2022-011440
血中尿酸値低下剤及び血中尿酸値低下用飲食品組成物
- 審判番号
- 2022-011440
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2018-071570外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年07月22日
- 審決日
- 2023年10月23日
- 公報発行日
- 2024年01月26日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 分類
- P18 .113-Z (A23L) / P18 .121-Z (A23L)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条1項3号特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 10項目
第1 手続の経緯
本願は、平成30年4月3日を出願日とする出願であって、令和4年1月13日付けで拒絶理由が通知され、同年2月9日に意見書が提出され、同年6月13日付けで拒絶査定がされ、同年7月22日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。
第2 本願発明
本願の特許請求の範囲の請求項1ないし4に係る発明は、願書に最初に添付された特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、本願の特許請求の範囲の請求項4に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次の事項により特定されるものである。
「【請求項4】α酸、イソα酸及びβ酸並びにこれらの薬学的に許容可能な塩からなる群より選択される少なくとも1種を有効成分として含有する、血中尿酸値低下用飲食品組成物。」
第3 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由はおおむね次の理由を含むものである。
1 理由1(新規性)
本願発明は、本願の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の文献1又は2(以下、順に「引用文献1」のようにいう。)に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができない。
2 理由2(進歩性)
本願発明は、本願の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献1又は2に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
<引用文献等一覧>
1.特開2009-291216号公報
2.国際公開第2017/115438号
第4 当審の判断
1 引用文献1及び2に記載された事項等
(1)引用文献1に記載された事項等
ア 引用文献1に記載された事項
引用文献1には、「飲料組成物」に関して、おおむね次の事項が記載されている。なお、下線は当審において付したものである。他の文献についても同様。
・「【請求項1】
水を溶媒とし、該溶媒1000mlあたりイソフムロン類を5mg~60mgおよびアンセリンを10mg~10gの割合で含有してなる飲料組成物。」
・「【0002】
アンセリンは、マグロ、カツオ等の回遊魚の筋肉に多く含まれるアラニンとヒスチジンからなるジペプチドである。アンセリンは、尿酸値抑制作用等を有することが知られている。」
・「【0005】
本発明の目的は、アンセリンまたはこれを含有するペプチドを含む飲料組成物における魚臭および畜肉臭等の不快臭を改善し、風味を大幅に良化した飲料組成物の提供にある。」
・「【0007】
本発明によれば、アンセリンまたはこれを含有するペプチドを含む飲料組成物における魚臭および畜肉臭等の不快臭を改善(マスキング)し、風味を大幅に良化した飲料組成物が提供される。」
・「【0008】
以下、本発明をさらに詳しく説明する。
本発明に使用されるイソフムロン類は、公知の化合物であり、イソフムロン、イソアドフムロン、イソコフムロンおよびこれらの組み合わせ等を挙げることができる。」
イ 引用文献1に記載された発明
引用文献1に記載された事項を、特に請求項1に関して整理すると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認める。
<引用発明1>
