商標拒絶査定不服審判
2025-001833
インスタテック、インスタテク、インスタ
- 審判番号
- 2025-001833
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2023-121586
- 請求日
- 2025年02月06日
- 審決日
- 2025年09月25日
- 公報発行日
- 2025年10月31日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】株式会社インスタテック
- 【請求人代理人】元吉 剛一
- 審判長/審判官
- 審判長 板谷 玲子
- 審判官 小田 昌子
- 審判官 滝口 裕子
- 分類
- T18 .261-WY (W093537384142) / T18 .262-WY (W093537384142) / T18 .263-WY (W093537384142) / T18 .271-WY (W093537384142)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項11号商標法4条1項15号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第11号、商標法第4条第1項第15号、商標法第10条第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2023-121586拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願商標は、登録すべきものとする。
理由
理 由
1 手続の経緯
本願は、令和5年11月1日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和6年5月30日付け :拒絶理由通知書
令和6年6月18日 :意見書、手続補正書の提出
令和6年11月21日付け:拒絶査定
令和7年2月6日 :審判請求書、手続補正書の提出
2 本願商標
本願商標は、別掲1のとおり、「インスタテック」の片仮名及び「instatech」の欧文字を上下二段に横書きしてなり、第9類、第35類、第37類、第38類、第41類及び第42類に属する願書記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として登録出願されたものであって、その後、上記1の手続補正により、最終的に別掲2のとおりの指定商品及び指定役務(以下「補正後指定商品及び指定役務」という。)に補正されたものである。
3 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、引用商標と類似の商標であって、その指定商品及び指定役務と同一又は類似の商品及び役務について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。また、本願商標は、アメリカ合衆国所在の「インスタグラム・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー」が、本願商標の登録出願前から、「写真・動画を投稿・共有するためのアプリケーションソフトウェア」等に係る商品及び役務に使用して著名な商標「Instagram」「インスタグラム」の著名な略称である「insta」「インスタ」の文字を、その構成中に有してなるものであり、本願商標をその指定商品及び指定役務に使用するときは、その商品又は役務があたかも前記会社又は同社と組織的、経済的に何らかの関係がある者の業務に係る商品又は役務であるかのように、商品又は役務の出所について混同を生ずるおそれがあるから、本願商標は、同法第4条第1項第15号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
4 引用商標
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録商標は、以下の(1)ないし(6)のとおりであり、そのうち(2)ないし(6)の商標権は現に有効に存続しているものである。以下、これらをまとめて「引用商標」という。
なお、(1)の商標権は、それに係る閉鎖商標原簿の記載によれば、令和6年9月12日に存続期間の満了により消滅(同7年5月21日登録の抹消)しているものである。
(1)登録第5702480号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:別掲3のとおり
登録出願日:平成25年9月4日
優先権主張:2013年(平成25年)3月4日(アメリカ合衆国)
設定登録日:平成26年9月12日
指定商品及び指定役務:第9類、第38類、第41類、第42類及び第45類に属する閉鎖商標原簿に記載の商品及び役務
(2)登録第5851799号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:「INSTA」の欧文字を横書きしてなるもの
登録出願日:平成27年11月20日
優先権主張:2015年(平成27年)5月21日(アメリカ合衆国)
設定登録日:平成28年5月20日
指定商品 :第9類に属する商標登録原簿に記載の商品
(3)登録第5878133号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の構成:別掲3のとおり
登録出願日:平成27年8月21日
設定登録日:平成28年9月2日
指定商品及び指定役務:第25類及び第35類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務
(4)登録第6545876号商標(以下「引用商標4」という。)
商標の構成:インスタ(標準文字)
登録出願日:令和2年2月21日(令和2年2月21日に登録出願された商願2020-19058を原出願とする商標法第10条第1項の規定による商標登録出願(分割出願))
設定登録日:令和4年4月18日
指定役務 :第35類及び第36類に属する商標登録原簿に記載の役務
(5)登録第6564443号商標(以下「引用商標5」という。)
商標の構成:インスタ(標準文字)
登録出願日:令和2年2月21日
設定登録日:令和4年6月1日
