特許拒絶査定不服審判
2022-011450
多重特異性抗体の精製
- 審判番号
- 2022-011450
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2018-565786外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年07月22日
- 審決日
- 2025年04月09日
- 公報発行日
- 2025年09月26日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ジェネンテック, インコーポレイテッド
- 【請求人代理人】園田・小林弁理士法人
- 分類
- P18 .121-WZ (C07K)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2018-565786「多重特異性抗体の精製」拒絶査定不服審判事件〔平成29年12月21日国際公開、WO2017/218977、令和 1年 8月 8日国内公表、特表2019-521986〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、平成29年 6月16日(パリ条約による優先権主張 2016年 6月17日 (US)アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願であって、令和 4年 3月16日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、令和 4年 7月22日に拒絶査定不服審判請求がなされるとともに手続補正がなされたものである。その後の当審における手続の経緯は、以下のとおりである。
令和 6年 3月19日付け 拒絶理由通知書
令和 6年 8月26日付け 意見書、手続補正書
第2 本願発明
本願の請求項1~63に係る発明は、令和 6年 8月26日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~63に記載されたとおりのものであるところ、その請求項44に係る発明は、次のとおりのものである(以下、「本願発明」という。)。なお、上記請求項44は、令和 6年 3月19日付け拒絶理由通知が対象とした、令和 4年 7月22日付け手続補正書の請求項37に対応する。
「【請求項44】
マルチステップクロマトグラフィー方法で二重特異性抗体を精製するための方法であって、方法が、親和性クロマトグラフィーのステップを含み、2つの異なるマルチモーダルイオン交換クロマトグラフィーのステップが後に続き、
ここで、2つの異なるマルチモーダルイオン交換クロマトグラフィーが、マルチモーダルカチオン交換クロマトグラフィー及びマルチモーダルアニオン交換クロマトグラフィーであり、
それによって、二重特異性抗体を精製する、方法。」
第3 当審で通知した拒絶の理由
令和 6年 3月19日付けで当審が通知した拒絶理由のうち理由2(進歩性)の概要は、請求項37~54、57に係る発明は、本願優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献4~7に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、という理由を含むものである。
引用文献4:特表2014-534055号公報
引用文献5:特表2013-526848号公報
引用文献6:特表2015-527064号公報
引用文献7:特表2013-538204号公報
第4 引用文献の記載事項
当審の拒絶理由で引用文献4として引用した、本願優先日前に頒布された刊行物である特表2014-534055号公報(以下、「引用文献4」という。)は、「クロマトグラフィー精製のための方法および装置」の発明を開示する特許文献で、以下の事項が記載されている(下線は合議体による。)。
ア.「【0221】
5.ProtAキャプチャー+ミックスモードフロースルー
