特許拒絶査定不服審判
2021-004097
無線通信の方法及び装置
- 審判番号
- 2021-004097
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2018-561266外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2021年03月31日
- 審決日
- 2022年08月16日
- 公報発行日
- 2023年01月27日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .113-WZ (H04W) / P18 .121-WZ (H04W)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条1項3号特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2018-561266「無線通信の方法及び装置」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 1月 4日国際公開、WO2018/000439、令和 元年 8月22日国内公表、特表2019-523579〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2016年(平成28年)7月1日を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
平成31年 1月 9日 手続補正書の提出
令和 2年 3月16日付け 拒絶理由通知書
令和 2年 6月23日 意見書、手続補正書の提出
令和 2年11月26日付け 拒絶査定
令和 3年 3月31日 拒絶査定不服審判の請求
令和 3年12月15日付け 拒絶理由通知書(当審)
令和 4年 2月22日 意見書、手続補正書の提出
令和 4年 3月16日付け 拒絶理由通知書(当審)
令和 4年 5月25日 意見書、手続補正書の提出
第2 本願発明について
本願の請求項1ないし7に係る発明は、令和4年5月25日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし7に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項4には、以下のとおり記載されている。
「 無線通信の方法であって、
端末がセルの第一キャリアによって前記セルの前記第二キャリアの作業パラメータを取得した後、基地局は端末が送信した前記セルの前記第二キャリアの測定結果を受信し、前記セルの前記第一キャリアの周波数帯は前記セルの前記第二キャリアの周波数帯よりも低いこと、
前記基地局は、前記セルの前記第二キャリアの測定結果によって、前記セルの前記第二キャリアから目標キャリアを確定すること、及び
前記基地局は前記端末へ第一指示情報を送信し、前記第一指示情報は前記目標キャリアを指示することに用いられることを含むことを特徴とする、無線通信の方法。」
ここで、当該記載のうち、第2段落の先頭行に「前記第二キャリア」と記載されているが、「第二キャリア」との記載は当該記載より前に記載されていないことから、「前記第二キャリア」は誤記であることは明らかである。また、請求項4には、端末が「前記第二キャリアの作業パラメータを取得した後、基地局は端末が送信した前記セルの前記第二キャリアの測定結果を受信」することが特定されているから、「前記第二キャリア」は「前記第一キャリア」の誤記ではなく、「第二キャリア」の誤記であることが明らかである。したがって、特許請求の範囲の請求項4に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものと認める(下線は、当審が付与した。)。
「 無線通信の方法であって、
端末がセルの第一キャリアによって前記セルの第二キャリアの作業パラメータを取得した後、基地局は端末が送信した前記セルの前記第二キャリアの測定結果を受信し、前記セルの前記第一キャリアの周波数帯は前記セルの前記第二キャリアの周波数帯よりも低いこと、
前記基地局は、前記セルの前記第二キャリアの測定結果によって、前記セルの前記第二キャリアから目標キャリアを確定すること、及び
前記基地局は前記端末へ第一指示情報を送信し、前記第一指示情報は前記目標キャリアを指示することに用いられることを含むことを特徴とする、無線通信の方法。」
第3 拒絶の理由
令和4年3月16日付けで当審が通知した拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)の概要は、
「3.(新規性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
4.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。」
という理由を含むものであり、現請求項4に対応する補正前の請求項6に対して国際公開第2014/080680号(以下、「引用文献4」という。)が引用されている。
第4 引用発明について
1 引用文献4
当審拒絶理由で引用され、本願の出願前に国際公開された国際公開第2014/080680号(引用文献4)には、次の記載がある。(下線は当審が付与。)
(1)「背景技術
[0002](略)
