特許拒絶査定不服審判
2022-009166
半導体装置用基板及びその製造方法、半導体装置
- 審判番号
- 2022-009166
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-174744外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年06月15日
- 審決日
- 2023年03月06日
- 公報発行日
- 2023年05月26日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】マクセル株式会社
- 分類
- P18 .121-Z (H01L)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2020-174744「半導体装置用基板及びその製造方法、半導体装置」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年 1月14日出願公開、特開2021- 5739〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、平成27年10月7日(優先権主張 平成26年12月27日)に出願された特願2015-199424号の一部を、令和元年6月7日に新たに特願2019-106695号とし、その一部をさらに令和2年10月16日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は、概略、以下のとおりである。
令和3年 8月26日付け 拒絶理由通知書
令和3年10月27日 意見書、手続補正書の提出
令和4年 3月14日付け 拒絶査定(以下「原査定」という。)
令和4年 6月15日 審判請求書、手続補正書の提出
第2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、本願の請求項1~6に係る発明は、下記引用文献4に記載された発明であり、また、下記引用文献1~4に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第1項第3号、又は第2項の規定により、特許を受けることができないというものである。
1 特開2004-214265号公報
2 特開2004-221399号公報
3 特開2012-243840号公報
4 特開2014-183172号公報
第3 本願発明
本願の請求項1~3に係る発明は、令和4年6月15日提出の手続補正書により補正された(以下、この補正を「本件補正」という。)特許請求の範囲の請求項1~3に記載された事項により特定されるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は以下のとおりのものである。(下線は、手続補正書の記載のとおりである。また、本願発明は本件補正前の請求項2に係る発明であるから、本件補正は限定的減縮を目的とした補正に該当せず、独立特許要件については判断しない。)
「【請求項1】
母型基板(10)上に半導体素子搭載部(11a)及び/又は電極部(11b)となる金属部(11)を備える半導体装置用基板であって、
前記金属部(11)には張出部(11c)が形成されており、
前記張出部(11c)は、金属部(11)の軸方向と直交する方向に平行な下面と、金属部(11)の上面に連続して形成される上面と、該上面と下面との間の面である側面とを有し、
前記張出部(11c)の上面は、前記金属部(11)の上面から前記張出部(11c)の側面に連続形成された曲面となっており、
前記張出部(11c)の上面に表面金属層(13)が形成され、前記表面金属層(13)の厚み分が前記張出部(11c)の側面として現れており、
前記軸方向における前記張出部(11c)の高さ寸法は、前記軸方向と直交する方向における前記張出部(11c)の張出し寸法よりも大きいことを特徴とする半導体装置用基板。」
第4 当審の判断
1 引用文献4及び引用発明
(1) 引用文献4の記載
本願の優先権主張日(平成26年12月27日)前の、平成26年9月29日に出願公開された引用文献4(特開2014-183172号公報)には次の記載がある。(下線は、引用箇所を示すために当審において付加した。)
ア 「【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属板などの導電性を有する基板の表面に端子等となるめっき層を備えた半導体素子搭載用基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
