2022-009593
画像表示装置
- 審判番号
- 2022-009593
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-524966外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年06月22日
- 審決日
- 2023年10月16日
- 公報発行日
- 2024年01月26日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .121-Z (G02B) / P18 .575-Z (G02B)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項、特許法第159条第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 11項目
第1 手続の経緯
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本願は、2018年(平成30年)6月11日を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。
同年12月 6日 :意見書、手続補正書の提出
同年 6月22日 :審判請求書、手続補正書(以下、この手続補正書でした補正を「本件補正」という。)の提出
第2 本件補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
本件補正を却下する。
[理由](補正の適否の判断)
1 本件補正の内容
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所である。)
「使用者の眼前に虚像を表示する画像表示装置であって、a) 2次元的な画像情報を含み、該画像上の各部位で角度が異なる平行光束を後記ライトガイドに入射させる画像出射部と、b) 互いに平行に対向する第一面及び第二面を有する透明な基板と、前記画像出射部から入射された画像光が前記第一面及び第二面で全反射されるように前記基板の内部に案内する入射部と、前記入射部から前記基板の内部に案内され前記第一面及び第二面で全反射されつつ該基板内を伝搬して来た画像光の一部を前記第一面又は第二面のいずれかを通して前記基板の外部に射出させる、該基板内の画像光の全体的な伝搬方向に沿って互いに離して配置された複数の射出部と、を有するライトガイドと、c) 前記ライトガイドの複数の射出部から出射された画像光が到達する位置で且つ使用者の眼前に配置され、それぞれ前記複数の射出部から射出された画像光の一部を反射させて使用者の眼に導く複数の平板状であるコンバイナと、を備え、前記複数の射出部のそれぞれは、画像光が射出する方向において、一部が互いに重なる程度に近接して配置され、前記複数のコンバイナは前記ライトガイドからの画像光の進行方向に互いに離して平行に配置され、該複数のコンバイナの離間距離は、前記ライトガイドの同一の射出部から射出され、互いに異なるコンバイナで反射されて使用者の眼に到達する画像光により形成される複数の画像が重畳せず、前記ライトガイドの異なる射出部から射出され、互いに異なるコンバイナで反射されて使用者の眼に到達する画像光により形成される複数の画像の縁端部が一致する又は該複数の画像の一部が重畳するような範囲であって、前記ライトガイドから前記複数のコンバイナに向かい該コンバイナの反射面で反射されて使用者の眼に向かう画像光の光路上で該コンバイナに入射する直前の画像光の光束と前記複数のコンバイナの反射面に直交する線とがなす角度をθ、一つの射出部から射出される画像光の光束幅をA1、全ての射出部から射出される画像光の光束幅をA2としたとき、A1/(2cosθ・tanθ)以上、A2/(2cosθ・tanθ)以下である範囲に定められていることを特徴とする画像表示装置。」
(2)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の、令和3年12月6日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。
「使用者の眼前に虚像を表示する画像表示装置であって、a)2次元的な画像情報を含み、該画像上の各部位で角度が異なる平行光束を後記ライトガイドに入射させる画像出射部と、b)互いに平行に対向する第一面及び第二面を有する透明な基板と、前記画像出射部から入射された画像光が前記第一面及び第二面で全反射されるように前記基板の内部に案内する入射部と、前記入射部から前記基板の内部に案内され前記第一面及び第二面で全反射されつつ該基板内を伝搬して来た画像光の一部を前記第一面又は第二面のいずれかを通して前記基板の外部に射出させる、該基板内の画像光の全体的な伝搬方向に沿って配置された複数の射出部と、を有するライトガイドと、c)前記ライトガイドの複数の射出部から出射された画像光が到達する位置で且つ使用者の眼前に配置され、それぞれ前記複数の射出部から射出された画像光の一部を反射させて使用者の眼に導く複数の平板状であるコンバイナと、を備え、前記複数のコンバイナは前記ライトガイドからの画像光の進行方向に互いに離して平行に配置され、該複数のコンバイナの離間距離は、前記ライトガイドの同一の射出部から射出され、互いに異なるコンバイナで反射されて使用者の眼に到達する画像光により形成される複数の画像が重畳せず、前記ライトガイドの異なる射出部から射出され、互いに異なるコンバイナで反射されて使用者の眼に到達する画像光により形成される複数の画像の縁端部が一致する又は該複数の画像の一部が重畳するような範囲であって、前記ライトガイドから前記複数のコンバイナに向かい該コンバイナの反射面で反射されて使用者の眼に向かう画像光の光路上で該コンバイナに入射する直前の画像光の光束と前記複数のコンバイナの反射面に直交する線とがなす角度をθ、一つの射出部から射出される画像光の光束幅をA1、全ての射出部から射出される画像光の光束幅をA2としたとき、A1/(2cosθ・tanθ)以上、A2/(2cosθ・tanθ)以下である範囲に定められていることを特徴とする画像表示装置。」
2 補正の適否
本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「複数の射出部」について、上記のとおり限定を付加するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。
(1)本件補正発明
本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。
(2)引用文献の記載事項及び引用発明の認定
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ア 特開2015-118223号公報(以下「引用文献1」という。)の記載事項及び引用発明の認定
(ア)原査定の拒絶理由で引用された本願の出願前に頒布された刊行物である又は電気通信回路を通じて公衆に利用可能となった文献である引用文献1には、次の記載がある(下線は当審で付した。以下同様。)。
「【特許請求の範囲】【請求項1】画像表示光を出射する出射機構と、操縦士の眼の前方に配置され、前記画像表示光を操縦士の眼に導くコンバイナとを備えるヘッドアップディスプレイ装置であって、続きを表示(全11行)第一面と、当該第一面と対向する第二面と、出射面と、入射面とを有し、前記入射面で前記出射機構からの画像表示光を反射させた後、前記第一面と第二面とで画像表示光を設定方向へと反射させながら出射面に導き、前記出射面から画像表示光をコンバイナに導くライトガイドを備えることを特徴とするヘッドアップディスプレイ装置。【請求項2】前記ライトガイドは、前記コンバイナの下方に配置され、かつ、前記第一面及び第二面が、水平となるように配置されていることを特徴とする請求項1に記載のヘッドアップディスプレイ装置。【請求項3】前記ライトガイドの出射面は、入射した画像表示光の光束の設定割合を反射するとともに、画像表示光の光束の設定割合を透過することが可能な複数の平面形状のビームスプリッタ面であり、前記ビームスプリッタ面は、互いに平行であり、かつ、前記第一面及び第二面に対して設定角度で傾斜していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のヘッドアップディスプレイ装置。」