[0005] キャリアアグリゲーションにおいて、コンポーネントキャリアは、1つの主コンポーネントキャリア(PCC)と少なくとも1つの副コンポーネントキャリア(SCC)に分類される。主コンポーネントキャリアは、UEの発信またはハンドオーバでNAS (Non-Access Stratum)モビリティ情報、例えばTracking Area identity (TAI)の提供に使用されたり、セキュリティインプットの提供に使用されたりする。副コンポーネントキャリアは、主コンポーネントキャリアに加えてUEが使用可能なコンポーネントキャリアである。より厳密にいえば、上りリンクの主コンポーネントキャリアと下りリンクの主コンポーネントキャリアがあり、上りリンクの副コンポーネントキャリアと下りリンクの副コンポーネントキャリアがある。
[0006] 上りリンクと下りリンクの主コンポーネントキャリアを用いてUEが通信するサービングセルを主セル(Primary Cell、PCell)といい、上りリンクと下りリンクの副コンポーネントキャリアを用いてUEが通信するサービングセルを副セル(Secondary Cell、SCell)という。UEは最大で5つの副セルを使用することができる。この明細書において、セルとは、後述するセルエリアではなく、セルエリアに対する通信機能を提供する基地局の装置をいう。
[0007] 図2はキャリアアグリゲーションの使用の態様の一例を示す概略図である。図2において矢印で示すように、キャリアアグリゲーションに適合するUE1が図の左から右へ向けて移動する。無線基地局10は、下りリンク、上りリンクともに、2つの周波数帯A,Bを使用する。無線基地局10は、電波が通信可能な程度に届く範囲であるセルエリア10A,10Bを有する。セルエリア10Aは周波数帯Aに対応し、セルエリア10Bは周波数帯Bに対応する。セルエリア10A,10Bの大きさが異なるのは、低い周波数Aの電波が高い周波数Bの電波よりも長距離に届くためである。
[0008] 図2の左側のセルエリア10Aの中(セルエリア10Bの外)で、UE1が発信する。このとき、下りリンク(DL)、上りリンク(UL)とも、周波数帯AをPCCとして通信が行われるように、 Radio Resource Control (RRC) Setup手順が実行され、周波数帯Aで通信が開始する。
[0009] UE1がセルエリア10Bに到達すると、SCCの追加すなわちSCellの追加が行われる。周波数帯BがSCCとしてUE1で使用可能な周波数に追加される。これにより、UE1は、下りリンク(DL)、上りリンク(UL)とも、周波数帯A(PCC)だけでなく、周波数帯BをSCCとして通信することが可能となる。但し、SCCをUE1が使用するかどうかは、UE1の使用状況による。SCellを追加すべきか否かは、UEで測定されたコンポーネントキャリアの受信品質の無線基地局への報告(Measurement Report)に基づいて、無線基地局10で判断される。SCellを追加すべき場合、無線基地局10はRRC Connection ReconfigurationメッセージをUEに送信する。RRC Connection Reconfigurationメッセージを受信したUEは、そのメッセージに指定されたSCellを追加する(非特許文献2、Sec. 5.3.10.3bなど参照)。なお、SCellを追加すべきかの判断は、報告された受信品質に代えて、無線基地局のハードウェアリソース見合い、各周波数帯の使用状況や、予め設定されたキャリアアグリゲーションにおけるセル追加の動作基準に基づいてもよい。または、これらと受信品質と組み合わせた基準でSCellの追加要否を判断してもよい。」
(2)「[0025] 図4は、キャリアアグリゲーションの副セル(SCell)追加に要する従来の制御手順を示すシーケンス図である。UEにおいて呼が発信されると、UEとeNB(無線基地局)は、その呼のための発信のための制御手順を実行する。その後、eNBは、RRC Connection ReconfigurationメッセージをUEに送信する。このRRC Connection Reconfigurationメッセージは、UEにとっての副セルとなりうるこのeNBが管理している副セル候補の周波数帯の受信品質の測定指示である。より具体的には、このRRC Connection Reconfigurationメッセージは、UEにとっての副セル候補の周波数帯(キャリア)の受信品質をUEが測定する測定ギャップ(Measurement Gap)の起動を指示する。また、このRRC Connection Reconfigurationメッセージは、UEにとっての副セル候補の周波数帯(キャリア)を指定しており、UEにその周波数帯の受信品質を測定するよう指示する。測定ギャップとは、周期的に出現する時間間隔であって、UEが現在通信していないセルの周波数帯での受信品質を測定する時間間隔である。副セル候補は1つの場合もあるが、複数の場合もある。
[0026] この測定指示であるRRC Connection Reconfigurationメッセージを受信すると、UEは、RRC Connection Reconfigurationメッセージに指示されたように、測定ギャップを起動する。つまり、周期的な時間間隔で、UEが現在通信していないセルに関わる受信品質をUEが測定することができるように、UEはUE自身を設定する。そして、RRC Connection Reconfigurationメッセージに指定された副セル候補の周波数帯において、受信品質をUEが測定することができるように、UEはUE自身を設定する。これらの設定の完了後、UEは、UEのこれらの設定が完了したことを示すRRC Connection Reconfiguration CompleteメッセージをeNBに送信する。
