は、本願発明の「所定の業務」に相当し、以下同様に、「アプリケーション監視部24」から「出力」される「アプリケーション操作状況ログ」は「第2の検知部による検知内容」に、「業務内容102」の「作業」にかかった「作業時間105」は「所定の業務に費やされた前記労働時間」に相当する。さらに、引用発明の「表示を行う日付」の「労働者」の「勤怠情報」に含まれる「表示を行う日付」の「労働者」の労働時間全体の情報は、上記アのとおり、「作業者」である「労働者」が本願発明の「ユーザ」に相当することから、「ユーザの労働時間全体」に相当する。
したがって、引用発明の「アプリケーション監視部24」から「出力」される「アプリケーション操作状況ログを解析することで算出」される「作業時間105」であって、「表示を行う日付」の「労働者」の「勤怠情報」に含まれる「表示を行う日付」の「労働者」の労働時間全体の情報のうち、「業務内容102」の「作業」にかかった「作業時間105」と、本願発明の「前記第1の検知部および前記第2の検知部による検知内容を基にして算出された労働時間であって、ユーザの労働時間全体のうち所定の業務に費やされた前記労働時間」とは、「第2の検知部を含む検知部による検知内容を基にして算出された労働時間であって、ユーザの労働時間全体のうち所定の業務に費やされた前記労働時間」である点で共通する。
また、引用発明の「棒グラフ、レポート表示などの表示方法」は、本願発明の「複数の表示パターン」に相当し、以下同様に、「表示部9」は「表示部」に相当する。
よって、引用発明の「アプリケーション監視部24」から「出力」される「アプリケーション操作状況ログを解析することで算出」される「作業時間105」であって、「表示を行う日付」の「労働者」の「勤怠情報」に含まれる「表示を行う日付」の「労働者」の労働時間全体の情報のうち、「業務内容102」の「作業」にかかった「作業時間105」を表示する際の「棒グラフ、レポート表示などの表示方法」のうち、選択された「表示方法」によって、「作業時間105」を含む「勤怠情報」を、「表示部9」に出力する手段と、本願発明の「前記第1の検知部および前記第2の検知部による検知内容を基にして算出された労働時間であって、ユーザの労働時間全体のうち所定の業務に費やされた前記労働時間を表示する際の複数の表示パターンのうち、選択された表示パターンによって、前記労働時間を表示部に表示させる表示制御部」とは、「第2の検知部を含む検知部による検知内容を基にして算出された労働時間であって、ユーザの労働時間全体のうち所定の業務に費やされた前記労働時間を表示する際の複数の表示パターンのうち、選択された表示パターンによって、前記労働時間を表示部に表示させる表示制御部」である点で共通する。
ウ.引用発明の「勤怠管理システム」は、後述の相違点を除き、本願発明の「管理システム」に相当する。
(2)上記(1)によると、本願発明と引用発明とは、次の一致点で一致し、相違点1及び相違点2で相違する。
<一致点>
情報処理端末における入力部を介した操作入力を検知する第2の検知部と、
第2の検知部を含む検知部による検知内容を基にして算出された労働時間であって、ユーザの労働時間全体のうち所定の業務に費やされた前記労働時間を表示する際の複数の表示パターンのうち、選択された表示パターンによって、前記労働時間を表示部に表示させる表示制御部と、
を備えることを特徴とする管理システム。
<相違点1>
検知部に関し、本願発明は「情報処理端末におけるログインおよびログオフを検知する第1の検知部」を備えているのに対し、引用発明は、かかる特定事項を有していない点。
<相違点2>
相違点1に派生して、労働時間の算出に関し、本願発明は「前記第1の検知部および前記第2の検知部による検知内容を基にして」行っているのに対し、引用発明では第2の検知部による検知内容を基にしていることにとどまる点。
5 判断
相違点1、2について、まとめて検討する。
引用発明の「表示を行う日付」の「労働者」の「勤怠情報」には、「表示を行う日付」の「労働者」の労働時間全体の情報を含んでいるところ、「作業時間105」が「算出」される「当該労働者の当該日付のアプリケーション操作状況ログ」には、「OS起動時・シャットダウン時にも」、「ログ」が「出力」されるものとなっており、「表示を行う日付」の「労働者」の労働時間全体の情報の「算出」には、「作業者端末1」の使用開始(OS起動時)と使用終了(シャットダウン時)の「ログ」が使用されるものであることは技術常識からみて明白である。
他方、例えば、引用文献2に
「【0033】
「タイムスタンプ」とは、機器使用管理サーバ10が、ユーザが使用する情報処理端末すなわちクライアント30,40の所定の操作または状態を検知した時間を示す。また、「対応動作」とは、「タイムスタンプ」に対応して検知された所定の操作または状態の内容を示す。たとえば図4の例では、「タイムスタンプ、10:38」に対応づけて、「対応動作、スリープ検知」が記憶されている。これは、10時38分に、当該ユーザのクライアントがスリープ状態にあることが検知されたことを示す。また、「タイムスタンプ、12:45」に対応づけて、「対応動作、スリープ終了検知」が記憶されている。これは、12時45分に、当該ユーザの情報処理端末のスリープ状態が終了していたことが検知されたことを示す。「タイムスタンプ」と「対応動作」とにより、情報処理端末の動作時間が示される。動作時間とは、情報処理端末が所定の動作を実行している時間の長さを意味する。