「【0003】図6は、従来のHUD装置を備える航空機コックピット(操縦室)の概略構成を示す側面図である。なお、地面に水平な一方向をX方向(前後方向)とし、地面に水平でX方向と垂直な方向をY方向(左右方向)とし、X方向とY方向とに垂直な方向をZ方向(上下方向)とする。航空機コックピット101は、操縦士Pが着席するための座席12と、操縦士Pの頭部の周囲を囲む半球状のガラス製の風防11と、操縦士Pの前方下方に配置された計器(図示せず)と、HUD装置120とを備える。」
[図:0001405277000001.jpg]
「【0005】HUD装置120は、操縦士Pの前方に配置されたコンバイナ21と、操縦士Pの前方下方に配置された筐体130とを備え、筐体130内部には、シンボル画像を生成する超高輝度CRT131とコリメーティングレンズ系(出射機構)132と折り返しミラー133とを備える。コンバイナ21は、ハーフミラー素材で構成された2枚の板状体21a、21bからなり、2枚の板状体21a、21bは、Z方向に対して所定角度となるように配置されている。【0006】このようなHUD装置120によれば、超高輝度CRT131に表示されたシンボル画像は、コリメーティングレンズ系132と折り返しミラー133とを介して略平行光(遠方から到来する光束LOと等価)に変換され、コンバイナ21の反射面で反射されてシンボル光LSとなり、操縦士Pに視認される。このとき、外界から到来する外景光LOも風防11とコンバイナ21とを透過して操縦士Pに視認されるが、遠方からの光であるため略平行光となり、操縦士Pからは双方とも眼Eの焦点調節を行うことなく同時に認識することができる。」
「【0020】すなわち、本発明のヘッドアップディスプレイ装置は、画像表示光を出射する出射機構と、操縦士の眼の前方に配置され、前記画像表示光を操縦士の眼に導くコンバイナとを備えるヘッドアップディスプレイ装置であって、第一面と、当該第一面と対向する第二面と、出射面と、入射面とを有し、前記入射面で前記出射機構からの画像表示光を反射させた後、前記第一面と第二面とで画像表示光を設定方向へと反射させながら出射面に導き、前記出射面から画像表示光をコンバイナに導くライトガイドを備えるようにしている。【0021】ここで、「設定方向」とは、設計者等によって予め決められた任意の一方向であり、例えば、前後方向等となる。」
「【発明の効果】【0023】以上のように、本発明のヘッドアップディスプレイ装置によれば、従来型のヘッドアップディスプレイ装置と同等の視野角θを確保しつつ、計器等に対する突出部をなくすことができるため、大面積の表示器を搭載できるような省スペースを可能とする。」
「【0030】図1は、本発明に係るHUD装置を備える航空機コックピットの概略構成を示す側面図である。また、図2は、図1に符号Aで示した部分の拡大図である。なお、先に述べた航空機コックピット101と同様のものについては、同じ符号を付している。航空機コックピット1は、操縦士Pが着席するための座席12と、操縦士Pの頭部の周囲を囲む半球状のガラス製の風防11と、操縦士Pの前方下方に配置された表示パネル(計器)40と、HUD装置20とを備える。」
[図:0001405277000002.jpg]
[図:0001405277000003.jpg]
「【0032】HUD装置20は、操縦士Pの前方に配置されたコンバイナ21と、ライトガイド60と、操縦士Pの前方下方に配置された筐体30とを備え、筐体30内部には、シンボル画像を生成する液晶パネル22とコリメーティングレンズ系(出射機構)23とを備える。【0033】ライトガイド60は、例えば、ガラス製の平板形状(例えば20cm×30cm×2cm)であって、一端部に形成された全反射面61と、他端部に形成された出射面62と、空気との界面によって全反射面61と出射面62との間に形成される側面群63とを有する。側面群63は、X方向から見ると四角形状であり、第一面63aと、第一面63aとZ方向で対向する第二面63bと、第三面(図示せず)と、第三面とY方向で対向する第四面(図示せず)とを有する。【0034】出射面62は、平面形状の第一出射面62aと、平面形状の第二出射面62bと、平面形状の第三出射面62cとを有する。そして、-X方向において順番に、第一出射面62aと第二出射面62bと第三出射面62cとなるように配置されている。さらに、-X方向に対する第一出射面62aの角度と、-X方向に対する第二出射面62bの角度と、-X方向に対する第三出射面62cの角度とは、Y方向から見ると同じ角度α(例えば24°)となるように配置されている。そして、第一出射面62aと第二出射面62bと第三出射面62cとは、反射率が1ではなく、入射した画像表示光LSの一部を反射するとともに、画像表示光LSの一部を透過することが可能なビームスプリッタ面となっている。」
「【0036】このようなHUD装置20によれば、液晶パネル22に表示されたシンボル画像は、コリメーティングレンズ系23を介して略平行光に変換され、ライトガイド60内に入射する。その後、ライトガイド60内の全反射面61で反射された後に、第一面63aと第二面63bとで全反射されながらジグザグに進む光束となる。光束は、各々の出射面62a~62cに入射するたびに、その一部が反射され、第一面63aに到達するときには、全反射条件を満たさないため平行光束として外部に取り出され、コンバイナ21に到達する。これにより、光束は、コンバイナ21の反射面で反射されてシンボル光LSとなり、操縦士Pに視認されるようになっている。このとき、外界から到来する外景光LOも風防11とコンバイナ21とを透過して操縦士Pに視認されるが、遠方からの光であるため略平行光であり、操縦士Pからは双方とも眼Eの焦点調節を行うことなく同時に認識できる。一方、表示パネル40からの画像表示光LMは、ライトガイド60に妨げられることなく操縦士Pの眼Eに導かれる。【0037】以上のように、HUD装置20によれば、従来型のヘッドアップディスプレイ装置と同等の視野角θを確保しつつ、ライトガイド60の下部に空間が確保されるので、ライトガイド60の下部に大面積の表示パネル40を設置することができ、所謂「ビッグピクチャ」形態とすることができる。また、ライトガイド60を容易に航空機コックピット1に配置し、表示パネル40と干渉なく共存させて使用することができる。」
(イ)上記(ア)によれば、図1及び2に係るHUD装置(以下「本件HUD装置」という。)(これは、請求項1を引用する請求項2を引用する請求項3に係るヘッドアップディスプレイ装置の実施形態に対応するものと解される。)について、次のことがいえる。
a 図2からは、本件HUD装置に備わる「コンバイナ21」が、符号21aで示される部材と、21bで示される部材から構成されることが見て取れる。
そして、符号21a及び21bに関する説明は、【0005】のみに記載されているところ、具体的には、「コンバイナ21は、ハーフミラー素材で構成された2枚の板状体21a、21bからなり、2枚の板状体21a、21bは、Z方向に対して所定角度となるように配置されている。」と記載されている。この点、当該記載は、本件HUD装置ではなく、従来のHUD装置(図6)に備わる「コンバイナ21」の説明に係るものであるが、引用文献1の全体の記載をみても、従来のHUD装置から本件HUD装置に改良する過程において、「コンバイナ21」に対して何らかの変更が加えられているとは解されない。そうすると、当業者は、本件HUD装置に備わる「コンバイナ21」における符号21aで示される部材及び符号21bで示される部材に対しても、従来のHUD装置に備わる「コンバイナ21」についての上記記載が妥当すると理解するといえる。