溶液の全成分の10%(分析SECによる)を構成する1.25mg/mlのモノクローナル抗体を有するモノクローナル抗体細胞培養溶液(ここで、HCPの量は抗体250000ng/mg(酵素免疫測定アッセイCHOによる)であった)を、第1のモードにおいてProsep(登録商標)-vA High Capacity樹脂(カラムA1およびA2に類似する)、ならびに第2のモードにおいてEshmuno(商標) SおよびFractogel(登録商標)TMAE Hicap(カラムBに類似する)上で、以下の条件下において精製した。クロマトグラフィー条件:第1のモード-17.3mlのProsep(登録商標)-vA High Capacity樹脂を16×8.6mmカラム中に充填した;カラムを次いで20mMのNaClを含有する25mMのTRISバッファー(pH7.0)で30ml/分(1000cm/時間)において平衡化した。第2のモード-16.75mlのCapto(商標) Adhere樹脂を16×75mmカラム中に充填し、16.75mlのCapto(商標) MMC樹脂を16×75mmカラム中に充填し、両方のカラムを1つの分離ユニットにおいて組み合わせた;この分離ユニットを次いで、50mMのNaClを含有する25mMのTRISバッファー(pH7.4)で30ml/分(1000cm/時間)において平衡化した。試料を調製するために:モノクローナル抗体細胞培養溶液を、0.8μmおよび0.2μmの孔を有するデプスフィルターを通して濾過し、約18mS/cmの伝導率においてpH7.2まで滴定した。220mlの試料をProsep(登録商標)-vA High Capacityカラム上にロードし、カラムを次いで500mMのNaClを含有する25mMのTRISバッファー(pH7.2)で洗浄した。流速を次いで300cm/時間(10ml/分)まで減少させ、10カラム容積の、50mMのNaClを含有する50mMのグリシンバッファー(pH~4.0)(伝導率:約7.6mS/cm)で、Capto(商標) Adhere/ Capto(商標) MMCカラム上に抗体を溶離させた。100mMのTRISバッファーによるインライン希釈を用いて、溶離溶液のpH値を~7.2に保持した。貫流した画分は、6.15mg/mlの抗体を含有し、これは全成分の99.9%(分析SECによる)を構成し、ここでHCPの量は、<30ng/mgの抗体であった(酵素免疫測定アッセイCHOによる)。溶離の後で、Prosep(登録商標)-vA High Capacityカラムを0.15MのH3PO4で、Capto(商標) Adhere/ Capto(商標) MMCカラムを1MのNaClおよび次いで1MのNaOHでストリップした。」(【0221】)
イ.「【0007】
精製されるべきタンパク質と固定されたキャプチャー剤との間の特異的な構造的に依存的な(すなわち、空間的に相補的な)相互作用を利用するアフィニティークロマトグラフィーは、抗体などの幾つかのタンパク質についての標準的な精製の選択肢である。例えばプロテインAは、Fc領域を含む抗体などのタンパク質のアフィニティークロマトグラフィーのために有用な吸着剤である。プロテインAは、Staphylococcus aureasからの41kDの細胞壁タンパク質であって、抗体のFc領域に高いアフィニティー(ヒトIgGに対して約10-8M)で結合するものである。その一般的な用途にも関わらず、アフィニティークロマトグラフィーは、治療用タンパク質を精製するために必要な工業的な規模においては特に、高価である。」(【0007】)
ウ.「【0057】
「ミックスモードイオン交換マトリックス」とは、カチオン性および/またはアニオン性ならびに疎水性の部分で共有的に修飾されているクロマトグラフィーマトリックスを指す。市販のミックスモードイオン交換樹脂は、シリカゲル固相支持マトリックスに付着した弱いカチオン交換基、低濃度のアニオン交換基、および疎水性リガンドを含有する、BAKERBOND ABX(商標)(J.T.Baker,Phillipsburg,N.J.)である。ミックスモードカチオン交換マトリックスは、典型的には、カチオン交換基および疎水性部分を有する。好適なミックスモードカチオン交換マトリックスは、Capto(登録商標)MMC(GE Healthcare)およびEshmuno(登録商標)HCX(Merck)である。ミックスモードアニオン交換マトリックスは、典型的には、アニオン交換基および疎水性部分を有する。好適なミックスモードアニオン交換マトリックスは、Capto(登録商標)Adhere(GE Healthcare)である。」(【0057】)
エ.「【0110】
一態様において、装置は、1つのアフィニティークロマトグラフィーマトリックスを有する2つの分離ユニット、およびイオン交換、好ましくはカチオン交換マトリックスを有する1つの分離ユニットを含む。好適なアフィニティーマトリックスは、プロテインA、プロテインG、プロテインLまたはプロテインr官能基を有するマトリックスである(例えばProsep(登録商標)Highcap(Merck Millipore)、Prosep(登録商標)Ultra Plus(Merck Millipore)、Poros(登録商標)Prot A(Life Technologies)、A650F (Tosoh)、MabSelect(登録商標)Sure(GE))。」(【0110】)