【0034】
「勤務時間」は、各日のユーザの勤務時間を示す。図4の例では、ユーザID「USER01」のユーザについて、「年月日、20151001」、「対応動作、ログアウト」に対応づけて「勤務時間、9:15」が記憶されている。これは、ユーザID「USER01」のユーザは、2015年10月1日に、9時間15分勤務したことを示す。また、ユーザID「USER01」のユーザについて、「年月日、20151002」、「タイムスタンプ、13:00」に対応づけて「勤務時間、4:30(未確定)」と記憶されている。これは、ユーザID「USER01」のユーザは、2015年10月2日に、13時の時点で4時間30分勤務したが、最終的な勤務時間はまだ確定していないことを示す。
・・・
【0036】
接続制御部121は、機器使用管理サーバ10とクライアント30,40との接続を制御する。クライアント30,40は、認証サーバ20による認証に成功し、機器使用管理サーバ10にアクセスするための情報を取得すると、当該情報を用いて機器使用管理サーバ10にアクセスする。接続制御部121は、クライアント30,40から送信される情報と、記憶部11に記憶される情報に基づき、クライアント30,40の接続を許可または拒否する。第1の実施形態では、接続制御部121が、クライアント30,40の接続を許可すると、クライアント30,40がログインしたことが勤務時間情報記憶部113に記憶される。接続を拒否する場合、接続制御部121は、抑止部124(後述)に抑止指示の送信を指示する。
【0037】
接続監視部122は、機器使用管理サーバ10と接続中のクライアント30,40の動作を監視する。接続監視部122は、定期的にクライアント30,40の動作を検知して、勤務時間情報記憶部113に記憶させる。たとえば、接続監視部122は、クライアント30,40がスリープ状態にあることを検知すると、勤務時間情報記憶部113に、検知した時刻を示すタイムスタンプとともにスリープ状態を検知したことを記憶する。また、接続監視部122は、クライアント30,40がスリープ状態ではなくなったことを検知すると、勤務時間情報記憶部113に、検知した時刻を示すタイムスタンプとともにスリープ状態が終了したことを記憶する。接続監視部122は、予め設定された時間たとえば15分ごとにクライアント30,40の動作を検知する。
【0038】
勤務時間算出部123は、機器使用管理サーバ10と接続中のクライアント30,40を使用するユーザの勤務時間を算出する。勤務時間算出部123は、記憶部11に記憶される勤務情報、ユーザ情報、勤務時間情報に基づき、各ユーザの勤務時間を算出する。勤務時間算出の詳細については後述する。」
図4
[図:0001405706000006.jpg]
と記載されているように、「労務管理」の技術分野において、情報処理端末におけるログインおよびログオフを検知する検知部を設け、前記検知部による検知内容に基づいて労働時間を算出することは、周知技術である。
よって、引用発明において、作業者端末1の使用開始と使用終了を示す労働者の操作を検知する検知部として、上記周知技術を採用し、作業者端末1(本願発明の「情報処理端末」に対応する。以下同様。)におけるログインおよびログオフを検知する検知部(「第1の検知部」)を設け(相違点1に係る構成)、アプリケーション監視部24(「第2の検知部」)から出力されるアプリケーション監視状況ログファイル(「第2の検知部による検知内容」)に加えて、前記(第1の)検知部による検知内容に基づいて「表示を行う日付」の「労働者」の労働時間全体の情報(「ユーザの労働時間全体」)を算出すること(相違点2に係る構成)は、当業者が容易に想到し得たことである。
さらに、本願発明の効果も、引用発明及び上記周知技術から、予測される範囲のものであって、格別なものではない。
請求人は令和4年11月16日に提出した意見書にて「引用文献1には「情報処理端末におけるログインおよびログオフを検知する第1の検知部と、前記情報処理端末における入力部を介した操作入力を検知する第2の検知部と、前記第1の検知部および前記第2の検知部による検知内容を基にして算出された労働時間であって、ユーザの労働時間全体のうち所定の業務に費やされた前記労働時間を表示する際の複数の表示パターンのうち、選択された表示パターンによって、前記労働時間を表示部に表示させる表示制御部と、を備える」ことについて開示も示唆もしておりません。」と述べている。
しかし、上記のとおり、相違点1及び2に係る構成は、引用発明及び上記周知技術に基づいて、当業者が容易に想到し得たものであって、上記周知技術を知悉する当業者にしてみれば、引用文献1に示唆されていたものといえる。
したがって、本願発明は、引用発明及び上記周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び上記周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は他の請求項に係る発明について検討するまでもなく拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2023-007056