したがって、当業者は、本件HUD装置に備わる「コンバイナ21」についても、上記【0005】に記載されているとおり、「ハーフミラー素材で構成された2枚の板状体21a、21bからなり、2枚の板状体21a、21bは、Z方向に対して所定角度となるように配置されている」ものであると理解する。
b 図2からは、本件HUD装置に備わる「コンバイナ21」を構成する2枚の板状体21a、21bが、ライトガイドからの画像表示光の進行方向に互いに離して配置されることが見て取れる。
(ウ)上記(ア)及び(イ)によれば、請求項1を引用する請求項2を引用する請求項3に係るヘッドアップディスプレイ装置について、次のことがいえる。
a 当該ヘッドアップディスプレイ装置の「コンバイナ」は、上記(イ)a及びbに照らせば、典型的には、「コンバイナ」が、ハーフミラー素材で構成された2枚の板状体からなり、当該2枚の板状体が、Z方向に対して所定角度となるように配置されるとともに、ライトガイドからの画像表示光の進行方向に互いに離して配置されたものであるといえる。
b 当該ヘッドアップディスプレイ装置の「コンバイナ」を構成する「2枚の板状体」(上記a参照)は、それぞれ、複数のビームスプリッタ面から導かれた画像表示光を操縦士の眼に導くものであるといえる。すなわち、請求項1には「コンバイナ」が「前記画像表示光を操縦士の眼に導く」との記載があるところ、当該「コンバイナ」は、典型的には2枚の板状体からなるものであり(上記a)、当該「前記画像表示光」は、前記出射面から導かれるものであって(請求項1の「前記出射面から画像表示光をコンバイナに導くライトガイド」の記載を参照)、さらに、「前記出射面」は「複数の平面形状のビームスプリッタ面であ」る(請求項3)ことから、そのようにいえる。
c 当該ヘッドアップディスプレイ装置の「出射機構」は、典型的には、液晶パネルに表示されたシンボル画像を略平行光に変換してライトガイド内に入射させるコリメーティングレンズ系であるといえる。すなわち、本件HUD装置に係る「HUD装置は、・・・筐体30とを備え、筐体30内部には、・・・コリメーティングレンズ系(出射機構)23とを備える。」(【0032】)との記載及び「このようなHUD装置20によれば、液晶パネル22に表示されたシンボル画像は、コリメーティングレンズ系23を介して略平行光に変換され、ライトガイド60内に入射する」(【0036】)との記載に照らせば、そのようにいえる。
d 当該ヘッドアップディスプレイ装置の「ライトガイド」は、典型的には、「前記第一面と第二面とで画像表示光を設定方向へと反射させながら出射面に導」く際に、画像表示光が、当該第一面及び第二面で全反射される構成であるといえる。すなわち、請求項3が引用する請求項1には、「前記入射面で前記出射機構からの画像表示光を反射させた後、前記第一面と第二面とで画像表示光を設定方向へと反射させながら出射面に導」くことが記載されているところ、本件HUD装置に係る「ライトガイド60内に入射した略平行光は、ライトガイド60内の全反射面61で反射された後に、第一面63aと第二面63bとで全反射されながらジグザグに進む光束となり、光束は、各々の出射面62a~62cに入射するたびに、その一部が反射され、第一面63aに到達するときには、全反射条件を満たさないため平行光束として外部に取り出され」る(【0036】)との記載に照らせば、そのようにいえる。
e 当該ヘッドアップディスプレイ装置の「複数の平面形状のビームスプリッタ面」は、典型的には、ライトガイド内の画像表示光の全体的な伝搬方向に沿って離して配置される構成であるといえる。すなわち、請求項3には、「前記ライトガイドの出射面は、入射した画像表示光の光束の設定割合を反射するとともに、画像表示光の光束の設定割合を透過することが可能な複数の平面形状のビームスプリッタ面であり、前記ビームスプリッタ面は、互いに平行であり、かつ、前記第一面及び第二面に対して設定角度で傾斜している」と記載されているところ、「前記第一面と第二面とで画像表示光を設定方向へと反射させながら出射面に導・・・くライトガイド」(【請求項1】)、「地面に水平な一方向をX方向(前後方向)とし」(【0003】)、「「設定方向」とは、設計者等によって予め決められた任意の一方向であり、例えば、前後方向であり」(【0021】)、「出射面62は、平面形状の第一出射面62aと、平面形状の第二出射面62bと、平面形状の第三出射面62cとを有し、-X方向において順番に、第一出射面62aと第二出射面62bと第三出射面62cとなるように配置されており、さらに、-X方向に対する第一出射面62aの角度と、-X方向に対する第二出射面62bの角度と、-X方向に対する第三出射面62cの角度とは、Y方向から見ると同じ角度α(例えば24°)となるように配置されており」(【0034】)との記載に照らせば、そのようにいえる。
(エ)上記(ア)~(ウ)によれば、引用文献1には、請求項1を引用する請求項2を引用する請求項3に係るヘッドアップディスプレイ装置に関して、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。なお、引用発明の認定に用いた段落番号等を参考までに括弧内に付してある(以下同じ。)。
「画像表示光を出射する出射機構と、操縦士の眼の前方に配置され、前記画像表示光を操縦士の眼に導くコンバイナとを備えるヘッドアップディスプレイ装置であって、第一面と、当該第一面と対向する第二面と、出射面と、入射面とを有し、前記入射面で前記出射機構からの画像表示光を反射させた後、前記第一面と第二面とで画像表示光を設定方向へと反射させながら出射面に導き、前記出射面から画像表示光をコンバイナに導くライトガイドを備えるヘッドアップディスプレイ装置であって、(【請求項1】)前記ライトガイドは、前記コンバイナの下方に配置され、かつ、続きを表示(全13行)前記第一面及び第二面が、水平となるように配置され、(【請求項2】)前記ライトガイドの出射面は、入射した画像表示光の光束の設定割合を反射するとともに、画像表示光の光束の設定割合を透過することが可能な複数の平面形状のビームスプリッタ面であり、前記ビームスプリッタ面は、互いに平行であり、かつ、前記第一面及び第二面に対して設定角度で傾斜しており、(【請求項3】)前記コンバイナは、ハーフミラー素材で構成された2枚の板状体からなり、当該2枚の板状体が、Z方向に対して所定角度となるように配置されるとともに、ライトガイドからの画像表示光の進行方向に互いに離して配置されたものであり、(上記(ウ)a)2枚の板状体は、それぞれ、複数のビームスプリッタ面から導かれた画像表示光を操縦士の眼に導くものであり、(上記(ウ)b)前記出射機構は、液晶パネルに表示されたシンボル画像を略平行光に変換してライトガイド内に入射するコリメーティングレンズ系であり、(上記(ウ)c)前記ライトガイドにおいて、前記第一面と第二面とで画像表示光を設定方向へと反射させながら出射面に導く際に、当該画像表示光が、当該第一面及び第二面で全反射され、(上記(ウ)d)前記複数の平面形状のビームスプリッタ面は、ライトガイド内の画像表示光の全体的な伝搬方向に沿って離して配置される、(上記(ウ)e)ヘッドアップディスプレイ装置。」
イ 米国特許第5278696号明細書(以下「引用文献2」という。)の記載事項及び引用文献2に記載された技術的事項の認定
(ア)同じく原査定に引用され、本願の出願前に頒布された刊行物である又は電気通信回路を通じて公衆に利用可能となった文献である引用文献2には、次の記載がある。
a 「The present invention relates to head-up display systems and, more particularly, a head-up display system capable of being packaged in a vertically shorter enclosure while maintaining a vertically larger instantaneous field of view image to the viewer.」(第1欄第4~8行目)