導電性を有する基材の一面側に、所定のパターンでレジストマスクを形成し、レジストマスクから露出した基材に導電性金属をめっきして半導体素子搭載用の金属層と外部と接続するための電極層とを形成し、レジストマスクを除去することで半導体素子搭載用基板を形成し、次いでこの半導体素子搭載用基板を用いて、半導体素子搭載用基板の金属層部分に半導体素子を搭載し、半導体素子と電極層をワイヤボンディングした後樹脂封止を行い、基材を除去することで、樹脂側に金属層および電極層を露出させるようにした半導体装置が知られている。
【0003】
このような半導体装置は、従来リードフレームと呼ばれる0.1~0.25mmの厚さの金属基材で形成されていたが、軽薄短小化の要求から金属基材の代わりに0.01~0.08mm程度の厚さでめっきにより形成した金属層、電極層を使用することで薄化を実現している。そしてこの場合、基材を除去するに際して、めっきにより形成した金属層や電極層が封止樹脂と確実に密着し樹脂側に残ることが重要である。
【0004】
特許文献1には、形成したレジストマスクを超えて導電性金属を電着(めっき)させることで、金属層と電極層の上端部周縁に張り出し部を有する半導体素子搭載用基板を得て、樹脂封止の際に金属層および電極層の張り出し部が樹脂に食い込む形となって確実に樹脂側に残るようにすることが記載されている。
【0005】
特許文献2には、レジストマスクを形成する際に散乱紫外光を用いてレジストマスクを台形に形成することで金属層あるいは電極層を断面逆台形の形状に形成することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】 特開2002-9196号公報
【特許文献2】 特開2007-103450号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に示されるレジストマスクを超えて導電性金属を電着させる方法は、形成する金属層および電極層は、レジストマスクをオーバーハングさせてめっきを施すことによって形成する製造方法である。そして、その金属層および電極層の庇となるオーバーハング量は、レジストマスクを超えてからのめっき厚に比例する。しかし、レジストマスクのパターン形状やめっき条件によっては、めっき厚のばらつきも大きくなるため、金属層および電極層の庇長さも同様にばらつきが大きくなる。それ故、半導体搭載用基板の金属層および電極層の寸法や間隔などを設定する場合、この庇長さのばらつきを考慮しなければならず、金属層および電極層の寸法や間隔を小さくしづらい問題がある。
【0008】
また、特許文献2に示される散乱紫外光を用いてレジスト層の開口部の断面形状を台形に形成する方法は、使用するレジストの厚さが25μm程度までの厚さには効果的である。よって、特許文献2に示される方法は形成される金属層あるいは電極層の厚さが約20μm程度までであれば有効な方法であるといえる。
【0009】
しかし、例えばレジスト層を厚くして50μm程度とした場合、紫外光がレジストに吸収され金属板方向になるほど光が減衰していくため、開口部断面形状の台形の角度が90度(すなわち長方形)に近くなり、あるいはこれよりさらに大きくなって金属板側が長辺となる通常の台形形状となってしまい、金属層あるいは電極層の形状が逆台形を成さなくなるため、金属層あるいは電極層と樹脂との密着性が低下することになる。
【0010】
すなわち、半導体素子搭載用基板の金属層および電極層と樹脂との密着性をより向上させるためには、金属層および電極層の厚さをより厚くするか、或いは樹脂に食い込むようにするために、金属層および電極層の断面形状を逆台形形状あるいは凹凸形状に形成することが有効である。
【0011】
したがって、レジスト層を厚くして、金属層や電極層の厚みを厚くするとともに断面逆台形形状や凹凸形状のめっき層が形成されることとなるレジストマスクを形成し、そしてこのレジストマスクを用いて断面が逆台形形状や凹凸形状のめっき層を形成することがより好ましい。また、めっき層によって形成される金属層や電極層の必要な厚みは逆台形の形状や凹凸の形状によっても異なるが、基本的にはめっき層は金属層や電極層の厚みが30~100μm程度となるように半導体素子搭載用基板を製造することが必要である。
【0012】