[0027] この後、UEは、副セル候補の周波数帯の受信品質を周期的に繰り返し測定し、測定結果を示す報告(Measurement Report)をeNBに繰り返し送信する。
[0028] Measurement Reportを受信すると、eNBは、Measurement Reportを送信したUEについて、副セルを追加すべきか否か判断する。通信の品質の良好な副セル候補は副セルとして追加すべきであるが、通信の品質の劣悪な副セル候補は副セルとして追加すべきではない。
[0029] 副セルを追加すべきでないとeNBが判断する場合には(例えば図4の最初のMeasurement Reportの後の判断)、eNBはUEにはメッセージを送信しない。他方、副セルを追加すべきであるとeNBが判断する場合には(例えば図4の第2番目および第3番目のMeasurement Reportの後の判断)、eNBは、RRC Connection ReconfigurationメッセージをUEに送信する。このRRC Connection Reconfigurationメッセージは、追加すべき副セルの周波数帯を指定する副セル追加の指示である。この副セル追加の指示であるRRC Connection Reconfigurationメッセージを受信すると、UEは、RRC Connection Reconfigurationメッセージに指示されたように、その副セルを追加する(つまりその副セルに対応するSCCを使用可能な周波数に追加する)。副セルの追加の完了後、UEは、副セルの追加が完了したことを示すRRC Connection Reconfiguration CompleteメッセージをeNBに送信する。」
(3)図2
「
[図:0001392506000001.jpg]
」
(4)図4
「
[図:0001392506000002.jpg]
」
上記記載及び当業者における技術常識からみて、以下のことがいえる。
ア.上記(2)の段落25には「図4は、キャリアアグリゲーションの副セル(SCell)追加に要する従来の制御手順を示すシーケンス図である。UEにおいて呼が発信されると、UEとeNB(無線基地局)は、その呼のための発信のための制御手順を実行する。」と記載されているから、無線基地局とUEとの間で行われるキャリアアグリゲーションの副セル追加に要する制御手順が記載されているといえる。ここで、図4はキャリアアグリゲーションに関する「従来の制御手順」であるから、図4の従来の制御手順は、引用文献4の従来技術である背景技術に記載されている図2(上記(3))や上記(1)に記載のキャリアアグリゲーションを前提としていることは明らかである。
イ.上記(1)の段落7には「無線基地局10は、電波が通信可能な程度に届く範囲であるセルエリア10A,10Bを有する。」と記載されていることから、無線基地局がセルエリア10Aとセルエリア10Bを有する。
また、上記(1)の段落7には「無線基地局10は、下りリンク、上りリンクともに、2つの周波数帯A,Bを使用する。・・・セルエリア10Aは周波数帯Aに対応し、セルエリア10Bは周波数帯Bに対応する。セルエリア10A,10Bの大きさが異なるのは、低い周波数Aの電波が高い周波数Bの電波よりも長距離に届くためである。」と記載されていることから、セルエリア10Aの周波数帯はセルエリア10Bの周波数帯よりも低い。
したがって、無線基地局が大きさの異なるセルエリア10Aとセルエリア10Bを有し、前記セルエリア10Aの周波数帯は前記セルエリア10Bの周波数帯よりも低い。
ウ.上記(2)の段落25には「eNBは、RRC Connection ReconfigurationメッセージをUEに送信する。・・・このRRC Connection Reconfigurationメッセージは、UEにとっての副セル候補の周波数帯(キャリア)を指定しており、UEにその周波数帯の受信品質を測定するよう指示する。」と記載されているとともに、上記(2)の段落26には「RRC Connection Reconfigurationメッセージに指定された副セル候補の周波数帯において、受信品質をUEが測定することができるように、UEはUE自身を設定する。」と記載され、段落25に「eNB(無線基地局)」と記載があるように、eNBが無線基地局を意味することを考慮すると、UEがRRC Connection Reconfigurationメッセージにより無線基地局から副セル候補の周波数帯を取得し、その周波数帯においてUEが受信品質の測定を行うといえる。
また、上記(1)の段落9に「SCCの追加すなわちSCellの追加」、上記(1)の段落5に「副コンポーネントキャリア(SCC)」、及び、上記(1)の段落6に「副セル(Secondary Cell、SCell)」と記載されていることから、副セル(SCell)候補はコンポーネントキャリア(SCC)といえる。更に、上記(1)の段落9には「SCellを追加すべきか否かは、UEで測定されたコンポーネントキャリアの受信品質の無線基地局への報告(Measurement Report)に基づいて、無線基地局10で判断される。」と記載されていることから、UEによる測定対象はコンポーネントキャリア(SCC)であるといえる。そうすると、UEがRRC Connection Reconfigurationメッセージにより取得する副セル候補の周波数帯は、具体的には、副セル候補であるコンポーネントキャリアの周波数帯であるといえる。