(審決訳:本発明は、ヘッドアップディスプレイシステムに関し、より詳細には、観察者に対して、垂直方向により大きな瞬間視野の画像を維持しながら、垂直方向により短い筐体に収容することが可能なヘッドアップディスプレイシステムに関する。)
b 「FIG. 2 is a side section view of a preferred embodiment of a display unit according to the present invention;」(第3欄第33~35行目)
(審決訳:図2は、本発明によるディスプレイユニットの好ましい実施形態の側断面図である。)
[図:0001405277000004.jpg]
c 「FIG. 4 is a representation of the instantaneous binocular fields of view available to a prior art display unit and the preferred embodiment of FIG. 2;」(第3欄第40~42行目)
(審決訳:図4は、先行技術のディスプレイユニット及び図2の好ましい実施形態で得られる瞬間両眼視野を示す。)
[図:0001405277000005.jpg]
d 「FIG. 7 is a side section view of yet another alternative embodiment of the display unit according to the present invention utilizing more than one prism element and more than one combiner element;」(第3欄第49~52行目)
(審決訳:図7は、1つ以上のプリズム要素及び1つ以上のコンバイナ要素を利用する本発明によるディスプレイユニットのさらに別の代替的な実施形態の側断面図である。)
[図:0001405277000006.jpg]
e 「FIG. 8 is a representation of the instantaneous binocular field of view available with the alternative embodiment of FIG. 7;」(第3欄第53~55行目)
(審決訳:図8は、図7の代替実施形態で得られるある特定の瞬間の両眼視野を表す。)
[図:0001405277000007.jpg]
f 「Turning next to FIG. 2, there is shown a low profile head up display 30 according to a preferred embodiment of the present invention. A housing 32 contains the electronics and a cathode ray tube (CRT) display element 34. A collimating lens group 36 collects the image from the face of the CRT 34 and directs it to a prism 38 which, through internal reflection, directs the image upward.」(第4欄第21~28行目)
(審決訳:次に図2に移ると、本発明の好ましい実施形態によるロープロファイルヘッドアップディスプレイ30が示されている。ハウジング32は、電子機器及び陰極線管(CRT)ディスプレイ要素34を含む。コリメートレンズ群36は、CRT34の面からの画像を受け取り、内部反射によって画像を上方に導くプリズム38に向ける。)
g 「A semi-transparent combiner element 40 redirects the CRT image to eye 24 of the viewer. A further image which is outside of the normal field of view of the heretofore transmitted image, is directed to a second combiner element 42 which is positioned adjacent and parallel to the combiner element 40, and which directs the reflected images to the viewer's eye 24.」(第4欄第29~35行目)
(審決訳:半透明のコンバイナ要素40が、CRT画像を観察者の眼24に向け直す。ここまでに送信された画像の通常の視野の外にある更なる画像は、コンバイナ要素40に近接して平行に配置され、反射された画像を観察者の眼24に向ける第2のコンバイナ要素42に向けられる。)
h 「As shown, some of the optical rays are transmitted through the first combiner element 40 and are reflected by the second combiner element 42. The position of the observer's eye 24 is predetermined from a design of the cockpit area and the collimating lens group 36 is designed in conjunction with the prism 38 and the combiner screens 40, 42 so that the image presented to the eye 24 will appear to be at infinity and merged with the external scene as viewed through the windscreen 16.」(第4欄第36~44行目)
(審決訳:図示のように、光線の一部は、第1のコンバイナ要素40を透過し、第2のコンバイナ要素42で反射される。観察者の眼24の位置は、コックピット領域の設計から予め決定され、コリメートレンズ群36は、眼24に提示される画像が無限遠に見え、ウィンドスクリーン16を通して見る外部シーンと融合するように、プリズム38及びコンバイナスクリーン40、42と組み合わせて設計される。)
i 「FIG. 4 gives a comparison of the instantaneous binocular field of view of a prior art display unit and a display unit according to the present invention. The crossing point of the vertical and horizontal axes represents the line of sight of the observer in the viewing position. The broken line 60 represents the maximum field of view of the CRT display device. The first and second pairs of overlapping circles 62, 64 represent the view presented by the prior art display device and the overlapping, elongated rectangular sections of overlapping circles 66, 68 represent the view presented by the improved display device of the present invention.」(第5欄第1~12行目)