「水を溶媒とし、該溶媒1000mlあたりイソフムロン類を5mg~60mgおよびアンセリンを10mg~10gの割合で含有してなる飲料組成物。」
(2)引用文献2に記載された事項等
ア 引用文献2に記載された事項
引用文献2には、「ビールテイスト飲料」に関して、おおむね次の事項が記載されている。
・「[0002] アミノ酸が二つ結合した「ジペプチド」が機能性物質として注目されている。ジペプチドは単体アミノ酸にない物理的性質や新たな機能を付加することが可能であり、アミノ酸以上の応用範囲を有するものとして期待されている。なかでも、環状のジペプチドであるジケトピペラジンは、様々な生理活性を有することが知られており、医療・薬理分野において需要が拡大することが予想されている。さらに、環状ジペプチドは、その生理活性作用を期待して、飲食品に配合される素材としても注目を集めており、近年、環状ジペプチドを含有する飲食品が種々提案されている(特許文献1、2参照)。」
・「[0004] しかしながら、環状ジペプチドをビールテイスト飲料に配合すると、後味が悪くなったり、味がもったりするなど、ビールテイスト飲料の風味を損なう場合があることがわかった。
[0005] 本発明の課題は、環状ジペプチドを含有しつつも、後味がしまって風味の良好なビールテイスト飲料を提供することである。」
・「[0009] 本発明にかかるビールテイスト飲料(以下単に「飲料」ともいう)は、環状ジペプチドを含む。環状ジペプチドとしては、公知のものを使用することができ、このうち、尿酸値低減効果を付与する観点から、シクロトリプトファニルチロシン〔Cyclo(Trp-Tyr)〕、シクロセリルチロシン〔Cyclo(Ser-Tyr)〕、シクロプロリルチロシン〔Cyclo(Pro-Tyr)〕、シクログリシルチロシン〔Cyclo(Gly-Tyr)〕、シクロチロシルチロシン〔Cyclo(Tyr-Tyr)〕、シクロフェニルアラニルチロシン〔Cyclo(Phe-Tyr)〕、シクロロイシルチロシン〔Cyclo(Leu-Tyr)〕、シクロリシルチロシン〔Cyclo(Lys-Tyr)〕、シクロヒスチジルチロシン〔Cyclo(His-Tyr)〕、シクロアラニルチロシン〔Cyclo(Ala-Tyr)〕、シクログルタミルチロシン〔Cyclo(Glu-Tyr)〕、シクロチロシルバリン〔Cyclo(Tyr-Val)〕、シクロイソロイシルチロシン〔Cyclo(Ile-Tyr)〕、シクロトレオニルチロシン〔Cyclo(Thr-Tyr)〕、シクロアスパルチルチロシン〔Cyclo(Asp-Tyr)〕、シクロアスパラギニルチロシン〔Cyclo(Asn-Tyr)〕、シクログルタミニルチロシン〔Cyclo(Gln-Tyr)〕、シクロアルギニルチロシン〔Cyclo(Arg-Tyr)〕、およびシクロメチオニルチロシン〔Cyclo(Met-Tyr)〕からなる群より選択される1種以上のチロシン含有環状ジペプチドを含む態様が好ましい。その他、チロシン含有環状ジペプチド以外の環状ジペプチドも種々のものがあり、例えば、Cyclo(Ala-Ala)、Cyclo(Pro-Pro)、Cyclo(Gly-Pro)、Cyclo(Gly-Phe)、Cyclo(Gly-Leu)、Cyclo(Gly-His)、Cyclo(Ala-Glu)、Cyclo(Arg-Val)などが挙げられる。」
・「[0055] 実施例1~7、比較例1、2
公知の一般的な条件で糖化し、濾過した麦汁に、カラメル色素、ホップ、イソα酸、コラーゲンペプチド熱処理物を加えて煮沸し、清澄タンクにて凝固タンパク質などの固形分を取り除いた。酸味料(乳酸、リン酸)、香料(脂肪酸エステル、酢酸エチル)を加え濾過し、得られた濾過液に炭酸ガスを加え、麦芽使用のノンアルコールビールテイスト飲料を得た。pHは表2に示す通りであった。」
・「[0058] 実施例10~13、17~19、比較例4
コラーゲンペプチド熱処理物に代えて、大豆ペプチド熱処理物を用いた以外は、実施例1と同様に調製した。pHは表3、4に示す通りであった。」
・「[0064] 実施例1~23、比較例1~4から、コラーゲンペプチド熱処理物、大豆ペプチド熱処理物のいずれを用いた場合においても、飲料のpHが3.0~5.0の範囲では、後味がしまり、風味が良好であったことがわかる。この効果は、市販のニュートラルスピリッツを添加することでアルコールを含有する実施例9のビールテイスト飲料においても同様であった。また、尿酸値低減効果の観点からは、大豆ペプチド処理物を用いた実施例10~23がチロシン含有環状ジペプチドを多く含み、好ましいものであった。」
イ 引用文献2に記載された発明