オ.「【0113】
全ての態様において、また、ミックスモードマトリックスは、イオン交換マトリックスならびにその組み合わせの代わりに用いることができる。一例は、アニオン交換官能基と疎水性官能基との組合せ(Capto Adhere(GE Healthcare)、またはカチオン交換官能基と疎水性官能基との組み合わせ(Capto (商標)MMC(GE Healthcare)、Eshmuno(登録商標)HCX(Merck KGaA)、POROS(登録商標)XS(Applied Biosystems)など)である。」(【0113】)
カ.「【0039】
用語「抗体」は、抗原に特異的に結合する能力を有するタンパク質を指す。典型的には、抗体は、2つの重鎖および2つの軽鎖からなる基本的な4ポリペプチド鎖構造を有しており、前記鎖は、例えば鎖間ジスルフィド結合により安定化されている。抗体は、モノクローナルであってもポリクローナルであってもよく、単量体形態で存在しても多量体形態で存在してもよく、例えば、五量体形態で存在するIgM抗体、および/または単量体、二量体もしくは多量体形態で存在するIgA抗体であってもよい。抗体はまた、多選択性抗体(例えば二選択性抗体)、および、それらがリガンド特異的結合ドメインを保持するかまたはそれを含むように改変される限り、抗体フラグメントを含んでもよい。」(【0039】)
キ.「【請求項1】
以下:
- いずれも同じクロマトグラフィーマトリックスを有する2つの分離ユニットA1およびA2、ならびに、前記分離ユニットA1およびA2のクロマトグラフィーマトリックスとは異なるクロマトグラフィーマトリックスを有する分離ユニットB;全ての分離ユニットは流体入口および流体出口を有し、それにより、少なくとも前記分離ユニットA1の流体出口と前記分離ユニットBの流体入口との間の流体接続、および前記分離ユニットA2の流体出口と前記分離ユニットBの流体入口との間の流体接続が存在する、
- 前記分離ユニットA1の出口と前記分離ユニットBの流体入口との間の流体連通と、前記分離ユニットA2の出口と前記分離ユニットBの流体入口との間の流体連通との間で切り替えることを可能にする、分離ユニットA1およびA2と分離ユニットBとの間の流体接続における少なくとも1つの弁、
- 少なくとも2つのバッファーリザーバ、および少なくとも2つのポンプ、
- 試料溶液を含むリザーバであって、前記分離ユニットA1およびA2の入口と流体接続にある、前記リザーバ、
を含む装置。
【請求項2】
分離ユニットA1およびA2が、アフィニティークロマトグラフィー、カチオン交換、ミックスモードカチオン交換またはアニオン交換クロマトグラフィーマトリックスを有することにより特徴づけられる、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
分離ユニットBが、カチオン交換、ミックスモードアニオン交換またはアニオン交換クロマトグラフィーマトリックスを有することにより特徴づけられる、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
分離ユニットA1およびA2がアフィニティークロマトグラフィーマトリックスを有し、分離ユニットBがカチオン交換、ミックスモードアニオン交換またはアニオン交換クロマトグラフィーマトリックスを有することにより特徴づけられる、請求項1~3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
分離ユニットA1およびA2がカチオン交換またはミックスモードカチオン交換クロマトグラフィーマトリックスを有し、分離ユニットBがアニオン交換またはミックスモードアニオン交換クロマトグラフィーマトリックスを有することにより特徴づけられる、請求項1~3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の装置を用いて、試料中の1または2以上の不純物から標的分子を精製する方法であって、以下のステップ:
- 試料が分離ユニットA1上にロードされる間に(ここで、試料は、標的分子が分離ユニットA1に結合することを可能にする第1のpHおよび伝導率にある)、分離ユニットA2は、その時間の少なくとも一部において、分離ユニットA2上にロードされた標的分子が分離ユニットB上に溶離して分離ユニットA2が再平衡化されるように、分離ユニットBと流体連通にあるように、ならびに、試料が分離ユニットA2上にロードされる間に(ここで、試料は、標的分子が分離ユニットA2に結合することを可能にする第1のpHおよび伝導率にある)、分離ユニットA1は、その時間の少なくとも一部において、分離ユニットA1上にロードされた標的分子が分離ユニットB上に溶離し、分離ユニットA1が再平衡化されるように、分離ユニットBとの流体連通にあるように、試料を分離ユニットA1およびA2上に交互にロードすること、
- 分離ユニットBの流体出口から標的分子を回収すること、
を含む、前記方法。
【請求項11】
標的分子が抗体であることにより特徴づけられる、請求項10に記載の方法。」(特許請求の範囲)
当審の拒絶理由で引用文献5として引用した、本願優先日前に頒布された刊行物である特表2013-526848号公報(以下、「引用文献5」という。)には、ANG-2及びVEGFに結合する二重特異性抗体が記載されている(特許請求の範囲、等)。
当審の拒絶理由で引用文献6として引用した、本願優先日前に頒布された刊行物である特表2015-527064号公報(以下、「引用文献6」という。)には、ANG-2及びVEGFに結合する二重特異性抗体が記載されている(特許請求の範囲、等)。
当審の拒絶理由で引用文献7として引用した、本願優先日前に頒布された刊行物である特表2013-538204号公報(以下、「引用文献7」という。)には、ノブインホール二重特異性抗体が記載されている(特許請求の範囲、図2、【0058】、等)。
上記記載事項イ.、エ.から、上記記載事項ア.中の「Prosep(登録商標)-vA High Capacity樹脂」は、「アフィニティークロマトグラフィーマトリックス」であり、上記記載事項ア.中の「Prosep(登録商標)-vA High Capacityカラム」は、「アフィニティークロマトグラフィー」である。
上記記載事項ウ.、オ.から、上記記載事項ア.中の「Capto(商標) Adhere樹脂」は、「ミックスモードアニオン交換マトリックス」であり、上記記載事項ア.中の「Capto(商標) MMC樹脂」は、「ミックスモードカチオン交換マトリックス」であり、上記記載事項ア.中の「Adhere/ Capto(商標) MMCカラム」は、ミックスモードアニオン交換クロマトグラフィー/ミックスモードカチオン交換クロマトグラフィーである。
よって、上記記載事項ア.~オ.及びキ.によると、引用文献4には、「モノクローナル抗体を精製するための方法であって、
方法が、アフィニティークロマトグラフィーのステップを含み、ミックスモードアニオン交換クロマトグラフィー/ミックスモードカチオン交換クロマトグラフィーが後に続き、
それによって、モノクローナル抗体を精製する、方法。」の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
第5 対比
本願発明と引用発明とを対比すると、引用発明の「アフィニティークロマトグラフィー」は、本願発明の「親和性クロマトグラフィー」に相当し、引用発明の「ミックスモードカチオン交換クロマトグラフィー」は、本願発明の「マルチモーダルカチオン交換クロマトグラフィー」に相当し、引用発明の「ミックスモードアニオン交換クロマトグラフィー」は、本願発明の「マルチモーダルアニオン交換クロマトグラフィー」に相当する。
そして、引用発明の「ミックスモードアニオン交換クロマトグラフィー/ミックスモードカチオン交換クロマトグラフィー」は、2つの異なるマルチモーダルイオン交換クロマトグラフィーであり、マルチモーダルカチオン交換クロマトグラフィー及びマルチモーダルアニオン交換クロマトグラフィーであると認められる。
また、引用発明は、アフィニティークロマトグラフィーのステップ、ミックスモードアニオン交換クロマトグラフィー/ミックスモードカチオン交換クロマトグラフィーのステップを含むから、マルチステップクロマトグラフィー方法であると認められる。
そうすると、本願発明と引用発明とは、「マルチステップクロマトグラフィー方法で抗体を精製するための方法であって、方法が、親和性クロマトグラフィーのステップを含み、2つの異なるマルチモーダルイオン交換クロマトグラフィーのステップが後に続き、
ここで、2つの異なるマルチモーダルイオン交換クロマトグラフィーが、マルチモーダルカチオン交換クロマトグラフィー及びマルチモーダルアニオン交換クロマトグラフィーであり、