(審決訳:図4は、先行技術のディスプレイユニットと本発明によるディスプレイユニットの瞬間両眼視野の比較を示す。縦軸と横軸の交点は、視認位置にいる観察者の視線を表す。破線60は、CRT表示装置の最大視野を表している。重なり合うサークル62、64の第1及び第2の組は、先行技術のディスプレイ装置によって提示される視野を表し、重なり合うサークル66、68の細長い長方形の部分は、本発明の改良されたディスプレイ装置によって提示される視野を表している。)
j 「As seen, the present device provides virtually the same size display to the viewer as the prior art device, which takes up considerably more space in the instrument panel. As shown, each of the views is itself a composite of the scene presented to the eyes of the observer. The views seen by the right and left eyes overlap as do the views presented by the first and second combiner elements.」(第5欄第13~20行目)
(審決訳:このように、本装置は、計器パネルにおいてかなり大きなスペースを占める先行技術の装置と実質的に同じサイズのディスプレイを観察者に提供するものである。図示のように、それぞれの視野はそれ自体、観察者の眼に提示されるシーンの合成である。右目と左目から見える視野は、第1と第2のコンバイナ要素によって提示される視野と同様に重なっている。)
k 「Another alternative embodiment, shown in FIG. 7, is a display device 230 which employs two prisms 238, 239 and two combiner elements 240, 242 to provide the greatly improved (vertically) field of view shown in FIG. 8. The first combiner element 240 provides images 269, 268 from the first and second prisms 238, 239, respectively, and the second combiner element 242 furnishes images 267, 266 from the first and second prisms 238, 239, respectively. Taken together, the several images combine to present a substantial part of the CRT face.」(第5欄第39~49行目)
(審決訳:図7に示す別の代替実施形態は、2つのプリズム238、239と2つのコンバイナ要素240、242を採用して、図8に示す大幅に改善された(垂直方向の)視野を提供するディスプレイ装置230である。第1のコンバイナ要素240は、第1及び第2のプリズム238、239からそれぞれ画像269、268を提供し、第2のコンバイナ要素242は、第1及び第2のプリズム238、239からそれぞれ画像267、266を提供する。総合すると、複数の画像が組み合わされて、CRT面の相当部分を提示する。)
l 「According to the present invention, substantial savings in the height of a head up display unit can be achieved by replacing the mirrors employed in the prior art with one or more prisms. The prisms can occupy a vertically smaller enclosure while still providing an acceptable view of the display CRT screen. In alternate embodiments, more than one prism can be used in combination and one or more combiner elements supply a composite image to the viewer.」(第6欄第28~36行目)
(審決訳:本発明によれば、先行技術で採用されているミラーを1つ以上のプリズムに置き換えることによって、ヘッドアップディスプレイユニットの高さの十分な節約を達成することができる。プリズムは、ディスプレイCRTスクリーンの許容可能な視界を依然として提供しながら、垂直方向により小さい場所を占める。代替の実施形態では、複数のプリズムを組み合わせて使用することができ、複数のコンバイナ要素が、観察者に合成画像を提供する。)
(イ)上記(ア)によれば、図7は、図2に示されるヘッドアップディスプレイの代替的な実施形態の側断面図であって、1つ以上のプリズム要素及び1つ以上のコンバイナ要素を利用するディスプレイユニットに係る側断面図であり(上記(ア)d)、図8は、図7に示される実施形態で得られるある特定の瞬間の両眼視野を表す図である(上記(ア)f)ところ、当業者は、図7に係るディスプレイユニット及び図8に係る瞬間両眼視野において提供される画像を、次のとおり理解するといえる。
a 図7に係るディスプレイユニットについて
ヘッドアップディスプレイにおいて、大幅に改善された(垂直方向の)視野を提供するために、2つのプリズム238、239と2つのコンバイナ要素240、242を採用したものであって、第1のコンバイナ要素240は、第1及び第2のプリズム238、239からそれぞれ画像269、268を提供し、第2のコンバイナ要素242は、第1及び第2のプリズム238、239からそれぞれ画像267、266を提供し、観察者に合成画像を提供するものである(上記(ア)a、d、k及びl)。
b 図8に係る瞬間両眼視野において提供される画像について
観察者に提供された画像は、垂直方向下側から、画像268(第2のプリズム239及び第1のコンバイナ要素240によって提供されたものであり、以下、「プリズム」及び「コンバイナ」をそれぞれ「P」及び「C」で表すこととして、「第1画像P2C1」という。)、画像269(第1のプリズム238及び第1のコンバイナ要素240によって提供されたものであり、以下「第2画像P1C1」という。)、画像266(第2のプリズム239及び第2のコンバイナ要素242によって提供されたものであり、以下「第3画像P2C2」という。)及び画像267(第1のプリズム238及び第2のコンバイナ要素242によって提供されたものであり、以下「第4画像P1C2」という。)の順に配置されており、第1画像P2C1の上側境界線と第2画像P1C1の下側境界線とは接しており、第2画像P1C1の上側境界線と第3画像P2C2の下側境界線とは接しており、第3画像P2C2の上部と第4画像P1C2の下部とは若干重複しており、第4画像P1C2の下部は第2画像P1C1の上側境界線には到達していないようになっている(上記(ア)e及びk)。
(ウ)また、上記(ア)のとおり、図2は、ディスプレイユニットの好ましい実施形態の側断面図であり(上記(ア)b)、図4は、先行技術のディスプレイユニットと図2に係るディスプレイユニットの瞬間両眼視野の比較を示す図である(上記(ア)c)ところ、当業者は、図2に係るディスプレイユニット及び図4に示される図2に係るディスプレイユニットの瞬間両眼視野を、次のとおり理解するといえる。
a 図2に係るディスプレイユニットについて
ヘッドアップディスプレイにおいて、1つのプリズム38と2つのコンバイナ要素40、42を採用することにより、第1のコンバイナ要素40及び第2のコンバイナ要素42が、それぞれ画像を提供するものである(上記(ア)a、b、f、g及びh)。