そこで、本発明の半導体素子搭載用基板の製造方法は上述した課題を解決するためになされたものであり、金属層や電極層が厚く且つ金属層や電極層の断面形状が凹凸を有して形成されることにより、金属層や電極層と樹脂との密着性がより高められる半導体素子搭載用基板を提供できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明の半導体素子搭載用基板の製造方法は、導電性を有する基板の表面に端子等となるめっき層を備えた半導体素子搭載用基板の製造方法であって、メインの感光波長が異なる2種類のドライフィルムレジストを用いて前記基板の表面にこの2種類のドライフィルムレジストで複数層のレジスト層を形成する工程と、前記複数層のレジスト層の上から第1の露光用マスクを用いて前記複数層のレジスト層の中から特定のレジスト層のみを第1のパターンに感光する第1の露光工程と、前記複数層のレジスト層の上から第2の露光用マスクを用いて前記複数層のレジスト層の中から別のレジスト層を第2のパターンに感光する第2の露光工程と、前記複数層のレジスト層の未露光部分を除去して前記基板の表面を部分的に露出させて開口部を有するレジストマスクを形成する現像工程と、前記基板の表面が露出している部分に所望のめっきを施してめっき層を形成する工程と、前記レジストマスクを除去する工程を順次経ることを特徴とする。
【0014】
また、本発明においては、前記第1の露光用マスクと前記第2の露光用マスクは描かれているパターンが異なり、この描かれているパターンが異なる第1と第2の露光用マスクを用いて前記2種類のドライフィルムレジストからなる前記複数層のレジスト層を露光し現像することによって、前記基板表面が露出しているめっき用のレジストマスクの前記開口部の断面に段差が形成されることが好ましい。
・・・(中略)・・・
【発明の効果】
【0017】
半導体基板材料となる導電性材料にメインの感光波長が異なる2種類のドライフィルムレジストを2層、3層と貼り合せ、露光マスクを介して、狙いとする層が感光する単線紫外光で露光することにより、貼り合せた多層ドライフィルムレジスト中の狙いの層のみにパターニング露光を行いこれを各層に施してドライフィルムレジストを現像することにより、断面略逆台形形状や断面T形形状あるいは断面凹凸形状の開口部を作製することができ、その後、めっきを電着積層することにより、ドライフィルムレジストの開口部を鋳型としてめっき金属を前記開口部と同形状に形成することができるので、金属層や電極層の断面形状が凹凸を有して形成されることにより、金属層や電極層と樹脂との密着性を高められる半導体素子搭載用基板を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
・・・(中略)・・・
【図2】(a)から(e)は、実施例1に示すレジスト層が2層の場合の本発明の製造方法の製造フローに沿ったそれぞれの工程における処理を断面図で示したものである。
・・・(中略)・・・
【発明を実施するための形態】
・・・(中略)・・・
【実施例】
【0023】
(実施例1)
次に、本発明の半導体素子搭載用基板の製造方法の一実施例を図2に基づいて説明する。図2(a)に示すように、導電性を有する基板1として厚さ0.15mmのSUS430を用いて、基板1の両面に厚さ25μmのドライフィルムレジスト(旭化成イーマテリアルズ製:ADH-252)をラミネートしレジスト層10を形成した(裏面側は図示せず)。この時のラミネート条件は、ロール温度105℃、ロール圧力0.5MPa、送り速度2.5m/minで行なった。尚、ラミネートしたドライフィルムレジストはネガ型レジストであって、h線照射(感光波長:405nm)による露光が可能なドライフィルムレジストである。
【0024】
次に、片面側(表面側)の前記レジスト層10に重ねて、前記レジスト層10と感光波長の異なる厚さ50μmのドライフィルムレジスト(旭化成イーマテリアルズ製:AQ-5038)を前記と同じ条件でラミネートすることで、上層のレジスト層11を形成した。このドライフィルムレジストもネガ型レジストであるが、i線照射(感光波長:365nm)による露光が可能なドライフィルムレジストである。
【0025】
これで、図2(a)に示すように基板1の表面側には、感光波長の異なる2種類のドライフィルムレジストにより2層のレジスト層10,11が形成され、裏面側(図示せず)には、表面側の下層と同じレジスト層が形成される。
【0026】