それによって、抗体を精製する、方法。」である点で一致し、本願発明は、二重特異性抗体を精製するのに対し、引用発明は、モノクローナル抗体を精製する点で相違する。
第6 当審の判断
以下、上記相違点について検討する。
引用文献4には、精製する「抗体」として、二選択性抗体が含まれることが記載されている(上記記載事項カ.)から、引用発明において、モノクローナル抗体の代わりに、二重特異性抗体、例えば、引用文献5~7に記載されているような周知の二重特異性抗体を精製することは、当業者が容易に想到し得ることである。
そして、本願明細書をみても、精製する「抗体」が二重特異性抗体の場合に特有の格別顕著な効果があるとは認められない。このことは、引用文献4に記載された精製方法が、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、二選択性抗体などいずれの抗体にも適用可能なものとされていること(上記記載事項カ.)とも矛盾しない。
したがって、本願発明は、引用文献4~7に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第7 審判請求人の主張
審判請求人は、令和 6年 8月26日付け意見書において、以下のア.~ウ.の点を主張しているので、以下この点について検討する。
ア.補正後請求項全てにおいて、「第1の混合モードクロマトグラフィー」は「カチオン交換混合モードクロマトグラフィー」「第2の混合モードクロマトグラフィー」は「アニオン交換混合モードクロマトグラフィー」であるとする限定を行った。
イ.引用文献4は、混合モードクロマトグラフィーが好ましいことや、2つの異なる混合モードクロマトグラフィーの方法(すなわち、アニオン交換及びカチオン交換)が好ましいことについて、何ら記載も示唆もしていない。特に、引用文献4の段落【0114】には、「図1は、本発明による装置の好ましい態様を示す。カラムA1およびA2は、「CIEX」と称され、これら2つのカラムが、同じクロマトグラフィーマトリックス、例えばカチオン交換樹脂を有することを示している。カラムBは、AIEXと称され、このカラムがアニオン交換クロマトグラフィーマトリックスを有してもよいことを示唆する」等と記載されている。
よって、引用文献4の図1によれば、引用文献4は2つの異なる混合モードアニオン/カチオン交換クロマトグラフィーを行うことが好ましいことは記載も示唆もしていない。
ウ.何れの引用文献も、2つの異なる混合モードイオン交換クロマトグラフィーの組み合わせが好ましいことについて、ましてや、具体的な組み合わせ(混合モードカチオン交換クロマトグラフィー、及びその後の混合モードアニオン交換クロマトグラフィー)が不純物の除去に顕著な効果を奏することについて、何ら教示も示唆もしていない。
主張ア.について
本願の請求項44に係る発明には、「第1の混合モードクロマトグラフィー」は「カチオン交換混合モードクロマトグラフィー」、「第2の混合モードクロマトグラフィー」は「アニオン交換混合モードクロマトグラフィー」であるとする限定はないから、審判請求人の上記主張ア.は失当である。
主張イ.について
引用文献4には、混合モードクロマトグラフィーを使用することが記載されており(上記記載事項ア.、ウ.、オ.、キ.)、また、2つの異なる混合モードクロマトグラフィーを組み合わせて使用することも記載されている(上記記載事項ア.、キ.)から、審判請求人の上記主張イ.は採用できない。
主張ウ.について
本願の請求項44に係る発明は、不純物を含む組成物から精製する方法であることを特定して記載していないし、また、不純物が、非対抗体のアーム、凝集体、高分子量種(HMWS)、低分子量種(LMWS)、酸性バリアント、塩基性バリアントなどの不純物であることも特定して記載されていない。
また、引用文献4には、HCP(宿主細胞タンパク質)などの不純物を除去することができたことが記載されている(上記記載事項ア.)から、審判請求人が主張する本願発明の効果は、引用文献4の記載から、当業者が予測することができる範囲の効果である。
したがって、審判請求人の上記主張ウ.は採用できない。
第8 むすび
以上のとおり、本願の請求項44に係る発明は、引用文献4~7に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないので、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2022-011450