b 図4に示される図2に係るディスプレイユニットによって提供される画像について
図4においてサークル68及びサークル66で示される視野は、それぞれ、第1のコンバイナ要素40によって提供される画像及び第2のコンバイナ要素42によって提供される画像に対応するものであって、観察者に提供された画像は、第1のコンバイナ要素40によって提供される画像の上部と第2のコンバイナ要素42によって提供される画像の下部が若干重複している(上記a並びに上記(ア)c、i及びj)。
すなわち、図4において、サークル68の上部とサークル66の下部が若干重複していることが見て取れること、及び、「右目と左目から見える視野は、第1と第2のコンバイナ要素によって提示される視野と同様に重なっている。」(上記(ア)j)との記載から、そのようにいえる。
(エ)上記(ア)~(ウ)によれば、引用文献2には、次の技術的事項が記載されていると認められる。
a ヘッドアップディスプレイにおいて、大幅に改善された(垂直方向の)視野を提供するために、第1のコンバイナ要素240は、第1及び第2のプリズム238、239からそれぞれ画像269、268を提供し、第2のコンバイナ要素242は、第1及び第2のプリズム238、239からそれぞれ画像267、266を提供するようにしたものであって、提供された画像は、垂直方向下側から、画像268(第1画像P2C1)、画像269(第2画像P1C1)、画像266(第3画像P2C2)及び画像267(第4画像P1C2)の順に配置されており、第1画像P1C1の上側境界線と第2画像P2C1の下側境界線とは接しており、第2画像P2C1の上側境界線と第3画像P2C2の下側境界線とは接しており、第3画像P2C2の上部と第4画像P1C2の下部とは若干重複しており、第4画像P1C2の下部は第22画像P21C1の上側境界線には到達していないようになっているという技術的事項(上記(イ)a及びb参照。以下「引用文献2に記載された技術的事項1」という。)。
b ヘッドアップディスプレイにおいて、第1のコンバイナ要素40及び第2のコンバイナ要素42が、それぞれ画像を提供するようにしたものであって、提供された画像は、第1のコンバイナ要素40によって提供される画像の上部と第2のコンバイナ要素42によって提供される画像の下部が若干重複しているという技術的事項(上記(ウ)a及びb参照。以下「引用文献2に記載された技術的事項2」という。)。
(3)本件補正発明と引用発明1との対比
ア 本件補正発明の「使用者の眼前に虚像を表示する画像表示装置であって、」との特定事項について
(ア)引用発明1の「ヘッドアップディスプレイ装置」は、本件補正発明の「画像表示装置」に相当する。そして、引用発明1の「ヘッドアップディスプレイ装置」は、「操縦士の眼の前方に配置され」た「コンバイナ」によって、「前記画像表示光を操縦士の眼に導く」ものであるから、本件補正発明でいう「使用者の眼前に虚像を表示する」ものといえる。
(イ)よって、引用発明1は、本件補正発明の上記特定事項を満たしている。
イ 本件補正発明の「2次元的な画像情報を含み、該画像上の各部位で角度が異なる平行光束を後記ライトガイドに入射させる画像出射部と、」との特定事項について
(ア)引用発明1においては、「液晶パネルに表示されたシンボル画像を略平行光に変換してライトガイド内に入射するコリメーティングレンズ系」が「画像表示光を出射する出射機構」であるところ、当該「コリメーティングレンズ系」からなる「画像表示光を出射する出射機構」は、本件補正発明の「画像出射部」に相当する。引用発明1の「シンボル画像」は、「液晶パネルに表示され」るものであるから、本件補正発明でいう「2次元的な画像情報」であるといえる。引用発明1の「ライトガイド」は、本件補正発明の「ライトガイド」に相当し、後記ウのとおり、「後記ライトガイド」にも相当する。
そして、引用発明1の「コリメーティングレンズ系」(本件補正発明の「画像出射部」に相当。)は、上記のとおり、「液晶パネルに表示されたシンボル画像を略平行光に変換してライトガイド内に入射する」ものであることから、当該「コリメーティングレンズ系」が、本件補正発明でいう「2次元的な画像情報を含み、該画像上の各部位で角度が異なる平行光束を後記ライトガイドに入射させる」ものであることは、明らかである。
(イ)よって、引用発明1は、本件補正発明の上記特定事項を満たしている。
ウ 本件補正発明の「互いに平行に対向する第一面及び第二面を有する透明な基板と、前記画像出射部から入射された画像光が前記第一面及び第二面で全反射されるように前記基板の内部に案内する入射部と、前記入射部から前記基板の内部に案内され前記第一面及び第二面で全反射されつつ該基板内を伝搬して来た画像光の一部を前記第一面又は第二面のいずれかを通して前記基板の外部に射出させる、該基板内の画像光の全体的な伝搬方向に沿って互いに離して配置された複数の射出部と、を有するライトガイドと、」との特定事項について
(ア)a 引用発明1の「ライトガイド」は、「第一面と、当該第一面と対向する第二面と、出射面と、入射面とを有し、前記入射面で前記出射機構からの画像表示光を反射させた後、前記第一面と第二面とで画像表示光を設定方向へと反射させながら出射面に導き、前記出射面から画像表示光をコンバイナに導く」ものであるところ、「第一面」、「第二面」、「入射面」及び「出射面」は、それぞれ、本件補正発明の「第一面」、「第二面」、「入射部」及び「射出部」に相当する。
b 引用発明1の「第一面」と「第二面」は、「対向する」関係にあるとともに、いずれも「水平となるように配置され」るものであるから、本件補正発明でいう「互いに平行に対向する」ものといえる。そして、引用発明1の「ライトガイド」は、「前記第一面と第二面とで画像表示光を設定方向へと反射させながら出射面に導」くものであるから、本件補正発明でいう「透明な基板」からなることが明らかである。
c 引用発明1の「入射面」(本件補正発明の「入射部」に相当。)について、引用発明1は、「前記入射面で前記出射機構からの画像表示光を反射させた後、前記第一面と第二面とで画像表示光を設定方向へと反射させながら出射面に導」くものであり、その際、「当該画像表示光が、当該第一面及び第二面で全反射され」るものであるから、当該「入射面」は、本件補正発明でいう「前記画像出射部から入射された画像光が前記第一面及び第二面で全反射されるように前記基板の内部に案内する」ものといえる。
d 引用発明1の「出射面」(本件補正発明の「射出部」に相当。)について、引用発明1においては、当該「出射面」が「ビームスプリッタ面」であるところ、当該「ビームスプリッタ面」は、「入射した画像表示光の光束の設定割合を反射」するものであるとともに、「前記第一面及び第二面に対して設定角度で傾斜しており」、「画像表示光をコンバイナに導く」ものであるから、上記cも踏まえると、当該「ビームスプリッタ面」は、本件補正発明でいう「前記入射部から前記基板の内部に案内され前記第一面及び第二面で全反射されつつ該基板内を伝搬して来た画像光の一部を、前記第一面又は第二面のいずれかを通して前記基板の外部に射出させる」ものといえる。
また、引用発明1の「ビームスプリッタ面」は、「ライトガイド内の画像表示光の全体的な伝搬方向に沿って離して配置される」ものであるから、引用発明1は、本件補正発明でいう「複数の射出部」が「該基板内の画像光の全体的な伝搬方向に沿って互いに離して配置され」ていることになる。
(イ)よって、引用発明1は、本件補正発明の上記特定事項を満たしている。
エ 本件補正発明の「前記ライトガイドの複数の射出部から出射された画像光が到達する位置で且つ使用者の眼前に配置され、それぞれ前記複数の射出部から射出された画像光の一部を反射させて使用者の眼に導く複数の平板状であるコンバイナと、を備え、」との特定事項について