引用文献2に記載された事項を、特に実施例10~23に関して整理すると、引用文献2には、次の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されていると認める。
<引用発明2>
「一般的な条件で糖化し、濾過した麦汁に、カラメル色素、ホップ、イソα酸、大豆ペプチド熱処理物を加えて煮沸し、清澄タンクにて凝固タンパク質などの固形分を取り除き、酸味料(乳酸、リン酸)、香料(脂肪酸エステル、酢酸エチル)を加え濾過し、得られた濾過液に炭酸ガスを加え、得た麦芽使用のノンアルコールビールテイスト飲料。」
2 本願発明と引用発明1又は2との対比・判断
(1)本願発明と引用発明1との対比・判断
ア 対比
本願発明と引用発明1を対比する。
引用文献1の【0008】によると、引用発明1における「イソフムロン類」は「イソフムロン、イソアドフムロン、イソコフムロンおよびこれらの組み合わせ等」であり、「イソフムロン、イソアドフムロン、イソコフムロン」は、本願の発明の詳細な説明の【0015】に「イソα酸」として挙げられたものであるから、「イソα酸」であるといえる。すなわち、引用発明1における「イソフムロン類」は本願発明における「α酸、イソα酸及びβ酸並びにこれらの薬学的に許容可能な塩からなる群より選択される少なくとも1種」に相当する。
引用発明1における「飲料組成物」は本願発明における「血中尿酸値低下用飲食品組成物」と、「飲食品組成物」という限りにおいて一致する。
したがって、両者は次の点で一致する。
<一致点>
「α酸、イソα酸及びβ酸並びにこれらの薬学的に許容可能な塩からなる群より選択される少なくとも1種を含有する、飲食品組成物。」
そして、両者は次の点で一応相違する。
<相違点1a>
「α酸、イソα酸及びβ酸並びにこれらの薬学的に許容可能な塩からなる群より選択される少なくとも1種」の「含有」が、本願発明においては、「有効成分として」と特定されているのに対し、引用発明1においては、そのようには特定されていない点。
<相違点1b>
「飲食品組成物」に関して、本願発明においては、「血中尿酸値低下用」と特定されているのに対し、引用発明1においては、そのようには特定されていない点。
イ 判断
そこで、上記相違点について検討する。
(ア)相違点1aについて
本願発明における「有効成分として」という発明特定事項に関して、本願の発明の詳細な説明の【0036】には、「本実施形態の血中尿酸値低下剤の投与量(摂取量)は、有効成分として、成人1日あたり、体重1kgあたり例えば0.1mg~1gであってよく、好ましくは1~500mgであり、より好ましくは、5~200mgである。」と記載されている。
他方、引用発明1における「イソフムロン類」は「溶媒1000mlあたり」「5mg~60mg」である。
そうすると、引用発明1において、「300~400ml」の「飲料組成物」を「体重60kg」の成人が飲むとすると、上記「成人1日あたり、体重1kgあたり例えば0.1mg~1gであってよく、好ましくは1~500mgであり、より好ましくは、5~200mg」の範囲と重複する。
以上を踏まえると、本願発明及び引用発明1のいずれも、「飲食品組成物」の構成成分として、「α酸、イソα酸及びβ酸並びにこれらの薬学的に許容可能な塩からなる群より選択される少なくとも1種」を重複する範囲の量含有しているのであるから、「有効成分として」の特定は「食品組成物」という「物」の発明としての相違点とはいえない。
したがって、相違点1aは実質的な相違点であるとはいえない。
(イ)相違点1bについて
引用文献1の【0002】の「アンセリンは、尿酸値抑制作用等を有することが知られている。」という記載によると、引用発明1における「飲料組成物」は「尿酸値抑制作用」を有するものである。すなわち、引用発明1における「飲料組成物」は「血中尿酸値低下用」であるといえる。
したがって、相違点1bも実質的な相違点とはいえない。
ウ 請求人の主張について
請求人は、審判請求書において、おおむね次のとおり主張する。
