商標拒絶査定不服審判
2022-013798
サクラクルー、サクラ、クルー
- 審判番号
- 2022-013798
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2022-005619
- 請求日
- 2022年09月02日
- 審決日
- 2023年08月17日
- 公報発行日
- 2023年11月24日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社グローバルゲイツ
- 【請求人代理人】松下 昌弘
- 審判長/審判官
- 審判長 旦 克昌
- 審判官 馬場 秀敏
- 審判官 山根 まり子
- 分類
- T18 .261-Z (W3541) / T18 .262-Z (W3541) / T18 .263-Z (W3541)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項11号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第11号、商標法第10条第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2022-5619拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和3年3月16日に登録出願された商願2021-31048に係る商標法第10条第1項の規定による商標登録出願として、令和4年1月20日に登録出願されたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和4年2月4日付け:拒絶理由通知書
令和4年2月28日付け:意見書
令和4年6月7日付け:拒絶査定
令和4年9月2日付け:審判請求書、手続補正書
第2 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第35類、第41類、第43類及び第44類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務として登録出願されたものであり、その後、指定役務については、上記第1の手続補正により、第35類「消臭芳香剤の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,ガラス用コーティング剤の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,業務用ヘアドライヤーの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,ベッドカバーの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」及び第41類「資格の付与のための資格試験の実施及び資格の認定・資格の付与,セミナーの企画・運営又は開催,技芸・スポーツ又は知識の教授」に補正されたものである。
第3 引用商標
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録商標は、以下のとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。
1 登録第1742665号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:「櫻」の漢字を書してなる商標
登録出願日:昭和56年8月5日
設定登録日:昭和60年1月23日
書換登録日:平成16年10月13日
指定商品:第3類「薫料」
2 登録第2313207号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:「サクラ」の片仮名を横書きしてなる商標
登録出願日:昭和63年4月12日
設定登録日:平成3年6月28日
書換登録日:平成13年11月21日
指定商品:第1類「化学品」、第2類「カナダバルサム,壁紙剥離剤,コパール,サンダラック,シェラック,松根油,ダンマール,媒染剤,マスチック,松脂,木材保存剤」、第3類「家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤」、第4類「固形潤滑剤」、第19類「タール類及びピッチ類」及び第30類「アイスクリーム用凝固剤,家庭用食肉軟化剤,ホイップクリーム用安定剤」を含む第1類ないし第5類、第19類及び第30類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品
3 登録第4824237号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の構成:「さくら」の平仮名を標準文字で表してなる商標
登録出願日:平成16年4月21日
設定登録日:平成16年12月10日
指定商品:第20類「美容院用いす,理髪店用いす,屋内用ブラインド,すだれ,装飾用ビーズカーテン」を含む第20類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品
4 登録第5227330号商標(以下「引用商標4」という。)
商標の構成:「サクラ」の片仮名を太字で横書きしてなる商標
登録出願日:平成19年4月24日
設定登録日:平成21年5月1日
指定役務:第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催」を含む第41類に属する商標登録原簿記載のとおりの役務
5 登録第5255208号商標(以下「引用商標5」という。)
商標の構成:「サクラ」の片仮名を太字で横書きしてなる商標
登録出願日:平成19年7月2日
設定登録日:平成21年8月7日
指定役務:第35類「人工観葉植物の小売又は卸売りの業務において行われる顧客に対する便益の提供,カーテン及びカーペットの小売又は卸売りの業務において行われる顧客に対する便益の提供,敷物の小売又は卸売りの業務において行われる顧客に対する便益の提供」を含む第35類に属する商標登録原簿記載のとおりの役務
6 登録第5552543号商標(以下「引用商標6」という。)
商標の構成:「SAKURA」の欧文字を横書きしてなる商標
登録出願日:平成24年8月21日