ここで、UEがどのようにして当該RRC Connection Reconfigurationメッセージを受信するかについては明記されていない。しかしながら、上記(1)の段落8に、「図2の左側のセルエリア10Aの中(セルエリア10Bの外)で、UE1が発信する。このとき、下りリンク(DL)、上りリンク(UL)とも、周波数帯AをPCCとして通信が行われるように、 Radio Resource Control (RRC) Setup手順が実行され、周波数帯Aで通信が開始する。」とあり、更に上記(1)の段落9に「UE1がセルエリア10Bに到達すると、SCCの追加すなわちSCellの追加が行われる。周波数帯BがSCCとしてUE1で使用可能な周波数に追加される。これにより、UE1は、下りリンク(DL)、上りリンク(UL)とも、周波数帯A(PCC)だけでなく、周波数帯BをSCCとして通信することが可能となる。」とあるから、SCCが追加されるまではPCCで通信することは明らかである。それゆえ、副セル候補であるコンポーネントキャリアの周波数帯を指定するための当該RRC Connection Reconfigurationメッセージの送受信はPCCによって行われるといえる。ここで、上記(1)の段落5に「主コンポーネントキャリア(PCC)」と記載されており、PCCが主コンポーネントキャリアのことを意味していることは明らかであるから、UEが主コンポーネントキャリアによって、RRC Connection Reconfigurationメッセージを受信するといえる。
そして、上記(1)の段落8に、「図2の左側のセルエリア10Aの中(セルエリア10Bの外)で、UE1が発信する。このとき、下りリンク(DL)、上りリンク(UL)とも、周波数帯AをPCCとして通信が行われる」と記載されていることから、主コンポーネントキャリアであるPCCはセルエリア10Aのコンポーネントキャリアである。
また、上記(1)の段落9には「UE1がセルエリア10Bに到達すると、SCCの追加すなわちSCellの追加が行われる。周波数帯BがSCCとしてUE1で使用可能な周波数に追加される。」と記載され、上記(1)の段落6に「副セル(Secondary Cell、SCell)」と記載されていることから、副セル候補であるSCellはセルエリア10Bである。よって、「副セル候補」はセルエリア10Bの副セル候補といえる。
したがって、UEがセルエリア10Aの主コンポーネントキャリアのRRC Connection Reconfigurationメッセージにより無線基地局からセルエリア10Bの副セル候補であるコンポーネントキャリアの周波数帯を取得し、その周波数帯においてUEが受信品質の測定を行うといえる。
エ.上記(2)の段落27には「UEは、副セル候補の周波数帯の受信品質を周期的に繰り返し測定し、測定結果を示す報告(Measurement Report)をeNBに繰り返し送信する。」と記載されるとともに、同じく(2)の段落28に「Measurement Reportを受信すると、eNBは、Measurement Reportを送信したUEについて、副セルを追加すべきか否か判断する。」と記載されていることから、eNBはUEが送信した副セル候補の周波数帯の測定結果を受信するといえる。
また、段落25に「eNB(無線基地局)」と記載があることから、eNBが無線基地局を意味することは明らかである。そして、上記「ウ.」で説示したとおり、副セル候補の周波数帯は、具体的には、副セル候補であるコンポーネントキャリアの周波数帯である。
したがって、無線基地局はUEが送信した副セル候補であるコンポーネントキャリアの周波数帯の測定結果を受信するといえる。
オ.上記(2)の段落27には「UEは、副セル候補の周波数帯の受信品質を周期的に繰り返し測定し、測定結果を示す報告(Measurement Report)をeNBに繰り返し送信する。」と記載され、上記(2)の段落28に「Measurement Reportを受信すると、eNBは、Measurement Reportを送信したUEについて、副セルを追加すべきか否か判断する。」と記載されていることから、eNBは、副セル候補の周波数帯の受信品質の測定結果によって、副セルを追加すべきか否か判断するといえる。
ここで、上記(2)の段落25には「副セル候補は・・・複数の場合もある。」と記載されていることから、副セル候補は複数存在するといえる。
そして、上記(2)の段落28には更に「通信の品質の良好な副セル候補は副セルとして追加すべきであるが、通信の品質の劣悪な副セル候補は副セルとして追加すべきではない。」と記載されていることから、eNBが副セルを追加すべきか否か判断する上で、eNBは複数の副セル候補から追加すべき副セルを判断しているといえる。
更に、上記(2)の段落29には「副セルを追加すべきであるとeNBが判断する場合には・・・、eNBは、RRC Connection ReconfigurationメッセージをUEに送信する。このRRC Connection Reconfigurationメッセージは、追加すべき副セルの周波数帯を指定する副セル追加の指示である。」と記載されているから、eNBが複数の副セル候補から追加すべき副セルを判断する際に、eNBは副セルを追加すべきであると判断する場合には複数の副セル候補から追加すべき副セルを指定しているといえる。