次に、図2(b)に示すように、表面側のレジスト層10,11の上に所定のパターンが形成された露光用のマスク20を被せ、そのマスク20と露光用の光源4との間に405nmのバンドパスフィルタ3をセットした。
【0027】
そして、光源4としてメイン波長がi線でh線とg線を含む混線の水銀ランプ(オーク製:ショートアークランプ)を使用して露光を行うことで、表面側の下層のレジスト層10を波長405nmの紫外光によりマスク20に描かれたパターンで感光して硬化させ、裏面側は同じ光源により直接レジスト層10を全面感光させて硬化させた(裏面側は図示せず)。この際の露光量は、表面側が波長405nmの検出器で18mJ/cm2、裏面側が波長365nmの検出器で80mJ/cm2であった。
【0028】
この時、表面側は、405nmのバンドパスフィルタ3によってh線照射による露光を行うこととなり、上層のレジスト層11は、未露光の状態である。裏面側は、混線による露光により全面が硬化したレジストマスクとなる。
【0029】
次に、図2(c)に示すように、表面側のレジスト層10,11の上に露光用の前記マスク20と異なる所定のパターンが形成されたマスク21を被せ、前記の光源4(混線の水銀ランプ)により露光を行なうことで、レジスト層11を露光用のマスク21のパターンで感光して硬化させた。このとき、マスク20とマスク21は、硬化させる平面面積が、後から露光を行なうマスク21の方が小さい露光面積とすることで、先に露光したレジスト層10の未露光部分30を硬化させることは無い。この際の露光量は、波長365nmの検出器にて70mJ/cm2であった。
【0030】
次に、図2(d)に示すように、現像を行なうことで、表面側の上層のレジスト層11は所定のパターンに形成され未露光部分31に開口部41が形成されたレジストマスク11となり、また下層のレジスト層10も未露光部分30に同様に開口部40が形成されてレジストマスク10となり、そして基板1が露出することになる。この現像処理は、1%炭酸ナトリウム液を液温30℃、スプレー圧0.08MPaで約80秒間の加工で実施した。開口部40と開口部41により断面略T字状の開口部が形成されることとなる。
【0031】
そして、図2(e)に示すように、基板1が露出した開口部40,41に対し、表面酸化皮膜除去および一般的なめっき前処理による表面の活性化処理を行なった後、ニッケルめっきを行なって45μmの厚さのめっき層(金属層、電極層)2を形成した。
【0032】
その後、アルカリ溶液により基板1の両面に形成されているレジストマスク10、11を全て剥離することで断面形状が略T字状のめっき層(金属層、電極層)2が形成された半導体素子搭載用基板を得た。
【0033】
なお、光源に水銀ランプを使用せず、特定の波長の紫外線LEDランプを使用することで、バンドパスフィルタを用いることなく、所望のレジスト層を露光することも可能である。
【0034】
また、裏面側に形成するレジスト層は、全面を硬化させるため、どのタイプのドライフィルムレジストを使用しても問題はない。更に、形成するめっき層2は、複数のめっきを積層してもよく、必要に応じて金、パラジウム、ニッケル、銅、コバルト、など及びそれら合金によるめっきを選択し、順次積層して形成することもできる。」
「【図2】
[図:0001396995000001.jpg]
」
(2) 引用発明
段落0002,0032の記載及び図2(e)によると引用文献4には「基板1上に略T字状のめっき層(半導体素子搭載用の金属層、外部と接続するための電極層)2を備える半導体素子搭載用基板」が記載されているといえる。
そうすると、引用文献4には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているといえる。
「レジストマスクを超えて導電性金属を電着させる方法は、形成する金属層および電極層を、レジストマスクをオーバーハングさせてめっきを施すことによって形成する製造方法であり、その金属層および電極層の庇となるオーバーハング量は、レジストマスクを超えてからのめっき厚に比例するが、レジストマスクのパターン形状やめっき条件によっては、めっき厚のばらつきも大きくなるため、金属層および電極層の庇長さも同様にばらつきが大きくなるため、半導体搭載用基板の金属層および電極層の寸法や間隔などを設定する場合、この庇長さのばらつきを考慮しなければならず、金属層および電極層の寸法や間隔を小さくしづらいという課題(段落0007)を解決する発明であって、