設定登録日:平成25年1月25日
指定役務:第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催」を含む第41類に属する商標登録原簿記載のとおりの役務
7 登録第6094629号商標(以下「引用商標7」という。)
商標の構成:「SAKURA」及び「さくら」の各文字を二段に書してなる商標
登録出願日:平成30年1月24日
設定登録日:平成30年11月2日
指定役務:第43類に属する商標登録原簿記載のとおりの役務
なお、引用商標1及び引用商標6をまとめていう場合は、以下「引用商標」という。
第4 当審の判断
1 本願商標と引用商標7について
本願商標の指定役務は、上記第1のとおり補正された結果、引用商標7の指定役務と類似の役務は全て削除されたと認められる。
その結果、本願商標の指定役務は、引用商標7の指定役務と類似しない役務になったと認められる。
したがって、本願商標が、引用商標7との関係において、商標法第4条第1項第11号に該当するとした拒絶の理由は、解消した。
2 本願商標について
(1)本願商標は、別掲のとおり、青色の円の背景(以下「背景図形」という場合がある。)の中央に、グラデーション手法を用い桃系及び白系の色で塗色された「桜」の漢字を、ややデザイン化した筆文字風の書体で顕著に書し、その右下に、当該文字と段を揃え、当該文字の右横幅に収まる位置に、白抜きの「SAKURA」の欧文字を手書き風の書体でごく小さく表し、それら「桜」と「SAKURA」の各文字の下のやや離れた中央位置に、白抜きの「Sakura Crew」の文字を筆記体風の書体でごく小さく表してなる結合商標である。
(2)背景図形は、単純な図形であって、特定の事物を想起させるものではなく、装飾的に表されているものであるから、当該図形からは、特定の称呼及び観念は生じないものとみるのが相当である。
(3)本願商標の構成中、「桜」の文字は、その中央部に、本願商標全体の8割程度を占めた大きさで、他の構成文字に比して一際大きく表され、視覚的に際立った印象を与えるものであり、独立して看る者の注意をひく部分であるから、本願商標の構成態様において、強く支配的な印象を与える部分といえる。
そして、その右下に、当該文字と段を揃え、白抜きでごく小さく表された「SAKURA」の文字は、「桜」の文字の読みを欧文字で表したものと容易に理解されるものである。
また、「桜」の文字は、「バラ科サクラ属、スモモ属の落葉高木または低木のうち、ウメ・モモ・アンズなどを除いたものの総称。日本の国花。」(大辞林第四版(株式会社三省堂))の意味を有し、一般的に慣れ親しまれている花の名称であるから、当該文字に相応して「サクラ」の称呼及び「桜」の観念を生じるものというのが相当である。
(4)本願商標の構成中、下段に、白抜きでごく小さく表された「Sakura Crew」の文字は、空白を介してなることから、「Sakura」と、「船の乗組員」の意味を有し「クルー」と称呼する「Crew」(前掲書)の2つの欧文字を組み合わせてなると理解されるものであるが、それらを組み合わせた「Sakura Crew」の文字は、我が国の一般的な辞書類に載録されている既成の語ではなく、特定の意味合いを想起させる語として知られているものともいえないものである。
そして、構成各文字の意味合いを考慮しても、それらに関連性を見いだすことはできないものであり、その全体から特定の観念を生じるということはできないものである。
そうすると、「Sakura Crew」の文字部分は、特定の観念を生じない造語として看取、把握されるとみるのが相当である。
(5)本願商標の構成中、「桜」、「SAKURA」の文字部分と、下段の「Sakura Crew」の文字部分とは、共に背景図形の内側に表されているものの、上記(4)のとおり、「Sakura Crew」の文字部分が、特定の観念を生じない造語として看取、把握されることを考慮すると、両者は、観念的に密接な関連性を有しているものとはいえず、改行により段を変え、その構成文字、文字の大きさ、デザイン化の有無、書体、種類、色の構成を異にし、重なること無く間隔を空けて配置され、視覚的に分離して観察されるものである。
(6)以上を総合すると、本願商標は、背景図形、「桜」、「SAKURA」又は「Sakura Crew」の各構成部分が、それを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものとは認められないから、その構成の一部であり、構成態様において、取引者、需要者に対して役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与える「桜」の文字部分を抽出し、当該部分(以下「本願要部」という。)だけを他人の商標と比較して商標の類否を判断することも許されるというべきである。
したがって、本願商標は、その全体のほか、その要部である「桜」の構成文字に相応して、「サクラ」の称呼及び「桜」の観念をも生じるものというのが相当である。
3 引用商標(引用商標1ないし引用商標6)について
(1)引用商標1は、「櫻」の漢字を書してなるところ、当該文字は、一般的に慣れ親しまれている花の名称である「桜」(常用漢字)の旧字体を表したものであるから、当該文字に相応して「サクラ」の称呼及び「桜」の観念を生じるものというのが相当である。
(2)引用商標2、引用商標4及び引用商標5は、「サクラ」の片仮名を横書きしてなるところ、当該文字は、「桜」の漢字の読みを片仮名で表したものと容易に理解されるものであるから、当該文字に相応して「サクラ」の称呼及び「桜」の観念を生じるものというのが相当である。
(3)引用商標3は、「さくら」の平仮名を標準文字で表してなるところ、当該文字は、「桜」の漢字の読みを平仮名で表したものと容易に理解されるものであるから、当該文字に相応して「サクラ」の称呼及び「桜」の観念を生じるものというのが相当である。
(4)引用商標6は、「SAKURA」の欧文字を横書きしてなるところ、当該文字は、「桜」の漢字の読みを欧文字で表したものと容易に理解されるものであるから、当該文字に相応して「サクラ」の称呼及び「桜」の観念を生じるものというのが相当である。
4 本願商標と引用商標との類否について