指定商品及び指定役務:第9類、第35類、第38類、第41類、第42類及び第45類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務
(6)登録第6594849号商標(以下「引用商標6」という。)
商標の構成:INSTA(標準文字)
登録出願日:令和3年1月12日
優先権主張:2020年(令和2年)10月23日(アメリカ合衆国)
設定登録日:令和4年8月1日
指定商品及び指定役務:第9類、第35類、第38類、第41類、第42類及び第45類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務
5 当審の判断
(1)本願商標の商標法第4条第1項第11号の該当性について
本願商標は、別掲1のとおり、「インスタテック」の片仮名及び「instatech」の欧文字を上下二段に横書きしてなるところ、「インスタテック」の片仮名及び「instatech」の欧文字は、間隔を有することなく一連に、同じ書体及び同じ大きさをもって表されており、外観上まとまりよく一体的に表されているものである。
また、本願商標の構成文字から生じる「インスタテック」の称呼も無理なく一連に称呼し得る造語である。
さらに、本願商標の構成中、「インスタ」及び「insta」の文字部分のみが、補正後指定商品及び指定役務との関係において取引者、需要者に対し商品及び役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認めるに足りる事情は見いだせない。
そうすると、本願商標に接する需要者は、殊更「インスタ」及び「insta」の文字部分のみに着目するというより、むしろ構成全体をもって一体不可分のものと認識し把握するとみるのが自然である。
以上よりすれば、本願商標の構成中、「インスタ」及び「insta」の文字部分を分離抽出し、この部分だけを引用商標と比較して、本願商標と引用商標の類否を判断することは許されないというべきである。
したがって、本願商標の補正後指定商品及び指定役務と引用商標の指定商品及び指定役務の類否について判断するまでもなく、本願商標から「インスタ」及び「insta」の文字を分離抽出し、これを前提に、本願商標と引用商標2ないし引用商標6とが類似するとして、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとした原査定は、妥当とはいえない。
また、上記4のとおり、引用商標1は存続期間の満了により消滅しているから、本願商標は、引用商標1との関係において、商標法第4条第1項第11号に該当しないものとなっている。
(2)本願商標の商標法第4条第1項第15号の該当性について
ア 本願商標と引用標章の類似性
本願商標は、上記(1)のとおり、構成全体をもって一連一体の不可分のものと認識し把握されるとみるのが自然であるから、「インスタテック」の称呼が生じ、特定の観念を生じない。
一方、アメリカ合衆国所在の「インスタグラム・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー」(以下「インスタグラム社」という。)が、本願商標の登録出願前から、同人の業務に係る写真・動画を投稿・共有するためのアプリケーションソフトウェア等に関連する商品又は役務(以下「インスタグラム社の業務に係る商品又は役務」という。)に使用する商標「Instagram」及び「インスタグラム」を略した「insta」及び「インスタ」の文字(以下、これらをまとめて「引用標章」という。)は、「インスタ」の称呼が生じ、既成の語ではなく、特定の観念は生じないものである。
そうすると、両者は、観念において比較することができないとしても、外観において判然と区別し得るものであって、称呼において明瞭に聴別し得るものであるから、両者の外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。
以上からすると、本願商標と引用標章とは、類似性が極めて低いものというべきである。
イ 本願商標の補正後指定商品及び指定役務と他人の業務に係る商品又は役務との関連性及び需要者の共通性について
本願商標の補正後指定商品及び指定役務とインスタグラム社の業務に係る商品又は役務の需要者は、共に一般需要者を含むものであるから、一部需要者を共通にする場合があるといえるものの、両商品又は役務は、いずれもその商品又は役務の性質、用途、目的等が相違するものといえるから、商品及び役務の関連性が高いとはいえない。
ウ 引用標章の周知性及び独創性
原審において示した新聞記事及びインターネット情報によれば、引用標章は、インスタグラム社の業務に係る商品又は役務を表すものとして、我が国における需要者のうち、若い世代を中心に、一定程度認識されていることは認め得るものである。
また、引用標章は、特定の意味合いを看取させることのない一種の造語であると認識されるものであるから、独創性が低いとはいえない。
エ 出所の混同を生ずるおそれについて
以上によれば、引用標章は、若い世代を中心とした需要者の間に一定程度認識されていると認め得るものであり、その独創性が低いとはいえないものであるが、本願商標と引用標章とは別異の商標というべきものであって、その類似性が極めて低いものであること、さらに、本願商標の補正後指定商品及び指定役務とインスタグラム社の業務に係る商品又は役務との関連性が強いとはいえないことからすると、本願商標をその補正後指定商品及び指定役務に使用しても、これに接する需要者に、引用標章ないしインスタグラム社を連想又は想起させるとはいえないものであって、その商品及び役務がインスタグラム社又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品及び役務であるかのように誤信されるおそれはないから、その商品及び役務の出所について混同を生じるおそれはないものというべきである。
その他、本願商標が引用標章と出所の混同を生じるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標が、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、取消しを免れない。
その他、本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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