(ア)a 引用発明1の「コンバイナ」は、「操縦士の眼の前方に配置され、前記画像表示光を操縦士の眼に導く」ものであって、「前記出射面から画像表示光」が「導」かれるものであり、「ハーフミラー素材で構成された2枚の板状体からな」るものであるところ、当該「2枚の板状体」の一方及び他方のいずれもが、本件補正発明の「コンバイナ」に相当する。そして、当該「コンバイナ」は、「Z方向に対して所定角度となるように配置され」た「2枚の板状体」からなるものであるから、本件補正発明でいう「複数の平板状」であるといえる。また、当該「コンバイナ」は、上記ウも踏まえると、本件補正発明でいう「前記ライトガイドの複数の射出部から出射された画像光が到達する位置で且つ使用者の眼前に配置され」るものといえる。
b 引用発明1の「コンバイナ」を構成する「2枚の板状体」は、「ハーフミラー素材で構成された」ものであって、「それぞれ、複数のビームスプリッタ面から導かれた画像表示光を操縦士の眼に導くもの」であるから、上記aも踏まえると、本件補正発明でいう「それぞれ前記複数の射出部から射出された画像光の一部を反射させて使用者の目に導く」ものといえる。
(イ)よって、引用発明1は、本件補正発明の上記特定事項を満たしている。
オ 本件補正発明の「前記複数の射出部のそれぞれは、画像光が射出する方向において、一部が互いに重なる程度に近接して配置され」との特定事項について
引用発明1の「複数の」「ビームスプリッタ面」(本件補正発明の「複数の射出部」に相当。)のそれぞれは、本件補正発明のように「画像光が射出する方向において、一部が互いに重なる程度に近接して配置され」ているとはいえない。
カ 本件補正発明の「前記複数のコンバイナは前記ライトガイドからの画像光の進行方向に互いに離して平行に配置され」との特定事項について
(ア)引用発明1の「コンバイナ」は「2枚の板状体」からなるところ、当該「2枚の板状体」は、「ライトガイドからの画像表示光の進行方向に互いに離して配置されたもの」であるから、本件補正発明でいう「前記ライトガイドからの画像光の進行方向に互いに離して」「配置され」たものといえる。そして、当該「2枚の板状体」は、「Z方向に対して所定角度となるように配置され」るものであるから、本件補正発明でいう「平行に配置され」ているといえる。
(イ)よって、引用発明1は、本件補正発明の上記特定事項を満たしている。
キ 本件補正発明の「該複数のコンバイナの離間距離は、前記ライトガイドの同一の射出部から射出され、互いに異なるコンバイナで反射されて使用者の眼に到達する画像光により形成される複数の画像が重畳せず、前記ライトガイドの異なる射出部から射出され、互いに異なるコンバイナで反射されて使用者の眼に到達する画像光により形成される複数の画像の縁端部が一致する又は該複数の画像の一部が重畳するような範囲であって、前記ライトガイドから前記複数のコンバイナに向かい該コンバイナの反射面で反射されて使用者の眼に向かう画像光の光路上で該コンバイナに入射する直前の画像光の光束と前記複数のコンバイナの反射面に直交する線とがなす角度をθ、一つの射出部から射出される画像光の光束幅をA1、全ての射出部から射出される画像光の光束幅をA2としたとき、A1/(2cosθ・tanθ)以上、A2/(2cosθ・tanθ)以下である範囲に定められている」との特定事項について
(ア)引用発明1の「コンバイナ」は「2枚の板状体」からなるところ、当該「2枚の板状体」が、「Z方向に対して所定角度となるように配置される」ものであるから、引用発明は、複数のコンバイナが所定の離間距離を有しているといえる。
(イ)そうすると、本件補正発明と引用発明1とは、「該複数のコンバイナ」は「離間距離」を有する点で一致する。
他方、引用発明1において、2枚の板状体の離間距離が、上記特定事項を満たすのかは不明である。
(4)一致点及び相違点の認定
上記(3)によれば、本件補正発明と引用発明1とは、
「使用者の眼前に虚像を表示する画像表示装置であって、a) 2次元的な画像情報を含み、該画像上の各部位で角度が異なる平行光束を後記ライトガイドに入射させる画像出射部と、b) 互いに平行に対向する第一面及び第二面を有する透明な基板と、前記画像出射部から入射された画像光が前記第一面及び第二面で全反射されるように前記基板の内部に案内する入射部と、前記入射部から前記基板の内部に案内され前記第一面及び第二面で全反射されつつ該基板内を伝搬して来た画像光の一部を前記第一面又は第二面のいずれかを通して前記基板の外部に射出させる、該基板内の画像光の全体的な伝搬方向に沿って互いに離して配置された複数の射出部と、を有するライトガイドと、c) 前記ライトガイドの複数の射出部から出射された画像光が到達する位置で且つ使用者の眼前に配置され、それぞれ前記複数の射出部から射出された画像光の一部を反射させて使用者の眼に導く複数の平板状であるコンバイナと、を備え、前記複数のコンバイナは前記ライトガイドからの画像光の進行方向に互いに離して平行に配置され、該複数のコンバイナは離間距離を有する画像表示装置。」である点で一致し、次の点で相違する。
[相違点1]
本件補正発明は、「前記複数の射出部のそれぞれは、画像光が射出する方向において、一部が互いに重なる程度に近接して配置され」るものであるのに対し、引用発明1は、「複数の」「ビームスプリッタ面」のそれぞれがそのような配置となっているとはいえない点。
[相違点2]
「該複数のコンバイナ」の「離間距離」が、本件補正発明は、「前記ライトガイドの同一の射出部から射出され、互いに異なるコンバイナで反射されて使用者の眼に到達する画像光により形成される複数の画像が重畳せず、前記ライトガイドの異なる射出部から射出され、互いに異なるコンバイナで反射されて使用者の眼に到達する画像光により形成される複数の画像の縁端部が一致する又は該複数の画像の一部が重畳するような範囲であ」るのに対し、引用発明1は、そうであるか不明である点。
[相違点3]
本件補正発明は、「該複数のコンバイナの離間距離」が、「前記ライトガイドから前記複数のコンバイナに向かい該コンバイナの反射面で反射されて使用者の眼に向かう画像光の光路上で該コンバイナに入射する直前の画像光の光束と前記複数のコンバイナの反射面に直交する線とがなす角度をθ、一つの射出部から射出される画像光の光束幅をA1、全ての射出部から射出される画像光の光束幅をA2としたとき、A1/(2cosθ・tanθ)以上、A2/(2cosθ・tanθ)以下である範囲に定められている」のに対し、引用発明1は、「コンバイナ」を構成する「2枚の板状体」の離間距離がそのような範囲であるか不明である点。
(5)相違点の判断
ア 相違点1及び2について
(ア)まず、引用発明1は、コンバイナを構成する「2枚の板状体が、それぞれ、複数のビームスプリッタ面から導かれた画像表示光を操縦士の眼に導く」構成に係るものであるところ、従来型のヘッドアップディスプレイ装置と同等の視野角θを確保しようとするものである(引用文献1の【0037】)ことに照らせば、操縦士の眼には、経由する板状体とビームスプリッタ面の組合せに対応して、垂直方向の位置が異なる複数の虚像が導かれると解される。
その一方で、引用文献1には、上記垂直方向の位置が異なる複数の虚像が具体的にどのように配置されるのかが記載されていないところ、像が操縦士によってどのように観察されるのかは当然の関心事項であることから、引用発明1に接した当業者であれば、その具体的な配置を決定しようとする動機をもつといえる。そして、そのような当業者は、ヘッドアップディスプレイという引用発明1と共通の技術分野に属し、プリズムとコンバイナ要素の組合せによって複数の画像を提供するという引用発明1と共通する機能ないし作用を有するヘッドアップディスプレイに関する引用文献2に記載された技術的事項1及び2に接することができるといえる。
しかるに、引用文献2に記載された技術的事項1は、要するに、2つのコンバイナ要素と2つのプリズムから、垂直方向の位置が異なる4つの虚像を形成しているものであるとともに、垂直方向で最も上側の第4画像P1C2と第3画像P2C2とは若干の重複部分をもつ一方、その他の隣り合って配置された画像(虚像)同士は、境界線が接するように配置されているものであり、また、引用文献2に記載された技術的事項2は、要するに、2つのコンバイナ要素と1つのプリズムから、垂直方向の位置が異なる2つの虚像を形成しているものであるとともに、2つの虚像同士は、若干の重複部分をもっているものである。この点、当該2つの技術的事項においては、垂直方向で隣り合って配置された虚像同士が、若干の重複部分をもっていたり、境界線において接していたりするものであるが、これらの違いに特段の技術的意味があるとは認められない。