そして、上記(2)の段落29には「UEは、RRC Connection Reconfigurationメッセージに指示されたように、その副セルを追加する(つまりその副セルに対応するSCCを使用可能な周波数に追加する)。」と記載されており、ここで、上記(1)の段落5に「副コンポーネントキャリア(SCC)」と記載されていることから、SCCとは副コンポーネントキャリアのことであることを考慮すれば、eNBが指定する追加すべき副セルは、具体的には、副セルに対応する副コンポーネントキャリアであるといえる。
したがって、eNBは副セル候補の周波数帯の受信品質の測定結果によって、複数の前記副セル候補から追加すべき副セルに対応する副コンポーネントキャリアを指定しているといえる。
そして、上記(1)の段落9には「UE1がセルエリア10Bに到達すると、SCCの追加すなわちSCellの追加が行われる。・・・SCellを追加すべきか否かは、UEで測定されたコンポーネントキャリアの受信品質の無線基地局への報告(Measurement Report)に基づいて、無線基地局10で判断される。」と記載されていることから、UEによる測定対象はコンポーネントキャリアであるといえる。それゆえ、副セル候補の周波数帯の受信品質の測定結果は、具体的には、副セル候補であるコンポーネントキャリアの周波数帯の受信品質の測定結果であるといえる。更に、上記「ウ.」で説示したとおり、副セル(SCell)候補はコンポーネントキャリア(SCC)といえることから、複数の前記副セル候補から追加すべき副セルに対応する副コンポーネントキャリアを指定することは、複数の前記副セル候補であるコンポーネントキャリアから追加すべき副セルに対応する副コンポーネントキャリアを指定することといえる。
また、段落25に「eNB(無線基地局)」と記載があることから、eNBが無線基地局を意味することは明らかである。
よって、無線基地局は副セル候補であるコンポーネントキャリアの周波数帯の受信品質の測定結果によって、複数の前記副セル候補であるコンポーネントキャリアから追加すべき副セルに対応する副コンポーネントキャリアを指定するといえる。
カ.上記(2)の段落29には「副セルを追加すべきであるとeNBが判断する場合には・・・eNBは、RRC Connection ReconfigurationメッセージをUEに送信する。このRRC Connection Reconfigurationメッセージは、追加すべき副セルの周波数帯を指定する副セル追加の指示である。」と記載されており、eNBはUEへRRC Connection Reconfigurationメッセージを送信し、前記RRC Connection Reconfigurationメッセージは追加すべき副セルを指示することに用いられるといえる。
また、eNBが無線基地局を意味すること、及び、上記「オ.」で説示したように、副セルの追加は、具体的には、その副セルに対応する副コンポーネントキャリアを追加することであることを鑑みれば、無線基地局はUEへRRC Connection Reconfigurationメッセージを送信し、前記RRC Connection Reconfigurationメッセージは追加すべき副セルに対応する副コンポーネントキャリアを指示することに用いられるといえる。
以上を総合すると、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「 無線基地局とUEとの間で行われるキャリアアグリゲーションの副セル追加に要する制御手順であって、
前記無線基地局が大きさの異なるセルエリア10Aとセルエリア10Bを有し、前記セルエリア10Aの周波数帯は前記セルエリア10Bの周波数帯よりも低いこと、
前記UEが前記セルエリア10Aの主コンポーネントキャリアのRRC Connection Reconfigurationメッセージにより前記無線基地局から前記セルエリア10Bの副セル候補であるコンポーネントキャリアの周波数帯を取得し、その周波数帯において前記UEが受信品質の測定を行い、
前記無線基地局は前記UEが送信した前記副セル候補であるコンポーネントキャリアの周波数帯の測定結果を受信すること、
前記無線基地局は、前記副セル候補であるコンポーネントキャリアの周波数帯の受信品質の測定結果によって、複数の前記副セル候補であるコンポーネントキャリアから追加すべき副セルに対応する副コンポーネントキャリアを指定すること、及び
前記無線基地局は前記UEへRRC Connection Reconfigurationメッセージを送信し、前記RRC Connection Reconfigurationメッセージは前記追加すべき副セルに対応する副コンポーネントキャリアを指示することに用いられることを含む、
無線基地局とUEとの間で行われるキャリアアグリゲーションの副セル追加に要する制御手順。」
第5 対比及び判断
1 対比
本願発明と引用発明とを対比する。