(1)本願商標と引用商標とは、外観において、全体としては相違するものの、本願要部と引用商標との比較において、我が国において、商標の構成文字を、同一の称呼が生じる範囲内で文字種を相互に変換して表記することや、常用漢字(桜)とその旧字体(櫻)を相互に変換して表記することが一般的に行われていることを考慮すれば、本願要部(「桜」の文字部分)と引用商標(「櫻」の漢字、「サクラ」の片仮名、「さくら」の平仮名又は「SAKURA」の欧文字)は、それぞれの文字を置き換えたものとして、取引者、需要者に認識されるものである。
そして、本願要部は、ややデザイン化した筆文字風の書体で顕著に横書きしてなるが、そのデザイン化の程度は著しいとはいえないことに加え、その右下の「SAKURA」の欧文字によってもその読みや意味合いが特定されることから「桜」の漢字を表したものと自然に看取できるものであることを考慮すると、本願要部と引用商標は、そのデザインの差異により見る者に与える印象の差異が大きいということはできない。
これらを踏まえると、本願要部と引用商標は、外観において、看者に対して別異のものであると思わせるような顕著な差異を有するものとはいえず、むしろ、時と所を異にして接したときには、取引者、需要者に同一の出所を表示したものと認識させるというべきであるから、両者は、外観において近似した印象を与えるものである。
(2)また、両者はいずれも「サクラ」の称呼及び「桜」の観念を共通にするものである。
(3)したがって、本願商標と、引用商標との外観、称呼、観念等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、外観において近似した印象を与え、称呼及び観念を共通にする両商標は、商品又は役務の出所について誤認混同を生ずるおそれのある類似の商標と判断するのが相当である。
5 本願の指定役務と引用商標の指定商品又は指定役務の類否について
(1)本願の指定役務中、第35類「消臭芳香剤の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」は、引用商標1の指定商品である第3類「薫料」と、類似の役務である。
(2)本願の指定役務中、第35類「ガラス用コーティング剤の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」の指定役務は、引用商標2の指定商品中、第1類「化学品」、第2類「カナダバルサム,壁紙剥離剤,コパール,サンダラック,シェラック,松根油,ダンマール,媒染剤,マスチック,松脂,木材保存剤」、第3類「家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤」、第4類「固形潤滑剤」、第19類「タール類及びピッチ類」及び第30類「アイスクリーム用凝固剤,家庭用食肉軟化剤,ホイップクリーム用安定剤」と、類似の役務である
(3)本願の指定役務中、第35類「業務用ヘアドライヤーの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,ベッドカバーの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」は、引用商標3の指定商品中、第20類「美容院用いす,理髪店用いす,屋内用ブラインド,すだれ,装飾用ビーズカーテン」と、類似の役務である。
(4)本願の指定役務中、第41類「資格の付与のための資格試験の実施及び資格の認定・資格の付与,セミナーの企画・運営又は開催,技芸・スポーツ又は知識の教授」は、引用商標4及び引用商標6の指定役務中、第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催」と、同一又は類似の役務である。
(5)本願の指定役務中、第35類「ベッドカバーの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」は、引用商標5の指定役務中、第35類「人工観葉植物の小売又は卸売りの業務において行われる顧客に対する便益の提供,カーテン及びカーペットの小売又は卸売りの業務において行われる顧客に対する便益の提供,敷物の小売又は卸売りの業務において行われる顧客に対する便益の提供」と、類似の役務である。
6 小括
以上のとおり、本願商標は、引用商標と類似する商標であり、かつ、引用商標の指定商品又は指定役務と同一又は類似の役務について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
7 請求人の主張について
請求人は、本願商標が、「桜」の文字に加え、「SAKURA」、「Sakura crew」の文字要素があり、各文字要素が「桜」を一つのテーマとして、一体となって一つの円の図形を構成する不可分一体な商標であること、「サクラクルー」という称呼及び「乗組員、乗務員」の観念をも生じていること等から、本願商標の構成の一部を抽出し類否を判断することは妥当ではないこと、また、本願商標の外観は、特段デザイン化されていない引用商標と外観において著しく相違していること等を述べ、本願商標は外観、観念、称呼のいずれにおいても引用商標とは非類似である旨を主張している。
しかしながら、上記2のとおり、本願商標は、各構成部分が、それを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものとは認められないものであり、その構成中、取引者、需要者に対して役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与える「桜」の文字部分を抽出し、当該部分だけを他人の商標と比較して商標の類否を判断することも許されるというべきである。
また、上記4のとおり、本願商標と引用商標は、称呼及び観念を共通にし、外観において近似した印象を与えるものであるから、両商標は、商品又は役務の出所について誤認混同を生ずるおそれのある類似の商標というべきである。
したがって、請求人の主張は採用できない。
8 まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、これを登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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