このように、引用発明1に接した当業者は、経由する板状体とビームスプリッタ面の組合せに対応して、垂直方向の位置が異なる複数の虚像の具体的な配置を決定するために、引用文献2に記載された技術的事項1及び2に接することができるところ、上記当業者であれば、これらの技術的事項を踏まえて、垂直方向の位置が異なる4つの虚像を形成するようにしつつ、隣り合って配置された各虚像同士が接したり、若干重複部分をもったりするように構成することは、適宜なし得たことであるといえる。
(イ)次に、上記(ア)のとおりに垂直方向の位置が異なる複数の虚像の具体的な配置を決定した後で、当業者が何をするかについて検討する。
まず、当業者は、垂直方向の位置が異なる4つの虚像が形成されるようにするために、互いに平行に配置される複数のビームスプリッタ面の数を2つにすればよいことを当然に理解するといえる。
次に、引用発明1において、操縦士にどのような画像が観察されるかは、幾何光学的に決まることから、直進の法則や反射の法則等の技術常識を有する当業者であれば、光学要素の位置関係等(距離、方向等)によってこれが定まることを理解するといえる。そうすると、当業者は、隣り合って配置された各虚像同士が接したり、若干重複部分をもったりする位置関係とするためには、引用発明1の各光学要素の位置や角度を調整すればよいことを当然に認識できるのであり、そうである以上、当業者は、それらを適宜調整できるといえる。そして、その調整の結果として、相違点1及び2に係る本件補正発明の構成に至ることは、自然なことにすぎないといえる。
(ウ)小括
上記(ア)及び(イ)によれば、当業者は、上記相違点1及び2に係る本件補正発明の構成に容易に至るといえる。
イ 相違点3について
上記相違点3に係る条件は、引用発明1において上記ア(イ)のように光学要素の位置関係を調整したヘッドアップディスプレイ装置であれば、自然と満たす程度のものであり、このことは、本願の明細書の【0034】及び【0038】において、コンバイナの離間距離及び画像の見え方から幾何学的に相違点3に係る本件補正発明の条件が導き出されている旨記載されていることからも肯首できる。
よって、当業者は、上記相違点3に係る本件補正発明の構成に容易に至るといえる。
ウ 本件補正発明の効果について
本件補正発明の効果は、本件補正発明の構成が奏するものとして、引用発明1及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものとはいえない。
エ これに対し、請求人は、以下のように主張するが、いずれも失当である。
(ア)請求人は、引用文献2の図7に記載されたプリズム238及びプリズム239は相違点2に係る本件補正発明の構成を満たしているものの、引用発明1の「複数の」「ビームスプリッタ面」に変えて、引用文献2に記載された上記構成を採用する動機付けがない旨主張し、その根拠として、引用発明1と引用文献2に記載された上記構成とは、ライトガイドや射出部の構成、さらには、画像が射出部に到達するまでの光軸が異なっていることを挙げる。
しかしながら、上記アで説示したとおり、引用発明1に接した当業者は、垂直方向の位置が異なる複数の虚像の具体的な配置を決定するという動機の下、引用発明1のビームスプリッタ面及び板状体の位置を調整することができるといえる。
(イ)請求人は、相違点3に係る本件補正発明に特定された条件が設計事項等には該当しない旨主張し、その根拠として、(i)引用文献1及び引用文献2には開示されていないこと、(ii)発明者らが試行錯誤の結果、見出したものであること、(iii)どのような光学系であってもこの条件が成立するわけではなく、少なくとも複数の射出部のそれぞれが「画像光が射出する方向において、一部が互いに重なる程度に近接して配置」されている必要があるのであり、例えば、引用文献1に記載された図2及び8に係る光学系において、相違点3に係る本件補正発明の構成を満たすようにしても、隙間のある画像が表示されてしまうと考えられること、(iv)使用者にとって適切な重畳度合いの画像形成を容易にするという格別の効果を奏すること、を挙げる。
しかしながら、上記ア及びイで説示したとおり、相違点3に係る本件補正発明に特定された条件は、引用発明1に引用文献2に記載された技術的事項を適用した結果、当業者が容易に至るものであるから、上記(i)及び(ii)に係る事情は、上記の判断を左右するものではない。また、(iii)に係る事情は、相違点1に係るものであるが、上記アで説示したとおり、当業者は、そのような構成に自然に至る。さらに、(iv)に係る事情は、本件補正発明が「画像表示装置」という「物の発明」であって製造方法ないし設計方法に係る発明ではないことにも照らせば、格別のものとはいえない。
さらに、請求人は、引用文献2に記載された技術的事項のように視認される画像に基づいてヘッドアップディスプレイを設計するのに当たっては、当業者であれば様々な手法を取り得るのであり、本件補正発明は、その中でも、特定の光学系配置とした上で、簡潔な式に基づいてコンバイナの離間距離を設定することで容易に使用者にとって適切な重畳度合いの画像を形成できることを見出した点に特徴がある旨主張するが、上記(iv)について説示したことと同様である。
(ウ)よって、請求人の主張はいずれも失当である。
オ したがって、本件補正発明は、引用発明1及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
(6)小括
よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものである。
3 本件補正についてのむすび
以上のとおりであるから、本件補正は、特許法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明の認定
本件補正は、上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、令和3年12月6日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記第2の[理由]1(2)において本件補正前の請求項1として記載された事項により特定されるとおりのものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、本件補正前の請求項1に係る発明は、出願前に頒布された刊行物である又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である上記の引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものを含むものである。
3 引用文献の記載事項及び引用発明の認定
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1及び2並びにこれらの記載事項は、上記第2の[理由]2(2)で認定したとおりである。
4 対比・判断
本願発明は、上記第2の[理由]2で検討した本件補正発明から、基板内の画像光の全体的な伝搬方向に沿って配置された「複数の射出部」について、「互いに離して」配置されること及び「前記複数の射出部のそれぞれは、画像光が射出する方向において、一部が互いに重なる程度に近接して配置され」ることに係る限定事項を削除したものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、上記第2の[理由]2で検討したとおり、引用発明1及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明1及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2022-009593