(1)引用発明の副セル追加に要する「制御手順」は、副セルを追加する際にUEと無線基地局がどのように制御されるかを規定するものであって、UEと無線基地局との間のRRC Connection Reconfigurationメッセージの送受信といった、無線通信による手順を実行する方法であるから、無線通信の方法であるといえる。よって、引用発明の「無線基地局とUEとの間で行われるキャリアアグリゲーションの副セル追加に要する制御手順」は、本願発明の「無線通信の方法」に含まれる。
(2)「UE」がUser Equipment(ユーザ装置)の略であることは技術常識であるから、引用発明の「UE」は、本願発明の「端末」に含まれる。また、引用発明の「無線基地局」は、本願発明の「基地局」に含まれる。更に、引用発明の「主コンポーネントキャリア」と「副セル候補であるコンポーネントキャリア」はいずれもキャリアに含まれ、引用発明では「UEが前記セルエリア10Aの主コンポーネントキャリアのRRC Connection Reconfigurationメッセージにより前記無線基地局から前記セルエリア10Bの副セル候補であるコンポーネントキャリアの周波数帯を取得」しており、一方、本願発明では「端末がセルの第一キャリアによって前記セルの第二キャリアの作業パラメータを取得」することから、引用発明の「主コンポーネントキャリア」は、本願発明と同様に「第一キャリア」といえ、また、引用発明の「副セル候補であるコンポーネントキャリア」は、本願発明と同様に「第二キャリア」といえる。そして、引用発明の「副セル候補であるコンポーネントキャリアの周波数帯」は、UEによる副セル候補であるコンポーネントキャリアの測定作業において用いられるパラメータであるから、本願発明の「第二キャリアの作業パラメータ」に含まれる。また、引用発明の「副セル候補であるコンポーネントキャリア」は、本願発明と同様に「第二キャリア」といえることから、引用発明の「前記副セル候補であるコンポーネントキャリアの測定結果」は、本願発明と同様に、「前記第二キャリアの測定結果」といえる。
そうすると、本願発明の「端末がセルの第一キャリアによって前記セルの前記第二キャリアの作業パラメータを取得」することと、引用発明の「UEが前記セルエリア10Aの主コンポーネントキャリアのRRC Connection Reconfigurationメッセージにより前記無線基地局から前記セルエリア10Bの副セル候補であるコンポーネントキャリアの周波数帯を取得」することとは、「端末が第一キャリアによって第二キャリアの作業パラメータを取得」する点で共通し、更に、本願発明の「基地局は端末が送信した前記セルの前記第二キャリアの測定結果を受信」することと、引用発明の「前記無線基地局は前記UEが送信した前記副セル候補であるコンポーネントキャリアの測定結果を受信すること」とは、「基地局は端末が送信した前記第二キャリアの測定結果を受信」する点で共通する。
また、引用発明は「無線基地局は前記UEが送信した前記副セル候補であるコンポーネントキャリアの周波数帯の測定結果を受信する」動作を行うものであるが、引用発明では「前記UEが前記セルエリア10Aの主コンポーネントキャリアのRRC Connection Reconfigurationメッセージにより前記無線基地局から前記セルエリア10Bの副セル候補であるコンポーネントキャリアの周波数帯を取得し、その周波数帯において前記UEが受信品質の測定を行」った後に、無線基地局は測定結果を受信するものであるから、引用発明の「無線基地局は前記UEが送信した前記副セル候補であるコンポーネントキャリアの周波数帯の測定結果を受信する」動作は、「UEが前記セルエリア10Aの主コンポーネントキャリアのRRC Connection Reconfigurationメッセージにより前記無線基地局から前記セルエリア10Bの副セル候補であるコンポーネントキャリアの周波数帯を取得し」た後に行われることは明らかである。
そうすると、端末及び基地局の各動作の時系列に関して、引用発明は、「UEが前記セルエリア10Aの主コンポーネントキャリアのRRC Connection Reconfigurationメッセージにより前記無線基地局から前記セルエリア10Bの副セル候補であるコンポーネントキャリアの周波数帯を取得し」た後に、「前記無線基地局は前記UEが送信した前記副セル候補であるコンポーネントキャリアの周波数帯の測定結果を受信する」から、本願発明の「端末がセルの第一キャリアによって前記セルの第二キャリアの作業パラメータを取得した後、基地局は端末が送信した前記セルの前記第二キャリアの測定結果を受信」することと、引用発明の「前記UEが前記セルエリア10Aの主コンポーネントキャリアのRRC Connection Reconfigurationメッセージにより前記無線基地局から前記セルエリア10Bの副セル候補であるコンポーネントキャリアの周波数帯を取得し、その周波数帯において前記UEが受信品質の測定を行い、前記無線基地局は前記UEが送信した前記副セル候補であるコンポーネントキャリアの周波数帯の測定結果を受信すること」は、「端末が第一キャリアによって第二キャリアの作業パラメータを取得した後、基地局は端末が送信した前記第二キャリアの測定結果を受信」する点で共通する。