基板1の表面側には、感光波長の異なる2種類のドライフィルムレジストにより2層のレジスト層10(厚さ25μm)、11(厚さ50μm)を形成し(段落0023,0024,0025)、
下層のレジスト層10に形成された開口部40と上層のレジスト層11に形成された開口部41により断面略T字状の開口部を形成し(段落0030)、
基板1が露出した開口部40,41に対し、45μmの厚さのめっき層(金属層、電極層)2を形成し(段落0031)、
その後、アルカリ溶液により基板1の両面に形成されているレジストマスク10、11を全て剥離することで断面形状が略T字状のめっき層(金属層、電極層)2を形成し(段落0032)、
形成するめっき層2は、複数のめっきを積層してもよい、(段落0034)、
基板1上に略T字状のめっき層(半導体素子搭載用の金属層、外部と接続するための電極層)2を備える半導体素子搭載用基板。」
2 対比
本願発明と引用発明とを対比する。
(1) 引用発明の「基板1」、「半導体素子搭載用の金属層」、「外部と接続するための電極層」、「めっき層2」は、本願発明の「母型基板(10)」、「半導体素子搭載部(11a)」「電極部(11b)」、「金属部(11)」にそれぞれ相当する。
したがって、引用発明の「基板1上に略T字状のめっき層(半導体素子搭載用の金属層、外部と接続するための電極層)2を備える半導体素子搭載用基板」は、以下の相違点を除き、本願発明の「母型基板(10)上に半導体素子搭載部(11a)及び/又は電極部(11b)となる金属部(11)を備える半導体装置用基板」に対応する。
(2) 「略T字状」は上部に庇となる張り出し部分を備える形状を意味する。
そうすると、引用発明の「略T字状のめっき層(金属層、電極層)2」は、張出部が形成されているといえるから、このことは、本願発明の「前記金属部(11)には張出部(11c)が形成されて」いることに相当する。
(3) 引用発明の「略T字状のめっき層(金属層、電極層)2」の上部の庇となる張り出し部分は、張り出し部分以外のめっき層2の厚さ方向と直交する方向に平行な下面と、張り出し部分以外のめっき層2の上面に連続して形成される上面と、該上面と下面との間の面である側面とを有するといえるから、このことは、本願発明の「前記張出部(11c)は、金属部(11)の軸方向と直交する方向に平行な下面と、金属部(11)の上面に連続して形成される上面と、該上面と下面との間の面である側面とを有」することに相当する。
(4) 引用発明の「断面形状が略T字状のめっき層(金属層、電極層)2」は、「複数のめっきを積層して」形成されるところ、この積層されたメッキにより、めっき層2の上面に形成されたメッキ層は、本願発明の「表面金属層(13)」に相当し、その厚み分は、庇となる張り出し部分の側面として現れるといえる。
そうすると、引用発明は、「前記張出部(11c)の上面に表面金属層(13)が形成され、前記表面金属層(13)の厚み分が前記張出部(11c)の側面として現れており」といえる点で本願発明と一致する。
(5) 一致点・相違点
以上を踏まえると、本願発明と引用発明とは次の点で一致し、相違する。
ア 一致点
「母型基板(10)上に半導体素子搭載部(11a)及び/又は電極部(11b)となる金属部(11)を備える半導体装置用基板であって、
前記金属部(11)には張出部(11c)が形成されており、
前記張出部(11c)は、金属部(11)の軸方向と直交する方向に平行な下面と、金属部(11)の上面に連続して形成される上面と、該上面と下面との間の面である側面とを有し、
前記張出部(11c)の上面に表面金属層(13)が形成され、前記表面金属層(13)の厚み分が前記張出部(11c)の側面として現れている、
半導体装置用基板。」
イ 相違点1
本願発明が、「前記張出部(11c)の上面は、前記金属部(11)の上面から前記張出部(11c)の側面に連続形成された曲面となっており、」との事項を特定しているのに対し、引用発明は、「略T字状のめっき層(金属層、電極層)2」の庇となる張り出し部分の上面の形状を特定していない点。
ウ 相違点2
本願発明が「前記軸方向における前記張出部(11c)の高さ寸法は、前記軸方向と直交する方向における前記張出部(11c)の張出し寸法よりも大きいこと」を特定しているのに対し、引用発明は、「略T字状のめっき層(金属層、電極層)2」の庇となる張り出し部分の高さ寸法と張出し寸法(オーバーハング量、庇長さ)との関係を特定していない点。
3 相違点の検討
(1) 相違点1
本願明細書には、相違点1に係る本願発明の構成を得るために、製法上の特別の条件設定が必要である旨の記載は見当たらない。