「用途発明に関し、特許実用新案審査基準第第III部第2章第4節3.1.2では、「用途発明とは、(i)ある物の未知の属性を発見し、(ii)この属性により、その物が新たな用途への使用に適することを見いだしたことに基づく発明をいう」と規定されています。すなわち、本願発明1は、イソフムロン類に相当する物の未知の属性を発見し、この属性により、その物(つまりイソフムロン類)が新たな用途への使用に適することを見出したことに基づく発明です。上記審査基準に沿って、引用文献1において、「イソフムロン類」の用途として、「血中尿酸値低下剤」が新たな用途であるか否かが検討されるべきところ、上記見解では、「水を溶媒とし、該溶媒1000mlあたりイソフムロン類を5mg~60mgおよびアンセリンを10mg~10gの割合で含有してなる飲料組成物」(引用発明1)の用途と比較して、「イソフムロン類」の用途が新たな用途でないと判断しており妥当ではありません。引用発明1に係る「飲料組成物」と、「イソフムロン類」自体とは異なる「物」であり、引用発明1の「用途」と、「イソフムロン類」自体の「用途」とを当業者が同一視することはありません。「イソフムロン類」の用途に関して検討すると、上述したとおり、引用文献1から理解できる「イソフムロン類」の用途は、「アンセリンまたはこれを含有するペプチドを含む飲料組成物における魚臭および畜肉臭等の不快臭を改善し、風味を大幅に良化する」(引用文献1[0005])という用途であり、イソフムロン類の用途として「血中尿酸値低下剤」という用途は理解されません。以上の理由より、本願発明1は引用発明1に対して新規性を有するものと思料します。また、上記相違点に係る構成を採用する動機付けとなる記載が引用文献1には存在しませんので、上記相違点に係る構成は引用文献1から容易に想到し得たものではなく、本願発明1は引用発明1に対して進歩性を有するものと思料します。本願発明2~4は、本願発明1と共通する発明特定事項を有するものですので、上記と同様の理由から引用発明1に対して新規性及び進歩性を有するものと思料します。」(審判請求書第6及び7ページ)
そこで、上記主張について検討する。
まず、本願発明は、本願の特許請求の範囲の請求項4の末尾に記載されているとおり、「血中尿酸値低下用飲食品組成物」の発明であって、「イソフムロン類」自体の発明ではないし、「血中尿酸値低下剤」の発明でもない。
したがって、引用文献1の記載から、「イソフムロン類」の用途として「血中尿酸値低下剤」という用途が理解されるかどうかは、本願発明の引用発明1に対する新規性・進歩性の判断に影響を与えるものではない。
そして、上記イ(ア)及び(イ)のとおり、本願発明と引用発明1の間に実質的な相違点はないから、本願発明は引用発明1に対して新規性・進歩性を有するものとはいえない。
よって、請求人の上記主張は採用できない。
エ 本願発明と引用発明1との対比・判断のまとめ
したがって、本願発明は引用発明1、すなわち引用文献1に記載された発明である。
また、本願発明は引用文献1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(2)本願発明と引用発明2との対比・判断
ア 対比
本願発明と引用発明2を対比する。
引用発明2における「イソα酸」は本願発明における「α酸、イソα酸及びβ酸並びにこれらの薬学的に許容可能な塩からなる群より選択される少なくとも1種」に相当する。
引用発明2における「麦芽使用のノンアルコールビールテイスト飲料」は本願発明における「血中尿酸値低下用飲食品組成物」と、「飲食品組成物」という限りにおいて一致する。
したがって、両者は次の点で一致する。
<一致点>
「α酸、イソα酸及びβ酸並びにこれらの薬学的に許容可能な塩からなる群より選択される少なくとも1種を含有する、飲食品組成物。」
そして、両者は次の点で一応相違する。
<相違点2a>
「α酸、イソα酸及びβ酸並びにこれらの薬学的に許容可能な塩からなる群より選択される少なくとも1種」の「含有」が、本願発明においては、「有効成分として」と特定されているのに対し、引用発明2においては、そのようには特定されていない点。
<相違点2b>
「飲食品組成物」に関して、本願発明においては、「血中尿酸値低下用」と特定されているのに対し、引用発明2においては、そのようには特定されていない点。
イ 判断
そこで、上記相違点について検討する。
(ア)相違点2aについて
本願発明における「有効成分として」という発明特定事項に関する記載は上記(1)イ(ア)のとおりである。
他方、引用発明2は「ノンアルコールビールテイスト飲料」であるから、引用発明2における「イソα酸」の含有量は一般のラガービール程度と考えると、20mg/l程度である。
そうすると、引用発明2において、「300~400ml」の「ノンアルコールビールテイスト飲料」を「体重60kg」の成人が飲むとすると、上記「成人1日あたり、体重1kgあたり例えば0.1mg~1gであってよく、好ましくは1~500mgであり、より好ましくは、5~200mg」の範囲と重複する。