(3)引用発明では「前記セルエリア10Aの主コンポーネントキャリア」とあるから「セルエリア10Aの周波数帯」は、主コンポーネントキャリアの周波数帯といえ、本願発明と同様に「第一キャリアの周波数帯」といえる。更に、引用発明では「セルエリア10Bの副セル候補であるコンポーネントキャリア」であるから「セルエリア10Bの周波数帯」は、副セル候補であるコンポーネントキャリアの周波数帯でといえ、本願発明と同様に「第二キャリアの周波数帯」といえる。したがって、本願発明の「前記セルの前記第一キャリアの周波数帯は前記セルの前記第二キャリアの周波数帯よりも低いこと」と、引用発明の「前記セルエリア10Aの周波数帯は前記セルエリア10Bの周波数帯よりも低いこと」は、「前記第一キャリアの周波数帯は前記第二キャリアの周波数帯よりも低いこと」で共通する。
(4)上記(2)で説示したように、引用発明の「無線基地局」は、本願発明の「基地局」に含まれ、引用発明の「副セル候補であるコンポーネントキャリア」は、本願発明と同様に「第二キャリア」といえ、引用発明の「前記副セル候補であるコンポーネントキャリアの測定結果」は、本願発明と同様に、「前記第二キャリアの測定結果」といえる。それゆえ、引用発明の「副セル候補であるコンポーネントキャリアの周波数帯の受信品質の測定結果」も、本願発明の「第二キャリアの測定結果」といえる。
また、引用発明の「追加すべき副セルに対応する副コンポーネントキャリア」は、追加対象となるキャリア、すなわち、追加する上での目標となるキャリアであるから、本願発明と同様に「目標キャリア」といえる。更に、引用発明の複数の前記副セル候補であるコンポーネントキャリアから追加すべき副セルに対応する副コンポーネントキャリアを「指定する」ためには、複数の前記副セル候補であるコンポーネントキャリアから追加すべき副セルに対応する副コンポーネントキャリアを確定しなければいけないことから、本願発明と同様に、引用発明のeNBは、追加すべき副セルに対応する副コンポーネントキャリアを「確定する」といえる。
したがって、本願発明の「前記基地局は、前記セルの前記第二キャリアの測定結果によって、前記セルの前記第二キャリアから目標キャリアを確定する」ことと、引用発明の「前記無線基地局は、前記副セル候補であるコンポーネントキャリアの周波数帯の受信品質の測定結果によって、複数の前記副セル候補であるコンポーネントキャリアから追加すべき副セルに対応する副コンポーネントキャリアを指定する」こととは、「前記基地局は、前記第二キャリアの測定結果によって、前記第二キャリアから目標キャリアを確定する」点で共通する。
(5)上記(2)で説示したように、引用発明の「UE」及び「無線基地局」は、それぞれ本願発明の「端末」及び「基地局」に含まれる。
また、上記(4)で説示したように、引用発明の「追加すべき副セルに対応する副コンポーネントキャリア」は、本願発明と同様に「目標キャリア」といえる。そのため、引用発明の「前記追加すべき副セルに対応する副コンポーネントキャリアを指示すること」は本願発明と同様に「前記目標キャリアを指示すること」といえる。それゆえ、引用発明の「追加すべき副セルに対応する副コンポーネントキャリアを指示することに用いられる」「RRC Connection Reconfigurationメッセージ」は、本願発明の「前記目標キャリアを指示することに用いられる」「第一指示情報」に含まれる。
したがって、引用発明の「前記無線基地局は前記UEへRRC Connection Reconfigurationメッセージを送信し、前記RRC Connection Reconfigurationメッセージは前記追加すべき副セルに対応する副コンポーネントキャリアを指示することに用いられること」は、本願発明の「前記基地局は前記端末へ第一指示情報を送信し、前記第一指示情報は前記目標キャリアを指示することに用いられること」に含まれる。
以上のことから、本願発明と引用発明とは以下の点で一致し、また、相違している。
(一致点)
「 無線通信の方法であって、
端末が第一キャリアによって第二キャリアの作業パラメータを取得した後、基地局は端末が送信した前記第二キャリアの測定結果を受信し、前記第一キャリアの周波数帯は前記第二キャリアの周波数帯よりも低いこと、
前記基地局は、前記第二キャリアの測定結果によって、前記第二キャリアから目標キャリアを確定すること、及び
前記基地局は前記端末へ第一指示情報を送信し、前記第一指示情報は前記目標キャリアを指示することに用いられることを含む、無線通信の方法。」
(相違点)
第一キャリア及び第二キャリアに関し、本願発明では「セルの第一キャリア」及び「前記セルの第二キャリア」との発明特定事項を含むが、引用発明では、「第一キャリア」といえる「主コンポーネントキャリア」及び「第二キャリア」といえる「副セル候補であるコンポーネントキャリア」が同じセルのキャリアとは明確には特定されていない点。
2 判断
(1)上記相違点についての検討
本願発明には「セルの第一キャリア」及び「前記セルの第二キャリア」とあるから、本願発明のセルは第一キャリアと第二キャリアを備えるものである。ここで、移動体通信分野における技術常識を考慮すれば、「セル」とは、無線通信を提供する基地局の装置を指す場合のほかに、基地局が無線通信を提供する範囲を指す場合もありえるから、以下それぞれの場合において検討する。
まず、本願発明の「セル」が、無線通信を提供する基地局の装置を指すものとして検討する。
上記「1 引用文献4」の上記「(1)」の段落6には、「この明細書において、セルとは、後述するセルエリアではなく、セルエリアに対する通信機能を提供する基地局の装置をいう。」と記載され、更に、引用発明は「無線基地局がセルエリア10Aとセルエリア10Bを有」するものであるから、セルエリア10Aとセルエリア10Bはどちらも同じ無線基地局、すなわち、同じセルに含まれるといえる。