ここで、引用発明において、「略T字状のめっき層(半導体素子搭載用の金属層、外部と接続するための電極層)2」は、下層のレジスト層10(厚さ25μm)の開口部40と上層のレジスト層11(厚さ50μm)の開口部41により形成された断面略T字状の開口部に対して、下層のレジスト層10(厚さ25μm)の厚さを超える一方、レジスト層11(厚さ50μm)の上面を超えない、45μmの厚さのめっき層(金属層、電極層)2を形成することにより製造される。
そうすると、引用発明の「略T字状のめっき層(半導体素子搭載用の金属層、外部と接続するための電極層)2」の製造方法と、「第一レジスト層12の所定パターンの開口内面と、第二レジスト層16の所定パターンの開口内面との間には段差部20が形成され」(本願明細書段落0037)、「電解メッキによりニッケルを積層して」(本願明細書段落0038)、「第一レジスト層12の厚さを越える一方、第二レジスト層16の上面を越えない所定厚さ(例えば、厚さ約60μm)として形成され」(本願明細書段落0039)る本願発明の「半導体素子搭載部(11a)及び/又は電極部(11b)となる金属部(11)」の製造方法とは相違しないから、引用発明の「略T字状のめっき層(金属層、電極層)2」の庇となる張り出し部分の上面の形状も、本願発明と同様に「前記金属部(11)の上面から前記張出部(11c)の側面に連続形成された曲面となっており」と解される。
したがって、相違点1は実質的な相違ではない。
(2) 相違点2
引用発明は「庇長さのばらつき」を抑えることにより「半導体搭載用基板の金属層および電極層の寸法や間隔などを設定する場合」に、「金属層および電極層の寸法や間隔を小さく」するものであるから、「略T字状のめっき層(金属層、電極層)2」の張出し寸法(オーバーハング量、庇長さ)をできるだけ小さく設計するものである。
そうすると、張り出し部分の高さ寸法に対して、張出し寸法を小さくし、相違点2に係る本願発明の構成とすることは当業者が適宜選択し得る設計事項といえる。
4 請求人の主張
請求人は審判請求書で次の主張をした。
「しかしながら、各引用文献には、今回の補正により追加した本願発明の構成、すなわち、張出部の上面に表面金属層が形成され、該表面金属層の厚み分が張出部の側面として現れる構成については、記載されていません。
本願発明は、金属部に張出部が形成されてあって、当該張出部は、金属部の軸方向と直交する方向に平行な下面と、金属部の上面に連続して形成される上面と、該上面と下面との間の面である側面とを有しており、張出部の上面は、金属部の上面から張出部の側面に連続形成された曲面となる構成を備えるものです。
そして、本願発明の半導体装置用基板は、張出部の上面に表面金属層が形成され、当該表面金属層の厚み分が張出部の側面として現れており、金属部の軸方向における張出部の高さ寸法が金属部の軸方向と直交する方向における張出部の張出し寸法よりも大きい構成となるものです。
係る構成により、張出部としての強度を確保しつつ、金属部の配置間隔を小さくすることができます。加えて、金属部の軸方向における張出部の高さ寸法を金属部の軸方向と直交する方向における張出部の張出し寸法よりも大きくすることにより、金属部の配置間隔を小さくしつつ、張出部としての強度を向上した構成を採ることができます。
さらに、張出部の上面に表面金属層が形成することにより、張出部の張出し寸法を一定としながら張出部の高さ寸法を大きくすることができ、張出部の上面に形成する表面金属層の厚みを調整することで、張出部としての強度を容易かつ適切に調整することができます。
そして、係る構成の半導体装置用基板を用いることにより、半導体装置の一層の小型化が図れるとともに、半導体装置用基板(母型基板)上での半導体装置の形成密度を高められ、半導体装置の生産性を向上することができます。」
しかしながら、上記2(4)のとおり、「張出部の上面に表面金属層が形成され、該表面金属層の厚み分が張出部の側面として現れる」構成は、引用発明との一致点であるから、請求人の主張は採用できない。
第6 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用文献4に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、他の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2022-009166