以上を踏まえると、本願発明及び引用発明2のいずれも、「食品組成物」の構成成分として、「α酸、イソα酸及びβ酸並びにこれらの薬学的に許容可能な塩からなる群より選択される少なくとも1種」を重複する範囲の量含有しているのであるから、「有効成分として」の特定は「食品組成物」という「物」の発明としての相違点とはいえない。
したがって、相違点2aは実質的な相違点であるとはいえない。
(イ)相違点2bについて
引用文献2の[0064]の「尿酸値低減効果の観点からは、大豆ペプチド処理物を用いた実施例10~23がチロシン含有環状ジペプチドを多く含み、好ましいものであった。」という記載によると、引用発明2における「大豆ペプチド処理物」は、「尿酸値低減効果」を有する「チロシン含有環状ジペプチド」を多く含むものであり、引用発明2における「麦芽使用のノンアルコールビールテイスト飲料」は「尿酸値低減効果」を有するものである。すなわち、引用発明2における「麦芽使用のノンアルコールビールテイスト飲料」は「血中尿酸値低下用」であるといえる。
したがって、相違点2bも実質的な相違点とはいえない。
ウ 請求人の主張について
請求人は、審判請求書において、おおむね次のとおり主張する。
「上記「(a-2)」と同様に、上記審査基準に沿って、引用文献2において、「ホップ」及び「イソα酸」の用途として、「血中尿酸値低下剤」が記載されていると理解できるか否かが検討されるべきところ、上記見解では、原料の一つとしてホップ及びイソα酸が使用されているに過ぎないノンアルコールビールテイスト飲料(引用発明2)の用途と比較して、「ホップ」及び「イソα酸」の「血中尿酸値低下剤」という用途が新たな用途でないと判断しており、妥当ではありません。引用発明2に係る「ビールテイスト飲料」と、「ホップ」及び「イソα酸」自体とは異なる「物」であり、引用発明2自体の「用途」と、「ホップ」自体又は「イソα酸」自体の「用途」とを当業者が同一視することはありません。引用文献2に記載の「ホップ」及び「イソα酸」の用途に関して検討すると、引用文献2から理解できる「ホップ」及び「イソα酸」の用途は、ビールテイスト飲料の香味をビールに類似する傾向とする(引用文献2[0046])という用途であり、「ホップ」及び「イソα酸」の用途として「血中尿酸値低下剤」という用途は理解されません。以上の理由より、本願発明1は引用発明2に対して新規性を有するものと思料します。また、上記相違点に係る構成を採用する動機付けとなる記載が引用文献2には存在しませんので、上記相違点に係る構成は引用文献2から容易に想到し得たものではなく、本願発明1は引用発明2に対して進歩性を有するものと思料します。本願発明2~4は、本願発明1と共通する発明特定事項を有するものですので、上記と同様の理由から引用発明2に対して新規性及び進歩性を有するものと思料します。」(審判請求書第9ページ)
そこで、上記主張について検討する。
上記主張は上記(1)ウと同旨であるところ、本願発明は「ホップ」自体又は「イソα酸」自体の発明ではないし、「血中尿酸値低下剤」の発明でもない。
したがって、引用文献2の記載から、「ホップ」又は「イソα酸」の用途として「血中尿酸値低下剤」という用途が理解されるかどうかは、本願発明の引用発明2に対する新規性・進歩性の判断に影響を与えるものではない。
そして、上記イ(ア)及び(イ)のとおり、本願発明と引用発明2の間に実質的な相違点はないから、本願発明は引用発明2に対して新規性・進歩性を有するものとはいえない。
よって、請求人の上記主張は採用できない。
エ 本願発明と引用発明2との対比・判断のまとめ
したがって、本願発明は引用発明2、すなわち引用文献2に記載された発明である。
また、本願発明は引用文献2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
3 むすび
上記2のとおり、本願発明は引用文献1又は2に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものである。
また、本願発明は引用文献1又は2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
第5 結語
上記第4のとおり、本願発明、すなわち本願の特許請求の範囲の請求項4に係る発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであり、また、同法同条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、他の請求項に係る発明について判断するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2022-011440