よって、引用発明の「セルエリア10Aの主コンポーネントキャリア」及び「セルエリア10Bの副セル候補であるコンポーネントキャリア」も同じセルに含まれることから、「セルの主コンポーネントキャリア」及び「セルの副セル候補であるコンポーネントキャリア」といえる。
それゆえ、引用発明の「セルエリア10Aの主コンポーネントキャリア」及び「セルエリア10Bの副セル候補であるコンポーネントキャリア」は、それぞれ本願発明の「セルの第一キャリア」及び「セルの第二キャリア」に含まれ、この点において相違しない。
次に、本願発明の「セル」が、基地局が無線通信を提供する範囲を指すものとして検討する。
引用発明は「無線基地局がセルエリア10Aとセルエリア10Bを有」するものであるから、無線基地局は、セルエリア10Aとセルエリア10Bを合わせた範囲のエリアに無線通信を提供するといえる。ここで、「基地局が無線通信を提供する範囲」がセルであるから、引用発明における、セルエリア10Aとセルエリア10Bを合わせた範囲のエリアが、本願のセルに相当する。そうすると、引用発明の「セルエリア10Aの主コンポーネントキャリア」及び「セルエリア10Bの副セル候補であるコンポーネントキャリア」も同じセルに含まれることから、「セルの主コンポーネントキャリア」及び「セルの副セル候補であるコンポーネントキャリア」といえる。
それゆえ、引用発明の「セルエリア10Aの主コンポーネントキャリア」及び「セルエリア10Bの副セル候補であるコンポーネントキャリア」は、それぞれ本願発明の「セルの第一キャリア」及び「セルの第二キャリア」に含まれ、この点において相違しない。
したがって、上記相違点は、単なる表現上の差異に過ぎず、実質的差異はない。
また、仮に、本願発明の「セル」が、基地局が無線通信を提供する範囲を意味するとしても、引用発明にも基地局が無線通信を提供する範囲が存在することは自明であり、当該範囲を「セル」と称することは、当業者が容易になし得たことにすぎない。
よって、本願発明は、引用発明であり、また、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
(2)請求人の主張についての検討
請求人は令和4年5月25日に提出された意見書において、本願発明について以下のように主張している。
「3.本願発明が特許されるべき理由」の「(2)新規性、進歩性について」において、
「上記の引用文献4の記載内容から分かりますように、引用文献4には、二つのセル(主セル、副セル)に関する発明が記載されており、即ち、引用文献4に記載された発明において、主セル(低い周波数)を利用して通信する時に、副セル(高い周波数)の周波数帯の受信品質を測定して、基地局によって副セルを追加すべきかを判断しています。
それに対して、本願の請求項1、4に係る発明において、第一キャリア、第二キャリアは同一セルに属しており、即ち、本願発明は、同一セルにおける異なるキャリアに関する発明であり、よって、引用文献4に記載された発明は本願の請求項1、4に係る発明と相違しています。」(以下、「主張1」という。)
しかしながら、上記(1)で説示したように、引用文献4の段落6には、「この明細書において、セルとは、後述するセルエリアではなく、セルエリアに対する通信機能を提供する基地局の装置をいう。」と記載され、更に、引用発明は「無線基地局がセルエリア10Aとセルエリア10Bを有」するものであるから、セルエリア10Aの主セルとセルエリア10Bの副セルは二つのセルではなく、どちらも同じ無線基地局、すなわち、同じセルに含まれ、また「基地局が無線通信を提供するエリア」がセルであるとしても、引用発明における、セルエリア10Aとセルエリア10Bを合わせた範囲のエリアが、本願のセルに相当する。
したがって、引用発明の「セルエリア10Aの主コンポーネントキャリア」及び「セルエリア10Bの副セル候補であるコンポーネントキャリア」は、それぞれ本願発明の「セルの第一キャリア」及び「セルの第二キャリア」と同様に同じセルのキャリアであるから、この点において差異はない。差異があるとしても、本願発明の発明特定事項のとおり構成することは当業者が容易になし得たものにすぎない。
よって、主張1は採用できない。
また、請求人は更に以下のとおり主張している。「引用文献4において、UEは、測定指示によって測定し、基地局に測定結果を示す報告を送信し、基地局によって副セルを追加すべきかを判断しています。よって、引用文献4に、請求項1に記載された「前記端末は前記セルの前記第二キャリアの測定結果によって、前記セルの前記第二キャリアから目標キャリアを確定する」点も記載されていません。」(以下、「主張2」という。)
しかしながら、「前記端末は前記セルの前記第二キャリアの測定結果によって、前記セルの前記第二キャリアから目標キャリアを確定する」なる事項は、本願発明(請求項4に係る発明)の発明特定事項ではないため、主張2は採用できない。
以上のことから、出願人の主張はいずれも採用できない。
第6 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用文献4に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
また、本願発明は、引用文献4に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2021-004097